昭和29(う)347 賭場開張図利等被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和29年8月30日 名古屋高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件各控訴は之を棄却する          理    由  本件各控訴の趣意は被告人等四名の弁護人森田和彦の作成提出に係る控訴趣意書 と題する書面に記載の通りであるから茲に之を

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判決文本文3,751 文字)

主文本件各控訴は之を棄却する 理由本件各控訴の趣意は被告人等四名の弁護人森田和彦の作成提出に係る控訴趣意書と題する書面に記載の通りであるから茲に之を引用するが之に対する当裁判所の判断は左の通りである控訴趣意第一点について先ず原審の昭和二十八年十月二十七日に於ける第一回公判期日の召喚状が被告人A及同Bに対し夫々通式に送達されているかを本件記録に依り調査するに右被告人両名からは公判期日の請書も提出しておらず又同被告人等に対し其の他の召喚手続を採つた形跡を見受けられないよつて本件において被告人に対し適<要旨第一>法な召喚手続が執られたかであるが右被告人等は当時原裁判所に近接する代用監獄である名古屋市中警察署に</要旨第一>勾留中であつたのであるからその召喚手続は刑事訴訟法第六十五条第三項によつて行われ得るのであつて同項には裁判所に近接する監獄にいる被告人に対しては監獄官吏に通知してこれを召喚することが出来る旨規定するも通知の方式等については何等の定めがないから裁判所が各場合に付相当と認めるところに従い在監人呼出簿への記入電話其の他適宜の方法により前以て通知すれば足りるものと解するを相当とする只本件においては記録上叙上の如何なる方法によつて召喚手続を履践したか明かではないが前記第一回公判調書の記載により右各被告人が同期日に出頭したことは明白であり被告人本人が公判期日に出頭していること自体が右の如き召喚手続が行れたことを示すものと謂うことが出来る而してこの場合に於ては被告人等が監獄官吏から通知を受<要旨第二>けた時を以て召喚状の送達があつたものと看做されるのである仮に右解釈を相当に非ずとするも記録によれ</要旨第二>ば被告人A及同Bは昭和二十八年十月二十七日に於ける第一回公判期日に出頭して 要旨第二>けた時を以て召喚状の送達があつたものと看做されるのである仮に右解釈を相当に非ずとするも記録によれ</要旨第二>ば被告人A及同Bは昭和二十八年十月二十七日に於ける第一回公判期日に出頭して居り右期日に於て何等の異議をとどめていないのであるから右被告人等は責問権を拡棄したものと見る外はないのであつて之に依つて訴訟手続上の違法が仮にあつたとしてもその違法は治癒されたものと謂うべきである次に被告人A及同Bに付ては弁護人の選任なくして第一回公判期日が開廷され違法な審理手続が行われてい<要旨第三>るかどうかを記録に依り調査すると第一回公判期日に於ては被告人等の人違でないかどうかを確める為の質問</要旨第三>のみが行われ検察官は起訴状の朗読に入らず単に関連事件である被告人C外一名に対する賭場開張図利被告事件を被告人A外二名に対する賭場開張図利幇助被告事件に併合して審理されたい旨請求したのみであつて何等実体的審理が行われて居らず原裁判所は要弁護人事件の公判手続を遂行する為被告人A及同Bの弁護人選任を俟つ旨を以て公判期日を続行し其の後第二回公判期日に於て右被告人両名の弁護人の出頭を得た上同弁護人から何等の申立もなかつたので前示両事件の併合決定を為したこと明白であつて之を以て不法に弁護権の行使を制限したものと謂うことは出来ない叙上説示の如き次第であるから論旨に謂う第一回公判期日の開廷は違法であつてその違法は判決に影響あること明ちかであるとの点は理由がない同第二点について共同正犯と従犯に関する観念及その区別に関する従来の判例理論は所論の通りであつて要するに共同正犯を以て論ぜられる揚合であるか従犯と見られる場合であるかの区別の標準は専ら自己の犯罪を共同して実現する意思であつたか或は他人の犯行の実行を容易ならしめるだけの意思であつたかにあるの て要するに共同正犯を以て論ぜられる揚合であるか従犯と見られる場合であるかの区別の標準は専ら自己の犯罪を共同して実現する意思であつたか或は他人の犯行の実行を容易ならしめるだけの意思であつたかにあるのであるから単に被告人Cが所論のやうに他の被告人等と交替で中盆の役割を担当し被告人Dの偽に寺銭を徴収して同被告人から給金を貰つておつたとして之の事実からして直に賭場開帳図利の従犯を構成するに過ぎないものと推論し難く況や原判決挙示の各証拠即ち原審第四回公判に於ける被告人供述調書中被告人Dの供述記載同被告人の検察官事務取扱及司法警察員に対する供述調書の各供述記載被告人Cの検祭官事務取扱に対する昭和二十八年十月十六日附供述調書に於ける供述記載及同被告人の司法警察員に対する第一回第三回供述調書に於ける各供述記載を綜合すれば被告人Cは昭和二十七年十一月頃以来は親分である被告人Dから賭場を開張する実行行為についての一切の事項を一任せられたので茲に被告人Dと共謀の上原判示日時原判示の房屋を提供して賭場を開張して賭客を集め自己所有の賭具(第四乃至第六号)を使用し自己は中盆となつて博奕を為させ賭客から寺銭名義の下に全員を徴収し右金員は自己及親分であろD其の他に分配していた事実が認められるので原判決が被告人Cに対し原判示第一、第二の(1)第三の(1)の各事実を認定し之を賭場開帳図利罪の共同正犯に問擬したのは正当であつて原判決には所論のような違法の廉は発見されないから論旨は理由がない同第三点について然し乍ら苟も数人相協議して賭場を開帳し利を図ろうと企て右協議に基き相協法して賭場を開張した以上は例令其の中の或る者が右開帳中に行われた賭博に際し終始出席しておらなくとも賭場開帳罪の共同正犯たる責任を免れることはできないものと謂わなくてはならないのであるが原判決挙示 法して賭場を開張した以上は例令其の中の或る者が右開帳中に行われた賭博に際し終始出席しておらなくとも賭場開帳罪の共同正犯たる責任を免れることはできないものと謂わなくてはならないのであるが原判決挙示の各証拠を精査すれば被告人Cが原判示第三の(1)記載の如く相被告人D及原審相被告人E等と共謀の上同判示の日時場所に於て賭場を開帳し賭客を集めて寺銭を徴収して利を図つた事実を認めるに十文である即ち被告人Cの検察官事務取扱に対する供述調書に於ける自分は昭和二十七年十一月二十日頃親分のDが検挙されて以来は同人の代理として博奕仲間との交際をしたり又其の他の用事をしたり時折賭場を見廻つて居り給金として寺銭から分け前を貰つていたが同年十二月十日頃親分が釈放になつてからも引続いて賭場開張の手伝をして居り昭和二十八年七月頃から親分に頼まれてEと共に中盆をやることになつた賭場は毎日午前七時頃から夕方迄と午後七時頃から午後十二時頃迄と其の後朝迄の三回に亘つて名古屋市a区b町c番地と同区d町e丁目f番地の二ケ所で開張した同年九月二十八日午後六時半頃右b町の賭場へ行くとEが居り余り出来ぬと云つたので自分はd町の方でやつてはどうかと云うとEはそこでやると云い自分に給金として百円くれた同日午後十時頃右賭場へ行くとEが中盆となつて客とく賭博をやつていたが自分は十分位で外へ出て行き午前零時頃同所へ戻つて来たその時賭奕場の割れたことを知つた旨の供述記載と原審相被告人Eの検察官事務取扱に対する供述調書中自分は昭和二十八年七月頃親分のDから頼れて中盆をやることになりC、Fと交替で中盆をやり客からカスリを取つた之はDや私共の給金になる自分は同年九月二十八日午後六時半頃C等と相談した上a区d町e丁目f番地のバラック小屋へ変つて賭場を開帳することになつたのでお客四、五人と一緒にそちら り客からカスリを取つた之はDや私共の給金になる自分は同年九月二十八日午後六時半頃C等と相談した上a区d町e丁目f番地のバラック小屋へ変つて賭場を開帳することになつたのでお客四、五人と一緒にそちらへ行つた同日午後九時半頃十四、五人の客が集つたので自分が中盆となり丁半賭博をやつた寺銭は客に帰り銭を出したので結局百七、八十円あつた丈でCはその場に居なかつたが寺銭の分前は同じ様に出すことになつていた旨の供述記載を綜合すれば被告人CがD、E等と賭場開帳図利を共謀しEが其の実行有為をなした以上賭場に終始出席していなくとも共同正犯としての責任を負うべく従つて原判示第三の(1)の如く相被告人D及原審相被告人E等と意思を通じて賭場を開帳して利を図つた事実を認定するに十分であるから此の点に関する論旨は理由がない同第四点について原判決に挙示する各証拠其の他原審で取調べた証拠を検討すると、被告人等の本件各犯行の動機、態様、被告人Dを除く爾余の被告人等には夫々原判示冒頭記載の如き法定の累犯加重を為すべき前科がある事実、被告人等の前歴其の他諸般の事情を徴し原審が被告人等に対し夫々原判決主文記載の各刑を科したのは蓋し相当であつて控訴趣意書記載の如き事情を斟酌しても原判決の量刑が重きに過ぎて之を軽滅しなければならないやうな資料がないので論旨は理由がない其の外原判決には破棄しなければならないやうな事由はないから刑事訴訟法第三百九十六條に則り本件各控訴を棄却することとし主文の通り判決する(裁判長裁判官羽田秀雄裁判官小林登一裁判官石田恵一)

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