平成9(あ)1054 不動産侵奪被告事件

裁判年月日・裁判所
平成11年12月9日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所
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判決文本文1,170 文字)

主文 本件各上告を棄却する。 理由 一弁護人新谷桂、同水野靖史の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、その余は、単なる法令違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。 二なお、所論にかんがみ、不動産侵奪罪の成否について、職権で判断する。 原判決の認定した事実は、次のとおりである。 株式会社A(以下「A」という。)は、埼玉県東松山市内の宅地一四九六平方メートル(以下「本件土地」という。)を地上の作業所兼倉庫等の建物五棟とともに所有していたものであるが、振り出した小切手が不渡りとなったことから、平成八年二月二八日、債権者の一人である株式会社B(以下「B」という。)の要求により、同社に本件土地及び地上建物の管理を委ねた。Bが取得した権利は、地上建物の賃借権及びこれに付随する本件土地の利用権を超えるものではなかった。Bは、同月下旬、右の権利を競売物件の売買仲介業を営むC株式会社(以下「C」という。)に譲り渡した。そのころ、Aは、代表者が家族ともども行方をくらましたため、事実上廃業状態となった。建築解体業を営む被告人Dは、同年三月五日、Cから右の権利を買い受けて、本件土地の引渡しを受けた後、これを廃棄物の集積場にしようと企て、そのころから同月三〇日ころまでの間に、従業員である被告人Eとともに、本件土地上に建設廃材や廃プラスチック類等の混合物からなる廃棄物約八六〇六・六七七立方メートルを高さ約一三・一二メートルに堆積させ、容易に原状回復をすることができないようにした。 【要旨】以上のような事実関係の下においては、本件土地の所有者であるAは、代表者が行方をくらまして事実上廃業状態となり、本件土地を現実に支配管理する- 状回復をすることができないようにした。 【要旨】以上のような事実関係の下においては、本件土地の所有者であるAは、代表者が行方をくらまして事実上廃業状態となり、本件土地を現実に支配管理する- 1 -ことが困難な状態になったけれども、本件土地に対する占有を喪失していたとはいえず、また、被告人らは、本件土地についての一定の利用権を有するとはいえ、その利用権限を超えて地上に大量の廃棄物を堆積させ、容易に原状回復をすることができないようにして本件土地の利用価値を喪失させたというべきである。そうすると、被告人らは、Aの占有を排除して自己の支配下に移したものということができるから、被告人両名につき不動産侵奪罪の成立を認めた原判決の判断は、相当である。 よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官井嶋一友裁判官小野幹雄裁判官遠藤光男裁判官藤井正雄裁判官大出峻郎)- 2 -

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