平成25年10月23日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成24年(ワ)第27475号役務標章差止請求事件口頭弁論終結日平成25年9月4日判決東京都渋谷区<以下略>原告株式会社KPGLUXURYHOTELS同訴訟代理人弁護士吉田大地同補佐人弁理士藤吉 繁千葉県松戸市<以下略>被告株式会社DAIKICHI静岡県伊豆市<以下略>被告株式会社月ケ瀬上記2名訴訟代理人弁護士早稲田 祐美子同補佐人弁理士奥野貴男 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告らは,その経営する別紙旅館目録記載の旅館の営業施設及び営業活動について,「うふふ」又は「ufufu」なる標章を使用してはならない。 第2 事案の概要 1 前提事実(証拠を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,国又は地方公共団体が委託する福利厚生施設の運営・維持管理に関する業務,宿泊施設の経営及びホテルの経営等を事業目的とする株式 会社である。〔甲1,弁論の全趣旨〕イ被告株式会社DAIKICHI(以下「被告DAIKICHI」という。)は,菓子類の製造及び販売並びに不動産管理業務等を事業目的とする株式会社であり,被告株式会社月ヶ瀬(以下「被告月ヶ瀬」という。)は,旅館,ホテルの経営等を事業目的とする株式会社である。 」という。)は,菓子類の製造及び販売並びに不動産管理業務等を事業目的とする株式会社であり,被告株式会社月ヶ瀬(以下「被告月ヶ瀬」という。)は,旅館,ホテルの経営等を事業目的とする株式会社である。 (2) 当事者による旅館の開業等ア原告は,平成19年12月,静岡県熱海市において,「熱海ふふ」という名称(以下「原告表示」という。)で旅館(以下「原告旅館」という。)を開業した。〔甲4の2〕イ被告月ヶ瀬は,平成24年7月,静岡県伊豆市月ヶ瀬において,「雲風々 うふふ」又は「雲風々 ufufu」という名称(以下「被告標章」という。)の旅館(以下「被告旅館」という。)を開業した。また,被告月ヶ瀬は,被告旅館の表示として,「月ヶ瀬温泉」を併記して,「月ヶ瀬温泉雲風々 うふふ」,「雲風々 うふふ月ヶ瀬温泉」又は「tsukigasespaufufu 雲風々 うふふ」との表示を使用している(以下,それらの表示を併せて「被告表示」という。)。〔乙3,5~8〕なお,被告DAIKICHIは,被告旅館の建物及びその敷地を所有しており,それらを被告月ヶ瀬に賃貸している。 (3) 本件商標原告は,別紙商標権目録記載の商標権(以下「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)を有する。 2 本件は,本件商標権を有し,「熱海ふふ」の名称の旅館を経営する原告が,被告らに対し,被告らが被告旅館の名称として使用する被告標章が本件商標に類似すると主張して,商標法36条に基づき,「うふふ」又は「ufufu」なる標章の使用の差止めを求め,又は,被告らが被告旅館の名称として使用する被告表示が原告が原告旅館の名称として使用する原告表示と類似しており, 不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号に不正競争 差止めを求め,又は,被告らが被告旅館の名称として使用する被告表示が原告が原告旅館の名称として使用する原告表示と類似しており, 不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号に不正競争に該当すると主張して,不競法3条に基づき,上記各標章の使用の差止めを求める事案である。 3 争点(1) 商標権侵害に基づく請求について本件商標と被告標章の類否(2) 不競法違反に基づく請求についてア原告表示と被告表示の類否イ原告表示の周知性ウ誤認混同のおそれの有無第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(本件商標と被告標章の類否)について〔原告の主張〕(1) テレビ等による広告宣伝が一般化しており,商標は外観を離れて称呼,観念が主として識別機能を果たしている。かかる状況に鑑みると,被告標章の要部は「うふふ」である。 (2) そして,「ふふ」と「うふふ」の称呼は,いずれも母音「u」と子音「f」のみからなり,その繰り返しで構成されており,発声聴取においては,共通する「fufu」の部分が圧倒的な印象を与える。相違点は,後者が前者よりも「u」を1回多く繰り返すことのみであり,本件商標と被告標章は称呼において極めて類似する。 (3) また,「ふふ」は,やわらかい意味合いを持たせた女性のたおやかな笑顔と笑う仕種を象徴する造語であるところ,「うふふ」は,「口をあまり開かないで小さく笑う声」を意味しており,観念において類似する。 (4) したがって,本件商標と被告標章は類似する。 〔被告らの主張〕 (1) 被告標章は「雲風々 うふふ」ないし「雲風々 ufufu」であり,そのうち「雲風々」の文字部分は,漢字として非常にインパクトがあるから,類否判断において,被告標章のうち「 〕 (1) 被告標章は「雲風々 うふふ」ないし「雲風々 ufufu」であり,そのうち「雲風々」の文字部分は,漢字として非常にインパクトがあるから,類否判断において,被告標章のうち「うふふ」の部分のみを抽出して,当該部分だけを本件商標と比較することは許されないというべきである。 (2) 本件商標と被告標章とは,外観が異なるのは明らかである。 (3) また,本件商標と被告標章とは,音数が異なり,しかも,被告標章は,その頭音が「u」という強力な母音であるため,発声聴取においては,本件商標とは全く異なる印象を受けるから,称呼も異なる。 (4) 本件商標は造語であり,それ自体に意味を持たないから,被告標章と観念が類似することはない。 (5) したがって,本件商標と被告標章は類似しない。 2 争点(2)ア(原告表示と被告表示の類否)について〔原告の主張〕(1) 需要者は,原告表示を口にしたり,書いたりするとき,「ふふ」と声を出すのが通常であり,被告表示についても,同様に,「うふふ」と声を出すのが通常であるから,原告表示の要部は「ふふ」であり,被告表示の要部は「うふふ」である。 (2) そして,前記1〔原告の主張〕のとおり,原告表示と被告表示は類似する。 (3) さらにいえば,旅館名をその所在する地名ないし地域名と組み合わせて称呼することが多いところ,原告表示においては「atamifufu」と,被告表示においては「tsukigaseufufu」と称呼される。そのとき,被告表示のうち頭音の「u」は,上記称呼の前半部を構成する「tsukigase」と後半部のうち原告表示と共通する「fufu」の間に埋没してしまい,その印象が極めて希薄となり,上記共通部分の印象が際だって鮮明になる。このような は,上記称呼の前半部を構成する「tsukigase」と後半部のうち原告表示と共通する「fufu」の間に埋没してしまい,その印象が極めて希薄となり,上記共通部分の印象が際だって鮮明になる。このような旅館名としての特質に鑑みると,原告表示と被告表示はなお一層類似するといえる。 (4) 被告旅館は,原告が採用した高級旅館としてのコンセプトを取り入れてい る。すなわち,①原告旅館が全室に自家源泉掛け流し露天風呂を備えているのに対し,被告旅館も全室に源泉掛け流し露天風呂を備えていて,②原告旅館が旬の日本料理をレストランのテーブル席及びカウンターで食すスタイルであるのに対し,被告旅館は京料理をベースとした割烹料理をカウンターキッチンで食すスタイルであり,③原告旅館が間取り,デザインの全てが異なる24の客室を備えるのに対して,被告旅館はそれぞれ異にするテーマを持った七つの客室を備えており,④原告表示が女性のたおやかな笑顔を象徴するのに対して,被告表示は自然とこぼれる「うふふ」という微笑みを宣伝している。このように,被告らは,被告旅館のコンセプトを原告旅館に似せた上に,原告表示を模倣して,原告表示と称呼及び観念が類似する被告表示を採用したものである。かかる事情も斟酌すると,原告表示と被告表示は類似するというべきである。 〔被告らの主張〕原告表示は「熱海ふふ」であり,被告表示は「月ヶ瀬温泉雲風々 うふふ」又は「雲風々 うふふ月ヶ瀬温泉」である。前記1〔被告らの主張〕のとおり,「ふふ」と「雲風々 うふふ」のみをみても,原告表示と被告表示は類似しない。加えて,原告表示は,「ふふ」を特徴的に大きく表示している。 これらの営業表示は全く類似しない。 なお,原告が上記(4)で主張する諸事情は,流行の高級宿泊施設の特徴をいうものに 告表示は類似しない。加えて,原告表示は,「ふふ」を特徴的に大きく表示している。 これらの営業表示は全く類似しない。 なお,原告が上記(4)で主張する諸事情は,流行の高級宿泊施設の特徴をいうものにすぎないし,被告らが原告表示を模倣して被告表示を被告旅館に付した事実はない。 3 争点(2)イ(原告表示の周知性)について〔原告の主張〕原告旅館が平成19年7月に開業して以来,テレビ,雑誌,インターネット上等で数多く紹介,案内されており,また原告が行った様々な広告宣伝活動の効果もあり,年間販売客数,利用者数,年間売上数等の数字がおおむね伸びて おり,リピーター率が伸びているのであって,原告表示は,開業後5年を経過して,静岡県伊豆地方に所在する高級旅館として旅館宿泊者に相当広く認識されている。この点,需要者は旅行宿泊者や旅行代理店であるところ,旅行宿泊者においては,首都圏に限らず,関西や九州の顧客もいるし,旅行代理店においては「伊豆」「箱根」「湯河原」のように区分するから,地域性においては,同じ伊豆に所在する以上,熱海温泉と月ヶ瀬温泉は同一地域としてみるべきである。したがって,原告表示は周知である。 なお,原告旅館を扱っている旅行代理店は限られているが,それは,既に周知である以上,原告がさらに他の旅行代理店と契約する必要がないからである。 〔被告らの主張〕伊豆地方は日本を代表する温泉地であり,伊豆地方にある温泉地として,「熱海温泉」,「稲取温泉」,「修善寺温泉」,「大川温泉」,「土肥温泉」,「伊東温泉」,「下田温泉」,「伊豆長岡温泉」,「赤沢温泉」,「城ヶ崎温泉」,「熱川温泉」,「天城・湯ヶ島温泉」,「北川温泉」,「大沢温泉」,「堂ヶ島温泉」等に分かれる。原告旅館はこのうちの「熱海温泉」に,被告旅館は「天 」,「伊豆長岡温泉」,「赤沢温泉」,「城ヶ崎温泉」,「熱川温泉」,「天城・湯ヶ島温泉」,「北川温泉」,「大沢温泉」,「堂ヶ島温泉」等に分かれる。原告旅館はこのうちの「熱海温泉」に,被告旅館は「天城・湯ヶ島温泉」に所在する。そして,伊豆半島にある旅館だけみても合計で500軒を数え,原告旅館は,そのうちの一つにすぎない。 したがって,本件商標が,伊豆地方において,需用者である旅館宿泊者に相当広く認識されているということはない。 また,他の旅館には,多数の旅行代理店のパンフレットに掲載されているものがあるが,原告旅館は,一部の旅行代理店が扱っているにすぎない。 したがって,原告表示は周知ではない。 4 争点(2)ウ(誤認混同のおそれの有無)について〔原告の主張〕被告らが被告旅館を開業後,原告旅館を利用する顧客の中で,被告旅館を原告が新しく開業した旅館ではないかと誤認するケースが複数発生している。ま た,旅館サイトの「一休.com」において,原告旅館と被告旅館とが並べて紹介されており,需要者は,原告が新たに被告標章で旅館を開業したと混同誤認するおそれが認められる。 〔被告らの主張〕原告旅館は熱海温泉にあり,被告旅館は天城・湯ヶ島温泉にあり,所在する温泉地を異にする。また,伊豆にある温泉と熱海にある温泉は別の地域として分類されることが多く,交通面でも大きく違いがある。そして,旅行宿泊者にとって,旅館を選択するに当たって重視する点は,当該旅館がどの温泉地にあるかであるから,需要者が混同誤認するおそれは認められない。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件商標と被告標章の類否)について(1) 商標と標章の類否は,対比される標章が同一又は類似の商品・役務に使用された場合に,商品・役務の出所につき誤認 。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件商標と被告標章の類否)について(1) 商標と標章の類否は,対比される標章が同一又は類似の商品・役務に使用された場合に,商品・役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品・役務に使用された標章がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品・役務の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。そして,商標と標章の外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品・役務につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず,したがって,これら3点のうち類似する点があるとしても,他の点において著しく相違することその他取引の実情等によって,何ら商品・役務の出所の誤認混同をきたすおそれの認め難いものについては,これを類似の標章と解することはできないというべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。 以上を前提にして,本件商標と被告標章の類否について検討する。 (2) 本件商標について本件商標は,「ふふ」の平仮名を横書きしてなるものである。なお,本件商標が造語であることは当事者間に争いがない。 (3) 被告標章についてア証拠(甲10,11,乙3,5ないし10,15,41)及び弁論の全趣旨によれば,被告標章は,被告らのカタログ,パンフレット及びインターネット上のホームページにおいて,「雲風々-うふふ-」,「雲風々~うふふ~」ないし「雲風々 ufufu」と表記され,また,雑誌における被告旅館の紹介記事においても「雲風々 うふふ」と表記されるなど, ット上のホームページにおいて,「雲風々-うふふ-」,「雲風々~うふふ~」ないし「雲風々 ufufu」と表記され,また,雑誌における被告旅館の紹介記事においても「雲風々 うふふ」と表記されるなど,「雲風々」との表記の後に「うふふ」又は「ufufu」を併記してなり,「うふふ」のみを表記するものではないこと,「雲風々」の文字部分は漢字の草書体で表記されており,「雲風々 うふふ」においては,当該文字部分の後に平仮名の「うふふ」の文字部分が,「雲風々」の文字部分と比べてかなり小さく表記され,「雲風々 ufufu」においては,「雲風々」の文字部分の後に「ufufu」の文字部分が欧文字で,かつ,「雲風々」の文字部分と比べて小さく表記されているものであること,万葉仮名において「雲」を「う」と表記し,また「風」を「ふ」と表記する場合があること,以上の事実が認められる。 上記認定によれば,被告標章のうち上記「うふふ」という平仮名の文字部分及び上記「ufufu」という欧文字部分は上記「雲風々」という漢字の文字部分の読みを特定する部分として表記されているにすぎないものであると認められるから,被告標章は本来「雲風々」という漢字の文字部分であって,それを「ウフフ」と読ませる標章であると認められる。 イこの点,原告は,被告標章について,その要部は「うふふ」であると主張する。 しかし,そもそも被告標章には「うふふ」の文字部分を含まない「雲 風々 ufufu」があるから,その限りにおいては失当である。 その点をおくとして,上記アの認定事実のとおり,被告標章は,そのうち「雲風々」の文字部分が,漢字で,かつ,かなり大きく表記されるものであること,文字の画数においても「うふふ」若しくは「ufufu」という文字に比べて格段に多いこと,「雲風々」という文字 は,そのうち「雲風々」の文字部分が,漢字で,かつ,かなり大きく表記されるものであること,文字の画数においても「うふふ」若しくは「ufufu」という文字に比べて格段に多いこと,「雲風々」という文字自体,特定の成語ではなく造語と認められることから,需要者が被告標章の「雲風々 うふふ」ないし「雲風々 ufufu」に接したとき,被告標章のうち「雲風々」の文字部分が外観上最も注意を引く部分であると認められる。また,前記のとおり,被告標章のうち,「うふふ」との平仮名の文字部分ないし「ufufu」との欧文字部分は「雲風々」との漢字の文字部分の読みを特定する部分として,上記漢字の文字部分の後に,しかも,その文字部分よりも小さく表記されるものであることを考慮すれば,被告標章は,その構成中最も小さく表記されている「うふふ」との文字部分のみを分離,抽出して観察するのは相当ではなく,「雲風々 うふふ」ないし「雲風々ufufu」を構成全体としてこれを一体不可分のものと観察されるべきである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (4) 本件商標と被告標章の対比ア外観(ア) 本件商標は,平仮名の「ふふ」を横書きしてなるものである。 (イ) これに対し,被告標章は,「雲風々 うふふ」ないし「雲風々ufufu」とから構成されており,前記(3)認定のとおり,いずれの表記においても「雲風々」の文字部分が外観上最も注意を引く部分である。また,後者においては,その構成中に平仮名の文字部分すら含まれていないから,本件商標と当該被告標章は,全体としてその外観が類似するものではないことが明らかである。 (ウ) 以上のとおり,本件商標と被告標章とは,外観において相違する。 イ観念 被告標章は,全体としてその外観が類似するものではないことが明らかである。 (ウ) 以上のとおり,本件商標と被告標章とは,外観において相違する。 イ観念(ア) 本件商標は造語であるから,特定の観念を生ずるものではない。 (イ) この点に関して原告は,本件商標が,やわらかい意味合いを持たせた女性のたおやかな笑顔と笑う仕草といった観念が生じると主張するが,上記のとおり本件商標は造語であって,本件全証拠を精査しても,本件商標が原告の主張するような特定の意味を持つ用語として一般に用いられていることを認めるに足りる証拠はないから,上記のような特定の観念を生じるものと認めることはできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (ウ) 他方,被告標章は,「雲風々」の文字部分が外観上最も注意を引く部分であるところ,「雲風々」は造語であると認められることから特定の観念は生じにくいが,その漢字の意味から「雲」及び「風」との観念が生じるし,また,「うふふ」若しくは「ufufu」の文字部分から,「口をあまり開かないで小さく笑う声」との観念を生じる(岩波書店「広辞苑」第6版)。 (エ) 以上のとおり,本件商標と被告標章とは観念において相違する。 ウ称呼(ア) 本件商標は,平仮名の「ふふ」を横書きしてなるものであるから,「フフ」の称呼を生ずる。 (イ) これに対し,被告標章のうち,「うふふ」との平仮名の文字部分ないし「ufufu」との欧文字部分は,前記認定のとおり,「雲風々」との漢字の文字部分の読みを特定する部分にすぎないと認められるから,全体として「ウフフ」との称呼を生じる。 (ウ) そこで,両者を対比すると,本件商標が「フフ」と2音からなるものであるの 漢字の文字部分の読みを特定する部分にすぎないと認められるから,全体として「ウフフ」との称呼を生じる。 (ウ) そこで,両者を対比すると,本件商標が「フフ」と2音からなるものであるのに対し,被告標章は「ウフフ」と3音からなるものであり,短 い音構成において本件商標より1音多い上,被告標章においては「ウ」の音が称呼において識別上最も重要な要素を占める頭音に位置するものであることから,それが両称呼を比較する際に与える影響を過小に評価することは相当ではない。 (エ) 以上によれば,本件商標と被告標章とは,称呼においても類似すると認めることはできない。 (5) 以上のとおり,本件商標と被告標章とは,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すると類似していると認めることはできない。 よって,原告の商標権侵害に基づく請求は理由がない。 2 争点(2)ア(原告表示と被告表示の類否)について(1) 原告の不競法違反に基づく請求の成否について,まず,原告表示と被告表示の類否を以下検討する。 (2) ある商品等表示が不競法2条1項1号にいう他人の商品等表示と類似するか否かについては,取引の実情のもとにおいて,取引者又は需要者が両表示の外観,称呼又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両表示を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのが相当である(最高裁昭和57年(オ)第658号同58年10月7日第二小法廷判決・民集37巻8号1082頁参照)。 これを前提にして以下検討する。 (3) 原告表示についてア証拠(甲4の1及び2,5ないし9)によれば,原告表示は,「熱海ふふ」と,「熱海」との漢字の文字部分の後に「ふふ」との平仮名の文字部分 を前提にして以下検討する。 (3) 原告表示についてア証拠(甲4の1及び2,5ないし9)によれば,原告表示は,「熱海ふふ」と,「熱海」との漢字の文字部分の後に「ふふ」との平仮名の文字部分を表記してなるものであり,原告において表示するときは,「ふふ」の文字部分が「熱海」の文字部分よりもかなり大きく表記されていることが認められる。 そして,原告表示は,「アタミフフ」の称呼が生じる。 イこの点に関して原告は,原告表示と被告表示の類否を判断するに当たって,原告表示のうち「ふふ」の文字部分を要部としてみるべきである旨主張する。 確かに,上記アの認定のとおり,原告表示のうち「ふふ」の文字部分がかなり大きく,需要者が当該文字部分に着目することは否定できない。 しかし,商品等表示の類否判断においては,前記(2)のとおり取引の実情にも着目すべきであるところ,原告表示及び被告表示はいずれも温泉旅館の表示であり,証拠(乙37,42)によれば,原告旅館は熱海温泉に所在しており,熱海温泉は全国でも有数な湯量を誇る温泉地で,駿河湾に面した海沿いに,ホテルや旅館が立ち並ぶ温泉地であることが,また,証拠(乙37,43,51)によれば,被告旅館は月ヶ瀬温泉に所在しており,月ヶ瀬温泉は伊豆半島中央部の山間に流れる狩野川沿いに位置する天城温泉郷にあり,被告旅館のほかにはホテルや旅館がないことがそれぞれ認められる。 さらに,証拠(甲23の2,24の2,25の2,乙16,18,19,44の1及び2,45の1及び2,46の2)によれば,旅行代理店によるサイトやパンフレットでは,温泉地の旅館を紹介するに当たり,同じ伊豆の地域に所在するものであっても,熱海温泉,伊東温泉,伊豆高原などと温泉地が分類されていることが認められる。 このような事情に照 サイトやパンフレットでは,温泉地の旅館を紹介するに当たり,同じ伊豆の地域に所在するものであっても,熱海温泉,伊東温泉,伊豆高原などと温泉地が分類されていることが認められる。 このような事情に照らすと,一般的に地域名は商品等表示において識別力を有する部分と認めがたいとしても,本件のような旅館の表示については,需要者である旅行宿泊者にとっては,当該旅館がどの温泉地に所在するかという点が,旅館を選択する際に重視される点であるとみるべきである。そして,原告表示には,熱海温泉に所在することを示す「熱海」の文字部分が含まれており,需要者である旅館宿泊者が原告表示を見たとき, 当該文字部分に着目すると認めるのが相当である。 そうすると,原告表示は,被告表示との類否を判断するに当たって,原告表示のうち「ふふ」を要部と認めるのは相当ではなく,その構成部分全体を観察して被告表示と対比するのが相当であり,この判断を覆すに足りる的確な証拠はない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 ウまた,原告は,商標は外観を離れて称呼,観念が主として識別機能を果たしており,原告表示のうち強い識別力があるのは,称呼及び観念であるとして,この点からも原告表示の要部は「ふふ」とみるべきである旨主張するが,証拠(甲4の1及び2,5ないし9,乙17)によれば,旅行代理店が需要者である旅行宿泊者に向けて旅行サイトや旅行パンフレットで原告旅館を紹介するときや,雑誌が原告旅館を紹介するときのみならず,原告がパンフレット(甲4の1)で自ら原告旅館を紹介するときにおいても,「熱海」の文字部分を表記していることが認められ,かかる認定事実に照らすと,原告が顧客獲得のために紙やインターネットといった媒体を通じた表示にも頼っていると認めるのが相当であり,本件にお おいても,「熱海」の文字部分を表記していることが認められ,かかる認定事実に照らすと,原告が顧客獲得のために紙やインターネットといった媒体を通じた表示にも頼っていると認めるのが相当であり,本件における類否判断においては称呼及び観念のみならず,外観も考慮して全体的に考察すべきであるから,原告の上記主張は採用することができない。 (4) 被告表示についてア証拠(甲10,11,乙3,5ないし8)によれば,被告表示は,被告らのカタログ,パンフレット及びインターネット上において,「雲風々-うふふ-月ヶ瀬温泉」,「月ヶ瀬温泉雲風々-うふふ-」又は「tsukigasespaufufu 雲風々~うふふ~」と表記されていることが認められ,かかる認定事実によれば,被告表示は,前記第2の1(2)イに判示した表示であることが認められる。 そして,かかる被告表示は,「月ヶ瀬温泉」という漢字の文字部分を 被告標章の後か前に併記してなり,「雲風々」の文字部分が他の文字部分よりもかなり大きく表記されていることが認められる。 また,前記1(3)記載の認定をも加味すると,被告表示には,「ウフフツキガセオンセン」又は「ツキガセオンセンウフフ」の称呼が生じる。 イそして,被告表示については,原告表示との類否を判断するに当たって,原告表示と同様に,被告表示のうち「うふふ」の文字部分を要部と認めるのは相当ではなく,その構成部分全体を観察して被告表示と対比するのが相当であり,これを覆すに足りる的確な証拠はない。 (5) 原告表示と被告表示の対比ア原告表示は本件商標を,被告表示は被告標章をそれぞれ含むところ,本件商標と被告標章が類似しないことは前記1で判示したとおりである。 さらに,原告表示には「熱海」の文字部分が,被告表示には「月ヶ瀬温泉」ない は本件商標を,被告表示は被告標章をそれぞれ含むところ,本件商標と被告標章が類似しないことは前記1で判示したとおりである。 さらに,原告表示には「熱海」の文字部分が,被告表示には「月ヶ瀬温泉」ないし「tsukigasespaufufu」の文字部分がそれぞれ併記されており,原告表示と被告表示とをそれぞれの構成部分全体を観察して対比すると,外観,称呼及び観念いずれにおいても類似するとは認められない。 イこの点に関して原告は,被告表示の「tsukigasespaufufu 雲風々うふふ」について,その称呼は,「ufufu」の母音「u」が「tsukigase」と「fufu」の間で埋没するから,原告表示の称呼と類似する旨主張する。 しかし,原告の主張は要部認定を誤るものであり,前提において失当である。その点をおくとしても,上記被告表示には「spa」の文字部分が「tsukigase」と「ufufu」の各文字部分の間に存在することから,原告が主張するような称呼が生じることは認めることができず,原告の上記主張は採用の限りではない。 また,原告は,前記第3の3〔原告の主張〕(4)のとおり,被告らは原告が採用した高級旅館としてのコンセプトを取り入れているとして,同項①ないし④の各事情を挙げて,かかる事情も斟酌して,原告表示と被告表 示は類似するというべきであると主張する。 しかし,前記(2)のとおり商品等表示の類否判断は,取引の実情を考慮するものとはいえ,取引者又は需要者が両表示の外観,称呼又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両表示を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するものであり,それ自体は商品等表示ではない旅館の設備・構造・様式や運営方針あるいはイメージといった旅館そのものの特徴の類似性を斟 体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するものであり,それ自体は商品等表示ではない旅館の設備・構造・様式や運営方針あるいはイメージといった旅館そのものの特徴の類似性を斟酌するのは相当ではないから,原告の上記主張は採用できない。 ウしたがって,原告表示と被告表示は,類似しているということはできない。 (6) よって,原告表示と被告表示とはそもそも類似しないから,その余の点について判断するまでもなく,原告の不競法違反に基づく請求は理由がない。 3 結論以上によれば,原告の本訴請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林 保 裁判官 今井弘晃 裁判官 実本滋 (別紙)旅館目録 所在地静岡県伊豆市<以下略>旅館名 「雲風々」(うふふ) (別紙)商標権目録 登録番号第5162671号出願日平成19年7月13日登録日平成20年8月29日登録商標 指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分第43類宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,会議・集会のための施設の提供 会のための施設の提供
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