平成13(ネ)2503 交通事故による損害賠償請求控訴

裁判年月日・裁判所
平成13年12月12日 大阪高等裁判所
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判決文本文9,061 文字)

主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,第1・2審を通じて被控訴人らの負担とする。 第2 被控訴人らの請求 1 控訴人は,被控訴人Aに対し287万8545円,被控訴人B及び被控訴人Cに対し各143万9272円,及び被控訴人らに対しそれぞれ前記の金員に対する平成8年11月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は控訴人の負担とする。 3 仮執行宣言第3 事案の概要 1 事案の概要は,以下に訂正した上,原判決の「第2 事案の概要」の記載を引用する。 (1) 2頁5行目の「この交通事故による傷害による入院中」を「この交通事故による傷害のために入院中」と改める。 (2) 2頁6行目から7行目にかけての「同交通事故によるDの傷害につき損害賠償を請求した事案」を「同交通事故によってDが傷害を受けたことによる損害の賠償を請求した事案」と改める。 (3) 3頁2行目,10行目及び下から6行目の各「原告の主張」をいずれも「被控訴人らの主張」と改める。 (4) 3頁14行目の「いずれにしろ」を「Dの後遺障害は」と改める。 (5) 3頁下から8行目の「後遺症」を「右肩」と改める。 2 控訴人の主張(原判決に対する批判)(1) 原判決は,Dが平成8年11月14日に発生した本件事故と相当因果関係のない私病で同月21日に死亡したと認定しながら,休業損害の額について55日間の損害を認め,入通院慰謝料の額について入院1か月,通院3週間を前提とする 年11月14日に発生した本件事故と相当因果関係のない私病で同月21日に死亡したと認定しながら,休業損害の額について55日間の損害を認め,入通院慰謝料の額について入院1か月,通院3週間を前提とする認定を行った。 最高裁判所平成8年4月25日第一小法廷判決・民集50巻5号1221頁(以下「第1判決」という。)及び最高裁判所平成8年5月31日第二小法廷判決・民集50巻6号1323頁(以下「第2判決」という。)は,衡平の理念から,後遺障害による逸失利益の算定についてだけ,交通事故とは別の原因による死亡の事実を考慮すべきものではないことを認めたにすぎない。 (2) 原判決は,Dの後遺障害について後遺障害別等級表12級12号に該当すると判断し,それを前提に,後遺障害慰謝料240万円を認め,労働能力の喪失率14パーセント,労働能力喪失期間を5年として逸失利益69万8188円を認めた。 第1判決及び第2判決の各事案は,いずれも長期間の治療後に症状が固定して後遺障害の存在が確定した後に死亡した場合であるのに対し,本件の事案は,本件交通事故発生の日から8日という極めて短期間しか経たないうちに私病により死亡するに至ったというものであるから,後遺障害の存否並びにその程度が少なくとも高度の蓋然性をもって判断できる状況になかった。 第4 当裁判所の判断 1 当裁判所の判断は,以下に付加,訂正した上,原判決の「第3 争点に対する判断」の一及び二の記載を引用する。 (1) 3頁下から2行目の「乙1の6,8,12」を「乙1の6・8・9・12,乙2」と改める。 (2) 4頁下から4行目の「乙3の1,2」を「乙3の1・2」と,5頁8行目の「甲8の1,2」を「甲8の1・2」とそれぞれ改める。 (3) 5頁9行目の「受けて 2,乙2」と改める。 (2) 4頁下から4行目の「乙3の1,2」を「乙3の1・2」と,5頁8行目の「甲8の1,2」を「甲8の1・2」とそれぞれ改める。 (3) 5頁9行目の「受けていたものと」を「受けていたことが認められ」と改め,同行の「乙」の前に「甲5の3,」を加える。 (4) 5頁12行目の「同月」を「同年11月」と改める。 (5) 5頁下から6行目の「甲2」の次に「,甲5の3,乙1の13」を加える。 (6) 5頁下から5行目の「大きく,」の次に「自力による右肩の挙上可能な角度は20ない30度程度であり,」を加える。 (7) 5頁下から4行目の「通常」の前に「挙上可能域は患者のその日の状態により変化するが,腱板の機能が断裂により消失し,右上肢の機能が著しく障害されていることが重要であると指摘し,」を加え,同行の「スムース」を「スムーズ」と改める。 (8) 5頁最終行の「手術前Dの家族に」を「手術前にDの家族に対し,右肩腱板の断裂の程度が大きかったことや62歳という年齢から考えて,」と改める。 (9) 6頁2行目から3行目にかけての「後遺症が残るとすれば筋力の低下や関節可動域の低下で」を「大断裂で年齢の高い患者は筋力低下や関節の可動域制限を残すことがあり」と改める。 (10) 6頁6行目の「その程度は」を「肩関節の後遺障害の程度としては,」と改める。 (11) 6頁11行目の「年齢」の次に「,右肩腱板断裂の程度及び初診時の右肩の機能障害の程度」を加える。 (12) 6頁12行目の「かなりの蓋然性」を「高度の蓋然性」と改める。 (13) 6頁下から9行目の「逸失利益は,」の次に「労働能力喪失割合が14パーセント,」を,同頁下から8行目の「となる」の次に 6頁12行目の「かなりの蓋然性」を「高度の蓋然性」と改める。 (13) 6頁下から9行目の「逸失利益は,」の次に「労働能力喪失割合が14パーセント,」を,同頁下から8行目の「となる」の次に「(ライプニッツ式計算法により年5分の割合による中間利息を控除する。)」をそれぞれ加える。 (14) 6頁下から2行目の「請求認容額」を「上記認定の損害額」と改める。 2 控訴人の主張について(1) 休業損害について控訴人は,原判決が本件事故と因果関係のない私病により死亡した後の日数も含めて休業損害を認めたことを批判する。しかし,休業損害は,傷害を負ったために一定の期間中就労できないことによって発生する損害であるところ,このような損害は,交通事故の時に一定の内容のものとして発生しているから,交通事故の後に生じた事由によってその内容に消長を来すものではなく,その損害額は,交通事故発生当時の収入額と就労不能の程度及びその期間に基づいて算定されるものであって,交通事故の後に被害者が別の原因で死亡したことは就労不能期間の認定に当たって考慮すべきものとはいえない。また,交通事故の被害者が事故後に別の原因で死亡したことにより,賠償義務を負担する者がその義務の全部又は一部を免れ,被害者ないしその遺族が損害のてん補を受けることができなくなるというのでは,衡平の理念に反することになる。以上の点は,後遺障害による逸失利益の算定の場合と何ら異ならないというべきである。 したがって,交通事故の時点で,その死亡の原因となる具体的事由が存在し,近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情のない限り,交通事故とは別の原因による死亡の事実は就労不能の期間の認定上考慮すべきものとはいえない。 (2) 入通院慰謝 在し,近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情のない限り,交通事故とは別の原因による死亡の事実は就労不能の期間の認定上考慮すべきものとはいえない。 (2) 入通院慰謝料について控訴人は,原判決がDが死亡していなければ要したであろう入通院の日数(Dの死亡後にも及ぶ。)を考慮して入通院慰謝料を認めたことを批判する。しかし,入通院慰謝料に係る精神的損害も,休業損害と同様に交通事故の時に一定の内容のものとして発生しているのであり,交通事故の後に生じた交通事故と無関係な事由によってその内容に消長を来すものではない。本件においても,本件交通事故発生のときに,Dが最低限入院約1か月及び通院3週間を必要とする程度の傷害を負ったことによる精神的損害が発生したのであって,Dが交通事故とは別の原因で死亡したために実際には上記の期間の入通院をしなかったからといって,上記の傷害を負ったことによる精神的損害を償うべき慰謝料が減額されるいわれはないというべきである。 (3) 後遺障害について後遺障害による労働能力の一部喪失による損害も,交通事故の時に一定の内容のものとして発生している(第1判決参照)。本件において,Dは症状が固定する前に死亡したのであるから,症状固定によりなお残存する後遺障害の内容を実際に観察することはできなかったのであるが,Dの後遺障害の内容・程度が本件交通事故によって受けた傷害の内容,それによる後遺障害の一般的な傾向等から高度の蓋然性をもって推測できる限りは,症状固定前であっても後遺障害による損害を認定する妨げにはならないというべきである。 そして,引用に係る原判決の判断のとおり,Dには神経症状として右肩関節の可動域にある程度の症状が残ると高度の蓋然性をもって予想でき,後 る損害を認定する妨げにはならないというべきである。 そして,引用に係る原判決の判断のとおり,Dには神経症状として右肩関節の可動域にある程度の症状が残ると高度の蓋然性をもって予想でき,後遺障害別等級表12級12号に該当するものと判断できるのであるから,それを前提にした損害を認めることができるというべきである。 3 以上により,被控訴人らの請求は,Dの妻である被控訴人Aにおいて169万0081及びこれに対する本件交通事故の日である平成8年11月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,Dの子である被控訴人B及び同Cにおいて各84万5040円及び同じく平成8年11月14日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める限度で理由があるから,被控訴人らの請求はこの限度で認容してその余を棄却すべきであり,これと同旨の原判決は相当である。したがって,本件控訴をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第7民事部 裁判長裁判官妹尾圭策 裁判官稻葉重子 裁判官栂村明剛 原審平成12年(ワ)第408号交通事故による損害賠償請求事件平成13年6月12日判決言渡主文 1 被告は,原告Aに対し金169万0081円,同B及び同Cに対し各金84万5040円,及びこ 2年(ワ)第408号交通事故による損害賠償請求事件平成13年6月12日判決言渡主文 1 被告は,原告Aに対し金169万0081円,同B及び同Cに対し各金84万5040円,及びこれらに対する平成8年11月14日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを5分し,うち2を原告らの,その余を被告の各負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告Aに対し287万8545円,原告B及び同Cに対し各143万9272円,及び右各金員に対する平成8年11月14日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告運転の普通乗用自動車(以下「被告車」という。)とD(以下「D」という。)運転の自動二輪車(以下「D車」という。)が衝突し,Dがこの交通事故による傷害による入院中,同傷害とは別個の病気により死亡したところ,Dの相続人らが被告に対し,自賠法三条に基づき,同交通事故によるDの傷害につき損害賠償を請求した事案である。 一争いのない事実等 1 平成8年11月14日午後零時15分ころ,大阪府泉南市a丁目A番先路上で,被告車とD車が衝突した(以下「本件交通事故」という。)。 2 Dは,本件交通事故により,右肩腱板断裂等の傷害を負い(甲5の3),野上病院に入院していたが,右傷害のため右肩の挙上が30度程度であったため(甲3),同月19日に腱板修復の手術を受け,ギプス固定していた(甲5の3,乙1の4)が,同月21日に脳卒中により死亡した(甲5の1,乙1の5)。 3 Dの相続人は,妻である原告A,子である同B及び ),同月19日に腱板修復の手術を受け,ギプス固定していた(甲5の3,乙1の4)が,同月21日に脳卒中により死亡した(甲5の1,乙1の5)。 3 Dの相続人は,妻である原告A,子である同B及び同Cである(甲2)。 4 被告は,原告らに対し,2の治療費のうち92万2934円を支払った。 二争点 1 過失相殺の有無とその割合(被告の主張)被告車は,東側路外の駐車場から北へ右折進行しようと道路へ出る際,右(北)方の見通しが悪いので,少し頭出しをして一旦停止し,通過車両を3,4台やり過ごしたところ,北から南へ道路上を進行してくるD車を認めたため,クラクションを鳴らして注意を促したが,D車が被告車の右前部に衝突したものであり,Dにも前方を注視し,路外からの車両の有無及び安全を確認する注意義務を怠った過失がある。 (原告の主張)被告は,路上へ出る際に,右前方のカーブミラーが左方の安全確認のために設置されたものであるのに,右方の安全確認のためのものと勘違いし,何も写っていなかったことから,右(北)方からの通行車両はないものと誤信して,漫然と道路に出たため,D車の進路をふさぐこととなり,Dがとっさにブレーキをかけ,左へハンドルを切って避けようとしたが間にあわなかったのであり,Dには過失はない。 2 損害(主に,後遺症慰謝料及び逸失利益)(原告の主張)原告らはDの死亡による損害を請求しているものではなく,Dの右肩腱板断裂が大きなものであり,修復手術をしても,62歳という高齢であったことから,Dが死亡しなかったとすれば,右肩関節部に障害を残し,又は右肩部分に頑固な神経症状を残した蓋然性は高く,いずれにしろ自賠法施行令第2条の別表(後遺障害別等級表)12級6号又は12号に該当 ことから,Dが死亡しなかったとすれば,右肩関節部に障害を残し,又は右肩部分に頑固な神経症状を残した蓋然性は高く,いずれにしろ自賠法施行令第2条の別表(後遺障害別等級表)12級6号又は12号に該当したであろうことから,その損害の賠償を求めているのである。 (被告の主張)交通事故からDの死亡までは8日しか経過しておらず,Dの手術後の経過は良好であって,後遺症についても元どおりに機能が回復する可能性も十分あったものである。Dの死亡時において,後遺症が残存するかについては判明せず,これを前提とした原告の主張は失当である。 第3 争点に対する判断一過失相殺について 1 本件交通事故の状況証拠(甲9の1ないし13,乙1の6,8,12)によれば,次のとおり認められる。 本件事故現場は,最高速度時速30キロメートルの速度制限のある片側1車線の直線道路であり,東側路外の駐車場から右折進行しようと出てきた被告車の右側には小屋があって,右(北)方の見通しは不良であり,北から南進してきたD車の見通しも前方は良好であったが,左(東)方の見通しは不良であった。被告車は,前方の左方の安全確認用カーブミラー上に車両が見えなかったことから,右方から進行してくる車両はないものと考えて,道路を半分近く横断する位置まで路上へ出て停止したところ,折から右(北)方から時速約40キロメートルで進行してきたD車の進路をふさぐ形となり,Dはとっさにブレーキをかけ,左へハンドルを切ろうとしたが,間に合わず,被告車の右側方前部にD車の前部が衝突して,Dは路上に転倒した。 2 被告車は,路外から道路へ進入するに際し,右方の安全確認ができなかったのであるから,自車前部を出して停止することを繰り返し,右方の安全を確認したうえで が衝突して,Dは路上に転倒した。 2 被告車は,路外から道路へ進入するに際し,右方の安全確認ができなかったのであるから,自車前部を出して停止することを繰り返し,右方の安全を確認したうえで進入するべきだったのであり,一気に進入してから停止したやり方には安全確認の方法として過失があることは明らかである。しかし,D車も,左(東)方の見通しがきかず路外へ出てくる車のあることも予想された(現場は職場と自宅の間にあり,道路状況はよく知っていたものと推測できる。)にもかかわらず,漫然と時速約40キロメートルで進行していたため,被告車を発見後停止することができなかったものであるから,この点において,Dにも過失があり,その割合は被告85対D15とするのが相当である。 二損害について 1 Dが本件交通事故による傷害に要した治療費は,乙3の1,2から,E病院における93万0614円と認められる。 Dの入院期間は事故日である平成8年11月14日から死亡日である同月21日までの8日間であり,入院雑費としては1日当たり1300円が相当であるから,計1万0400円となる。 2 Dは,前記第2一2のとおり平成8年11月21日に死亡したが,その死因は脳卒中であって,本件交通事故との因果関係は認められない(乙1の11)。また、本件交通事故の時点で,脳卒中の原因となる身体的状況の存在や近い将来におけるDの死亡が予測されていたことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,Dの死亡は,本件交通事故の損害を算定するに当たってはこれを考慮すべきではない。 甲8の1,2によれば,DはF店でアルバイトとして稼働しており,平成8年10月には9万6001円の報酬を受けていたものと,乙1の4及び調査嘱託の結果によれば,Dの傷害は本件事故当 い。 甲8の1,2によれば,DはF店でアルバイトとして稼働しており,平成8年10月には9万6001円の報酬を受けていたものと,乙1の4及び調査嘱託の結果によれば,Dの傷害は本件事故当初の診断で,加療約7週間(入院4週間及び通院3週間)を要すると診断されていたところ,最低限必要な入院期間は,手術(同月19日)後4週間であったと認められるから,Dの本件交通事故による休業損害は,17万0324円であると認められる。 (9万6001円÷31日×(6日+49日)=17万0324円) 3 入通院慰謝料2で認定のとおり,Dは本件事故により,入院約1か月及び通院3週間が最低限必要な傷害を負ったのであるから,その入通院慰謝料は,50万円が相当である。 4 後遺症による損害甲2及び調査嘱託の結果によれば,Dは本件交通事故当時62歳であり,右肩腱板断裂の程度は大きく,修復手術後の経過は良好であったものの,主治医は,通常加療7週で挙上可能になるが,全方向へのスムースな運動のためにはリハビリに3か月程度が必要であり,患側が健側と同じ可動域にまで改善する可能性はあるものの,年齢とともに治療成績は低下する傾向にあるとしており,手術前Dの家族に手術をしても右腕は肩から上へは挙がらない可能性もあると話し,可動域の回復は個人差が大きく,通常は日常生活に大きな支障がない程度にまでは回復できるであろうが,後遺症が残るとすれば筋力の低下や関節可動域の低下で,前記後遺障害別等級表8級以下であろうと推察している。 以上によれば,Dに,右肩の可動域低下という器質的な障害の後遺症が残った可能性は否定できないものの,その程度は前記後遺障害別等級表8級6号(1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの)から10級1 以上によれば,Dに,右肩の可動域低下という器質的な障害の後遺症が残った可能性は否定できないものの,その程度は前記後遺障害別等級表8級6号(1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの)から10級10号(1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの),12級6号(1上肢の3大関節中の1関節に障害を残すもの)までの差があり,このうちのいずれかに該当する高度の蓋然性があるとまでいうことはできない。しかし,Dの年齢からして,神経症状として,右肩関節の可動域にある程度の症状が残ることは,かなりの蓋然性をもって予想できたといえる。その症状は,日常生活に大きな支障がない程度にまでは回復できるであろうとの上記主治医の推察からして,前記後遺障害別等級表9級10号(神経系統の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの)に該当するとはいえないが,12級12号(局部に頑固な神経症状を残すもの)には該当するものといえる。そうすると,その後遺症慰謝料としては240万円,これによる逸失利益は,労働能力喪失期間が5年程度と考えられることから69万8188円となる。 (9万6001円×12×0.14×4.329=69万8188円) 5 1ないし4の合計額470万9526円に,前記一の過失相殺を考慮すると,被告が賠償すべきDの損害は448万5241円となる。 (470万9526円×(1-0.15)=400万3097円)このうち,被告は既に92万2934円を支払っているから,残りは308万0163円となる。本件事案の内容,請求認容額等を考慮すると,被告に負担させるべき弁護士費用としては30万円が相当である。 三結論Dの被告に対する損害賠償請求権は,二のとおり338万0163円の限度で生 件事案の内容,請求認容額等を考慮すると,被告に負担させるべき弁護士費用としては30万円が相当である。 三結論Dの被告に対する損害賠償請求権は,二のとおり338万0163円の限度で生ずるから,前記第2一3のとおりDの相続人である原告Aは169万0081円,同B及び同Cは各84万5040円を相続したことになる。 よって,原告らの請求は上記の額とこれに対する本件交通事故の日である平成8年11月14日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるけれども,その余は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所堺支部第一民事部

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