- 1 -令和7年6月25日判決言渡令和7年(ネ)第10001号特許使用料請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和6年(ワ)第70106号)口頭弁論終結日令和7年4月23日判決 控訴人アキシオン株式会社 被控訴人アキシオン・トーキョー株式会社 同訴訟代理人弁護士市川 穣主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、600万円を支払え。 第2 事案の概要等(略語は原判決の例による。) 1 事案の概要本件は、控訴人が、被控訴人に対し、本件各特許権(本件特許権1~3の総称)について控訴人が被控訴人に通常実施権を許諾する旨の契約(本件契約)に基づき、令 和6年1月分から同年3月分までの実施許諾料合計600万円の支払を求める事案 - 2 -である。 原判決は、控訴人の債務不履行を原因として本件契約を解除した旨の被控訴人の抗弁を認めて、控訴人の請求を棄却した。 控訴人は、原判決を不服として控訴を提起した。 2 前提事実及び争点 原判決「事実及び理由」の第2の2及び3(1頁26行目~3頁21行目)に記載のとおりであるからこれらを引用する。 第3 争点についての当事者の主張次のとおり当審における当事者の補充主張を付加するほかは、原判決「事実及び理由」の第3(3頁22行目~4頁26行目)に記載のとおりであるからこれらを引用 する。 1 当審における控訴人の補充主張(1) 控訴人が、本件特許権1及び3について、被控訴人のために通常実施権を許諾する権限を取 ~4頁26行目)に記載のとおりであるからこれらを引用 する。 1 当審における控訴人の補充主張(1) 控訴人が、本件特許権1及び3について、被控訴人のために通常実施権を許諾する権限を取得できていないとしても、控訴人は、別の特許権2件について特許権者から専用実施権の設定を受けた。そして、被控訴人は、その事業計画書において、本 件特許権2のほか、上記別の特許権2件を記載し、他方で本件特許権1及び3は記載していないから、本件特許権1及び3の使用を予定していないことが明らかである。 そうすると、本件特許権1及び3に関する被控訴人の主張は、本件許諾料の支払を免れ、また控訴人との事業協力関係を解消するためにする主張にすぎないから、控訴人に債務不履行はなく、本件契約の解除は認められない。 (2) 本件契約の契約書7条には、「本日締結した上記特許専用実施権契約に於いてアキシオン社が特許庁への登録保全が出来ない瑕疵の特許や特願の存在する売買契約である事をソフケン社及びアキシオン社、アキシオン・トーキョー社は認知する。」とあり、同条は、控訴人が本件各特許権について被控訴人に対する通常実施権の許諾ができなかったとしても、控訴人の債務不履行とはならない旨を規定したものと解す べきである。したがって、控訴人に債務不履行はなく、本件契約の解除は認められな - 3 -い。 (3) 本件契約の契約書3条には、「アキシオン・トーキョー社の通常実施権料の支払い期間の定め及びロイヤリティ料に付いては別途アキシオン社アキシオン・トーキョー社間に於いて協議して定める。」とあるから、被控訴人は、控訴人と協議をするべきであって、一方的に契約を解除することは許されない。 2 被控訴人の反論控訴人の補充主張はいずれも争う。 第4 間に於いて協議して定める。」とあるから、被控訴人は、控訴人と協議をするべきであって、一方的に契約を解除することは許されない。 2 被控訴人の反論控訴人の補充主張はいずれも争う。 第4 当裁判所の判断当裁判所も、控訴人が本件特許権1及び3について特許権の共有者から被控訴人のために通常実施権を許諾する権限を取得しないことは、本件契約上の債務不履行に当 たり、被控訴人による催告及び解除の意思表示によって本件契約は解除されたから、控訴人による本件契約に基づく本件許諾料の支払請求は理由がないと判断する。 その理由は、次のとおり当審における当事者の補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決「事実及び理由」の第4(5頁1行目~6頁21行目)に記載のとおりであるからこれを引用する。 1 当審における控訴人の補充主張について(1) 控訴人は、控訴人が本件特許権1及び3とは別の特許権2件について特許権者から専用実施権の設定を受けたことや、被控訴人が事業計画書に本件特許権1及び3を記載していないことなどから、被控訴人の主張は、本件許諾料の支払を免れ、また控訴人との事業協力関係を解消するためにする主張にすぎないから、控訴人に債務不 履行はないと主張する。 しかし、本件契約の契約書(甲2の1)では、「ソフケン社が権利者であり現在アキシオン社へ付与されている特許通常実証権(判決注:「実施権」の誤記と解される。)フルボ酸製造方法特許第5354633号・第6331206号・第6559621号」(1条)、「現在ソフケン社が付与する上記特許通常実施権…を本日特許専用実施 権としてアキシオン社へ総額4000万円…として売買する。アキシオン社は…アキ - 4 -シオン・トーキョー社へ通常実施権を付与する。アキシオン社か 許通常実施権…を本日特許専用実施 権としてアキシオン社へ総額4000万円…として売買する。アキシオン社は…アキ - 4 -シオン・トーキョー社へ通常実施権を付与する。アキシオン社からの許諾料は月額200万円(消費税込)として毎月アキシオン社へ送金して支払う。」(3条)と、本件特許権2に加え、本件特許権1及び3が許諾の対象として明確に特定されているのであるから、控訴人が別の特許権2件について特許権者から専用実施権の設定を受けたからといって、当然に本件特許権1及び3に係る控訴人の債務不履行が解消されるわ けではない。被控訴人の事業計画書に本件特許権1及び3の記載がないという点については、仮にそのような事実が認められるとしても、これをもって、被控訴人が控訴人の債務不履行責任を免除したなどと解することはできない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 (2) 控訴人は、本件契約の契約書7条は、控訴人が本件各特許権について被控訴人 に対する通常実施権の許諾ができなかったとしても、控訴人の債務不履行とはならない旨を規定したものと解すべきと主張する。 しかし、同条は、本件各特許権や現在特許出願中の特許を受ける権利について、何らかの理由により特許登録原簿への登録ができず、又は特許出願が拒絶され得ることを注意的に規定したにとどまり、本件各特許権の実施許諾及びその対価の支払を主た る内容とする本件契約において、実施許諾が実現しなかった場合に控訴人の債務不履行責任を否定する趣旨の規定と解することは困難である。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 (3) 控訴人は、本件契約の契約書3条に基づき、被控訴人が一方的に契約を解除することは許されないと主張する。 しかし、同条は、許諾料 たがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 (3) 控訴人は、本件契約の契約書3条に基づき、被控訴人が一方的に契約を解除することは許されないと主張する。 しかし、同条は、許諾料の支払期間の定め及びロイヤリティ料について別途協議することを規定するにとどまり、債務不履行による法定解除権の行使を禁ずる趣旨の規定と解することは困難である。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 2 結論 以上のとおり、控訴人の請求には理由がないから、これを棄却した原判決は相当であり、本件控訴には理由がない。 よって、本件控訴を棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官 本多知成 裁判官 伊藤清隆 裁判官 天野研司
▼ クリックして全文を表示