- 1 -平成22年1月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成20年(行ケ)第10303号審決取消請求事件(商標)口頭弁論終結日平成21年11月4日判決原告シーディーエムエクスチェンジインク(審決時の原告の表示シーディーエムエクスチェンジカンパニー)被告Y同訴訟代理人弁護士中川康生同山川博光同訴訟復代理人弁護士川添大資同黒川慶彦主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1請求特許庁が無効2007-890062号事件について平成20年4月2日にした審決を取り消す。 第2事案の概要 特許庁における手続の経緯被告は,別紙商標目録記載の構成で,指定商品を同「指定商品」欄記載のとおりとする登録第4962301号商標(平成16年8月4日出願,平成18年6月1- 2 -6日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲1。 )原告は,被告を被請求人として,本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,その指定商品も使用に係る商品と同一又は類似のものであるから,商標法4条1項10号の規定に違反して登録されたものであり,同法46条1項1号の規定に基づき無効とされるべきであるとして,本件商標の指定商品中第14類「身飾品」についての登録を無効にするとの審判を請求した。 特許庁は,同請求を無効2007-890062号事件として審理した上,平成20年4月2日に「本件審判の請求は,成り立たない」との審決をし,同月15。 日,その謄本を原告に送達した。 本件審判請求におけ は,同請求を無効2007-890062号事件として審理した上,平成20年4月2日に「本件審判の請求は,成り立たない」との審決をし,同月15。 日,その謄本を原告に送達した。 本件審判請求における原告(請求人)の主張の概要A(平成11年(1999年)1月16日死亡。以下「A」という)は,米国。 のジュエリーデザイナーであり,米国カリフォルニア州の工房で「ガボール(」及び「ガボラトリー(」という名称(以下「ガボーGABORGABORATORY))ルブランド」という)でブレスレット及びリング等のシルバーアクセサリー製品。 (以下「ガボール製品」という)を製造し,販売していた。 。 B(以下「B」という)は,Aのパートナーとして働いていた人物で,Aの平。 成10年(1998年)12月ころの遺言により,同人が使用していたガボールブランド名下に製造されるガボール製品のマスターピース(原型,鋳型,職人たち)等(以下「ガボールブランドに係る事業」という)を引き継いだ。 。 その後,Bは,米国ネバダ州法人であるガボラトリー・インターナショナル・インク(以下「インターナショナル社」という)を設立し,同社は,米国特許商標。 庁に対し,次の①ないし③の3件の商標権を出願して登録を受けた。 ①米国商標登録第2695716号(以下「米国商標1」という)。 商標の構成「」GABOR登録出願日平成13年(2001年)6月13日- 3 -登録日平成15年(2003年)3月11日「,,,指定商品第14類銀ゴシックスタイルの宝飾類即ちブレスレットチェーン,チョーカース及びリング」②米国商標登録第3039819号(以下「米国商標2」という)。 商標の構成独特の書体のGマークに王冠を冠した図形(以下「王冠付きGマーク」と ちブレスレットチェーン,チョーカース及びリング」②米国商標登録第3039819号(以下「米国商標2」という)。 商標の構成独特の書体のGマークに王冠を冠した図形(以下「王冠付きGマーク」という)の下部に唐草模様を,さらにその下に「」の文。 GABORATORY字を唐草模様を囲むように配した,文字と図形から成る。 登録出願日平成13年(2001年)5月29日登録日平成18年(2006年)1月10日「,,,指定商品第14類銀ゴシックスタイルの宝飾類即ちブレスレットチェーン,チョーカース及びリング」③米国商標登録第3039823号(以下「米国商標3」という)。 商標の構成米国商標2と同様の構成の標章のさらにその下に,やや小さく「INTERNATIONAL」という文字を横一線に配した,文字と図形から成る。 登録出願日平成13年(2001年)7月30日登録日平成18年(2006年)1月10日「,,,指定商品第14類銀ゴシックスタイルの宝飾類即ちブレスレットチェーン,チョーカース及びリング」原告は,平成15年(2003年)8月24日,上記米国商標1ないし3を,インターナショナル社から譲渡を受けるとともに,日本及びアジア全域に米国商標1ないし3の使用及びガボールブランドの商品の製造・販売の独占権を取得し,積極的に日本において,米国商標1ないし3を付した商品を展開して広く周知させていた。 したがって,本件商標は,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の承継者であるインターナショナル社及び原告により出願前に日本において広く知ら- 4 -れた商標であった。 ところが,Aの死後,Aの妻である被告が日本に本件商標と同一若しくは類似の商標がないことを奇貨として,日本において,本件商標の び原告により出願前に日本において広く知ら- 4 -れた商標であった。 ところが,Aの死後,Aの妻である被告が日本に本件商標と同一若しくは類似の商標がないことを奇貨として,日本において,本件商標の登録を出願し,単にAの妻であったという理由だけで設定登録を受けた。 上記のとおり,原告は,インターナショナル社がAから承継したガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利をさらに同社から承継したものであり,その結果,米国商標1ないし3の米国における商標権者であり,日本においても積極的に米国商標1ないし3を周知させていたのであるから,原告が名実ともに本件商標を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の真の承継人である。 したがって,本件商標は,商標法4条1項10号に該当し,同法46条1項1号により無効にすべきものである。 審決の理由審決は,次のとおり,本件商標は,商標法4条1項10号に違反して登録されたものとは認められないと判断した(なお,以下において引用した審決中の当事者及び関係者名,商標等の略号並びに文献等の表記は,本判決の表記に統一した。 。)「本件商標は『GABOR』の欧文字よりなるところ,甲各号証及び乙各号証によれば,,これは米国の男性用ジュエリーデザイナーとして,この種需要者の間では知られたAのファー,。」ストネームに由来するものであり本件商標の商標権者はAの妻Yであることが認められる「ところで,本件審判請求に係る商標法4条1項10号の規定を適用するために引用される商標は,商標登録出願の時(商標法4条3項参照)に,我が国内の需要者の間に広く認識されていなければならないと解されるから,以下,この点について検討する。 請求人が引用商標の周知性を立証するためのものとして提出した甲第6号証ないし甲第10号証(枝番を含む 国内の需要者の間に広く認識されていなければならないと解されるから,以下,この点について検討する。 請求人が引用商標の周知性を立証するためのものとして提出した甲第6号証ないし甲第10号証(枝番を含む)によれば,以下のことが認められる。 甲第6号証は『最新ワイルドシルバー読本2002』と表題された,平成14年6月,1日発行の『ASAYAN6月1日増刊号(発行所ぶんか社)の表紙(写し)である。同』- 5 -じく甲第6号証の1は,同上増刊号の中頁26に『Aが死んで,そのブランドについての権利みたいなものの所有者が明白なカタチで存在しなくなってしまったのは事実だ,‥‥』で始まる記事が掲載されている。 また,甲第6号証の1は,同上増刊号の中頁26ないし29の写しには『最新コレクション/GaboratoryInternational/ガボラトリー・インターナショナル』の見出しの下に,インターナショナル社の新作として,シルバーアクセサリーがカラーで掲載されている。 同じく甲第6号証の2は,同上増刊号の中頁12,22ないし25の写しと認められ『ガ,ボールの激レアアイテムが商品化』と題して,シルバーアクセサリーがカラーで掲載されている。そして,その中頁24の写しには『故・Aの遺志を受け継ぐ正真正銘の職人衆は彼ら,しかいない』として『GaboratoryInternational』の記事が掲載されている。同じく甲第6号証の3は,中頁30の写しに『世界初のオンリー・ショップが4月20日,日本で誕生!』として,ガボラトリー・インターナショナル・ジャパンの旗艦店が上野にオープンする旨のことが掲載されており,同じく甲第6号証の4,中頁31の写しは,その広告頁となっている。 甲第7号証は『ASAYANシルバーマスター』と表題された,2003年8月号の表 旗艦店が上野にオープンする旨のことが掲載されており,同じく甲第6号証の4,中頁31の写しは,その広告頁となっている。 甲第7号証は『ASAYANシルバーマスター』と表題された,2003年8月号の表紙,写しであり,甲第7号証の1に,4頁に亘りシルバーアクセサリー等が掲載されている。その中に『GaboratoryInternational』と印刷されたTシャツらしき写真が掲載されている。また,頁毎に,左上に『GABOR/ガボール』の文字が表記されている。 甲第8号証は,平成14年8月10日発行の『SILVERACCESSORIES聖銀辞典(株式会社笠倉出版社)と題する印刷物で,シルバーアクセサリーの対談記事が掲』載されており,甲第8号証の1は『GaboratoryInternational,Japan』より正規販売代理店募集の公告が掲載されている。 ,『. 』甲第9号証は平成15年1月2日発行のワイルドシルバー読本VOL 2003(発行所ぶんか社)と表題された『ASAYAN1月2日増刊号』の表紙写しであり,同,- 6 -じく甲第9号証の1~3は『故A後のガボラトリーに関する記事』及びシルバーアクセサリ,ーが掲載されている頁となっている。 甲第10号証は,平成15年5月20日発行の『聖銀辞典SILVERACCESSORIES(株式会社笠倉出版社)と題する印刷物の表紙写しであり,甲第10号証の1に』は『偉大なるシルバースミス,Aの遺志を継承する職人達』と題する記事及びシルバーアク,セサリーが掲載されている。 上記の事実からすると『GABOR』に関する記事及びその製品紹介は,平成11年1月,16日に死亡した,Aに関する記事と認められるものであり,かつ,これらの記事はシルバーアクセサリーの製作におけるカリス の事実からすると『GABOR』に関する記事及びその製品紹介は,平成11年1月,16日に死亡した,Aに関する記事と認められるものであり,かつ,これらの記事はシルバーアクセサリーの製作におけるカリスマ的な存在であったAをたたえる域を脱しないものばかりである。 また,これらが掲載された印刷物にしても,僅か2誌のみであって,その発行所も『ぶん』『』,,か社及び株式会社笠倉出版社とあまり知られていない上その発行部数も不明でありしかも,インターネットホームページ上の記事として『2003年(平成15年)媒体別広,告費』の表題の〈雑誌広告費〉の項に『asayan(ぶんか社』は休刊されている旨(乙)第5号証,乙第6号証)掲載されている。 加えて,上記,掲載されている記事及び宣伝広告は,原告に『GABOR』を含む3件の米国登録商標及び日本における商標使用権,販売権を譲渡したインターナショナル社のものばかりで,原告の記事及び広告宣伝したものは見当たらない。 たとえ,原告が主張するように,身飾品等の商品に係るインターナショナル社の業務の承継が原告にあった場合には,原告が商標法4条1項10号でいうところの『他人』に該当し,周知の獲得が当業者の承継者にも認められると解されるとしても,これらの印刷物は,平成14年6月から平成15年5月までの約一年間の合計5回(冊)のみによるものである。他に,原告が商標『GABOR』及びその商品を我が国の需要者間に広く認識させたことを立証する証拠(例えば,広告宣伝の回数,その媒体,商品の販売数量等を証明する取引書類)の提出のないものである。 ,(),そうすると原告の主張する引用商標が本件商標の登録出願時平成16年8月4日に- 7 -原告の業務に係る商品『身飾品』の商標として,取引者・需要者の間に広く のないものである。 ,(),そうすると原告の主張する引用商標が本件商標の登録出願時平成16年8月4日に- 7 -原告の業務に係る商品『身飾品』の商標として,取引者・需要者の間に広く認識されていたとは認められない。 他に,上記認定に影響を及ぼす証拠は見当たらない。 したがって,その他の原告の主張について論ずるまでもなく,本件商標の登録は,その指『』,,定商品中身飾品について商標法4条1項10号に違反して登録されたものではないから同法46条1項の規定により,その登録を無効とすることはできない」。 第3原告主張の取消事由審決には,次のとおり,原告の業務に係る商品の未登録周知商標に関する認定を誤った違法があるから,取り消されるべきである。 審決における認定の誤りについて(1) 審決は,本件商標と同一の構成を有し,原告が使用していた「GABOR」という標章(以下「GABOR標章」という)が,請求人(原告)の商。 品「身飾品」を表示するものとして周知であったかを判断するに当たり,原告提出の雑誌記事(甲6ないし10)のみでは,本件商標が登録出願された平成13年8月8日当時,GABOR標章が原告の業務にかかる商品の商標として取引者,需要者に広く認識されていたとは認められないと判断し,さらに,当該商品に係る業務の承継があった場合には,その承継人を含めて商標の使用者といえるとしても,インターナショナル社が,本件商標の出願日より前にGABOR標章を使用し取引者,需要者の間に広く認識されるに至ったとは認め難いと判断した。 しかし,原告ないしインターナショナル社は,それぞれ独自にGABOR標章を周知させたというよりも,インターナショナル社がAから,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を譲り受け,さらに,原告がインタ 原告ないしインターナショナル社は,それぞれ独自にGABOR標章を周知させたというよりも,インターナショナル社がAから,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を譲り受け,さらに,原告がインターナショナル社から同事業及びそれに伴う諸権利を譲り受けたことにより,GABOR標章の周知性の帰属主体としての地位を取得したものである。すなわち,,,,審決も認めるとおりGABOR標章は本件商標が登録出願される以前より- 8 -Aのデザインに係るガボール製品等の身飾品を表示するものとして周知性を獲得していた。そして,インターナショナル社は,Aからガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の譲渡を受けたことにより,GABOR標章の周知性の帰属主体としての地位を承継したものである。その後,同社から原告へガボールブラ,,,ンドに係る事業及びそれに伴う諸権利が譲渡されこの結果本件商標の出願当時GABOR標章は,原告の業務にかかる商品を表示するものとして周知となっていたというべきである。以下,詳述する。 (2) インターナショナル社への事業譲渡アガボールブランドの誕生米国のジュエリーデザイナーであるAは,昭和63年ころより,ガボール製品の製造・販売を始め,平成6年には,米国カリフォルニア州法人であるガボラトリー・インクを設立し,以後,同社が,ガボールブランドの名の下,ガボール製品を製造・販売していた。 ガボール製品は,当初,米国国内でのみ販売され,男性用高級シルバーアクセサリーとして人気を博したが,平成8年ころからは,日本国内においても,当時のガボラトリー・インクの販売代理店であった有限会社ワキサカ以下ワ(「キサカ」という)を通じて販売されるようになり,ガボールブランドは,シ。 ルバーアクセサリーの有名ブランドとして需要 当時のガボラトリー・インクの販売代理店であった有限会社ワキサカ以下ワ(「キサカ」という)を通じて販売されるようになり,ガボールブランドは,シ。 ルバーアクセサリーの有名ブランドとして需要者の間で広く認識されるようになっていった。 ガボールブランド及びガボール製品が日本国内で広く需要者に認識されていたことは,ガボール製品が,シルバーアクセサリーを特集した雑誌に数多く取り上げられ(甲18ないし20,30「ガボール〉ほど,ヒステリックに),〈コピーされるジュエリーもないだろう(甲18「ガボール高貴な無骨シ」),ルバー「ガボールのシルバーを付けていると,それだけでアメリカでは一目」も二目も置かれる(甲20「スカルといえばガボール,といわれるほどの」),」()。 カリスマブランド甲30などと紹介されていることからも明らかである- 9 -そして,ガボールブランドが需要者間に広く認識されるに伴い,ガボールブランドの創始者Aの名とともに,そのファーストネームであるGABOR標章も,ガボール製品を表示するものとして,需要者に広く知られるようになっていた。 イ遺言書の作成(ア) ところが,Aは,従前より慢性のアルコール中毒症状にあり,また,これに起因する極めて治療困難な肝臓疾患である肝硬変を数年に渡って患っている状況にあり,医師からは,このまま飲酒を続ければ近い将来に死に至るという警告を受けていた。 ,,,しかしながらAはかかる状態となるに至っても飲酒を止めることはなくむしろその度合いを深めていたため,病状はさらに悪化の一途を辿っていた。 そして,これに伴って,Aは,ガボールブランドに係る事業の経営やシルバーアクセサリーの創作・デザインに対する意欲ないし気力を次第に喪失している状況にあった。なお,Aが, らに悪化の一途を辿っていた。 そして,これに伴って,Aは,ガボールブランドに係る事業の経営やシルバーアクセサリーの創作・デザインに対する意欲ないし気力を次第に喪失している状況にあった。なお,Aが,長年のアルコール中毒に起因する肝硬変を患い,これが原因となって死亡したという事実は,Aの死亡時に作成された,米国カリフォルニア州ロサンゼルス・パサデナ市厚生課作成にかかる死亡確認書(甲12)において,同人の死亡原因として「アルコール中毒による肝硬変」と,記載され,その病歴について「数年来」と記載されていることからも明らか,である。 肝硬変とは,不可逆性の肝臓疾患の末期状態をいうのであり,その5年生存率は約50%とされる極めて治療が困難であり,かつ死亡する可能性の高い疾患である。この点,肝硬変の治癒のためには断酒が必須であり,かかる症状の,()。 まま飲酒を継続することはほとんど自殺行為であるとさえいえる甲31(イ) このような状況において,Aは,同人が最も信頼していたアクセサリー職人であり,また友人でもあるBに対して,自分が死亡した場合には,同人がBとともに発展させてきたガボールブランドを引き継ぎ,その事業を継続して- 10 -欲しいという希望をもつようになっていた。 その一方,Aの妻であった被告は,当時,Aと同様にアルコール中毒の状態にあり,また,元来,ガボールブランドに係る事業ないしガボラトリー・イン,,クの業務には全く関与しておらず会社経営又はアクセサリー製造に関しても何らの知識・経験も有していなかった。したがって,少なくとも当時の状況において,被告には,ガボールブランドを継承しその事業を継続する能力はなかったのであり,Aの死後,ガボールブランドに係る事業を継承し事業を遂行できる人物は,事実上,Bのみであった。 (ウ 当時の状況において,被告には,ガボールブランドを継承しその事業を継続する能力はなかったのであり,Aの死後,ガボールブランドに係る事業を継承し事業を遂行できる人物は,事実上,Bのみであった。 (ウ) そこで,Aは,近い将来に仮に自分が死去した場合には,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利をBに引き継がせたいと考え,平成10(),,年1998年12月初旬そのような意思を具体的に外部に表明するため(),,遺言書甲13を作成しこれをガボール製品のオリジナルの金型とともにBに託した(甲32。 )ウ事業譲渡契約書の作成(ア) Bと同様,Aと数年来の友人であったC(以下「C」という)は,上。 記遺言の内容を具体化し,A死去の際に,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の承継を円滑に行い,将来的に第三者に対する対抗力を確保しておくため,Aと合意の上,遺言書(甲13)の交付から間もない時期である平成10年(1998年)12月10日に,事業譲渡契約(以下「本件事業譲渡契約」という)を締結した(甲33。 。 )(イ) なお,本件事業譲渡契約の当事者が,Bではなくインターナショナル社となっているのは,以下の事情による。すなわち,当時,Cは,本業である建設業の傍ら,モータサイクルの製造を通じて知り合ったA及びBと親交を深めており,時折,ガボラトリー・インクにおけるガボール製品の日本への輸出に係る相手方との交渉や,その事務処理を行うなどしていた。一方,職人であるBは,会社経営それ自体については積極的な興味関心を有していなかった。こ- 11 -のような経緯から,遺言書(甲13)により表明されたガボールブランドの事業の具体的な権利関係の処理については,Cに託され,本件事業譲渡契約がAとCとの間で締結されることと なかった。こ- 11 -のような経緯から,遺言書(甲13)により表明されたガボールブランドの事業の具体的な権利関係の処理については,Cに託され,本件事業譲渡契約がAとCとの間で締結されることとなったのである。なお,事業譲渡契約書(甲33)の当事者はCではなくインターナショナル社となっているが,これは,当時,Cが使用していたいわば屋号である。 (ウ) これにより,Aは,インターナショナル社に対し,商標権及び金型をはじめとするガボラトリー・インク及びAが有する営業に関する権利のすべてを譲渡し,同日,インターナショナル社からガボラトリー・インクに対し,譲渡代金20万ドルが支払われた(甲34。 )(エ) なお,上記事業譲渡契約書(甲33)は,C自身が2通作成したもので,,,。 ありB宅においてAとの間で相互に署名の上各自がその1通を保有した(オ) 対価である20万ドルについては,Cがそのすべてを支出し,Aに対して現金で交付し,これに対し,Aが領収書(甲34)に署名したうえでCに交。 ,,付した現金授受による取引は米国のシルバーアクセサリー業界においては商慣習といえるものであり,本件事業譲渡契約の対価の現金授受も,その慣習に従ったものである。また,20万ドルという対価は,基本的には当時のガボール製品のオリジナル金型の個数(100個以上)を根拠として算出したものである。同時に,Aは,仲間を大切にする人間で,親しい友人に対して感謝の,,,,念を表すために贈り物をする習慣があったことからCは事業譲渡自体が遺言書(甲13)に基づくAからの贈与であるという認識も有していた。した,,,がってその対価は当時のガボール製品のオリジナル金型の個数のみならずこのような点をも併せ考慮した上で決定されたものであった。 さ に基づくAからの贈与であるという認識も有していた。した,,,がってその対価は当時のガボール製品のオリジナル金型の個数のみならずこのような点をも併せ考慮した上で決定されたものであった。 さらに,ガボラトリー・インクが,A及びD(以下「D」という)により。 平成6年(1994年)に設立された際に出資された金額が15万ドルであったこと(甲35)からすれば,上記20万ドルの対価は,極めて妥当であったということができる。 - 12 -エ事業譲渡の有効性の裏付事実本件事業譲渡契約の有効性は,以下の事実からも裏付けられる。 (ア) 本件事業譲渡契約の締結から約1か月後の平成11年(1999年)1,,。 ,月16日Aはアルコール中毒に起因する肝硬変により亡くなったそして同人の死に伴い,Bら職人はガボラトリー・インクを退職し,同社は平成15(),。 ,年2003年に営業を再開するまでその営業を完全に停止したこの点ガボラトリー・インクがAの死後営業を停止していたことは「シルバーの鬼,“才”Aの死から早4年が経った。そして『夫の死を冷静に受け止められるよ,うになった」という彼女は,長く締まって(原文ママ)いた工房を明け,本格的に『ガボラトリー』を再稼動させたのである」(甲16)との記載からも明らかである。そして,Aの死とともにガボラトリー・インクがその営業を停止したのは,本件事業譲渡契約によりインターナショナル社がガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を取得した反面,ガボラトリー・インクがそれを喪失したからに他ならない。したがって,ガボラトリー・インクの営業停止の事実は,ガボールブランドに係る事業が,真にインターナショナル社に承継されたことを裏付けるものである。 なお,ガボラトリー・インクが,本件事業譲渡 らない。したがって,ガボラトリー・インクの営業停止の事実は,ガボールブランドに係る事業が,真にインターナショナル社に承継されたことを裏付けるものである。 なお,ガボラトリー・インクが,本件事業譲渡契約締結後も,Aの死まで営業を続けていたのは,そもそも,この事業譲渡契約書(甲33)が,Aの死後もガボールブランドを継続していくために作成されたものであったことから,同人の存命中は,インターナショナル社が営業を行う必要がないため,ガボラトリー・インクにおいてガボールブランドに係る事業を継続することとしたことによる。 (イ) また,Bないしインターナショナル社が,Aよりガボール製品の製造のための生命線といえるオリジナル金型を承継し,所有していた事実も,本件事業譲渡契約に基づくガボールブランドの事業承継の事実を裏付けるものである。すなわち,平成16年(2004年)8月のガボラトリー・インクとイン- 13 -ターナショナル社との米国における極秘和解契約(甲28)において,ガボラトリー・インク自身がインターナショナル社に対して,オリジナルの金型の引渡しを求めていること等から,インターナショナル社がガボール製品の製造に使用し,現在は,原告の所有下にある金型(甲32)が,オリジナルの金型であることは明らかである。実際に,Aの死亡後まもなくして,インターナショナル社は,本件事業譲渡契約に基づき,Bの自宅敷地内の工房において,オリジナルの金型を利用してガボール製品の製造を行うようになった。また,このようにインターナショナル社においてガボール製品の製造に従事している従業員は皆,かつてAの工房で働いていたガボラトリー・インクのスタッフであった。一方,ガボラトリー・インクは,完全にその活動を停止し,ガボール製品の製造・販売を行っていなかった。このため,インター 従業員は皆,かつてAの工房で働いていたガボラトリー・インクのスタッフであった。一方,ガボラトリー・インクは,完全にその活動を停止し,ガボール製品の製造・販売を行っていなかった。このため,インターナショナル社は,当時のガボラトリー・インクの日本販売代理店であったワキサカらからも,ガボール製品の購入の引き合いを受けていた(甲36。 )(ウ) しかも,仮に事業譲渡が実際にはされていないというのであれば,ガボラトリー・インクは,オリジナルの金型をBないしインターナショナル社が持ち去った時点で,当該金型を取り返すのが通常の対応というべきところ,事業譲渡後5年半以上が経過した上記極秘和解契約の締結時にその引渡しを求めるまで,何らの措置も採ってこなかった。かえって,インターナショナル社は,後述するDの脅迫があるまでは,オリジナルの金型を利用して平穏無事にガボール製品の製造及び日本への輸出を継続してきたのである。 (エ) 以上の事情にかんがみれば,本件事業譲渡契約が適正に締結され,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利がAないしガボラトリー・インクよりインターナショナル社に承継されたことの裏付けは十分である。 オ事業譲渡契約書等の成立の真正について,(),()()原告は遺言書甲13事業譲渡契約書甲33及び領収書甲34の原本を保有しておらず,証拠として提出できるのはその写しのみである。し- 14 -かし,以下のとおり,原本の不提出が,上記書類の成立の真正を否定する根拠とならないことは明らかである。 (ア) 原本喪失の経緯a本件において,原本が提示できない理由は,以下のとおり,ガボラトリー・インクの株主であったDが,事業譲渡契約書(甲33)等の原本を保持していたCに対し,マフィアないしギャング組織との関わりを背景に a本件において,原本が提示できない理由は,以下のとおり,ガボラトリー・インクの株主であったDが,事業譲渡契約書(甲33)等の原本を保持していたCに対し,マフィアないしギャング組織との関わりを背景にして,執拗,。 に脅迫や嫌がらせを続けた上すべての原本を同人から奪い取ったためであるbすなわち,Cは,遺言書(甲13)や事業譲渡契約書(甲33)等の作成後,これらガボールブランドの事業に係るインターナショナル社の権利を証する書面の原本を一括して保管していた。 Aの死後,インターナショナル社は平成13年(2001年)5月29日に法人化し,さらに同年5月ないし7月の間に,米国商標1ないし3の出願を行うとともに,ガボール製品の製造及び日本に対する輸出等を行っていた。 これに対し,ガボラトリー・インク及び被告は,平成14年(2002年)ころまで,インターナショナル社によるガボール製品の製造,輸出等につき,何ら異議を述べることもなかった。 ,(),,,cところが平成14年2002年になってBやCに対しDから直接又は電話や電子メールを通じて,権利関係書類及びオリジナルの金型を同人に引き渡すとともに,インターナショナル社の事業を中止しなければ,背後にあるマフィアないしギャング組織が,BやCの生命を奪うことになる旨の執拗な脅迫が開始されるようになった。このような脅迫は,時に銃を用いて行われるほどの悪質なものであった。さらに,平成15年(2003年)7月29日には,ガボラトリー・インクからインターナショナル社に対する訴訟が提起され(甲37,また,DによるCらに対する脅迫や嫌がらせも,継続して行)われていた。 なお,このころ,Dは,オリジナルの金型を強奪するため,インターナショ- 15 -ナル社の製造工場に押し入ろうとしたため,ロ また,DによるCらに対する脅迫や嫌がらせも,継続して行)われていた。 なお,このころ,Dは,オリジナルの金型を強奪するため,インターナショ- 15 -ナル社の製造工場に押し入ろうとしたため,ロサンゼルス郡特別機動隊により包囲されるという事件を発生させている(甲38。 )dこのような状況において,Cは,当初こそ脅しに屈することなく事業を,,継続していたがDによる度重なる脅迫によって生命の危険を感じるとともに,()さらに訴訟追行に伴う費用の負担も大きかったため平成16年2004年に至って,ついに,Dに対して,権利関係書類の原本を引き渡した上,上記訴訟において,全く真意に基づかない極秘和解契約(甲28)を締結することとしたのである。なお,オリジナルの金型については,後述するとおり,一連の契約(甲5,甲39ないし41)により,ガボールブランドの事業がインターナショナル社から原告に譲渡された段階で,インターナショナル社から原告に引き渡されており,Cの手許には残っていなかった(甲32。 )e本件における遺言書(甲13,事業譲渡契約書(甲33)及び領収書)(甲34)の原本の提出が不可能となったのは,以上の理由に基づくものであるから,これをもって遺言書(甲13,事業譲渡契約書(甲33)及び領収)書(甲34)の成立の真正を否定する根拠とすることはできない。 (イ) 署名の同一性aまた,上記書類に記されたAの署名が,真実Aによりされたことは,他の文書にされた署名との比較による署名鑑定の専門家(認定文書鑑定人)の鑑。 ,(),定結果からも明らかであるすなわち平成20年2008年12月1日認定文書鑑定人は,遺言書(甲13,事業譲渡契約書(甲33,領収書(甲))34,平成6年(1994年)4月8日付のガボラト 定結果からも明らかであるすなわち平成20年2008年12月1日認定文書鑑定人は,遺言書(甲13,事業譲渡契約書(甲33,領収書(甲))34,平成6年(1994年)4月8日付のガボラトリー・インク定款(甲)42,平成9年(1997年)8月9日付でA及びワキサカとの間で締結さ)れた「日本国における版権と商標に関する契約(甲43)並びに一般のホー」ムページに記載されたAの署名を多数の観点から比較対照したうえで,これらの書面に記載された署名が十分な類似性を有し,同一人物によって作成された可能性が高いとの結論に達した(甲53。 )- 16 -bなお,ここで比較の対象となった文書のうち,ガボラトリー・インクの()「」(),定款甲42及び日本国における版権と商標に関する契約甲43は本件審判請求を含む一連の紛争が開始されるはるか以前の,A存命中に作成されたものである。 まず,ガボラトリー・インクの定款(甲42)は,米国州務長官の検印のあるものであり,これが真正に作成されたものであることに疑いの余地はない。 また「日本国における版権と商標に関する契約(甲43)についても,平,」成9年(1997年)に,A自身と,当時の日本の輸入代理店であったワキサカとの間で締結されたものである。当時,ワキサカがガボラトリー・インクの製品を日本に輸入していた事実に争いはなく,また,契約書それ自体の内容においても,原告と利害関係を有するものではないから,当該契約書(甲43)は真にAにより作成されたものであり,その署名もA自身のものといえる。 したがって,上記の書類はいずれもA自身の真正な署名が記載された書面として,十分な信用性を有するものである。 cそこで,上記各証拠の署名を比較検討すると,まず,ガボラトリー・インクの定款( える。 したがって,上記の書類はいずれもA自身の真正な署名が記載された書面として,十分な信用性を有するものである。 cそこで,上記各証拠の署名を比較検討すると,まず,ガボラトリー・インクの定款(甲42)の署名と,事業譲渡契約書(甲33)及び領収書(甲34)の署名は,いずれも特徴ある1番目の文字「g,2番目の文字「n,ま」」た3番目の「r」に似た文字の部分において,筆順及び筆圧がほとんど同一といえ,また,文字相互の間隔も同一である。また,上記定款(甲42)の各署名と,遺言書(甲13)の「n」と「r」の文字の部分の筆順及び筆圧は,ほとんど同一といえる。 さらに「日本国における版権と商標に関する契約(甲43)の署名は,遺,」言書(甲13,事業譲渡契約書(甲33)及び領収書(甲34)の署名と筆)圧においてやや異なるが,特徴ある「g」及び「n」の部分における筆順や文字全体の形は同一であり,また,文字相互の間隔も同一といえる。 このような点からすれば,甲13,33,34,42及び43の署名はすべ- 17 -て,同一人物により作成されたものであり,甲42,43がA自身の真正な署名であることはもとより明らかであることからすれば,遺言書(甲13)並びに事業譲渡契約書(甲33)及び領収書(甲34)の署名もまた,真にA自身により作成されたものというべきである。 d以上のとおり,上記各書類の署名は全て同一人物により作成されたものであり,遺言書(甲13)並びに事業譲渡契約書(甲33)及び領収書(甲34)は,真にA自身により作成されたものというべきである。 カ小括以上に照らせば,本件事業譲渡契約により,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利が,Aからインターナショナル社に承継されたことは明らかである。 (3) インターナショナル社による営 カ小括以上に照らせば,本件事業譲渡契約により,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利が,Aからインターナショナル社に承継されたことは明らかである。 (3) インターナショナル社による営業活動ガボールブランドに係る事業を譲り受けたインターナショナル社は,Cが本業の建設業で多忙だったため,Aの死の直後こそガボール製品の製造・販売を行っていなかったが,平成12年(2000年)ころより,ガボール製品の製造・販売を開始した。このころ,インターナショナル社は,Cの個人営業として営業活動を行っていたのである(甲47)。なお,インターナショナル社が平成12年(2000年)ころより営業を続けていたことは,インターナショナル社とガボラトリー・インクらが当事者となった部分的和解契約(甲48)においても確認されている。 このように,平成13年(2001年)5月にインターナショナル社が法人化される前より,インターナショナル社は,Cの個人営業としてガボールブランドに係る事業を行っており,これに伴いGABOR標章を使用していたものである。 さらに,法人化後は,Cはガボールブランドに係る事業を本格的に行うようになった。Bは,Aから譲り受けた金型を使って,自宅の工房で他のシルバー職- 18 -人とともにガボール製品を製造し(甲36,46,インターナショナル社は,そ)の製品をロサンゼルスのモーターサイクルショップで販売するとともに,日本への輸出も精力的に行った。 (4) 原告への事業譲渡アインターナショナル社が法人化されたのとほぼ同時期である平成13年5月ころ,原告の代表者であるE(日本名E。以下「E」という)は,知人。 を介してBと知り合った。Eは,Bらの製造・販売しているガボール製品に興味を持ち,同人の自宅兼工房を訪問し,Cに引き合わされた。そ ろ,原告の代表者であるE(日本名E。以下「E」という)は,知人。 を介してBと知り合った。Eは,Bらの製造・販売しているガボール製品に興味を持ち,同人の自宅兼工房を訪問し,Cに引き合わされた。その際,Eは,Bの自宅兼工房において,ガボール製品がオリジナルの金型を利用して製造されているのを確認した。さらに,同人より,Cの個人営業であったインターナショナル社を法人化し,アメリカ国内及び国外でガボール製品の販売を拡大する予定であるとの説明を受けた。そこで,Eが,B及びCに,原告が日本向けアパレルの並行輸入をしていることを伝え,日本向けにガボール製品の卸売をして欲しいと要請したところ,両人は,これを快諾した。 こうして,原告は,このころより,ガボール製品の日本向けの輸出に係る取引を開始し,以後,日本におけるガボール製品の取引は,原告を通じて行われることとなった。 その後,インターナショナル社によるガボール製品の生産は順調に進み,原告の紹介により有限会社ガボラトリー・インターナショナル・ジャパンが日本の総輸入元として当該ガボール製品を販売していた(甲44)が,平成15年(2003年)4月頃,日本から発注が約3か月にわたり途絶えるという事態が生じ,それにより,インターナショナル社は,資金繰りに窮するようになった。 イその機会に,原告は,平成15年(2003年)7月31日,インターナショナル社との間で,有効期限を5年間として,インターナショナル社が原告に対し,インターナショナル社が保有する商標の使用権を含む,日本やアジ- 19 -ア向けのガボール製品の独占的製造・販売権を与え,その対価として原告がインターナショナル社に対し50万ドルを支払う,という契約を交わした(甲39。これを皮切りに,同年8月24日には,前記契約上の独占的使用権を1) の独占的製造・販売権を与え,その対価として原告がインターナショナル社に対し50万ドルを支払う,という契約を交わした(甲39。これを皮切りに,同年8月24日には,前記契約上の独占的使用権を1)0年間に延長するほか,万一,インターナショナル社が廃業する場合には,同社の有するガボールブランドに関する全権利を原告に譲渡すること,対価として7万ドルを支払うことなどを内容とする契約を締結し(甲5,さらに,同)年9月3日及び同月5日には,インターナショナル社の有するガボールブランドに関する全権利を原告に譲渡する旨の契約を締結した(甲40,41。そ)して,原告はインターナショナル社に対し,実際に対価として,合計57万ドルもの金額を支払ったのである(甲39,45。 )以上の結果,原告は,インターナショナル社から,ガボールブランドに関する事業を承継した。 ウこのように,原告がインターナショナル社との間で数次にわたって契約を繰り返し,結局,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を取得したのは,前記(2) オアのとおり,その当時,CもDより脅迫を受けていた( )ことから,Cの行動には信頼することができない点があり,原告のガボールブランドに関する権利を確実なものにしておきたかったという事情による。 エしたがって,原告は,インターナショナル社より,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利のすべてを有効に譲り受けたものである。 (5) 周知性の承継ア以上により,GABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそ,,れに伴う諸権利がA及びガボラトリー・インクからインターナショナル社にさらにインターナショナル社から原告にそれぞれ承継されたことは明らかである。 イそして,商標が,特定の営業者の事業に係る商品を表示するものである以 びガボラトリー・インクからインターナショナル社にさらにインターナショナル社から原告にそれぞれ承継されたことは明らかである。 イそして,商標が,特定の営業者の事業に係る商品を表示するものである以上,当該事業が第三者に譲渡された場合には,当該商標が,当該事業の承継- 20 -人の事業に係る商品を表示するものとなることは当然である。 したがって,GABOR標章は,本件商標が出願された平成16年8月4日当時,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の承継人であったインターナショナル社の営業に係る商品を表示するものとして周知又は著名であったというべきである。 ウこの点,インターナショナル社は,Aの死後,一定期間営業を開始していなかったが,Aの死から,インターナショナル社がガボールブランドに係る事業を再開するまでの期間はせいぜい1年程度であった。商標の周知性は,短期間営業を停止した程度で失われるものではなく,周知商標は,その周知の度合いが高ければ,営業が中断しようとも,その周知性を失うものではない。 そして,ガボールブランドが,多くのシルバーアクセサリー愛好家に知られる有名ブランドであり,GABOR標章が需要者間で広く知られていたことは前記のとおりであり,ガボールブランドに係る事業が中断されていた期間がわずか1年間程度であって,その後はインターナショナル社による精力的な営業活動が行われたことを踏まえれば,GABOR標章の周知性が消失したとはいえない。 (6) 結論以上のとおりであるから,本件商標は,原告の営業に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているGABOR標章と同一の商標であり,商標法4条1項10号に該当するので,同46条1項1号の規定により,無効とされるべきであり,審決は取り消されるべきである。 被告の反論 者の間に広く認識されているGABOR標章と同一の商標であり,商標法4条1項10号に該当するので,同46条1項1号の規定により,無効とされるべきであり,審決は取り消されるべきである。 被告の反論に対する再反論(1) 被告は,後記第4の1(1) のとおり,前記1記載の原告の主張は,周知性承継に関する新主張であるとし,主張自体失当であると主張する。 しかしながら,原告の主張は,商標法4条1項10号違反の主張の範囲内のものであり,新たな無効事由に該当しない。すなわち,事実が同じで適用法条を異にす- 21 -るにすぎない場合は,そもそも新たな無効事由に該当しないと解釈すべきであるところ,被告も認めるとおり,原告は,本件無効審判の段階でガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の承継の事実を明確に主張しているし,審決においても,当該承継の事実の主張を前提に認定が行われているものである。原告は,本件訴訟において,当該承継の事実を前提に,GABOR標章の周知性がこれに伴って承継されたとの法的主張を行っているにすぎないのであって,これを新たな無効事由の追加と評価することはできない。原告の主張は,インターナショナル社または原告自身がGABOR標章の周知性の帰属主体であるとの無効審判時の主張と何ら変わりはない。 (2) また,被告は,後記第4の1(2) のとおり,インターナショナル社及び原告がガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の承継者でないことは,米国における判決(乙1,2,3の1・2)において確定した事実である旨主張する。 しかしながら,被告が指摘する米国訴訟の判決は,いずれも欠席判決や却下判決であって,何らかの実体上ないし本案上の審理を経た判断に基づくものでないばかりか,内容的にも被告が主張するような認定は一切されていない。被告の上記 指摘する米国訴訟の判決は,いずれも欠席判決や却下判決であって,何らかの実体上ないし本案上の審理を経た判断に基づくものでないばかりか,内容的にも被告が主張するような認定は一切されていない。被告の上記主張は,米国訴訟の判決を意図的に歪曲した不正確な主張にすぎない。 第4被告の反論次のとおり,審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は理由がない。 前記第3の1の周知性承継に関する原告の新主張について(1) 原告は,本件訴訟において,大要,次のとおり主張する。すなわち,インターナショナル社がAあるいはガボラトリー・インクからGABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を承継した。その結果,インターナショナル社は,GABOR標章の周知性の帰属主体としての地位を承継した。その後,原告がインターナショナル社からGABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を承継し,その結果,原告はGABOR標章の周知性の帰属主体としての地位を承継した。 - 22 -しかしながら,上記原告の主張は,主張自体失当である。すなわち,審決取消訴訟において審理の対象となるのは審決に示された判断が違法か否かの点であるところ,上記原告の主張は審決において判断対象となっていなかった事項であって,請求原因(審決の違法性)とならないからである。 (2) 仮に,上記周知性承継に関する新たな主張が本件訴訟において許されるとしても,インターナショナル社がAあるいはガボラトリー・インクからGABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を承継したとの事実並びに原告がインターナショナル社からGABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を承継したとの事実はいずれも存在せず,かえって,GABOR標章を含む 諸権利を承継したとの事実並びに原告がインターナショナル社からGABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を承継したとの事実はいずれも存在せず,かえって,GABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の権利者がガボラトリー・インクでありインターナショナル社でないことは米国における判決(乙1,2)により,また,原告がGABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の権利者でないことも米国における判決(乙3の1,3の2)により,米国においてはそれぞれ確定した事実である。この点に関して原告の提出した証拠はいずれも信用性に乏しく,Aあるいはガボラトリー・インクがGABOR標章を周知させたことに基づく周知性の承継に関する新主張を認めるに足りる証拠でないことは明らかである。 原告が本件審判手続で行った周知性獲得の主張について原告が,本件審判手続において行った周知性獲得に関する主張は,次の2つに止まる。すなわち,1つ目は,原告自身が日本国内においてGABOR標章を周知させた旨の主張であり,2つ目は,インターナショナル社が周知させたGABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を原告が承継した旨の主張である。 しかしながら,次のとおり,それらの主張はいずれも理由がない。 (1) 原告自身が日本国内においてGABOR標章を周知させた事実が存在しないことについて- 23 -,,,「,審決はこの点について前記第2の3のとおり‥‥上記の事実からすると『GABOR』に関する記事及びその製品紹介は,平成11年1月16日に死亡した,Aに関する記事と認められるものであり,かつ,これらの記事はシルバーアクセサリーの製作におけるカリスマ的な存在であったAをたたえる域を脱しな る記事及びその製品紹介は,平成11年1月16日に死亡した,Aに関する記事と認められるものであり,かつ,これらの記事はシルバーアクセサリーの製作におけるカリスマ的な存在であったAをたたえる域を脱しないものばかりである。 また,これらが掲載された印刷物にしても,僅か2誌のみであって,その発行所も『ぶんか社』及び『株式会社笠倉出版社』とあまり知られていない上,その発行部数も不明でありしかもインターネットホームページ上の記事として ,,,『003年(平成15年)媒体別広告費』の表題の〈雑誌広告費〉の項に『asayan(ぶんか社』は休刊されている旨(乙5,乙6)掲載されている。加えて,)上記,掲載されている記事及び宣伝広告は,原告に『GABOR』を含む3件の米国商標及び日本における商標使用権,販売権を譲渡したインターナショナル社のものばかりで,原告の記事及び広告宣伝したものは見当たらない」と認定している。 が,正当である。したがって,この点に関する審決の認定及び判断に違法はない。 (2) インターナショナル社がGABOR標章の周知性を取得した事実がないことについて審決はこの点について前記第2の3のとおり上記(1) の判断に続いてた,,,,「とえ,原告が主張するように,身飾品等の商品に係るインターナショナル社の業務の承継が原告にあった場合には,原告が商標法4条1項10号でいうところの『他人』に該当し,周知の獲得が当業者の承継者にも認められると解されるとしても,これらの印刷物は,平成14年6月から平成15年5月までの約一年間の合計5回(冊)のみによるものである。他に,原告が商標『GABOR』及びその商品を我が国の需要者間に広く認識させたことを立証する証拠(例えば,広告宣伝の回数,その媒体,商品の販売数量等を証明する取 合計5回(冊)のみによるものである。他に,原告が商標『GABOR』及びその商品を我が国の需要者間に広く認識させたことを立証する証拠(例えば,広告宣伝の回数,その媒体,商品の販売数量等を証明する取引書類)の提出のないものである。そ,()うすると原告の主張する引用商標が本件商標の登録出願時平成16年8月4日に,原告の業務に係る商品『身飾品』の商標として,取引者・需要者の間に広く認- 24 -識されていたとは認められない」と認定しているが,正当である。したがって,。 この点に関する審決の認定及び判断に違法はない。 そうであれば,インターナショナル社が新たにGABOR標章の周知性を獲得したことを前提とする周知性承継の主張に理由がないことは明らかである。 第5当裁判所の判断 本件訴訟に至るまでの紛争の経緯等(,,,,,,,,, 証拠 甲2ないし46ないし9 51,52,乙1ないし4,6ないし14〔枝番のあるものは枝番も含む)及び。〕弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる(なお,各文末尾には,その認定の根拠となった主要な証拠を掲記した。 。)(1) 当事者及び関係者等アAは,シルバーアクセサリー等のジュエリーデザイナーであり,昭和63年(1988年)ころから,米国カリフォルニア州所在の工房において,自らがデザインしたスカル,スネーク,パンサー,ライオン,ブルドック及び十字架などをあしらった極めて独創的な立体形状を有するリング,ブレスレット等のシルバーアクセサリー(ガボール製品)を製造し,これを販売していた。 Aは,平成11年(1999年)1月16日,病気により,45歳の若さで死亡した。 イガボラトリー・インクは,シルバーアクセサリーの製造・販売等を業とする米国 ル製品)を製造し,これを販売していた。 Aは,平成11年(1999年)1月16日,病気により,45歳の若さで死亡した。 イガボラトリー・インクは,シルバーアクセサリーの製造・販売等を業とする米国カリフォルニア州法人であり,平成6年(1994年)に,AとDによって設立された。Aは,ガボラトリー・インク設立に当たり,自己の有するガボールブラ,。 ンドに係る事業及びそれに伴う諸権利をすべてガボラトリー・インクに譲渡したウガボラトリー・インク代表者であるY(以下「Y」という)は,Aの妻で。 あり,相続人である。現在,Yはガボラトリー・インクの株式の51パーセントを保有している。 エ原告は,Eが,米国カリフォルニア州において経営する会社であり,シルバ- 25 -ーアクセサリー等を製造・販売している。 オEは,原告の外に,米国ネバダ州法人であるガボール・インコーポレイテッド・ユーエスエー(以下「USA社」という)をも経営し,シルバーアクセサリ。 ーを製造・販売する際において,しばしばUSA社の名称を使用していた。 カBは,Aの生前,ガボラトリー・インクにおいて,Aとともにガボール製品の製造に従事していた者であり,平成12年(2000年)5月,ガボラトリー・インクを退社した(乙14。 )キCは,米国カリフォルニア州在住の建築エンジニアであり,米国カリフォルニア州法人であるアドヴァンスト・コントラクション・マネージメントインク(以下「アドヴァンスト社」という)の代表者である。 。 クBとCは,平成13年(2001年)5月29日,米国ネバダ州法人であるインターナショナル社を設立し,シルバーアクセサリーを輸出・販売していた。なお,同社は,平成17年(2005年)6月1日をもって解散した。 (2) ガボラトリー・インクによるガボール製品の輸出 であるインターナショナル社を設立し,シルバーアクセサリーを輸出・販売していた。なお,同社は,平成17年(2005年)6月1日をもって解散した。 (2) ガボラトリー・インクによるガボール製品の輸出及び販売ガボラトリー・インクは,平成8年(1996年)ころから,ガボール製品を日本に輸出し,ワキサカなどを通して,日本国内において販売していた(甲43。 )ガボール製品は,前記(1) アのとおり,極めて独創的な立体形状を有するシルバーアクセサリーであったこと,米国においてはハリウッド男性スターたちに愛用されたこともあって男性用高級シルバーアクセサリーとして人気を博し,日本においても,シルバーアクセサリーを特集した雑誌に数多く取り上げられ「ガボール〉,〈ほど,ヒステリックにコピーされるジュエリーもないだろう「ガボール高貴な」,無骨シルバー「ガボールのシルバーを付けていると,それだけでアメリカでは一」,目も二目も置かれる。なぜなら,いくらカネがあってもコネクションが無ければガボールの作品は買えないからだ「GABORガボール『スカルキング』の称。」,号を持つAのブランド「スカルといえばガボール,といわれるほどのカリスマブ」,ランド」などと紹介されていることから,ガボールブランド,特に,GABOR標- 26 -章は,遅くとも,Aが死亡した年である平成11年(1999年)ころまでには,日本国内でAないしガボラトリー・インクの商品を示すものとして,取引者及び需要者の間に広く認識されていた(甲18,20,30。 )(3) 原告及びインターナショナル社によるシルバーアクセサリーの輸出及び販売原告及びインターナショナル社は,遅くとも平成14年(2002年)6月ころには,ガボール製品と同一若しくは極めて類似した立体形状を有するシルバーアク ショナル社によるシルバーアクセサリーの輸出及び販売原告及びインターナショナル社は,遅くとも平成14年(2002年)6月ころには,ガボール製品と同一若しくは極めて類似した立体形状を有するシルバーアクセサリーを日本に輸出し,日本国内において販売していた(甲6ないし9。 )(4) 米国における商標登録に関する経緯アインターナショナル社は,米国において,前記第2の2に記載されたとおりの内容で,平成13年(2001年)5月29日に米国商標2を,同年6月13日に米国商標1を,同年7月30日に米国商標3を,それぞれ登録出願した(甲2ないし4の各1・2。 )イこれに対し,ガボラトリー・インクは,同年8月9日,米国商標2と同一の商標につき登録出願をするとともに,平成14(2002年)9月27日にはインターナショナル社の米国商標3の出願に対して,同年10月31日には同社の米国商標2に対して,それぞれ異議を申し立てた(以下「米国商標に対する各異議申立て」という。しかし,その後の平成16年(2004年)8月13日ころ,後記。)(5) エの極秘和解契約が成立したため,ガボラトリー・インクは,平成17年(2005年)7月18日,米国商標に対する各異議申立てを取り下げた。そのため,米国特許商標庁は,同月22日,上記各異議申立てを却下する決定をした。それに伴い,ガボラトリー・インクは,平成18年(2006年)4月10日,上記商標登録出願を放棄した(甲28,乙7。 )(5) 米国における関連訴訟及び和解契約等の経緯ア米国第1次訴訟ガボラトリー・インクは,平成13年(2001年)12月4日,B,インターナショナル社及びアドヴァンスト社を相手方として,米国カリフォルニア州中部地- 27 -区連邦裁判所(以下「連邦地裁」という)に対し「GABORATORY 3年(2001年)12月4日,B,インターナショナル社及びアドヴァンスト社を相手方として,米国カリフォルニア州中部地- 27 -区連邦裁判所(以下「連邦地裁」という)に対し「GABORATORY」の商。 ,標及びガボール製品のデザインの使用差止め等を求める訴訟を提起した(以下「米国第1次訴訟」という。 。)イ部分的和解契約の締結ガボラトリー・インクは,平成14年(2002年)12月,米国第1次訴訟の被告であるB,インターナショナル社及びアドヴァンスト社との間で,上記訴訟に関し,①Bらは,ガボラトリー・インクから,ガボール製品のデザインの使用,製造,販売の許諾を得ているというような表示をしないこと,②Bらがガボールブランドの正当な使用者であって,ガボラトリー・インクは正当な使用者ではないとの表示をしないこと,③ガボラトリー・インクは,上記訴訟を,再訴の権利を留保して取り下げること,以上の内容の和解契約を締結した(甲48。 )ウ米国第2次訴訟ガボラトリー・インクは,平成15年(2003年)7月29日,B,インターナショナル社及びアドヴァンスト社を相手方として,連邦地裁に対し,米国商標1ないし3の使用差止め等を求める訴訟を提起した。これに対し,インターナショナル社は,ガボラトリー・インクに対し,反訴を提起した(以下「米国第2次訴訟」という。甲37。 )エ極秘和解契約の締結ガボラトリー・インクは,平成16年(2004年)8月13日ころ,インターナショナル社及びアドヴァンスト社との間で,①ガボラトリー・インクは,インタ,,,ーナショナル社らに対し7500ドルを支払うこと②ガボラトリー・インクは米国第2次訴訟を取り下げ,インターナショナル社は反訴を取り下げること,③インターナショナル社らは,米国商標1の署名済み譲渡証書を ナショナル社らに対し7500ドルを支払うこと②ガボラトリー・インクは米国第2次訴訟を取り下げ,インターナショナル社は反訴を取り下げること,③インターナショナル社らは,米国商標1の署名済み譲渡証書を第三者預託物としてガボラトリー・インクの訴訟代理人に交付すること,その交付を受けたガボラトリー・インクの訴訟代理人は,裁判所の命令又はYとDとの合意に至るまで譲渡証書を保管すること,④インターナショナル社らは,米国商標2及び3の出願を放棄し,- 28 -今後,同商標と類似の商標の出願をしないこと,⑤ガボラトリー・インクは,米国商標に対する各異議申立ての手続を終了させる措置を採ること,⑥インターナショナル社らは,ガボラトリー・インクによる米国商標2と同一の商標に関する登録出願について,異議申立てをしないこと,⑦インターナショナル社らは,今後,「」「」,GABORGABORATORY又はと同一又は類似の標章を使用しないこと⑧インターナショナル社らは,今後,ガボール製品と同一又は類似の商品の製造・販売等をしないこと,⑨インターナショナル社らは,ガボラトリー・インクに対し,商品の原金型や生産用金型をすべて引き渡すこと,⑩ガボラトリー・インクは,本和解条項に定める以外の請求をすべて放棄し,インターナショナル社らは,本和解条項に定める以外の請求をすべて放棄すること,以上の内容の和解契約を締結した(以下「本件極秘和解契約」という。なお,同契約書に。)は,ガボラトリー・インクの代表者としてYとDの署名らしきものが記載され,インターナショナル社及びアドヴァンスト社の代表者としてCの署名らしきものが記載されている(甲28,乙7。 )オ米国第2次訴訟は,平成16年(2004年)8月20日,ガボラトリー・インク及びインターナショナル社らとの びアドヴァンスト社の代表者としてCの署名らしきものが記載されている(甲28,乙7。 )オ米国第2次訴訟は,平成16年(2004年)8月20日,ガボラトリー・インク及びインターナショナル社らとの訴え却下の合意により,訴えが却下された(甲37。 )カ米国第3次訴訟Eは,平成19年(2007年)6月15日,ガボラトリー・インク,Y,D外11名を相手方として,米国商標1ないし3及び関連著作権を自らが保有していると主張してそれらの権利の侵害の差止め等を求める訴訟を提起した(以下「米国第3次訴訟」という。これに対し,原告らは,訴え却下の申立てを行ったところ,。)連邦地裁は,同年11月6日,Eが,インターナショナル社から米国商標1ないし3及び関連著作権の譲渡を受けた事実は認められないとして,ガボラトリー・インクによる訴え却下の申立てを認容した。 キ米国第4次訴訟- 29 -(ア) ガボラトリー・インクは,米国第3次訴訟を受けて,平成19年(2007年)7月20日,インターナショナル社,アドヴァンスト社,C外1名を相手方として,連邦地裁に対し,本件極秘和解契約の履行及び侵害の差止め等を求める訴訟を提起した(以下「米国第4次訴訟」という)が,インターナショナル社らはい。 ずれも答弁書を提出せずに欠席したため,原告は,同年12月27日,欠席判決の申立てをしたところ,連邦地裁は,平成20年(2008年)6月10日,上記欠席判決の申立てを認め,ガボラトリー・インクに対し,損害算定に関する証拠等の追完を求めた。なお,Eは,同年9月4日,米国第4次訴訟について,訴訟参加の,,,()。 申立てをしたが連邦地裁は同年10月20日その申立てを却下した乙1(イ) ところが,インターナショナル社,アドヴァンスト社及びCは,平成20年(20 ついて,訴訟参加の,,,()。 申立てをしたが連邦地裁は同年10月20日その申立てを却下した乙1(イ) ところが,インターナショナル社,アドヴァンスト社及びCは,平成20年(2008年)10月6日,連邦地裁に対し,米国第4次訴訟に関し,適法な送達がされていないとして,上記欠席判決の取消しを申し立てたところ,連邦地裁は,同年11月10日,インターナショナル社及びアドヴァンスト社の上記各申立てについては要件を欠くとして却下したが,Cの上記申立てに関しては,米国第4次訴訟手続においてCに対する送達が補充送達の要件を欠いていたことを理由に,Cの上記申立てを認めたため,ガボラトリー・インクは,同月13日,本件第4次訴訟のうち,Cに対する訴えを取り下げた(甲47,51,52。 )(ウ) その後,連邦地裁は,平成21年(2009年)2月23日,インターナショナル社及びアドヴァンスト社に対し,本件極秘和解契約書(甲28)に定められた義務の履行及び「」の標章の使用の差止めなどを命じる判GABORATORY決を言い渡した(乙2。 ) 上記認定の事実関係を前提として,原告が取消事由として主張するガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利並びに周知性の承継について,判断する。なお,被告は,前記第4の1(1) のとおり,原告の上記主張は本件審判手続で主張されていない結果審決の判断対象となっていなかった新たな主張であるから,- 30 -本件訴訟においては審理の対象とならず,主張自体失当である旨主張するが,前記第2の2記載のとおり,上記ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利並びに周知性の承継に関する原告の主張は,既に本件審判手続において主張されており,かつ,前記第2の3のとおり,審決もこの点について判断しているものと認められ ルブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利並びに周知性の承継に関する原告の主張は,既に本件審判手続において主張されており,かつ,前記第2の3のとおり,審決もこの点について判断しているものと認められるから,この点に関する被告の主張は理由がない。 そこで,検討するに,前記認定のとおり,ガボラトリー・インクは,Aから,ガボールブランドに係る事業を承継しており,平成8年以降,ガボールブランドの名の下,ガボール製品を製造して,日本にも輸出し,日本国内においても販売し,その結果,ガボールブランド及びガボール製品は日本国内において取引者及び需要者の間で広く認識されていたことが認められるから,ガボラトリー・インクがその後にガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を他へ譲渡する等,それらの権利を喪失したと認められる事情がない限り,本来,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の正当な権利者はガボラトリー・インクであるというべきである。 この点につき,原告は,前記第3の1のとおり,原告がガボールブランドに係る事業及びそれに伴う全権利の正当な承継者である旨主張するので,以下,個別に検討する。 (1) AからB又はインターナショナル社に対する権利承継の有無についてア原告は,前記第3の1(2) イのとおり,肝硬変を患っていたAが,近い将来自分が死去した場合に備え,ガボールブランドに係る事業をBに引き継がせたいと考えて,平成10年(1998年)12月初旬ころ,その旨の遺言書(甲13)を作成してBに託し,さらに,上記遺言の内容を具体化し,A死去の際にガボールブランド等の権利承継を円滑に行い,将来的に第三者に対する対抗力を確保しておくため,Aと合意の上,遺言書(甲13)の交付から間もない時期である同月10日に,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権 ランド等の権利承継を円滑に行い,将来的に第三者に対する対抗力を確保しておくため,Aと合意の上,遺言書(甲13)の交付から間もない時期である同月10日に,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利をインターナショナル社に20万ドルで譲渡する旨の本件事業譲渡契約を締結した結- 31 -果,インターナショナル社がガボールブランドに係る事業に関する一切の権利を取得し,さらに,原告が,平成15年(2003年)7月から9月にかけての一連の契約により,インターナショナル社から,ガボールブランド及びガボール製品に係る事業に関する一切の権利を取得したのであって,原告こそがGABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の正当な承継者である旨主張する。 イ原告が提出する権利承継を証する書証の真正について(ア) 原告は,上記アの事実関係を証する証拠として,次のとおり,遺言書写し(甲13,事業譲渡契約書写し(甲33)及び領収書写し(甲34)を提)出する。それら書証の各内容は次のとおりである。 a遺言書写し(甲13)について,(),Aが作成した遺言書であると主張して原告が提出した遺言書写し甲13は米国商標2と同様のガボラトリー・インクのロゴマークの透かしの入ったメモ用紙若しくは便せんに文字が記載され,A名義の署名のある日付のない(ただし,中央に1998年12月との記載がある)1枚の書面である。その文面の内容は,次。 のとおりである(ただし,日本語訳。 )「親愛なるB私の死後も,私のガボラトリーの仕事をあなたに続けてもらいたい。私は,あなたがガボラトリーの名を最大限に尊重し,私の生涯の仕事の遺産を継続してくれると信じている。私がいつもそうであったように,私の職人たちをあなたの家族のように大事にしてやってほしい」。 b事 ,あなたがガボラトリーの名を最大限に尊重し,私の生涯の仕事の遺産を継続してくれると信じている。私がいつもそうであったように,私の職人たちをあなたの家族のように大事にしてやってほしい」。 b事業譲渡契約書写し(甲33)についてガボラトリー・インクとインターナショナル社の名義の入った平成10年(1998年)12月10日付けの契約書の写しであり,文面はすべてタイプで打たれており,署名欄には,それぞれA名義の署名とC名義の署名がある。その文面の内容の一部には次の記載がある(ただし,日本語訳。 )- 32 -「Aは,彼の『ガボール』および『ガボラトリー』の事業にかかる全ての権利(商標,著作権,シルバーの原型,営業権を含むがこれに限られない)をGI〔判決注:インターナショナル社を指す〕に移転することを望んでいる。 。 よって,これは,十分かつ価値ある対価と,その受領および充足性が承認されたこと,ならびに,Aが,GI,その承継人およびその譲受人に対し『ガボール』,『』,,およびガボラトリーのマークの使用に関連しまたそれらによって象徴されるすべての全世界における商標権,著作権,製造,販売,シルバーの原型,および営業権に関する完全な権利,資格および利益を,売却し譲渡したこと,またここに売却し,譲渡し,移転することを証明するものである」。 c領収書写し(甲34)についてAがガボラトリー・インクの代表者として,インターナショナル社から20万ドルを受領した旨の平成10年(1998年)12月10日付けの領収書の写しである。 署名欄にA名義の署名がある。その文面の内容は次のとおりである(ただし,日本語訳。 )「これは,1998(平成10)年12月10日付の我々の契約による,ガボラトリーインターナショナルからの現金20万米ドルの受領を確認する る。その文面の内容は次のとおりである(ただし,日本語訳。 )「これは,1998(平成10)年12月10日付の我々の契約による,ガボラトリーインターナショナルからの現金20万米ドルの受領を確認するものである」。 (イ) しかしながら,次のとおり,上記各書証が真正に成立したと認めることはできない。 a上記(ア) aの遺言書写し(甲13)について原告は,この点につき,遺言書写し(甲13)は,Aが自ら署名して作成した真正な遺言書の写しであると主張し,これに沿う証拠(甲46,50)も存する。 しかしながら,遺言書写し(甲13)については,原本の提出がなく,写しのみでは,それが実際にAによって作成されたものか否か,特にAの署名の事実の存否について精査することができず,真正に作成されたものと直ちに認めることはできない。 - 33 -この点,原告は,認定文書鑑定人F作成の署名の真正に関する専門的意見書(甲53)によって,遺言書写し(甲13)のAの署名が同人の署名であることが証明されている旨主張する。しかしながら,証拠(甲53)によれば,同意見書は,筆跡鑑定をするに当たって原本を対象にしているわけではなく,極めて品質の悪い遺言書写し(甲13)の写しを鑑定対象としており,そもそもそれで正確な筆跡鑑定ができるのかという疑問があり,鑑定として意味がないと言わざるを得ない。したがって,上記専門的意見書(甲53)を信用することはできない。 また,原告は,Aが遺言書を作成した動機について,前記第3の1(2) イのとおり,肝硬変を患っていたAが,近い将来自分が死去した場合に備え,ガボールブランドに係る事業をBに引き継がせたいと考えて,平成10年(1998年)12月初旬ころ,その旨の遺言書(甲13)を作成してBに託した旨主張する。 しかしながら,Aが,1か月前の平成 に備え,ガボールブランドに係る事業をBに引き継がせたいと考えて,平成10年(1998年)12月初旬ころ,その旨の遺言書(甲13)を作成してBに託した旨主張する。 しかしながら,Aが,1か月前の平成10年(1998年)12月初旬ころに,自己の死期を悟って予め遺言書を作成していたと認めるに足りる証拠はない。この点,確かに,証拠(甲12)によれば,米国カリフォルニア州ロサンゼルス・パサデナ市厚生課作成にかかるAの死亡確認書には,同人の死亡原因として「アルコール中毒による肝硬変」と記載され,その病歴について「数年,,来」と記載されていることが認められる。しかしながら,Aが医師から近い将来死に至るとの宣告を受けていたことを認めるに足りる証拠はなく,当時のAの肝硬変の症状の程度及び本人の認識の程度は全く不明であるまた 証拠 甲。 ,(31の1・2)によれば,肝硬変の予後に関する臨床的検討の中で,1年の生存率は92.7パーセント,3年の生存率は75.0パーセント,そして,10年の生存率も24.4パーセントであることが認められ,さらに,証拠(乙4)によれば,Aは,妻であるYやガボラトリー・インクの会社の知人に自分の病状,ましてや死期が迫っていることについては全く語っておらず,かえって,死亡する前日まで精力的に仕事をしていたこと,当時特段不仲であったとは認められない妻であるYに対しては遺言書らしきものを何も残していないこ- 34 -と,以上の事実が認められるから,Aが死亡する1か月前に既に自らの死を覚悟してBに対してガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を譲渡することを内容とする遺言書を作成していたとは認められないというべきである。 以上の点を総合すると,仮に肝硬変がAの死亡の原因であったとしても,Aが自らの死期が迫っているとの認 れに伴う諸権利を譲渡することを内容とする遺言書を作成していたとは認められないというべきである。 以上の点を総合すると,仮に肝硬変がAの死亡の原因であったとしても,Aが自らの死期が迫っているとの認識の下に遺言書を作成する動機を有していたと認めることはできない。 b上記(ア) bの事業譲渡契約書写し(甲33)について原告は,この点につき,事業譲渡契約書写し(甲33)は,Aが自ら署名して作成した真正な事業譲渡契約書の写しである旨主張し,これに沿う証拠(甲46,50)も存する。 しかしながら,上記遺言書写し(甲13)と同様に,事業譲渡契約書写し(甲33)についても,原本の提出がない。したがって,上記aと同様に,それが真正に作成されたものと直ちに認めることができない。 また,原告は,原告が原本を所持していない理由として,前記第3の1(2)オ(ア),,(),のとおりDが事業譲渡契約書写し甲33の原本を所持していたCに対しマフィアないしギャング組織との関わりを背景として,執拗に脅迫や嫌がらせを続けて,原本を同人から奪ったなどと縷々主張し,これに沿う証拠(甲32,38)も存する。 しかしながら,上記証拠は,原告代表者,原告の関係者の陳述書にすぎず,にわかに信用できないばかりか,他に本件全証拠を精査しても,Dがマフィアやギャング組織と関わりを持っていた事実,Dがそれを背景にしてCを脅迫していた事実を認めるに足りる的確な証拠はない。かえって,前記1(5) エのとおり,本件極秘和解契約の締結に当たって,Cはガボラトリー・インクの代表者として交渉していたDに7500ドルの支払いを約束させていることからすれば,当時,両者は脅迫者と被脅迫者という立場にあったとは認められないというべきである。なお,この点- 35 -に関し,本件極秘和解契約の ていたDに7500ドルの支払いを約束させていることからすれば,当時,両者は脅迫者と被脅迫者という立場にあったとは認められないというべきである。なお,この点- 35 -に関し,本件極秘和解契約の締結自体Dの脅迫によるものである旨のGの宣誓供述書(甲54)も存するが,同人はEが経営する原告の従業員であり,その内容もBからの伝聞にすぎないからにわかに信用することはできず,かえって,証拠(甲28,乙7ないし11)によれば,本件極秘和解契約の締結に当たっては,双方の当事者はそれぞれ弁護士を代理人として選任し,その弁護士を通して交渉していることが認められるから,Dの脅迫により和解契約が締結されたと認めることはできないというべきである。 したがって,この点に関する原告の主張は採用することができない。 さらに,原告は,事業譲渡契約書写し(甲33)のAの署名が真正であることを証する証拠として,上記aと同様に,認定文書鑑定人F作成の署名の真正に関する専門的意見書(甲53)を提出しているが,その専門的意見書(甲53)が信用することができない点は,上記aにおいて判断したとおりである。 そもそも,原告は,前記第3の1(2) ウのとおり,事業譲渡契約書(甲33)の作成経緯につき,本件事業譲渡契約は,本件遺言書(甲13)の内容を具体化してガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の承継を円滑に行い,第三者に対する対抗力を確保するために,作成されたと主張する。 しかしながら,遺言書写し(甲13)においては,遺言の相手方(受遺者)はBであるにもかかわらず,その直後に作成されたいう事業譲渡契約書写し(甲33),,。 における譲受人はインターナショナル社らとなっていてそもそも矛盾している原告は,受遺者と譲受人が一致していない理由について,前記第3の1(2) ウ(イ) たいう事業譲渡契約書写し(甲33),,。 における譲受人はインターナショナル社らとなっていてそもそも矛盾している原告は,受遺者と譲受人が一致していない理由について,前記第3の1(2) ウ(イ)のとおり縷々主張するが,そもそも,当時CがAと親交が深かったこと,ガボラトリー・インクの役員でも社員でもないにもかかわらず,Cがガボラトリー・インクにおけるガボール製品の日本への輸出に係る相手方との交渉や事務処理を行っていたことについては証拠上明らかではないというほかない。かえって,証拠(乙4,),,5及び弁論の全趣旨によればYは当時Cなる人物の存在すら知らなかったことガボールブランド及びガボール製品についてガボラトリー・インクが有する権利に- 36 -つき,同社内部においてインターナショナル社若しくはCに譲渡することが検討された事実は一切ないこと,事業譲渡契約書(甲33)が作成されたとされる平成10年(1998年)12月10日には,まだ,インターナショナル社は設立されていなかったことが認められるところ,仮に,原告の主張するとおりであると仮定すると,当時,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利はすべてガボラトリー・インクに承継されていたにもかかわらず,Aは,ガボラトリー・インクの共同設立者であるDや妻であるYに全く相談せず,同社の役員会の議決を経ることもなく,勝手に,ガボラトリー・インクの財産である全権利を,当時設立されてもいないインターナショナル社に対して譲渡する旨の契約書を作成したことになり,極めて不自然であるというほかない。 最後に,事業譲渡契約書写し(甲33)がガボールブランドに係る事業及びこれに伴う諸権利がインターナショナル社に正当に譲渡されたことを証明する極めて重要な証拠であるにもかかわらず,証拠(甲50)によれば 後に,事業譲渡契約書写し(甲33)がガボールブランドに係る事業及びこれに伴う諸権利がインターナショナル社に正当に譲渡されたことを証明する極めて重要な証拠であるにもかかわらず,証拠(甲50)によれば,B,C及びインターナショナル社は,米国第1次及び第2次訴訟においては,本件事業譲渡契約があった旨の主張をせず,また,事業譲渡契約書写し(甲33)を証拠として提出しておらず,その後の本件極秘和解契約においても,B,C及びインターナショナル社側にはガボールブランド及びガボール製品について何らの権利もないことを前提とした和解契約をしているのは,極めて不自然であって,このような事実関係は,事業譲渡契約書写し(甲33)がその後に作成されたとの疑念を強く抱かせるに十分である。 したがって,事業譲渡契約書写し(甲33)は信用することはできない。 c上記(ア) cの領収書写し(甲34)について領収書写し(甲34)について,原本が提出されていないこと,認定文書鑑定人F作成の署名の真正に関する専門的意見書(甲53)を提出していることは,事業譲渡契約書写し(甲33)と同様であるから,この点に関する判断も,上記a及びbと同様である。 - 37 -領収書写し(甲34)は,本件事業譲渡契約におけるガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の対価として20万ドルがCからAに支払われたことを証する書類であるが,そもそも,遺言書写し(甲13)では,Bに対して上記権利を譲渡するに際し,対価については一切言及されていないから,Bに対する遺言による譲渡は無償であったと解されるところ,その遺言の内容を具体化したはずの本件事業譲渡契約では,20万ドルの対価を支払うことになっていること自体極めて不自然である。また,前記認定のガボールブランド及びガボール製品の周知性及びその事業展 ,その遺言の内容を具体化したはずの本件事業譲渡契約では,20万ドルの対価を支払うことになっていること自体極めて不自然である。また,前記認定のガボールブランド及びガボール製品の周知性及びその事業展開の状況からすれば,20万ドルという対価はガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利の対価としては極めて低額であることは明らかというべきところ,仮に原告が主張する事実が真実であるならば,遺言書の作成後わずか数日,,,の間に一体どのような交渉経緯を経て20万ドルという金額が決められそれがどこでどのような形でAに支払われたのか,Aは受領した20万ドルをどうしたのか一切不明であり(この点,原告は,シルバーアクセサリー業界では現金取引の商慣習があり,本件の20万ドルについてもCがすべて支出し,Aに対して現金で交,,,付した旨主張するがそのような商慣習を認めるに足りる的確は証拠はなくまた支払資金の準備や受領した金員の処理などの現金の流れについて,銀行口座等に全く形跡を残さないなどということは通常あり得ないところである,結局,20万。)ドル受領の事実の存在は認められないといわざるを得ない。 したがって,領収書写し(甲34)も信用することができない。 ウ以上のとおり,遺言書写し(甲13,事業譲渡契約書写し(甲33)及)び領収書写し(甲34)はいずれも,Aがインターナショナル社に対し,ガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を譲渡した証拠とはいえず,他に上記事実を認めるに足りる的確な証拠はない。したがって,AからB又はインターナショナル社に対する権利承継に関する原告の主張は理由がない。 (2) ガボラトリー・インクの事業継続の有無についてアこの点につき,原告は,前記第3の1(2) エのとおり,Aからインターナシ- 38 -,, 対する権利承継に関する原告の主張は理由がない。 (2) ガボラトリー・インクの事業継続の有無についてアこの点につき,原告は,前記第3の1(2) エのとおり,Aからインターナシ- 38 -,,,ョナル社への権利承継を裏付ける事実としてガボラトリー・インクはAの死後平成15年までの間,営業を停止していた旨主張し,それに沿う証拠(甲16)も存する。確かに,上記証拠には,原告が主張する内容の記事が記載されている。しかしながら,その内容からガボラトリー・インクが完全に事業を停止していたと断言することはできず,他に本件全証拠によってもそのような事実を認めるに足りる的確な証拠はなく,かえって,証拠(乙4,5,14)によれば,ガボラトリー・インクは,Aの死後も事業を継続していたものと認められる。 イ仮に,本件事業譲渡契約に基づき,ガボラトリー・インクが事業を停止したのであれば,原告が主張する事業譲渡契約の締結は平成10年(1998年)12月10日であるから,ガボラトリー・インクはAが死亡する前であっても契約締結後直ちに事業を停止していたはずであるが,そのような事実がない点については当事者間に争いがない。この点につき,原告は,前記第3の1(2) エ(ア) のとおり,ガボラトリー・インクが,本件事業譲渡契約締結後も,Aの死まで営業を続けていたのは,そもそも,この事業譲渡契約書が,Aの死後もガボールブランドを継続していくために作成されたものであったことから,同人の存命中は,インターナショナル社が営業を行う必要がないため,ガボラトリー・インクにおいてガボールブランドに係る事業を継続することとしたためであると主張する。しかしながら,事業譲渡契約書写し(甲33)には,譲渡の効力発生時期については何ら明記されていない。したがって,通常は契約成立と同時に効 ルブランドに係る事業を継続することとしたためであると主張する。しかしながら,事業譲渡契約書写し(甲33)には,譲渡の効力発生時期については何ら明記されていない。したがって,通常は契約成立と同時に効力が発生すると解されるところ,原告の主張を前提とすれば,契約の内容から効力発生時点が明らかでないという不確定な内容の契約が締結されたということになるばかりか,Cが契約締結と同時に対価である20万ドルを直ちにAに支払っていると主張する事実とも矛盾するといわざるを得ない。 また,原告は,前記第3の1(2) エ(イ)及び(ウ) のとおり,ガボラトリー・インクが事業を停止していた証左として,Bないしインターナショナル社は,Aよりガボール製品の製造のためのオリジナル金型を承継し所有していたのに対- 39 -し,ガボラトリー・インクは,本件極秘和解契約の締結に至るまで,上記金型,(,の引渡を求めるなどの措置を講じなかった旨主張しこれに沿う証拠甲3236,38)も存する。 しかしながら,上記各証拠は,いずれも原告代表者,原告の関係者の陳述書,,にすぎないからにわかに信用することができず他に本件全証拠を精査してもBないしインターナショナル社がガボール製品の製造のためのオリジナル金型を承継した事実は認められない。かえって,B自身の宣言書(乙14の添付書A)によれば,当時,インターナショナル社が所有していた金型は,ガボール,,製品のオリジナルの金型ではなくBが新たに製作した金型であると認められ本件極秘和解契約においてガボラトリー・インクが引渡しを求めた金型は上記。 ,,B作成に係る金型であると認められるまた前記1(5) アで認定したとおりガボラトリー・インクは,インターナショナル社が設立された約半年後の平成13年(2001年)12 めた金型は上記。 ,,B作成に係る金型であると認められるまた前記1(5) アで認定したとおりガボラトリー・インクは,インターナショナル社が設立された約半年後の平成13年(2001年)12月4日,B,インターナショナル社及びアドヴァンスト社を相手方として,連邦地裁に対し,ガボール製品のデザインの使用差止め等を求める米国第1次訴訟を提起しているのであるから,ガボラトリー・インクが何らの措置も講じていない旨の原告の主張は失当である。 (3) 原告のその他の主張について原告は,前記第3のとおり,インターナショナル社がガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を承継したこと,ガボラトリー・インクが事業を中断していたことに関し縷々主張するが,上記認定の事実に照らし,いずれも失当である。 (4) 以上のとおり,インターナショナル社がガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を承継した事実は認められないから,仮に,第3の1(4) において原告が主張するように,原告がインターナショナル社からガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を承継する旨の契約を締結していたとしても,それは無権利者との契約にすぎず,原告が権利を取得することはできない。 そして,他に,本件商標の出願当時,GABOR標章が,原告ないしインターナ- 40 -ショナル社の周知標章であったことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,GABOR標章を含むガボールブランドに係る事業及びそれに伴う,,諸権利を有するのは原告ではなくガボラトリー・インクであると認められるから本件商標登録が商標法4条1項10号に該当し,無効である旨の原告の主張は失当であって,審決の認定判断に,原告が主張するような違法はない。 結論 よって,審決に取消事由があるとの原告の主張は理由がなく,原告 登録が商標法4条1項10号に該当し,無効である旨の原告の主張は失当であって,審決の認定判断に,原告が主張するような違法はない。 結論 よって,審決に取消事由があるとの原告の主張は理由がなく,原告の請求は棄却を免れない。 知的財産高等裁判所第1部裁判長裁判官塚原朋一裁判官東海林保裁判官矢口俊哉- 41 -(別紙)商標目録〔商標の構成〕「GABOR(標準文字)」〔称呼〕ガボール,ガボア,ギャボール,ギャボア〔出願日〕平成16年(2004年)8月4日〔登録日〕平成18年(2006年)6月16日〔指定商品〕第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,宝玉及びその原石ならびに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,時計,貴金属製喫煙用具」第18類「かばん金具,がま口口金,愛玩動物用被服類,携帯用化粧道具入れ」第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服」
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