昭和27(う)680 麻薬取締法及び医師法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和27年12月25日 仙台高等裁判所 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人を懲役四月及罰金一万円に処する。      右罰金を完納することが出来ないときは金二百円を一日に換算した期間 被告人を労役場に留置する。  

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判決文本文5,099 文字)

主文 原判決を破棄する。 被告人を懲役四月及罰金一万円に処する。 右罰金を完納することが出来ないときは金二百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 但し此判決確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。 押収の証第一号麻薬塩酸モルヒネ注射液1cc入四十八アンプル(四箱、但し内二本は鑑定の為破壊)及同第二号麻薬ナルコボンスコポラミン1cc入一アンプル並びに麻薬塩酸モルヒネ注射液1cc入二アンプルは之を没収する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 検察官の控訴趣意竝弁護人小林正一の控訴趣意と其答弁は記録中の夫々の提出にかゝる控訴趣意書及答弁書の通りであるからここに之を引用する。 一、 検察官の控訴趣意第一点について。 原判決が原判示第二の被告人の罪となるべき事実の証拠としてA、Bの各司法警察員に対する供述調書とCの司法巡査に対する供述調書(原判決が司法警察員に対する供述調書と摘示したのは誤記である)を他の証拠と共に挙示したこと竝此三通の供述調書は夫々原審で証人として取調を受けた右三名の証言の証明力を争うため刑事訴訟法第三百二十八条に基き検察官から取調請求あり、原審が其趣旨で取調べた証拠である(記録四十八丁裏、八十四丁裏)ことは所論の通りであるから、これら三つの供述調書は罪となるべ<要旨第一>き事実認定の積極的な証拠としては証拠能力のないものであることはいうまでもない。原判決がこれらの供述</要旨第一>調書を判決の証拠として挙示した趣旨は、理解に苦しむところであるが、特段の説明もない原判決においては、之等の証拠の内容の全部又は一部を、原判示事実認定の積極的証拠としたことを表明するものと解するのを相当とする。けだし、刑事訴訟法第三百三十五条 しむところであるが、特段の説明もない原判決においては、之等の証拠の内容の全部又は一部を、原判示事実認定の積極的証拠としたことを表明するものと解するのを相当とする。けだし、刑事訴訟法第三百三十五条において判決に証拠の標目を挙示すべきことを定めているのは、その内容の全部又は一部を判示事実認定の積極的資料としたところの証拠の標目を挙示すべきことを定めているのであつて、之を裏からいえば判決に標目を挙示すべき証拠はその内容の全部又は一部な判示事実認定の積極的証拠として使用したものに止めてよいのであり又判決の証拠説明を証拠の標目の挙示に止めている場合には、その標目を挙示される証拠は、その内容の全部又は一部を判示事実認定の積極的資料に使用したもののみに止めているのが、判決書作成の通例のやり方でもあるからである。従つて、原判決は証拠能力のない証拠を<要旨第二>事実認定の資料に供した違法があることは所論の通りである。しかしながら、原判決挙示の証拠をしさいに検</要旨第二>討すれば、右三つの供述調書を除外しても、その余の証拠により原判示第二の事実は之を認めるに十分であり、このような場合には、右の違法は判決に影響を及ぼすこと明白とはいい得ないものと解すべきであるから、判決破棄の理由とはならない。論旨は右と異る見解に立つもので採用することを得ない。 二、 弁護人の控訴趣意第一について。 原判決は被告人が医師の免許を受けずしてA外二名に対し、診断の上注射し、以て医業をしたことを認定した。 その趣旨たるや、被告人は原判示の各患者の病状を診察してその病名及び容体を判定し、その判定に基く治療の方法として薬液の注射をするという一連の行為を、反覆継続の意思を以て実行したものと認め、之を以て医業をしたものと判示しているものであることは明かであつて、医業をしたことの判示 し、その判定に基く治療の方法として薬液の注射をするという一連の行為を、反覆継続の意思を以て実行したものと認め、之を以て医業をしたものと判示しているものであることは明かであつて、医業をしたことの判示として欠くるところなく、又原判決挙示の証拠中前記証拠能力のないものを除いても原判示の事実は十分に之を認め得るところである。論旨は被告人A、D、B及びCの司法警察職員又は検察官に対する各供述調書中の供述記載は、弁解を聴入れず、理解せず、被告人に不利益な先入感に基ずく取調に因るもので措信するに足りないと主張するがそのように認めるべき資料はない。又、論旨は原判示の診断は、被告人が鍼灸術の適応症判定のための探索たるに止まり医行為ではないと主張するが、原判決は、この診断と注射とを一連の行為とし、之を包括して医行為を認めているのであつて、その両者を分論してそれぞれが医行為であるとしているのでない。又もとより右診断を以て単に鍼灸術適応症判定のための探索に止まるものと認めているのではなく、しかも記録を精査しても原判決のこれらの点の事実認定に誤りがあるとは認められない。 更に、論旨は被告人が本件注射をしたのは、被告人の鍼灸按摩業に関係なく、特定の患者から、特別の依頼があつたので止むを得ずにしたもので、殊にA及びBの場合は同人等が持参した薬液を注射してやつたに過ぎず、被告人の医行為は普遍性も継続性もなく、常業として之をしたものといい得ないと主張するが被告人のその旨の弁疏及び之に照応するが如き原審証人B、D、A、Cの供述は、之を右各証人及び被告人の司法警察職員又は検察官に対する各供述調書及び押収の証第二十二号ノートの記載と対比して到底信用することを得ず却て被告人の司法警察職員に対する第三、四、六回供述調書及び検察官に対する供述調書、証第二十二号のノート、D、A に対する各供述調書及び押収の証第二十二号ノートの記載と対比して到底信用することを得ず却て被告人の司法警察職員に対する第三、四、六回供述調書及び検察官に対する供述調書、証第二十二号のノート、D、Aの各検察官に対する供述調書を綜合すると、その然らざることが明かである。特にこれらの証拠を綜合すれば、Aの場合は被告人が同人の病状を診察して結核のため同人の肺に空洞ができていると判定し、之に対して灸したのであるが、この病気によい薬があると暗に被告人の方から勧めたので注射をすることになつたもので昭和二十六年五月十四日から七月二十四日までに合計六十一回治療を行い、その内注射を行うこと五十五回注射以外の治療代金は一回七十円で合計四千二百七十円、注射の代金は五月中(十一回)は一回四百六十円六月中(二十八回)は一回四百八十円、七月中(十六回)は一回五百円で合計二万六千五百円以上治療代総計三万七百七十円と計上して請求し、之に対しAから同年六月十五日に一万円、同年十一月五日に一万円と計二万円を内金として受領していること、なお、Aに対し、右の注射薬はストレプトマイシンであると告げていたことが窺われ、又、Bの場合にも昭和二十六年五月十六日以降八月中迄の間に合計七十七回注射し、その料金として一回百七十円総計一万三千九十円を計上し、之をBに対するその他の治療代及び同人の家族に対する治療代金と合算して請求し、同年十一月初旬内金一万五千日を受領していることがそれぞれ明かで、これらによれば、Aの場合は、もし、同人が持参した薬液を注射してやつてたに過ぎぬとすれば、その皮下注射料だけで一回四百六十円乃至五百円という法外極りない料金をとつたことになるのであつて到底そのようには認め得ず、その薬液は被告人が提供したものと認めざるを得ないのであるが、それでさえその薬が原判決認定の如く 一回四百六十円乃至五百円という法外極りない料金をとつたことになるのであつて到底そのようには認め得ず、その薬液は被告人が提供したものと認めざるを得ないのであるが、それでさえその薬が原判決認定の如くメタボリン又はビタミンBであつたとすれば、これまた法外な代金であることは明かで(さればこそそれはストレプトマイシンではなかつたかとの疑いも濃厚になる。)あり又Bの場合も、同人が持参した薬液を注射したものとすればその皮下注射料金のみで一回百七十円、仮りにこの百七十円の中には、前記証第二二号のノートの記載から認められる一回七十円という注射以外の治療代金を含んでいたとすれば之を差引いて一回百円となるのであつて、之また法外な料金といわねばならず、いずれの場合でも、その注射薬を被告人が提供したものと解してのみその料金の妥当性を肯定し得るのである。更に、被告人とA又はBとの間に、右のような注射料とも一回四百六十円乃至五百円又は百円もしくは百七十円という薬品を何十回分に亘つて被告人が立替えてまで注射してやる程の特別な間桓にあつたものと認め得る資料はなく、又、これらの注射代金も被告人の鍼灸按摩者としての治療代と区別なく同一の帳簿に記載経理し、精求し、受領されていたことも明かで以上の各事実は到底所論の事情と相容れないものであることは多言を要しないところである。 以上の外、被告人方の診療室の構造、設備、備附器具薬品等の状況などが医業にふさわしくなかつたとか、原判示三人の外に注射しなかつたとか(この最後の点はEの司法巡査に対する供述調書及び被告人の司法警察員に対する第四回供述調書に照し、これを肯定し得ない。)ということは、いずれも原判示被告人の所為を医業と認めることの妨げとなるものではない。之を要するに、記録を精査しても原判決の事実認定(但し、A及びBに対する各 供述調書に照し、これを肯定し得ない。)ということは、いずれも原判示被告人の所為を医業と認めることの妨げとなるものではない。之を要するに、記録を精査しても原判決の事実認定(但し、A及びBに対する各注射の回数の点は除く)には誤りなく、かつ原判決が被告人の行為を医業と認定したことにおいても誤りはない。 三、 検察官の控訴趣意第二点竝弁護人の控訴趣意第二について。 夫々の所論に鑑み、紀録を精査し、諸般の情状を考量すると、原審の刑は軽きに失する。原判決は此点に於て破棄を免れぬ。検察官の論旨は理由があり、弁護人の論旨は理由がない。 よつて刑事訴訟法第三百九十七条、第三百八十一条に則り原判決を破棄し、同法第四百条但書に従い当裁判所は本件につき更に次の様に判決する。 (事実)当裁判所の認める被告人の犯罪事実は犯罪一覧表中約三十回とあるのを五十五回と、約十七回とあるのを約七十七回とそれぞれ訂正する外原判決摘示事実と同一であるからこゝに之を引用する。 (証拠)一、 原判示第一の事実に関し。 (イ) F作成の鑑定書(ロ) 司法警察員の捜索差押調書(ハ) 押収にかゝる塩酸モルヒネ注射液四箱(証第一号)竝塩酸モルヒネ注射液二本及ナルコボン、スコポラミン注射液一本(証第二号)二、 原判示第二の事実に関し。 (イ) Aの検察官に対する供述調書(ロ) Dの検察官に対する供述調書(ハ) 原審第二回公判調書中証人Cの供述記載(ニ) 押収の証第二十二号ノートの存右及びその記載三、 原判示第一及第二の事実に関する共通の証拠(イ) 原審第一乃至第四回公判に於ける被告人の供述記載(ロ) 被告人の検察官に対する供述調書(ハ) 被告人の司決警察員に対する第一乃至第六回供述調書(法令の適用)被告人の原判示第一の所為は麻薬取締法第三条 第四回公判に於ける被告人の供述記載(ロ) 被告人の検察官に対する供述調書(ハ) 被告人の司決警察員に対する第一乃至第六回供述調書(法令の適用)被告人の原判示第一の所為は麻薬取締法第三条第一項、第五十七条第一項、罰金等臨時法第二条に、原判示第二の所為は医師法第十七条、第三十一条第一項第一号、罰金等臨時措置法第二条に該当し、以上は刑法第四十五条前段の併合罪であるから前者については所定刑中罰金刑を、後者については所定刑中懲役刑を夫々選び同法第四十八条第一項に従い被告人を懲役四月及罰金一万円に処し、刑法第十八条に基き右罰金を完納することが出来ないときは金二百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置すべく、同法第二十五条を適用して此判決確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予し、主文第四項掲記の物件は判示第一の罪の組成物件であるから、刑法第十九条第一項第一号第二項によつて之を没収し、刑事訴訟法第百八十一条第一項により訴訟費用(原審における)は之を全部被告人をして負担せしめることとし、主文の通り判決する。 (裁判長裁判官鈴木禎次郎裁判官高橋雄一裁判官佐々木次雄)

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