【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事 実 控訴人は原判決を取消す、被控訴人の請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審共 被控
主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 控訴人は原判決を取消す、被控訴人の請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする、との判決を求め、被控訴代理人は本件控訴を棄却するとの判決を求めた。 当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、援用及び認否は控訴人において、新な証拠として乙第一号証を提出し、当審証人Aの証言を援用し、被控訴代理人において乙第一号証の成立を認めると述べた外は原判決の事実摘示と同一であるからここにこれを引用する。 理由 訴外Aがその所有にかかる原判決添付別紙目録記載の宅地及建物(以下本件不動産と略称する)を当時同人の妻であつた訴外Bの兄である控訴人に対し昭和三十二年七月十日附で売渡したものとして同年十一月四日宇都宮地方法務局佐野出張所受付第三三九七号を以て所有権移転登記(以下本件登記と略称する)手続を了したことは当事者間に争がない。被控訴人が第一次的請求の原因として主張するところは被控訴人は右Aに対し昭和三十二年七月二十四日から昭和三十三年一月十四日までの間に販売した油脂売掛残代金二百五万円の債権を有しているところ、前記の売買はAが被控訴人に対する右債務についての強制執行を免れるためその妻B及Bの兄たる控訴人と相謀つて為した虚偽の意思表示に基くもので無効であり、本件不動産の所有権は依然Aに属するに拘らずAは控訴人に対し本件登記の抹消登記手続を求めないので、被控訴人は前記債権を保全するため債務者であるAに代位して本件登記の抹消を求<要旨>める、というのである。然しながら強制執行を免れる目的で財産を仮装譲渡することは刑法第九十六条の二の</要旨>犯罪であり、刑法上の犯罪にあたる行為をすることは民法第九十条の公 登記の抹消を求<要旨>める、というのである。然しながら強制執行を免れる目的で財産を仮装譲渡することは刑法第九十六条の二の</要旨>犯罪であり、刑法上の犯罪にあたる行為をすることは民法第九十条の公の秩序善良の風俗に反すること論を俟たない。そしてこの公序良俗違反行為を原因としてした給付の返還を裁判上請求することは民法第七百八条本文の趣旨に従い許されないものといわなければならない。 従つて強制執行を免れる目的で不動産を仮装譲渡して所有権移転登記をしたのち、その仮装行為をした当事者の一方が相手方に対しその所有権移転登記の抹消を求めることは許されない。即ち本件において前記Aは控訴人に対し本件不動産について為された本件登記の抹消を求める権利はないのであつて、右Aにその権利がないのなら同人に代位して右抹消登記請求権を行使することもあり得ない(そしてこの理は被控訴人が右仮装行為について善意であつた場合においても異るところはない)。従つて仮に被控訴人主張の売掛残代金の存在、仮装売買の各事実が認められるとしても被控訴人の第一次の請求はその主張自体理由がないからこれを認容するに由ない。原判決が被控訴人のこの代位行使を適法として被控訴人のこの請求を認容したのは失当といわなければならない。 そこで進んで被控訴人の第二次的請求の原因について判断する。原審証人B、当審証人Aの各証言、原審における控訴人本人尋問の結果を綜合すれば、訴外Aは昭和二十九年一月頃本件不動産中の家屋を建築する際、その建築資金の不足から、その当時の妻Bに依頼し、Bの実兄たる控訴人より金十万円を弁済期及び利息の定めなく借受けたところ、その后昭和三十二年七月頃になつて控訴人はBを通じAに前記貸金の返済を求め、若し直ちに返済ができいなら本件不動産を売渡担保にしてもらい度いと申入れたところ、AはBと び利息の定めなく借受けたところ、その后昭和三十二年七月頃になつて控訴人はBを通じAに前記貸金の返済を求め、若し直ちに返済ができいなら本件不動産を売渡担保にしてもらい度いと申入れたところ、AはBと相談した結果同年十一月四日に至り控訴人の要求を容れ、本件不動産を売渡担保に入れることになり同日本件登記を済ませ、更に同年十二月二十五日AはBを通じて営業資金二十万円を控訴人より借受け、これについても右不動産をもつて担保することとし、結局合計金三十万円の借受金債務について本件不動産を担保にした事実を認めることがてきる。原審証人A、同Cの各証言中、右認定に反しAと控訴人間に全然金員の貸借はなかつたとする部分は前掲証拠に照し措信しがたく、他にこの認定の妨となる証拠はない。そして原審証人C、同D、同A(C、A両証人については右措信しない部分を除く、以下同じ)、同Bの各証言、右Aの証言により真正に成立したと認める甲第三号証の記載、右AB、Cの各証言により真正に成立したものと認める甲第四号証の一、二の記載を綜合すれば被控訴人は右Aに対し昭和三十二年七月二十四日から昭和三十三年一月十四日までの間に販売した油脂売掛残代金二百五万円の債権を有しており、本件登記をした頃は少くとも右売掛残代金中百七十万円余が遅滞になつていたこと、Aは右以外に訴外大阪屋油所、日新商会にも取引上の債務がありその頃被控訴会社を合せた三社のAに対する債権額は金四百万円余に及んでいたこと、そのためAの所有であつた館林市a町b番地宅地九十八坪余とその地上の建坪十四坪余の家屋は右三社の右債権につき共同担保として三社に売渡担保となつていたこと、右不動産以外にAの財産といえばたゞ本件不動産を余すのみであつたこと、それにも拘らずAはBと相謀りBの実兄でありAの叙上の窮状を熟知している控訴人に対し、前 担保として三社に売渡担保となつていたこと、右不動産以外にAの財産といえばたゞ本件不動産を余すのみであつたこと、それにも拘らずAはBと相謀りBの実兄でありAの叙上の窮状を熟知している控訴人に対し、前記のような少額の借金の担保として本件不動産を売渡すことゝし、A及び控訴人は結局この売渡行為によつてAの一般債権者を害することを諒知していた事実を認めるに十分である。この認定と異る控訴人の原審における本人尋問の結果は当裁判所の措信しないところ、他にこの認定を覆すに足る証拠はない。 果して然らば昭和三十二年十一月四日になされたAと控訴人間の本件不動産についての右売買(実質は売渡担保)行為は被控訴人を含む前記一般債権者等の一般債権の担保を減殺し、前記債権者等の債権を詐害する行為というべくこの行為を取消して本件登記の抹消を求める被控訴人の本訴請求は正当として認容すべきものとする。 原審判決は前判示の如くその理由において失当であるが、前叙のとおり別の理由により被控訴人の本訴請求を認容したことは正当に帰し、本件控訴は結局理由がないことになる。よつてこれを棄却すべく、民事訴訟法第三百八十四条第九十五条第八十九条を各適用して主文のとおり判決する。 (裁判長判事梶村敏樹判事岡崎隆判事堀田繁勝)
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