平成15年1月10日宣告平成14年(わ)第675号,第883号,第944号,第986号詐欺被告事件判決 主文 被告人を懲役3年6月に処する。 未決勾留日数中90日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成2年9月3日から平成14年1月27日までの間,北九州市a区b丁目c番d号所在の株式会社A銀行B支店の渉外担当,同月28日から同年3月27日までの間,同所所在の同銀行C支店B出張所の渉外担当として勤務していたものであるが,前記B支店の出納担当者らを欺いて顧客の預金払戻名下に現金を詐取しようと企て,第1 平成7年11月10日,前記B支店において,同銀行の顧客であるDから預金の払戻しを依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額53万8000円の普通預金払戻請求書を同支店課長Eらに提出するなどして普通預金口座からの払戻し手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,被告人が無断で開設したD名義の同銀行貯蓄預金口座(口座番号e)に15万円を入金させるとともに,現金38万8000円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第2 平成8年5月10日,前記B支店において,同銀行の顧客であるFから預金の払戻しを依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額45万円の普通預金払戻請求書を同支店課長Eらに提出するなどして普通預金口座からの払戻し手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,現金40万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第3 同年6月25日,前記B支店において,前記Fから預金の払戻しを依頼 人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,現金40万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第3 同年6月25日,前記B支店において,前記Fから預金の払戻しを依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額40万円の普通預金払戻請求書を同支店課長代理Gらに提出するなどして普通預金口座からの払戻し手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,現金40万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第4 平成9年6月16日,前記B支店において,同銀行の顧客であるHから預金の払戻しを依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額60万円の普通預金払戻請求書を同支店行員Iに提出するなどして普通預金口座からの払戻し手続をし,同人をしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,現金50万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第5 同年7月8日,前記B支店において,同銀行の顧客であるJから預金の払戻しを依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額100万円の異例取引管理票を同支店課長代理Gらに提出するなどして貯蓄預金口座からの払戻し手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,現金100万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第6 同年8月21日,前記B支店において,同銀行の顧客であるKから預金の払戻しを依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額50万円の異例取引管理票を同支店課長代理Gらに提出するなどして貯蓄預金口座からの払戻し手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,現金50万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第7 代理Gらに提出するなどして貯蓄預金口座からの払戻し手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,現金50万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第7 同年10月23日,前記B支店において,第4記載のHから定期預金の中途解約を依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額500万円の定期預金払戻請求書を同支店課長Lらに提出するなどして定期預金口座の中途解約手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,現金201万2367円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第8 平成10年12月25日,前記B支店において,同銀行の顧客であるMから預金の払戻しを依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額170万円の普通預金払戻請求書を同支店課長代理Nらに提出するなどして普通預金口座からの払戻し手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,被告人が無断で開設したM名義の同銀行貯蓄預金口座(口座番号f)に20万円を入金させるとともに,現金150万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第9 平成11年6月8日,前記B支店において,前記Mから預金の払戻しを依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額255万円の貯蓄預金払戻請求書を前記Nらに提出するなどして貯蓄預金口座(口座番号g)からの払戻し手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,被告人が無断で開設したO名義の同銀行貯蓄預金口座に200万円を入金させるとともに,現金55万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第10 別表(省略)記載のとおり,平成12年2月10日から平成14年2月12日までの間,前後1 口座に200万円を入金させるとともに,現金55万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第10 別表(省略)記載のとおり,平成12年2月10日から平成14年2月12日までの間,前後10回にわたり,前記B支店及び前記C支店B出張所において,前記Mから預金の払戻しを依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の普通預金払戻請求書を前記Nらに提出するなどして普通預金口座からの払戻し手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,被告人が無断で開設したM名義の同銀行貯蓄預金口座(口座番号h)に合計158万円を入金させるとともに,現金合計485万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第11 平成12年12月26日,前記B支店において,第4記載のHから貯蓄預金の解約を依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額10万0455円の貯蓄預金払戻請求書を同支店行員Pに提出するなどして貯蓄預金口座の解約手続をし,同人をしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人から,利息を含んだ現金10万0459円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させ,第12 平成13年2月8日,前記B支店において,第8記載のMから預金の払戻しを依頼された事実がないのにあるように装い,同人名義の金額100万円の異例取引管理票を同支店副支店長Qらに提出するなどして普通預金口座からの払戻し手続をし,同人らをしてその旨誤信させ,よって,同日同所において,同人らから,前記M名義の同銀行貯蓄預金口座(口座番号i)に50万円を入金させるとともに,現金50万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させたものである。 (証拠)省略(法令の適用)罰条判示各所為はいずれも刑法246条1項にそれぞれ該 万円を入金させるとともに,現金50万円の交付を受け,もって,人を欺いて財物を交付させたものである。 (証拠)省略(法令の適用)罰条判示各所為はいずれも刑法246条1項にそれぞれ該当併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い判示第9の罪の刑に法定の加重)未決勾留の刑算入刑法21条訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書(負担させない。)(量刑の理由)被告人は,酒好きの余り,自己の収入ではまかないきれない飲食を続け,消費者金融会社などに多額の借金を負うようになり,その返済資金や更に飲食するための現金欲しさから本件各犯行に及んだというのであり,各犯行の動機やその経緯に酌むべき点はない。犯行態様は,銀行員としての知識を悪用し,必要な書面を不正に作成するなどして,預金通帳を銀行に提出しない方法で預金の払戻手続の依頼を受けたように装って払い戻しの手続をするという計画的で巧妙なものであり,悪質というべきである。常習的に多数回犯行を重ね,被害額合計1700万円を超え,そのうち最終的に現金が被告人の手に渡った実質的被害も1600万円を超えるところ,被害弁償は全くなされていない。また,本件により,顧客はもちろん一般の人からも銀行に対する信用に不安を持たせる結果となるなど,社会的影響も軽視できない。したがって,被害銀行の担当者が被告人の厳重処罰を望むのは当然である。 これらの点からみると,被告人の刑責は相当重い。 したがって,被告人に前科がないこと,被告人が事実を正直に述べ,反省の態度を示していること,被告人の家族の状況など被告人のために酌むことのできる諸般の事情を十分考慮しても,主文の刑に処するのを相当と判断する。 平成15年1月10日福岡地方裁判所小倉支部第2刑事部裁判官大泉一 ,被告人の家族の状況など被告人のために酌むことのできる諸般の事情を十分考慮しても,主文の刑に処するのを相当と判断する。 平成15年1月10日福岡地方裁判所小倉支部第2刑事部裁判官大泉一夫
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