平成27年1月16日判決言渡平成26年(行ウ)第71号除去命令処分取消等請求事件主文 1 処分行政庁が平成26年1月15日付けで原告に対してした消防法5条の3第1項に基づく除去命令処分(25京予第413号)のうち,平成26年1月30日までに屋内階段塔屋階部分に存置された南東側壁体沿いのスチール製ロッカー1台及び同ロッカー内に収納された冊子等並びに北東側壁体沿いのスチール製ロッカー内に収納された冊子等を除去することを命じた部分を取り消す。 2 被告は,原告に対し,10万円及びこれに対する平成26年3月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,これを4分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 処分行政庁が平成26年1月15日付けで原告に対してした消防法5条の3第1項に基づく除去命令処分(25京予第413号)を取り消す。 2 被告は,原告に対し200万円及びこれに対する平成26年3月8日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等本件は,原告が,別紙2物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)の5階にある居室を賃借した上,本件建物の5階通路部分に木製本棚等を,7階塔屋部分にスチール製ロッカー等を設置していたところ,処分行政庁が,平成26年1月15日付けで,原告に対し,消防法5条の3第1項に基づき,上記本棚等及びロッカー等の設置物を除去することを命ずる処分(以下「本件処 分」という。)をしたことから,原告が,被告に対し,本件処分は,火災予防上の危険や消防活動上の支障がないにもかかわらず発せられた違法な処分であるなど することを命ずる処分(以下「本件処 分」という。)をしたことから,原告が,被告に対し,本件処分は,火災予防上の危険や消防活動上の支障がないにもかかわらず発せられた違法な処分であるなどと主張して,本件処分の取消しを求めるとともに,本件処分が原告に対して発せられたことを公示する標識(以下「本件標識」という。)によって原告の信用が毀損されたとして,国家賠償法1条1項に基づき慰謝料相当損害金及び遅延損害金の支払を求める事案である。 1 関係法令等の定め別紙1「関係法令等の定め」記載のとおり(なお,同別紙中の略称は本文においても同様に用いる。)。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)(1) 本件建物の状況本件建物は,建築面積66㎡(道路に面した間口4.4m,奥行き15m),延べ床面積約406㎡の鉄骨造陸屋根7階建ての建築物であり,南東側が道路に面し,その他の周囲は建物に隣接している。本件建物の1階には,道路に面した部分に1階居室及び共用通路の入口があり,入口から同通路を約11m奥に進んだ場所にエレベーターが設置され,エレベーターと並んで1階から7階まで続く屋内階段(以下「本件屋内階段」という。)が設置されている。 本件建物は,いわゆる雑居ビルであり,各階に1室ずつ居室が設けられ,1,2階に飲食店,3階に画廊,4階から6階までに法律事務所がそれぞれ入居している。本件建物の7階は,塔屋部分であり,屋上への出入口がある(以下,同階を「本件塔屋階」という。)。本件建物の周囲は,事務所や飲食店などがある建物が混在する商業地域である。(甲2,3の1ないし4,乙6,弁論の全趣旨)(2) 原告による本件建物の使用状況 ア原告は,本 う。)。本件建物の周囲は,事務所や飲食店などがある建物が混在する商業地域である。(甲2,3の1ないし4,乙6,弁論の全趣旨)(2) 原告による本件建物の使用状況 ア原告は,本件建物の5階の居室を賃借し,同所においてA法律事務所(以下「本件法律事務所」という。)を経営する弁護士である(甲2,12,弁論の全趣旨)。 イ原告は,本件建物の5階の通路部分に,別紙3のとおり,本件法律事務所の入口扉を挟んで,収納扉のない木製本棚を2台設置し,合計して300冊を超える書籍を収納している(以下,同木製本棚2台を「本件本棚」といい,収納されている書籍を「本件書籍」といい,これらを併せて「本件本棚等」という。)(乙6,7)。 ウ原告は,本件塔屋階の通路部分に,別紙4のとおり,上下2段重ねのスチール製ロッカーを2台を設置し,内部には可燃物である冊子を収納している(以下,北東側壁沿い及び南東側壁沿いに設置されている上記ロッカーをそれぞれ「北東側ロッカー」,「南東側ロッカー」といい,これらを併せて「本件各ロッカー」というとともに,本件各ロッカーに収納されている冊子を「本件冊子」といい,本件各ロッカーと本件冊子を含めて「本件各ロッカー等」という。)(乙6,7)。なお,原告は,本件塔屋階を使用することについての使用料を支払っている(甲12,弁論の全趣旨)。 (3) 本件処分の内容東京消防庁京橋消防署長(以下「京橋消防署長」という。)は,平成26年1月15日,原告に対して,次のア及びイを内容とする除去命令処分(本件処分)をした(甲1)。 ア命令事項 ( ア) 平成26年2月16日までに,屋内階段5階部分に存置された木製本棚2台及び同本棚に収納された書籍等(本件本棚等)を除去すること。 ( イ) 平成 1)。 ア命令事項 ( ア) 平成26年2月16日までに,屋内階段5階部分に存置された木製本棚2台及び同本棚に収納された書籍等(本件本棚等)を除去すること。 ( イ) 平成26年1月30日までに屋内階段塔屋階部分に存置された南東側壁体沿いのスチール製ロッカー1台(南東側ロッカー)及び同ロ ッカー内に収納された冊子等並びに北東側壁体沿いのスチール製ロッカー(北東側ロッカー)内に収納された冊子等を除去すること。 イ命令(処分)の理由となる事実 ( ア) 屋内階段5階部分に設置された木製本棚2台及び同本棚に収納されている書籍等は可燃物であるため,放火等により火災が発生した際に当該本棚及び書籍等が燃焼し,延焼が拡大する危険が存することから,火災の予防に危険であると認められる。また,当該本棚及び書籍等が燃焼した場合,高熱と大量の煙が発生し屋内階段による避難が困難となることから,当該本棚及び書籍等は避難の支障になると認められる。(消防法第8条の2の4,火災予防条例(以下「条例」という。)第54条第1号) ( イ) 屋内階段塔屋階部分に存置された南東側壁体沿いのスチール製ロッカー1台は,避難経路の幅員を狭めていることから避難の支障になると認められる。当該ロッカー内に収納された冊子等及び北東側壁体沿いのスチール製ロッカー内に収納された冊子等は,可燃物であるため,放火等により火災が発生した際に当該冊子等が燃焼し,延焼が拡大する危険が存することから,火災の予防に危険であると認められる。 また,当該冊子等が燃焼した場合,高熱と大量の煙が発生し屋内階段による避難が困難となることから,当該冊子等は避難の支障になると認められる。(消防法第8条の2の4,条例第54条第1号)(4) 本件処分の公 該冊子等が燃焼した場合,高熱と大量の煙が発生し屋内階段による避難が困難となることから,当該冊子等は避難の支障になると認められる。(消防法第8条の2の4,条例第54条第1号)(4) 本件処分の公示京橋消防署長は,平成26年1月15日,消防法5条の3第5項の規定により準用される同法5条3項及び4項に基づき,本件建物の1階入口壁面に本件処分をした旨の公示標識(本件標識)を貼付した(甲10,乙17の1,2)。 (5) 本件訴えの提起 原告は,平成26年2月13日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 3 争点本件の争点は,①本件処分が消防法5条の3第1項の要件を満たすか否か(争点1),②国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の成否(争点2)である。 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件処分が消防法5条の3第1項の要件を満たすか否か)について(被告の主張の要旨)ア消防法8条の2の4及び条例54条1号違反について消防法8条の2の4は,防火対象物の避難上必要な施設に,避難の支障になる物件を放置し,又はみだりに存置することを禁止し,条例54条1号は,避難施設には,火災の予防又は避難に支障となる物件を置くことを禁止している。 ( ア) 消防法8条の2の4違反について本件建物は,消防法8条の2の4所定の「防火対象物」に該当し(同法施行令4条の2の3,同法施行令別表第1(16)イ),原告は,かかる防火対象物の管理について権原を有する者に該当する。 そして,消防法8条の2の4の「避難上必要な施設」とは,「防火対象物の内部において利用者が利用する可能性がある部分から屋外に出るまでの経路にある防火対象物の施設(階段,廊下,避難口等)」と解されるところ(条例54条1号にいう 避難上必要な施設」とは,「防火対象物の内部において利用者が利用する可能性がある部分から屋外に出るまでの経路にある防火対象物の施設(階段,廊下,避難口等)」と解されるところ(条例54条1号にいう「避難施設」もこれと同義と解される。条例50条の3第6項参照。),本件屋内階段は,1階から屋上までが一体として防火上有効な区画が施され,他の居室から隔てられた1個の「利用者が利用する可能性がある部分から屋外に出るまでの経路に ある防火対象物の施設」であり,消防法8条の2の4の「避難上必要な施設」に該当する。 本件冊子は可燃物であり,これが燃焼すれば熱と煙が発生し,当該ロッカー付近の階段の使用はもとより,閉鎖された階段室に熱と煙が充満することで下階の階段部分の使用も困難となるものであるから,避難の支障になる。 また,本件各ロッカーのうち南東側ロッカーは,その南西側部分が屋上からの避難ないし屋上への避難経路にはみ出て幅員を狭めており,避難の支障となっている。 次に,本件本棚は,いずれも可燃物であり,これが燃焼すれば熱と煙が発生し,当該本棚付近の階段の使用はもとより,閉鎖された階段室に熱と煙が充満することで上階及び下階の階段部分の使用も困難になるから,避難の支障となる。加えて,北東側本棚の存置によって,本件建物5階の階段室の幅員が狭められているから,この点からしても避難の支障となっている。 本件本棚は,原告が事業活動における経済性及び利便性のために存置したものであって,避難上必要な施設の一部を書庫として使用することに何ら正当性を見出すことはできないから「みだりに存置」したものというほかない。 以上のとおり,原告自ら避難施設に当該物件を存置している以上,原告が,避難上必要な施設について,物件がみだりに「存置されないよ を見出すことはできないから「みだりに存置」したものというほかない。 以上のとおり,原告自ら避難施設に当該物件を存置している以上,原告が,避難上必要な施設について,物件がみだりに「存置されないように管理」していないことは明らかであり,原告は消防法8条の2の4に違反する。 ( イ) 条例54条1号違反について上記( ア) のとおり,本件建物は防火対象物に該当し,本件屋内階段は条例54条1号の「避難施設」に該当し,原告は,防火対象物の占 有者であるから同号の「防火対象物の関係者」に該当する(消防法2条4号参照)。 そして,上記( ア) のとおり,本件冊子,及び本件本棚等は可燃物であり,燃焼のおそれがあるから,火災の予防に支障があることに加え,これらが燃焼すれば避難の支障が生ずるものであるし,本件各ロッカーのうち南東側ロッカー及び本件本棚の設置により,階段室の幅員が狭められており,避難の支障となっている。 そして,原告自ら避難施設に当該物件を存置している以上,避難施設を「有効に管理」していないことは明らかであって,原告は条例第54条1号に違反している。 イ本件処分は消防法5条の3第1項の要件を充足すること消防法5条の3第1項は,「消防署長…は,防火対象物において…火災の予防に危険であると認める物件若しくは消火,避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者…に対して,第3条第1項各号に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」と規定している。 本件本棚等や本件各ロッカー等の存置については,上記のとおり,消防法8条の2の4及び条例54条1号に違反するものであるが,以下のとおり,消防法5条の3第1項所定の措置命令(除去命令)の要件も満たす。 ( ア) 消防法5条の3第1項の要件の解釈 とおり,消防法8条の2の4及び条例54条1号に違反するものであるが,以下のとおり,消防法5条の3第1項所定の措置命令(除去命令)の要件も満たす。 ( ア) 消防法5条の3第1項の要件の解釈消防法5条の3第1項にいう「火災の予防に危険」とは,「火災の発生危険がある場合のほか,何らかの原因によって火災が発生した場合において延焼・拡大危険がある場合をいい」,また,「消火,避難その他の消防の活動に支障になる」場合とは,消火,避難等の消防の活動に支障となる場合一般をいい,必ずしも公設消防の活動に支障となる場合に限られないものである。 これらの要件の有無は,必ずしも現実的な火災危険があることを要す るものではなく,火災予防について専門的な知識,経験を有する立場から,過去の火災事例等を参考に,個別的な状況から合理的に判断して具体的な火災危険性があると認められれば足りる。 そして,かかる防火対象物に対する措置命令の要件の判断に当たっては,当該防火対象物の構造,規模,用途,避難経路の状況(避難階段の個数,形状等),消防用設備の設置状況,建物の管理体制,防火対象物内に存置ないし放置された物件の性質,形状,量,存置された位置(居室と避難施設の別,屋内,屋外等の別)等の諸事情を勘案すべきである。 ( イ) 本件へのあてはめ本件処分は,本件本棚及び本件各ロッカーが避難施設に存置されていることによって,以下のとおり,火災発生やその延焼・拡大,消防の活動の支障となる具体的危険性が認められると判断したことから発せられたものである。 a 放火の危険性について本件防火対象物の構造は耐火建築物で,規模は各階1室(約61から66㎡),6階建てであり,その用途は1階,2階に飲食店,3階に画廊,4階から6階に法律事務所が入居する a 放火の危険性について本件防火対象物の構造は耐火建築物で,規模は各階1室(約61から66㎡),6階建てであり,その用途は1階,2階に飲食店,3階に画廊,4階から6階に法律事務所が入居する複合用途の雑居ビルであって,不特定又は多数の者が利用する予定である。 本件建物において地上へ避難する階段は本件屋内階段1系統のみであり,消防用設備として消火器及び自動火災報知装置が設置されているが,スプリンクラー設備等の自動消火装置は設置されていない。また,守衛による身元確認及び所持品検査等の入退場の管理は行われていない。 このように本件建物は,飲食店の利用客のほか,法律事務所の弁護士,事務所員以外の不特定の者が来訪することが当然に考えられ,法律事務所であれば,依頼者等紛争当事者が来訪することも予見でき, 特段の制止や規制もなく,誰でも外部から立ち入ることができる構造であるから,仮に,5階の本件法律事務所内に職員が常駐していたとしても,不審者が本件本棚や本件各ロッカーまで侵入するのを未然に発見して,放火を未然に防ぐことが必ずしもできるとは到底いえない。 b 延焼・拡大の危険性本件本棚等は,可燃物であって,書籍の数は300冊を超えるものであり,本件各ロッカーにも可燃物である相当数の本件冊子が収納されているのであるから,これらが燃焼して熱と煙が充満すれば,αビル火災における場合と同様に,人の死傷を来す危険がある。 また,書籍によってはマッチやライターで容易に発火しないものもあるが,書籍自体は紙であり,可燃物であるし,放火に当たって灯油,ガソリン等の助燃剤が使用された場合にはマッチやライターで容易に発火する。放火の手段として灯油,ガソリン等の助燃剤を使用することは犯罪類型上も顕著にみられる事例であるから,そのような危 たって灯油,ガソリン等の助燃剤が使用された場合にはマッチやライターで容易に発火する。放火の手段として灯油,ガソリン等の助燃剤を使用することは犯罪類型上も顕著にみられる事例であるから,そのような危険性を想定した対応を執るべきなのは当然である。 しかも,本件建物では5階以外の事業所によって本件屋内階段に可燃性の物件が存置されることがあり,このような階段に存置された物件が火災により燃焼した場合,本件本棚及び本件各ロッカー内の冊子等に延焼する危険性があることは明白である。 c 避難,消火その他の消防の活動に支障となる危険性本件本棚等及び本件各ロッカー等が存置された場所は,前記のとおり,5階階段室内の事務所入り口部分と本件塔屋階部分であり,消防法8条の2の4所定の「避難上必要な施設」に該当する部分である。 そして,本件本棚等及び本件各ロッカー等は,階段室の幅員を狭めており,しかも可燃物が収納されているから,これらが燃焼することで避難施設の使用を困難にし,αビル火災における場合と同様に,人 の生命及び身体を害する危険がある。 ( ウ) 以上のとおり,本件本棚等及び本件各ロッカー等の存置により本件防火対象物における火災発生やその延焼・拡大や消防の活動の支障となる危険性は,一般的,抽象的なものに止まらず,具体的危険性の存在を優に認定できる。 ウ違反処理マニュアルに照らしても,本件処分は適正であること( ア) 総務省消防庁は,防火対象物に対する立入検査,その後の違反是正指導について,的確かつ効率的な立入検査を実施するとともに,違反是正の徹底を図るための参考資料として,「立入検査標準マニュアル・違反処理標準マニュアル」(乙25。以下「本件マニュアル」という。)を作成し,各都道府県を通じて全国の消防機関に示した。 もに,違反是正の徹底を図るための参考資料として,「立入検査標準マニュアル・違反処理標準マニュアル」(乙25。以下「本件マニュアル」という。)を作成し,各都道府県を通じて全国の消防機関に示した。 本件マニュアルには,違反者等に対する警告,命令,認定の取消しへの移行基準及び履行期限の判断を具体的事例を挙げて示した基準として違反処理基準(以下「本件違反処理基準」という。)が規定されている。 本件違反処理基準は,「危険物又は放置され,若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件」に対し,消防法5条の3第1項に基づく物件の除去その他の処理の命令を発する事例として,次の例を挙げている。 「【事例】(物件の除去)○階段室,廊下,通路等避難施設内を倉庫又はクローゼット代わりに使用し,下記の物件のいずれかが存置されているもの・ガソリン,シンナー,火薬類等の危険物品・大量の化繊の衣装・ボンベが装填された状態での大量の携帯コンロ又は大量の ボンベ本体・古新聞,ダンボール,ビールケース等の大量の可燃物 」( イ) そして,階段室,廊下,通路等の避難施設について,建築基準法施行令は,延焼の防止及び避難の安全性を確保するため他の部分と防火区画すべき旨を定め(同施行令112条9項),移動時の安全性を確保するため階段の寸法について規定し(同施行令23条),火煙の侵入又は火災の発生,延焼の防止及び避難の安全性を確保するため避難階段の構造を規制している(同施行令123条1項1号)。これらの規定は,法が,避難施設につき居室等の便宜のための使用に供することを認めないことを明らかにするものであるが,それにもかかわらず,従来から階段室等の避難施設を本来階段室とは防火区画された室内に設けるべき は,法が,避難施設につき居室等の便宜のための使用に供することを認めないことを明らかにするものであるが,それにもかかわらず,従来から階段室等の避難施設を本来階段室とは防火区画された室内に設けるべき倉庫やクローゼット代わりに使用する例が頻繁に見られたことから,上記のような例を取り挙げたものである。 また,「ガソリン,シンナー,火薬類等の危険物品」,「古新聞,ダンボール,ビールケース等の大量の可燃物」が例示されているのは,それらが失火ないし放火によって出火した場合は,大量の熱と煙を発生する危険性が極めて高いと考えられることから,これらの物件を除去命令の対象となる物件として例示したものである。 ( ウ) 本件では,本件本棚を屋内階段の5階部分に,本件各ロッカーを塔屋階に置くことにより,階段室,廊下等の避難施設をいわば倉庫代わりにしている点で,上記処理基準が挙げる例と状況は同じである。 そして,前記のとおり,5階階段部分の本件本棚自体が木製の可燃物であり,そこには300冊を超える量の本件書籍が収納されており,塔屋階の本件各ロッカー内には本件冊子という大量の可燃物が収用されている。本件違反処理基準は,違反処理すべき代表的な事例を示すものであり,本件で存置された本件本棚等や本件冊子が失火ないし放 火によって出火した場合は,大量の熱と煙を発生する危険性が極めて高いことは,上記違反処理基準が例として挙げる事例と同様である。 したがって,本件違反処理基準に照らしても,本件処分は適正,妥当なものである。 エ原告の主張について原告が指摘するB会館地下の書籍売り場の廊下等については,その設置物について延焼・拡大や消防活動に対する支障についての消防法5条の3の命令をもって措置すべき具体的危険性があるとまでは認定できないから,除去 摘するB会館地下の書籍売り場の廊下等については,その設置物について延焼・拡大や消防活動に対する支障についての消防法5条の3の命令をもって措置すべき具体的危険性があるとまでは認定できないから,除去命令の対象とはならない。 また,本件処分は建物自体の取壊しや使用禁止等を命じるものではなく,単に命令の対象物件を階段室から除去し,別の場所(火災予防上の危険及び消防活動上の支障のない場所)に移動すれば足りる内容のものであるから,原告が前提とする重大な制限に当たるものではなく,何ら警察比例の原則に反するものではない。 (原告の主張の要旨)ア本件処分が違法であること本件建物は,複合用途の雑居ビルではあるが,各階の床面積はいずれも60㎡台と小規模であり,収納人数も限られ,とりわけ4階より上は法律事務所となっているため,不特定多数の人の出入りは頻繁ではないし,管理の目も届きやすい構造であり,火災が起きた際にも,火災報知器の作動により早期に発見され易いといえる。 このような本件建物の状況において,原告が本件建物に設置している本件本棚及び本件各ロッカーは,以下のとおり,いずれも火災の予防に関する具体的危険性はなく,かつ避難の支障となる具体的危険性も存在しないことが明らかであり,本件処分はその根拠を欠く違法な処分である。 イ本件本棚について ( ア) 放火の危険性がないこと消防庁防災情報室によれば,平成24年に発生した建物放火の件数は全国で3789件であり,このうち本件建物のような複合用途の建物に対する放火はわずか461件である。全国に存する複合用途建物の建物数からすれば,本件建物内に存する本件本棚が放火される確率は天文学的に低い。 また,本件本棚は,ビル内部の5階の本件法律事務所出入口正面とエレベーター 1件である。全国に存する複合用途建物の建物数からすれば,本件建物内に存する本件本棚が放火される確率は天文学的に低い。 また,本件本棚は,ビル内部の5階の本件法律事務所出入口正面とエレベーター出入口正面という基本的に原告の事務所関係者以外立ち寄ることが考えられない場所に設置されている。しかも,本件法律事務所に勤務する者は常勤者が5名であり,平日と土曜日は事務所内に常駐しており,監視の目が行き届いており,何者かが本件建物の5階で放火に及んだ場合,ほぼ間違いなく,事務所の職員が気付くはずである。また,本件建物は,深夜と日曜日に,シャッターを閉じて施錠しており,不審者は本件建物に侵入することができない。このような状況からすれば,本件本棚に対する放火の危険性は到底具体的なものとはいえない。 ( イ) 延焼の危険がないこと本件建物の5階階段室は,上下へつながる階段と,床,壁,天井,スチール製扉,エレベーターに囲まれているが,周囲に可燃物はなく,延焼の原因となりうるものはないし,階段前本棚の直ぐ横には消火器も設置されている。そのため具体的な「延焼の危険」を想定しにくい。 本件建物の各室と階段室とはスチール製の扉で区切られているし,本件建物は鉄骨造りであり,その壁,床から延焼する可能性はなく,他の階段室での発火が,相当距離にわたる各階階段室をまたいで他の階に延焼するとは考えにくい。 ( ウ) 避難の支障がないこと本件本棚は,5階階段室の階段前壁面及びエレベーター前壁面にボル トで固定されており,倒れる危険はないし,本件本棚の奥行はわずか19㎝であり,本件本棚を設置してもなお,避難経路となる階段前の通路幅は99㎝存するから(甲3の3,14の12),本件建物や5階居室の規模,設置扉の位置,形状から考慮しても十分な 本棚の奥行はわずか19㎝であり,本件本棚を設置してもなお,避難経路となる階段前の通路幅は99㎝存するから(甲3の3,14の12),本件建物や5階居室の規模,設置扉の位置,形状から考慮しても十分な避難経路が確保されているといえ,避難の支障になるとはいえない。本件建物で火災が発生した場合,避難人員は地上の道路に避難するのが通常であるから,現実的に避難に支障があり得るのは6階に所在する法律事務所の職員3名のみであり,迅速な避難が容易であるし,避難の際にエレベーターを使用することなどあり得ないから,本件本棚のうちエレベーター前の1台については,避難経路から外れており避難の支障にはならない。 また,上記( ア) のとおり,本件本棚には放火,延焼の具体的危険性がないのであるから,本件処分の理由にあるような「当該本棚及び書籍等が燃焼した場合,高熱と大量の煙が発生し屋内階段による避難が困難となることから,当該本棚及び書籍等は避難の支障になる」具体的危険があるとは到底いえない。 さらに,本件本棚の直ぐ側に消火器が設置されていること,本件本棚内の本件書籍は瞬時に燃え上がるような物ではなく,厚紙に入ったハードカバーのものがほとんどであるため材質として難燃性に近いといえること,本件本棚内の書籍は少数であることからすると,仮に,本件本棚が燃焼する事態があったとしても,即時に消火することが可能であって,高熱と大量の煙が発生することはない。 ( エ) 小括以上からすると,本件本棚が消防の活動に支障になることはない。 ウ本件各ロッカーについて( ア) 放火の危険性がないこと一般論として本件建物内の本件各ロッカーへの放火の可能性がおよそ 考慮に値しない事象であることは前述のとおりである。本件各ロッカーはスチール製であり ア) 放火の危険性がないこと一般論として本件建物内の本件各ロッカーへの放火の可能性がおよそ 考慮に値しない事象であることは前述のとおりである。本件各ロッカーはスチール製であり,そもそも不燃性のものである。したがって,内部の本件冊子についても直接火をつけない限りは,炎が上がることは有り得ない。そして,本件各ロッカーは常時施錠されており,ドアのガラス部分を破壊するなどしない限り,内部の冊子に直接火をつけることは不可能である。したがって,放火の危険は皆無である。 ( イ) 延焼の危険がないこと本件建物は鉄筋コンクリート造りであり,本件各ロッカーの周囲に可燃性の物品はなく,かつ本件各ロッカー自体スチール製であり,可燃性がないため,5階に設置された本件本棚以上に具体的な「延焼の危険」を想定しにくい。 ( ウ) 避難の支障がないこと本件処分は,本件各ロッカーのうち南東側ロッカーが避難経路の幅員を狭めているとするが,南東側ロッカーは,階段の手すり側から屋上の扉を結んだ直線経路を逸れており,避難経路上にはなく,本件塔屋階の廊下は,横幅396㎝,奥行110㎝であるのに対し,本件各ロッカーの奥行は40㎝で,壁に沿って設置されており,通行に十分なスペースが確保されているから,南東側ロッカーが避難経路の幅員を狭めていることはあり得ない。 また,本件建物内に存在する人数は多くても30名程度であり,迅速な避難が可能であるし,仮に本件冊子が放火等されたとしても,同所より上層階の者はおらず,そもそも避難とは無関係な位置にある。 ( エ) 本件各ロッカーの設置の必要性等本件各ロッカーは,原告が本件建物のオーナーに設置場所の使用料を支払った上で本件塔屋階の廊下に設置したものであり,本件各ロッカー内には,既に終了した事 ( エ) 本件各ロッカーの設置の必要性等本件各ロッカーは,原告が本件建物のオーナーに設置場所の使用料を支払った上で本件塔屋階の廊下に設置したものであり,本件各ロッカー内には,既に終了した事件ファイル(本件冊子)が保存されており,弁 護士の職務上これらを長期間保存する必要がある。 ( オ) 小括以上のとおりであるから,本件各ロッカー等によって避難に支障があるということにはならない。 エ消防法8条の2の4違反について本件処分の処分理由には,消防法8条の2の4違反が挙げられているところ,同条は「避難の支障になる物件」を「放置」すること,「みだりに存置」することを禁じているものの,およそ物の存置全てを封じることによって物件所有者の財産権や管理権を過度に制約しないよう限定的な文言を用いており,避難の支障にならない態様により,整理,管理された物の存置は明らかに対象外とされている。 そして,本件本棚,本件各ロッカーは,いずれも所有者による管理の意思が外観にも表れた物件となっており,その形状は「放置」「みだりに存置」しているものではない。 したがって,原告は,消防法8条の2の4違反とはならない。 オ他のビル等と比較しても本件処分は不当であること本件建物の近隣に所在する雑居ビル,B会館地下,JR新橋駅に接続する地下街や都営浅草線東銀座駅の改札前には,原告が設置しているよりもはるかに大量の資材等が設置ないし放置されていたり,放火や延焼の危険を有する物が数多く設置されており,本件建物の状況と比べて,火災の予防に対する危険,避難に対する支障がはるかに大きいことは明らかである。 本件処分は,他のビル等に設置されている危険性の高い設置物が行政処分を受けずに放置されていることと比較しても明らかに不当 の予防に対する危険,避難に対する支障がはるかに大きいことは明らかである。 本件処分は,他のビル等に設置されている危険性の高い設置物が行政処分を受けずに放置されていることと比較しても明らかに不当な処分である。 カ違反処理マニュアル等の運用基準や他の事例との均衡を欠くこと法の運用に関しては,消防庁防火安全室作成による本件マニュアルに掲 載された例示事例や,過去の処分事例を参照しつつ,過度な規制とならないよう均衡が図られるべきである。本件違反処理基準によれば,除去命令を要する事例として次のものが挙げられている。 「小規模雑居ビルで,次のアからウのいずれかに該当するものア階段内にビニール,プラスティック系の可燃物が大量にあり,上階の防火戸が撤去され,かつ,避難器具が設置されていないものイ火気使用場所の存する階の防火戸が撤去され,かつ,当該階より上階で複数の無窓階の防火戸が撤去されているものウ利用者がエレベーターのみで移動する建物で,階段が重量物で塞がれ,かつ,避難器具等が設置されていないもの」(67頁)「階段室,廊下,通路等避難施設等を倉庫又はクローゼット代わりに使用し,下記物件のいずれかが存置されているもの・ガソリン,シンナー,火薬類等の危険物品・大量な化繊の衣装・ボンベが装填された態様で大量の携帯コンロ又は大量のボンベ本体・古新聞,段ボール,ビールケース等の大量の可燃物」上記事例は,即時処分の事例として挙げられている点を割り引いても,本件に比してかなり危険性の高い事例であるといえる。また,ここでは可燃物の性質や,建物・防火設備の状況など,様々な事情を,詳細に,総合的に考慮して,具体的危険性の有無を検討するとの方向性が明らかに表れているが,本件処分に関してはそのような いえる。また,ここでは可燃物の性質や,建物・防火設備の状況など,様々な事情を,詳細に,総合的に考慮して,具体的危険性の有無を検討するとの方向性が明らかに表れているが,本件処分に関してはそのような検討が十分にされていたとはいい難い。 また,本件違反処理基準により障害物の除去が命じられる事例に関しては,「物件が存置されていることにより,一人でさえ通行することが困難なもの」(69頁)との例示があるところ,本件処分は,現地の状況を総合的に考慮することなく,単に19㎝,あるいは30㎝通路を狭めたとい う点のみから行われたものであり,重きに失する。 以上のような運用基準を受けて,他庁が行った処分例(甲25)を参照すると,それらは階段室や廊下に,無造作に,大量の物品を,一見して明らかに「放置」しているとの事例となっており,本件とは状況がかけ離れている。 (2) 争点2(国家賠償請求の成否)について(原告の主張の要旨)本件処分は,その根拠を欠き違法なものであるが,原告は,本件建物1階の表札横に本件処分の命令書(甲10)が公示された結果,本件法律事務所に来訪する依頼者等に法令違反を犯しているとの印象を持たれ,自己の業務上の信用を毀損された。弁護士は,社会正義を実現する使命に基づき,法令の遵守は率先すべき立場にある。それが本件法律事務所を訪ねてくる者によく見えるように,不法な命令書を掲示するのであるから,依頼者との間に築かれていた信頼関係が著しく毀損された。当該信用毀損により被った原告の損害は,金銭に換算して200万円を下らない。よって,原告は,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づく200万円の損害賠償請求権を有する。 (被告の主張の要旨)京橋消防署長が本件処分を行ったことはそもそも違法ではない。本件建物の1 ない。よって,原告は,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づく200万円の損害賠償請求権を有する。 (被告の主張の要旨)京橋消防署長が本件処分を行ったことはそもそも違法ではない。本件建物の1階出入り口に本件処分の標識を設置したのは,法の規定(消防法5条の3第5項の規定により準用される同法5条3項)により消防署長に義務付けられている標識の設置を当該規定に従って行ったに過ぎないものであって,標識を設置したことについて何ら違法はないから,原告の国家賠償法に基づく損害賠償請求は理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件処分が消防法5条の3第1項の要件を満たすか否か)について(1) 消防法5条の3第1項に基づく措置命令の要件等について ア消防法は,火災を予防し,警戒し及び鎮圧し,国民の生命,身体及び財産を火災から保護するとともに,火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか,災害等による傷病者の運搬を適正に行い,もって安寧秩序を保持し,社会公共の福祉の増進に資することを目的としている(1条)。 そして,同法は,上記の目的を達成するため,消防長又は消防署長が,防火対象物の位置,構造,設備又は管理状況について,火災の予防上必要があると認める場合には,当該防火対象物の改修,移転,除去,工事の停止又は中止その他の必要な措置をなすべきことを命ずることができる旨の規定(5条)を置き,さらに,当該措置が履行されなかった場合など一定の要件を満たす場合には,当該防火対象物の使用の禁止,停止又は制限を命ずることができる旨の規定(5条の2)を置くほか,消防長,消防署長又はその他の消防吏員が,防火対象物において「火災の予防に危険である」と認める物件,「消火,避難その他の消防の活動に支障になる」と認める物件の所有者等に対し, 5条の2)を置くほか,消防長,消防署長又はその他の消防吏員が,防火対象物において「火災の予防に危険である」と認める物件,「消火,避難その他の消防の活動に支障になる」と認める物件の所有者等に対し,当該物件の火災予防上の危険等を理由として,当該物件の除去その他の処理等を命ずることができる旨の規定(5条の3)を置き,これらの命令に従わない者に対しては刑罰を科すことができることとしている(39条の3の2,39条の2の2,41条1項1号)。上記の各規定は,建築物等の工作物を中心とする防火対象物については,国民の生命,身体及び財産を火災から保護するという社会公共の利益の観点から万全を期すこととし,一部国民の財産上の権利を侵害することがあってもやむを得ないものとして,必要な措置をなすことを命ずることができるとしたものと解される。 イこのうち,同法5条の3の規定は,平成13年9月に発生した新宿区αのビル火災を契機として,防火対象物の防火査察を直接担当する消防吏員が迅速機宜に命令を発する必要性が認識されたことなどから,平成14年法律第30号による改正により新設されたものであり,防火対象物におい て「火災の予防に危険である」と認める物件や「消火,避難その他の消防の活動に支障になる」と認める物件の所有者等に対し,当該物件の火災予防上の危険等を理由として,火災の予防又は消防活動の障害除去のために必要な措置命令をすることができる旨規定し,同項に基づく措置命令に従わない者に対しては,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処し又はこれを併科することとしている(消防法41条1項1号,2項)。 以上のような消防法の目的,同法における防火対象物の位置付け,同法5条の3第1項の趣旨,制定経緯等を踏まえると,同項にいう「火災の予防に危険で としている(消防法41条1項1号,2項)。 以上のような消防法の目的,同法における防火対象物の位置付け,同法5条の3第1項の趣旨,制定経緯等を踏まえると,同項にいう「火災の予防に危険であると認める物件」とは,火災発生の危険があると認められる物件のほか,何らかの原因によって火災が発生した場合において延焼・拡大危険があると認められる物件をいい,「消火,避難その他の消防の活動に支障になると認める物件」とは,消火,避難等の消防活動の支障となると認められる物件一般をいうものと解され,これらの物件に該当するか否かは,同法5条の3第1項の措置命令がその措置の履行を罰則をもって強制をする性質のものであることをも踏まえれば,上記の火災予防上の危険性や消防活動上の支障が一般的・抽象的に認められるだけでは足りず,①当該物件の性状及びその設置状況(形状,性質,可燃物の量,設置場所の状況等),②当該防火対象物の状況(構造,規模,用途,避難経路の状況,消防用設備の設置状況等),③当該防火対象物の防火上の管理の状況などの諸事情を勘案した上で,当該物件が存在することにより,当該防火対象物内において,火災の発生ないし延焼・拡大に至る危険が具体的に認められるか,または,避難,消火などの消防活動上の支障が具体的に認められることが必要であるが,火災の発生等に至る現実的な危険があることや,避難,消火などの消防活動上の支障が著しいことまでは必要ではないと解するのが相当である。 ウ他方,消防法は,防火管理者についての規定(8条)を置き,防火対象 物の管理について権原を有する者に対し,防火管理者を選任させた上,防火対象物の火災予防等について,国民の生命,身体及び財産を火災から保護し,被害を軽減するための義務を課すこととしているところ,さらに,同法 について権原を有する者に対し,防火管理者を選任させた上,防火対象物の火災予防等について,国民の生命,身体及び財産を火災から保護し,被害を軽減するための義務を課すこととしているところ,さらに,同法8条の2の4は,防火対象物の管理について権原を有する者に対し,「避難上必要な施設」について「避難の支障になる物件」を放置し,又はみだりに存置することを禁止している。また,条例54条1項は,防火対象物の関係者に対し,「避難施設」につき「火災の予防又は避難に支障となる施設を設け,又は物件を置かない」ように管理すべきことを定めている。このうち,消防法8条の2の4は,従来,多くの市町村で火災予防条例において同様の定めが置かれていたものの,近年の火災事例等から,防火対象物等の管理が適切にされていない場合には火災による被害が甚大なものとなることが明らかとなったことを踏まえ,平成14年法律第30号による改正により,避難施設等の管理の基準を明らかにする趣旨で消防法に規定されたものである。 上記の各規定は,防火対象物における「避難上必要な施設」又は「避難施設」についても当然に適用となるものであり,上記の各規定が定める義務の違反は,消防法5条の3第1項による措置命令を発する前提となるものということができるが,上記のとおり,消防法5条の3第1項の措置命令が罰則をもって強制する性質のものであるのに対し,消防法8条の2の4や条例54条1項に基づく避難施設の管理義務違反そのものには罰則は設けられていないことを考慮すると,消防法8条の2の4や条例54条1項所定の避難施設の管理義務違反に当たる行為があれば直ちに措置命令の発令要件を満たすとまではいうことができず,上記イで挙げた諸事情に照らして,火災の発生ないし延焼・拡大に至る危険や,避難,消火などの消防活動上の支障が 理義務違反に当たる行為があれば直ちに措置命令の発令要件を満たすとまではいうことができず,上記イで挙げた諸事情に照らして,火災の発生ないし延焼・拡大に至る危険や,避難,消火などの消防活動上の支障が,一般的・抽象的に認められるのみならず具体的にも認められると判断されるときに,消防法5条の3第1項所定の防火対象物に おける消火,避難その他の消防活動上支障になる状態にあるとして,措置命令の対象となるものと解するのが相当である。 (2) 認定事実前記前提事実,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア本件本棚等及び本件各ロッカー等の性状及び設置状況について( ア) 本件本棚等本件建物の5階の通路には,別紙3のとおり,本件法律事務所の入口防火戸を挟んで,その北東側と南西側に1台ずつ,いずれも収納扉のない木製の本棚(本件本棚。北東側本棚は幅84㎝,奥行19.3㎝,高さ228㎝,南西側本棚は幅90㎝,奥行19㎝,高さ226㎝)が1台ずつ設置されており,いずれもボルトで壁に固定されている。本件本棚はいずれもほぼ天井までの高さがあり,北東側本棚には218冊,南西側本棚には94冊の書籍が収納されている。 上記通路は,幅が396㎝,奥行が最大約140㎝(階段から南東側壁までの距離)の廊下状のものである。北東側の本棚は,階段の正面に設置されており,階段前の奥行が約140㎝であるのに対し,上記本棚の奥行は19.3㎝であるから,階段前の廊下には約121㎝の空間が残されている。南西側の本棚は,エレベーターの正面に設置されており,エレベーター前の廊下の奥行きが106㎝であるのに対し,上記本棚の奥行きは19㎝であるから,エレベーター前の廊下には87㎝の空間が残されている。(前記前提事実(2) イ ターの正面に設置されており,エレベーター前の廊下の奥行きが106㎝であるのに対し,上記本棚の奥行きは19㎝であるから,エレベーター前の廊下には87㎝の空間が残されている。(前記前提事実(2) イ,甲14の1から4まで,乙6,7)( イ) 本件各ロッカー等本件塔屋階は,幅396㎝,奥行最大135㎝(階段から南東側壁までの距離)の廊下状のものであり,南西側に屋上への出入り口扉がある。 本件塔屋階には,別紙4のとおり,南東側壁沿いと北東側壁沿いに1台ずつスチール製ロッカー(本件各ロッカー。いずれも幅88㎝,奥行40㎝,高さ88㎝のロッカーを上下2段重ねにしたもの。)が設置されている。 本件各ロッカーは,いずれも,上段にはガラス付の引き戸があり,下段にはスチール製の引き戸があるが,これらの引き戸は常時施錠されている。本件各ロッカーの内部には可燃物である本件冊子が複数収納されている。 本件建物6階から本件塔屋階へ通じる階段の幅は96㎝であり,階段を上った正面に南東側ロッカーの一部がせり出しているものの,本件塔屋階の階段前の廊下の奥行は135㎝であるのに対し,上記ロッカーの奥行は40㎝であるため,階段前の廊下には奥行95㎝の空間が残されている。また,南東側ロッカーの一部が階段前にせり出している幅は約30㎝である(なお,本件処分後,南東側ロッカーが動かされ,現在せり出している幅は約8㎝になっている。)。(前記前提事実(2) ウ,甲5の1から3まで,乙7,弁論の全趣旨)( ウ) 本件本棚等及び本件各ロッカー等は,いずれも,本件建物の「避難上必要な施設」又は「避難施設」に該当する部分に設置されている。 イ本件建物の状況等( ア) 本件建物の構造,規模,用途本件建物の構造,規模,用途等は,前記前提事 れも,本件建物の「避難上必要な施設」又は「避難施設」に該当する部分に設置されている。 イ本件建物の状況等( ア) 本件建物の構造,規模,用途本件建物の構造,規模,用途等は,前記前提事実(1) 記載のとおりである。本件建物の1階及び2階は飲食店であり,不特定多数の者が出入りすることが想定され,また,4階ないし6階は法律事務所であり,各法律事務所の弁護士や事務員に加え,依頼者や事件関係者等の不特定の者が出入りすることが想定される状況にある。 ( イ) 避難経路の状況,消防用設備の設置状況等 本件建物の2階以上の居室から,地上又は屋上へ避難する階段は,本件屋内階段のみである。本件建物には,スプリンクラー等の自動消火設備は設置されていないが,各階の階段室内に消火器と自動火災報知装置が設置されている。(甲2,3の1,乙6,7,16,弁論の全趣旨)本件建物の出入口では,守衛等による訪問者の身元確認や所持品検査などの入退場の管理は行われていない。本件建物の6階階段室の天井部分には,同階段室の北東から南西方向に向けて撮影可能な監視カメラが設置されているが,本件建物の5階や塔屋部分には,監視カメラ等は設置されていない。また,本件法律事務所内部から5階通路を見通すことができる窓やガラスは設置されていない。(乙6,乙16の添付写真1枚目)ウ本件建物の防火上の管理状況( ア) 立入検査等 a 京橋消防署長は,平成23年度立入検査計画を樹立し,本件建物については,同年11月7日,建物全体の立入検査を実施した。上記立入検査の当時,本件建物の4階階段踊り場に物件が存置されていたほか,本件塔屋階に,段ボール箱14箱,額23枚,ビニール袋3袋,緩衝材ロール4本,空気入れ2個,混合油1リットル缶 査を実施した。上記立入検査の当時,本件建物の4階階段踊り場に物件が存置されていたほか,本件塔屋階に,段ボール箱14箱,額23枚,ビニール袋3袋,緩衝材ロール4本,空気入れ2個,混合油1リットル缶1缶,紙袋5袋,段ボール3枚,メジャー1個,蛍光灯4本,バッグ2個,本件各ロッカー及び本件冊子が存置され,5階の通路には,本件本棚等が存置されていた。そこで,京橋消防署長は,4階の入居者及び原告に対して,条例53条の2及び54条等に違反している旨をそれぞれ指摘し,同年12月12日,立入検査結果を通知した(乙4,10,弁論の全趣旨)。 原告は,同年12月20日付けで,上記の違反指摘事項の改修(計画)報告書を提出したが,直ちに違反指摘事項を是正しなかっ た(乙11,弁論の全趣旨)。 b 京橋消防署長は,平成24年度立入検査計画を策定し,本件建物については,同年5月22日に建物全体の立入検査を実施したところ,本件建物の1階階段室に段ボール箱,発砲スチロール箱等の物件が,3階屋内階段に広告ラック,コルク掲示板,木製台等の物件が存置され,本件塔屋階及び5階の各通路の状況は上記aと同様であったため,これらの物件を存置した飲食店経営者,画廊経営者及び原告に対して,条例53条の2及び同54条等に違反している旨指摘し,同年6月5日,立入検査結果を通知した。(乙5の1,2,12)c 京橋消防署員は,平成24年7月24日,本件建物の確認査察を実施したところ,原告は,直ちに違反指摘事項を是正せず,本件塔屋階及び5階の通路には,依然として上記aと同様に各物件が存置されたままの状態であった。(弁論の全趣旨)( イ) 警告等a 京橋消防署長は,平成24年8月21日,原告が本件塔屋階及び5階の通路に存置された物件 は,依然として上記aと同様に各物件が存置されたままの状態であった。(弁論の全趣旨)( イ) 警告等a 京橋消防署長は,平成24年8月21日,原告が本件塔屋階及び5階の通路に存置された物件を除去しないことから,同日付け警告書により,次のとおり警告した。なお,次の(a) 及び(b) の他に,原告に対しては,防火管理者の選任,消防計画の変更の作成・届出,消火訓練及び避難訓練の実施についても警告がされている。(乙13)(a) 平成24年8月27日までに,火災の予防に危険及び消防の活動に支障となる屋上出入口前部分に存置されたダンボール等を除去すること(消防法8条の2の4,条例54条1号)(b) 平成24年8月27日までに,火災の予防に危険及び消防の活動に支障となる屋内階段5階部分に取り付けられた木製本棚を除 去すること(条例54条1号)b 原告は,平成24年9月6日,上記aの警告に対し,警告の対象とされた物件は火災の予防に危険ではない旨等を内容とする意見書を提出した(乙14)。 ( ウ) 実況見分及び弁明の機会の付与等a 京橋消防署員は,平成25年7月8日,本件建物の確認査察を実施したが,上記( ア) aの各物件は存置されたままであった。 京橋消防署員は,同年8月6日,本件建物の違反状況について実況見分を実施し,さらに,同月29日にも現況を確認したところ,本件塔屋階及び5階の通路の物件は存置されたままであった。(乙6)b 京橋消防署長は,平成25年9月4日,行政手続法13条に基づき,原告に対して弁明の機会を付与した。 これに対し,原告は,同月18日,京橋消防署長に対して弁明書を提出したところ,同弁明書には,本件塔屋階の物件の大半は撤去済みであり,残存している本件各ロッカーと本件冊子は,火災の予 を付与した。 これに対し,原告は,同月18日,京橋消防署長に対して弁明書を提出したところ,同弁明書には,本件塔屋階の物件の大半は撤去済みであり,残存している本件各ロッカーと本件冊子は,火災の予防に危険でなく,避難の支障にもならない旨弁明が記載されていた。 (乙15,16)c 京橋消防署員は,平成25年9月24日,本件建物の現況を確認するための確認査察を実施し,本件塔屋階及び5階の通路の状況について,実況見分を実施した(乙7)。 d 京橋消防署員は,平成26年1月上旬,本件建物の現況を複数回確認したところ,上記( ア) aの各物件のうち,本件塔屋階の本件各ロッカー等及び5階通路の本件本棚等は同所に存置されたままであったが,他の物件は撤去されていた。 ( エ) 本件建物の入居者に対する除去命令a 京橋消防署長は,平成26年1月15日,原告に対して,本件処 分をした(前記前提事実(3) )。 b 京橋消防署消防司令補は,平成26年1月15日,本件建物の2階及び3階の入居者に対して,本件屋内階段の2階と3階に存置されている物件について,火災の予防に危険及び避難の支障になると認めたことから,2階については同日15時20分までに,3階については同日14時00分までに除去することを命令したところ,同日14時30分までに上記各物件はいずれも除去された(乙3の1,2)。 (3) 検討ア本件本棚等について( ア) 火災予防の危険性についてa (2)ア,イ( ア) 及び( イ) の認定事実によれば,本件建物は,複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。消防法8条1項参照。)であるいわゆる雑居ビルであり,4階ないし6階は法律事務所であり,依頼者や事件関係者等の不特定の者 合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。消防法8条1項参照。)であるいわゆる雑居ビルであり,4階ないし6階は法律事務所であり,依頼者や事件関係者等の不特定の者が出入りすることが想定される状況にあるが,守衛による入退場の管理は行われておらず,本件法律事務所の出入口の扉及び壁面には5階通路を見通すことができるような窓やガラスも設置されていないから,本件建物の5階通路の状況は,同所に訪れた者を常時監視できる状況にはなく,入居者及びその関係者によって本件建物に侵入した者の動向を察知することが容易なものとはいい難い状態にあることが認められる。また,本件本棚等は,上記の管理状況にある本件建物の5階通路に設置された,天井付近にまで到達する高さの可燃物である木製の本棚に,合計312冊という大量の可燃物である書籍が,扉もなくすぐ手が届く状態で収納されている状況にあるから,放火を誘発しやすい状況にあるといえる。 そして,証拠(乙18,20)によれば,東京消防庁管内における平成24年度の火災の主な出火原因で最も多いのは「放火(疑いを含む)」であり,その数は1507件であること,放火される場所では,建物関係で573件発生し,このうち最も多い場所は,廊下,玄関ホール,階段などの共用部分で299件発生していること,上記放火の際の着火物としては,本,雑誌,ダンボール等の「紙・紙製品」が452件であるとされていること,全国的にも,新宿αビル火災を含めて本件建物のような小規模な雑居ビルの階段室内で出火した例は少なくなく,しかも,その中には放火の疑いがある事例(東京都Cビル,静岡県Dビル火災)も存在していることが認められる。 このように,本件建物が不特定の第三者による侵入が可能な構造にある小規模な雑居ビルで く,しかも,その中には放火の疑いがある事例(東京都Cビル,静岡県Dビル火災)も存在していることが認められる。 このように,本件建物が不特定の第三者による侵入が可能な構造にある小規模な雑居ビルであり,共用部分である通路に大量の可燃物である本件本棚等が存置されていることからすると,本件本棚等については,放火等による火災発生の可能性が具体的に認められ,「火災の予防に危険である」物件に当たるというべきである。 b 原告は,①本件本棚等は難燃性に近く,本件違反処理基準に掲げられている「古新聞,ダンボール,ビールケース等の大量の可燃物」とは異なる,②本件建物が施錠されていない月曜日から土曜日までは,本件法律事務所には弁護士や事務員が常駐しており,5階階段室部分に火災発生等の異常があった場合には直ちに気付き,消火活動が可能な状況にあること等からすれば,本件本棚等について放火による火災発生の可能性などない旨主張する。 しかしながら,上記①については,本件本棚等の材質は,上記のとおり可燃物の木製ないし紙製であり,それ自体着火して燃焼する可能性が十分に認められるし,一般的に放火の犯行手段として灯油 やガソリン等の助燃剤が使用されることも少なからず存在することから,仮に本件本棚等が段ボールや古新聞と比較してライター等による簡易な着火方法では多少時間がかかり得るとしても,本件違反処理基準が掲げる「大量の可燃物」と比較して,火災の延焼・拡大の危険性が格別に低い材質であるとまでは認められない。 また,上記②については,上記aのとおり,本件建物の5階通路には,不特定の者が出入りすることが想定されるものの,同所に訪れた者を本件法律事務所の内部から常時監視できない状況において,本件本棚等という大量の可燃物がすぐ手が届く状態で収納されている状 階通路には,不特定の者が出入りすることが想定されるものの,同所に訪れた者を本件法律事務所の内部から常時監視できない状況において,本件本棚等という大量の可燃物がすぐ手が届く状態で収納されている状況にあることからすれば,本件事務所内に人が常駐していることをもって,放火による火災発生の可能性が低いということはできない。 したがって,原告の上記主張は採用できない。 ( イ) 避難の支障についてa 上記前提事実(1) ,上記(2) ア,イの認定事実によれば,①本件建物は,鉄骨造陸屋根7階建てで,飲食店,画廊,法律事務所が入居する複合用途防火対象物であること,②本件建物の唯一の避難経路は幅96㎝の屋内階段であるが,5階の通路部分の広さは横幅が396㎝,奥行が87ないし121㎝と比較的狭い状態であること,③本件建物にはスプリンクラー等の自動消火設備は設置されておらず,各階の階段室内に消化器と自動火災報知装置が設置されていること,④守衛による入退場の管理は行われておらず,不特定者の来訪が想定される状況にあるものの,5階の通路部分は居室内から常時監視することが容易な状況にはないこと,⑤本件本棚等は天井付近にまで到達する高さの可燃物である木製の本棚及びこれに収納された合計312冊という大量の可燃物であることが認められる。 このような本件建物の構造,規模,用途,避難経路の状況,消防用設備の設置状況,建物の管理体制,存置された物件の性質等を勘案すると,放火により本件本棚等に火災が発生した場合,本件本棚等が燃焼し,比較的狭い5階の通路部分のほか,それよりも上方階の階段室に熱と煙が充満することにより,本件建物の唯一の避難経路である屋内階段の通行が困難となるということができるから,避難の支障が具体的にあると認められ,「消火,避難 部分のほか,それよりも上方階の階段室に熱と煙が充満することにより,本件建物の唯一の避難経路である屋内階段の通行が困難となるということができるから,避難の支障が具体的にあると認められ,「消火,避難その他の消防の活動に支障になる」物件にあたるというべきである。 b 原告は,本件本棚の奥行は19ないし19,3㎝であり,本件本棚が設置されているエレベータ前の階段室の通路の幅員は87㎝,屋内階段前の幅員は121㎝であり,通常人が容易に通行することが可能な空間は残されている旨主張するが,放火により本件本棚等に火災が発生し,本件本棚等が燃焼した場合,上記の空間が残されていたとしてもなお,煙や熱の発生により避難に支障が生じることは上記aのとおりであるから,原告の上記主張を採用することはできない。 ( ウ) 原告のその余の主張について原告は,B会館地下や,JR新橋駅に接続する地下街や都営浅草線東銀座駅の改札前には,フリーペーパー,チラシやごみ箱等の大量の可燃物が存置がされていることと比較して,本件処分をすることは警察比例原則に反する旨主張する。 しかし,上記(1) イで判示したとおり,消防法5条の3第1項の措置命令の発令の可否は,当該物件の設置状況,当該防火対象物の状況,当該防火対象物の防火上の管理状況などの諸事情を勘案した上,火災の発生等に至る危険等が具体的に認められるか否かによって決すべきであるところ,原告が指摘するB会館や地下鉄駅構内における可燃物の存置に ついては,本件建物におけるそれと比較して,一見して本件建物の5階通路よりも避難通路の規模が大きいことなど,物件の設置状況を異にするというべきであるし,防火対象物の状況やその防火管理上の状況などの事情については,証拠上明らかではないから,本件と比較のしようもないも よりも避難通路の規模が大きいことなど,物件の設置状況を異にするというべきであるし,防火対象物の状況やその防火管理上の状況などの事情については,証拠上明らかではないから,本件と比較のしようもないものといわざるを得ない。したがって,原告の上記主張は採用できない。 ( エ) 小括以上のとおり,本件本棚等は,放火等による火災発生の可能性があり,火災の予防に危険であると認められるとともに,本件本棚等に火災が発生した場合,本件建物の唯一の避難経路である5階の通路及び屋内階段の通行に危険な状況が生じ,避難の支障になると認められるから,消防法5条の3第1項の要件を満たす。 したがって,本件処分のうち本件本棚等の除去を命ずる部分は適法であるというべきである。 イ本件冊子について( ア) 火災予防の危険性a 被告は,本件各ロッカー内部に保管されている本件冊子は可燃物であり,本件建物に侵入した何者かによって本件各ロッカーのガラス戸が割られて本件冊子に放火される可能性があるから,本件冊子は火災の予防に危険である旨主張する。 b しかしながら,上記(2) ア( イ) の認定事実によれば,本件各ロッカーの上段にはガラス製の引き戸が,下段にはスチール製の引き戸が付いており,これらの引き戸は常時施錠されていて,その中に本件冊子が保管されていることが認められるから,本件冊子に放火するためには,本件各ロッカーを解錠するか,あるいは本件各ロッカーの上段のガラスの引き戸を割る必要があることを考慮すると, 放火を誘発しやすい状況にあるということはできず,心理的にも物理的にも放火の障害となり得る事情が存在するというべきであるから,本件各ロッカー等への放火の具体的な可能性があるものと認めるに足りない。 また,上記(2) の認定事 いうことはできず,心理的にも物理的にも放火の障害となり得る事情が存在するというべきであるから,本件各ロッカー等への放火の具体的な可能性があるものと認めるに足りない。 また,上記(2) の認定事実によれば,本件建物は鉄骨造りで,本件建物の各居室は入口防火戸で仕切られていること,本件屋内階段には可燃物がないこと(なお,本件本棚等が撤去されるべきことは上記で判示したとおりである。),本件各ロッカーはスチール製で不燃性のものであること,本件塔屋階には居室がないことを勘案すれば,仮に本件建物の各居室から火災が発生したとした場合,それが本件搭屋階に設置されている本件各ロッカーにまで到達した上,その内部に収納されている本件冊子が発火し,人命に危険が生じるという事態が生ずることは,絶無ではないにせよ,容易に想定することはできないから,本件冊子について,火災の延焼・拡大に至る危険が具体的に認められるとまではいえない。 c 以上によれば,本件各ロッカー内に保管されている本件冊子は,消防法5条の3第1項所定の「火災の予防に危険である」物件に該当しない。 ( イ) 避難の支障について被告は,本件各ロッカー内の本件冊子が燃焼した場合,熱と煙が発生し,避難経路である本件屋内階段や階段室内に充満して,避難の支障になると主張する。 しかしながら,かかる事態は本件冊子が燃焼することを前提としているところ,上記( ア) bのとおり,放火されることや,他の居室から発生した火災が本件搭屋階まで到達し本件冊子に延焼したりする具体的な危険を認めることはできないというべきであるから,本件冊子が燃焼す ることを前提とする上記主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。 また,本件各ロッカー内の本件冊子は,それ自体,避難の支障になるものではない。 うべきであるから,本件冊子が燃焼す ることを前提とする上記主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。 また,本件各ロッカー内の本件冊子は,それ自体,避難の支障になるものではない。 したがって,本件各ロッカー内に保管されている本件冊子は,消防法5条の3第1項所定の「消火,避難その他消防の活動に支障になる」物件に該当しない。 ウ南東側ロッカーについて被告は,南東側ロッカーは,階段室の幅員を狭めており,人の生命及び身体を害する危険がある旨主張する。 この点,南東側ロッカーについては,本件建物において火災が発生した際に,本件塔屋階を通って屋上へ避難する場合の具体的な支障の程度が問題になるところ,本件屋内階段の横幅は96㎝であり,上記南東側ロッカーの突起した部分(30㎝)を除いても66㎝の幅員があり,他方,本件屋内階段の最終段から階段室の南東側壁面までの距離は135㎝であり,南東側ロッカーの奥行(40㎝)を除いても,本件屋内階段から階段室南東側壁面まで95㎝の幅員が残されている。このような南東側ロッカーの設置状況からすると,本件屋内階段から本件塔屋階の屋上に至る経路は,通常人が容易に通行することが可能な程度の空間が十分に確保されているといえ,南東側ロッカーは,火災時における避難,消火などの消防活動を全く妨げないわけではないが,具体的な支障になるとまでは認められない。 以上によれば,南東側ロッカーは,消防法5条の3第1項所定の「消火,避難その他の消防の活動に支障になる」物件には該当しない。 エ小括以上によれば,本件処分のうち南東側ロッカー及び本件冊子の除去を命じる部分は,消防法5条の3第1項所定の要件を欠き違法であるというべきである。 なお,上記のとおり,南東側ロッカー及び本件冊子 件処分のうち南東側ロッカー及び本件冊子の除去を命じる部分は,消防法5条の3第1項所定の要件を欠き違法であるというべきである。 なお,上記のとおり,南東側ロッカー及び本件冊子については,消防法5条の3第1項所定の物件に当たらないとしても,火災の予防上の危険性や避難に支障となる可能性が一般的・抽象的に認められないとまではいえないから,「避難上必要な施設」について「避難の支障になる物件」をみだりに存置されないように管理している状態にあるとはいえず,また,「避難施設」に「火災の予防又は避難に支障となる…物件」を置かないように有効に管理しているとはいえず,消防法8条の2の4及び条例54条1号違反の状態にあるというべきである。したがって,原告は,この違反状態の解消をするため,是正措置を採るべき立場にある。 2 争点2(国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の成否)について(1) 国家賠償法1条1項にいう「違法」とは,公権力の行使に当たる公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と職務を遂行したと認められるような事情がある場合に限り,同項の違法があるとの評価を受けることになるものと解するのが相当である(最高裁平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁参照)。 これを本件についてみると,上記1(3) イ及びウのとおり,本件冊子及び南東側ロッカーについては,消防法5条の3第1項所定の除去命令の要件を満たさないにもかかわらず,処分行政庁は,その解釈適用を誤り,これを満たすものと判断してその除去を命じたものであり,当該判断は,本件違反処理基準が挙げる例そのものに従ったともいい難いものであることをも勘案すると,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と職務を遂行したものをいわざ を命じたものであり,当該判断は,本件違反処理基準が挙げる例そのものに従ったともいい難いものであることをも勘案すると,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と職務を遂行したものをいわざるを得ない。 したがって,本件処分を前提としてされた本件標識の貼付は,本件冊子及び南東側ロッカーの除去を求める部分に限って国家賠償法上も違法であり,被告はこれにより原告が被った損害を賠償する責任があるというべきである。 (2) そして,本件標識の貼付は,本件処分の内容を公示することにより,一般 人をして,弁護士である原告が消防法上の命令を遵守しない者であるとの印象を与えるものであり,職務上法令遵守が求められる原告の社会的評価を一定程度低下させることになるものというべきであって,原告の信用を毀損するものであると認められる。もっとも,本件標識の内容のうち,本件本棚等の除去命令については適法であること,本件冊子及び南東側ロッカーについては消防法8条の2の4及び条例54条1号違反の状態にあることを勘案し,さらに,上記1(2) ウの認定事実のとおりの本件処分の内容,本件処分に至る経緯その他本件の一切の事情をも総合して考慮すると,本件標識の貼付による信用毀損により原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料は10万円とすることが相当である。 第4 結論以上のとおり,原告の請求は,本件処分のうち南東側ロッカー及び本件冊子の除去を命ずる部分の取消し並びに10万円及びこれに対する平成26年3月8日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。 よって,原告の請求を主文第1項及び2項に記載の限度で認容し,その余は棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件 分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。 よって,原告の請求を主文第1項及び2項に記載の限度で認容し,その余は棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条を適用して,主文のとおり判決する。 なお,仮執行宣言については,相当でないから付さないこととする。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官横田典子 裁判官中 野 雄 壱 (別紙1)関係法令等の定め第1 消防法 1 第1条この法律は,火災を予防し,警戒し及び鎮圧し,国民の生命,身体及び財産を火災から保護するとともに,火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか,災害等による傷病者の搬送を適切に行い,もつて安寧秩序を保持し,社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。 2 第2条この法律の用語は左の例による。 2号防火対象物とは,山林又は舟車,船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶,建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物をいう。 3号消防対象物とは,山林又は舟車,船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶,建築物その他の工作物又は物件をいう。 4号関係者とは,防火対象物又は消防対象物の所有者,管理者又は占有者をいう。 3 第3条(1) 1項消防長(消防本部を置かない市町村においては,市町村長。第6章及び第35条の3の2を除き,以下同じ。),消防署長その他の消防吏員は,屋外において火災の予防に危険であると認める行為者又は火災の予防に危険であると認める物件若しくは消火,避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者,管理者若し 消防署長その他の消防吏員は,屋外において火災の予防に危険であると認める行為者又は火災の予防に危険であると認める物件若しくは消火,避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者,管理者若しくは占有者で権原を有する者に対して,次に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 1号火遊び,喫煙,たき火,火を使用する設備若しくは器具(物件に限る。)又はその使用に際し火災の発生のおそれのある設備若しくは器 具(物件に限る。)の使用その他これらに類する行為の禁止,停止若しくは制限又はこれらの行為を行う場合の消火準備2号残火,取灰又は火粉の始末3号危険物又は放置され,若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件の除去その他の処理4号放置され,又はみだりに存置された物件(前号の物件を除く。)の整理又は除去(2) 2項以下略 4 第5条(1) 1項消防長又は消防署長は,防火対象物の位置,構造,設備又は管理の状況について,火災の予防に危険であると認める場合,消火,避難その他の消防の活動に支障になると認める場合,火災が発生したならば人命に危険であると認める場合その他火災の予防上必要があると認める場合には,権原を有する関係者(特に緊急の必要があると認める場合においては,関係者及び工事の請負人又は現場管理者)に対し,当該防火対象物の改修,移転,除去,工事の停止又は中止その他の必要な措置をなすべきことを命ずることができる。 ただし,建築物その他の工作物で,それが他の法令により建築,増築,改築又は移築の許可又は認可を受け,その後事情の変更していないものについては,この限りでない。 (2) 2項略(3) 3項消防長又は消防署長は,第1項の規定による命令をした場合においては, 又は移築の許可又は認可を受け,その後事情の変更していないものについては,この限りでない。 (2) 2項略(3) 3項消防長又は消防署長は,第1項の規定による命令をした場合においては,標識の設置その他総務省令で定める方法により,その旨を公示しなければならない。 (4) 4項 前項の標識は,第1項の規定による命令に係る防火対象物又は当該防火対象物のある場所に設置することができる。この場合においては,同項の規定による命令に係る防火対象物又は当該防火対象物のある場所の所有者,管理者又は占有者は,当該標識の設置を拒み,又は妨げてはならない。 5 第5条の2(1) 1項消防長又は消防署長は,防火対象物の位置,構造,設備又は管理の状況について次のいずれかに該当する場合には,権原を有する関係者に対し,当該防火対象物の使用の禁止,停止又は制限を命ずることができる。 1号前条第1項,次条第1項,第8条第3項若しくは第4項,第8条の2第3項,第8条の2の5第3項又は第17条の4第1項若しくは第2項の規定により必要な措置が命ぜられたにもかかわらず,その措置が履行されず,履行されても十分でなく,又はその措置の履行について期限が付されている場合にあつては履行されても当該期限までに完了する見込みがないため,引き続き,火災の予防に危険であると認める場合,消火,避難その他の消防の活動に支障になると認める場合又は火災が発生したならば人命に危険であると認める場合2号前条第1項,次条第1項,第8条第3項若しくは第4項,第8条の2第3項,第8条の2の5第3項又は第17条の4第1項若しくは第2項の規定による命令によつては,火災の予防の危険,消火,避難その他の消防の活動の支障又は火災が発生した場合における人命の危険を除去す 第3項,第8条の2の5第3項又は第17条の4第1項若しくは第2項の規定による命令によつては,火災の予防の危険,消火,避難その他の消防の活動の支障又は火災が発生した場合における人命の危険を除去することができないと認める場合(2) 2項前条第3項及び第4項の規定は,前項の規定による命令について準用する。 6 第5条の3(1) 1項 消防長,消防署長その他の消防吏員は,防火対象物において火災の予防に危険であると認める行為者又は火災の予防に危険であると認める物件若しくは消火,避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者,管理者若しくは占有者で権原を有する者(特に緊急の必要があると認める場合においては,当該物件の所有者,管理者若しくは占有者又は当該防火対象物の関係者。次項において同じ。)に対して,第3条第1項各号に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (2) 2項消防長又は消防署長は,火災の予防に危険であると認める物件又は消火,避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者,管理者又は占有者で権原を有するものを確知することができないため,これらの者に対し,前項の規定による必要な措置をとるべきことを命ずることができないときは,それらの者の負担において,当該消防職員に,当該物件について第3条第1項第3号又は第4号に掲げる措置をとらせることができる。この場合においては,相当の期限を定めて,その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは,当該消防職員がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。ただし,緊急の必要があると認めるときはこの限りでない。 (3) 3項消防長又は消防署長は,前項の規定による措置をとつた場合において,物件を除去させたと をあらかじめ公告しなければならない。ただし,緊急の必要があると認めるときはこの限りでない。 (3) 3項消防長又は消防署長は,前項の規定による措置をとつた場合において,物件を除去させたときは,当該物件を保管しなければならない。 (4) 4項略(5) 5項第3条第4項の規定は第1項の規定により必要な措置を命じた場合について,第5条第3項及び第4項の規定は第1項の規定による命令について,それぞれ準用する。 7 第8条の2の4学校,病院,工場,事業場,興行場,百貨店,旅館,飲食店,地下街,複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は,当該防火対象物の廊下,階段,避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され,又はみだりに存置されないように管理し,かつ,防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され,又はみだりに存置されないように管理しなければならない。 8 第41条(1) 1項次のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。 1号第5条の3第1項の規定による命令に違反した者(2) (以下略) 9 第44条次のいずれかに該当する者は,30万円以下の罰金又は拘留に処する。 (1) 1号第3条第1項の規定による命令に従わなかつた者(2) (以下略) 第2 消防法施行令4条の2の3法第8条の2の4の政令で定める防火対象物は,別表第一に掲げる防火対象物(同表(18)項から(20)項までに掲げるものを除く。)とする。 別表第一(1) イ劇場,映画館,演芸場又は観覧場ロ公会堂又は集会場(2) イキャバレー,カフェー,ナイトクラブその他これらに類するも でに掲げるものを除く。)とする。 別表第一(1) イ劇場,映画館,演芸場又は観覧場ロ公会堂又は集会場(2) イキャバレー,カフェー,ナイトクラブその他これらに類するものロ遊技場又はダンスホールハ風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法 律第百二十二号)第二条第五項に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗(ニ並びに( 一) 項イ,( 四) 項,( 五) 項イ及び( 九) 項イに掲げる防火対象物の用途に供されているものを除く。)その他これに類するものとして総務省令で定めるものニカラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む。)において客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗で総務省令で定めるもの(3) イ待合,料理店その他これらに類するもの ロ飲食店(4) 百貨店,マーケツトその他の物品販売業を営む店舗又は展示場((5) から(15)まで略)(16)イ複合用途防火対象物のうち,その一部が(1) 項から(4) 項まで,(5)項イ,(6) 項又は(9) 項イに掲げる防火対象物の用途に供されているもの ロイに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物 (以下略) 第3 火災予防条例(昭和37年3月31日東京都条例第65号。以下「条例」という。) 1 第53条の2何人も,令別表第1に掲げる防火対象物において,みだりに次に掲げる行為をしてはならない。 (1) 1号避難施設に,火災の予防又は避難に支障となる施設を設け,又は物件を置くこと。 (2) 2号防火設備の閉鎖又は作動に支障となる施設を設け,又は物件を置くこと。 (3) 1) 1号避難施設に,火災の予防又は避難に支障となる施設を設け,又は物件を置くこと。 (2) 2号防火設備の閉鎖又は作動に支障となる施設を設け,又は物件を置くこと。 (3) 3号消防用設備等又は法17条第3項に規定する特殊消防用設備等(以下「特殊消防用設備等」という。)の感知,操作,散水その他の機能に支障となる施設を設け,又は物件を置くこと。 2 第54条令別表第1に掲げる防火対象物の関係者は,避難施設を次に定めるところにより,有効に管理しなければならない。 (1) 1号避難施設には,火災の予防又は避難に支障となる施設を設け,又は物件を置かないこと。 (2) 2号避難施設の床面は,避難に際し,つまづき,すべり等を生じないように維持すること。 (3) 3号避難口又は地上に通ずる主たる通路に設ける戸は,容易に開放できる外開き戸とし,開放した場合において,廊下,階段等の幅員を有効に保有できるものとすること。ただし,劇場等以外の令別表第1に掲げる防火対象物について支障がないと認められる場合においては,内開き戸以外の戸とすることができる。 (4) 4号前号の戸は,公開時間又は従業時間中は,規則で定める方法以外の方法で施錠してはならない。 (5) 5号階段には,敷物の類を敷かないこと。ただし,消防総監が定める基準に適合する場合は,この限りでない。 第4 違反処理標準マニュアル (甲18,乙25,26) 1 違反処理基準違反処理基準は,違反処理を厳正公平に実施するために,違反者等に対する警告,命令,認定の取消しへの移行基準及び履行期限の判断を具体的事例を挙げて示したものである。なお,適用要件への該当性や履行期限の設定等については,下表を参考にしつつ,具体的な事例に応じ適切に する警告,命令,認定の取消しへの移行基準及び履行期限の判断を具体的事例を挙げて示したものである。なお,適用要件への該当性や履行期限の設定等については,下表を参考にしつつ,具体的な事例に応じ適切に判断する。 2 適用要件等(1) 「④防火対象物における火災予防に危険な行為等(その3)」次の行為又は物件で火災の予防に危険であると認めるもの又は消火,避難その他の消防の活動に支障となると認めるもの(1,2略)ア 「3 危険物又は放置され,若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件」 ( ア) 第1次措置物件の除去その他の処理(消防法5条の3) ( イ) 事例「○防火対象物内において少量危険物が無届かつ条例の基準に適合せず貯蔵されているもの○階段室,廊下,通路等避難施設内を倉庫又はクローゼット代わりに使用し,下記の物件のいずれかが存置されているもの・ガソリン,シンナー,火薬類等の危険物品・大量の化繊の衣装・ボンベが装填された状態で大量の携帯コンロ又は大量のボンベ本体・古新聞,ダンボール,ビールケース等の大量の可燃物○使用中の火気使用設備の上方の棚にボンベが装填された状態の携帯コンロが存置されているもの ( ウ) 履行期限 原則,即時イ 「4 放置され,若しくはみだりに存置された物件(上記3の物件を除く。)」 ( ア) 第1次措置物件の整理又は除去(消防法5条の3) ( イ) 事例「○物件が存置されていることにより,一人でさえ通行することが困難なもの○上記のほか,消火,避難その他の消防活動に支障となるもの・防火戸の閉鎖 ( イ) 事例「○物件が存置されていることにより,一人でさえ通行することが困難なもの○上記のほか,消火,避難その他の消防活動に支障となるもの・防火戸の閉鎖障害となる物件存置・特別避難階段附室,非常用エレベータ附室の消防活動の障害となる物件存置・非常用進入口の障害となる物件存置・屋内消火栓設備の使用障害となる物件存置 ( ウ) 履行期限原告,即時以上
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