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昭和34(う)907 外国人登録法違反被告事件

裁判所

昭和34年12月28日 東京高等裁判所

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3,868 文字

主文 本件控訴を棄却する。理由 本件控訴の趣意は、弁護人重富義男及び同関根栄郷共同作成名義の控訴趣意書に記載してあるとおりであるから、ここにこれを引用する。控訴趣意第一点について。原判決挙示の証拠(但し被告人の検察事務官に対する供述調書は昭和三十三年十二月一日付及び同月八日付の二通)によれば、被告人は昭和二十五年五月頃朝鮮から不法に本邦に入国したものであつて、未だ外国人登録令は勿論外国人登録法(以下令又は法と略記する。)所定の外国人登録の申請をなさず、従つてその登録証明書を受けていないこと、被告人は、昭和二十七年頃Aに、自己の写真を渡して登録証明書の入手方を依頼し、その結果同人から、氏名欄にB、性別欄に男、生年月日欄に一九二三、五、一〇、国籍欄に朝鮮、国籍を有する国における住所又は居所欄にa道b邑cd、上陸許可年月日欄に一九二九、一〇、一〇、上陸した出入国港欄に下関等の記載ある登録証明書一通を入手したこと、C区役所に備え付けてあるB名義の外国人登録原票(以下原票と略記する。)には右の如き記載のあること、被告人は、その後昭和二十九年十月他人を介して右B名義でいわゆる登録証明書の切替えをしたが、昭和三十一年十月十七日における登録証明書の切替え(法第十一条に規定する確認申請)に際し、前記各欄に記載したと同様の事項とを記載し、私の現在の居住関係及び身分関係は既に登録されている事項と相違ないのでその確認を申請する旨のB名義の登録事項確認(切替)申請書を、自己の写真と共に、C区役所係員に提出したことが認められるから被告人は、自己の原票は勿論登録証明書がないのに拘らず、昭和二十七年頃前記B名義の登録証明書を入手して以来、Bになりすまし、区役所にB名義の原票の存在するのを奇貨として、昭和三十一年十月 められるから被告人は、自己の原票は勿論登録証明書がないのに拘らず、昭和二十七年頃前記B名義の登録証明書を入手して以来、Bになりすまし、区役所にB名義の原票の存在するのを奇貨として、昭和三十一年十月十七日前記の如く自己の写真と共に自らはBであると偽つて、同人名義の確認申請書を提出したのであつて、即ち被告人は法第十一条第一項に規定する確認の申請に関し、虚偽の申請をなしたものであることは明らかである。 められるから被告人は、自己の原票は勿論登録証明書がないのに拘らず、昭和二十七年頃前記B名義の登録証明書を入手して以来、Bになりすまし、区役所にB名義の原票の存在するのを奇貨として、昭和三十一年十月十七日前記の如く自己の写真と共に自らはBであると偽つて、同人名義の確認申請書を提出したのであつて、即ち被告人は法第十一条第一項に規定する確認の申請に関し、虚偽の申請をなしたものであることは明らかである。所論は、法第十一条第一項の確認申請義務を課せられる者は法第三条第一項に基き外国人の登録申請をなし、法第四条第一項により原票に登録されている外国人であつて、被告人の如く密入国者で、法第三条第一項の登録申請もせず従つて第四条第一項の登録も受けたことなく、いわゆる原票に記載されていない者には、法第十一条第一項は適用がないものと解するを相当とすると主張する。なるほど被告人は、所論の如く不法に本邦に入国した者であつて、適法に外国人登録の申請もなさず、従つ<要旨第一>て登録を受けたこともなく又原票にも記載されていないことは前段認定のとおりである。しかし法第十一条第</要旨第一>一項の趣旨とするところは、定期的に登録証明書の確認を行つて登録の正確性を維持することを目的とするのであるから、法第三条第一項により登録申請をなし法第四条第一項により原票に登録されている外国人は、法第十一条第一項に規定する確認申請義務者に該当することは勿論であるが、(もしこれが義務を怠ると法第十八条第一項第一号の犯罪が成立する。)苟くもその確認申請に関し、前記登録の正確性維持の目的に反するが如き申請即ち虚偽の申請をなしたときは、その申請をなした者が法第十一条第一項にいう申請義務者であると否と又その者が原票に登録されているものであると否とを問わず、その虚偽申請と同時に直ちに法第十八 るが如き申請即ち虚偽の申請をなしたときは、その申請をなした者が法第十一条第一項にいう申請義務者であると否と又その者が原票に登録されているものであると否とを問わず、その虚偽申請と同時に直ちに法第十八条第一項第二号に規定する虚偽申請罪が成立するものと解する。従つて被告人は、前記の如くBになりすまし、恰も自らがBであるかの如く装つて前記の如き虚偽の確認申請をしたのであるから、被告人が自らの原票に登録されていると否と又法第十一条第一項にいう申請義務者であると否とを問わず、法第十一条第一項、第十八条第一項第二号の犯罪が成立することは明らかであつて、この点に関する所論は理由がない。 同時に直ちに法第十八条第一項第二号に規定する虚偽申請罪が成立するものと解する。従つて被告人は、前記の如くBになりすまし、恰も自らがBであるかの如く装つて前記の如き虚偽の確認申請をしたのであるから、被告人が自らの原票に登録されていると否と又法第十一条第一項にいう申請義務者であると否とを問わず、法第十一条第一項、第十八条第一項第二号の犯罪が成立することは明らかであつて、この点に関する所論は理由がない。所論は更に、被告人の如く密入国者で、他人の登録証明書を自己の証明書として所持行使した者に対しては、密入国の点については密入国当時の令第十二条違反として処罰し(現にその裁判を受けた。)或は法第十八条第一項第一号にいう法第三条第一項に違反して登録を申請せずして法定期間を超えて本邦に在留するものとして法第十八条第一項第一号により処罰すれば足りると主張する。しかしながら不法に本邦に入国した罪(昭和二十四年十二月政令第三八一号による改正後の令第三条第一項、第十二条)と登録申請をなさざる罪(同令第四条第一項、第十三条第一号)とは、互にその構成要件を異にし、別個の犯罪を構成するので、不法に入国した外国人と雖も登録申請をなす義務があるものと解すべきであるから(同年政令第三八一号による改正前の令につき最高裁判所大法廷昭和三十一年十二月二十六日判決、判例集十巻一七六九頁参照)、所論の如く被告人が密入国罪により処罰されたとしても、登録申請をなさざる<要旨第二>罪についてはその責を免がれることはできない筋合である。しかして法第三条第一項(法施行前においては前</要旨第二>同令第四条第一項 が密入国罪により処罰されたとしても、登録申請をなさざる<要旨第二>罪についてはその責を免がれることはできない筋合である。しかして法第三条第一項(法施行前においては前</要旨第二>同令第四条第一項)において、登録申請義務を課した所以のものは、外国人の静態的及び動態的実態を的確に把握することを目的とするのであり、又法第十一条第一項において確認申請義務を認めたのは、前記の如く原票の正確性の維持を図ることを目的としているのであつて、いずれもその法益を異にしているのであるから、被告人が法第三条第一項(同令第四条第一項)によつて登録申請をしなかつた点については法第十八条第一項第一号(同令第十三条第一号)の罪が成立すべく、これと本件の如き確認申請に関し虚偽の申請をなした法第十一条第一項、第十八条第一項第二号の罪とは、別個の犯罪であつて、この両者は併合罪の関係にあるものと解するを相当とする。 維持を図ることを目的としているのであつて、いずれもその法益を異にしているのであるから、被告人が法第三条第一項(同令第四条第一項)によつて登録申請をしなかつた点については法第十八条第一項第一号(同令第十三条第一号)の罪が成立すべく、これと本件の如き確認申請に関し虚偽の申請をなした法第十一条第一項、第十八条第一項第二号の罪とは、別個の犯罪であつて、この両者は併合罪の関係にあるものと解するを相当とする。従つて被告人が先に密入国罪によつて処罰されたと否と又登録申請をなさざる罪で処罰されたと否とを問わず、本件虚偽申請罪についてその処罰を免かれることはできないものといわなければならい。所論は更に、被告人は他人名義の登録証明書を行使した者として法第十八条第一項第九号、若しくは他人名義の登録証明書の譲渡を受けたものとして同第十号によりその責を問えば足りると主張する。被告人が右の登録証明書を行使したという事実は記録上推認できないわけではないし又Aから譲り受けたものであることは前段認定のとおりであるから、いずれもその責がないとはいえない筋合であるところ、本件はその点についての罪責を問うにあらずして、専ら虚偽申請罪として法第十八条第一項第二号による責を問うべく起訴されたものであるから、同条項の罪が成立しないのであれば格別、しからざる限り法第十八条第一項第九号乃至は第十号 責を問うにあらずして、専ら虚偽申請罪として法第十八条第一項第二号による責を問うべく起訴されたものであるから、同条項の罪が成立しないのであれば格別、しからざる限り法第十八条第一項第九号乃至は第十号で処罰すれば足りるとする所論は、その理由がない。論旨はすべてその理由がない。(その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事三宅富士郎判事東亮明判事井波七郎)

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