令和1(行コ)310 裁決取消等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和3年1月20日 東京高等裁判所
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判決文本文43,166 文字)

令和3年1月20日判決言渡令和元年(行コ)第310号裁決取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成30年(行ウ)第69号)主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 処分行政庁が平成29年▲月▲日付けでした,Aに係る平成22年▲月▲日 付け里親委託措置を解除した処分及び控訴人らに対する里親委託を解除した処分をいずれも取り消す。 3 裁決行政庁が平成29年▲月▲日付けでした,控訴人らの児童里親委託措置解除処分に係る審査請求を却下する旨の裁決を取り消す。 第2 事案の概要 1 控訴人らは,児童福祉法27条1項3号(平成28年法律第63号による改正前のもの)の規定による里親への委託の措置に係る児童であるA(平成18年▲月▲日生。以下「本件児童」という。)を委託に係る養育里親として養育していたが,東京都杉並児童相談所長(処分行政庁)は,いずれも平成29年▲月▲日付けで,①上記の里親への委託の措置を解除する旨の処分(以下「本 件里親委託措置解除処分」という。)をし,②控訴人らに対する委託を解除した(この行為を,以下「本件委託解除」という。)。 本件の原審において,控訴人らは,本件里親委託措置解除処分及び本件委託解除はいずれも裁量権の範囲から逸脱し又はこれを濫用してされた違法な処分であると主張して,その各取消しを求めるとともに,東京都知事(裁決行政庁) がした控訴人らのこれらについての審査請求を却下する裁決(以下「本件裁決」 という。)は違法であると主張して,その取消しを求めた。 原審は,控訴人らの訴えをいずれも却下したとこ がした控訴人らのこれらについての審査請求を却下する裁決(以下「本件裁決」 という。)は違法であると主張して,その取消しを求めた。 原審は,控訴人らの訴えをいずれも却下したところ,控訴人らが本件各控訴を提起した。 2 関係法令の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり補正し,後記3のとおり当審における当事者の主な補充主張を付加するほ かは,原判決の「事実及び理由」の第2の1ないし8に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 原判決2頁17行目の「1―5」の次に「及び本判決別紙」を加える。 ⑵ 原判決3頁3行目の「乳児院入所措置」を「乳児院への入所の措置」に,同頁4行目の「措置変更」を「措置(以下,同号の規定により児童を里親に 委託する措置を「里親委託措置」という。)に変更」に,同頁9行目の「更新した」を「更新し,最後の更新は,平成28年▲月▲日付けで,その期間の末日は平成30年4月6日となっていた」にそれぞれ改める。 ⑶ 原判決3頁12行目の「救急搬送先」を「救急搬送された」に改め,同頁15行目の「処分行政庁は,」の次に「同月9日付けで,」を加え,同頁2 0行目の「同日から」を「同月▲日から」に,同頁21行目の「書面」を「「里親登録取消のお知らせ」と題する書面」にそれぞれ改め,同3頁23行目の「▲日付けで,」の次に「解除の時期を同年▲月▲日として」を加え,同頁25行目の「同日付けで,」を「同年▲月▲日付けで,」に改め,同4頁4行目の「記載され」の次に「,「解除の理由その他」の欄に,手書きで 「平成29年▲月▲日付け,里親登録の取消しとなったため,里親委託解除とします。」と記載され」を加える。 ⑷ 原判決5頁15行目の「里子」を「児童(なお,以下,里親委託措置 の欄に,手書きで 「平成29年▲月▲日付け,里親登録の取消しとなったため,里親委託解除とします。」と記載され」を加える。 ⑷ 原判決5頁15行目の「里子」を「児童(なお,以下,里親委託措置に基づき里親に養育される児童を「里子」ということがある。)」に改め,同行目の「人間関係」の次に「(以下「里親子関係」ということがある。)」を 加え,同6頁5行目の「児童」を「同項に定める児童(以下単に「児童」と いうことがある。)」に,同行目の「里親家庭」を「里親」に,同頁6行目の「当該里親委託候補者」を「里親として委託することを予定している者(以下里親を委託することの候補となっている者を「里親候補者」ということがある。)」にそれぞれ改め,同頁25行目から同頁26行目までの「里親制度運営要綱」の次に「(乙5)」を加え,同7頁2行目の「里親委託ガ イドライン」を「厚生労働省が作成した里親委託ガイドライン(乙6)」に,同頁8行目の「知事」を「都道府県知事」に,同頁23行目の「法律関係」を「児童を委託することを内容とする法律関係」に,同8頁2行目の「当該里親に対する委託関係」を「児童相談所長と当該里親との間の法律関係」に,同頁4行目の「児童の委託を解除する措置」を「児童相談所長と当該里親と の間の法律関係の解除」に,同頁14行目の「当該里親への委託措置」を「児童相談所長と当該里親との間の法律関係」にそれぞれ改める。 ⑸ 原判決9頁5行目の「里親家庭」を「里親の家庭(以下「里親家庭」ということがある。)に,同頁7行目の「親権者や未成年後見人」を「里親に対し,親権を行う者又は未成年後見人(以下「親権者等」という。)」に,同 行目の「妨げられない子の」を「妨げられないで児童の」に,同頁8行目の「法的権限を里親に与えて 未成年後見人」を「里親に対し,親権を行う者又は未成年後見人(以下「親権者等」という。)」に,同 行目の「妨げられない子の」を「妨げられないで児童の」に,同頁8行目の「法的権限を里親に与えている」を「必要な措置を採ることができるとして,法的な権限を与えている」に,同頁16行目の「里親家庭」を「里親」に,同頁17行目,同頁19行目及び同頁20行目の各「親権者」をいずれも「親権者等」に,同頁25行目の「里親は,親権者」を「里親は,上記のと おり親権者等」に,同頁26行目の「関する権限」を「関する法的な権限」に,同10頁7行目の「権利救済の」を「権利を救済する」にそれぞれ改める。 ⑹ 原判決10頁21行目の「里親固有」を「里親の固有」に,同11頁1行目,同頁4行目及び同頁5行目から同頁6行目までの各「親権者又は未成年 後見人」をいずれも「親権者等」に,同頁10行目の「里親の法的地位」を 「里親としての法的地位」に,同頁20行目の「里親候補家庭」を「里親候補者の家庭」に,同頁22行目の「里親候補家庭」を「里親候補者」に,同頁24行目の「親権者又は未成年後見人」を「親権者等」に,同12頁2行目の「委託」を「児童を委託すること」にそれぞれ改め,同頁4行目の「このように,」の次に「知事等の」を加え,同頁8行目から同頁9行目までの 「親権者又は未成年後見人」を「親権者等」に,同頁11行目及び同頁12行目の各「委託関係」をいずれも「法律関係」に,同頁22行目の「措置通知書記載の」を「措置通知書に記載された」に,同13頁20行目及び同14頁3行目の各「里親固有」をいずれも「里親の固有」に改める。 ⑺ 原判決18頁1行目の「ものであり,」の次に「厚生労働省が定める」を 加え,同頁12行目の「養育里親名簿登録辞退」 目及び同14頁3行目の各「里親固有」をいずれも「里親の固有」に改める。 ⑺ 原判決18頁1行目の「ものであり,」の次に「厚生労働省が定める」を 加え,同頁12行目の「養育里親名簿登録辞退」を「養育里親名簿への登録の辞退」に,同頁21行目の「措置変更」を「措置の変更」に,同19頁8行目の「一時保護決定」を「一時保護の決定」に,同行目の「里親委託措置停止処分」を「里親委託措置の停止の処分」に,同頁9行目の「措置変更」を「措置の変更」に,同頁20行目の「里親委託措置解除処分」を「里親委 託措置を解除する旨の処分」に,同20頁21行目の「養育里親名簿登録辞退の撤回の意思確認」を「養育里親名簿への登録の辞退を撤回する意思の確認」に,同21頁1行目から同頁2行目までの「養育里親名簿登録辞退」を「養育里親名簿への登録の辞退」にそれぞれ改める。 3 当審における当事者の主な補充主張 ⑴ 争点⑴(本件里親委託措置解除処分の取消しの訴えにつき,原告らが原告適格を有するか否か)について(控訴人らの主張)ア原判決は,処分の取消しの訴えにおける原告適格の有無についての最高裁判決の判断基準を前提として,里親には委託された児童に係る里親委 託措置を解除する旨の処分の効果が及ばないとして,里親は,上記の処 分の取消しを求めるにつき,当該処分により自己の権利又は法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者という「法律上の利益を有する者」に当たらないと判示し,控訴人らの原告適格を否定したが,以下のイ及びウまでの観点からすれば,原判決は適切ではない。 イ原判決は,里親委託措置に先立って特定の里親との間で児童とのマッチングが行われるという運用上の実情があるとしても,児童福 以下のイ及びウまでの観点からすれば,原判決は適切ではない。 イ原判決は,里親委託措置に先立って特定の里親との間で児童とのマッチングが行われるという運用上の実情があるとしても,児童福祉法には,特定の委託先の里親を選定した上で里親委託措置がされることを前提とした規定はなく,同法において,知事等が特定の里親を選定し,当該里親との関係で一方的に里親委託措置をすることが想定されているという ことはできないと判断した。 しかし,同法27条1項3号の措置が特定の委託先を特定した上でされるものであることは,原審での主張に加えて,以下の同法及び関係法令の規定上,明らかであり,それらの当然の前提とされているのであって,単なる運用の問題ではない。同法及び関連法令,厚生労働省が作成した 児童相談所運営指針(乙15),里親委託ガイドラインにおいて,委託先を特定することなく抽象的に措置することがあり得ることを示す規定はない。 児童福祉法27条1項3号は,同項に定める児童についての具体的な措置をする場合の根拠規定であるところ,当該児童の最善の利益を考 慮して(同法2条),同法27条1項各号の措置のいずれを採るか判断されるが,委託先が特定されないままでは,いずれの措置が当該児童の最善の利益に資するのかを判断することはできない。 このことは,施設入所措置についても同様である。同法46条の2は,同法27条1項3号の措置のうち,施設入所措置についての規定で あるが,「措置のための委託」を受けた場合の受託義務を規定している。 これは,措置に先立ち,特定の施設長に対して委託の打診をすることを当然の前提とするものである。受託可能な施設が見つからなければ,施設入所措置はできない。その意味でも,委託先ないし る。 これは,措置に先立ち,特定の施設長に対して委託の打診をすることを当然の前提とするものである。受託可能な施設が見つからなければ,施設入所措置はできない。その意味でも,委託先ないし入所先を特定せずに,抽象的に,同号の措置をすることはあり得ない。 これに対し,被控訴人は,同号所定の措置を採る場面では,児童に対 する援助の方針を迅速に決定して早期に当該児童の生活環境を安定させるべき要請が強い場合,まずは児童及び親権者等に対して行政処分を行っておいた上で,具体的な委託先となる児童福祉施設又は里親候補者を速やかに選定・検討する方が児童の生活環境の早期安定に資する場合もあると主張する。しかし,委託先が特定されていない里親委託措置をし ても,委託先が選定されるまでの間,同措置を実現することができず,当該児童を保護することはできない。委託先の選定,調査,判定を省略して,委託先を特定しない抽象的な里親委託措置が許されるかのような被控訴人の主張及び原判決の判示は,児童の最善の利益を確保するために同号の措置を採る場合の手続規定を無視するものであり,明らかに違 法である。 また,児童相談所長が委託先を見つけてもいない段階で抽象的に里親委託措置を採ることを可能とする解釈は,児童相談所や児童相談所長の権限行使を適切化するために外部のチェック機能を強化しようとしてきた同法の改正の流れに逆行するものである。 また,被控訴人は,知事等が特定の里親候補者が定まっていない段階で里親委託措置を行うことについて,知事等が有する裁量権の範囲からの逸脱又はそれの濫用を基礎づける事情となることは認めるようであるが,そうであれば,特定の里親候補者を決めずに行う里親委託措置は違法となる。 し とについて,知事等が有する裁量権の範囲からの逸脱又はそれの濫用を基礎づける事情となることは認めるようであるが,そうであれば,特定の里親候補者を決めずに行う里親委託措置は違法となる。 したがって,同法は,結局,里親委託措置の時点で特定の里親候補者 を決定していなければならないことを知事等に強制していると解されることになる。 同号の里親委託措置と里親への委託は,概念的には別個のものと観念されるが,里親委託措置の内容として委託先の里親が特定され,これに反する委託はあり得ず,必ず,措置と同時に措置で特定された里親へ委 託されるのであるから,実質的には両者は一体不可分の表裏の関係にあり,里親としての法的地位及び権限は,同号の措置自体によって付与されるに等しいというべきである。 児童福祉法27条4項は,親権者等の意に反して同条1項3号の措置を採ることができないと定めているところ,親権者等の意に反するか どうかは,具体的な委託先等によるであろうから,具体的な委託先等を明示して確認する必要があり,里親が特定されていることを前提とするものである。 児童福祉法27条5項及び6項は,都道府県知事が「第1項第2号若しくは第3号(中略)の措置」を解除等する場合には,児童相談所長 又は都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならないと定めている。これは,手続の適正を図るためのものであり,また,解除等のうち,「他の措置に変更する場合」とは,従前にされた処分の重要な部分の更改を意味し,当該児童にした同種の他施設等への措置の変更(委託先の里親を変更する場合がこれに当たる。)も「変更」に含まれるものと解 されていることに鑑みれば,同条1項3号の措置は,委託先を特定した具体的な措置であるというべきである。 変更(委託先の里親を変更する場合がこれに当たる。)も「変更」に含まれるものと解 されていることに鑑みれば,同条1項3号の措置は,委託先を特定した具体的な措置であるというべきである。 その上で,同号の措置が採られる際に都道府県児童福祉審議会が審議するのは,主として,当該児童について同項各号所定の措置を採る必要があるかどうか,それらの措置を採る必要があるとして,いずれの措 置を採るのが適当であるか,同項3号所定の措置のうち児童福祉施設入 所と里親委託措置のいずれが適当であるかといった事項であるとされるが,児童福祉施設への入所と里親委託措置のいずれが児童の最善の利益を確保するものといえるのかを判断するためには,委託予定の里親や施設に関する情報(特に,里親への委託の場合には,里親と児童との適合が重要である。)が必要であり,その意味でも,委託先が未定のまま措 置されることはない。 施行規則26条及びこれを里親への委託について準用する同規則32条は,児童福祉法27条1項3号により里親「委託をしようとする児童」についての児童相談所の判定結果,処遇指針その他必要な事項を記載した一件書類を「委託を受ける里親」に送付しなければならない旨を 定めており,原審において指摘した施行細則11条3項の措置通知書に係る規定は,上記の施行規則の規定に基づくものである。 被控訴人は,上記の施行規則の規定について,処分を行う時点あるいは処分に先立って委託先の施設や里親に対して上記書類を送付すべきものではないと主張するが,施行規則26条前段は,「委託しようとする 児童につき」と定めており,委託を受けた施設や里親が委託直後から適切な養育を開始できるようにするため,委託先が確定次第,遅くとも委託の措置をする時点で,同法26 条前段は,「委託しようとする 児童につき」と定めており,委託を受けた施設や里親が委託直後から適切な養育を開始できるようにするため,委託先が確定次第,遅くとも委託の措置をする時点で,同法26条2項に掲げる事項を記載した書類を委託先の施設又は里親に送付すべきことを要請するものと解すべきである。なお,厚生労働省が定めた児童相談所運営指針は,「子どもを里親 に委託した場合」との表現を用いてはいるが,措置決定通知書とともに,里親が児童の養育を適切に行うために必要な資料を送付するものとしているのであって(同指針62頁2及び3行目),里親委託措置と当該里親に対する委託とが同時にされることを前提に,里親委託措置の時点で送付すべきことを規定しているものといえる。 原判決は,同法上の「里親」とは,要保護児童を養育することを希 望する者のうち,同法34条の19に規定する養育里親名簿に登録された者等をいい,必ずしも委託によって付与される「里親」という法的地位をいうものではないと述べ,上記の施行細則の規定は,里親委託措置が委託先の里親を特定してされ「里親」としての法的地位を付与するものであることの根拠にはならないと判示しているところ,これは,同法 6条の4を根拠とするものと思われるが,同条は里親の定義規定にすぎない。これに対し,同法27条1項は具体的な児童についての措置の根拠規定であることは,上記のとおりであり,上記の施行細則の規定も,これを前提とするものといえる。 このほか,厚生労働省が定めた児童相談所運営指針,里親委託ガイ ドラインといった児童福祉法27条1項3号の措置に関する手続規定も,いずれも同号が具体的な委託先を選定した上で措置をすることを当然の前提として定められている。 上記のとおり,児童 託ガイ ドラインといった児童福祉法27条1項3号の措置に関する手続規定も,いずれも同号が具体的な委託先を選定した上で措置をすることを当然の前提として定められている。 上記のとおり,児童福祉法27条1項は,特定の児童についての措置の根拠規定であり,同法47条3項も,「受託中の児童等」に関する 里親の監護教育等の権限に関する規定であり,それぞれの規定にいう「里親」とは,当該児童の委託された特定の里親を指すことが条文解釈として当然である。 児童福祉法33条は,一時保護について定めているところ,児童の安全の確保のためには,同条2項の同法「27条第1項又は第2項の措 置を採るに至るまで」とは,具体的な委託先への委託措置を採るに至るまでと解すべきであり,同条1項3号の措置については,措置と同時に委託が可能であることを当然の前提とするものである。この点に関し,被控訴人は,同法33条2項の上記の規定は同法27条1項3号の措置を採った後に児童福祉施設への入所や里親への委託が完了すること等で 知事等において当該児童の保護を行う必要性が失われるに至るまでの間 をいうものと主張するが,同じ法律に規定された同じ文言であっても異なる解釈を許すものであり,適切ではない。 被控訴人が主張する福岡高等裁判所平成24年(ラ)第371号同年11月15日決定・家庭裁判月報65巻6号100頁(以下「福岡高裁決定」という。)は,児童についての保護者からの隔離措置に関する 同法28条1項1号の規定に基づき同号所定の家庭裁判所の「承認」を求めるに当たり,申立人である児童相談所長が,児童を「児童養護施設若しくは情緒障害児短期治療施設に入所させること又は里親若しくは小規模住居型児童養育事業を行う者に委託すること」について承認を求 」を求めるに当たり,申立人である児童相談所長が,児童を「児童養護施設若しくは情緒障害児短期治療施設に入所させること又は里親若しくは小規模住居型児童養育事業を行う者に委託すること」について承認を求めたことが,特定性を欠いた包括的承認を求めるものではないかが問題と なった事案であって,具体的な委託先の里親が選定されていなくとも,同法27条1項3号所定の里親委託「措置」を採ることができると判示したものではない。同法28条1項1号は,親権者等による虐待等がある場合に,その親権者等の意に反しても,家庭裁判所の承認を得て,同法27条1項3号の措置を採ることができるとするものであり,その強 制力を付与することの相当性が審理されるものであって,同法28条の「承認」はあくまで親権制限のための司法判断であり,同条の「承認」審判自体が措置の効力を持つわけではないから,本件とは次元が異なる。 ウ原判決は,処分の法的効果により自己の権利又は法律上保護された利益の制限を受ける者に該当するかに関し,児童福祉法27条1項3号に 基づく里親委託措置が児童の福祉のため児童を家庭から引き離す措置であって,親権者等の権利に制限を加える法的効果を有するものであるから,その措置を解除する旨の処分も,上記の制限を解除する法的効果を有するものにすぎないとし,処分の形式的名宛人が親権者等であることに固執して,あまりに形式的かつ一面的な判断をした。 この点,里親委託措置を解除する旨の処分がされる場合は様々であり, このうち里親と児童との不調や本件の場合のように里親側の事情等を理由として里親委託措置を解除する旨の処分がされる場合には,児童について同号の措置の必要性が失われるわけではなく,イに述べたように,通常は,別の里親への里 不調や本件の場合のように里親側の事情等を理由として里親委託措置を解除する旨の処分がされる場合には,児童について同号の措置の必要性が失われるわけではなく,イに述べたように,通常は,別の里親への里親委託措置や施設への入所の措置がされることになるから,従前の里親委託措置が解除されても,親権者等の権利の制 限を解除するものではなく,むしろ,里親委託措置を解除する旨の処分は,当該里親家庭から児童を引き離して改めて保護するためにされるものであり,上記の解除それ自体の効果として,当該里親からその法的地位及び同法47条3項の規定による権限を失わせることができることを,同法も当然に予定しているといえる。 イで同法27条5項及び6項について述べたところも併せると,里親委託措置を解除する旨の処分自体で,当該児童の里親としての法的地位及び同法47条3項の規定に基づく権限を失わせる法的効果を有するものといえる。 原判決は,知事等と里親との関係を民法上の準委任契約に準じた公法 上の契約関係と解することを前提に,児童福祉法27条1項3号所定の里親委託措置それ自体によって個別の里親との関係で何らかの法的効果が生じたり,個別の里親との法律関係が成立したりするものではないため,里親委託措置を解除する旨の処分それ自体によって里親としての地位が失われるということはできないと判示する。そして,個別の里親と 知事等との間の法律関係を消滅させるためには,里親委託措置を解除する旨の処分とは別に,上記法律関係を解除する旨の意思表示が必要であるとし,本件の場合,措置解除通知書(本件通知書。甲1の別紙1)を控訴人らに送付したことによって,本件委託措置解除処分の通知とともに,「里親委託解除とします。」として契約を解除する旨の意思表示も し,本件の場合,措置解除通知書(本件通知書。甲1の別紙1)を控訴人らに送付したことによって,本件委託措置解除処分の通知とともに,「里親委託解除とします。」として契約を解除する旨の意思表示も 行っていると判示する。 しかし,措置解除通知書は,施行細則11条8項に基づき作成されるものであり,同細則の「第3項又は第4項の措置」の解除を通知するための通知書である。本件通知書の「里親委託解除とします。」との手書きのメモは,「解除の理由その他」欄に記載されており,措置解除の理由として記載されたものにすぎない。原判決が判示するように,里親委 託措置を解除する旨の処分とは別に,契約解除の意思表示が必要だとするのであれば,別途その旨の通知書が作成されるべきであり,里親委託措置を解除する理由についてのメモによって,里親委託措置を解除する旨の処分とは別個の契約の解除の意思表示がされたとするのは無理がある。 また,本件通知書は平成29年▲月▲日付けであるから,控訴人らが里親の地位を失うのは同日以降となる。そうすると,本件での里親委託措置を解除する旨の処分の効力が発生した時期は,本件通知書の「解除の時期」欄記載のとおり,同年▲月▲日であるから,同日から同年▲月▲日以降の控訴人らが本件通知書を受領するまでの間,養育里親名簿へ の登録は取り消され,里親委託措置が解除されているにもかかわらず,控訴人らは里親としての地位を有していたことになる。このような問題が生じるのは,里親への委託を準委任契約に準じた契約関係と解するからであって,原判決の法的性質論が,実務とかい離していることを示すものである。上記のとおり,里親への委託は,同法の規定による知事等 の里親委託措置に基づくものであり,準委任契約とは異なる半公的法律 あって,原判決の法的性質論が,実務とかい離していることを示すものである。上記のとおり,里親への委託は,同法の規定による知事等 の里親委託措置に基づくものであり,準委任契約とは異なる半公的法律関係であって,やはり,里親の法的地位は,知事等の一方的行政行為に基づくものというべきである。 原判決は,里親委託措置と個別の里親に対する委託が表裏一体,不可分の関係にあることを否定し,里親委託措置を解除する旨の処分と個別 の里親に対する児童の委託の解除は法的に別個の行為であって,前者が 取り消されたとしても,後者の効果が覆滅するものでもないとする。 しかし,児童福祉法及び関連法規の規定文言を素直に読めば,里親委託措置と里親に対する委託は概念的に別個であっても,一体不可分の表裏の関係にあることは明らかである。里親に対する委託は必ず里親委託措置に基づいてされ,里親委託措置が解除されたのに里親に対する委託 が解除されないということはない。 したがって,里親委託措置を解除する旨の処分がされれば,同時に里親に対する委託も解除され,当該児童の里親としての法的地位及び法的権限が失われる。 仮に,里親委託措置が特定の里親を選定した上でされたものではない のであれば,当該里親の登録の取消しがされたとしても,里親委託措置を継続したままで,当該里親との契約関係のみを解除し,別の里親を探して契約を締結すればよいと考えられる。しかし,上記イで主張したとおり,同法上,いったん,里親委託措置をした後に,別の里親に里親委託をするためには,最初の里親委託措置の解除又は措置変更の処分を する必要がある。いったん里親委託措置がされた後に,知事等が当該委託措置を解除する旨の処分をすることなく,当該委託措置を維持し 委託をするためには,最初の里親委託措置の解除又は措置変更の処分を する必要がある。いったん里親委託措置がされた後に,知事等が当該委託措置を解除する旨の処分をすることなく,当該委託措置を維持したまま,別の里親が受託することを可能とする規定はない。 山口地方裁判所平成23年(ワ)第555号同27年4月23日判決(甲33。以下「山口地裁判決」という。)も,両者の関係について下 記のとおり判示している。 「里親委託措置に伴う,被告と里親との委託関係は,児童に対する適切な社会的養育を委任事項とする委任に類似する契約と解することができるが,里親委託が被告の児童に対する措置の一手段として行われるものであることに照らせば,被告と里親との契約関係は,里親委託措置あ るいはその解除と全く別個無関係の,独立した対等当事者間の契約関係 と同様のものと解することは相当ではなく,里親委託措置,あるいはその解除に付随して成立,あるいは解消し,委託中には,児童に対する措置の手段であることによる制約を受けることが想定されている契約関係であると考えられる。」山口地裁判決は,里親委託措置を解除する旨の処分がされれば,必ず これに付随して里親への委託も当然解消される関係にあるとしている。 このため,施行細則11条8項は,里親委託措置を解除したときは,里親に対し,所定の措置解除通知書(同細則別記18号様式)により通知しなければならないものと規定している。 上記判決の判示からすれば,里親委託措置を解除する旨の処分には, 個別の里親に対する委託を終了させる効果があるに等しい。 したがって,里親委託措置を解除する旨の処分には,直接,当該里親から里親としての法的地位及び権利を奪い,里親が里子との間で築いた愛 個別の里親に対する委託を終了させる効果があるに等しい。 したがって,里親委託措置を解除する旨の処分には,直接,当該里親から里親としての法的地位及び権利を奪い,里親が里子との間で築いた愛着関係,家族関係を断ち切る不利益を受忍させる法的効果を有するものといえる。 エ原判決は,里親委託措置を解除する旨の処分の効果が里親に及ばないとしても,児童福祉法において里親の利益を個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むのであれば,行政事件訴訟法9条2項にいう「法律上の利益」を有する者であるということができるとしながら,委託された児童と生活をすること等によって里親が何らかの個人的利益を得ることがあ るとしても,児童福祉法がこのような里親の利益をその個別的利益として法律上保護しているということはできないと判示した。 しかしながら,下記オないしシのとおり,原判決は適切ではない。 オ法律上保護された利益の有無を判断するに当たり,法令の趣旨及び目的を考慮するに際し,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはそ の趣旨及び目的をも参酌するとされている(行政事件訴訟法9条2項後段) ところ,児童福祉法の改正によって,同法1条において児童の権利に関する条約の精神にのっとるべきことが明定され,同法2条1項において児童「の最善の利益」等児童の権利に関する条約の文言がそのまま採り入れられた以上,児童の権利に関する条約は,児童福祉法の単なる関係法令という位置づけを超え,同法の解釈適用に当たっては必ずその趣旨及び目的も 参酌されなければならないものであり,条約に基づき定められた指針等も条約と趣旨及び目的を共通にするものとして参酌されなければならない。 また,里親委託ガイドライン等 の趣旨及び目的も 参酌されなければならないものであり,条約に基づき定められた指針等も条約と趣旨及び目的を共通にするものとして参酌されなければならない。 また,里親委託ガイドライン等も,同法上の里親委託をより一層推進するために定められ,適切な里親に対する委託の内容について言及されたものであるから,同法と趣旨及び目的を共通にするものとして,当然に参酌 されるべきである。 カ里親制度は,「何らかの事情により家庭での養育が困難又は受けられなくなった子ども等に,温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境の下での養育を提供する制度」(里親委託ガイドライン参照)であり,児童福祉法3条の2及び児童の権利に関する条約20条3項において,里親家庭にお ける養育は,可能な限り継続的に維持されるべきであるとされている。 また,2009年(平成21年)12月18日国連総会採択決議において児童の権利に関する条約の実施を強化することを目的として定められた「児童の代替的養護に関する指針」(甲30。以下「代替的養護指針」という。)のパラグラフ12においても,「代替的養護を受けている児童に 関する決定は,安定した家庭を児童に保障すること,及び養護者に対する安全かつ継続的な愛着心という児童の基本的なニーズを満たすことの重要性を十分に尊重すべきであり,一般的に永続性が主要な目標となる。」として,「継続性」が要請されている。 キ加えて,以下のとおり,児童福祉法及び児童の権利に関する条約により, 児童には,里親家庭における家庭的な養育環境を不当に奪われない権利が 保障されているといえる。 里親に委託された児童にとって,児童の権利に関する条約の精神にのっとった適切な養育生活の保障,愛され,保護されることの保障とは, 不当に奪われない権利が 保障されているといえる。 里親に委託された児童にとって,児童の権利に関する条約の精神にのっとった適切な養育生活の保障,愛され,保護されることの保障とは,具体的には,当該里親家庭という家庭的な養育環境において安定的な生活が保障され,里親家庭での生活を通じて里親との間で築いた実の親子同然の愛 着関係を継続的に維持することの保障であり,児童に対し,里親家庭における里親との愛着関係の継続的,永続的な維持を保障するために,突然理由もなく里親への愛着関係を断絶させられないこと,すなわち,児童にはいったん手に入れた里親家庭における養育環境を不当に奪われないことが権利として保障されている必要がある。 養育里親への委託の場合,措置理由によっては,短期委託であることが当初から予定されている場合もあるが,特に保護者の養育を望めず,他に養育できる親族等がいない児童については,長期的な安定した養育環境が必要であり,長期の委託が求められる。「家庭における養育環境と同様の養育環境」による代替的養護(社会的養護)として継続性が要 請される点においては,養子縁組里親と養育里親との間で変わりはない。 山口地裁判決が判示するように,里親と里子との関係は,親子関係に類似するものであり,同法3条の2は,国及び地方公共団体に対し,里親と里子が築いた親子関係類似の愛着関係が継続的に維持されよう支援することを要請しているのであり,児童には,里親との親子関係類似の愛 着関係を不当に奪われない権利を保障しているというべきである。 本件児童は,3歳になるまでに母親が「今後も本児の養育を担うことは困難」と判断され,「将来にわたる安定した養育環境を本児に提供することが必要である」などとして(甲3別添3),5歳以下の長 ある。 本件児童は,3歳になるまでに母親が「今後も本児の養育を担うことは困難」と判断され,「将来にわたる安定した養育環境を本児に提供することが必要である」などとして(甲3別添3),5歳以下の長期間受託可能な児童の受け入れを希望していた控訴人ら(甲3別添2「里親調 査書」)の里親家庭に委託されたものであり,当初より長期の委託継続 が予定されていたし,実際にも,本件児童と控訴人らとの生活は6年8か月に及び,本件児童と控訴人らとの間には,親子関係類似の愛着関係が育まれたといえる。 ク児童の権利に関する条約3条2項及び5条の規定において,児童が児童の権利を行使するに当たり,親,法定保護者等の児童について法的に責 任を有する者が適当な指示・指導を行う責任,権利及び義務を国が尊重すべきであることが定められているところ,児童福祉法に定める里親は,当然に上記の法定保護者又は児童について法的に責任を有する者に該当するとされている。 そして,同法47条3項及び4項は,同法3条の2の「家庭における 養育環境と同様の養育環境」の担い手として,親権者等からも不当に妨げられない児童の監護に関する法的権限を里親に与えており,里親は,児童の最善の利益(同法2条1項)のために上記法的権限を行使すべきものとされ,児童に対し第一義的責任を負う(同条2項)と定められており,里親については,受託した児童の権利を実効あらしめるための法 的地位,法的権利及び義務を有することが認められている。 これらのことに鑑みれば,キに述べた児童の権利の保障を実効あらしめるために,里親は,児童との家庭生活を守り,維持継続していく権利を有し義務を負うというべきである。 ケ児童には,里親家庭での生活の積み重ねにより,養護者に対する安全か の権利の保障を実効あらしめるために,里親は,児童との家庭生活を守り,維持継続していく権利を有し義務を負うというべきである。 ケ児童には,里親家庭での生活の積み重ねにより,養護者に対する安全か つ継続的な愛着心という子どもの基本的なニーズが満たされることになるが,これは,児童のニーズに里親が呼応して愛着関係を築き,維持継続しようとするからこそ実現されるのであり,かかる愛着関係という関係性の性質上当然に,児童だけでなく里親にも,不当に里親子関係を破壊されない利益が生まれる。その意味では,里親の里子との家庭生活を不当に奪わ れない権利は,里親の固有の利益としての側面も有する。これは,里親子 関係が児童の最善の利益であることを前提とするものではあるが,単なる反射的利益ではない。 コ上記クのとおり,里親には,親権者等によっても不当に妨げられない監護に関する法的権限があり,里子の養育環境を維持,充実させる役割と責任がある。 原判決は,児童福祉法には,里親委託措置を解除する旨の処分に当たり,親権者等に対する理由の説明や意見聴取義務の規定(同法33条の4)があるのに,里親には同様の規定がなく,同法及び関係法令において,里親に対する手続保障を図ろうとする趣旨の規定は見当たらないとする。 しかし,児童の権利に関する条約5条を受けて,代替的養護指針のパラグラフ121で,「養護者は、里親組織及び親の養護下にない児童を支援するその他の制度の中で,自らの意見が聴かれ,方針に影響を及ぼす機会を持つべきである。」とされ,児童の養護方針について,里親の意見を聴取し,尊重すべきものとされており,これは,里親に,「家庭に おける養育環境と同様の養育環境」の担い手として,児童の監護に関する法的権限,児童の養育 れ,児童の養護方針について,里親の意見を聴取し,尊重すべきものとされており,これは,里親に,「家庭に おける養育環境と同様の養育環境」の担い手として,児童の監護に関する法的権限,児童の養育環境を維持,充実させる役割と責任を与え,手続保障を図ろうとする趣旨だと考えられる。 里親委託措置を解除する旨の処分は,児童からすれば,里親家庭での安定した養育環境を奪われ,里親と築いた愛着関係を断絶させられるこ とを意味し,児童の人生そのものに著しい不利益を与えるものであり,児童の里親家庭における家庭的な養育環境を不当に奪われない権利を侵害する側面を有する。 したがって,里子の当該里親家庭における養育環境での生活を維持することが当該里子の最善の利益に適う状況であるにもかかわらず,違法不 当な里親委託措置を解除する旨の処分がされた場合には,里親も,当該 里子の里親としての法的地位,当該里子の監護に関する権限を奪われ,当該里子とともに家族として生活する利益,里親子関係を不当に害されない権利も侵害されるのであって,この点において,両者の利益は一致する。 サ上記のように,里親家庭における養育環境での生活を維持することが当 該児童の最善の利益に適う状況であるにもかかわらず,里親委託措置を解除する旨の処分が違法にされた場合,児童にとって,当該処分は里親家庭での安定した教育環境を奪い,里親と築いた愛着関係を断絶させることになり,児童の人生そのものに著しい不利益を与え,その権利侵害の程度は,きわめて甚大である。しかし,児童の親権者等からすれば, 里親委託措置が継続することは親権者等の権利義務を制約するものになるため,児童の利益と親権者等の利益は相反する関係にあり,法定代理人として里親委託措置を解除する旨の 童の親権者等からすれば, 里親委託措置が継続することは親権者等の権利義務を制約するものになるため,児童の利益と親権者等の利益は相反する関係にあり,法定代理人として里親委託措置を解除する旨の処分の効力を争うことは期待できない。 そして,次のシに述べる事情も考慮すると,児童の権利を守るためには, 上記コのとおり,児童と利益が一致する立場にある里親が,里親委託措置を解除する旨の処分を争うほかなく,里親が児童のために里親委託措置を解除する旨の処分を争うことが期待されているといえる。 シ原判決は,児童福祉法施行令32条1項は,一定の場合に都道府県児童福祉審議会の意見を聴取すべきことを定め,里親委託措置やその解除等 の適正な遂行を確保しようとしていることからすれば,親権者等と児童の利益が相反する状況が生じても,これに対応する措置が講じられているとして,里親の原告適格を認める根拠とはなり得ないと判示する。 しかし,同項が都道府県児童福祉審議会の意見聴取を義務付けているのは,「児童若しくはその保護者の意向が当該措置と一致しないとき,又 は都道府県知事が必要と認めるとき」のみである。そもそも,児童の意 向が当該措置と一致するか否かを判断するのは,当該措置をする主体である都道府県知事であるから,判断の適正が客観的に担保されているとはいえないし,本件の場合のように,児童が幼い場合,児童の意向確認自体が困難で,児童の意向と一致しないときに該当すると判断されることはない。加えて,都道府県知事が審議会の意見を聴かずに解除処分を した場合に,被控訴人が主張するようにそのことが違法となる余地があるとしても,当該里子が自らその違法を主張して審査請求を申し立てたり,行政訴訟を提起することは事実上不可能で 聴かずに解除処分を した場合に,被控訴人が主張するようにそのことが違法となる余地があるとしても,当該里子が自らその違法を主張して審査請求を申し立てたり,行政訴訟を提起することは事実上不可能である。 サに述べたところも踏まえると,里親は,里親委託措置を解除する旨の処分について,その取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に該 当するというべきである。 (被控訴人の主張)ア下記イ及びウのとおり,控訴人らは,本件里親委託措置解除処分の法的効果として,自己の権利又は法律上保護された利益の制限を受ける者に当たらないと解するのが相当である。 イ児童福祉法には具体的な委託先の里親を選定した上で里親委託措置がされることを前提とした規定がないことは,原判決が指摘するとおりである。 一般論として,児童に対する措置に先行して里親候補者とのマッチングを済ませ,具体的な委託先が事実上選定されている状態が望ましいこ とが多いとしても,知事等が,児童に対する援助の方針を迅速に決定し早期に当該児童の生活環境を安定させるべき要請が強い場合,まず児童及び親権者等に対する措置を行った上で,適当な里親候補者を選定することも禁止されていない。 児童福祉法27条1項3号所定の里親委託措置は,具体的な委託先の 里親が選定されていなくとも採ることができるものである。 施設入所措置に関する同法46条の2にいう「この法律の規定に基づく措置(中略)の実施のための委託」とは,法文上,同法27条1項3号の措置という行政処分がされ,それに基づいて児童等を個々の施設に委託する行為をいい,同法46条の2は,同法27条1項3号の措置が既に採られた児童についての受託義務を定めた規定であることは明ら 項3号の措置という行政処分がされ,それに基づいて児童等を個々の施設に委託する行為をいい,同法46条の2は,同法27条1項3号の措置が既に採られた児童についての受託義務を定めた規定であることは明らか である。施行細則16条では,委託を受けた里親から当該児童を措置した児童相談所長に対して「児童受託書」を提出させる仕組みとなっているのに対し,児童福祉施設の長については,そのような仕組みはないが,これも,上記のような受託義務の有無の違いによるものである。同法46条2項の規定との対比についての控訴人らの主張は採用できない。 控訴人らが指摘する点は,全体として,具体的な里親候補者が決まっていない状態で児童に対して里親委託措置を行うことの妥当性をいうものにすぎず,せいぜい,同法27条1項3号所定の措置について知事等が有する裁量権の範囲からの逸脱又はそれの濫用を基礎づける事情となるにとどまるものであって,同号が,法定の要件として,里親委託措置 の時点で具体的な里親候補者が決定していることを強制していると解する根拠にはならない。 児童福祉法27条4項に関し,同条1項3号の措置を採るに当たって得るべき親権者等の承諾は,飽くまで当該措置を採ることについてであって,法律上具体的な委託先についてまで親権者等の承諾を得るべき仕 組みとはなっておらず,里親委託ガイドラインにおいても同様のことを前提とする規定が設けられている。 また,同条4項が親権者等の「意に反して」措置を採ることができないと定めているのは,当該親権者等が反対の意思を表明している場合に当該措置を強行して採ることができないというにすぎず,積極的な承諾 までは必要ではない。 以上から,親権者等から,事前に,かつ, ,当該親権者等が反対の意思を表明している場合に当該措置を強行して採ることができないというにすぎず,積極的な承諾 までは必要ではない。 以上から,親権者等から,事前に,かつ,積極的な承諾を得ることが望ましいということ以上に,法律上,当該措置が委託先の施設や里親を特定してされることを前提とした当該親権者等からの承諾又は納得を得ることが要請されているとはいえないから,控訴人らの主張は前提を欠く。 控訴人らは,児童福祉法27条5項及び6項に基づく児童相談所長又は都道府県児童福祉審議会の審議対象等について主張するが,同条5項は,知事等が同条1項3号所定の措置を採った後に当該措置を解除,停止又は変更するときにおいて児童相談所長の意見を聴くべき場合を,同条6項は,都道府県児童福祉審議会の意見を聴くべき場合をそれぞれ定 めたものであり,知事等が同条1項3号所定の措置を行う時点で具体的な委託先が決まっている必要があるか否かとは次元を異にするから,控訴人らの主張を裏付ける根拠にはならない。すなわち,同条5項及び6項は,知事等がひとたび行った同条1項3号所定の措置を解除,停止又は変更を行う場合には,児童にとって負担が大きいと想定されることか ら,児童の最善の利益を図るべく,児童相談所長や都道府県児童福祉審議会の意見を聴くという慎重な手続を課し,もって,知事等による判断の客観性と専門性を確保するものと解され,このような「変更」に委託先の変更が含まれることは当然である。他方で,このような意見を聴くべき場合であることと,同条1項3号所定の措置を採る時点ないし措置 を変更する時点において,具体的な委託先が決まっていることが法律上強制されているか否かは別問題であり,同条5項及び6項を含め,同法が,知 ることと,同条1項3号所定の措置を採る時点ないし措置 を変更する時点において,具体的な委託先が決まっていることが法律上強制されているか否かは別問題であり,同条5項及び6項を含め,同法が,知事等に対して措置に先行して具体的な委託先を決定すべきことを強制していると解すべき根拠は認められない。 そして,同条6項の場合に同審議会が審議するのは,主として,①そ もそも当該児童について同条1項各号所定の措置を採る必要があるかど うか,②同項各号所定の措置を採る必要があるとしても,同項1号ないし3号所定の措置のうち,いずれの措置を採るのが適当であるか,③同項3号所定の措置を採る必要があるとしても,児童福祉施設入所措置と里親委託措置のいずれが適当であるかといった事項であり,特定の委託先に関する適否まで同審議会は審議しない。現に,児童相談所運営指針 においても,同審議会が審議する時点で具体的な委託先の選定が完了していることが必要であることを前提とした説明はなく,また,児童と保護者の意向が一致しない場合として,当該措置自体は意向が一致していても,具体的な委託先についての意向が一致していない場合については,同審議会の意見を聴くべき場合として例示されていない。 控訴人らは,施行規則32条及び同条が準用する同規則26条前段の規定を根拠として,児童福祉法27条1項3号の里親委託措置を行う時点で,具体的な委託先である里親が特定されている必要がある旨を主張するが,施行規則26条前段は,「委託をしようとする児童につき」同条2項に掲げる事項を記載した書類を児童福祉施設の長又は指定発達 支援医療機関の長に送付しなければならない旨定めるものであるにすぎず,同法27条1項3号の各措置の処分を行う時点で,あるいはこ 同条2項に掲げる事項を記載した書類を児童福祉施設の長又は指定発達 支援医療機関の長に送付しなければならない旨定めるものであるにすぎず,同法27条1項3号の各措置の処分を行う時点で,あるいはこれに先立って上記書類を送付すべき旨を定めているものではなく,この点について,児童相談所運営指針にも,「子どもを里親に委託した場合においては」必要な資料を送付すると定められている上,委託を行う児童に ついての情報提供を行う施行規則26条前段の趣旨からしても,知事等は,同法27条1項3号所定の措置に係る委託先に対して,現に児童を委託した段階で書類を送付すれば足りると解される。したがって,控訴人らの主張は理由がない。 そして,施行細則11条3項にいう「里親」が,養育里親名簿等に 登録されている者をいうことは,原判決が正当に判示するとおりである。 また,同法27条1項にいう「里親」についても,これと同様である。 児童福祉法47条3項については,同項に「入所中又は受託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても」と明示されており,同項が,既に児童を受託した里親に係る規定であることが明らかにされているから,同項にいう「里親」を,で述べたような同法 27条1項における「里親」と同義に解すべき理由はない。 児童福祉法33条に基づく一時保護は,知事等において必要があると認めるときに,同条2項の場合については「第27条第1項又は第2項の措置を採るに至るまで」,すなわち,当該児童の養育環境を整備するために必要な措置を採るまでの間,当該児童の生命及び身体の安全を 確保することや適切かつ具体的な援助方針を定めるために十分な行動観察,生活指導等を行うこと等を目的として行われるものであることから,その目 措置を採るまでの間,当該児童の生命及び身体の安全を 確保することや適切かつ具体的な援助方針を定めるために十分な行動観察,生活指導等を行うこと等を目的として行われるものであることから,その目的を達成するために必要最小限の期間について,知事等において当該児童の保護を行うことができるとしたものであると解される。このような一時保護の趣旨及び目的からすると,同法33条2項にいう「第 27条第1項又は第2項の措置を採るに至るまで」とは,実際に当該児童に対する措置がされるまで,すなわち,同条1項3号の措置でいえば,児童福祉施設への入所や里親への委託が完了すること等により,知事等において当該児童の保護を行う必要性が失われるに至るまでの期間をいうものと解すべきである。控訴人らが指摘する点は,同法33条の解釈 問題であるか,又は一時保護制度の運用の適否を問題とするものであって,同法27条1項3号の解釈とは無関係というべきである。 児童福祉法27条1項3号所定の措置を採ることが親権者等の意に反する場合には,当該措置を採るに当たり同法28条1項が定める家庭裁判所の承認の審判を得る必要があるところ,控訴人らの見解からする と,このような審判の時点においても,具体的な委託先が決定していな ければ,当該措置を承認することとの適否を判断することができないと結論付けられることになると思われるが,上記の承認について,特定の里親候補者が現れていない状態であっても,児童の状況に鑑み,同法27条1項3号所定の里親委託措置について承認するのが相当である旨判示した決定例がある(福岡高裁決定)。 ウ里親委託措置は,親権者等の親権の制限をするものであり,里親と児童との不調等を理由に里親委託措置を解除する場合,依然として当該 相当である旨判示した決定例がある(福岡高裁決定)。 ウ里親委託措置は,親権者等の親権の制限をするものであり,里親と児童との不調等を理由に里親委託措置を解除する場合,依然として当該児童の親権者等の親権の制限を必要とすることに変わりはないが,知事等が里親委託措置を解除し,児童養護施設へ入所させる旨の措置への変更を行う場合,当該入所させる旨の措置の後における親権の制限は,当該 入所させる旨の措置の処分により行うものである。本件でも,処分行政庁は,いったん本件里親委託措置解除処分を行った後,本件児童及びその親権者に対し,児童養護施設へ入所させる旨の措置を行っており,入所させる旨の措置の後の親権の制限は,里親委託措置の効果が継続していることによるものではない。里親の法的地位を失わせるのは,知事等 による里親に対する解除の意思表示であり,児童らに対する里親委託措置を解除する旨の処分ではない。 児童福祉法47条3項所定の「必要な措置」を採ることができる権限が里親に付与されるのは,同項に「受託中の児童」とあるとおり,飽くまで知事等と里親との間で公法上の委託関係が成立することによるもの である。したがって,これが失われるのも,当該公法上の委託関係が終了することに伴うものにすぎず,里親委託措置を解除する旨の処分による効果ではないというべきである。 控訴人ら宛ての措置解除通知書(本件通知書)は,処分行政庁が,施行細則11条8項に基づいて,同細則所定の様式を用いてその名を表示 して発出したものであり,その「解除の理由その他」欄の「里親委託解 除とします。」との記載は,控訴人らの主張するような単なる「メモ」ではなく,処分行政庁による里親委託を解除する旨の意思表示及び解除 理由 あり,その「解除の理由その他」欄の「里親委託解 除とします。」との記載は,控訴人らの主張するような単なる「メモ」ではなく,処分行政庁による里親委託を解除する旨の意思表示及び解除理由に係る観念の通知そのものである。控訴人らが通知書の記載方法について指摘する点は,単に意思表示の方法の適否を論じるものにすぎず,本件委託解除の法的性質を左右するものではない。 また,解除の時期についても,委託契約の解除については民法に準じて解除の意思表示を要することから,行政処分を解除した日と契約関係が終了した日とが必ずしも一致しない場合があることは当然である。むしろ,控訴人らが主張するような「表裏一体,不可分の関係」にあるものではないことの表れである。 控訴人らは,山口地裁判決を挙げて,里親委託措置と里親への委託とが一体不可分の関係にあると主張する。 しかしながら,同判決は,里親が,里親委託措置を解除する旨の処分により直接権利を侵害され,義務を課されると解する根拠にはならない。すなわち,同判決は,知事等と里親との法律関係の解消がいかなる 場合に国家賠償法1条1項にいう「違法」となるかについて判断したものであるところ,同判決の説示は,知事等と里親との法律関係の性質が委任に類似する公法上の契約関係であるがゆえに児童福祉法その他の関係法令の制約を受けること及び里親委託措置を解除する旨の処分に違法がない場合には原則として知事等と里親との法律関係の解除についても 国家賠償法1条1項にいう「違法」の問題が生じないことを述べたものである。このような判示内容は,むしろ,本件委託解除が,公法上の契約関係における解除権を行使する行為であるという被控訴人の主張及び原判決の説示内容に沿うものである。 さらに,同判決は,知事 のである。このような判示内容は,むしろ,本件委託解除が,公法上の契約関係における解除権を行使する行為であるという被控訴人の主張及び原判決の説示内容に沿うものである。 さらに,同判決は,知事等と里親との契約関係は,児童に対する里 親委託措置の手段であることによる制約を受ける法律関係である旨指摘 している。知事等は,飽くまで児童の最善の利益を実現するために,一定の期間に限り,里親との委託契約を締結するのであって,里親の個人的な利益を享受させるために児童を委託するものではない。 エ本件里親委託措置解除処分の根拠法令である児童福祉法は,以下のとおり,里親の利益を個別的利益として保護すべき趣旨を含むと解すること はできない。 オ控訴人らは,児童福祉法3条の2や里親委託ガイドラインを引用し,里親委託は可能な限り継続することが要請されていると主張するが,同法3条の2は,国や地方公共団体に対して児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるようにする等のための必要 な措置を講じなければならない旨要請しているのであり,同条の定め方からすれば,その定められた利益は専ら児童のものである。同条は,児童の利益を実現する目的を超えて,里親に対して,特定の児童を長期間にわたり監護養育することを権利利益として保障すべき旨を説いているものではない。したがって,里親委託措置という行政処分をできる限り 継続することについて,仮に児童については享受する権利利益が観念されるとしても,里親の権利利益として観念できるものではなく,受託中の児童の権利利益が保護されることの結果としてもたらされる反射的なものであるにすぎない。このほか,児童福祉法令が,児童の権利利益とは別に,里親に対して長期間にわた して観念できるものではなく,受託中の児童の権利利益が保護されることの結果としてもたらされる反射的なものであるにすぎない。このほか,児童福祉法令が,児童の権利利益とは別に,里親に対して長期間にわたり児童の監護養育ができるよう保証 することを要請していると解する根拠はない。 カ控訴人らは,児童福祉法及び児童の権利に関する条約により,児童には,里親家庭における家庭的な養育環境を不当に奪われない権利が保障されていると主張する。その根拠として,本件で,控訴人らは,本件里親委託措置に当たり,関係書類に長期間の委託期間を想定していると記載さ れていたことを挙げるが,本件児童の最善の利益に反しない限り,でき るだけ長期間の里親委託が望まれる旨を記載したものにすぎず,それを超えて,控訴人らに対して長期間の委託を保障する旨を記載したものではない。 児童福祉法令が,児童の最善の利益とは区別して,里親の個人的な利益を保護する趣旨を含むとは解されず,里親委託措置が,里親の個人的な 利益を実現するための手段であるなどと解することは相当ではない。 特に,控訴人らのような養育里親は,児童との養子縁組を目的として里親となるものではなく,児童に対する措置理由が消滅したとか,あるいは委託を継続し難い事由が生じたと知事等において判断すれば,もとより知事等と当該養育里親との法律関係を終了する方向で検討される立場 にあるのであって,養育里親に対する委託が永続的であることは,基本的に予定されていない。 里親委託措置を解除する旨の処分が適法であれば,原則として知事等と里親との法律関係の解除も国家賠償法1条1項の適用上違法とはならないとされるのも,上記のような法律関係の性質に由来する。 これら 解除する旨の処分が適法であれば,原則として知事等と里親との法律関係の解除も国家賠償法1条1項の適用上違法とはならないとされるのも,上記のような法律関係の性質に由来する。 これらのような知事等と養育里親との法律関係の特質及び内容,当該法律関係を規律する児童福祉法令の趣旨からすれば,里親は,委託期間中,児童及び親権者等に対する里親委託措置が解除されることなく維持されることを期待し得る立場にあるとはいえないから,同措置の解除に起因して知事等と里親との間の法律関係が終了させられないことを期待し得 る立場にあるともいえない。このような期待を里親が抱いていたとしても,事実上のものにとどまり,里親の権利利益として法律上保護されているものとはいえないというべきである。 控訴人らは,5歳以下の長期間受託可能な児童の受け入れを希望している旨記載した「里親調査書」(甲3別添2)も挙げるが,控訴人らがこ のような希望をしていたとしても,児童福祉法の趣旨及び目的からすれ ば,知事等が,実際に具体的な児童を委託する際に,委託の永続を保障することはできないし,実際に委託する際にその期間を2年間としており(甲3別添10),処分行政庁が控訴人らに対して「長期間」の委託を保障した事実はない。控訴人らは,「知事が必要と認めたときは,(中略)児童の委託を解除されても異議は申しません。」との遵守事項 を含む「児童受託書」(甲3別添5)を提出したり,養育過程について一定期間養育する里親であることや,里親認定の取消し及び委託解除があり得る旨の研修を受けており(乙27ないし30),控訴人らの期待が法的利益となる程度に至っていたともいえない。 なお,厚生労働省が定める里親制度運営要綱や里親委託ガイドラインの よう 除があり得る旨の研修を受けており(乙27ないし30),控訴人らの期待が法的利益となる程度に至っていたともいえない。 なお,厚生労働省が定める里親制度運営要綱や里親委託ガイドラインの ような同省による技術的助言の内容からしても,知事等が里親委託措置を採るか否か,あるいは当該措置を解除するか否かを判断するに当たり,児童や保護者のニーズではなく,特定の児童を「永続的に監護養育したい」などといった養育里親のニーズを考慮することは,児童福祉法令上想定されていないことが裏付けられているというべきである。 キ控訴人らは,その主張するところの根拠として児童福祉法47条3項及び4項を挙げるが,児童の委託を受けた里親は,専ら当該児童の健全な育成と福祉を図るために,個人的な立場ではなく,公的な立場においてその養育を行うことが期待されているものであり,上記規定は,親権との調整を図るべく,里親に対し,知事等との間における公法上の委託関 係が成立することにより「受託中の児童」の福祉を実現するための手段としてその監護等に関して必要な措置を採ることができる権限を付与するにとどまるものである。 ク児童福祉法には,里親委託措置の解除において親権者等と児童の利益が類型的に相反していること,あるいは里親個人と児童の利益が一致して いることを前提とする規定は見当たらず,同法が里親に児童の利益を代 表させる仕組みを採用していることをうかがわせる規定も全く見当たらない。そもそも,児童には親権者等の下で監護養育される権利があるというべきであり,里親委託措置を解除する旨の処分は,そのような権利が制限されている状態を解除するものであるから,親権者等と児童の利益が一般的,類型的に相反するとか,当該解除を阻止することについて いうべきであり,里親委託措置を解除する旨の処分は,そのような権利が制限されている状態を解除するものであるから,親権者等と児童の利益が一般的,類型的に相反するとか,当該解除を阻止することについて 里親個人の利益と児童の利益が常に一致する関係にあるとはいえない。 また,既に述べたように,同法47条3項は,里親について,専ら当該児童の健全な育成と福祉を図るために,個人的な立場ではなく,公的な立場においてその養育を行うことを期待するものというべきであり,その手段としてその監護等に関して「必要な措置」を採ることができる権 限を付与するにとどまるものである。したがって,必要な措置を採る権限があることによって児童の利益と里親個人の利益が常に一致するなどということにはならず,同条3項及び4項を根拠として,里親の個人的な利益を保護する趣旨を含むものと解することはできない。 控訴人らは,代替的養護指針のパラグラフ121を根拠として,控訴人 らに原告適格を認めるべきである旨主張するが,同指針は,「児童の権利に関する条約,並びに親による養護を奪われ又は奪われる危険にさらされている児童の保護及び福祉に関するその他の国際文書の関連規定の実施を強化することを目的とする。」(同指針パラグラフ1)とされており,児童の最善の利益とは何かという判断は,上記のような「児童の ため,そのニーズ及び権利を充足するのに最も適した行動指針を特定することを目的に行われるべきである。」(同指針パラグラフ7)等とされ,児童の最善の利益を図る目的で児童の養護方針を適切に決定するためのものであり,里親の固有の利益を保護することや,そのために里親に対して手続を保障するよう求めているものではない。 なお,代替的養護指針には,「児童をその両親 を適切に決定するためのものであり,里親の固有の利益を保護することや,そのために里親に対して手続を保障するよう求めているものではない。 なお,代替的養護指針には,「児童をその両親の意思に反して両親から 分離するという決定は,所轄当局が法律及び手続に従い実施すべきであり,かかる決定は司法審査の対象となる。親は抗告を行う権利及び適切な法定代理人に連絡する機会を保証されるべきである。」(パラグラフ47)との定めはあるが,里親について,同様の権利ないし機会を付与することを求める定めは見当たらない。 したがって,児童の権利に関する条約や代替的養護指針を勘案しても,同法が里親の利益を個別的利益として保護する趣旨を含むと解することはできない。 ケ児童福祉法は,知事等が里親委託措置を解除するに当たり,児童の意向の確認が困難である事情があるなどの必要と認めるとき等には都道府県 児童福祉審議会の意見を聴くことで児童の最善の利益を確保することとしており,知事等が上記のような事情があるのに「必要と認める」ことなく里親委託措置を解除する旨の処分をした場合には,知事等による裁量権の範囲からの逸脱又はそれの濫用を基礎づけて同処分が違法となる余地があると解され,知事等は,同審議会の意見を聴くか否かを恣意的 に判断することができるものではない。このことからも,里親委託措置を解除する旨の処分についての原告適格を里親に認める必要がないというべきである。 ⑵ 争点⑵(本件委託解除の処分性の有無)について(控訴人らの主張) ア原判決は,知事等と児童を受託した里親との関係は,知事等による個別の里親に対する児童の委託の申込みと里親による承諾という契約締結行為によって生じる,民法上の準委任に準じ らの主張) ア原判決は,知事等と児童を受託した里親との関係は,知事等による個別の里親に対する児童の委託の申込みと里親による承諾という契約締結行為によって生じる,民法上の準委任に準じた公法上の契約関係であると判示する。しかし,これは,委託の打診段階の問題と,委託措置する段階の問題を混同している。 すなわち,児童福祉施設の長に対し,委託を受けたときに拒んではなら ないとする旨を定めている児童福祉法46条の2第1項は,措置に先立ち委託の打診をする段階での施設の受託義務を規定したものにすぎない。これに対し,里親には同様の規定はない。里親委託の性質上,特定の児童の養育の受託をするか否かは,里親の意思に委ねられるべきであり,措置に先立ち,委託の打診がされ,当該児童との交流などを行い,里親が当該児 童の受託を受けるかどうかを検討する機会が設けられている(里親委託ガイドライン)。里親委託措置の前の打診の段階で,里親候補者は当該児童の委託を受けるかどうかを検討し,自由に辞退することができるのであり,その受託意思を確認した上で,里親委託措置がされ,同時に措置に基づく里親への委託がされるのである。措置の時点で受託の意思のない里親に委 託されるということはあり得ない。しかし,いったん,里親委託措置がされれば,その後に里親が児童受託書の提出を拒否したり,受託を拒否したい旨の意思表示をしたりしたとしても,同法上,当該児童の里親としての法的地位と権限を付与され,同法が規定する里親としての当該児童に対する法的義務を負うことになるのであり,里親委託措置がされた後に里親が 受託を拒否することができる旨の規定はないほか,里親委託措置の後に里親が受託を拒否する意思表示をした場合に,当然に里親委託措置の効力を 負うことになるのであり,里親委託措置がされた後に里親が 受託を拒否することができる旨の規定はないほか,里親委託措置の後に里親が受託を拒否する意思表示をした場合に,当然に里親委託措置の効力を失わせる規定もないことから,知事等が里親委託措置を解除する旨の処分をしない限り,里親としての法的地位及び責任から免れることはできない。 また,原判決が判示するとおり,民法上の準委任に準じた公法上の契約 関係だというのであれば,里親側からの解除も可能なはずであるが,児童福祉法上,里親側から解除することができる旨の規定は存在しない。 このような同法の構造からすれば,里親への委託は,同法の規定による知事等の措置に基づくものであり,準委任契約とは異なる半公的法律関係であって,里親の法的地位は,知事等の一方的行政行為に基づくもの であるといえる。 イまた,原判決は,民法上の準委任契約に準じた公法上の契約関係とみるのが相当との判断を前提に,知事等が里親に対して公権力の行使によって里親としての地位を付与するものではないこと,個別の里親への児童の委託を解除する知事等の行為の法的性質についても委任者の有する契約の解除権の行使とみるのが相当であって,公権力の行使によって里親 としての地位を喪失させるものとはみることができないことを判示した。 しかしながら,原判決の法的性質論は実務とかい離していること,児童福祉法及びその関連法令の規定とも矛盾することは,上記⑴で控訴人らが主張したとおりである。 里親委託は,同法の規定による知事等の措置に基づくものであり,準 委任契約とは異なる半公的法律関係であって,里親の法的地位は,知事等の一方的行政行為に基づくものというべきである。また,同法及び関連する法規の規定文言を素直に 等の措置に基づくものであり,準 委任契約とは異なる半公的法律関係であって,里親の法的地位は,知事等の一方的行政行為に基づくものというべきである。また,同法及び関連する法規の規定文言を素直に読めば,里親委託措置と里親委託は法的には別個であっても,一体不可分の表裏の関係にあることは明らかであり,里親委託措置を解除する旨の処分によって一体不可分の表裏の関係 にある里親委託も解除されるのであり,前者が知事等の一方的な行政行為である以上,後者も単なる公法上の契約関係に基づく解除というにとどまらず,公権力の行使に当たる行為として処分性を有するというべきである。 ウ仮に,原判決のとおり,里親委託に係る知事等と里親との関係を民法上 の準委任契約に準じた公法上の契約関係における委任者と受任者との関係として捉えたとしても,本件里親委託の解除が行政事件訴訟法9条1項に定める取消訴訟の対象となる「処分」に該当しないとするのは早計である。 上記⑴のとおり,里親は,里子との家庭生活を維持継続する権利,里子 との家庭生活を不当に奪われない権利を有するところ,知事等は,委任者 として解除権を行使することにより,一方的にその権利を奪うものであるから,その行為は,実質的に行政処分と同視できる。里親委託の解除は常に行政処分である里親委託措置の解除に付随してされ,受任者である里親の側から里親委託を一方的に行うことができ,その結果直接的に里親としての法的地位及び上記権利に影響を及ぼすことからすれば,まさに里親委 託の解除は行政権の優越的地位に基づく公権力の行使にほかならない。 したがって,里親委託の解除については,取消訴訟の対象となる行政処分に当たるというべきである。 エ最高裁平成5年(行ツ)第22号 行政権の優越的地位に基づく公権力の行使にほかならない。 したがって,里親委託の解除については,取消訴訟の対象となる行政処分に当たるというべきである。 エ最高裁平成5年(行ツ)第22号同6年4月19日第三小法廷判決・裁判集民事172号363頁は,国税通則法57条による充当が納税者に 還付すべき還付金等を還付に代えて同一納税者の納税すべき国税に充当する行為であり,民法の相殺と異なるところがないのに,この充当は,国税局長等が行政機関としての立場から法定の要件の下に一方的に行う行為であって,それによって国民の法律上の地位に直接影響を及ぼすものであるというべきであるとして,処分性を認めている。したがって, 単に契約関係に基づくこと又は民事的行為であるとして取消訴訟の対象となる「処分」に当たらないとはいえない。 山口地裁判決で判示されているとおり,知事等と里親との契約関係は,里親委託措置あるいはその解除と全く別個無関係の独立した対等当事者間の契約関係と同様のものと解することは相当ではなく,里親委託措置 あるいはその解除に付随して成立あるいは解消し,委託中には,児童に対する措置の手段であることによる制約を受けることが想定されている契約関係であると考えられ,知事等と里親との法律関係の成立及び解消は,行政処分としての里親委託措置又はその解除と常に連動するものであるから,本件里親委託についても,法が認めた優越的地位に基づき法 の執行として行われる権力的な意思活動である行政処分と実質的に異な らない。このことにも鑑みれば,本件里親委託の解除は,公法上の契約関係に基づくものであるとしても,実質的に行政処分と同視できるから,行政事件訴訟法9条1項の「処分」に該当する。 オ以上から,里親 。このことにも鑑みれば,本件里親委託の解除は,公法上の契約関係に基づくものであるとしても,実質的に行政処分と同視できるから,行政事件訴訟法9条1項の「処分」に該当する。 オ以上から,里親委託の法的関係をどのように解するとしても,本件里親委託の解除は,処分性を有し取消訴訟の対象となることは明らかであり, 処分性を否定して,訴えを却下した原判決には,行政事件訴訟法9条1項の解釈に誤りがあり,取消しを免れない。 (被控訴人の主張)ア控訴人らは,知事等と児童を受託した里親との関係は,民法上の準委任に準じた公法上の契約関係であるとの判示に関して知事等の一方的行政 行為に基づくものと主張する。 控訴人らが指摘する児童福祉法46条の2の規定については,上記⑴(被控訴人の主張)イで述べたように,施設入所に関する同法27条1項3号の措置が既に採られた児童についての施設の受託義務を定めたものであり,同法上,里親についてこのような受託義務に係る規定はな い。したがって,里親委託措置が採られた場合であっても,特定の里親候補者には法的に児童の委託を受諾する義務があると解する余地はなく,里親委託措置が採られた児童であっても,個別具体的な里親候補者に対して一方的に養育を義務付けることはできない。そもそも,里親候補者が養育里親名簿等に登録されているとしても,一般の個人にすぎず,控 訴人らの主張のとおり知事等が一方的にその者の意に反して児童の養育者としての地位を付与することになれば,監護養育する意思のない一般の個人に児童を委託し,監護養育を強制することができることになるが,同法が,このような児童の福祉に反する事態を想定しているとはおよそ考え難い。 イ控訴人らが主張する最高裁の判例について 人に児童を委託し,監護養育を強制することができることになるが,同法が,このような児童の福祉に反する事態を想定しているとはおよそ考え難い。 イ控訴人らが主張する最高裁の判例については,国税通則法57条に基づ く還付金の充当は,同法が相殺を一般的には禁止しつつ,国税局長等にのみ充当に適した状態か否か,充当の順序等を判断し一方的に充当することを義務付けているなど,国税局長等が法定の要件の下に行い,それにより国民に法的効果を及ぼす行為であり,国税局長等が,法が認めた優越的な地位に基づき,法の執行としてする権力的な意思活動であるか ら処分性があると判断されたのであって,本件とは異なるものであり,本件委託解除には処分性があるとはいえない。 ⑶ 争点⑶(本件裁決の取消しの訴えにつき,訴えの利益があるか否か)について(控訴人らの主張) 原判決は,控訴人らが本件委託措置解除処分に対する審査請求の申立適格を欠くことを理由に,本件審査請求が同処分を対象とするものであったとしても,本件審査請求のうち同処分に係る部分は不適法であると判示する。また,本件委託解除が審査請求の対象となる「処分」に当たらないことを理由に,本件審査請求が本件委託解除を対象とするものであったとしても,本件 審査請求のうち本件委託解除に係る部分は不適法であるとして,本件裁決を取り消したとしても,本件審査請求を不適法として却下するほかなく,裁決によって本件委託措置解除処分及び本件委託解除が取り消される余地がない以上,控訴人らには本件裁決の取消しを求める利益がないものとして,本件裁決の取消しを求める訴えは不適法であると判示した。 しかし,控訴人らが本件委託措置解除処分に対する審査請求の申立適格を有すること,本 は本件裁決の取消しを求める利益がないものとして,本件裁決の取消しを求める訴えは不適法であると判示した。 しかし,控訴人らが本件委託措置解除処分に対する審査請求の申立適格を有すること,本件委託解除が処分性を有することは,上記⑴及び⑵の控訴人らの主張のとおりである。したがって,本件審査請求は適法であり,本件委託措置解除処分及び本件委託解除の双方について審査請求をしたにもかかわらず,これらに対する判断をせずに,本件審査請求を却下した本件裁決は違 法であり,控訴人らは,本件裁決の取消しを求める利益を有している。 (被控訴人の主張)控訴人らには,いずれも本件里親委託措置解除処分の取消しを求める原告適格がなく,また,本件委託解除は抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しないから,これらの取消しを求める訴えはいずれも不適法であり,却下されるべきである。そうである以上,本件裁決の取消しを求める利益もないから, 本件裁決の取消しを求める訴えも不適法である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの訴えはいずれも不適法であると判断する。その理由は,当審における当事者の主な補充主張を踏まえて,後記2のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」の第3に記載のとおりであるから,これを 引用する。 2 原判決の補正⑴ 原判決23頁23行目の「児童福祉法27条1項3号」を「児童福祉法27条1項3号は,都道府県は,同項に定められた児童について,同法6条の4に規定する里親若しくは小規模住居型児童養育事業を行う者に委託するか, 又は同号に定める別の施設に入所させることのうちいずれかの措置を採るべきことを定めており,同号の規定」に,同頁24行目から同頁25行目まで及び同24頁22行目の 育事業を行う者に委託するか, 又は同号に定める別の施設に入所させることのうちいずれかの措置を採るべきことを定めており,同号の規定」に,同頁24行目から同頁25行目まで及び同24頁22行目の各「親権者又は未成年後見人」をいずれも「親権者等」にそれぞれ改める。 ⑵ 原判決25頁15行目の末尾の次に改行した上で次のとおり加える。 「 控訴人らは,当審において,同法27条1項3号は同項に定められた児童に対して具体的な措置をする場合の規定であるとして,当該児童の最善の利益を考慮するには具体的な委託先を特定しなければ最善の利益に資するのかは判断できない等と主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴イ)。 しかしながら,同法には具体的な委託先を選定した上で里親委託措置 がされることを前提として事前の選定を必要とする旨を定める規定が存在しないことは,既に述べたとおりであり,このことと,特段の事情がない場合の運用上の実情として里親委託措置に先立って実際に里親となろうとする者との間で児童とのマッチングが行われていることとは,法的には次元を異にするものであるから,控訴人らの上記主張を採用する ことはできない。 控訴人らは,当審において,児童福祉法27条1項3号の規定により里親委託措置を採るに当たりそれが同条4項の親権者等の「意に反」するかどうかは具体的な委託先が明らかでなければ判断できないと主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴イ)。 しかしながら,同項において親権者等の意向を確認すべきものとされる対象は,親権者等の権利に制限を加える法的効果を有する同条1項3号等などの措置を採ることについてであって,既に述べたように,同法には,里親委託措置を採ろうとする場合に,控訴 を確認すべきものとされる対象は,親権者等の権利に制限を加える法的効果を有する同条1項3号等などの措置を採ることについてであって,既に述べたように,同法には,里親委託措置を採ろうとする場合に,控訴人らの主張するように実際に里親となるべき者が特定されていることを要するとする規定は 見当たらない。控訴人らの上記の主張を採用することはできない。 控訴人らは,当審において,児童相談所長又は都道府県児童福祉審議会の意見を聴くべき場合に関する児童福祉法27条5項及び6項において,上記の場合のうち「他の措置に変更する場合」には里親委託措置につき委託先の里親が変更される場合が含まれることを指摘した上で,里 親委託措置が採られる場合に関し,具体的な委託先が判明していなければ児童の最善の利益となる措置であるか判断できないとして,同条1項3号の規定による里親委託措置は委託先が特定された具体的な措置であるというべきと主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴イ)。 しかしながら,同条5項及び6項並びに同法施行令32条1項本文の 規定において児童相談所長又は都道府県児童福祉審議会の意見を聴くとしたのは,児童やその親権者等の意向と一致しなくても同条1項3号の規定による措置等を採る場合や事後に他の措置に変更する場合等について,その適正な執行を確保して児童の最善の利益を確保するためと解されるところ,これらの規定において意見を聴くものとされる対象は,同 条1項3号等の措置を採ること又は既に採られた措置についてそれの解除等をすることについてであって,同号中の規定により里親委託措置を採ろうとする場合に,控訴人らの主張するように実際に里親になるべき者が特定されていることを要するとする規定は見当たらず,既 てそれの解除等をすることについてであって,同号中の規定により里親委託措置を採ろうとする場合に,控訴人らの主張するように実際に里親になるべき者が特定されていることを要するとする規定は見当たらず,既に述べた同条5項及び6項の規定の趣旨に照らしてそのような特定が当然に必要 とされるとまで解すべき根拠も見当たらない。控訴人らの上記の主張を採用することはできない。 控訴人らは,児童福祉法27条1項3号等の規定により児童福祉施設等に入所等をさせようとする児童につき所定の書類をその施設等の長に送付すべき旨を定める施行規則26条の規定が同規則32条の規定によ って里親委託措置について準用されているとして,里親委託措置と当該里親に対する委託とが同時にされることが前提とされていると主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴イ)。 しかしながら,同規則32条は,同規則26条の規定を準用するに当たり,同法27条1項3号の規定による里親委託措置に関しては,「里 親に委託した場合」と規定しており,その文理に照らして,同規則26条と当然に同様の前提に立つものとは解し難いというべきである。控訴人らの上記の主張を採用することはできない。」⑶ 原判決25頁16行目の「」を「」に,同24行目の「」を「」にそれぞれ改め,同26頁7行目から同頁8行目までの「いうものではない」 の次に「ことに加え,施行規則11条3項の規定は,里親委託措置が採られ た場合の児童相談所長の措置について定めるものであり,措置決定通知書等が発出されるなどの時までに上記の養育里親名簿に登録された者等のうちから実際に里親として委託される者が特定されていることを想定するものである一方,控訴人らが主張するように知事等によ 措置決定通知書等が発出されるなどの時までに上記の養育里親名簿に登録された者等のうちから実際に里親として委託される者が特定されていることを想定するものである一方,控訴人らが主張するように知事等により措置が採られるまでに実際に里親となるべき者が特定されていることを要するとするものとは解し難い」 を,同行目の末尾の次に改行した上で次のとおりそれぞれ加える。 「控訴人らは,児童福祉法27条1項3号の規定による里親委託措置に関して厚生労働省が策定した児童相談所運営指針等について,控訴人らの主張するような前提に立つものと主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴イ)。 しかしながら,運用上の実情のいかんによって同法の規定の解釈の在り方が直ちに左右されるものではないことは,既に述べたとおりであり,控訴人らの上記の主張は採用することができない。 控訴人らは,里親委託措置に係る児童に対する里親の権限について定める児童福祉法47条3項の規定との対比を根拠に,上記の措置に係る 同法27条1項3号における「里親」について,児童の委託された特定の里親を指すと解すべき旨を主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴イ)。 しかしながら,同法47条3項の「里親」については,既に児童について「受託中」であることが前提とされており,この規定があることを もって,控訴人らが主張するように知事等により同法27条1項3号の規定による里親委託措置が採られるまでに実際に里親となるべき者が特定されていることを要するものとは当然には解し難い。控訴人らの上記の主張は採用することができない。 控訴人らは,当審において,児童福祉法33条2項の規定に基づく児 童の一時保護について,「 ることを要するものとは当然には解し難い。控訴人らの上記の主張は採用することができない。 控訴人らは,当審において,児童福祉法33条2項の規定に基づく児 童の一時保護について,「第27条第1項又は第2項の措置を採るに至 るまで」とは,具体的な委託先への委託措置を採るに至るまでと解すべきであり,同条1項3号の措置については,措置と同時に委託が可能であることを当然の前提とするものであると主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴イ)。 しかしながら,同法33条2項の規定に基づく一時保護の趣旨が児童 の生命及び身体の安全を確保すること等にあることからすれば,同項にいう所要の措置を「採るに至るまで」については,上記の趣旨に沿って,里親委託措置に関しては,例えば実際に児童が特定の里親の下で生活を始めるまでのように解するのが相当であるというべきであり,この規定があることをもって,控訴人らが主張するように知事等により措置が採 られるまでに実際に里親となるべき者が特定されていることを要し,措置と同時に委託が可能であることを当然の前提とするものとは解し難い。 控訴人らの上記の主張は採用することができない。 なお,児童についての保護者からの隔離措置に関する児童福祉法28条の規定については,控訴人らの主張において,同法27条1項3号の 規定による里親委託措置につきその主張するところを採用すべき根拠とはされていない(当審における控訴人らの主な補充主張⑴イ)。 控訴人らは,当審において,里親と児童との不調や里親側の事情等を理由として里親委託措置を解除する旨の処分がされる場合には,当該里親家庭から児童を引き離して改めて保護するためにされるものであって, 当該児童 審において,里親と児童との不調や里親側の事情等を理由として里親委託措置を解除する旨の処分がされる場合には,当該里親家庭から児童を引き離して改めて保護するためにされるものであって, 当該児童の里親の法的地位及び権限を失わせる法的効果を有すると主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴ウ)。 しかしながら,上記のとおり,里親委託措置を解除する旨の処分は,親権者等の権利に加えられた制限を解除する法的効果を有するもので,児童福祉法において,里親とされている者の権利又は利益に何らかの制 限を課すものとされているということはできず,上記の者は,同処分が されるのとは別に知事等との間で締結された法律関係が解除されることで当該児童の里親でなくなるものである。里親委託措置を解除する旨の処分がされる場合には様々な理由があり,里親と児童との不調等といった特定の理由を採り上げて里親委託措置を解除する旨の処分の法的効果を検討することは相当ではない。控訴人らの上記の主張は採用すること はできない。 控訴人らは,施行細則11条8項の規定により里親に送付される里親委託措置の解除に係る措置解除通知書について,同条3項の規定による里親委託措置の解除を里親に通知するための文書であり,本件通知書における「里親委託解除とします。」とのメモは,措置解除通知書のうち の「解除の理由その他」欄に措置解除の理由として記載されたものにすぎず,これをもって里親との間の契約の解除の意思表示がされたとするのには無理があり,法律関係を解除するとの意思表示が必要なのであれば,別途その旨の通知書が作成されるべきである等と主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴ウ)。 しかしながら,一般に,契約による法律関 係を解除するとの意思表示が必要なのであれば,別途その旨の通知書が作成されるべきである等と主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴ウ)。 しかしながら,一般に,契約による法律関係を解除する旨の意思表示については,その方法について特段の定めのない限り,その旨が明らかにされて当該法律関係の相手方に到達すれば足り,このことについて,知事等と里親との間の契約関係につき異なって考えるのを相当というべき根拠は見当たらない。 また,控訴人らは,上記に関連して,里親への委託につき契約関係と解すると,本件において見られたように,里親委託措置を解除する旨の処分の効力が発生する時期と,里親への委託の法律関係の解除の通知が里親に到達する時期との間に時間差が生じることについて主張するが,事務処理上の理由等から控訴人らの指摘するような事情が生ずることが あるとしても,そのことをもって,知事等と里親との間の児童の委託に 関する法律関係を法令の規定するところに基づき契約関係と見ることが不合理であるとはいえないというべきである。控訴人らの上記の主張を採用することはできない。」⑷ 原判決26頁9行目の「」を「」に改め,同頁18行目の末尾の次に改行した上で次のとおり加える。 「 控訴人らは,上記に加え,里親委託措置と里親に対する委託は概念的に別個であるとしても,里親委託措置を解除する旨の処分がされれば,同時に里親に対する委託も解除され,里親を変更する場合にも,里親委託措置を維持したまま別の里親に委託することを可能とする規定はない等として,里親委託措置を解除する旨の処分には,個別の里親に対する委託を終了さ せる効果があるに等しいと主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴ウ)。 ことを可能とする規定はない等として,里親委託措置を解除する旨の処分には,個別の里親に対する委託を終了さ せる効果があるに等しいと主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴ウ)。 しかしながら,里親委託措置を解除する旨の処分と個別の里親に対する児童の委託の解除とが法的には別個の行為であると解すべきことは,既に述べたとおりであり,このことについて,控訴人らが指摘するように両者 が事実として相伴ってされることによって左右されるとは考え難く,里親の変更に当たっての取扱いについても,その適正な執行を確保する観点からの配慮によるものと解され,やはり上記に述べたところを左右するものとは考え難い。控訴人らの上記の主張を採用することはできない。」⑸ 原判決26頁19行目の「」を「」に改める。 ⑹ 原判決28頁14行目及び同頁21行目の各「親権者又は未成年後見人」をいずれも「親権者等」に,同頁23行目の「意見聴取」を「意見の聴取」にそれぞれ改め,同頁26行目の「なお,」の次に「同法27条6項の規定による委任に基づき定められた」を加え,同29頁3行目の「聴取すべき」を「聴かなければならない」に改め,同頁17行目の末尾の次に「な お,控訴人らは,当審において,厚生労働省が策定した里親委託ガイドラ イン等も参酌されるべき旨を主張するが(当審における控訴人らの主な補充主張⑴オ),それらは,同法及び関係法令の規定の運用に関して述べるものであり,それらをもって,上記アに述べた関係法令に当然に該当するものとして考えるのは相当ではないから,控訴人らの上記主張を採用することはできない。」を加える。 ⑺ 原判決29頁22行目の末尾の次に改行した上で次のとおり加える。 「 控訴人らは,当 のとして考えるのは相当ではないから,控訴人らの上記主張を採用することはできない。」を加える。 ⑺ 原判決29頁22行目の末尾の次に改行した上で次のとおり加える。 「 控訴人らは,当審において,里親制度は児童に対して家庭環境下での養育を提供する制度であって,同法3条の2及び同条約20条3項において,可能な限り継続的に維持されるべきであるとされているとした上で,児童には里親家庭における家庭的な養育環境を不当に奪われない権利が 保障されているとし,同条約3条2項及び5条の規定において,里親を含む児童について法的に責任を有する者が適当な指示・指導を行う責任,権利及び義務を国が尊重すべきであるとされていることから,上記の児童の権利の保障を実効あらしめるために,里親には児童との家庭生活を守り,継続維持していく権利を有し義務を負うと主張する(当審におけ る控訴人らの主な補充主張⑴カないしク)。 しかしながら,同法3条の2及び同条約20条3項の規定の趣旨及び目的が児童の利益の保護にあると解されることは,既に述べたとおりであり,その際に一般的に考慮されるのが望ましいところとして継続性が挙げられているものと解されるところ,同条約3条2項及び5条の規定は, このことを前提に,締結国が児童の福祉に必要な保護及び養護を確保するための立法上及び行政上の措置を採るに当たって児童について法的に責任を有する者の権利及び義務を考慮に入れるべきこと及びそれらの者がその児童の発達しつつある能力に適合する方法で適当な指示及び指導を与える責任,権利及び義務を締結国において尊重すべきことを定めた ものであって,仮に上記の「児童について法的に責任を有する者」に同 法の規定による里親委託措置に応じて里親となった者が含 責任,権利及び義務を締結国において尊重すべきことを定めた ものであって,仮に上記の「児童について法的に責任を有する者」に同 法の規定による里親委託措置に応じて里親となった者が含まれるとしても,上記の条約の規定は,里親の法的利益としてそれらの規定にいう児童に対する権限を継続性の実現のために付与する趣旨とは解されず,このことは,本件児童の委託に当たっての控訴人らとの関係における個別の事情いかんによっても左右されるものではない。これとは異なる前提 に立つ控訴人らの上記の主張を採用することはできない。 控訴人らは,児童には,里親家庭での生活を積み重ねることにより,里親との間に愛着関係が築かれ,その関係の性質上当然に里親にも同じ利益が生まれるとし,里親の児童との家庭生活を不当に奪われない権利は里親の固有の利益としての側面も有する旨主張する(当審における控訴 人らの主な補充主張⑴ケ)。 しかしながら,里親と児童との関係が継続したことによって両者の間に控訴人らの指摘するような良好な状態が形成されたとしても,そのような事実をもって,既に述べたような条約を含む法令の規定の解釈の在り方が左右されると解すべき根拠は見当たらず,控訴人らの上記の主張を 採用することはできない。」⑻ 原判決29頁23行目及び同頁24行目の各「親権者」をいずれも「親権者等」にそれぞれ改め,同頁25行目の「できないから,」の次に「児童の利益を保護するため,」を加え,同30頁6行目の「一定の場合に」を「児童又は保護者の意向が当該措置と一致しない場合等に」に,同頁8行目の 「親権者と」から同頁9行目の「対応する措置」までを「親権者等と児童との利益が相反する状況が生じたとしても,児童の利益を保護する措置」にそれぞれ改め,同 一致しない場合等に」に,同頁8行目の 「親権者と」から同頁9行目の「対応する措置」までを「親権者等と児童との利益が相反する状況が生じたとしても,児童の利益を保護する措置」にそれぞれ改め,同頁10行目の末尾の次に改行した上で次のとおり加える。 「 控訴人らは,当審において,代替的養護指針のパラグラフ121においては児童の養護指針について里親の意見を聴取し尊重されるべきものと されていることを指摘した上で,児童が当該里親家庭における養育環境 での生活を維持することが当該児童の最善の利益に適う状況であるにもかかわらず,違法不当な里親委託措置を解除する旨の処分がされた場合に,児童と里親の利益は一致し,里親が児童のために里親委託措置を解除する旨の処分を争うことが期待されているとし,児童福祉法上で都道府県児童福祉審議会の意見を聴取すべき旨定められているとしても児童 の権利保護のためには不十分であると主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑴コないしシ)。 しかしながら,控訴人らが指摘する代替的養護指針のパラグラフ121が上記アに述べた関係法令に含まれるか否かの点はひとまずおくとしても,それにおいては,児童の養護方針について里親の意見を尊重すべき などとされているのは「里親組織及び(中略)その他の制度の中で」とされており(甲30),ここにいう「制度」に当たる児童福祉法には里親委託措置を解除しようとする場合に里親の意見を聴取をすべきとの規定はないことは既に述べたとおりであり,上記のパラグラフ121の存在をもって,里親の意見の聴取等について控訴人らの主張するように解 することはできず,都道府県児童福祉審議会の意見の聴取に関する手続の運用に十分な慎重さが要請されるとしても,そのことをもっ 存在をもって,里親の意見の聴取等について控訴人らの主張するように解 することはできず,都道府県児童福祉審議会の意見の聴取に関する手続の運用に十分な慎重さが要請されるとしても,そのことをもって,既に述べたような条約を含む法令の規定の解釈の在り方が左右されるとする根拠は見当たらない。以上と異なる前提に立つ控訴人らの上記の主張を採用することはできない。」 ⑼ 原判決31頁12行目の末尾の次に改行した上で次のとおり加える。 「 控訴人らは,当審において,上記に判示したところについて,児童福祉施設の長の措置の受託義務に関する児童福祉法46条の2第1項の規定は措置に先立ち委託の打診をする段階での受託義務を定めたものであるとして,委託の打診段階の問題と委託措置をする段階の問題を混同している等 と主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑵ア)。 しかしながら,同項は,児童福祉施設の長は都道府県知事から「この法律の規定に基づく措置(中略)を受けたときは」正当な理由がない限りこれを拒んではならないと規定しており,控訴人らの主張するように打診の段階における受託義務を定めたものではないことは明らかである。 その上で,上記に述べたところに照らせば,知事等と児童を受託した里 親との関係は,民法上の準委任に準じた公法上の契約関係とみるのが相当というべきであり,同法上に里親側からの解除に関する規定がなくこの点が解釈に委ねられていることをもって,上記のようにみることが直ちに妨げられるものとは解し難い。控訴人らの上記の主張を採用することはできない。」 ⑽ 原判決31頁21行目の「忠実義務」を「委任の本旨に従い善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務」に改め,同頁22行目の「里親に」の次に「児 を採用することはできない。」 ⑽ 原判決31頁21行目の「忠実義務」を「委任の本旨に従い善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務」に改め,同頁22行目の「里親に」の次に「児童の健全な育成と福祉を図るという里親の制度の目的に基づき」を,同32頁12行目の「であるから,」の次に,「当審におけるもの(当審における控訴人らの主な補充主張⑵イ)を含め,」を,同頁12行目の末 尾の次に改行した上で次のとおりそれぞれ加える。 「 また,控訴人らは,国税通則法57条の規定による充当に関する最高裁判所の判例を指摘し,単に契約関係に基づくこと又は民事的行為であるとして取消訴訟の対象となる「処分」には当たらないとはいえないとした上で,里親には児童との家庭生活を不当に奪われない権利を有するとして, 里親への児童の委託の解除は知事等が委任者として解除権を行使することにより一方的にその権利を奪うものであり,実質的に行政処分と同視できるとし,行政権の優越的地位に基づく公権力の行使にほかならないと主張する(当審における控訴人らの主な補充主張⑵ウ及びエ)。 しかしながら,上記のとおり,知事等と児童を受託した里親との法律関 係は,公法上の契約関係とみるのが相当であり,知事等がこのような関 係の下においてその内容に従いこれを解除する意思表示をしたことをもって,控訴人らの主張するように行政処分と同視することはできない。 控訴人らの指摘する上記の判例は,本件では事案を異にし,本件に適切ではない。控訴人らの上記の主張を採用することはできない。」⑾ 原判決33頁9行目の末尾の次に改行した上で「控訴人らは,当審におい て,本件裁決の取消しの訴えにつき,訴えの利益があることについて主張するが(当審における控訴人らの ことはできない。」⑾ 原判決33頁9行目の末尾の次に改行した上で「控訴人らは,当審におい て,本件裁決の取消しの訴えにつき,訴えの利益があることについて主張するが(当審における控訴人らの主な補充主張⑶),上記1及び2で判断したところに照らし,これを採用することはできない。」を加え,同頁12行目の冒頭から同頁13行目の末尾までを削る。 3 結論 2に認定及び判断をしたところは,当審における控訴人らのその余の補充主張によっても,左右されるものではない。 以上によれば,原判決は相当であり,本件各控訴はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第15民事部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官関根規夫 裁判官横地由美

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