昭和22(上告)10 訴願裁決取消

裁判年月日・裁判所
昭和22年11月20日 最高裁判所第一小法廷 判決 却下
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を却下する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  記録を精査するに、上告人は、山梨県北都留郡D農地委員会が自作農創設特別措 置法

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判決文本文2,849 文字)

主    文      本件上告を却下する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  記録を精査するに、上告人は、山梨県北都留郡D農地委員会が自作農創設特別措 置法第七条第一項に基く上告人の異議申立を棄却したのに対し、同条第三項に則り 山梨県農地委員会に訴願したところ、同委員会は昭和二十二年六月五日上告人の訴 願を棄却したので、この訴願裁決を不服としてその取消を求めるため当裁判所に上 告をなしたのである。しかし、現行法のもとにおいては、行政庁のしたかような訴 願裁決に対し最高裁判所に上告して再審査を求め得ることを定めた法規はなく、上 告人が本件訴願裁決を違法としてその取消又は変更を求めるためには、第一審の管 轄裁判所(本件では甲府地方裁判所)に裁判所法第二十四条第一号、第三十三条第 一項第一号、民事訴訟法応急措置法第八条等に従つて先ず訴を提起すべきものであ る。上告人は憲法第七十六条第二項を援用して、当裁判所に対する上告が適法であ ると主張するけれども、裁判所法第二十四条第一号、第三十三条第一項第一号、民 事訴訟法応急措置法第八条等によれば右のような裁判所への出訴の方法が法律上定 められているのであり、かような出訴の方法が存する以上憲法第七十六条第二項の 規定には何等反するところはなく、この規定を援用して訴願裁決に対し上告をなし 得るとはいえない。然るに上告人は上告手続による再審査を受けるつもりで、その 旨を表示し当裁判所に直接上告して来たこと上告状によつて明白であつて本件上告 は上告に服する裁判がないという点で不適法というのほかはない。よつて民事訴訟 法第三百九十六条、第三百八十三条により本件上告を却下することとし、上告費用 について同法第九十五条、第八十九条を適用して主文の如く判決する次第である。  右判決は、裁判官澤田竹治郎、同齋藤 て民事訴訟 法第三百九十六条、第三百八十三条により本件上告を却下することとし、上告費用 について同法第九十五条、第八十九条を適用して主文の如く判決する次第である。  右判決は、裁判官澤田竹治郎、同齋藤悠輔、同岩松三郎の一致した意見である。 - 1 -  少数意見  右判決に対する裁判官眞野毅の反対意見は、次のようである。  最高裁判所の事物管轄は裁判所法第七条及び第八条によつて定められている。そ して第七条によれば、訴訟については上告を取り扱うのみで第一審事件を取り扱う ことはできない。又本件のごとく行政機関のした訴願裁決の取消又は変更につき特 に最高裁判所に裁判を求めることを許している他の法律も現在はないのであるから、 最高裁判所は、裁判所法第八条によつても本件について裁判権を有しない。かかる 訴訟事件については、裁判所法第二十四条により地方裁判所が第一審として裁判権 を有する。即ち上告人は、地方裁判所に訴を提起するのが本筋である(日本国憲法 の施行に伴う民事訴訟法の応急的措置に関する法律第八条)。しかるに、上告人は、 憲法第七十六条第二項に「行政機関は終審として裁判を行うことができない」とあ る点を根拠として、最高裁判所に上告の申立をしたのであるが、従つて手続は上告 の形式をとつたのであるが、上告人の真意は行政機関の救済は終局に達したから訴 訟手続による司法裁判所の救済を求めるにあることは、上告人が「此の裁決には違 法の点あり其の全部に不服に付憲法第七十六条第二項に該当するものと信じ茲に上 告仕候」と述べていることによつても明かである。要するに、上告人は司法裁判所 の救済を求めるに当り、裁判所の管轄を誤つただけのことである。(イ)本件のご とく、行政機関の処分異議申立に対する決定、訴願に対する裁決の順序を経て最早 行政機関が「終審として裁判を行う」ことができなくなつた後 求めるに当り、裁判所の管轄を誤つただけのことである。(イ)本件のご とく、行政機関の処分異議申立に対する決定、訴願に対する裁決の順序を経て最早 行政機関が「終審として裁判を行う」ことができなくなつた後に、上告人が「終審 として裁判を行う」のは最上級の裁判所即ち最高裁判所であると誤解したのは現今 の法制激変期にあたり必ずしも無理とはいえない点がある。(ロ)或は、上告人は 訴を提起したのでなく上告の申立をしたのであるから、これは訴権の行使ではなく 上訴権の行使であり、従つて本件上告は却下せらるべきものであると説く者があろ う。しかし、それは余りにも訴訟の形式や技術に捉われ過ぎた議論であるといわね - 2 - ばならぬ。本件において上告人は、下級裁判所の裁判をうける意思がないことを明 かにして、特に最高裁判所の裁判をうけるために上告の申立をしたものではない。 ただ司法裁判所の救済を求めるために、最高裁判所に上告の申立をしたもので、従 つて上告の形式をとつたに過ぎない、上告状には訴状としての要件内容は既に充分 に記載されている。しかるに、上告状、上告人、上告の趣旨、上告の理由、上告仕 候等の文字が使用してある点のみを捕えて、直ちに上訴権の行使と解し、上告却下 をしようとする態度には賛同することができない。それよりはむしろ素直に、上告 人の誤りを誤りとして管轄違を認め、管轄裁判所に移送する旨の決定をするのが妥 当である。(ハ)実際上の見地からしても、上告を却下すれば当事者は重ねて訴訟 費用と訴訟手続とを要することは勿論であり、訴訟経済の原則に反することとなる。 (ニ)更に又行政庁の違法処分の取消又は変更を求めるには出訴期限の制限がある から、若し出訴期限の終了間際に最高裁判所に上告の申立をした場合に、多数意見 のごとく上訴権の行使として上告が却下せられるものとすれば、それこそ、その当 分の取消又は変更を求めるには出訴期限の制限がある から、若し出訴期限の終了間際に最高裁判所に上告の申立をした場合に、多数意見 のごとく上訴権の行使として上告が却下せられるものとすれば、それこそ、その当 事者は永久に権利の救済をうけることができなくなる。訴訟手続の誤りは、本来そ れ程までに窮屈に解する必要はないと思う。かかる場合には、民事訴訟法第三十条 により管轄違として決定をもつて管轄裁判所に移送すべきものと解することが、実 際の便宜にも適し又健全な常識にも合致するゆえんであると確信する。それ故本件 においては「本件を甲府地方裁判所に移送する」旨の決定をすべきものである。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    齋   藤   悠   輔             裁判官    澤   田   竹 治 郎             裁判官    眞   野       毅             裁判官    岩   松   三   郎 - 3 -

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