- 1 -平成25年8月6日判決言渡平成24年(行ケ)第10356号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成25年7月23日判決 原告デジタルオプティクスコーポレーション 訴訟代理人弁理士清原義博坂戸 敦西村直也 被告特許庁長官指定代理人渡邊聡清水正一田部元史堀内仁子 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 原告の求めた判決 - 2 -特許庁が不服2010-27167号事件について平成24年6月5日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,特許出願拒絶審決の取消訴訟である。争点は,進歩性の有無である。 1 特許庁における手続の経緯フレックストロニクスインターナショナルユーエスエー,インコーポレーテッドは,2005年(平成17年)2月18日,発明の名称を「デジタルカメラ用集積レンズ及びチップ・アセンブリ」とする発明につき,国際特許出願(特願2006-554218号,特表2007-523568号,優先権主張2004年2月20日・米国,甲5,6)をし,平成20年2月8日及び平成22年6月9日付けの手続補正書により特許請求の範囲の変更を含む補正をしたが,平成22年7月28日付けで拒絶査定を受けたので,これに対する不服審判請求をした(不服2010-27167号)。特許庁は,平成24年6月5日,「本件審判の請求は,成り立たない。」 含む補正をしたが,平成22年7月28日付けで拒絶査定を受けたので,これに対する不服審判請求をした(不服2010-27167号)。特許庁は,平成24年6月5日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は同月18日,同社に送達された。同社は,原告に対し,特許を受ける権利を承継した(平成24年10月12日出願人名義変更届出)。 2 本願発明の要旨上記の補正(甲7,10)に基づく特許請求の範囲の請求項8に係る本願発明は,以下のとおりである。 カメラ集積回路と,前記カメラ集積回路上に少なくとも部分的に形成されたホルダと,前記カメラ集積回路上の保護カバーと,レンズ・アセンブリとを備える集積カメラ回路及びレンズ・モジュールであって,前記保護カバーが前記ホルダによって定位置に保持され, - 3 -前記レンズ・アセンブリが前記ホルダを介して前記カメラ集積回路に取り付けられ,前記ホルダが前記レンズ・アセンブリの該ホルダへの挿入を可能にし,これによって前記カメラ集積回路に対する前記レンズ・アセンブリを位置決めし,前記レンズ・アセンブリと前記保護カバーの間に間隙が設けられるように該レンズ・アセンブリが前記ホルダに取り付けられることを特徴とする集積カメラ回路及びレンズ・モジュール。 3 審決の理由の要点本願発明は,刊行物1(特開2001-292365号公報,甲1)に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたもので,進歩性を欠く。 (1) 刊行物1の段落【0048】,【図28】に記載された実施の形態(実施例)13には,実質的には,次の発明(引用発明)が記載されていることが認められる。 導電パターンを有する基板1上の所定の位置に配置された受光 段落【0048】,【図28】に記載された実施の形態(実施例)13には,実質的には,次の発明(引用発明)が記載されていることが認められる。 導電パターンを有する基板1上の所定の位置に配置された受光部を有する撮像素子2と,封止樹脂5と,撮像素子2の上に透光性板を備え透光性樹脂は,封止樹脂により,所定の位置に配置された状態で撮像素子2及び基板1と一体化された,撮像装置。 (2) 本願発明と引用発明との一致点と相違点は次のとおりである。 【一致点】カメラ集積回路と,前記カメラ集積回路上に少なくとも部分的に形成されたホルダと,前記カメラ集積回路上の保護カバーと,を備える集積カメラ回路であって, - 4 -前記保護カバーが前記ホルダによって定位置に保持される,集積カメラ回路。 【相違点1】引用発明は,「レンズ・アセンブリ」,「レンズ・モジュール」を有していない点。 【相違点2】引用発明は「前記レンズ・アセンブリが前記ホルダを介して前記カメラ集積回路に取り付けられ」の構成を有しない点。 【相違点3】引用発明は「前記ホルダが前記レンズ・アセンブリの該ホルダへの挿入を可能にし,これによって前記カメラ集積回路に対する前記レンズ・アセンブリを位置決めし」の構成を有しない点。 【相違点4】引用発明は「前記レンズ・アセンブリと前記保護カバーの間に間隙が設けられるように該レンズ・アセンブリが前記ホルダに取り付けられる」の構成を有していない点。 (3) 相違点に関する判断は以下のとおりである。 ① 相違点1について本願発明は,レンズ・アセンブリとレンズ・アセンブリを集積カメラ回路に取り付けるための手段とを合わせて「レンズ・モジュール」と称 点に関する判断は以下のとおりである。 ① 相違点1について本願発明は,レンズ・アセンブリとレンズ・アセンブリを集積カメラ回路に取り付けるための手段とを合わせて「レンズ・モジュール」と称していると解されるところ,引用発明の撮像装置は「レンズ・アセンブリ」を有していない。 しかし,撮像装置において,結像レンズを採用することは,普通に行われており,引用発明の撮像装置において,結像レンズを配置することは,当業者であれば普通に想起し得たことである。 引用発明の撮像装置に結像レンズを配置する際,採用しうる構成として,刊行物1の【0048】には「尚,図28において,図1と同一符号は同一又は相当部分を示すためその説明は省略する。」の記載があるのであるから,当業者であれば,ま - 5 -ず,引用発明にこの【図1】の実施例1の構成を採用しようとすることは,普通のことである。 引用発明を説明するための【図28】と,刊行物1に記載された実施例1の構成を説明するための【図1】とを対比すれば,引用発明と実施例1の構成とが共に有する封止樹脂は,基板から,上方に延びるものであって,撮像素子の受光面と接する部分で屈曲しさらに上方に伸びる側壁部を有していることは明らかであり,実施例1の構成では,当該側壁部にねじ部を設け,側壁部のねじ部と,鏡筒に設けられたねじ(溝)を対応させることにより,側壁部に鏡筒を螺着・固定しているのであるから,引用発明に実施例1の構成を付加すること,すなわち,引用発明の(封止樹脂の)側壁部に,結像レンズを配置した鏡筒(本願発明のレンズ・アセンブリに相当)と対応するねじ部を設け,これに鏡筒を螺着・固定する構成を採用することは,当業者であれば,容易に想到し得たことである。 よって,引用発明の撮像装置に,レンズ・アセンブリ ンズ・アセンブリに相当)と対応するねじ部を設け,これに鏡筒を螺着・固定する構成を採用することは,当業者であれば,容易に想到し得たことである。 よって,引用発明の撮像装置に,レンズ・アセンブリとレンズ・アセンブリを撮像素子に取り付けるための手段(レンズ・モジュール)とを設けることは当業者が容易になし得たことであるということができる。 ② 相違点2について前記のとおり,引用発明において,実施例1の構成を採用すれば,引用発明の(封止樹脂の)側壁部に,結像レンズを配置した鏡筒(本願発明のレンズ・アセンブリに相当)と対応するねじ部を設け,これに鏡筒を螺着・固定する構成となるところ,引用発明の封止樹脂は,「封止樹脂を射出・成形することで,封止樹脂により,透光性板は,撮像素子及び基板と一体になっている」のであるから,封止樹脂は撮像素子に対して,固定されているといえる。そして,実施例1のレンズを配置した鏡筒(レンズ・アセンブリに相当)は,撮像素子(カメラ集積回路に相当)に対して固定された封止樹脂(ホルダに相当)に固定されるのであるから,「前記レンズ・アセンブリが前記ホルダを介して前記カメラ集積回路に取り付けられ」ということができる。 - 6 -したがって,相違点2の構成は,引用発明に実施例1の構成を採用することにより,当業者が容易になし得たことである。 ③ 相違点3について本願明細書の段落【0019】,【0034】によれば,レンズ・アセンブリのX軸,Y軸の位置決めは,成形部品(の凹部)にレンズ・アセンブリを挿入することにより実現され,Z軸の位置決めは,成形部品の中で,レンズ・アセンブリを上下に移動させることによりなされるから,成形部品がレンズ・アセンブリを保持すること(それのみ)により位置決めされるのは,X軸 により実現され,Z軸の位置決めは,成形部品の中で,レンズ・アセンブリを上下に移動させることによりなされるから,成形部品がレンズ・アセンブリを保持すること(それのみ)により位置決めされるのは,X軸,Y軸方向であって,Z軸方向の位置決めは,レンズの取付け工程において,レンズ・アセンブリを上下方向に移動して基準と合わせた後,レンズを保持することによりなされることである。すなわち,本願発明の「カメラ集積回路に対する前記レンズ・アセンブリを位置決め」の構成は,実施の形態として,X軸,Y軸方向の位置決めは,レンズ・アセンブリを成形部品(ホルダ)に挿入することによりなされ,Z軸方向の位置決めは,レンズ取付け工程において,レンズ・アセンブリを上下させ基準と合わせた後,レンズを保持することによりなされる,ことを含むものということができる。 一方,刊行物1における実施例1の構成は,結像レンズが焦点調整機構を有する撮像装置であって,当該調整は,封止樹脂のねじ部と,鏡筒のねじ(溝)を対応させて,(レンズを配置した)鏡筒を回動することにより,結像レンズと受光面との距離の調節を行う調整であることが理解できる。上記実施例1の構成の結像レンズと受光面との距離の調整は,本願発明のZ軸方向の位置決めに相当することは明らかであるから,実施例1の構成は,Z軸方向の位置決めにおいて,(レンズを配置した)鏡筒を(回動することにより)上下させ基準と合わせ,鏡筒を側壁部に螺着・固定しているということができ,本願発明の実施の形態である,「Z軸方向の位置決めは,レンズ取付け工程において,レンズ・アセンブリを上下させ基準と合わせた後,レンズを保持することによりなされる」ことに対応しているということができる。 そうすると,刊行物1における実施例1の構成の「(レンズを配置した)鏡 ,レンズ・アセンブリを上下させ基準と合わせた後,レンズを保持することによりなされる」ことに対応しているということができる。 そうすると,刊行物1における実施例1の構成の「(レンズを配置した)鏡筒」, - 7 -「撮像素子(の受光面)」,「(側壁部を有する)封止樹脂」が,本願発明の「レンズ・アセンブリ」,「カメラ集積回路」,「ホルダ」に相当することは,前記のとおりであるから,実施例1の「封止樹脂」は,本願発明の「前記ホルダが前記レンズ・アセンブリの該ホルダへの挿入を可能にし,これによって前記カメラ集積回路に対する前記レンズ・アセンブリを位置決めし」と相違がなく,相違点3に係る構成は,引用発明の撮像装置に実施例1の構成を採用することにより,容易になし得たことである。 ④ 相違点4について刊行物1における実施例1の構成において,鏡筒は封止樹脂の側壁面(内側)に沿って上下することが前提としてあるから,鏡筒が自由に動く間隙が必要であることは明らかであり,引用発明の封止樹脂の内側に配置された透光性板(保護カバー)と鏡筒(レンズ・アセンブリ)との間に間隙が必要であることは,明らかである。 したがって,相違点4に係る構成は,引用発明の撮像装置に実施例1の構成を採用することにより,容易になし得たことである。 ⑤ 効果等について以上のように,上記相違点は,当業者が容易に想到し得たものと認められ,本願発明全体としてみても格別のものはなく,その作用効果も,上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず,格別顕著なものがあるとは認められない。 第3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由1(相違点の容易想到性についての判断の誤り)(1) 相違点1についてア刊行物1における実施例1は,【図 があるとは認められない。 第3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由1(相違点の容易想到性についての判断の誤り)(1) 相違点1についてア刊行物1における実施例1は,【図1】からも明らかなように結像レンズを備えた撮像装置に関するものである一方,引用発明は,【図28】から明らかなように,結像レンズを備えていない撮像装置に関するものである。そして,撮像装置において,結像レンズは,被写体の像を撮像素子に結像するために設けられている - 8 -ものであり,結像レンズを設けずに被写体の像を撮像素子に結像するためには,結像レンズに代わる結像のための構成が必要となり,具体的にはピンホールカメラの原理を利用する必要がある。ピンホールカメラの原理を利用した撮像装置は,結像レンズを用いることなく被写体の像を撮像素子に結像するという点で,一般的な結像レンズを備えた撮像装置とは撮像原理が本質的に異なっている。そのため,通常,結像レンズを備えた撮像装置の構成を,ピンホールカメラの原理を利用した撮像装置(結像レンズを備えない撮像装置)に適用することは行われず,両者は異なる技術分野に属するものである。 そうすると,審決が,引用発明と実施例1の発明との技術分野の差異を全く考慮することなく,結像レンズを有さない撮像装置である引用発明に対し,結像レンズを備えた撮像装置である実施例1の構成を採用しようとすることが普通のことであると判断したのは誤りである。 イ仮に,引用発明が結像レンズを備えているとされた場合であっても,引用発明を示す【図28】を参照すると,透光性板11の上面と封止樹脂5の上端部との高さの差はほとんどないことが看取できるところ,引用発明の封止樹脂5の非常に短く形成された側壁部に対して,長く形成する必要がある実施例1の 8】を参照すると,透光性板11の上面と封止樹脂5の上端部との高さの差はほとんどないことが看取できるところ,引用発明の封止樹脂5の非常に短く形成された側壁部に対して,長く形成する必要がある実施例1の「ねじ部」を設けることは,構造上困難であるから,引用発明の【図28】及び実施例1の【図1】に接した当業者は,「引用発明の(封止樹脂の)側壁部に,結像レンズを配置した鏡筒と対応するねじ部を設け,これに鏡筒を螺着・固定する構成を採用すること」を容易に想到し得ないことは明らかである。 ウまた,刊行物1の【図33】には,光学素子12の上面にレンズ3を付加した構成がまさに明示されており,刊行物1に接した当業者は,引用発明にレンズを付加しようとする場合,鏡筒を必要として部品点数が多くなる実施例1の構成ではなく,鏡筒を必要とせず部品点数の少ない【図33】の構成を採用しようと考えるはずであるから,当業者は,もし引用発明にレンズを付加しようとするならば,引用発明に実施例1の構成を採用するのではなく,この【図33】の構成を採用し - 9 -ようとするのが普通である。 エしたがって,引用発明に刊行物1の実施例1の構成を採用しようとすることは当業者が容易になし得ることではない。 (2) 相違点2について引用発明に刊行物1の実施例1の構成を採用することは当業者が容易に想到し得ないことから,審決の認定は前提において誤っている。 (3) 相違点3について刊行物1の実施例1では,結像レンズを配置した鏡筒を封止樹脂に対して螺着しているのであり,鏡筒が側壁部に挿入されるとしても,その位置決めは,螺着された鏡筒をねじ部に沿って回転移動させることにより行われるのであるから,「挿入によって位置決め」しているものではない。 また,実施例1 ,鏡筒が側壁部に挿入されるとしても,その位置決めは,螺着された鏡筒をねじ部に沿って回転移動させることにより行われるのであるから,「挿入によって位置決め」しているものではない。 また,実施例1の「結像レンズを配置した鏡筒を封止樹脂に対して螺着している」状態では,鏡筒は(回動することにより)封止樹脂に対してZ軸方向に移動可能であるから,位置決めされていない。 したがって,「実施例1の『封止樹脂』は,本願発明の『前記ホルダが前記レンズ・アセンブリの該ホルダへの挿入を可能にし,これによって前記カメラ集積回路に対する前記レンズ・アセンブリを位置決めし』と相違が無い」とする審決の認定は明らかに誤っている。 (4) 相違点4について刊行物1における実施例1の構成において,鏡筒をどの位置に設定するかについての記載はなく,透光性板との間に間隙を有さないように設定することもできるから,実施例1の構成において,鏡筒が封止樹脂の側壁面(内側)に沿って上下するとしても,引用発明の封止樹脂の内側に配置された透光性板と鏡筒との間に間隙が必要であるとは言えない。したがって,「引用発明の封止樹脂の内側に配置された透光性板(保護カバー)と鏡筒(レンズ・アセンブリ)との間に間隙が必要であることは,明らかである。」とする審決の認定は誤りであり,当該認定を前提とした「相 - 10 -違点4に係る構成は,引用発明の撮像装置に実施例1の構成を採用することにより,容易になし得たことであるということができる。」との認定も誤りである。 また,先行技術(刊行物1)には,「レンズ・アセンブリと保護カバーとの間の間隙」について全く記載も示唆もなされていないのであるから,本願発明の特徴点(相違点4)に到達するためにしたはずであるという示唆等は全く存在せず,容易想到性を レンズ・アセンブリと保護カバーとの間の間隙」について全く記載も示唆もなされていないのであるから,本願発明の特徴点(相違点4)に到達するためにしたはずであるという示唆等は全く存在せず,容易想到性を認めた審決の判断は誤りである。 2 取消事由2(本願発明の顕著な作用効果を看過した誤り)本願発明は,カメラ集積回路の損傷を確実に回避するために,「レンズ・アセンブリと保護カバーとの間に間隙が設けられるように,レンズ・アセンブリがホルダに取り付けられる」構成(相違点4に係る構成)を採用したのであり,本願発明は,「カメラ集積回路上の保護カバー」と相違点1ないし4に係る構成を同時に採用し,各構成が一体的に結合することによって,「レンズ・アセンブリをホルダに挿入するだけで,カメラ集積回路に対するレンズ・アセンブリの位置決めが可能となる」と同時に「カメラ集積回路の損傷を確実に回避することが可能となる」という極めて優れた作用効果を奏することに成功したものである。 第4 被告の反論 1 取消事由1に対し(1) 相違点1についてア刊行物1の【図28】及びこれに対応する発明の詳細な説明の記載をみても,同図に係る構成が,結像レンズを有さない撮像装置(ピンホールカメラ)に係るものであるとの記載はない。そして,刊行物1の従来技術として挙げられている乙1(実願平2-46226号〈実開平4-5660号〉のマイクロフィルム)は,結像レンズを有する撮像装置を前提とした発明であることが明らかであり,刊行物1の発明者は,結像レンズを有する撮像装置を前提に当発明をしたのであるか - 11 -ら,【図28】の実施例(すなわち,引用発明の撮像装置)においても,鏡筒と結像レンズを設けることが前提であることは,明らかである。 イ特許出願に添 に当発明をしたのであるか - 11 -ら,【図28】の実施例(すなわち,引用発明の撮像装置)においても,鏡筒と結像レンズを設けることが前提であることは,明らかである。 イ特許出願に添付される図面は,設計図のように,実物を忠実に再現した図面を添付する必要はなく,特許発明の構成が明確に理解できる程度の図面でよいことは当業者の常識であり,【図28】に係る発明は,段落【0048】の記載を見れば,透光板11を封止樹脂5の成形の際に同時に配置固定することを特徴とする構成を説明するものであるから,封止樹脂5,透光板11について,特に理解をするための図であるといえる。【図28】においては,その余の点(結像レンズ及び,結像レンズを配置すべき封止樹脂の先端等)について,特に重要であるということはできず,当業者であれば,上記重要でない構成については,他の実施例を参酌して,実現可能であると思い至ることは普通のことである。 ウまた,原告は,結像レンズを用いるのであれば,刊行物1の【図33】の構成を適用するはずであると主張するが,引用発明に【図33】の構成を採用するかどうかは,審決の判断とは無関係である。 (2) 相違点2について前記のとおり,引用発明に実施例1の構成を採用することは,当業者が容易になし得たことであるといえるから,その前提は誤っていない。 (3) 相違点3についてア審決は,螺着することをもって,本願発明の「挿入」と一致すると認定しているわけではなく,「(レンズを配置した)鏡筒は,側壁部の内側に挿入されている。」ことから,そもそも鏡筒が側壁部に挿入されることは明らかであって,この点において,本願発明のレンズ・アセンブリのホルダへの挿入を可能にしている構成と相違がないと認定しているのであり,審決の判断に 。」ことから,そもそも鏡筒が側壁部に挿入されることは明らかであって,この点において,本願発明のレンズ・アセンブリのホルダへの挿入を可能にしている構成と相違がないと認定しているのであり,審決の判断に誤りはない。 イ刊行物1の【図1】の構成は,「実施例1の構成は,Z軸方向の位置決めにおいて,(レンズを配置した)鏡筒を(回動することにより)上下させ基準と合わせ,鏡筒を側壁部に螺着・固定している」から,Z軸方向に移動させて(移動可能 - 12 -であって),鏡筒に位置決めしているのである。 したがって,原告の「(実施例1の構成は)封止樹脂に対してZ軸方向に移動可能であるから位置決めされていない」との主張は,根拠がなく,失当である。 (4) 相違点4について当業者であれば,焦点調整ができなくなるような事態を避けるため,「レンズの焦点距離」,「鏡筒の長さ」,「鏡筒と撮像素子との間隔」等を,適宜調整し,焦点調整を行う過程において,結像レンズが自由に移動できるように設計すること(すなわち,レンズの製造誤差等で,レンズの焦点位置が,撮像素子に近づいた事態が生じても,上記位置決めの過程で,焦点位置を通り過ぎて,さらに下方に移動することができるように間隙を設けること。)は普通に考慮することであるといえ,上記鏡筒4の最下部と撮像素子とが触れることがないように移動して,鏡筒の位置決めがなされるのであるから,位置決めされた後も鏡筒(レンズ・アセンブリ)の最下部と撮像素子との間に間隙が存在することは明らかである。 そして,撮像素子の上に透光性板を配置した引用発明において,上記焦点調整機構を設けた実施例1の構成を採用すれば,鏡筒4を焦点調整のために上下させたとき,鏡筒の最下部が接触する可能性がある部材は透光性板であることは明らかであり,実 配置した引用発明において,上記焦点調整機構を設けた実施例1の構成を採用すれば,鏡筒4を焦点調整のために上下させたとき,鏡筒の最下部が接触する可能性がある部材は透光性板であることは明らかであり,実施例1の構成において,鏡筒の最下部と撮像素子とが触れないように間隙を設けたのと同様,鏡筒の最下部と透光性板とが触れないように間隙を設け,結果,透光性板(保護カバー)と鏡筒(レンズ・アセンブリ)との間に間隙を設けることは,当業者が普通に想起し得たことである。 2 取消事由2に対しレンズ・アセンブリとセンサーアレイとの間の間隙がレンズ・アセンブリをホルダに挿入するだけで位置決めできる旨の記載はなく,また,レンズ・アセンブリはその下方の膨らみがホルダの厚みより大きいものである旨の記載もない。原告が主張する「カメラ集積回路上の保護カバー」と相違点1ないし4(特に,相違点4)に係る構成を同時に採用したことによる作用効果は,明細書に記載されておらず, - 13 -本願発明の効果が「極めて優れた作用効果」であるという主張には根拠がなく,特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明の記載に基づくものではなく,失当である。 第5 当裁判所の判断 1 本願発明について本願明細書(甲6)によれば,本願発明につき以下のように認めることができる。 本願発明は,デジタルカメラ装置の分野,より詳しくは新しい複合アレイ・チップ及びレンズ装置に関するものである(段落【0001】)。小型で安価なカメラ,携帯電話,携帯型装端末及び同等のものに使用される超小型デジタルカメラ・モジュールは,一般的に従来型の集積チップ及び/又は板状のアセンブリ上のチップを備え,それらモジュールは機械的ハウジングに囲まれているところ,レンズ・ブロックすなわちアセンブリはチップ・ハ カメラ・モジュールは,一般的に従来型の集積チップ及び/又は板状のアセンブリ上のチップを備え,それらモジュールは機械的ハウジングに囲まれているところ,レンズ・ブロックすなわちアセンブリはチップ・ハウジングに取り付けられていて,機械的に一列に並べられているので,取付けの工程で使用される多数の部品を必要とし,またその配列は一般的に,直線上に並んでいる部材を保持するための一種の取付装置又は冶具を必要とし,大変な労力を要した(段落【0002】)。 そこで,製造が容易でコストのかからないカメラ・モジュール等を提供するとともに,レンズが正確な位置に配されたカメラ・モジュールを提供し,それにより動的な位置決めを必要とせずに最良の画質を提供することを目的とし(段落【0004】,【0007】),レンズ・アセンブリは成形された部品を使用して,カメラ・チップに強固に接着され,成形された部品は,カメラ・チップがすでに取り付けられているプリント回路基板上の定位置で形成され,レンズ・アセンブリは成形品に挿入され接着剤によって定位置に保持されるとの構成により,レンズが最小限の構成部品及び最小限の作業工程を使用して,カメラ・チップのセンサー表面に対して正確に取り付けられるようにしたものである(段落【0008】,【0009】)。 - 14 - 2 取消事由1(相違点の容易想到性についての判断の誤り)について(1) 相違点1,2についてア刊行物1において,審決が引用発明と認定した「発明の実施の形態13」(段落【0048】及び【図28】)には,実施例1(段落【0030】及び【図1】)に記載されているような結像レンズ3や,結像レンズ3を支持する鏡筒4の記載はないことは原告主張のとおりである。 しかしながら,刊行物1(甲1)は,CCDイメージセ (段落【0030】及び【図1】)に記載されているような結像レンズ3や,結像レンズ3を支持する鏡筒4の記載はないことは原告主張のとおりである。 しかしながら,刊行物1(甲1)は,CCDイメージセンサ等の各種の撮像素子が用いられる撮像装置及びその製造方法に関するものである(段落【0001】)ところ,【従来の技術】(段落【0002】)には,従来の撮像装置として,例えば乙1(実願平2-46226号〈実開平4-5660号〉のマイクロフィルム)に,撮像素子の受光面に被写体像を結像する結像レンズ部を支持する鏡筒を筐体に固着する構成が開示され,結像レンズにより結像される被写体情報が撮像素子上の受光面に結像されたとき,焦点が合っていないと正確な情報として出力されないという問題が記載されている。また,刊行物1の【発明が解決しようとする課題】(段落【0003】)には,従来の撮像装置では,結像レンズ部と撮像素子との距離を調整して焦点を合わせるために鏡筒及び筐体の部品が個別に必要であり,それらの部品コストやそれらを組立てる工程等のコストが発生するという結像レンズを備えた撮像装置に起因する課題が開示されているところ,原告が主張するような結像レンズを備えない撮像装置,いわゆるピンホールカメラに関する記載や示唆は刊行物1には見当たらない。 かえって,引用発明と同様に「透光性板」を備えた撮像装置に関するものである【請求項19】には,「基板上に設けられた受光部を有する撮像素子と,この撮像素子の少なくとも上記受光部上に配設された透光性板と,この透光性板上に配設された結像レンズ部」との記載,【請求項20】には,「上記樹脂封止部材の側壁部は,上記透光性板の上面よりも高く形成したことを特徴とする」との記載部分があり,実施例を18例紹介した後に【発明の効果】(段落【006 ンズ部」との記載,【請求項20】には,「上記樹脂封止部材の側壁部は,上記透光性板の上面よりも高く形成したことを特徴とする」との記載部分があり,実施例を18例紹介した後に【発明の効果】(段落【0061】)に「以上のように - 15 -この発明によれば,基板上に設けられた受光部を有する撮像素子と基板の回路パターンとを電気的に接続する接続手段を封止する封止部及び上記受光部を開口する側壁部を樹脂により形成し,上記受光部に光を結像させる結像レンズ部を支持する鏡筒部を上記側壁部に固着手段により固着するように構成したことから,部品点数を減少して小型化・低コスト化を図った撮像装置を得ることができる。」との記載があることに鑑みれば,「発明の実施の形態13」(引用発明)は,結像レンズ部を有することを前提にしたものと考えるのが自然である。 そうすると,刊行物1において,引用発明と実施の形態1に記載された発明は,結像レンズ部を有する撮像装置に関する発明である点で共通しており,異なる技術分野に属するとはいえず,引用発明に,実施例1(段落【0030】及び【図1】)に記載された結像レンズ3及び鏡筒4を採用する構成とすることは,当業者であれば容易に想到し得るものである。したがって,相違点1について,「引用発明の(封止樹脂の)側壁部に,結像レンズを配置した鏡筒(本願発明のレンズ・アセンブリに相当)と対応するねじ部を設け,これに鏡筒を螺着・固定する構成を採用することは,当業者であれば,容易に想到し得たことである。よって,引用発明の撮像装置に,レンズ・アセンブリとレンズ・アセンブリを撮像素子に取り付けるための手段(レンズ・モジュール)とを設けることは当業者が容易になし得たことであるということができる。」とした審決の判断に誤りはない。 また,相違点2について,「実 センブリを撮像素子に取り付けるための手段(レンズ・モジュール)とを設けることは当業者が容易になし得たことであるということができる。」とした審決の判断に誤りはない。 また,相違点2について,「実施例1のレンズを配置した鏡筒(レンズ・アセンブリに相当)は,撮像素子(カメラ集積回路に相当)に対して固定された封止樹脂(ホルダに相当)に固定されるのであるから,『前記レンズ・アセンブリが前記ホルダを介して前記カメラ集積回路に取り付けられ』ということができる。したがって,相違点2の構成は,引用発明に実施例1の構成を採用することにより当業者が容易になし得たことである。」とした審決の判断にも誤りはない。 イこの点,原告は,刊行物1の図面を参照し,【図28】の封止樹脂5の非常に短く形成された側壁部に対して,長く形成する必要がある【図1】の「ねじ部」 - 16 -を設けることは,構造上困難であるから,引用発明の側壁部に結像レンズを配置した鏡筒と対応するねじ部を設ける構成とすることは容易に想到しえないと主張する。 しかし,特許出願の図面は,発明の内容を理解しやすくするため明細書の補助として使用されるものであって,発明の構成を特徴付ける部分が容易に理解できるように概略を示すことで足り,寸法,形状や比例関係は必ずしも正確に示されるものではないところ,段落【0048】の記載を参照すると,【図28】は,透光性板11を封止樹脂5により一体化することに主眼を置いて説明した図であるといえるから,【図28】の記載からねじ部を設けることが構造上困難であるという原告の主張は失当である。 また,原告は,刊行物1に接した当業者は,引用発明に結像レンズを付加しようとする場合,鏡筒を必要として部品点数が多くなる【図1】の構成ではなく,鏡筒を必要とせず部品点数の少な 張は失当である。 また,原告は,刊行物1に接した当業者は,引用発明に結像レンズを付加しようとする場合,鏡筒を必要として部品点数が多くなる【図1】の構成ではなく,鏡筒を必要とせず部品点数の少ない【図33】の構成を採用しようと考えるはずであると主張するが,ここで問題となるのは,引用発明(【図28】)において,【図1】に記載された結像レンズ3及び鏡筒4を採用する構成とすることが容易に想到し得るか否かということであり,【図33】を採用することについて,審決において判断がされたものではないから,主張自体失当である。 (2) 相違点3についてア本願発明の「位置決め」について本願明細書(甲6)には,レンズ・アセンブリの「位置決め」に関して以下の記載がある。 【請求項8】前記成形部品は,集積回路チップを基準として前記レンズを位置決めするための凹部を備えることを特徴とする請求項1記載のカメラ・モジュール装置【0007】更に本発明の目的として,レンズが正確な位置に配されたカメラ・モジュールを提供することであり,それにより動的な位置決めを必要とせずに最良の画質を提供する。 - 17 -【0019】図2に示される如く,X座標(34)及びY座標(36)におけるレンズ・アセンブリ(24)の配置は成形部品(26)の凹部(29)の位置及び公差により決定される。成形部品(26)内の開口部(38)は,開口部(38)を通してセンサーアレイ領域(14)が見られるように提供される。 【0034】図15は,方法(100)におけるレンズの取り付け工程(105)を実行するある特定の方法(139)を要約したフローチャートである。「レンズの取り付け」工程(140)において,レンズ・アセンブリ(24a)のうち1つが各成形部品(図1 レンズの取り付け工程(105)を実行するある特定の方法(139)を要約したフローチャートである。「レンズの取り付け」工程(140)において,レンズ・アセンブリ(24a)のうち1つが各成形部品(図10の26)の中に挿入される。「焦点合わせ及び試験」工程(142)においては,レンズ・アセンブリ(24a)が(図1のZ軸(32)に沿って)上下に移動して,レンズ・アセンブリ(24a)の焦点を,カメラ・チップ(12)のセンサーアレイ領域(14)を基準として完全に合わせる。正確な焦点は,従来の一般的な自動式試験装置により決定される。但し,「オーバーモールディング」工程(128)において,カメラチップ(12)を基準とした成形枠(56)の位置を参照することで,この工程が将来的に削除される可能性があると本発明者は考えている。 【0044】本明細書中で上述したように,Z寸法の精度はカメラチップ(12)表面自体を基準とすることで達成されるであろう。カメラチップ(12)の表面はカメラの焦点の重要な基準である。 これにより将来的には,多くの場合には動的な位置決めを行う必要性がなくなることが予想される。また,レンズ・アセンブリを,ネジ部を有するハウジングに螺合する必要なく,位置決めが行えることで,本質的にレンズの配置がより安定する。 以上の記載によれば,レンズが正確な位置に配されるように,カメラ集積回路に対するレンズ・アセンブリの配置を決めることが「位置決め」に相当すると解される。そして,最終的なレンズ・アセンブリの配置を決定するには,X座標,Y座標,Z座標がそれぞれ決定される必要があるものの,必ずしもすべての座標を決定することのみが「位置決め」に相当するというのではなく,いずれかの座標のみを決定 - 18 -することも含まれるものである。 イそ 決定される必要があるものの,必ずしもすべての座標を決定することのみが「位置決め」に相当するというのではなく,いずれかの座標のみを決定 - 18 -することも含まれるものである。 イそして,本願発明において,レンズ・アセンブリのX座標,Y座標の位置決めは,成形部品の凹部にレンズ・アセンブリ挿入することにより実現される(段落【0019】)ものであるところ,刊行物1の実施例1においては,側壁部に鏡筒と対応するねじ部を設け,これに結像レンズを配置した鏡筒が,側壁部の内側に挿入されて鏡筒の外側が側壁部に囲まれる形となるため,少なくとも結像レンズが水平方向に移動することは不可能となるものであるから,側壁部に鏡筒が挿入されることにより,X座標,Y座標が定まることとなる。そうすると,引用発明に刊行物1における実施例1の構成を採用し,結像レンズ3を支持する鏡筒4を封止樹脂5(ホルダ)に挿入することは,X座標,Y座標の「位置決め」をしているといえる。 したがって,実施例1の「封止樹脂」は,本願発明の「前記ホルダが前記レンズ・アセンブリの該ホルダへの挿入を可能にし,これによって前記カメラ集積回路に対する前記レンズ・アセンブリを位置決めし」ているとした審決の判断に誤りはなく,相違点3に係る構成についての審決の容易想到性の判断に誤りはない。 ウこの点,原告は,鏡筒が側壁部に挿入されるとしても,その位置決めは,螺着された鏡筒をねじ部に沿って回転移動させることにより行われるのであるから,「挿入によって位置決め」しているものではないと主張する。 しかしながら,審決が「挿入」によって位置決めされるとしているのは,X座標,Y座標であるから,ねじ部に沿って回転移動させることによるZ座標の位置決めを問題とする原告の上記主張は当たらない。なお,Z座標 かしながら,審決が「挿入」によって位置決めされるとしているのは,X座標,Y座標であるから,ねじ部に沿って回転移動させることによるZ座標の位置決めを問題とする原告の上記主張は当たらない。なお,Z座標の位置決めについては,本願発明においても,前記の段落【0034】やレンズ取り付け工程に関するフローチャートを記載した【図15】において,「レンズの取り付け→焦点合わせ及び試験→接着剤の調剤及び硬化」と記載されているとおり,ホルダへの挿入のみによってなされるのではなく,成形部品の中で,レンズ・アセンブリを上下に移動させることによってなされるものであり,刊行物1の実施例1においては,鏡筒を回動させることにより鏡筒を上下に移動させることによってなされるものであるから,位置 - 19 -決めについてZ座標も考慮に入れたとしても両者に実質的な相違はない。 この点,原告は,実施例1の「結像レンズを配置した鏡筒を封止樹脂に対して螺着している」状態では,鏡筒は(回動することにより)封止樹脂に対してZ軸方向に移動可能であるから,位置決めされていないと主張する。しかし,実施例1について説明する段落【0030】に「5はねじ部5bを側壁部5cに形成した封止樹脂である。…その側壁部5cの周縁部には,結像レンズ3を支持する鏡筒4に設けられた取り付けねじ4aと対応するねじ部5bを加工・形成して,鏡筒4を側壁部5cに螺着・固定している。」と記載されているとおり,封止樹脂5(ホルダ)に結像レンズ3を支持する鏡筒4を挿入し,鏡筒4をねじ溝に沿って回動することにより螺着・固定することで位置決めしているといえるから,原告の上記主張は採用できない。 (3) 相違点4について刊行物1の実施例1(【図1】)において,封止樹脂5(ホルダ)に結像レンズ3を支持する鏡筒4を挿 とで位置決めしているといえるから,原告の上記主張は採用できない。 (3) 相違点4について刊行物1の実施例1(【図1】)において,封止樹脂5(ホルダ)に結像レンズ3を支持する鏡筒4を挿入し,螺着・固定(位置決め)するのは,像レンズ部(レンズ・アセンブリ)と撮像素子(カメラ集積回路)との距離を調整して焦点を合わせるためであるから(段落【0002】,【0003】),距離を調整するためには,間隙が必要であり,透光性板11(保護カバー)を備えた引用発明(【図28】)に,【図1】の結像レンズ3及び鏡筒4を設けた構成においても,距離を調整して焦点を合わせるものであって,同様に間隙が必要であり,その場合に結像レンズ3(レンズ・アセンブリ)と透光性板11(保護カバー)が当接しないように間隙を設ける構成となることは必然である。 したがって,相違点4に関する原告の主張は採用することができない。 (4) 以上のとおり,審決のした容易想到性判断に誤りはなく,取消事由1は理由がない。 3 取消事由2(本願発明の顕著な作用効果を看過した誤り)について - 20 -前記2(3)のとおり,透光性板11(保護カバー)を備えた引用発明(【図28】)に,実施例1(【図1】)の結像レンズ3及び鏡筒4を設けた構成でも,結像レンズ3(レンズ・アセンブリ)と透光性板11(保護カバー)が当接しないように間隙を設ける構成となることは明らかであって,カメラ集積回路の損傷が回避される効果は,相違点4の構成に付随する効果である。 そうすると,当該構成が容易に想到し得るものである以上,格別の作用効果であるとは認められない。取消事由2には理由がない。 第6 結論以上によれば,原告主張の取消事由はすべて理由がない。 よって,原告の請求を棄却することと し得るものである以上,格別の作用効果であるとは認められない。取消事由2には理由がない。 第6 結論以上によれば,原告主張の取消事由はすべて理由がない。よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官塩月秀平 裁判官中村恭 裁判官中武由紀
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