令和4(わ)1588 建造物侵入、窃盗未遂、建造物損壊、器物損壊

裁判年月日・裁判所
令和4年12月8日 大阪地方裁判所
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判決文本文1,968 文字)

- 1 - 主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実) 被告人は、第1 窃盗の目的で、令和4年3月1日午前3時14分頃、A事務所所長Bが看守する大阪府高槻市(住所省略)所在の同事務所に、1階東側窓ガラスの施錠を外すなどして侵入し、その頃、同事務所内において、キャビネットの扉を開けるなどして物色したが、警報機が発報したことにより逃走したため、窃盗の目 的を遂げなかった、第2 正当な理由がないのに、同年4月5日午前2時7分頃から同日午前2時37分頃までの間に、C学園中等部高等部学校長Dが看守する大阪府茨木市(住所省略)同学園敷地内に、南西側フェンスを乗り越えて侵入し、その頃、同学園が所有する同学園建物1階ピロティにおいて、同所に置かれていた段ボールに 火を点け、その火力により同建物床面に固定されたビニル床シートを焼損させ(損害見積額合計29万400円)、もって他人の建造物を損壊した、第3 正当な理由がないのに、同年5月4日午前2時35分頃、E会F会館事務長Gが看守する大阪市(住所省略)同会館敷地内に侵入し、その頃、同所において、E会が所有する同会館1階北東側窓ガラスにコンクリートブロックを投げ 付けて同窓ガラス2枚を割り(損害見積額合計18万4800円)、もって他人の物を損壊したものである。 (証拠の標目)【省略】 (法令の適用)- 2 -【省略】(量刑の理由)本件は、①特定の政党に所属する元衆議院議員(当時)の事務所に侵入して事務所内を物色し(判示第1)、②特定の国籍の者らを含む生徒を受け入れる中学校及び高等学校の敷地に侵入し、段ボールに火を点けて建造物のビニ ①特定の政党に所属する元衆議院議員(当時)の事務所に侵入して事務所内を物色し(判示第1)、②特定の国籍の者らを含む生徒を受け入れる中学校及び高等学校の敷地に侵入し、段ボールに火を点けて建造物のビニル床シートを損壊し (判示第2)、③宗教団体の施設の敷地に侵入して同施設の窓ガラスを割った(判示第3)というものである。 被告人は、いずれも下見の上、顔を隠すためのサングラス等を用意して深夜に犯行に及んだものであって、一定の計画性が認められる。本件各犯行がわずか2か月余りの間に立て続けになされたことや、判示第2の犯行が火力を用いた危険な態様 で行われたことも看過できない。判示第2及び第3の各犯行による被害は合計で約47万円に及んでいるし、判示第1の犯行によっても金銭的な被害が発生しているから、犯行の結果は相応に重い。犯行によって被害者やその関係者が強い不安感を抱くことは想像に難くなく、判示第2の被害者代表者が公判廷において強い被害感情を表すことも当然である。 被告人の供述によれば、被告人は、SNSの書込みを閲覧するなどするうちに、特定の政党や特定の宗教団体が支持している政党が我が国に対して害悪をもたらす、あるいは特定の国がミサイルを発射し又は農作物を詐取したことなどから、日本に居住する同国籍の者を放置すると国民が危険にさらされる、などと考え、嫌がらせをするためにその関係者の名簿を入手する目的、あるいは嫌がらせの目的で本件各 犯行に及んだというのである。しかしながら、他者が自らと異なる政治的な意見等を有していることは自由民主主義社会では当然のことであるし、それに対して嫌がらせをしたり、暴力的な手段をもって対抗することは許されない。仮に特定の国の者が何らかの不正をしたとしても、同じ国籍だからといって無関係の者がその責 主主義社会では当然のことであるし、それに対して嫌がらせをしたり、暴力的な手段をもって対抗することは許されない。仮に特定の国の者が何らかの不正をしたとしても、同じ国籍だからといって無関係の者がその責めを負ういわれはない。そもそも、これらの者が我が国に害悪をもたらすなどという 被告人の考え自体、根拠のない情報に基づくものである。犯行は歪んだ正義感に基- 3 -づく独善的なものであって、犯行に至る経緯、動機に酌量の余地は全くない。 そうすると、被告人の刑事責任は到底軽視することができない。 他方、被告人が、犯行を認め、身柄拘束を通じて一定の反省の言葉を述べるに至っていること、判示第1の窃盗の犯行は未遂に終わったこと、判示第3の被害者との間で示談がなされていること、父親が監督を約束していること、被告人に前科の ないことなど、被告人に有利に斟酌すべき事情もあると認められる。 そこで、以上の事情を考慮し、被告人に対して主文の刑を定めた。 (求刑懲役3年)令和4年12月19日大阪地方裁判所第12刑事部 裁判官梶川匡志

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