判決平成13年11月5日神戸地方裁判所平成12年(タ)第114号離婚等請求事件 主文 一原告と被告とを離婚する。 二被告は原告に対し,金900万円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 三原告と被告間の長女A(昭和60年11月11日出生)及び二女B(昭和62年8月25日出生)の親権者を,いずれも原告と定める。 四被告は原告に対し,長女A及び二女Bの養育費として,本判決確定の日の翌日から同人らが成人に達するまで,毎月末日限り,1か月あたり各金7万円の割合による金員を支払え。 五原告のその余の請求を棄却する。 六訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び争点第一申立一主文一項と同じ二被告は原告に対し,金2135万円及び内金1000万円に対する平成12年12月4日から,内金1135万円に対する本判決確定の日の翌日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 三主文三項と同じ四被告は原告に対し,長女Aの養育費として,平成12年2月から平成20年3月まで1か月金15万円の,二女Bの養育費として,平成12年2月から平成22年3月まで1か月金15万円の,各割合による金員を支払え。 第二事案の概要一証拠と弁論の全趣旨により容易に認定できる事実 1 原告と被告は,原告が学生時代に岡山で被告と知り合い,昭和59年11月14日に婚姻届出をした夫婦であり,両名間には長女A(昭和60年11月11日出生)と二女B(昭和62年8月25日出生)の2子がいる。 2 原告と被告は,婚姻後芦屋のマンションで生活してきたが,原告にとっては初めて暮らす土地であり,近所に友人や知人はいな 0年11月11日出生)と二女B(昭和62年8月25日出生)の2子がいる。 2 原告と被告は,婚姻後芦屋のマンションで生活してきたが,原告にとっては初めて暮らす土地であり,近所に友人や知人はいなかった。 3 原告は,二女を出産した後の昭和63年頃,うつ病という診断を受け,投薬治療を受けたが,薬を大量に服用して自殺未遂事件を起こしたことが2年間のうちに4,5回あった。平成元年にも自殺未遂事件を起こした。このころから,原告は,近くのカトリック教会に通うようになった。 4 平成5年冬,原告は,灯油缶とライターをもって近所の公園で焼身自殺を図ろうとしたが,中止した。平成6年3月頃にも,原告は,除草剤を飲んで自殺を図った。 5 平成8年4月8日頃,被告は,飲酒の上原告に暴力を振るった。 6 平成12年1月,原告は2子とともに自宅を出て,以後被告と別居したままである。 7 同年2月27日,被告は,義兄Cを通じて,原告の実家に原告名義の預貯金の払戻しを停止するよう指示した。同年3月1日頃には,被告は,垂水警察署に原告と2子の捜索願を提出した。 8 同年3月6日,被告はDを相手に,Dが原告と同性愛関係にあり,不貞行為にあたるとして,損害賠償を請求する訴訟(神戸地方裁判所平成12年(ワ)第497号)を提起し,同時に,Dがその夫と共有する自宅マンションの仮差押を申し立てた。同月10日,神戸地方裁判所は仮差押の決定をした。同訴訟について,同裁判所は,同年10月26日,被告の請求を棄却する判決を言い渡したが,被告は控訴を提起した。大阪高等裁判所は,平成13年3月23日,被告の控訴を棄却する判決を言い渡したが,被告は上告した。(甲14,25,乙8) 9 平成12年4月12日,原告が申し立てていた離婚調停が不成立となった。同月15日,被告 ,平成13年3月23日,被告の控訴を棄却する判決を言い渡したが,被告は上告した。(甲14,25,乙8) 9 平成12年4月12日,原告が申し立てていた離婚調停が不成立となった。同月15日,被告はCとともに原告の実家を訪れ,原告に離婚訴訟を提起させないよう訴えた。 10 同年5月16日,被告とCは兵庫県弁護士会に対し,原告代理人のE弁護士の懲戒を申し立てた。その理由は,同弁護士が,Dの訴訟代理人として,原告と被告間の夫婦関係を問題にしたことがプライバシーの侵害もしくは名誉毀損にあたるというものであった。同弁護士会は,同年11月17日,同弁護士を懲戒しないことを相当とするとの議決をしたが,被告らは,日本弁護士連合会に異議申出をした。同連合会は,平成13年3月13日,異議申出を棄却するのを相当とするとの議決をした。(甲21ないし24) 11 平成12年5月21日頃,原告が同月15日に自宅から家財道具,衣類等を持ち出したことについて,被告は,<A>警察署に窃盗の被害届を提出するとともに,原告らの捜索願を提出した。同年6月上旬,被告は,長女Aの通学する中学校の担当教師に対し,母親である原告が精神的に不安定であるので長女が心配であると伝えた。担任に呼ばれたAは,自分は被告との生活に戻りたくないと伝えた。 二争点に関する双方の主張 1 離婚原因(原告)被告は,結婚当初に,かつて同棲していた女性を引き合いに出し,「前の女には殴ったり蹴ったりしていたけど,それはその女に分からせるために,その女のためになるからやってたけど,お前には手を出さないでおこうと思う。」などと脅迫めいたことを原告にいい,原告に恐怖感,威圧感を与えて,原告を精神的に支配しようとしてきた。性生活においても,被告は,原告の体調や感情を無視して,いかなる状況に 出さないでおこうと思う。」などと脅迫めいたことを原告にいい,原告に恐怖感,威圧感を与えて,原告を精神的に支配しようとしてきた。性生活においても,被告は,原告の体調や感情を無視して,いかなる状況においてもこれに応じさせようとし,原告は性交渉を度々強要されてきた。 二女出産後,原告はうつ病と診断され,被告との生活こそが原告を苦しませる最大の原因であり,薬を服用しても治らないという絶望感に苛まれて,度々自殺未遂事件を起こした。原告は,カトリック教会に通うようになってから,被告との関係について相談にのってもらうようになった。 平成4年9月頃,原告が被告との性交渉を,体調が悪かったので拒否したところ,被告は,原告の顔面を拳で殴り,腕を掴んで引っ張り,逃げようとする原告を押さえつけ,髪の毛を引っ張るなどの暴行を加えた。この後,原告は,二女の通う幼稚園の母親仲間であるDに相談して,夜,子らとともにD宅で泊めてもらうようになったが,一度,被告が原告を自宅に呼び出し,自宅に戻った原告の腕を掴んで,門から玄関まで力づくで引きずり回し,屋内で,原告の顔面を拳で殴り,髪の毛を引っ張るなどの暴行を加えた。 そして,被告は,原告とDとの関係を疑い,Dと肉体関係にあるのかと執拗に原告を追及するようになった。平成5年頃になると,被告は,原告だけではなく,被告から暴力を振るわれていた原告にしがみついていた二女を原告から引き離して投げ飛ばすことまでした。この後,原告と子らは教会に2週間ほど避難させてもらったが,被告が暴力を振るわないと約束したので,自宅に戻った。 その後も,被告の態度は変わらず,原告は自殺未遂事件を繰り返していた。平成8年4月8日頃には,被告が飲酒の上,原告の顔面を拳で殴り,腕を掴んで体を引きずり回す暴行を加えただけでなく, った。 その後も,被告の態度は変わらず,原告は自殺未遂事件を繰り返していた。平成8年4月8日頃には,被告が飲酒の上,原告の顔面を拳で殴り,腕を掴んで体を引きずり回す暴行を加えただけでなく,原告を強姦し,さらに,一部始終を見て原告に泣きついてきた二女にも暴力を振るった。 その後も,被告の暴力は収まらず,原告は子らとともに家を出て,被告と別居するに至った。 以上のような被告の日常的な暴力(ドメスティックバイオレンス)は,夫婦という完結した人間関係において,夫が妻に暴力を振るうことで自己の力を誇示し,確認するという夫の病的な心理が原因であり,暴力が介在する夫婦においては,その関係性が確立しており,被害者である妻に与える著しい人権侵害行為である。原告と被告との婚姻関係は,このような被告の行為により破綻したもので,婚姻を継続し難い重大な事由があるというべきである。 (被告)被告は,平成8年4月8日頃の1回しか原告に暴力を振るったことはない。原告の主張は,虚偽と誇張に満ちており,悪意すら感じる。 被告は,①大学大学院工学研究科を修了後,株式会社甲に就職し,大規模ダム,湖沼等の水質管理,水質調査等の業務に従事してきた実直な会社員である。 その業務は,極めて高度な専門的知識を要するものであり,当然ながら被告は高度の人格,教養,知識を有しており,その性格も温厚そのものである。一方,原告は,以前より精神的疾患を有しており,被告はこれまで献身的看護等に努めてきたが,この誠意が原告には通じず,逆に本訴提起に及んだ。 原告が家を出て別居するに至ったのは,原告とDとの同性愛関係が唯一の原因である。 原告は元々うつ病の持病を有していた。また,うつ病の外的要因としては,子らの養育問題,二女の幼稚園の父兄らとの軋轢 が家を出て別居するに至ったのは,原告とDとの同性愛関係が唯一の原因である。 原告は元々うつ病の持病を有していた。また,うつ病の外的要因としては,子らの養育問題,二女の幼稚園の父兄らとの軋轢がある。 2 慰謝料(原告)被告の暴力等による支配に終始した婚姻生活及びその破綻等により被った原告の精神的苦痛に対する慰謝料の金額は,金1000万円を下らない。 (被告)離婚原因に関する原告の主張は虚偽であり,慰謝料請求は理由がない。 3 財産分与(原告)原告が把握できる夫婦共有財産は被告名義の自宅不動産しかない。自宅不動産は,平成11年度の評価額合計が4149万円であり,住宅ローンの残債が平成12年1月時点で約1879万円であるから,実質的価値2270万円の半額1135万円を被告から原告に分与するのが相当である。 (被告)自宅不動産のうち,土地は,昭和62年に被告の特有財産である預金,現金により購入した。建物については,平成11年度の評価額が433万0300円であり,住宅ローンの残高が約1879万円である。また,専業主婦の場合,財産分与にあたって採用されるべき数値は,1ないし3割である。 4 親権及び養育費(原告)被告の暴力に対する子らの不安,恐怖は大きく,子らは現在原告と穏やかに生活している。したがって,子らの幸福のためには原告を親権者に指定するのが相当である。 被告は,年収1300万円程度であり,子らの大学等の費用も考慮すれば,養育費は子らそれぞれに月額15万円とするのが相当である。 (被告)特別の例外を除くと,裁判上の養育費の認定額は,子1名あたり3ないし5万円であり,本件でもこの基準に従うべきである。 理由 一 のが相当である。 (被告)特別の例外を除くと,裁判上の養育費の認定額は,子1名あたり3ないし5万円であり,本件でもこの基準に従うべきである。 理由 一離婚原因 1 証拠(甲4ないし6,15,16ー但し一部,甲17ないし20,乙1ー但し一部,乙2ー但し一部,乙20ー但し一部,乙21ないし23,原告本人,被告本人ー但し一部)と弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ① 婚姻当初から,被告は,原告に対し,例えば「岡山弁は汚いので標準語で話せ。」とか,「食事は俺が帰るまで待ってろ。」などと命令し,また,被告が学生時代に同棲していた女性のことを引き合いに出して「前の女には殴ったり蹴ったりしたけど,それはその女に分からせるために,その女のためになるからやっていたけど,お前には手をださないでおこうと思う。」などといって,暴力は振るわなかったものの,言葉により原告を支配しようとした。その結果,原告は,被告に逆らえば暴力を受けるかもしれないと被告を恐れ,できるだけ原告に逆らわないよう神経を集中してきた。 ② 被告は,原告の意思を無視して,性交渉を強要することがあった。二女の出産直前にも性交渉を強要された。 ③ 原告は二女出産後しばらくして,うつ病との診断を受けた。大阪の乙病院の心療内科で投薬治療等を受けていたが,薬を大量に服用して自殺を図るという事件を起こし,その後度々自殺未遂事件を繰り返した。 ④ こうしたことから,従前は被告が許さなかったカトリック教会に行くことを許され,原告は,平成元年頃から北須磨カトリック教会に通うようになった。 ⑤ 平成4年4月,二女が幼稚園に入園し,原告は母親仲間のDと知り合った。原告は教会の関係者から自己の意思を大切にするようにとの助言を受けたことから,同 北須磨カトリック教会に通うようになった。 ⑤ 平成4年4月,二女が幼稚園に入園し,原告は母親仲間のDと知り合った。原告は教会の関係者から自己の意思を大切にするようにとの助言を受けたことから,同年9月頃,被告との性交渉を体調が悪かったことから拒否したところ,被告は原告に対し,何度も顔面を殴り,腕を掴んで引っ張り,逃げようとする原告を押さえつけて髪の毛を引っ張るなどの暴行を加えた。 その後,原告は,被告に対する恐怖から,子らとともにD宅に泊めてもらう生活を約1か月間続けた。その間に,被告が電話で,自宅の鍵を忘れたので持ってくるように伝え,原告が自宅まで鍵を届けに行った際,被告が原告の腕を掴んで門から玄関まで引きずり,屋内で,顔面を殴るなどの暴行を加えたことがあった。 そして,この頃から,被告は,原告とDとの間に肉体関係があると疑い,原告を問い詰めるようになった。 ⑥ 平成5年に入ると,被告は原告に暴力を振るうだけでなく,被告に暴行を受けた原告にしがみついている二女を原告から引き離して投げ飛ばすことまでした。原告は子らと教会に一時避難したが,被告が暴力を振るわないと約束したので,一旦自宅に戻った。 ⑦ 平成5年3月末頃,原告が性交渉を拒否したところ,被告と口論となり,原告は灯油缶とライターをもって近所の公園で焼身自殺をしようとしたが,思い止まって帰宅した。すると,被告は原告の顔面を何度も殴った。原告は救急車で②病院に運ばれたが,その際医師に被告に殴られたことを訴えた。 ⑧ 平成6年に入って,原告の父が原告と被告が離婚しても構わないという考えになり,被告に別居を勧め,被告が1か月ほど被告の実家に戻って別居することがあった。その後同居を再開し,被告の暴力は一旦収まっていたが,被告は飲酒して原告を言葉で責め続けた。同年3月には, いう考えになり,被告に別居を勧め,被告が1か月ほど被告の実家に戻って別居することがあった。その後同居を再開し,被告の暴力は一旦収まっていたが,被告は飲酒して原告を言葉で責め続けた。同年3月には,原告は除草剤を飲んで自殺を図った。 この際は,Dが救急車を手配して原告を助けた。 ⑨ 平成7年になり,被告の原告に対する暴力が再び始まり,原告は子らと車の中で夜を明かすこともあった。 ⑩ 平成8年4月8日頃,被告は飲酒の上,原告に文句をいい始め,徐々にエスカレートして,ついには一升瓶を振り回して床にたたきつけ,原告の髪の毛を掴んで振り回し,顔面を拳で殴り,腕を掴んで引きずり回すなどの暴行を加えた。そして,無理矢理原告と性交渉をもった。この一部始終を見て原告に泣きついてきた二女に対しても,被告は暴力を振るった。 ⑪ その後,被告がしばらく実家に戻って別居するというようなこともあったが,まもなく自宅に戻ってきた。しかし,被告の態度に大きな変化はなく,平成10年暮れ頃からは夫婦の間で離婚の話も出るようになった。被告は,言葉で原告を責めるだけでなく,暴力を振るったり,子らを怒鳴るようなこともあり,子らも被告に恐怖感をもつようになっていた。こうしたことから,原告は,平成12年1月,子らとともに自宅を出てアパート暮らしを始め,被告と別居するに至った。 ⑫ 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断と治療を専門とする精神科医のE医師は,原告に平成12年5月から7月の間に5回面接診断をし,原告はPTSDに罹患しており,その原因は被告により加えられた身体的及び性的暴行にあるとの意見を述べている。 ⑬ 丙眼科医院のF医師は,二女Bは,平成7年3月24日から心因性弱視の疑いで通院して,経過観察としてきたが,平成11年4月には徐々に軽快してきたとの診断を 的暴行にあるとの意見を述べている。 ⑬ 丙眼科医院のF医師は,二女Bは,平成7年3月24日から心因性弱視の疑いで通院して,経過観察としてきたが,平成11年4月には徐々に軽快してきたとの診断をしている。また,③大学教授で,④病院小児科の医師Gは,長女A及び二女Bについて,平成12年から13年にかけてそれぞれ約7日間診察の上,Aについては強い心理的恐怖と攻撃性,睡眠障害等が認められ,Bについても,心理的混乱,睡眠障害及び腹痛等の身体症状も認められることから,父親である被告との接点をもつことは精神病理の悪化を招きかねないとの意見書を作成し,原告に交付した。 ⑭ 被告は,別居後,原告に月額20万円の送金を平成12年10月まで続けたが,同年11月からは月額15万円に減額した。その他に,長女の授業料等の負担をしている。 2 被告本人は,平成8年4月8日頃の暴行を除く暴行をすべて否定しているが,同日の暴行についても酒の酔いのため詳しい記憶がないというものであり,被告には酒酔いのため記憶を失う傾向があることが窺われる上,原告の婚姻以来の被告との関係や被告の行為,生活の経緯に関する供述は一貫していて具体性,合理性も有するということができ,その信用性は高いと評価でき,被告の供述は採用できない。E医師のPTSDに関する意見も,専門家が5回もの面接を経て診断したものであり,その信頼性を覆すに足りる証拠はない。 3 原告とDとの関係について証拠(乙5ないし7,15の3,乙22ないし25)と弁論の全趣旨によれば,Dは原告に対し,「何度か甘い時を重ねて愛しく,一番暖かな僕の唯一くつろげるお家でいてくれる君に言葉にできない位のありがとうを贈ります。ずっと温かく僕だけを見つめてくれてありがとう。最近とても君が好きです。君は年下なのに甘えたいよ。いつ しく,一番暖かな僕の唯一くつろげるお家でいてくれる君に言葉にできない位のありがとうを贈ります。ずっと温かく僕だけを見つめてくれてありがとう。最近とても君が好きです。君は年下なのに甘えたいよ。いつもいつも大切にしてくれてありがとう。」との記載のある手紙を書いたこと,平成7年12月には,Dが原告に対し,「あの頃,僕は,明日にでも連れ出したいくらい君を想っていて,早く大きくなってほしいと思ったものでしたね。君は,本当の愛のためなら,世間体も欲も捨てられる意志の強い人だとよくわかりました。今は,そういう信頼のもとに,君を見守っています。君は,僕のことをあきらめてとかいいますが,僕は,あの頃と少しも変わらず君を見ています。夏のまぶしい光の中でグリーンの芝をサンダルで軽やかに…白い門をその細い指で開け,可愛く,とても嬉しそうに僕の方へ寄ってくる君をとても愛しく思ったように,今も僕の中では変わらず可愛い年下の彼女なんだ。」との記載のある手紙を書いて渡したこと,平成10年秋頃,原告とDは,西神オリエンタルホテルに昼食に出かけた際,客室内で,写真を撮影したこと,その写真には,ともに衣服を着た原告とDが写っていること,Dは,被告からDに対する損害賠償請求訴訟で,エレベーターから客室のドアが開いているのが見えたので,ホテルに無断で客室内に入ったと供述していたところ,同ホテルのエレベーター内からは客室のドアが開いている状態を見ることは構造上できないこと,原告の母は被告に対し,平成11年12月に,「ここらで心からお互い歩み寄り,S(Dのことを指すと考えられる。)からの手を離れ,子供達の為にも平和な家庭が戻ってくるよう,毎日,心をいため祈っています。」との手紙を送ったことが認められる。 上記事実によれば,原告とDはお互いに精神的に結ばれていたことは推認で の手を離れ,子供達の為にも平和な家庭が戻ってくるよう,毎日,心をいため祈っています。」との手紙を送ったことが認められる。 上記事実によれば,原告とDはお互いに精神的に結ばれていたことは推認できる。しかし,両名が肉体関係を伴う同性愛関係にあったことを認めるに足りる証拠はないし,上記事実からこれを推認することも困難である。Dには夫と子がおり(乙22,23),同人が同性愛者であることを認めるに足りる証拠はない上,前記1で認定の事実によれば,Dは原告の婚姻生活の実態を知って,原告に同情し原告を援助してきたことが推認できるのであり,中年の女性同士が互いに相手を慈しみ合っていたからといって,直ちに肉体関係まであったと推認することは相当でない。 西神オリエンタルホテルの客室内に入った経緯についてのDの供述は不合理であるが,このことのみから,同人と原告との間に,精神的結びつきを超える関係があったことまで推認することはできない。 4 以上の認定,説示によれば,原告と被告との婚姻関係は,当初から被告の原告に対する強権的支配の下で,原告が被告に服従を強いられ,原告は忍耐を重ねていたが,そうした中でうつ病になり,その後,カトリック教会に通うようになって自己主張を始めると,被告から肉体的暴力を受けるようになり,被告が原告とDとの関係を疑ったことから,暴力がエスカレートし,ついには二女にまで暴行に及ぶようになり,原告は子らとともに家を出て別居するに至り,婚姻関係は修復困難なまでに破綻したものということができ,その責任は被告にあり,重大であって,婚姻を継続し難い重大な事由があるものというほかない。 よって,原告の離婚請求は理由がある。 二慰謝料前記のとおり,E医師の意見の信頼性を否定することはできず,原告は,被告の暴行等によりPTSDに罹患 い重大な事由があるものというほかない。 よって,原告の離婚請求は理由がある。 二慰謝料前記のとおり,E医師の意見の信頼性を否定することはできず,原告は,被告の暴行等によりPTSDに罹患したものと推認でき,原告が被った精神的苦痛は甚大なものであったということができる。その他,婚姻期間や子らに対する影響等本件に表れた諸般の事情を考慮すると,原告に対する慰謝料は,金800万円をもって相当と認める。 三財産分与 1 証拠(甲7ないし9,乙33)と弁論の全趣旨によれば,被告は,自宅不動産として,神戸市丁区戌○丁目○番○所在の宅地及び同土地上の建物を昭和62年に取得し,所有していること,その取得にあたっては,被告は自己資金約2420万円のほか,2460万円を借り入れたこと,借入金は別居開始の平成12年1月頃には1879万円程度に減少したこと,自宅不動産の評価額は平成11年度において約4149万円であることが認められる。 原告は,上記自己資金のうち,兵庫県加古郡△町△の土地を売却して得た資金は,元々原告と養子縁組した被告の祖父の所有のものであったから,原告にも応分の権利があると主張し,さらに,同所には,現在でも被告が土地,建物を所有していると主張するが,証拠(甲36の1,2,乙33)と弁論の全趣旨によれば,売却した土地は被告が単独相続したものであり,現在でも被告が所有する土地は,被告が祖父から贈与を受けた土地であること,建物は,平成8年に被告が借入金により建築したもので,未だほとんど返済していないことが認められる。 以上によれば,自宅不動産について,自己資金は婚姻直後の頃のことであるから被告の特有財産により支弁されたと推認できるが,借入金が約570万円減少したのは,原告が被告と同居して婚姻生活,経済生活の維持に一定の貢献をし 宅不動産について,自己資金は婚姻直後の頃のことであるから被告の特有財産により支弁されたと推認できるが,借入金が約570万円減少したのは,原告が被告と同居して婚姻生活,経済生活の維持に一定の貢献をしてきたことにもよるものということができる。そうすると,当初の取得資金の約半分は被告の自己資金によるものであり,借入金は約4分の1減少したということになるが,自宅不動産の価格は取得当時より若干下落していることも考慮して,現在の実質的価値約2270万円のうち,その約20分の1にあたる100万円を,被告から原告に分与させるのが相当である。 四親権及び養育費前記一1の認定によれば,子らの福祉のためには,その親権者をいずれも母である原告と定めるのが相当である。 また,証拠(甲11の3,被告本人)によれば,被告は約1300万円の年間給与所得があることが認められ,これに,子らの年齢からすると,成人するまでに相当多額の学費等を必要とすることが予想できること等を総合すると,子らに対する養育費は,本判決確定の日の翌日から子らがそれぞれ成人に達するまで,毎月末日限り,月額各7万円を被告に支払わせるのが相当である。 五結論以上の次第で,原告の離婚請求は理由があり,慰謝料800万円と財産分与100万円の合計金900万円とこれに対する本判決確定の日の翌日から(慰謝料についても,本判決の確定により損害が確定するというべきであるから,遅延損害金の起算日は,判決確定の日の翌日とすべきである。)支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を被告に支払わせ,また,子らの親権者を原告と定め,その養育費として,本判決確定の日の翌日から子らがそれぞれ成人に達するまで,毎月末日限り,月額各7万円の支払を被告に命じるのが相当である。原告のその余の請求は理由がない。 らの親権者を原告と定め,その養育費として,本判決確定の日の翌日から子らがそれぞれ成人に達するまで,毎月末日限り,月額各7万円の支払を被告に命じるのが相当である。原告のその余の請求は理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第5民事部裁判官前坂光雄
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