平成24年10月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(ワ)第47173号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成24年9月11日判決静岡県賀茂郡<以下略>原告 A社静岡県賀茂郡<以下略>原告 B社原告ら訴訟代理人弁護士山崎正俊同訴訟復代理人弁護士髙砂太郎同補佐人弁理士高橋康夫静岡県賀茂郡<以下略>被告 C社東京都町田市<以下略>被告 D社被告ら訴訟代理人弁護士牧野聡同和田聖仁 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告C社は,別紙商品目録1記載の各商品の包装袋に別紙表示目録1記載の各表示を付して,別紙商品目録1記載の各商品を販売し,販売のため展示してはならない。 2 被告C社は,別紙商品目録1記載の各商品の広告に別紙表示目録1記載の各表示をしてはならない。 3 被告D社は,別紙商品目録2記載の各商品の包装袋に別紙表示目録2記載の各表示を付して,別紙商品目録2記載の各商品を販売し,販売のため展示してはならない。 4 被告D社は,別紙商品目録2記載の各商品の広告に別紙表示目録2記載の各表示をしてはならない。 5 被告C社は,原告らそれぞれに対し,1750万円及びこれに対する平成23年1月21日から支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。 6 被告D社は,原告らそれぞれに対し,300万円及びこれに対する平成23年1月20日から支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。 第2 日から支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。 6 被告D社は,原告らそれぞれに対し,300万円及びこれに対する平成23年1月20日から支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,和菓子などに用いられる桜葉塩漬の製造,販売等を業とする原告らが,別紙商品目録1記載の各商品(以下「被告商品1」という。)及び別紙商品目録2記載の各商品(以下「被告商品2」といい,「被告商品1」と併せて「被告各商品」という。)は,いずれも桜葉の原産地が「中国」の桜葉塩漬であるのに,被告C社(以下「被告C社」という。)において別紙表示目録1記載の表示(以下「被告表示1」という。)を包装袋に付した被告商品1を販売する行為及び被告商品1の広告に被告表示1をする行為が,被告D社(以下「被告D社」という。)において別紙表示目録2記載の表示(以下「被告表示2」といい,「被告表示1」と併せて「被告各表示」という。)を包装袋に付した被告商品2を販売する行為及び被告商品2の広告に被告表示2をする行為が,それぞれ不正競争防止法2条1項13号の不正競争行為(原産地誤認表示惹起行為)に該当すると主張して,被告らに対し,同法3条1項に基づき,被告各表示を包装袋に付した被告各商品の販売等の差止めを求めるとともに,同法4条に基づき,損害賠償の支払を求めた事案である。 第3 当事者の主張 1 請求原因(1) 当事者ア原告らは,いずれも,和菓子などに用いられる桜葉塩漬の製造,販売等を業とする会社である。 イ被告C社は,桜葉塩漬の製造,販売等を業とする会社であり,被告D社は,桜葉塩漬の販売等を業とする会社である。 (2) 被告らの不正競争行為ア被告C社の行為(ア) 被告C社は,遅くとも平成18年から,「原料原産地日本静岡県 とする会社であり,被告D社は,桜葉塩漬の販売等を業とする会社である。 (2) 被告らの不正競争行為ア被告C社の行為(ア) 被告C社は,遅くとも平成18年から,「原料原産地日本静岡県」,「加工地日本」の表示を真空パック包装袋に付した被告商品1を販売している。 (イ) 被告C社は,自社のホームページ上の被告商品1の広告(甲7の1,2)において,段ボール包装箱に「伊豆」と表示した写真を掲載し,「南伊豆の契約農家で栽培された大島桜使用」と記載するなどして,被告商品1を南伊豆産と表示している。 (ウ) 以上によれば,被告C社は,被告表示1を包装袋に付した被告商品1を販売し,また,被告商品1の広告に被告表示1をしているものといえる。 イ被告D社の行為(ア) 被告D社は,遅くとも平成18年から,「伊豆産」の表示を真空パック包装袋に付した被告商品2を販売している。 なお,被告商品2は,被告D社が,E社(以下「E社」という。)を通じて,被告C社から仕入れた桜葉塩漬である。 (イ) 被告D社は,自社のホームページ上の被告商品2の広告(甲8)において,伊豆の桜葉栽培農家の桜葉の畑の写真を掲載し,「桜葉の塩漬(国産)」,「伊豆産」,「原料原産地桜葉:日本(静岡県南伊豆)」と記載するなどして,被告商品2を伊豆産と表示している。 (ウ) 以上によれば,被告D社は,被告表示2を包装袋に付した被告商品2を販売し,また,被告商品2の広告に被告表示2をしているものといえる。 ウ被告各商品が「中国産」であること(ア) 安定同位体比分析a 分析結果F社(以下,同社又は同社の分析部門が独立して設立されたf社(甲25の2)を,単に「F社」という。)作成の2010年(平成22年)6月8日付け分析試験報告書(甲9の2ないし4,7。 a 分析結果F社(以下,同社又は同社の分析部門が独立して設立されたf社(甲25の2)を,単に「F社」という。)作成の2010年(平成22年)6月8日付け分析試験報告書(甲9の2ないし4,7。 以下「本件分析試験報告書」という。)によれば,被告各商品は,いずれも「中国産」である。 すなわち,被告C社が販売した「桜葉漬」(甲9の12),G社が被告C社から仕入れて販売した「桜葉塩漬(国産)」(甲9の13),被告D社が販売した「特撰桜葉塩漬(伊豆産)」(甲9の14)及び被告C社が販売した「真空包装桜葉漬」(甲9の17)の各試料について,F社が炭素安定同位体比,窒素安定同位体比及び酸素安定同位体比の分析による産地判別を行ったところ,本件分析試験報告書に示すとおり,いずれも「中国産」と判別された。 b 安定同位体比分析による桜葉の産地判別の有効性等(a) F社は,自治体その他の公共機関から,産地偽装の産地の判別を含む各種の分析及び鑑定の依頼を受けて,分析試験報告書及び鑑定書を提出する実績と信用のある分析機関である。 そして,F社が採用する安定同位体比分析による産地判別は,物質の安定同位体比が,重さの違いによって,緯度,地形,気候に応じ,特定の地域で特定の値をとることを利用して,産地を判別する分析方法であり,桜葉を含む食品の原産地の判別に有効である。すなわち,炭素,窒素及び酸素は,一般的に植物の生育において不可欠の要素である上,植物の生育環境と密接に関連している物質(二酸化炭素,硝酸イオン,水)に由来しているため,植物から検出された炭素,窒素及び酸素の同位体比を分析し,植物の生育地(生産地)を特定することは極めて合理的なものといえる。 大島桜が採取される桜葉の産地の判別は,具体的には,検査対象である桜葉の検体の炭素安定同位 ,窒素及び酸素の同位体比を分析し,植物の生育地(生産地)を特定することは極めて合理的なものといえる。 大島桜が採取される桜葉の産地の判別は,具体的には,検査対象である桜葉の検体の炭素安定同位体比(δ13C),酸素安定同位体比(δ18O)及び窒素安定同位体比(δ15N)を測定し,その数値と,F社が伊豆各地及び中国各地の桜葉の産地から継続的に収集して集積したサンプルの炭素安定同位体比,酸素安定同位体比及び窒素安定同位体比のデータベースの値とを比較して判別することにより行われており,国産・輸入の判別を97.5%の高精度で判別する体制を確立している。 桜葉の産地は,伊豆産であれば,南伊豆,西伊豆に限定され,中国産であれば,浙江省,江蘇省(安徽省合肥市を除く。)に限定されていることから,安定同位体比の比較のためのサンプルの収集とそれに基づくデータベースの構築が容易である。 桜葉の分析に関係する安定同位体比の特性は次のとおりである。 ① 炭素安定同位体比(δ13C)植物の炭素同位体比は,空気中の二酸化炭素を光合成により植物体内に取り込む際の光合成の回路により決定される。陸上植物の多くはC3植物といわれ,炭素安定同位体比は,平均で-27‰となる。一方,サトウキビや,トウモロコシなど乾燥,高温の環境で生育するイネ科植物は,C4植物といわれ,C3植物と光合成回路が異なる。このような植物は高温・乾燥地域に多く生育し,C4植物の炭素安定同位体比は,平均-12‰となる。 伊豆の桜葉の炭素安定同位体比は,概ね-27‰~-28‰である。 ② 酸素安定同位体(δ18O)酸素安定同位体は,緯度,降水,海からの距離や高度差,風向等の様々な要因により,特定の地域では特定の値を取る。そして,中国産の桜葉は伊豆産の桜葉よりも酸素安定同位 ② 酸素安定同位体(δ18O)酸素安定同位体は,緯度,降水,海からの距離や高度差,風向等の様々な要因により,特定の地域では特定の値を取る。そして,中国産の桜葉は伊豆産の桜葉よりも酸素安定同位体比が重い水を利用して栽培されている。 なお,水は土壌中を浸透するに従い,移流・分散の働きを受けて土壌中,特に伏流水のある深部の同位体比は均質化する性質をもつところ,西伊豆・南伊豆は一定の規模の集落ごとに深さ10mから100mの肥土を掘って地下水(伏流水)を山の上まで汲み上げて各戸に配水する方法を採っており,西伊豆産と南伊豆産で桜葉の酸素安定同位体比が大きく異なることは考えにくい。また,西伊豆町,南伊豆町はいずれも北緯34度,東経138度付近に位置し,同じ伊豆半島に存在することからしても,西伊豆産と南伊豆産の桜葉の酸素安定同位体比は近似した値になる。 ③ 窒素安定同位体比(δ15N)窒素安定同位体比は,窒素栄養源すなわち肥料を示すものである。化学肥料を用いて栽培した場合には,窒素安定同位体比がゼロに近く,堆肥等の有機質肥料を使用する場合には,桜葉はプラスの安定同位体比を示すことになる。 そして,伊豆の桜葉は栽培と収穫の回転を速くする必要があるために化学肥料が使用され,中国では有機質肥料を使用することが多い。 (b) 本件分析試験報告書に係る判別方法による判別は,分析試料の「日本産」ないし「伊豆産」との表記を否定できるかどうかという判断を行ったものであり,判断の過程では,一度の判別分析で日本産か否か,中国産か否かを判断するのではなく,サンプル採取地域間のあらゆる組合せによる判別分析を重畳的に行うことで,最終的に「日本産」ないし「伊豆産」か否かを判断している。 本件分析試験報告書記載の「判別得点」は,重畳的に行われる判 く,サンプル採取地域間のあらゆる組合せによる判別分析を重畳的に行うことで,最終的に「日本産」ないし「伊豆産」か否かを判断している。 本件分析試験報告書記載の「判別得点」は,重畳的に行われる判別分析のうち,最後の判別分析を行った際に導出された数値である。 F社では,桜葉を場所・季節で細かく分類し,各分類につき採取した総サンプル数が数千に上るサンプルを基礎とするデータべースを構築し,これを基に判別係数,判別式による判別得点を算出し,統計学的方法により重畳的に判別分析を行っており,このように多数のサンプルを基礎とするデータべースを構築して産地を判別することは,科学的な産地判別として認められている。 なお,F社作成の「桜葉春葉安定同位体比分布図」(甲50)及び「桜葉夏葉安定同位体比分布図」(甲51)は,重畳的に行われる判別分析の一場面をごく限定されたサンプル数(甲53,55)を基にグラフ化し,判別分析を概念的に理解させる説明資料として提出したものであり,これにより何らかの判断がされるというものではない。上記数千に上るサンプルの全てについてδ13C,δ18O,δ15Nの分布を三次元分布図で示すとすれば,巨大な用紙を用いることになるが,その場合でも,多数のドットが重なって分布図の意味をなさないことになるので,そのような三次元分布図の作成・提示は無意味である。 (c) 金属元素の含有量の測定によって,原告ら提供の日本産桜葉の分析試料と,被告各商品の分析試料を分析した結果,樹形図(甲56)のようなグループ分けができた。この樹形図は,具体的には,Al,As,Ba,Ca,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,K,Li,Mg,Mn,Ni,Pb,Rb,Se,V,Zn,Srからなる20種類の金属元素の含有量から,近似する傾向を示すものでグループ分 には,Al,As,Ba,Ca,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,K,Li,Mg,Mn,Ni,Pb,Rb,Se,V,Zn,Srからなる20種類の金属元素の含有量から,近似する傾向を示すものでグループ分けを行った結果を示すものである。つまり,大きく二つのグループに分ける場合,N10YVV002・N10YVV003・N10YJJ014・N10YJJ003(グループ1)と,それ以外のもの(グループ2)で分けられる。さらに,グループ2を分類すると,200756・N10EBB014(グループ3)とそれ以外のもの(グループ4)に分けられる。以下同様に分類していくと,N10YFF001・N10YFF004のグループ,N10YJJ004・N10YJJ013・N10YFF006・N10YJJ015・N10YFF003・N10YFF005のグループ,N10YFF002・N10YJJ012のグループ,200756・N10EBB014のグループ,N10YVV002・N10YVV003のグループ,N10YJJ014のグループ,N10YJJ003のグループに分けられる。 この分析結果は,本件分析試験報告書に係る判別方法とは異なるものであるが,被告各商品が日本産桜葉と異なる特徴を示すととともに,中国産桜葉と類似した特徴も示すものであり,本件分析試験報告書の分析結果の有効性を補強するものといえる。 (イ) 被告各商品の販売価格被告各商品の販売価格は,国産品の販売価格と比較して極めて安価であり,真実の国産品であるならば,被告各商品の販売価格で販売するのは著しく困難を伴うものといえる。このことは,被告各商品が中国産であることを裏付けるものである。 エ小括以上によれば,被告各商品に被告各表示をすることは,「中国産」である被告各商品を「国産」ないし「伊 を伴うものといえる。このことは,被告各商品が中国産であることを裏付けるものである。 エ小括以上によれば,被告各商品に被告各表示をすることは,「中国産」である被告各商品を「国産」ないし「伊豆産」と誤認させるような表示(原産地誤認表示)に当たる。 したがって,被告らによる被告各表示を包装袋に付した被告各商品の販売行為及び被告各商品の広告に被告各表示をする行為は,不正競争防止法2条1項13号の不正競争行為に該当する。 (3) 差止めの必要性原告ら及び被告らは,伊豆産の桜葉塩漬の商品という狭い市場において競合しており,被告らの前記(2)の不正競争行為によって,原告らの営業上の利益を侵害され,また,侵害されるおそれがある。 したがって,被告らによる被告各表示を包装袋に付した被告各商品の販売等の差止めの必要性がある。 (4) 原告らの損害額ア不正競争防止法5条2項に基づく損害額被告らは,故意又は過失により前記(2)の不正競争行為を行って原告らの営業上の利益を侵害したものであるから,不正競争防止法4条に基づいて,原告らに生じた損害を賠償すべき責任を負う。 (ア) 被告C社の不正競争行為による損害額被告C社は,平成18年から平成21年までの間に被告表示1を付した被告商品1を販売し,その国内における売上高は合計1億6000万円を下ることはなく,また,被告C社の利益率は売上高の40%であることからすると,被告C社が上記販売により受けた利益は,6400万円を下らない。 そして,原告らの国内における伊豆産の桜葉塩漬の市場シェア率は各25%であるから,不正競争防止法5条2項の規定により,被告C社が受けた上記利益の各25%である1600万円が原告らそれぞれの損害額と推定される。 (イ) 被告D社の不正競争行為による ェア率は各25%であるから,不正競争防止法5条2項の規定により,被告C社が受けた上記利益の各25%である1600万円が原告らそれぞれの損害額と推定される。 (イ) 被告D社の不正競争行為による損害額被告D社は,平成18年から平成21年までの間に被告表示2を付した被告商品2を販売し,その国内における売上高は合計2000万円を下ることはなく,また,被告D社の利益率は売上高の30%であることからすると,被告D社が上記販売により受けた利益は,600万円を下らない。 そして,原告らの国内における伊豆産の桜葉塩漬の市場シェア率は各25%であるから,不正競争防止法5条2項の規定により,被告D社が受けた上記利益の各25%である150万円が原告らそれぞれの損害額と推定される。 イ弁護士費用被告らの前記(2)の不正競争行為と相当因果関係のある原告らの弁護士費用相当額の損害は,原告らそれぞれにつき150万円を下らない。 ウ小括以上によれば,原告らの損害額は,被告C社との関係では各1750万円,被告D社との関係では各300万円である。 (5) まとめよって,原告らは,①被告C社に対し,不正競争防止法3条1項に基づき,被告表示1を包装袋に付した被告商品1の販売等の差止めと,同法4条に基づき,原告らそれぞれにつき1750万円及びこれに対する平成23年1月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,②被告D社に対し,同法3条1項に基づき,被告表示2を包装袋に付した被告商品2の販売等の差止めと,同法4条に基づき,原告らそれぞれにつき300万円及びこれに対する同月20日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 請求原因に対す めと,同法4条に基づき,原告らそれぞれにつき300万円及びこれに対する同月20日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 請求原因に対する認否及び被告らの主張(1) 請求原因に対する認否ア請求原因(1)の事実は認める。 イ請求原因(2)ア及びイの事実は認め,同ウ及びエは争う。 ウ請求原因(3)及び(4)は争う。 (2) 被告らの主張ア被告らの不正競争行為の不存在被告らが原告ら主張の不正競争行為を行った事実は存在しない。 被告C社が,国産ないし伊豆産の表示を付して製造販売している桜葉塩漬の原料となる桜葉は,被告C社が農地を借り上げて,その管理を委託している契約農家が作付けした大島桜の桜葉と,被告C社の従業員,家族等が近隣の山等に自生している桜から集めてきた桜葉であり,中国産のものではない。なお,被告C社は,中国産の桜葉塩漬も取り扱っているが,これには中国産と明記して販売している。 イ本件分析試験報告書の分析結果について原告ら主張のF社作成の本件分析試験報告書の分析結果は,以下のとおり,杜撰で不適切なものであり,被告各表示を付した被告各商品が中国産であることの根拠となるものではない。 (ア) F社は営利法人であり,その判断の中立性に疑問があり,また,F社が行う安定同位体比による桜葉の産地判別方法は,未だ確立された方法とはいえず,その判別方法から,産地を判別することは不可能である。このことは,F社作成の平成22年6月8日付け「分析結果に関するご連絡」と題する書面(乙2の1)に,「原産国不明の場合,判別精度が85%程度に低下する」,「ブラインド」(検体に表示された原産地の正誤の判別ではなく,検体の原産地を判別する検査)による判別の場合,「適正な 題する書面(乙2の1)に,「原産国不明の場合,判別精度が85%程度に低下する」,「ブラインド」(検体に表示された原産地の正誤の判別ではなく,検体の原産地を判別する検査)による判別の場合,「適正なグループ分けによる判別が困難となり,全体をまとめて統計処理することから,判別精度が低下します」との記載があることからも明らかである。 (イ) 炭素安定同位体比,酸素安定同位体比及び窒素安定同位体比が,桜葉の産地判別に有効であるとの原告らの主張は,理由がない。 a 炭素安定同位体比桜葉である以上,伊豆産であろうが,それ以外の産地のものであろうが,光合成回路は同一であるから,同一回路によって形成される炭素安定同位体比の測定結果に有意差が生じることは考えられない。 したがって,炭素安定同位体比を用いて桜葉の産地判別を行うことは,不可能である。 b 酸素安定同位体比桜葉塩漬は,長期間樽の中で桜葉を塩漬して加工された発酵食品であり,その加工過程において,桜葉の細胞壁のセルロース分子を構成する酸素原子は,樽の水由来の酸素原子に置換されるから,桜葉塩漬を対象とする酸素同位体比の測定では,必然的に桜葉の産地の水の安定同位体比ではなく,樽の中の水の安定同位体比を反映することになる。 したがって,酸素安定同位体比を用いて桜葉の産地判別を行うことは,不可能である。 c 窒素安定同位体比契約農家ごとに使用する肥料は様々であり,中国においても化学肥料は広く使用されており,原告らが主張するような伊豆産は化学肥料,中国産は有機肥料という単純な図式は成り立たない。 また,H作成の「窒素安定同位体比を用いた化学肥料使用判別法の検討」と題する調査報告書(乙7)には,「化学肥料使用農産物の窒素安定同位体比の平均値は,有機農産物と1%の水準で有意 成り立たない。 また,H作成の「窒素安定同位体比を用いた化学肥料使用判別法の検討」と題する調査報告書(乙7)には,「化学肥料使用農産物の窒素安定同位体比の平均値は,有機農産物と1%の水準で有意な差がみられたが,両者の分布ではオーバーラップする部分が大きく,肥料以外にも窒素安定同位体比に影響を及ぼす因子がある可能性が示唆された。」などの記載がある。上記調査報告書の報告は,化学肥料を用いて栽培した農産物のδ15Nがゼロに近くなるとする原告らの主張が明らかに根拠を欠いているだけでなく,窒素安定同位体比によって,農産物に使用されている肥料が,化学肥料か有機肥料かを判別することは不可能であることを示している。 したがって,窒素安定同位体比を用いて桜葉の産地判別を行うことは,不可能である。 (ウ) 甲50及び51は,原告らが,「中国産と伊豆産の桜葉は,δC,δOの値によって,明確に分布が分かれることから,中国産と伊豆産の判別ができること」,「この分布の違いによって安定同位体比による産地判別が可能であること」を立証趣旨として提出した,F社作成の安定同位体比分布図である。 しかし,甲50及び51においては,δ13Cの値については,中国桜と国内桜とで有意な区別ができるような分布の違いは存在せず,また,δ18Oの値についても,春葉については23‰~25‰の値においては分布に違いを見出すことは困難であるし,夏葉についても18‰~20‰の値において分布の違いを見出すことが困難である。 したがって,δ13C及びδ18Oの値を個々に検討しても,あるいは複合的に検討しても,原告らが主張するような分布の違いなど存在しておらず,産地判別は不可能である。 かえって,本件分析試験報告書記載のδ13C及びδ18Oの値を甲50に当てはめると,ほとんどの 複合的に検討しても,原告らが主張するような分布の違いなど存在しておらず,産地判別は不可能である。 かえって,本件分析試験報告書記載のδ13C及びδ18Oの値を甲50に当てはめると,ほとんどの場合,「中国産」ではなく,「国産」であるとの全く逆の結論が導かれる。 ウ被告各商品の販売価格について被告らが国産ないし伊豆産と表示して販売する桜葉塩漬の価格が相対的に安価であることは認めるが,これは,被告C社において農地を借り上げ,自家栽培を行い,仕入価格の高騰を抑えたり,製造過程を合理化するなど被告らの企業努力の成果であり,被告各表示を付した被告各商品が中国産であることの裏付けにはならない。 第4 当裁判所の判断 1 被告らの不正競争行為(請求原因(2))の成否について(1) 請求原因(1),(2)ア及びイの事実は,当事者間に争いがない。 原告らは,被告各商品の桜葉の原産地は「中国」であるから,被告各商品に「国産」ないし「伊豆産」と表示(被告各表示)をすることは,原産地誤認表示に当たり,被告らによる被告各表示を包装袋に付した被告各商品の販売行為及び被告各商品の広告に被告各表示をする行為は,不正競争防止法2条1項13号の不正競争行為に該当する旨(請求原因(2)ウ及びエ)主張する。 原告らは,被告各商品の桜葉の原産地が「中国」であることの根拠として,F社作成の平成22年6月8日付け本件分析試験報告書の分析結果を挙げるので,以下において,その分析結果の有効性ないし信頼性について検討する。 ア安定同位体比分析による桜葉塩漬の桜葉の産地判別の概要証拠(甲9ないし12,14ないし25,42,44ないし48(枝番のあるものは枝番を含む。))及び弁論の全趣旨を総合すれば,F社が行う安定同位体比分析による桜葉塩漬の桜葉の産地判別 地判別の概要証拠(甲9ないし12,14ないし25,42,44ないし48(枝番のあるものは枝番を含む。))及び弁論の全趣旨を総合すれば,F社が行う安定同位体比分析による桜葉塩漬の桜葉の産地判別の概要は,次のようなものであることが認められる。 (ア) まず,試料中の窒素,炭素及び酸素の安定同位体比を専用の安定同位体比質量分析装置を用いて測定し,当該試料の同位体比が標準試料の同位体比に比べてどれくらい隔たっているかを千分率偏差(‰)で表したδ値で示す。 a 安定同位体比の測定は,例えば,炭素又は酸素の場合,安定同位体比質量分析装置を構成する「元素分析計」で,試料を燃焼させて生じた二酸化炭素を単離し,安定同位体比質量分析装置を構成する「質量分析計」で,二酸化炭素をイオン化した後,質量の異なる二酸化炭素イオンを磁場の中で分離し,これを電流として検出し,その割合の計算を行って,炭素安定同位体比又は酸素安定同位体比を割り出す。 b 標準物質は,窒素は空中窒素(「Air」),炭素は矢石化石(ベレムナイト)(「PDB」),酸素は標準平均海水(「SMOW」(VSMOW))である。 窒素安定同位体比は,標準物質である空中窒素の14Nに対する15Nの存在割合(0.365%/99.635%)と分析対象の14Nに対する15Nの存在割合がどれくらい隔たっているかを千分率偏差(‰)で示したものであり,「δ15N」という。同様に,炭素安定同位体比12Cに対する13Cの存在割合の千分率偏差(‰)を「δ13C」,酸素安定同位体比18Oに対する16Oの存在割合の千分率偏差(‰)を「δ18O」という。 例えば,分析対象試料の「δ13C」は,次の計算式で算定される。 δ13C(試料)={(13C/12C試料)-(13C/12C標準物質)}÷(13C/ 分率偏差(‰)を「δ18O」という。 例えば,分析対象試料の「δ13C」は,次の計算式で算定される。 δ13C(試料)={(13C/12C試料)-(13C/12C標準物質)}÷(13C/12C標準物質)×1000(イ) 次に,分析対象試料の窒素,炭素及び酸素の3元素の安定同位体比の分析値から,産地別の安定同位体比データベースを統計分析(統計解析)して得られた「判別式」を使って,「判別得点」を得る。この判別得点の値により,試料の原産地が国産か,中国産かを判別する。 産地別の安定同位体比データベースは,判別の基礎となるものであり,この基礎データは各産地で直接採取した検体のデータを蓄積・更新し,あらかじめ由来が明確な検体を分析して構築されたものである。このデータベースから,グループを分ける判別関数を算出し,この関数(判別式)を用いて,分析対象試料がどの産地グループに入るかを判別する統計解析の判別分析の手法を用いている。 イ本件分析試験報告書の記載内容(ア) 「検査及び判定方法」「TC/EAIR-MS及びEAIR-MSによる炭素,窒素,酸素安定同位体比分析検体より得られた炭素,窒素,酸素安定同位体比値の多変量解析による桜葉産地判別分析」(イ) 「分析結果」a 「試料名:桜葉漬(C社),検体量:118g(測定重量),報告書番号N10YJJ004」(甲9の2,12)「検査項目」 「検査結果」窒素安定同位体比(δ15N vs Air) -0.5‰炭素安定同位体比(δ13C vs PDB) -26.2‰酸素安定同位体比(δ18O vs VSMOW) 27.8‰判別得点 3.26判別中国産b 「試料名:桜葉塩 3C vs PDB) -26.2‰酸素安定同位体比(δ18O vs VSMOW) 27.8‰判別得点 3.26判別中国産b 「試料名:桜葉塩漬(国産)ホームメイドショップKIKUYA,検体量:99g(測定重量),報告書番号N10YJJ006」(甲9の3,13)「検査項目」 「検査結果」窒素安定同位体比(δ15N vs Air) 2.0‰炭素安定同位体比(δ13C vs PDB) -26.4‰酸素安定同位体比(δ18O vs VSMOW) 24.1‰判別得点 2.22判別中国産c 「試料名:特撰桜葉塩漬(伊豆産)D社,検体量:83g(測定重量),報告書番号N10YJJ008」(甲9の4,14)「検査項目」 「検査結果」窒素安定同位体比(δ15N vs Air) 0.5‰炭素安定同位体比(δ13C vs PDB) -26.8‰酸素安定同位体比(δ18O vs VSMOW) 27.0‰判別得点 2.88判別中国産d 「試料名:真空包装桜葉漬C社,検体量:1288g(測定重量),報告書番号N10YJJ014」(甲9の7,17)「検査項目」 「検査結果」窒素安定同位体比(δ15N vs Air) 1.2‰炭素安定同位体比(δ13C vs PDB) -26.0‰酸素安定同位体比(δ18O vs VSMOW) 27.7‰判別得点 3.73判別中国産(ウ) 「結果注釈」「判別基 PDB) -26.0‰酸素安定同位体比(δ18O vs VSMOW) 27.7‰判別得点 3.73判別中国産(ウ) 「結果注釈」「判別基準点0 国産<0 輸入(中国)>0中国産については,浙江省産の桜葉の値を示す(参照)中国産の分析に関して,合肥産桜葉に,伊豆産と近似する値を示すものがある。 当該検体による影響で中国産を国産判定する可能性があることから,中国産について合肥産を除く(浙江,江蘇省産桜葉)判別を実施し,さらに合肥産についての判別とする二段階判別に改定し判別を実施。 (注意)中国産(合肥)桜葉に国産と近似するものが存在し,中国産について,国産と判別されるものがあります。 このため,本検査については,表示された原産国の確認を行うものとして,原産国不明の場合,判別精度が85%程度に低下する事を追記します。(原産国表示についての確認の場合,国産表示の判別精度は94.3%,一方中国産表示の判別精度は,90.2%となります。これは,判別に際して,中国国内産地についても,合肥,浙江,江蘇など産地グループを分ける事で統計上の誤判定を抑制するものです。一方,ブラインドによる判別の場合,適正なグループ分けによる判別が困難となり,全体をまとめて統計処理する事から,判別精度が低下します)」ウ検討(ア) まず,前記アの認定事実を総合すると,本件分析試験報告書に係る判別方法による安定同位体比の測定は,安定同位体比質量分析装置を用いて行われるので,分析対象試料の一部が存在していれば,同一又は同種の装置を用いて再測定が可能であるといえる。 しかるところ,本件においては,本件分析試験報告書記載の各検査項目(「炭素安定同位体比」,「酸素安定同位体比」及び「窒素安定 していれば,同一又は同種の装置を用いて再測定が可能であるといえる。 しかるところ,本件においては,本件分析試験報告書記載の各検査項目(「炭素安定同位体比」,「酸素安定同位体比」及び「窒素安定同位体比」)の検査結果の各数値については,その信頼性を揺るがす証拠の提出はない。 (イ) 次に,本件分析試験報告書に係る判別方法による産地の判別は,産地別の安定同位体比データベースを基に算出された判別式によって行われているので,判別結果の有効性ないし信頼性は,産地別の安定同位体比データベースが信頼できるものかどうか,そのデータベースから算出された判別式が合理性のあるものかどうかに依存しているといえるものであり,これらの検討が必要である。 具体的には,産地別の安定同位体比データベースの基礎データとされた検体を採取した具体的な地域,採取した検体の数,採取した検体の安定同位体比の分布状況等を確認し,これらを基に行われた産地別のグループ分けが適切なものであるか,安定同位体比の地理的な分布に明瞭な勾配があるかどうかを確認し,さらには,グループ分けの基準とされた判別式が合理的なものかどうかを確認する必要がある。 (ウ) この点に関し,原告らは,①F社では,桜葉を場所・季節で細かく分類し,各分類につき採取した総サンプル数が数千に上るサンプルを基礎とするデータべースを構築し,これを基に判別係数,判別式による判別得点を算出し,統計学的方法により重畳的に判別分析を行っており,このように多数のサンプルを基礎とするデータべースを構築して産地を判別することは,科学的な産地判別として認められている,②上記数千に上るサンプルの全てについてδ13C,δ18O,δ15Nの分布を三次元分布図で示すとすれば,巨大な用紙を用いることになるが,その場合でも,多数のドットが重 産地判別として認められている,②上記数千に上るサンプルの全てについてδ13C,δ18O,δ15Nの分布を三次元分布図で示すとすれば,巨大な用紙を用いることになるが,その場合でも,多数のドットが重なって分布図の意味をなさないことになるので,そのような三次元分布図の作成・提示は無意味である旨主張し,これに沿うF社上級研究員X作成の平成24年7月11日付け報告書(甲61)の記載部分がある。 a しかしながら,F社作成のE社あての2010年(平成22年)9月7日付け「弊社分析検査結果の流用についてのご通知」と題する書面(甲12)には,「国産桜葉が,正当な国産か否かは,桜葉のような栽培地域が極めて限定されている商品の場合,商品の原料由来という畑(またはその栽培町村)まで,現時点においても遡って分析が可能です。」,「弊社は,上記弁護士よりの指摘を受け,中国産桜葉の資料集積を徹底して実施し,かつ国内に流通する国産表示の桜葉についての徹底したモニタリング調査を開始しました。」,「この結果については,弊社の分析技術の正当性を証明する上で,当然の事項であり,近日中にその結果を公表予定しています。」,「また西伊豆町,松崎町,南伊豆町において,本年3月以降4派に渡り桜葉の収集を実施し,現在西伊豆の桜葉生産地域を詳細に網羅した安定同位体比データベースを完成させました。」,「当該地域における桜葉のデータは,3月,5月,7月,8月の季節変動を含め,総数において280件に及ぶものであり,すべての桜葉はその由来畑に至るまで由来が明確なものとなっています。」,「従いまして,ある国産桜葉がどの地域の桜葉を使用しているとすれば,当該地域の桜葉データとの照合が可能な水準に到達しています。この地域に該当しないデータは,すなわち本来,伊豆産と表示するに該当しない製品と して,ある国産桜葉がどの地域の桜葉を使用しているとすれば,当該地域の桜葉データとの照合が可能な水準に到達しています。この地域に該当しないデータは,すなわち本来,伊豆産と表示するに該当しない製品という事になります。」との記載がある。上記記載によれば,平成22年9月7日時点におけるF社の国産桜葉の安定同位体比データベースのデータの総数は280件であったことがうかがわれるから,上記時点より作成時期が前の同年6月8日付け本件分析試験報告書記載の分析結果が,そもそも原告らが主張するような総サンプル数が数千に上るサンプルを基礎とする桜葉の安定同位体比データベースに基づいてされた判別分析の結果であるといえるのか疑わしいといわざるを得ない。 b また,Y東大教授作成の「判別分析」と題するスライド資料(甲44)中に,「判別分析に必要なサンプルの数」として,「グループがきれいに分かれていればサンプルは少なくても良い」,「より正確な判別関数を求めるにはサンプルは多い方が良い」,「判別関数に用いる変数の数(p)が増えれば,サンプルは多く必要,ただし,(サンプル数/変数の数)は減ってもかまわない」,「一つの目安:最もサンプルの数の少ないグループに含まれるサンプルが3p以上」との記載(最終頁)があることに照らすならば,判別分析に必要なサンプル数は,必ずしも多数である必要はなく,「グループがきれいに分かれていればサンプルは少なくても良い」し,また,原告らが主張するようなδ13C,δ18O及びδ15Nの分布を示した三次元分布図でなくても,δ13C,δ18O又はδ15Nのいずれか二つの組合せによる分布図で,判別の基礎としたグループ分けを示すことは可能であるといえる。 しかるところ,原告らは,本件分析試験報告書に係る産地別のグループ分けが適切なものであるか Nのいずれか二つの組合せによる分布図で,判別の基礎としたグループ分けを示すことは可能であるといえる。 しかるところ,原告らは,本件分析試験報告書に係る産地別のグループ分けが適切なものであるか,安定同位体比の地理的な分布に明瞭な勾配があるかどうかを確認し得る分布図等のデータを提出していないから,グループ分けの基準とされた判別式,ひいてはその判別式によって導出された判別得点が合理的なものかどうかを確認することはできない。 かえって,F社作成の「桜葉春葉安定同位体比分布図」(甲50)は,甲53記載の「検体」のデータ(検体数172)を基に,縦軸にδ18Oの値を,横軸にδ13Cの値をプロットした分布図であるところ,甲50からは,δ18Oについては,24‰付近を境に,「国産桜葉(春葉)」(24‰~29‰)と「中国桜(春葉)」(20‰~24‰)の明確なグループ分けがされていることを読み取ることができる一方で,δ13Cについては,-29‰~-26‰付近に「国産桜葉(春葉)」及び「中国桜(春葉)」のいずれもが混在し,明確なグループ分けがされているとはいえない。 しかるところ,本件分析試験報告書の「検査結果」によると,δ18Oは,「27.8‰」(前記イ(イ)a),「24.1‰」(同b),「27.0‰」(同c),「27.7‰」(同d)であり,甲50の分布図では,いずれも「国産桜葉(春葉)」にグループ分けされるものであり(δ13Cは,-29‰~-26‰の範囲内にあるから,上記グループ分けの結果と齟齬しない。),本件分析試験報告書の「検査結果」は,甲50の分布図と相反するものといえる。 c 前記a及びbによれば,本件分析試験報告書記載の分析結果は,その判別得点の導出過程について客観的なデータの裏付けがなく,その判別に合理性があるものと認め 50の分布図と相反するものといえる。 c 前記a及びbによれば,本件分析試験報告書記載の分析結果は,その判別得点の導出過程について客観的なデータの裏付けがなく,その判別に合理性があるものと認めることはできないから,前記報告書(甲61)の記載部分は採用することはできず,原告らの前記主張は,理由がない。 (エ) なお,原告らは,甲56記載の20種類の金属元素の含有量の分析結果は,日本産桜葉と中国産桜葉とで樹形図のようなグループ分けができたことを示すものであり,本件分析試験報告書に係る判別方法とは異なるものであるが,被告各商品が日本産桜葉と異なる特徴を示すとともに,中国産桜葉と類似した特徴も示すものであり,本件分析試験報告書の分析結果の有効性を補強するものといえる旨主張する。 しかしながら,原告ら主張の「樹形図のようなグループ分け」なるもののグループ分けの基準は判然としないし,また,20種類の金属元素の含有量によって日本産桜葉と中国産桜葉とを区別できることを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 (オ) 以上によれば,本件分析試験報告書記載の分析結果から被告各商品の桜葉の原産地が「中国」であることを認めることはできない。 (2) 次に,原告らは,被告各商品の販売価格は,国産品の販売価格と比較して極めて安価であり,真実の国産品であるならば,被告各商品の販売価格で販売するのは著しく困難を伴うものといえるから,このことは,被告各商品が中国産であることを裏付けるものである旨主張する。 しかしながら,被告各商品の販売価格が安価であることの一事をもって,被告各商品が中国産であることを裏付けることはできず,原告らの上記主張は,理由がない。 他に被告各商品の桜葉の原産地が「中国」であること がら,被告各商品の販売価格が安価であることの一事をもって,被告各商品が中国産であることを裏付けることはできず,原告らの上記主張は,理由がない。 他に被告各商品の桜葉の原産地が「中国」であることを認めるに足りる証拠はない。 (3) 以上によれば,被告らによる被告各表示を包装袋に付した被告各商品の販売行為及び被告各商品の広告に被告各表示をする行為が不正競争防止法2条1項13号の不正競争行為に該当するとの原告らの主張は,理由がない。 2 結論以上によれば,原告らの請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がないからいずれもを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官髙橋彩 裁判官石神有吾(別紙)商品目録1商品名(1) 桜葉漬(2) 真空包装桜葉漬(別紙)表示目録1(1) 原料原産地日本静岡県(2) 伊豆(3) 加工地日本(4) 国産(別紙)商品目録2商品名(1) 特撰桜葉塩漬(2) 特撰桜葉の塩漬(3) 桜葉の塩漬(4) 桜の葉塩漬け(別紙)表示目録2(1) 原産地静岡県南伊豆(2) 国産(3) 伊豆産(4) 原料原産地日本(静岡県南伊豆)
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