主文 大阪府知事が,原告A,B1,原告C,D1,原告E及びF1に対し,平成18年7月12日付けでした各被爆者健康手帳交付申請却下処分をいずれも取り消す。 大阪府知事が,原告A,B1,原告C,D1,原告E及びF1に対し,平成18年7月12日付けでした各健康管理手当認定申請却下処分をいずれも取り消す。 大阪府知事が平成18年7月12日付けで原告Gに対してした被爆者健康手帳交付申請却下処分の取消しを求める同原告の訴えを却下する。 訴訟費用は,原告Gに生じた費用と被告に生じた費用の7分の1を原告Gの負担とし,その余の原告らに生じた費用と被告に生じたその余の費用を被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 平成18年(行ウ)第127号,同第131号,同第133号,同第136号,同138号,同第140号主文1項同旨 平成18年(行ウ)第130号,同第132号,同第134号,同第137号,同第139号,同第141号主文2項同旨 平成18年(行ウ)第135号大阪府知事が,原告Gに対し,平成18年7月12日付けでした被爆者健康手帳交付申請却下処分を取り消す。 第2事案の概要等 事案の概要本件は,広島市に投下された原子爆弾に被爆した者らが,居住する大韓民国 (以下「韓国」という。)から,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号。以下「被爆者援護法」という。なお,平成20年法律第78号による改正前の同法及び同改正後の同法を,それぞれ「旧被爆者援護法」及び「新被爆者援護法」ということがある。)に基づき,大阪府知事に対して被爆者健康手帳の交付申請及び健康管理手当の認定申請をしたところ,国外からの申請であること等を理由として,いずれも却下されたため,これを不服として,被告に対し,その取 )に基づき,大阪府知事に対して被爆者健康手帳の交付申請及び健康管理手当の認定申請をしたところ,国外からの申請であること等を理由として,いずれも却下されたため,これを不服として,被告に対し,その取消しを求めた事案である。 なお,本件訴訟では,上記各取消請求と併せて,上記各処分及び昭和49年7月22日付け衛発第402号公衆衛生局長通達(以下「402号通達」という。)に基づく取扱いにより精神的被害を被ったこと等を理由として,被告及び国に対する国家賠償も求められていたが,国との間では,国が損害賠償金を支払うこと等を内容とする和解が成立し,被告との間では,当該請求が放棄されたことにより,当該請求に係る訴訟は終了している。 前提事実(争いがないか,証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,書証番号は特記しない限り枝番を含む。)(1)関連法令の定め等ア被爆者援護法の制定経緯(ア)原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(昭和32年法律第41号。 以下「原爆医療法」という。)は,広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者が今なお置かれている健康上の特別の状態にかんがみ,被爆者に対し健康診断及び医療を行うことにより,その健康の保持及び向上を図ることを目的として制定されたものであり,認定を受けた被爆者に被爆者健康手帳を交付し,治療費と検診費を国が負担すること等が定められた。 (イ)原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律(昭和43年法律第53号。以下「被爆者措置法」といい,原爆医療法と併せて「旧原爆二 法」という。)は,広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者であって,原子爆弾の傷害作用の影響を受け,今なお特別の状態にあるものに対し,医療特別手当の支給等の措置を講ずることにより,その福祉を図ることを目的として制定されたもの に投下された原子爆弾の被爆者であって,原子爆弾の傷害作用の影響を受け,今なお特別の状態にあるものに対し,医療特別手当の支給等の措置を講ずることにより,その福祉を図ることを目的として制定されたものであり,被爆者の生活援護のための各種手当金の支給が定められた。 (ウ)平成6年,旧原爆二法の措置を一本化した被爆者援護法が新たに制定され,旧原爆二法はいずれも廃止された。 イ被爆者援護法の規定(ア)被爆者援護法の前文は,「国の責任において,原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ,高齢化の進行している被爆者に対する保健,医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じ,あわせて,国として原子爆弾による死没者の尊い犠牲を銘記するため,この法律を制定する」と規定している。 (イ)被爆者援護法1条は,原子爆弾が投下された際,当時の広島市若しくは長崎市の区域内又は政令で定めるこれらに隣接する区域内にあった者(1号),原子爆弾が投下された時から起算して政令で定める期間内に1号に規定する区域のうちで政令で定める区域内にあった者(2号),原子爆弾が投下された際又はその後において,身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者(3号),又は1号から3号までに掲げる者が当該各号に規定する事由に該当した当時その者の胎児であった者(4号)のいずれか(以下「被爆要件」という。)であって,被爆者健康手帳の交付を受けたものを「被爆者」とすると規定している。 (ウ)被爆者援護法2条1項は,被爆者健康手帳の交付を受けようとする者は,その居住地(居住地を有しないときは,その現在地とする。)の都道府県知事に申請しなければならないと規定している。 そして,旧被爆者援護法2条2項は,都道府県 者健康手帳の交付を受けようとする者は,その居住地(居住地を有しないときは,その現在地とする。)の都道府県知事に申請しなければならないと規定している。 そして,旧被爆者援護法2条2項は,都道府県知事は,同条1項の規定による申請に基づいて審査し,申請者が法1条各号のいずれかに該当すると認めるときは,その者に被爆者健康手帳を交付すると規定していた。 新被爆者援護法は,平成20年6月18日に公布され,平成20年政令第380号により,同年12月15日から施行されたが,旧被爆者援護法2条2項の規定を同条3項とした上,新たに同条2項として,被爆者健康手帳の交付を受けようとする者であって,国内に居住地及び現在地を有しないものにつき,政令で定めるところにより,その者が1条各号に規定する事由のいずれかに該当したとする当時現に所在していた場所を管轄する都道府県知事に申請することができる旨の規定を置いた。 (エ)被爆者援護法27条1項は,都道府県知事は,被爆者であって,造血機能障害,肝臓機能障害その他の厚生労働省令で定める障害を伴う疾病(原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らかであるものを除く。)にかかっているものに対し,健康管理手当を支給すると規定し,同条2項は,健康管理手当の支給を受けようとするときは,同条1項の要件に該当することについて都道府県知事の認定を受けなければならないと規定している。 (オ)被爆者援護法49条は,被爆者援護法の規定中「都道府県知事」又は「都道府県」とあるのは,広島市又は長崎市については,「市長」又は「市」と読み替えるものと規定している。 (2)402号通達及びその廃止ア厚生省公衆衛生局長は,昭和49年7月22日付けで,各都道府県知事に対し,日本国の領域を越えて居住地を移した被爆者については,被爆者措置法 ものと規定している。 (2)402号通達及びその廃止ア厚生省公衆衛生局長は,昭和49年7月22日付けで,各都道府県知事に対し,日本国の領域を越えて居住地を移した被爆者については,被爆者措置法の適用がないこと等を内容とする402号通達を発出した(争いがない)。 イ厚生労働省健康局長は,平成15年3月1日付けで,上記402号通達を廃止する内容の通達を発出した(弁論の全趣旨)。 (3)在外被爆者に対する支援事業ア在外被爆者渡日支援等事業(ア)在外被爆者渡日支援等事業は,広島又は長崎において原子爆弾に被爆した者であって,日本国内に居住地及び現在地を有しない者に対し,渡日して被爆者援護法2条に規定する被爆者健康手帳の交付を受けられるようにするための支援事業を行うことにより,在外被爆者の健康の保持及び増進を図ることを目的とするものである(乙9)。 同事業は,厚生労働省健康局長が平成14年5月31日付けで定めた「在外被爆者渡日支援等事業実施要綱」(以下「実施要綱」という。)に基づき,同年6月1日から実施されており,当初は,広島県,長崎県,広島市及び長崎市(以下「県市」という。)に対する国の補助事業として,これらの自治体が実施主体となったが,平成15年8月1日からは,それ以外の都道府県も実施主体となった(全国の都道府県並びに広島市及び長崎市を,以下「都道府県市」という。)(乙8,乙9)。 (イ)在外被爆者渡日支援等事業の1つである被爆確認証交付事業は,在外被爆者のうち,被爆者健康手帳又は健康診断受診者証を所持していない者であって,被爆者健康手帳又は健康診断受診者証の交付要件に該当するものと認められる者のうち,健康上の理由等により渡日できない者に対し,被爆確認証を交付し,将来,渡日した際の被爆者健康手帳又は健康診断受診者証の円滑な 康手帳又は健康診断受診者証の交付要件に該当するものと認められる者のうち,健康上の理由等により渡日できない者に対し,被爆確認証を交付し,将来,渡日した際の被爆者健康手帳又は健康診断受診者証の円滑な交付に役立てるために行われるものである(乙9(実施要綱3(6)ア))。 被爆確認証の交付を受けようとする者は,被爆者健康手帳又は健康診断受診者証の交付申請手続に準じて申請することとし,県市は,被爆者健康手帳又は健康診断受診者証の審査に準じて審査し,交付するものと されている(乙9(実施要綱3(6)イ))。 (ウ)在外被爆者渡日支援等事業は,平成18年3月31日をもって終了した(甲15の1)。 イ平成18年度在外被爆者支援事業(ア)平成18年度在外被爆者支援事業は,日本国内に居住地及び現在地を有しない者であって,被爆者健康手帳の交付を受けようとする者及び被爆者健康手帳の交付を受けている者等に対し,各種の事業を行うことにより,在外の被爆者の健康の保持及び増進を図ることを目的とするものであり,厚生労働省健康局長が平成18年3月31日付けで定めた「平成18年度在外被爆者支援事業実施要綱」(以下「平成18年度実施要綱」という。)に基づき,同年4月1日から,実施された(甲15の1)。 (イ)被爆時状況確認証は,渡日して被爆者健康手帳の交付申請を行うことを希望する者のうち健康上の理由等により渡日できないものが,被爆者健康手帳の交付要件に該当する見込みがあると認められる場合に交付されるものである(甲15の1(平成18年度実施要綱3(2)①オ(ア)))。 被爆時状況確認証の交付を受けようとする者は,被爆時状況確認証交付申請書に,交付することが適当か否かを都道府県市が審査するために必要な書類を添えて,都道府県市に交付し,都道府県市は,その交付した被 被爆時状況確認証の交付を受けようとする者は,被爆時状況確認証交付申請書に,交付することが適当か否かを都道府県市が審査するために必要な書類を添えて,都道府県市に交付し,都道府県市は,その交付した被爆時状況確認証を所持する者が渡日し,被爆者健康手帳の交付申請を行った際には,その円滑な審査に役立てるものとされている(甲15の1(要綱3(2)①オ(イ),(ウ)))。 (4)当事者及び被爆確認証の交付ア原告A,同C,同G及び同E(以下「原告Aら」という。)は,いずれも韓国に居住している韓国人であり,B1,D1及びF1(以下「B1 ら」という。)は,いずれも後記(8)の死亡時まで韓国に居住していた韓国人である(以下,事実関係に言及する際は,以上の7名を「原告ら」という。)。 イ原告A(1942(昭和17)年12月23日生。以下「原告A」という。)は,広島市長から,平成17年7月21日付けで,被爆確認証の交付を受けた(甲1の1)。 ウB1(1916(大正5)年10月26日生。以下「B1」という。)は,広島市長から,平成18年1月17日付けで,被爆確認証の交付を受けた(甲1の2)。 エ原告C(1917(大正6)年12月14日生。以下「原告C」という。)は,広島市長から,平成18年1月12日付けで,被爆確認証の交付を受けた(甲1の3)。 オ原告G(1938(昭和13)年2月5日生。以下「原告G」という。)は,広島市長から,平成15年11月13日付けで,被爆確認証の交付を受けた(甲1の4)。 カD1(1910(明治43)年1月13日生。以下「D1」という。)は,広島市長から,平成16年5月13日付けで,被爆確認証の交付を受けた(甲1の5)。 キ原告E(1922(大正11)年11月13日生。以下「原告E」という。)は,広島市長から,平成 」という。)は,広島市長から,平成16年5月13日付けで,被爆確認証の交付を受けた(甲1の5)。 キ原告E(1922(大正11)年11月13日生。以下「原告E」という。)は,広島市長から,平成15年2月27日付けで,被爆確認証の交付を受けた(甲1の6)。 クF1(1916(大正5)年1月17日生。以下「F1」という。)は,広島市長から,平成16年11月24日付けで,被爆確認証の交付を受けた(甲1の7)。 (5)被爆者健康手帳交付申請の却下処分ア原告らは,来日することなく,韓国に現在したまま,代理人を通じ,平 成18年6月28日付けで,大阪府知事に対し,被爆者健康手帳の交付申請をした(争いがない)。 イ大阪府知事は,平成18年7月12日付けで,原告らに対し,被爆者援護法2条は,被爆者健康手帳の交付申請について,居住地(居住地を有しないときは,その現在地とする。)の都道府県知事を申請先と定めており,原告らの各申請は,その居住地又は現在地の都道府県知事に申請されたものではないとの理由で,上記各申請を却下する処分(以下,併せて「本件処分1」という。)をした(争いがない)。 (6)健康管理手当認定申請の却下処分ア原告Gを除く原告らは,来日することなく,韓国に現在したまま,代理人を通じ,平成18年6月28日付けで,上記(5)の被爆者健康手帳の交付申請と併せて,大阪府知事に対し,健康管理手当の認定申請をした(争いがない)。 イ大阪府知事は,平成18年7月12日付けで,原告Gを除く原告らに対し,健康管理手当の認定申請は,被爆者であって一定の疾病にかかっているものが行うものであるところ,同人らは,いずれも被爆者健康手帳の交付を受けておらず,被爆者ではない(同法1条)との理由で,上記各申請を却下する処分(以下,併せて「本件処分2」と の疾病にかかっているものが行うものであるところ,同人らは,いずれも被爆者健康手帳の交付を受けておらず,被爆者ではない(同法1条)との理由で,上記各申請を却下する処分(以下,併せて「本件処分2」といい,本件処分1と併せて「本件各処分」という。)をした(争いがない)。 (7)本訴の提起原告らは,平成18年8月1日,本件各処分を不服として,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 (8)訴訟係属中の当事者の死亡と相続関係アD1は,本件訴訟係属後の平成18年8月28日に死亡した。 D2,D3,D4及びD5は,いずれもD1の子であり,D1を相続した。 イB1は,本件訴訟係属後の平成20年2月21日に死亡した。 B2,B3,B4,B5及びB6は,いずれもB1の子であり,B1を相続した。 ウF1は,平成20年5月4日に死亡した。 F2,F3,F4及びF5は,いずれもF1の子であり,F1を相続した。 (以上アからウまでにつき,弁論の全趣旨)(9)原告Aらへの被爆者健康手帳交付ア原告Eは,来日した上で,福岡県知事に対し,被爆者健康手帳の交付申請を行い,平成19年4月10日にその交付を受けた(弁論の全趣旨)。 イ原告Aは,韓国に現在したまま,広島市長に対し,被爆者健康手帳の交付申請を行い,新被爆者援護法施行後の平成20年12月17日にその交付を受けた(甲44)。 ウ原告Gは,韓国に現在したまま,広島市長に対し,被爆者健康手帳の交付申請を行い,平成20年12月22日にその交付を受けた(甲45)。 エ原告Cは,韓国に現在したまま,広島市長に対し,被爆者健康手帳の交付申請を行い,平成20年12月18日にその交付を受けた(甲46)。 第3争点及び当事者の主張 B1らの訴訟承継の成否(B1らの相続人らの主張)B1らは,本件訴訟の係属中に死亡し 健康手帳の交付申請を行い,平成20年12月18日にその交付を受けた(甲46)。 第3争点及び当事者の主張 B1らの訴訟承継の成否(B1らの相続人らの主張)B1らは,本件訴訟の係属中に死亡したが,B1らに係る本件各処分の取消訴訟については,以下の理由から,その相続人が本件訴訟における原告としての地位を承継する。 申請者が,被爆者健康手帳の交付申請とともに,健康管理手当の認定申請をしていた場合,被爆者健康手帳の交付が認められると,健康管理手当の認定申請をした日の属する月の翌月分から健康管理手当の支給を受けられることもあ り得る。また,被爆者健康手帳の交付を受けている者が,原爆症認定の申請とともに,医療特別手当の申請を行った場合,行政実務では,その後に申請者本人が死亡しても,原爆症の死後認定がされ,医療特別手当もさかのぼって支給されている。 したがって,本件においても,B1らのように,被爆者健康手帳の交付申請とともに,健康管理手当の認定申請をしていた場合には,B1らの相続人ら(以下「相続人ら」という。)は,B1らに係る本件処分1の取消しを求める法律上の利益を有するというべきである。 また,健康管理手当を受給することのできる権利は,相続の対象となるから,相続人らは,B1らに係る本件処分2の取消しを求める法律上の利益を有する。 以上のとおり,B1らに係る本件各処分の取消訴訟は,死亡により当然に終了することはなく,相続人らの訴訟承継が認められるべきである。 (被告の主張)健康管理手当の支給等,被爆者援護法が定める様々な援護を受けるためには,被爆者健康手帳の交付という行政処分を受けて,被爆者援護法の適用対象たる「被爆者」となることが必要であり,その上で,健康管理手当の給付を受けるための要件を満たしていることにつき,都道府県知事の認定という 者健康手帳の交付という行政処分を受けて,被爆者援護法の適用対象たる「被爆者」となることが必要であり,その上で,健康管理手当の給付を受けるための要件を満たしていることにつき,都道府県知事の認定という行政処分を受けることが必要である。このように,被爆者健康手帳の交付処分は,被爆者に対し,健康管理手当その他の被爆者援護法が定める様々な援護を受けるための前提となる地位を取得させるものである。そして,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行規則(以下「法施行規則」という。)8条が,「被爆者」が死亡すれば,交付された被爆者健康手帳は返還しなければならないと規定していることからすれば,このような「被爆者」たる地位は,相続の対象とはならず,被爆者に一身専属的に帰属するものであり,被爆者健康手帳の交付を受けようとする者が,その交付を受ける前に死亡した場合,相続人がそのような利益を相続により承継することはない。 したがって,相続人らは,B1らに係る本件処分1の取消しを求める利益を承継していないというべきである。 また,B1らに係る本件処分1の取消しを求める利益を承継していない以上,鄭らに係る本件処分2についても,被相続人の死亡とともに認容される余地はなくなり,その取消しを求める法律上の利益が承継されることもないというべきである。 以上のとおり,B1らに係る本件各処分について,相続人らは,その取消しを求める法律上の利益を承継することはないから,訴訟はB1らの死亡により当然に終了し,相続人らの訴訟承継はいずれも認められないというべきである。 本件処分1に係る原告Aらの訴えの利益の存否(被告の主張)原告Eは平成19年4月10日に,同Aは平成20年12月17日に,同Gは同月22日に,同Cは同月18日に,それぞれ被爆者健康手帳の交付を受けた。 そして る原告Aらの訴えの利益の存否(被告の主張)原告Eは平成19年4月10日に,同Aは平成20年12月17日に,同Gは同月22日に,同Cは同月18日に,それぞれ被爆者健康手帳の交付を受けた。 そして,被爆者援護法は,1人の被爆者が複数の被爆者健康手帳を所持することを予定していない(法施行規則7条の2第2項参照)から,原告Aらに係る本件処分1が取り消されても,既に被爆者健康手帳の交付を受けている原告Aらに対し,当初の被爆者健康手帳の交付申請に基づき,重ねて健康手帳が交付される余地はない。 原告Aらは,本件処分1が取り消されれば,健康管理手当の支給がさかのぼってされることを根拠に,法律上の利益があると主張するが,被爆者健康手帳の交付に関して,申請した日によって手当の支給範囲が画される被爆者援護法24条4項,25条4項,26条4項,27条5項,28条5項のような規定はなく,同法1条が被爆者健康手帳の交付を受けたことを「被爆者」の要件としていることに照らせば,被爆者健康手帳の交付を受けたときに初めて「被爆者」になるというべきである。そして,被爆者に支給される一般疾病医療費は, 日本国内に居住も現在もしない者に対して支給することはそもそも想定されていないし,健康管理手当についても,同法に基づき支給を受けるためには,同法の適用対象たる「被爆者」になることが必要であるから,本件処分1を取り消しても,被爆者援護法の定める「被爆者」に該当しなかった以上,一般疾病医療費や健康管理手当がさかのぼって支給されることにはならず,一般疾病医療費や健康管理手当との関係でも,本件処分1を取り消すことによって回復される法的利益は存在しない。 以上のとおり,原告Aらに本件処分1を取り消すことによって回復される法的利益は認められず,原告Aらに係る本件処分1の取消しの訴え も,本件処分1を取り消すことによって回復される法的利益は存在しない。 以上のとおり,原告Aらに本件処分1を取り消すことによって回復される法的利益は認められず,原告Aらに係る本件処分1の取消しの訴えには訴えの利益がない。 (原告Aらの主張)申請者が,被爆者健康手帳の交付申請とともに,健康管理手当の認定申請をしていた場合,被爆者健康手帳の交付が認められると,健康管理手当の認定申請をした日の属する月の翌月分から健康管理手当の支給を受けられることもあり得る。 したがって,原告Aらに係る本件処分1が取り消されることで,本件処分2も取り消されれば,上記翌月分からの健康管理手当の支給を受けられることになるから,原告Aらは,本件処分1の取消しを求める法律上の利益を有するというべきである。 被告は,被爆者援護法は,1人の被爆者が複数の被爆者健康手帳を所持することは予定していないと主張するが,本件処分1を取り消すとともに,交付された被爆者健康手帳の返還を求めるなどすれば足りることであって,被告の主張は,本件処分1の取消しを求める法律上の利益とは無関係なものというべきである。 また,被告は,被爆者健康手帳の交付を受けたときに初めて「被爆者」になると主張するが,実務上の取扱いも,申請日を手帳の交付年月日としているの であり,被告の主張は事実に反する。 本件処分1の適法性(被告の主張)(1)日本国内に居住又は現在していることの要否ア旧被爆者援護法2条は,その1項において被爆者健康手帳の交付申請先を定め,2項においてその申請を受けた都道府県知事が審査及び交付の実施機関であることを定めており,他に,被爆者健康手帳の交付申請手続について定めた規定はない。そして,同条の「都道府県知事」とは日本国の都道府県知事を指すことが明らかであり,また,「その居住 交付の実施機関であることを定めており,他に,被爆者健康手帳の交付申請手続について定めた規定はない。そして,同条の「都道府県知事」とは日本国の都道府県知事を指すことが明らかであり,また,「その居住地(居住地を有しないときは,その現在地とする。)の都道府県知事」とは,申請者が居住又は現在する土地を管轄する都道府県知事を指すと解するしかないところ,都道府県知事の管轄が日本国内のほかに存在しないことも明らかであるから,旧被爆者援護法の「居住地」及び「現在地」とは,日本国内のいずれかの土地のみを指すのであり,これを日本国外の土地を含むものと解する余地はない。 したがって,旧被爆者援護法2条1項の規定上,日本国内に居住も現在もしていない者については,被爆者健康手帳の交付申請先となり,審査及び交付を行う機関が存在しないものといわざるを得ない。そして,「被爆者」の要件が国籍や居住地及び現在地によって制限されるものでないことと,その要件の存否の確認のために,申請手続としてどのような方法で行うことを求めるかとは別の問題であり,旧被爆者援護法2条1項が上記のとおり一義的に明確な文言をもって規定していることからすると,日本国内に居住地及び現在地を有しない者は都道府県を限定することなく交付申請ができるとする,原告ら主張のような解釈を許容する余地はないというべきである。 イ被爆者健康手帳の交付のための審査は,当該申請者を「被爆者」として 認め,各種給付を受ける権利を付与するか否かを判断するための前提となる重要な審査であって,申請者の提出した書面にとどまることなく,本人から事情聴取を行い,十分な関係資料を収集して審査することが必要である。国外からの被爆者健康手帳の交付申請については,その申請者に関し,戸籍,住民基本台帳,外国人登録等の信ぴょう性の高い制 く,本人から事情聴取を行い,十分な関係資料を収集して審査することが必要である。国外からの被爆者健康手帳の交付申請については,その申請者に関し,戸籍,住民基本台帳,外国人登録等の信ぴょう性の高い制度による本人確認が期待できないため,本人からの事情聴取が特に重要であり,在外被爆者が渡日して申請を行うことによって,初めて本人確認や詳細な被爆状況の事情聴取等の実施が可能となる。 旧被爆者援護法2条1項は,被爆者健康手帳の交付のための審査及び交付を適切に行うために,本人確認や詳細な被爆状況の事情聴取等の実施を行うことを目的とするものであって,申請者が日本に居住又は現在することを要件とすることには合理性がある。 原告らは,在外公館等を活用して本人確認や詳細な被爆状況の事情聴取等の実施を行うことが可能であること,電話での事情聴取や担当者の海外派遣等を行って,被爆の事実を確認する被爆確認証の交付が行われていること等からすれば,国外にとどまったままの申請を認めないことには,何らの合理性もないと主張する。 しかし,原告らの上記主張は,他の適正な審査実施の可能性があることをもって,明文で定められた手続が不合理とするものであって立法論にすぎない。また,被爆確認証の交付は,実施要綱に基づく事業として行われているものであり,被爆者援護法の要求するものではなく,このような事業の性格上,その実情が,法解釈に影響することはない。その点をおくとしても,被爆確認証は,将来申請者が来日した場合に被爆者健康手帳の交付が円滑にされるように,被爆の事実を確認する助けとなる客観的証拠の存在等の「状況」をあらかじめ確認し,被爆者健康手帳の交付の見込みの有無を審査するにすぎないから,被爆確認証が交付された者についても, 本人確認等を含む被爆者健康手帳の交付のための審査が終了した 存在等の「状況」をあらかじめ確認し,被爆者健康手帳の交付の見込みの有無を審査するにすぎないから,被爆確認証が交付された者についても, 本人確認等を含む被爆者健康手帳の交付のための審査が終了したわけではない。 ウ以上からすれば,旧被爆者援護法2条1項は,日本国内に居住地又は現在地を有しない者の被爆者健康手帳の交付申請を認めておらず,かかる規定には合理性が認められる。 (2)旧被爆者援護法2条1項の憲法14条違反の有無ア法令違憲について憲法14条1項は,法の下の平等を定めるが,同規定は,合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものであるから,各人に存する経済的,社会的その他種々の事実上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けることを排除するものではなく,その区別が合理的な根拠に基づくものである限り同規定に違反するものではない。 そして,被爆者に対し,どのような援護対策を講じるべきかについては,憲法上直接規定している条項がなく,立法府の裁量にゆだねられているというべきところ,立法府の裁量にゆだねられている事項については,立法目的が正当で,その手段が目的達成に合理的に関連していることをもって足り,違憲を主張する原告側においていかなる合理的根拠もないことを証明する責任を負うというべきである。 被爆者健康手帳の交付事務を適正に行うためには,本人と直接面接して事実確認等を行うことが不可欠であり,そのため,旧被爆者援護法2条1項は,被爆者健康手帳の申請時に,当該申請者が日本国内に居住又は現在することを要件としているのであり,このような法の定めに正当な目的があり,その手段が目的達成に合理的に関連していることは明白である。このことは,申請者側の事情により日本に居住又は現在することができない場合があるとしても変わるものではない。 したがって, 当な目的があり,その手段が目的達成に合理的に関連していることは明白である。このことは,申請者側の事情により日本に居住又は現在することができない場合があるとしても変わるものではない。 したがって,旧被爆者援護法2条1項によって申請者が日本国内に居住 又は現在するかしないかにより扱いに差があるとしても,合理的理由が存するものであり,その規定は立法府の裁量の範囲内であることが明らかである。 イ適用違憲について原告らが被爆確認証の交付を受けていたとしても,それは被爆者健康手帳交付の審査が完了したことを意味せず,本人確認等の必要はなお認められる。 そもそも,被爆者に対してどのような援護対策を講じるべきであるかについては,適用対象の範囲も含めて立法府の裁量にゆだねられている。そして,旧被爆者援護法2条1項は,被爆者健康手帳交付事務を適正に行うためには,本人と直接面接して事実確認等を行うことが必要であることから,被爆者健康手帳の交付申請時に,当該申請者が日本に居住又は現在することを要件とする立法政策を採用したものであり,その目的が正当で手段との間に合理的関連性が認められることは,上記アのとおりである。 したがって,原告らへの同項の適用が違憲であるとする原告らの主張は失当である。 (原告らの主張)(1)日本国内に居住又は現在していることの要否ア被爆者援護法は,国の責任において,原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ,高齢化の進行している被爆者に対する保健,医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じること等の目的に基づいて制定されたもので(前文参照),同法1条は「被爆者」の定義を置き,そこでは,国籍による制限も,居住地及び現在地による制限も付しておらず,これに続け たる総合的な援護対策を講じること等の目的に基づいて制定されたもので(前文参照),同法1条は「被爆者」の定義を置き,そこでは,国籍による制限も,居住地及び現在地による制限も付しておらず,これに続けて,同法2条が申請手続を定めている。 これらの規定によれば,同法2条1項は,単に申請窓口を定める技術的 な手続規定にすぎず,日本国内に居住又は現在していない者について,同法上の被爆者たる地位を与えないとする趣旨のものではない。 したがって,日本国内に居住地及び現在地を有しない者は,都道府県を限定することなく,被爆者健康手帳の交付申請ができるというべきである。 イ被告は,被爆者健康手帳の交付を適切に行うために,本人確認や詳細な被爆状況の事情聴取等を実施する必要があることから,旧被爆者援護法2条1項において申請者が日本に居住又は現在することを要件とすることに合理性があると主張する。 しかし,国外にとどまったままの申請であっても,在外公館等を活用して本人確認や詳細な被爆状況の事情聴取等を実施することが可能である(現に,被爆者援護法に基づく諸手当及び葬祭料の申請の際は,在外公館で本人確認が行われている)し,電話での事情聴取や担当者の海外派遣等を行って被爆の事実を確認する被爆確認証が新設されたことからすれば,国外にとどまったままでの申請を認めないことは,何らの合理性もないというべきである。 (2)旧被爆者援護法2条1項の憲法14条違反の有無ア法令違憲仮に,旧被爆者援護法2条1項が,国外にとどまったままでの被爆者健康手帳の交付申請を認めない規定であるとしても,同項は,日本国内にある被爆者に比べて国外にある被爆者を差別的に取り扱うものであるから,憲法14条1項に違反し,無効である。 すなわち,旧被爆者援護法2条の立法目的は,同法1条各号の要件の認 ても,同項は,日本国内にある被爆者に比べて国外にある被爆者を差別的に取り扱うものであるから,憲法14条1項に違反し,無効である。 すなわち,旧被爆者援護法2条の立法目的は,同法1条各号の要件の認定判断(申請者の本人確認や被爆時の具体的状況等の確認)を適正に行うために,申請者の提出した書面の審査にとどまることなく,申請者本人から事情聴取等を行うとともに,十分な関係資料を収集して審査することにある。 しかし,被爆事実の確認については,書類審査に加えて,申請者本人又は証人からの国際電話や係官の現地派遣による事情聴取の方法によることが可能であり,本人確認については,在外公館等で交付申請をする際に,パスポートその他の身分証を提示する方法によることも可能である。現に,諸手当の支給申請に当たっては,在外公館において申請者の本人確認が実施されている。 したがって,仮に被爆事実の確認と本人確認という目的に合理性が認められるとしても,その目的の達成は,国外にとどまったまま申請を行った場合でも十分可能であり,当該目的と国外にとどまったままでの申請を否定することとの間に合理的関連性があるとはいえない。 イ適用違憲仮に,旧被爆者援護法2条1項の立法目的と差別的取扱いとの間に合理的関連性が認められるとしても,原告らについては明らかに合理的関連性がないから,その限りで憲法14条1項に違反する。 すなわち,原告らは,被爆確認証の交付に際し,被爆者援護法1条に該当すること(すなわち被爆者健康手帳の交付要件に該当すること)を認定するために必要十分な調査を経ており,本人確認の際,新たに申請人から聴取する事項や提出させる資料もないから,原告らが同法1条に該当するか否かの確認は不要であり,被爆の事実について申請時に申請者本人から確認する必要は全くない。 そして,本 確認の際,新たに申請人から聴取する事項や提出させる資料もないから,原告らが同法1条に該当するか否かの確認は不要であり,被爆の事実について申請時に申請者本人から確認する必要は全くない。 そして,本人確認は,被爆者健康手帳の交付だけでなく,行政が一定の重要な書類等を交付しようとするときに,ひとしく問題となるところ,これはパスポートや住民登録証等の身分証を提示することで容易にできるのであるから,在外公館ではできないと考える根拠はなく,少なくとも,被爆確認証の交付を受け,高齢の上,疾病のために渡日が不可能な原告らに関しては,日本国内に居住又は現在して,手帳の交付を受けようとする者との間で,合 理的理由のない差別が存在しているというべきである。 したがって,少なくとも,原告らについて,旧被爆者援護法2条1項を適用することは憲法14条1項に反し,違憲である。 本件処分2の適法性(被告の主張)健康管理手当の支給,認定については,申請者が「被爆者」であったことを要件としており(被爆者援護法27条),「被爆者」とは,被爆者健康手帳の交付を受けた者をいう(同法1条)。 そうすると,健康管理手当の支給を受けるためには,「被爆者」として認定されることがその前提要件として必要であるところ,原告らは,本件処分1において被爆者健康手帳交付申請を却下されており,「被爆者」とは認められない。 したがって,原告Gを除く原告らの健康管理手当認定申請は,その前提要件を欠くから,本件処分2は適法である。 (原告らの主張)本件処分1は違法であるから,被爆者健康手帳の交付を受けていないことを理由とする本件処分2もまた違法である。 第4当裁判所の判断 B1らの訴訟承継の成否について(1)B1らが,本件各処分の取消しを求めて本件訴えを提起した後に死亡したことは,前 ていないことを理由とする本件処分2もまた違法である。 第4当裁判所の判断 B1らの訴訟承継の成否について(1)B1らが,本件各処分の取消しを求めて本件訴えを提起した後に死亡したことは,前記前提事実(第2の2)(8)記載のとおりであり,相続人らは,本件訴訟における原告としての地位を承継したと主張している。 (2)取消訴訟の承継の成否について,承継申出人が,死亡した当事者から相続によって「処分の取消しによって回復すべき法律上の利益」を承継した場合には,訴訟の承継は肯定されるが,当該利益が死亡した当事者の一身に専属したものであるため承継されない場合は,訴訟の承継も認められない。 本件処分1の取消しによって直接回復される法律上の利益は,被爆者健康手帳の交付受給権であって,申請者は,被爆者援護法の定める各種手当の給付を受ける前提となる「被爆者」たる地位を取得するにとどまり,同手帳の交付により,各種手当の給付請求権を取得するものではない。このような「被爆者」たる地位それ自体は,被爆した本人のみに一身専属的に帰属するものということができる。 (3)もっとも,B1らは,いずれも,被爆者健康手帳の交付申請とともに,健康管理手当の認定申請をしていたところ,大阪府知事は,B1らが被爆者健康手帳の交付を受けておらず,「被爆者」ではないとの理由で本件処分2をしたものである。そして,被爆者援護法27条5項は,健康管理手当の支給について,受給認定を受けた者が同認定をした日の属する月の翌月から始めるものとしており,以降同法所定の期間中,健康管理手当を受給する具体的権利が発生するものであるから,仮にB1らに被爆者健康手帳の交付が認められ,その余の所定の要件が満たされていれば,健康管理手当の認定申請をした日の属する月の翌月分から健康管理手当の支給を受け 具体的権利が発生するものであるから,仮にB1らに被爆者健康手帳の交付が認められ,その余の所定の要件が満たされていれば,健康管理手当の認定申請をした日の属する月の翌月分から健康管理手当の支給を受けられたものということができる。また,被爆者援護法上の手当の受給権は,譲渡することや担保に供することが禁止されている(同法44条)とはいえ,健康管理手当については,その支給に当たり所得制限も設けられておらず,専ら被爆者の生存・生活を維持することを目的として給付されるものともいい難いことからすれば,被爆者以外の者に給付することが制度上予定されていないということはできず,その性質上,相続の対象にならないと解するのも相当でない。 そうすると,相続人らは,「被爆者」でないという理由により申請済みの健康管理手当の受給権を主張できないという法律状態を排除するために,本件処分2の前提となった本件処分1の取消しを必要とし,本件処分1の取消しにより回復すべき法律上の利益を有するというべきである。 確かに,自身では「被爆者」たる地位を取得する余地がなく,手帳の交付 を受けた上で新たに各種手当の受給手続をとることも予定していない相続人らとしては,上記の状態を排除するための救済手段として,例えば,被告に対して,B1らが被爆者健康手帳の交付申請時においてその交付を受けられる地位にあったことの確認を求めるなどの方法をとることも考えられないではない(なお,本件処分2が,B1らが「被爆者」でないという理由のみによって行われており,実体要件の審査を経ていないことからすれば,B1らとしては,健康管理手当の認定の義務付けを求めたり,その給付を求めたりすることはできないというべきである。)。しかし,被爆者援護法が,被爆者健康手帳の交付を受けたことをもって「被爆者」の地位と結び付け しては,健康管理手当の認定の義務付けを求めたり,その給付を求めたりすることはできないというべきである。)。しかし,被爆者援護法が,被爆者健康手帳の交付を受けたことをもって「被爆者」の地位と結び付け,これを各種手当を受給するための前提要件としていることからすれば,むしろ,「被爆者」の地位の付与を拒絶するという効果を有する本件処分1の取消しを求める方が,救済手段として簡明であり,被爆者援護法の趣旨にも沿うというべきである。また,このように解したとしても,「被爆者」たる地位それ自体が被爆した本人のみに一身専属的に帰属することと矛盾するとはいえない。 (4)以上の点に関連して,被告は,被爆者健康手帳の交付を受けたときに初めて「被爆者」になるもので,健康管理手当を含む被爆者援護法上の各種手当の支給を受けるためには,その交付を受けた「被爆者」であることが要件とされており,本件処分1を取り消したとしても各種手当がさかのぼって支給されることにはならないから,その取消しによって回復される法的利益は存在しないとも主張するようである。 しかし,本件処分1が取り消されれば,本件処分1の効力は処分時にさかのぼって否定され,その申請時に「被爆者」たる地位を取得し得る地位にあったことを前提として,改めて被爆者健康手帳の交付を受けることができ,その結果,「被爆者」でないことを理由としてされた本件処分2についても処分根拠を欠くことになると解するべきであるから,回復される法的利益を 否定することはできない。 被告の主張は,要するに,被爆者健康手帳の交付という外形的な事実の存否をとらえて健康管理手当の支給要件をとらえた上で,過去に交付がなかった事実は動かしようがないから,本件処分1が取り消されても,過去にされた健康管理手当の認定申請の要件は満たされず,同手当がさか 存否をとらえて健康管理手当の支給要件をとらえた上で,過去に交付がなかった事実は動かしようがないから,本件処分1が取り消されても,過去にされた健康管理手当の認定申請の要件は満たされず,同手当がさかのぼって支給されることもないとするものと理解できる。しかし,被爆者健康手帳の交付申請をし,併せて健康管理手当の認定申請をしていたという場合において,当該認定要件を満たしていたときには,本来その申請日の属する月の翌月から手当の支給が受けられたものであるところ,違法な処分に起因して被爆者健康手帳の交付を受けられなかった者について,後に訴訟において当該処分が取り消されたとしても,現実に被爆者健康手帳の交付を受けていなかった以上,さかのぼって手当を支給することができないとするのは,先行する違法な処分が取り消されたにもかかわらず,それに起因して生じた法的効果の排除・是正の余地を否定して救済の途を閉ざすことを意味し,合理的な解釈とはいい難い。そうだとすると,被爆者援護法27条1項にいう「被爆者」には,申請時に被爆者健康手帳の交付要件を満たしていたが,違法な処分によりその交付を拒絶され,後に当該処分が取り消された者も含まれると解するべきであって,被告の主張は採用の限りではない。 (5)次に,前記(3)のとおり,認定申請済みの健康管理手当の受給権は相続の対象となるものであり,上記(4)のとおり,本件処分2の前提となった本件処分1が取り消されれば,本件処分2も取り消されるべきであることからすれば,相続人らは,B1らに係る本件処分2についても,その取消しを求める法律上の利益を有するというべきである。 (6)したがって,相続人らは,本件各処分について,「処分の取消しによって回復すべき法律上の利益」を承継するということができるから,いずれについても相続人らによ 上の利益を有するというべきである。 (6)したがって,相続人らは,本件各処分について,「処分の取消しによって回復すべき法律上の利益」を承継するということができるから,いずれについても相続人らによる訴訟承継を認めるのが相当である。 本件処分1に係る原告Aらの訴えの利益の存否(1)原告Gについて前記1(2)のとおり,被爆者健康手帳の交付を申請した者は,その交付により,被爆者援護法の定める健康管理手当等,各種の給付を受ける前提となる「被爆者」たる地位を取得するにとどまり,交付それ自体により給付請求権の発生等の法的効果が直接生じるものではない。 そして,原告Gは,本件処分1の後,被爆者健康手帳の交付を受けている一方,それまでの間に,健康管理手当の認定申請等をした旨の主張・立証もないことからすれば,同原告は,本件処分1の取消しを求める法律上の利益を有しないというべきである。 したがって,原告Gの本件処分1の取消しを求める訴えは訴えの利益を欠いた不適法なものというべきである。 (2)原告E,同A及び同Cについてアこれに対して,原告E,同A及び同Cは,手帳の交付を申請する際に併せて健康管理手当の認定申請をしている。 そして,健康管理手当の受給要件として,「被爆者」であること,すなわち被爆者健康手帳の交付を受けていることが必要であるところ,原告E,同A及び同Cは,いずれも,被爆者健康手帳の交付を受けておらず,「被爆者」ではないとの理由で本件処分2を受けており,本件処分1が取り消され,申請時に「被爆者」たる地位を取得し得たことを前提として,改めて被爆者健康手帳の交付を受けた上で,被爆者援護法所定の要件を満たすものと認定された場合には,申請した日の属する月の翌月からの健康管理手当の支給を受けられることは,(B1らの)相続人らについて述べ て被爆者健康手帳の交付を受けた上で,被爆者援護法所定の要件を満たすものと認定された場合には,申請した日の属する月の翌月からの健康管理手当の支給を受けられることは,(B1らの)相続人らについて述べたところ(前記1(3)(4))と同様である。 そうすると,原告E,同A及び同Cは,その後された申請に基づき別に被爆者健康手帳の交付を受けていたとしても,なお本件処分1の取消しに より回復すべき法律上の利益を有するといえる。 イ被告は,被爆者援護法は,1人の被爆者が複数の被爆者健康手帳を所持することを予定していないと主張する。 なるほど,法施行規則7条2項は,「被爆者健康手帳を破り,又は汚した被爆者が再交付の申請をする場合には,申請書に,その被爆者健康手帳を添えなければならない」旨定めているが,これは,二重給付の防止等の観点から,再交付の手続において,受領済みの手帳の返還を求めているにすぎず,その申請時に「被爆者」たる地位を取得し得る地位にあったことを確認する趣旨で本件処分1を取り消すことを制限する理由にはならないというべきである。なお,二重給付の防止という目的を達成するためには,当該被爆者が既に受けている被爆者健康手帳を返還させるなどの方法をとることで対処すべき事柄である。 本件処分1の適法性(1)ア被爆者援護法においては,同法2条に基づき被爆者健康手帳の交付を受けた被爆者に対し,一般検査及び精密検査による健康診断とそれに基づく必要な指導を行うこと(7条及び9条),原子爆弾の傷害作用に起因する負傷又は疾病についての指定医療機関による医療の給付等を行うこと(10条から15条まで,17条),一般の負傷又は疾病について一般疾病医療費を支給すること(18条から20条まで)等を定めており,被爆者の健康面に着目して公費により必要な医療の給付 給付等を行うこと(10条から15条まで,17条),一般の負傷又は疾病について一般疾病医療費を支給すること(18条から20条まで)等を定めており,被爆者の健康面に着目して公費により必要な医療の給付をすることを中心とする社会保障法として,他の公的医療給付立法と同様の性格を持つとともに,原子爆弾の被爆による健康上の障害がかつて例をみない特異かつ深刻なものであることと並んで,かかる障害がさかのぼれば戦争という国の行為によってもたらされたものであり,しかも,被爆者の多くが今なお生活上一般の戦争被害者よりも不安定な状態に置かれているという事実を見逃すことはできないことから,国の責任においてその救済を図るという一面をも 有するものであり,その点では国家補償的配慮が制度の根底にあるものといえる(原爆医療法につき,最高裁昭和53年3月30日第一小法廷判決・民集32巻2号435頁参照)。 上記のように被爆者援護法は,複合的性格を有しているところ,旧被爆者援護法2条1項が,日本国内に居住地を有しない者(非居住者)をも適用対象として予定した規定であることは明らかであり,法施行規則には,非居住者が医療特別手当等の各支給申請を日本国外で行うことができると規定されていること等も勘案すると,被爆要件に該当する者であれば,非居住者に対しても,広く被爆者援護法の適用を認めて救済を図ることが,同法の持つ国家補償的配慮を含んだ立法の趣旨にも合致するものというべきである。 イところで,被爆者援護法1条本文は,被爆要件に該当する者で,被爆者健康手帳の交付を受けた者を「被爆者」と規定しているところ,旧被爆者援護法2条1項は,被爆者健康手帳の交付申請者は,その居住地(居住地を有しないときは,その現在地)の都道府県知事に申請しなければならないと定めており,同法又はその他の と規定しているところ,旧被爆者援護法2条1項は,被爆者健康手帳の交付申請者は,その居住地(居住地を有しないときは,その現在地)の都道府県知事に申請しなければならないと定めており,同法又はその他の法令に,都道府県知事以外に被爆者健康手帳の交付申請をすることができる行政機関を定めた規定は置かれておらず,上記申請者が日本国内に居住地及び現在地もない場合の申請先となる行政機関を定めた規定も置かれていない。この点は,単に「都道府県知事」の認定を受けなければならない旨を定めている各種手当の支給に関する規定と文言上は区別されていたものである。 このように,旧被爆者援護法が被爆者健康手帳の交付申請者が日本国内に居住するか,少なくとも現在することを前提とする規定を置いた趣旨は,交付申請に対する審査手続において判断することが予定されている被爆事実の確認や本人確認においては,特に慎重な審査が要請されるためであると解される。とりわけ,被爆事実の確認に当たっては,被爆から長期間が 経過し,被爆事実を証明する手段も限られているため,実際に被爆を経験した本人からの聞き取りが重要な位置を占めること,また,本人確認においても,本人とその身分証明書類等との照合を行うのが最も簡便かつ正確を期することができることからすれば,被爆者健康手帳の交付手続を適正かつ円滑に行うという目的の下,申請者は,少なくとも日本国内に現在していることを前提とした上で,当該現在地の都道府県知事に交付申請をすべきことを規定したものと考えることができる。 このように,旧被爆者援護法の下では,被爆者健康手帳の交付申請については,原則として,申請者が日本国内に少なくとも現在することを要求しているというべきであり,その限りで,その内容は一応の合理性を有しているものということができる。 ウしかし,申 帳の交付申請については,原則として,申請者が日本国内に少なくとも現在することを要求しているというべきであり,その限りで,その内容は一応の合理性を有しているものということができる。 ウしかし,申請者に日本国内の居住又は現在を要求した旧被爆者援護法の趣旨が,被爆事実の確認や本人確認に慎重を期することにあることからすれば,審査機関が日本国内において直接本人と対面した上で被爆事実の確認や本人確認をしなかったとしても,その審査の適正を担保できる代替手段があるような場合にまで,常に申請者に来日を求める必要性があるとまでは認め難い。 特に,被爆者援護法が「高齢化の進行している被爆者に対する保健,医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じ」ることを目的としていることに照らせば,日本国内に居住していない者にあっては,来日することが身体的事情等によりかなわない相当数の者の存在が当然に想定されることから,被爆事実の確認や本人確認を他の代替手段により行うことができるにもかかわらず,こうした者を外国にある(日本国内に現在しない)という一事によって援護の対象から排除する趣旨と解するのは合理的ではないというべきである。 そうすると,旧被爆者援護法2条1項の規定は,国外に居住する者に関 しては,来日に特段の困難が伴わない者や来日を求めた上で被爆者本人から直接事実を聴取しなければ被爆事実の確認又は本人確認ができない者に限って,日本国内に現在した上での申請を要求するとともに,その場合の申請の管轄を定めた規定にすぎないとみるべきであって,日本国内に居住地を有せず,現在もしない者について,申請それ自体を認めないとする実体的資格要件を定めたものではないと解するのが相当である。 そして,日本国内に居住していない者であっても,来日することに困難が伴うなど,日本国内に現在 しない者について,申請それ自体を認めないとする実体的資格要件を定めたものではないと解するのが相当である。 そして,日本国内に居住していない者であっても,来日することに困難が伴うなど,日本国内に現在して申請を行わないことに合理的理由があり,かつ,直接本人から事実を聴取しなくとも被爆確認や本人確認を行うことができるような場合には,旧被爆者援護法の下でも,国外にあるままで任意の都道府県知事に被爆者健康手帳の交付申請を行うことができ,そうした申請を受けた都道府県知事としては,被爆要件等を満たすものと判断した場合,被爆者健康手帳を交付すべき義務があるというべきである。 したがって,来日しないことについて合理的理由があるか否かを何ら検討することなく,申請者が来日しないことのみを理由として当該都道府県知事が被爆者健康手帳の交付申請を却下する処分をした場合にはその処分は違法の評価を免れない。 (2)前記前提事実(4)のとおり,原告らはいずれも,平成15年から平成18年にかけて,広島市長から被爆確認証の交付を受けたものである。そして,前記前提事実(3)アのとおり,被爆確認証交付事業は,将来,渡日した際の被爆者健康手帳又は健康診断受診者証の円滑な交付に役立てるために実施要綱に基づき行われていたものであり,法律に直接の根拠を有するものでもないから,被爆者健康手帳の交付そのものと同一視することはできない。 しかし,甲24,乙8,9によれば,被爆確認証を交付するに当たっては,被爆者健康手帳の交付を行う機関に対応する機関(県市の知事又は市長)が,当該申請者が「被爆者健康手帳又は健康診断受診者証の交付要件に該当する ものと認められる」か否かにつき,手帳又は健康診断受診者証の審査に準じた審査を行うこととされており,具体的には,申請者又はその家族,証人等関係者か 手帳又は健康診断受診者証の交付要件に該当する ものと認められる」か否かにつき,手帳又は健康診断受診者証の審査に準じた審査を行うこととされており,具体的には,申請者又はその家族,証人等関係者から電話聴取をするとともに,申請者の家族や証人等関係者が手帳を取得している場合はその取得した際の資料や戸籍等を調査し,さらに,必要に応じて申請者から追加書類の提出を求めていたというのであり,こうした審査内容に照らすと,被爆確認証は被爆要件に該当する高度の蓋然性が認められる者に交付されていたものと認められる。さらに,実際にも,被爆確認証の交付を受けた者が来日した場合,審査機関は,被爆者健康手帳の交付に当たり,本人確認のためのパスポート以外に更に書類の提出を求めることはなく,被爆事実については申請書に記載されている内容を再確認することをもって,その審査をし,被爆者健康手帳を交付していたものと認められる(甲24)。 以上の事実に加えて,調査嘱託の結果によれば,原告らについては,書類審査と電話聴取のほか,B1以外の者については,同時に申請し,来日した家族の直接の面談を経た上で,各自に被爆確認証が交付されており,また,B1については,同人と同時に申請した家族はないが,同人より先に申請して被爆者健康手帳の交付を受けた子どもがおり,それらの手帳交付の際の申請書に,B1と一緒に広島市甲町で生活していたことや,B1が甲町の自宅で被爆した旨の記載があることを理由に,被爆確認証が交付されたという事実を認めることができる。これらの事実からすれば,原告らについては,被爆要件につき,必要かつ十分な審査を経て,これに該当することが確認された上で被爆確認証が交付されたというべきである。 そうすると,本人からの事情聴取の重要性にかんがみても,本件の原告らに関しては,関係資料を つき,必要かつ十分な審査を経て,これに該当することが確認された上で被爆確認証が交付されたというべきである。 そうすると,本人からの事情聴取の重要性にかんがみても,本件の原告らに関しては,関係資料を更に収集したり,本人から被爆当時の事情を更に聴取したりしなければならないという事情はなく,日本国内に現在しなければ被爆事実の確認をするという目的を達成することができないという事情はな かったものである。 なお,原告らは,広島市長から被爆確認証の交付を受けたにもかかわらず,大阪府知事に対して被爆者健康手帳の交付申請をしている。このように,原告らが,被爆確認証の交付に際し被爆要件に係る審査を行った機関である広島市長とは別の機関である大阪府知事(被告は被爆確認証交付事業の実施主体に含まれていない。実施要綱2(2)参照)に対して被爆者健康手帳の交付申請を行った理由は必ずしも明らかではないが,被爆確認証交付事業が厚生労働省健康局長の定めた実施要綱に基づいて統一的に実施されている在外被爆者渡日支援等事業の一環として行われていること(そのうちの一部事業については被告も実施主体となっていること)からすれば,大阪府知事が被爆確認証の交付主体でないとしても,原告らから重ねて被爆事実の確認をしなければならないとはいえない。 (3)被告は,被爆確認証交付時の審査において被爆事実が確認されたとしても,なお本人確認の必要があるから,申請者が日本国内に居住又は現在することを要件とする必要性が存すると主張する。 なるほど,国外にある申請者については,審査機関の担当者等が本人の面前で身分証明書(パスポート等)の記載内容と対照するなど簡易かつ確実な方法により本人確認を行うことが,日本国内にある申請者ほどには容易に実施できないという事情があることは理解できないでもない。 し 前で身分証明書(パスポート等)の記載内容と対照するなど簡易かつ確実な方法により本人確認を行うことが,日本国内にある申請者ほどには容易に実施できないという事情があることは理解できないでもない。 しかし,本人確認は,必要に応じて,申請者に書面を追完させたり,それでも確認ができない場合に,領事館等を通じて直接本人確認を行ったりするなどの代替手段によっても可能であるから,日本国内に現在しなければその目的を達成することができないとはいえない。 また,調査嘱託の結果によれば,被爆確認証の交付の際に,必要に応じて,住民登録票の写し等の書類の提出を求め,申請者の生存確認を行うことがあったこと,B1の被爆確認証の交付の際には,実際に戸籍謄本,住民票,住 民登録カードの写しにより本人確認が行われたことが認められ,同様に,他の原告らについても,必要な本人確認が行われていたものと推認できる一方,被爆確認証の交付を受けた者が来日した際に行われていた実際の本人確認の方法をみても,パスポート以外に更に書類の提出を求められることはなかったことは前記(2)でみたとおりであるから,日本国内において直接面談しなかったからといって本人確認が不十分になったという事情は見当たらない。 このように,原告らについて,本人確認の目的を達成するために日本国内に現在することが不可欠であったと解することはできないから,被告の主張はその限りにおいて採用することはできない。 (4)以上に加えて,甲5から8まで及び甲10,11によれば,原告Gを除く原告らについては,本件処分1に係る被爆者健康手帳の交付申請を行った平成18年6月28日当時,その健康状態等により来日することが困難な事情にあったものと認められる。この点も勘案すれば,原告Gを除く原告らについては,上記申請の際に日本国内に現在するこ 付申請を行った平成18年6月28日当時,その健康状態等により来日することが困難な事情にあったものと認められる。この点も勘案すれば,原告Gを除く原告らについては,上記申請の際に日本国内に現在することを求めるべき合理的な理由はなかったものと認められ,被爆確認証の交付の際の審査内容(調査嘱託の結果)によれば,原告らはいずれも,広島市において直接被爆したものと認めるのが相当であるから,被爆者援護法1条1号に該当すると認められる。 そうすると,原告Gを除く原告らから被爆者健康手帳の交付申請を受けた大阪府知事は,被爆者健康手帳を交付すべき義務があったというべきであり,本件処分1は違法であるから,いずれも取り消されるべきである。 本件処分2の適法性大阪府知事は,原告Gを除く原告らがいずれも被爆者健康手帳の交付を受けておらず,「被爆者」ではないとの理由で,本件処分2を行ったものであるところ,本件処分1が取り消されることにより,本件処分2の根拠は失われるものというべきであるから,本件処分2は違法であり,いずれも取り消されるべきである。 結論 よって,原告Gの本件処分1の取消しを求める訴えは,訴えの利益がないから,却下することとし,同原告以外の原告らに対してされた本件各処分の取消しを求める訴えはいずれも理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部裁判長裁判官吉田徹裁判官小林康彦裁判官仲井葉月
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