令和2年2月20日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(ワ)第3226号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和元年12月6日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙物件目録記載1のマッサージ機を製造し,販売し,輸出し又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は,別紙物件目録記載2~12の各マッサージ機を製造し,販売し又は販売の申出をしてはならない。 3 被告は,別紙物件目録記載1~12の各マッサージ機を廃棄せよ。 4 被告は,原告に対し,15億円及びこれに対する平成30年4月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,①発明の名称を「椅子式施療装置」とする発明に係る特許権(特許第4504690号。以下「本件特許権A」といい,これに係る特許を「本件特許A」 という。),②発明の名称を「椅子式マッサージ機」とする発明に係る特許権(特許第5162718号。以下「本件特許権B」といい,これに係る特許を「本件特許B」という。)及び③発明の名称を「椅子式マッサージ機」とする発明に係る特許権(特許第4866978号。以下「本件特許権C」といい,これに係る特許を「本件特許C」という。また,本件特許権A~Cを併せて「本件各特許権」とい う。)を有する原告が,被告の製造,販売等に係る別紙物件目録記載1~12の各 マッサージ機(以下,目録の番号順に「被告製品1」などといい,これらを併せて「被告各製品」という。)に関して,被告製品1~8については本 被告の製造,販売等に係る別紙物件目録記載1~12の各 マッサージ機(以下,目録の番号順に「被告製品1」などといい,これらを併せて「被告各製品」という。)に関して,被告製品1~8については本件特許Aの請求項1に係る発明(以下「本件発明A」という。)の,被告製品1~5,8~12については本件特許Bの請求項1及び2に係る各発明(以下,請求項の番号順に「本件発明B-1」などといい,これらを併せて「本件各発明B」という。)の,また, 被告製品1及び2については本件特許Cの請求項1~5に係る各発明(以下,請求項の番号順に「本件発明C-1」などといい,これらを併せて「本件各発明C」という。)の技術的範囲にそれぞれ属するとして,被告に対し,以下の各請求をする事案である。 1 差止及び廃棄請求 (1) 本件特許権Aに基づく請求ア差止請求(ア) 被告製品1の製造,販売,輸出及び販売の申出の差止請求(イ) 被告製品2~8の製造,販売及び販売の申出の差止請求イ廃棄請求 被告製品1~8の廃棄請求(2) 本件特許権Bに基づく請求ア差止請求(ア) 被告製品1の製造,販売,輸出及び販売の申出の差止請求(イ) 被告製品2~5,8~12の製造,販売及び販売の申出の差止請求 イ廃棄請求被告製品1~5,8~12の廃棄請求(3) 本件特許権Cに基づく請求ア差止請求(ア) 被告製品1の製造,販売,輸出及び販売の申出の差止請求 (イ) 被告製品2の製造,販売及び販売の申出の差止請求 イ廃棄請求被告製品1及び2の廃棄請求 2 損害賠償請求被告による被告各製品の製造,販売等につき,本件各特許権侵害の不法行為に基づき,損害賠償金の一部である15億円及びこれに対する平成30 イ廃棄請求被告製品1及び2の廃棄請求 2 損害賠償請求被告による被告各製品の製造,販売等につき,本件各特許権侵害の不法行為に基づき,損害賠償金の一部である15億円及びこれに対する平成30年4月26日 (訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求第3 本件特許権A関係原告の本件特許権A関係の請求に関する事実及び理由は,別紙「本件特許権A関係の請求に関する事実及び理由」記載のとおりである。 第4 本件特許権B関係原告の本件特許権B関係の請求に関する事実及び理由は,別紙「本件特許権B関係の請求に関する事実及び理由」記載のとおりである。 第5 本件特許権C関係原告の本件特許権C関係の請求に関する事実及び理由は,別紙「本件特許権C関 係の請求に関する事実及び理由」記載のとおりである。 第6 結論よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 杉浦正樹 裁判官 野上誠一 裁判官 大門宏一郎 (別紙)当事者目録 原告株式会社フジ医療器同訴訟代理人 大門宏一郎 (別紙)当事者目録 原告株式会社フジ医療器同訴訟代理人弁護士重冨貴光同古庄俊哉同石津真二同手代木啓同富田詩織同杉野文香同辻󠄀 本希世士同辻󠄀 本良知同松田さとみ同補佐人弁理士丸山英之 被告ファミリーイナダ株式会社同訴訟代理人弁護士三山峻司同矢倉雄太同塩田陽一朗同訴訟代理人弁理士北村修一郎同森俊也同本田恵以上 (別紙)物件目録 1 製品名 INADADREAMWAVE型番 HCP-11001 2 製品名ファミリーメディカルチェアSOGNO型番 FMC-10000 3 製品名ファミリーメディカルチェアルピナス型番 FMC-LPN10000 4 製品名ファミリーメディカルチェアダブル・エンジンユニバーサル型番 FMC-WU100 5 製品名ファミリーメディカルチェア3S匠型番 FMC-S8100 6 製品名ファミリーイナダ リーメディカルチェアダブル・エンジンユニバーサル型番 FMC-WU100 5 製品名ファミリーメディカルチェア3S匠型番 FMC-S8100 6 製品名ファミリーイナダチェアユメロボ型番 FIC-R100 7 製品名ファミリーメディカルチェア3A型番 FMC-9200 8 製品名ファミリーメディカルチェアX.1型番 FMC-730 9 製品名ファミリーメディカルチェア3S型番 FMC-S330 10 製品名ファミリーメディカルチェアエスボディ型番 FDX-S300 11 製品名ファミリーメディカルチェアネセサ型番 FMC-N230 12 製品名ファミリーメディカルチェアルピナスライト 型番 FMC-LPN9000以上 (別紙)本件特許権A関係の請求に関する事実及び理由第1 前提事実(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,本判決において書証を掲記する際には,枝番号の全てを含むときはその記載を省略することがある。) 1 本件特許権A特許番号第4504690号発明の名称椅子式施療装置出願日平成16年1月15日登録日平成22年4月30日 特許請求の範囲別紙「特許公報」記載のとおりなお,本件特許Aの願書に添付された明細書及び図面(以下,これらを併せて「本件明細書A」という。)の記載は,上記別紙のとおりである。 2 構成要件の分説本件発明Aを構成要件に分説すると,別紙本件発明A構成要件目録記載のとおり である。 3 被告の行為被告は,業として,本件特許権Aの設定登録以降,被告製品1~8のうち被告製品1については製造,販売,輸出又 件に分説すると,別紙本件発明A構成要件目録記載のとおり である。 3 被告の行為被告は,業として,本件特許権Aの設定登録以降,被告製品1~8のうち被告製品1については製造,販売,輸出又は販売の申出のいずれかの行為,被告製品2~8については製造販売行為を行ったことがある(ただし,被告製品1,3及び8の 製造販売等開始時期その他の点については,当事者間に争いがある。)。 4 争点(1) 本件特許権A関係の請求固有の争点ア技術的範囲の属否(争点1)イ無効理由の存否(新規性欠如の有無,争点2) (2) 本件特許権B及びC関係の請求と共通の争点 損害額(争点3)第2 争点に関する当事者の主張 1 争点1(技術的範囲の属否)(原告の主張)(1) 被告製品1~8の構成及びその本件発明Aの構成要件の充足 ア被告製品1及び2の構成は,別紙「被告製品1及び2構成目録(原告主張)」記載のとおりである(なお,本件発明Aの構成要件の充足性を検討する限りにおいては,被告製品1及び2の構成の相違は考慮する必要はない。)。 被告製品3,5及び8の構成は,別紙「被告製品3,5及び8構成目録(原告主張)」記載のとおりである(なお,本件発明Aの構成要件の充足性を検討する限り においては,被告製品3,5及び8の構成の相違は考慮する必要はない。)。 被告製品4,6及び7の構成は,別紙「被告製品4,6及び7構成目録(原告主張)」記載のとおりである(なお,本件発明Aの構成要件の充足性を検討する限りにおいては,被告製品4,6及び7の構成の相違は考慮する必要はない。)。 イこれによれば,被告製品1~8の構成は,本件発明Aの構成要件を全て充足 する。具体的には,後記(2)のとおりである。 (2) 被告製品4,6及び7の構成の相違は考慮する必要はない。)。 イこれによれば,被告製品1~8の構成は,本件発明Aの構成要件を全て充足 する。具体的には,後記(2)のとおりである。 (2) 具体的な主張ア 「尻用エアバッグ」(構成要件B及びE)の充足(ア) 意義本件発明Aに係る特許請求の範囲には,「尻用エアバッグ」自体は,「尻をマッ サージする」ものとして特定されている(構成要件B)。したがって,「尻用エアバッグ」の意義は,その文言どおり,尻をマッサージするエアバッグであると理解すれば足りる。本件明細書Aを見ても,それ以上に「尻用エアバッグ」の意義を画する記載及び図は存在しない。 (イ) 被告製品1~8の構成 被告製品1~8は,いずれも,尻をマッサージする尻用のエアバッグを備える。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~8は,いずれも「尻用エアバッグ」(構成要件B及びE)を充足する。 イ 「腰用施療子」(構成要件C及びE)の充足(ア) 意義 本件発明Aに係る特許請求の範囲には,「腰用施療子」につき,背凭れに設けられていることのほかに,その移動の可否に関する記載はない。本件発明Aの課題,課題を解決するための手段及び発明の効果に関する本件明細書Aの記載を見ても,同様である。なお,本件明細書Aには,腰用エアバッグが固定されている場合の課題が記載されている(【0003】)が,これは,本件発明Aの課題を示すに当た っての例として記載したものにすぎない。 したがって,「腰用施療子」(構成要件C及びE)は,腰用施療子であれば足り,固定されているものに限られない。 (イ) 被告製品1~8の構成被告製品1~8は,いずれも,腰用エアバッグ又は腰を施療するもみ玉を備える。 (ウ) 及びE)は,腰用施療子であれば足り,固定されているものに限られない。 (イ) 被告製品1~8の構成被告製品1~8は,いずれも,腰用エアバッグ又は腰を施療するもみ玉を備える。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~8は,いずれも「腰用施療子」(構成要件C及びE)を充足する。 ウ 「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設 けた」(構成要件E)の充足(ア) 意義本件発明Aに係る特許請求の範囲には,「前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高く」すると記載されているが(構成要件E),その高くなる程度や給気方法については規定されていない。 利用者の腰の高さ位置については,本件明細書Aにも,利用者の腰の高さ位置が 高くなる程度と本件発明Aの作用効果とを関連付けた記載はない。他方,給気方法ないしタイミングについては,実施例として記載があるけれども,当該記載の内容に限定されるわけではない。 そうすると,「前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高く」するとは,単に,尻用エアバッグを膨らませることによって,腰の空間 的位置が上方向に徐々に変位していることをいい,腰の高さ位置の変化の程度は問題にならず,また,エアバッグへの給気方法に関する限定もない。 (イ) 被告製品1~8の構成a 被告製品1及び2被告製品1については,別紙「被告製品1における構成要件Eに係る動作の発現 前と発現後の対照写真」のとおり,構成要件Eに係る動作の発現前は,赤色のレーザー光が「利用者」に見立てた人形の腰に貼付された目印の上部付近に位置する一方,発現中は,当該レーザー光が 作の発現 前と発現後の対照写真」のとおり,構成要件Eに係る動作の発現前は,赤色のレーザー光が「利用者」に見立てた人形の腰に貼付された目印の上部付近に位置する一方,発現中は,当該レーザー光が人形の腰に貼付された目印の下部付近に位置している。また,前記上昇の間,腰用施療子に相当する腰用エアバッグが膨張し,利用者の腰及び腰部近傍をマッサージしている。 被告製品2は,被告製品1と同様の構成であるため,被告製品1と同様に上記動作が発現する。 b 被告製品3被告製品3については,別紙「被告製品3における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとおり,構成要件Eに係る動作の発現前は,赤色のレー ザー光が「利用者」に見立てた人形の腰に貼付された目印の上部近くに位置する一方,発現中は,赤色のレーザー光が人形の腰に貼付された目印よりも下に位置している。また,前記上昇の間,腰用施療子によって,利用者の腰及び腰部近傍がマッサージされている。 c 被告製品5 被告製品5については,別紙「被告製品5における構成要件Eに係る動作の発現 前と発現後の対照写真」のとおり,構成要件Eに係る動作の発現前は,赤色のレーザー光が「利用者」に見立てた人形の腰に貼付された目印の上部に位置する一方,発現中は,赤色のレーザー光は人形の腰に貼付された目印よりも下に位置している。 また,前記上昇の間,腰用施療子によって,利用者の腰及び腰部近傍がマッサージされている。 d 被告製品6被告製品6については,別紙「被告製品6における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとおり,構成要件Eに係る動作の発現前は,赤色のレーザー光が「利用者」に見立てた人形の腰に貼付された目印の上部近くに位置する一方,発現中は,赤色のレー 要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとおり,構成要件Eに係る動作の発現前は,赤色のレーザー光が「利用者」に見立てた人形の腰に貼付された目印の上部近くに位置する一方,発現中は,赤色のレーザー光が人形の腰に貼付された目印の中心付近に位置し ている。また,前記上昇の間,腰用施療子によって,利用者の腰及び腰部近傍がマッサージされている。 e 被告製品7被告製品7については,別紙「被告製品7における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとおり,構成要件Eに係る動作の発現前は,赤色のレー ザー光が「利用者」に見立てた被験者の腰に貼付された目印よりも上に位置する一方,発現中は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印に重なる形で位置している。また,前記上昇の間,腰用施療子によって,利用者の腰及び腰部近傍がマッサージされている。 f 被告製品8 被告製品8については,別紙「被告製品8における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとおり,構成要件Eに係る動作の発現前は,赤色のレーザー光が「利用者」に見立てた人形の腰に貼付された目印の上部に位置する一方,発現中は,赤色のレーザー光が人形の腰に貼付された目印の下部に位置している。 また,前記上昇の間,腰用施療子が腰に対し叩き動作を行うことによって,利用者 の腰及び腰部近傍がマッサージされている。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~8は,いずれも「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件E)を充足する。 エ 「前記座部には,腿をマッサージする腿用エアバッグ,および尻をマッサー ジする尻用エアバッグのうち 々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件E)を充足する。 エ 「前記座部には,腿をマッサージする腿用エアバッグ,および尻をマッサー ジする尻用エアバッグのうち,少なくとも尻用エアバッグが設けられ,」(構成要件B)の充足(ア) 意義本件発明Aに係る特許請求の範囲には,「少なくとも尻用エアバッグが設けられ」と記載されており,「腿用エアバッグ」は,本件発明Aに必須の構成ではない。 また,特許請求の範囲には,「腿用エアバッグ」が腿をマッサージする機能を有することについて言及されているだけであって,「尻用エアバッグ」との連動ないし同時制御に係る記載はない。本件明細書Aの記載を見ても,「腿用エアバッグ」が「尻用エアバッグ」と同時制御されることは予定されていない。 したがって,「腿用エアバッグ」は本件発明Aに必須の構成ではなく,「腿用エ アバッグ」が備えられている場合であっても,「腿用エアバッグ」は,腿をマッサージするものであれば足り,「腿用エアバッグ」と「尻用エアバッグ」が,同時制御されなければならないわけではない。 (イ) 小括被告製品1~8には,腿用エアバッグを設けるもの(被告製品1~3,5及び 8),設けないもの(被告製品4,6及び7)がそれぞれあるが,上記アのとおり,いずれも「少なくとも尻用エアバッグ」を設けていることから,被告製品1~8は,「前記座部には,腿をマッサージする腿用エアバッグ,および尻をマッサージする尻用エアバッグのうち,少なくとも尻用エアバッグが設けられ,」(構成要件B)を充足する。 (被告の主張) (1) 被告製品1~8の構成及びその本件発明Aの構成要件の非充足本件発明Aの構成要件の充足性を検討するに当たっては,被告製品1~8の構 件B)を充足する。 (被告の主張) (1) 被告製品1~8の構成及びその本件発明Aの構成要件の非充足本件発明Aの構成要件の充足性を検討するに当たっては,被告製品1~8の構成の相違を考慮する必要がある。 上記の点をも考慮すると,被告製品1~8は,いずれも本件発明Aの構成要件全てを充足するものではない。具体的には,後記(2)のとおりである。 (2) 具体的主張ア 「尻用エアバッグ」(構成要件B及びE)の非充足(ア) 意義本件発明Aに係る特許請求の範囲には,「尻用エアバッグ」につき,「尻をマッサージする尻用エアバッグ」(構成要件B),「利用者の腰を施療する際に,前記 尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高く」する(構成要件E)と記載されている。このため,「尻用エアバッグ」は,尻をマッサージするものであるとともに,尻用エアバッグを膨らませて腰を施療する際に,利用者の腰の高さ位置を徐々に高くさせる機能を有するものであることが理解される。 また,本件明細書Aの記載によれば,本件発明Aは,腰用エアバッグが背凭れに 固定されているために,利用者が腰の意図する部位に十分なマッサージを受けることができないという課題を前提として,尻用エアバッグを膨らませて腰を施療する際に利用者の腰の高さ位置を調整することによって腰部の効果的なマッサージを行うようにしたものである。 そうすると,「尻用エアバッグ」(構成要件B及びE)は,腰を施療する際に, 尻部をマッサージして利用者を上方に押し上げる方向に膨張して利用者の腰の高さ位置を高くできる構成であることが必須である。 (イ) 被告製品1~8の構成a 被告製品1及び2被告製品1及び2は,座面裏エアバッグを備えているところ,座面裏エ 方向に膨張して利用者の腰の高さ位置を高くできる構成であることが必須である。 (イ) 被告製品1~8の構成a 被告製品1及び2被告製品1及び2は,座面裏エアバッグを備えているところ,座面裏エアバッグ が膨張しても,腰エアバッグとの間に利用者の身体が挟まれるだけで,利用者の腰 の高さ位置を徐々に高くすることはない。 b 被告製品3被告製品3は,左右に分離した形の座面裏エアバッグを備えているところ,左右の座面裏エアバッグが片側ずつ膨張するため,これらが膨張しても身体全体が持ち上がることはなく,利用者の腰の高さ位置は変わらない。 c 被告製品4被告製品4は,座面に尻をマッサージするエアバッグを備えているところ,これは,利用者を横から挟み込むように膨張するため,これが膨張しても,利用者の腰の高さ位置を高くすることはない。また,コース開始時にリクライニングが倒れた状態となり,腰の押上げ方向と座面の押上げ方向が同じ方向となるため,エアバッ グが膨張して座面を押し上げても,利用者の腰の高さ位置が身長方向に押し上げられることはない。 d 被告製品5被告製品5は,尻をマッサージするエアバッグを備えているところ,脚用エアバッグの膨張により脚を側面から挟むことで,仮に座面裏からの身体の押上げがあっ たとしても,これが阻害される。また,被告製品5には,座面脚部エアバッグもあり,その膨張により身体を側面から挟むことで,仮に座面裏からの身体の押上げがあったとしても,これが阻害される。その結果,被告製品5は,利用者の腰の高さ位置を高くすることはない。 e 被告製品6及び7 被告製品6及び7は,いずれも,尻が間に収まる程度に距離を開けて座部に左右に分離した形のエアバッグを備えているところ,左右のエアバッ 高さ位置を高くすることはない。 e 被告製品6及び7 被告製品6及び7は,いずれも,尻が間に収まる程度に距離を開けて座部に左右に分離した形のエアバッグを備えているところ,左右のエアバッグが別個独立に,利用者を挟み込むように膨張するため,これらが膨張しても,利用者の腰の高さ位置を高くすることはない。また,コース開始時にリクライニングが倒れた状態となり,腰の押上げ方向と座面の押上げ方向が同じ方向となるため,エアバッグが膨張 して座面を押し上げても,利用者の腰の高さ位置が身長方向に押し上げられること はない。 f 被告製品8被告製品8は,左右に分離した形の尻をマッサージするエアバッグを備えているところ,これらは別個独立に膨縮する。また,コース開始時にリクライニングが倒れた状態となり,腰の押上げ方向と座面の押上げ方向が同じ方向となるため,エア バッグが膨張して座面を押し上げても,利用者の腰の高さ位置が身長方向に押し上げられることはない。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~8は,いずれも「尻用エアバッグ」(構成要件B及びE)を充足しない。 イ 「腰用施療子」(構成要件C及びE)の非充足(ア) 意義本件発明Aは,その特許請求の範囲の記載に鑑みると,「腰用施療子」が背凭れの定位置にあって作動することを前提に,尻用エアバッグを膨らませて利用者の腰の高さ位置を徐々に高くすることによって腰部をマッサージする「腰用施療子」の 位置を変えることにより,利用者を徐々に持ち上げている最中に腰部近傍に対する十分なマッサージを行うというものである。 また,本件明細書Aの記載に鑑みても,本件発明Aは,腰用エアバッグが背凭れに固定されているために,利用者が腰の意図する部位に十分なマッサージを受けることが 十分なマッサージを行うというものである。 また,本件明細書Aの記載に鑑みても,本件発明Aは,腰用エアバッグが背凭れに固定されているために,利用者が腰の意図する部位に十分なマッサージを受けることができないという課題を前提として,尻用エアバッグを膨らませて腰を施療す る際に利用者の腰の高さ位置を調整することによって,利用者を徐々に持ち上げている最中に腰部近傍に対する十分なマッサージを行うというものであると解される。 本件明細書Aには,そのほかにも,「腰用施療子」が背凭れに固定されていることを前提とした記載がある(【0012】,【0022】,【0023】,【図1】)。 そうすると,「腰用施療子」(構成要件C及びE)は,背凭れの定位置にあるも のを意味し,身長方向に移動可能なものは「腰用施療子」には該当しない。 (イ) 被告製品1~8の構成被告製品1及び2は,腰用施療子として「エアバッグ」と「もみ玉」を備えているところ,「エアバッグ」は上下移動しないが,「もみ玉」は身長方向に移動可能である。被告製品1及び2は,この「もみ玉」の位置を利用者の腰の位置と一致さ せ,腰部の意図する部位にマッサージを行うものであることから,「尻用エアバッグ」を膨らませて利用者の腰の高さの位置を変える必要がそもそもない。 他方,被告製品3~8は,腰用施療子として「もみ玉」を備えているところ,「もみ玉」は身長方向に移動可能であるから,「尻用エアバッグ」を膨らませて利用者の腰の高さの位置を変える必要がそもそもない。 以上より,被告製品1~8は,いずれも「腰用施療子」を有しない。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~8は,いずれも「腰用施療子」(構成要件C及びE)を充足しない。 ウ 「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグ は,いずれも「腰用施療子」を有しない。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~8は,いずれも「腰用施療子」(構成要件C及びE)を充足しない。 ウ 「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者 の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件E)の非充足(ア) 意義a 本件発明Aに係る特許請求の範囲の記載によれば「尻用エアバッグ」は,これを膨らませて腰を施療する際に,利用者の腰の高さ位置を徐々に高くさせる機能 を有するものである。 また,本件明細書Aの記載によれば,本件発明Aは,尻用エアバッグに圧縮空気を徐々に流入させることによって,「前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高く」するものである。 そうすると,「前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐 々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段」には,尻用エアバッグ に給気する電磁弁を閉から一時に全開に切り替えて,圧縮空気をエアバッグに一気に流入させるものは含まれない。 b また,本件明細書Aの記載によれば,本件発明Aは,利用者の腰が尻用エアバッグを膨らませることにより徐々に持ち上げられる最中に,腰用エアバッグによって腰がまんべんなくマッサージされ,腰部近傍に対する十分なマッサージを受け る構成であることが必要となる。 そうすると,「利用者の高さ位置を徐々に高く」するとは,本件発明Aの作用効果を奏する程度に高くするものでなければならない。 (イ) 被告製品1~8の構成a 被告製品1~8は,いずれも,電磁弁の開閉のみを行う二位置切換三方電磁 弁を使用しており,エアバッグの膨縮動作において弁の開度を調整できるようにはな い。 (イ) 被告製品1~8の構成a 被告製品1~8は,いずれも,電磁弁の開閉のみを行う二位置切換三方電磁 弁を使用しており,エアバッグの膨縮動作において弁の開度を調整できるようにはなっていない。 b 原告が行った試験結果(甲A1~10)の信用性は争う。また,原告の行った試験結果を前提としても,被告製品1~8におけるレーザー光に対する目印の位置変化は,以下の程度にすぎず,有意な変化は見られない。なお,被告製品4につ いては試験自体が行われていない。 (a) 被告製品1及び2目印1個分の変化である。 (b) 被告製品3目印1個分の変化である。 (c) 被告製品5目印1.5個分の変化である。 (d) 被告製品6目印1/4個分以下の変化である。 (e) 被告製品7 目印1/2個分以下の変化である。 (f) 被告製品8目印1個分の変化である。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~8は,いずれも「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記 腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件E)を充足しない。 エ 「前記座部には,腿をマッサージする腿用エアバッグ,および尻をマッサージする尻用エアバッグのうち,少なくとも尻用エアバッグが設けられ,」(構成要件B)の非充足(ア) 意義 本件発明Aに係る特許請求の範囲に,「腿をマッサージする腿用エアバッグ,および尻をマッサージする尻用エアバッグのうち,少なくとも尻用エアバッグが設けられ」と記載されていることに鑑みると,「腿用エアバッグ」は,これが設けられている場合には,「尻用エアバッグ」と同じ動作態様を行い,単に膨らむだけでなく,「尻用エアバッグ」 とも尻用エアバッグが設けられ」と記載されていることに鑑みると,「腿用エアバッグ」は,これが設けられている場合には,「尻用エアバッグ」と同じ動作態様を行い,単に膨らむだけでなく,「尻用エアバッグ」とともに,利用者の腰の高さ位置を徐々に高くすることに 寄与しなければならない。また,本件明細書Aの記載からは,「腿用エアバッグ」があるときは,その「腿用エアバッグ」は,「尻用エアバッグ」と同時制御されていることを要することが理解される。 (イ) 被告製品1~3,5及び8の構成「腿用エアバッグ」が存在する被告製品1~3,5及び8の構成は,以下のとお りである。 a 被告製品1及び2被告製品1及び2における「腿用エアバッグ」の膨縮は,「尻用エアバッグ」の膨張による利用者の身体の上方への持ち上げという形での「徐々に高くしながら」する腰の位置の移動とは全く関係なく,むしろ尻用エアバッグと腿用エアバッグは 交互に膨張する。 b 被告製品3被告製品3における「腿用エアバッグ」の膨縮は,「尻用エアバッグ」の膨張による利用者の身体の上方への持ち上げという形での「徐々に高くしながら」する腰の位置の移動とは全く関係ない。 c 被告製品5 被告製品5における「腿用エアバッグ」の膨縮は,「尻用エアバッグ」の膨張による利用者の身体の上方への持ち上げという形での「徐々に高くしながら」する腰の位置の移動に寄与するような膨張をするわけではない。 d 被告製品8被告製品8における「腿用エアバッグ」の膨縮は,「尻用エアバッグ」の膨張に よる利用者の身体の上方への持ち上げという形での「徐々に高くしながら」する腰の位置の移動に寄与するような膨張をするわけではない。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~3,5及び8は, に よる利用者の身体の上方への持ち上げという形での「徐々に高くしながら」する腰の位置の移動に寄与するような膨張をするわけではない。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~3,5及び8は,いずれも「前記座部には,腿をマッサージする腿用エアバッグ,および尻をマッサージする尻用エアバッグのうち,少 なくとも尻用エアバッグが設けられ,」(構成要件E)を充足しない。 2 争点2(無効理由の存否〔新規性欠如の有無〕)(被告の主張)(1) 主引用発明の公然実施被告は,本件特許Aの出願前の平成14年12月頃には,FMC-350を販売してい た。 (2) 構成の同一性仮に,本件発明Aの構成要件の解釈につき原告の主張を前提とすると,FMC-350は,本件発明Aの構成を全て備えている。 (3) 小括 したがって,本件発明Aは,その出願前に公然実施された発明であるから,新規 性を欠く(特許法29条1項2号)。そうすると,本件特許Aは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123条1項2号),原告は,被告に対し,本件特許権Aを行使できない(同法104条の3第1項)。 (原告の主張)(1) 発明の公然実施について FMC-350が本件特許Aの出願前に製造販売されていたことは,不知。 (2) 構成の同一性について仮に,FMC-350が本件特許Aの出願前に公然実施されていたとしても,当該製品が本件発明Aの構成要件D及びF以外の構成を備えるとはいえない。また,被告は,FMC-350が本件発明Aの構成要件Eの構成を備えることについて,何ら立証してい ない。 いずれにせよ,FMC-350は,本件発明Aの構成の全てを備えてはいない。 (3) 小括したがって,本件発明Aは,その出 Aの構成要件Eの構成を備えることについて,何ら立証してい ない。 いずれにせよ,FMC-350は,本件発明Aの構成の全てを備えてはいない。 (3) 小括したがって,本件発明Aは,その出願前に公然実施された発明ではないから,新規性を欠くものではない。 3 争点3(損害額)(原告の主張)被告は,平成20年5月から現在までの間に,被告各製品を販売したことにより,少なくとも75億円の利益を得た。したがって,原告の被った損害額は,少なくとも75億円である(特許法102条2項)。 (被告の主張)否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件発明Aの技術的意義本件明細書Aの記載によれば,本件発明Aの技術的意義は,次のとおりと認めら れる。 (1) 技術分野(【0001】)本件発明Aは,椅子式施療装置,取り分け,利用者の腰を施療するのに好適な椅子式施療装置に関するものである。 (2) 背景技術(【0002】)椅子式施療装置は,座部と,この座部の後部にリクライニング可能に取り付けら れた背凭れとを備え,利用者は,この椅子式施療装置に腰掛けた状態で施療行為を受けることができる。このような椅子式施療装置において,座部には,腿をマッサージする腿用エアバッグ,尻をマッサージする尻用エアバッグが設けられ,背凭れには,首・肩をマッサージする首・肩用エアバッグ,背中をマッサージする背中用エアバッグ,腰をマッサージする腰用エアバッグが設けられ,これら各エアバッグ を膨縮させて利用者の各部位に対してマッサージを行うようになっている。 (3) 発明が解決しようとする課題(【0003】,【0004】)従来の技術では,腰用エアバッグは背凭れに固定され,上下方向に高さ位置を調整することができ してマッサージを行うようになっている。 (3) 発明が解決しようとする課題(【0003】,【0004】)従来の技術では,腰用エアバッグは背凭れに固定され,上下方向に高さ位置を調整することができない構成であるため,例えば体格の小さな利用者が座った場合,その利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置とが一致せず,利用者は腰とは異な る部位をマッサージされることになり,意図する部位に十分なマッサージを受けることができなかった。本件発明Aの課題は,腰部に対してマッサージによる十分な施療を行うことのできる椅子式施療装置を提供することにある。 (4) 課題を解決するための手段(【0005】,【0006】)及び発明の効果(【0007】) 本件発明Aは,その構成を採用することにより,体格の小さな利用者が座った場合に,尻用エアバッグに空気を供給して尻用エアバッグを膨らませることによって利用者の尻部を持ち上げることにより,利用者の腰の位置を徐々に高くするなど,利用者の腰の高さ位置を徐々に調整することができる。 本件発明Aは,これにより,利用者の腰部に対して十分なマッサージを行うこと ができる。 2 争点1(技術的範囲の属否)のうち,「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件E)の充足性について(1) 意義ア特許請求の範囲の記載 本件発明Aに係る特許請求の範囲には,「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる」と記載されている(構成要件E)。そうすると,「尻用エアバッグ」は,「利用者の腰を施療する際 前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる」と記載されている(構成要件E)。そうすると,「尻用エアバッグ」は,「利用者の腰を施療する際に」,「利用者の腰の高さ位置を徐々に高く」させるものであることを要すると解される。 もっとも,「尻用エアバッグ」が「利用者の腰の高さ位置を徐々に高く」させるものであることを要するとしても,高さの変化量が問題になるのか,問題になるとしてもどの程度の変化量が必要であるのかについては,特許請求の範囲の記載から一義的に明らかではない。 イ本件明細書Aの記載 そこで,本件明細書Aの記載を参酌すると,前記1のとおり,本件発明Aは,体格が小さいなどの理由から利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置とが一致しない場合には,利用者の腰部に対して十分なマッサージを行うことができないことから,尻用エアバッグを膨らませることにより利用者の腰の高さ位置を徐々に高くするなどの調整をして,利用者の腰部に対して十分なマッサージを行おうとするもの である。このような本件発明Aの技術的意義に鑑みると,「尻用エアバッグ」は,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置とが一致しない場合に,その不一致を解消して利用者の腰部に対して十分なマッサージを行うことができる程度に「利用者の腰の高さ位置を徐々に高く」させるものであることを要すると解される。 ウしたがって,「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませ て前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる 制御手段を設けた」(構成要件E)とは,「尻用エアバッグ」につき,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置とが一致しない場合に,その不一致を解消して利用 ながら,前記腰用施療子を作動させる 制御手段を設けた」(構成要件E)とは,「尻用エアバッグ」につき,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置とが一致しない場合に,その不一致を解消して利用者の腰部に対して十分なマッサージを行うことができる程度に「利用者の腰の高さ位置を徐々に高く」させる制御手段を設けたことを意味するものと解される。 エ原告の主張について これに対し,原告は,「利用者の腰の高さ位置を徐々に高く」させれば足り,その程度は問題にならないと主張する。 しかし,人間の体格に個人差があることから,椅子式施療装置に着席した状態で,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置とで利用者の身長方向に不一致が生じる場合のあることは避け難く,その不一致の程度は様々であると考えられる。また, 体格の個人差のほか,利用者の着席姿勢その他利用時の状況によっても,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置とで利用者の身長方向に不一致が生じる場合のあることは避け難く,その不一致の程度は様々である。こうした事情から,上記不一致を解消し得る程度として具体的な数値を特定することは難しいものの,本件発明Aのような「椅子用施療装置」がこうした事情をも踏まえて構成される必要がある ことは,本件発明Aの技術的意義からもうかがわれるところである。そうすると,本件発明Aにおいては,「利用者の腰の高さ位置を徐々に高く」するに当たっての高さの程度も問題とせざるを得ない。すなわち,上記ウのとおり,本件発明Aにおいては,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置との不一致を解消して利用者の腰部に対して十分なマッサージを行うことができる程度に「利用者の腰の高さ位置 を徐々に高く」させるものでなければならない。 したがって,この点に関する原告の主張は採用で 一致を解消して利用者の腰部に対して十分なマッサージを行うことができる程度に「利用者の腰の高さ位置 を徐々に高く」させるものでなければならない。 したがって,この点に関する原告の主張は採用できない。 (2) 被告製品1~8の構成ア証拠(各項に掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品1~8における尻用エアバッグ等の構成は,以下のとおりであることが認められる。 (ア) 被告製品1及び2(甲8,乙A9) 座部上面に配置され,上方へ膨張し,臀部底面を押圧する尻用エアバッグが左右に分離して設けられている。このほか,左右の座部側部にもエアバッグが設けられており,臀部に向けて左右方向から膨張する。 (イ) 被告製品3(甲9,乙A10)座部上面に配置され,上方へ膨張し,臀部底面を押圧する尻用エアバッグが左右 に分離して設けられている。 (ウ) 被告製品4(乙A7,乙A15)座部上面から立ち上がる施療板の内側面に配置され,施療板の下部の一端を支点として施療板を反力受けとして内側方に膨張し,臀部側面を挟持する尻用エアバッグが,左右に分離して設けられている。 (エ) 被告製品5(乙A11,乙A16)座部上面に配置され,上方へ膨張し,臀部底面を押圧する尻用エアバッグが左右に分離して設けられている。当該エアバッグは,それぞれ臀部の左右方向の中心点付近の部分よりも体側部付近の部分の方がより大きく膨張することが想定されている。 (オ) 被告製品6(乙A12)座部上面に配置され,内側方に膨張し,臀部側面を挟持する尻用エアバッグが,座面部の左右各端に,座面中央部分にやや間隔を空けるように分離して設けられている。当該エアバッグは,それぞれ臀部の中心部側の部分よりも体側部付近の部分の方がより大きく 面を挟持する尻用エアバッグが,座面部の左右各端に,座面中央部分にやや間隔を空けるように分離して設けられている。当該エアバッグは,それぞれ臀部の中心部側の部分よりも体側部付近の部分の方がより大きく膨張することが想定されている。 (カ) 被告製品7(甲14,乙A13)座面上部に配置され,内側方に膨張し,臀部側面を挟持する尻用エアバッグが,座面部の左右各端に,座面中央部分に臀部が収まる程度の間隔を空けるように分離して設けられている。当該エアバッグは,それぞれ臀部の中心部側の部分よりも体側部付近の部分の方がより大きく膨張することにより,「骨盤をしっかりホール ド」することが想定されている。 (キ) 被告製品8(乙A14)座部上面に配置され,上方へ膨張し,臀部底面を押圧する尻用エアバッグが左右に分離して設けられている。 イ腰の高さ位置の変化に関する試験証拠(甲A1,2,4,6~10)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,被告製 品1~3,5~8について,利用者に模した人形又は人物(以下,これらを区別せず「被験者」という。)を着座させ,被験者の前面腰位置に目印用シール(直径16mm)を貼付し,前面から被験者に対して横向き直線のレーザー光を照射することにより,各製品作動時の目印とレーザー光の各位置の上下方向における相対的な変化量をもって,尻用エアバッグの膨張による腰の高さ位置の変化を確認する試験 を実施した。その試験結果は,後記のとおりである。 なお,被告製品4については,同様の試験の結果は証拠として提出されていない。 (ア) 被告製品1証拠(甲A1,2)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品1については,別紙「被告製品1における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとお り,動作の いない。 (ア) 被告製品1証拠(甲A1,2)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品1については,別紙「被告製品1における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとお り,動作の発現前は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印の上部付近に位置した一方,動作の発現中は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印の下部付近に位置したことが認められる。このことと,目印用シールのサイズを踏まえると,尻用エアバッグが膨張したことにより被験者の腰の高さ位置が高くなった程度は,原告に最大限有利に考えても,16mm程度となる。 (イ) 被告製品2弁論の全趣旨によれば,被告製品2については,尻用エアバッグが膨張したことにより,利用者の腰の高さ位置が,被告製品1以上,すなわち16mm程度以上に高くなるとは認められない。 (ウ) 被告製品3 証拠(甲A7,8)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品3については,別紙 「被告製品3における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとおり,動作の発現前は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印の上部近くに位置した一方,動作の発現中は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印よりも下に位置したことが認められる。このことと,目印用シールのサイズを踏まえると,尻用エアバッグが膨張したことにより被験者の腰の高さ位置が高くなっ た程度は,原告に最大限有利に考えても,16mm程度となる。 (エ) 被告製品5証拠(甲A1,4)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品5については,別紙「被告製品5における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとおり,動作の発現前は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印の上部に位 置した一方, 被告製品5については,別紙「被告製品5における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとおり,動作の発現前は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印の上部に位 置した一方,動作の発現中は,赤色のレーザー光は被験者の腰に貼付された目印よりも下に位置したと認められる。このことと,目印用シールのサイズを踏まえると,尻用エアバッグが膨張したことにより被験者の腰の高さ位置が高くなった程度は,原告に最大限有利に考えても,32mm程度となる。 (オ) 被告製品6 証拠(甲A7,9)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品6については,別紙「被告製品6における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとおり,動作の発現前は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印の上部近くに位置した一方,動作の発現中は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印の中心付近に位置したと認められる。このことと,目印用シールのサイズを踏ま えると,尻用エアバッグが膨張したことにより被験者の腰の高さ位置が高くなった程度は,原告に最大限有利に考えても,16mm程度であると認められる。 (カ) 被告製品7証拠(甲A7,10)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品7については,別紙「被告製品7における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとお り,動作の発現前は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印よりも上に 位置した一方,動作の発現中は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印に重なる形で位置したと認められる。このことと,目印用シールのサイズを踏まえると,尻用エアバッグが膨張したことにより被験者の腰の高さ位置が高くなった程度は,原告に最大限有利に考えても,16mm程度であると認められる。 ( められる。このことと,目印用シールのサイズを踏まえると,尻用エアバッグが膨張したことにより被験者の腰の高さ位置が高くなった程度は,原告に最大限有利に考えても,16mm程度であると認められる。 (キ) 被告製品8 証拠(甲A1,6)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品8については,別紙「被告製品8における構成要件Eに係る動作の発現前と発現後の対照写真」のとおり,動作の発現前は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印の上部に位置した一方,動作の発現中は,赤色のレーザー光が被験者の腰に貼付された目印の下部に位置したと認められる。このことと,目印用シールのサイズを踏まえると, 尻用エアバッグが膨張したことにより被験者の腰の高さ位置が高くなった程度は,原告に最大限有利に考えても,16mm程度であると認められる。 ウ検討(ア) 被告製品1及び2について被告製品1及び2の尻用エアバッグは,座部上面に配置され,上方へ膨張し,臀 部底面を押圧するものであるが,原告の試験結果を前提としても,それにより利用者の腰の高さ位置が高くなる程度は,16mm程度にとどまる。 前記1のとおり,本件発明Aは,体格が小さいなどの理由から利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置とが一致しない場合であっても,尻用エアバッグを膨らませることにより,利用者の腰の高さ位置を徐々に高くするなどの調整をして,利用 者の腰部に対して十分なマッサージを行おうとするものである。しかるに,人間の一般的な体格等を踏まえると,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置との間に不一致がある場合に,腰部に十分にマッサージを行うために解消されるべき不一致の程度は,16mmを大幅に超えると考えられる。 このため,被告製品1又は2の尻用エアバッグが膨張したことにより,利用者 に不一致がある場合に,腰部に十分にマッサージを行うために解消されるべき不一致の程度は,16mmを大幅に超えると考えられる。 このため,被告製品1又は2の尻用エアバッグが膨張したことにより,利用者の 腰の高さ位置が16mm程度高くなったとしても,利用者の腰の位置と腰用エアバッ グの位置との間の不一致が解消されるとはいえない。 したがって,被告製品1及び2の構成は,原告の試験結果を前提としても,「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件E)を充足しない。 (イ) 被告製品3について被告製品3の尻用エアバッグは,座部上面に配置され,上方へ膨張し,臀部底面を押圧するものであるが,原告の試験結果を前提としても,それにより利用者の腰の高さ位置が高くなる程度は,16mm程度にとどまる。 そうすると,上記(ア)と同じく,被告製品3の尻用エアバッグが膨張したことによ り,利用者の腰の高さ位置が16mm程度高くなったとしても,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置との間の不一致が解消されるとはいえない。 したがって,被告製品3の構成は,原告の試験結果を前提としても,「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件 E)を充足しない。 (ウ) 被告製品4について被告製品4には,座部上面から立ち上がる施療板の内側面に配置され,施療板の下部の一端を支点として施療板を反力受けとして内側方に膨張し,臀部側面を挟持する尻用エアバッグが左右に分離して設けられている。 しかし,その尻用エアバッ る施療板の内側面に配置され,施療板の下部の一端を支点として施療板を反力受けとして内側方に膨張し,臀部側面を挟持する尻用エアバッグが左右に分離して設けられている。 しかし,その尻用エアバッグが膨張することにより利用者の腰の高さ位置が高くなることの有無及びその程度を認めるに足りる証拠はない。また,被告製品4の尻用エアバッグに係る上記構成に鑑みても,当該尻用エアバッグの膨張により,利用者の腰の高さ位置が腰用エアバッグの位置との間の不一致を解消するほどに高くなるとは考え難い。 したがって,被告製品4の構成は,「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エア バッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件E)を充足しない。 (エ) 被告製品5について被告製品5においては,座部上面に配置され,上方へ膨張し,臀部底面を押圧する尻用エアバッグが左右に分離して設けられている。当該エアバッグは,それぞれ 臀部の左右方向の中心点付近の部分よりも体側部付近の部分の方がより大きく膨張することが想定されている。現に,原告の試験結果によれば,被告製品5は,他の被告製品と比較して,尻用エアバッグの膨張により利用者の腰の高さ位置が高くなる程度が大きいことがうかがわれる。 しかし,本件発明Aは,利用者の腰部に対して十分なマッサージを行うために, 利用者の体格その他の個別的事情から生じる利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置との不一致を解消しようというのであるから,その解消されるべき不一致の程度は,32mmを超えると考えられる。 このため,被告製品5の尻用エアバッグが膨張したことにより,利用者の腰の高さ位置が32mm程度高くなったとしても,利用者の腰の位置と腰用エア れるべき不一致の程度は,32mmを超えると考えられる。 このため,被告製品5の尻用エアバッグが膨張したことにより,利用者の腰の高さ位置が32mm程度高くなったとしても,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位 置との間の不一致が解消されるとはいえない。 したがって,被告製品5の構成は,原告の試験結果を前提としても,「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件E)を充足しない。 (オ) 被告製品6について被告製品6の尻用エアバッグは,座部上面に配置され,内側方に膨張し,臀部側面を挟持するものである。また,原告の試験結果を前提としても,それにより利用者の腰の高さ位置が高くなる程度は,16mm程度にとどまる。 そうすると,上記(ア)と同じく,被告製品6の尻用エアバッグが膨張したことによ り,利用者の腰の高さ位置が16mm程度高くなったとしても,利用者の腰の位置と 腰用エアバッグの位置との間の不一致が解消されるとはいえない。 したがって,被告製品6の構成は,原告の試験結果を前提としても,「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件E)を充足しない。 (カ) 被告製品7について被告製品7の尻用エアバッグは,座部上面に配置され,内側方に膨張し,臀部側面を挟持するものである。また,原告の試験結果を前提としても,それにより利用者の腰の高さ位置が高くなる程度は,16mm程度にとどまる。 そうすると,上記(ア)と同じく,被告製品7の尻用エアバッグが膨張したことによ り,利用者の腰 験結果を前提としても,それにより利用者の腰の高さ位置が高くなる程度は,16mm程度にとどまる。 そうすると,上記(ア)と同じく,被告製品7の尻用エアバッグが膨張したことによ り,利用者の腰の高さ位置が16mm程度高くなったとしても,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置との間の不一致が解消されるとはいえない。 したがって,被告製品7の構成は,原告の試験結果を前提としても,「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件 E)を充足しない。 (キ) 被告製品8について被告製品8の尻用エアバッグは,座部上面に配置され,上方へ膨張し,臀部底面を押圧するものであるが,原告の試験結果を前提としても,それにより利用者の腰の高さ位置が高くなる程度は,16mm程度にとどまる。 そうすると,上記(ア)と同じく,被告製品8の尻用エアバッグが膨張したことにより,利用者の腰の高さ位置が16mm程度高くなったとしても,利用者の腰の位置と腰用エアバッグの位置との間の不一致が解消されるとはいえない。 したがって,被告製品8の構成は,原告の試験結果を前提としても,「利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を 徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けた」(構成要件 E)を充足しない。 エ原告の主張についてこれに対し,原告は,被告製品1~8は,尻用エアバッグを膨らませることにより利用者の腰の高さ位置を高くするものである以上,位置変化の程度にかかわらず,構成要件Eを充足すると主張する。 しかし,原告の上記主張は,本件発明Aの構成要件Eに係る自らの主張 ませることにより利用者の腰の高さ位置を高くするものである以上,位置変化の程度にかかわらず,構成要件Eを充足すると主張する。 しかし,原告の上記主張は,本件発明Aの構成要件Eに係る自らの主張を前提とするものであるところ,その前提を欠く以上,この点に関する原告の主張は採用できない。 3 小括以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,被告製品1~8は,本 件発明Aの技術的範囲に属さない。したがって,原告の本件特許権Aの侵害に基づく請求は,いずれも理由がない。 以上 (別紙)本件特許権A,同B及び同Cにかかる別紙特許公報は,いずれも添付省略 (別紙)本件発明A構成要件目録 A 座部と,該座部の後部に取り付けられた背凭れとを備え,B 前記座部には,腿をマッサージする腿用エアバッグ,および尻をマッサージする尻用エアバッグのうち,少なくとも尻用エアバッグが設けられ,C 前記背凭れには,少なくとも腰用施療子が設けられたD 椅子式施療装置であって,E 利用者の腰を施療する際に,前記尻用エアバッグを膨らませて前記利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,前記腰用施療子を作動させる制御手段を設けたF ことを特徴とする椅子式施療装置。 以上 (別紙)被告製品1及び2構成目録(原告主張) a 座部と,該座部の後部に取り付けられた背もたれ部とを備え,b 前記座部には,腿をマッサージする腿用エアバッグ,および尻をマッサージする尻用エアバッグAが設けられ,c 前記背もたれ部には,腰用エアバッグが設けられたd マッサージチェアであって,e 利用者の腰を施療する際に,尻用エアバッグAを膨らませて利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,腰 れ,c 前記背もたれ部には,腰用エアバッグが設けられたd マッサージチェアであって,e 利用者の腰を施療する際に,尻用エアバッグAを膨らませて利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,腰用エアバッグを作動させる制御手段を設けたf ことを特徴とするマッサージチェア。 以上 (別紙)被告製品3,5及び8構成目録(原告主張) a 座部と,該座部の後部に取り付けられた背もたれ部とを備え,b 前記座部には,腿をマッサージする腿用エアバッグ,および尻をマッサージする尻用エアバッグAが設けられ,c 前記背もたれ部には,背中及び腰を施療するもみ玉が設けられたd マッサージチェアであって,e 利用者の腰を施療する際に,尻用エアバッグAを膨らませて利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,もみ玉を作動させる制御手段を設けたf ことを特徴とするマッサージチェア。 以上 (別紙)被告製品4,6及び7構成目録(原告主張) a 座部と,該座部の後部に取り付けられた背もたれ部とを備え,b 前記座部には,尻をマッサージすることができる尻用エアバッグBが設けられ,c 前記背もたれ部には,首,背中及び腰を施療するもみ玉が設けられたd マッサージチェアであって,e 利用者の腰を施療する際に,尻用エアバッグBを膨らませて利用者の腰の高さ位置を徐々に高くしながら,もみ玉を作動させる制御手段を設けたf ことを特徴とするマッサージチェア。 以上 (別紙)本件特許権B関係の請求に関する事実及び理由第1 前提事実(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,本判決において書証を掲記する際には,枝番号の全てを含むときはその記載を省略することがある。) 請求に関する事実及び理由第1 前提事実(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,本判決において書証を掲記する際には,枝番号の全てを含むときはその記載を省略することがある。) 1 本件特許権B特許番号第5162718号発明の名称椅子式マッサージ機分割の表示特願2011-185543の分割(以下,特願2011-185543号の出願を「本件原出願」といい,この分割出願を「本件出願」とい う。)原出願日平成18年8月11日出願日平成24年7月23日登録日平成24年12月21日特許請求の範囲別紙「特許公報」記載のとおり なお,本件特許Bの願書に添付された明細書及び図面(以下,これらを併せて「本件明細書B」という。)の記載は,上記別紙のとおりである。 2 構成要件の分説本件各発明Bを構成要件にそれぞれ分説すると,本件発明B-1は別紙本件各発明B構成要件目録記載1,本件発明B-2は同記載2のとおりである。 3 被告の行為被告は,業として,本件特許権Bの設定登録以降,被告製品1~5,8~12のうち被告製品1については製造,販売,輸出又は販売の申出のいずれかの行為,被告製品2~5,8~12については製造販売行為を行ったことがある(ただし,被告製品1,3,8,9,11及び12の製造販売等開始時期その他の点については, 当事者間に争いがある。)。 4 争点(1) 本件特許権B関係の請求固有の争点ア技術的範囲の属否(争点1)イ無効理由の存否(争点2)(ア) 補正要件違反1(構成要件H,争点2-1) (イ) 補正要件違反2(構成要件J,争点2-2)(ウ) 分割要件違反に伴う進歩性欠如(争点 否(争点1)イ無効理由の存否(争点2)(ア) 補正要件違反1(構成要件H,争点2-1) (イ) 補正要件違反2(構成要件J,争点2-2)(ウ) 分割要件違反に伴う進歩性欠如(争点2-3)(エ) 実施可能要件違反(争点2-4)(オ) サポート要件違反(争点2-5)(カ) 明確性要件違反(争点2-6) (キ) 進歩性欠如1(乙B9発明-1を主引用発明とするもの,争点2-7)(ク) 進歩性欠如2(被告先行販売製品発明を主引用発明とするもの,争点2-8)(ケ) 進歩性欠如3(乙B12発明-1を主引用発明とするもの,争点2-9)(コ) 進歩性欠如4(乙B13発明を主引用発明とするもの,争点2-10) (サ) 進歩性欠如5(乙B32発明を主引用発明とするもの,争点2-11)(シ) 進歩性欠如6(乙B31発明を主引用発明とするもの〔主位的主張〕,争点2-12)(ス) 進歩性欠如7(乙B31発明を主引用発明とするもの〔予備的主張〕,争点2-13) (2) 本件特許権A及びC関係の請求と共通の争点損害額(争点3)第2 争点に関する当事者の主張 1 争点1(技術的範囲の属否)(原告の主張) (1) 被告製品1~5,8~12の構成及びその本件各発明Bの構成要件の充足等 ア被告製品1~3,8~10について(ア) 被告製品1及び2の構成は,別紙「被告製品1及び2構成目録(原告主張)」記載のとおりである(なお,本件各発明Bの構成要件の充足性を検討する限りにおいては,被告製品1及び2の構成の相違は考慮する必要はない。)。 被告製品3の構成は,別紙「被告製品3構成目録(原告主張)」記載のとおりで ある。 被告製品8~10の構成は,別紙「被告製品8~10構成 被告製品1及び2の構成の相違は考慮する必要はない。)。 被告製品3の構成は,別紙「被告製品3構成目録(原告主張)」記載のとおりで ある。 被告製品8~10の構成は,別紙「被告製品8~10構成目録(原告主張)」記載のとおりである(なお,本件各発明Bの構成要件の充足性を検討する限りにおいては,被告製品8,9及び10の構成の相違は考慮する必要はない。)。 (イ) これによれば,被告製品1~3,8~10の構成は,いずれも本件各発明B の構成要件を全て文言充足する。具体的には,後記(2)のとおりである。 イ被告製品4,5,11,12について(ア) 被告製品4及び12の構成は,別紙「被告製品4及び12構成目録(原告主張)」記載のとおりである(なお,本件各発明Bの構成要件の充足を検討する限りにおいては,被告製品4及び12の構成の相違は考慮する必要はない。)。 被告製品5の構成は,別紙「被告製品5構成目録(原告主張)」記載のとおりである。 被告製品11の構成は,別紙「被告製品11構成目録(原告主張)」記載のとおりである。 (イ) これによれば,被告製品4,5,11,12の構成は,被告製品4,5及び 12は構成要件G-2を充足せず,被告製品11は構成要件F及びJを充足しない。 しかし,これらはいずれも本件各発明Bの構成要件と均等なものとして,その技術的範囲に属する。具体的には,後記(2)のとおりである。 (2) 具体的な主張ア 「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)の充足 (ア) 意義 本件発明B-1に係る特許請求の範囲請求項1の「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)の記載につき,「の」が位置や方角を示す格助詞であることに鑑みると,背凭れ部の左右に位置する側壁部を意味することは明らかである。 に係る特許請求の範囲請求項1の「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)の記載につき,「の」が位置や方角を示す格助詞であることに鑑みると,背凭れ部の左右に位置する側壁部を意味することは明らかである。 また,本件明細書Bの記載も,側壁部が,背凭れ部の左右に配設されていることを示すにすぎない。 したがって,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)は,背凭れ部の左右に位置する側壁部を意味する。 (イ) 被告製品1~5,8~12の構成被告製品1~5,8~12においては,いずれも側壁部が背凭れ部の左右に位置している。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)を充足する。 イ 「前記左右の側壁部の内側面には夫々左右方向に重合した膨縮袋を備えて,これら重合した膨縮袋の基端部を前記側壁部に取り付けるように構成しており,」 (構成要件F)の充足(被告製品11との関係での均等侵害)以下のとおり,被告製品11の構成は,構成要件Fに関して,本件発明B-1と均等である。 (ア) 第1要件本件発明B-1の本質的部分は,前腕部施療機構として立上り壁を設けた椅子式 マッサージ機において,肘掛部に底面部と外側立上り壁を設けつつ,施療者の肘関節付近の内側立上り壁を排した点にある。 したがって,被告製品11が「側壁部」の内壁面に「膨縮袋」を設けないという点は,本件発明B-1の本質的部分ではない。 (イ) 第2要件 本件発明B-1の作用効果は,前腕部施療機構におけるスムーズな前腕部の載脱 が可能となり,施療者が起立及び着座を快適に行うことができること,前腕部施療機構を使用しない場合でも,肘掛けとして施療者の前腕部を挿入保持する部分(空洞部)に前腕部を ーズな前腕部の載脱 が可能となり,施療者が起立及び着座を快適に行うことができること,前腕部施療機構を使用しない場合でも,肘掛けとして施療者の前腕部を挿入保持する部分(空洞部)に前腕部を載置することができること,背凭れ部のリクライニング角度に関係なく,肘掛部に設けた前腕部施療機構における前腕部の位置が可及的に変わらないようにすることができ,安定した前腕部に対するマッサージを行うことができる ことであるところ,被告製品11もこれと同一の作用効果を奏する。 (ウ) 第3要件被告製品11の製造時において,「側壁部」の内壁面に「膨縮袋」を設けることは,当業者にとって容易に想到できたことである。 (エ) これに対し,被告は,第4要件及び第5要件を欠く旨主張する。 しかし,第4要件については,被告製品11は,後記被告先行販売製品とは少なくとも「前腕部施療機構」に関して相違点があり,当業者が当該製品に基づいて本件出願時に容易に推考できたものではない。 また,第5要件については,本件出願当初の明細書(以下「当初明細書」という。)には,側壁部の内側に膨縮袋を設けない構成の記載はなく,膨縮袋を設ける 構成しか記載されておらず,この記載に基づいて当該構成を設けるという補正を行ったにすぎないことなどに鑑みると,客観的,外形的に見て,側壁部の内側に膨縮袋を設けない構成を意識的に除外したとはいえない。 ウ 「施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,」(構成要件G-1)の充足 (ア) 意義本件発明B-1に係る特許請求の範囲には,「肘掛部」が底面部と外側立上り壁により形成されていることが記載されているものの,「肘掛部」が他の壁や面を備えていないことまでは記載されていない。また,本件発明B- 明B-1に係る特許請求の範囲には,「肘掛部」が底面部と外側立上り壁により形成されていることが記載されているものの,「肘掛部」が他の壁や面を備えていないことまでは記載されていない。また,本件発明B-1に係る特許請求の範囲には,「外側立上り壁」の構成につき,肘掛部が底面部と外側立上り壁により 形成されていること(構成要件G,G-1),外側立上り壁には複数個の膨縮袋が 配設されていること(構成要件G-2),外側立上り壁から空圧施療を行うことができること(構成要件J)以外に,その構成を規定する記載はない。 他方,本件明細書Bには,「肘掛部」が底面部及び外側立上り壁だけでなく,それ以外の壁や面により形成されている例や,外側立上り壁の構成を底面部に対して垂直に立ち上がるものとするなどの記載がある。しかし,これらの記載は,いずれ も実施例の記載にすぎない。また,外側立上り壁が反力受けとして機能するとしても,このことから外側立上り壁が底面部に対して垂直に立ち上がる構成であることが必然的に導かれるわけではない。 そうすると,「肘掛部」は,底面部及び外側立上り壁を備えていれば足り,「外側立上り壁」は,肘掛部の幅方向外側に設けられた立ち上がった壁を意味する。 (イ) 被告製品1~5,8~12の構成被告製品1~5,8~12においては,いずれも,肘掛部が底面部と外側立上り壁により形成され,その外側立上り壁は,肘掛部の幅方向外側に設けられた立ち上がった壁である。 (ウ) 小括 したがって,被告製品1~5,8~12は,「施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,」(構成要件G-1)を充足する。 エ 「前記外側立上り壁に…配設された膨縮袋」(構成要件G-2)の充足(ア) 意義「外側立上り 腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,」(構成要件G-1)を充足する。 エ 「前記外側立上り壁に…配設された膨縮袋」(構成要件G-2)の充足(ア) 意義「外側立上り壁」は,前記ウ(ア)のとおり,肘掛部の幅方向外側に設けられた立ち 上がった壁を意味する。そうすると,「膨縮袋」に相当する部材が,そのような「外側立上り壁」に相当する部分に配設されていれば,「前記外側立上り壁に…配設された膨縮袋」を充足することになる。 (イ) 被告製品1~5,8~12の構成被告製品1~5,8~12には,いずれも肘掛部の幅方向外側に設けられた立ち 上がった壁の緩やかに湾曲した部分(被告が「上壁」と称する部分)があるけれど も,これも「外側立上り壁」に相当する。また,当該部分には,いずれの被告製品においても,前腕エアセルが設けられている。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「前記外側立上り壁に…配設された膨縮袋」(構成要件G-2)を充足する。 オ 「前腕部の長手方向において前記外側立上り壁に複数個配設された膨縮袋で前記底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構」(構成要件G-2)の充足(被告製品1との関係)(ア) 意義本件発明B-1に係る特許請求の範囲には「前腕部の長手方向において」と記載 されているところ,「おいて」とは動作・作用の行われる場所を示し,また,「前後」などとは記載されていない。このことに鑑みると,上記特許請求の範囲の記載は,膨縮袋の配置位置や前腕部のマッサージ位置が「前腕部の長手方向」であることを示すだけで,複数個配置された膨縮袋の配置態様が「前腕部の長手方向」の前後であることを示すものではない。 は,膨縮袋の配置位置や前腕部のマッサージ位置が「前腕部の長手方向」であることを示すだけで,複数個配置された膨縮袋の配置態様が「前腕部の長手方向」の前後であることを示すものではない。 また,複数の膨縮袋が前腕部の長手方向前後に配置された構成だけでなく,前腕部の長手方向に伸びた複数の膨縮袋が上下に重なり合うように配置された構成であっても,本件発明B-1の作用効果を奏する。本件明細書Bには,複数個の膨縮袋が前腕部の長手方向の前後に配置する例の記載があるけれども,これらはいずれも実施例の記載にすぎない。出願経過においても,原告は,複数個の膨縮袋の配置態 様が限定されるべき根拠となるような説明はしていない。 そうすると,「前腕部の長手方向において…複数個配設された膨縮袋」には,前腕部の長手方向に伸びた複数個の膨縮袋を上下に重ねる構成も含まれる。 (イ) 被告製品1の構成被告製品1においては,前腕部の長手方向に伸びた2個の前腕エアセルが,上下 に重なり合うように配置されている。 (ウ) 小括したがって,被告製品1は,「前腕部の長手方向において前記外側立上り壁に複数個配設された膨縮袋で前記底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構」(構成要件G-2)を充足する。 カ 「前腕部の長手方向において前記外側立上り壁に複数個配設された膨縮袋で 前記底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構」(構成要件G-2)の充足(被告製品4,5,12との関係での均等侵害)以下のとおり,被告製品4,5,12の構成は,構成要件Gに関して,本件発明B-1と均等である。 (ア) 第1要件 本件発明B-1の本質的部分は,前腕部施療機構として立上り壁を設けた椅子 以下のとおり,被告製品4,5,12の構成は,構成要件Gに関して,本件発明B-1と均等である。 (ア) 第1要件 本件発明B-1の本質的部分は,前腕部施療機構として立上り壁を設けた椅子式マッサージ機において,肘掛部に底面部と外側立上り壁を設けつつ,施療者の肘関節付近の内側立上り壁を排した点にある。したがって,被告製品4,5,12が「外側立上り壁」に「複数個」の「膨縮袋」を設けないという点は,本件発明B-1の本質的部分ではない。 (イ) 第2要件本件発明B-1の作用効果は,前腕部施療機構におけるスムーズな前腕部の載脱が可能となり,施療者が起立及び着座を快適に行うことができること,前腕部施療機構を使用しない場合でも,肘掛けとして施療者の前腕部を挿入保持する部分(空洞部)に前腕部を載置することができること,背凭れ部のリクライニング角度に関 係なく,肘掛部に設けた前腕部施療機構における前腕部の位置が可及的に変わらないようにすることができ,安定した前腕部に対するマッサージを行うことできる,というものであるところ,被告製品4,5,12もこれと同一の作用効果を奏する。 (ウ) 第3要件被告製品4,5,12の製造時において,「外側立上り壁」に「複数個」の「膨 縮袋」を設けることは,当業者にとって容易に想到できたものである。 (エ) これに対し,被告は,第4要件及び第5要件を欠く旨主張する。 しかし,第4要件については,被告製品4,5,12は,いずれも,後記被告先行販売製品とは少なくとも「肩・上腕施療機構」に関して相違点があり,当業者が当該製品に基づいて本件出願時に容易に推考できたものではない。 また,第5要件については,当初明細書には,外側立上り壁に膨縮袋を複数個設 ける構成しか記載されておら 関して相違点があり,当業者が当該製品に基づいて本件出願時に容易に推考できたものではない。 また,第5要件については,当初明細書には,外側立上り壁に膨縮袋を複数個設 ける構成しか記載されておらず,この記載に基づいて当該構成を設けるという補正を行ったにすぎないことなどに鑑みると,客観的,外形的に見て,外側立上り壁に膨縮袋を複数個設けない構成を意識的に除外したとはいえない。 キ 「前記肘掛部の下部に設けられ,前記背凭れ部のリクライニング動作の際に前記連結部を介して前記肘掛部全体を前記座部に対して回動させる回動部」(構成 要件H)の充足(ア) 意義本件発明B-1に係る特許請求の範囲の記載に鑑みると,「回動部」とは,肘掛部の下部に設けられ,背凭れ部のリクライニング動作の際に連結部を介して肘掛部全体を座部に対して円運動(回動)させるものである。 本件明細書Bには,「回動部」を回動軸心とする例の記載がある。しかし,これらはいずれも実施例の記載にすぎない。また,出願経過を見ても,回動が「回動部」を回動軸心とするものに限られるとする事情は見いだせない。 そうすると,「回動部」は,肘掛部の下部に設けられ,背凭れ部のリクライニング動作の際に連結部を介して肘掛部全体を座部に対して円運動(回動)させるもの であり,回動がこのような「回動部」を回動軸心とするものである必要はない。 (イ) 被告製品1~5,8~12の構成被告製品1~5,8~12における回動部は,いずれも,肘掛部の下部に設けられ,背凭れ部のリクライニング動作の際に連結部を介して肘掛部全体を座部に対して円運動(回動)させるものである。 (ウ) 小括 したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「前記肘掛部の下部に設けられ,前記背凭れ部のリ 介して肘掛部全体を座部に対して円運動(回動)させるものである。 (ウ) 小括 したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「前記肘掛部の下部に設けられ,前記背凭れ部のリクライニング動作の際に前記連結部を介して前記肘掛部全体を前記座部に対して回動させる回動部」(構成要件H)を充足する。 ク 「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側か ら空圧施療を行う」(構成要件J)の充足(ア) 意義本件発明B-1に係る特許請求の範囲には,「施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら」と記載されているところ,本件発明B-1が椅子式マッサージ機に関する発明であることを踏まえると,構成要件Jは,施療者の上半身と椅子式マッ サージ機の施療部との関係を規定したものである。 また,本件明細書Bには,リクライニング動作に応じて施療者の上腕と前腕の成す角度が拡大する構成が開示されている一方,リクライニング角度が拡大しても施療者の上腕と前腕の成す角度が拡大しない構成は開示されていない。 そうすると,「施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら」とは,背凭れ部 のリクライニング角度にかかわらず,着座した施療者の肩又は上腕から前腕が全て無理な姿勢とならずに施療位置から外れないことを意味すると解される。 (イ) 被告製品1~5,8~12の構成被告製品1~5,8~12においては,いずれも,背凭れ部のリクライニング角度にかかわらず,着座した施療者の肩又は上腕から前腕が全て無理な姿勢とならず に施療位置に置かれている。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わ した施療者の肩又は上腕から前腕が全て無理な姿勢とならず に施療位置に置かれている。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療を行う」(構成要件 J)を充足する。 (被告の主張)(1) 被告製品1~5,8~12の構成及びその本件発明Bの構成要件の非充足本件発明Bの構成要件の充足性の検討に当たっては,被告製品1~5,8~12の構成の相違を考慮する必要がある。 上記の点をも考慮すると,被告製品1~5,8~12は,本件発明Bの構成要件 全てを充足するものではない。また,被告製品4,5,11及び12について,均等侵害は成立しない。具体的には,後記(2)のとおりである。 (2) 具体的主張ア 「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)の非充足(ア) 意義 本件発明B-1に係る特許請求の範囲請求項1の「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)の記載につき,「の」は,位置や方角を示す場合もあれば場所を示す場合もあるから,当該記載だけから,「背凭れ部の左右の側壁部」が背凭れ部自体の左右に配設されているものを意味するのか,背凭れ部自体には設けられていなくとも,その左右に相当する位置に側壁部があればよいことを意味するかは明らか でない。そこで,本件明細書Bの記載を見ると,側壁部が背凭れ部の左右に設けられることが明記されるとともに,側壁部が背凭れ部自体に設けられた構成の図だけが開示されている。他方,肘掛部に側壁部に相当する構成を設け,それを背凭れ部の略左右に位置するような構成については,本件明細書Bに記載も示唆もない。 そうすると 背凭れ部自体に設けられた構成の図だけが開示されている。他方,肘掛部に側壁部に相当する構成を設け,それを背凭れ部の略左右に位置するような構成については,本件明細書Bに記載も示唆もない。 そうすると,「背凭れ部の左右の側壁部」とは,背凭れ部に設けられた左右の側 壁部を意味する。 (イ) 被告製品1~5,8~12の構成被告製品1~5,8~12においては,いずれも,背凭れ部ではなく肘掛部に,側壁部に相当する施療部が設けられている。 (ウ) 小括 したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「背凭れ部の左右の側壁 部」(構成要件B)を充足しない。 イ 「前記左右の側壁部の内側面には夫々左右方向に重合した膨縮袋を備えて,これら重合した膨縮袋の基端部を前記側壁部に取り付けるように構成しており,」(構成要件F)の非充足(被告製品11との関係での均等侵害不成立)以下のとおり,被告製品11の構成は,構成要件Fに関して,本件発明B-1と 均等ではない。 (ア) 第1要件本件発明B-1の本質的部分は,背凭れ部のリクライニング動作に際し,肘掛部全体がリクライニング動作に連動して,「回動」すなわち肘掛部の下部に設けられた特定の回動軸心を円運動して傾くという構成を備えることにより,背凭れ部のリ クライニング角度にかかわらず,施療者の上半身における「着座姿勢」すなわち頭部,体幹,四肢の相対的位置関係により定まる体の構えが変わらないまま,肩又は上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁という外側方から一体的かつ連続的な空圧施療を行うことができる点にある。したがって,側壁部の内壁面に膨縮袋を備えるか否かという点は,本件発明B-1の本質的部分である。 (イ) 第2要件本件発明B-1の作用効果は,その膨張時 圧施療を行うことができる点にある。したがって,側壁部の内壁面に膨縮袋を備えるか否かという点は,本件発明B-1の本質的部分である。 (イ) 第2要件本件発明B-1の作用効果は,その膨張時に重合した膨縮袋が扇状に広がって施療者の身体側部(肩部又は上腕部)を挟圧しつつ,身体前方まで覆って身体側部を施療することができる,構成要件G,G-1,G-2と相まって,肩又は上腕から前腕にわたって側壁部及び外側立上り壁側からの一体的かつ連続的な空圧施療を行 うことができる,構成要件G~Jと相まって,肘掛部の底面部に載置した前腕部を含む上半身の着座姿勢を安定的に保ちながら,背凭れ部のリクライニング角度に関係なくリラックスした姿勢で,肩又は上腕から前腕にわたって側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療を行うことができる,というものである。しかし,被告製品11においては,側壁部の内壁面に膨縮袋が設けられていないため,これと同一の作 用効果を奏しない。 (ウ) 第4要件被告製品11は,当業者が,後記被告先行販売製品に基づいて,本件出願時に容易に推考できたものである。 (エ) 第5要件原告が,本件出願後に,側壁部の内側に膨縮袋を設けるという補正を行った以上, 客観的,外形的に見て,側壁部の内側に膨縮袋を設けない構成を意識的に除外したといえる。 ウ 「施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,」(構成要件G-1)の非充足(ア) 意義 本件発明B-1に係る特許請求の範囲には,「底面部,及び外側立上り壁により」と記載されていることに鑑みると,肘掛部には,上壁その他の壁や面は含まれない。 また,本件明細書Bには,前腕部施療機構の構成として,底面部と外側立上り壁だけで形成されるL型の 外側立上り壁により」と記載されていることに鑑みると,肘掛部には,上壁その他の壁や面は含まれない。 また,本件明細書Bには,前腕部施療機構の構成として,底面部と外側立上り壁だけで形成されるL型のほか,これらに加えて上壁及び内側立上り壁を有するロ型, 上壁を有するコ型,内側立上り壁を有する凹型が明確に区別して記載されている。 他方,外側立上り壁に上壁を含むような記載も示唆もない。 さらに,出願経過を見ると,「載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,」との部分は,手続補正において,あえて底面部と外側立上り壁に限定して追加されており,他の構成は意識的に除かれたものである。 そうすると,「底面部,及び外側立上り壁により形成され」は,「肘掛部」が底面部と外側立上り壁のみから形成されることを意味し,上壁が「外側立上り壁」に相当しないことはもとより,底面部と外側立上り壁だけでなく,上壁により形成される構成は「肘掛部」に含まれない。 (イ) 被告製品1~5,8~12の構成 被告製品1~5,8~12は,いずれも,底面部及び外側立上り壁以外に,上壁 を備える。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,」(構成要件G-1)を充足しない。 エ 「前記外側立上り壁に…配設された膨縮袋」(構成要件G-2)の非充足(ア) 意義「前記外側立上り壁に…配設された膨縮袋」とは,文字通り,「外側立上り壁」に「膨縮袋」が配設されていることを意味するところ,前記ウ(ア)のとおり,上壁は「外側立上り壁」に相当しない。 そうすると,「膨張袋」に相当する部材が,「外側立上り壁」に相当しない部分に配設されていれば, 設されていることを意味するところ,前記ウ(ア)のとおり,上壁は「外側立上り壁」に相当しない。 そうすると,「膨張袋」に相当する部材が,「外側立上り壁」に相当しない部分に配設されていれば,「前記外側立上り壁に…配設された膨縮袋」を充足しない。 (イ) 被告製品1~5,8~12の構成被告製品1~5,8~12は,いずれも,外側立上り壁に膨縮部を配設しておらず,「外側立上り壁」に相当しない上壁に,前腕エアセルが設けられている。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「前記外側立上り壁に…配設された膨縮袋」(構成要件G-2)を充足しない。 オ 「前腕部の長手方向において前記外側立上り壁に複数個配設された膨縮袋で前記底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構」 (構成要件G-2)の非充足(被告製品1との関係)(ア) 意義本件発明B-1に係る特許請求の範囲請求項1の記載からは,「前腕部の長手方向において前記立上り壁に複数配設された膨縮袋で前記底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構」(構成要件G-2)における 「前腕部の長手方向」が,前腕部の長手方向における前後関係を意味することは明 らかである。 本件明細書Bを見ても,膨縮袋が,前腕部の長手方向前後において複数個配置されることが記載されている。また,出願経過を見ても,補正時における原告の説明からは,本件発明B-1が,複数個の膨縮袋を前腕部の長手方向の前後に配置することによって,前腕部全体に対して空圧施療を行おうとしたものであることがうか がわれる。 そうすると,「前腕部の長手方向において…複数個配設された膨縮袋」は,前腕部の長手方向前後に複数個の膨縮袋を配 って,前腕部全体に対して空圧施療を行おうとしたものであることがうか がわれる。 そうすると,「前腕部の長手方向において…複数個配設された膨縮袋」は,前腕部の長手方向前後に複数個の膨縮袋を配置した構成に限られ,複数個の膨縮袋を上下に重ねる構成は含まれないと解される。 (イ) 被告製品1の構成 被告製品1においては,前腕部の長手方向においてエアセルが1個存在するだけで,そのエアセルを上下方向に2個重ね合わせているにすぎない。 (ウ) 小括したがって,被告製品1は,「前腕部の長手方向において前記外側立上り壁に複数個配設された膨縮袋で前記底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施す ための前腕部施療機構」(構成要件G-2)を充足しない。 カ 「前腕部の長手方向において前記外側立上り壁に複数個配設された膨縮袋で前記底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構」(構成要件G-2)の非充足(被告製品4,5,11との関係での均等侵害不成立) 以下のとおり,被告製品4,5,11の構成は,構成要件G-2に関して,本件発明B-1と均等ではない。 (ア) 第1要件本件発明B-1の本質的部分は,背凭れ部のリクライニング動作に際して,肘掛部全体がリクライニング動作に連動して,「回動」すなわち肘掛部の下部に設けら れた特定の回動軸心を円運動して傾くという構成を備えることにより,背凭れ部の リクライニング角度にかかわらず,施療者の「着座姿勢」すなわち上半身における頭部,体幹,四肢の相対的位置関係により定まる体の構えが変わらないでそのまま続きながら,肩又は上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁という外側方から一体的かつ連続的な空圧施療が行うことができる点にある。したがって, 対的位置関係により定まる体の構えが変わらないでそのまま続きながら,肩又は上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁という外側方から一体的かつ連続的な空圧施療が行うことができる点にある。したがって,「外側立上り壁」に膨縮袋を複数個備えるか否かという点は,本件発明B-1の本質的部 分である。 (イ) 第2要件本件発明B-1の作用効果は,側壁部の内側面の膨縮袋から,施療者の肩又は上腕を外側方から空圧施療するのと同様に,複数個の膨縮袋により前腕部を外側方から覆って空圧施療し,これにより肩又は上腕から前腕にわたって外側方から空圧施 療することができるから,肩又は上腕から前腕にわたって側壁部及び外側立上り壁側からの一体的かつ連続的な空圧施療を行うことができる,というものである。しかし,被告製品4,5,12については,いずれも,外側立上り壁に膨縮袋が複数個設けられていないため,これと同一の作用効果を奏しない。 (ウ) 第4要件 被告製品4,5,12は,当業者が,後記被告先行販売製品に基づいて,本件出願時に容易に推考できたものである。 (エ) 第5要件原告が,外側立上り壁に膨縮袋を複数個設けるという補正を行った以上,客観的,外形的に見て,外側立上り壁に膨縮袋を複数個設けない構成を意識的に除外したと いえる。 キ 「前記肘掛部の下部に設けられ,前記背凭れ部のリクライニング動作の際に前記連結部を介して前記肘掛部全体を前記座部に対して回動させる回動部」(構成要件H)の非充足(ア) 意義 本件発明B-1に係る特許請求の範囲請求項1の「前記肘掛部の下部に設けられ, 前記背凭れ部のリクライニング動作の際に前記連結部を介して前記肘掛部全体を前記座部に対して回動させる回動部」(構成要件H)における「回動部」 の範囲請求項1の「前記肘掛部の下部に設けられ, 前記背凭れ部のリクライニング動作の際に前記連結部を介して前記肘掛部全体を前記座部に対して回動させる回動部」(構成要件H)における「回動部」とは,その技術用語の意義(正逆方向に円運動すること)に鑑みると,肘掛部の下部に設けられ,肘掛部全体を座部に対して正逆方向に円運動(回動)させるものである。 また,本件明細書Bの記載に鑑みると,「回動部」とは,それ自体を回動軸心と するものである。 そうすると,「回動部」(構成要件H)とは,肘掛部の下部に設けられた肘掛部全体を座部に対して正逆方向に円運動(回動)させるものであり,かつ,回動が,このような「回動部」を回動軸心とするものに限られる。 (イ) 被告製品1~5,8~12の構成 被告製品1~5,8~12の肘掛部は,いずれも,ガイド溝に軸を通し,座部に対して(背凭れ部を一体として)肘掛部を前後にスライドさせることで移動しており,単なる円運動をしているものではない。また,被告製品1~5,8~12は,いずれも,位置決めされた特定の回動軸心を備えるものではない。 (ウ) 小括 したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「前記肘掛部の下部に設けられ,前記背凭れ部のリクライニング動作の際に前記連結部を介して前記肘掛部全体を前記座部に対して回動させる回動部」(構成要件H)を充足しない。 ク 「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側か ら空圧施療を行う」(構成要件J)の非充足(ア) 意義「着座姿勢」については,本件明細書Bにその文言以上の定義がないことから,用語の通常の意味より,「椅子式マッサージ機の座部に座した ら空圧施療を行う」(構成要件J)の非充足(ア) 意義「着座姿勢」については,本件明細書Bにその文言以上の定義がないことから,用語の通常の意味より,「椅子式マッサージ機の座部に座した施療者の頭部,体幹,四肢の相対的位置関係により定まる体の構え」を意味する。また,「上半身におけ る」着座姿勢であるから,「上半身における着座姿勢」とは,「椅子式マッサージ 機の座部に座した施療者の頭部,体幹,上肢の相対的位置関係により定まる体の構え」を意味する。 (イ) 被告製品1~5,8~12の構成被告製品1~5,8~12においては,いずれも,背凭れ部のリクライニング角度が座部に対して拡大していくのに応じて,施療者の上腕と前腕との成す角度が拡 大していくため,背凭れ部のリクライニング角度にかかわらず,椅子式マッサージ機の座部に座した施療者の頭部,体幹,上肢の相対的位置関係により定まる体の構えを保つことができない。 (ウ) 小括したがって,被告製品1~5,8~12は,いずれも「前記背凭れ部のリクライ ニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療を行う」(構成要件J)を充足しない。 2 争点2-1(補正要件違反1〔構成要件H〕)(被告の主張) (1) 「前記肘掛部の後部と前記背凭れ部の側部とを連結する連結部と,前記肘掛部の下部に設けられ,前記背凭れ部のリクライニング動作の際に前記連結部を介して前記肘掛部全体を前記座部に対して回動させる回動部とを設け,」との構成(構成要件H)は,平成24年7月23日提出の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)により追加されたものである。 (2) この構成要件Hにお て回動させる回動部とを設け,」との構成(構成要件H)は,平成24年7月23日提出の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)により追加されたものである。 (2) この構成要件Hにおける「連結部」は,「前記肘掛部の後部と前記背凭れ部の側部とを連結する」とされているから,背凭れ部のリクライニング動作を肘掛部に伝えればよいというものである。 しかし,当初明細書では,「連結部」は,肘掛部と背凭れ部とが回動可能な関係にあることを特定するものとされており,構成要件Hの「連結部」は,当初明細書 の「連結部」から技術的意義が拡大されているから,本件補正は,この点で補正要 件(特許法17条の2第3項)に違反する。 また,構成要件Hは,「肘掛部の後部」と「背凭れ部の側部」とが離間した状態の両者を連結する部材も「連結部」に含むものになっている。 しかし,このような構成は,当初明細書に記載されていない新たな技術的事項であるから,本件補正は,この点でも補正要件に違反する。 (3) したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123条1項1号),原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない(同法104条の3第1項)。 (原告の主張)当初明細書の記載を総合すれば,本件補正後の構成要件Hに関する技術的事項は, 当初明細書に開示されていたといえる。したがって,本件補正は,補正要件に違反しない。 3 争点2-2(補正要件違反2〔構成要件J〕)(被告の主張)「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿 勢を保ちながら,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療を行う」という構成(構成要件J)は,本件補正により追加されたもの グ角度に関わらず施療者の上半身における着座姿 勢を保ちながら,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療を行う」という構成(構成要件J)は,本件補正により追加されたものである。 しかし,当初明細書の図4では,背凭れ部の回動角度と肘掛部の回動角度には倍以上の差があり,補正事項と整合しない内容が記載されている。当初明細書には, 構成要件Hと構成要件Iを備えればそのまま「背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保」たれるという因果関係は記載されていない。また,当初明細書には,構成要件Jの具体的な構成は記載されていない。 そうすると,本件補正は,補正要件(特許法17条の2第3項)に違反する。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるか ら,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張)当初明細書の記載を総合すれば,本件補正後の構成要件Jに関する技術的事項は,当初明細書に開示されていたといえる。したがって,本件補正は,補正要件に違反しない。 4 争点2-3(分割要件違反に伴う進歩性欠如) (被告の主張)本件出願は,本件原出願からの分割出願であるところ,前記2及び3のとおり,本件発明B-1の構成要件H及びJは,当初明細書等に記載された事項の範囲内ではなく,かつ,本件原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内でもない。 そうすると,本件出願は,分割出願の要件を満たしていないため,出願日の遡及効を得ることがでず,出願日は平成24年7月23日となる。他方,本件原出願の内容は平成23年11月24日に特開2011-235180号公報(以下「乙B14公報」という。)で出願公開されているから,本件各 得ることがでず,出願日は平成24年7月23日となる。他方,本件原出願の内容は平成23年11月24日に特開2011-235180号公報(以下「乙B14公報」という。)で出願公開されているから,本件各発明Bは,いずれも乙B14公報に記載された発明に基づき容易に発明できる発明であり,進歩性を欠く (特許法29条2項)。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123条1項2号),原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張)前記2及び3のとおり,補正要件違反はないから,分割要件違反もない。 5 争点2-4(実施可能要件違反)(被告の主張)本件明細書Bには,背凭れ部12aのリクライニング機構の具体的な構成や連結部142aが描く軌跡について何ら記載されていないため,当業者が本件各発明Bを実施することができる程度に明確かつ十分な記載はない。そうすると,本件各発 明Bに係る特許請求の範囲の記載は,特許法36条4項1号の要件(実施可能要 件)を満たしていない。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123条1項4号),原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張)背凭れ部がリクライニングする機構等の具体的な設計については,本件明細書B の各記載に接した当業者が本件出願当時の技術水準を背景として認識して理解し得る事項であり,本件明細書Bには,当業者が本件各発明Bを実施することができる程度に明確かつ十分に記載されている。したがって,本件各発明Bに係る特許請求の範囲の記載は,特許法36条4項1号の要件(実施可能要件)を満たす。 6 争点2-5(サポート要件違反) (被告の主張) つ十分に記載されている。したがって,本件各発明Bに係る特許請求の範囲の記載は,特許法36条4項1号の要件(実施可能要件)を満たす。 6 争点2-5(サポート要件違反) (被告の主張)本件明細書Bには,本件発明B-1の課題である構成要件Jの「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら…空圧施療を行う」ための手段が記載されていないため,本件明細書Bの発明の詳細な説明に開示されている内容は,本件各発明Bの課題を解決できると当業者が認識で きる範囲のものとはいえない。そうすると,本件各発明Bに係る特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項1号の要件(サポート要件)を満たしていない。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123条1項4号),原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張) 構成要件Jに係る技術的事項,構成要件HとIから構成要件Jに至る因果関係等は,本件明細書Bの記載から当然に理解できる。したがって,本件明細書Bの発明の詳細な説明に開示されている内容は,本件各発明Bの課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであり,本件各発明Bに係る特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項1号の要件(サポート要件)を満たす。 7 争点2-6(明確性要件違反) (被告の主張)本件発明B-1の課題である構成要件Jの「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら…空圧施療を行う」との構成の技術的意義が不明確であるため,本件発明B-1及びその従属発明である本件発明B-2の技術的範囲が不明確である。そうすると,本件各発明Bに係る特許 請求の範囲の記載は,特許 施療を行う」との構成の技術的意義が不明確であるため,本件発明B-1及びその従属発明である本件発明B-2の技術的範囲が不明確である。そうすると,本件各発明Bに係る特許 請求の範囲の記載は,特許法36条6項2号の要件(明確性要件)を満たしていない。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123条1項4号),原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張) 構成要件Jの技術的意義が明確であることは前記6のとおりであるから,背凭れ部がリクライニングする機構等の具体的な設計については,本件明細書Bの各記載に接した当業者が本件出願当時の技術水準を背景として当然に認識し,理解し得る事項であり,本件各発明Bに係る特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項2号の要件(明確性要件)を満たす。 8 争点2-7(進歩性欠如1〔乙B9発明-1を主引用発明とするもの〕)(被告の主張)(1) 本件発明B-1ア特開2003-310683号公報(以下「乙B9公報」という。)記載の実施例3の発明(以下「乙B9発明-1」という。)は,本件発明B-1の構成要 件A~E,G-1,Kの構成を備えており,本件発明B-1と乙B9発明-1の相違点は,構成要件F,G-2,H~Jの構成である。 イ構成要件Fに関する相違点に係る構成は,特開2005-192603号公報(以下「乙B10公報」という。)に開示されている。乙B9発明と乙B10公報記載の発明(以下「乙B10発明」という。)は,いずれも椅子型マッサージ機 に関する発明であることに鑑みると,上記相違点につき,乙B9発明-1に乙B1 0発明を適用することの動機付けはある。 他方,構成要件G-2に関する相違点に係る構成は, マッサージ機 に関する発明であることに鑑みると,上記相違点につき,乙B9発明-1に乙B1 0発明を適用することの動機付けはある。 他方,構成要件G-2に関する相違点に係る構成は,乙B9公報に実施例5として開示されている。上記相違点に係る構成は,設計的事項にすぎないことに鑑みると,上記相違点につき,乙B9発明-1に係る構成を乙B9公報記載の実施例5の発明(以下「乙B9発明-2」という。)に係る構成に置き換えることは容易であ る。 また,構成要件H及びIに関する相違点に係る構成は,特開平10-179675号公報(以下「乙B11公報」という。)に開示されている。乙B9発明-1と乙B11公報記載の発明(以下「乙B11発明」という。)は,課題及び作用効果が共通することに鑑みると,上記相違点につき,乙B9発明-1に乙B11発明を 適用することの動機付けはある。 さらに,構成要件Jに関する相違点に係る構成は,乙B11公報に開示されている。乙B9発明-1と乙B11発明は,課題及び作用効果が共通することに鑑みると,上記相違点につき,乙B9発明-1に乙B11発明を適用することの動機付けはある。 ウそうすると,本件発明B-1の構成は,乙B9発明-1に乙B10発明,乙B9発明-2,乙B11発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く(特許法29条2項)。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123条1項2号),原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (2) 本件発明B-2ア本件発明B-2は,構成要件Lを除けば,本件発明B-1と同じ構成(構成要件M)である。乙B9発明-1は,構成要件Lの構成を備えておらず,本件発明B できない。 (2) 本件発明B-2ア本件発明B-2は,構成要件Lを除けば,本件発明B-1と同じ構成(構成要件M)である。乙B9発明-1は,構成要件Lの構成を備えておらず,本件発明B-2と乙B9発明-1の相違点は,構成要件Mに関する部分の構成を除けば,構成要件Lの構成である。 イ構成要件Lに関する相違点に係る構成は,特開2005-177279号公 報(以下「乙B12公報」という。)及び特開2005-28045号公報(以下「乙B13公報」という。)に開示されている。乙B9発明-1と乙B12公報記載の発明(以下「乙B12発明」という。)及び乙B13公報記載の発明(以下「乙B13発明」という。)は,課題及び作用効果が共通することに鑑みると,上記相違点につき,乙B9発明-1に乙B12発明又は乙B13発明を適用すること の動機付けはある。 ウそうすると,本件発明B-2の構成は,乙B9発明-1に乙B10発明,乙B9発明-2及び乙B11発明並びに乙B12発明又は乙B13発明のいずれかを組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるか ら,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張)(1) 被告の主張は争う。 (2) 本件発明B-1ア乙B9発明-1は,本件発明B-1とは課題が異なるから,乙B9発明を出 発点として本件発明B-1には想到し得ない。 また,構成要件F,G-2,H~Jの構成だけでなく,構成要件E,G,G-1の構成も,本件発明B-1と乙B9発明-1の相違点である。 イ乙B9発明-1と乙B10発明は,課題,作用効果,技術的思想,具体的構造が異なっていることに鑑 の構成だけでなく,構成要件E,G,G-1の構成も,本件発明B-1と乙B9発明-1の相違点である。 イ乙B9発明-1と乙B10発明は,課題,作用効果,技術的思想,具体的構造が異なっていることに鑑みると,構成要件E,Fに関する相違点につき,乙B9 発明-1に乙B10発明を適用することの動機付けはない。 他方,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成は,乙B9発明-2に開示されていないし,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点につき,乙B9発明-1に乙B9発明-2を適用することの動機付けはない。 また,構成要件H及びIに関する相違点に係る構成は,乙B11公報に開示され ていない。さらに,乙B9発明-1と乙B11発明は,課題,技術的思想,具体的 構造が異なっていることに鑑みると,構成要件H~Jに関する相違点につき,乙B9発明-1に乙B11発明を適用することの動機付けはない。 (3) 本件発明B-2構成要件Lに関する相違点に係る構成は,乙B12公報に開示されていない。また,乙B9発明-1と乙B12発明は,課題,技術的思想,具体的構造が異なって いることに鑑みると,相違点につき,乙B9発明-1に乙B12発明を適用することの動機付けはない。 他方,構成要件Lに関する相違点に係る構成は,乙B13公報に開示されていない。また,乙B9発明-1と乙B13発明は,課題,技術的思想,具体的構造が異なっていることに鑑みると,相違点につき,乙B9発明-1に乙B13発明を適用 することの動機付けはない。 9 争点2-8(進歩性欠如2〔被告先行販売製品を主引用発明とするもの〕)(被告の主張)(1) 本件発明B-1被告が本件原出願日前から製造販売していた製品(型番:FMC-1000,FMC-1800, 進歩性欠如2〔被告先行販売製品を主引用発明とするもの〕)(被告の主張)(1) 本件発明B-1被告が本件原出願日前から製造販売していた製品(型番:FMC-1000,FMC-1800, FMC-3000,FMC-5000。以下,これらを総称して「被告先行販売製品」といい,これらに係る発明を「被告先行販売製品発明」という。)は,本件発明B-1の構成要件A,C,D,H~Kの構成を備えており,本件発明B-1と被告先行販売製品発明の相違点は,構成要件B,E,F,G,G-1,G-2の構成である。 ア主張1 (ア) 構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示されている。上記相違点につき,被告先行販売製品発明に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 また,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成は,特開2004-202207号公報(以下「乙B31公報」という。)に実施例5として開示さ れている。上記相違点につき,被告先行販売製品発明に,乙B31公報記載の実施 例3の発明(以下「乙B31発明-1」という。)を介して,当該公報記載の実施例5の発明(以下「乙B31発明-2」という。)を適用することの動機付けはある。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,被告先行販売製品発明に乙B10発明,乙B31発明-2を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであ るから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 イ主張2(ア) 構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示され ている。上記相違点につき,被告先行販売製品発明に乙B10発明を適 し,本件特許権Bを行使できない。 イ主張2(ア) 構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示され ている。上記相違点につき,被告先行販売製品発明に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 また,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成は,構成要件G-2の「複数」という部分を除いて,特開2005-287831号公報(以下「乙B32公報」という。)に開示されている。上記相違点につき,被告先行販売製品 発明に乙B32公報記載の発明(以下「乙B32発明」という。)を適用することの動機付けはある。さらに,膨縮袋を複数に分割することは周知技術である(乙B31,36)ことに鑑みると,「複数」という部分に係る相違点につき,被告先行販売製品発明に係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易である。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,被告先行販売製品発明に乙B10発 明,乙B32発明,周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 ウ主張3 (ア) 構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示され ている。上記相違点につき,被告先行販売製品発明に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 また,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成は,構成要件G-2の「複数」という部分を除いて,周知技術(乙B12,31~36)であることに鑑みると,「複数」という部分を除いた相違点につき,被告先行販売製品発明に 係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易である。さら 分を除いて,周知技術(乙B12,31~36)であることに鑑みると,「複数」という部分を除いた相違点につき,被告先行販売製品発明に 係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易である。さらに,膨縮袋を複数に分割することは周知技術であることに鑑みると,「複数」という部分に係る相違点につき,被告先行販売製品発明に係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易である。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,被告先行販売製品発明に乙B10発 明及び上記2つの周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (2) 本件発明B-2 本件発明B-2は,構成要件Lを除けば,本件発明B-1と同じ構成(構成要件M)である。被告先行販売製品発明は,構成要件Lの構成を備えていない。構成要件Lに係る相違点は,乙B31発明-2,乙B32発明,周知技術に開示されている。 ア主張1 本件発明B-2の構成は,被告先行販売製品発明に乙B10発明,乙31発明-2を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 イ主張2 本件発明B-2の構成は,被告先行販売製品発明に乙B10発明,乙B32発明,周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権B 周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 ウ主張3本件発明B-2の構成は,被告先行販売製品発明に乙B10発明,2つの周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるか ら,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張)(1) 被告先行販売製品について,公然実施されていたこと及びその構成は不知。 被告の主張は争う。 (2) 本件発明B-1 ア構成要件B,E,F,G,G-1,G-2の構成だけでなく,構成要件I,Jの構成も,本件発明B-1と被告先行販売製品発明の相違点である。 イ構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成については,被告先行販売製品発明と乙B10発明は,技術思想が異なることに鑑みると,被告先行販売製品発明に乙B10発明を適用することの動機付けはない。 ウ(ア) 乙B31発明-2は,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成を備えていない。 また,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成については,被告先行販売製品発明は,技術的に完結しており,乙B31発明-2が,被告先行販売製品発明の技術思想を阻害する構成を有していることに鑑みると,被告先行販売製 品発明に乙B31発明-2を適用することの動機付けはない。 (イ) 乙B32発明は,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成を備えていない。 構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成につい を適用することの動機付けはない。 (イ) 乙B32発明は,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成を備えていない。 構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成については,被告先行販売製品発明は,技術的に完結しており,乙B32発明が,被告先行販売製品発明の技術思想を阻害する構成を有していることに鑑みると,被告先行販売製品発明に乙 B32発明を適用することの動機付けはない。 被告先行販売製品発明に乙B32発明を適用した上,さらに周知技術を適用することは,いわゆる「容易の容易」であるから,容易に想到するとはいえない。 (3) 本件発明B-2原告は,構成要件Lに関して,その後半部分だけを本件発明B-2と被告先行販 売製品発明の相違点としているが,前半部分も含めて相違点とすべきである。 10 争点2-9(進歩性欠如3〔乙B12発明を主引用発明とするもの〕)(被告の主張)(1) 本件発明B-1乙B12公報の図16等に示された発明(以下「乙B12発明-1」という。) は,本件発明B-1の構成要件A,C,D,H~Kの構成を備えており,本件発明B-1と乙B12発明-1の相違点は,構成要件B,E,F,G,G-1,G-2の構成である。 ア主張1(ア) 構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示され ている。上記相違点につき,乙B12発明に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 他方,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成は,構成要件G-2の「複数」という部分を除いて,乙B12公報の図4等に開示されている。上記相違点につき,乙B12発明-1に乙B12公報の図4等に示された発明(以下 「乙B12発明-2」という。)を適用することの動機付けは いう部分を除いて,乙B12公報の図4等に開示されている。上記相違点につき,乙B12発明-1に乙B12公報の図4等に示された発明(以下 「乙B12発明-2」という。)を適用することの動機付けはある。また,膨縮袋 を複数に分割することは周知技術であることに鑑みると,「複数」という部分に係る相違点につき,乙B12発明-1に係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易である。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,乙B12発明-1に乙B10発明,乙B12発明-2,周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たも のであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 イ主張2(ア) 構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示され ている。上記相違点につき,乙B12発明-1に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 他方,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成は,構成要件G-2の「複数」という部分を除いて,乙B32公報に開示されている。上記相違点につき,乙B12発明-1に乙B32発明を適用することの動機付けはある。また, 膨縮袋を複数に分割することは周知技術であることに鑑みると,「複数」という部分に係る相違点につき,乙B12発明-1に係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易である。 (イ) したがって,本件発明B-1の構成は,乙B12発明-1に乙B10発明,乙B32発明,周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たもので あるから,進歩性を欠き,その特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。 ウ主張3( B10発明,乙B32発明,周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たもので あるから,進歩性を欠き,その特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。 ウ主張3(ア) 構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示されている。上記相違点につき,乙B12発明-1に乙B10発明を適用することの動 機付けはある。 構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成は,乙B31公報に実施例5として開示されている。乙B12発明-1及び乙B31発明-2は,課題が共通することに鑑みると,上記相違点につき,乙B12発明-1に乙B31発明-2を適用することの動機付けはある。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,乙B12発明-1に乙B10発明, 乙B31発明-2を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (2) 本件発明B-2 本件発明B-2は,構成要件Lを除けば,本件発明B-1と同じ構成(構成要件M)である。乙B12発明-1は,構成要件Lの構成を備えており,本件発明B-2と乙B12発明-1の相違点は,構成要件Mに関する部分だけである。 ア主張1本件発明B-2の構成は,乙B12発明-1に乙B10発明,乙B12発明-2, 周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 イ主張2 本件発明B-2の構成は,乙B12発明-1に 。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 イ主張2 本件発明B-2の構成は,乙B12発明-1に乙B10発明,乙B32発明,周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 ウ主張3 本件発明B-2の構成は,乙B12発明-1に乙B10発明,乙B31発明-2を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張) (1) 被告の主張は争う。 (2) 本件発明B-1ア構成要件B,E,F,G,G-1,G-2の構成だけでなく,構成要件H~Jの構成も,本件発明B-1と乙B12発明-1の相違点である。 イ構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成については,乙B12発明- 1と乙B10発明は,技術思想が異なることに鑑みると,乙B12発明-1に乙B10発明を適用することの動機付けはない。 ウ(ア) 乙B12発明-2は,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成を備えていない。 (イ) 構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成については,乙B1 2発明-1は,技術的に完結しており,乙B32発明が,乙B12発明-1の技術思想を阻害する構成を有していることに鑑みると,乙B12発明-1に乙B32発明を適用することの動機付けはない。 (ウ) 乙B31発明-2は,構成 完結しており,乙B32発明が,乙B12発明-1の技術思想を阻害する構成を有していることに鑑みると,乙B12発明-1に乙B32発明を適用することの動機付けはない。 (ウ) 乙B31発明-2は,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成を備えていない。 また,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成については,乙B12発明-1は,技術的に完結しており,乙B31発明-2が,乙B12発明-1の技術思想を阻害する構成を有していることに鑑みると,乙B12発明-1に乙B31発明-2を適用することの動機付けはない。 (3) 本件発明B-2 構成要件Mの構成だけでなく,構成要件Lの構成も,本件発明B-2と乙B12 発明-1の相違点である。 11 争点2-10(進歩性欠如4〔乙B13発明を主引用発明とするもの〕)(被告の主張)(1) 本件発明B-1ア乙B13発明は,本件発明B-1の構成要件A,C,D,H~Kの構成を備 えており,本件発明B-1と乙B13発明の相違点は,構成要件B,E,F,G,G-1,G-2の構成である。 イ構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示されている。上記相違点につき,乙B13発明に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 また,構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成は,構成要件G-2の「複数」という部分を除いて,周知技術であることに鑑みると,「複数」という部分を除いた相違点につき,乙B13発明に係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易である。また,膨縮袋を複数に分割することは周知技術であることに鑑みると,「複数」という部分に係る相違点につき,乙B13発明に係る構 成を周知技術に係る構成に置き換えるこ 置き換えることは容易である。また,膨縮袋を複数に分割することは周知技術であることに鑑みると,「複数」という部分に係る相違点につき,乙B13発明に係る構 成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易である。 ウそうすると,本件発明B-1の構成は,乙B13発明に乙B10発明,2つの周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるか ら,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (2) 本件発明B-2本件発明B-2は,構成要件Lを除けば,本件発明B-1と同じ構成(構成要件M)である。乙B13発明は,構成要件Lの構成を備えており,本件発明B-2と乙B13発明の相違点は,構成要件Mに関する部分だけである。 そうすると,本件発明B-2の構成は,乙B13発明に乙B10発明,2つの周 知技術を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張) (1) 被告の主張は争う。 (2) 本件発明B-1ア構成要件B,E,F,G,G-1,G-2の構成だけでなく,構成要件H~Jの構成も,本件発明B-1と乙B13発明の相違点である。 イ構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成については,乙B13発明と 乙B10発明は,技術思想が異なるばかりか,乙B10発明が,乙B13発明の技術思想を阻害する構成を有していることに鑑みると,乙B13発明に乙B10発明を適用することの動機付けはない。 ウ構成要件G,G-1,G-2に関する相違 るばかりか,乙B10発明が,乙B13発明の技術思想を阻害する構成を有していることに鑑みると,乙B13発明に乙B10発明を適用することの動機付けはない。 ウ構成要件G,G-1,G-2に関する相違点に係る構成については,乙B13発明に外壁前腕施療機構に関する周知技術を適用した上,さらに複数膨縮袋配設 に関する周知技術を適用することは,いわゆる「容易の容易」であるから,容易に想到するとはいえない。 (3) 本件発明B-2構成要件Mの構成だけでなく,構成要件Lの構成も,本件発明B-2と乙B13発明の相違点である。 12 争点2-11(進歩性欠如5〔乙B32発明を主引用発明とするもの〕)(被告の主張)(1) 本件発明B-1乙B32発明は,本件発明B-1の構成要件A~E,G,G-1,Kの構成を備えており,本件発明B-1と乙B32発明の相違点は,構成要件F,G-2,H~ Jの構成である。 ア主張1(ア) 構成要件Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示されている。 上記相違点につき,乙B32発明に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 また,構成要件G-2に関する相違点に係る構成は,周知技術であることに鑑みると,乙B32発明に係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易であ る。 さらに,構成要件H~Jに関する相違点に係る構成は,被告先行販売製品に開示されている。上記相違点につき,乙B9,11~13に記載された周知の課題に基づき,乙B32発明に係る構成を被告先行販売製品発明に係る構成に置き換えることは容易である。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,乙B32発明に乙B10発明,周知技術,被告先行販売製品発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得た る構成に置き換えることは容易である。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,乙B32発明に乙B10発明,周知技術,被告先行販売製品発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 イ主張2(ア) 構成要件Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示されている。 上記相違点につき,乙B32発明に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 また,構成要件G-2に関する相違点に係る構成は,周知技術であることに鑑みると,乙B32発明に係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易であ る。 さらに,構成要件H~Jに関する相違点に係る構成は,乙B12公報の図16等に開示されている。上記相違点につき,乙B32発明に乙B12発明-1を適用することの動機付けはある。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,乙B32発明に乙B10発明,周知 技術,乙B12発明-1を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たもので あるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 ウ主張3(ア) 構成要件Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示されている。 上記相違点につき,乙B32発明に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 また,構成要件G-2に関する相違点に係る構成は,周知技術であることに鑑みると,乙B32発明に係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易である。 さらに,構成要件H~Jに関する相違点に係る また,構成要件G-2に関する相違点に係る構成は,周知技術であることに鑑みると,乙B32発明に係る構成を周知技術に係る構成に置き換えることは容易である。 さらに,構成要件H~Jに関する相違点に係る構成は,乙B13公報に開示され ている。上記相違点につき,乙B32発明に乙B13発明を適用することの動機付けはある。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,乙B32発明に乙B10発明,周知技術,乙B13発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (2) 本件発明B-2本件発明B-2は,構成要件Lを除けば,本件発明B-1と同じ構成(構成要件M)である。乙B32発明は,構成要件Lの構成を備えており,本件発明B-2と 乙B32発明の相違点は,構成要件Mに関する部分だけである。 ア主張1本件発明B-2の構成は,乙B32発明に乙B10発明,周知技術,被告先行販売製品発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるか ら,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 イ主張2本件発明B-2の構成は,乙B32発明に乙B10発明,周知技術,乙B12発明-1を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 ウ主張3本件発明B-2の構成は,乙B32発明に乙B10発明, したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 ウ主張3本件発明B-2の構成は,乙B32発明に乙B10発明,周知技術,乙B13発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠 く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張)(1) 被告の主張は争う。 (2) 本件発明B-1ア構成要件F,G-2,H~Jの構成だけでなく,構成要件B,Eの構成も,本件発明B-1と乙B32発明の相違点である。 イ構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成については,乙B32発明と乙B10発明は,技術思想が異なることに鑑みると,乙B32発明に乙B10発明 を適用することの動機付けはない。 ウ構成要件I及びJに関する相違点に係る構成は,被告先行販売製品に開示されていない。構成要件H~Jに関する相違点に係る構成については,乙B32発明と被告先行販売製品発明は,技術思想が異なるだけでなく,被告先行販売製品発明の構成に置き換えることは,乙B32発明の技術思想を阻害することに鑑みると, 乙B32発明に被告先行販売製品発明を適用することの動機付けはない。 また,構成要件H~Jに関する相違点に係る構成については,乙B32発明と乙B12発明-1は,技術思想が異なるだけでなく,乙B12発明-1の構成に置き換えることは,乙B32発明の技術思想を阻害することに鑑みると,乙B32発明に乙B12発明-1を適用することの動機付けはない。 さらに,構成要件H~Jに関する相違点に係る構成については,乙B32発明と 乙B B32発明の技術思想を阻害することに鑑みると,乙B32発明に乙B12発明-1を適用することの動機付けはない。 さらに,構成要件H~Jに関する相違点に係る構成については,乙B32発明と 乙B13発明は,技術思想が異なるだけでなく,乙B13発明の構成に置き換えることは,乙B32発明の技術思想を阻害することに鑑みると,乙B32発明に乙B13発明を適用する動機付けはない。 (3) 本件発明B-2構成要件Mの構成だけでなく,構成要件Lの構成も,本件発明B-2と乙B32 発明の相違点である。 13 争点2-12(進歩性欠如6〔乙B31発明を主引用発明とするもの,主位的主張〕)(被告の主張)(1) 本件発明B-1 ア乙B31発明-2は,本件発明B-1の構成要件A,C,D,G,G-1,G-2,I~Kの構成を備えており,本件発明B-1と乙B31発明-2の相違点は,構成要件B,E,F,H(連結部の点,回動部の位置の点)の構成である。 イ構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示されている。上記相違点につき,乙B31発明-2に乙B10発明を適用することの動 機付けはある。 また,構成要件Hに関する相違点に係る構成のうち,連結部の点については,設計的事項であることに鑑みると,乙B31発明-2に係る構成につき設計的変更を行うことは容易である。 他方,構成要件Hに関する相違点に係る構成のうち,回動部の位置の点について は,実質的な相違点ではない。 ウそうすると,本件発明B-1の構成は,乙B31発明-2に乙B10発明を組み合わせ,設計的変更を行うことで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきもので は,乙B31発明-2に乙B10発明を組み合わせ,設計的変更を行うことで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (2) 本件発明B-2ア本件発明B-2は,構成要件Lを除けば,本件発明B-1と同じ構成(構成要件M)である。乙B31発明-2は,構成要件Lの構成を備えており,本件発明B-2と乙B31発明-2の相違点は,構成要件Mに関する部分だけである。 イそうすると,本件発明B-1の構成は,乙B31発明-2に乙B10発明を 組み合わせ,設計的変更を行うことで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (原告の主張) (1) 被告の主張は争う。 (2) 本件発明B-1ア構成要件B,E,F,H(連結部の点,回動部の位置の点)の構成だけでなく,構成要件G-1,G-2,H(回動部の有無),I,Jの構成も,本件発明B-1と乙B31発明-2の相違点である。 イ構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成については,乙B31発明-2と乙B10発明は,技術思想が異なることに鑑みると,乙B31発明-2に乙B10発明を適用することの動機付けはない。 また,構成要件Hに関する相違点に係る構成のうち,連結部の点については,設計的事項であるとはいえない。 他方,構成要件Hに関する相違点に係る構成のうち,回動部の位置の点について は,実質的な相違点ではないとはいえない。 (3) 本件発明B-2構成要件Mの構成だけでなく ない。 他方,構成要件Hに関する相違点に係る構成のうち,回動部の位置の点について は,実質的な相違点ではないとはいえない。 (3) 本件発明B-2構成要件Mの構成だけでなく,構成要件Lの構成も,本件発明B-2と乙B31発明の相違点である。 14 争点2-13(進歩性欠如7〔乙B31発明を主引用発明とするもの,予備 的主張〕)(被告の主張)(1) 本件発明B-1乙B31発明-2は,本件発明B-1の構成要件A,C,D,G,G-1,G-2,I~Kの構成を備えており,本件発明B-1と乙B31発明-2の相違点は, 構成要件B,E,F,Hの構成である。 ア主張1(ア) 構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示されている。上記相違点につき,乙B31発明-2に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 また,構成要件Hに関する相違点に係る構成は,被告先行販売製品に開示されている。上記相違点につき,乙B31発明-2に被告先行販売製品発明を適用することの動機付けはある。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,乙B31発明-2に乙B10発明,被告先行販売製品発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであ るから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 イ主張2(ア) 構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示され ている。上記相違点につき,乙B31発明-2に乙B10発明を適用することの動 機付けはある。 また,構成要件Hに関する相違点に係る構成は,乙B12公報の図16等に開示されている。上記相違点に る。上記相違点につき,乙B31発明-2に乙B10発明を適用することの動 機付けはある。 また,構成要件Hに関する相違点に係る構成は,乙B12公報の図16等に開示されている。上記相違点につき,乙B31発明-2に乙B12発明-1を適用することの動機付けはある。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,乙B31発明-2に乙B10発明, 乙B12発明-1を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 ウ主張3 (ア) 構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成は,乙B10公報に開示されている。上記相違点につき,乙B31発明-2に乙B10発明を適用することの動機付けはある。 また,構成要件Hに関する相違点に係る構成は,乙B13公報に開示されている。 上記相違点につき,乙B31発明-2に乙B13発明を適用することの動機付けは ある。 (イ) そうすると,本件発明B-1の構成は,乙B31発明-2に乙B10発明,乙B13発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件特許Bは,特許無効審判により無効にされるべきものであるか ら,原告は,被告に対し,本件特許権Bを行使できない。 (2) 本件発明B-2本件発明B-2は,構成要件Lを除けば,本件発明B-1と同じ構成(構成要件M)である。乙B31発明-2は,構成要件Lの構成を備えており,本件発明B-2と乙B31発明-2の相違点は,構成要件Mに関する部分だけである。 ア主張1 本件発明B-2の構成は,乙B31発明-2に乙B10発明, 要件Lの構成を備えており,本件発明B-2と乙B31発明-2の相違点は,構成要件Mに関する部分だけである。 ア主張1 本件発明B-2の構成は,乙B31発明-2に乙B10発明,被告先行販売製品発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠き,その特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。 イ主張2本件発明B-2の構成は,乙B31発明-2に乙B10発明,乙B12発明-1 を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠き,その特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。 ウ主張3本件発明B-2の構成は,乙B31発明-2に乙B10発明,乙B13発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠き,そ の特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。 (原告の主張)(1) 被告の主張は争う。 (2) 本件発明B-1ア構成要件B,E,F,H(連結部の点,回動部の位置の点)の構成だけでな く,構成要件G-1,G-2,H(回動部の有無),I,Jの構成も,本件発明B-1と乙B31発明-2の相違点である。 イ構成要件B,E,Fに関する相違点に係る構成については,乙B31発明-2と乙B10発明は,技術思想が異なることに鑑みると,乙B31発明-2に乙B10発明を適用することの動機付けはない。 ウ構成要件I及びJに関する相違点に係る構成は,被告先行販売製品に開示されていない。構成要件H~Jに関する相違点に係る構成については,乙B31発明-2と被告先行販売製品発明は,技術思想が異なるだけでなく,被告先行販売製品発明の構成に置き換えることは乙B31発明-2の技術思想を阻害することに鑑み 関する相違点に係る構成については,乙B31発明-2と被告先行販売製品発明は,技術思想が異なるだけでなく,被告先行販売製品発明の構成に置き換えることは乙B31発明-2の技術思想を阻害することに鑑みると,乙B31発明-2に被告先行販売製品発明を適用することの動機付けはない。 また,構成要件H~Jに関する相違点に係る構成は,乙B12発明-1に開示さ れていない。構成要件H~Jに関する相違点に係る構成については,乙B12発明-1の構成に置き換えることは乙B31発明-2の技術思想を阻害することに鑑みると,乙B31発明-2に乙B12発明-1を適用することの動機付けはない。 さらに,構成要件H~Jに関する相違点に係る構成は,乙B13発明に開示されていない。 加えて,構成要件H~Jに関する相違点に係る構成について,乙B31発明-2に乙B13発明を適用することの動機付けは見いだせない。 (3) 本件発明B-2構成要件Mの構成だけでなく,構成要件Lの構成も,本件発明B-2と乙B31発明-2の相違点である。 3 争点3(損害額)別紙「本件特許権A関係の請求に関する事実及び理由」の「第2」の「3 争点3(損害額)」に同じ。 第3 当裁判所の判断 1 本件各発明Bの技術的意義 本件明細書Bの記載によれば,本件各発明Bの技術的意義は,次のとおりと認められる。 (1) 技術分野(【0001】)本件各発明Bは,肘掛部に施療者の前腕部をマッサージする前腕部施療機構を備えた椅子式マッサージ機に関するものである。 (2) 背景技術(【0002】~【0004】)ア座部,背凭れ部及び該座部の左右両側に肘掛部を備えた椅子式マッサージ機において,肘掛部の上部に前腕部施療機構を備えて,着座した施療者の腕部をマ (2) 背景技術(【0002】~【0004】)ア座部,背凭れ部及び該座部の左右両側に肘掛部を備えた椅子式マッサージ機において,肘掛部の上部に前腕部施療機構を備えて,着座した施療者の腕部をマッサージする形態のものは既に存在し,市場では商品化されている。 イ例えば,図19に示す前腕部施療機構を備えた椅子式マッサージ機は,手揉 機能付施療機1として,肘幅方向両側に各々立上り壁211・211を設けた肘掛 部21を椅子本体2の両側に設けており,その肘掛部21の各立上り壁211・211間に人体手部を各々嵌脱自在で該人体手部に膨縮施療を付与し得るよう,圧縮空気給排気手段を配設して成り,施療者が着座状態で人体手部を両肘掛部21・21上面部に安定的に保持させて,人体手部及び腕部を効率良く空圧施療することができるよう構成したものである(なお,肘掛部21の前側上面部は,立上り壁21 1が形成されておらず,平坦になっている。)。 また,図20に示す前腕部施療機構を備えた椅子式マッサージ機は,左右一対の立上り壁を左右の肘掛部の長さ方向全域にそれぞれ設けた形態のものであり,凹部の内壁に,人体の肢体を挿入するための空間を設けるように空気袋をそれぞれ取着して施療部を形成し,空気袋に空気を給排気して空気袋を膨張及び収縮させる給排 気装置を連通して設けて成るエアーマッサージ機3を,椅子20の肘掛けの上部全域に設けた構成である。 (3) 発明が解決しようとする課題(【0006】~【0009】)ア図20に示す椅子式マッサージ機は,肘掛部の長さ方向全域に前腕部施療機構として左右一対の立上り壁を設けており,手部及び前腕部の広範を同時にマッサ ージすることができて便利である。しかし,施療者の肘関節付近にまで該各立上り壁が形成されて さ方向全域に前腕部施療機構として左右一対の立上り壁を設けており,手部及び前腕部の広範を同時にマッサ ージすることができて便利である。しかし,施療者の肘関節付近にまで該各立上り壁が形成されているため,図18に示すように,上腕部内側の肘関節付近を施療者側である内側立上り壁623が圧迫して,施療者に不快感を与えたり,前腕部施療機構における腕部の載脱行為を妨げたりするなどの欠点があった。特に,施療者の身長が低くて小柄であるほど,内側立上り壁623による圧迫が大きくなると考え られる。 また,着座した施療者が立ち上がる際又は着座する際,通常は肘掛部の前端部を手で掴んで体重を掛ける。しかし,図20に示す形態の椅子式マッサージ機は,肘掛部の前端部にまで左右の立上り壁が形成されているため,肘掛部の前端部の上面部が開口された形態となり,そのような部分に体重を掛けることは困難であった。 【図20】 【図18】 イ左右一対の立上り壁を設けた椅子式マッサージ機において,図19に示すような肘掛部の前側上面部に該立上り壁が形成されず,平坦になった部分を有する構 成のものに関しては,該平坦になった部分を手掛け部として体重を掛けることができる。しかし,左右一対の立上り壁間に形成される凹部の底面部と,該手掛け部の平坦になった部分とが同じ高さの同面であるため,手掛け部を掴んで立ち上がろうとする際,図18に示すのと同様,内側立上り壁623によって上腕部内側の肘関節付近が圧迫を受け,その付近とともに前腕部の内側が摺擦されながら,凹部から 腕部が離脱することになり,この場合も施療者に対して不快感を与えるものとなると考えられていた。 【図19】 ウ本件各発明Bは,上記問題点を解消する 部の内側が摺擦されながら,凹部から 腕部が離脱することになり,この場合も施療者に対して不快感を与えるものとなると考えられていた。 【図19】 ウ本件各発明Bは,上記問題点を解消すること,すなわち,施療者の腕部に対 し,前腕部施療機構の立上り壁が不必要に圧迫して不快感をもたらす要因を解消し,前腕部施療機構における腕部の載脱をスムーズに行うよう構成するとともに,前腕部施療機構を有していても施療者が起立及び着座を快適に行うことができるよう構成した椅子式マッサージ機を提供することを目的とするものである。 (4) 課題を解決するための手段(【0010】,【0013】)及び発明の効果 (【0015】,【0018】)本件各発明Bの椅子式マッサージ機は,その構成を採用することにより,前腕部施療機構におけるスムーズな前腕部の載脱が可能となり,施療者が起立及び着座を快適に行うことができるとともに,肘掛部が,椅子本体に対して前後方向に移動可能に設けられており,背凭れ部のリクライニング角度に応じた所定の移動量を保持 しながら背凭れ部のリクライニング動作に連動して肘掛部が椅子本体に対して前後方向に移動するように構成することにより,背凭れ部のリクライニング角度に関係なく,肘掛部に設けた前腕部施療機構における前腕部の位置が可及的に変わらないようにすることができ,安定した前腕部に対するマッサージを行うことができる。 2 争点1(技術的範囲の属否)のうち,「前記背凭れ部の左右の側壁部と」 (構成要件B)の充足性について(1) 意義ア特許請求の範囲の記載本件発明B-1に係る特許請求の範囲には,「前記背凭れ部の左右の側壁部と」と記載されている(構成要件B)。格助詞の「の」には,場所を示し「…にある」 (1) 意義ア特許請求の範囲の記載本件発明B-1に係る特許請求の範囲には,「前記背凭れ部の左右の側壁部と」と記載されている(構成要件B)。格助詞の「の」には,場所を示し「…にある」 などと言い換えられる意味と,位置,方角を示し「…に対する」などと言い換えられる意味がある(甲B6)。 そうすると,「背凭れ部の…側壁部」が,「背凭れ部」自体にある(設けられている)「側壁部」を意味するのか,「背凭れ部」に対して左右に位置する「側壁部」を意味するのかについては,特許請求の範囲の記載からは,必ずしも一義的に 明らかでない。 イ本件明細書Bの記載(ア) そこで,本件明細書Bの記載を参酌することとする。 前記1のとおり,従来技術の椅子式マッサージ機においては,手部及び前腕部の広範を同時にマッサージするために肘掛部の長さ方向全域に左右一対の立上り壁が設けられた椅子式マッサージ機はもとより,肘掛部の長さ方向全域のうち前側上面 部を除いて左右一対の立上り壁が設けられた椅子式マッサージ機においても,内側立上り壁が,施療者の上腕部内側の肘関節付近を圧迫することにより施療時に不快感を与えるだけでなく,腕部の載脱行為を妨げることにより載脱時にも不快感を与えるという課題があった。そこで,本件各発明Bは,肘掛部を「底面部,及び外側立上り壁により形成」し(構成要件G-1),前腕部に対する不必要な圧迫や摺擦 をもたらす要因をなくすことにより,前腕部施療機構におけるスムーズな前腕部の載脱が可能となり,施療者が起立及び着座を快適に行うことができるようにするとともに,肘掛部を椅子本体に対して前後方向に移動可能に設け,背凭れ部のリクライニング角度に応じた所定の移動量を保持しながら背凭れ部のリクライニング動作に連動して肘 快適に行うことができるようにするとともに,肘掛部を椅子本体に対して前後方向に移動可能に設け,背凭れ部のリクライニング角度に応じた所定の移動量を保持しながら背凭れ部のリクライニング動作に連動して肘掛部が椅子本体に対して前後方向に移動するように「前記肘掛部の後 部と前記背凭れ部の側部とを連結する連結部と,前記肘掛部の下部に設けられ,前記背凭れ部のリクライニング動作の際に前記連結部を介して前記肘掛部全体を前記座部に対して回動させる回動部とを設け,」「前記肘掛部全体が,前記背凭れ部のリクライニング動作に連動して,リクライニングする方向に傾くように構成」すること(構成要件H及びI)により,背凭れ部のリクライニング角度に関係なく,肘 掛部に設けた前腕部施療機構における前腕部の位置が可及的に変わらないようにして,「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら(構成要件J),安定した前腕部に対するマッサージを行うこととしたものである。 (イ) 本件各発明Bの上記技術的意義を踏まえつつ,本件明細書Bにおいて「背凭 れ部」と「側壁部」の関係に言及した記載を見るに,【0022】には,「本発明 の椅子式マッサージ機は,図1乃至図3の実施形態で示したように…背凭れ部12aの左右両側に前方に向かって突出した側壁部2aを夫々配設している。」と記載されているところ,図1~3の「側壁部」はいずれも「背凭れ部」自体に設けられている。また,【0030】には,「前記背凭れ部12aに設けた左右の側壁部2a」と,「左右の側壁部」が「背凭れ部」自体に設けられていることが明確かつ直 接的に記載されている。 さらに,「背凭れ部」と「側壁部」の関係について直接言及した記載ではないものの,【0054】は,「図4 左右の側壁部」が「背凭れ部」自体に設けられていることが明確かつ直 接的に記載されている。 さらに,「背凭れ部」と「側壁部」の関係について直接言及した記載ではないものの,【0054】は,「図4に示すように,前記肘掛部14aは,椅子本体10aに対して前後方向に移動可能に設けられており,前記背凭れ部12aのリクライニング角度に応じた所定の移動量を保持しながら前記背凭れ部12aのリクライニ ング動作に連動して前記肘掛部14aが椅子本体10aに対して前後方向に移動するようにしている。」とし,【0055】は,「前記肘掛部14aの下部に前後方向に回動するための回動部141aを設けると共に,肘掛部14aの後部で回動可能に前記背凭れ部12aの側部と連結する連結部142aを設けて構成している。」とする。図4では,「側壁部」が「背凭れ部」に設けられている一方で,肘 掛部の動きが,肘掛部の後部と「背凭れ部」の側部とを連結する連結部と肘掛部の下部に設けられた回動部により規制され,「背凭れ部」のリクライニング動作に連動して肘掛部全体が「背凭れ部」のリクライニングする方向に傾く様子が図示されている。 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 (ウ) これらの本件明細書Bの記載によれば,本件各発明Bの「椅子式マッサージ機」は,「側壁部」の内側面に配設された膨縮袋により施療者の肩又は上腕を施療 し(構成要件F,【0030】),肘掛部に配設された前腕部施療機構により施療者の前腕を施療する(構成要件G-2)ところ,このような「椅子式マッサージ機」において,「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩または上腕か り施療者の前腕を施療する(構成要件G-2)ところ,このような「椅子式マッサージ機」において,「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療を行う」ための構成として,本件明細書Bには,「背凭れ部」 に設けられ,「背凭れ部」と一体となってリクライニング動作を行う「側壁部」と,連結部と回動部により「背凭れ部」がリクライニングする方向に傾くよう動きが規制される肘掛部によって,「背凭れ部」のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保つという構成が開示されていると認められる。 他方,本件明細書Bを通覧しても,「側壁部」が,「背凭れ部」自体には設けら れておらず,「背凭れ部」に対して左右に位置することについて,明示の記載はない。また,「側壁部」が「背凭れ部」に設けられていない場合において,リクライニング角度に関わらず「側壁部」を「背凭れ部」の左右に位置させ,「前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療を行う」こ とができる構成について,明示の記載はもとより示唆する記載もない。 ウ出願経過 (ア) さらに,出願経過について見るに,本件補正時に提出した上申書(乙B3)において,「前記背凭れ部の左右の側壁部」を含む補正は,当初明細書【0030】の記載に基づき補正されたものとされている。当該段落自体は補正されておらず,本件明細書Bの【0030】と同一内容である。 (イ) 本件補正時の原告の説明について a 原告は,本件補正後の請求項1について,以下のように説明している。 「補正 自体は補正されておらず,本件明細書Bの【0030】と同一内容である。 (イ) 本件補正時の原告の説明について a 原告は,本件補正後の請求項1について,以下のように説明している。 「補正後の本発明に係る椅子式マッサージ機は,左右の側壁部の内側面に夫々左右方向に重合した膨縮袋を備えることにより…,その膨張時に重合した膨縮袋が扇状に広がって施療者の身体側部(肩部はまた上腕部)を狭圧しつつ,身体前方まで覆って身体側部を施療することができます。さらに,前腕部の長手方向において肘 掛部の前期外側立上り壁に配設された複数個の膨縮袋を備えることにより…,前腕部を外側方から覆って空圧施療を行うことができます。かかる構成により,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁からの一体的かつ連続的な空圧施療を行うことができます。」「補正後の本発明に係る椅子式マッサージ機は,…前腕部施療機構を備えた肘掛 部の全体が,背凭れ部のリクライニング動作に連動して傾くよう回動可能に構成されており,肘掛部の底面部に前腕部を載置した状態であっても,肘掛部全体が背凭れ部のリクライニング動作に連動して傾くことで,肘掛部全体の傾き具合を背凭れ部のリクライニング動作に常時対応させることができます。…その結果,…補正後の本発明に係る椅子式マッサージ機は,肘掛部の底面部に載置した前腕部を含む上 半身の着座姿勢を安定的に保ちながら,背凭れ部のリクライニング角度に関係なくリラックスした姿勢で,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療を行うことができるという特徴を有しています。」b ここで,「背凭れ部」と「側壁部」との関係につき,「背凭れ部」自体に「側壁部」を設けた場合は,「背凭れ部」のリクライニング動作に伴って「側壁 うことができるという特徴を有しています。」b ここで,「背凭れ部」と「側壁部」との関係につき,「背凭れ部」自体に「側壁部」を設けた場合は,「背凭れ部」のリクライニング動作に伴って「側壁 部」も傾くことから,上記特徴を発揮し得ることは明らかである。 他方,「背凭れ部」と「側壁部」とがそのような関係になく,「側壁部」が「背凭れ部」に対して左右に位置するというにすぎない場合,なお上記特徴を発揮するべく「背凭れ部」のリクライニング動作に伴って「側壁部」が傾くためには,これを実現し得る何らかの機構ないし構成を更に必要とすることになる。しかし,本件特許B-1に係る請求項及び本件明細書Bのいずれにも,そうした機構ないし構成 に関する明示の記載も示唆もない。上記上申書においても,その点に関する説明はない。 エ以上によれば,「背凭れ部の…側壁部」とは,「背凭れ部」に対して左右に位置する「側壁部」を意味するのではなく,「背凭れ部」自体に設けられた「側壁部」を意味すると解される。 オ原告の主張についてこれに対し,原告は,「背凭れ部の…側壁部」は,「背凭れ部」に対して左右に位置する「側壁部」を意味すると主張する。 しかし,上記のとおり,助詞「の」の意義は多義的であるし,本件明細書Bの記載(【0022】,【0030】)及び図面(図1~図3)も,むしろ「側壁部」 が「背凭れ部」の単に左右に位置するというにとどまらず,「背凭れ部」自体に設けられていることを示すものと理解される。なお,図5に関しては,それのみでは「背凭れ部」と「側壁部」の関係は判然としない。 したがって,この点に関する原告の主張は採用できない。 (2) 被告製品1~5,8~12の構成 ア(ア) 被告製品1及び2a 被告製品1 れ部」と「側壁部」の関係は判然としない。 したがって,この点に関する原告の主張は採用できない。 (2) 被告製品1~5,8~12の構成 ア(ア) 被告製品1及び2a 被告製品1証拠(甲7)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品1の側壁部,背凭れ部,肘掛部及びアームレストユニットの構成は,別紙「被告製品1側壁部及び背もたれ部説明図」記載のとおりであると認められる。これによれば,被告製品1において,側 壁部は,アームレストユニットに肘掛部と共に形成されており,背凭れ部には形成 されていないことが認められる。 したがって,被告製品1の構成は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)を充足しない。 b 被告製品2証拠(甲7,8)及び弁論の全趣旨によれば,構成要件Bの構成と対比すべき被 告製品2の側壁部,背凭れ部,肘掛部及びアームレストユニットの構成は,被告製品1と同様であると認められる。 したがって,被告製品2の構成は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)を充足しない。 (イ) 被告製品3 証拠(甲9)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品3の側壁部,背凭れ部,肘掛部及びアームレストユニットの構成は,別紙「被告製品3側壁部及び背もたれ部説明図」記載のとおりであると認められる。これによれば,被告製品3において,側壁部は,アームレストユニットに肘掛部と共に形成されており,背凭れ部には形成されていないことが認められる。 したがって,被告製品3の構成は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)を充足しない。 (ウ) 被告製品8~10a 被告製品8証拠(甲15)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品8の側壁部,背凭れ部,肘 掛部及びアームレストユニットの構成は,別紙「被告製品8~ 充足しない。 (ウ) 被告製品8~10a 被告製品8証拠(甲15)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品8の側壁部,背凭れ部,肘 掛部及びアームレストユニットの構成は,別紙「被告製品8~10側壁部及び背もたれ部説明図」記載のとおりであると認められる。これによれば,被告製品8において,側壁部は,アームレストユニットに肘掛部と共に形成されており,背凭れ部には形成されていないことが認められる。 したがって,被告製品8の構成は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B) を充足しない。 b 被告製品9及び10証拠(甲15~17)及び弁論の全趣旨によれば,構成要件Bの構成と対比すべき被告製品9及び10の側壁部,背凭れ部,肘掛部及びアームレストユニットの構成は,被告製品8と同様であり,別紙「被告製品8~10側壁部及び背もたれ部説明図」記載のとおりであると認められる。 したがって,被告製品9及び10の構成は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)を充足しない。 (エ) 被告製品4及び12a 被告製品4証拠(甲11)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品4の側壁部,背凭れ部,肘 掛部及びアームレストユニットの構成は,別紙「被告製品4及び12側壁部及び背もたれ部説明図」記載のとおりであると認められる。これによれば,被告製品4において,側壁部は,アームレストユニットに肘掛部と共に形成されており,背凭れ部には形成されていないことが認められる。 したがって,被告製品4の構成は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B) を充足しない。 b 被告製品12証拠(甲11,19)及び弁論の全趣旨によれば,構成要件Bの構成と対比すべき被告製品12の側壁部,背凭れ部,肘掛部及びアームレストユニットの構成は, ) を充足しない。 b 被告製品12証拠(甲11,19)及び弁論の全趣旨によれば,構成要件Bの構成と対比すべき被告製品12の側壁部,背凭れ部,肘掛部及びアームレストユニットの構成は,被告製品4と同様であり,別紙「被告製品4及び12側壁部及び背もたれ部説明 図」記載のとおりであると認められる。 したがって,被告製品12の構成は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)を充足しない。 (オ) 被告製品5証拠(甲12)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品5の側壁部,背凭れ部,肘 掛部及びアームレストユニットの構成は,別紙「被告製品5側壁部及び背もたれ部 説明図」記載のとおりであると認められる。これによれば,被告製品5において,側壁部は,アームレストユニットに肘掛部と共に形成されており,背凭れ部には形成されていないことが認められる。 したがって,被告製品5の構成は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)を充足しない。 (カ) 被告製品11証拠(甲18)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品11の側壁部,背凭れ部,肘掛部及びアームレストユニットの構成は,別紙「被告製品11側壁部及び背もたれ部説明図」記載のとおりであると認められる。これによれば,被告製品11において,側壁部は,アームレストユニットに肘掛部と共に形成されており,背凭れ部 には形成されていないことが認められる。 したがって,被告製品11の構成は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)を充足しない。 イ原告の主張についてこれに対し,原告は,被告製品1~5,8~12の側壁部は「背凭れ部の左右の 側壁部」を充足すると主張する。しかし,原告の上記主張は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)の記載に係る自らの解釈を前提 し,原告は,被告製品1~5,8~12の側壁部は「背凭れ部の左右の 側壁部」を充足すると主張する。しかし,原告の上記主張は,「背凭れ部の左右の側壁部」(構成要件B)の記載に係る自らの解釈を前提とするものであり,その前提を欠く以上,この点に関する原告の主張は採用できない。 (3) 構成要件Mの充足性本件発明B-2は,本件発明B-1の従属発明であり,被告製品1~5,8~1 2が構成要件Bを充足しない以上,構成要件Mを充足しない。 3 小括以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,被告製品1~5,8~12は,本件各発明Bの技術的範囲に属さない。したがって,原告の本件特許権Bの侵害に基づく請求は,いずれも理由がない。 以上 (別紙)本件各発明B構成要件目録 1 本件発明B-1A 座部と前記座部の後側でリクライニング可能に連結された背凭れ部を有する椅子本体と,B 前記背凭れ部の左右の側壁部と,C 該椅子本体の両側部に設けた肘掛部と,D を有する椅子式マッサージ機において,E 前記左右の側壁部は,前記座部に着座した施療者の肩または上腕側方となる位置に配設しており,F 前記左右の側壁部の内側面には夫々左右方向に重合した膨縮袋を備えて,これら重合した膨縮袋の基端部を前記側壁部に取り付けるように構成しており,G 前記肘掛部は,G-1 施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,G-2 前腕部の長手方向において前記外側立上り壁に複数個配設された膨縮袋で前記底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構を備えており,H 前記肘掛部の後部と前記背凭れ部の側部とを連結する連結部と,前記肘掛部の に複数個配設された膨縮袋で前記底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構を備えており,H 前記肘掛部の後部と前記背凭れ部の側部とを連結する連結部と,前記肘掛部の下部に設けられ,前記背凭れ部のリクライニング動作の際に前記連結部を介して前記肘掛部全体を前記座部に対して回動させる回動部とを設け,I 前記肘掛部全体が,前記背凭れ部のリクライニング動作に連動して,リクライニングする方向に傾くように構成されて,J 前記背凭れ部のリクライニング角度に関わらず施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩または上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から 空圧施療を行うK 事を特徴とする椅子式マッサージ機。 2 本件発明B-2L 前記肘掛部が前記背凭れ部の側部付近まで延設されており,かつ前記外側立上り壁が施療者の前腕部から肘部に位置するように構成されているM 事を特徴とする請求項1記載の椅子式マッサージ機。 以上 (別紙)被告製品1及び2構成目録(原告主張) 1 本件発明B-1の構成要件に準じた構成a 座部と座部の後側でリクライニング可能に連結された背もたれ部を有する椅子本体と,b 背もたれ部の左右の側壁部と,c 該椅子本体の両側部に設けた肘掛部と,d を有するマッサージチェアにおいて,e 左右の側壁部は,座部に着座した施療者の肩から上腕側方となる位置に配設しており,f 左右の側壁部の内側面には,夫々左右方向に重合した肩・上腕エアセルを備えて,これら肩・上腕エアセルの基端部を側壁部に取り付けるように構成しており,g 肘掛部は,g-1 施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,g-2 前腕部 えて,これら肩・上腕エアセルの基端部を側壁部に取り付けるように構成しており,g 肘掛部は,g-1 施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,g-2 前腕部の長手方向において外側立上り壁に2個配設された前腕エアセルで底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構を備えており,h 肘掛部の後部と背もたれ部の側部とを連結する連結部と,肘掛部の下部に設けられ,背もたれ部のリクライニング動作の際に連結部を介して肘掛部全体を座部に対して回動させる回動部とを設け,i 肘掛部全体が背もたれ部のリクライニング動作に連動して,リクライニングする方向に傾くよう構成されて,j 背もたれ部のリクライニング角度にかかわらず,施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施 療を行うk 事を特徴とするマッサージチェア。 2 本件発明B-2の構成要件に準じた構成l 肘掛部が背もたれ部の側部付近まで延設されており,かつ外側立上り壁が施療者の前腕部から肘部に位置するように構成されているm 事を特徴とする前記1のマッサージチェア。 以上 (別紙)被告製品3構成目録(原告主張) 1 本件発明B-1の構成要件に準じた構成a 座部と座部の後側でリクライニング可能に連結された背もたれ部を有する椅子本体と,b 背もたれ部の左右の側壁部と,c 該椅子本体の両側部に設けた肘掛部と,d を有するマッサージチェアにおいて,e 左右の側壁部は,座部に着座した施療者の肩から上腕側方となる位置に配設しており,f 左右の側壁部の内側面には,夫々左右方向に重合した肩・上腕エアセルを備えて,これら肩・上腕エ アにおいて,e 左右の側壁部は,座部に着座した施療者の肩から上腕側方となる位置に配設しており,f 左右の側壁部の内側面には,夫々左右方向に重合した肩・上腕エアセルを備えて,これら肩・上腕エアセルの基端部を側壁部に取り付けるように構成しており,g 肘掛部は,g-1 施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,g-2 前腕部の長手方向において外側立上り壁に4組配設された前腕エアセルで底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構を備えており,h 肘掛部の後部と背もたれ部の側部とを連結する連結部と,肘掛部の下部に設けられ,背もたれ部のリクライニング動作の際に連結部を介して肘掛部全体を座部に対して回動させる回動部とを設け,i 肘掛部全体が背もたれ部のリクライニング動作に連動して,リクライニングする方向に傾くよう構成されて,j 背もたれ部のリクライニング角度にかかわらず,施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療 を行うk 事を特徴とするマッサージチェア。 2 本件発明B-2の構成要件に準じた構成l 肘掛部が背もたれ部の側部付近まで延設されており,かつ外側立上り壁が施療者の前腕部から肘部に位置するように構成されているm 事を特徴とする前記1のマッサージチェア。 以上 (別紙)被告製品8~10構成目録(原告主張) 1 本件発明B-1の構成要件に準じた構成a 座部と座部の後側でリクライニング可能に連結された背もたれ部を有する椅子本体と,b 背もたれ部の左右の側壁部と,c 該椅子本体の両側部に設けた肘掛部と,d を有するマッサージチェアにおいて,e の後側でリクライニング可能に連結された背もたれ部を有する椅子本体と,b 背もたれ部の左右の側壁部と,c 該椅子本体の両側部に設けた肘掛部と,d を有するマッサージチェアにおいて,e 左右の側壁部は,座部に着座した施療者の肩から上腕側方となる位置に配設しており,f 左右の側壁部の内側面には,夫々左右方向に重合した肩・上腕エアセルを備えて,これら肩・上腕エアセルの基端部を側壁部に取り付けるように構成しており,g 肘掛部は,g-1 施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,g-2 前腕部の長手方向において外側立上り壁に2個配設された前腕エアセルで底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構を備えており,h 肘掛部の後部と背もたれ部の側部とを連結する連結部と,肘掛部の下部に設けられ,背もたれ部のリクライニング動作の際に連結部を介して肘掛部全体を座部に対して回動させる回動部とを設け,i 肘掛部全体が背もたれ部のリクライニング動作に連動して,リクライニングする方向に傾くよう構成されて,j 背もたれ部のリクライニング角度にかかわらず,施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,上腕から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施 療を行うk 事を特徴とするマッサージチェア。 2 本件発明B-2の構成要件に準じた構成l 肘掛部が背もたれ部の側部付近まで延設されており,かつ外側立上り壁が施療者の前腕部から肘部に位置するように構成されているm 事を特徴とする前記1のマッサージチェア。 以上 (別紙)被告製品4及び12構成目録(原告主張) 1 本件発明B-1の構成要件に準じた構成a 座部と座部の後側でリクラ を特徴とする前記1のマッサージチェア。 以上 (別紙)被告製品4及び12構成目録(原告主張) 1 本件発明B-1の構成要件に準じた構成a 座部と座部の後側でリクライニング可能に連結された背もたれ部を有する椅子本体と,b 背もたれ部の左右の側壁部と,c 該椅子本体の両側部に設けた肘掛部と,d を有するマッサージチェアにおいて,e 左右の側壁部は,座部に着座した施療者の肩から上腕側方となる位置に配設しており,f 左右の側壁部の内側面には,夫々左右方向に重合した肩・上腕エアセルを備えて,これら肩・上腕エアセルの基端部を側壁部に取り付けるように構成しており,g 肘掛部は,g-1 施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,g-2 前腕部の長手方向において外側立上り壁に1個配設された前腕エアセルで底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構を備えており,h 肘掛部の後部と背もたれ部の側部とを連結する連結部と,肘掛部の下部に設けられ,背もたれ部のリクライニング動作の際に連結部を介して肘掛部全体を座部に対して回動させる回動部とを設け,i 肘掛部全体が背もたれ部のリクライニング動作に連動して,リクライニングする方向に傾くよう構成されて,j 背もたれ部のリクライニング角度にかかわらず,施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療 を行うk 事を特徴とするマッサージチェア。 2 本件発明B-2の構成要件に準じた構成l 肘掛部が背もたれ部の側部付近まで延設されており,かつ外側立上り壁が施療者の前腕部から肘部に位置するように構成されているm 事を特徴とする前 2 本件発明B-2の構成要件に準じた構成l 肘掛部が背もたれ部の側部付近まで延設されており,かつ外側立上り壁が施療者の前腕部から肘部に位置するように構成されているm 事を特徴とする前記1のマッサージチェア。 以上 (別紙)被告製品5構成目録(原告主張) 1 本件発明B-1の構成要件に準じた構成a 座部と座部の後側でリクライニング可能に連結された背もたれ部を有する椅子本体と,b 背もたれ部の左右の側壁部と,c 該椅子本体の両側部に設けた肘掛部と,d を有するマッサージチェアにおいて,e 左右の側壁部は,座部に着座した施療者の肩から上腕側方となる位置に配設しており,f 左右の側壁部の内側面には,夫々左右方向に重合した肩・上腕エアセルを備えて,これら肩・上腕エアセルの基端部を側壁部に取り付けるように構成しており,g 肘掛部は,g-1 施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,g-2 前腕部の長手方向において外側立上り壁に1個配設された前腕エアセルで底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構を備えており,h 肘掛部の後部と背もたれ部の側部とを連結する連結部と,肘掛部の下部に設けられ,背もたれ部のリクライニング動作の際に連結部を介して肘掛部全体を座部に対して回動させる回動部とを設け,i 肘掛部全体が背もたれ部のリクライニング動作に連動して,リクライニングする方向に傾くよう構成されて,j 背もたれ部のリクライニング角度にかかわらず,施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療 を行うk 事を特徴とするマッサージチェア。 2 本件発明B-2 かかわらず,施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,肩から前腕に亘って側壁部及び外側立上り壁側から空圧施療 を行うk 事を特徴とするマッサージチェア。 2 本件発明B-2の構成要件に準じた構成l 肘掛部が背もたれ部の側部付近まで延設されており,かつ外側立上り壁が施療者の前腕部から肘部に位置するように構成されているm 事を特徴とする前記1のマッサージチェア。 以上 (別紙)被告製品11構成目録(原告主張) 1 本件発明B-1の構成要件に準じた構成a 座部と座部の後側でリクライニング可能に連結された背もたれ部を有する椅子本体と,b 背もたれ部の左右の側壁部と,c 該椅子本体の両側部に設けた肘掛部と,d を有するマッサージチェアにおいて,e 左右の側壁部は,座部に着座した施療者の肩から上腕側方となる位置に配設しており,g 肘掛部は,g-1 施療者の前腕部を載置しうるための底面部,及び外側立上り壁により形成され,g-2 前腕部の長手方向において外側立上り壁に2個配設された前腕エアセルで底面部に載置した施療者の前腕部にマッサージを施すための前腕部施療機構を備えており,h 肘掛部の後部と背もたれ部の側部とを連結する連結部と,肘掛部の下部に設けられ,背もたれ部のリクライニング動作の際に連結部を介して肘掛部全体を座部に対して回動させる回動部とを設け,i 肘掛部全体が背もたれ部のリクライニング動作に連動して,リクライニングする方向に傾くよう構成されて,j 背もたれ部のリクライニング角度にかかわらず,施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら,前腕に外側立上り壁側から空圧施療を行うk 事を特徴とするマッサージチェア。 2 本件発明B-2の のリクライニング角度にかかわらず、施療者の上半身における着座姿勢を保ちながら、前腕に外側立上り壁側から空圧施療を行うことを特徴とするマッサージチェア。 主文 本件発明B-2の構成要件に準じた構成で、肘掛部が背もたれ部の側部付近まで延設されており、かつ外側立上り壁が施療者の前腕部から肘部に位置するように構成されていることを特徴とする前記1のマッサージチェア。 以上 (別紙)被告製品1側壁部及び背もたれ部説明図 【図1】前面斜視図 側壁部肘掛部座部アームレストユニット 【図2】背面斜視図 以上 肘掛部側壁部背もたれ部 (別紙)被告製品3側壁部及び背もたれ部説明図 【図1】前面斜視図 側壁部肘掛部アームレストユニット座部 【図2】背面斜視図 以上 側壁部肘掛部背もたれ部 (別紙)被告製品8~10側壁部及び背もたれ部説明図 【図1】前面斜視図 (別紙)被告製品8~10側壁部及び背もたれ部説明図 【図1】前面斜視図 側壁部肘掛部座部アームレストユニット 【図2】背面斜視図 以上 側壁部肘掛部背もたれ部 (別紙)被告製品4及び12側壁部及び背もたれ部説明図 【図1】前面斜視図 側壁部肘掛部アームレストユニット座部 【図2】背面斜視図 以上 側壁部肘掛部背もたれ部 (別紙)被告製品5側壁部及び背もたれ部説明図 【図1】前面斜視図 側壁部肘掛部座部アームレストユニット 【図2】背面斜視図 以上 側壁部背もたれ部肘掛部 (別紙)被告製品11側壁部及び背もたれ部説明図 【図1】前面斜視図 背もたれ部肘掛部 (別紙)被告製品11側壁部及び背もたれ部説明図 【図1】前面斜視図 側壁部肘掛部座部アームレストユニット 【図2】背面斜視図 以上 側壁部肘掛部背もたれ部 (別紙)本件特許権C関係の請求に関する事実及び理由第1 前提事実(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,本判決において書証を掲記する際には,枝番号の全てを含むときはその記載を省略することがある。) 1 本件特許権C特許番号第4866978号発明の名称椅子式マッサージ機出願日平成20年10月27日登録日平成23年11月25日 特許請求の範囲別紙「特許公報」記載のとおりなお,本件特許Cの願書に添付された明細書及び図面(以下,これらを併せて「本件明細書C」という。)の記載は,上記別紙のとおりである。 2 構成要件の分説本件各発明Cを構成要件にそれぞれ分説すると,本件発明C-1は別紙本件各発 明C構成要件目録記載1,本件発明C-2は同記載2,本件発明C-3は同記載3,本件発明C-4は同記載4,本件発明C-5は同記載5のとおりである。 3 被告の行為被告は,業として,本件特許権Cの設定登録以降,被告製品1については製造,販売,輸出又は販売の申出のいずれかの行為を,被告製品2については製造販売行 為を行った(ただし,被告製品1の製造販売等開始時期その他の点に 件特許権Cの設定登録以降,被告製品1については製造,販売,輸出又は販売の申出のいずれかの行為を,被告製品2については製造販売行 為を行った(ただし,被告製品1の製造販売等開始時期その他の点については,当事者間に争いがある。)。 4 争点(1) 本件特許権C関係の請求固有の争点ア技術的範囲の属否(争点1) イ無効理由の存否(争点2) (ア) 産業上利用可能性の欠如の有無等(争点2-1)(イ) 進歩性欠如の有無(争点2-2)(2) 本件特許権A及びB関係の請求と共通の争点損害額(争点3)第2 争点に関する当事者の主張 1 争点1(技術的範囲の属否)(原告の主張)(1) 被告製品1及び2の構成及びその本件各発明Cの構成要件の充足被告製品1及び2の構成は,別紙「被告製品1及び2構成目録(原告主張)」記載のとおりである(なお,本件各発明Cの構成要件の充足性を検討する限りにおい ては,被告製品1及び2の構成の相違は考慮する必要はない。)。 これによれば,被告製品1及び2の構成は,本件各発明Cの構成要件を全て充足する。具体的には,後記(2)のとおりである。 (2) 具体的な主張ア 「空洞部」(構成要件B及びC)の充足 (ア) 意義a 特許請求の範囲の記載構成要件Bによれば,「空洞部」は,「前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための」構成であるから,「空洞部」とは,そのような空間を意味する。また,構成要件Cによれば,「空洞部」は, 「外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部」により形成されていることが記載されているけれども,「空洞部」すなわち「前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含む前腕部を 洞部」は, 「外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部」により形成されていることが記載されているけれども,「空洞部」すなわち「前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための」空間の全体にわたって内側立上り壁が存在することは記載されていない。「手掛け部」を設ける(構成要件D)前提として,「空洞部」につき,構成要件Cにおいて,外側立上り壁,内側立上り 壁及び底面部により形成する構成が特定されているにすぎない。そうすると,内側 立上り壁は,「空洞部」全体にわたって存在する必要はない。 b 本件明細書Cの記載本件明細書Cの記載によれば,前腕挿入開口部は,「空洞部の後方位置に設けられた外側立上り壁及び底面部」により形成されると記載されていることから,前腕挿入開口部は,「空洞部」中の後方部分であると解される。このような理解は,外 側立上り壁と底面部の二面で形成した前腕挿入開口部の構成を示した図8において,内側立上り壁が設けられていない箇所にも「空洞部」を示す符号「62a」が付されていることとも整合する。 また,本件明細書Cでは,内側立上り壁のない空間を「62a」とする構成も本件各発明Cの実施例とされている(【0046】,【図14】)。 c 出願経過本件特許Cの親出願(特願2006-220454。乙C8。以下「本件親出願」という。)の請求項1には,「空洞部」は,「前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の前腕部を挿入保持し得る」構成であると記載されている。また,その明細書には,本件明細書Cの【0046】及び図14と同様の記載がある。 本件特許Cの分割出願時の補正により,本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1には,「前記空洞部は,前記肘 る。また,その明細書には,本件明細書Cの【0046】及び図14と同様の記載がある。 本件特許Cの分割出願時の補正により,本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1には,「前記空洞部は,前記肘掛部の幅方向左右に夫々設けた外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部とから形成され」という記載が追加されたが,これは,内側立上り壁が存在しない箇所を「空洞部」から除外する趣旨ではない。このことは,本件明細書Cの【0046】,図8及び図14が,本件親出願から本件特許Cの特 許査定まで,一貫して本件各発明Cの実施例として位置付けられていることからもうかがわれる。 d 小括以上より,「空洞部」(構成要件B及びC)は,「前腕挿入開口部から連続して設けられ,施療者の肘から手先の部分までを挿入保持できる空間」であり,「外側立 上り壁及び内側立上り壁と底面部により形成され」とは,上記空間に外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部により形成された箇所が存在するものをいう。 (イ) 被告製品1及び2の構成被告製品1及び2の腕ユニットの構成は,以下の図のとおりである。すなわち,被告製品1及び2の腕ユニットには,腕ユニットの内側後方から施療者の前腕部を 挿入することができる開口部が設けられ,そこから連続して施療者の肘から手先までを挿入保持できる空間が構成されており,その先端側は,幅方向左右にそれぞれ設けられた外側壁面部,内側壁面部及び底面部とから形成されている。この外側側面部が「外側立上り壁」に,内側側面部が「内側立上り壁」に,底面部が「底面部」に,それぞれ相当する。 (ウ) 小括したがって,被告製品1及び2は,いずれも「空洞部」(構成要件B及びC)を充足する。 イ 「内側後方から施療者の ぞれ相当する。 (ウ) 小括したがって,被告製品1及び2は,いずれも「空洞部」(構成要件B及びC)を充足する。 イ 「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」(構成要件B)の充足 (ア) 意義a 特許請求の範囲の記載「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」(構成要件B)につき,本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1の記載には,開口部が肘掛部の内側後方からのものに限定されることを示す文言はない。 b 本件明細書Cの記載開口部空洞部内側壁面部外側壁面部 本件明細書Cでは,肘掛部の内側後方から施療者の前腕部を挿入する開口である前腕挿入開口部を備えつつも,肘掛部の上方や内側側方が開放された構成を本件各発明Cの実施例としており,また,肘掛部の上方が開放されている構成であっても「肘掛部14aの内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部61aを有して」いるとされている。 c したがって,「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」(構成要件B)とは,前腕挿入開口部が肘掛部の内側後方から施療者の前腕部を挿入する開口を意味するものの,前腕部を開口部に挿入する際の方向が肘掛部の内側後方からのものに限定されるわけではない。 (イ) 被告製品1及び2の構成 被告製品1及び2の腕ユニットには,内側後方から施療者の前腕部を挿入することができる開口部が設けられている。 (ウ) 小括したがって,被告製品1及び2は,いずれも「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」(構成要件B)を充足する。 ウ 「前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に ウ) 小括したがって,被告製品1及び2は,いずれも「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」(構成要件B)を充足する。 ウ 「前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され」(構成要件E-2)の充足(ア) 意義a 特許請求の範囲の記載本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1には,肘掛部後部の施療部が,底 面部と外側立上り壁により「L型」に形成されていると記載されているが,底面部と外側立上り壁が成す二面の構成が,「L型」という以上に限定されているわけではない。 b 本件明細書Cの記載本件明細書Cの記載によれば,本件各発明Cは,底面部と外側立上り壁によりL 型の施療部を形成するという構成要件E-2の構成を採用することにより,「手部 及び前腕部の広範を同時にマッサージする」という従来技術の利点を失わずに,「施療者の腕部に対し,前腕部施療機構の立上り壁が不必要に圧迫して不快感をもたらす要因を解消し,前腕部施療機構における腕部の載脱をスムーズに行うよう構成すると共に,前腕部施療機構を有していても施療者が起立及び着座を快適に行う事ができるよう構成した椅子式マッサージ機を提供する」という目的を達成するも のである。このことを踏まえると,「L型」とは,底面部とその肘掛部の幅方向外側から立ち上がる外側立上り壁の二面において施療者の前腕部を施療可能に構成されていることを表現したものといえる。 c 出願経過構成要件E-2の補正の根拠となった本件明細書Cの記載(【0045】,【0 046】)は,底面部とその肘掛部の幅方向外側から立ち上がる外側立上り壁の二面において施療者の前腕部を施療可能に構成されていることを示すものであり,外側立上り壁の一切の湾曲を許さないことを記載した 046】)は,底面部とその肘掛部の幅方向外側から立ち上がる外側立上り壁の二面において施療者の前腕部を施療可能に構成されていることを示すものであり,外側立上り壁の一切の湾曲を許さないことを記載したものではない。 d 小括以上より,「前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され」(構成要件 E-2)とは,底面部とその肘掛部の幅方向外側から立ち上がる外側立上り壁の二面において施療者の前腕部を施療可能に構成されていることを意味する。 (イ) 被告製品1及び2の構成被告製品1及び2の腕ユニット後部は,底面部及び外側壁面部によりL型に形成され,その二面において施療者の前腕部の広範を同時にマッサージすることが可能 である。この底面部が「底面部」に,外側壁面部が「外側立上り壁」に相当する。 (ウ) 小括したがって,被告製品1及び2は,いずれも「前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され」(構成要件E-2)を充足する。 エ 「前部に前記底面部と前記外側立上り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部 とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部」(構成要件E-1)の充足 被告製品1及び2の腕ユニットの前部には,底面部,外側壁面部,内側壁面部及びレスト部により囲われ,空洞部に位置するロ型施療部が備わっている。この底面部が「底面部」に,外側壁面部が「外側立上り壁」に,内側壁面部が「内側立上り壁」に,レスト部が「手掛け部」に,それぞれ相当する。また,この底面部,外側壁面部,内側壁面部及びレスト部により囲われ,空洞部に位置するロ型施療部が, 「前記底面部と前記外側立上り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部」(構成要件E-1)に相当する。 したがって,被告製品1及び2は,いずれも「 型施療部が, 「前記底面部と前記外側立上り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部」(構成要件E-1)に相当する。 したがって,被告製品1及び2は,いずれも「前部に前記底面部と前記外側立上り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部」(構成要件E-1)を充足する。 オ 「前記肘掛部は,中部に前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部を備えており」(構成要件H)の充足被告製品1及び2の腕ユニットの中部には,底面部,外側壁面部及びレスト部により形成されたコ型施療部が備わっている。この底面部が「底面部」に,外側壁面部が「外側立上り壁」に,レスト部が「手掛け部」に,それぞれ相当する。また, この底面部,外側壁面部及びレスト部により形成されたコ型施療部が,「前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部」(構成要件H)に相当する。 したがって,被告製品1及び2は,いずれも「前記肘掛部は,中部に前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部を備えており」(構 成要件H)を充足する。 (被告の主張)(1) 被告製品1及び2の構成及びその本件各発明Cの構成要件の非充足被告製品1及び2の構成については,肩外側と上腕内側の上腕プレスユニットの存在を含めて特定すべきである。 また,被告製品1及び2の構成の相違は,本件各発明Cのうち本件発明C-1及 びC-2の構成要件を充足するか否かを検討する限りにおいては,考慮する必要はない(なお,本件各発明Cのうち本件発明C-3~C-5の構成要件を充足するか否かを検討するに当たっては,本来であれば製品ごとに検討すべきである。しかし,後記 を検討する限りにおいては,考慮する必要はない(なお,本件各発明Cのうち本件発明C-3~C-5の構成要件を充足するか否かを検討するに当たっては,本来であれば製品ごとに検討すべきである。しかし,後記のとおり,被告製品1及び2の構成は,本件発明C-1の構成要件全てを充足するものではないところ,本件発明C-3~C-5の構成が,本件発明C-1の構 成を限定したものである以上,本件発明C-3~C-5の構成要件を充足するか否かを検討するに当たって,製品ごとの検討に立ち入る必要はない。)。 上記の点をも考慮すると,被告製品1及び2は,本件各発明Cの構成要件全てを充足するものではない。具体的には,後記(2)のとおりである。 (2) 具体的な主張 ア 「空洞部」(構成要件B及びC)の非充足(ア) 意義a 特許請求の範囲の記載本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1には,「肘掛部」は「前腕挿入開口部」及び「空洞部」から成り,このうち「空洞部」は,肘掛部の内部に「施療者 の手部を含む前腕部を挿入保持するための」部位であることが記載されている。そうすると,「空洞部」は,少なくとも前腕部を挿入保持することができる必要がある。また,当該請求項には,「空洞部」が,「肘掛部の幅方向左右に夫々設けた外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部とから形成され」ていると記載されている。 さらに,「手部」と「前腕部」とは,明確にその部位が認識理解されるものであ る。 そうすると,特許請求の範囲の記載からは,「空洞部」は,少なくとも前腕部を挿入保持することができ,また,前腕部の一部にまで「内側立上り壁」が及んでいる部位であると解される。 b 本件明細書Cの記載 本件明細書Cによれば,本件各発明Cは,「内側立上り壁」が存在することを前 ことができ,また,前腕部の一部にまで「内側立上り壁」が及んでいる部位であると解される。 b 本件明細書Cの記載 本件明細書Cによれば,本件各発明Cは,「内側立上り壁」が存在することを前 提に,その及ぶ範囲を少なくするのではなく,底面部よりも高い位置に手掛け部を,内側立上り壁と外側立上り壁に蓋をする形で設けることにより,「起立及び着座時の内側立上り壁による前腕部の摺擦を回避する」ものである。 そうすると,本件明細書Cの記載からは,本件各発明Cにおいては,少なくとも前腕部の一部にまで「内側立上り壁」が及んでいなければならないと解される。 c 出願経過「空洞部」は,分割出願時の補正により「前記肘掛部の幅方向左右に夫々設けた外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部とから形成され」たものに限定された。その結果,本件明細書Cの図14の「コ型」の形態の肘掛部は,本件発明C-1の技術的範囲には含まれない構成となった。 d 小括以上より,「空洞部」(構成要件B及びC)は,少なくとも施療者の前腕部を挿入保持することができ,また,前腕部の一部にまで及ぶ「内側立上り壁」が存在するものを意味する。 (イ) 被告製品1及び2の構成 被告製品1及び2は,以下の図のとおり,いずれも前腕部の一部にまで内側立上り壁が及んでいない。 (ウ) 小括したがって,被告製品1及び2は,いずれも「空洞部」(構成要件B及びC)を充足しない。 イ 「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」(構成要件B)の非充足 (ア) 意義a 特許請求の範囲の記載「前腕挿入開口部」とは,「前腕を中にさし入れるための一部を開放された部分」を意味するところ,本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1 )の非充足 (ア) 意義a 特許請求の範囲の記載「前腕挿入開口部」とは,「前腕を中にさし入れるための一部を開放された部分」を意味するところ,本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1には,「前腕挿入開口部」につき,「内側後方から」施療者の前腕部を挿入するためのものと 記載されている。したがって,「前腕挿入開口部」は,肘掛部の内側後方から施療者の前腕部を挿入するものに限定されている。 b 本件明細書Cの記載本件明細書Cの記載によれば,本件各発明Cは,「前腕挿入開口部」から延設して設けられている「空洞部」に内側立上り壁が形成されていることが前提となって いる。そうであるからこそ,「前腕挿入開口部」は,「内側後方から」施療者の前腕部を挿入する構成とされている。 c 小括以上によれば,「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」(構成要件B)とは,「内側後方から施療者の前腕部を挿入する」「開口部」 を意味し,「内側後方」でない外側や内側側方から挿入するものは含まれない。 (イ) 被告製品1及び2の構成被告製品1及び2の前腕挿入開口部は,いずれも,前腕用空洞部に内側立上り壁が存在しないこともあって,その内側側方から施療者の前腕部を挿入するものであり,内側後方から挿入するものではない。 (ウ) 小括 したがって,被告製品1及び2は,いずれも「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」(構成要件B)を充足しない。 ウ 「前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され」(構成要件E-2)の非充足(ア) 意義 a 特許請求の範囲の記載本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1には,「前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され」と記 に形成され」(構成要件E-2)の非充足(ア) 意義 a 特許請求の範囲の記載本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1には,「前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され」と記載されており, 「前記底面部と前記外側立上り壁により二面で形成され」などとは記載されていない。「L型」とは,欧文字の大文字「L」の形が示すように二辺を有する文字形状を意味する。 b 本件明細書Cの記載本件明細書Cの記載(【0044】~【0046】,【0048】)並びに図8及び15においても,上記aの意味でのL型施療部が発明の実施形態として示されている。 c 出願経過 原告は,本件特許Cの出願経過において,特開2005-27831公報(以下「乙C19公報」という。また,そこに記載の発明を「乙C19発明」という。)を引用文献とする拒絶理由通知に対し,乙C19発明の略「コ」字状の構成と対比して,「L型」の構成を採用することで「上面に位置する部分が腕部の載脱をスムーズに行う上で障害にな」るという課題を解決する点に「L型」の技術的意義があ るなどと説明していた。そうすると,「前腕部の載脱の障害となるような上面に位置する部分」を有する構成は,「L型」に当たらない。 d 小括以上より,「前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され」(構成要件E-2)とは,欧文字の大文字「L」の形が示すように二辺を有する構造を意味し, 「前腕部の載脱の障害となるような上面に位置する部分」を有する構成はこれに含 まれない。 (イ) 被告製品1及び2の構成被告製品1及び2の腕ユニットの後部は,いずれも,外壁が内側に湾曲しており,その上端の左右位置は底面部の略中間位置に達している。その形状は,略「コ」字状である。この (イ) 被告製品1及び2の構成被告製品1及び2の腕ユニットの後部は,いずれも,外壁が内側に湾曲しており,その上端の左右位置は底面部の略中間位置に達している。その形状は,略「コ」字状である。このため,被告製品1及び2は,「前腕部の載脱の障害となるような上 面に位置する部分」を有する。 (ウ) 小括したがって,被告製品1及び2は,いずれも「前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され」(構成要件E-2)を充足しない。 エ 「前部に前記底面部と前記外側立上り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部 とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部」(構成要件E-1)の非充足被告製品1及び2の「前部」は,「外側に向かって湾曲する内壁と内側に向かって湾曲する外壁が略アーチ状をなしており,底面部,外壁及び内壁により囲われ,施療者の手部のみを挿入保持する手部用空洞部に位置する略ロ型施療部が備わっている」と特定すべきである。 これを前提に被告製品1及び2についてみると,その腕ユニットの前部において,少なくとも前腕部を挿入保持することができる空洞部について,内側壁面部,外側壁面部及びレスト部を特定することができない。そうすると,被告製品1及び2の腕ユニットの前部には,「内側立上り壁」,「外側立上り壁」及び「手掛け部」に相当する構成が存在するとはいえない。 したがって,被告製品1及び2は,「前部に前記底面部と前記外側立上り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部」(構成要件E-1)を充足しない。 オ 「前記肘掛部は,中部に前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部を備えており,」(構成要件H)の非充足 被告製品1及び2の腕ユニットの「中部」は,「底面部及び内側に湾 前記肘掛部は,中部に前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部を備えており,」(構成要件H)の非充足 被告製品1及び2の腕ユニットの「中部」は,「底面部及び内側に湾曲した外壁 により囲われた略コ字状の施療部が備わっており,後端部においては外壁の上端の左右位置は底面部の略中間位置にあるが,外壁は前方に進むにつれて徐々に内側方向に拡大し,外壁の上端の左右位置も徐々に内側へ移動している」と特定すべきである。 これを前提に被告製品1及び2についてみると,その腕ユニットの中部において, 外側壁面部及びレスト部が特定できない。そうすると,被告製品1及び2の腕ユニットの中部には,「外側立上り壁」及び「手掛け部」に相当する構成が存在するとはいえない。 したがって,被告製品1及び2は,いずれも「前記肘掛部は,中部に前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部」(構成要件H)を 充足しない。 2 争点2-1(産業上利用可能性の欠如の有無等)(被告の主張)(1) 本件発明C-2前記1(被告の主張)(2)アのとおり,本件発明C-1の「空洞部」は,少なくと も前腕部の一部に及ぶ「内側立上り壁」が存在することが必須の構成となっている。 他方,本件発明C-2に係る特許請求の範囲請求項2には,「前記肘掛部は,中部に前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部を備えており,」と記載されている。「コ型」は,「前腕部」を挿入保持する「空洞部」に「内側立上り壁」が存在しない構成を前提としている。 そうすると,本件発明C-2の構成は,被従属発明である本件発明C-1の構成と矛盾するものとなっている。このため,本件発明C-2は,「産業上利用することができ 在しない構成を前提としている。 そうすると,本件発明C-2の構成は,被従属発明である本件発明C-1の構成と矛盾するものとなっている。このため,本件発明C-2は,「産業上利用することができる発明」ではなく(特許法29条1項柱書),その特許は特許無効審判により無効にされるべきものである(同法123条1項2号)。 また,これと同様の理由から,本件発明C-2は,実施可能要件(同法36条4 項1号)及びサポート要件(同条6項1号)も満たさないから,その意味でも特許 無効審判により無効にされるべきものである(同法123条1項4号)。 したがって,原告は,被告に対し,本件特許権Cを行使できない(同法104条の3第1項)。 (2) 本件発明C-5本件発明C-5は,本件発明C-2の従属発明である。上記(1)のとおり,本件発 明C-2が産業上利用することができない発明である以上,本件発明C-5も,「産業上利用することができる発明」ではなく,また,実施可能要件及びサポート要件も満たさないから,特許無効審判により無効にされるべきものである。 (原告の主張)争う。被告の主張は,本件発明C-1の「空洞部」に「内側立上り壁」が存在す ることが必須の構成であることを前提とするけれども,その前提に誤りがある。 3 争点2-2(進歩性欠如の有無)(被告の主張)(1) 本件発明C-1乙C19発明は,本件発明C-1の構成要件A,E,E-2,Gの構成を備えて おり,構成要件B~D及びE-1に係る構成において,本件発明C-1と相違する。 これらの相違点に係る構成は,特開2005-28045号公報(以下「乙C20公報」といい,これに記載された発明を「乙C20発明」という。)に開示されている。乙C19発明と乙C20 -1と相違する。 これらの相違点に係る構成は,特開2005-28045号公報(以下「乙C20公報」といい,これに記載された発明を「乙C20発明」という。)に開示されている。乙C19発明と乙C20発明は,技術分野,課題及び作用効果が共通することに鑑みると,上記各相違点に係る構成につき,乙C19発明に乙C20発明を 適用することの動機付けがある。 したがって,各相違点に係る本件発明C-1の構成は,乙C19発明に乙C20発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠き(特許法29条2項),その特許は特許無効審判により無効にされるべきものである(同法123条1項2号)。 (2) 本件発明C-2 本件発明C-2は,構成要件H及びIを除けば,本件発明C-1と同じ構成(構成要件J)である。乙C19発明は,構成要件Hの構成を備えており,本件発明C-2と乙C19発明の相違点は,構成要件Jに関する部分の構成を除けば,構成要件Iの構成である。 これらの相違点に係る構成は,乙C20公報に開示されており,上記(1)と同様に, 上記各相違点に係る構成につき,乙C19発明に乙C20発明を適用することの動機付けはある。 したがって,各相違点に係る本件発明C-2の構成は,乙C19発明に乙C20発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠き,その特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。 (3) 本件発明C-3ア本件発明C-3は,構成要件K及びLを除けば,本件発明C-1と同じ構成(構成要件M)である。乙C19発明は,構成要件K及びLの構成を備えておらず,本件発明C-3と乙C19発明の相違点は,構成要件Mに関する部分の構成を除けば,構成要件K及びL 本件発明C-1と同じ構成(構成要件M)である。乙C19発明は,構成要件K及びLの構成を備えておらず,本件発明C-3と乙C19発明の相違点は,構成要件Mに関する部分の構成を除けば,構成要件K及びLの構成である。 イ相違点に係る構成のうち,構成要件Mに関する部分は,上記(1)と同様である。 また,構成要件K及びLの構成は,特開2003-153970号公報(以下「乙C21公報」といい,これに記載された発明を「乙C21発明」という。)に開示されている。 そうすると,本件発明C-3の構成は,乙C19発明に乙C20発明及び乙C2 1発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠き,その特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。 ウ仮に,相違点に係る構成要件K及びLの構成の全てが乙C21公報に開示されていないとしても,これらの構成は,乙C21発明に特開2003-319990号公報(以下「乙C22公報」という。)記載の発明(以下「乙C22発明」と いう。)を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものである。 そうすると,本件発明C-3の構成は,乙C19発明に乙C20発明並びに乙C21発明及び乙C22発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠き,その特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。 (4) 本件発明C-4 ア本件発明C-4は,構成要件Nを除けば,本件発明C-3と同じ構成(構成要件O)である。乙C19発明は,構成要件Nの構成を備えておらず,本件発明C-4と乙C19発明の相違点は,構成要件Oに関する部分の構成を除けば,構成要件Nの構成である。 イ相違点に係る構成のうち,構成要件Oに関する部分は,上記(3 要件Nの構成を備えておらず,本件発明C-4と乙C19発明の相違点は,構成要件Oに関する部分の構成を除けば,構成要件Nの構成である。 イ相違点に係る構成のうち,構成要件Oに関する部分は,上記(3)と同様である。 また,構成要件Nは,本件発明C-3の構成要件K及びLと実質的に相違がない。 そうすると,本件発明C-4の構成は,乙C19発明に乙C20発明及び乙C21発明を組み合わせることで,又は,乙C19発明に乙C20発明並びに乙C21発明及び乙C22発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠き,その特許は特許無効審判により無効にされるべきものであ る。 (5) 本件発明C-5ア本件発明C-5は,構成要件Pを除けば,本件発明C-1と同じ構成(構成要件Q)である。乙C19発明は,構成要件Qの構成を備えておらず,本件発明C-5と乙C19発明の相違点は,構成要件Qに関する部分の構成を除けば,構成要 件Pの構成である。 イ相違点に係る構成のうち,構成要件Qに関する部分は,上記(1)と同様である。 また,構成要件Pの構成は,乙C20公報に開示されている。 そうすると,本件発明C-5の構成は,乙C19発明に乙C20発明を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠き,その特許 は特許無効審判により無効にされるべきものである。 ウ相違点に係る構成のうち構成要件Pの構成は,特開平10-179675号公報(以下「乙C23公報」という。)及び特開2005-177279号公報(以下「乙C24公報」という。)に記載された周知な構成である。 本件発明C-5の構成は,乙C19発明に乙C20発明及び上記周知の構成を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たも 7279号公報(以下「乙C24公報」という。)に記載された周知な構成である。 本件発明C-5の構成は,乙C19発明に乙C20発明及び上記周知の構成を組み合わせることで,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性を欠き,そ の特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。 (原告の主張)(1) 本件発明C-1本件発明C-1と乙C19発明との間には,被告が指摘するもののほかに,構成要件D及びE-2に係る相違点があるところ,相違点に係る構成のうち構成要件B, D及びE-2に係る構成は,乙C20公報に開示されていない。 また,乙C19発明と乙C20発明は,課題及び作用効果が相違することから,乙C19発明に乙C20発明を適用しようとする動機付けはない。さらに,乙C19発明において,乙C20公報記載の構成を適用することには阻害要因がある。 これらの点に鑑みると,当業者は,乙C19発明に基づき相違点に係る本件発明 C-1の構成を容易に想到することができない。したがって,本件発明C-1は,進歩性に欠けるところはない。 (2) 本件発明C-2ア本件発明C-2は,本件発明C-1の構成を更に限定したものである。上記(1)のとおり,本件発明C-1と乙C19発明の相違点に係る構成につき当業者が容 易に想到し得たものではない以上,構成要件H及びIについて検討するまでもなく,本件発明C-2と乙C19発明の相違点に係る構成も当業者が容易に想到し得たものではない。 イ構成要件H及びIの構成に係る容易想到性に関する被告の主張は争う。 (3) 本件発明C-3 ア本件発明C-3は,本件発明C-1の構成を更に限定したものである。上記 (1)のとおり,本件発明C-1と乙C19発明の相違点に係る構成につき当 う。 (3) 本件発明C-3 ア本件発明C-3は,本件発明C-1の構成を更に限定したものである。上記 (1)のとおり,本件発明C-1と乙C19発明の相違点に係る構成につき当業者が容易に想到し得たものではない以上,構成要件K及びLについて検討するまでもなく,本件発明C-3と乙C19発明の相違点に係る構成も当業者が容易に想到し得たものではない。 イ構成要件K及びLの構成に係る容易想到性に関する被告の主張は争う。 (4) 本件発明C-4本件発明C-4の発明特定事項は,本件発明C-3の発明特定事項と実質的に同じであり,また,本件発明C-1の構成を限定したものである。上記(1)のとおり,本件発明C-1と乙C19発明の相違点に係る構成につき当業者が容易に想到し得たものではなく,上記(3)のとおり,本件発明C-3と乙C19発明の相違点に係る 構成につき当業者が容易に想到し得たものでもない以上,本件発明C-4と乙C19発明の相違点に係る構成も,当業者が容易に想到し得たものではない。 (5) 本件発明C-5本件発明C-5は,本件発明C-1の構成を更に限定したものである。上記(1)のとおり,本件発明C-5と乙C19発明の相違点に係る構成につき当業者が容易に 想到し得たものではない以上,本件発明C-5と乙C19発明の相違点に係る構成も当業者が容易に想到し得たものではない。 3 争点3(損害額)別紙「本件特許権A関係の請求に関する事実及び理由」の「第2」の「3 争点3(損害額)」に同じ。 第3 当裁判所の判断 1 本件各発明Cの技術的意義本件明細書Cの記載によれば,本件各発明Cの技術的意義は,次のとおりと認められる。 (1) 技術分野(【0001】) 本件各発明Cは,肘掛部に施 所の判断 1 本件各発明Cの技術的意義本件明細書Cの記載によれば,本件各発明Cの技術的意義は,次のとおりと認められる。 (1) 技術分野(【0001】) 本件各発明Cは,肘掛部に施療者の前腕部をマッサージする前腕部施療機構を備 えた椅子式マッサージ機に関するものである。 (2) 背景技術(【0002】~【0004】)ア座部,背凭れ部及び該座部の左右両側に肘掛部を備えた椅子式マッサージ機において,肘掛部の上部に前腕部施療機構を備えて,着座した施療者の腕部をマッサージする形態のものは既に存在し,市場では商品化されている。 イ例えば,図19に示す前腕部施療機構を備えた椅子式マッサージ機は,手揉機能付施療機1として,肘幅方向両側に各々立上り壁211・211を設けた肘掛部21を椅子本体2の両側に設けており,その肘掛部21の各立上り壁211・211間に人体手部を各々嵌脱自在で該人体手部に膨縮施療を付与し得るよう,圧縮空気給排気手段を配設して成り,施療者が着座状態で人体手部を両肘掛部21・2 1上面部に安定的に保持させて,人体手部及び腕部を効率良く空圧施療することができるよう構成したものである。なお,肘掛部21の前側上面部は,立上り壁211が形成されておらず,平坦になっている。 また,図20に示す前腕部施療機構を備えた椅子式マッサージ機は,左右一対の立上り壁を左右の肘掛部の長さ方向全域にそれぞれ設けた形態のものであり,凹部 の内壁に,人体の肢体を挿入するための空間を設けるように空気袋をそれぞれ取着して施療部を形成し,空気袋に空気を給排気して空気袋を膨張及び収縮させる給排気装置を連通して設けて成るエアーマッサージ機3を,椅子20の肘掛けの上部全域に設けた構成である。 (3) 発明が解決しようと 療部を形成し,空気袋に空気を給排気して空気袋を膨張及び収縮させる給排気装置を連通して設けて成るエアーマッサージ機3を,椅子20の肘掛けの上部全域に設けた構成である。 (3) 発明が解決しようとする課題(【0005】~【0008】) ア図20に示す椅子式マッサージ機は,肘掛部の長さ方向全域に前腕部施療機構として左右一対の立上り壁を設けており,手部及び前腕部の広範を同時にマッサージすることができて便利である。しかし,施療者の肘関節付近にまで該各立上り壁が形成されているため,図18に示すように,上腕部内側の肘関節付近を施療者側である内側立上り壁623が圧迫して,施療者に不快感を与えたり,前腕部施療 機構における腕部の載脱行為を妨げたりするなどの欠点があった。特に,施療者の 身長が低くて小柄であるほど,内側立上り壁623による圧迫が大きくなると考えられる。 また,着座した施療者が立ち上がる際又は着座する際,通常は肘掛部の前端部を手で掴んで体重を掛けるが,図20に示す形態の椅子式マッサージ機は,肘掛部の前端部にまで左右の立上り壁が形成されているため,肘掛部の前端部の上面部が開 口された形態となり,そのような部分に体重を掛けることは困難であった。 【図20】 【図18】 イ左右一対の立上り壁を設けた椅子式マッサージ機において,図19に示すよ うな肘掛部の前側上面部に該立上り壁が形成されず,平坦になった部分を有する構成のものに関しては,該平坦になった部分を手掛け部として体重を掛けることができた。しかし,左右一対の立上り壁間に形成される凹部の底面部と,該手掛け部の平坦になった部分とが同じ高さの同面であるため,手掛け部を掴んで立ち上がろうとする際,図18に示すのと同様,内 けることができた。しかし,左右一対の立上り壁間に形成される凹部の底面部と,該手掛け部の平坦になった部分とが同じ高さの同面であるため,手掛け部を掴んで立ち上がろうとする際,図18に示すのと同様,内側立上り壁623によって上腕部内側の肘関 節付近が圧迫を受け,その付近とともに前腕部の内側が摺擦されながら,凹部から腕部が離脱することになり,この場合も施療者に対して不快感を与えるものとなると考えられていた。 【図19】 ウ本件各発明Cは,上記問題点を解消すること,すなわち,施療者の腕部に対し,前腕部施療機構の立上り壁が不必要に圧迫して不快感をもたらす要因を解消し,前腕部施療機構における腕部の載脱をスムーズに行うよう構成するとともに,前腕 部施療機構を有していても施療者が起立及び着座を快適に行うことができるよう構成した椅子式マッサージ機を提供することを目的とする。 (4) 課題を解決するための手段(【0009】~【0012】)及び発明の効果(【0013】~【0018】)ア本件発明C-1の椅子式マッサージ機は,その構成を採用すること,取り分 け,肘掛部の内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部を有しており,該前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための空洞部が設けられており,前記空洞部は,前記肘掛部の幅方向左右に夫々設けた外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部とから形成され,かつ,前記空洞部の前記外側立上り壁及び内側立上り壁の上面前端部に手掛け部が設けら れており,前記手掛け部の下面部及び前記空洞部の底面部における上面部に膨縮袋がそれぞれ設けられたものとすることにした。 本件発明C-1は,これにより,前腕部施療機構におけるスムーズな前腕部 れており,前記手掛け部の下面部及び前記空洞部の底面部における上面部に膨縮袋がそれぞれ設けられたものとすることにした。 本件発明C-1は,これにより,前腕部施療機構におけるスムーズな前腕部の載 脱が可能となり,施療者が起立及び着座を快適に行うこと,すなわち,着座した施療者が立ち上がる際又は着座する際において,前記内側立上り壁による前腕部内側の摺擦を回避しながら前記手掛け部に体重を掛けて行うことができるとともに,前記空洞部において,前記各膨縮袋により施療者の手部を上下に挟圧するマッサージを実施することができる。 イ本件発明C-3の椅子式マッサージ機は,その構成を採用することにより,空洞部の後方位置でも前腕部に対するマッサージを実施することができる。 ウ本件発明C-4の椅子式マッサージ機は,その構成を採用することにより,外側立上り壁及び前腕挿入開口部の底面部の二面において,挟圧マッサージを実施することができる。 エ本件発明C-5の椅子式マッサージ機は,その構成を採用することにより,背凭れ部のリクライニング角度に関係なく,肘掛部に設けた前記前腕部施療機構における前腕部の位置が可及的に変わらないようにすることができ,安定した前腕部に対するマッサージを行うことができる。 オなお,本件明細書Cには,【課題を解決するための手段】として本件発明C -2の構成に明示的に言及する記載はなく,また,【発明の効果】についても,特に本件発明C-2の構成を採用することによる効果に明示的に言及する記載はない。 2 争点1(技術的範囲の属否)のうち,「空洞部」(構成要件B及びC)の充足性について(1) 「空洞部」の意義 ア特許請求の範囲の記載(ア) 本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1に 1(技術的範囲の属否)のうち,「空洞部」(構成要件B及びC)の充足性について(1) 「空洞部」の意義 ア特許請求の範囲の記載(ア) 本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1には,「前記空洞部は,前記肘掛部の幅方向左右に夫々設けた外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部とから形成され,」と記載されている(構成要件C)。この記載をその文言のとおりに理解するならば,「外側立上り壁」,「内側立上り壁」及び「底面部」の3要素により 形成された部分をもって成るものが「空洞部」であり,「空洞部」に「外側立上り 壁」,「内側立上り壁」及び「底面部」が存在しない部分が許容されると解されず,「空洞部」のいずれかの部分に「外側立上り壁」,「内側立上り壁」及び「底面部」が存在することをもって足りることにはならない。これを「内側立上り壁」についていえば,「空洞部」全体にわたって「内側立上り壁」が存在することを要することとなる。上記請求項全体の構成に鑑みると,構成要件D以下の各構成要件は, 構成要件Cによる「空洞部」の定義付けを前提として理解される。 (イ) また,上記請求項には,「外側立上り壁及び内側立上り壁の上面前端部に空洞部の先端部の上方を塞ぐ形態で手掛け部が設けられており」とも記載されている(構成要件D)。これによれば,「空洞部の先端部」に「内側立上り壁の…前端部」が存在することは明らかであるところ,「内側立上り壁の…前端部」という記 載は,更に「空洞部の先端部」以外にその後方部分にも「内側立上り壁」が存在することを示唆するものと理解される。 (ウ) さらに,上記請求項には,「前記肘掛部に,内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部と,該前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含 示唆するものと理解される。 (ウ) さらに,上記請求項には,「前記肘掛部に,内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部と,該前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための空洞部が設けられ,」と記載され ている(構成要件B)。 上記記載からは,「前腕挿入開口部」と「空洞部」とが,「肘掛部」の構成部分として並列的に取り扱われるものと理解されるとともに,「空洞部」が「前腕挿入開口部から延設して…設けられ」ていると記載されていることに鑑みると,「前腕挿入開口部」は,「空洞部」の一部ではなく,「空洞部」とは別の「肘掛部」の構 成部分でありつつ,「空洞部」に連続して設けられた部分であると解される。また,「前腕挿入開口部」が肘掛部の「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための」部分であるのに対し,「空洞部」は,その「前腕挿入開口部から…施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための」部分であると記載されていることに鑑みると,「前腕挿入開口部」と「空洞部」から成る「肘掛部」中における「前腕挿入開口 部」と「空洞部」の相対的な位置関係は,「空洞部」が前部に,「前腕挿入開口 部」が後部に位置すると解される。 さらに,「空洞部」は,「肘掛部の内部に」おいて「前腕部を挿入保持するための」部分であるということは,「前腕部を挿入保持する」ように「空洞部」が構成されることを示す。 (エ) 他方,上記請求項には,「前記肘掛部が,前部に前記底面部と前記外側立上 り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部と,後部に前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され,前記前腕挿入開口部に位置する施療部とを備え,」とも記載されている(構成要件E,E-1,E 手掛け部とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部と,後部に前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され,前記前腕挿入開口部に位置する施療部とを備え,」とも記載されている(構成要件E,E-1,E-2)。この記載は,「肘掛部」中における「前腕挿入開口部」と「空洞部」の位置関係等を直接規定したものではないとしても,「前腕挿入開口部」が「内側後方 から施療者の前腕部を挿入するための」部分であるところ,そこに位置する施療部は「底面部」と「外側立上り壁」によりL型に形成されていることから,当該施療部には「内側立上り壁」が存在しないと解される。このような「前腕挿入開口部から延設して…設けられ」ている「空洞部」が,上記のとおり「肘掛部」中の別の構成部分であることに鑑みると,「内側立上り壁」の有無が「空洞部」と「前腕挿入 開口部」とを画するものであるとの示唆を看取することもできる。 そもそも,「前腕挿入開口部」につき,「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための」ものと特定されていること自体,「前腕挿入開口部から延設して…設けられ」た「空洞部」の内側側方からは,「空洞部」に「施療者の前腕部を挿入する」ことができないことを示唆するものと解される。 (オ) 他方,これらの記載を含む上記請求項1の記載から,「空洞部」中に「内側立上り壁」が存在しない部分があるとの示唆を読み取ることはできない。 (カ) 以上によれば,本件発明C-1の「空洞部」(構成要件B,C)とは,その全体にわたって「内側立上り壁」を備えるものをいうと解される。 イ本件明細書Cの記載及び出願経過 上記のように解することは,本件明細書Cの記載及び本件特許Cの出願経過から も裏付けられる。 (ア) 本件明細書Cの記載について前記1のとおり,本件 Cの記載及び出願経過 上記のように解することは,本件明細書Cの記載及び本件特許Cの出願経過から も裏付けられる。 (ア) 本件明細書Cの記載について前記1のとおり,本件発明C-1は,手部及び前腕部の広範を同時にマッサージするために肘掛部の長さ方向全域に左右一対の立上り壁が設けられた椅子式マッサージ機はもとより,肘掛部の長さ方向全域のうち前側上面部を除いて左右一対の立 上り壁が設けられた椅子式マッサージ機においても,内側立上り壁が,施療者の上腕部内側の肘関節付近を圧迫することにより施療時に不快感を与えるだけでなく,腕部の載脱行為を妨げることにより載脱時にも不快感を与えることから,肘掛部の「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」を設けた(構成要件B)ものである。また,本件発明C-1は,肘掛部の長さ方向全域に左右一対 の立上り壁が設けられた椅子式マッサージ機においては,肘掛部の前端部にまで外側立上り壁及び内側立上り壁が形成されており,同部の上面部が開口された状態となっているため,同部を掴んで体重を掛けて起立及び着座することが困難であったことから,「外側立上り壁及び内側立上り壁の上面前端部に空洞部の先端部の上方を塞ぐ形態で手掛け部」を設けた(構成要件D)ものでもある。 このような本件発明C-1の技術的意義に鑑みると,本件発明C-1は,肘掛部の長さ方向全域に「外側立上り壁」と「内側立上り壁」が形成された椅子式マッサージ機を前提として,肘掛部の内側後方から施療者の前腕部を挿入可能となるように「内側立上り壁」を廃した「前腕挿入開口部」を設けたと認められるから,そのような肘掛部の「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」 と,そこから「延設して肘掛部の内部に…設 に「内側立上り壁」を廃した「前腕挿入開口部」を設けたと認められるから,そのような肘掛部の「内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部」 と,そこから「延設して肘掛部の内部に…設けられ」ている「空洞部」とは,「内側立上り壁」の有無により画されるものと理解されるし,「手掛け部」を設けたのは手部及び前腕部の広範を同時にマッサージするために肘掛部の前端部にまで「内側立上り壁」が形成されていることを踏まえたものである以上,本件発明C-1における「肘掛部の幅方向左右に夫々設けた外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部 とから形成され」た「空洞部」の「内側立上り壁」は,手部及び前腕部の広範を同 時にマッサージすることができるように,「空洞部」全体にわたって存在することが想定されているといえる。 また,本件明細書Cには,本件発明C-1の従属発明である本件発明C-3の課題を解決するための手段及び発明の効果について,「前腕挿入開口部」を「空洞部の後方位置に設けられた外側立上り壁及び底面部で形成」し,その二面において互 いに対設する位置に各々膨縮袋を設けることにより,「空洞部の後方位置でも前腕部に対するマッサージを実施する事ができる」と記載されている(【0010】,【0016】)。本件発明C-1の上記技術的意義に鑑みると,「空洞部の後方位置」は,「空洞部」中の後方部分ではなく,「空洞部」の後方にある位置を指しており,「前腕挿入開口部」と「空洞部」とが「肘掛部」中の別の構成部分であるこ とを前提とする記載といえる。このような理解は,本件発明C-3の実施例に係る「前記空洞部62aにおいて前腕部に対応した前記各膨縮袋4aよりも後方である位置に,前記膨縮袋4aを設けてもよい。この後方の位置に,前腕挿入開口部61aを設 うな理解は,本件発明C-3の実施例に係る「前記空洞部62aにおいて前腕部に対応した前記各膨縮袋4aよりも後方である位置に,前記膨縮袋4aを設けてもよい。この後方の位置に,前腕挿入開口部61aを設けているため,前記内側立上り壁623aは形成されていない」との記載(【0043】)からも裏付けられる。 (イ) 出願経過についてa 証拠(各項に掲げたもの)及び弁論の全趣旨によれば,本件特許Cの出願経過について,以下の事実が認められる。 (a) 本件特許Cに係る出願は,以下のとおり,平成18年8月11日にされた本件親出願の一部を新たな特許出願としたものである(甲6)。 本件親出願に係る特許請求の範囲請求項1は,以下のとおりである(乙C8)。 「座部及び背凭れ部を有する椅子本体と,該椅子本体の両側部に肘掛部を有する椅子式マッサージ機において,前記肘掛部には,該肘掛部の内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部を開設すると共に,該前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の前腕部を挿入保持し得る空洞部を設けており,且 つ,該空洞部の内部壁面各所に施療者の前腕部にマッサージを施し得る前腕部施療 機構を設けた事を特徴とする椅子式マッサージ機。」(b) 本件特許Cの出願時の特許請求の範囲請求項1は,以下のとおりである(乙C9。下線部は,本件親出願に係る特許請求の範囲請求項1からの変更箇所を示す。)。 「座部及び背凭れ部を有する椅子本体と,該椅子本体の両側部に肘掛部を有する 椅子式マッサージ機において,前記肘掛部の内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部を有しており,該前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための空洞部が設けられてお おいて,前記肘掛部の内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部を有しており,該前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための空洞部が設けられており,前記空洞部は,前記肘掛部の幅方向左右に夫々設けた外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部とから形成され,且つ,前記空洞部の前記外側立上り壁及び内側立上り壁 の上面前端部に手掛け部が設けられており,前記手掛け部の下面部及び前記空洞部の底面部における上面部に膨縮袋が夫々設けられている事を特徴とする椅子式マッサージ機。」なお,本件特許Cの出願時には,本件発明C-2と同一内容の請求項は設けられていなかった。 (c) 本件特許Cの出願時に提出された上申書(乙C10)において,原告及び共同出願人は,本件親出願からの特許請求の範囲請求項1の変更箇所について,以下のとおり説明した。 ・ 「前腕挿入開口部を有しており」,及び「空洞部が設けられており」の変更は,単なる言い回しの変更である。 ・他の変更箇所においては,原出願の分割直前の明細書の段落[0032],[0033],[0034],[0037]及び図面[図1]~[図4],[図6],[図7],[図13],[図16]に記載された事項に基づく発明を新たに追加記載したものである。 ・特に,同請求項に記載の「施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための 空洞部」の追加変更は,原出願の分割直前の明細書段落[0034]において, 「施療者の手部と前腕部に対し夫々挟圧マッサージが行えるように,前記空洞部62aの長さ方向前後に左右一対の膨縮袋4a・4aを夫々設ける事ができる。すなわち,空洞部62aの長さ方向前側に設けられた前記左右一対の膨縮袋4aは,手部に対応し,また空洞 行えるように,前記空洞部62aの長さ方向前後に左右一対の膨縮袋4a・4aを夫々設ける事ができる。すなわち,空洞部62aの長さ方向前側に設けられた前記左右一対の膨縮袋4aは,手部に対応し,また空洞部62aの長さ方向後側に設けられた前記左右一対の膨縮袋4aは,前腕部に対応するよう構成する事ができる。」との記載がなされているこ とを主に根拠とする。 (d) 原告及び共同出願人は,平成23年2月8日付け拒絶理由通知書(乙C11)の送付を受けた。 (e) 上記拒絶理由通知を受け,原告は,特許庁審査官に対し,平成23年5月9日受付の手続補正書(乙C13)及び意見書(乙C12)を提出した。これを受け て,特許庁審査官は,同年6月1日,本件特許Cに係る特許査定をした(乙C14)。 上記手続補正書によれば,補正後の本件特許Cに係る特許請求の範囲請求項1は,以下のとおりである(二重下線部は,本件特許Cの出願時の特許請求の範囲請求項1からの変更箇所を示す。)。 「座部及び背凭れ部を有する椅子本体と,該椅子本体の両側部に肘掛部を有する椅子式マッサージ機において,前記肘掛部に,内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部と,該前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための空洞部が設けられ,前記空洞部は,前記肘掛部の幅方向左右に夫々設けた外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部とから 形成され,前記外側立上り壁及び内側立上り壁の上面前端部に空洞部の先端部の上方を塞ぐ形態で手掛け部が設けられており,前記肘掛部が,前部に前記底面部と前記外側立上り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部と,後部に前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され,前記前腕挿入開 ,前記肘掛部が,前部に前記底面部と前記外側立上り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部と,後部に前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され,前記前腕挿入開口部に位置する施療部とを備え,それぞれの施療部に膨縮袋が夫々設け られている事を特徴とする椅子式マッサージ機。」 また,本件発明C-2に係る特許請求の範囲請求項2が追加された。 (f) 原告は,上記補正の内容等につき,上記意見書において,以下のとおり説明した。 ・本発明は,従前における「肘掛部の長さ方向全域に前腕部施療機構として左右一対の立上り壁を設けた椅子式マッサージ機」に関する,以下の問題に鑑みて創 作したものです(【0005】~【0007】参照)。即ち本発明は,施療者の肘関節付近にまで左右一対の立上り壁が存在することによる施療者の肘関節付近の圧迫による不快感を解消し,更に前腕部施療機構を有していても施療者が起立及び着座を快適に行う事ができるようにした施療機を提供するものです。補正後の本発明では,「外側立上り壁及び内側立上り壁の上面前端部に空洞部の先端部の上方を塞 ぐ形態で手掛け部」を形成し,この部分の強度を確保することで,施療者が着座や起立時に体重を掛ける事が出来るようにして,当該動作を快適に実施できるようにしています。しかもこの手掛け部と底面部と外側立上り壁と内側立上り壁とに囲われて空洞部に位置する施療部にも膨縮袋を設けていますので,施療者の起立及び着座時の快適性を確保しながらも,施療者の手部をマッサージすることができます。 そして肘掛部の「後部に前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され,前記前腕挿入開口部に位置する施療部」を形成しており,このL型に形成され,前記前腕挿入開口部に位置する とができます。 そして肘掛部の「後部に前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され,前記前腕挿入開口部に位置する施療部」を形成しており,このL型に形成され,前記前腕挿入開口部に位置する施療部は,内側立上り壁が有りませんので,施療者の肘関節付近の圧迫による不快感を解消することができます。更にこの施療部にも膨縮袋を設けていますので,腕部の載脱をスムーズに行いながらもマッサージを施すこ とが可能になっています。よって本発明では,従前における課題を解決する為に,少なくとも,施療者の体重を掛けることができるように構成された手掛け部を備え,L型に形成されて前腕挿入開口部に位置する施療部を備える椅子式マッサージ機となっています。 ・手掛け部が「空洞部の先端部の上方を塞ぐ形態で」設けられることは,本願 明細書の【0037】欄に記載しています。 ・前記肘掛部が,前部に前記底面部と前記外側立上り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部と,後部に前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され,前記前腕挿入開口部に位置する施療部とを備え」ることは,本願明細書の【0045】及び【0046】欄に記載しています。 ・請求項2については,「肘掛部は,中部に前記底面部と前記外側立上り壁と 手掛け部によりコ型に形成された施療部を備えて」いることは,本願明細書の【0045】及び【0046】欄に記載しており,また「肘掛部は,中部に前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部を備えて」いることは,本願明細書の【0038】欄に記載しています。 ・引用文献2(裁判所注:乙C19)に開示されている前腕部施療部は,施療 者が肘部や腕部及び手部の施療を所望する際に挿入する「 て」いることは,本願明細書の【0038】欄に記載しています。 ・引用文献2(裁判所注:乙C19)に開示されている前腕部施療部は,施療 者が肘部や腕部及び手部の施療を所望する際に挿入する「肘挿入用凹溝」であって,その断面形状は略横向き「凹」字状です。これに対して本発明における前腕挿入開口部に位置する施療部は「底面部」及び「外側立上り壁」により形成された断面略「L型」であり,また手掛け部が形成される空洞部に位置する施療部は,「底面部」「外側立上り壁」「内側立上り壁」及び「手掛け部」に囲われた形状(実施の 形態では「口型」)ですので,その構成において両者は明らかに相違します。そして引用文献2に開示されたような断面が略「コ」字状の前腕部施療部では,前腕挿入開口部においては,上面に位置する部分が腕部の載脱をスムーズに行う上で障害になりますし,手掛け部においては,「内側立上り壁」が存在しませんので,施療者の体重を掛ける上では不安が残ります。よって,この引用文献2からは,本発明 の構成のみならず,その課題や作用効果さえも予想することができません。 b(a) 上記a(c)のとおり,原告及び共同出願人は,本件親出願に係る特許請求の範囲請求項1を本件特許Cの出願に係る特許請求の範囲請求項1に変更した根拠として,本件親出願の明細書【0032】,【0033】,【0034】及び【0037】並びに図1~4,6,7,13及び16を挙げている。このうち,【003 2】,【0034】及び【0037】並びに図1,2,6,13及び16において は,「空洞部62a」における「内側立上り壁623a」に関する言及があるところ,手掛け部に関する【0037】を除き,これらの記載及び図面は,いずれも,「前腕挿入開口部61a」と区別される「空洞部 は,「空洞部62a」における「内側立上り壁623a」に関する言及があるところ,手掛け部に関する【0037】を除き,これらの記載及び図面は,いずれも,「前腕挿入開口部61a」と区別される「空洞部62a」の全体にわたって「内側立上り壁623a」が存在する構成を示している(乙C8)。 【図1】 【図2】 【図13】 【図16】 【図6】 他方,本件親出願の明細書【0046】,【0047】及び図14は,本件明細書Cの【0046】,【0047】及び図14と同様に,前腕部施療機構の中部に「内側立上り壁」が形成されていない実施例に関する記載である(乙C8)ところ, これらは,上記のとおり,本件特許Cの出願に当たり,本件親出願の請求項からの変更の根拠として挙げられていない。 (b) また,前記a(f)のとおり,本件特許Cの出願に係る補正時に提出した意見書において,原告は,本件各発明Cが,「肘掛部の長さ方向全域に前腕部施療機構として左右一対の立上り壁を設けた椅子式マッサージ機」に関する発明であり,「施 療者の肘関節付近にまで左右一対の立上り壁が存在することによる施療者の肘関節付近の圧迫による不快感を解消し,更に前腕部施療機構を有していても施療者が起立及び着座を快適に行う事ができるようにした施療機を提供するもので」あるとしている。その上で,「空洞部の先端部」に設けた「手掛け部」に関しては,そこに「内側立上り壁」が存在することを前提とした説明をしつつ,「前腕挿入開口部」 に関しては,そこには「内側立上り壁」がない形状にしたとする説明をしている。 他方,請求項2,すなわち肘掛部の中部に「前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部」を に関しては,そこには「内側立上り壁」がない形状にしたとする説明をしている。 他方,請求項2,すなわち肘掛部の中部に「前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部」を設けることについても説明しているが, そこで言及されている本件明細書Cの記載のうち,【0038】及び【0045】はこのような構成とは直接関係しないものであり,関係するのは【0046】のみである。 また,拒絶理由に示された引用文献2と補正後の発明(本件発明C-1,C-2)との相違について,引用文献2に開示された前腕部施療部は「肘挿入用凹溝」 であり,その断面形状は略横向き「凹」字状であるのに対し,本件においては,前腕挿入開口部に位置する施療部は「底面部」及び「外側立上り壁」により形成された断面略「L型」であり,また,手掛け部が形成される空洞部に位置する施療部は,「底面部」「外側立上り壁」「内側立上り壁」及び「手掛け部」に囲われた形状(実施の形態では「ロ型」)であるため,その構成が相違する旨説明している。ま た,断面が略「コ」字状の前腕部施療部の問題点として,前腕挿入開口部においては,上面に位置する部分が腕部の載脱をスムーズに行う上で障害となり,手掛け部においては「内側立上り壁」が存在しないため,施療者の体重を掛ける上で不安が残ることを指摘している。 こうした説明内容に加え,上記補正により「前記底面部と前記外側立上り壁と手 掛け部によりコ型に形成された施療部を備え」る請求項2(本件発明C-2)を請求項1の従属項として追加したにもかかわらず,当該発明における上記略「コ」字状の前腕部施療部の問題点の有無等に関する説明が見当たらないことに鑑みると,上記補正における原告の説明は,請求項2の追加にかかわらず,本件発明C-1の にもかかわらず,当該発明における上記略「コ」字状の前腕部施療部の問題点の有無等に関する説明が見当たらないことに鑑みると,上記補正における原告の説明は,請求項2の追加にかかわらず,本件発明C-1の「空洞部」につき,その全体にわたって「内側立上り壁」が存在する構成を前提と していたと理解される。 ウ小括以上によれば,本件発明C-1の「空洞部」は,その全体にわたって「内側立上り壁」を備えるものをいうと解される。 エ原告の主張について (ア) これに対し,原告は,「空洞部」は,「手掛け部」を設ける前提として, 「内側立上り壁」等により形成する構成が特定されているにすぎない,本件明細書Cの記載等(【0010】,【0016】,【図8】)によれば,内側立上り壁が設けられていない箇所も「空洞部」と記載又は示唆されている,分割出願の前後を問わず,【0046】及び【図14】が本件各発明Cの実施例として位置付けられ続けているなどとして,「空洞部」は,「内側立上り壁」が全体にわたって備えて いる構成に限られないと主張する。 (イ) 前記1のとおり,本件発明C-1は,肘掛部の長さ方向全域に左右一対の立上り壁が設けられたり,肘掛部の長さ方向全域のうち前側上面部を除いて左右一対の立上り壁が設けられたりした椅子式マッサージ機を従来技術として,その課題を踏まえたものである。また,本件発明C-1に係る請求項も,「空洞部」が「肘掛 部の幅方向左右に夫々設けた外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部とから形成され」ることを受けて,「前記外側立上り壁及び内側立上り壁の上面前端部に…手掛け部が設けられ」るとしており,むしろ「内側立上り壁」が存在することが,発明に係る構成として「手掛け部」に先行するものと理解される。その意味で,「手掛 側立上り壁及び内側立上り壁の上面前端部に…手掛け部が設けられ」るとしており,むしろ「内側立上り壁」が存在することが,発明に係る構成として「手掛け部」に先行するものと理解される。その意味で,「手掛け部」が設けられることによって,「空洞部」の「内側立上り壁」が存在する範囲 が規定されるという関係にはない。 また,「前記前腕挿入開口部を,前記空洞部の後方位置に設けられた外側立上り壁及び底面部で形成し」(【0010】),「本発明の椅子式マッサージ機は,前記前腕挿入開口部を,前記空洞部の後方位置に設けられた外側立上り壁及び底面部で形成し」(【0016】)の各記載は,「前腕挿入開口部」が「空洞部」の「後 方」に「位置」することを示すものの,このことは,「前腕挿入開口部」が「空洞部」の一部としてその後方部分を構成することを直ちに意味するものではない。そうすると,これらの記載は「空洞部」に「内側立上り壁」が存在しない部分も含まれることを示すものとはいえない。他方,図8は,前腕挿入開口部の実施例の構成に関する図面であるところ(【0043】,【0044】),「前記空洞部62a において前腕部に対応した前記各膨縮袋4aよりも後方である位置に,前記膨縮袋 4aを設けてもよい。この後方の位置に,前腕挿入開口部61aを設けているため,前記内側立上り壁623aは形成されていない」(【0043】)との記載に鑑みると,図8に示された「空洞部62a」は,上記記載における「前腕挿入開口部」と対応関係にある「空洞部62a」を仮想線で示したものにすぎず,「前腕挿入開口部」の全部又は一部が「空洞部」を構成することを示すものではないと理解され る。 さらに,本件明細書Cの【0046】及び【図14】の記載が本件親出願からの分割出願や補正にもかか 「前腕挿入開口部」の全部又は一部が「空洞部」を構成することを示すものではないと理解され る。 さらに,本件明細書Cの【0046】及び【図14】の記載が本件親出願からの分割出願や補正にもかかわらず一貫して存在する点については,本件発明C-1に係る特許請求の範囲請求項1の記載自体から「空洞部」につき,その全体にわたって「内側立上り壁」が存在する構成と理解されることに鑑みると,分割出願や補正 による本件特許Cの発明の内容の変化に応じてこれらの記載が補正等されなかった結果にすぎないと見るべきである。 したがって,この点に関する原告の主張は採用できない。 (2) 被告製品1及び2の構成ア被告製品1の構成 (ア) 証拠(甲C2)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品1は,以下の図のとおりの腕ユニットを備えていることが認められる。したがって,被告製品1は,「肘掛部」(構成要件A)の構成を備える。 (イ) 原告は,以下の図において,「外側壁面部」及び「底面部」により形成される「開口部」とされている部分が「前腕挿入開口部」(構成要件B,E-2)に相 当し,「外側壁面部」,「内側壁面部」及び「底面部」により形成される「空洞部」とされている部分が「空洞部」(構成要件B,C)に相当すると主張する。 しかし,被告製品1の腕ユニットの「空洞部」は,図中で「前部」とされる部分には「内側壁面部」が備わっているが,「中部」とされる部分には,「内側壁面部」が備わっていないことが認められる。すなわち,被告製品1の空洞部とされる 部分は,その全体にわたっては「内側壁面部」を備えていない。 したがって,被告製品1は,「空洞部」(構成要件B及びC)に相当する構成を備えているとは認められない。 イ 全体にわたっては「内側壁面部」を備えていない。 したがって,被告製品1は,「空洞部」(構成要件B及びC)に相当する構成を備えているとは認められない。 イ被告製品2の構成弁論の全趣旨によれば,被告製品1の構成と被告製品2の構成には異なる部分もあるが,本件各発明Cの構成要件の充足性を検討するに当たっては,その差異を考 慮する必要はないことが認められる。 したがって,被告製品2は,「空洞部」(構成要件B及びC)に相当する構成を備えているとは認められない。 ウ小括以上のとおり,被告製品1及び2の構成は,本件発明C-1の構成要件B,Cを 充足しない。 開口部空洞部内側壁面部外側壁面部 また,そうである以上,本件発明C-1に従属する発明である本件発明C-2~5も,構成要件J(本件発明C-2),構成要件M(本件発明C-3),構成要件O(本件発明C-4),構成要件Q(本件発明C-5)を,それぞれ充足しないことになる。 3 小括 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,被告製品1及び2は,いずれも本件各発明Cの技術的範囲に属しない。したがって,原告の本件特許権Cの侵害に基づく請求は,いずれも理由がない。 以上 (別紙)本件各発明C構成要件目録 1 本件発明C-1A 座部及び背凭れ部を有する椅子本体と,該椅子本体の両側部に肘掛部を有する椅子式マッサージ機において,B 前記肘掛部に,内側後方から施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部と,該前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための空洞部が設けられ,C 前記空洞部は,前記肘掛部の幅方向左右 施療者の前腕部を挿入するための前腕挿入開口部と,該前腕挿入開口部から延設して肘掛部の内部に施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための空洞部が設けられ,C 前記空洞部は,前記肘掛部の幅方向左右に夫々設けた外側立上り壁及び内側立上り壁と底面部とから形成され,D 前記外側立上り壁及び内側立上り壁の上面前端部に空洞部の先端部の上方を塞ぐ形態で手掛け部が設けられており,E 前記肘掛部が,E-1 前部に前記底面部と前記外側立上り壁と前記内側立上り壁と前記手掛け部とに囲われ,前記空洞部に位置する施療部と,E-2 後部に前記底面部と前記外側立上り壁によりL型に形成され,前記前腕挿入開口部に位置する施療部とを備え,F それぞれの施療部に膨縮袋が夫々設けられているG 事を特徴とする椅子式マッサージ機。 2 本件発明C-2H 前記肘掛部は,中部に前記底面部と前記外側立上り壁と手掛け部によりコ型に形成された施療部を備えており,I 前記底面部と前記手掛け部とでは,施療者の前腕部を載置しうるための載置面が異なっており,底面部の載置面よりも手掛け部の載置面の方が高い位置に形成されているJ 事を特徴とする請求項1記載の椅子式マッサージ機。 3 本件発明C-3K 前記前腕挿入開口部の前記外側立上り壁及び前記底面部の二面において互いに対設する位置に各々膨縮袋が設けられており,L 外側立上り壁の下部において,膨縮袋の下部の縁部を止着すると共に,前記底面部の外側立上り壁側に,もう一つの膨縮袋の外側立上り壁側の縁部を止着しているM 事を特徴とする請求項1記載の椅子式マッサージ機。 4 本件発明C-4N 前記前腕挿入開口部の前記外側立上り壁の下部において,前記膨縮袋の下部に形成さ 部を止着しているM 事を特徴とする請求項1記載の椅子式マッサージ機。 4 本件発明C-4N 前記前腕挿入開口部の前記外側立上り壁の下部において,前記膨縮袋の下部に形成された縁部を止着すると共に,前記前腕挿入開口部の前記底面部における前記外側立上り壁側に他方の前記膨縮袋に形成された縁部を前記外側立上り壁側に止着して構成したO 事を特徴とする請求項3記載の椅子式マッサージ機。 5 本件発明C-5P 前記肘掛部は,椅子本体に対して前後方向に移動可能に設けられており,前記背凭れ部のリクライニング角度に応じた所定の移動量を保持しながら該背凭れ部のリクライニング動作に連動して前記肘掛部が椅子本体に対して前後方向に移動するようにしたQ 事を特徴とする請求項1乃至4記載の椅子式マッサージ機。 以上 (別紙)被告製品1及び2構成目録(原告主張) 1 本件発明C-1の構成要件に準じた構成a 座部及び背もたれ部を有する椅子本体と,該椅子本体の両側部に腕ユニットを有するマッサージチェアにおいて,b 腕ユニットに,内側後方から施療者の前腕部を挿入するための開口部と,該開口部から延設して腕ユニットの内部に施療者の手部を含む前腕部を挿入保持するための空洞部が設けられ,c 空洞部は,腕ユニットの幅方向左右にそれぞれ設けた外側壁面部及び内側壁面部と底面部とから形成され,d 外側壁面部及び内側壁面部の上面前端部に空洞部の先端部の上方を塞ぐ形態でレスト部が設けられており,e 腕ユニットが,e-1 前部に底面部と外側壁面部と内側壁面部とレスト部とに囲われ,空洞部に位置するロ型施療部と,e-2 後部に底面部と外側壁面部によりL型に形成され,開口部に位置するL型施療部と ニットが,e-1 前部に底面部と外側壁面部と内側壁面部とレスト部とに囲われ,空洞部に位置するロ型施療部と,e-2 後部に底面部と外側壁面部によりL型に形成され,開口部に位置するL型施療部とを備え,f それぞれの施療部にエアセルがそれぞれ設けられているg ことを特徴とするマッサージチェア。 2 本件発明C-2との関係における構成h 腕ユニットは,中部に底面部と外側壁面部とレスト部によりコ型に形成されたコ型施療部を備えており,i 底面部とレスト部とでは,施療者の前腕部を載置しうるための載置面が異なっており,底面部の載置面よりもレスト部の載置面の方が高い位置に形成されているj ことを特徴とする前記1記載のマッサージチェア。 3 本件発明C-3との関係における構成k 開口部の外側壁面部及び底面部の二面において互いに対設する位置に各々エアセル1及びエアセル2が設けられており,l 外側壁面部の下部において,エアセル1の下部の縁部1を止着するとともに,底面部の外側壁面部側に,エアセル2の外側壁面部側の縁部2を止着しているm ことを特徴とする前記1記載のマッサージチェア。 4 本件発明C-4との関係における構成n 開口部の外側壁面部の下部において,エアセル1の下部に形成された縁部1を止着するとともに,開口部の底面部における外側壁面部側に他方のエアセル2に形成された縁部2を外側壁面部側に止着して構成したo ことを特徴とする前記3記載のマッサージチェア。 5 本件発明C-5との関係における構成p 腕ユニットは,椅子本体に対して前後方向に移動可能に設けられており,背もたれ部のリクライニング角度に応じた所定の移動量を保持しながら該背もたれ部のリク 5 本件発明C-5との関係における構成p 腕ユニットは,椅子本体に対して前後方向に移動可能に設けられており,背もたれ部のリクライニング角度に応じた所定の移動量を保持しながら該背もたれ部のリクライニング動作に連動して腕ユニットが椅子本体に対して前後方向に移動するようにしたq ことを特徴とする前記1~4記載のマッサージチェア。 以上
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