主文 1 被告らは,原告に対し,連帯して628万4163円及び別表1の各「対象となる金額(円)」欄記載の金員に対する各「起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告株式会社セイコーフレッシュフーズは,原告に対し,6億9159万18 22円及び別表2の各「対象となる金額(円)」欄記載の金員に対する各「起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,原告と被告株式会社セコマ及び被告セイコーマートの間においては,これを100分し,その3を被告セコマ及び被告セイコーマートの,その余 を原告の各負担とし,原告と被告株式会社セイコーフレッシュフーズとの間においては,これを10分し,その4を被告株式会社セイコーフレッシュフーズの,その余を原告の各負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求被告らは,原告に対し,連帯して,18億7800万6099円及び別表3の各「対象となる金額(円)」欄記載の金員に対する同右欄記載の各「起算日」から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,原告が,①被告株式会社セコマ(以下「被告セコマ」という。)と米取引の基本契約(製造委託契約及び売買契約)を,被告株式会社セイコーフレッシュフーズ(以下,「被告フーズ」といい,被告セコマと被告フーズを併せて「被告セコマら」という。)と上記基本契約に基づく個別契約をそれぞれ 締結したところ,被告セコマらが,これらの契約上,契約所定の場合以外は商 品を返品してはならない債務を負っていたにもか て「被告セコマら」という。)と上記基本契約に基づく個別契約をそれぞれ 締結したところ,被告セコマらが,これらの契約上,契約所定の場合以外は商 品を返品してはならない債務を負っていたにもかかわらず,被告フーズが,被告セコマの指示の下,契約所定の場合に当たらないのに,商品である米を返品し,返品分の代金を支払わず,あるいは,原告に同代金を返金させたのは,被告セコマらの共同不法行為及び上記債務の不履行に当たり,これらにより,原告が返品された商品の代金相当額及び返金額の損害を被り,②被告セコマらは, 上記返品に関する合意が存在せず,又は無効であり,上記代金相当額及び返金額が原告に帰属することを知りながら,これらの金額を不当に利得し,原告に同額の損失を負わせ,③その後,吸収分割により,被告セコマの原告に対する債務は,被告株式会社セイコーマート(以下「被告セイコーマート」といい,被告セコマ及び被告フーズと併せて「被告ら」という。)に承継され,併せて, 被告セコマが被告セイコーマートに承継された上記債務の重畳的債務引受けをしたと主張して,被告フーズ及び被告セイコーマートに対し,選択的に,共同不法行為に基づく損害賠償請求権,債務不履行に基づく損害賠償請求権及び不当利得返還請求権に基づき,平成14年12月から平成25年3月までに返品した商品に係る代金相当額及び返金額の合計18億7800万6099円並び にこれに対する遅延損害金又は悪意の受益者に対する利息金の連帯支払を,上記重畳的債務引受けをした被告セコマに対し,上記各請求権に基づき,同額及びこれに対する遅延損害金又は上記利息金の他の被告らとの連帯支払を,それぞれ求めた事案である。 2 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠〔証拠番号については,特に付 記しない限り 額及びこれに対する遅延損害金又は上記利息金の他の被告らとの連帯支払を,それぞれ求めた事案である。 2 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠〔証拠番号については,特に付 記しない限り,枝番全てを含む。以下同じ。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者(争いのない事実,丙1ないし3,弁論の全趣旨)ア原告原告は,茨城県に本社を置く米卸売業者である。原告の代表取締役は, 平成25年3月30日まではA,同月31日から平成28年8月31日ま では同人及び同人の三男であるB,同年9月1日以降はA,B,Aの長男であるC及びDである。 原告の資本金の額は1000万円である。 イ被告セコマ被告セコマ(旧商号株式会社セイコーマート。以下,平成28年4月 1日付け商号変更の前後を通じて「被告セコマ」という。なお,被告セイコーマートとは別会社である。)は,北海道を中心に,フランチャイザーとしてコンビニエンスストアであるセイコーマートを展開し,上記吸収分割まで,セイコーマートの経営に関わる関連会社からなるセイコーマートグループにおいて中核的,主導的地位にあった。 被告セコマの資本金の額は4億2804万6500円である。 被告セコマは,平成29年11月1日,同被告を分割会社,被告セイコーマート(同年9月13日設立)を承継会社とする吸収分割により,その一切の事業(ただし,株式を保有する会社に対する支配又は管理及びグループ運営に関する事業並びに資産管理業務を除く。)に関する権 利及び義務を被告セイコーマートに承継させると同時に,その吸収分割契約により,被告セイコーマートへと承継させた義務を重畳的に引き受け,同義務について被告セイコーマートと連帯して履行する責任を負った。 被告 を被告セイコーマートに承継させると同時に,その吸収分割契約により,被告セイコーマートへと承継させた義務を重畳的に引き受け,同義務について被告セイコーマートと連帯して履行する責任を負った。 被告セイコーマートの資本金の額は1000万円である。 ウ被告フーズ被告フーズは,昭和15年6月25日に成立し,昭和52年12月20日の商号変更を経て,平成21年4月1日付けで,旧商号株式会社丸ヨ西尾から,現在の商号へと変更した(以下,商号変更の前後を通じて「被告フーズ」という。)。同被告は,セイコーマートグループに属し,卸売業 者から商品を仕入れ,これをフランチャイジーである加盟店(コンビニ店 舗)に販売している。 同被告の資本金の額は,平成14年8月27日時点で4億3964万円であり,平成24年10月1日に4億9263万8750円に変更された。 エ被告セコマと被告フーズの機能分担セイコーマートグループにおいては,被告セコマが本部的機能を担い, 商品の採否,規格,価格等の重要な取引条件を交渉し,それに従って,被告フーズ等の関連企業が細目を交渉するという機能分担をしていた。 ⑵ 取引の概要ア時期原告は,平成8年6月1日,被告セコマらに対する米の卸売を開始し, 平成25年3月までその取引を継続した(以下「本件取引」という。ただし,契約の性質及び相手方については争いがある。)。 イ商品本件取引においては,次の各商品の取引がされた。 RB米 RB米とは,セイコーマート加盟店において一般消費者向けに主食用米として小売するために,茨城県産コシヒカリ等を精米の上,一般消費者が購入しやすい量に小分けして包装して販売する米であり,被告らのプライベートブランド商品(被告らが商品の仕様を決定 費者向けに主食用米として小売するために,茨城県産コシヒカリ等を精米の上,一般消費者が購入しやすい量に小分けして包装して販売する米であり,被告らのプライベートブランド商品(被告らが商品の仕様を決定し,被告らのブランドで販売する商品)である(RB米取引の契約の性質については争 いがある。)。 もち米もち米とは,セイコーマート加盟店において一般消費者向けに主食用米として小売するために,もち米を精米の上,一般消費者が購入しやすい量に小分けして包装して販売する米であり,原告のナショナルブラン ド商品(原告が商品の仕様を決定し,原告のブランドで販売する商品) である。もち米の取引は売買契約による。 HC用米HC用米とは,セイコーマート加盟店における店内調理(調理された食品は「ホットシェフ」シリーズとして販売される。)に使用される米であり,原告のナショナルブランド商品である(HC用米取引の契約の 性質については争いがある。)。 ウ契約書の作成状況平成15年10月1日付け製造委託基本契約書(甲3)a 原告及び被告セコマは,RB米に係る本件取引に関し,平成15年10月1日付けで「製造委託基本契約書」と題する契約書(甲3。以 下「平成15年基本契約書」という。)を作成した。同契約書では,「甲(製造委託者)」として被告セコマを,「乙(製造受託者)」として原告を表示し,以下のbないしdを含む契約内容が定められた。 b 平成15年基本契約書の目的は,被告セコマから原告への被告セコマのプライベートブランド商品の製造委託に関する基本的事項を定め ることであるとされており(1条),原告と被告セコマのみならず,同製造委託に関連して,被告セコマの指定により原告と取引することになる者に対し トブランド商品の製造委託に関する基本的事項を定め ることであるとされており(1条),原告と被告セコマのみならず,同製造委託に関連して,被告セコマの指定により原告と取引することになる者に対しても適用されることとされている(2条)。 c 平成15年基本契約書には,被告セコマから原告に対し納入された商品を返品できる場面として,引渡し時の検品において品名違い,外 観・荷姿の異常等がある場合(7条)のほか,引渡し後について,滅失・毀損・変質が原告の責めに帰すべき事由による場合(8条1号)又は性質上,引渡し以前に生じた事由によると見られる場合(同条2号),商品が被告セコマ指定の原材料,製法,品質基準,衛生・安全基準,表示基準等を満たさないことが判明した場合(同条3号),商 品に異物混入,食品衛生に関する法令及び行政指導への違反,表示の 誤り等があった場合(同条4号)が,被告セコマが加盟店から商品を回収する場合について,上記8条各号のいずれかに該当する場合のほか,取引通念に照らして,商品の異常の内容が再販売し得るだけの商品価値を失わせたと判断できる場合,商品特性に照らして,再販売可能な時期が商品の販売に適した時期を逸すると判断できる場合(23 条2号),監督官庁から販売自粛要請又は販売中止命令等がされた場合(同条3号),原告が製造に必要な許認可を取り消された場合(同条4号),商品の異常の原因が製造工程にある蓋然性が高い場合であって同一製造ライン又は同一工場で製造された場合(24条)がそれぞれ定められているが,このほかには返品が可能となる条件を定めた 条項はない。 d 平成15年基本契約書では,原告が毎月末日までの納入分について請求書を作成し,被告セコマが翌月末日までに同請求書記載の請求額を支払うこととされて が可能となる条件を定めた 条項はない。 d 平成15年基本契約書では,原告が毎月末日までの納入分について請求書を作成し,被告セコマが翌月末日までに同請求書記載の請求額を支払うこととされている一方,被告セコマは原告に対して有する金銭債権をもって上記代金請求権と対当額において相殺することができ るとされている(10条)。 e 平成15年基本契約書に係る契約の存続期間は,同年10月1日から平成16年9月30日までの1年間(ただし,同契約を基礎とした他の契約の存続期間の方が長い場合にはそれによる。)とされ(39条),期間満了日の1月前までに当事者の一方から契約条項の変更又 は終了の申出がない限り,同一内容で1年間更新し,以後同様にするものとされた(40条)。 平成24年5月22日付け商取引基本契約書(甲9)a 原告及び被告フーズは,本件取引に関し,平成24年5月22日付けで,「商取引基本契約書」と題する契約書(甲9。以下「平成24 年基本契約書」という。)を作成した。同契約書では,「売主」とし て原告を,「買主」として被告フーズを表示し,以下のbないしeを含む契約内容が定められた。 b 平成24年基本契約書の目的は,原告と被告フーズの継続的な売買であるとされている(1条)。 c 平成24年基本契約書には,被告フーズから原告に対し納入された 商品を返品できる場面として,引渡し時の検品において外観上の破損等がある場合(5条3項),被告フーズの責めに帰すべき事由によらずに商品の引渡し完了前に商品の滅失,毀損,減量,変質を生じた場合(7条1項前段),検品完了後1年以内に検品時において容易に発見できない瑕疵を発見した場合(8条1項),被告フーズ が加盟店から商品を回収する場合について,品質に異常が 減量,変質を生じた場合(7条1項前段),検品完了後1年以内に検品時において容易に発見できない瑕疵を発見した場合(8条1項),被告フーズ が加盟店から商品を回収する場合について,品質に異常がある場合(12条1項,16条),商品が規格基準書の仕様・条件等に合致しないことが判明した場合(13条1号),商品に異物混入,食品衛生に関する法令や行政指導への違反,表示の誤り等があった場合(同条2号),監督官庁から販売自粛要請又は販売中止命令等が出 された場合(同条3号),商品の異常の原因が原告の製造・運搬・保管工程にある蓋然性が高く,異常のある商品と同一の工場で生産された同種商品である場合(14条2項)が定められているが,このほかには返品が可能となる条件を定めた条項はない。 d 平成24年基本契約書では,原告が毎月末日までの納入分について 支払予定明細表を作成し,被告フーズが翌月末日までに同支払予定明細表記載の請求額を支払うこととされている一方,被告フーズは原告に対して有する金銭債権をもって上記代金請求権と対当額において相殺することができるとされている(9条)。 e 平成24年基本契約書に係る契約の存続期間は契約締結日から1年 間とされ,期間満了3月前までに,売主又は買主のいずれからも契約 を終了させる旨の書面による通知がないときは,同一の条件により1年間更新し,以後同様にするものとされた(3条)。 エ瑕疵返品の許容本件取引では,瑕疵返品(米の品質不良,米袋のシール不良・破れ・印字不良などを理由とする返品)は許容されていた(争いのない事実)。 ⑶ 返品ア原告は,本件取引開始以来,被告セコマらから(契約の相手方に争いがあるため,返品の主体にも争いがある。),RB米,もち米及びHC用米の返品を 容されていた(争いのない事実)。 ⑶ 返品ア原告は,本件取引開始以来,被告セコマらから(契約の相手方に争いがあるため,返品の主体にも争いがある。),RB米,もち米及びHC用米の返品を継続して受けていた(以下,これら返品された米を総称して「返品米」という。)。 イ上記アの返品に係る清算は,平成22年7月までは,被告フーズが原告から請求された代金から返品米に係る代金を控除した残額を支払う方法により,同月以降は,被告フーズが原告から請求された代金全額を支払った上で,原告が被告フーズに対し,返品米に係る代金を返金する方法により清算していた(以下,返品米に係る代金減額ないし返金の金額を「返品金 額」という。)。 ウ返品,返金等の名義返品の主体には争いがあるが,返品及び返品分を減額した代金支払は被告フーズの名義で行われ,原告による返金の宛先も被告フーズの名義とされていた。 ⑷ 公正取引委員会の対応,訴訟提起ア原告は,平成25年4月26日,公正取引委員会(以下「公取委」という。)に対し,被告フーズが,平成14年12月から平成25年3月までの間,下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)に違反するプライベートブランド商品の返品を行った旨報告した(甲1)。 イ公取委は,平成28年3月16日付けで,被告フーズに対して,同被告 は,平成24年7月から平成25年6月までの間,原告に対し,原告から商品を受領した後,原告の責めに帰すべき理由がないのに,商品を引き取らせており,これが下請法4条1項4号に掲げる行為に該当し,同項の規定に違反するものであるとして,原告に対して返品分の下請代金相当額として385万1359円を支払うとともに,その他所要の改善措置を採る こと,及び,今後,同様 4号に掲げる行為に該当し,同項の規定に違反するものであるとして,原告に対して返品分の下請代金相当額として385万1359円を支払うとともに,その他所要の改善措置を採る こと,及び,今後,同様の行為を行わないことを指導した(乙58)。 ウ被告フーズは,平成28年4月15日を振込指定日として,原告に対し,上記イの385万1359円を送金した(乙59)。 3 争点本件の争点は,以下のとおりである。 ⑴ RB米及びHC用米の各取引の契約の性質(争点1)⑵ 被告セコマらが,返品しないという債務を負い,返品による利得を得ていたか(争点2)⑶ 返品の適法性(争点3)⑷ 損害及び利得の額(争点4) ⑸ 消滅時効の成否(争点5) 4 争点に関する当事者の主張 争点1(RB米及びHC用米の各取引の契約の性質)について(原告の主張)RB米取引は製造委託契約,HC用米取引は売買契約によるものである。 (被告らの主張)RB米取引は売買契約,HC用米取引は製造委託契約によるものである。 争点2(被告セコマらが,返品しないという債務を負い,返品による利得を得ていたか)について(原告の主張) ア債務の主体 原告は,平成8年6月に被告セコマとRB米取引のための基本契約を締結して以来,同基本契約に基づき,毎年及び毎月,被告フーズとRB米取引のための個別契約を締結した。これらの契約においては,平成15年基本契約書及び平成24年基本契約書所定の場合以外は返品をしない旨合意されていた。よって,被告セコマらのいずれも,契約上,契約所定の場合 以外は返品をしないという債務を負っていた。 イ利得の所在被告フーズが返品米に係る代金相当額及び返金額(返品金額)を直接利 れていた。よって,被告セコマらのいずれも,契約上,契約所定の場合 以外は返品をしないという債務を負っていた。 イ利得の所在被告フーズが返品米に係る代金相当額及び返金額(返品金額)を直接利得したことはもとより,これはセイコーマートグループ全体の利益となるから,被告セコマにも同額の利得がある。 (被告らの主張)ア債務の主体原告と契約関係にあったのは被告フーズのみであるから,仮に原告が主張する債務が存在するとしても,これを負うのは被告フーズのみである。 イ利得の所在 返品により返品米に係る代金の支払を免れ,あるいは原告から返金を受けた被告フーズに利得があるとしても,被告セコマに利得はない。 争点3(返品の適法性)についてア瑕疵返品(被告らの主張) 納入米の瑕疵を理由とする返品(以下「瑕疵返品」という。)は,契約上及び下請法上許容されており,適法である。RB米及びもち米については,返品米のうち納入米の約1%に相当する量が瑕疵返品である。また,平成17年に取引された低価格ブレンド米(RB米)7.5tの返品は全て瑕疵返品である。HC用米の返品は全て瑕疵返品である。 (原告の主張) 契約上及び下請法上,瑕疵返品が許容されていることは争わないが,被告セコマらは,瑕疵の有無に応じて返品していたわけではないから,瑕疵返品はない。また,瑕疵返品がなかったことは,公取委が被告フーズに対して支払を指導した未払代金額には瑕疵返品分は含まれていないはずであるところ,本件訴訟において原告が主張する返品金額のうち北 海道における取引からの返品金額が上記未払代金額と対応する時期についてほぼ同額であること,また,被告らが返品米の再販売が可能である旨主張していることから明ら いて原告が主張する返品金額のうち北 海道における取引からの返品金額が上記未払代金額と対応する時期についてほぼ同額であること,また,被告らが返品米の再販売が可能である旨主張していることから明らかである。 仮に瑕疵返品が全くなかったわけではないにしても,本件取引における瑕疵返品率は,高くても,米取引における一般的な瑕疵返品率(1. 9%)と同程度というべきである。 イ本件返品合意の成否(被告らの主張)総論RB米及びもち米の取引においては,原告と被告フーズとの間で,平 成8年の取引開始時から,返品に関し,セイコーマート加盟店の店頭商品として精米日から30日を経過した商品(以下「販売期限切れ返品」という。),被告フーズの在庫として精米日から10日を経過した商品(以下「出荷期限切れ返品」といい,販売期限切れ返品と併せて「期限切れ返品」という。)及び新米切替え時の旧米(以下「旧米返品」とい う。)について,被告フーズに解除権を留保する合意(以下「本件返品合意」という。)がされていた。また,仮に同年における同合意の成立が認められないとしても,遅くとも平成11年9月までには同合意が成立した。 本件返品合意の存在は,事情から推認できる。 取引開始時の原告及び被告セコマらの言動 原告は,平成8年6月の本件取引開始当時,被告セコマらに対し,本件返品合意の存在を前提に,返品量を抑えるべく賞味期限の短縮を要望した。また,原告は,同年7月ないし同年11月の本件取引開始直後,約5tないし10tの返品(返品率は約10%ないし20%)があったにもかかわらず,被告セコマらに対して異議を述べるどころか問合せも しなかった。被告セコマらにおいても,返品米の取扱いをめぐる混乱はなかった。これ の返品(返品率は約10%ないし20%)があったにもかかわらず,被告セコマらに対して異議を述べるどころか問合せも しなかった。被告セコマらにおいても,返品米の取扱いをめぐる混乱はなかった。これらの事情は,本件取引開始前から本件返品合意が成立しており,返品が予定されていたことを推認させる。 取引開始後の返品の継続a 原告が返品に異議を述べてこなかったこと 原告は,返品量を問題にすることはあっても,返品自体を問題にしたことはなかったところ,長年にわたって本件取引を継続したものであり,その間ずっと異議を述べることができなかったとは考え難い。 また,原告が長年にわたって本件返品合意に対する異議を述べず,また,本件取引から相応の利益を得ていたことに鑑みれば,原告は本件 返品合意を受け入れたものと認定するのが当事者間の信義則に合致する。 b 原告が返品に異議を述べられない事情はなかったこと原告は,被告セコマらが原告に対して圧倒的に優位であるために,本件返品合意に関して異議を述べることなどはできなかったと主張す る。 しかし,被告セコマらは,平成8年当時,米取引に関する知識がなく,原告から助言をもらう立場であり,また,平成10年までは米の全量を,平成15年までは米の90%を原告から仕入れており,原告に取引を拒否されれば小売事業が大きく混乱する状況にあり,原告と の取引を継続しなければならない立場にあった。 他方,原告は,平成8年には,販売先を日本全国に求め得る立場にあり,一大需要地である首都圏に立地する中規模卸売業者として,それなりの販路を有し,更なる販路拡大のために積極的に活動していたのであり,平成9年には,L会社との間で返品条件を付さずに取引していた上,ほかにも取引先があり,少なくとも平成1 規模卸売業者として,それなりの販路を有し,更なる販路拡大のために積極的に活動していたのであり,平成9年には,L会社との間で返品条件を付さずに取引していた上,ほかにも取引先があり,少なくとも平成16年までは被告 セコマら以外にも大口の取引先を有しており,安定的に十分な売上高を確保していた。原告の売上に占める被告セコマらへの売上の割合は,平成19年で17.56%,平成20年で27.56%にすぎず,月ごとに見ても単月で90%を超えた月はなく,原告の年間販売量は,M会社が約6000t,L会社が約2500tであったのに対 し,被告セコマらへのRB米販売量は,平成8年で約1000t,平成9年で約2000t,平成10年で約2500tにすぎなかった。 したがって,特に,本件取引開始後の数年間においては,原告は,経営の根幹に影響を及ぼすことなく本件取引から撤退できた。 以上によれば,原告には被告セコマらと不利な条件で取引する必要 がなく,他方,被告セコマらは原告と取引する必要があったものであり,被告セコマらが原告に対して優位にあったということはない。このことは,被告セコマらが原告からの要請を受け入れて,平成15年の米不足の際に旧米返品を中止したことや,平成16年に低価格ブレンド米について返品条件を外したことからも明らかである。 取引終了後のBの発言Bは,本件返品合意終了後である平成25年8月28日の被告セコマ担当者との商談において,同年産米については返品条件がないことを確認した。これは,裏返せば,同年以前は返品条件があったことを推認させる。 合意書面の不存在 原告は,平成15年基本契約書(甲3)に本件返品合意が記載されていないことから,本件返品合意の不存在を主張する。しかし,同契約書は を推認させる。 合意書面の不存在 原告は,平成15年基本契約書(甲3)に本件返品合意が記載されていないことから,本件返品合意の不存在を主張する。しかし,同契約書は,当時,食の安全の問題が社会の耳目を集めていたことに鑑みて,同問題に対処することのみを目的として作成されたものであるから,同契約書に本件返品合意が記載されていないことをもって本件返品合意の不 存在を推認することはできない。また,公取委は,返品合意の存否について,下請法上のいわゆる3条書面に記載があるか否かを判断基準としているが,これは民法上求められている方式ではないから,3条書面に記載がないとしても本件返品合意が存在しないことにはならない。 商慣習に照らして一般的な合意であること 平成8年当時,米卸売業者の77.5%が本件返品合意と同様の返品合意を受け入れていたように,本件返品合意は商慣習に照らして一般的な合意である。 原告にとって経済合理性があること上記商慣習の存在及び次のaないしcの各事情から明らかなとお り,本件返品合意は米卸売業者にとって経済合理性のある合意である。 a 取引量の増加及び安定化本件返品合意により被告セコマらの仕入れが促進される結果,原告においては大量かつ安定的な取引量を確保できるようになる。それにより,農家からの直接の仕入れが可能になり,仕入れコストも抑える ことができるようになる。実際に,原告は,被告セコマらとの取引により取引量を順調に拡大させており,経営状況は良好であった。そのため,Aは,返品量が増えてでも納入量を増やすことを優先していた。 また,原告は,RB米及びもち米の取引に関して本件返品合意を受 け入れることにより,被告セコマらとの間でHC用米の取引をするこ ,Aは,返品量が増えてでも納入量を増やすことを優先していた。 また,原告は,RB米及びもち米の取引に関して本件返品合意を受 け入れることにより,被告セコマらとの間でHC用米の取引をするこ とが可能になり,同取引からの利益も得られた。 なお,原告の経営状況について,原告は,剰余金が平成16年に2億円を突破したことは,N会社との取引によるものであると主張するが,同社との取引は平成10年前後に終了していたものであるから,上記剰余金の発生は被告セコマらとの取引によるものというべきであ る。また,原告は,計算書類上多額の利益を上げているように見えるものの,これは金融機関向けの粉飾決算であり,実体とは乖離していると主張するが,原告による修正後の決算書においても,約1億4741万円の剰余金を計上していた。さらに,原告は,平成17年4月に多額の欠損金を出しているが,これは古米の思惑取引に失敗した 上,それを糊塗するための業者間の融通取引に依存した結果であり,被告セコマらとの取引とは無関係である。 b 返品を前提とした納入価格の設定原告は,取引開始後数年以内には,返品量,転売価格,転売経費等の見通しを持てたはずであるところ,これらの要素を踏まえて,納入 価格について,米卸売業者の大手量販店向けのマージンの平均値(約7%。なお,本件返品合意終了後のマージンは約7.8%である。)よりも高い割合のマージン(約12ないし13%)を設定していた。 原告が,このような交渉力を有していたことは,平成17年の低価格ブレンド米の取引において,当該ブレンド米の品質では再販売ができ ないこと,及び納入価格に返品による損失が織り込まれていないことを理由に返品条件を拒否したことから明らかである。 c 返品米の再販売による利益⒜ ,当該ブレンド米の品質では再販売ができ ないこと,及び納入価格に返品による損失が織り込まれていないことを理由に返品条件を拒否したことから明らかである。 c 返品米の再販売による利益⒜ 返品米の商品価値業務用米の取引においては,返品米であることを明かす必要がな いため,返品米であっても食味等の変質さえなければ商品価値が維 持される。精米後の米は常温で3か月ほどは食味の低下がないところ,本件取引における返品米は精米日から6週間程度(出荷期限切れ返品の場合は3週間程度)のものであるため,食味への影響が乏しく,なお商品価値がある。特に,本件取引の返品米は,茨城県産コシヒカリを主とするブランド米であるため,業務用米の需要者に 対して比較的有利な価格で再販売することができたものである。 一般に業務用米としての再販売価格は,小売業者への納入価格の約80%ないし約90%であり,平成19年頃から被告セコマらと返品条件付きでRB米取引をしていたO会社は,返品米を納入価格の87%程度の価格で再販売していたものであるから,本件取引に おける返品米も同程度の価格による再販売が可能であったというべきである。 原告は返品米には水濡れやかびがあったため再販売はできなかった旨主張する。しかし,被告セコマらによる保管状況に鑑みれば,水濡れ等が生じることは考えにくい。なお,原告は返品米の米袋が ガムテープで補修されていたことをもって保管状況の劣悪さを主張するが,一般的に袋の破れはしばしば生じるものであり,その応急措置としてガムテープを用いることも一般的である上,そもそも米袋には通気用の小穴があるくらいであるから,破れによって米の品質に影響が出ることはない。原告が返品米について瑕疵の有無を検 査する際に使用した検査項 プを用いることも一般的である上,そもそも米袋には通気用の小穴があるくらいであるから,破れによって米の品質に影響が出ることはない。原告が返品米について瑕疵の有無を検 査する際に使用した検査項目には,水濡れ等の項目はなかった。これは,水濡れ等がごくまれであり検査項目を設ける必要がなかったためである。原告は返品米の写真を提出するが,水濡れ等は写っておらず,袋が未開封であることからすれば水濡れ等の有無を確認できたはずがない。 そして,ごくまれに返品米に水濡れ等があることもあったが,原 告はそのような米については返品を拒否していた。むしろ,このことから,原告において再販売に向けて返品米の品質を確認していたこと,及び返品を受け入れられた米については水濡れ等がなかったことが推認される。 ⒝ 原告の販売能力 原告は,返品米の再販売に適切に対応できる専門知識,ノウハウ,人脈等を有すると期待される専門業者である。 原告は,小売部門としてM会社を有し,取引先として業務用米を使用する飲食店や病院等を多数有し,これらに対して返品米を再販売していた。また,原告は,被告セコマらへの納入米に返品米を混 入することもあったものであり,同様に他の取引先への納入米にも返品米を使用した可能性がある。 原告は,返品米の再販売のための再包装には多大な手間がかかり,原告の人員及び設備等に照らして再販売は現実的に困難であった旨主張する。しかし,返品米の再販売のための作業は,通常の米の販 売作業や瑕疵返品米の再販売作業と同じであり,特別な負担はなく,他の米卸売業者においては問題なく行われている上,返品量も当時の原告の処理能力で賄える程度の数量である。よって,上記手間を理由に原告に再販売の現実的な能力がなかったということはできない。 はなく,他の米卸売業者においては問題なく行われている上,返品量も当時の原告の処理能力で賄える程度の数量である。よって,上記手間を理由に原告に再販売の現実的な能力がなかったということはできない。 原告は,返品米が再販売可能であるならば,被告セコマら自身でこれを販売すればよかったのにそうしなかったのは,実際には再販売など不可能であるからであると主張する。しかし,被告セコマらが売れ残った米を販売できなかったのは,被告セコマらは原告と異なり,卸売業者の登録がなく,販売先の心当たりもなかったためで ある。 ⒞ 原告による返品米の再販売原告が実際に返品米を再販売していたことは,次の事情から明らかである。 ① 原告においては,平成22年米及び平成23年米について,仕入量が出荷量よりも相当少ない。これは返品米を再販売したこと によるものである。 ② 原告は,平成23年,被告セコマらがP会社に返品した米をP会社から購入した。この購入は,返品米を再販売できないのであれば説明できない。 ③ 原告は,被告セコマらとの商談において,返品米は業務用米あ るいは安いブレンド米として再出荷している旨,及び返品米の販売先は確保できており,現状水準の返品量であれば問題ない旨発言していた。 ④ 原告は,平成25年4月にした公取委への申告においても,返品米を上記小売部門又は取引先に売却していた旨申告していた。 ⑤ 原告は返品米を廃棄していた旨主張する。しかし,原告の会計資料には廃棄費用の記載が見当たらない。米トレーサビリティ法は廃棄の記録を要求しているが,これもない。また,廃棄するのであれば,北海道内で可能であり,あえて茨城県まで輸送する必要がない。しかも,原告の廃棄方法に関する主張は不合理に変遷 してお ィ法は廃棄の記録を要求しているが,これもない。また,廃棄するのであれば,北海道内で可能であり,あえて茨城県まで輸送する必要がない。しかも,原告の廃棄方法に関する主張は不合理に変遷 しており,具体的な廃棄量,廃棄時期,廃棄費用等も示していない。 ⑥ 原告は返品米を田畑に撒いていた旨主張する。しかし,農業技術上あり得ず,返品量から推定される単位面積当たりの撒布量も非現実的に多い。 (原告の主張) 総論本件取引における返品は,被告セコマらが過剰発注により売れ残った米を一方的に原告に送り付けたというものであり,本件返品合意など存在しない。 明示的な合意がないこと 本件返品合意を記載した契約書面はなく,平成15年基本契約書(甲3)にも記載されていない。 黙示的な合意もないことa 本件返品合意ほどの詳細な内容の合意を黙示的に合意できたとは考え難い。 b 原告は,返品に対して再三異議を述べており,これを黙示的にも容認したことはない。 c 被告らは,原告が本件取引を継続したこと,及びその間に原告が返品を拒否したこともあったことなどを理由として,拒否のない限度では本件返品合意が成立していた旨主張する。 しかし,まず,原告は,取引先のほぼ全てが被告セコマらであり,本件取引を止めれば即時に資金が回らなくなるところ,本件取引により自転車操業的にではあるが資金を回せていたことから本件取引を継続しただけであって,本件返品合意を承諾していたわけではない。 また,原告が一見して明白な瑕疵がある返品米について返品を拒否 したのは,本件返品合意に対するせめてもの抵抗であり,平成17年の低価格ブレンド米について返品を拒否したのは,経営を維持できる限度をはるかに超えていたためである ある返品米について返品を拒否 したのは,本件返品合意に対するせめてもの抵抗であり,平成17年の低価格ブレンド米について返品を拒否したのは,経営を維持できる限度をはるかに超えていたためである。また,原告が平成25年に本件取引について返品を拒否したのは,たとえ本件取引が終了することになっても返品を拒否する意思を固めたためである。これらについて, 原告が,返品拒否の意向を明確にし,被告セコマらにこれを受け入れ させたからといって,その反対に,その余の返品は承諾していたということにはならない。 d 被告らは原告代表者等の言動から本件返品合意の存在が推認されると主張するが,そのような言動があったことの根拠は被告セコマらの内部資料であって,信用できない。仮にそのような言動があったとし ても,合意内容を具体的に発言したものではないから,本件返品合意の裏付けとはならない。また,上記cのとおり,そのような言動は被告セコマらとの取引継続のためにやむを得ずされたものであるから,本件返品合意の裏付けとはならない。 被告セコマらにおいて合意に対応する行動がないこと 本件取引開始までに本件返品合意が成立していたのであれば,被告セコマらにおいて,加盟店に対する案内や返品米の物流に関する検討を行った形跡が残るはずであるが,これらがない。 商慣習ではないこと返品合意が米卸売業者にとって商慣習であったとはいえない。 原告にとって経済合理性がないことa 本件返品合意の不当性本件返品合意によれば,被告セコマらは,在庫リスクを無視して大量発注し,セイコーマート店舗に常に新鮮な米を置き,その販売により利益を上げることができる一方,原告は大量の商品価値のなくなっ た米を納入価格と同額で引き取 セコマらは,在庫リスクを無視して大量発注し,セイコーマート店舗に常に新鮮な米を置き,その販売により利益を上げることができる一方,原告は大量の商品価値のなくなっ た米を納入価格と同額で引き取らされる。このように,本件返品合意は,本来被告セコマらが負うべき在庫リスクを原告に転嫁する甚だしく不当な内容であり,原告がこのような合意をすることは考えられない。 b 本件取引により原告の経営が悪化したこと 原告の経営は本件取引により悪化しており,取引全体で見ても経済 合理性はない。 計算書類上の黒字は,Aの個人資産の充当,関係会社への損失の振り分け,さらには粉飾決算によるものである。また,平成16年には剰余金が発生したものの,これは被告セコマら以外の大口顧客との返品条件のない取引によるものである。平成26年以降,過年度に計上 すべきであった損失を一括計上したところ,欠損金が発生した。原告は,被告セコマらから「経営支援」(実際には支援と呼べる内容ではない。)を受けるほどに,経営に窮していた。 c 納入価格の操作ができなかったこと納入価格は被告セコマらが決定するものであって,原告において返 品による損失を見込んだ納入価格とすることはできなかった。 d 再販売ができなかったこと⒜ 返品米の商品価値① 精米日からの時間の経過米は,常温保存では,精米から4,5週間後には味が劣化する。 被告セコマらは,納品から5か月以上経過し,その間常温で放置された米を返品したこともあった。被告セコマらは五月雨式に精米時期を整理せず返品してきたため,精米時期の新しい米を選別して再販売することも困難であった。 ② 水濡れ,かび 一部の返品米には水濡れやかびがあった。また,水濡れ等のない米も水濡れ等のある米と 整理せず返品してきたため,精米時期の新しい米を選別して再販売することも困難であった。 ② 水濡れ,かび 一部の返品米には水濡れやかびがあった。また,水濡れ等のない米も水濡れ等のある米と混ざることにより再販売が不可能になった。さらに,混入の可能性があれば,再販売ができなくなる結果,結局返品米全量が再販売できなくなった。なお,被告らは,原告が返品米について瑕疵の有無を検査する際に使用した検査項 目に水濡れ等の項目がなかったことを指摘するが,米袋に異常が なければ水濡れ等は生じないところ,同検査項目には米袋の異常の有無に関する項目があった。 ③ 原告の信用保護上記①及び②のとおり,返品米については,鮮度が落ちていないことや水濡れ等がないことを保証しきれるものではなく,その ような返品米を出荷して品質に問題があった場合には,原告がこれまで積み重ねてきた信用が直ちに失われかねず,この観点からも原告は返品米を再販売することができなかった。 ④ 原告設備における適切な保存の困難さ原告は,低温倉庫と常温倉庫を有するが,低温倉庫は通常の商 品で満杯であるため,返品米は常温倉庫で保管せざるを得なかった。また,新米が出回る時期には,常温倉庫も新米で満杯になるため,返品米は野外に置かざるを得なかった。このような保管状況により,返品米はさらに劣化した。 ⑤ 費用 原告は,返品のための人件費,輸送費用,保管費用を負担しており,これだけでも赤字であった。返品米を再販売するとなると,さらに,人件費,包装の廃棄費用,保管費用等を負担することになる上,再包装時の水や異物の混入により当該米が販売できなくなる危険も引き受けることになる。 ⑥ 再販売価格返品米が納入価格の約80%ないし90%で再販売で 保管費用等を負担することになる上,再包装時の水や異物の混入により当該米が販売できなくなる危険も引き受けることになる。 ⑥ 再販売価格返品米が納入価格の約80%ないし90%で再販売できたということはない。 現代では米の需要が低下する一方,食味その他の品質に対する需要者の目が厳しくなっており,返品米は主食用米として流通し 得ない。また,米は時間の経過により劣化するため,早期販売の 要請からも価格が下がる。 返品米のうち劣化が進んでいないものは,返品米の1%程度であるところ,これを味噌,米菓等の加工業者に引き取らせたとしても,その価格は納入価格の10分の1から15分の1程度である。 万が一,返品米を納入価格の70%程度の価格で再販売できたとしても,上記⑤のとおり発生する費用によれば,なお赤字になる。 ⒝ 販売能力① 販路 本件取引における返品米は,量が大量かつ不安定,また,品質が保証できない上にやはり不安定であった。原告の取引先は,これほどの量の需要がないか,一定以上の品質を要求する取引先ばかりであり,原告には返品米の販路がなかった。被告らは原告が返品米を自衛隊に納入した旨主張するが,自衛隊への納入時には 自衛官が立ち会うことになっており返品米を利用することはできない。 ② 手間返品米の再販売には,返品米の状態の確認,包装の開破,破いた包装の廃棄,新しい包装への投入等に膨大な手間がかかる。原 告には通常の製品の出荷作業があり,また,取引銀行の担当者に返品米を見られると困ることから,返品米を平日の日中に処理することはできない。 被告らは,返品米を再度精米機及び自動包装機に順次かけることにより,異物の除去と再包装が可能になる旨主張するが,原告 が使用する精米 ことから,返品米を平日の日中に処理することはできない。 被告らは,返品米を再度精米機及び自動包装機に順次かけることにより,異物の除去と再包装が可能になる旨主張するが,原告 が使用する精米機は玄米を投入するものであって,これに返品米 を投入すれば,玄米の精製過程で生じたコメ油の付着による食味の悪化,過剰な研磨による割れや欠け,再精米による表面の硬化が発生し,到底出荷し得ないほどの品質劣化が生じる。 ⒞ 原告が返品米を再販売していなかったこと上記⒜及び⒝のとおり,返品米の再販売は不可能であり,原告は 返品米を再販売したことはない。返品米は,原告の役員及びその家族が,焼却したり,肥料として田畑に撒布したりして,全て廃棄していた。 被告セコマは,平成17年に原告の経営状態が望ましくないとの調査報告を作成した際に,返品米の再販売可能性について言及しな かった。また,被告セコマらは,原告に対し,返品米の再販売について助言等をすることもなかった。これらは,被告セコマらにおいても,返品米の再販売により原告が利益を上げられるとは考えていなかったことの証左である。 被告らは販売数量に見合う仕入数量がないことを指摘するが,こ れは,在庫数量,精米時の歩留まり率,端境期の前年産米と当年産米の区別の記録上の不正確性を考慮していないものであり,原告に仕入不足はない。 原告がP会社から返品米を購入したのは,P会社では返品米の保管及び廃棄さえできなかったためにやむを得ず引き取っただけであ り,再販売が目的ではない。 被告らは原告代表者等が返品米の再販売を前提とした発言,行動をしていた旨主張する。しかし,被告らが同主張の根拠とするのは被告セコマらの内部資料であって,これらは信用できない上,仮にそのような発言等があっ は原告代表者等が返品米の再販売を前提とした発言,行動をしていた旨主張する。しかし,被告らが同主張の根拠とするのは被告セコマらの内部資料であって,これらは信用できない上,仮にそのような発言等があったとしても,取引継続のために再販売が可 能であるかのように振る舞ったにすぎず,具体的な再販売先を明示 したこともない。 ⒟ 被告セコマら自身は返品米を再販売しなかったこと返品米の再販売が可能ならば,原告よりも多くの販路を有する被告セコマら自身において再販売すればよかったにもかかわらず,被告セコマらは,加盟店において売れ残ったRB米を値引きして販売 してみたものの,全く売り切ることができず,結局,自身では再販売せず,原告に返品することにした。このことは,そもそも返品米の再販売などできないことを示している。 ウ本件返品合意の有効性(原告の主張) 仮に,RB米及びもち米の取引について,本件返品合意が成立していたとしても,同合意は,公序良俗に違反し,民法90条により無効である。 RB米に関する返品合意a 下請法違反下請法4条1項4号は,親事業者に対して,下請事業者の責に帰す べき理由がないのに,下請事業者の給付を受領した後,下請事業者にその給付に係る物を引き取らせることを禁止しており,この禁止は合意によって解除することはできないと解されている。 本件取引のうちRB米の取引は,被告セコマを親事業者,原告を下請事業者とする製造委託契約であり,下請法の適用がある。本件取引 におけるRB米の返品は,原告の責に帰すべき理由がないのに納入済みの米を返品するものであるから,同法4条1項4号に違反する。よって,本件返品合意のうちRB米に関する部分は,下請法違反となる返品を定めたものである。 b 原告の責に帰すべき理由がないのに納入済みの米を返品するものであるから,同法4条1項4号に違反する。よって,本件返品合意のうちRB米に関する部分は,下請法違反となる返品を定めたものである。 b 公序良俗違反 ⒜ 立法目的との関係 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)及び下請法の立法目的を実現するためには,独禁法又は下請法に違反する行為は公序良俗に違反するというべきである。 ⒝ 本件返品合意の不当性,悪質性本件返品合意は,道内最大のコンビニエンスストア経営会社であ る被告セコマらが,その圧倒的に優位な立場を利用して,零細卸売業者である原告を意のままに御し,本来被告セコマらが負うべき在庫リスクを原告に転嫁し,長年にわたって,莫大な金額の返品を強要したという甚だしく不当かつ悪質な内容であり,その違法性は極めて高く,公序良俗に違反するものである。 もち米に関する返品合意もち米の取引は,売買契約によるものであるから,下請法の適用はない。しかし,もち米に関する返品合意の違法性は,RB米に関するそれと異ならない。よって,本件返品合意のうち,もち米に関する部分も公序良俗に違反する。 (被告らの主張)下請法違反がないことa 下請法違反の認定には慎重であるべきこと下請法の規制は形式的,予防的なものであり,これを不用意,無警戒に適用することは,行政の過剰な介入を招くことになり,妥当では ない。 b 下請法よりも返品合意が優先すること下請法は契約上の根拠のある返品までも禁止するものではない。当事者が取引の実情に応じて合理的な取引条件を設定することは,たとえそれが外形的に下請法違反になるとしても,契約自由の原則により 保証されて 契約上の根拠のある返品までも禁止するものではない。当事者が取引の実情に応じて合理的な取引条件を設定することは,たとえそれが外形的に下請法違反になるとしても,契約自由の原則により 保証されており,取引の在り方を柔軟にする点で立法政策としても適 切である。 c 原告にとって予想できない不利益ではなかったこと⒜ 取引開始時から合意されていたこと下請法は,親事業者の恣意によって下請事業者が予想外の負担を被ることを防止するために,親事業者に対して発注時の契約内容を 履行することを求めたものであり,下請事業者が受注時から自己の利害得失を十分に検討し,返品合意を締結した場合には,下請事業者に予想外の負担が生じることはないから,下請法に違反しない。 そうすると,本件返品合意は取引開始時から成立していたものであり,原告はその利害得失を予想していたものであるから,下請法 に違反しない。 ⒝ 取引継続による違法性の消滅取引開始時に返品が合意されていなかったとしても,下請事業者が返品を長きにわたって受け入れた場合には,当該下請事業者は,代替取引先の確保や価格改定等の取引条件の改善要請という通常の 取引上の措置をとることなく取引を継続したことによる不利益を甘受すべきであり,これを後になって突如として親事業者に負担させることはモラルハザードになりかねないから,取引条件の一方的不利益変更であっても,時間の経過とともにその違法性は消滅する。 そうすると,原告は,長年にわたって本件取引を継続し,返品を 受け入れてきたものであるから,もはや返品の違法性は消滅している。 公序良俗に違反しないことa 下請法違反は必ずしも公序良俗違反にはならないこと下請法は,下請事業者が不利益を被りかねない事態の発生を未然に るから,もはや返品の違法性は消滅している。 公序良俗に違反しないことa 下請法違反は必ずしも公序良俗違反にはならないこと下請法は,下請事業者が不利益を被りかねない事態の発生を未然に 防ぐため,独禁法よりも禁止行為の範囲を拡大する一方,それに対す るエンフォースメントを限定し,制度全体のバランスを図ったものであって,違反する合意が直ちに民法上無効になることは予定していない。また,親事業者が行政の指導,勧告に従うだけで立法目的は十分に達成されるから,下請法に違反する合意の効力を否定しなければ立法目的を達成できないわけでもない。さらに,下請法の要件は不明確 であり,取引当事者に予測可能性がない。 以上によれば,下請法に違反する合意の中でも不当性が強いもののみが公序良俗違反になると考えるべきである。 b 公序良俗違反の判断基準公序良俗違反となるのは,取引当事者の一方が相手方の無思慮,窮 迫に乗じて,著しく過大な不利益の受け入れを余儀なくさせたような例外的な場合,すなわち,①相手方の困窮,経験の不足,知識の不足その他の相手方が法律行為をするかどうかを合理的に判断することができない事情があることを利用して,②著しく過大な利益を得,又は相手方に著しく過大な不利益を与えた場合に限られると解すべきであ る。 c 上記b①について原告は,原告において本件返品合意を締結するか否かを合理的に判断できなかった事情を何ら具体的に主張していない。その点を措いても,原告は被告セコマらとの取引に依存しておらず,被告セコマらが 優位な地位にあったことはない。また,本件取引は長期にわたり,この期間全体において,原告が合理的に判断できない状態が続いたとも考え難い。よって,原告において本件返品合意を締結するか否かを合 優位な地位にあったことはない。また,本件取引は長期にわたり,この期間全体において,原告が合理的に判断できない状態が続いたとも考え難い。よって,原告において本件返品合意を締結するか否かを合理的に判断できなかった事情などは存在しない。 d 上記b②について 本件返品合意は,原告にとって経済合理性のあるものであり,原告 に著しく過大な不利益を与えるものではなかった。 e よって,本件返品合意は公序良俗に違反しない。 争点4(損害及び利得の額)について(原告の主張)ア原告の請求額 原告の損害及び損失は,返品金額の合計18億7800万6099円である。 イ瑕疵返品金額上記返品金額には瑕疵返品による返品金額は含まれていない。このことは,上記記載のとおりである。 仮に瑕疵返品があったとしても,本件取引における瑕疵返品率は,高くても,米取引における一般的な瑕疵返品率(1.9%)と同程度というべきである。 ウ消費税相当額上記アの返品金額には返品分に係る消費税相当額が含まれている。原告 が被告セコマらから代金を支払われなかったとき及び被告セコマらに対して返金を強いられたときには,消費税相当額も支払われず,あるいは返金させられたのであるから,同額は損害及び損失に含められるべきである。 被告フーズは,公取委の指導を受けて,取引期間の一部について,瑕疵返品分を除いた返品分に係る返金金額全額を支払うことを認めたものである から,本件訴訟においても同様にすべきである。 エ返品米の客観的価値に相当する金額の控除被告らは,返品米が再販売できることを前提に,賠償額及び返還額から返品米の客観的価値に相当する金額を控除することを主張する。しかし,返品米は再販売し得ないも 返品米の客観的価値に相当する金額の控除被告らは,返品米が再販売できることを前提に,賠償額及び返還額から返品米の客観的価値に相当する金額を控除することを主張する。しかし,返品米は再販売し得ないものであり,客観的価値はない。また,仮に返品 米を再販売し得るとしても,被告らが主張する高額で再販売することはで きない。さらに,不当利得返還請求との関係では,そもそも損益相殺という概念が入る余地がない。加えて,被告フーズは,公取委の指導を受け,取引期間の一部について,瑕疵返品分を除いた返品分に係る返品金額全額を支払うことを認めたものであるから,本件訴訟においても同様にすべきである。 オ既払金の控除被告らは損害賠償額及び不当利得の返還額から既払金を控除すべきである旨主張するが,争う。 (被告らの主張)ア RB米の返品金額 原告が主張する返品金額のうち,RB米について,合計16万1139円を否認する。 イ瑕疵返品金額瑕疵返品は本件取引において許容されていたものであるから,瑕疵返品について代金を支払われなかった金額及び返金した金額は,損害及び損失 に当たらない。 RB米及びもち米の返品は,納入量の約1%に相当する量が瑕疵返品である。また,平成17年に取引された低価格ブレンド米(RB米)の返品は全て瑕疵返品である。 HC用米の返品は全て瑕疵返品である。 ウ消費税相当額の控除原告の請求額には,消費税相当額が含まれている。しかし,原告の各請求は,消費税の課税対象である資産の譲渡又は実質的な資産の譲渡に当たらないから,消費税は課税されない。よって,損害賠償額及び不当利得の返還額からは消費税相当額が控除されるべきである。 エ返品米の客観的価値に相当する金額の控除 返品 の譲渡に当たらないから,消費税は課税されない。よって,損害賠償額及び不当利得の返還額からは消費税相当額が控除されるべきである。 エ返品米の客観的価値に相当する金額の控除 返品米は,被告フーズへの納入価格の少なくとも約80%の価格で再販売し得るものであり,これが返品米の客観的価値である。よって,損害賠償額及び不当利得の返還額の算定に当たっては,損益相殺として又は損益相殺的な考慮をして,返品金額から返品米の客観的価値に相当する金額を控除すべきである。 オ既払金の控除被告フーズは,平成28年4月15日,原告に対して,公取委の指導に基づき,平成24年7月から平成25年6月までに返品したRB米の下請代金相当額として385万1359円を返還した。同金額は,損害の填補あるいは利得の返還があったものとして,原告の請求額から控除されるべ きである。 争点5(消滅時効の成否)について(被告らの主張)ア全ての請求について2年の消滅時効原告が主張する各請求権は,返品米の売買契約に基づく代金請求権であ り,卸売商人が売却した商品の代価に係る債権であるから,民法173条1号所定の短期消滅時効が適用される。そこで,被告らは,原告の全ての請求について,訴訟提起日(平成26年5月19日)から2年を遡る平成24年5月19日以前を起算日とする請求について,原告に対し,平成27年3月12日の本件口頭弁論期日において,上記消滅時効を援用すると の意思表示をした。 イ不法行為に基づく損害賠償請求について3年の消滅時効被告らは,原告の不法行為に基づく損害賠償請求について,訴訟提起日から3年を遡る平成23年5月19日以前を起算日とする請求について,原告に対し,平成27年3月12日の本件口 年の消滅時効被告らは,原告の不法行為に基づく損害賠償請求について,訴訟提起日から3年を遡る平成23年5月19日以前を起算日とする請求について,原告に対し,平成27年3月12日の本件口頭弁論期日において,上記消 滅時効を援用するとの意思表示をした(民法724条)。なお,ここにお ける起算日とは,原告が,被告フーズに相殺処理による代金減額をされ,又は銀行振込みの方法により,被告フーズに対し,返品米に係る代金の返金をした日と解すべきである。 ウ債務不履行に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求について5年の商事消滅時効 本件取引は,いずれの契約当事者にとっても,商行為であり,本件取引により発生する債権は,債務不履行による損害賠償請求権や不当利得返還請求権に形式を変えても商事債権として商事消滅時効が適用されるべきである。また,不当利得返還請求権については,その実質が商品代金請求権であるということからも商事債権というべきであり,商事消滅時効が適用 されるべきである。そこで,被告らは,原告の債務不履行に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求について,訴訟提起日から5年を遡る平成21年5月19日以前を起算日とする請求額について,原告に対し,平成27年3月12日の本件口頭弁論期日において,上記消滅時効を援用するとの意思表示をした。 エ不当利得返還請求について10年の消滅時効被告らは,原告の不当利得返還請求について,訴訟提起日から10年を遡る平成16年5月19日以前を起算日とする請求額について,原告に対し,平成29年12月7日の本件口頭弁論期日において,上記消滅時効を援用するとの意思表示をした(民法167条1項)。 (原告の主張)ア上記被告らの主張ア原告の請求は,いずれ に対し,平成29年12月7日の本件口頭弁論期日において,上記消滅時効を援用するとの意思表示をした(民法167条1項)。 (原告の主張)ア上記被告らの主張ア原告の請求は,いずれも売買代金請求ではないから,民法173条1号所定の短期消滅時効は適用されない。 イ上記被告らの主張イ 不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点は,被害者が損害 及び加害者を知った時であるところ,本件において,原告が損害及び加害者を知ったのは,当時原告の専務取締役であったBが,公取委主催の下請取引適正化推進講習会において公取委職員から本件取引における返品が下請法違反であることを指摘された平成24年11月13日であり,同日から本件訴訟提起までに3年は経過していないから,消滅時効は完成してい ない。 ウ上記被告らの主張ウ商事消滅時効が5年とされるのは,商行為については取引の安定性が重視されているからであるが,本件のように不当返品により原告に損害ないし損失が生じ,その賠償ないし返還が請求されている場合には,取引の安 定性を重視する必要はない。また,原告が主張する不当利得返還請求権が商品代金請求権であることもない。よって,原告が請求する債務不履行に基づく損害賠償請求権及び不当利得返還請求権について商事消滅時効の適用はない。 エ上記被告らの主張エ 債務不履行に基づく損害賠償請求権及び不当利得返還請求権の消滅時効期間が10年であることは認める。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(RB米及びHC用米の各取引の契約の性質)について⑴ 小売業者が,卸売業者に対して,商品の規格,品質,性能,形状,デ ザイン等を指定し,小売業者のブランドを付させたプライベートブランド商品を納入させ HC用米の各取引の契約の性質)について⑴ 小売業者が,卸売業者に対して,商品の規格,品質,性能,形状,デ ザイン等を指定し,小売業者のブランドを付させたプライベートブランド商品を納入させることは,製造委託に該当するというべきである。これに対して,小売業者が卸売業者に卸売業者のブランドを付したナショナルブランド商品を納入させることは,商品の規格等の決定に当たって,小売業者が要望を述べ,卸売業者がこれを尊重したことがあったとして も,当該要望により商品の汎用性が低下させられている場合を除き,売 買に該当するというべきである。 ⑵ これを本件についてみると,本件におけるRB米取引は,小売業者である被告セコマらが,卸売業者である原告に,プライベートブランド商品の製造を依頼したものであるから,その性質上,製造委託契約であると考えられる上,原告及び被告セコマのプライベー トブランド商品の取引について作成された平成15年基本契約書は,その表題及び当事者の表示等において,製造委託契約である旨を明確に定めているから,RB米取引は製造委託契約によるものというべきである。したがって,同取引には下請法が適用され,下請事業者である原告は同法により保護される。なお,平成24年基本契約 書上,同取引は売買契約によるとの体裁とされているが(前提事実⑵ウ,その性質上製造委託契約である契約について,契約書上売買契約とすることのみをもって契約の性質が変更されると解することは困難であり,このように解するならば,製造委託契約の受託者の保護に欠けることにもなるから,同基本契約書の作成によって,RB米取引の性質が 製造委託契約から売買契約に変更されることはないというべきである。 ⑶ 他方,HC用米は,原告のナショナルブランド商品であ ることにもなるから,同基本契約書の作成によって,RB米取引の性質が 製造委託契約から売買契約に変更されることはないというべきである。 ⑶ 他方,HC用米は,原告のナショナルブランド商品であり(前提事実,これを被告セコマら以外に販売できない事情は見当たらないから,その性質上,売買契約と考えるのが自然であり,原告もこれを売買契約と認めている。よって,HC用米取引は売買契約によるものとい うべきである。 ⑷ 小括よって,RB米取引は製造委託契約,HC用米取引は売買契約によるものというべきである。 売買契約によるものである。 2 争点2(被告セコマらが,返品しないという債務を負い,返品による利 得を得たか)について⑴ 認定事実前記前提事実ないし及び弁論の全趣旨に,上記1で検討したところを総合すると,次の事実を認めることができる。 ア原告は,遅くとも平成8年6月1日までには,被告セコマとの間で,同 日以降の原告及び被告フーズ間のRB米の製造委託契約によるRB米取引に適用される基本契約を締結し,同基本契約に基づき被告フーズとの間で個別に製造委託契約を締結する旨合意した。 イ原告は,遅くとも平成15年10月1日までには,被告セコマとの間で,同日以降の原告及び被告フーズ間のRB米の製造委託契約によるRB米取 引に適用される基本契約を,平成15年基本契約書記載の内容のとおり締結し,同基本契約に基づき,被告フーズとの間で個別に製造委託契約を締結する旨合意した。 ウ原告は,平成8年6月1日以降は上記アの合意に基づき,また,平成15年10月1日以降は上記イの合意に基づき,毎年,被告フーズとの間で, その年に生産された米について,納入する米の産地,銘柄,単価,包装単位等まで定めたRB米の アの合意に基づき,また,平成15年10月1日以降は上記イの合意に基づき,毎年,被告フーズとの間で, その年に生産された米について,納入する米の産地,銘柄,単価,包装単位等まで定めたRB米の製造委託契約を締結し,さらに,この年単位の契約に基づき,毎月,被告フーズとの間で,納入量及び代金等まで定めたRB米の製造委託契約を締結した。 エ原告は,もち米及びHC用米についても,被告フーズとの間で,年単位 及び月単位で売買契約を締結した。 オ原告は,遅くとも平成24年5月22日までには,被告フーズとの間で,同日以降の原告及び被告フーズ間のRB米,もち米及びHC用米の各取引(本件取引)に適用される基本契約を,平成24年基本契約書記載の内容のとおり締結し,同基本契約に基づき,被告フーズとの間で個別に本件取 引に係る契約を締結する旨合意した。 カ原告は,平成24年5月22日以降は上記オの合意に基づき,RB米,もち米及びHC用米について,上記ウ及びエと同様に,年単位及び月単位の製造委託契約ないし売買契約を締結した。 ⑵ 債務の主体ア本件取引においては,契約内容が,基本契約,毎年の契約,月別の 契約と段階的に具体化された複数の契約が締結されているが(上記⑴),契約の要素である商品の数量及び代金額が具体的に定まる月単位の契約の成立(上記⑴ウ,エ及びカ)をもって,具体的な債権,債務が発生すると解される。そうすると,原告がその不履行を主張する債務(契約上返品が許された場合に当たらない限り,返品をしないと いう債務)も月単位の契約において具体的に発生すると解すべきであり,同債務は同契約の当事者である被告フーズ(上記⑴ウ,エ及びカ)が負うというべきである。このことは,実際にも,本件取引開始以来,被告フーズの名 も月単位の契約において具体的に発生すると解すべきであり,同債務は同契約の当事者である被告フーズ(上記⑴ウ,エ及びカ)が負うというべきである。このことは,実際にも,本件取引開始以来,被告フーズの名義で返品がされていたこと(前提事実⑶ウ)からも明らかである。 イこれに対して,原告は,被告セコマも同債務を負う旨主張する。しかし,原告と被告セコマの間の上記⑴ア及びイの合意は,いずれも基本契約であって,年契約及び月契約を待たずに,所定の場合以外は返品をしない旨の債務を具体的に発生させる趣旨のものであるとは解されない上,被告フーズのための取引条件を定めたものでもあるから, 同契約をもって,被告セコマに同債務が具体的に発生したということはできない。したがって,原告の上記主張は採用できない。 ウ小括よって,原告がその不履行を主張する債務は,被告フーズのみが負う。 ⑶ 利得の所在 ア返品により返品米に係る代金の支払を免れ,あるいは原告から返金を受けたのは被告フーズ(前提事実⑶ウ)であるから,被告フーズには同代金相当額及び同返金額(返品金額)の利得がある。 イこれに対し,被告フーズから被告セコマに対して上記利得が移転し,あるいは,両者で上記利得が共有されたなどの事情を基礎づける事実 を認めるに足りる証拠はない。原告は,被告セコマがセイコーマートグループとして返品から事業上の利益を得ていたと主張するが,被告セコマと被告フーズは別個の法人であり,被告セコマが同グループの一員であるとの事情をもって,被告セコマに上記利得が直ちに帰属するとはいえないから,原告の上記主張は採用できない。 ウ小括よって,原告が主張する利得は被告フーズにのみ帰属する。 3 争点3(返品の適法性)について⑴ に上記利得が直ちに帰属するとはいえないから,原告の上記主張は採用できない。 ウ小括よって,原告が主張する利得は被告フーズにのみ帰属する。 3 争点3(返品の適法性)について⑴ 瑕疵返品の適法性本件取引において瑕疵返品(米の品質不良,米袋のシール不良・破 れ・印字不良などを理由とする返品)が許容されていたことは,当事者間に争いがない(前提事実⑵エ)。また,下請法4条1項4号は,同法の適用がある取引について,親事業者による返品を禁止しているが,瑕疵返品は禁止していない。よって,瑕疵返品は適法である。 ⑵ 本件返品合意の成否 ア認定事実前記前提事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 取引慣行(東北大学大学院農学研究科准教授E〔以下「E准教授」という。〕作成の意見書〔乙57。以下「E意見書」という。〕, 大阪市立大学経済学部教授F〔以下「F教授」という。〕作成の報 告書〔乙91〕,証人E)a 米流通の規制緩和⒜ 昭和56年の食糧管理法改正以降,数次にわたり,米流通の規制緩和が行われ,例えば,卸売業者及び小売業者の取引関係の登録制度や,卸売業者の営業区域の制限が緩和された。これ により,大手小売業者の価格形成に対する影響力が強まった。 そのため,卸売業者間では,競争が激化し,小規模業者は淘汰された。 ⒝ 続く平成7年の主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(以下「食糧法」という。)施行により,一層の規制緩和が進 展した。卸売業者については,許可制が資格要件の著しく緩和された登録制に変わり,営業区域の制限が撤廃され,また,卸売業者間取引だけでなく小売業者間取引が可能となるなど,制度上の優遇ないし保護が失われた。また,上記登録制の導入に 制が資格要件の著しく緩和された登録制に変わり,営業区域の制限が撤廃され,また,卸売業者間取引だけでなく小売業者間取引が可能となるなど,制度上の優遇ないし保護が失われた。また,上記登録制の導入により,卸売業者の新規参入が進んだ。他方,この頃,小売業者 についても同様に登録制への移行があり,あらゆる業種からの新規参入が一気に進んだ。 ⒞ 最終的に平成16年の食糧法改正により,米流通はほぼ完全な自由競争に移行した。米の消費量は減少基調であるにもかかわらず,上記⒝の新規参入により卸売業者数が激増したため, 卸売業者間で販売先をめぐる熾烈な競争が生じた。他方,米の家庭内消費量の減少や大手小売業者の新規参入を背景として,小売業者間にも熾烈な競争が生じた。旧来,米小売業の主流をなしてきた零細・多数の米専門小売店が淘汰され,大規模・少数の量販店が,大幅に取扱量を増加させ,旧来の小規模小売店 とは比較にならないほどの販売力を背景とした強力な交渉力を 発揮した。卸売業者及び小売業者の双方がこのような状況にあった結果,大手小売業者の卸売業者に対する取引条件の要求が厳しくなった。 ⒟ このような状況の中で,量販店は,経営が良好ではない卸売業者に対して,ナショナルブランド商品よりも安い価格でプラ イベートブランド商品を提供するよう求めることがあった。卸売業者の中には,プライベートブランド商品の性質を十分に理解しないまま,経営が苦しいことから,販路を拡大し,設備の操業率を高めることや,著名な量販店への仕入実績により産地からの信用を獲得することなどを狙って,上記取引に応じるも のもあった。 b 返品慣行⒜ 新米への切替え時期には,新米の売れ行きに影響が出ないよう,旧米を返品する慣行があった(乙37,42の2,証 を獲得することなどを狙って,上記取引に応じるも のもあった。 b 返品慣行⒜ 新米への切替え時期には,新米の売れ行きに影響が出ないよう,旧米を返品する慣行があった(乙37,42の2,証人E)。 ⒝ 平成7年の食糧法施行以前から,政府管理から外れた自由米については,売れ残って古くなった米(精米日から一定期間が経過した米)を返品する慣行があったところ,同慣行は,同法施行直後から,卸売業者と小売業者の取引でしばしば見られる取引条件となった。その背景には,上記aのとおり,卸売業者 間の競争が激化し,卸売業者は大手小売業者との継続的・安定的な取引関係を希求したこと,業者間取引及び業務用米市場の拡大により,返品米の再販売先が拡大したことがあった。 ⒞ 平成9年3月に社団法人日本精米工業会が実施したアンケート調査(以下「平成9年日本精米工業会調査」という。その結 果報告書は乙3である。)では,登録卸売販売業者339社 (組合)及び登録小売業者261社(店)にアンケートを送付し,返送のあった登録卸売販売業者187社(組合)及び登録小売業者133社(店)の回答を集計した。 同調査の結果によれば,卸売業者である回答者の77.5%が小売業者からの返品を受け入れており,返品を受け入れてい る業者における返品数量(返品率)の平均は約1.9%(ただし,返品理由は明らかにされていない。),返品期間の平均は21日ないし30日である。 ⒟ 平成10年に財団法人全国米穀協会の委託によりF教授が実施した取引慣行に関する調査(以下「平成10年全国米穀協会 調査」という。その結果報告書は乙91である。)では,大型量販店と取引していることが予想される販売数量上位100社の卸売業者にアンケートを送付し,返送のあった (以下「平成10年全国米穀協会 調査」という。その結果報告書は乙91である。)では,大型量販店と取引していることが予想される販売数量上位100社の卸売業者にアンケートを送付し,返送のあった44業者のうち大型量販店との取引がないと回答した3業者を除外した41業者の回答を集計した。 同調査の結果によれば,①回答者の30%は,小売業者から通常よりも著しく短い販売期限(賞味期限)を一方的に設定され,期限切れを理由に返品されたことがあり,回答者の20%は,月末又は期末の在庫調整のために小売業者から一方的に返品されたことがあり,回答者の55%は,大型量販店の都合に よる店舗・売場改装や棚替えを理由に返品されたことがあり,②回答者の3分の1は,小売業者との間で返品条件を明確ではないまま取引をしており,回答者の100%が,返品理由を問わず,主として卸売業者が返品に伴う費用を負担し,③回答者の93%が大型量販店のプライベートブランド商品を扱ってい るところ,回答者の32.4%は卸売業者に責任がないにもか かわらず同商品を返品されたことがある。 c 被告セコマらと取引のある他の卸売業者の状況平成19年から被告セコマらと取引をしている卸売業者のO会社は,被告セコマらにナショナルブランド品である米及びプライベートブランド品である米を販売するに当たって,旧米返品及び 精米日から28日を経過した米の返品を受け入れることを合意した(O会社常務取締役G〔以下「G常務」という。〕の陳述書〔乙37〕)。 書面の不存在本件返品合意を記載した書面は作成されていない(弁論の全趣 旨)。 本件取引開始前後の状況a 原告の事業拡張意欲,設備投資原告は,平成8年頃,取引量の拡大を目指しており,平成7年 本件返品合意を記載した書面は作成されていない(弁論の全趣 旨)。 本件取引開始前後の状況a 原告の事業拡張意欲,設備投資原告は,平成8年頃,取引量の拡大を目指しており,平成7年7月には総工費約1億1500万円をかけて大型低温倉庫を建設 し,平成7年産米の農家仕入実績が約1500tであったのに対し,若干上乗せした可能性があることは否定できないものの,平成8年産米の農家仕入実績は約3480tと前年に比して倍増させ,更に平成9年産米の仕入目標を6000tに設定していたほか,原告と代表者及び本店所在地を同じくしていた,事業の目的 を米穀販売業等とするM会社(乙47)が,直営店8店舗展開を目標に平成9年時点で4店舗開設し,月間販売量1000tを目標としていた(乙88)。 b 原告の被告セコマらに対する取引依存度本件取引開始以前の原告の最大の売掛先はL会社(被告セコマ らに弁当やおにぎり等を納入している業者)であり,原告は同社 との間で大口の返品条件のない業務用米の卸売をしていた。この頃の原告の取引先には,L会社のほかにM会社があったが,M会社の顧客は小規模の小売店等であり,給食業者等の大口顧客はいなかった。 本件取引における取引量は,平成8年及び平成9年は年間20 00t未満,平成10年は年間2500t程度であり,平成22年には9000tに達していた。(Aの陳述書〔甲32〕,原告代表者B,弁論の全趣旨)c 期限切れ返品を前提とした賞味期限の変更平成7年,当時原告代表者であったAは,本件取引開始に当た って,商品の賞味期限を2週間程度に設定したいと述べる被告セコマらに対し,これを1か月と設定するよう要望し,最終的に,商品の賞味期限は1か月に設定された(乙81)。 d 返品の開 始に当た って,商品の賞味期限を2週間程度に設定したいと述べる被告セコマらに対し,これを1か月と設定するよう要望し,最終的に,商品の賞味期限は1か月に設定された(乙81)。 d 返品の開始とそれに対する原告の反応⒜ 返品 平成8年6月の本件取引開始以来,被告フーズは,原告に対し,加盟店の店頭で精米日から30日を経過したRB米及びもち米,被告フーズの在庫として精米日から10日を経過したRB米及びもち米,新米切替え時のRB米及びもち米を返品した。 原告の商品の納入先には北海道と関東があったところ,北海道 納入分について,平成8年6月の返品率は0.64%,同年7月の返品率は18.9%(乙8の3),同年8月の返品率は11.3%(乙9の3),同年11月の返品率は9.9%(乙10の3)であった。 ⒝ 原告の反応 原告は,被告セコマらに対し,上記返品について苦情等を述 べることはなかった。 本件取引期間中の状況a 返品の継続⒜ 返品率の推移を見ると,平成11年1月ないし同年8月は8. 1%ないし13.7%(乙13),平成15年は8%ないし1 5%,平成16年1月ないし同年9月の累計では21%(乙16の1。同年には一時40%台に達した〔乙16の2〕。)であった。 ⒝ 平成16年当時の加盟店ごとの返品率をみると,返品率が100%を超える加盟店が12店あった。返品率が50%を超え る加盟店が全体の約20%,返品率が30%以上である加盟店が全体の約42%を占めていた。最も多い返品率は20%台であるが,弁当やサンドイッチの返品率と比べると高い。(乙16の2)⒞ このような返品率は,被告セコマらにおいても高いという認 識であり,平成16年時点で,被告フーズ担当者は,返品率が異常に るが,弁当やサンドイッチの返品率と比べると高い。(乙16の2)⒞ このような返品率は,被告セコマらにおいても高いという認 識であり,平成16年時点で,被告フーズ担当者は,返品率が異常に高い加盟店に対する調査及び指導を提案していた(乙16の1)。 b 返品に対する原告の反応原告は,次のとおり,返品を前提とした行動をとり,返品量の 抑制を要望することはあっても,返品自体を拒否したことは,後記cの場合を除いてなかった。 ⒜ 平成10年,当時原告の専務取締役であったBは,被告セコマ担当者のHとの商談において,新米の納品に合わせて,旧米の返品を受け付ける趣旨の発言をした(乙12)。 ⒝ 平成11年,原告は,被告セコマに対し,返品量が多く,包 材が無駄になっているから,返品量を抑制してほしい旨要望した。この際,原告は,返品米は包装を破き,中身の米を安いブレンド米に使用している旨発言した。これを受けて,被告セコマは,被告フーズに発注量等を再確認することとした。(乙13) ⒞ 平成12年,Aは,被告セコマに対し,返品量が平成11年よりも増加しているが,本州で業務用の米として再出荷しているので問題なく,とにかく取引量を増やすことを優先していきたいという意向を示した。被告セコマ担当者は,業務報告書において,返品のルールに曖昧な面がある旨指摘していた。(乙 14)⒟ 平成16年,Aは被告セコマ担当者に対し,返品米は原告の取引先(小口の外食産業中心)に再販売しているため,原料の処理は行われており,現状の返品を受け付ける体制に変わりは無い旨発言した(乙79)。 ⒠ 平成18年,Aは,被告セコマとの商談において,返品米の再販売先は決まっており,10%ないし15%という返品率であれば問題ない 品を受け付ける体制に変わりは無い旨発言した(乙79)。 ⒠ 平成18年,Aは,被告セコマとの商談において,返品米の再販売先は決まっており,10%ないし15%という返品率であれば問題ない範囲である旨発言した(乙21)。 ⒡ 平成22年,返品米に係る代金の清算方法が,被告フーズが返品米を原告に発送する際に原告に請求書をファクシミリ送信 し,原告が請求書記載額を銀行振込により支払うという方法に変更されたが,原告から返品自体に異議は述べられなかった(乙30)。 ⒢ 平成25年,Aと被告セコマの当時の代表取締役であったI(以下「I」という。)が会談し,Iが,本件取引において返 品をしていたのは原告が本件返品合意を受け入れたからである ところ,よく返品米の再販売先があるなと思っていたという趣旨の発言をしたところ,Aは,当時は再販売先の小売店があり,業務用米としても再販売できたため,返品米を整理できていたが,7年前から原告が運送費を負担させられたために返品が経営を著しく圧迫するようになった旨の話をした。(乙148) ⒣ 平成25年,当時原告の代表取締役であったBは,被告セコマとの商談において,平成25年産米については瑕疵返品以外の返品を受け付けない旨を明らかにする際に,「今まであったその返品可能うんぬんとはもう一切関係なしで買い取り」を求める旨の発言をした(乙80)。 c 一部の商品についての返品拒否⒜ 平成15年産米平成15年,原告は,同年は米が不作で供給不足であったことから,平成14年産米から平成15年産米への切り替え時に平成14年産米の返品を受け付けることを拒否し,被告セコマ らはこれを了承した。この際,精米後1か月を経過した商品については通常どおり返品を受け付ける旨が確認さ 平成15年産米への切り替え時に平成14年産米の返品を受け付けることを拒否し,被告セコマ らはこれを了承した。この際,精米後1か月を経過した商品については通常どおり返品を受け付ける旨が確認された。(乙77)⒝ 平成17年の低価格ブレンド米平成17年,原告は,新しいRB米商品として,複数の銘柄 の米を混ぜたブレンド米を製造することになった(以下「平成17年低価格ブレンド米」という。)。平成17年4月8日の商談において,被告セコマが,原告に対し,同商品についても通常のRB米と同様に返品を受け付けてもらえるかを確認したところ,原告の専務取締役であったBは,通常のRB米の返品 分は業務用米として再出荷していること,しかし,こしひかり 等,評価の高い銘柄の米を原料とする通常のRB米であっても,在庫過剰でさばき切れていないこと,ましてや,平成17年低価格ブレンド米については,品質の劣る米を原料とするため,引取先はなく,確実に廃棄処分となること,被告セコマの見積金額では返品分を加味する余地がないこと,よって,返品は受 け付けられない旨返答した。これを受けて被告セコマは,例えば,返品率の上限を10%とするなど,条件付きで返品を受け付けてもらえないかという提案もしたが,Bはこれも無理であると返答した。 同商談後,被告セコマ内部では,担当者から,返品を可能と すべく,価格体系の再検討や,他の商品の返品率及び利益を総合した試算を行うなどして,原告と交渉していくことが提案された。しかし,最終的に,平成17年低価格ブレンド米については,原告から被告フーズに対して瑕疵返品以外の返品は受け付けられないとの返答がされた。(乙19) d 原告の被告セコマらに対する取引依存度平成14年ないし平成22年の毎 ンド米については,原告から被告フーズに対して瑕疵返品以外の返品は受け付けられないとの返答がされた。(乙19) d 原告の被告セコマらに対する取引依存度平成14年ないし平成22年の毎5月において,原告の売上に占める各顧客に対する売上の割合は,次のとおり(小数点以下四捨五入)であった(乙48。下記割合は,該当月について,L会社については,「L会社」,「 〃 稚内」,「 〃 白老」, 「 〃 函館」,「 〃 北見」,「 〃 関東」及び「 〃釧路」の各売上金額を合計した金額を,本件取引については,「㈱丸ヨ西尾SF」及び「 〃 水戸」又は「㈱丸ヨ西尾」と「㈱丸ヨ西尾センター」,「丸ヨ西尾土浦センター」又は「㈱丸ヨ西尾土浦」の各売上金額を合計した金額を,M会社につい ては,「M会社柏」,「M会社」,「M会社柏」又は「〃 柏木店」と「 〃 本社」若しくは「M会社本社」並びに「〃 市川」又は「 〃 市川店」の各売上金額を合計した金額を,それぞれ,原告の売上金額全体〔該当月の「売上」の列には複数の「合計」の行があるが,そのうち最下段の欄の金額〕で除して,百分率で表したものである。)。 ⒜ 平成14年5月 L会社 45%本件取引 39%(上記合計 84%)M会社 7%⒝ 平成15年5月 L会社 45% 本件取引 41%(上記合計 86%)M会社 8%⒞ 平成16年5月 L会社 25%本件取引 28% (上記合計 53%)M会社 5%⒟ 平成17年5月 L会社 42%本件取引 30%(上記合計 72%) M会社 7%⒠ 平成18年5月 L会社 21%本件取引 15%(上記合計 36%)M会社 3% 年5月 L会社 42%本件取引 30%(上記合計 72%) M会社 7%⒠ 平成18年5月 L会社 21%本件取引 15%(上記合計 36%)M会社 3% ⒡ 平成19年5月 L会社 28% 本件取引 17%(上記合計 45%)M会社 6%⒢ 平成20年5月 L会社 21%本件取引 34% (上記合計 55%)M会社 10%⒣ 平成21年5月 L会社 26%本件取引 40%(上記合計 66%) M会社 3%平成22年5月 L会社 19%本件取引 51%(上記合計 70%)M会社マイナスが計上されている 平成23年5月 L会社 22%本件取引 43%(上記合計 65%)M会社 0.01%平成24年5月 L会社 16% 本件取引 27%(上記合計 43%)M会社 0.02%イ検討上記アの認定事実に基づき検討する。 取引慣行及び被告セコマらによる返品状況 a 米の卸売業者・小売業者間の取引においては,旧米返品の慣行があることが認められ(上記ア,被告セコマらも卸売業者に対して同慣行のとおり旧米返品の受け入れを求めていたものと認められる(同⒞)。 b 本件取引開始当時,米流通の規制緩和により卸売業者間の競争が 激化し,卸売業者の小売業者,特に大手小売業者に対する交渉力が弱まった(上記ア及び⒝)。その結果,取扱量の拡大,安定を求めて大手小売業者と取引することにした卸売業者の中には,安価でのプライベート商品の提供に応じる者や(同⒟),販売期限(賞味期限)が切れた米の返品を受け入れる者が相当数現れた(同 b⒝ないし⒟)。卸売業者 業者と取引することにした卸売業者の中には,安価でのプライベート商品の提供に応じる者や(同⒟),販売期限(賞味期限)が切れた米の返品を受け入れる者が相当数現れた(同 b⒝ないし⒟)。卸売業者のうち少なくとも約3割の者がそのような返品を受け入れていたこと(同⒟。なお,同⒞の調査ではより高い割合が示されているが,証拠上,返品の理由が判明しないため,販売期限が切れたことを理由とする返品を受け入れている卸売業者の割合として同⒞の調査における割合を採用することはできない。) からすれば,販売期限(賞味期限)が切れたことを理由とする返品は標準的とまではいえないが,しばしば見られる取引条件であり,上記割合の者が返品を受け入れていた限度で慣行化していたものと認められる。上記割合からすれば,小売業者の中にはそのような返品の受け入れを求めない業者も少なくはなかったことがうかがわれ るが,このような取引慣行があったことに加え,被告セコマらはO会社に期限切れ返品を受け入れさせていたこと(同,また,本件取引における被告フーズによるからすれば,被告セコマらは,期限切れ返品の受け入れを求める取引姿勢であり,原告は,被告セコマらから本件返品合意を求められ て,これを受け入れた可能性が高いといえる。 原告の動機付けa 本件取引開始当時⒜ 原告は,本件取引開始直前,取引量の拡大を目指して,大規模な設備投資をしており(上記ア),設備の操業率を高めるためにも,大口の取引先を求めていたものと認められる。このこと は,本件返品合意を受け入れてでも被告セコマらと本件取引を開始することの動機となり得る。 ⒝ また,本件取引開始以前の原告の最大かつ唯一の大口顧客が被告セコマらの関連業者であるL会社であったこと(上記ア)に照 を受け入れてでも被告セコマらと本件取引を開始することの動機となり得る。 ⒝ また,本件取引開始以前の原告の最大かつ唯一の大口顧客が被告セコマらの関連業者であるL会社であったこと(上記ア)に照らせば,原告は,L会社との取引継続のために,被告セコマ らの意向を拒みにくい立場にあったと認められる。このことも被告セコマらが要求する本件返品合意を受け入れる動機となり得る。 b 本件取引開始後さらに,本件取引開始後は,原告の売上のうち,被告フーズに対する売上が相当部分(平均的には約3割,最大で約5割)を占め, 被告フーズ及びL会社に対する売上を合わせた売上が,更に大きな割合(平均的には約6割,最大で8割超)を占めていた(上記アd)ことからすれば,原告は被告フーズ及び被告セコマらの関連企業であるL会社との取引に大きく依存していたものといえる。このような被告セコマらに対する取引依存度に照らせば,本件取引開始 後は,原告は,被告フーズ及びL会社との取引継続のために,被告セコマらの意向を一層拒みにくい立場となったと認められ,このことは,本件返品合意を継続する動機となり得る。 c 以上によれば,原告は,被告セコマらとの取引開始並びに被告セコマら及びL会社との取引継続のために,本件返品合意を受け入れ, これを継続する動機が十分にあったものといえる。 期限切れ返品を前提とした賞味期限の変更原告は,本件取引開始に当たって,商品の賞味期限を2週間程度に設定したいと述べる被告セコマらに対し,これを1か月と設定するよう要望した(上記ア)ものであるが,同要望は,本件取引において期限切れ返品がされることを前提に,期限切れ返品の発生を抑制し ようとしたものと考えられる(本件取引に期限切れ返品の合意がないとすると 望した(上記ア)ものであるが,同要望は,本件取引において期限切れ返品がされることを前提に,期限切れ返品の発生を抑制し ようとしたものと考えられる(本件取引に期限切れ返品の合意がないとすると,原告が被告セコマらに対して賞味期限を長く設定することを求めた理由を説明するのが困難である。)から,原告が同要望をしたことは,本件取引開始当時,原告が本件返品合意のうち期限切れ返品に係る部分を受け入れていたことをうかがわせる。 返品に対する原告の反応a 本件取引では,取引開始当初から,旧米返品及び期限切れ返品が始まり,それらの返品率も1ないし2割程度と決して低率ではなかったが,原告はこれに異議を述べていなかった(上記アまた,取引開始後は,上記返品率が上昇し,一時40%台に達するこ ともあったが(同a⒜),原告は,被告に対し,返品量の抑制を要望することはあっても,基本的に返品自体を拒否したことはなく(同b),返品自体を拒否したことがあったのも,米が不作で供給不足である場合(平成14年産米について)や,単一銘柄の米による商品よりも価格が抑えられている場合(平成17年低価格ブレン ド米について)といった特別な事情がある場合に限られていた(同c)。 b 上記によれば,原告には被告セコマら及びL会社との取引継続のために異議を述べることができず,返品の受け入れを余儀なくされていた可能性がないとはいえないが(この点は後記⑷〔本件返品 合意の有効性〕で検討する。),上記aのとおり,外形上,旧米返 品及び期限切れ返品を受け入れ続けていたことは,本件返品合意が存在し,原告が消極的にではあっても基本的に本件返品合意を受け入れていたことをうかがわせる。 合意書面が作成されていないこと本件返品合意については, 受け入れ続けていたことは,本件返品合意が存在し,原告が消極的にではあっても基本的に本件返品合意を受け入れていたことをうかがわせる。 合意書面が作成されていないこと本件返品合意については,合意書面が作成されておらず(上記ア しかし,本件取引では,平成8年に取引が開始したにもかかわらず,平成15年まで契約の基本条件を定めた契約書が作成されていなかったものであり(前提事実⑵ウ),原告及び被告セコマらのいずれも合意内容を書面化する意識が希薄であったものとうかがわれるから,本 件返品合意が口頭で成立した可能性は否定されない。 また,本件返品合意は,原告が旧米返品と期限切れ返品を受け入れ,返品代金を控除した残額を支払う方法により,又は被告フーズが原告から請求された代金全額を支払った上で,原告が被告フーズに対し, 返品代金を返金する方法により清算するという比較的単純な内容であり,合意を形成するために書面作成の必要性が高いものであるともいえない。 よって,本件返品合意について合意書面が作成されていないことのみをもって,同合意の存在が否定されるものではない。 の各事情を総合考慮すると,本件返品合意は,大口取引の開拓及び継続を希求する原告が,同様の取引条件を他の多くの卸売業者も受け入れていたことから,大口顧客となる被告セコマらの求めを受け入れて成立したものと推認される。なお,本件返品合意の当事者は,返品の主体が被告フーズであることに鑑みて,被告フーズ と見られる。 ウ小括よって,原告と被告フーズの間では,本件取引開始時から,RB米及びもち米の取引について,旧米返品及び期限切れ返品を許容し,これらの返品がされた場合には返品分に係る代金を減額する旨の合意が成立し,これが継続してい 被告フーズの間では,本件取引開始時から,RB米及びもち米の取引について,旧米返品及び期限切れ返品を許容し,これらの返品がされた場合には返品分に係る代金を減額する旨の合意が成立し,これが継続していたことが認められる。 ⑶ 本件返品合意の有効性ア判断の枠組み上記1のとおり,RB米取引は製造委託契約であり,もち米取引及びHC用米取引は売買契約であるところ,原告及び被告フーズの各資本金の額によれば(前記前提事実⑴ア及びウ。下請法2条7項1号, 同条8項1号),RB米取引には,下請法の適用があり,同取引における本件返品合意は同法4条1項4号に違反するものであると認められるが,そのことによって直ちに同合意の私法上の効力が否定されるものではなく,上記各取引における本件返品合意が私法上無効であるというためには,同合意が民法90条にいう公序良俗に反するもので あることが必要と解される。そして,本件返品合意が公序良俗に反し,無効となるか否かは,諸般の事情を総合考慮して,本件返品合意について,被告フーズが,自己の取引上の地位の優越性を利用して,正常な商慣習に照らして不当に原告に不利益となるように取引の条件を設定したものであり,健全な取引秩序を乱し,かつ,公正な商慣習の育 成を阻害するものとして私法上無効とされるべきものか否かという観点から判断されるべきである。 イ認定事実これを本件についてみると,前記前提事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 被告セコマらの小売戦略 被告セコマらは,平成8年6月頃から,セイコーマート加盟店における米の小売りに関して,「フレッシュローテーション」と呼ぶ販売戦略を採り,米の賞味期限を短めに設定することで,常に精米から日の浅い,新鮮 告セコマらは,平成8年6月頃から,セイコーマート加盟店における米の小売りに関して,「フレッシュローテーション」と呼ぶ販売戦略を採り,米の賞味期限を短めに設定することで,常に精米から日の浅い,新鮮な米が加盟店の店頭に並ぶようにしていた(乙7,弁論の全趣旨)。 返品米の再販売可能性a 業務用米としての再販売可能性⒜ 業務用米市場の存在① 食糧法施行当時以来,加工・外食等における米の消費量は,家庭内における米の消費量に匹敵している。 業務用米市場における需要者には,加工米飯業者,レストランや食堂など本来の外食業者,持ち帰り弁当などのいわゆる中食業者,コンビニエンスストアや量販店などに弁当・惣菜を納品するベンダー,事業所・病院・学校等の食堂の運営やケータリングを行う給食業者,炊飯を専門とする炊飯業者 など,多様な業態の需要者がおり,原料米の仕入れについても多様であり,それぞれが求める商品の内容,価格,仕入条件は幅広い。 外食産業等は,卸売業者が米の仕入先の過半(E意見書〔乙57〕では,6割以上とされている。)を占めており, ブレンド精米を仕入れることが多く,その場合,原料構成は卸売業者に委ねられることが多い。外食産業等がブレンド精米を求める理由は,品質・食味の割に価格が安く,安定的に一定量の確保ができるというものであり,単に価格が安ければよいとされているわけではない。ただし,米自体に味を付 ける場合など,用途によっては家庭向けの小売用米ほどの食 味を求められない場合もある。 単品品種による米でもブレンド米でも,コシヒカリの仕入れが他のいずれの品種よりも圧倒的に多い。外食事業者等のうち消費者に対してブレンド米の産地情報を提供している事業者は約4割(農林中金総合研究所主 単品品種による米でもブレンド米でも,コシヒカリの仕入れが他のいずれの品種よりも圧倒的に多い。外食事業者等のうち消費者に対してブレンド米の産地情報を提供している事業者は約4割(農林中金総合研究所主任研究員J作成の報告 書〔乙52・32頁。以下「J報告書」という。〕では,全体の3割強とされている。)にすぎなかったこともあり,コシヒカリを扱う卸売業者には,ブレンド米の原料構成等について大きな裁量があった(ただし,平成23年に米トレーサビリティ法が施行され,消費者に対する産地,銘柄の情報提 供が求められるようになると,卸売業者の裁量は狭まった。)。 仕入契約の期間を見ると,年間一括といった長期契約は3割程度にすぎず,そのほかは,毎月,3か月ごと,6か月ごとといったより短期の契約や,仕入れの都度やその他といっ た単発的な契約が占める(J報告書〔乙52・34頁〕では,調査対象外食事業者の米仕入に係る契約の頻度〔期間〕は,事前一括契約〔65.2%〕が過半であるなどとの回答からは,安定的契約関係が志向されているものと読み取れるが,大手外食産業においては,事前一括契約のイメージは薄いと されている。)。(乙52,57,証人E)② 平成14年当時,破袋等を理由に返品された精米のうち各卸売業者が定める使用基準を満たしたものは,再調整の上,JAS法上支障がなく,取引先の産地銘柄等の指定がない業務用米に使用されていた(全国農業組合連合会米穀総合対策 部作成の報告書〔乙40〕)。 ③ 精米日からの日数経過を理由に量販店から卸売業者に返品された米は,その取引数量の把握が困難であるが,その多くは業務用(外食・中食・加工)の米として再販売され(ただし,業務用米が主として返品米で構成されていたということはない〔 販店から卸売業者に返品された米は,その取引数量の把握が困難であるが,その多くは業務用(外食・中食・加工)の米として再販売され(ただし,業務用米が主として返品米で構成されていたということはない〔証人E〕。),また,ディスカウントショップ等で の小売にも相当量が出回っていたところ,業務用米の価格及び品質低下の要因になっていた。(乙41)④ 米は粒径の大きい順に上米,中米,篩下米に区別され,上米は標準的な主食用の小売用米として,中米は単独で,又は上米とブレンドされた上で,ディスカウントストアなどで販 売される低価格帯の小売用米又は業務用米として,篩下米のうち大きめのものは中米同様により粒径の大きい米とブレンドされた上で小売用米又は業務用として,篩下米のうち小さめのものは,米菓,ビールの醸造,味噌などの各種用途に使用される米としてそれぞれ販売される。さらに,稲の成長過 程や精米の過程で,砕ける,白濁する,あるいは着色するなどした米も,色彩選別の過程でいったん除去されるが,加工用に販売される。(乙37)なお,O会社のG常務の陳述書(乙37)における供述は,具体的かつ詳細なものであり,基本的に,他の証拠(E意見 書,各種の調査結果及び報告書等)の内容との整合性を有するものであることに加え,弁論の全趣旨(被告セコマら代理人作成の平成28年4月11日付け及び平成29年4月21日付け各上申書)からうかがわれる,被告セコマらがG常務の証人尋問の申請を断念した経緯からすれば,O会社と被告 セコマらとの間に取引関係があることを考慮してもなお,信 用性が認められるというべきである。 ⒝ 業務用米の価格水準① 農林水産省総合食料局食料部計画課による外食事業者等に対する米の仕入動向等に関するアンケート調 あることを考慮してもなお,信 用性が認められるというべきである。 ⒝ 業務用米の価格水準① 農林水産省総合食料局食料部計画課による外食事業者等に対する米の仕入動向等に関するアンケート調査結果によれば,平成17年当時,単一銘柄米の平均仕入価格(精米1kg当 たり消費税込みの価格。以下同じ。)は,外食産業では,300円以上350円未満が38.9%,350円以上400円未満が33.7%,400円以上450円未満が13. 5%,450円以上が6.3%,中食産業では,300円以上350円未満が41.9%,350円以上400円未満が 27.9%,400円以上450円未満が6.4%,450円以上が10.5%であった(乙55)。 また,農林水産省総合食料局食糧部が株式会社インテージ(以下「インテージ」という。)に委託して行われた外食・中食事業者の取引動向に関する調査結果によれば,平成22 年当時,単一銘柄米の平均仕入価格は,外食事業者では,250円以上300円未満が30.1%,300円以上350円未満が42.7%,350円以上が25.9%,中食製造事業者では,250円以上300円未満が30.0%,300円以上350円未満が43.3%,350円以上が16. 7%であった(乙56の3)。 さらに,農林水産省総合食料局食糧部がインテージに依頼して実施した米の取引動向調査に関する年次報告によれば,平成22年当時,外食・中食事業者における単一銘柄米及びブレンド米の平均仕入価格は,250円以上300円未満が 41.1%,300円以上350円未満が41.1%,40 0円以上が合計15.9%であった(乙56の2)。 ② 農林水産省総合食料局食糧部計画課による外食事業者等に対する米の仕入動向等に関するア .1%,300円以上350円未満が41.1%,40 0円以上が合計15.9%であった(乙56の2)。 ② 農林水産省総合食料局食糧部計画課による外食事業者等に対する米の仕入動向等に関するアンケート調査結果によれば,コシヒカリの外食事業者,中食製造業者及び炊飯事業者に対する販売価格(1kg当たり)は,平成15年12月中旬か ら平成16年1月に実施された調査では300円ないし600円(乙53),平成16年5月に実施された調査では平均426円(乙54),平成16年11月から平成17年1月に実施された調査では平均370円であった(乙55)。また,平成25年に実施された食糧庁による外食事業者に対す る仕入動向等アンケート調査によれば,茨城県産コシヒカリの外食事業者に対する販売価格(1kg当たり)は,330円ないし336円であった(乙52。これは当該調査における小売価格の75%ないし76%に相当する。)。 他方,農林水産省総合食料局食糧部計画課による上記アンケ ート調査結果によれば,コシヒカリ主体のブレンド米の外食事業者,中食製造業者及び炊飯事業者に対する販売価格(1kg当たり)は,平成16年5月に実施された調査では平均370円(乙54),平成16年11月から平成17年1月に実施された調査では平均331円(乙55)であった。 特に関東圏では,コシヒカリ使用をうたう料理店等が多く,手頃な価格で仕入れられる茨城県産コシヒカリの業務用米の引き合いは高かった(乙37)。 ③ 返品米は,同等の品質であれば,業務用米として,家庭向けの小売用米の納入価格の7割程度で再販売できる。買い手 が米の素性を明らかにするよう求めてきた場合を除き,通常, 当該米が返品米であることは明らかにしないため,返品され して,家庭向けの小売用米の納入価格の7割程度で再販売できる。買い手 が米の素性を明らかにするよう求めてきた場合を除き,通常, 当該米が返品米であることは明らかにしないため,返品された米であるという素性自体により価格が下がることはない(証人E)。なお,証人Eの証言及びE意見書の内容は,具体的かつ詳細なものであり,他の証拠(調査結果,報告書等)の内容との整合性を有し,自己が知らないことについては率 直に知らないと答えるなどその証言態度にも問題はうかがわれず,同証人と当事者との間の利害関係があることをうかがわせる事実も認められないから,信用性があると認められる。 ④ O会社は,返品米を,銘柄(品種,産地)ごとにまとめ,精米日からの経過期間をある程度揃えた上で,玄米から精米 する場合と同様に,色彩選別機(色彩により米と異物を選別し,異物を除去する機械)や金属検出器にかけ,業務用の包装(透明なプラスチック製の袋に品名を表示する程度の簡素なもので,30kgの容量での取扱いが多かった。)に再包装し,主として食品加工業者に業務用米として,おおよそ小 売業者に対する卸売価格の80%ないし90%程度の価格(平成22年では納入価格の85%程度)で再販売していたほか,社員に対する社内販売もしていた。 ただし,例は少なかったが,返品率が極めて高かったときには,再包装する余裕がなく,被告セコマらに対する小売用 の包装(O会社のナショナルブランド米としての包装)のまま,銘柄や精米日からの経過期間も揃えずに,いわゆる「無選別」として,小売業者に対する卸売価格の50%程度の価格で,他の卸売業者に再販売したこともあった。 O会社の経験した限りでは,返品米を業務用米として再販 売する際に,精米日からの経過日数 別」として,小売業者に対する卸売価格の50%程度の価格で,他の卸売業者に再販売したこともあった。 O会社の経験した限りでは,返品米を業務用米として再販 売する際に,精米日からの経過日数の長さが問題となったこ とはなかった。(乙37)⑤ 原告は,少なくとも平成10年頃までは返品米の再販売を試み(このための作業は,原告の代表者家族が営業時間外に行うなどした。),飲食店等に対して,業務用米として,再販売したことがあった(原告代表者B)。 ⑥ 被告セコマは,平成18年,原告に対して,原告が和菓子会社に対して返品米を1kg当たり260円(物流費込み)で,年間12t販売する計画を提案し,原告はこれを了承した。この際,加盟店から返品された商品は(被告セコマの商品部業務報告書の表現によれば)「風潮被害」があるため使 用しないこととし,配送センターにおいて出荷期限を徒過して返品することとなった精米後14日が経過した商品を使用することとされた。原告の代表者であったAは,同計画について,返品米の処理を工場で行わなくて済む分,経費削減となり,返品による伝票上の赤字処理もこの程度であれば対応 できる旨の話をしていた。(乙16の3)原告の被告フーズに対する平成18年産こしひかりの納入価格は(通常価格で)1kg当たり305円,同年産もち米の納入価格は1kg当たり315円であった(乙21)。よって,上記再販売予定価格はこしひかりの納入価格の約8 5%,もち米の納入価格の約83%に相当した。 しかし,同計画は実行されなかった(乙48)。 b 本件取引における返品米の品質⒜ 精米後の米の鮮度の変化一般に,精米後の米は常温で保存した場合,夏は1か月,そ れ以外の季節は2か月で品質(食味,外観, 行されなかった(乙48)。 b 本件取引における返品米の品質⒜ 精米後の米の鮮度の変化一般に,精米後の米は常温で保存した場合,夏は1か月,そ れ以外の季節は2か月で品質(食味,外観,香り,硬さ,粘り など)が劣化するとされている(甲11,12)。 これを保存温度ごとに見ると,25℃では2か月,20℃では5か月,15℃では7か月,5℃では9か月で食味が低下するとして,精米後の米に賞味期限(期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限)を設定するとすれば, 官能試験での食味が貯蔵開始時と有意差が認められない範囲を賞味期限とすることとし,25℃で2か月程度,20℃で3か月程度,15℃で5か月程度,5℃で7か月程度と設定するのが適当であるとされている(乙34)。 ⒝ 本件取引におけるRB米の保管状況,返品までの日数 本件取引におけるRB米の出荷から返品までの状況は次のとおりである(被告フーズ商品統括部長Kの陳述書〔乙63〕,原告代表者B,弁論の全趣旨)。 ① 原告は,被告フーズに対し,日曜日を除いてほぼ毎日,RB米を納品していた。原告からの出荷は精米当日であり,茨 城県土浦市所在の土浦配送センターへの納品(茨城県及び埼玉県所在の加盟店向け)は精米翌日,札幌市所在の札幌配送センターへの納品(北海道内の加盟店向け)は精米2日後であった。 ② 被告フーズが管理する各地の配送センターでは,納品され たRB米をパレット積みのまま保管して,加盟店への出荷直前にラップをはがして開梱し,配送箱やバットに取り分けた。 この際に,袋の破れやシールミス(のり付け不良)が見つかることがあった。 ③ 札幌配送センターに隣接する札幌リサイクルセンターは, 鉄骨造の2階建て倉庫であり,返品対象 バットに取り分けた。 この際に,袋の破れやシールミス(のり付け不良)が見つかることがあった。 ③ 札幌配送センターに隣接する札幌リサイクルセンターは, 鉄骨造の2階建て倉庫であり,返品対象のRB米は1階(床 面積約1490㎡)の一角(約120㎡)に常温で保管されていた。同倉庫の2階床及び1階天井はグレーチング構造(2階床及び1階天井が1枚の網目状の鋼板でできており,網目により通気が可能な構造)である上,2階には大型換気扇が設置され,倉庫全体が換気されていた。 各地の配送センターは,標準的な倉庫の構造をしており,特別な空調設備はなかった。 被告フーズはこれらの倉庫にRB米及びその返品米だけでなく,加盟店で販売予定の通常の商品も保管していた。 ④ 被告フーズから加盟店への出荷は日曜日を除いて毎日あり, 早ければ原告からの納品翌日(精米日から二,三日程度)に行われていた。被告フーズは,平成20年当時,配送センターから加盟店への出荷期限を精米後14日としており,これを経過したRB米は加盟店からの返品米と一緒に原告へ返送された。被告フーズは,上記RB米について,出荷期限経過 後から返送までの期間を限定していなかった。 ⑤ 加盟店に納品されたRB米は,速やかに店頭の陳列棚に置かれた後,精米後1か月(被告セコマらが賞味期限として設定した期間)経過を目安に返品のために店頭から引き下げられ,返品のためにトラックに積み込まれるまでの間,バック ヤード(店頭で販売する商品を保管するための場所)に置かれた。そして,加盟店は,店舗に商品を納入するトラックを使って,返品米を配送センターに返送していた。札幌地域の加盟店からの返品は直接札幌リサイクルセンターへ返送され,札幌地域以外の道内の加盟店からの返品は,一旦, 盟店は,店舗に商品を納入するトラックを使って,返品米を配送センターに返送していた。札幌地域の加盟店からの返品は直接札幌リサイクルセンターへ返送され,札幌地域以外の道内の加盟店からの返品は,一旦,函館,旭 川,釧路,帯広,稚内の各配送センターへ返送された後,集 積度合いに応じて随時札幌リサイクルセンターへ返送されたほか,茨城県及び埼玉県の加盟店からの返品は土浦配送センターに返送された。被告フーズは,加盟店に対し,賞味期限経過後から返送までの期間を限定しておらず,また,札幌配送センター以外の道内の配送センターに対し,返品米の到着 から札幌配送センターへの返送までの期間を限定していなかった。 ⑥ 札幌配送センター及び土浦配送センターに集積された返品米は,毎週,原告へ返送された。被告フーズは,両配送センターに対し,返品米の到着から原告への返送までの期間につ いて期限を設けていなかった。 ⑦ 被告フーズは,返品に当たって,返品理由を明らかにせず(瑕疵返品と期限切れ返品を区別していない。),返品米を精米日ごとに整理することもせず,品質確認をすることもしていなかった(争いのない事実)。 ⒞ 米の保管場所の気温本件取引における米の保管場所である被告フーズの倉庫ないし配送センターがある主な都市の気温は,おおむね次のとおりであった(公知の事実)。 札幌市の月別の平均最高気温の傾向を5℃刻みで見ると,1 月ないし3月は5℃以下,4月は10℃前後,5月及び6月は20℃前後,7月及び8月は25℃前後,9月は20℃前後,10月は15℃前後,11月は10℃前後,12月は5℃以下である。函館市,旭川市,釧路市,帯広市及び稚内市は,札幌市と同程度であるか,それよりも低い。 土浦市の月別の平均最高気温の傾 後,10月は15℃前後,11月は10℃前後,12月は5℃以下である。函館市,旭川市,釧路市,帯広市及び稚内市は,札幌市と同程度であるか,それよりも低い。 土浦市の月別の平均最高気温の傾向は,1月ないし3月は1 0℃前後,4月及び5月は20℃前後,6月は25℃前後,7月及び8月は30℃前後,9月は25℃前後,10月は20℃前後,11月は15℃前後,12月は10℃前後である。 ⒟ 原告による返品米の品質を理由とした返品拒否原告は,被告フーズに対し,平成19年及び平成20年に1 回ずつ,返品米に水濡れやかびがあるとして,返品を拒否し,被告フーズはこれを受け入れて,当該返品米の代金を支払ったことがある(乙42,43,63,弁論の全趣旨)。ただし,関係証拠上,それらのほかに,原告による同様の返品拒否があったとは認められない。 ⒠ O会社と被告セコマらの取引における返品米の品質O会社が被告フーズから受け取った返品米は,精米日から30日から40日以内のもので,水濡れやかびなどはほとんどなかった(乙37)。 c 販路 ⒜ 原告は,少なくとも平成10年頃までは返品米の再販売を試み,飲食店等に対して,業務用米として,再販売したことがあった(原告代表者B)。 ⒝ 原告の業務用米の販売先として,M会社のほか,首都圏の料理店,弁当屋,病院などがあったところ,M会社の顧客は主に 小規模の小売店等であった(乙48,原告代表者B)。 ⒞ 原告が公取委への申告に際して提出した書面(甲1)の別紙には,「RB商品の返品の処理については,当社M会社柏店・市川店・松戸店・その他業務用にて差損をし処理しました。」との記載がある。 d 人員,設備の余剰 ⒜ 一般に,プライベートブランド商 品の返品の処理については,当社M会社柏店・市川店・松戸店・その他業務用にて差損をし処理しました。」との記載がある。 d 人員,設備の余剰 ⒜ 一般に,プライベートブランド商品である米を業務用米として小売業者又は最終使用者である料理店等に再販売するためには,銘柄や精米日からの経過期間をある程度揃えた上で,プライベートブランド用の包装を破き,米をフレコンバッグなど,買い手が求める包装に再包装することが必要になる(乙37, 証人E)。 ⒝ 平成17年時点で,原告の役員は2名,社員は15名(工場社員9名,工場パート2名,事務4名)であった。工場では,機械は全自動であり,その操作も1名で足りるが,機械への原材料の投入等は手作業で行っていた。(乙22の2) 原告に設置されている精米機は,玄米を投入し,以後,自動的に研磨(精米),異物除去,計量,包装をするものであるが,精米済みの米を投入することは予定されていない(甲41)。 e 再販売以外の処理方法(廃棄,肥料)原告における産業廃棄物処理費用の支出は,返品米全量につい て廃棄委託をした場合の金額と比較して僅少である(乙38,50,51)。また,原告は米トレーサビリティ法上求められる廃棄の記録を作成,保存していない(弁論の全趣旨)。 f 原告によるP会社からの返品米の仕入れ原告は,平成24年頃,北海道内に所在する子会社であるP会 社から,被告フーズがP会社に返品した米を購入していた(争いのない事実)。その購入額は,原告の平成23年5月分から平成25年1月分までの帳簿上,返品米を仕入れたことが明記されているもの(ななつぼし又はHC用米)の仕入金額(消費税込み)を合計すると,91万1207円である(乙44)。 返品を 分から平成25年1月分までの帳簿上,返品米を仕入れたことが明記されているもの(ななつぼし又はHC用米)の仕入金額(消費税込み)を合計すると,91万1207円である(乙44)。 返品を前提とした納入価格の設定 a 一般的なマージン平成10年全国米穀協会の委託によるF教授の調査結果によれば,卸売業者から大型量販店に販売する際のマージンの平均は,通常期間で7.0%,特売期間でその3分の2程度である。特売期間のマージン設定について,回答者の75.7%は,これでは 経費を賄えない旨回答している(乙91)。 b 本件取引における粗利益率⒜ 原告が平成11年産米(RB米)について申し出た粗利益率(納入価格から原料価格,精米費,包装費及び運送費を控除した残額を納入価格で割った割合)は,100%有機コシヒカリ で3.7%,一般コシヒカリで5%,あきたこまちで3.9%であった(乙92)。 ⒝ 平成14年産米の原告の粗利益率は,RB米で商品ごとに8%ないし12%程度(有機コシヒカリ5kgで約8.1%,一般コシヒカリ1kgで約9.4%,同2kgで約9.3%, 同5kgで約12.6%〔ただし,販促品及びチラシ品は約12.2%〕,同10kgで約12.6%〔ただし,販促品及びチラシ品は約12.2%〕,あきたこまち5kgで約11. 1%など),もち米1kgで約5.4%であった(乙77)。 ⒞ 米が不作であった平成15年産米の原告の粗利益率は,前年 よりも高く設定され,RB米で商品ごとに6%ないし13%程度(有機コシヒカリ5kgで約6.1%,一般コシヒカリ1kgで約12.8%,同2kgで約12.6%,同5kgで約12.6%〔ただし,販促品及びチラシ品は約9.7%〕,同10kgで約12.7%〔ただし,販 機コシヒカリ5kgで約6.1%,一般コシヒカリ1kgで約12.8%,同2kgで約12.6%,同5kgで約12.6%〔ただし,販促品及びチラシ品は約9.7%〕,同10kgで約12.7%〔ただし,販促品及びチラシ品は約9. 7%〕,あきたこまち5kgで約9.5%など),もち米で約 3.4%であった。(乙77)c 原告によるマージンの低さを理由とした返品拒否原告は,平成17年4月8日,被告セコマらに対し,同年における低価格ブレンド米の取引において,見積もった納入価格(1kg当たり180円)では返品による損失を織り込むことができ ないことを理由に返品条件を拒否した(乙19)。 dO会社と被告セコマらの取引におけるマージンO会社は,被告セコマらとの取引において,過去の取引から返品率をおおむね把握し,返品量や再出荷による差損を見込んだ価格設定をしており,返品に係るコストを考慮しても採算がとれて いた。そして,平成22年に返品条件が廃止された後は,それ以前よりも低価格で納品するようになった。(乙37) 原告の経営状況a 売上の推移(弁論の全趣旨)本件取引における納入量は,平成8年は約960tに過ぎなか ったが,翌平成9年には約2000tに倍増し,平成10年には約2500t,平成12年には約3000t,平成14年には約4000t,平成15年には約5000tに達し,その後,平成18年に一時約2500tに落ち込んだが,おおむね3000tないし4000t台を維持し,平成21年には約6000tに再 び増加し,平成22年には過去最大の約9000tに達した。その後は,平成23年には約7000t,平成24年には約3000t,平成25年には約1300tに減少した。 b 粗利率⒜ 再 び増加し,平成22年には過去最大の約9000tに達した。その後は,平成23年には約7000t,平成24年には約3000t,平成25年には約1300tに減少した。 b 粗利率⒜ 原告の決算報告書上,各期の粗利率は,平成8年5月から平 成17年4月までは約14ないし17%であり,平成17年5 月以降は約7ないし約10%であった(乙38,49)⒝ 株式会社米穀新聞社発行の米穀年鑑によれば,平成13年度ないし平成23年度における,米穀卸売業者のうち米扱率が90%以上で売上高が100億円未満のものの平均的な粗利率は,6.94%(平成15年度)ないし9.69%(平成23年度) であった(乙89)。 c 剰余金原告の決算報告書上,各期末の剰余金は,平成9年4月末時点では約2900万円であったが,その後,毎年約2000万円ないし3000万円ずつ増加させ,平成12年4月末時点で約1億 1000万円に達し,その後も,毎年約2000万円ないし3000万円ずつ増加させ,平成16年4月末時点で約2億0100万円(以下「平成16年の剰余金」という。)に達して以降,平成21年4月末時点まで2億円台を維持し,平成22年4月末時点以降も約1億7500万円から約1億9000万円を維持して いた(乙38,49)。 d 欠損⒜ 平成17年度① 平成16年は,平成15年産米が不作であったため,米の値上がりが予測されていた(弁論の全趣旨)。原告は,この 頃,借入れ及び棚卸資産を大幅に増加させた(乙38,49)。 また,原告は,平成16年5月から平成17年6月にかけて,平成11年産米及び平成12年産米の取引を行ったが,同取引は差損を生じさせ,その額は平成16年5月から平成 17年4月までで合 また,原告は,平成16年5月から平成17年6月にかけて,平成11年産米及び平成12年産米の取引を行ったが,同取引は差損を生じさせ,その額は平成16年5月から平成 17年4月までで合計約2600万円,さらに,同年5月及 び同年6月の額を合計すると合計約8200万円となった(乙45)。 そして,原告は,平成17年4月期には,約9500万円の欠損を計上した(乙70の1)。 ② 被告セコマ法務部は,原告との平成17年低価格ブレンド 米取引においてサンプルと異なる米が納入されたという問題が発生したことを受けて,同年6月,原告との取引継続の可否を検討するため,原告の財務状況等を調査した。その調査結果は,原告には,原告及び関連会社(M会社等)の財務状況を把握,管理している者がおらず,その結果,収益性及び 資金繰りの点でひっ迫した財務状況にあるが,当時の売上額と他社よりも高い粗利率を前提とすれば,借入金の圧縮や経費削減を進めることにより,経営の行き詰まりを回避することが可能である,というものであった。同調査では,原告の収益力について詳細な検討が加えられているが,返品米の再 販売や不良在庫等についての検討はされていない。(乙22)⒝ 平成20年度ないし平成23年度原告は,平成20年度から平成23年度の間,一度も欠損を計上していない(乙70)。 ⒞ 平成24年度 下館税務署長は,平成26年9月29日,原告の請求により,原告の平成24年度の法人税について,欠損金額8億1939万6261円を認め,これを翌期へ繰り越すことを認める旨の更正をした(甲36)。 e 貸付け 被告セコマは,原告に対し,平成20年5月9日に1億円を貸 し付け(乙23。弁済期は同年9月1日及 認め,これを翌期へ繰り越すことを認める旨の更正をした(甲36)。 e 貸付け 被告セコマは,原告に対し,平成20年5月9日に1億円を貸 し付け(乙23。弁済期は同年9月1日及び同月30日とし,弁済方法は手形の決済による。),平成24年7月20日に2億円を貸し付け(乙28。弁済期は同年10月31日とし,A及びBを連帯保証人とする。),平成25年1月25日に1億5000万円を貸し付けた(乙29。弁済期を同年4月30日とし,A及 びBを連帯保証人とする。)。 f 支払条件の変更被告セコマは,平成21年1月から平成22年3月までの間に,本件取引における代金の弁済期前の支払を合計9回行い,同年4月には,原告の要請を受け入れて,本件取引における代金の支払 条件を,翌月末払いから,翌月10日に7000万円を支払い,翌月末日に残金を支払うことに変更し(乙24,25),さらに,同年6月には,同年7月仕入分以降について,仕入日の翌々銀行営業日に支払うことに変更した(乙27,30)。そして,被告セコマは,同年3月ないし5月各仕入分の各支払について前倒し で支払う金額を1億円に増額し(乙25),同年6月及び7月各仕入分の各支払について前倒しで支払う金額を1億3000万円に増額した(乙26,27)。 g 経営介入Aは,平成25年2月13日,原告及びP会社の代表取締役と して,「P会社及び㈱斎川商店の資金繰りについては,セイコーマート及びセイコーマートが指定する担当者にお願いいたします。」,「セイコーマートに業務を一部担当して頂くことに伴い,P会社及び㈱斎川商店の代表印及び銀行取引印はセイコーマートに管理して頂くようお願いいたします。 」などと印字された「申 込書」と題する書面に署名,押 ートに業務を一部担当して頂くことに伴い,P会社及び㈱斎川商店の代表印及び銀行取引印はセイコーマートに管理して頂くようお願いいたします。 」などと印字された「申 込書」と題する書面に署名,押印し,被告セコマにこれを差し入 れた(甲23)。 また,Aは,同月24日,原告の代表取締役として,「㈱セイコーマートにA及び斎川商店が所有する資産の売却を申入れ致します。」,「斎川商店については,存続をお願いし,株式会社セイコーマート及びセイコーマートが指定する法人から精米事業に 必要な土地,建物,精米機を賃借させて頂くことで,精米事業の継続を希望いたします。」,「斎川商店及びAの資産の売却後もセイコーマートグループの米の仕入,精米処理については,従来通り協力させて頂くことを希望いたします。」,「斎川商店及びA個人の資産の売買については,第三者に口外いたしません。ま た,斎川商店の経営状態についても,取引銀行を含めた第三者に口外いたしません。」などと印字された「申入確認書」と題する書面に署名,押印し,被告セコマにこれを差し入れた(甲24)。 原告と被告フーズは,本件返品合意として上記⑵ウの限りの合意をしたのみであり,同合意に付随して,返品量,返送時期,粗利益 率等に関する合意をしたことはない(弁論の全趣旨)。 ウ検討本件返品合意が公序良俗に違反するか否かを検討するため,始めに,同合意が原告にとって経済合理性のあるものであったかどうかについて,同合意に基づく返品により原告にいかなる不利益が生じ たか(後記),返品米の再販売(後記)や高めの粗利益率の設定(後記)により同合意による損失を補てんできたか,及び実際の原告の経営状況がいかなるものであったか(後記)という観点から検討する(その小括 記),返品米の再販売(後記)や高めの粗利益率の設定(後記)により同合意による損失を補てんできたか,及び実際の原告の経営状況がいかなるものであったか(後記)という観点から検討する(その小括は後記)。 そして,次に,仮に本件返品合意が原告にとって経済合理性のな いものとされた場合,そのような合意が不当と評価されるべきかど うかについて,被告フーズが原告に同合意の締結を求めた目的(後記)及び原告が同合意を承諾した背景(後記)に照らして検討する(その小括は後記)。 さらに,本件返品合意が取引慣行に合致することが同合意の妥当性を基礎付けるか(後記),及び原告が本件返品合意を争うこと に信義則違反があるか(後記)について検討し,最後に,以上の事情を総合考慮して,本件返品合意が公序良俗違反として無効とされるべきものであるかについて検討する(後記)。 返品による不利益原告は,本件返品合意により,被告フーズから瑕疵返品以外の米 の返品を受けると,原告が被告フーズに請求した代金から返品分に相当する代金を控除され,又は同代金を返金しなければならないとされていた(前記前提事実⑶イウ)。そのため,原告は,返品米を相当な価格で確実に再販売することができ,あるいは,納入価格を高く設定して粗利益率を高く設定することにより,上記返 品による損失を補てんすることができるといった事情がない限り,返品により返品米の製造ないし調達に要した費用を十分に回収できなくなる不利益を負うことになる。 返品米の再販売による補てん可能性a 返品米を相当な価格で確実に再販売することができる場合,当 該返品により原告に直接の利益がもたらされるから,返品による損失の不利益性は消滅ないし減少する。そこで 再販売による補てん可能性a 返品米を相当な価格で確実に再販売することができる場合,当 該返品により原告に直接の利益がもたらされるから,返品による損失の不利益性は消滅ないし減少する。そこで,本件において,原告が返品米を再販売することができたか否かを検討する。 b 業務用米市場の存在,規模卸売業者が供給する商品としての米には,家庭で消費されるた めの米(家庭用米)のほかに,外食事業者等において加工・調理 された上で最終消費者に提供される米(業務用米)があるところ,加工・外食等における米の消費量は,家庭内における米の消費量に匹敵するものであり,業務用米の市場規模は小さくない(上記)。 c 業務用米市場における返品米の利用,評価 ⒜ 業務用米の市場では,破袋等を理由に返品された精米が商品として提供されることもある(上記イの認定事実及び③)。 原告も,少なくとも平成10年頃までは返品米の再販売を試み,小規模の飲食店等に対して,年間数百キログラムの米を, 業務用米として,再販売したことがあった(同⒝⑤)。 ⒝ しかし,一般的に,返品米を業務用米に転用するとしても,一定の品質基準を満たしたものに限って転用するものとされている(上記イa⒜②)。 d 本件の返品米の商品価値(銘柄) 本件の返品米のうちRB米は,主に業務用米の中でも食味と価格のバランスの良い米として人気がある茨城県産コシヒカリであり(前記a⒝②),この点は再販売を可能にする事情といえる。 e 本件の返品米の商品価値(水濡れ,かび) 本件の返品米は,被告フーズの倉庫及び被告セコマの加盟店の店舗に常温で保管されていたものであるが(上記イの認定事実米は常温で一定期間保管可能であること(同⒜),同店舗から引き上げら び) 本件の返品米は,被告フーズの倉庫及び被告セコマの加盟店の店舗に常温で保管されていたものであるが(上記イの認定事実米は常温で一定期間保管可能であること(同⒜),同店舗から引き上げられた返品米は同店舗で販売予定の他の商品(食品)と同様にバックヤードに保管されていたこと(同⒝),札幌リサイクルセンターで は大型換気扇により倉庫全体が換気されていたこと(同⒝③),関係 証拠上,原告が被告フーズに返品米の水濡れやかびを訴えたのは2例にとどまること(同⒟),O会社が被告フーズから受け取った返品米には,水濡れやかびをほとんどなかったこと(同⒠)などによれば,同倉庫及び店舗(バックヤードを含む。)は米の保管場所として特段問題なかったものと認められる。よって,返品米に水濡れやかびがあ るために再販売が不可能になったということはできず,水漏れやカビがあるものは少なかったといえる。 f 本件の返品米の商品価値(日数経過による食味減退)⒜ 上記eの倉庫及び店舗内(バックヤードを含む。)の気温は証拠上明らかではないが,一般に,倉庫は商品の保管のために 設置される冷暗所であり,上記倉庫においては,外気温よりも高温であったことをうかがわせる証拠もないことからすると,外気温と同程度又はそれ以下であったと推認されるところ,札幌市及び土浦市の月別の平均最高気温が上記イの認定事実⒞のとおりであることに,一般に,上記米の食味が保たれる期 間は,北海道内では,冬(1月ないし3月,12月)は9か月程度,春及び秋(4月,10月,11月)は7か月程度,初夏及び初秋(5月,6月,9月)は5か月程度,夏(7月及び8月)は2か月程度であり,土浦市では,冬(1月ないし3月,11月,12月)は7か月程度,春及び秋(4月,5月,10 )は7か月程度,初夏及び初秋(5月,6月,9月)は5か月程度,夏(7月及び8月)は2か月程度であり,土浦市では,冬(1月ないし3月,11月,12月)は7か月程度,春及び秋(4月,5月,10 月)は5か月程度,夏(6月ないし9月)は2か月程度であると認められること(上記イの認定事実を併せ考慮すると,本件取引において,精米日以降に米の食味が保たれる期間は,上記のとおりと認められる。これに対し,店舗内においては,バックヤードは倉庫と同じく商品を保管する場所であるの で,米の食味が保たれる期間は倉庫におけるものに近いが,売 り場においては,一般に,空調がされており,夏季においては外気温よりも低く,冬季においては外気温よりも高く設定されているため,空調の程度にもよるが,年間を通して20ないし25度に保たれていると見て,米の食味が保たれる期間は,上記店舗内においては,2か月ないし3か月程度であった返品米 も少なからず含まれていたと推認される。 ⒝ 本件返品合意では,返品条件が成就(出荷期限切れ返品では精米日から10日,販売期限切れ返品では精米日から30日)してから実際に返品米が原告に到着するまでの期間について何ら合意がなく(上記イの認定事実 れない期間内に返品米を受領できる契約上の保証がなかった。 ⒞ 被告フーズが,返品米が直ちに返送されるように十分に管理していたとは認められない。すなわち,被告フーズは,配送センター,倉庫及び加盟店に対して,出荷期限ないし販売期限経過後から返送までの期間,あるいは返品米の到着から返送まで の期間について期限を設けなかった(上記イの認定事実④ないし⑥)。その結果,加盟店等は,返送の時期について十分に意識を向けないことが生じ,返品米を貯め込むことがあった。このことは 返送まで の期間について期限を設けなかった(上記イの認定事実④ないし⑥)。その結果,加盟店等は,返送の時期について十分に意識を向けないことが生じ,返品米を貯め込むことがあった。このことは,加盟店の中に返品率が100%を超え,当該月の仕入量よりも多い量を返品したことがある店舗が,少数で はあるものの,複数存在したこと(上記⑵アの認定事実からも明らかである。また,配送センターでは一定量が集積されてから輸送することにしていたため(上記イの認定事実⒝⑤),集積を待つ間にも日数の経過があった。 ⒟ 上記のとおり,返品条件が成就した時点ですでに精米日から 10日ないし30日が経過していること(上記⒝),直ちに返 送されるとは限らないこと(上記⒞),返品米のうち食味が2ないし3か月しか維持されないものが少なからず含まれていたと推認されること(上記⒜)からすれば,原告に返品米が到着する頃には米の食味が維持される期間を経過していたことがあったものと認められる。 ⒠ ただし,原告が返品米の返送が遅かった事例として証拠を提出しているのは,一例(甲14の写真⑦及び⑧)にとどまる。 また,本件の返品米は,主に寒冷地である北海道内で保管されており,上記⒜のとおり食味の減退が進みにくいといえるから,返品米の大部分が返送の遅れにより原告に到着するころに 食味が損なわれていたとは認め難い。 さらに,上記⒜の各期間は,精米直後の米の食味を基準として,白米単体を食べた場合に食味の減退が感じられる経過日数を示したものである。すなわち,食味の減退があることは必ずしも食用に耐えられないということを意味しないから,本件の 茨城県産コシヒカリのように,精米直後の食味が良好な米であれば,上記⒜の各期間の経過により食味の すなわち,食味の減退があることは必ずしも食用に耐えられないということを意味しないから,本件の 茨城県産コシヒカリのように,精米直後の食味が良好な米であれば,上記⒜の各期間の経過により食味の減退があったとしても,商品価値が著しく減退するわけではないと考えられる。また,上記⒜の各期間は米自体に味を付けるなど食味の減退を紛らわす調理方法によった場合の利用可能性までも検討したもの ではないところ,業務用米では,米自体に味を付ける場合など用途によっては家庭用米ほどの食味を求められない場合もあるとされているから(上記イの認定事実も,上記⒜の各期間を経過しても,本件の返品米の大部分が商品価値を失ったわけではないと考えられる。 よって,精米日からの日数経過を理由に,返品米の大部分が 再販売不可能であったとは認められない。 g 本件の返品米の商品価値(品質保証)本件の返品米は,返品に当たって瑕疵返品による米と区別されておらず(上記イの認定事実⑦),水濡れやかびの可能性が排除されていなかった(例えば,破袋を理由として返品される 場合,破れ部分はガムテープで補修されるのみであるため〔甲14〕,その部分から水濡れやかびが生じる可能性がある。)。また,本件の返品米は,精米日からの経過期間が整理されていなかったため(上記イの認定事実⑦),食味に影響するほどに古くなっている可能性が排除されていなかった。そして,被告セ コマらは,返品に当たって返品米の品質確認はしていなかった(同)。以上によれば,本件の返品米は,原告が被告フーズに納入したときと異なり,十分な品質が保証できないものとなっていた。 h 本件の返品米の商品価値(無選別にならざるを得ないこと) ⒜ 一般に,返品米を業務用米として再販売する が被告フーズに納入したときと異なり,十分な品質が保証できないものとなっていた。 h 本件の返品米の商品価値(無選別にならざるを得ないこと) ⒜ 一般に,返品米を業務用米として再販売するためには銘柄や精米日からの経過期間をある程度揃えた上で再包装する必要がある(上記イの認定事実gのとおり,返品米の品質が保証されていないところ,万が一,品質に問題がある米を販売すれば顧客の信用等を失い,回復困 難な損害が生じかねないから,原告においては,品質を確認する必要もある。これらの作業ができない場合には,業務用米ではなく,いわゆる「無選別」として米卸売業者に販売する(この場合,上記作業を購入者である卸売業者がすることになる。)ことになる(同上)。 ⒝ 本件において,被告フーズは,返品米を精米日ごとに整理し て返送するということをしていなかった(上記イの認定事実b⒝⑦)。また,上記f⒟のとおり,本件の返品米の中には,日数経過により食味が減退したものが含まれている可能性があった。そのため,返品米を再販売するためには,原告において,返品米の精米日を逐一整理しなければならなかった。 ⒞ 原告において,返品米の再販売が可能であったとしても,返品米の全量について再販売が可能であったとはいえない。 i 販路業務用米市場が存在しており,外食産業等においては,単品品種による米でもブレンド米でも,コシヒカリの仕入れが他のいず れの品種よりも圧倒的に多い①),原告は少なくとも平成10年頃までは実際に返品米(ただし,全量ではない。)の再販売先を見つけることができていたのを自認していること,業務用米市場では,比較的短期の契約や,仕入れの都度といった完全に単発的な契約も一定程度存在すること,原 告が公取委に 量ではない。)の再販売先を見つけることができていたのを自認していること,業務用米市場では,比較的短期の契約や,仕入れの都度といった完全に単発的な契約も一定程度存在すること,原 告が公取委に対して返品米を業務用米として処理していた旨述べていること(上記イの認定事実⒞)によれば,原告においては,返品米の販路を一応確保していたといえる。 j 価格水準⒜ 業務用米の価格水準 一般に,同等の品質であれば,業務用米の卸売価格は,家庭用米の卸売価格の約7割と認められる(上記イの認定事実⒝〔特に③〕)。そして,より高額で販売された例もあるが,確実に販売できる価格水準としては,この限度にとどまるというべきである。 ただし,本件で返品米を業務用米として再販売する場合には, 返品米の品質が納入時の品質と同等とはいえない場合もあり,上記価格水準よりも低価格でしか売却できないときもあるといえる。 ⒝ 無選別の価格水準返品米を無選別として再販売するときの価格は,上記⒜の価 格水準を下回るといえる(上記イの認定事実③④)。 k 原告の返品米を廃棄等していた旨の主張原告は,返品米は廃棄するか,肥料にしていたと主張し,原告代表者Bは同旨の供述をするが,法令により求められる廃棄記録が存在せず,原告の会計資料には廃棄費用が計上されていない上, 原告が主張するように,畑に肥料としてまくなどして処分したことを裏付ける客観的な証拠もなく(上記イの認定事実,大量の米を畑にまいて処分するなどした旨の原告の主張及び原告代表者Bの供述内容は不自然であるといわざるを得ない。したがって,上記主張及び供述は採用できない。 このことは,返品米はおよそ再販売することができなかった旨の原告の主張自体に疑義を抱かせ 表者Bの供述内容は不自然であるといわざるを得ない。したがって,上記主張及び供述は採用できない。 このことは,返品米はおよそ再販売することができなかった旨の原告の主張自体に疑義を抱かせる事情である。 lP会社からの返品米の購入原告は,P会社から返品米を購入したことがあり,関係証拠より認められる上記購入は1回のみで,仕入金額も合計約90万円 にすぎないが(上記イの認定事実),あえてP会社が被告セコマらから返品された米を購入していること(前同)からすると,原告が本件取引による返品米を再販売していたことがうかがわれる。 m 小括 上記bないしlの事情を総合考慮すると,本件において,原告 は,瑕疵返品分を除き,基本的に,返品米の一部を業務用米として上記j⒜の価格水準で再販売することが可能であったと認められる。 ただし,本件においては,原告が返品米全量を業務用米として再販売することができなかった可能性があること,再販売に追加 費用がかかること,返品米の品質に賞味期限の関係等から問題があるために上記価格では売却できない可能性があることなどを併せ考慮すると,返品米の再販売価格は,控え目に見て,平均して納入価格の5割と認めるのが相当である(すなわち,返品米の客観的価値は納入価格の5割と認められる)。 よって,原告が返品米の再販売により返品による損失を補てんし得るのも,この範囲にとどまる。 納入価格による補てん可能性a 上記のとおり,原告は,被告フーズから返品を受け,返品分に係る代金を減額され,又は被告フーズに返金したことにより, 納入価格から消費税を控除した残額の5割に相当する金額の損害・損失を負った。 b そこで,被告フーズへの納入価格を高く設定する(粗利益率を高く設 され,又は被告フーズに返金したことにより, 納入価格から消費税を控除した残額の5割に相当する金額の損害・損失を負った。 b そこで,被告フーズへの納入価格を高く設定する(粗利益率を高く設定する)ことにより当該損害・損失を補てんできていたかを検討する。 ⒜ 本件返品合意に付随して粗利益率に関する保証がされたということはない(上記イの認定事実 ⒝ 本件取引の大半を占めるRB米取引の粗利益率は,年や商品によって変動があるが,おおむね8%ないし12%程度であったと認められる(上記イの認定事実。これは,同種取引 における平均的なマージン(約7%〔同a〕)と比べると,や や高く設定されているものと認められる。 ⒞ しかし,返品米の客観的価値が納入価格の50%であることを前提とすると,粗利益率が12%の場合は,返品率が24%を超えるときには,粗利益率が8%の場合は,返品率が16%を超えるときには,いずれも原告の被告フーズとの取引全体が 原価割れとなる。そして,本件取引では,返品率が上記各割合の程度になることがままあったこと(上記⑵アの認定事実⒜)からすれば,本件取引の粗利益率が常に返品による損失を補てんするに足りるものであったとはいえない。また,上記算定における原価には,人件費や設備費等が含まれていないこと からすれば,返品率が上記の24%あるいは16%といった割合よりも低い場合にも,本件取引の粗利益率が,原告の経費を賄うに足りるものであったとは認め難い。 ⒟ 被告らは,原告が,平成17年低価格ブレンド米の取引において,納入価格に返品による損失が織り込まれていないことを 理由に返品条件を拒否したことを指摘する。しかし,原告からこのような申出があったからといって,申出がない場合の納入価 ド米の取引において,納入価格に返品による損失が織り込まれていないことを 理由に返品条件を拒否したことを指摘する。しかし,原告からこのような申出があったからといって,申出がない場合の納入価格が適正であったということにはならない。 c 小括これらの事情によれば,原告が,返品米を再販売し,かつ,納 入価格を高く設定して粗利益率を高く設定することにより,返品による損失を補てんできていたとはいえない。 原告の経営への影響a 被告らは,原告は,本件返品合意があっても本件取引により利益を上げ,良好な経営状態にあったものであるから,本件返品合 意には経済合理性があると主張する。 b しかし,本件返品合意の経済合理性の有無は,原告が返品により直接得られる利益について検討すべきであるが,この点を措いても,原告の経営状態が良好であったと認めるに足りる証拠はなく,上記主張は採用できない。 すなわち,確かに,原告は,本件取引開始以来,会計書類上は, 同業者よりも高い粗利益率を示し(上記の認定事実調に剰余金を増加させ,最大で2億円を超える剰余金を計上していたものであるが(同c),原告は適切な会計管理をしていなかったこと(同d⒜②),欠損が計上されていない平成20年ないし平成23年の間に原告は被告セコマから貸付けを受け,支払条 件を変更してもらっていること(同⒝,同e,f)などに照らせば,上記会計書類は,金融機関から融資を受けるために,返品米を在庫として計上するなどして,実際よりも良好な経営状態を仮装したものである疑いがあり,直ちに信用できるものではない。 むしろ,原告は,平成20年以降,被告セコマから貸付けを受 け,支払条件を変更してもらい,更に経営介入まで受けたものであり(同eないしg),平成2 疑いがあり,直ちに信用できるものではない。 むしろ,原告は,平成20年以降,被告セコマから貸付けを受 け,支払条件を変更してもらい,更に経営介入まで受けたものであり(同eないしg),平成24年には多額の欠損処理を行った(同c⒞)など,上記のとおり返品による損失の全てを補てんできていたとはいえないことをも原因として,経営状態が悪化していたと認められる。 小括を総合考慮すれば,原告は,本件返品合意に基づく返品により,しばしば原価割れに陥り,その損失の全てを補てんできていたわけでもなかった。その損失が原告の経営に与えた影響は,原告にとって最大の取引である本件取引において(上記⑵アの 認定事実RB米及びもち米の大量返品がされたこと(同a ⒜)に照らせば,深刻であったと認められる。そうすると,本件返品合意は,原告に,経済合理性から乖離した過大な不利益をもたらすものであったと評価できる。 被告フーズの目的被告フーズが原告に対して本件返品合意の締結を求めたのは,被 告セコマらが,米の賞味期限を短く設定して,消費者に米の新鮮さを訴え,売上げを伸ばすという販売戦略を採用する(上記イの認定 事実 の在庫が発生しやすいところ,そのような在庫の発生を避けるために仕入量を減らせば,店舗で欠品が生じやすくなり,売上げが伸び にくくなるという同販売戦略の難点を,本件返品合意により在庫が発生した場合のリスクを原告に転嫁し,被告セコマらは欠品が生じるリスクのみを考慮すれば足りるようにすることで克服するためであったと認められる。そして,被告フーズは,実際に,欠品を防ぐために,売上げの見込みを度外視した大量発注・大量返品を繰り返 した。 このように,本件返品合意は,被告フーズが,自己が負うべきリスク と認められる。そして,被告フーズは,実際に,欠品を防ぐために,売上げの見込みを度外視した大量発注・大量返品を繰り返 した。 このように,本件返品合意は,被告フーズが,自己が負うべきリスクないし負担を原告に転嫁した上で,原告に転嫁したリスクないし負担の増大もいとわず,原告の犠牲の下に被告セコマらの利益を追求したものであるといわざるを得ない。 原告が本件返品合意を承諾した背景原告が自己にとって経済合理性がなく(上記),一方的に被告フーズを利することになる(上記)本件返品合意を承諾した動機・経緯を検討する。 a 取引上の地位の差 ⒜ 米卸売業者と大手小売業者をめぐる一般的な状況 本件返品合意がされた平成8年当時,米の卸売市場では,規制緩和による卸売業者間の競争激化により,大手小売業者が卸売業者に対して強い交渉力を有していた(上記⑵アの認定事実。 ⒝ 原告及び被告セコマらの事業規模 原告は,茨城県に所在し,人気銘柄である茨城県産コシヒカリの入手や首都圏での顧客開拓に地理的な強みを有し(前記前提事実⑴ア,上記イの認定事実,資本金は1000万円で(前提事実⑴ア),平成7年には約1億1500万円の設備投資をする余力もあり(上記⑵アの認定事実,平成 17年には従業員が15名いた(上記イの認定事実。 しかし,上記資本金の額や,従業員の人数,平成8年当時の役員はAとBのみであり,両名のみで会社の意思決定がされていたこと(前記前提事実⑴ア),さらに,後述するとおり,原告の顧客は被告フーズ及びL会社を除けば首都圏の小口の顧客が 主であったこと及びなどに照らせば,家族経営の小規模卸売業者の域を出るものではない。 これに対して,被告セコマらは,北海道では著名なコンビニエンス びL会社を除けば首都圏の小口の顧客が 主であったこと及びなどに照らせば,家族経営の小規模卸売業者の域を出るものではない。 これに対して,被告セコマらは,北海道では著名なコンビニエンスストアであるセイコーマートを展開し,その資本金は4億円を超える,大手小売業者である(前記前提事実⑴イ及び ウ)。 ⒞ 取引依存度原告は,本件取引開始までは被告セコマらの関連業者であるL会社を,本件取引開始後はL会社と被告フーズを最大かつ唯一の大口顧客としていたものであり(上記⑵アの認定事実 及び,その経営を被告セコマらに大きく依存していた。 b 返品及び返品量の予測可能性⒜ 返品自体の予測可能性原告は本件取引開始時に本件返品合意をしたと認められる以上(上記⑵),原告は同時点で本件取引において一定の条件下で返品がされること自体は予測していたと認められる。 ⒝ 返品量の予測可能性① しかし,原告は,本件取引開始当時,被告セコマらとの取引経験がなく,本件返品合意に返品量の上限や返品期限も定められていなかった(上記イの認定事実ため,実際の返品量や納品から返品までの期間を予測することは困難であり, 実際にも,原告が本件取引開始後に被告セコマらに対し再三,返品量の抑制を懇請していたこと(上記⑵アの認定事実に照らせば,原告は,本件取引開始当時,本件取引における実際の返品量が大量であり,納品から返品までの期間が長期になり得ることまでは予測困難であったものと認められる。 ② また,本件取引開始後も,返品率が相当程度変動していたこと(上記⑵アの認定事実に照らせば,過去の返品実績から将来の返品量を推測することも困難であったと認められる。 ⒞ 原告は,返品自体は予測していたものの(上記⒜) ,返品率が相当程度変動していたこと(上記⑵アの認定事実に照らせば,過去の返品実績から将来の返品量を推測することも困難であったと認められる。 ⒞ 原告は,返品自体は予測していたものの(上記⒜),その程 度や態様について予測し得なかったものであり(上記⒝),その結果として,想定以上の返品,あるいは,想定以上に古くなった米の返品を受け,それにより,想定以上の損失を被ったものと認められる。 c 合意のプロセス ⒜ 本件返品合意が原告の自由かつ自主的な判断によってされた ものであるか否かについては,原告と被告セコマらの間で十分な協議がされたかといった意思決定過程にも照らして検討すべきである。 ⒝ 本件返品合意は原告に重大な不利益をもたらすものであるにもかかわらず,合意書面が作成されていない(上記⑵アの認定 事実 bの検討のとおり,原告の代表者であったAにおいては,本件返品合意をするに当たって,返品量に上限がなく,返品条件成就から返送までの期間にも制限がないことなどから,返品の量や時期を予測することが困難であり,返品による損失の程度を予測することも困難であった。さらに, 本件返品合意では,返品による損失を補てんするに足りるだけの粗利益率の保証などについて何ら合意がされなかった(上記)。 ⒞ このような状況からすると,原告は,本件取引開始後に,返品量に上限がなく,返品条件成就から返送までの期間に制限が ないことにより重大な不利益を被ることになることをようやく理解したことから,被告セコマらに対して返品量の抑制を求めるようになった(上記⑵アの認定事実と認められる。しかし,被告セコマらは,飽くまでも被告セコマらの自主的な配慮として返品量の抑制や,比較的高めの粗利益率の設定に応じ た 返品量の抑制を求めるようになった(上記⑵アの認定事実と認められる。しかし,被告セコマらは,飽くまでも被告セコマらの自主的な配慮として返品量の抑制や,比較的高めの粗利益率の設定に応じ たことや,あるいはごく一部の商品について返品量に上限を設けることを提案したことがあったのみで,本件返品合意自体を見直すことや,返品量,返送時期,粗利益率等について新たに合意をするということはしなかった。また,上記配慮としても,常に原告が望むような返品量の抑制や粗利益率 の設定がされたわけではない。 ⒟ 被告らは,原告は,長年にわたって返品を受け入れてきたものであり,その間本件返品合意を再検討する余裕があったのであるから,本件返品合意は原告の自由かつ自主的な判断によるものであると主張する。 しかし,上記検討のとおり,原告にも販路拡大や安定的な取 引先の確保等といった利益はあったとはいえ,原告が被告セコマらに対して取引上劣位にあったことから,消極的に返品を甘受せざるを得なかったことは否定できず,その後,原告の経営状態が悪化していく状況にあったことをも考慮すれば,被告らが主張するように,原告に本件返品合意を再検討する余裕があ ったということはできない。 ⒠ 以上によれば,本件返品合意が,原告において,被告セコマらとの協議等を通して十分にそのリスクを認識した上で締結されたものであるとはいえない。 d 上記aによれば,原告が本件返品合意を承諾したのは,自己が 経営を依存する被告フーズの求めであって,これを容易に拒否できなかったためであると認められる。さらに,上記b及びcによれば,被告フーズから十分な説明がなく,本件返品合意が原告にもたらす不利益の内容や程度を正しく理解できなかったことも,原告が同合意を拒否す きなかったためであると認められる。さらに,上記b及びcによれば,被告フーズから十分な説明がなく,本件返品合意が原告にもたらす不利益の内容や程度を正しく理解できなかったことも,原告が同合意を拒否することを一層困難にさせたと認められる。 小括上記及びによれば,本件返品合意は,被告フーズが,本来自己が負うべき在庫リスク等を原告に転嫁するという目的から,その取引上の優越的地位を濫用して締結されたものであり,その後も,返品量の減少等に対する配慮を十分に行わなかったのであって,こ のような本件返品合意の目的及び手段並びに同合意に基づく取引の 経緯が不当であることは明らかであるといわざるを得ない。 取引慣習との関係a 上記⑵アの認定事実とおり,米卸売業者と大手小売業者の取引では,旧米の返品及び販売期限(賞味期限)が切れた米の返品が慣行として存在しており,本件返品合意は同慣行に合致する ものである。 b しかし,上記aの取引慣行は,米流通業界全体の様相として,大手小売業者が卸売業者に対して強い交渉力を発揮していた時代的な状況を背景として,すなわち,大手小売業者による優越的地位の濫用の危険をはらんだ状況において成立したものであり(上 記⑵アの認定事実,同慣行の正常性を所与のものとすることはできないから,本件返品合意は同慣行に合致するというだけで,その相当性が認められるものではない。 c むしろ,上記bの時代的な状況において,旧米の返品及び販売期限(賞味期限)が切れた米の返品が慣行化したことは,返品が 小売業者にとって非常に都合のよいものであり,これを多用する動機を有していたことを如実に示しているといえる。そして,独占禁止法2条9項5号ハ,19条及び下請法4条1項4号が,優越的地位の濫用 小売業者にとって非常に都合のよいものであり,これを多用する動機を有していたことを如実に示しているといえる。そして,独占禁止法2条9項5号ハ,19条及び下請法4条1項4号が,優越的地位の濫用の一態様として返品を禁止していることも併せ考えると,返品合意の合理性ないし相当性に関する判断は特に慎重 に行われるべきである。 d そのような状況において,本件返品合意は,返品量及び返品期限を制限せず,損失を補てんするに足りる粗利益率も保証していなかった。そして,実際に,本件返品合意による返品率及び返品期間は,返品を受け入れている同業者の平均(返品率約1.9%, 返品期間21日ないし30日〔上記⑵アの認定事実)を 大きく上回っていた。このように,本件返品合意による返品は,悪質な態様でされたものであるといえる。よって,本件返品合意は,合理性を欠く,著しく不相当なものであるとの評価を避けられない。 原告の信義則違反の有無 被告らは,原告が長年にわたって返品を受け入れておきながら,今になって返品を争うことは取引上の信義則に反すると主張する。 確かに,原告は,被告セコマらに対し,返品自体を拒否したことはほとんどなく,返品米を再販売できているかのような発言をした 握しにくくする行動であった。また,原告が,本件返品合意により,大口の取引先であった被告セコマらと長年にわたって取引を継続し,それによって事業の継続ないし拡大が可能になっていた面があることも否定できない。 しかし,原告は,取引上劣位にあることなどから,消極的に返品 を甘受せざるを得なかったものであるところ,被告セコマらに対して,返品量の抑制を求めるなど,返品に悩まされていることをたびたびほのめかしていたことなどに照らせば,原告が本件返品合意を 返品 を甘受せざるを得なかったものであるところ,被告セコマらに対して,返品量の抑制を求めるなど,返品に悩まされていることをたびたびほのめかしていたことなどに照らせば,原告が本件返品合意を再検討し,被告セコマらと再交渉する余力があったにもかかわらず,漫然と取引を継続したということはできない。 他方,被告セコマらは,原告からの申出がなくとも,計算上,原告が本件返品合意により過大な不利益を被ることを認識し得た上,原告から返品量の抑制や高めの粗利益率の設定を求められたことがあったにもかかわらず,平成17年低価格ブレンド米の取引において返品量に上限を設けることを提案したこと〔乙19の1〕を除き, 飽くまでも事実上の配慮としてこれに対応したことがあったのみで, 自己の経営上の都合を優先させ,原告に返品量や粗利益率などについて約束するなど十分な配慮をせずに大量の返品を続けたものであり(上記イの認定事実),その態様は悪質であったといわざるを得ない。 これらの双方の状況,行動等を比較衡量すれば,原告に被告ら主 張の信義則違反があるとはいえない。 総合評価以上を総合すると,被告フーズは,本来自己が負うべき在庫リスク等を原告に転嫁するという不当な目的から,原告が自己との取引関係に経営を依存していることに乗じて,原告に協議を通じて本件 返品合意に基づく返品により生じ得る損失の性質及び程度を説明することなく,また,原告の損失が無限定に膨らむことがないように返品量,返品期限及び粗利益率について約束をするなど十分な配慮をすることもなく,本件返品合意を締結させ,これに基づき大量の返品を繰り返すことで,原告の予想し難い,返品米の再販売や高め の粗利益率の設定によっても補てんできず,原告の経営を危殆化させか をすることもなく,本件返品合意を締結させ,これに基づき大量の返品を繰り返すことで,原告の予想し難い,返品米の再販売や高め の粗利益率の設定によっても補てんできず,原告の経営を危殆化させかねないほどの過大な損失を原告にもたらしたものであり,本件返品合意の違法性は強いというべきである。 よって,本件返品合意は,被告フーズが,優越的な地位を濫用して,正常な商慣習に照らして不当に,原告に過大な不利益を受け入 れることを余儀なくさせたものであり,健全な取引秩序を乱し,かつ,公正な商慣習の育成を阻害するものであるから,下請法の適用があるRB米の製造委託契約との関係においてはもとより,同法の適用がないもち米の売買契約(独禁法の適用対象ではある。)との関係においてもRB米と同様の状況で取引がされていたことが推認 され,民法90条にいう公序良俗に反し,無効となるといわざるを 得ない。 エ小括したがって,本件返品合意に基づくRB米及びもち米の返品は,その合意が公序良俗に反する無効なものであり,また,それ自体が社会的相当性を欠く違法なものである。 4 共同不法行為の成否,債務不履行の有無及び不当利得の有無について⑴ 被告フーズ本件返品合意は無効であるから(上記3⑶),本件取引では瑕疵返品のみが許容される(同⑴)。よって,本件取引において,被告フーズが瑕疵返品以外の返品をすることは,不法行為及び債務不履行となるとと もに,被告フーズが瑕疵返品以外の返品により得た代金減額分及び返金分の利益は不当利得となる。そして,不当利得については,被告フーズは,代金減額時及び代金返還時において,本件返品合意が無効であることを基礎づける具体的事実の認識があったといえるから,悪意の受益者であると認められる。 して,不当利得については,被告フーズは,代金減額時及び代金返還時において,本件返品合意が無効であることを基礎づける具体的事実の認識があったといえるから,悪意の受益者であると認められる。 そして,原告の各請求は,選択的併合の関係にあるところ,不法行為同不法行為と認められ,同被告が負担する損害賠償債務と被告フーズが負担する損害賠償債務とは不真正連帯債務の関係となるとともに,履行期が不法行為時である返品米の代金減額時又はこれを控除した代金支払 時であり,その時点から遅滞に陥って遅延損害金が発生することを考慮すると,まず不法行為に基づく損害賠償請求権が認められる期間については,同請求権に基づき請求を認容するのが相当である。 また,不法行為に基づく損害賠償請求権が認められない期間については,債務不履行に基づく損害賠償請求権又は不当利得返還請求権が認め 得るところ,上記のとおり,被告フーズが悪意の受益者であると認めら れ,上記代金減額時又は代金支払時から利息が発生することを考慮すると,不当利得返還請求権に基づき請求を認容するのが相当である。 ⑵ 被告セコマ被告セコマは,本件取引の契約当事者ではないが,原告と本件取引に係る平成15年基本契約書を取り交わしたほか,本件取引に関する打合 せを原告と繰り返すなどして本件取引を統括し,被告フーズに対して瑕疵返品以外の返品を指揮していたといえるから(前記前提事実⑴エ及び⑵ウ),被告フーズによる瑕疵返品以外の返品行為は,被告セコマと被告フーズとの共同不法行為となり,原告に対して不法行為に基づく損害賠償債務を負う。なお,同債務は,被告セコマから被告セイコーマート に吸収分割により承継されたが,被告セコマは同債務を重畳的に引き受けたことから,被告セコマが重畳的債務引受 法行為に基づく損害賠償債務を負う。なお,同債務は,被告セコマから被告セイコーマート に吸収分割により承継されたが,被告セコマは同債務を重畳的に引き受けたことから,被告セコマが重畳的債務引受けにより負担する同債務と被告セイコーマートが承継する同債務は連帯債務の関係となる。他方,原告に対して契約上,瑕疵返品以外の返品をしない債務を負い,また,原告から返品による代金減額ないし返金を受けたのは被告フーズのみで あるから(上記2),被告セコマは債務不履行に基づく損害賠償債務及び不当利得返還債務を負わない。 5 争点5(消滅時効の成否)について⑴ 本件では,被告らが消滅時効を主張していることから,損害ないし利得の額を判断するに先立ち,消滅時効の成否について検討する。 ⑵ 民法173条1号所定の短期消滅時効原告主張の各請求権は,返品米の売買契約に基づく代金請求権ではないから,民法173条1号所定の短期消滅時効は適用されない。 商法522条所定の商事消滅時効原告が主張する不当利得返還請求権は,民法90条の適用によって生じた 債権であり,原告の救済を犠牲にして原被告間の取引安全を図る必要はな く,商行為によって生じたもの又はこれに準ずるものということはできない(商法514条)から,商事消滅時効は適用されない。 不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効ア原告の不法行為に基づく損害賠償請求権については,民法724条1項所定の消滅時効が適用される。 イ民法724条1項の「損害及び加害者を知った時」とは,被害者が加害者による不法行為及びこれによる損害の発生を損害賠償請求が可能な程度に現実に認識した時であると解されるところ,本件では,原告は,被告フーズから返品米の代金相当額を相殺処理して減額した代 被害者が加害者による不法行為及びこれによる損害の発生を損害賠償請求が可能な程度に現実に認識した時であると解されるところ,本件では,原告は,被告フーズから返品米の代金相当額を相殺処理して減額した代金の支払を受け,又は被告フーズに対し返品米の代金相当額の返金をした時点で,被告セコ マらによる共同不法行為の成立を基礎づける事実及び具体的な代金減額ないし返金の金額を知ったものであり,原告が被告セコマらに対して同被告らの共同不法行為による損害の発生を損害賠償請求が可能な程度に認識したといえるから,同時点が起算点となるというべきである。 ウこれに対して,原告は,Bが公取委職員から本件取引における返品が下 請法違反であることを指摘された平成24年11月13日を起算点とすべきである旨主張するが,同主張は法の不知を主張するものにすぎず,上記イのとおり判断されるから,原告の上記主張は採用できない。 エ参加承継した被告セイコーマートを含む被告らは,原告に対し,平成27年3月12日の本件口頭弁論期日において,上記消滅時効を援用す る意思表示をした。よって,原告の不法行為に基づく損害賠償請求権のうち,本訴訟提起日である平成26年5月19日から3年を遡る平成23年5月19日以前を起算日とする部分は消滅した。 債務不履行に基づく損害賠償請求権及び不当利得返還請求権原告の債務不履行に基づく損害賠償請求権及び不当利得返還請求権につい ては,民法167条1項所定の消滅時効が適用されるところ,被告フーズ は,原告に対し,平成29年12月7日の本件口頭弁論期日において,これを援用する意思表示をした。 よって,原告の被告フーズに対する債務不履行に基づく損害賠償請求権及び不当利得返還請求権のうち,本訴訟提起日である平成26年10月 月7日の本件口頭弁論期日において,これを援用する意思表示をした。 よって,原告の被告フーズに対する債務不履行に基づく損害賠償請求権及び不当利得返還請求権のうち,本訴訟提起日である平成26年10月19日から10年を遡る平成16年5月19日以前を起算日とする部分は消滅した。 6 争点4(損害及び利得の額)について⑴ 算定方法ア本件では,不法行為に基づく損害賠償請求,債務不履行に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求のいずれによっても,損害額ないし利得額は同額である。すなわち,①瑕疵返品を含む全返品に対応する返品金額(返 品分に係る納入代金〔消費税込み〕と同額である。)から,②瑕疵返品に対応する返品金額(瑕疵返品分に係る納入代金〔消費税込み〕と同額である。),③瑕疵返品以外の返品分に係る消費税相当額,④瑕疵返品以外の返品米の客観的価値及び⑤既払金の合計額を控除した金額が,損害額ないし利得額となる。このうち,上記②が控除されるのは,これが被告らの不 法行為ないし債務不履行による損害又は不当利得における損失に該当しないからであり,上記③が控除されるのは,原告は消費税相当額について減額又は返金を免れても,これを国庫に納付しなければならなかったものであって,原告が返品分に係る消費税を実際に納付した事実も認められないからであり,上記④が控除されるのは,不法行為に基づく損害賠償請求及 び債務不履行に基づく損害賠償請求との関係では損益相殺がされるためであって,不当利得返還請求との関係では損失であるとは認められないためであり,上記⑤が控除されるのは,この限度では損害の塡補ないし利得の返還がされていると評価できるからである。 イそこで,上記5の検討結果を踏まえて,平成16年5月19日より後を 消滅時効の起算点 ,上記⑤が控除されるのは,この限度では損害の塡補ないし利得の返還がされていると評価できるからである。 イそこで,上記5の検討結果を踏まえて,平成16年5月19日より後を 消滅時効の起算点とする不当利得返還請求権(以下「平成16年5月19 日より後の請求権」という。)の利得額(損失額)と,平成23年5月19日より後を消滅時効の起算点とする不法行為に基づく損害賠償請求権(以下「平成23年5月19日より後の請求権」という。)の損害額を検討する。 ⑵ 請求期間における全返品に対応する返品金額(ア①) ア原告が,返品伝票(甲4,5,7)及び売上日報(甲30)に基づき,別表4(原告の平成29年1月5日付け訴えの変更申立書別表2と同一のものである。)記載のとおり,平成14年12月から平成25年3月までの期間の返品金額を主張し,被告らが,同期間のうちの大部分の期間について,上記各証拠に加えて請求明細書及び納品書(乙93ないし147) を参照して検証した結果,被告らは,例えば,RB米については,16万1139円を否認するにとどまり,その余の期間については,被告らからの積極的な反論はされなかった。そして,被告らが否認した上記金額は,原告主張の上記返品金額に照らせば,僅少な誤差ともいえる範囲のものであるところ,原告主張の上記返品金額は,上記各証拠と整合するものであ って,上記期間の全体を通じて,被告らが否認した金額を除いた範囲で返品金額であると認めることができる。 イ平成16年5月19日より後の返品金額したがって,瑕疵返品を含む全返品に対応する平成16年5月19日より後の各月の返品金額は,別表4記載の返品金額(「訂正後(税込)」の 欄)から被告らの否認額を控除した金額であり,別表5「①全返品金額」 ,瑕疵返品を含む全返品に対応する平成16年5月19日より後の各月の返品金額は,別表4記載の返品金額(「訂正後(税込)」の 欄)から被告らの否認額を控除した金額であり,別表5「①全返品金額」の「認定」欄に記載のとおりであると認められる。 ウ平成23年5月19日より後の返品金額また,瑕疵返品を含む全返品に対応する平成23年5月19日より後の各月の返品金額は,別表4記載の返品金額(「訂正後(税込)」の欄)の とおりであり(なお,同期間の返品金額については被告らが否認する金額 はない。),別表5「①全返品金額」の「認定」欄に記載のとおりであると認められる。 ⑶ 瑕疵返品に対応する返品金額(上記⑴ア②)ア瑕疵返品は適法な返品と認められるから(上記3⑴),その返品金額は損害ないし利得とは認められない。 イ本件取引における瑕疵返品率認定事実a 被告フーズは,平成22年,本件取引において瑕疵返品以外の返品はしないこととした。その結果,返品率は,平成21年まではおおむね15%ないし23%であったのに対して,平成22年 には約5%に減少し,平成23年及び平成24年には更に約1%にまで減少した。(争いのない事実)b 被告フーズは,平成22年,O会社との取引においても瑕疵返品以外の返品はしないこととした結果,取引を開始した平成19年から平成22年までの毎年の返品率は約7%ないし13%であ ったのに対して,平成23年には約2%に減少し,平成24年には更に1%を切る水準にまで減少した(乙37)。 検討a 原告は,瑕疵返品率について,主位的に0%,予備的に1. 9%と主張するところ,本件取引においては,被告フーズが瑕疵 返品以外の返品をやめた平成22年を境に返品率が激減し,平成 検討a 原告は,瑕疵返品率について,主位的に0%,予備的に1. 9%と主張するところ,本件取引においては,被告フーズが瑕疵 返品以外の返品をやめた平成22年を境に返品率が激減し,平成23年以降の返品率はおおむね1%となっている。 この1%という返品率は,被告フーズとO会社の取引において瑕疵返品をやめた後の平成24年の返品率と近似しており(同b),一般的な米取引における返品率(約1.9%。上記3⑵アの認定 事実 の範囲内である。よって,本件取引における瑕疵返 品率は,個別取引において異なる割合であると認められる場合を除き,1%と認めるのが相当である。 b これに対し,原告は,上記aの主位的主張に関し,被告フーズは瑕疵返品とそれ以外の理由による返品を区別せず,返品に当たって瑕疵返品であることを明示したこともなく,意識的に瑕疵返 品をしていたわけではなかったことから,瑕疵返品があったとは認められない旨主張する。 そして,確かに,被告フーズは,返品に当たって返品の理由を示しておらず(上記3⑶イの認定事実⑦),瑕疵のある商品について受領後速やかに返品をしたか否かも明らかではない。 しかし,本件取引の商品には1%の割合で瑕疵のある商品が含まれていたところ,原告は,当該商品については,被告フーズが適切な手続を履践すれば返品を受け入れなければならなかったのであるから,損害ないし利得(損失)の算定という点においては,上記瑕疵返品率に基づく推計による返品金額は,本件返品合意に よる損害ないし利得とはいえず,全返品に対応する返品金額から控除されるべきである。 ウ上記瑕疵返品率による瑕疵返品金額平成16年5月19日より後の瑕疵返品金額平成16年5月19日より後の各月の,上記瑕疵返品率による瑕疵返 に対応する返品金額から控除されるべきである。 ウ上記瑕疵返品率による瑕疵返品金額平成16年5月19日より後の瑕疵返品金額平成16年5月19日より後の各月の,上記瑕疵返品率による瑕疵返 品による返品金額は,別表5の「②瑕疵返品金額」の「1%の瑕疵返品率による瑕疵返品金額」欄に記載のとおりである(小数点以下切り捨て。 以下同じ。)と認められる。 平成23年5月19日より後の瑕疵返品金額また,平成23年5月19日より後の各月の,上記瑕疵返品率による 瑕疵返品による返品金額は,別表5の「②瑕疵返品金額」の「1%の瑕 疵返品率による瑕疵返品金額」欄に記載のとおりであると認められる。 エ HC用米HC用米の返品が瑕疵返品であることHC用米の返品率は,約0.87%であるところ(争いのない事実),。したがって,HC用米の返 品については,瑕疵返品以外の返品があったとは認められないから,HC用米の返品金額は,損害又は利得とはいえず,全返品に対応する返品金額から控除されるべきである。 HC用米の返品金額a 平成16年5月19日より後のHC用米の返品金額 各月のHC用米の返品金額が被告準備書面(15)別表3の「うちHC業務用米」欄記載の各金額であることには争いがなく,これによれば,平成17年8月から平成18年6月まで及び同年11月から平成25年3月までの88か月のHC用米の返品金額は,合計109万1683円(税抜)であり,その1か月平均の金額は約1万2405 円(税抜)となるから,平成16年5月から平成17年7月まで及び平成18年7月から同年10月までの各月のHC用米の返品金額(税込)は,各1万3025円と推計される。そして,平成16年5月19日より後の各月のHC用米の返品金額 6年5月から平成17年7月まで及び平成18年7月から同年10月までの各月のHC用米の返品金額(税込)は,各1万3025円と推計される。そして,平成16年5月19日より後の各月のHC用米の返品金額(税込)は,別表5の「②瑕疵返品金額」の「HC用米の返品金額」欄に記載のとおりであると認 められる。 b 平成23年5月19日より後のHC用米の返品金額平成23年5月19日より後の各月のHC用米の返品金額(税込)は,別表5の「②瑕疵返品金額」の「HC用米の返品金額」欄に記載のとおりであると認められる。 オ平成17年低価格ブレンド米 平成17年低価格ブレンド米の返品が瑕疵返品であること原告は,平成17年低価格ブレンド米の試験販売において,事前に被告セコマらに示していたサンプル品よりも品質の劣る米を納入し,被告フーズは,納入された米の食味が劣悪であることを理由に返品した(乙19,20)。したがって,平成17年低価格ブレン ド米の返品は,全量が瑕疵返品であると認められる。 平成17年低価格ブレンド米の返品金額平成17年低価格ブレンド米の納入価格は1kg当たり180円,納入量は7.5tであった(乙19,20)から,平成17年低価格ブレンド米の返品金額は135万円(税込)と認められる。 上記7.5tの平成17年低価格ブレンド米は,平成17年4月25日及び同年5月9日に納品されたが,同月中にクレームが発生し,回収が決定された(乙19,20)。このような経緯によれば,同年6月1日の返品のうち135万円は,平成17年低価格ブレンド米についての瑕疵返品に相当すると認められる。よって,平成17年低価格ブレンド 米の返品金額は,別表5の「②瑕疵返品金額」の「平成17年低価格ブレンド米の返品金額 は,平成17年低価格ブレンド米についての瑕疵返品に相当すると認められる。よって,平成17年低価格ブレンド 米の返品金額は,別表5の「②瑕疵返品金額」の「平成17年低価格ブレンド米の返品金額」欄に記載のとおりであると認められる。 カ瑕疵返品に対応する返品金額平成16年5月19日より後の瑕疵返品金額平成16年5月19日より後の各月の瑕疵返品に対応する返品金額は, 上記上記の各金額の合計であり,別表5の「②瑕疵返品金額」の「合計」欄に記載のとおりであると認められる。 平成23年5月19日より後の瑕疵返品金額平成23年5月19日より後の各月の瑕疵返品に対応する返品金額は,上記及び上記各金額の合計であり,別表5の 「②瑕疵返品金額」の「合計」欄に記載のとおりであると認められる。 ⑷ 消費税相当額(ア③)瑕疵返品以外の返品分に係る消費税相当額は,次のとおりである。 ア平成16年5月19日より後の返品分に係る消費税相当額平成16年5月19日より後の各月の瑕疵返品以外の返品分に係る消費税相当額は,別表5の「③瑕疵返品以外の返品分に係る消費税相当額」欄 に記載のとおりである。 イ平成23年5月19日より後の返品分に係る消費税相当額平成23年5月19日より後の各月の瑕疵返品以外の返品分に係る消費税相当額は,別表5の「③瑕疵返品以外の返品分に係る消費税相当額」欄に記載のとおりである。 ⑸ 瑕疵返品以外の返品米の客観的価値(上記⑴ア④)ア平成16年5月19日より後の返品分に係る,瑕疵返品以外の返品米の客観的価値平成16年5月19日より後の各月の返品分に係る瑕疵返品以外の返品による返品米の客観的価値(及び上記⑷アを控除 した金額の5割)は,別表5の「④瑕 係る,瑕疵返品以外の返品米の客観的価値平成16年5月19日より後の各月の返品分に係る瑕疵返品以外の返品による返品米の客観的価値(及び上記⑷アを控除 した金額の5割)は,別表5の「④瑕疵返品以外の返品米の客観的価値」欄に記載のとおりであると認められる。 イ平成23年5月19日より後の返品分に係る,瑕疵返品以外の返品米の客観的価値平成23年5月19日より後の各月の返品分に係る瑕疵返品以外の返品 による返品米の客観的価値(及び上記⑷イを控除した金額の5割)は,別表5の「④瑕疵返品以外の返品米の客観的価値」欄に記載のとおりであると認められる。 ⑹ 既払金(上記⑴ア⑤)ア被告フーズは,平成28年4月15日,原告に対して,公取委の指 導に基づき,平成24年7月から平成25年6月までの12か月間に 返品したRB米の下請代金相当額として385万1359円を返還した(前記)。 イ上記アの指導においては,対象期間中における各月の損害賠償債務ないし不当利得返還債務に充当される返還金額の内訳が示されていないが,当事者の合理的意思を推測すれば,本件における請求期間内で ある平成24年7月から平成25年3月までの期間の上記各債務に充当されるとするのが相当であるところ,上記返還金額の1か月当たりの平均額は32万0946円となるから,平成24年7月から平成25年3月までの9か月間の上記各債務に充当される既払額は288万8514円(以下「本件既払金」という。)と推計される。 ウそしてのとおり,被告セコマら(被告セイコーマートは被告セコマの負担する損害賠償債務を吸収分割により承継するところ,被告セコマは,同債務を重畳的債務引受けにより負担し,同被告の負担する同債務と被告セイコーマートが負担す コマら(被告セイコーマートは被告セコマの負担する損害賠償債務を吸収分割により承継するところ,被告セコマは,同債務を重畳的債務引受けにより負担し,同被告の負担する同債務と被告セイコーマートが負担する同債務は,連帯債務の関係となる。)は,共同不法行為に基づく平成 23年5月19日より後の請求権を不真正連帯関係にあるものとして負担し,まず被告らに対する同請求権に基づく請求を認容するのが相当であるから,被告セコマらが平成24年7月から平成25年3月まで期間の返品に関して負担すべき損害賠償額及びこれに対する遅延損害金の額を計算すると,元本(各月について,上記⑵ウの金額から, の各金額を控除した金額)及びこれに対する遅延損害金(起算点を不法行為時である各返品に係る代金減額時又は返金時である平成24年8月から平成25年4月までの各月の1日,終点を本件既払金の支払があった日である平成28年4月15日,利率を年5分としたもの)の合計は,231万8665円であ る。 エそこで,まず,本件既払金(288万8514円)を上記ウの合計金額(231万8665円)に充当する。これにより,平成24年7月から平成25年3月までの返品に係る損害賠償金元本及びこれに対する遅延損害金の支払債務は消滅する。 オ本件既払金の上記エの充当後の残額は56万9849円であるとこ ろ,当事者の合理的意思を推測すれば,これを本件における請求期間中の上記ウの期間を除く期間の債務に充当するのが相当であり,被告らが原告に対して負う債務に,民法489条が定めるところに従い,弁済期が先に到来する債務から,遅延損害金,利息が発生する場合の利息,元本の順で充当する。 そうすると,被告らが原告に対して負う債務のうち,弁済期が最も先に到来する債務は るところに従い,弁済期が先に到来する債務から,遅延損害金,利息が発生する場合の利息,元本の順で充当する。 そうすると,被告らが原告に対して負う債務のうち,弁済期が最も先に到来する債務は,平成23年5月の返品に係る不法行為に基づく損害賠償債務(元本94万4447円,平成23年6月1日から平成28年4月15日までの遅延損害金23万0252円)である。これに上記56万9849円を充当すると,上記遅延損害金全額及び上記 元本のうち33万9597円が消滅し,同元本のうち60万4850円が残り,これに対する本件既払金の支払日の翌日である平成28年4月16日から支払済みまで年5分の遅延損害金が発生する。 元本金額の計算ア被告セコマらに対する不法行為に基づく損害賠償請求 原告は,被告セコマらに対して,平成23年5月19日より後の請求権(共同不法行為に基づく損害賠償請求権)を有するところ,その各月の元本金額(,上記⑸イ並びに上記⑹エ及びオの各金額を控除した金額)は,別表1の「対象となる金額(円)」欄に記載のとおりであり(その合計金額は,628 万4163円である。),これに対する遅延損害金の起算日は同別表 の各月の「起算日」欄に記載のとおりである(なお,平成24年7月から平成25年3月までの返品に係る債務は,上記⑹エのとおり,本件既払金の充当により元本,遅延損害金ともに消滅しているので,平成23年5月から平成24年6月までの各月の金額を算出した。)。 イ被告フーズに対する不当利得返還請求 原告は,被告フーズに対し,平成23年5月19日より後の請求権(不法行為に基づく損害賠償請求権)に基づく請求が認められる期間を除き,平成16年5月19日より後の請求権(不当利得返還請求権)に基づく請求が ,被告フーズに対し,平成23年5月19日より後の請求権(不法行為に基づく損害賠償請求権)に基づく請求が認められる期間を除き,平成16年5月19日より後の請求権(不当利得返還請求権)に基づく請求が認められるところ,同請求権の各月の元本金額(上記⑵イから,上記,上記⑸ア並びに上記⑹エ及びオの各金額を控除した金 額)は,別表2の「対象となる金額(円)」欄に記載のとおりであり(その合計金額は,6億9159万1822円である。),これに対する利息の起算日は同別表の各月の「起算日」欄に記載のとおりである。 7 吸収分割後の法律関係⑴ 吸収分割前の被告セコマらの原告に対する債務 上記6⑺のとおり,被告セコマらは,原告に対し,共同不法行為に基づく損害賠償債務として連帯して628万4163円の支払義務を負い,また,そのほかに,被告フーズは,原告に対し,不当利得返還債務として6億9159万1822円の支払義務を負う。 ⑵ 吸収分割後の被告らの原告に対する債務 ア⑴の損害賠償債務は,吸収分割により被告セイコーマートに承継されたが,被告セコマは同債務を重畳的に引き受けたから,被告セコマと被告セイコーマートは連帯して同債務の支払義務を負う。 イそうすると,上記アの重畳的債務引受けの結果,被告らは,原告に 対し,共同不法行為に基づく損害賠償債務として,いずれも連帯して 628万4163円の支払義務を負い,また,そのほかに,被告フーズは,原告に対し,不当利得返還債務として6億9159万1822円の支払義務を負う。 8 遅延損害金及び悪意受益者であることによる利息の発生について被告らは,共同不法行為に基づく損害賠償請求との関係で遅延損害金の, 被告フーズは,不当利得返還請求との関係で悪意受益者の 遅延損害金及び悪意受益者であることによる利息の発生について被告らは、共同不法行為に基づく損害賠償請求との関係で遅延損害金の、被告フーズは、不当利得返還請求との関係で悪意受益者の利息の各支払義務(いずれも民法所定の年5分の割合による。)を負うものと認められる。そして、共同不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金の起算日は別表1の各「起算日」欄記載の日であり、不当利得返還債務の利息の起算日は別表2の各「起算日」欄記載の日である。 第4 結論 よって、原告の請求は、上記第3の7⑵イ及び8記載の限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第3部 裁判官 坂本桃 裁判長裁判官湯川浩昭は差し支えのため、裁判官宇田川公輔は転任のため、署名押印することができない。 裁判官 坂本桃
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