平成13(ネ)124 入会権確認等本訴・共有持分権確認反訴請求各控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成15年5月20日 広島高等裁判所 広島地方裁判所 平成10(ワ)733
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判決文本文17,464 文字)

主文 1 原判決中,被控訴人(附帯控訴人)A1及び原審本訴原告亡C1に係る部分をいずれも取り消す。 2 被控訴人(附帯控訴人)A1及び同A2(原審本訴原告亡C1訴訟承継人)の入会権に基づく使用収益権を有することの確認を求める訴えをいずれも却下する。 3 被控訴人(附帯控訴人)A1及び同A2(原審本訴原告亡C1訴訟承継人)の損害賠償請求をいずれも棄却する。 4 控訴人(附帯被控訴人)らのその余の本件控訴を棄却する。 5 本件附帯控訴に基づき,原判決主文第4項を次のとおり変更する。 控訴人(附帯被控訴人)らは,被控訴人(附帯控訴人)ら各自に対し,連帯して,金585万6311円及び内金423万6656円に対し平成4年8月4日から,内金16万5000円に対し平成7年1月19日から,内金70万円に対し平成8年8月16日から,内金28万2000円に対し平成9年1月23日から,内金35万円に対し平成9年9月27日から,内金12万2655円に対し平成12年9月13日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 訴訟費用は,第1,2審を通じ,被控訴人(附帯控訴人)A1及び同A2(原審本訴原告亡C1訴訟承継人)と控訴人(附帯被控訴人)らとの間においては同被控訴人(附帯控訴人)らの,その余の被控訴人(附帯控訴人)らと控訴人(附帯被控訴人)らとの間においては控訴人(附帯被控訴人)らの,各負担とする。 7 この判決は,第5項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(附帯被控訴人。以下「控訴人」という。)ら(1) 原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。 (2) 被控訴人(附帯控訴人。以下「被控訴人」という 実及び理由第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(附帯被控訴人。以下「控訴人」という。)ら(1) 原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。 (2) 被控訴人(附帯控訴人。以下「被控訴人」という。)らの請求をいずれも棄却する。 (3) 控訴人らと被控訴人らの間で,原判決別紙物件目録記載の各土地(以下,同各土地を併せて「本件各土地」といい,個別的には同目録1記載の土地を「本件山林」,同目録2記載の土地を「本件墓地」,同目録3記載の土地を「本件火葬場」という。)について,控訴人らがそれぞれ13分の1の共有持分権を有することを確認する。 (4) 被控訴人らの本件附帯控訴をいずれも棄却する。 2 被控訴人ら(1) 被控訴人らは,控訴人ら各自に対し,連帯して,585万6311円及び内423万6656円に対し平成4年8月4日から,内16万5000円に対し平成7年1月19日から,内70万円に対し平成8年8月16日から,内28万2000円に対し平成9年1月23日から,内35万円に対し平成9年9月27日から,内12万2655円に対し平成12年9月13日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(なお,被控訴人らは,当審において,前記423万6656円及びこれに対する平成4年8月4日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を超えて支払を求める部分について請求を拡張した。)。 (2) 控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は,登記簿上控訴人らの先代等を含む13名の共有名義とされている本件各土地に関する訴訟であり,被控訴人らの控訴人らに対する本訴請求は,被控訴人らが本件各土地について共有の性質を有する入会権を有すると主張して入会権に基づく使用収益権の確認を求めるとともに,本件各土地からの収益金に係る預 あり,被控訴人らの控訴人らに対する本訴請求は,被控訴人らが本件各土地について共有の性質を有する入会権を有すると主張して入会権に基づく使用収益権の確認を求めるとともに,本件各土地からの収益金に係る預金(本件預金)口座から控訴人ら(控訴人B1並びにC2及び同人の承継人である控訴人B2。以下,控訴人らという場合は,前記3名を含むこともある。)が無断で現金を引き出して着服したのは,入会権者である被控訴人らの総有に帰属する預金に対する侵奪行為であって,被控訴人らに対する不法行為に当たるとして,総有財産に対する保存行為として,不法行為に基づく損害賠償(585万6311円及び内423万6656円に対し不法行為の日の翌日である〔以下同様〕平成4年8月4日から,内16万5000円に対し平成7年1月19日から,内70万円に対し平成8年8月16日から,内28万2000円に対し平成9年1月23日から,内35万円に対し平成9年9月27日から,内12万2655円に対し平成12年9月13日から,各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金)の連帯支払を求めたもの(被控訴人らの請求権は連帯債権)であり,控訴人らの被控訴人らに対する反訴請求は,控訴人らが本件各土地について各13分の1の共有持分権を有することの確認を求めた事案である。 その余の事案の概要は,次のとおり補正するほか,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」欄記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決4頁下から3行目の「原告住民ら」を「被控訴人ら(被控訴人A1及び同A2を除く。)」に改める。 (2) 5頁11行目末尾の次に「さらに控訴人らは,平成7年1月18日16万5000円,平成8年8月15日70万円,平成9年1月22日28万2000円,同年9月26日35万円,平成12 改める。 (2) 5頁11行目末尾の次に「さらに控訴人らは,平成7年1月18日16万5000円,平成8年8月15日70万円,平成9年1月22日28万2000円,同年9月26日35万円,平成12年9月12日12万2655円を本件預金からそれぞれ引き出した。被控訴人らは,本件控訴提起後に同事実を知った。(弁論の全趣旨)」 2 原審は,原審本訴原告・反訴被告C3については,既に死亡してその権利の承継者の存在も認められないから当事者適格を欠くとして,同人の本訴請求及び同人に対する反訴請求のいずれをも却下し,原審本訴原告a部落会の損害賠償請求については,同部落会の社団性は認められるとしたものの,控訴人らに対する損害賠償請求権は被控訴人ら及び控訴人らの総有に属するものであり,被控訴人らのみの合意で同請求権を同部落会に譲渡することはできないとして,これを棄却し,その余の原審本訴原告らの共有の性質を有する入会権に基づく使用収益権の確認,不法行為に基づく損害賠償の各請求はいずれも認容し,控訴人ら(原審反訴原告ら)の各13分の1の共有持分権を有することの確認請求はいずれも棄却した。 控訴人らはこれを不服として本件控訴を提起し,被控訴人らは原判決言渡し後,新たに控訴人らの不法行為(本件預金の引出し及び着服)が判明したとして,附帯控訴を提起し,423万6656円及びこれに対する平成4年8月4日から支払済みまでの遅延損害金を超えて支払を求める部分について請求を拡張した(なお,前記C3及びa部落会は控訴を提起していないし,同人らに対しては控訴人らも控訴をしていない。また,当審において,原審本訴原告C1及び同C4が死亡し,それぞれ被控訴人A2,同A3が訴訟手続を承継した。)。 3 当審における争点は,①本件各土地について共有の性質を有する入会権が認めら ない。また,当審において,原審本訴原告C1及び同C4が死亡し,それぞれ被控訴人A2,同A3が訴訟手続を承継した。)。 3 当審における争点は,①本件各土地について共有の性質を有する入会権が認められるかどうか,②控訴人らのした本件預金からの引出行為が不法行為に当たるかどうか及び当たるとしてその損害額はいくらであるか,に加え,③被控訴人A1及び同A2に当事者適格が認められるか,であるところ,争点③についての当事者双方の主張は次のとおりである。 (1) 控訴人ら被控訴人A1及び同A2(以下「被控訴人A1ら」という。)は,部落(a部落)に居住しておらず,また,部落には転出者にも権利を認めるといった慣習もないから,被控訴人A1らは当事者適格に欠ける。 (2) 被控訴人ら被控訴人A1らは,仕事の都合で一時的に部落外に居住しているにすぎず,部落内に家屋敷や田畑を所有し,講中の付合いを継続している。社会状況の変化に従い仕事の都合で一時的に部落外に居住する者が出てきているが,その場合でも,部落内に家屋敷や田畑を所有し,講中の付合いを継続していれば,従前どおりの権利を認めてきたのであるから,被控訴人A1らは当事者適格を有するというべきである。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,①本件各土地については講中の構成員による共有の性質を有する入会権が成立している,②したがって,控訴人らの共有持分権を認めることはできない,③本件各土地の使用収益の対価である本件預金は同土地の入会権者の総有に帰属するものであるから,控訴人らがした本件預金の引出しは同入会権者に対する不法行為に当たり,したがって,入会権者である被控訴人らは,総有財産に関する保存行為として,控訴人らに対し,それぞれ個別的に前記不法行為に基づく損害賠償を求めることができる,④ は同入会権者に対する不法行為に当たり,したがって,入会権者である被控訴人らは,総有財産に関する保存行為として,控訴人らに対し,それぞれ個別的に前記不法行為に基づく損害賠償を求めることができる,④被控訴人A1らには当事者適格を認めることはできない,以上のとおり判断する。その理由は,次のとおりである。 1 争点①(共有の性質を有する入会権の存否)について(1) 証拠(甲1ないし4,6,20ないし23,25,26,29,31ないし33,37ないし40,42ないし53,55ないし59,61の1,2,乙1の1ないし3,乙4,18,22,23,38,39,いずれも原審における証人C5,被控訴人A4,同A5及び控訴人B1各本人)並びに弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められ,同証拠中これに反する部分は採用しない。 ア本件各土地一帯の山林は,藩政時代「御建山」,「御留山」,「野山」,「御藪所」,「腰林」及び「宮山」という風に,所有者や用途によって種目を区別して管理されていたところ,本件各土地は,「野山」と定められた「東西3丁南北25丁」に及ぶa山の一部であった。「野山」とは,例えば,「御建山」が藩有で藩が管理・経営する山であるのに対し,村が管理・経営する山林であり,村民が牛馬の飼料や肥草などを採取しており,村民共同のものや他村共同の各入会山があった。また,「野山」には薪山,薪草山と呼ばれるような薪炭採取のための入会山もあった。明治22年に町村制が施行されると,これらの各村公有林はその大部分が民間に分譲された。 イ本件各土地は,旧土地台帳によると,その地目欄に,本件山林は山林及び薪炭山と,本件墓地は墳墓地及び墓地とそれぞれ記載され,本件火葬場は雑種地,山林,薪炭山から雑種地,火葬場に地目変更されて記載されており,また,表題部の所有 よると,その地目欄に,本件山林は山林及び薪炭山と,本件墓地は墳墓地及び墓地とそれぞれ記載され,本件火葬場は雑種地,山林,薪炭山から雑種地,火葬場に地目変更されて記載されており,また,表題部の所有者の氏名欄にはC6ほか12名と記載されている。本件各土地の登記簿には表題部のみしかなく,所有者欄にはC6,C7,C8,C9,C10(「C11」の誤記と思われる。),C12,C13,C14,C15,C16,C17,C18,C19の持分各13分の1と記載されている。被控訴人らの居住するa部落において,町村制の施行に伴い民間に払い下げられた土地で,当時,本件各土地のように所有者が複数とされた土地は他にはない。 ウ本件各土地の来歴について,C6の子孫に当たる証人C5は,C6が裁判をして村を相手に訴訟を起こして取り戻したこと,土地を取り戻そうとしたのは火葬場を作るためであったこと,その後間もなくa部落に男児が誕生することを願って本件山林に琴平宮(「金比羅宮」ともいう。以下「琴平宮」という。)が建立されたことなどを祖父のC20(C6の孫)から聞かされていた。なお,火葬場及び墓地が設置され,琴平宮が建立された正確な時期は不明であるが,概ね明治30年前後である。 エ a部落の住民は,本件山林を「宮の山」,「部落の山」,「aの山」などと呼んでおり,本件各土地が昭和48年にゴルフ場として開発されて賃貸される以前には,本件山林の木を伐採したり,下草を苅ったり,植林をしたりして管理してきた。a部落の住民は,本件山林で伐採した生木で割木を作り,部落民が亡くなった際に本件火葬場で遺体を荼毘に付すために使用し,あるいは,川が氾濫して洪水になった際に護岸補強用の杭としても使用するなどしていた。また,同住民は,昭和2年には,a部落に電気を通すために必要な工事費用に に本件火葬場で遺体を荼毘に付すために使用し,あるいは,川が氾濫して洪水になった際に護岸補強用の杭としても使用するなどしていた。また,同住民は,昭和2年には,a部落に電気を通すために必要な工事費用に充てるために本件山林の木を伐採して売り,昭和36年の道路工事の際にも,本件山林の伐木を売って工事費用に充てた。本件山林では,昭和25年ころから昭和30年ころまでの間は控訴人B1が,その後も数年間は他の部落民がそれぞれ独占的に松茸を採取して,その対価を支払っていたことがあったが,それを除けば,部落民は誰でも自由に松茸を採取することができた。この間,昭和23年ころには琴平宮が本件山林から別の場所に移転し,昭和41年にはb町に火葬場ができたことから本件火葬場が廃止された。その後は,火葬のために本件山林の伐木を使用することもなくなり,また,護岸の管理も国と市が行うようになったため,本件山林の伐木を護岸補強の杭として使用することもなくなった。本件墓地は,部落民の墓地ではなく,無縁仏などの墓地として利用されていたが,ゴルフ場開発に伴い撤去された。昭和48年に本件各土地がゴルフ場として開発された後は,a部落の住民が本件各土地を直接利用することはなくなったが,ゴルフ場を経営する東広島ゴルフに賃貸し,賃料を取得している。 オ a部落には以前から「講中」と呼ばれる組織が存在しており,講中頭を中心に部落内の葬式を行うなどし,また,持ち回りで決められていた当家あるいは当番が,琴平宮に関する金銭管理や祭礼準備等を行っていた。講中では,山林の伐採,松茸の入札等の重要事項や下草苅りなどの1年間の行事予定などについて,毎年「十七夜」と呼ばれる宮島の管弦祭の日に構成員が出席して会合を持って決めていた。かつて,講中はa部落の全戸で構成され,戦前から戦後間もなくまでは講中 下草苅りなどの1年間の行事予定などについて,毎年「十七夜」と呼ばれる宮島の管弦祭の日に構成員が出席して会合を持って決めていた。かつて,講中はa部落の全戸で構成され,戦前から戦後間もなくまでは講中頭が行政上のa部落の部落長も兼任していたが,その後部落長は持ち回りとなった。a部落では,新たに講中の構成員となることを「講中入り」と呼んでおり,明治の終わりころ講中入りするには,本家の場合2斗5升(戦後は2斗),分家は1斗の米を物納しなければならず,部落から転出すると,講中の構成員としての権利行使はできなくなるとされていた(もっとも,部落に戻って再度講中の構成員となる際は物納の必要はなかった。)。しかし,戦後間もなくを最後に講中入りする者はなくなり,昭和40年代にa部落に転入した2世帯も講中入りはしていない。また,a部落は川を挟んで上aと下aに分かれているところ,かつては,葬式を出すのに人手が必要であったことから,上と下との両方から人を出して葬式をしていたが,部落民の手で遺体を荼毘に付す等のこともしなくなり,人手も必要ではなくなったことから,平成4年ころから葬式に関しては,上と下とが別々に行うようになった。なお,現在のa地区は,行政上1ないし4班に分けられ,区長(ないし部落長)及び各班長が持ち回りで決められている。 カ a部落に現存する金銭出納帳(甲39)には,昭和39年以降の記載があり,その中には,「川切り」と呼ばれる川の清掃に要した費用の支出を初めとし,部落全体の行事に関する収支状況や各年度の役員氏名が記載されているが,昭和55年から昭和63年までの宮の当家(「とうや」と記載されている。)ないし当番の氏名,昭和39年に宮の山の手入れをした際に要した費用,昭和36年に本件山林に植林をした際に要した費用,昭和48年4月21日に東広島ゴルフ 年までの宮の当家(「とうや」と記載されている。)ないし当番の氏名,昭和39年に宮の山の手入れをした際に要した費用,昭和36年に本件山林に植林をした際に要した費用,昭和48年4月21日に東広島ゴルフから受領した賃料の記載のほか,琴平宮の賽銭による収入や祭礼に関する費用,琴平宮の印鑑製作に要した費用等の記載もある。しかし,昭和49年以降ゴルフ場や宮の山関連の収支に関する記載はなくなり,別に琴平宮の収支報告書が作成されるようになり,昭和57年度に関しては,控訴人B1が当番として,東広島ゴルフからの賃料や,琴平宮の賽銭による収入,祭礼に要した費用等の記載をしている。 キ控訴人B1は,本件各土地を含む一帯を東広島ゴルフが開発することについて,当初出水のおそれがあるとして反対していたが,昭和48年4月10日ころまでには,東広島ゴルフとの間で災害防止措置についての合意が概ねまとまったことからゴルフ場の開発に同意し,同年5月10日付けでこれに関する覚書を東広島ゴルフとの間で作成した経緯がある。また,控訴人B1は,昭和49年終わりころから本件各土地に共有持分を有しているとの認識を持つようになり,昭和52年ころからは被控訴人らに対しても本件各土地の所有権(共有持分権)を主張するようになった。 (2) 前記(1)の認定事実に基づき,争点①につき検討するに,(1)アのとおり,藩政時代,本件各土地は「野山」に区分され,旧土地台帳には本件山林及び本件火葬場の地目に「薪炭山」との記載があることからすると,本件各土地は当時入会地であったものと認められる。このような土地は明治時代になり町村制が施行されるのに伴い民間に払い下げられたのであるが(前記(1)ア),本件各土地に関しては旧土地台帳及び登記簿をみても表題部しかなく甲区欄の記載がないため(前記(1)イ) 土地は明治時代になり町村制が施行されるのに伴い民間に払い下げられたのであるが(前記(1)ア),本件各土地に関しては旧土地台帳及び登記簿をみても表題部しかなく甲区欄の記載がないため(前記(1)イ),所有権移転の経緯は判然としない。しかし,明治時代の町村制施行後の本件各土地の利用状況をみると,本件火葬場には火葬場が設置され,宮の山には琴平宮が建立され,本件墓地には無縁仏の墓地が設置される(前記(1)ウ)など,a部落の,いわば公共の施設用地として利用されてきたほか,本件山林の伐木は,部落民の火葬や川の護岸補強のために使用されただけでなく,部落内での道路開設資金捻出のために売却され,さらに,部落民は原則として自由に本件山林に入り松茸を採取することができた一方,本件山林の下草刈りや植林といった管理も行ってきた(前記(1)エ)。このような本件各土地の長年にわたる使用状況に照らせば,本件各土地は,藩政時代から引き続き入会地としてa部落の住民により使用,収益,管理されてきた実態があったというべきである。また,本件各土地に対する使用,収益及び管理等に関しては,a部落に古くから存在し葬儀等を行う組織であった講中の会合で決められ,資格要件を充たして講中入りした構成員(a部落に居住する世帯の世帯主で,規定量の米を物納した者)が,それに従って本件各土地に対する権利を行使できるものとされていた(前記(1)オ)のであって,講中の構成員による本件各土地に対する使用収益は入会権の性質を有するものであったというべきであり,この実態は現在も続いていると認められる。そして,b町史が発行された昭和45年当時,既に共有名義人13名のうち7名がa部落から転出していた(甲27,28)が,これらの者が,部落から転出する際,あるいはそれ以降に本件各土地に対する権利を主張した形跡がない 発行された昭和45年当時,既に共有名義人13名のうち7名がa部落から転出していた(甲27,28)が,これらの者が,部落から転出する際,あるいはそれ以降に本件各土地に対する権利を主張した形跡がないことからすると,共有名義人らにおいて本件各土地を所有しているとの認識はなく,本件各土地の旧土地台帳及び登記簿上他に例のない13名が共有名義人とされている(前記(1)イ)のは,本件各土地が共有の性質を有する入会地であることを示すために13名が講中を代表する趣旨のものであったと推認することができる。もっとも,本件各土地を東広島ゴルフに賃貸するようになった昭和48年以降,講中の構成員が本件各土地を直接使用することはなくなったし,かつてはa部落に居住する全戸の世帯主が講中の構成員であったのが,昭和40年代半ばころからはa部落に居住しながら講中入りしない者も現れ,さらに平成4年には葬式の関係では講中が分裂する(前記(1)エ,オ)など,講中の構成員による本件各土地の利用形態がいわゆる直轄利用形態から契約利用形態に移行し,講中の性質も変容してきたことは否定できない。しかし,現在でもa部落に居住する世帯中控訴人らを含む19戸の世帯主が講中の構成員であり(前記(1)オ。なお,後記3のとおり,被控訴人A1らは講中の構成員と認めることはできないので除く。 また,a部落で現在講中入りしていないのは2戸程度の世帯主である。),講中頭も決められており,毎年十七夜の会合において意思決定をし,葬式を行うほか,本件紛争が生じるまで東広島ゴルフに本件各土地を賃貸して得た収入から琴平宮の祭礼等の費用を支出してこれを当番ないし当家が管理してきた(前記(1)エ,オ,弁論の全趣旨)ことからすると,現在もなお,講中の構成員による本件土地の使用収益権は入会団体である講中の共同体的統制の下にあ 礼等の費用を支出してこれを当番ないし当家が管理してきた(前記(1)エ,オ,弁論の全趣旨)ことからすると,現在もなお,講中の構成員による本件土地の使用収益権は入会団体である講中の共同体的統制の下にあって存続していると認められ,いまだ同土地に対する入会権が消滅したものということはできない。 (3) これに対し,控訴人らは,①本件各土地がC6ほか12名の共有名義となった当時,a部落には少なくとも16世帯が居住していたにもかかわらず,3世帯のみが共有名義人となっていないのは,本件各土地がまさにC6ほか12名の共有となったからである,②本件各土地が共有名義人の所有に属することは被控訴人らも認めていた,③講中は,葬式のみを行う組織であって本件各土地の使用収益について共同体的統制を行ってきたことはない,④本件各土地が「宮の山」,「部落の山」,「aの山」と呼ばれたことはなく,また,講中の構成員が本件山林の下草刈りや植林をするなどの山の手入れをしたことはない,⑤本件山林の伐木を売却して道路開設費用に充てたのは共有権者の寄付によるものである,⑥本件山林の松茸採取はa部落の住民であれば誰でも自由であり,講中の構成員のみが行えるというものではない,⑦被控訴人A6,同A7,同A8,同A9,同A5,同A10,同A11,C1は講中を脱退したから権利の行使はできない,などと主張する。 しかし,①については,控訴人B1が共有名義人13名以外に当時a部落に居住していたと主張するのは3名であり,同控訴人の主張によっても当時のa部落居住者のほとんどが共有名義人となっていることは明らかであるし,当時このような土地はa部落では他になかったのである(前記(1)イ)。ところで,控訴人B1の主張する3名のうち,C21についての根拠は除籍謄本(乙27の1,2)のみであり,本件 とは明らかであるし,当時このような土地はa部落では他になかったのである(前記(1)イ)。ところで,控訴人B1の主張する3名のうち,C21についての根拠は除籍謄本(乙27の1,2)のみであり,本件各土地が共有名義とされた当時,実際にa部落に居住していたものと直ちに認めるのは困難である。C22及びC23は,除籍謄本(乙25,26)によれば,いずれも分家であることが認められるところ,たとえ同人らが当時a部落に居住していたとしても,共有名義人のうちC6,C16,C11,C17,C13,C19が本家であること(甲27。他の7名は転出して不明である。)に照らすと,いわゆる本家のみを代表として共有名義人に名を連ねた可能性も高い。このようなことからすると,本件各土地が旧土地台帳及び登記簿上共有名義となっていることのみでは,共有名義人のみが本件各土地を所有しているものと認めることはできない。②については,控訴人らの主張の根拠とするところは「覚書」と題する書面(乙3)であるが,そもそも同書面記載のように土地の所有権を多数決により決するということ自体不可解というほかない上,同書面の記載内容もまことに不明瞭であって,被控訴人らが本件各土地を共有名義人の所有であることに同意していたなどとは到底認めることができない。③については,控訴人B1自身が昭和57年度当番として琴平宮の収支報告書を作成していること,a部落の金銭出納帳に行政上のa部落の役職とは別の宮の当家の氏名の記載があること(前記(1)カ),講中に当家ないし当番という役職がおかれていたことは控訴人B1も認めていること(原審における控訴人B1本人),などの諸事情に照らすと,講中が琴平宮の管理をしていたことは明らかであり,葬式を行うためだけの組織であったとする控訴人B1の主張は到底採用することができない。④ こと(原審における控訴人B1本人),などの諸事情に照らすと,講中が琴平宮の管理をしていたことは明らかであり,葬式を行うためだけの組織であったとする控訴人B1の主張は到底採用することができない。④については,本件各土地を含む一帯が「a山」と呼ばれていたことはb町史(甲26)から明らかであること,a部落の金銭出納帳(甲39)にも「宮山の手入れ」と記載され,本件各土地の所有権に関する講中の構成員による話合いの議事録表題にも「a部落の山」との文言が使用されていること(甲11,13)に照らし,本件各土地の呼称に関する前記認定を覆すことはできない。また,山の手入れや植林に関しては,金銭出納帳(甲39)の記載及び東広島ゴルフが本件各土地の賃借に当たって,本件各土地上に存した人工木その他の立木について補償金を支払ったこと(甲61の1,2)に照らし,この点に関する前記認定を覆すことはできず,控訴人らの主張は採用することができない。⑤については,控訴人ら主張のように本件山林の伐木売却代金を寄付したことを認めるに足りる証拠はないのみならず,控訴人B1が認めた本件山林での松茸採取は部落民であれば自由に行うことができる事柄であり,しかも同控訴人は独占的に採取していた期間中その対価を支払っていたこと及び本件各土地の所有権を同控訴人が主張し始めたのは昭和52年ころ以降であることに照らすと,そのころまで控訴人らが本件各土地の共有者として行動したことはなかったというべきであって,伐木売却代金を寄付するといった共有者としての行為をしたとは認め難い。⑥については,昭和40年代半ば以降はa部落民であっても講中入りしない者がおり,行政上のa部落民と講中の構成員は必ずしも同一でなくなったことは前記(1)オのとおりであるが,そのころまではa部落民と講中の構成員とは完全に同一であ ば以降はa部落民であっても講中入りしない者がおり,行政上のa部落民と講中の構成員は必ずしも同一でなくなったことは前記(1)オのとおりであるが,そのころまではa部落民と講中の構成員とは完全に同一であって,部落長と講中頭は兼任であった時期も長かったこと(前記(1)オ),a部落の金銭出納帳(甲39)にしても,行政上の部落の収支,講中の収支の記載が混在していることなどからすると,部落に居住する住民の間では,最近になるまで行政上の部落と講中とを明確に区別していなかったというべきであり,松茸採取がa部落民であれば自由に行うことができる事柄であるというのも,講中の構成員が権利行使できるということと同義であったというにすぎないのであって,控訴人B1の主張は採用することができない。⑦については,控訴人らがその主張の根拠とする「脱退届」と題する平成4年5月16日付け書面(乙22)の表題,「講中を脱退致します。」との記載からすると,確かに控訴人ら主張のとおりとみる余地もないではないが,脱退の理由として,葬式に手伝いが少なくてすむようになった旨記載されていること,「a上・1班・2班を建前に」脱退する旨記載されていること及び同書面作成後の平成4年7月16日の十七夜の寄り(講中の会合)に同書面作成者である被控訴人A4の妻C24,同A11の妻C5が出席していること(甲22,いずれも原審における証人C5,控訴人A4本人)などからすると,葬式に関しては講中は2つのグループに分かれたが,講中を脱退したわけでないとのいずれも原審における証人C5の証言及び控訴人A5本人の供述は信用することができ,乙22をもってしても前記認定を覆し,控訴人らの主張を認めるに足りないというべきである。 2 争点②(不法行為の成否及び損害額)について入会権者が入会地に関し入会権の内容で することができ,乙22をもってしても前記認定を覆し,控訴人らの主張を認めるに足りないというべきである。 2 争点②(不法行為の成否及び損害額)について入会権者が入会地に関し入会権の内容である使用収益を行う権能は,入会団体の構成員たる資格に基づいて個別的に認められる権能であって,入会権そのものについての管理処分の権能とは異なり,各自が単独で行使することができるものであるから,同使用収益権を争い又はその行使を妨害する者がある場合には,その者が入会部落の構成員であるかどうかを問わず,入会権者各自が単独で,その者(争う者)を相手方として自己の使用収益権の確認又は妨害排除(並びに妨害によって被った損害の賠償)を請求することができるものと解するのが相当である(最高裁判所昭和57年7月1日第1小法廷判決・民集36巻6号891頁参照)。 これを本件についてみると,本件預金は,講中の構成員の合意に基づき東広島ゴルフに対する賃貸という形式をとって入会地である本件各土地を使用していることによる収益,すなわち入会権者各自の入会地に対する使用収益権の対価であるというべきであり,それは,講中の構成員が合意した使途に充てる場合にのみ引き出されるべきものとされてこれまでもそのように取り扱われてきており,講中の構成員が自由に引き出したり使用したりすることはできないものである(甲25,いずれも原審における証人C5,被控訴人A4及び同A5各本人並びに弁論の全趣旨)。このように,本件預金は入会権者全員の総有に帰属する財産と認められるところ,控訴人らは前記手続を経ないで他の構成員に無断で本件預金を引き出したのであるから,その使途にかかわらず,控訴人らには,引出しの時点で,被控訴人ら他の入会権者(講中の構成員)に対する関係で共同不法行為が成立するものというべきで 他の構成員に無断で本件預金を引き出したのであるから,その使途にかかわらず,控訴人らには,引出しの時点で,被控訴人ら他の入会権者(講中の構成員)に対する関係で共同不法行為が成立するものというべきである(なお,控訴人らは,自分たちが本件各土地の共有権者であると過失なく信じていたから不法行為は成立しない旨主張するが,当時既に本件各土地の所有権の帰属等について控訴人らと被控訴人らとの間で紛争が生じていたのであるから,控訴人らに過失がなかったとはいえない。)。 したがって,講中の構成員であって本件各土地についての入会権者である被控訴人(不真正連帯債権)らは,控訴人ら(不真正連帯債務)に対し,本件預金からの引出金額及びこれに対する各引出し日(不法行為の日)の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の損害賠償請求ができるというべきである(控訴人らのした本件不法行為は,本件各土地についての総有に帰属する財産である本件預金に対する侵害行為であり,しかも,本件預金は,入会権者各自の個別的使用収益権の対価と認められるのであるから,被控訴人らは,個別的使用収益権に由来する排除請求権及び同侵害によって被った損害の賠償請求権に基づき,それぞれが,講中のために本件引出金額の全額について,控訴人らに対してその連帯支払を求めることができると解される。なお,後記3のとおり,被控訴人A1は,遅くとも昭和60年には入会権者としての資格を喪失したと認められるから,それ以後に発生した控訴人らによる本件不法行為に関する損害賠償請求権を認めることはできないし,また,被控訴人A2は,C1の訴訟承継人ではあるが,本件損害賠償請求権は,入会権者らに総有的に帰属する本件預金の取戻しの性格を実質的には有するものであるから,同人が入会権者としての資格を有しない者である以上 控訴人A2は,C1の訴訟承継人ではあるが,本件損害賠償請求権は,入会権者らに総有的に帰属する本件預金の取戻しの性格を実質的には有するものであるから,同人が入会権者としての資格を有しない者である以上,同人に同請求権を認めることはできないと解するのが相当である。)。 3 争点③(被控訴人A1らの当事者適格)について(1) 入会権は慣習上の権利であり,その内容は,多くの場合部落の者が生活の必要に応じて使用収益し,その管理等のために義務をも負担するというものであること,入会権の性質は総有であって,各入会権者の具体的な共有持分は認められないことなどから,部落から転出した者が入会地に対する権利を喪失することは,多くの部落の慣習としてみられるところである。もっとも当該入会権の得喪に関し,別途入会慣行があればそれに従うものと解する余地もなくはない。この点に関し,被控訴人らは,本件において,被控訴人A1らのように仕事の都合で一時的に部落外に居住していても,部落内に家屋敷や田畑を所有し,講中の付合いを継続してきた場合には従前どおりの権利を認めてきた旨主張する。 しかし,前記1(1)オのとおり,a部落においては,講中入りするには米を物納しなければならないこと,部落から転出すれば権利を喪失すること,しかし再度転入した場合は米の物納をすることなく権利の行使ができることなど転出・転入に関する明確な慣行があったところ,このような慣行が変更されたような事情は見当たらず,過去において,被控訴人A1らのほかa部落に居住せずに権利を行使していた者がいたことを認めるに足りる証拠もない。しかも,被控訴人A1については,養母が昭和54年7月7日,a部落に居住していた実父C25が昭和56年3月8日にそれぞれ死亡しており(甲83),本件の入会の長い歴史に照らせば,これ りる証拠もない。しかも,被控訴人A1については,養母が昭和54年7月7日,a部落に居住していた実父C25が昭和56年3月8日にそれぞれ死亡しており(甲83),本件の入会の長い歴史に照らせば,これらの出来事はごく最近のことにすぎない。これらのことからすると,a部落の講中において,転出者に権利の行使を認めるような慣習があるとは認め難く,むしろ,転出に伴い入会地に対する権利を喪失する慣習があり,その慣習は変更されるに至っていないものというべきである。 (2) もっとも,一時的に部落外に居住しているとの事実のみをもって直ちに部落からの転出とみるのは相当でなく,a部落の講中における入会権の内容,部落外居住者の権利行使及び義務履行の態様等の諸事情を考慮し,もはや部落内に居住する者とみるのが困難な場合に転出により権利を喪失したものと認めるのが相当である。 ア被控訴人A1について証拠(甲70ないし81,83,乙37)並びに弁論の全趣旨によれば,被控訴人A1は,昭和56年3月8日に実父C25が死亡した後,秋ころから広島市c区に居住するようになったが,C25のしていた農業を引き継いで行い,家屋敷の管理もしていたこと,しかし,昭和60年に結婚して広島市d区に住民票を移して居住するようになり,農業も継続的に行うようなことはなくなったこと,平成3年3月妻の両親と同居するためf郡e町に転居し以来同所に居住していること,部落内の冠婚葬祭のうち,葬儀を除いては出席することはなく葬儀も部落に居住する叔母(C1)から連絡があれば参加する程度であること,部落内に田畑及び両親の居住していた家屋を所有しているが,家屋は空き家であり管理も十分でなく居住の用をなしていないこと,部落内には妹がいるが近所の長男に嫁いでおりC25の跡を継ぐつもりはないこと,いず 内に田畑及び両親の居住していた家屋を所有しているが,家屋は空き家であり管理も十分でなく居住の用をなしていないこと,部落内には妹がいるが近所の長男に嫁いでおりC25の跡を継ぐつもりはないこと,いずれは家屋を改築し,帰郷するつもりであることなどが認められる。以上によれば,被控訴人A1は,a部落に居住しなくなってから20年以上も経過し,両親の居宅も現在では空き家のまま放置されており,親族も嫁いだ妹がいる程度で,いわゆる講中の付合いにしても葬儀に出席することがあるといった程度のものであり,葬儀の手伝いをしたり講中の意思決定に関与するなどのこともなく,農業も継続的に行ってはいないなど,a部落における生活実態がないだけでなく,a部落の講中の構成員としての権利行使や義務履行をほとんどしていないというほかはないから,米作を行う年があり,将来は帰郷するつもりがあることを考慮しても,遅くとも住民票を異動した昭和60年にはa部落から転出したものと認めるのが相当である。 イ被控訴人A2について証拠(甲63ないし75,82,89,93,乙36)並びに弁論の全趣旨によれば,被控訴人A2は,昭和15年3月10日,C26とC1夫婦の二男として出生し,広島大学に入学し3年生まではa部落に居住していたところ,大学卒業後日立製作所呉工場(現バブコック日立)に入社し,以来呉市に居住するようになったが,昭和53年広島市f区に転居し現在に至っていること,a部落には実家と田畑があるが,C26の死後田は減反政策に従って休耕田となっており,C1は生前畑作のみ行い,被控訴人A2が農繁期にはこれを手伝うこともあったこと,C1の死後実家は空き家となっていること,被控訴人A2には兄弟がいるが,長男は医師であり,三男は大阪に居住し,長女は嫁いでいることから,いずれもC1の A2が農繁期にはこれを手伝うこともあったこと,C1の死後実家は空き家となっていること,被控訴人A2には兄弟がいるが,長男は医師であり,三男は大阪に居住し,長女は嫁いでいることから,いずれもC1の跡を継ぐつもりはなく,部落内に居住する兄弟もいないこと,被控訴人A2は既に定年退職して無職であり,畑仕事のために部落に出かけることもあり,将来は帰郷するつもりであるが,都会暮らしに慣れた妻が部落に戻るのは難しいと考え当分はこのまま前記原住居地(広島市f区)に居住し続ける予定であることが認められる(なお,被控訴人A2の陳述書(甲82)には,C1が高齢となってからは講中の付合いは専ら自分がしていた旨の記載があり,甲14,15によれば,本件各山林をめぐる紛争についての話合いに出席したことは窺えるものの,講中の付合い全般にわたりC1に代わってしていたことの裏付けはなく,控訴人B1がこれを否定していることからすると,この点に関する陳述書の記載は採用できない。)。以上によれば,被控訴人A2は,a部落に居住しなくなって約40年も経過し,部落内に他の兄弟も居住しておらず,畑作を行うことはあったにしろ,定年退職後無職となった現在も帰郷していないのであって,講中の構成員としての権利行使や義務履行を行っていたということはできず,将来は帰郷するつもりがあることを考慮しても,a部落から転出したものと認めるのが相当である。 したがって,被控訴人A1らは,いずれも入会地に対する権利を有する者ではないから,共有の性質を有する入会権に基づく使用収益権を有することの確認を求める訴えの当事者適格を欠くのであって,同訴えは不適法であり,却下を免れない。 4 以上の次第で,被控訴人A1らを除く被控訴人らの共有の性質を有する使用収益権を有することの確認を求める部分及び控訴人ら 訴えの当事者適格を欠くのであって,同訴えは不適法であり,却下を免れない。 4 以上の次第で,被控訴人A1らを除く被控訴人らの共有の性質を有する使用収益権を有することの確認を求める部分及び控訴人らに対する損害賠償請求はいずれも理由があるから認容し,被控訴人A1らの前記確認を求める訴えは不適法であるから却下し,被控訴人A1らの損害賠償請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり,これらと異なる原判決は一部不当であるから変更することとする(なお,被控訴人A2の被承継人とされてきた原審本訴原告C1に係る分については,原審弁論終結時点における同人の請求はいずれも原判決認容のとおりであるが,同人の承継人とされてきた被控訴人A2には入会地に対する権利を認めることができず,実質的には前記C1を承継していないともいえるのであるから,結局,前記両名に係る分全体を取り消すのが相当である。)。 よって,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第2部裁判長裁判官鈴木敏之裁判官松井千鶴子裁判官工藤涼二

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