平成19(行ケ)10402 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年5月28日 知的財産高等裁判所 4部 判決 審決取消
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判決文本文37,480 文字)

- 1 -平成1 9年(行ケ)第10402号審決取消請求事件平成20年5月28日判決言渡,平成20年4月21日口頭弁論終結判決原告ケイスイスインコーポレーテド訴訟代理人弁護士関根秀太,達野大輔,松本慶被告ナガイレーベン株式会社訴訟代理人弁理士清水修,杉岡真紀主文特許庁が無効2006-88017号事件について平成19年7月19日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1原告の求めた裁判主文同旨の判決第2事案の概要本件は,被告の有する下記1(1)の意匠登録(以下「本件意匠登録」といい,本件意匠登録に係る意匠権を「本件意匠権」というほか,本件意匠登録に係る意匠を「本件意匠」という)について,原告が無効審判請求をしたところ,特許庁は,。 同審判請求は成り立たないとの審決をしたため,原告が,同審決の取消しを求める事案である。 特許庁における手続の経緯(1)本件意匠登録(甲1の1,2)- 2 -本件意匠は部分意匠である。 意匠権者:ナガイレーベン株式会社(被告)意匠に係る物品:短靴」「出願日:平成17年9月6日(意願2005-25741号)登録日:平成18年3月10日意匠登録番号:第1269223号本件意匠の構成:下記のとおり(実線で示した部分が意匠登録を受けた部分である)。 【正面図】【背面図】【平面図】【底面図】【右側面図】【参考正面図】- 3 -【左側面図】【参考正面図のA-A線拡大参考端面図】(2)本件手続審判請求日:平成18年9月22日(無効2006-88017号)審決日:平成19年7月19日審決の結論:本件審判の請求は成り立たないただし出訴期間について90「,。」(,日が附加されている)。 審決謄本送達日:平成19年 2006-88017号)審決日:平成19年7月19日審決の結論:本件審判の請求は成り立たないただし出訴期間について90「,。」(,日が附加されている)。 審決謄本送達日:平成19年8月1日(原告に対し) 審決の要旨(1)審決は,本件意匠が,出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された引用意匠1~3(その構成は下記ア~ウのとおりである)と類似す。 る,又はこれらにより容易に創作し得たものであるとの請求人(原告)の主張に係る無効理由について,いずれも認められないとした。 ア引用意匠1の構成- 4 -イ引用意匠2の構成ウ引用意匠3の構成(2)審決の理由中「当審の判断」の部分は,以下のとおりであり,審決中の甲号証の番号は本訴と共通である。 「1.請求人の主張する無効理由請求人の主張を整理すると,以下の無効理由を主張するものと認められる。 (1)本件登録意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された引用意匠1(甲第2号証及び甲第3号証)に類似し,本件意匠登録は,意匠法第3条1項3号の規定に違反してされたものである(以下「無効理由1」という。 ,。)(2)本件登録意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された引用意匠2(甲第4号証)に類似し,本件意匠登録は,意匠法第3条1項3号の規定に違反してされたものである(以下「無効理由2」という。 ,。)- 5 -(3)本件登録意匠は,その出願前に日本国内又は外国において公然知られた引用意匠3(甲第5号証及び甲第6号証)に類似し,本件意匠登録は,意匠法第3条1項3号の規定に違反してされたものである(以下「無効理由3」という。 ,。)(4)本件登録意匠は,その出願前に日本国内又は外国において公然知 び甲第6号証)に類似し,本件意匠登録は,意匠法第3条1項3号の規定に違反してされたものである(以下「無効理由3」という。 ,。)(4)本件登録意匠は,その出願前に日本国内又は外国において公然知られた引用意匠1ないし3に基づいて当業者が容易に創作し得たもので,本件意匠登録は,意匠法第3条第2項に違反してされたものである(以下「無効理由4」という。 ,。)2.本件登録意匠本件登録意匠は,その意匠登録出願(出願日平成17年9月6日)の願書及び添付図面の記載によれば,意匠に係る物品が「短靴」で,その形態が願書及び添付図面の記載のとおりであり,実線で表した部分について部分意匠として意匠登録を受けたものである。 すなわち,本件登録意匠の実線で表した部分(以下「本件実線部分」という)は,靴甲部,。 の両側面を構成する部分であり,ミッドソールに隣接してその上部に設けられた略変形台形状の部分である。そして,本件実線部分の形態は(A)その外周形状について(A-1)底辺を,,,ミッドソールと靴甲部の境界をなすやや上方へ湾曲した線とし(A-2)上辺を,靴甲部に配置,,,した鳩目に相当する部分の側部靴甲部の稜線の傾斜角度と略平行に傾斜して引いた直線とし(A-3)つま先側の斜辺を,つま先側に約60度傾斜して引いた直線とし(A-4)かかと側の,斜辺を,つま先側に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線とし(A-5),,,()その4辺により囲まれ上方の2つの角を湾曲させてアール形状とした略変形台形状としBその外周内側に形成される仕切り枠について(B-1)外周の上辺,つま先側の斜辺,及びかか,と側の斜辺の3辺のみに沿って設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させ,(B-2)外周に沿う枠内にさらに縦に4本設け,枠内を5 枠について(B-1)外周の上辺,つま先側の斜辺,及びかか,と側の斜辺の3辺のみに沿って設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させ,(B-2)外周に沿う枠内にさらに縦に4本設け,枠内を5等分し仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を5本形成しCこの仕切り枠によって形成される5本の略帯状凹部についてC-1 ,(),()辺のみに仕切り枠を設け,底辺をミッドソール境界線に隣接し(C-2)上方の2つの角を湾曲,させてアール形状とし,4辺の長さが全て異なるとともに,上辺よりも下辺を長尺とした略四辺形とし(C-3)つま先側に約60度前後で各々違った角度に傾斜させ(C-4)つま先側から,,かかと側にかけて徐々に縦方向に長くし(C-5)メッシュ地としたものである。 ,- 6 -なお,請求人は「本件登録意匠の外周部は,専ら部分意匠である本件登録意匠の範囲を確定するためにえがかれたものに過ぎず,実際には,つま先側に約60度に傾斜している,つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くなる5つの長方形の凹部の周囲をなぞった結果,かかる外周の図形が観念されるに過ぎない」と主張する。しかし,上記のように,外周形状。 は外周内側の仕切り枠の外形状と底辺のミッドソールと靴甲部の境界線とによって形成される形状であって,請求人の主張は採用できない。 3.無効理由1について(1)引用意匠1,(「」())引用意匠1は甲第2号証雑誌TENNIS2003年5月号に掲載された広告又は甲第3号証(雑誌「TENNIS(2005年3月号)に掲載された広告)に記載され」たもので,意匠に係る物品が運動靴(テニス用の靴)で,その形態が甲第2号証及び甲第3号証の写真に現したとおりのものである。 すなわち,引用意匠1の本件実線部分に相当する部分(以下 広告)に記載され」たもので,意匠に係る物品が運動靴(テニス用の靴)で,その形態が甲第2号証及び甲第3号証の写真に現したとおりのものである。 すなわち,引用意匠1の本件実線部分に相当する部分(以下「引用意匠1相当部分」とい,う)は,靴甲部の両側面を構成する部分であり,ミッドソールの上部に設けられた略変形台。 。 ,,(),()形状の部分であるそして引用意匠1相当部分の形態はAその外周形状についてA-1底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部にミッドソールに平行に引かれた直線とし(A-2)上辺を,靴甲部に配置した鳩目に相当する部分の側部,靴甲部の稜線の傾斜角度と,略平行に傾斜して引いた直線とし(A-3)つま先側の斜辺を,つま先側に約60度傾斜して引,いた直線とし(A-4)かかと側の斜辺を,つま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行,に引いた直線とし(A-5)その4辺により囲まれた略変形台形状とし(B)その外周内側に形,,成される仕切り枠について(B-1)底辺にも設け,外周の内側4辺に沿って設け(B-2)外周,,に沿う枠内にさらに縦に4本設け,枠内を5等分し仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を5本形成し(C)この仕切り枠によって形成される5本の略帯状凹部について(C-1)4辺を仕切り,,枠で囲み(C-2)角をアール形状とせず,4辺の長さが全て異なるとともに,上辺よりも下辺,,(),()を長尺とした略四辺形としC-35本ともつま先側に約60度で同じ角度に傾斜させC-4つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くし(C-5)メッシュ地としたものである。 ,- 7 -(2)本件登録意匠と引用意匠1との対比両意匠を対比すると,以下の共通点と差異点がある。 <共通点>両意匠は,以下の点で て徐々に縦方向に長くし(C-5)メッシュ地としたものである。 ,- 7 -(2)本件登録意匠と引用意匠1との対比両意匠を対比すると,以下の共通点と差異点がある。 <共通点>両意匠は,以下の点で共通する。 すなわち,両意匠は,意匠に係る物品が「短靴」と「運動靴」で類似し,本件実線部分と引用意匠1相当部分が,靴の両側部分を構成する部分であり,ミッドソールの上部に設けられた略変形台形状の部分であり,その部分の用途及び機能,そして、当該物品全体の形態の中での位置,大きさ,範囲がほぼ共通する。 ,,(),()また本件実線部分と引用意匠1相当部分の形態においてA その外周形状についてA-1底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界線の上部の線とし(A-2)上辺を,靴甲部に配置した鳩,,,()目に相当する部分の側部靴甲部の稜線の傾斜角度と略平行に傾斜して引いた直線としA-3つま先側の斜辺を,つま先側に約60度傾斜して引いた直線とし(A-4)かかと側の斜辺を,,つま先側に約60ないし50度傾斜して引いた直線とし(A-5)その4辺により囲まれた略変,形台形状としBその外周内側に形成される仕切り枠についてB-1外周の内側3辺に沿っ,(),()て設け(B-2)外周に沿う枠内にさらに縦に4本設け,枠内を5等分し仕切り枠とほぼ同幅の,略帯状凹部を5本形成し(C)この仕切り枠によって形成される5本の略帯状凹部について,,(C-1)3辺を仕切り枠で囲み(C-2)4辺の長さが全て異なるとともに,上辺よりも下辺を,長尺とした略四辺形とし(C-3)5本ともつま先側に約60度で傾斜させ(C-4)つま先側か,,,()。 らかかと側にかけて徐々に縦方向に長くしC-5 メッシュ地とした点で共通するものである<差異点>両意匠は,以 C-3)5本ともつま先側に約60度で傾斜させ(C-4)つま先側か,,,()。 らかかと側にかけて徐々に縦方向に長くしC-5 メッシュ地とした点で共通するものである<差異点>両意匠は,以下の点に差異がある。 すなわち,両意匠は,本件実線部分がミッドソールに隣接した部分であるのに対し,引用意匠1相当部分は,ミッドソールのやや上部に設けられた部分である点で,その部分の当該物品全体の形態の中での位置に差異がある。 また,本件実線部分と引用意匠1相当部分の形態において(a)その略変形台形状の外周形,状について(a-1)本件登録意匠は,底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界をなすやや上方へ,- 8 -湾曲した線としているのに対し,引用意匠1は,ミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部にミッドソールに平行に引かれた直線としている点(a-2)かかと側の斜辺を,本件登録意匠,は,つま先側に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線とするのに対し,,,引用意匠1はつま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線としている点a-3本件登録意匠は上方の2つの角を湾曲させてアール形状としたのに対し引用意匠1(),,は,角の湾曲がない点(b)その外周内側に形成される仕切り枠について(b-1)本件登録意,,匠は,3辺のみに沿って設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させているのに対し,引用意匠1は,底辺にも設け,外周の内側4辺に沿って設けている点(c)5本の略帯,状凹部について(c-1)本件登録意匠は,3辺のみに仕切り枠を設け,底辺をミッドソール境,界線に隣接しているのに対し,引用意匠1は,4辺を仕切り枠で囲んでいる点(c-2)本件登,録意匠は,上方の2つの角を湾曲させてアール形状としているのに対 みに仕切り枠を設け,底辺をミッドソール境,界線に隣接しているのに対し,引用意匠1は,4辺を仕切り枠で囲んでいる点(c-2)本件登,録意匠は,上方の2つの角を湾曲させてアール形状としているのに対し,引用意匠1は,角をアール形状としていない点(c-3)本件登録意匠は,各々違った角度に傾斜させているのに対,し,引用意匠1は,5本とも同じ角度に傾斜させている点に差異がある。 (3)本件登録意匠と引用意匠1との類否判断この種短靴や運動靴の使用状態等を考慮すると,靴を履いて使っている場合は,本人が上方から,また,他人が斜め上方から靴を視認するものであり,靴を着脱したり,運搬したりする場合は,その全体が視認されるものである。そして,この種靴の購入の際は,その全体の形態について注視するものである。したがって,この種靴の両側部分を構成する部分であり,ミッドソールの上部に設けられた略変形台形状の部分の意匠については,その形態の全体が需要者の注意を引くものと認められる(なお,請求人は「一般的に靴を観察する場合には靴の甲部。 ,など,やや上から見た部分が最も目に触れやすいところであって,この部分のデザインが最も看者の注目を惹く部分となっている・・・底辺は,通常人が観察する場合には目立たない部。 分」と主張するが,上記の通りであり,その主張は採用できない)。 そうすると,両意匠の基本的構成態様に係る差異点として,本件実線部分がミッドソールに隣接した部分であるのに対し,引用意匠1相当部分は,ミッドソールのやや上部に設けられた部分であるという位置の差異点(a)その略変形台形状の外周形状について(a-1)本件登録,,- 9 -意匠は,底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界をなすやや上方へ湾曲した線としているのに対し,引用意匠1は,ミッドソールと靴甲部の境界線か 形台形状の外周形状について(a-1)本件登録,,- 9 -意匠は,底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界をなすやや上方へ湾曲した線としているのに対し,引用意匠1は,ミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部にミッドソールに平行に引かれた直線としている差異点(b)仕切り枠について(b-1)本件登録意匠は,3辺のみに沿っ,,て設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させているのに対し,引用意匠1は,底辺にも設け,外周の内側4辺に沿って設けている差異点,及び(c)5本の略帯状凹部につ,いて(c-1)本件登録意匠は,3辺のみに仕切り枠を設け,底辺をミッドソール境界線に隣接,しているのに対し,引用意匠1は,4辺を仕切り枠で囲んでいる差異点がある。これらの差異点は,3辺枠か4辺枠かという両意匠の基本的構成態様に係る差異であり,また,底辺部全体に係るもので,大きな割合を占める構成態様における差異であり,看者の注意を引くものである。そして,この基本的構成態様に係る底辺部の差異点に加えて,具体的構成態様における差異点,すなわち(a)その略変形台形状の外周形状について(a-2)かかと側の斜辺を,本件,,登録意匠は,つま先側に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線とするのに対し,引用意匠1は,つま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線としている差異点(a-3)本件登録意匠は,上方の2つの角を湾曲させてアール形状としたのに対,し,引用意匠1は,角の湾曲がない差異点(c)5本の略帯状凹部について(c-2)本件登録,,意匠は上方の2つの角を湾曲させてアール形状としているのに対し引用意匠1は角をアー,,,ル形状としていない差異点,及び(c-3)本件登録意匠は,各々違った角度に傾斜させている,のに対し,引 意匠は上方の2つの角を湾曲させてアール形状としているのに対し引用意匠1は角をアー,,,ル形状としていない差異点,及び(c-3)本件登録意匠は,各々違った角度に傾斜させている,のに対し,引用意匠1は,5本とも同じ角度に傾斜させている差異点が相俟って,本件登録意匠は,角丸のやや変化に富んだ柔らかい意匠的効果があるのに対して,引用意匠1は,角張って直線的で堅い意匠的効果がある。したがって,基本的構成態様に係る底辺部全体の構成態様,,の差異点と共に各部の具体的構成態様における差異点が相俟って異なった意匠的効果があり両意匠は全体として異なる美感を起こさせるものである。 ,,(),,これに対して両意匠の共通する構成態様Aその外周形状について略変形台形状とし(B)その外周内側に仕切り枠を設け,その枠内を5等分し仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を5本形成し(C)この仕切り枠によって形成される5本の略帯状凹部について(C-2)略四,,辺形とし(C-3)5本ともつま先側に約60度で傾斜させ(C-4)つま先側からかかと側にか,,- 10 -けて徐々に縦方向に長くし(C-5)メッシュ地とした構成態様は,両意匠の基本的構成態様の,ある程度の部分を占めるものであるが,しかし,上記のとおり,基本的構成態様の大きな部分,,。 を占める底辺部の構成態様において差異があり両意匠は基本的構成態様において相違する,,,()また両意匠の共通する構成態様は下記のように引用意匠1の公知日2003年5月以前から広く知られた構成態様であって,新規な創作性があるものではなく,格別看者の注意を引くものではない。 すなわち,第一に(A)その外周形状について,略変形台形状とし(B)その外周内側に仕,,切り枠を設け,その枠内を等分し仕切 て,新規な創作性があるものではなく,格別看者の注意を引くものではない。 すなわち,第一に(A)その外周形状について,略変形台形状とし(B)その外周内側に仕,,切り枠を設け,その枠内を等分し仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を数本形成し(C)この仕,切り枠によって形成される略帯状凹部についてC-2略四辺形としC-3つま先側に約60,(),()度で傾斜させ(C-4)つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くした構成態様は,下,記の公知意匠(1)ないし公知意匠(6)に見られるように,引用意匠1の公知日前にすでに広く知られたものである。すなわち,公知意匠(1)意匠登録第486900号「運動ぐつ」の意匠(1978年7月21日意匠公報発行,公知意匠(2)特許庁総合情報館が1989年8月19)日に受け入れた雑誌「FOOTWEARNEWS」32号45巻93頁所載「運動靴」の意匠意匠課公知資料番号第HB01035370号公知意匠(3)特許庁総合情報館が1991(),年10月24日に受け入れたカタログ「QuelleHERBST/WINTER」646頁所載「運動靴」の意匠(意匠課公知資料番号第HD03017871号,公知意匠(4)特許)庁総合情報館が1991年10月24日に受け入れたカタログ「QuelleHERBST/WINTER647頁所載運動靴の意匠意匠課公知資料番号第HD03017874」「」(号,公知意匠(5)特許庁総合情報館が1995年12月22日に受け入れたカタログ「ATH)LETICSHOE7頁所載運動靴の意匠意匠課公知資料番号第HD07013351」「」(号公知意匠(6)特許庁総合情報館が2000年10月23日に受け入れたカタログ2001),「SHOESCOLLEC 載運動靴の意匠意匠課公知資料番号第HD07013351」「」(号公知意匠(6)特許庁総合情報館が2000年10月23日に受け入れたカタログ2001),「SHOESCOLLECTIONSPRING&SUMMER」17頁所載「靴」の意匠(意匠課公知資料番号第HC12008055号。第二に(A)その外周形状につい),て,略変形台形状とし(B)その内を5等分し同幅の略帯状部を5本形成し(C)5本の略帯,,状部について(C-2)略四辺形とし(C-3)5本ともつま先側に約60度で傾斜させ(C-4),,,- 11 -つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くした構成態様は,下記の公知意匠(7)ないし公知意匠(13)に見られるように引用意匠1の公知日前にすでに広く知られたものである。すわなち,公知意匠(7) 意匠登録第406833号「短靴」の意匠(1975年10月22日意匠公報発行,公知意匠(8)特許庁総合情報館が1989年3月10日に受け入れた雑誌「FO)OTWEARNEWS」6号45巻112頁所載「運動靴」の意匠(意匠課公知資料番号第HB01019172号,公知意匠(9)特許庁総合情報館が1989年3月30日に受け入れ)た雑誌「FOOTWEARNEWS」9号45巻44頁所載「運動靴」の意匠(意匠課公知資料番号第HB01019286号,公知意匠(10)特許庁総合情報館が1989年4月14)日に受け入れたカタログ「BELLEMAISONシューズディス」12頁所載「くつ」の意匠(意匠課公知資料番号第HC01025664号,公知意匠(11)特許庁総合情報館)が1995年11月2日に受け入れた雑誌「モノマガジン」21号14巻187頁所載「運動靴」の意匠(意匠課公知資料番号第HA07029339号,公知 25664号,公知意匠(11)特許庁総合情報館)が1995年11月2日に受け入れた雑誌「モノマガジン」21号14巻187頁所載「運動靴」の意匠(意匠課公知資料番号第HA07029339号,公知意匠(12)独立行政法人工)業所有権総合情報館が2002年3月4日に受け入れた雑誌ARSsutoria296「」巻236頁所載靴の意匠意匠課公知資料番号第HB14002318号公知意匠(13)「」(),意匠登録第1143438号「短靴」の意匠(2002年6月10日意匠公報発行。 )したがって,両意匠の共通する構成態様は,引用意匠1の公知日以前から広く知られた構成態様であって,新規な創作性があるものではなく,格別看者の注意を引くものではないから,(本件登録意匠の3辺枠とした基本的構成態様や底辺部の構成態様も,格別新規で創作性のある態様とはいえないとしても)両意匠は,基本的構成態様の大きな部分を占める底辺部の構,成態様において差異があり,基本的構成態様において相違すると共に,各部の具体的構成態様が相俟って異なった意匠的効果があり,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として異なる美感を起こさせるものであり,類似しない。 (4)小括以上のように,本件登録意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された引用意匠1に類似するものではなく,本件意匠登録は,意匠法第3条1項3号の規定に違反してされたものではない。 - 12 -4.無効理由2について(1)引用意匠2引用意匠2は,甲第4号証(雑誌「XXL(2005年8月号)に掲載された広告)に記」載されたもので,意匠に係る物品が運動靴(スニーカー)で,その形態を甲第4号証の写真に現したとおりのものである。 すなわち,引用意匠2の本件実線部分に相当する部分(以下「引 に掲載された広告)に記」載されたもので,意匠に係る物品が運動靴(スニーカー)で,その形態を甲第4号証の写真に現したとおりのものである。 すなわち,引用意匠2の本件実線部分に相当する部分(以下「引用意匠2相当部分」とい,う)は,靴甲部の両側面を構成する部分であり,ミッドソールの上部に設けられた略変形台。 。 ,,(),()形状の部分であるそして引用意匠2相当部分の形態はAその外周形状についてA-1底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部にミッドソールに平行に引かれた直線とし(A-2)上辺を,靴甲部に配置した鳩目に相当する部分の側部,靴甲部の稜線の傾斜角度と,略平行に傾斜して引いた直線とし(A-3)つま先側の斜辺を,つま先側に約60度傾斜して引,いた直線とし(A-4)かかと側の斜辺を,つま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行,に引いた直線とし(A-5)その4辺により囲まれた略変形台形状とし(B)その外周内側に形,,成される仕切り枠について(B-1)外周の内側4辺に沿って仕切り枠は設けず(B-2)外周内,,,,に縦に4本仕切り枠を設け外周内を5等分し仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を5本形成し(C)この仕切り枠によって形成される5本の略帯状凹部について(C-1)凹部の間のみを仕,切り枠で仕切り(C-2)角をアール形状とせず,略長方形状とし(C-3)5本ともつま先側に,,,(),約60度で同じ角度に傾斜させC-4 つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くし(C-5)布地としたものである。 (2)本件登録意匠と引用意匠2との対比両意匠を対比すると,以下の共通点と差異点がある。 <共通点>両意匠は,以下の点で共通する。 すなわち,両意匠は,意匠に係る物品が「短靴」と「運動靴」で類似 。 (2)本件登録意匠と引用意匠2との対比両意匠を対比すると,以下の共通点と差異点がある。 <共通点>両意匠は,以下の点で共通する。 すなわち,両意匠は,意匠に係る物品が「短靴」と「運動靴」で類似し,本件実線部分と引用意匠2相当部分が,靴の両側部分を構成する部分であり,ミッドソールの上部に設けられた略変形台形状の部分であり,その部分の用途及び機能,そして,当該物品全体の形態の中での- 13 -位置,大きさ,範囲がほぼ共通する。 ,,(),()また本件実線部分と引用意匠2相当部分の形態においてA その外周形状についてA-1底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界線の上部の線とし(A-2)上辺を,靴甲部に配置した鳩,,,()目に相当する部分の側部靴甲部の稜線の傾斜角度と略平行に傾斜して引いた直線としA-3つま先側の斜辺を,つま先側に約60度傾斜して引いた直線とし(A-4)かかと側の斜辺を,,つま先側に約60ないし50度傾斜して引いた直線とし(A-5)その4辺により囲まれた略変,形台形状とし(B)その外周内側に形成される仕切り枠について(B-1)外周内に縦に4本設,,け,枠内を5等分し仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を5本形成し(C)この仕切り枠によっ,て形成される5本の略帯状凹部について(C-1)凹部の間のみを仕切り枠で仕切り(C-2)略,,四辺形とし(C-3)5本ともつま先側に約60度で傾斜させ(C-4)つま先側からかかと側に,,かけて徐々に縦方向に長くし点で共通するものである。 <差異点>両意匠は,以下の点に差異がある。 すなわち,両意匠は,本件実線部分がミッドソールに隣接した部分であるのに対し,引用意匠2相当部分は,ミッドソールのやや上部に設けられた部分である点で,その部分の当該物品全体の形態の中での 異がある。 すなわち,両意匠は,本件実線部分がミッドソールに隣接した部分であるのに対し,引用意匠2相当部分は,ミッドソールのやや上部に設けられた部分である点で,その部分の当該物品全体の形態の中での位置に差異がある。 また,本件実線部分と引用意匠2相当部分の形態において(a)その略変形台形状の外周形,状について(a-1)本件登録意匠は,底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界をなすやや上方へ,湾曲した線としているのに対し,引用意匠2は,ミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部にミッドソールに平行に引かれた直線としている点(a-2)かかと側の斜辺を,本件登録意匠,は,つま先側に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線とするのに対し,,,引用意匠2はつま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線としている点a-3本件登録意匠は上方の2つの角を湾曲させてアール形状としたのに対し引用意匠2(),,は,角の湾曲がない点(b)その外周内側に形成される仕切り枠について(b-1)本件登録意,,匠は,3辺のみに沿って設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させているのに対し,引用意匠2は,外周の内側4辺に沿って仕切り枠は設けていない点(c)5本の略帯状,- 14 -凹部について(c-1)本件登録意匠は,3辺のみに仕切り枠を設け,底辺をミッドソール境界,,,,()線に隣接しているのに対し引用意匠2は凹部の間のみを仕切り枠で仕切っている点c-2本件登録意匠は,上方の2つの角を湾曲させてアール形状とし,4辺の長さが全て異なるとともに,上辺よりも下辺を長尺とした略四辺形としているのに対し,引用意匠2は,角をアール形状とせず,略長方形状としている点(c-3)本件登録意匠は,各々違った角度に傾斜させ ,4辺の長さが全て異なるとともに,上辺よりも下辺を長尺とした略四辺形としているのに対し,引用意匠2は,角をアール形状とせず,略長方形状としている点(c-3)本件登録意匠は,各々違った角度に傾斜させて,いるのに対し,引用意匠2は,5本とも同じ角度に傾斜させている点,及び(c-4)本件登録意匠は,メッシュ地としたのに対し,引用意匠2は,布地とした点に差異がある。 (3)本件登録意匠と引用意匠2との類否判断この種短靴や運動靴の使用状態等を考慮すると,靴を履いて使っている場合は,本人が上方から,また,他人が斜め上方から靴を視認するものであり,靴を着脱したり,運搬したりする場合は,その全体が視認されるものである。そして,この種靴の購入の際は,その全体の形態について注視するものである。したがって,この種靴の両側部分を構成する部分であり,ミッドソールの上部に設けられた略変形台形状の部分の意匠については,その形態の全体が需要者の注意を引くものと認められる。 そうすると,両意匠の基本的構成態様に係る差異点として,本件実線部分がミッドソールに隣接した部分であるのに対し,引用意匠2相当部分は,ミッドソールのやや上部に設けられた部分であるという位置の差異点(a)その略変形台形状の外周形状について(a-1)本件登録,,意匠は,底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界をなすやや上方へ湾曲した線としているのに対し,引用意匠2は,ミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部にミッドソールに平行に引かれた直線としている差異点(b)仕切り枠について(b-1)本件登録意匠は,3辺のみに沿っ,,て設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させているのに対し,引用意匠2は,外周の内側4辺に沿って仕切り枠は設けていない差異点,及び(c)5本の略帯状凹部につい,て(c-1)本 ,,て設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させているのに対し,引用意匠2は,外周の内側4辺に沿って仕切り枠は設けていない差異点,及び(c)5本の略帯状凹部につい,て(c-1)本件登録意匠は,3辺のみに仕切り枠を設け,底辺をミッドソール境界線に隣接し,ているのに対し,引用意匠2は,凹部の間のみを仕切り枠で仕切っている差異点がある。これ,,,らの差異点は外周の仕切り枠の有無という両意匠の基本的構成態様に係る差異でありまた外周縁部全体に係るもので,大きな割合を占める構成態様における差異であり,看者の注意を- 15 -引くものである。そして,この基本的構成態様に係る外周縁部の差異点に加えて,具体的構成態様における差異点,すなわち(a)その略変形台形状の外周形状について(a-2)かかと側,,の斜辺を,本件登録意匠は,つま先側に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線とするのに対し,引用意匠2は,つま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線としている差異点(a-3)本件登録意匠は,上方の2つの角を湾曲させてアール形,状としたのに対し,引用意匠2は,角の湾曲がない差異点(c)5本の略帯状凹部について,,(c-2)本件登録意匠は,上方の2つの角を湾曲させてアール形状とし,4辺の長さが全て異なるとともに,上辺よりも下辺を長尺とした略四辺形としているのに対し,引用意匠2は,角をアール形状とせず,略長方形状としている差異点,及び(c-3)本件登録意匠は,各々違っ,た角度に傾斜させているのに対し,引用意匠2は,5本とも同じ角度に傾斜させている差異点,,,が相俟って本件登録意匠は角丸のやや変化に富んだ柔らかい意匠的効果があるのに対して引用意匠2は,角張って直線的で堅い意匠的効果がある。したがっ 2は,5本とも同じ角度に傾斜させている差異点,,,が相俟って本件登録意匠は角丸のやや変化に富んだ柔らかい意匠的効果があるのに対して引用意匠2は,角張って直線的で堅い意匠的効果がある。したがって,基本的構成態様に係る外周縁部全体の構成態様の差異点と共に,各部の具体的構成態様における差異点が相俟って異なった意匠的効果があり,両意匠は全体として異なる美感を起こさせるものである。 ,,(),,これに対して両意匠の共通する構成態様Aその外周形状について略変形台形状とし(B)その外周内に仕切り枠を縦に4本設け,枠内を5等分し仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を5本形成し(C)この仕切り枠によって形成される5本の略帯状凹部について(C-2)略,,四辺形とし(C-3)5本ともつま先側に約60度で傾斜させ(C-4)つま先側からかかと側に,,かけて徐々に縦方向に長くした構成態様は,両意匠の基本的構成態様のある程度の部分を占めるものであるが,しかし,上記のとおり,基本的構成態様の大きな部分を占める外周縁部の構成態様において差異があり,両意匠は,基本的構成態様において相違する。 ,,,()また両意匠の共通する構成態様は下記のように引用意匠2の公知日2005年8月以前から広く知られた構成態様であって,新規な創作性があるものではなく,格別看者の注意を引くものではない。 すなわち(A)その外周形状について,略変形台形状とし(B)その内を5等分し同幅の略,,帯状部を5本形成し(C)5本の略帯状部について(C-2)略四辺形とし(C-3)5本ともつ,,,- 16 -ま先側に約60度で傾斜させ(C-4)つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くした,構成態様は,上記の公知意匠(7)ないし公知意匠(13)に見られるように引 本ともつ,,,- 16 -ま先側に約60度で傾斜させ(C-4)つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くした,構成態様は,上記の公知意匠(7)ないし公知意匠(13)に見られるように引用意匠2の公知日前にすでに広く知られたものである。 したがって,両意匠の共通する構成態様は,引用意匠2の公知日以前から広く知られた構成態様であって,新規な創作性があるものではなく,格別看者の注意を引くものではないから,(本件登録意匠の3辺枠とした基本的構成態様や外周縁部全体の構成態様も,格別新規で創作性のある態様とはいえないとしても)両意匠は,基本的構成態様の大きな部分を占める外周,縁部全体の構成態様において差異があり,基本的構成態様において相違すると共に,各部の具体的構成態様が相俟って異なった意匠的効果があり,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として異なる美感を起こさせるものであり,類似しない。 (4)小括以上のように,本件登録意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された引用意匠2に類似するものではなく,本件意匠登録は,意匠法第3条1項3号の規定に違反してされたものではない。 5.無効理由3について(1)引用意匠3引用意匠3は,その出願前に日本国内又は外国において公然知られたもので,意匠に係る物品が運動靴(スニーカー)で,その形態が甲第5号証(カタログ「FIRSTQUARTER2003」に掲載された広告)及び甲第6号証(請求人商品「ORIGIN」の2001年の広告)の写真に現したとおりのものである。 すなわち,引用意匠3の本件実線部分に相当する部分(以下「引用意匠3相当部分」とい,う)は,靴甲部の両側面を構成する部分であり,ミッドソールに隣接してその上部に設けら。 れた略変形台形状の部分である。そして,引用意 3の本件実線部分に相当する部分(以下「引用意匠3相当部分」とい,う)は,靴甲部の両側面を構成する部分であり,ミッドソールに隣接してその上部に設けら。 れた略変形台形状の部分である。そして,引用意匠3相当部分の形態は(A)その外周形状に,ついて(A-1)底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界のほぼ直線とし(A-2)上辺を,靴甲部,,に配置した鳩目に相当する部分の側部,靴甲部の稜線の傾斜角度と略平行に傾斜して引いた直線とし(A-3)つま先側の斜辺を,つま先側に約60度傾斜して引いた直線とし(A-4)かか,,- 17 -と側の斜辺を,つま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線とし(A-5),,(),その4辺により囲まれた略変形台形状としB その外周内側に形成される仕切り枠について(),(),B-1外周の内側4辺に沿って仕切り枠は設けずB-2外周内に縦に4本仕切り枠を設け外周内を5等分し仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を5本形成し(C)この仕切り枠によって,形成される5本の略帯状凹部について(C-1)凹部の間のみを仕切り枠で仕切り(C-2)角を,,アール形状とせず,略長方形状とし(C-3)5本ともつま先側に約60度で同じ角度に傾斜さ,せ(C-4)つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くし(C-5)メッシュ地としたも,,のである。 (2)本件登録意匠と引用意匠3との対比両意匠を対比すると,以下の共通点と差異点がある。 <共通点>両意匠は,以下の点で共通する。 すなわち,両意匠は,意匠に係る物品が「短靴」と「運動靴」で類似し,本件実線部分と引用意匠3相当部分が,靴の両側部分を構成する部分であり,ミッドソールに隣接してその上部に設けられた略変形台形状の部分であり,その部分の用途及び機能,そ が「短靴」と「運動靴」で類似し,本件実線部分と引用意匠3相当部分が,靴の両側部分を構成する部分であり,ミッドソールに隣接してその上部に設けられた略変形台形状の部分であり,その部分の用途及び機能,そして,当該物品全体の形態の中での位置,大きさ,範囲が共通する。 ,,(),()また本件実線部分と引用意匠3相当部分の形態においてA その外周形状についてA-1底辺を,ミッドソールと靴甲部の境界線の線とし(A-2)上辺を,靴甲部に配置した鳩目に相,当する部分の側部,靴甲部の稜線の傾斜角度と略平行に傾斜して引いた直線とし(A-3)つま,先側の斜辺を,つま先側に約60度傾斜して引いた直線とし(A-4)かかと側の斜辺を,つま,先側に約60ないし50度傾斜して引いた直線とし(A-5)その4辺により囲まれた略変形台,形状とし(B)その外周内側に形成される仕切り枠について(B-1)外周内に縦に4本設け,,,枠内を5等分し仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を5本形成し(C)この仕切り枠によって形,成される5本の略帯状凹部について(C-1)凹部の間のみを仕切り枠で仕切り(C-2)略四辺,,形とし(C-3)5本ともつま先側に約60度で傾斜させ(C-4)つま先側からかかと側にかけ,,て徐々に縦方向に長くし(C-5)メッシュ地とした点で共通するものである。 ,- 18 -<差異点>両意匠は,以下の点に差異がある。 すなわち,本件実線部分と引用意匠3相当部分の形態において(a)その略変形台形状の外,,(),,,周形状についてa-1本件登録意匠は底辺をやや上方へ湾曲した線としているのに対し引用意匠3は,ほぼ直線としている点(a-2)かかと側の斜辺を,本件登録意匠は,つま先側,に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度 本件登録意匠は底辺をやや上方へ湾曲した線としているのに対し引用意匠3は,ほぼ直線としている点(a-2)かかと側の斜辺を,本件登録意匠は,つま先側,に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線としているのに対し,引用意,,()匠3はつま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線としている点a-3本件登録意匠は,上方の2つの角を湾曲させてアール形状としたのに対し,引用意匠3は,角の湾曲がない点bその外周内側に形成される仕切り枠についてb-1本件登録意匠は ,(),(),辺のみに沿って設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させているのに対し,引用意匠3は,外周の内側4辺に沿って仕切り枠は設けていない点(c)5本の略帯状凹部につ,いて(c-1)本件登録意匠は,3辺のみに仕切り枠を設け,底辺をミッドソール境界線に隣接,しているのに対し,引用意匠3は,凹部の間のみを仕切り枠で仕切っている点(c-2)本件登,録意匠は,上方の2つの角を湾曲させてアール形状とし,4辺の長さが全て異なるとともに,上辺よりも下辺を長尺とした略四辺形としているのに対し,引用意匠3は,角をアール形状とせず,略長方形状としている点,及び(c-3)本件登録意匠は,各々違った角度に傾斜させているのに対し,引用意匠1は,5本とも同じ角度に傾斜させている点に差異がある。 (3)本件登録意匠と引用意匠3との類否判断この種短靴や運動靴の使用状態等を考慮すると,靴を履いて使っている場合は,本人が上方から,また,他人が斜め上方から靴を視認するものであり,靴を着脱したり,運搬したりする場合は,その全体が視認されるものである。そして,この種靴の購入の際は,その全体の形態について注視するものである。したがって,この種靴の両側部分を構成 認するものであり,靴を着脱したり,運搬したりする場合は,その全体が視認されるものである。そして,この種靴の購入の際は,その全体の形態について注視するものである。したがって,この種靴の両側部分を構成する部分であり,ミッドソールの上部に設けられた略変形台形状の部分の意匠については,その形態の全体が需要者の注意を引くものと認められる。 そうすると,両意匠の基本的構成態様に係る差異点として(b)仕切り枠について(b-1),,本件登録意匠は,3辺のみに沿って設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させ- 19 -ているのに対し,引用意匠3は,外周の内側4辺に沿って仕切り枠は設けていない差異点,及び(c)5本の略帯状凹部について(c-1)本件登録意匠は,3辺のみに仕切り枠を設け,底,,辺をミッドソール境界線に隣接しているのに対し,引用意匠3は,凹部の間のみを仕切り枠で仕切っている差異点がある。これらの差異点は,外周の仕切り枠の有無という両意匠の基本的構成態様に係る差異であり,また,外周縁部全体に係るもので,大きな割合を占める構成態様における差異であり,看者の注意を引くものである。そして,この基本的構成態様に係る外周縁部の差異点に加えて,具体的構成態様における差異点,すなわち(a)その略変形台形状の,外周形状について(a-1)本件登録意匠は,底辺を,やや上方へ湾曲した線としているのに対,し,引用意匠3は,直線としている差異点(a-2)かかと側の斜辺を,本件登録意匠は,つま,先側に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線とするのに対し,引用意匠3は,つま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線としている差異点,a-3本件登録意匠は上方の2つの角を湾曲させてアール形状としたのに対し引用意匠3() のに対し,引用意匠3は,つま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線としている差異点,a-3本件登録意匠は上方の2つの角を湾曲させてアール形状としたのに対し引用意匠3(),,は角の湾曲がない差異点c5本の略帯状凹部についてc-2本件登録意匠は上方の2,,(),(),つの角を湾曲させてアール形状とし,4辺の長さが全て異なるとともに,上辺よりも下辺を長尺とした略四辺形としているのに対し,引用意匠3は,角をアール形状とせず,略長方形状としている差異点,及び(c-3)本件登録意匠は,各々違った角度に傾斜させているのに対し,,引用意匠3は,5本とも同じ角度に傾斜させている差異点が相俟って,本件登録意匠は,角丸のやや変化に富んだ柔らかい意匠的効果があるのに対して,引用意匠3は,角張って直線的で堅い意匠的効果がある。したがって,基本的構成態様に係る外周縁部全体の構成態様の差異点と共に,各部の具体的構成態様における差異点が相俟って異なった意匠的効果があり,両意匠は全体として異なる美感を起こさせるものである。 ,,(),,これに対して両意匠の共通する構成態様Aその外周形状について略変形台形状とし(B)その外周内に仕切り枠を縦に4本設け,枠内を5等分し仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を5本形成し(C)この仕切り枠によって形成される5本の略帯状凹部について(C-2)略,,四辺形とし(C-3)5本ともつま先側に約60度で傾斜させ(C-4)つま先側からかかと側に,,かけて徐々に縦方向に長くした構成態様は,両意匠の基本的構成態様のある程度の部分を占め- 20 -るものではあるが,しかし,上記のとおり,基本的構成態様の大きな部分を占める外周縁部の構成態様において差異があり,両意匠は,基本的構成態 は,両意匠の基本的構成態様のある程度の部分を占め- 20 -るものではあるが,しかし,上記のとおり,基本的構成態様の大きな部分を占める外周縁部の構成態様において差異があり,両意匠は,基本的構成態様において相違するといわねばならない。 ,,,()また両意匠の共通する構成態様は下記のように引用意匠3の公知日2001年6月以前から広く知られた構成態様であって,新規な創作性があるものではなく,格別看者の注意を引くものではない。 すなわち(A)その外周形状について,略変形台形状とし(B)その内を5等分し同幅の略,,帯状部を5本形成し(C)5本の略帯状部について(C-2)略四辺形とし(C-3)5本ともつ,,,ま先側に約60度で傾斜させ(C-4)つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くした,構成態様は,上記公知意匠(7)ないし(11)に見られるように引用意匠3の公知日前にすでに広く知られたものである。 したがって,両意匠の共通する構成態様は,引用意匠3の公知日以前から広く知られた構成態様であって,新規な創作性があるものではなく,格別看者の注意を引くものではないから,(本件登録意匠の3辺枠とした基本的構成態様や外周縁部全体の構成態様も,格別新規で創作性のある態様とはいえないとしても)両意匠は,基本的構成態様の大きな部分を占める外周,縁部全体の構成態様において差異があり,基本的構成態様において相違すると共に,各部の具体的構成態様が相俟って異なった意匠的効果があり,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として異なる美感を起こさせるものであり,類似しない。 (4)小括以上のように,本件登録意匠は,その出願前に日本国内又は外国において公然知られた引用意匠3に類似するものではなく,本件意匠登録は,意匠法第3条1項3号の規定に違反して であり,類似しない。 (4)小括以上のように,本件登録意匠は,その出願前に日本国内又は外国において公然知られた引用意匠3に類似するものではなく,本件意匠登録は,意匠法第3条1項3号の規定に違反してされたものではない。 6.無効理由4について(1)本件登録意匠の創作非容易性について本件登録意匠と,引用意匠1ないし3とは,上記のように基本的構成態様及び具体的構成態様において,多くの点で差異があり,引用意匠1ないし3を組み合わせたとしても本件登録意- 21 -匠の構成態様を形成することはできない。したがって,本件登録意匠は,引用意匠1ないし3に基づき容易に創作できたものではない。 なお,請求人は「引用意匠1においては5つの凹部の下端は底辺よりも上方に配置され,,ミッドソールと接触していない,という点については,略長方形状のメッシュ状の空気穴が,ミッドソールと靴甲部の境界にまで伸びている引用意匠3と組み合わせることによって容易に」。 ,,創作できるものである旨主張するしかし引用意匠1の底辺部をミッドソールに隣接させ底辺部の仕切り枠をなくしたとしても,その結果形成される構成態様は,本件登録意匠の構成態様と対比すると(a)その略変形台形状の外周形状について(a-2)かかと側の斜辺を,本,,件登録意匠は,つま先側に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線とするのに対し,引用意匠1は,つま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線と,(),,している点a-3本件登録意匠は上方の2つの角を湾曲させてアール形状としたのに対し引用意匠1は,角の湾曲がない点(c)5本の略帯状凹部について(c-2)本件登録意匠は,,,上方の2つの角を湾曲させてアール形状としているのに対し,引用意匠1は,角をアール形状 形状としたのに対し引用意匠1は,角の湾曲がない点(c)5本の略帯状凹部について(c-2)本件登録意匠は,,,上方の2つの角を湾曲させてアール形状としているのに対し,引用意匠1は,角をアール形状としていない点(c-3)本件登録意匠は,各々違った角度に傾斜させているのに対し,引用意,匠1は,5本とも同じ角度に傾斜させている点に差異があり,引用意匠1と引用意匠3とを組み合わせることによって本件登録意匠が容易に創作できるものではない。 (2)小括以上のように,本件登録意匠は,本件意匠登録出願前に本件登録意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,引用意匠1ないし3の形状等に基づいて容易に創作することができたものではなく,本件意匠登録は,意匠法第3条第2項に違反してされたものではない」。 第3審決取消事由の要点 取消事由1(本件意匠と引用意匠1の類似性判断の誤り)(1)審決は,本件意匠と引用意匠1との共通点及び差異点を認定した上,両意匠の共通する構成態様は,引用意匠1の公知日以前から広く知られた構成態様であって,新規な創作性があるものではなく,格別看者の注意を引くものではないとし,- 22 -両意匠は,基本的構成態様の大きな部分を占める底辺部の構成態様において差異があり,基本的構成態様において相違すると共に,各部の具体的構成態様が相俟って異なった意匠的効果があり,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として異なる美感,,。 を起こさせるものであり類似しないと判断しているが審決の判断は誤りである(2)スニーカーにおける靴側面の図形は,単純な靴のデザインの一部という意味を超え,一般的に,どのメーカーのスニーカーであるかを識別するための,いわばそのスニーカーの「顔」として認識されている「ナイキ」の「スウォッシュマー。 ク「アディ 純な靴のデザインの一部という意味を超え,一般的に,どのメーカーのスニーカーであるかを識別するための,いわばそのスニーカーの「顔」として認識されている「ナイキ」の「スウォッシュマー。 ク「アディダス」の3本のラインマーク「ニューバランス」の「N」字のマー」,,ク「アシックス」のストライプマーク等が存在する中で,原告である「ケイスイ,ス」は斜めになった5本の帯状の図形をその製造する靴側面に付しており,これらは看者の注意を強く惹くものである。 原告が1987年にスニーカーの側面に5本の斜線を施した標章について商標登録出願を行ったがこれが商標登録されたのは使用による顕著性が認められた10,,年後の1997年であったのに対し「アディダス」が2000年にスニーカーの,側面に3本の斜線を付した標章について商標登録出願を行った際には,翌年に商標登録されたことからも,2000年ころ以降は,スニーカーの側面に付された図形について,一般人が強く着目するようになったことが分かる。 審決が5本の略帯状部を有するものとして挙げる公知意匠(7)~(13)のうち,同(8),(9)及び(11)は原告の製品であり,同(10)も原告の製品である可能性がある。 同(7)は5本の帯状部が隙間なく連続しているため本件意匠及び引用意匠1とも異なるものであり,公知意匠(13)は4本の略帯状部を有するものがそれによって区切られた側面部の地の部分が5本に見えるにすぎない。公知意匠(12)は,5本の略帯状部の傾斜角度及びその形状が本件意匠及び引用意匠1と明らかに異なるものである。 そうすると,両意匠の共通点である「靴側面に付された略台形状の外周内に,斜めに配置された5本の帯状の凹部からなる」という点は,看者の注意を惹くもので- 23 -あって本件意匠の要部であるというべきであ すると,両意匠の共通点である「靴側面に付された略台形状の外周内に,斜めに配置された5本の帯状の凹部からなる」という点は,看者の注意を惹くもので- 23 -あって本件意匠の要部であるというべきであり,これを共通にする本件意匠と引用意匠1には強い類似性が認められる。 (3)審決の認定する差異点は,①意匠の底辺がミッドソールに隣接した部分まで延びているか否か,②意匠の上辺及び5本の略帯状凹部の上方をアール形状としているか否か,③5本の略帯状凹部の傾斜の角度が各々違った角度であるか否かの3点にまとめることができる。 そして,①の差異点は靴の底面に付される意匠としては特に顕著な相違を生じるものではなく,ほぼ同一のデザインにおけるバリエーションとして,ミッドソールに隣接した部分まで延びているものと,その上部で止まっているものの両方があるなど,かかるデザインのバリエーションはスニーカーにはよく見られるものであるから,この点を捉えて「基本的構成態様の大きな部分を占める底辺部の構成態様について差異があり,基本的構成態様において相違する」とした審決の判断は誤りである。 また,②の差異点は僅少なものである上,引用意匠1も決して意匠の上方及び略帯状凹部の上方が完全な角を形成しているものではなく,緩やかなアール形状となっているものである。 さらに,③の差異点も,本件意匠の5本の略帯状凹部に係る傾斜角度の違いは僅かであり,通常はかかる角度の違いなどはおよそ認識されるものではない。 そして,本件意匠の①~③に係る態様のいずれも,本件意匠登録出願時において公知である原告の1999年のカタログ「CLUBK・SWISS(甲第16」)(「」。),号証に掲載されている意匠以下引用意匠4というが備える要素でありありふれたものである。 (4)以上によ 999年のカタログ「CLUBK・SWISS(甲第16」)(「」。),号証に掲載されている意匠以下引用意匠4というが備える要素でありありふれたものである。 (4)以上によると,審決が認定した本件意匠と引用意匠1の共通点のうち「靴側面に付された略台形状の外周内に,斜めに配置された5本の帯状の凹部からなる」点は本件意匠の要部というべきであり,また,審決が認定する両意匠の差異点はいずれも僅少な差であって,本件意匠と引用意匠1が「意匠全体として異なる美観を- 24 -起こさせるもの」ということはできないから,本件意匠と引用意匠1が類似しないとした審決の判断は誤りである。 取消事由2(本件意匠と引用意匠2の類似性判断の誤り)審決は,本件意匠と引用意匠2についても類似しないと判断したが,この判断は誤りである。 引用意匠2は,引用意匠1にかなりの部分で類似しており,ただ,5本の略帯状凹部の内部がメッシュ地ではなく布地となっているものであるから,それ以外の点の類否については取消事由1において主張したところが当てはまる。 審決は,引用意匠2は外周の内側4辺に沿って仕切り枠は設けておらず,凹部の間のみを仕切り枠で仕切っている差異点があるとする。 しかしながら,引用意匠2においても,5本の略帯状凹部を前後からはさむ靴甲部の生地,また鳩目部分に使用される生地により,外周部分にも仕切り枠に相当する部分は存在するものであるから,これが存在しないものとした上「外周の仕切,り枠の有無という両意匠の基本的構成態様に係る差異」があるとした審決の判断は誤りである。 取消事由3(本件意匠と引用意匠3の類似性判断の誤り)審決は,本件意匠と引用意匠3についても類似しないと判断したが,この判断は誤りである。 引用意匠3は,引用意匠1及び2とかなり 誤りである。 取消事由3(本件意匠と引用意匠3の類似性判断の誤り)審決は,本件意匠と引用意匠3についても類似しないと判断したが,この判断は誤りである。 引用意匠3は,引用意匠1及び2とかなりの部分で類似しており,ただ,5本の略帯状凹部が,ミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部に置かれているのではなく,ミッドソールに隣接した部分まで延びているものである。 したがって,本件意匠と引用意匠3との関係では,本件意匠と引用意匠1の間に存した差異点①~③のうち,①の差異点は存在しない。 審決は,本件意匠においては底辺が「やや上方へ湾曲した線」であるのに対し,- 25 -引用意匠3においては「ほぼ直線としている」という差異があるとするが,かかる差異は僅少なものであり,両意匠の類似性を否定するものではない。 また,審決は,引用意匠2についてと同様に,引用意匠3は,外周の内側4辺に沿って仕切り枠は設けておらず,凹部の間のみを仕切り枠で仕切っている差異点があるとするが,引用意匠2についてと同様の理由により,この点の審決の判断は誤りである。 取消事由4(創作容易性についての判断の誤り)審決は,引用意匠1及び同3の組合せについて,たとえ引用意匠1を同3のようにミッドソールと靴甲部の境界にまで延ばしたとしても,本件意匠との間では,意匠の上方及び5本の略帯状凹部の上方をアール形状としている点,5本の略帯状凹部の傾斜の角度が各々違った角度である点について差異が残るため,引用意匠1と同3を組み合わせることによって,本件意匠が容易に創作できるものではないとする。 しかしながら,そもそも本件意匠の上方及び5本の略帯状凹部の上方のアール形状は,全体の意匠の大きさからすれば僅かなものであって,かかる僅少な差異は,全体の構成要素の強い類似性からみて無視できるほど小さ かしながら,そもそも本件意匠の上方及び5本の略帯状凹部の上方のアール形状は,全体の意匠の大きさからすれば僅かなものであって,かかる僅少な差異は,全体の構成要素の強い類似性からみて無視できるほど小さいものでありまた5,,,本の略帯状凹部の傾斜の角度が各々違った角度であるという点についても,非常に僅かな角度の違いであって,他の強い類似性を凌駕して両意匠を異ならしめるものではないから,審決の判断は誤りである。 第4被告の主張の要点 取消事由1(本件意匠と引用意匠1の類似性判断の誤り)に対して(1)原告は,審決が認定した本件意匠と引用意匠1の共通点のうち「靴側面に付された略台形状の外周内に,斜めに配置された5本の帯状の凹部からなる」点は本件意匠の要部というべきであって,審決が認定する両意匠の差異点はいずれも僅少- 26 -な差であり「意匠全体として異なる美観を起こさせるもの」ということはできな,いと主張する。 しかしながら,審決が本件意匠と引用意匠1の共通する構成態様は引用意匠1の,,公知日以前から広く知られた構成態様であって新規な創作性があるものではなく格別看者の注意を惹くものではないと判断したことに誤りはない。靴は手に持ってみることができることから,店頭などにおいて需要者・取引者は靴を手にとって全体を詳細に見分するものであり,特定の部分のみを注視して他の部分を軽く見る等の区別をすることはなく,全体が需要者・取引者の注意を惹くものであることは経験則から明らかであり,この場合において,公知部分が看者の注意を惹かないことは当然である。 原告は,この点に関し,スニーカーにおける靴側面の図形は単純な靴のデザイン,「」,の一部という意味を超えスニーカーの顔として認識されている旨主張するが,,,この点は上記審決の判断と 。 原告は,この点に関し,スニーカーにおける靴側面の図形は単純な靴のデザイン,「」,の一部という意味を超えスニーカーの顔として認識されている旨主張するが,,,この点は上記審決の判断とは全く関連性がない上に原告提出の証拠においても一部のメーカーのものが取り上げられているにすぎず,また,靴側面の図は少量であって,上面,正面,全面,斜め上方からの写真が圧倒的に多いのであり,そもそ「『』」。 も靴側面の図形がスニーカーの顔となっているということは到底できない,「」(2)原告は意匠の底辺がミッドソールに隣接した部分まで延びているか否かについて,このようなデザインの違いは,スニーカーには一般的に認められるデザインのバリエーションの違いにすぎないと主張する。 しかしながら,このようなバリエーションは,原告提出の証拠(甲第7,第8,第17~第19号証)においていくつかの例が示されているのみである上,これらは3本の線を側面に表示した靴についてのものであるから,本件意匠と引用意匠1のデザインの差異がバリエーションの違いであることを示すものではない。5本線を表示した靴についての引用意匠4を考慮しても「靴の側面に付された図形の底,辺がミッドソールに隣接した部分まで延びて」いない意匠の方がはるかに多い。 また,原告は「意匠の上方及び5本の略帯状凹部の上方をアール形状としてい,- 27 -るか否か」について,引用意匠1も,意匠の上方及び略帯状凹部の上方が完全な角を形成しているものではなく,緩やかなアール形状となっていると主張する。 しかしながら,肉眼により観察した限りでは,引用意匠1の該当部分に「緩やかなアール形状」を明確に認識することはできない。仮に,該当部分を拡大すればこれが存在するとしても,通常の取引における観察方法に しかしながら,肉眼により観察した限りでは,引用意匠1の該当部分に「緩やかなアール形状」を明確に認識することはできない。仮に,該当部分を拡大すればこれが存在するとしても,通常の取引における観察方法によって確認し得ないようなものは,類比判断の対象とはならないというべきである。 さらに,原告は「5本の略帯状凹部の傾斜の角度が各々違った角度であるか否,か」について,傾斜の角度は僅かであり,通常はかかる角度の違いなどはおよそ認識されるものではないと主張するが,本件意匠の5本の略帯状凹部の傾斜が各々違った角度であることは,拡大図を見るまでもなく,通常の取引時の肉眼による観察においても明らかに認識することができるものであり,引用意匠4がそのようなものであるとしても,そのことのみによってこのような意匠がありふれたものであるということはできない。 (3)したがって,原告の主張は失当であり,本件意匠と引用意匠1の類似性についての審決の判断に誤りはない。 取消事由2(本件意匠と引用意匠2の類似性判断の誤り)に対して原告は,引用意匠2は,引用意匠1にかなりの部分で類似しており,ただ,5本の略帯状凹部の内部がメッシュ地ではなく布地となっているものであるから,それ以外の点の類否については取消事由1において主張したところが当てはまると主張する。 しかしながら,そもそも引用意匠1と同2は全く別の意匠であり,本件意匠と引用意匠2の差異点が本件意匠と引用意匠1の差異点と共通性を有することはあり得ない。また,本件意匠と引用意匠1は非類似のものであることは上記1のとおりであるから,引用意匠2が引用意匠1に「かなりの部分」で類似するとしても,本件意匠と引用意匠2は非類似というほかない。 - 28 -さらに「5本の略帯状凹部の前後からはさむ靴甲部の生地,また鳩目部分に使 から,引用意匠2が引用意匠1に「かなりの部分」で類似するとしても,本件意匠と引用意匠2は非類似というほかない。 - 28 -さらに「5本の略帯状凹部の前後からはさむ靴甲部の生地,また鳩目部分に使,用される生地」からは,一定幅を有する仕切り枠を本件意匠のように視覚により全く確認することはできず,引用意匠2にも「仕切り枠に相当する部分」があるとすることはできないし,本件意匠は,仕切り枠によって内部に配置した5本の略帯状凹部がまとまって一体的に配置された印象を与えるのに対し,引用意匠2にはこのような仕切り枠が設けられていることが視覚により全く確認できないため,内部に配置した5本の略帯状凹部が全体的にまとまりなく,ばらけた状態で配置された印象を与えるものである。 したがって,原告の主張は失当であり,本件意匠と引用意匠2の類似性についての審決の判断に誤りはない。 取消事由3(本件意匠と引用意匠3の類似性判断の誤り)に対して原告は引用意匠3は引用意匠1及び2とかなりの部分で類似しておりただ5,,,,本の略帯状凹部が,ミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部に置かれているのではなく,ミッドソールに隣接した部分まで延びているものであると主張する。 しかしながら,そもそも引用意匠3は,引用意匠1及び同2とは全く別の意匠であり,本件意匠と引用意匠2の差異点が本件意匠と引用意匠1及び同2の差異点と共通性を有することはあり得ない。また,本件意匠と引用意匠1及び同2は非類似のものであることは上記1のとおりであるから,引用意匠3が引用意匠1及び同2に「かなりの部分」で類似するとしても,本件意匠と引用意匠3は非類似というほかない。 さらに,上記2と同様,引用意匠3からは「仕切り枠に相当する部分」がある,とすることはできないし,そのために本件意匠と引用 の部分」で類似するとしても,本件意匠と引用意匠3は非類似というほかない。 さらに,上記2と同様,引用意匠3からは「仕切り枠に相当する部分」がある,とすることはできないし,そのために本件意匠と引用意匠3は異なる印象を与えるものである。 ,。 したがって本件意匠と引用意匠3の類似性についての審決の判断に誤りはない- 29 - 取消事由4(創作容易性についての判断の誤り)に対して原告は,引用意匠1と同3を組み合わせることによって本件意匠を創作することは容易である旨主張するが,これを具体的に理由付ける主張をしておらず,失当であって,本件意匠の創作容易性についての審決の判断に誤りはない。 第5当裁判所の判断 取消事由1(本件意匠と引用意匠1の類似性判断の誤り)について原告は,本件意匠と引用意匠1の共通点のうち「靴側面に付された略台形状の外周内に,斜めに配置された5本の帯状の凹部からなる」点は本件意匠の要部というべきであり,また,審決が認定する両意匠の差異点はいずれも僅少な差であって,本件意匠と引用意匠1が「意匠全体として異なる美観を起こさせるもの」ということはできないから,本件意匠と引用意匠1が類似しないとした審決の判断は誤りであると主張するので,以下,この点について検討する。 (1)本件意匠と引用意匠1の類似性についての審決の判断ア共通点の認定審決は,本件意匠と引用意匠1の意匠に係る物品が「短靴」と「運動靴」で類似しているとしたほか,両意匠の共通点につき,次のように認定した。 (ア)部分意匠である本件意匠と引用意匠1の相当部分は,いずれも靴の両側部分を構成する部分であって,ミッドソールの上部に設けられた略変形台形状の部分であり,その用途及び機能,物品全体の形態の中での位置,大きさ,範囲がほぼ共通する。 (イ)外周形状につい れも靴の両側部分を構成する部分であって,ミッドソールの上部に設けられた略変形台形状の部分であり,その用途及び機能,物品全体の形態の中での位置,大きさ,範囲がほぼ共通する。 (イ)外周形状について,底辺をミッドソールと靴甲部の境界線の上部の線,上辺を靴甲部に配置した鳩目に相当する部分の側部に靴甲部の稜線の傾斜角度と略平行に傾斜して引いた直線とし,つま先側斜辺をつま先側に約60度傾斜して引いた直線かかと側斜辺をつま先側に約50~60度傾斜して引いた直線としてこれら4,,辺により囲まれた略変形台形状とする点で共通する。 - 30 -(ウ)さらに,外周の内側3辺に沿って設けられた仕切り枠と,外周に沿う枠内に縦に4本設けられた仕切り枠によって枠内を5等分し,仕切り枠とほぼ同幅の略帯状凹部を5本形成し,各仕切り枠によって形成される5本の略帯状凹部につき,3辺を仕切り枠で囲み,4辺の長さが全て異なるとともに,上辺よりも下辺を長尺とした略四辺形とし,5本ともつま先側に約60度で傾斜させ,つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くし,メッシュ地とした点で共通する。 イ差異点の認定審決は当該物品全体の形態の中での位置につき部分意匠である本件意匠はミッ,,ドソールに隣接した部分であるのに対し,引用意匠1の相当部分はミッドソールのやや上部に設けられた部分である点で差異があるとしたほか,本件意匠と引用意匠1の差異点につき,次のように認定した。 (ア)略変形台形状の外周形状につき,本件意匠は底辺をミッドソールと靴甲部の境界をなすやや上方へ湾曲した線としているのに対し,引用意匠1は底辺をミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部にミッドソールに平行に引かれた直線としている点,本件意匠はかかと側の斜辺をつま先側に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは しているのに対し,引用意匠1は底辺をミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部にミッドソールに平行に引かれた直線としている点,本件意匠はかかと側の斜辺をつま先側に約50度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線としたのに対し,引用意匠1はつま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線としている点,本件意匠は上方の2つの角を湾曲させてアール形状としたのに対し,引用意匠1は角に湾曲がない点で差異がある。 (イ)外周内側に形成される仕切り枠につき,本件意匠は3辺のみに沿って設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させているのに対し,引用意匠1は底辺にも設け,外周の内側4辺に沿って設けている点で差異がある。 (ウ)5本の略帯状凹部につき本件意匠は3辺のみに仕切り枠を設け底辺をミッ,,ドソール境界線に隣接しているのに対し,引用意匠1は4辺を仕切り枠で囲んでいる点,本件意匠は上方の2つの角を湾曲させてアール形状としたのに対し,引用意匠1は角をアール形状としていない点,本件意匠は各々違った角度に傾斜させてい- 31 -るのに対し,引用意匠1は5本とも同じ角度に傾斜させている点で差異がある。 ウ共通点及び差異点の評価審決は,上記ア,イの共通点及び差異点の認定を前提として,本件意匠と引用意匠1は,基本的構成態様において相違するとともに,各部の具体的構成態様における差異点が相俟って異なった意匠的効果があり,差異点が共通点を凌駕して,意匠全体として異なる美感を起こさせるものであると評価したものである。しかるところ,当該評価においては,差異点のうち,本件意匠はミッドソールに隣接した部分であるのに対し,引用意匠1の相当部分はミッドソールのやや上部に設けられた部分である点,外周形状につき,本件意匠は底辺をミッドソールと靴甲部の境 は,差異点のうち,本件意匠はミッドソールに隣接した部分であるのに対し,引用意匠1の相当部分はミッドソールのやや上部に設けられた部分である点,外周形状につき,本件意匠は底辺をミッドソールと靴甲部の境界線としているのに対し,引用意匠1は底辺をミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部に引かれた直線としている点,外周内側の仕切り枠につき,本件意匠は3辺のみ,,に沿って設け底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させているのに対し引用意匠は外周の内側4辺に沿って設けている点,5本の略帯状凹部につき,本件意匠は3辺のみに仕切り枠を設け,底辺をミッドソール境界線に隣接しているのに対し,引用意匠1は4辺を仕切り枠で囲んでいる点が,3辺枠か4辺枠かという両意匠の基本的構成態様に係り,かつ,大きな割合を占める底辺部全体の構成態様における差異であって,看者の注意を引くものであると判断され,他方,本件意匠と引用意匠1に共通する構成態様である,略変形台形状の外周形状枠内を仕切り枠によって等分して,ほぼ同幅の略帯状凹部を数本形成し,その各略帯状凹部を略四辺形とし,つま先側に約60度で傾斜させ,つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くした構成態様は公知意匠(1)~(6)により,また,略変形台形状の外周形状枠内を5等分して,同幅の略帯状部を5本形成し,その各略帯状部を略四辺形とし,つま先側に約60度で傾斜させ,つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くした構成態様(以下「5本の略帯状部に係る構成態様」という)は公知意。 匠(7)~(13)により,ぞれぞれ引用意匠1の公知日以前から広く知られた構成態様であり,新規な創作性があるものではないから,格別看者の注意を引くものではな- 32 -いと判断されている。 なお,公知意匠(1)~(6)の構成は以下のと 意匠1の公知日以前から広く知られた構成態様であり,新規な創作性があるものではないから,格別看者の注意を引くものではな- 32 -いと判断されている。 なお,公知意匠(1)~(6)の構成は以下のとおりである(公知意匠(7)~(13)の構成については,後記(2)において個別に示す。 。)【公知意匠(1)】【公知意匠(2)】【公知意匠(3)】【公知意匠(4)】【公知意匠(5)】【公知意匠(6)】- 33 -(2)審決が,上記(1)ウのとおり,5本の略帯状部に係る構成態様が格別看者の注意を引くものではないと評価した根拠は,公知意匠(7)~(13)から,同構成態様が引用意匠1の公知日以前において広く知られたものであるとする点にある。 そこで,これらの公知意匠について順次検討する。 公知意匠(7)は,意匠登録第406833号に係る「短靴」の意匠であって,その構成は下記のとおりであり,略変形台形状の外周形状を有するものと認められるものの,その内部の態様に関しては,4本のごく狭小の仕切り枠によって仕切られて5本の略帯状部が形成されたようにも見えるが,3本の略帯状部が,これらと同幅の仕切り枠によって仕切られて形成されたと見ることもでき,必ずしも5本の略帯状部を形成した構成態様であると即断することはできない。 【公知意匠(7)】公知意匠(8)は雑誌「FOOTWEARNEWS」6号45巻112頁所載の写真に示された「運動靴」の意匠,同(9)は同誌9号45巻44頁所載の写真に示された「運動靴」の意匠,同(11)は雑誌「モノマガジン」21号14巻187頁所- 34 -「」,。 載の写真に示された運動靴の意匠であってその各構成は下記のとおりである公知意匠(8),同(9)及び同(11)は,いずれも略変形台形状の外周形状内に5本のほぼ同幅の略 所- 34 -「」,。 載の写真に示された運動靴の意匠であってその各構成は下記のとおりである公知意匠(8),同(9)及び同(11)は,いずれも略変形台形状の外周形状内に5本のほぼ同幅の略帯状部を形成し,その各略帯状部を略四辺形とし,つま先側に約60度で傾斜させ,つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くしたものといえるが,上記各写真に示された「運動靴」には,いずれも,甲第4~第6,第16,第18号証所載の各原告製品に付された左記標章と同じ標章が付されており,このことに照らすと,これらの意匠は原告製品である運動靴に係るものと認められる。 【公知意匠(8)】【公知意匠(9)】- 35 -【公知意匠(11)】公知意匠(10)はカタログ「BELLEMAISON シューズデイズ」12頁所載の写真に示された「くつ」の意匠であって,その構成は下記のとおりであり,側面部に5本の,,,略帯状部を形成しその略帯状部を略四辺形としつま先側に約60度で傾斜させつま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くしたものであると認められる。 しかしながら,上記5本の略帯状部が略変形台形状の外周形状内に形成されていることについては,必ずしも明確に認識することができないものである。 【公知意匠(10)】公知意匠(12)は雑誌「ARSsutoria」296巻236頁所載の写真に示された「靴」の意匠であって,その構成は下記のとおりであり,略変形台形状の外周形状内に5本の略帯状部を形成し,つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くしたものといえるが,各略帯状部の上辺に相当する部分は,直線状の辺ではなく,アール形状をなしており,各略帯状部が略四辺形をなしているとはいい難い上,かかと側の略帯状部の傾斜角度は約60度より小さいことが一瞥して見て取れる 帯状部の上辺に相当する部分は,直線状の辺ではなく,アール形状をなしており,各略帯状部が略四辺形をなしているとはいい難い上,かかと側の略帯状部の傾斜角度は約60度より小さいことが一瞥して見て取れるものである。なお,略帯状部はメッシュ地となっており,下辺はミッドソールに隣接しているものと認められる。 - 36 -【公知意匠(12)】公知意匠(13)は意匠登録第1143438号に係る「短靴」の意匠であって,その構成は下記のとおりであり,ミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部でミッドソールに平行に引かれた直線を底辺とした略変形台形状の外周形状を有し,その内部に,下辺が上記略変形台形の底辺を超えてミッドソールと隣接する位置まで延長された4本の略帯状部を形成した態様のものである。もっとも,当該4本の略帯状部自体を仕切り枠と捉えれば,上記略変形台形状の外周形状枠内に配設された生地が,これによってその内部の4箇所で仕切られ,5本の略帯状部を形成したものと見られなくもないが,少なくとも,5本の略帯状部を形成したものと自然に感得し得るような態様のものということはできない。 【公知意匠(13)】そうすると審決が引用意匠1の公知日前にすでに広く知られたものとする5,「」,本の略帯状部に係る構成態様は,審決の挙げる公知意匠(7)~(13)のうち,公知意匠(8)~(11)において見られるのみであるというべきであるが,これらは,公知意- 37 -匠(10)の1例を除き,その余は,引用意匠1と同様(引用意匠1が原告製品である運動靴に係る意匠であることは,甲第2,第3号証によって認められる,原告製。)品である運動靴に係る意匠であると認められる。しかも,公知意匠(10)は,略変形台形状の外周形状について必ずしも明確に認識することができないことは上記のと ,第3号証によって認められる,原告製。)品である運動靴に係る意匠であると認められる。しかも,公知意匠(10)は,略変形台形状の外周形状について必ずしも明確に認識することができないことは上記のとおりである。 ,「」,(。),(3)ところで意匠法にいう意匠とは物品物品の部分を含むの形状模様若しくは色彩又はこれらの結合であって,視覚を通じて美感を起こさせるものをいうのであり意匠法2条1項同法3条1項3号が同項12号の意匠公(),,,(知意匠)と並んで,これに類似する意匠についても意匠登録を受けることができない旨規定しているのは,公知意匠に係る物品と同一又は類似の物品につき,公知意匠に類似する美感を起こさせるような意匠については,独占的実施権である意匠権を付与するに値しないと考えられるからであり,意匠権の効力が,登録意匠に類似する意匠,すなわち,登録意匠に係る物品と同一又は類似の物品につき,登録意匠と類似の美感を起こさせる意匠について及ぶものとされている(同法23条)ことと裏腹の関係にあるものである。 したがって,同法3条1項3号に係る意匠の類否判断とは,同号該当の有無が問題とされている意匠と公知意匠のそれぞれから生ずる美感の類否についての判断をいうものであり,その判断は,意匠に係る物品の全体(部分意匠については当該部分の全体)に係る構成態様及び各部の構成態様について認定した共通点及び差異点を,それらが類否判断に与える影響を各々評価した上で,それらを総合して行うべきものである。そして,その場合に,共通点又は差異点の認定に係る構成態様がよく知られたものであるときは,そのような構成態様は通常ありふれたものであるから,一般に看者の注意を引き難くなり,そのような構成態様に係る共通点又は差異点が類否判 点又は差異点の認定に係る構成態様がよく知られたものであるときは,そのような構成態様は通常ありふれたものであるから,一般に看者の注意を引き難くなり,そのような構成態様に係る共通点又は差異点が類否判断に及ぼす影響も相対的に小さいことが多く,したがって,両意匠の共通点をなす構成態様がよく知られたものであるときは,当該共通点によって両意匠が類似と判断される度合いは低くなることが多いということはできる。しかしなが- 38 -ら,ある物品に係る特定の製造販売者が,その製造販売に係る当該物品の特定の部位に,特定の構成態様からなる意匠を施し,そのような意匠が施された物品が,当該特定の製造販売者の製造販売に係る商品として,長年にわたり,多量に市場に流通してきたため,当該意匠の態様が,その製造販売者を表示するいわばロゴマークに相当するものとして,需要者に広く知られるに至ったような場合においては,当該物品に関する限り,そのような意匠の態様は,広く知られているからといって,看者の注意を引き難くなるものではなくむしろ広く知られているためにかえっ,,,て,その注意を引くものであることは明らかであり,そうであれば,そのような構成態様が共通する場合においては,その共通点が意匠の類否判断に及ぼす影響は,相対的に大きいものとなるというべきである。 しかるところ,上記(2)の認定事実に,甲第4~第6,第15,第16,第18号証及び弁論の全趣旨を総合すれば,5本の略帯状部に係る構成態様は,原告がその製造販売する運動靴(スニーカー)の側面に施してきたものであって,かかる意匠を施した運動靴が,原告の製造販売する商品として,長年にわたり,多量に市場に流通してきたために,本件意匠の登録出願日前までに,かかる5本の略帯状部に係る構成態様は,原告を表示するいわばロゴマークに相当 施した運動靴が,原告の製造販売する商品として,長年にわたり,多量に市場に流通してきたために,本件意匠の登録出願日前までに,かかる5本の略帯状部に係る構成態様は,原告を表示するいわばロゴマークに相当するものとして,需要者に広く知られるに至っていたものと認めることができる。そして,略変形台形状の外周形状について必ずしも明確に認識することのできない公知意匠(10)の1例が存在するのみでは,かかる認定を覆すに足りず,他にこの認定を左右するに足りる証拠はない。 そうすると,5本の略帯状部に係る構成態様が,広く知られているものであるゆえに格別看者の注意を引くものでないとした審決の評価は誤りといわざるを得ず,かかる構成態様は逆に看者の注意を引くものというべきである。 (4)そこで,本件意匠と引用意匠1の類否について検討するに,本件意匠と引用意匠1の意匠に係る物品が類似するほか,両意匠に上記(1)のアの各共通点が認められることは,審決の認定のとおりであるが,これらの共通点のうち,5本の略帯- 39 -状部に係る構成態様,すなわち,略変形台形状の外周形状枠内を5等分して,同幅の略帯状部を5本形成し,その各略帯状部を略四辺形とし,つま先側に約60度で傾斜させ,つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くした構成態様が,広く知られているものであるゆえに格別看者の注意を引くものでないとした審決の評価は誤りであって,かかる構成態様は逆に看者の注意を引くものであることは,上記(3)のとおりである。 そして5本の略帯状部に係る構成態様を含む略変形台形状の外周形状枠内を5,,等分して,メッシュ地よりなる同幅の略帯状凹部を5本形成し,その各略帯状凹部を略四辺形とし,つま先側に約60度で傾斜させた構成態様は,両意匠の意匠に係る物品におけるその位置関係,意匠全体に ,,等分して,メッシュ地よりなる同幅の略帯状凹部を5本形成し,その各略帯状凹部を略四辺形とし,つま先側に約60度で傾斜させた構成態様は,両意匠の意匠に係る物品におけるその位置関係,意匠全体に占めるその割合,その機能等にかんがみて,両意匠の最も特徴的な部分であり,看者の注意を強く引くものであると認めることができ,本件意匠と引用意匠1は,このような構成態様において共通するものである。 他方,本件意匠と引用意匠1に,上記(1)のイの各差異点(ただし,後記外周形状の上方つま先側の角の形状に関する点を除く)があることは,審決の認定のと。 おりである。そして,審決が,両意匠の基本的構成態様に係るものとして挙げた各差異点,すなわち,本件意匠はミッドソールに隣接した部分であるのに対し,引用意匠1の相当部分はミッドソールのやや上部に設けられた部分である点,外周形状につき,本件意匠は底辺をミッドソールと靴甲部の境界線としているのに対し,引用意匠1は底辺をミッドソールと靴甲部の境界線からやや上部に引かれた直線としている点,外周内側の仕切り枠につき,本件意匠は3辺のみに沿って設け,底辺には仕切り枠を設けずミッドソールに隣接させているのに対し,引用意匠1は外周の内側4辺に沿って設けている点,5本の略帯状凹部につき,本件意匠は3辺のみに仕切り枠を設け,底辺をミッドソール境界線に隣接しているのに対し,引用意匠1は4辺を仕切り枠で囲んでいる点が結局部分意匠である本件意匠及び引用意匠1,,のこれに相当する部分がそれぞれ3辺枠か4辺枠か(底辺がミッドソールと靴甲部- 40 -の境界線に隣接するか,これとの間に間隔があるか)という差異に帰着することも審決の判断のとおりであるが,当該差異は,畢竟,上記略変形台形状の外周形状枠内を5等分して,メッシュ地よりなる同幅 -の境界線に隣接するか,これとの間に間隔があるか)という差異に帰着することも審決の判断のとおりであるが,当該差異は,畢竟,上記略変形台形状の外周形状枠内を5等分して,メッシュ地よりなる同幅の略帯状凹部を5本形成し,その各略帯状凹部を略四辺形とし,つま先側に約60度で傾斜させた構成態様の底辺部における差異であるにすぎず,上記構成態様との関係では相対的に目立たない部分に係るものである上,甲第16~第19号証によれば,靴の両側部に略帯状部を形成した意匠において,略帯状部の下辺をミッドソールと靴甲部の境界線に隣接させる構成態様も,これとの間に間隔を設ける態様も,ともにありふれていることが認められ(,,,るなお複数のメーカーの商品にそれぞれ両態様があることが認められるので略帯状部の下辺をミッドソールと靴甲部の境界線に隣接させる態様又は間隔を設ける態様が,5本の略帯状部に係る構成態様のように,製造販売者を表示するいわばロゴマークに相当するものということもできない)のであるから,上記差異は,。 格別看者の注意を引くものではないというべきである。 ,,,さらに審決が各部の具体的構成態様における差異であるとする差異点のうち略変形台形状の外周形状及び5本の略帯状凹部について,本件意匠は上方の2つの,(,角を湾曲させてアール形状としたのに対し引用意匠1は角に湾曲がない点なお引用意匠1における外周形状の上方の2角のうち,少なくともつま先側の角については,アール形状となっていることが認められ,この点については,審決の差異点の認定自体が誤りである)は,それぞれ上辺の微細な点に関する差異であり,ま。 た略変形台形状の外周形状につき本件意匠はかかと側の斜辺をつま先側に約50,,度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線としたのに対 る)は,それぞれ上辺の微細な点に関する差異であり,ま。 た略変形台形状の外周形状につき本件意匠はかかと側の斜辺をつま先側に約50,,度傾斜してつま先側の斜辺とは傾斜角度が異なる直線としたのに対し,引用意匠1はつま先側に約60度傾斜してつま先側の斜辺と平行に引いた直線としている点,及び5本の略帯状凹部につき本件意匠は各々違った角度に傾斜させているのに対し,引用意匠1は5本とも同じ角度に傾斜させている点は,わずかな角度の相違に基づくものであって,一見して直ちに感得し得るようなものではなく,いずれも看者の注意を引かない微差であるというべきである。 - 41 -そうすると,その余の差異点も含め,本件意匠と引用意匠1との差異点は,上記のとおり,両意匠の最も特徴的な部分であり,看者の注意を強く引くものであると認められる,略変形台形状の外周形状枠内を5等分して,メッシュ地よりなる同幅の略帯状凹部を5本形成し,その各略帯状凹部を略四辺形とし,つま先側に約60度で傾斜させた構成態様における共通点を凌駕するものとはいえず,両意匠が意匠全体として異なる美感を起こさせるものと認めることはできないから,両意匠は類似すると認めるのが相当である。 (5)以上のとおり,本件意匠と引用意匠1とが類似しないとした審決の判断は誤りであり,取消事由1は理由がある。 結論 以上の次第で,取消事由1は理由があるから,その余の点について判断するまでもなく,審決は取り消しを免れない。 よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官石原直樹裁判官榎戸道也- 42 -裁判官杜下弘記 戸道也 裁判官杜下弘記

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