平成13(ワ)462 ニプロ医工就業規則変更

裁判年月日・裁判所
平成15年10月24日 前橋地方裁判所
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判決文本文16,855 文字)

平成15年10月24日判決言渡し・同日原本領収裁判所書記官高瀬美喜男平成13年(ワ)第462号退職金規定無効確認等請求事件口頭弁論終結日平成15年7月4日判決 主文 1 本件訴えのうち,原告A,同B,同C,同D,同E,同F,同G,同H,同I,同J,同K,同L,同M,同N,同O,同P,同Q,同R,同S,同Tと被告との間において,被告の退職金規定8条2項「退職金の算定に用いる勤続年数は30年を上限とし,前項により算定される勤続年数が30年を超える場合は,これを30年とみなす。」との規定が無効であることの確認を求める部分を却下する。 2 被告は,原告Uに対し,2万6976円及び内金1万5966円に対する平成12年12月9日から,内金1万1010円に対する平成13年4月28日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告Tに対し,2万4594円及び内金1万4556円に対する平成12年12月9日から,内金1万0038円に対する平成13年4月28日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は,原告Qに対し,3万2000円及びこれに対する平成13年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 訴訟費用は,原告A,同B,同C,同D,同E,同F,同G,同H,同I,同J,同K,同L,同M,同N,同O,同P,同R,同Sと被告との間においては,同原告らに生じた費用と被告に生じた費用の50分の41を全部同原告らの負担とし,原告Uと被告との間においては,同原告に生じた費用と被告に生じた費用の100分の3を全部被告の負担とし,原告Tと被告との間においては,同原告に生じた費用の10分の7と被告に生じた費用の20分の1を同原告の負担とし,同原告に生じたその余の費用と被告に生じた費用の50分の 00分の3を全部被告の負担とし,原告Tと被告との間においては,同原告に生じた費用の10分の7と被告に生じた費用の20分の1を同原告の負担とし,同原告に生じたその余の費用と被告に生じた費用の50分の1を被告の負担とし,原告Qと被告との間においては,同原告に生じた費用の5分の3と被告に生じた費用の20分の1を同原告の負担とし,同原告に生じたその余の費用と被告に生じた費用の100分の3を被告の負担とする。 6 この判決は,2項ないし4項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 原告A,同B,同C,同D,同E,同F,同G,同H,同I,同J,同K,同L,同M,同N,同O,同P,同Q,同R,同S,同Tと被告との間において,被告の退職金規定8条2項「退職金の算定に用いる勤続年数は30年を上限とし,前項により算定される勤続年数が30年を超える場合は,これを30年とみなす。」との規定が無効であることを確認する。 2 主文2項ないし4項と同旨第2 事案の概要本件は,被告の従業員である原告ら(ただし,原告Uを除く。以下,特に断らない限り同じ。)が,被告に対し,被告の退職金規定(以下「本件退職金規定」という。)8条2項が無効であることの確認を求めるともに,被告の従業員である原告U及び同Tが,被告に対し,それぞれ労働契約に基づき,生理休暇取得を理由に賞与期末一時金から控除された金員及びそれに対する遅延損害金の支払を求め,さらに,被告の従業員である原告Qが,被告に対し,労働契約に基づき,住宅手当の未払金及びそれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。 1 争いのない事実(1) 当事者ア被告は,医療器具の製造販売等を業とする株式会社であり,肩書地に本店を置き,群馬県館林市a丁目b番c号に館林工場を設置している。 イ原告ら(原告Uを含 ある。 1 争いのない事実(1) 当事者ア被告は,医療器具の製造販売等を業とする株式会社であり,肩書地に本店を置き,群馬県館林市a丁目b番c号に館林工場を設置している。 イ原告ら(原告Uを含む。)は,被告館林工場に勤務する従業員であり,同工場の従業員らで構成されている労働組合JEC連合関東化学一般労働組合ニッショーニプロ支部(平成14年10月に変更される前の名称は,化学リーグ21関東化学一般労働組合ニッショーニプロ支部。以下「原告ら組合」という。)に所属する組合員である。 なお,原告らのうち,現時点で被告を退職した者はいない。 (2) 退職金規定の変更ア被告においては,従来から本件退職金規定が定められており,退職金支給額を決定する基礎となる勤続年数の算定方法等については,8条において下記のとおり定められていた。 記第8条勤続年数の算定は55歳までとし,計算は次のとおりとする。 (1) 従業員として入社した日より退職または死亡の日までとする。 (2) 勤続年数に,1年未満の端数が生じたときは月割し,1カ月未満の端数が生じたときは,15日以上を繰り上げ1カ月とみなし,15日未満は切り捨てる。 (3) 休職期間は勤続年数に算入しない。 ただし,組合専従者については組合専従者協定によるものとする。 (4) 転籍者については,勤続年数を通算する。 イ被告は,平成12年10月1日,本件退職金規定8条について,「第2項退職金の算定に用いる勤続年数は30年を上限とし,前項により算定される勤続年数が30年を超える場合は,これを30年とみなす。」との規定を新設した(以下「本件退職金規定の変更」という。)。 ウ原告らの被告への入社日は,別紙退職金計算表1(略)(ただし,同表の「4/1現在勤続年齢」欄の数字は平成12年4月1日時点でのもの。以下同じ 設した(以下「本件退職金規定の変更」という。)。 ウ原告らの被告への入社日は,別紙退職金計算表1(略)(ただし,同表の「4/1現在勤続年齢」欄の数字は平成12年4月1日時点でのもの。以下同じ)の「入社年月日」欄記載のとおりであり,原告らがそれぞれ55歳時まで勤続した場合には,その勤続年数は別紙退職金計算表1(略)の「55才時の勤続年数月数」欄記載のとおりとなる。したがって,従来からの本件退職金規定によれば,別紙退職金計算表1(略)の「55才時の勤続年数月数」欄記載の年数を基礎として原告らの退職金支給額を計算することになる。 しかし,被告の変更した上記イの本件退職金規定8条2項に基づいて原告らの退職金支給額を計算すると,別紙退職金計算表1(略)の「30年頭打ちの場合」欄記載の年数及び月数が退職金支給額を決定する基礎となる勤続年数から切り捨てられることになり,その結果,原告ら各自の退職金支給額の減額分は,別紙退職金計算表2(略)の「カット額(円)」欄記載のとおりとなり(ただし,平成12年4月度の基準賃金を基に計算したもの),原告らの減額分の合計額は2402万6816円となる。 (3) 生理休暇取得による賞与,期末一時金からの欠勤控除ア被告の従来からの賃金規定によれば,賞与の支給方法について,「第34条賞与の支給額は,会社および事業部(部,課,支店等)の営業成績ならびに各人の勤務成績によって決定する。」と定められ,生理休暇の取得により,賞与の支給について欠勤控除されることはなかった。 イ被告は,平成12年10月1日,原告ら組合や原告U,同Tの承諾を得ることなく,賃金規定(以下「本件賃金規定」という。)のうち,賞与の支給及び控除方法に関し,「第34条第2項勤怠に関して,賞与から控除する項目とその算式は次のとおりとする。 [項 ,同Tの承諾を得ることなく,賃金規定(以下「本件賃金規定」という。)のうち,賞与の支給及び控除方法に関し,「第34条第2項勤怠に関して,賞与から控除する項目とその算式は次のとおりとする。 [項目](2)生理休暇取得日数に相当する金額 [算式]1/平均所定勤務日数(時間数)×支給額×上記各号の日数(時間数)」との規定を新設した(以下「本件賃金規定の変更1」という。)。 ウ原告Uは,平成12年12月年末賞与及び平成13年3月期末一時金の支給対象期間内に,各6日間の生理休暇を取得した。 その結果,被告は,本件賃金規定34条2項(2)に該当することを理由に,原告Uに対し,平成12年12月8日に支払われる賞与から1万5966円を控除し,さらに,平成13年4月27日に支払われる期末一時金から1万1010円を控除して,それぞれ支給した。 エ原告Tは,平成12年12月年末賞与及び平成13年3月期末一時金の支給対象期間内に,各6日間の生理休暇を取得した。 その結果,被告は,本件賃金規定34条2項(2)に該当することを理由に,原告Tに対し,平成12年12月8日に支払われる賞与から1万4556円を控除し,さらに,平成13年4月27日に支払われる期末一時金から1万0038円を控除して,それぞれ支給した。 (4) 住宅手当支給の打切りア従来からの本件賃金規定においては,住宅手当に関し,「第8条社宅,寮入居者を除き,別表3(省略)に定める住宅手当を支給する。」旨定めていた。同規定によって,本人の配偶者が被告に勤務し被告から住宅手当の支給を受けている場合であっても,当該本人も被告から住宅手当の支給を受けることができていた。 イ被告は,平成12年10月1日,原告ら組合や原告Qの承諾を得ることなく,本件賃金規定8条の規定を,「第8条住宅手当は次の各号の一を除 ,当該本人も被告から住宅手当の支給を受けることができていた。 イ被告は,平成12年10月1日,原告ら組合や原告Qの承諾を得ることなく,本件賃金規定8条の規定を,「第8条住宅手当は次の各号の一を除き,別表3(省略)によりこれを支給する。 (1)社宅,寮入居者 (2)住宅手当を受給している従業員の同居家族」と変更した(以下「本件賃金規定の変更2」という。)。 ウ被告は,原告Qが本件賃金規定8条(2)の「住宅手当を受給している従業員の同居家族」に該当することを理由に,同人に対する住宅手当について,平成12年9月分までは月額4000円を支給していたものの,同年10月分以降は支給を打ち切った。 2 争点(1) 原告らに本件退職金規定8条2項が無効であることを確認する利益があるか。 (原告らの主張)被告は,原告らに適用する就業規則の一部として現に本件退職金規定を制定,実施しているところ,その内容が退職金という労働者にとって重要な利益を大幅に減額して労働者に不利益を与える場合には,現に無効を確認する利益があると考えるのが相当である。仮に,現時点において,原告らに本件退職金規定8条2項が無効であることを確認する利益が認められないとすると,原告らが将来の退職金給付時に改めて個別に訴訟を提起して本件退職金規定8条2項の効力についての判断を求めることになるが,そのようなことは訴訟経済上も無益である。端的に,現時点において,本件退職金規定8条2項の効力の有無を確認すべきであり,また,それは十分可能でもある。 (被告の主張)原告らには,本件退職金規定8条2項が無効であることを確認する利益はない。 すなわち,現実に被告を退職することにより初めて本件退職金規定8条2項の無効確認の利益が原告らに発生すると解すべきであるから,現に被告に在職している原告らには,本件 であることを確認する利益はない。 すなわち,現実に被告を退職することにより初めて本件退職金規定8条2項の無効確認の利益が原告らに発生すると解すべきであるから,現に被告に在職している原告らには,本件退職金規定8条2項の無効を確認する利益は存しない。 また,現時点では,被告においていまだ退職金支給額の計算方法が制定されていないので,従来の方法で退職金を支給することになる。したがって,現時点では,被告の退職金支給の仕方は何ら変更されていないから,この点からも,原告らが本件退職金規定8条2項の無効を確認する利益はない。 (2) 本件退職金規定の変更は無効か。 (原告らの主張)退職金規定等の不利益変更については,法的に許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理性が必要とされる。本件退職金規定の変更により,平成12年4月度の基準賃金を基に計算した場合,原告ら一人当たり平均120万1341円,原告ら合計で2402万6816円もの退職金支給額の減額がなされることになり,このような減額を理由付ける高度の必要性に基づいた合理性は,本件退職金規定の変更については認められない。 また,手続的にも,被告は,原告らに対し,本件退職金規定の変更について十分な協議や説明をしていない。 したがって,被告による本件退職金規定の変更は,何ら合理性を有せず無効であるから,原告らは,被告に対し,本件退職金規定8条2項が無効であることの確認を求める。 (被告の主張)従来の本件退職金規定は,年功的な要素が強く,単に勤続年数を重ねれば退職金が増えるという制度であった。しかし,賃金が能力,業績,成果といった要素で決定される近時の状況下においては,本件退職金規定の変更には,企業への貢献度を評価して賃金を決定する形態に移行する企業一般の傾向への過渡的な措置として,合理性がある。 力,業績,成果といった要素で決定される近時の状況下においては,本件退職金規定の変更には,企業への貢献度を評価して賃金を決定する形態に移行する企業一般の傾向への過渡的な措置として,合理性がある。 また,被告は,多数派組合であるゼンセン同盟全ニッショー労連ニプロ医工労働組合(以下「ゼンセン組合」という。)及び原告ら組合の双方に対し,本件退職金規定の変更の趣旨について十分説明,協議し,その上で本件退職金規定の変更を行った。 したがって,本件退職金規定の変更は,内容的にも手続的にも問題がないから,有効である。 (3) 本件賃金規定の変更1は無効か。 (原告U及び同Tの主張)本件賃金規定の変更1は,何ら合理的な理由もなく,健全な労働慣行や従来からの労使の合意に反して行われたものであり,無効である。 したがって,原告Uは,労働契約に基づき,前記争いのない事実(3)ウ記載の各控除金額及びそれぞれの弁済期の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,原告Tは,労働契約に基づき,前記争いのない事実(3)エ記載の各控除金額及びそれぞれの弁済期の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ被告に対して求める。 (被告の主張)労働基準法68条は生理休暇取得の要件として「生理日の就業が著しく困難な」場合と規定している。原告U及び同Tは,被告に勤務する女子社員の中でも圧倒的に多く生理休暇を取得している上,日給月給社員時代には生理休暇を取得せず賃金が保証される月給社員になってから生理休暇を取得するようになったことからすると,原告U及び同Tの生理休暇の取得が上記の生理休暇取得の要件を満たしているとは考えられない。 また,被告は,ゼンセン組合と原告ら組合の双方に対し,本件賃金規定の変更1について十分説明し,協議し ると,原告U及び同Tの生理休暇の取得が上記の生理休暇取得の要件を満たしているとは考えられない。 また,被告は,ゼンセン組合と原告ら組合の双方に対し,本件賃金規定の変更1について十分説明し,協議した。 したがって,本件賃金規定の変更1は,内容的にも手続的にも問題がないから,有効である。 (被告の主張に対する原告U及び同Tの反論)原告U及び同Tは,被告の就業規則に基づいて生理休暇を取得しており,また,生理休暇を取得することは当然の権利の行使であって何ら問題はない。むしろ,被告の職場の現状としては,生理休暇取得の要件を満たしていても生理休暇を取りにくい職場環境であり,新入社員である日給月給者にとっては,なおさら生理休暇の取りにくい職場環境であった。そして,本件賃金規定の変更1により,被告の従業員が生理休暇を取得すると賞与から欠勤控除されるという不利益を受けることになり,その結果,更に生理休暇を取得しにくい職場環境となることは明らかである。 したがって,本件賃金規定の変更1には,賃金に係る不利益を労働者に受任させることを法的に許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理性があるということはできない。 (原告U及び同Tの反論に対する被告の反論)原告U及び同Tは,毎月定期的に生理休暇を取得していた。このことからも明らかなように,被告の職場環境は決して生理休暇の取りにくい環境ではない。 (4) 本件賃金規定の変更2は無効か。 (原告Qの主張)本件賃金規定の変更2は,何ら高度の必要性や合理性の認められない不利益変更であり,かつ,原告Qの承諾もなく行われたものであり,無効である。 よって,原告Qは,被告に対し,労働契約に基づき,平成12年10月分から平成13年5月分までの住宅手当未払分合計3万2000円(月額4000円×8か月)及びこれに対する訴状送達日の り,無効である。 よって,原告Qは,被告に対し,労働契約に基づき,平成12年10月分から平成13年5月分までの住宅手当未払分合計3万2000円(月額4000円×8か月)及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成13年6月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (被告の主張)住宅手当は,本来,文字どおり住居単位(1戸単位)で一定額を補助する制度であり,夫婦双方に支給する制度ではない。被告の親会社を含む他のグループ会社はすべて住居単位で住宅手当を支給する方法を採っているが,従来,被告のみが住宅手当を受給している従業員の同居家族である従業員に対しても住宅手当を支給していた。そこで,被告は,本件賃金規定の変更2によりグループ他社と同一の制度に統一したのであり,本件賃金規定の変更2には十分合理性がある。 また,被告は,本件賃金規定の変更2の趣旨について,原告ら組合にも十分説明した。 したがって,本件賃金規定の変更2は,内容的にも手続的にも問題がないから有効である。 (被告の主張に対する原告Qの反論)住宅手当は家族手当と並ぶ生活関連手当の柱となっており,被告の都合で一方的に不利益に変更することは認められない。また,例えば,夫婦のうち,世帯主である夫が他企業等で住宅手当の支給を受けていても,妻が被告に雇用されていれば,その妻には被告から住宅手当が支給されることになる。しかし,たまたま,夫が妻と同様に被告に雇用されている場合には,夫には住宅手当が支給されるが,その妻には住宅手当が支給されないことになってしまう。上記の妻の立場は,上記いずれの場合も変わりはないのであり,夫が同じ被告の従業員であるという理由のみで,その妻が全く住宅手当の支給を受けられないというのは,実質的にも公平でない。 なお,被告は,本件賃金規定の変 場は,上記いずれの場合も変わりはないのであり,夫が同じ被告の従業員であるという理由のみで,その妻が全く住宅手当の支給を受けられないというのは,実質的にも公平でない。 なお,被告は,本件賃金規定の変更2について,原告ら組合に十分説明した旨主張するが,その実態は,既に被告において確定した本件賃金規定の変更案を原告ら組合に一方的に提示したというものであり,被告には誠実に協議して合意しようという態度は認められなかった。 (原告Qの反論に対する被告の反論)確かに,住宅手当は,家族手当等とともに生活関連手当と呼ばれる手当の一つではある。 しかし,時代の流れとともに賃金に対する考え方や賃金の決定方法は変化してきており,現在,成果主義賃金が進展している一方で,今後,住宅手当は縮小,廃止される傾向にある。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(原告らに本件退職金規定8条2項が無効であることを確認する利益があるか。)について原告らは本件退職金規定8条2項が無効であることの確認を求めるものであるが,その確認を求める趣旨は,本件退職金規定の変更によって生じた将来の退職金債権の有無や額に対する不安を除去するところにあるといえるところ,退職金債権は,原告らが退職して初めて具体的に発生するものであり,退職前にはいまだ具体的な債権として存在するものではない。そして,本件退職金規定は,当事者が合意する場合には容易に変更され得るし,合意のない場合においても変更される余地がある。そうであれば,原告らの退職前に本件退職金規定8条2項が無効であることを確認しても無益であるといわざるを得ず,また,退職金債権については,これが具体的に発生した段階で給付請求をしても遅すぎることはない。そうすると,前記争いのない事実(1)イのとおり,原告らがいまだ被告を退職していない本件において を得ず,また,退職金債権については,これが具体的に発生した段階で給付請求をしても遅すぎることはない。そうすると,前記争いのない事実(1)イのとおり,原告らがいまだ被告を退職していない本件においては,本件退職金規定8条2項が無効であることの確認を求める訴えは,即時確定の利益を欠くものというべきである。 したがって,争点(2)について判断するまでもなく,原告らの上記訴えは,不適法として却下を免れない。 2 争点(3)(本件賃金規定の変更1は無効か。)及び同(4)(本件賃金規定の変更2は無効か。)について(1) 本件賃金規定は就業規則の性質を有するものというべきところ,新たな就業規則の作成又は変更によって,労働者の既得の権利を奪い,労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは,原則として,許されないが,当該規則条項が合理的なものである限り,個々の労働者において,これに同意しないことを理由としてその適用を拒むことは許されないと解するのが相当である(最高裁昭和40年(オ)第145号同43年12月25日大法廷判決・民集22巻13号3459頁,最高裁昭和55年(オ)第379号,第969号同58年11月25日第二小法廷判決・裁判集民事140号505頁参照)。したがって,本件賃金規定の変更1及び2が原告U,同T及び同Qにとって不利益なものであるとしても,同変更が合理的なものであれば,同原告らにおいて,これに同意しないことを理由として,その適用を拒むことは許されないというべきである。 (2) そこで,まず,本件賃金規定の変更1が原告U及び同Tにとって不利益なものであるかどうかについて検討するに,前記争いのない事実(3)のとおり,賞与の支給方法について,「第34条賞与の支給額は,会社および事業部(部,課,支店等)の営業成績ならびに各人の勤務成績によって であるかどうかについて検討するに,前記争いのない事実(3)のとおり,賞与の支給方法について,「第34条賞与の支給額は,会社および事業部(部,課,支店等)の営業成績ならびに各人の勤務成績によって決定する。」と定められ,生理休暇の取得により,賞与の支給について欠勤控除されることのなかった旧規定から,賞与の支給及び控除方法に関し,「第34条第2項勤怠に関して,賞与から控除する項目とその算式は次のとおりとする。 [項目](2)生理休暇取得日数に相当する金額 [算式]1/平均所定勤務日数(時間数)×支給額×上記各号の日数(時間数)」との規定を新設した新規定へと変更されたのであり,旧規定の下では,賞与の支給額を算定するに当たって生理休暇を取得しても欠勤控除されることはなかったのであるから,本件賃金規定の変更1は,生理休暇を取得すると賞与の支給額を減額される点で,原告U及び同Tに不利益をもたらすものと認められる。 また,本件賃金規定の変更2が原告Qにとって不利益なものであるかどうかについても検討するに,前記争いのない事実(4)のとおり,「第8条社宅,寮入居者を除き,別表3(省略)に定める住宅手当を支給する。」との旧規定から,「第8条住宅手当は次の各号の一を除き,別表3(省略)によりこれを支給する。 (1)社宅,寮入居者 (2)住宅手当を受給している従業員の同居家族」との新規定へと変更されたのであり,旧規定の下では,本人の配偶者が被告に勤務し被告から住宅手当の支給を受けている場合であっても,当該本人も被告から住宅手当の支給を受けることができていたのであるから,本件就業規則の変更2は,夫である原告Jが被告から住宅手当を受給している原告Qについて,住宅手当の支給を打ち切るという点で,不利益をもたらすものと認められる。 (3) そこで,次に,本件賃 あるから,本件就業規則の変更2は,夫である原告Jが被告から住宅手当を受給している原告Qについて,住宅手当の支給を打ち切るという点で,不利益をもたらすものと認められる。 (3) そこで,次に,本件賃金規定の変更1及び2が合理的なものであるか否かについて検討するに,その判断をするに当たっては,変更の内容及び必要性の両面からの考察が要求され,上記変更により従業員の被る不利益の程度,上記変更との関連の下に行われた賃金の改善状況のほか,被告主張のように,旧規定の下において有給生理休暇の取得について濫用があり,社内規律の保持及び従業員の公平な処遇のため上記変更が必要であったか否かを検討し,更には労働組合との交渉の経過,他の従業員の対応,関連会社の取扱い等の諸事情を総合考案する必要がある(前記最高裁昭和58年11月25日第二小法廷判決参照)。 (4) 従業員の被る不利益の程度ア本件賃金規定の変更1について前記争いのない事実(3)の算式によれば,本件賃金規定の変更1により,被告の従業員は,生理休暇を1日取得するごとに,賞与支給額から,賞与支給額を賞与支給期間の平均所定勤務日数で除した金額を控除されるという不利益を被ることになる。 そして,甲4の1ないし4,乙7によれば,原告U及び同Tは,賞与支給期間中,平均して1月に1日程度しか生理休暇を取得していないにもかかわらず,原告Uにおいては,旧規定の下では,平成12年12月年末賞与として34万3368円,平成13年3月期末一時金として23万6833円の支給をそれぞれ受けられたはずのところ,本件賃金規定の変更1により,実際には平成12年12月年末賞与として32万7402円,平成13年3月期末一時金として22万5823円の支給しか受けられず,その減額の程度は,平成12年12月年末賞与については1万5966円, ,実際には平成12年12月年末賞与として32万7402円,平成13年3月期末一時金として22万5823円の支給しか受けられず,その減額の程度は,平成12年12月年末賞与については1万5966円,減額率4.6パーセント(小数点第2位以下四捨五入。以下同じ)であり,平成13年3月期末一時金については1万1010円,減額率4.6パーセントであり,原告Tにおいては,旧規定の下では,平成12年12月年末賞与として31万5453円,平成13年3月期末一時金として21万7574円の支給をそれぞれ受けられたはずのところ,本件賃金規定の変更1により,実際には平成12年12月年末賞与として30万0897円,平成13年3月期末一時金として20万7536円の支給しか受けられず,その減額の程度は,平成12年12月年末賞与については1万4556円,減額率4.6パーセントであり,平成13年3月期末一時金については1万0038円,減額率4.6パーセントであることが認められる。以上によれば,本件賃金規定の変更1により被告の従業員の被る不利益の程度が決して僅少であるといえない。 また,乙7によれば,被告の従業員による生理休暇取得状況は,本件賃金規定の変更1がなされる前の平成12年4月16日から同年10月15日までの期間中については,取得した合計人数が15名,取得した合計日数が45日であったのに対して,本件賃金規定の変更1がなされた後の平成12年10月16日から平成13年4月15日までの期間中については,取得した合計人数が10名,取得した合計日数が31日といずれも減少しており,平成13年4月16日から同年6月15日までの期間についても,取得した合計人数が4名,取得した合計日数が5日であったことが認められる。かかる事実によれば,本件賃金規定の変更1により,被告の従業員は, 成13年4月16日から同年6月15日までの期間についても,取得した合計人数が4名,取得した合計日数が5日であったことが認められる。かかる事実によれば,本件賃金規定の変更1により,被告の従業員は,生理休暇を取得すると賞与の支給額を減額される不利益を被るのみならず,生理休暇そのものを取得しづらい状況に置かれたものと認められ,かかる従業員の不利益も軽視することができない。 イ本件賃金規定の変更2について前記争いのない事実(4)によれば,本件賃金規定の変更2により,被告の従業員は,当該従業員の配偶者が被告に勤務し被告から住宅手当の支給を受けている場合,それまで支給を受けていた住宅手当の支給を受けることができなくなるという不利益を被ることになり,原告Qは,実際,平成12年10月分から,それまで支給を受けていた月額4000円の住宅手当の支給を打ち切られるという不利益を被った。 そして,甲4の8によれば,平成12年10月度において,Qは,旧規定の下では,月額4000円の住宅手当を含む合計25万7265円の給与の支給を受けることができたはずのところ,本件賃金規定の変更2により,上記の住宅手当を除いた合計25万3265円の給与しか支給を受けることができず,その支給を受ける給与の減少率が1.6パーセントであったことが認められる。以上の事情に加え,賃金は,労働時間と並んで労働者にとって極めて重要な権利・労働条件であることも併せ考えると,本件賃金規定の変更2により被告の従業員の被る不利益の程度についても,僅少であるとはいえない。 (5) 本件賃金規定の変更1,2との関連の下に行われた賃金の改善状況本件賃金規定の変更1,2により従業員の被る不利益を緩和するための代償措置を執るなど,被告が本件賃金規定の変更1,2との関連の下に従業員の賃金の改善措置を執った事実 関連の下に行われた賃金の改善状況本件賃金規定の変更1,2により従業員の被る不利益を緩和するための代償措置を執るなど,被告が本件賃金規定の変更1,2との関連の下に従業員の賃金の改善措置を執った事実は,これを認めるに足りる証拠がない。 この点,被告の総務部長であるV(以下「V部長」という。)は,陳述書(乙19)において,被告においては,平成5年度から業績評価制度が導入されており,本件賃金規定の変更1,2による生理休暇取得を理由とする賞与からの欠勤控除分や住宅手当の減額分等は事業部の利益として評価され,結果として従業員に年度末賞与をもって利益配分として直接的に還元されることになっているから,本件賃金規定の変更1,2についての代償措置は執られている旨供述する。しかし,上記の業績評価制度が導入されたのが本件賃金規定の変更1,2が実施された平成12年度より相当前の平成5年度であることに照らすと,同制度が本件賃金規定の変更1,2との関連の下に導入された制度であるとは到底認められない。また,実質的に見ても,乙19によれば,上記の年度末賞与は,年度末決算時における賞与支給後の業績見込みが基準経常利益(40億円)を5パーセント以上上方乖離すると見込まれる時にのみ支給され,しかも,著しい経済事情の変化やその他の非常事態により被告に資金を留保する必要があると認めた場合には,支給をしないことがあるとされていることが認められ,これらの事実によれば,生理休暇取得を理由とする賞与からの欠勤控除分や住宅手当の減額分がそのまま年度末賞与として還元されることの保証はないといわざるを得ない。そうすると,V部長の供述する業績評価制度が,本件賃金規定の変更1,2との関連の下に従業員の賃金の改善措置を執った制度に該当するとは認められない。 (6) 旧規定下での生理休暇取得について を得ない。そうすると,V部長の供述する業績評価制度が,本件賃金規定の変更1,2との関連の下に従業員の賃金の改善措置を執った制度に該当するとは認められない。 (6) 旧規定下での生理休暇取得についての濫用の有無乙7によれば,本件賃金規定の変更1,2が実施される前後の平成11年4月16日から平成13年6月15日までの期間における被告の従業員の生理休暇取得状況は,別紙生理休暇取得状況(略)のとおりであると認められる。これによると,上記期間を通じて,被告の全女性正社員のうち生理休暇を取得した者の割合は2割に満たず,また,生理休暇を取得した者のうち,最も取得日数の多い原告U及び同Tについても,その取得頻度は1月に1日程度にすぎない。上記の生理休暇を取得する女性従業員の割合の低さ及び生理休暇を取得する者についての取得頻度の低さにかんがみると,旧規定の下において,被告の女性従業員に有給生理休暇の取得について濫用があったものということはできず,ほかに濫用があったことを認めるに足りる証拠はない。 この点,被告は,原告U及び同Tについて,被告に勤務する女子社員の中でも圧倒的に多く生理休暇を取得している上,日給月給社員時代には生理休暇を取得せず賃金が保証される月給社員になってから生理休暇を取得するようになったことからすると,原告U及び同Tによる生理休暇の取得が生理休暇取得の要件を満たしているとは考えられないと主張する。しかし,上記のとおり,原告U及び同Tの生理休暇の取得頻度は1月に1日程度にとどまっているのであり,これをもって原告U及び同Tによる生理休暇の取得頻度が不自然なほど高いとは到底いえず,また,被告に入社したばかりの日給月給社員時代に生理休暇を心理的に取得しづらいことは経験則上明らかであるから,原告U及び同Tが月給社員になった後で生理休暇を取得す が不自然なほど高いとは到底いえず,また,被告に入社したばかりの日給月給社員時代に生理休暇を心理的に取得しづらいことは経験則上明らかであるから,原告U及び同Tが月給社員になった後で生理休暇を取得するようになったからといって,直ちに両名に生理休暇取得について濫用があったということはできない。したがって,被告の上記主張は採用することができない。また,被告は,原告Tが生理休暇を濫用的に取得していた証拠として,原告Tが,被告に対し,平成13年8月27日の生理休暇を理由とする欠勤に関して同月30日に提出した「うそをつきました。」との記載のある欠勤届(乙14の1の1)を提出するが,上記欠勤日が本件賃金規定の変更1が実施されてから11か月近くも経過した日であることに照らすと,仮に,上記欠勤が生理休暇制度を濫用してなされたものであったとしても,直ちに,原告Tについて,旧規定下においても生理休暇の取得について濫用があったということはできない。 以上によれば,旧規定の下において,被告の女性従業員に有給生理休暇の取得について濫用があったものとは認められず,同濫用があったことを前提とする社内規律の保持及び従業員の公平な処遇を図るために本件賃金規定の変更1を行う必要性も認められない。 (7) 組合との交渉の経過甲1,5,6の1及び2,甲14,23,乙1の1及び2,乙2の1ないし3,乙4,5,証人V,同W,原告Pによれば,被告は,平成12年8月の時点で既に賃金規定や退職金規定等の改訂を終えていた親会社のニプロ株式会社に合わせて賃金規定等の改訂を行い,ニプログループ内の賃金規定等の統一的な運用を図るべく,同年9月6日,事前交渉の性質を有する窓口交渉を原告ら組合との間で行い,その場で,原告ら組合に対し,本件賃金規定の変更1,2や本件退職金規定の変更の趣旨等を簡単に説 規定等の統一的な運用を図るべく,同年9月6日,事前交渉の性質を有する窓口交渉を原告ら組合との間で行い,その場で,原告ら組合に対し,本件賃金規定の変更1,2や本件退職金規定の変更の趣旨等を簡単に説明するとともに,上記各変更の施行日を同年10月1日からとしたいので,意見書を同年9月26日までに提出するよう求め,その後,同月13日の第2回窓口交渉で,実質的な交渉に入る前提として,原告ら組合から,被告に対し,上記各変更における不明確な点の確認等の質問がなされ,さらに,同月22日の第3回窓口交渉において,原告ら組合が,被告に対し,本件賃金規定の変更1,2や本件退職金規定の変更等に関する団体交渉を開催するよう求めたこと,そして,同月26日に開催された原告ら組合と被告との間の団体交渉において,本件賃金規定の変更1,2や本件退職金規定の変更等を是非とも同年10月1日から実施してニプログループ内の賃金規定等の統一的な運用を図りたいとする被告と,賃金・退職金水準の切下げにつながる賃金規定等の変更に飽くまで反対する原告ら組合との間で意見が平行線のままとなり,最終的に,原告ら組合が,被告に対し,意見書を出すつもりがないこと及び賃金規定等の変更案を白紙撤回するよう申し入れたところ,被告は,多数派組合であるゼンセン組合から意見書の提出を得て賃金規定等の変更を労働基準監督署長に届け出て,飽くまで同年10月1日から賃金規定等の変更を施行するつもりであると回答したこと,他方,被告は,多数派組合であるゼンセン組合との間でも,同年9月6日から本件賃金規定の変更1,2等の実施に向けた交渉をもったが,そこでも,被告は,本件賃金規定の変更1,2等を是非とも同年10月1日から実施したいとして,意見書を同年9月26日までに提出するよう求めたこと,最終的に,被告は,本件賃金規定の変 けた交渉をもったが,そこでも,被告は,本件賃金規定の変更1,2等を是非とも同年10月1日から実施したいとして,意見書を同年9月26日までに提出するよう求めたこと,最終的に,被告は,本件賃金規定の変更1,2等について積極的な賛成を得られないままゼンセン組合から意見書の提出を受け,同月27日,所轄の労働基準監督署長に本件賃金規定の変更1,2等を届け出たことが認められ,この認定を左右するに足りる証拠はない。 上記認定事実によれば,被告は,多数派組合であるゼンセン組合及び少数派組合である原告ら組合との間の各交渉において,本件賃金規定の変更1,2や本件退職金規定の変更等を平成12年10月1日から実施することに固執し,実施予定日のわずか1か月足らず前の交渉開始時点から同年9月26日までに意見書を提出するよう求め,組合に対して譲歩の姿勢を全く示さなかったばかりか,原告ら組合との間では,本格的な交渉を団体交渉の1回のみしか実施せず交渉を打ち切ったというのであるから,原告ら組合との間で誠実に交渉をしようとする姿勢に欠けていたものと評価すべきであり,多数派組合であるゼンセン組合との交渉も,上記の事情に照らすと,原告ら組合との間の交渉の不十分さを補うに足りないものといわざるを得ない。したがって,被告は,本件賃金規定の変更1,2等を実施するに当たり,労働組合との間の交渉を十分に行わなかったものと評価せざるを得ない。 (8) なお,甲19,20,30の1ないし4,甲31,証人Vによれば,本件賃金規定の変更1,2を実施した当時,被告の業績は好調に推移していたため,被告の経営状況ないし財務状況の改善のために本件賃金規定の変更1,2を実施して従業員に対する給与ないし賞与の支給水準を引き下げる必要性はなかったことが認められる。 (9) 小括以上(4)ないし(8)に認定 営状況ないし財務状況の改善のために本件賃金規定の変更1,2を実施して従業員に対する給与ないし賞与の支給水準を引き下げる必要性はなかったことが認められる。 (9) 小括以上(4)ないし(8)に認定説示した諸事情を総合勘案すると,本件賃金規定の変更1,2はともに,その内容及び必要性のいずれの面においても,合理性を備えるものということはできないから,被告の従業員である原告U及び同Tに不利益をもたらす本件賃金規定の変更1並びに被告の従業員である原告Qに不利益をもたらす本件賃金規定の変更2は,同原告らの同意がない以上,いずれも同原告らとの関係では無効であるといわざるを得ない。 第4 結論以上によれば,本件訴えのうち,原告らと被告との間において,被告の退職金規定8条2項が無効であることの確認を求める部分は,不適法な訴えであるから却下することとし,原告U及び同Tのその余の請求並びに原告Qの請求は,いずれも理由があるから認容することとして,主文のとおり判決する。 前橋地方裁判所民事第2部裁判長裁判官東條宏裁判官原克也裁判官高橋正幸

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