令和5(ネ)10044 商標権に基づく差止請求権不存在確認請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和5年11月1日 知的財産高等裁判所 1部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 令和4(ワ)18610
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令和5年11月1日判決言渡 令和5年(ネ)第10044号商標権に基づく差止請求権不存在確認請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和4年(ワ)第18610号)口頭弁論終結日令和5年8月30日 判決 オンキヨーホームエンターテイメント株式会社破産管財人控訴人X 同訴訟代理人弁護士川端さとみ藤野睦子大住洋原悠介千葉あすか 被控訴人パイオニア株式会社 同訴訟代理人弁護士岡本健太郎寺内康介 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 事実及び理由 用語の略称及び略称の意味は、本判決で付するもののほかは、原判決に従う。原判決中の「別紙」を「原判決別紙」と読み替える。 第1 控訴の趣旨 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は、控訴人に対し、原判決別紙被告商標目録記載の標章にかかる商標権に基づいて、控訴人が原判決別紙動産目録記載の動産を販売することを差し止める権利を有しないことを確認する。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、控訴人が、原判決別紙被告商標目録記載の商標(本件商標)の商標権者である被控訴人に対し、控訴人が原判決別紙動産目録記載の各動産(本件在庫商品) 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、控訴人が、原判決別紙被告商標目録記載の商標(本件商標)の商標権者である被控訴人に対し、控訴人が原判決別紙動産目録記載の各動産(本件在庫商品)に本件商標を付したものを販売することは、本件商標に係る被控訴人の商標権(本 件商標権)を侵害するものではないと主張して、被控訴人が控訴人に対して本件商標権に基づき本件在庫商品の販売を差し止める権利を有しないことの確認を求める事案である。 原判決は、被控訴人は、控訴人に対し、本件商標権に基づき、控訴人が本件在庫商品を販売することを差し止める権利を有するとして、控訴人の請求を棄却した。 これに対し控訴人は本件控訴をした。 2 前提事実 (当事者間に争いがない事実並びに証拠(以下、書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨から認められる事実。以下「前提事実」という。)以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第2の2記載のとおり であるから、これを引用する。 原判決2頁19行目の「本件商標」の次に、「(登録第4482310号。指定商品(以下「本件指定商品」という。)は、別紙指定商品の指定商品欄に記載のとおり。 甲2の1)」を加える。 3 争点 (1) 控訴人が本件在庫商品を販売することについて本件商標権の侵害となるか (2) 被控訴人が控訴人による本件在庫商品の販売行為に対して本件商標権を行使することが信義則違反又は権利濫用となるか 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)について原判決4頁25行目の「適法に付されていれば」を「製造時に適法に付されてい れば」と改めるほか、原判決の「事実及び理由」の第2の4記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) について原判決4頁25行目の「適法に付されていれば」を「製造時に適法に付されてい れば」と改めるほか、原判決の「事実及び理由」の第2の4記載のとおりであるから、これを引用する。 (2) 争点(2)についてア控訴人の主張(ア) 被控訴人と破産会社は平成26年に資本業務提携契約を締結するとともに それに関連して本件使用許諾契約を締結し、平成27年に破産会社がパイオニアホームエレクトロニクス株式会社の全株式を取得して破産会社グループにパイオニアグループのホームAV事業等を統合し、同社の社名をオンキヨー&パイオニア株式会社とするとともに、他のグループ会社も「オンキヨー&パイオニア」を冠する社名に変更するなどしてきたのであって、本件商標は、長年にわたっていわば共同ブ ランドとして利用されていたという取引実態が続いていた。 また、令和3年9月、破産会社が米国のPremiumAudioCompanyLLCとシャープ株式会社が出資するオンキヨーテクノロジー株式会社へホームAV事業を譲渡したことに伴って、被控訴人と破産会社間の本件使用許諾契約は合意解約されたが、上記オンキヨーテクノロジー株式会社(あるいはその関連会社)と被控訴人間で新 たな商標使用許諾契約が締結され、この際、破産会社の被控訴人に対する未払のライセンス料全額(約2億8500万円)が上記事業譲渡の代金から、被控訴人に支払われた。 それにもかかわらず、被控訴人が、形式的に被控訴人と破産会社間の本件使用許諾契約は合意解約されたという事実のみをもって、通常使用権者であった破産会社 の地位を承継した控訴人が本件使用許諾契約及び本件解約合意に違反して本件在庫 商品を販売することは被控訴人の本件商標権を侵害すると主張することは、信義則上許されな 者であった破産会社 の地位を承継した控訴人が本件使用許諾契約及び本件解約合意に違反して本件在庫 商品を販売することは被控訴人の本件商標権を侵害すると主張することは、信義則上許されない。 (イ) 本件では、本件解約合意は存在するが、破産管財人による破産財団を換価処分すべき公的な責務が存在するという場面においては、仮に、本件在庫商品について、占有改定によりライセンサーに対抗するとの主張が認められないとしても、簿 価が約1200万円もあり、控訴人からはロイヤルティ相当額程度の申出をしており、本件解約合意書にはセルオフ期間経過後に廃棄処分義務の定めもなく、仮に換価処分できないとすると破産財団からの支出によりその廃棄処分を余儀なくされること、商標権者には破産管財人からの申出を拒絶すべき合理的理由が見当たらないこと等に鑑みると、商標権者による差止請求権の行使は、権利の濫用というべきで ある。 イ被控訴人の主張(ア) 本件使用許諾契約は、被控訴人からの一方的な解除などではなく、破産会社と被控訴人という企業同士の合意により解約されたものであり(本件解約合意)、控訴人が挙げるいずれの事情も、有効な解約合意に反する販売の差止請求を信義則違 反と基礎づける事情にはなり得ない。 本件使用許諾契約が解約に至ったのは、破産会社がホームAV事業を譲渡したためではなく、破産会社が被控訴人に対して一度も商標使用料を支払わず、被控訴人との契約を継続できる関係性を失ったためである。控訴人は、被控訴人が破産会社のホームAV事業譲渡先と新たな商標使用許諾契約を締結したことが信義則違反を 基礎づけると主張するが、その根拠も全く不明である。なお、本件使用許諾契約が合意解約され、破産会社からの事業譲渡先と被控訴人間で新たな商標使用許諾契 標使用許諾契約を締結したことが信義則違反を 基礎づけると主張するが、その根拠も全く不明である。なお、本件使用許諾契約が合意解約され、破産会社からの事業譲渡先と被控訴人間で新たな商標使用許諾契約が締結されたが、その際、当該事業譲渡先からは、破産会社の被控訴人に対する未払のライセンス料全額に相当する金額の支払は行われていない。 したがって、被控訴人が本件解約合意に反する商標使用を差し止めたとしても、 何ら信義則に反しない。 (イ) 本件商標の使用権限は、破産会社と被控訴人との有効な解約合意により終了した上、解約合意においては在庫販売期間も定められていたのであるから、控訴人の主張する事情は、権利濫用を基礎づける事情になり得ない。 したがって、控訴人の権利濫用の主張は理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)について以下のとおり訂正するほか、原判決第3の記載のとおりであるからこれを引用する。 (1) 原判決7頁10行目の「本件商標を付した本件在庫商品を販売すれば、」を「前記前提事実(1)イのとおりの本件指定商品と同一又は類似する本件在庫商品に 本件商標を付して販売すれば、商標法2条3項2号の「商品に標章を付したものを譲渡し」たとして「使用」に当たり、」と改める。 (2) 原判決7 頁12行目の「2条3項2号」の次に「、37条1号」を加える。 (3) 原判決8頁1行目から15行目までを削る。 (4) 原判決8頁16行目「さらに、」を「また、」と改める。 2 争点(2)について(1) 本件使用許諾契約は既に効力を失っており、在庫商品について例外的に本件商標の使用が許諾された期間も経過しているから、本件使用許諾契約が有効である間に製造され本件商標が付された商品であっても、これを 本件使用許諾契約は既に効力を失っており、在庫商品について例外的に本件商標の使用が許諾された期間も経過しているから、本件使用許諾契約が有効である間に製造され本件商標が付された商品であっても、これを販売することは、前記1のとおり、商標法2条3項2号の「商品に標章を付したものを譲渡し」たとして「使 用」に当たり、本件使用許諾契約及び本件解約合意に違反するものである。 上記事実によると、破産会社は本件在庫商品を販売できる期間を自ら合意していながら、その期間内に本件在庫商品を販売せずに、販売可能な期間を徒過したものであり、控訴人はその地位を承継したものであるから、控訴人が主張する各事実をもって、信義則違反又は権利濫用に当たるものとはいえない。 (2) したがって、控訴人の信義則違反の主張及び権利濫用の主張はいずれも理由 がない。 第4 結論以上のとおり、控訴人の請求は理由がなく、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官 本多知成 裁判官遠山敦士 裁判官天野研司 (別紙)指定商品 〔商品及び役務の区分〕 第9類〔指定商品 裁判官天野研司 (別紙)指定商品 〔商品及び役務の区分〕 第9類〔指定商品〕 測定機械器具、配電用又は制御用の機械器具、回転変流機、調相機、電池、電気磁気測定器、電線及びケーブル、写真機械器具、映画機械器具、光学機械器具、眼鏡、加工ガラス(建築用のものを除く。)、救命用具、電気通信機械器具、レコード、メトロノーム、電子応用機械器具及びその部品、ロケット、遊園地用機械器具、スロットマシン、運転技能訓練用シミュレーター、乗物運転技能訓練用シミュレータ ー、電気アイロン、電気式ヘアカーラー、電気ブザー、乗物の故障の警告用の三角標識、発光式又は機械式の道路標識、鉄道用信号機、火災報知機、ガス漏れ警報器、盗難警報器、事故防護用手袋、消防艇、消防車、自動車用シガーライター、保安用ヘルメット、防火被服、防じんマスク、防毒マスク、溶接マスク、磁心、抵抗線、電極、映写フィルム、スライドフィルム、スライドフィルム用マウント、録画済み ビデオディスク及びビデオテープ、ガソリンステーション用装置、自動販売機、駐車場用硬貨作動式ゲート、金銭登録機、硬貨の計数用又は選別用の機械、作業記録機、写真複写機、手動計算機、製図用又は図案用の機械器具、タイムスタンプ、タイムレコーダー、電気計算機、パンチカードシステム機械、票数計算機、ビリングマシン、郵便切手のはり付けチェック装置、ウエイトベルト、ウエットスーツ、浮 袋、エアタンク、水泳用浮き板、レギュレーター、潜水用機械器具、アーク溶接機、金属溶断機、電気溶接装置、家庭用テレビゲームおもちゃ、検卵器、電動式扉自動開閉装置 用浮き板、レギュレーター、潜水用機械器具、アーク溶接機、金属溶断機、電気溶接装置、家庭用テレビゲームおもちゃ、検卵器、電動式扉自動開閉装置

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