昭和46(う)1520 不動産侵奪被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和46年9月9日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。          理    由  (控訴の趣意)  弁護人中原盛次提出の控訴趣意書記載のとおりであるから、これを引用する。  (当裁判所の判断)  所論は

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判決文本文1,868 文字)

主    文      本件控訴を棄却する。          理    由  (控訴の趣意)  弁護人中原盛次提出の控訴趣意書記載のとおりであるから、これを引用する。  (当裁判所の判断)  所論は、刑法二三五条ノ二の不動産侵奪罪の対象となるべき不動産の占有は、そ れを正当ならしめる本権をともなうものでなければならない。しかるに、本件のよ うな仮処分による執行官の占有は、その裏付けとなる本権がないから、不動産侵奪 罪の保護法益とはならない。したがつて、本件につき同罪の成立を認めた原判決に は刑法二三五条ノ二の解釈、適用を誤つた違法があり、破棄を免かれない、と主張 する。  しかし、おもうに、刑法における財物取罪の規定は、財物に対する事実上の占有 ないし所持それ自体を保護の対象とするものであつて、必ずしも本権がそれに併存 しなければならないものではなく、そして、この点は、不動産侵奪罪のばあいにお いてもまた異るところはないものと解せられる。本件は、東京地方裁判所の裁判官 による原判示のような趣旨の仮処分決定に基づき同裁判所執行官が、原判示建物の 各室(その当時AおよびBの居住していた原判示の二室がこのうちにふくまれるこ とはいうまでもない。)に対する債務者(居住者)らの占有を解いて同執行官の保 管に移すとともに、右AおよびBその他の債務者に限つて、それぞれの室の使用を ゆるし、その旨の公示書を各室に貼付してその執行を完了し、爾来それらの各室 は、いずれも右執行官がこれを保管していたものであつて、なるほど同執行官の右 処分そのものは、国の執行機関としての独自の権限と責任においてこれを行なうも のであつて、債権者の委任によりその代理人としてするものではないから、この意 味において、同執行官の保管は、所有権、賃借権ないし質権等のいわゆる本権に基 づくものでないことは、所論のとおり れを行なうも のであつて、債権者の委任によりその代理人としてするものではないから、この意 味において、同執行官の保管は、所有権、賃借権ないし質権等のいわゆる本権に基 づくものでないことは、所論のとおりである。しかし、もともと本件のような仮処 分命令による執行官の不動産占有は、原判決もくわしく述べているとおり、当該不 動産の明渡請求をめぐつて個人間に財産権上の紛争があるばあいに、将来における その請求権の実現を確実、かつ、容易ならしめるために、これが本訴において確定 されるまで一応暫定的に当該不動産の占有状態を凍結、維持するために行なわれる のであつて、この占有状態を侵害、かく乱することは、すなわち、債権者による本 権の実現を困難ならしめる結果を招来することになるのであるから、その権利関係 が現在なお未確定な状態にあるとはいえ、本件執行官による不動産占有は、けつし て個人の財産権と無関係なものではなく、まさに原判決の指摘しているとおり、そ の背後には個人の財<要旨>産権がその実質的な基礎として、控えているものといわ なければならない。したがつて前記のように執行官が</要旨>裁判所の仮処分決定に 基づき本件建物の各室を自己の保管に移し、その旨の公示書を貼付することによつ て適法にその執行を終了したものである以上、これによる同執行官の右建物占有 は、それ自体、刑法上の保護を受けなければならないことは当然であり(ちなみ に、その後本件までの間に、前記AおよびB両名の各居室に貼付してあつた右公示 書がなんらかの理由によつて脱離し、その所在がわからなくなつてしまつたようで あるがそれだからといつて、いつたん適法になされた仮処分の執行によつて成立し た執行官の占有そのものが消滅したことにならないのはいうまでもない。)これに 対する侵害行為は、やはり不動産侵害罪を構成するものといわなければ といつて、いつたん適法になされた仮処分の執行によつて成立し た執行官の占有そのものが消滅したことにならないのはいうまでもない。)これに 対する侵害行為は、やはり不動産侵害罪を構成するものといわなければならない。 したがつて、右と同旨の解釈により不動産侵奪罪の成立を認めた原判決は正当であ つて、法令の解釈、適用を誤つた違法は認められないから、論旨は理由がない。  よつて本件控訴は理由がないから、刑事訴訟法三九六条によりこれを棄却するこ ととし、主文のとおり判決する。  (裁判長判事 樋口勝 判事 目黒太郎 判事 伊東正七郎)

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