昭和27(う)1067 旧地方税法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和29年1月19日 高松高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴をいずれも棄却する。          理    由  被告人並に検察官(高知地方検察庁検事正検事西川精開)の各控訴趣意は夫々別 紙記載の通りである。  被告人の控訴趣

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判決文本文2,578 文字)

主文 本件控訴をいずれも棄却する。 理由 被告人並に検察官(高知地方検察庁検事正検事西川精開)の各控訴趣意は夫々別紙記載の通りである。 被告人の控訴趣意第一点について。 論旨は要するに原判示第一の事実は脱税ではなく税の延滞であつて滞納処分により解決すべき案件であり、<要旨>原審が有罪の判決をしたのは法の解釈を誤つていると謂うのである。しかし本件につき原判決が適用した旧地</要旨>方税法(昭和二十五年七月三十一日法律第二百二十六号による廃止前のもの)第百三十六条第二項は地方税の特別徴収義務者(旧地方税法第三十六条参照)が徴収すべき地方税を徴収せず、又は徴収した地方税を納入しなかつた場合の処罰規定であつて、右後者の場合においては特別徴収義務者がその徴収した地方税に相当する金額を条例で定める期日までに(同法第三十七条参照)故意に府県又は市町村に納入しなかつた場合、右不納入罪が成立するものであり、その際特別徴収義務者において所論のような不正の方法を用いることは右罪の構成要件をなすものでないと解しなければならない。即ち地方税の納税義務者については詐欺その他不正の行為によつて税を逋脱しない限り単なる滞納のみによつては犯罪を構成しないけれども、地方税の特別徴収義務者については右の如く特別の処罰規定を置き徴収した地方税を納入しないことにつきこれを処罰することとしているのであつて、本件は単なる税の延滞に過ぎないとする所論は納税義務者の場合と特別徴収義務者の場合とを混淆しているものと謂はなければならない(最高裁判所昭和二五年(れ)第七六六号昭和二六年三月一五日判決参照)、而して原判決挙示の各証拠を綜合すれば被告人は入場税の特別徴収義務者であつたところ、原判決認定の如く徴収した入場税(県税)を所定の期日迄に高 和二五年(れ)第七六六号昭和二六年三月一五日判決参照)、而して原判決挙示の各証拠を綜合すれば被告人は入場税の特別徴収義務者であつたところ、原判決認定の如く徴収した入場税(県税)を所定の期日迄に高知県金庫に納入しなかつた事実を十分肯認することができ、原判決が本件につき旧地方税法第百三十六条第二項を適用処断したのは蓋し正当であると謂はなければならない。尚本件告発は国税犯則取締法第十四条第二項(旧地方税法第百二十六条の二参照)によりなされたものであり、高知県税事務所長において犯則の心証を得且つ犯則者通告の旨を履行するの資力がないものと認めた以上、その告発は適法であつて、告発に先立ち犯則者に対し国税滞納処分の例により処分をなすこと等は必ずしも必要ではない。犯則者に対し刑事責任を問うことは納入しなかつた税金の徴収とは別個の問題であり、本件記録を検討し論旨の主張するところを考慮に容れても本件告発が不適法又は不当であるとは見られない。これを要するに原判決に事実誤認又は法律の解釈適用を誤つた違法はなく、論旨は採用できない。 同第二点について。 論旨は原判示第二の事実は被告人において入場税を減免されるものと信じていたものであり且つかく信ずるにつき過失がなく犯罪を構成しないと謂うのである。仍て本件記録を精査して考察するに原判示第二の各入場税は当時高知市において開催された博覧会に附随して催されたサーカス、化物屋敷等の臨時の催物に対する入場税であるところ、他の都市においては博覧会附属の催物に対する入場税を全額業者に還元し又はその税率を減じた例があること並に被告人は高知市当局及び県総務常任委員会等に対し博覧会附属の興行に対する入場税の減免方を陳情した事実は本件証拠上これを窮い得るけれども、結局高知県当局は原判示第二の各催物につきその入場税を減免した事実はな 高知市当局及び県総務常任委員会等に対し博覧会附属の興行に対する入場税の減免方を陳情した事実は本件証拠上これを窮い得るけれども、結局高知県当局は原判示第二の各催物につきその入場税を減免した事実はなく、各催物終了当時において入場税特別徴収義務者である被告人はその徴収した入場税を県へ納入する義務のあつたことは明かであると謂はなければならない。而して臨時の興行については特別徴収義務者はその興行終了の日又はその翌日に徴収した入場税を県金庫に納入しなければならないことは原審第十三回及び第十四回各公判調書中証人Aの供述記載に徴し明かであり、被告人が原判示第二の各催物終了の翌日迄にその徴収した入場税を県金庫に納入しなかつた以上旧地方税法第百三十六条第二項の罪を構成するものと謂はなければならない。 原審が取調べた各証拠を検討し論旨主張の諸点を十分考慮に容れても被告人に犯意がなかつたものとは見られず、原判決の事実認定及び法律の適用は相当であり、また本件告発並に公訴の提起が所論の如く不適法であるとはいえない。論旨は理由がない。 検察官の控訴趣意について。 論旨は原判決の科刑は甚しく軽きに過ぎ不当であると謂うのである。仍て本件記録を精査して考察するに本件は原判決認定の如く被害人がその経営するB劇場の入場税合計六十八万余円及びCサーカス等の臨時催物の入場税合計百万余円を特別徴収義務者として入場者より徴収しながらこれを県金庫に納入しなかつた事案であり、その不納入額は相当多額に達している点興行物の入場税は一般大衆より徴収したものである点、その他地方税の重要性等より観れば本件の犯情必ずしも軽いとは云い得ないけれども、当時右B劇場は経営不振に陥つていたこと、原判示第二の各催物は当時高知市において開催された博覧会に附随する催物であり他都市における博覧会附属催物の例に 本件の犯情必ずしも軽いとは云い得ないけれども、当時右B劇場は経営不振に陥つていたこと、原判示第二の各催物は当時高知市において開催された博覧会に附随する催物であり他都市における博覧会附属催物の例にならい被告人は入場税の減免を期待していたことその他記録上窺える諸般の情状を彼此斟酌すれば、原判決の罰金刑(総計六十六万円)が必ずしも軽きに失するとはいえない。従て論旨は採用し難い。 よつて本件控訴はいずれも理由がないから刑事訴訟法第三百九十六条により主文の通り判決する。 (裁判長判事坂本徹章判事塩田宇三郎判事浮田茂男)

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