平成27(ワ)2407 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成31年3月14日 札幌地方裁判所
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判決文本文43,480 文字)

主文 1 原告の請求を,いずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 被告らは,原告に対し,連帯して,11億2071万4885円並びにうち別表1記載の各月の「小計」欄記載の各金員及び別表2記載の各月の「税込計」欄記載の各金員に対する各月の翌月末日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要原告は,茨城県に所在する米の卸売業者,被告株式会社セコマ(以下「被告セコマ」という。)は,北海道を中心にコンビニエンスストアを展開する企業,被告株式会社セイコーフレッシュフーズ(以下,「被告フーズ」といい,被告セコマと被告フーズを併せて「被告セコマら」という。)は,同グループにお いて物流等を担当する企業である。 原告は,被告セコマら及び同グループに属する関連会社に対し,長年にわたって,米を供給する取引を行っていた。 原告は,被告セコマらが,上記取引において,原告に対し,被告フーズに対して販促協力金及び運送費を支払うよう強制したことが下請代金支払遅延等防 止法(以下「下請法」という。)ないしその趣旨に違反し,また,取引上の優越的地位の濫用であるから,公序良俗に反し,不法行為及び悪意による不当利得に該当する旨主張している。 本件は,原告が,上記主張に加えて,被告株式会社セイコーマート(以下「被告セイコーマート」といい,被告セコマ及び被告フーズと併せて「被告ら」 という。)が本件訴訟提起後の吸収分割(以下「本件吸収分割」という。)に より,被告セコマの原告に対する債務を承継し,被告セコマが,同承継に係る債務を重畳的に引き受けたことを踏まえて,①被告らに対し,共同不法行為に基づく損害賠償請求 下「本件吸収分割」という。)に より,被告セコマの原告に対する債務を承継し,被告セコマが,同承継に係る債務を重畳的に引き受けたことを踏まえて,①被告らに対し,共同不法行為に基づく損害賠償請求として,11億2071万4885円(販促協力金7億6402万7127円,運送費3憶5668万7758円)及び支払月ごとの支払額に対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金を,②被告フーズに対 し,不当利得返還請求として,同額及び利息金の支払を求めた事案である。 2 前提事実(証拠の掲記のない事実は争いのない事実であり,証拠の掲記のある事実は当該証拠により容易に認定できる事実である。)⑴ 当事者及び関係者ア原告 原告は,茨城県に本社を置く米卸売業者である。原告の代表取締役は,平成25年3月30日まではA,同月31日から平成28年8月31日までは同人及び同人の三男であるB,同年9月1日以降はA,B,Aの長男であるC及びDである。 イ被告セコマ 被告セコマ(旧商号株式会社セイコーマート。以下,平成28年4月1日付け商号変更の前後を通じて「被告セコマ」という。なお,被告セイコーマートとは別会社である。)は,北海道を中心に,フランチャイザーとしてコンビニエンスストアであるセイコーマートを展開し,本件吸収分割まで,セイコーマートの経営に関わる関連会社からなるセイコ ーマートグループにおいて本部的機能を担い,商品の採否,規格,価格等の重要な取引条件を交渉していた。 被告セコマは,平成29年11月1日,同社を分割会社,被告セイコーマート(同年9月13日設立)を承継会社とする吸収分割により,その一切の事業(ただし,株式を保有する会社に対する支配又は管理及び グループ運営に関する事業並びに資産管理業務 会社,被告セイコーマート(同年9月13日設立)を承継会社とする吸収分割により,その一切の事業(ただし,株式を保有する会社に対する支配又は管理及び グループ運営に関する事業並びに資産管理業務を除く。)に関する権利 及び義務を被告セイコーマートに承継させると同時に,その吸収分割契約により,被告セイコーマートへと承継させた義務を重畳的に引き受け,同義務について被告セイコーマートと連帯して履行する責任を負った(本件吸収分割)。 ウ被告フーズ 被告フーズは,セイコーマートグループに属し,卸売業者から商品を仕入れ,これをフランチャイジーである加盟店(コンビニエンスストア店舗であり,以下「加盟店」という。)に販売している(被告フーズは,平成21年4月1日付けで,旧商号株式会社丸ヨ西尾から,現在の商号へと変更したものであるが,以下,商号変更の前後を通じて「被告フーズ」とい う。)。 エ H会社H会社は,被告フーズに弁当等の商品を納入している会社であり,被告セコマが同社に一部出資している。 ⑵ 取引の概要 原告は,平成8年から平成26年9月頃まで,被告セコマら及びH会社に対し,米を提供する取引を行った。同取引では複数の種類の商品が扱われたが,本件で問題となったのは,次の二つの取引である。 ア原告及び被告セコマらの米取引原告は,被告セコマらに対し,セイコーマートグループのプライベート ブランド商品(被告セコマらが商品の仕様を決定し,被告セコマらの商号を付して販売する商品)である米(以下「RB米」という。)を提供した(以下「RB米取引」という。)。RB米は,加盟店において,一般消費者に対し,主食として消費されることを想定して,小売される米であった。 イ原告及びH会社の米取引 原告は 。)を提供した(以下「RB米取引」という。)。RB米は,加盟店において,一般消費者に対し,主食として消費されることを想定して,小売される米であった。 イ原告及びH会社の米取引 原告は,H会社に対し,弁当等の製造に使用するための米(以下「業務 用米」という。)を販売した(以下「H会社取引」という。)。 ⑶ 加盟店における販売促進のためのRB米の値引き加盟店においては,販売促進(以下,単に「販促」ということがある。)を目的として,RB米の小売価格を値引きすることがあった(このうち,年間を通じて頻繁に行われていたものを「通常販促」といい,年間のうち限ら れた機会に行われていたものを「特別販促」という。)。 平成22年9月以降は,通常販促と特別販促を併せると,常時,販促のための値引きが実施されていた。 ⑷ 販促協力金及び運送費の支払原告は,被告フーズに対し,平成14年12月から平成24年9月まで, RB米取引に関して販促協力金名目の金員(金額については争いがある。)を,平成16年7月から平成23年8月まで,H会社取引に関して運送費名目の金員(総額3憶5668万7758円。各月の支払金額は,別表2の「小計」欄に記載のとおりである。)を支払っていた。 ⑸ 公正取引委員会に対する申告 ア原告による申告原告は,平成25年4月26日付けで,公正取引委員会(以下「公取委」という。)に対し,被告フーズが,次の下請法違反の行為をした旨申告した。(甲3)RB米取引に関し,原告の責に帰すべき理由がないのに,商品を返品 したことRB米取引に関し,「販促値引き」と称してリベートを支払わせ,強制的に,当初の代金額からほぼ10%の値引きをしたことH会社取引に関し,当初,商品は原告の工場に ,商品を返品 したことRB米取引に関し,「販促値引き」と称してリベートを支払わせ,強制的に,当初の代金額からほぼ10%の値引きをしたことH会社取引に関し,当初,商品は原告の工場において引き渡すこととされていたにもかかわらず,一方的に,原告の工場からH会社の工場ま での運送費を支払わせたこと イ公取委の対応公取委は,平成28年3月16日付けで,被告フーズに対して,上記返品が下請法4条1項4号に違反することを認定し,返品分の下請代金相当額を支払うとともに,その他所要の改善措置を採ること,及び,今後,同様の行為を行わないことを指導した。一方, 公取委による指導はされなかった。(甲23)⑹ 返品に関する別件訴訟原告は,本件訴訟に先立ち,被告らに対し,被告セコマらが米取引において米を返品したことが違法であるなどと主張して損害賠償等を請求する訴訟(札幌地方裁判所平成26年(ワ)第1003号。以下「別訴」という。) を提起した。 別訴については,平成30年4月26日,返品の違法性を認めた上で,原告の請求を一部認容し,その余を棄却する旨の判決が言い渡された。 3 主たる争点及び争点に対する当事者の主張本件の主たる争点は,販促協力金及び運送費のそれぞれについて,①支払合 意の有無,②支払合意の有効性,③消滅時効の成否,及び販促協力金について④支払額であり,これらの争点に対する当事者の主張は次のとおりである。 ⑴ 販促協力金についてア支払合意の有無原告の主張 原告は,販促協力金の支払に合意したことはなく,販促協力金の支払は,被告セコマらに強制されたものである。 被告らは,RB米の年間価格を決定する際に,販促を実施しないときに適用される高い「マスター価格」 は,販促協力金の支払に合意したことはなく,販促協力金の支払は,被告セコマらに強制されたものである。 被告らは,RB米の年間価格を決定する際に,販促を実施しないときに適用される高い「マスター価格」と,販促を実施するときに適用される安い「NET価格」の双方について合意がされたと主張するが,原告 がRB米の年間価格を決定する際に合意したのは,被告らが「マスター 価格」と主張する高い方の価格のみであり,被告らが「NET価格」と主張する安い方の価格は,被告セコマらが一方的に減額した価格であって,両価格の差額を「販促協力金」として支払うことを合意したこともない。 原告は,個々の販促について,販促の実施や代金の減額を合意したこ ともない。 以上は,次の事情から明らかである。 a 合意書面がないこと販促協力金の支払合意を記載した書面はない。 RB米の年間価格を決定する際に作成された見積書の中には,販促 実施時の価格の記載があるものがあるが,これは被告セコマが一方的に記載したものにすぎず,原告が合意していたものではない。 b 言葉の意味からして,マスター価格が基本であること「マスター価格」とは,語源となったマスターに登録するための通常価格である。原告は,取引当時は「マスター価格」あるいは「NE T価格」という言葉自体を聞いたことがなかった。被告らは原告から下請法違反を指摘されるに至ってから「NET価格」という概念を持ち出したものであり,これは,「マスター価格」と「販促協力金」の概念のみでは,下請法4条1項3号が禁止する一方的減額行為に該当することが明らかになってしまうためである。 c 年間価格の設定時には,販促に関する詳細が定まっていないこと被告らの主張によれば,原告は,販促協力金の年間総額,販促 る一方的減額行為に該当することが明らかになってしまうためである。 c 年間価格の設定時には,販促に関する詳細が定まっていないこと被告らの主張によれば,原告は,販促協力金の年間総額,販促の回数,時期,数量などを何ら定めることなく,年間のマスター価格とNET価格を合意したことになるが,原告がそのようなことをするはずがない。 d 被告セコマらにおける計算方法は原告の主張と整合すること ⒜ 被告らは,NET価格に販促協力金を上乗せしてマスター価格を決めたと主張するが,そうであれば,販促実施時に販促協力金の額を計算して通知する必要はない。これを通知するのは,販促実施時に,通常価格から販促協力金を差し引いているからである。 ⒝ 被告らの主張によれば販促協力金については事前の合意があるか ら,その額は一定であるはずであるのに,実際には一定しておらず,被告セコマらが恣意的に調整している。 e 被告フーズにおける呼称被告フーズ担当者は,販促協力金の徴収に際し,請求明細書及び納品書に「勝手引リベート」,「勝手引」などと書き込んでいた。「勝 手」とは合意がないことを意味している。 f 個別の販促協力金の徴収について異議を述べる機会がなかったこと被告セコマらによる販促協力金の徴収方法は,平成19年9月以前は,被告フーズが原告に対して支払うべき当月の売上金から販促協力金を相殺するという方法によっており,原告が販促協力金の支払につ いて異議を述べる機会はなかった。 その後,販促実施の通知及び販促協力金の請求がされるようになったが,一方的な通知であり,原告には金額の説明や根拠資料の提供もなく,通知からごく短時間のうちに確認印を押して返信させられていたものであり,合意はしていなかった。原告は,通知に対する返信 ようになったが,一方的な通知であり,原告には金額の説明や根拠資料の提供もなく,通知からごく短時間のうちに確認印を押して返信させられていたものであり,合意はしていなかった。原告は,通知に対する返信を しなかったことがあるが,それは返信の有無にかかわらず一方的に販促が行われるからであって,販促協力金に対する無言の抗議であった。 g 公取委指導後の販促協力金の不徴収被告らはNET価格が通常価格であったと主張するが,被告フーズが公取委の指導に基づき返品分の下請代金相当額を支払った際には, マスター価格での支払をした上,その後,販促協力金を請求していな い。 被告らの主張a 支払合意があったこと⒜ 販促協力金の支払合意① 通常販促のための販促協力金の支払合意 原告及び被告セコマは,毎年新米への切替時期に,その1年間のRB米取引に適用されるべき価格として,安いNET価格と高いマスター価格を合意した。このうちNET価格が通常価格であり,これに販促協力金を加えた金額がマスター価格である。 原告は,通常販促実施時に原告が販促協力金を負担することを 認識した上で,NET価格でも採算上問題がないよう計算し,マスター価格の見積書を提示していた。 ② 特別販促のための販促協力金の支払合意原告及び被告セコマは,特別販促の販促条件について,通常販促とは別途協議するものとしていた。原告は,被告セコマとの間 で毎月のように実施する商談において,加盟店での販売動向を踏まえ,RB米の出荷量を増やすことを目指して,特別販促の実施を積極的に希望し,そのために原告が負担する販促協力金の額を積極的に提示し,合意していた。 ③ カード販促のための販促協力金の支払合意 原告及び被告セコマは,平成18年9月頃実施 促の実施を積極的に希望し,そのために原告が負担する販促協力金の額を積極的に提示し,合意していた。 ③ カード販促のための販促協力金の支払合意 原告及び被告セコマは,平成18年9月頃実施された商談において,同年度より,加盟店においてクラブカードを提示した顧客に対して実施する販促値引きについて,原告が一定額の負担をすることを合意した。 ⒝ 個々の販促実施前後の販促協力金の確認 被告セコマは,個々の販促実施前に,原告に対し,販促の実施及 び販促協力金の負担について商談で取り決めた内容を確認する趣旨で,対象商品,期間及び販促協力金額といった販促の具体的内容を「販促商品のご案内」という文書により通知し,原告に内容を確認してもらい,押印の上,ファクシミリにて返信してもらっていた。 また,後述のとおり,清算方法が変更された後である平成17年 頃以降は,被告フーズが,販促値引き実施後に,加盟店から集計された前月の販促値引きによる販売実績に,あらかじめ定められた販促協力金の単価を乗じることによって,前月分の販促協力金額を算出し,原告に確認を求めていた。 以上の確認に対し,原告は,修正を求めるか,異議を述べないか という対応をしており,特別販促に関しては,原告に拒否され,実現しなかったこともあった。 ⒞ 清算方法加盟店において販促を実施する場合の代金清算方法は,次のとおりであった。 ① 平成16年以前被告フーズが,原告に対して,販促期間2週間とその前1週間の納入全量について,NET価格による支払をする。この際,被告フーズの会計システムにおいてマスター価格が基本価格として登録されていたため,マスター価格から販促協力金を控除すると いう計算方法によりNET価格を算出していたが,単に会計シス この際,被告フーズの会計システムにおいてマスター価格が基本価格として登録されていたため,マスター価格から販促協力金を控除すると いう計算方法によりNET価格を算出していたが,単に会計システムの仕様による結果にすぎない。 ② 平成16年以後被告フーズが,原告に対して,販促期間2週間とその前1週間の納入全量について,マスター価格による支払をし,原告が被告 フーズに対して,実際に販促対象として販売された数量について, 販促協力金を支払う。 特に,平成22年以降は,銀行振込の方法により支払をしていたものであり,このことは,原告が上記合意を前提に,自らの意思でその合意を履行していたことを示すものである。 ⒟ 長年異議を唱えていなかったこと 原告は,遅くとも平成12年頃から平成24年までもの長きにわたり,販促協力金の負担に異議を唱えていなかった。また,原告は,被告セコマがRB米取引の年間価格をNET価格一本で合意することを提案した際も,異議を唱えなかった。これらの事実は,原告が販促協力金の負担に合意していたことを示すものである。 b 原告の主張について⒜ 合意書面がないことについてRB米取引において書面作成の慣行がなかったこと,特別販促のための販促協力金の負担は,商談に基づき臨機応変に設定されるものであり,書面による合意になじまなかったこと,被告セコマは, 販促実施前後に原告に販促協力金について確認を求めていたこと,原告が年間価格の決定のために提示した見積書の中に販促協力金の記載がないものがあったのは,販促協力金の金額が年を問わずおおむね一定であり,記載の必要がなかったためであったことによれば,販促協力金の支払合意を記載した書面がないとしても,同合意があ ったことと矛盾しない。見 たのは,販促協力金の金額が年を問わずおおむね一定であり,記載の必要がなかったためであったことによれば,販促協力金の支払合意を記載した書面がないとしても,同合意があ ったことと矛盾しない。見積書に関しては,仮に被告セコマらが支払合意を偽装しようとしていたとすれば,全ての見積書に販促協力金の記載をさせるはずであるともいえる。 ⒝ 「勝手引」などの記載について一部の請求書等に「勝手引」などの記載があるのは,被告フーズ においては,納入業者への代金支払方法として,いずれも納入業者 の合意があることを前提に,納入業者が代金全額を請求し,被告フーズが販促協力金を引いた金額を支払う方法と,納入業者が販促協力金を控除した金額を請求し,被告フーズが同額を支払う方法があったところ,前者の調整手法を「勝手引」と呼んでいたためであり,合意がないから「勝手」なのではない。 ⒞ 公取委指導後の販促協力金の不徴収について被告フーズが販促協力金を請求しなかったのは,原告が下請法違反を主張し始めており,請求をしても支払を期待できなかったためであり,原告に対しては,原告の確認書面があればNET価格による発注を再開する旨伝えていた。 イ支払合意の有効性原告の主張仮に販促協力金の支払合意があったとしても,当該支払合意は,次のとおり,下請法に違反するとともに,被告セコマらが取引上の優越的地位を濫用したものであり,公序良俗に反するから,民法90条により無 効となる。よって,被告セコマらが原告に販促協力金の支払を強制したことは共同不法行為に該当し,また,被告フーズによる販促協力金の受領は悪意による不当利得に該当する。 a 下請法違反⒜ 下請法違反の意義 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下 は共同不法行為に該当し,また,被告フーズによる販促協力金の受領は悪意による不当利得に該当する。 a 下請法違反⒜ 下請法違反の意義 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)は世の中の取引全体の秩序維持を目的としているから,独禁法に違反しても,個別取引の私法上の効力には直ちには影響しないと解する余地がある。一方,下請法は個々の取引を規制することにより,個々の下請事業者の利益を図ることを目的としているか ら,下請法への違反は,独禁法への違反と比べて,個々の下請事業 者の利益を保護し回復させる要請がより強く働き,より強度の違法性があるというべきである。 ⒝ 本件における下請法違反被告セコマらが原告に販促協力金を支払わせたことは,下請法4条1項5号が禁止する買いたたき及び同条2項3号が禁止する不当 な経済上の利益の提供要請に該当する。 b 取引上の優越的地位の濫用販促協力金の支払合意は,次のとおり,被告セコマらが,圧倒的な取引上の優越的地位を濫用して事実上強制したものであって,健全な商慣習を害するものである。 ⒜ 負担額が予測困難であったこと販促協力金の負担及びその額は,被告セコマらが一方的に決めたものであり,原告には予測困難であった。 ⒝ 負担が著しく過大であったこと被告らのいうマスター価格でさえ,全国の平均的な卸売価格より も14~19%程度安く,赤字であった。これに加えて販促協力金を10%程度徴収されれば,原告に利益が出るはずがなかった。具体的には,NET価格における1kg当たりの粗利は約4円であり,販売管理費を控除すれば赤字であった。特別販促実施時の価格は一層廉価であり,H会社に納入している業務用米の価格より安い こともあった。 は,NET価格における1kg当たりの粗利は約4円であり,販売管理費を控除すれば赤字であった。特別販促実施時の価格は一層廉価であり,H会社に納入している業務用米の価格より安い こともあった。 ⒞ 負担に合理性がなかったこと① 納入量の増大が原告の利益になっていなかったこと被告らは,販促協力金の負担により納入量が増大し,原告の利益になった旨主張する。 しかし,RB米取引においては別訴で認定されたとおり違法な 返品が行われており,納入量の増大は返品量の増大を招いただけであった。返品分については,代金が減額され,販促協力金の返金もなかった。結局,原告の負担により販促を実施できるという構造は,販促の常態化と大量発注,大量返品をもたらし,原告に苛烈な経済的不利益を与えることになった。 ② 販促の実施につながっていなかったこと販促協力金は,加盟店に販促実施による損失を補てんすることによりRB米の販促実施を促し,売上げを向上させるという趣旨で徴収されたものであるところ,被告らは,販促協力金により販促の実施が促進され,納入量の増大につながった旨主張する。 しかし,販促協力金は,RB米の売上げとは関係がない,カードやクーポン利用時の割引による損失の補てんなどにも使用されていた。 また,販促協力金は,被告セコマにおいて,予算に組み込まれ,販促実施以外の使途にも利用されていた。すなわち,被告セコマ は,被告フーズを始めとするグループ各社に対し,下請事業者からリベートを徴収し,それを協賛金として納めることをノルマとして課し,協賛金を重要な収入として予算に組み込んでいた。 このように,販促協力金の徴収には,販促協力という一応もっともらしい目的すら存在しなかった。 ⒟ 負担が公平ではなかったこ ルマとして課し,協賛金を重要な収入として予算に組み込んでいた。 このように,販促協力金の徴収には,販促協力という一応もっともらしい目的すら存在しなかった。 ⒟ 負担が公平ではなかったことRB米は,小売業者である被告セコマらのプライベートブランド商品であり,被告セコマらの計算と責任で販路拡大や売上増大を図っていくべきものであった。よって,加盟店に対する損失補てんは,本来,被告セコマらの負担で行うべきものであり,仮にRB米の価 格競争力の低下により売上げが落ちていたとしても,そのことにつ いて原告が責任を負わされる理由はなかった。それにもかかわらず,被告セコマらは,原告にのみ販促協力金を負担させ,RB米の売上維持の責任を負わせた上,販促協力金を予算に組み入れ,多大な利益を得ていた。 ⒠ 合意の経緯 原告にとって,販促協力金は,予測困難かつ著しく過大な負担を課すものであり,これを支払うことを合意する合理性のないものであった。しかし,原告は,被告セコマらに取引を依存していたため,これを受け入れざるを得なかった。 すなわち,原告は,被告セコマらとの取引によって,自転車操業 に陥っていた。事業を継続するためには,現金を確保する必要があり,被告セコマらとの取引を続けざるを得なかった。原告の人員及び施設の規模に鑑みた業務許容量に照らせば,被告セコマらとの取引を継続しながら,他の業者と同取引の代替となる取引を行うことも困難であった。 NET価格は,被告セコマらが,このような取引上の優越的地位を濫用して,一方的に決定したものである。 ⒡ 被告セコマらによる販促協力金徴収の悪質性被告セコマは,被告フーズらグループ会社からのリベート収入を主たる収入源とし,これを予算に組み込み,従業員に対して,リベ 一方的に決定したものである。 ⒡ 被告セコマらによる販促協力金徴収の悪質性被告セコマは,被告フーズらグループ会社からのリベート収入を主たる収入源とし,これを予算に組み込み,従業員に対して,リベ ート徴収の厳しいノルマを課していた。これに呼応して,被告フーズは,原告を含む下請事業者等から,様々な方法でリベートを徴収し,これを被告セコマに納めていた。このように,被告セコマらにおけるリベートの徴収は,グループの中核である被告セコマの利益を確保するために,構造的,組織的,計画的に行われたものであり, その悪質性は極めて高い。 また,被告セコマらは,原告がRB米取引によりひっ迫した経営状況に陥っていることを十分に認識しながら,リベートを徴収していたものであり,この点でも悪質である。 被告らの主張a 下請法に違反しないこと 後述のとおり,仮に原告による販促協力金の負担が下請法に違反するものであっても,販促協力金の支払合意の私法上の効力が直ちに否定されるものではないが,そもそも原告による販促協力金の負担は下請法に違反するものでさえない。 すなわち,原告による販促協力金の負担は,平成16年頃までは原 告の被告フーズに対する納入価格をあらかじめ引き下げる方法によっており,平成17年頃以降も原告と被告セコマらとの間の事前の合意に基づいて行われていたから,下請代金の減額にも不当な経済上の利益の提供要請にも該当しない。 また,原告は,NET価格が「下請事業者の給付の内容と同種又は 類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額」(下請法4条1項5号)であることを主張立証していない。 現に,公取委は,原告による販促協力金の負担について,被告セコマらに対し,指導を含めて何らの措置も 払われる対価に比し著しく低い下請代金の額」(下請法4条1項5号)であることを主張立証していない。 現に,公取委は,原告による販促協力金の負担について,被告セコマらに対し,指導を含めて何らの措置も講じることなく,原告の報告に関する調査を終了している。 b 公序良俗に違反しないこと⒜ 本件で採用されるべき判断枠組み販促協力金に係る原告の請求が認められるかは,販促協力金の受領が下請法違反となるかによっては決まらず,それが公序良俗違反ないし法律上保護される利益の侵害となるかによって決まる。 取引当事者の自由な判断による行為には原則として干渉しないと いうのが民法の基本原則であり,例外的に,取引当事者の一方が,相手方の無思慮・窮迫に乗じて,著しく過大な不利益の受入れを余儀なくさせたような場合に,民法90条にいう公序良俗に反して無効であると判断される。販促協力金の支払合意が公序良俗に反するか否かの判断に当たっては,相手方に著しく過大な不利益を与える という客観的要素と,相手方が法律行為をするかどうかを合理的に判断することができない事情という主観的要素が考慮される。 また,取引又は権利行使に関し不法行為が成立するためには,侵害行為に強度の反社会性を要し,社会通念上許される自由な経済活動又は権利行使の範囲を逸脱するような態様のものであることが必 要であるところ,これに該当するのがどのような場合かは,上記の公序良俗違反と同様に考えることができる。 本件の販促協力金の支払合意は,次のとおり,上記判断枠組みに照らして,公序良俗違反とも不法行為ともいえない。 ⒝ 著しく過大な不利益を課すものではなかったこと 販促協力金の負担は,原告に著しく過大な不利益を課すものではなかった。 ① NET価格でも利益 ,公序良俗違反とも不法行為ともいえない。 ⒝ 著しく過大な不利益を課すものではなかったこと 販促協力金の負担は,原告に著しく過大な不利益を課すものではなかった。 ① NET価格でも利益を得られたことRB米取引では,NET価格でも原告が適正な利益を得ることができるように価格設定されていた。マスター価格が適用される 場合には,販促協力金相当額がそのまま原告の追加の利益となった。 原告は,NET価格が原価割れを起こしていることを主張立証していない。このような原告の訴訟対応からは,NET価格でも原告に利益があったことが合理的に推認される。 ② 納入量の増加が直接の利益となっていたこと 販促協力金は,その全額が,加盟店に対し,販促による損失を補てんするために利用された(被告セコマの予算に組み込み,他の目的に利用した事実はない。)。これにより加盟店におけるRB米の販促が促進され,RB米の売上げが増加し,ひいては,原告から被告フーズへの納入量が増加した。新米切替時には古米の 在庫量を減らすことにもつながった。 このように,販促協力金の負担は,RB米1袋当たりの利益を減じるものであっても,取引全体としてより多くの利益をもたらし得るものであった。どの範囲で販促協力金を負担し納入量を増加させることによって利益の最大化を図ることができるかは,原 告のみが判断できる事柄であった。そのような原告が,販促協力金の負担を理解した上で販促の実施を積極的に求めていた事実によれば,同負担は原告の直接の利益につながっていたといえる。 ③ 販促協力金の負担という方法によることの合理性販促値引きの方法として,納入価格自体を引き下げるのではな く,販促協力金を負担する方法によることは,原告にとって,計算書類上, いえる。 ③ 販促協力金の負担という方法によることの合理性販促値引きの方法として,納入価格自体を引き下げるのではな く,販促協力金を負担する方法によることは,原告にとって,計算書類上,売上高を減らさないで済むという合理性があった。 ④ 負担の公平性被告セコマらは,販促に伴う負担を原告のみに負わせたわけではなく,被告セコマらの拠出で加盟店に対する損失補てんを行っ たこともあった。 被告セコマらには原告の経営状態を認識することが不可能であり,販促協力金の負担軽減を考慮する契機がなかった。 ⒞ 原告には販促協力金の負担について合理的に判断できない事情はなかったこと 次の検討によれば,原告には,販促協力金の負担を受け入れるこ とについて合理的に判断できない事情はなかった。販促協力金の支払合意は,対等な当事者間で,相応の駆け引きを経て成立したものである。 ① 原告が取引上劣位にあったわけではないこと原告は米卸売業者として,豊富な経験,実績及び専門的知識を 有し,被告セコマらよりも米取引に精通しており,取引依存により合理的判断が阻害されていたとはいえない。 ② 原告が負担内容を認識していたこと原告は,平成8年以来取引を継続する中で,販促の実施頻度や販促時の売上数量等を予測できるようになっており,そのような 予測を踏まえてNET価格を設定していた。 また,個々の取引においても,被告セコマらは,販促実施前及び販促協力金の請求時に,販促協力金の額を含む販促の実施内容について原告に確認を求めており,原告は,販促協力金を負担すること及びその額を認識していた。そもそも,原告は,NET価 格でも採算が取れるようにNET価格を設定していたものであるから,販促の実施頻度等に関する予測ができなく 原告は,販促協力金を負担すること及びその額を認識していた。そもそも,原告は,NET価 格でも採算が取れるようにNET価格を設定していたものであるから,販促の実施頻度等に関する予測ができなくても支障はなかった。 ③ 原告が積極的に提案していたこと原告は,自由かつ自主的な判断により,自ら積極的に販促の実 施及びそのための販促協力金の負担を提案していた。 すなわち,原告は,被告セコマらに対し,全国的に米の消費量が減少していることを指摘したり,消費者にRB米の味を知ってもらうことが大事であるという考えを示したりして,納入量の増加のために販促を実施することを強く希望した。平成22年産米 以降,通常販促が常態化するようになったのも,消費者が米の鮮 度を重視し,古い米が売れ残るようになったことを背景として,商品サイクルを活性化するため,原告との検討を経て決められたことである。また,特別販促の実施も,通常販促が低迷する中,原告が納入量の増加を希望したためである。 ④ 取引期間が長期にわたること 原告は,長期にわたりRB米取引をしており,当該取引期間中,常に合理的判断ができなかったとはいえない。特に,原告は,平成22年7月から平成25年1月分まで,販促協力金を銀行振込により支払っており,このように能動的な支払を継続していたことによれば,原告が合理的な判断ができない状況にあったとは認 められない。 ⑤ 自転車操業であったとの原告の主張について原告は,自転車操業の中,事業継続のために被告セコマらとの取引を維持する必要があったことから合理的判断ができなかったと主張するが,それは,原告が事業の継続を優先するという判断 に基づき,短期的には損失が発生しても当面必要となる現金を得るため,販促協力金を負 する必要があったことから合理的判断ができなかったと主張するが,それは,原告が事業の継続を優先するという判断 に基づき,短期的には損失が発生しても当面必要となる現金を得るため,販促協力金を負担してでも被告フーズへの納入量を増やそうとしたということであり,それ自体,原告が自ら合理的と考える判断を行っていたことを示している。 ウ消滅時効の成否 被告らの主張a 不法行為に基づく損害賠償請求について原告の不法行為に基づく損害賠償請求のうち,訴訟提起日(平成27年11月4日)から3年を遡る平成24年11月4日以前に原告から支払を受け又は被告フーズが相殺した額については,被告らが消滅 時効(民法724条)を援用したことにより消滅した。 b 不当利得返還請求について⒜ 販促協力金が不当利得に当たるとすれば,その返還は当初の代金の一部の支払を求めるものといえるから,民法173条1号所定の短期消滅時効が適用される。よって,原告の不当利得返還請求のうち,訴訟提起から2年を遡る平成25年11月4日以前に原告から 支払を受け又は被告フーズが相殺した額については,被告らが同号所定の消滅時効を援用したことにより消滅した。 ⒝ RB米取引は,いずれの契約当事者にとっても,商行為であり,同取引により発生する債権は,不当利得返還請求権に形式を変えても商事債権として商事消滅時効が適用される。また,上記のとお り,その実質が商品代金請求権であることからも,商事債権というべきであり,商事消滅時効が適用される。よって,原告の不当利得返還請求のうち,訴訟提起から5年を遡る平成22年11月4日以前に原告から支払を受け又は被告フーズが相殺した額については,被告らが商法522条所定の消滅時効を援用したことにより消滅し 当利得返還請求のうち,訴訟提起から5年を遡る平成22年11月4日以前に原告から支払を受け又は被告フーズが相殺した額については,被告らが商法522条所定の消滅時効を援用したことにより消滅し た。 ⒞ 原告の不当利得返還請求のうち,訴訟提起から10年を遡る平成17年11月4日以前に原告から支払を受け又は被告フーズが相殺した額については,被告らが民法167条1項所定の消滅時効を援用したことにより消滅した。 原告の主張a 不法行為に基づく損害賠償請求について本件における不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算日は,Bが,公取委主催の下請取引適正化推進講習会において,公取委職員からリベートの強制徴収等が下請法違反であり損害賠償請求が可 能であることを指摘された平成24年11月13日である。同日から 本件訴訟の提起までに3年は経過していないから,消滅時効は完成していない。 仮に起算日に関して被告らの主張が採用されるとしても,被告らが消滅時効を援用することは,信義則に反しており,被害者の救済及び損害の公平な分担という民法724条の趣旨に鑑みても許されない。 b 不当利得返還請求について⒜ 本件における不当利得返還請求は,売買代金請求ではないから,民法173条1号所定の短期消滅時効は適用されない。 ⒝ 商事消滅時効が5年とされるのは,商行為については取引の安定性が重視されるからであるが,本件のように販促協力金の支払強制 により原告に損害ないし損失が生じ,その賠償ないし返還が請求されている場合には,取引の安定性を重視する必要はない。また,本件の不当利得返還請求は商品代金請求ではない。よって,本件の不当利得返還請求権について商事消滅時効の適用はない。 ⒞ 不当利得返還請求権の消滅時効期 には,取引の安定性を重視する必要はない。また,本件の不当利得返還請求は商品代金請求ではない。よって,本件の不当利得返還請求権について商事消滅時効の適用はない。 ⒞ 不当利得返還請求権の消滅時効期間が10年であることは認め る。 エ支払額原告の主張原告は,平成14年12月から平成24年9月まで,被告セコマらに対し,販促協力金として,合計7億6402万7127円を支払った。 各月の支払金額は,別表1の「小計」欄に記載のとおりである。 被告らの主張a 支払先原告が販促協力金を支払ったのは,被告フーズに対してである。 b 支払額 ⒜ 平成14年12月から平成16年12月の支払分について 被告らは,上記期間の資料を保管しておらず,認否することができない。 ⒝ 平成17年1月から平成24年9月の支払分について別表3の「差額」欄記載の金額を否認する。 ⑵ 運送費について ア支払合意の有無原告の主張H会社取引においては,商品である業務用米を,茨城県内の原告の工場(以下「原告工場」という。)から北海道内のH会社の工場(複数存在するが,以下,併せて「H会社工場」という。)まで運送する必要が あったが,当該運送に関し,原告が被告フーズに運送費の支払を合意したことはない。 H会社取引では,当初,上記区間の運送費はH会社負担とされており(これを「原告工場渡し」という。),H会社は,同運送を被告フーズに委託し,運送費を支払っていた。 しかし,被告セコマらは,平成16年7月,H会社取引に干渉し,上記区間の運送費を原告負担に変更させ(これを「H会社工場渡し」という。),原告に,同運送を被告フーズに委託させ,運送費を支払わせた。原告は,以後,平成23年8月まで運送費を ,H会社取引に干渉し,上記区間の運送費を原告負担に変更させ(これを「H会社工場渡し」という。),原告に,同運送を被告フーズに委託させ,運送費を支払わせた。原告は,以後,平成23年8月まで運送費を負担させられたものであるが,原告が運送費の負担を合意したことはない。 被告らの主張原告及び被告フーズは,平成16年7月,原告が,被告フーズに対し,H会社向け業務用米の配送を委託する業務委託契約を締結した。原告による運送費の支払は,同契約に基づくものである。 イ支払合意の有効性 原告の主張 被告セコマらは,原告だけでなく,H会社からも,H会社取引に係る運送委託を受け,運送費を二重取りしていた。言い換えれば,原告は被告フーズに運送を委託する必要がなく,運送費を支払う必要もなく,運送費の対価も得ていなかったにもかかわらず,被告セコマらにRB米取引における優越的地位を濫用されて,運送委託契約の締結を余儀なくさ れた。H会社取引には下請法の直接の適用はないが,上記行為が,親事業者の優越的地位の濫用を防止し,下請事業者の利益保護及び取引の公正を図るという同法の趣旨に反することは明らかである。このように,上記運送委託契約は,不当な経済上の利益の提供要請の禁止(下請法4条2項3号)の趣旨に違反し,公序良俗に反するものであって無効であ り,同契約に基づき運送費を負担させたことは不法行為法上違法である。 被告らの主張H会社取引は売買契約であり,下請法の適用はない。 原告は,被告セコマらが原告とH会社から運送費を二重取りしていたと主張するが,被告セコマとH会社の間には業務上の提携関係があった から,両者の間に金銭の授受があっても,運送費の二重取りには当たらない。そもそも,H会社が被告フーズに運送委 二重取りしていたと主張するが,被告セコマとH会社の間には業務上の提携関係があった から,両者の間に金銭の授受があっても,運送費の二重取りには当たらない。そもそも,H会社が被告フーズに運送委託をしていたかは,原告の請求に関係しない。 ウ消滅時効の成否販促協力金に関する主張と同じである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実,掲記の証拠(枝番のある証拠については,特に記載しない限り,枝番すべてを含む。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ⑴ RB米取引及びH会社取引の概要 ア取引の開始 原告と被告フーズは,平成8年,RB米を含む米の取引を開始した。 平成23年11月頃からは,I会社(原告が70%,被告フーズが30%を出資して,同年9月に設立された,精米事業を目的とする会社であり,Aが代表者を務めていた。)も,被告フーズとの間で,米の取引を開始した。(甲12の51,乙1〔5頁〕,弁論の全趣旨〔被告ら準備書面 (最終)4~5頁〕)イ基本契約書の作成原告と被告セコマらとの取引について,当初,契約書は作成されていなかったが,食品の安全が社会問題化していたことを受けて,原告と被告セコマは,平成15年10月1日,RB米取引について,製造委託基本契約 書を作成した。(甲1,証人E〔以下「E」という。5頁〕)ウ価格等の決定方法RB米取引及びH会社取引を含む原告と被告セコマらの米の取引においては,毎年6月頃から,被告セコマが原告との間で当年産の米に関して情報交換を始め,新米の切替時期である毎年9月頃,両者の間で,当年産の 米の納入価格(販促協力金の額を含む。),銘柄,規格(容量),発売日等について交渉を行い,決定していた(ただし,H会社取引の最終決定は め,新米の切替時期である毎年9月頃,両者の間で,当年産の 米の納入価格(販促協力金の額を含む。),銘柄,規格(容量),発売日等について交渉を行い,決定していた(ただし,H会社取引の最終決定は,H会社が行っていた。)。 被告フーズは,原告から,上記のとおり決定された納入価格を記載した見積書の送付を受けて,これを社内の経理システムにマスター登録した。 (乙1〔3~4,6頁〕,証人F〔以下「F」という。2~3頁〕)エ取引の終了被告フーズと原告及びI会社との米取引は,平成26年9月以降は行われていない。(乙38〔11頁〕)⑵ RB米取引における販促値引きの概要 ア販促値引きの実施状況 加盟店におけるRB米の販促値引きは,遅くとも平成12年には実施されていたが,平成22年9月以降は,特別販促と合わせると,常時実施されるようになった。 これは,同年産米からは,米のトレーサビリティ法が始まる関係で,返品を廃止することになり,加盟店で精米日から期間の経過した商品が売れ 残り,店頭に並び続ける事態が危惧されたことから,販促値引きを常時実施することで,商品の回転率を上げ,米の売上高が落ちないようにするためであった。(甲12の36,乙38〔6頁〕,44)イ原告との協議から実施まで被告セコマは,納入業者である原告との間で,加盟店におけるRB米の 販促値引きの実施内容を協議し,決定した上,確認のため,原告に対し,協議によって決定された販促値引きの対象商品名,販促実施期間,原告が負担する販促協力金の単価(「メーカー補填単価」)の他,被告フーズから加盟店への納入価格及び加盟店での小売価格を記載した「販促商品のご案内」と題するリストを送付した。被告セコマは,「販促商品のご案内」 に「ご確認後, 「メーカー補填単価」)の他,被告フーズから加盟店への納入価格及び加盟店での小売価格を記載した「販促商品のご案内」と題するリストを送付した。被告セコマは,「販促商品のご案内」 に「ご確認後,ご捺印の上必ず返信をお願いします」と記載していたが,原告からは返信がある場合もない場合もあった。被告セコマは,返信がない場合も,原告から異議を述べられることはなかったため,異議がないものと判断した。 このようにして確定された販促値引きの実施内容は,被告セコマから加 盟店に対して「奉仕商品リスト」として通知され,加盟店において販促値引きが実施された。(甲57,乙19,21,23,38〔14頁〕,47〔3~4頁〕,証人E〔11頁〕)ウ販促値引きの原資被告フーズから加盟店への納入段階 被告セコマらは,加盟店における販促値引きの実施を促進するため, 加盟店の負担によらずに販促値引きを実施できるように,平成16年頃までは,販促値引きの対象商品について被告フーズから加盟店への納入価格を引き下げ,平成17年頃以降は,販促値引きの販売実績に基づき,加盟店に販促補填金を支払った。(乙38〔6~7頁〕,47〔4~5頁〕) 原告から被告フーズへの納入段階原告は,後記⑶のとおり,加盟店における販促値引きの実施に伴い,被告フーズに対して,販促協力金を負担していた。 原告が負担した販促協力金は,その全額が,被告フーズを通じて加盟店に補填されており(被告セコマが販促補填金の一部 を負担することもあった。),被告セコマらの手元に残ることはなかった。(乙22,47〔8~9頁〕)エ販促値引きの効果平成21年7月1日から同年8月23日までのRB米こしひかり10kg袋の1日当たりの売上は,販促値引きを実施 の手元に残ることはなかった。(乙22,47〔8~9頁〕)エ販促値引きの効果平成21年7月1日から同年8月23日までのRB米こしひかり10kg袋の1日当たりの売上は,販促値引きを実施しなかった時に比して,通 常販促実施時は21.19倍,特別販促実施時は123.11倍に及んでおり,販促値引きの実施には,商品の納入量を大幅に増加させる効果があった。(乙23,27,弁論の全趣旨〔被告ら準備書面⑺16~17頁,別表2〕)⑶ 販促協力金の具体的な合意経過及び負担方法 ア平成16年頃まで販促協力金の負担方法平成16年頃までは,原告による販促協力金の負担は,販促実施期間2週間とその前1週間の計3週間を対象期間として,その期間に原告から被告フーズに納入されるRB米について,被告フーズに対する納入価 格を,通常価格(マスター価格)から販促協力金を控除した価格(NE T価格等)に下げる方法によりされていた。(乙1〔23~24頁〕,38〔6~7頁〕)通常販促のための販促協力金の負担a 平成12年頃原告は,平成12年頃,RB米のうち,こしひかり,あきたこまち 及びひとめぼれについて,販促値引きが実施される際に適用される納入価格として,通常価格よりも1kg当たり16円低い金額を設定していた。(乙35)b 平成14年産米及び平成15年産米原告と被告セコマらは,RB米のうち,こしひかりについて,販促 値引きが実施される際に適用される納入価格として,平成14年産米では通常価格よりも1kg当たり20円低い金額を,平成15年産米では通常価格よりも1kg当たり10円低い金額を設定した。 平成15年産米の価格設定は,低温及び日照不足により,仕入価格の高騰が見込まれたことから,原告の kg当たり20円低い金額を,平成15年産米では通常価格よりも1kg当たり10円低い金額を設定した。 平成15年産米の価格設定は,低温及び日照不足により,仕入価格の高騰が見込まれたことから,原告の負担を軽減するため,通常価格 を引き上げるとともに,販促協力金を引き下げたものである。(乙32,38〔3~4頁〕)c 平成16年原告は,平成16年5月27日の商談において,被告セコマから,納入価格を構成する諸経費(運賃,包装費,精米費)について疑義を 示されたところ,利益を様々なところに乗せていたことを認め,再度価格検証を行うことを約束した(後記⑷イ参照)。そして,同年6月1日,被告セコマに対し,一部の平成15年産RB米については納入価格を据え置きとするものの,「RB豊穣コシヒカリにつきましては販促条件を設定します。キロ当たり20円値引き設定」と,RB米の 豊穣コシヒカリについて1kg当たり20円の販促値引きをすること を提案した。被告セコマは,これを受けて,「茨城産・15年産をアピールするとともに,競合価格にあわせ展開を行っていく」ことを目的に,加盟店における販促値引きを実施した。(甲56の5・7,乙7,38〔4~5頁〕,39)特別販促のための販促協力金の負担 Aは,平成16年8月20日の商談において,被告セコマに対し,平成15年産米について,特別販促実施時の納入価格が通常価格より1kg当たり55円低い325円であったところ,平成16年産米については,それよりもさらに10~15円下回った金額を提示できるとの見込みを示した。これを受けて,原告と被告セコマは,同年9月8日から1 2日にかけて「325円/kgの条件で3980円の特売を実施する」こと,同月20日からは「一斉に新米に切り替え,(中 との見込みを示した。これを受けて,原告と被告セコマは,同年9月8日から1 2日にかけて「325円/kgの条件で3980円の特売を実施する」こと,同月20日からは「一斉に新米に切り替え,(中略)月末特売とし,売込みをはかる」ことを合意した。 上記cのとおり,RB米の豊穣コシヒカリの通常販促実施時の値引きは1kg当たり20円であったから,これをさらに1kg当たり35 円下回る価格決定は,特別販促実施に伴う値引きを示すものである。 (乙33,38〔5~6頁〕)イ平成17年頃から平成22年6月まで販促協力金の負担方法上記ア販促協力金の負担方法では,加盟店において,納入価格を 引き下げた時期にまとめて商品を仕入れて,販促値引きの期間終了後にそれを通常価格で販売して利幅を大きくするという行動がとられることがあり,これによって原告や被告セコマらの負担が大きくなるという弊害があった。このため,被告セコマらは,平成17年頃以降は,販促値引きの実施期間中に加盟店で実際に販売された商品のみを対象に,加盟 店に対して販促補填金を支払うこととし,これに伴って,原告の販促協 力金の負担方法も変更することとした。 すなわち,被告セコマらは,販促値引きの期間中であっても,商品マスターと呼ばれるデータベースに登録された価格(マスター価格)を引き下げることはせず,別途,販促値引きによって販売された実績数量に基づいて算出された販促協力金を原告に請求することとした(マスター 価格から販促協力金を控除した価格がNET価格になる。)。 具体的には,加盟店からのPOSデータを元に集計された前月の販促値引きによる販売実績(「袋数」)に,あらかじめ定められた販促協力金の単価(「リベート単価(1袋当たり)」)を乗じることに なる。)。 具体的には,加盟店からのPOSデータを元に集計された前月の販促値引きによる販売実績(「袋数」)に,あらかじめ定められた販促協力金の単価(「リベート単価(1袋当たり)」)を乗じることによって,販促協力金の額を算出し,これを記載した一覧表を被告フーズが原告に ファクシミリ送信して,その確認を求めた。そして,被告フーズは,販促協力金の確認がされた後,原告に対して「商談連絡伝票」を送付して,販促協力金(「販売促進リベート」)を商品代金と相殺する方法で精算する旨を通知した。 原告は,被告フーズから,毎月,上記一覧表や商談連絡票の送付等を 受けていたが,販促協力金の金額やRB米の代金との相殺について異議を述べたことはなかった。(甲12の1~32,乙1〔23~24頁〕,22,38〔7頁〕,乙47〔5頁〕,証人F〔5~8頁〕)通常販促のための販促協力金の負担a 平成18年産米 原告と被告セコマは,平成18年9月頃,同年産RB米のこしひかりの納入価格について商談を行った。この結果,平成17年産米の通常価格の単価が308円であったものを,平成18年産米の通常価格の単価を305円に引き下げたが,通常販促時の販促協力金はいずれも1kg当たり20円とされた。(乙34,38〔5頁〕) b 平成20年産米 平成20年産RB米について,平成21年6月頃から同年8月頃まで加盟店において実施された通常販促に伴って原告が負担した販促協力金の1kg当たりの単価は,こしひかりは原則20円(1kg袋及び2kg袋については10円),豊穣米は10円だった。(乙23)c 平成21年産米 原告は,平成21年10月26日付け見積書において,同年産の茨城県産こしひかりについて,通常価格を1kg当たり285円としつ 10円),豊穣米は10円だった。(乙23)c 平成21年産米 原告は,平成21年10月26日付け見積書において,同年産の茨城県産こしひかりについて,通常価格を1kg当たり285円としつつ,「販売促進の場合 262円」と記載して,販促値引きを実施しない場合の価格(マスター価格)と,販促値引きを実施する場合の価格(NET価格)の双方の価格(その差額23円が販促協力金にな る。)を明示して被告セコマに提示した。(甲56の43) 特別販促のための販促協力金の負担a 平成19年Aは,平成19年10月26日の商談において,同月24日から25日にかけて実施された特別販促の販売状況を踏まえて,被告セコマ に対し,「味を知ってもらうことが重要。まずは食べてもらうことです。」と述べて,同年11月及び12月も特別販促を実施することを提案した。(乙40)b 平成20年原告は,平成20年9月12日付け及び同年10月30日付け見積 書において,被告セコマに対し,RB米である豊穣コシヒカリについて,「販売促進補填金として9月24日~28日の5日間のみ限定△¥22.5とします。」と,期間限定の特別販促値引きに伴う販促協力金を負担することを提案した。(甲56の35・38)カード販促のための販促協力金の負担 原告と被告セコマは,平成18年9月頃の商談において,同年度から, 加盟店においてカードを提示した顧客に対して実施する値引き(以下「カード販促」という。)について,原告が一定額の負担をする旨の合意をした。 カード販促に伴う販促協力金についても,上記同様,毎月の一覧表や商談連絡票の送付等により金額の通知がなされ,RB米の代金との相 殺処理がなされたが,原告がこれについて異議を述べたこと した。 カード販促に伴う販促協力金についても,上記同様,毎月の一覧表や商談連絡票の送付等により金額の通知がなされ,RB米の代金との相 殺処理がなされたが,原告がこれについて異議を述べたことはなかった。 (甲12の1~32,乙34,証人F〔7~8頁〕) 平成17年1月分から平成22年6月分までの販促協力金の金額別表3「被告ら認否額」欄記載のとおりである。 ウ平成22年7月から平成24年9月まで 販促協力金の負担方法上記イとほぼ同様であるが,販促協力金とRB米の代金との相殺処理をやめて,被告フーズからの請求書に基づいて原告が銀行振込の方法によって支払うように変更された。 原告は,被告フーズから一覧表等の送付を受けて販促協力金の確認を 行い,平成23年5月分(甲12の43)及び平成24年5月分(甲12の62)について販促協力金の計算が誤っているとして修正を求めたが,その余の月については,カード販促分も含め,異議を述べることなく,被告フーズからの請求書に基づいて販促協力金の支払をした。(甲12の33~72,証人F〔7~9頁〕,弁論の全趣旨〔被告ら準備書 面(最終)31頁〕) 通常販促のための販促協力金の負担a 平成21年産米平成21年産RB米について,平成22年7月から同年9月12日までの間に断続的に実施された通常販促に伴う販促協力金の1kg当 たりの単価は,こしひかりは原則21円(1kg袋及び2kg袋は1 0円,5kg袋は20円),豊穣米は10円だった。(甲12の34~36)b 平成22年産米原告は,平成22年8月31日付け見積書(甲56の47)において,平成22年産の茨城県産こしひかりの通常価格を1kg当たり2 米は10円だった。(甲12の34~36)b 平成22年産米原告は,平成22年8月31日付け見積書(甲56の47)において,平成22年産の茨城県産こしひかりの通常価格を1kg当たり2 69円としつつ,「販売促進の場合 248円」と記載して,販促値引きを実施しない場合の価格(マスター価格)と,販促値引きを実施する場合の価格(NET価格)の双方の価格(その差額21円が販促協力金になる。)を明示して,被告セコマに提示した。 これを受けて,被告セコマらは,平成22年産RB米について,同 年9月13日から平成23年9月までの間に断続的に通常販促を実施し,この間,原告は,こしひかりの販促協力金として,上記見積書のとおり1kg当たり21円を負担した。(甲12の36~48,甲56の47)c 平成22年 平成22年12月頃,Aは,被告セコマのEに対し,RB米の販促値引きに伴って原告が負担する販促協力金の条件は1kg当たり21円とすることに決まっている旨を説明した。(証人E〔1,9~10頁〕)d 平成23年産米 原告は,平成23年9月3日,同年産RB米のななつぼし等について,玄米価格から精米歩留まり率(90%)を割り戻し,さらに,粗利率を10%と設定して算出した精米価格を,予想される玄米価格等に応じて(精米歩留まり率及び粗利率は,おおむね一定に設定されている。),A案からC案の3通り示した。そして,これに基づいて価 格交渉を行った結果,同月5日,実質的な納入価格(NET価格。茨 城産こしひかりについて1kg当たり309円,北海道産ななつぼしについて1kg当たり278円)を算出し,これに販促協力金として1kg当たり21円を加えた金額を納入価格(マスター価格。例えば,ななつぼしについて1kg当たり kg当たり309円,北海道産ななつぼしについて1kg当たり278円)を算出し,これに販促協力金として1kg当たり21円を加えた金額を納入価格(マスター価格。例えば,ななつぼしについて1kg当たり299円)とする見積書を送付した。 同年9月から平成24年10月までの間に断続的に実施された通常 販促に伴う販促協力金は,こしひかり,ななつぼし及び豊穣米につき,いずれも21円(ななつぼしについては,平成24年8月6日以降は10.5円)であった。(甲12の48~72,乙1〔8~11頁,資料1-2〕)特別販促のための販促協力金の負担 a 平成22年12月原告と被告セコマは,平成22年12月の商談において,加盟店における通常の小売価格は1480円であるが,特別販促実施時には,原告が別途1kg当たり5円の補填を行うことにより,小売価格を1380円とすることに合意した。(乙38〔8頁〕,45) b 平成23年1月Aは,平成23年1月18日に行われた被告セコマ代表者との商談後,「2月,3月について2,780円で販売できる条件(年末のセールと同様の条件)を提示したい」と申し入れた。(乙38〔8~9頁〕,41) c 平成23年9月平成23年産米について,北海道内の競合スーパー(生協,アークス)が新米切替時から道産米ななつぼしの特売(10kg2980円)を実施するとの情報があったことから,Eは,同年9月の商談において,Aと道産米ななつぼしの特別販促の実施について協議 を行った。 同商談において,Aは,「新米立ち上がりの時期で勢いが大事だし,販売量が増加すれば精米工場の稼働もよくなるのでやってみよう」と言って,特別販促の実施に賛同した。さらに,Aは,「ななつぼしを対象に特別販促を実施すると,そ 「新米立ち上がりの時期で勢いが大事だし,販売量が増加すれば精米工場の稼働もよくなるのでやってみよう」と言って,特別販促の実施に賛同した。さらに,Aは,「ななつぼしを対象に特別販促を実施すると,その反動でこしひかりの売上が落ち,茨城の原告の精米工場で,こしひかりの玄米在庫が余っ て精米工場の稼働が落ちる」という理由から,こしひかりについても同様に特別販促を実施してもらいたいと申し入れた。 この結果,原告は,同月28日から特別販促を実施する際,ななつぼしは1kg当たり47円(通常販促に伴う販促協力金21円を含む。),こしひかりは1kg当たり40円(同)の販促協力金を 負担することになった。 上記のような特別販促は,当初は同月限りの期間限定として実施される予定だったが,同年は小売市場での価格競争が激しく,競合スーパーにおいては,道産米ななつぼし10kg袋2980円が通常の販売価格になっていくような状態であったことから,結局,平 成23年産米について,ななつぼしは平成24年4月9日まで,こしひかりは同年6月17日まで,断続的に特別販促が実施された。 (乙1〔12~14頁〕)平成22年7月分から平成24年9月分までの販促協力金の金額別表3「被告ら認否額」欄記載のとおりである。 エ平成24年10月以降 経営支援のための販促協力金の負担者の変更Aは,平成24年春頃,Eに対し,「玄米手当資金の銀行からの借入が難しくなったから援助してほしい。銀行からは,決算書上計上された在庫を販売すれば資金が手当てできるはずだと言われるが,在庫は実際 には存在しないので,玄米を購入する資金がない。」と申し入れ,玄米 を調達する資金を援助してほしい旨要請した。原告は,玄米の架空在庫を計上す 手当てできるはずだと言われるが,在庫は実際 には存在しないので,玄米を購入する資金がない。」と申し入れ,玄米 を調達する資金を援助してほしい旨要請した。原告は,玄米の架空在庫を計上するようになった理由として,被告フーズとの取引において発生した販促協力金(I会社を併せて総額8億2853万円余),返品(総額18億8315万円余)及びH会社向けの運送費の負担(総額3億5662万円余)により,原告において利益が出ない中,銀行から借入れ を行うために,最終的に7億円の架空在庫を計上したと説明した。原告は,同年3月28日のEに対する電話においては,販促協力金がかかりすぎており収益を圧迫している,販促協力金は被告セコマに言われるままに払っているだけで原告では分からない,などとも述べていた。 被告セコマらが調査したところ,5億4400万円の在庫調整額(架 空在庫)が確認されたことから,同年6月,原告と協議した結果,原告における経費をI会社に移転することによって原告に利益を計上し,5年間で2億5000万円から3億円の架空在庫を償却していくことを目標とし,そのために,①米の商流を変更して,被告フーズが原告及びI会社から調達する米はすべてI会社経由で仕入れることにより,これま で原告が負担していた販促協力金及び運送費をI会社が負担するように改め,②原告だけが負担している役員報酬を,一部I会社に振り分け,③販促協力金を年間1億円に設定して,利益コントロールを行うこととした。 こうして,同年10月以降,被告フーズによる販促協力金の請求は, 原告ではなく,I会社に対してのみ行われるようになった。(甲12の71~75,20,22,25,82,乙1〔15頁〕,証人E〔11~12頁〕) 平成24年産米の通常販促の は, 原告ではなく,I会社に対してのみ行われるようになった。(甲12の71~75,20,22,25,82,乙1〔15頁〕,証人E〔11~12頁〕) 平成24年産米の通常販促のための販促協力金の負担原告と被告セコマは,例年であれば原告の粗利率を10%と設定して 被告フーズに対する実質的な納入価格(NET価格)を決定するところ (上記ウd参照),平成24年9月,同年産米について価格交渉を行った結果,原告の利益を増加させつつ,I会社が負担する販促協力金の額を年間1億円以内に収めるため,①原告及びI会社が納入する米(RB米及び業務用米)の粗利率を12%に引き上げ,かつ,②RB米についてI会社が負担する販促協力金の額を,こしひかりについては1kg 当たり15円(平成23年産米は21円),ななつぼしについては1kg当たり7円(同21円又は10.5円)に設定した。(甲13,56の56,乙1〔16~19頁〕) 平成24年産米の特別販促のための販促協力金の負担等a 特別販促のための販促協力金の負担 被告セコマらは,平成24年産のななつぼし10kg袋について,原告やI会社に販促協力金を負担させず,値引き分を被告セコマが負担することとして特別販促を実施する旨の「販促商品のご案内」(甲57の24)をI会社に送付した。これに対して,Aは,被告セコマらに対し,I会社が販促協力金を負担するので,こしひかり10kg 袋についても特別販促を実施してほしいと強く要請した。 そこで,被告フーズは,平成24年12月26日から平成25年1月6日までの間,通常販促時の販促協力金を超える部分について,ななつぼし10kg袋については被告セコマの負担で,こしひかり10kg袋についてはI会社の負担で,特別販促 年12月26日から平成25年1月6日までの間,通常販促時の販促協力金を超える部分について,ななつぼし10kg袋については被告セコマの負担で,こしひかり10kg袋についてはI会社の負担で,特別販促を実施した。(甲57の 24・25,乙1〔21~22頁〕,21,47〔6頁〕)bBの原告代表取締役就任原告は,もとはAが単独で代表取締役を務め,被告セコマらとの価格交渉等もAが主に担当していたが,平成25年3月31日,Bも共同して代表取締役に就任し,この頃から,Bも被告セコマらとの価格 交渉等に関わるようになった。(原告代表者B〔35~37頁〕) c 販促協力金の負担の中止原告は,平成25年1月に,被告セコマらに対し,販促協力金を支払わない旨の意向を示し,I会社は,同年2月分から4月分までの販促協力金を支払わず,原告は,同年5月以降,被告フーズに対し,販促協力金を支払うべき法的義務があるか否かを問い合わせるメール等 を送付するようになった。 被告セコマらは,同月以降,原告及びI会社の供給するRB米について,I会社が販促協力金を負担する形での販促値引きを中止し,以後,原告又はI会社から要望がない限り,販促値引きは行わない旨を通知した。(甲29~40,乙38〔10頁〕,42) 平成25年産米の取引aNET価格への一本化被告セコマは,平成25年8月28日の商談において,原告及びI会社に対し,同年産米からは,RB米ではなくNB米(原告又はI会社のブランドで販売する米)として発注すること,原告又はI会社の 納入価格は,従前のようにNET価格とマスター価格の二本立てではなく,玄米調達価格から試算したNET価格一本で提示するものとし,販促協力金の上乗せは行わないこと等を提示した。これに対し, の 納入価格は,従前のようにNET価格とマスター価格の二本立てではなく,玄米調達価格から試算したNET価格一本で提示するものとし,販促協力金の上乗せは行わないこと等を提示した。これに対し,原告及びI会社は,特に異議を述べなかった。(乙12,13,38〔10~11頁〕) b 特別販促のための販促協力金の負担被告セコマが,平成25年11月29日,原告及びI会社に対し,年末に計画している特別販促に関して,販促協力金(こしひかり10kg袋当たり80円)を負担する意思があるか否かを確認したところ,原告が,同年12月2日,対象数量を5000袋に限定した上で特別 販促価格を提示したため,被告セコマがこれに応じて,その条件での 特別販促を実施した。(甲45,46,乙38〔11頁〕,46)⑷ H会社取引における運送費の負担ア当初の状況H会社取引において,当初,商品は原告工場渡しとされており,原告工場からH会社工場までの運送はH会社が負担していた。H会社は,同区間 の運送業務を被告フーズに委託し,被告フーズに運送料を支払っていた。 (弁論の全趣旨〔訴状9~10頁〕)イ平成16年5月27日の協議原告は,平成15年産米の取引において,米の不況により米の仕入価格が高騰したことを理由として,納入する米に同年度以前の古米を混ぜ るという不祥事を起こした。同不祥事が発覚すると,被告セコマは,原告との取引を継続するか否かを検討するため,原告が提示する見積価格の信ぴょう性を検証することとし,平成16年5月27日,原告と協議した。(乙7)上記協議において,被告セコマからは,次の指摘があった。 a 米の入札には,落札業者の指値の中に入札場までの運送費用を含める「置き場渡し」という制度がある。こ 原告と協議した。(乙7)上記協議において,被告セコマからは,次の指摘があった。 a 米の入札には,落札業者の指値の中に入札場までの運送費用を含める「置き場渡し」という制度がある。この置き場渡しという制度が現状では十分に活かされていない。原告工場から札幌市所在の被告フーズの配送センターまでの運送費用は1kg当たり10円と計上し得るところ,現在の原価には,すでに運送費用とし て1kg当たり10円が算入されており,上記運送費用は原告負担とした上で,ここにほぼ吸収させることができるはずである。 b 製造原価には包装費として1kg当たり5円が算入されているが,実際には1kg当たり3.4円である。 c 製造原価には精米費用が算入されている。精米費用は,精米設備 を償却する期間によって変わり得るが,原告は,設備投資をした平 成11年以来,精米費用を変動させていない。精米費用の明細を出せるのか。 d 価格を下げて原告に利益をなくせと言っているわけではない。適正な利益を要求した方が互いの信頼関係を強化することができる。 疑いのある見積原価ではなく,相場の変動等に関係のない固定費の 部分でまだ詰めていくことができる。 当時原告の専務であったBは,被告セコマからの上記指摘を認め,従前,製造原価を明確にせず,様々なところに利益を乗せていたとして,見積価格の提示方法を見直し,価格検証を行うことを約束した。 ウ運送費の負担者の変更 原告は,平成16年6月頃,H会社取引に関し,H会社との間で,原告工場渡しをH会社工場渡しに変更すること,すなわち原告工場から北海道各地にあるH会社工場までの運送費用を原告が負担することを合意し,同年7月1日,被告フーズとの間で,次の内容を含む覚書を作成して,同区間の運送業務を 場渡しに変更すること,すなわち原告工場から北海道各地にあるH会社工場までの運送費用を原告が負担することを合意し,同年7月1日,被告フーズとの間で,次の内容を含む覚書を作成して,同区間の運送業務を被告フーズに委託した。(甲56の8・13,乙2) 運送料a 原告工場からH会社の銭函工場まで1kg当たり19円b 原告工場からH会社のその他の工場まで1kg当たり25円 有効期間及び更新有効期間は,平成16年7月1日から平成17年6月30日までとする。ただし,期間満了の1か月前までに,原告及び被告フーズのいずれからも意思表示がない場合,同一条件により,その後1年間ごとに更新されたものとする。 エ運送費の金額の変更 原告及び被告フーズは,平成20年8月25日,原告の経費削減を図るため,次のとおり,原告がRB米取引及びH会社取引に関して負担している各運送料を変更する合意をした。(乙3)RB米取引の商品の運送料を,2円値上げし,1kg当たり12円とする。 H会社取引の商品の運送料を,次のとおり,段階的に値下げし,最終的に0円にする。 a 平成20年9月から平成21年8月まで1kg当たり12円b 平成21年9月から平成22年8月まで 1kg当たり9円c 平成22年9月から平成23年8月まで1kg当たり5円d 平成23年9月から0円 オ被告フーズによる運送業務の提供H会社取引に係る運送業務は,①茨城県内の原告工場から札幌市内の被告フーズの配送センターまでの輸送業務,②同センターにおける積換え業務,③同センターから北海道内のH会社工場への輸送業務に分かれる。 被告フーズは,原告の 城県内の原告工場から札幌市内の被告フーズの配送センターまでの輸送業務,②同センターにおける積換え業務,③同センターから北海道内のH会社工場への輸送業務に分かれる。 被告フーズは,原告の委託を受けて,他の運送業者に再委託した上で,上記①ないし③の業務を現実に行っていた。(甲71〔8頁〕,証人G〔24~27頁〕,原告代表者B〔49~50頁〕)カ原告による運送料の支払原告は,被告フーズから,上記運送委託に基づき運送料の請求を受 け,異議を述べることなく,これを支払っていた。(甲19,67, 弁論の全趣旨)⑸ 原告の経営状況に関する被告セコマらの認識ア決算書上の剰余金の記載原告は,決算書上,平成8年以降,毎期黒字を計上しており,平成12年4月期には剰余金が1億円を超え,平成16年4月期には剰余金が2億 円を超え,平成22年4月期には剰余金が2億円を下回るもなお1億7000万円以上を維持し,その後も平成24年4月期まで同水準を維持していた。(乙28)イ平成17年の財務調査原告は,平成17年5月,被告フーズに対し,事前に提供していたサン プル品と異なる劣悪な品質のブレンド米を納品した。これを受けて,被告セコマ法務部は,原告との取引を継続すべきかを判断するため,原告の財務状況等の調査を行った。同調査では,2通の報告書が作成され,要旨,次のような指摘がされた。(甲69〔資料2〕)平成17年6月10日付け調査報告 財務状況は,収益性においても資金繰りにおいても,非常に大きな問題を抱えている。原告は企業というより個人商店であり,適切な財務管理を行っていないし(Aは資金の流れ等についてほとんど即答できなかった。),今後とも行える体制にない。借入過多であるにもかかわらず,実質 抱えている。原告は企業というより個人商店であり,適切な財務管理を行っていないし(Aは資金の流れ等についてほとんど即答できなかった。),今後とも行える体制にない。借入過多であるにもかかわらず,実質的に借入金の返済を行っておらず,借入金の返済よりも個人資産の 確保を優先したと思われる行動もある。関連会社の資金を一体化して運用してきた可能性も感じられる。現状の意識と体制では財務内容が好転する可能性は極めて低く,経済的な行き詰まりが突然起きる危険性がある。 原告の財務内容に照らせば,他社並みの7%の粗利率での経営は極め て困難と見る。 茨城のリクルーターの話によれば,地元の評判が芳しくなく,「闇米業者」と言われ,なぜ取引しているのかという言い方をされることもあった。これが一般的な評価だとすれば,資金的な信用が低下すれば,仕入れ上の問題が生じてくる。 同月21日付け調査報告 原告の財務内容は決して好ましい状態ではなく,今後急速に改善される見通しもない。しかし,借入過多の問題と利益減少の問題があるとはいえ,赤字経営ではないし,決算書上は債務超過に陥っていない。被告セコマが原告との取引を継続するか否かを判断するに際して重要となるのは,原告が被告セコマの希望価格により米を販売しても適正な利益を 確保できる体制になるか否かである。 Aは,同様の認識を持った上で,経費削減案を示した。 ウ財務状況改善の報告原告及び被告セコマは,平成17年7月29日の商談において,借入金が前年に比べ12億円減少して17億円となったこと,3年後(平成 20年4月期)には10億円を下回る計画であること,被告セコマらとの取引に加え,新たな収益源を確保しつつあることを確認した。(乙67)原告は,平成20年4月期, ったこと,3年後(平成 20年4月期)には10億円を下回る計画であること,被告セコマらとの取引に加え,新たな収益源を確保しつつあることを確認した。(乙67)原告は,平成20年4月期,被告セコマに対し,平成17年の水準から借入金を5億円近く減少させた決算報告を提出した。(乙28の9・ 11,弁論の全趣旨〔被告ら準備書面(最終)41頁〕)原告は,平成22年の商談において,被告セコマに対し,銀行から19億円の融資を受ける目途が立った旨を報告していた。(乙8〔2頁〕)エ被告セコマらによる経営支援上記⑶エのとおり,平成24年春頃に発覚した,原告による莫大な架 空在庫計上による経営危機に対し,被告セコマらは,原告及びI会社から の納入価格や販促協力金の見直しなどを行った他,同年7月20日及び平成25年1月25日に合計3億5000万円を貸し付けるなどして,その経営再建に対する支援を行った。(乙64,65) 2 販促協力金に係る請求について⑴ 支払合意の有無 ア新米切替時の合意(通常販促のための販促協力金について)平成15年産米及び平成20年産米ないし平成23年産米の各取引原告と被告セコマとの間における平成23年産RB米の価格交渉が,原告の粗利率(10%)も織り込んだ上で被告フーズに対する実質的な納入価格(NET価格)を決めた後,これに販促協力金を加算して被告 フーズに対する納入価格(マスター価格)を決めるという形で行われていたことは,認定事実⑶ウ また,原告は,平成15年産RB米(認定事実⑶ア年産RB米(同イb),平成21年産RB米(同イ年産RB米(同ウb)についても,原告自身が作成した見積書におい て,被告フーズに対する通常の納入価格(マスター価格)を RB米(認定事実⑶ア年産RB米(同イb),平成21年産RB米(同イ年産RB米(同ウb)についても,原告自身が作成した見積書におい て,被告フーズに対する通常の納入価格(マスター価格)を示した上で,そこから控除されるべき販促協力金の額又はこれを控除した実質的な納入価格(NET価格)を併記していた。 以上から,これらの年度のRB米取引について,原告が,各年度の新米切替時に,販促協力金の負担を合意していたものと認められる。 その余の取引その余の取引についても,原告が長年にわたって販促値引きの実施及び販促協力金の負担に異議を述べず,同負担を前提に行動していること(同)から,上記と同様,原告は,各年度の新米切替時に,販促協力金の負担を合意していたものと認められる。 見積書に販促実施時の価格の記載がない年度があるのは,販促協力金 の額がほぼ一定であり(同に支障がなかったためと考えられる。この点,原告は,見積書に販促実施時の価格の記載があるのは,被告セコマらに記載を強要されたためである旨主張するが,被告セコマらに販促協力金の支払合意を仮装する意図があったとすれば,全ての年度の見積書に販促実施時の価格を記載さ せ,あるいは販促協力金の支払合意について合意書を作成する方が意図にかなっており,被告セコマらがこれらのいずれも行っていないということは,原告が指摘する書面の欠如は,RB米取引において書面作成の慣行がなかったこと(例えば,同取引では,基本契約に係る契約書が平成15年まで作成されず〔同⑴イ〕,個別の米取引について価格等が決 定した後も契約書は全く作成されていなかった〔弁論の全趣旨〕。)に起因するものにすぎないというべきである。 イ個々の販促実施前後の合意(全ての販促のための販促協 引について価格等が決 定した後も契約書は全く作成されていなかった〔弁論の全趣旨〕。)に起因するものにすぎないというべきである。 イ個々の販促実施前後の合意(全ての販促のための販促協力金について)被告セコマは,加盟店において実施する販促値引き(通常販促,特別販促,カード販促)について,販促値引き実施前に,その実施期間や販促協 力金の額を原告に通知し(認定事実⑵イ,⑶イ),販促値引き実施後に,販売実績に基づいて算出された販促協力金の額を原告に通知していた(同⑶イ,ウ)。 これに対して,原告は,販促協力金の支払義務があることを前提として,その計算の誤りを指摘したことはあったが,販促値引きの実施や販促協力 金の額について異議を述べたことはなく,殊に平成22年7月以降は,自ら販促協力金を銀行振込みの方法によって支払っていた(以上,同⑶イ,ウ)。 のみならず,原告(A)は,販売数量を増やすことなどを目的として,自ら積極的に特別販促の実施を希望することもあった(同⑶ア,イ, ウb,c,エa)。 ウ原告の主張についてマスター価格及びNET価格という呼称について原告は,言葉の意味からして,被告らの主張するマスター価格が通常価格であり,原告は取引当時,マスター価格あるいはNET価格という言葉自体を聞いたことがなく,被告らがNET価格という概念を持ち出 したのは,マスター価格と販促協力金の概念のみでは,販促時に通常価格からの減額が行われていることが明らかになってしまうためであると主張する。 しかし,上記アのとおり,原告は,RB米取引において,通常の納入価格と販促実施時の納入価格の2つの価格があることを認識した上で価 格交渉を行っていたものであって,販促協力金の と主張する。 しかし,上記アのとおり,原告は,RB米取引において,通常の納入価格と販促実施時の納入価格の2つの価格があることを認識した上で価 格交渉を行っていたものであって,販促協力金の支払合意は,原告においてマスター価格とNET価格という被告セコマらにおける呼称を認識していなければできないものでもない。よって,原告の上記主張は,販促協力金の支払合意の有無に関する上記事実認定を左右するものではない。 販促の詳細が決まっていない段階での合意可能性について原告は,新米切替時の交渉時点では,販促に関する詳細が決まっていないから,販促協力金の支払合意などできるはずがない旨主張する。 しかし,通常販促については,過年度の取引状況から販促の実施頻度等を予測することができたものであり,特に,平成22年9月に通常販 促が常態化して以降は実施頻度の予測が容易になっていたものと認められる。加えて,原告においては,納入量全てについて販促が実施される想定で納入価格を設定することも可能であった。のみならず,原告は,通常販促に伴う販促協力金の支払を嫌うのであれば,上記イのとおり通常販促実施の通知を受けた際,これに異議を述べることも可能であった (実際,平成25年5月以降は,原告の承諾が得られなかったため,販 促協力金の負担を伴う形での販促値引きは実施されていない。認定事実 よって,通常販促のための販促協力金の支払合意をすることに支障はなかったと認められる。以上は,カード販促に伴う販促値引きについても同様である。 原告が被告セコマらからの通知に異議を述べなかった理由について原告は,上記イの販促協力金の額の通知等を受けていた事実を認めつつ,確認のための時間が短く,確認することができなかったなどと主 原告が被告セコマらからの通知に異議を述べなかった理由について原告は,上記イの販促協力金の額の通知等を受けていた事実を認めつつ,確認のための時間が短く,確認することができなかったなどと主張する。 しかし,販促協力金の額については年間の合意があったこと(上記ア) などによれば,確認のための時間が短いとも言い切れず,また,原告と被告セコマらとの米取引における販促協力金の負担を伴う販促値引きが遅くとも平成12年頃から平成25年4月頃までの長期間にわたって行われてきたものであること(認定事実⑵ア)に鑑みれば,その間,通知を事後に検証して異議を述べたり,確認のための 時間を長く取るよう要望したりすることも可能であったのであり,原告が被告セコマらからの通知の確認を行う時間がなかったとは考え難い。 原告の上記主張は採用できない。 その他,原告がるる主張する点は,いずれも当裁判所の上記事実認定を左右するものではなく,採用できない。 エ小括以上によれば,通常販促,特別販促及びカード販促のいずれについても,原告は被告セコマらとの間で,販促値引きの実施及び販促協力金の支払を合意していたものと認められる。 ⑵ 支払合意の有効性 ア判断枠組み 民法は,私的自治をその基本理念としているところ,同法90条により私人間の合意を無効とすることは,私的自治への介入であるから,同条の適用は,私的自治への過剰な介入とならないよう,慎重に判断されなければならない。 例えば,取引においては,一面において不利な条件を提示された 当事者が,当該条件を受け入れることを積極的には望まないながらも,当該条件を受け入れることにより総合的には得をすると考えてこれを受け入れることがあ おいては,一面において不利な条件を提示された 当事者が,当該条件を受け入れることを積極的には望まないながらも,当該条件を受け入れることにより総合的には得をすると考えてこれを受け入れることがある。この場合,当該取引当事者は,自己の責任において,自由かつ自主的に取引条件を吟味し,これを受け入れることにしたものであるから,国家による介入の必要性は認め られず,それにもかかわらず民法90条を適用することは私的自治への過剰介入となる。また,取引においては,取引当事者が,取引条件を十分に吟味せず,あるいは,取引条件が自己にもたらす影響を見誤ることもある。これらの場合も,当該取引当事者は,自由かつ自主的に取引条件を吟味することが可能な状況において,自己の 責任において取引条件の吟味を放棄し,あるいは失敗したものであって,その責任は当該取引当事者に帰せられるべきであるから,国家による介入の必要性は認められず,民法90条の適用は私的自治への過剰介入となる。 これに対して,取引の一方当事者が,暴利行為(相手方の窮迫な いし無知等に乗じて,客観的に著しく対価的均衡を欠く取引条件を強いること)ないし優越的地位の濫用(自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当な取引条件を強いること。独禁法2条9項5号参照)に及んだ場合には,民法90条により当該取引条件を無効とすることにより相手方 当事者を救済し,健全な取引秩序を回復する必要がある。当該取引 条件は,相手方当事者の自由かつ自主的な判断に基づくものではなく,私的自治の前提を欠いているから,これを無効としても私的自治への過剰な介入にはならない。 以上から,販促協力金の支払合意が公序良俗に反するとして民法90条により無効とされるため づくものではなく,私的自治の前提を欠いているから,これを無効としても私的自治への過剰な介入にはならない。 以上から,販促協力金の支払合意が公序良俗に反するとして民法90条により無効とされるためには,同合意が暴利行為ないし優越 的地位の濫用に該当することが必要であると解される。 これに対して,原告は,販促協力金の支払合意が下請法違反に該当することを主張して,同合意が民法90条により無効とされるべきである旨主張する。 下請法は,親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめる とともに,下請事業者の利益を保護するため,親事業者の遵守事項として,不当な買いたたき(同法4条1項5号)及び不当な経済上の利益の提供要請(同条2項3号)を禁止しているところ,本件における販促協力金の支払合意が下請法4条1項5号及び同条2項3号に違反した場合,支払合意の負担の程度,経済合理性の有無,支 払合意に至る経緯等を考慮して,下請法4条1項5号及び同条2項3号の趣旨に照らして不当性の強いときには,販促協力金の支払合意が公序良俗に違反して無効となることがあり得るが,そうでないときには,上記各条項に抵触するということだけで直ちに上記合意が無効となるものではないと解するのが相当である。 イ検討予測困難な負担を課すものではなかったことa 通常,取引当事者は負担の内容を予測した上で,当該負担を受け入れるか否かを判断する。これに対して,予測困難な負担を合意した場合には,当該合意が暴利行為ないし優越的地位の濫用に より強いられたものではないかという疑義が生じる。 b この点を検討するに,上記⑴のとおり,販促値引きの実施及びその際の販促協力金の支払は,被告セコマらからの事前の通知に基づいて,原告自らが合意し られたものではないかという疑義が生じる。 b この点を検討するに,上記⑴のとおり,販促値引きの実施及びその際の販促協力金の支払は,被告セコマらからの事前の通知に基づいて,原告自らが合意して行われたものであり,予測困難な負担ではない。 c 原告は,平成24年3月28日,Eに電話して,販促協力金は被告セコマに言われるままに払っているだけで原告では分からな いなどと苦情を述べているが(),これは,原告が自ら採算を計算することを放棄していたというにすぎず,上記のとおりの予測可能性を否定する事情とはならない。 著しく過大な負担を課すものではなかったことa 原価割れが生じたとは認められないこと ⒜ 販促協力金の負担により,RB米取引が原告にとって客観的に対価的均衡を欠くものになっていた場合,そのような著しく過大な負担の合意は,暴利行為ないし優越的地位の濫用により強いられたものではないかという疑義が生じる。 ⒝ この点を検討するに,NET価格は,元々,原告の利益を含 む粗利率を考慮して決定されており(認定事実⑶ウd),原告が販促協力金を負担していたとしても,一般的に原価割れが発生していたとは考え難い。実際,平成18年産米以外の取引については,販促実施時の納入価格では当該価格による納入分について原価割れを起こしていたという事実が認められず,販 促協力金の負担が著しく過大な負担を課すものであったとは認められない。 これに対して,原告は,平成15年産米について,販促実施時の納入価格では当該価格による納入分について原価割れを起こしていた旨主張するようであるが,これを認めるに足りる証拠はな い。 ⒞ 平成18年産こしひかりについては,販促実施時の納入価格が原価割れを起こしていたことが認めら て原価割れを起こしていた旨主張するようであるが,これを認めるに足りる証拠はな い。 ⒞ 平成18年産こしひかりについては,販促実施時の納入価格が原価割れを起こしていたことが認められる(販促を実施しない場合の単価〔305円〕から製造原価〔278.7円〕及び運送費〔10円〕を差し引き,さらに販促協力金〔20円〕を差し引くと,1kg当たり3.7円の赤字が発生した〔乙34〕。)。 しかし,同年度は販促が常態化する以前であり(認定事実⑵ア),販促を実施しない納入もあった。よって,販促を実施しない納入と併せた取引全体の収支が明らかにされているとはいえないから,取引全体が原価割れを起こしていたとは認められない。 ⒟ 原告は,RB米の納入価格は販促協力金の負担がない場合でさえ,全国の米穀業者の同種商品の平均卸売価格(甲83)よりも14~19%程度安かったと主張する。 しかし,上記平均卸売価格は,価格以外の取引条件が不明であって,単純に比較できるものではない。また,RB米取引に は,取引量の多さや原告が独自の精米設備を有すること(弁論の全趣旨)など,価格を引き下げることを可能とし得る事情もあった。よって,上記比較のみでは,販促時の納入価格が原価割れを起こしていたとは認められない。 b 納入量増大の利益をもたらしたこと ⒜ 小売市場において価格競争が激化する中,販促値引きには,加盟店における販売量を大幅に増加させる効果があった(認定事実⑵エ)。よって,販促実施時の価格が原価割れを起こしてさえいなければ,販促を活発に実施することで,単位量当たりの利益は薄くても,一定の利益を上げることが期待できた。 また,Aが平成19年の商談において,消費者に味を知って もらうことが重要であり,ま ,販促を活発に実施することで,単位量当たりの利益は薄くても,一定の利益を上げることが期待できた。 また,Aが平成19年の商談において,消費者に味を知って もらうことが重要であり,まずは食べてもらうことである旨話していた(同とおり,販促の実施は消費者への宣伝となり,後に当該商品を購買してもらうことにつながり得るものであった。このように,販促の実施は,販促協力金の負担によって一時的な原価割れを生じさせても,当該価格による納入 にはなお経済合理性が認められる余地があった。 ⒝ これに対して,原告は,販促協力金の支払合意は,販促を原告の負担において実施できるようにすることにより,販促の常態化をもたらし,RB米取引における返品の強要と相まって,大量発注及び大量返品を招いただけであったと主張する。しか し,上記事態は主として返品に由来するものであって,販促協力金の支払合意自体に由来するものではない。販促協力金の支払合意を見た場合に経済合理性があり得ることは上記のとおりである。 ⒞ また,原告は,販促協力金がRB米の販促以外の使途に利用 されていた旨,すなわち,販促協力金がカード販促実施時の損失補てんに利用されたこと及び販促協力金が「協賛金」として被告セコマの予算に組み込まれていたことを主張する。 しかし,カード販促も販促であることには変わらず,納入量の増大に向けたものである。また,「協賛金」に係る原告の主 張は「広告費・販促費月次報告」と題する書面(甲54)に「協賛金」の記載があることを根拠としているが,被告らは,協賛金とは,被告セコマが大手メーカーを中心とした取引先との間の販売促進契約に基づき支払を受けた,特定の商品についてのテレビコマーシャルの放映,加盟店におけるPOPの設置 及び景 被告らは,協賛金とは,被告セコマが大手メーカーを中心とした取引先との間の販売促進契約に基づき支払を受けた,特定の商品についてのテレビコマーシャルの放映,加盟店におけるPOPの設置 及び景品の配布といったプロモーション活動の対価であり,販 促協力金とは異なるものである旨主張しており(被告ら準備書面(最終)44頁),同主張を排斥するに足りる証拠はなく,販促協力金が販促以外の使途に利用されていた事実は認められない。 c 以上によれば,販促協力金の負担が,原告に著しく過大な不利 益を課すものであったとは認められない。 合意に至る経緯が不当ではないことa 原告の自由かつ自主的な経営判断によること以上を踏まえて,原告が販促協力金の支払合意をした経緯ないし環境に,暴利行為ないし優越的地位の濫用と評価されるべき不 当性があるかを検討する。 原告は,販促協力金の負担を予測しながら,販促協力金の負担を嫌うのであれば,これに異議を述べることが可能であったにもかかわらず,異議を述べず,むしろ,販促の実施を積極的に提案していた(上記⑴イ)ものであり,同合意に一定の合 理性があり得たことを併せ考えると,原告は,自由かつ自主的な判断により,主観的には同合意に合理性を見出し,同合意をしたものと認められる。平成17年の調査において指摘されたAの杜撰な経営姿勢(認定事実)や平成24年時点の同人の発言()によれば,原告は,販促協力金の設定 を被告セコマに任せ,自らは十分に吟味しなかった可能性がある。 しかし,仮にそうであったとしても,原告が自由かつ自主的な判断が可能な状況において,取引条件を吟味して交渉することを放棄したというだけであり,それもまた原告の自由かつ自主的な判断といえる。 これに対して であったとしても,原告が自由かつ自主的な判断が可能な状況において,取引条件を吟味して交渉することを放棄したというだけであり,それもまた原告の自由かつ自主的な判断といえる。 これに対して原告は,Aは販促協力金の廃止を繰り返し要望し ていたと主張するが,証拠上,原告が販促協力金の負担自体に異議を述べたと認められるのは平成24年春頃が初めてであり(認),上記主張に係る事実は認められない。 また,原告は,被告セコマらに取引を依存する中,取引継続のためには販促協力金の負担を合意せざるを得ず,被告セコマらと の取引により自転車操業に陥った後は,事業継続のため現金収入を得るため,販促協力金を負担してでも取引量の増大を目指すほかなかった旨主張する。しかし,原告が被告セコマらに取引を依存していたとしても,そのことから直ちに原告に不利な全ての取引条件が当該取引依存を背景に強制されたものであると認められ るものではなく,取引条件ごとに当該取引依存を背景に強制されたものなのか,それとも自由かつ自主的な判断によるものなのかを検討すべきであるところ,販促協力金の支払合意が自由かつ自主的な判断によるものであることは上記のとおりである。また,仮に原告が自転車操業に陥っていたとしても,後記b⒜のとおり, 原告は被告セコマらに自己の経営難及び販促協力金の負担が困難である事実を伝えておらず,被告セコマらにおいて原告からの申出なしにそれらの事情を容易に認識し得たとも認められないから,被告セコマらが原告の経営難に乗じ,これを利用したということはできない。 b 被告セコマらに不公正さを認める主観的事情がないこと⒜ 原告は,平成17年の調査において被告セコマから財務上の問題点を指摘されるも,改善案を提示し,その後,問題状況が改 はできない。 b 被告セコマらに不公正さを認める主観的事情がないこと⒜ 原告は,平成17年の調査において被告セコマから財務上の問題点を指摘されるも,改善案を提示し,その後,問題状況が改善した旨の報告を続けた(認定事実)。また,原告は,被告セコマから上記指摘を受けた後も,自ら販促協力金の負担を 含んだ見積価格を示し,積極的に販促の実施を求めていた(同⑶ 。このような原告の振る舞い及び販促協力金が著しく過大な負担を課すものではなかったことに照らせば,被告セコマにおいて,原告の経営状況及び販促協力金の負担の影響を正確に把握していたとは認められず,それが容易であったとも認められない。そうであれば,被告セコマらに対し, 原告の利益に配慮することを求めることはできず,被告セコマらが販促協力金の要求を差し控えなかったことが不公正であったとはいえない。 ⒝ 原告は,RB米は被告セコマらのプライベートブランド商品であるから,その売上増大は被告セコマらの責任で行うべきで あり,加盟店への販促実施時の損失補てんも被告セコマらの負担で行うべきであって,当該負担を原告に転嫁すること自体が不公正であると主張する。 原告の上記主張は,販促協力金の支払を,別訴において争われた返品と同列に論じ,いずれも本来被告セコマらが負うべき経営 上のリスクを原告に転嫁したものであると主張するものである。 たしかに,返品に関しては,すでに転売困難なプライベートブランド商品を製造納品させた以上,当該商品の在庫リスクは製造委託者が負うべきであり,当該負担を原告に転嫁することは不公正な取引に該当し得る。しかし,販促協力金の支払に関しては,必 ずしも製造委託者に一定額で一定量の発注をする義務があるわけではない。製造委託者は,転売 あり,当該負担を原告に転嫁することは不公正な取引に該当し得る。しかし,販促協力金の支払に関しては,必 ずしも製造委託者に一定額で一定量の発注をする義務があるわけではない。製造委託者は,転売困難なプライベートブランド商品であることを考慮しても,発注前であれば,それが買いたたきに及ばない限り,発注量及び価格を交渉する自由がある。原告は,このような取引段階における交渉の中で,より多くの発注を得る ために,販促協力金の支払という形で値引きをしたにすぎない。 ここにおいて,被告セコマらが自己の責任ないしリスクを原告に転嫁したとは認められない。 総合評価上記検討のとおり,本件の販促協力金の支払合意は,客観的に著しく対価的均衡を欠く取引条件であるとも,正常な商慣習に照らし て不当な取引条件であるとも認められない。同合意は,原告が,負担の内容を予測した上で,負担を受け入れることが可能であり,これを受け入れた方が取引全体にとって得策であると判断して締結したか,あるいは,採算が取れるか否かの計算を放棄して締結したものであって,いずれにせよ,原告の自由かつ自主的な判断に基づき 締結されたものであると認められる。同合意に関し,被告セコマらに,原告の経営難等に乗じた,あるいはこれを利用して強制したといった主観的悪性は認められない。以上によれば,同合意が被告セコマらによる暴利行為ないし取引上の優越的地位の濫用に当たるとはいえない。また,同合意の負担の程度,経済合理性の有無,合意 に至る経緯等についてみても,同合意が,下請法の趣旨に照らし公序良俗に違反すると認められるだけの不当性の強い事情はうかがえない。 したがって,本件の販促協力金の支払合意は公序良俗に反するものではなく,私法上有効であり,有効な合意に基づき販 の趣旨に照らし公序良俗に違反すると認められるだけの不当性の強い事情はうかがえない。 したがって,本件の販促協力金の支払合意は公序良俗に反するものではなく,私法上有効であり,有効な合意に基づき販促協力金の 支払を受けることは,不法行為法上違法ではなく,不当利得にも当たらない。 そうすると,その余の点を検討するまでもなく,販促協力金に係る原告の請求は認められない。 3 運送費に係る請求について H会社取引において,当初原告工場渡しとされていたものが,平成16年6 月頃からH会社工場渡しに変更されたのは,原告が従前,運送費用等を製造原価に加算していたことが問題視され,これを受けて,原告がH会社と協議を行った上で合意した結果である(認定事実⑷イ,ウ)。 そして,被告フーズは,原告の委託を受けて,他の運送業者に再委託した上で,運送業務を実施していた(同オ。なお,被告フーズが原告に請求した運送 費用が,不当に高額であるなどと認めるに足りる的確な証拠はない。)。 以上によれば,その余の点を検討するまでもなく,被告フーズが原告から上記運送業務の委託を受けて,その対価として運送費の支払を受けたことが,原告に対する関係で不法行為又は不当利得を構成するものということはできない。 運送費に係る原告の請求は認められない。 第4 結論よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官 髙木勝己 裁判官 股直子 裁判官 坂本桃 勝己 裁判官 股直子 裁判官 坂本桃

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