平成30(わ)421 逮捕監禁致死被告事件

裁判年月日・裁判所
平成30年12月20日 福岡地方裁判所 小倉支部
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判決文本文2,322 文字)

事件番号平成30年(わ)第421号事件名逮捕監禁致死被告事件宣告日平成30年12月20日 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 未決勾留日数中80日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,前妻との間にもうけた5歳の長女と4歳の長男,平成30年に入ってから結婚した妻A,Aの連れ子で被告人自身も養子縁組をしたB(当時4歳の男児。 以下「被害者」という。),同じく3歳の女児と一緒に,北九州市a区bc丁目d番e号にある被告人の祖母方で暮らしていたが,同年5月11日午前零時過ぎ頃,祖母方2階の寝室で妻Aと過ごしていたとき,同じ2階にある子供部屋から子供の泣き声が聞こえたので,子供部屋へ行ってみたところ,泣き声は止んでいたものの,子供部屋に置かれたテレビ台の中央に設けられた引き出し(横幅約53.8センチメートル,奥行き約34センチメートル,高さ約13.5センチメートル)が引き出されており,その中で被害者が手足を折り曲げ身体を丸めて寝ているのを見つけたことから,ベッドで寝かせるために起こそうとして声をかけたり,尻の辺りを叩いたりしたが,被害者が目を覚まさなかったので,いらだちを覚え,その中で被害者が寝込んだままの引き出しをテレビ台の中に押し込み,同日未明までの間,同人をその引き出しの中で身動きがとれず,そこから脱出することが不可能な状態に置き,もって同人を不法に逮捕監禁するとともに,その頃,同所において,同逮捕監禁により,同人を胸郭運動障害による低酸素脳症により死亡させた。 (証拠の標目)省略(事実認定の補足説明) 1 弁護人は,被告人は逮捕監禁の故意がなかったから無罪であると主張するが,被告人は,何か月も前から被害者と一緒に暮らし,風呂に入れるなど世 拠の標目)省略(事実認定の補足説明) 1 弁護人は,被告人は逮捕監禁の故意がなかったから無罪であると主張するが,被告人は,何か月も前から被害者と一緒に暮らし,風呂に入れるなど世話をしていたのであるから,被害者の体格,背格好が分かっていたと認められる上,本件犯行の際には,罪となるべき事実に記載のとおりに引き出しの中で被害者が寝入っているのを目の当たりにしていたのであるから,引き出しごとテレビ台の中に閉じ込められれば被害者は身動きが取れなくなることが分かっていたし,相応の力を込めなければ,被害者を入れたままの引き出しをテレビ台の中に押し込めないことも実感していたから,被害者にとって,これとは逆向きの力を加えて自力でテレビ台から脱出できるわけがないことも容易に推測できたと認められる。 そうすると,被告人は,被害者がテレビ台の中から脱出することが不可能であると認識していたといえる。 2 これに対し,被告人は,被害者が2段ベッドの下に置かれた引き出しから自力で出入りしていたのを見たことがあったので,本件犯行当時の自分は,被害者がテレビ台の中からも出られると考えていたのではないかと思うと供述する。 しかし,2段ベッドの下の引き出しは,縦横高さの各寸法がいずれもテレビ台の引き出しよりも大きく,底面にはキャスターが付けられて転がりやすくなっているなどテレビ台の引き出しとは構造が異なっているのであるから,被害者が2段ベッドの下の引き出しから自力で抜け出していたのを見たからといって,テレビ台の引き出しからも出られると考えたというのは不合理であって,上記被告人の供述を信用することはできない。 3 以上の理由から,被告人は逮捕監禁の故意があったと認めた。 (法令の適用)省略(量刑の理由)被告人は,日頃から被害者 不合理であって,上記被告人の供述を信用することはできない。 3 以上の理由から,被告人は逮捕監禁の故意があったと認めた。 (法令の適用)省略(量刑の理由)被告人は,日頃から被害者に暴力を振るっていたわけではない。 しかし,被告人は,狭い引き出しの中いっぱいに被害者が収まっているのを分か っていながら,この引き出しをテレビ台の中に押し込んで,被害者を身動きできない状態にした上,数時間も放置し,幼い被害者に無用の苦しみを与え続けたもので,その行為態様は,危険かつ悪質で残酷でもある。被告人は,被害者の死を予想していなかったとはいえ,ためらいもなく過酷な仕打ちに及び,その行為の危険性に思い至らず,そのまま朝まで被害者の様子を気遣うこともなかったというのは,あまりにも軽率,無思慮であって,その結果,幼い被害者を落命させた点は,特に強く非難される。以上のような犯行態様の悪質さ,結果の重大さからすれば,被告人の刑事責任は重いといえるから,被告人が被害者を風呂に入れたり,歯を磨いてやるなどして日頃から世話をしていたことや,本件時も引き出しで寝入っていた被害者を気遣ってベッドで寝るように諭してもなかなか目を覚まさなかったことに苛立ちを覚えて犯行に及んだことなどの同情できる事情を踏まえても,刑の執行を猶予するのは相当でない。 そこで,妻が被告人との再出発を望んでいること,被告人にとって被害者を失うことは予想外であって,被告人が自己の行為を後悔して反省していることなどの酌むべき事情も考慮し,被告人に対しては,酌量減軽の上,主文の刑に処するのが相当であると判断した。 (検察官の求刑:懲役5年)平成30年12月20日福岡地方裁判所小倉支部第1刑事部裁判長裁判官松藤和博 るのが相当であると判断した。 (検察官の求刑:懲役5年)平成30年12月20日福岡地方裁判所小倉支部第1刑事部裁判長裁判官松藤和博裁判官向井亜紀子裁判官加島一十

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