昭和24(れ)986 強盗殺人

裁判年月日・裁判所
昭和24年6月7日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
ファイル
hanrei-pdf-55511.txt
🤖 AI生成要約2026/3/13

【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  被告人A、弁護人西元禎および同斎藤淳一の各上告趣意書(斎藤弁護人の分は訂 正追加書とも二通)は、末尾に添えた別紙記載の通

タグ

キーワード(AI生成)

判決文本文5,493 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 被告人A、弁護人西元禎および同斎藤淳一の各上告趣意書(斎藤弁護人の分は訂正追加書とも二通)は、末尾に添えた別紙記載の通りである。 (一)本強盗殺人事件は、第一審第二審の有罪判決に対し上告があつて、当裁判所第二小法廷が破毀差戻の判決をし、高等裁判所が再び有罪判決をしたのに対する上告事件である。本件犯行が発覚したとき、検事は旧刑事訴訟法第一八二条によつて検視を為し、同法第一八三条第一七六条により検証ならびに死体の解剖をしたのであるが、その際医師Bに対し創傷の部位程度死因等について鑑定を命じた。しかし第一審判決はその鑑定書を援用せず、同医師死体検案書を証拠としたのであるが第二審判決は右の鑑定書を証拠として被害者の創傷の部位程度ならびに死因を認定したところ、上告審は上告論旨を容れ、検事の右鑑定命令は違法であるからそれに基いて作成された鑑定書は適法な手続によつたものでないとし、それを証拠とした第二審判決は違法だというので破毀差戻の判決をしたのである。差戻を受けた原審では、検事から死因鑑定の申請があり、第四回公判にB医師を証人として喚問し、死因について鑑定書同様の供述を得たが、しかし原判決は右の供述を証拠とせずやはり死体検案書を証拠とした。 (二) 被告人Aの上告論旨第一点は、被告人は原審において黒磯警察署刑事某およびCを証人として公判廷に喚問されたいと申請したのに、原審は前者については決定を為さず、後者については、一度口頭で公判廷に喚問することを認めて置きながら、のちに現場において喚問することに変更し、被告人に対質の機会を与えなかつたのは、法令に違反する、というのである。なるほど記録を見ると、被告人は原審第三回公判廷において「Cは証人としてもう一度お調べ願いたい」旨 において喚問することに変更し、被告人に対質の機会を与えなかつたのは、法令に違反する、というのである。なるほど記録を見ると、被告人は原審第三回公判廷において「Cは証人としてもう一度お調べ願いたい」旨を述べた- 1 -との記載があり(七五三丁)また弁護人からもその旨の証人申請書が提出されているが(七五五丁)同証人を法廷に喚問することを原審が口頭で認めたような事実は認められない、また刑事某の証人申請をした形跡はない、そしてもし仮りに論旨の通りであつたとしても、証拠調の範囲限度は事実審たる原審の自由裁量にゆだねられているところであつて申請された証人をことごとく公判廷に喚問しなければならぬという法規は存しない。憲法第三七条第二項もそういう趣旨でないことは、当裁判所の判例とするところであつて(昭和二三年(れ)第八八号同年六月二三日大法廷判決)、論旨は結局原審の自由裁量権を攻撃することになり、上告の適法な理由にならない。 (三) 同上告論旨第二点は、原審証人CとDの証言は虚偽である、と攻撃するが、原判決はこれらの証言を証拠として採用していないから、問題にならない。そして事実を立証するためさらに証人を申請し再審を要求しているが、上告審は事実審ではないから、さような請求を認め得ないこと、言うまでもない。また原審が被告人が薪割を兇器として持つて行つた、と認定したことを非難するが、事実認定の攻撃は上告理由にならない。 (四) 同論旨第三点も、同じく事実認定の攻撃にほかならず、上告理由にならない。 (五) 西元禎弁護人の上告論旨第二点は斎藤弁護人の上告趣意第一点第二点の援用であるから、(六)(七)に併せ考えることとする。その第一点の論旨は、本件犯行は敗戦後の社会的経済的混乱無秩序によるものであり、被告人が若年の戦争犠牲者であるのに、原判決が被告人に死 点第二点の援用であるから、(六)(七)に併せ考えることとする。その第一点の論旨は、本件犯行は敗戦後の社会的経済的混乱無秩序によるものであり、被告人が若年の戦争犠牲者であるのに、原判決が被告人に死刑を科したことは、刑の量刑が著しく不当でありまた著しく正義に反するから、これを破棄して自判されたい、というのである。ところで同弁護人はその論拠として刑事訴訟法第四一一条第一項および第二号ならびに第四一三条を引用しているが、これらは新刑事訴訟法の条文であつて、旧- 2 -刑事訴訟法および刑訴応急措置法の事件たる本件には当てはまらない。もつとも旧刑訴法下においても「人道上残酷と認められる程度の極端な量刑不当が存する場合には上告理由となることは言うを待たない。」という当裁判所の判例があるが(昭和二三年(れ)第五六九号同年九月九日第一小法廷判決)原審本刑の量刑は決してかくの如き程度のものでない。原判決の認定したところによれば、本件は極めて計画的に財物のため人命を奪つた大胆残忍な犯行であり、しかも記録によれば、被告人は犯行の翌日犯罪地域内の郵便局から被害者の留守宅に電報を打ち置きその夜および翌日同家をおとずれ、多額の金品を詐取して遊興に費したような次第で、その悪性のいちじるしいことが認められるから、原判決が被告人に死刑を宣告したことは、正義に反するものでないと判断すべく、論旨は理由がない。 (六) 斎藤弁護人上告趣意書および追加上告趣意書による論旨第一点は、原審第五回公判期日(昭和二四年二月五日)には弁護人海野普吉が不出頭であつたにもかゝわらず、原審は同公判期日において指定した第六回公判期日(昭和二四年二月一七日)につき同弁護人に適法な召喚手続(旧刑訴三二〇条、八四条、九九条)をとらなかつた、従つて同弁護人は右第六回公判期日には出頭しなかつたのである 期日において指定した第六回公判期日(昭和二四年二月一七日)につき同弁護人に適法な召喚手続(旧刑訴三二〇条、八四条、九九条)をとらなかつた、従つて同弁護人は右第六回公判期日には出頭しなかつたのであるが、原審は同期日に相弁護人位田亮次の立会の下に公判を開廷して弁論を終結した、これは明かに旧刑事訴訟法第四一〇条第一一号にいわゆる「不法に弁論権を制限した」場合に当り、原判決は破棄をまぬかれないと、いうのである。 判例をさかのぼると、大審院時代に、第一回公判期日につき弁護人に対し適法な召喚手続がとられている以上、同公判期日に右弁護人が出頭しなくとも、特別の事情のない限り、裁判所が公判廷において次回期日を指定告知すれば足り、不出頭の弁護人に対し重ねて旧刑事訴訟法第三二〇条の召喚手続をする必要はなく、第二回以後の公判期日についても順次同様である、との判例がある(大正一三年(れ)第一一九二号同年四月一六日大審院刑事第五部判決。昭和九年(れ)第一二四六号同年- 3 -一一月二〇日大審院刑事第四部判決)。今日においてもこの判例を変更すべき理由はないと思われる。 ところがこゝに、昭和二三年(れ)第四六号同年四月六日最高裁判所第三小法廷判決という当法廷の判例があつて、弁護人の一人が公判期日に不出頭であつたときその次の期日をその弁護人に通知しなかつたのは「不当に弁護権を制限した」ものである、と断定している。すなわち大審院時代の判例をくつがえしたもののように見えるが、その事実が前二回の場合および今回の場合とちがうのである。すなわち右の事件においては、弁護人の一人が欠席した公判期日において裁判所は「次回公判期日は追而指定する旨」を告知しながら、その次回の期日を右の弁護人に通知しなかつたのであるから、当法廷がこれを違法と判断したのは当然である。 本件の事情はこれ した公判期日において裁判所は「次回公判期日は追而指定する旨」を告知しながら、その次回の期日を右の弁護人に通知しなかつたのであるから、当法廷がこれを違法と判断したのは当然である。 本件の事情はこれを異なり、被告人と相弁護人出頭の法廷において次回の期日が指定されたのである。こういう場合にも実際上の取扱としては当日不出頭の弁護人にも次回期日の召喚状を適宜送達するのが普通であるがたまたまそれをしなかつたからとて、法律の要求する手続を怠つたものとは言われない。適法に召喚を受けた公判期日に何ら納得すべき理由なくして欠席した弁護人は、同公判期日における審理の進行状況、次回期日指定の有無等については、自ら進んでこれを確めるだけの努力をすべきこと、弁護人としてはむしろ当然の事である。殊に本件のごとく被告人および相弁護人が公判期日に出頭して次の期日の指定の告知を聞いた場合には、被告人または相弁護人において次回公判期日までに欠席弁護人と連絡を取つて公判の準備を整うべきであり、もしやむを得ない事情によつて再び出頭し得ない場合には、延期の申請その他適当な手段がありそうなことである。さて記録によれば、第六回公判期日につき海野弁護人に対して召喚手続がとられなかつたことは、論旨の通りであるが、原審は右期日以外の公判期日にはすべて適法な召喚状を同弁護人に送達している。そして海野弁護人は原審公判に一回も出頭していないのであつて、- 4 -しかもその不出頭の理由については記録上何らの認むべきものがない。その状態においてたまたま一回の召喚状不送達を自己の利益に援用するのはいかがなものであろうか。要するに原審が「不法に弁護権の行使を制限した」とは言い得ないのであつて、論旨は理由がない。 (七) 斎藤弁護人上告論旨第二点は、原判決は本件の犯行を「医師B作成の昭和二一年六月 ものであろうか。要するに原審が「不法に弁護権の行使を制限した」とは言い得ないのであつて、論旨は理由がない。 (七) 斎藤弁護人上告論旨第二点は、原判決は本件の犯行を「医師B作成の昭和二一年六月一日附死体検案書中右の事実について判示と同旨の記載」によつてこれを認めているのであるが、その検案書は氏名不詳者の死体について為されたものであつて、その死体が被害者Eの死体であることを認めるに足る証拠が欠けている、というのである。しかし、右検案書の前文によつてそれが昭和二一年五月二四日栃木県那須郡a村大字b山林内で発見された死体に関するものであることは明かである、そしてその他の証拠を綜合してそれが本件被害者Eの死体であることが認められるのであるから、原判決には何ら証拠によらずして事実を認定した違法はなく、論旨は理由がない。 (八) 斎藤弁護人上告論旨第三点は、原判決には本件犯行の場所被害者死亡の日時および死因を証拠によらずして認定した違法がある、と主張する。しかし(殺害行為の場所、死亡の日時等は犯罪構成要件たる事実でない。もちろん犯罪事実の同一性を確定する必要上それらの事実も証拠によつて認定すべきであるが(旧刑事訴訟法第三三六条)、証拠によつて認定した理由を一々判決書に記載する必要はない。旧刑事訴訟法第三六〇条第一項は「罪ト為ルヘキ事実及証拠ニ依リ之ヲ認メタル理由ヲ説明」すべき旨を命じているが、それ以外の事実については、たといそれが犯罪事実と密接不可分の関係にあるとしても、必ずしも証拠によつてこれを認めた理由を判決書に記載することまでは要求されていない。 従つて本件の日時場所について原判決はその認定の理由たる証拠が一々挙げてなかつたと仮定しても、それを違法なりとして上告の理由たらしめ得べきでない。(- 5 -犯罪の日時に関しては昭和二二年( 。 従つて本件の日時場所について原判決はその認定の理由たる証拠が一々挙げてなかつたと仮定しても、それを違法なりとして上告の理由たらしめ得べきでない。(- 5 -犯罪の日時に関しては昭和二二年(れ)第九二号同年一二月四日最高裁判所第一小法廷判決および昭和二三年(れ)第一二五八号同二四年二月一〇日同第一小法廷判決、犯罪の場所に関しては昭和二三年(れ)第一四五九号同二四年二月八日同第三小法廷判決参照)(九) 同論旨はさらに本件被害者の死因について、原判決は「傷害に基く多量の出血のため」と認定しているけれども、証拠として挙げた検案書には「貴要部ノ損傷ニ……続発スル多量ノ出血ニ因スル急劇ナル脳貧血及ビ脳震蕩ニヨリ」と記載されており、因果関係につき認定事実と証拠とが符合しない、と非難する。しかし、殺人罪において行為と結果との間の因果関係を判示するには、死亡の結果が被告人の行為に起因するものであることを見て取り得る程度で充分であつて、必ずしもその因果関係の経過を細大漏らさず説明しなければならないものではない(前掲昭和二三年九月九日第一小法廷判決参照)。それゆえ本件においても多量出血と死亡との間に脳貧血とか脳震蕩というような経過があつたにしても、結局において被告人の傷害行為による多量出血のための死亡たることに変りはないのであるから、判決文と検案書の記載との間には何らの食いちがいもないのであつて、原判決が証拠なくして因果関係を認めたという論旨は理由がない。 以上の各論旨いずれも上告の理由にならぬから、旧刑事訴訟法第四四六条によつて主文のとおり判決する。 以上は裁判官全員一致の意見によるものである。 検察官長谷川瀏関与昭和二四年六月七日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎 以上は裁判官全員一致の意見によるものである。 検察官長谷川瀏関与昭和二四年六月七日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官島保- 6 -裁判官河村又介裁判官穂積重遠- 7 -

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る