【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人を罰金一、〇〇〇円に処する。 右罰金を完納することができないときは金二〇〇円を一日に換算した期 間被告人を労役場に留置する。
主文 原判決を破棄する。 被告人を罰金一、〇〇〇円に処する。 右罰金を完納することができないときは金二〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 理由 本件控訴の趣意は、土浦区検察庁検察官事務取扱検察官検事中本広三郎の提出にかかる控訴趣意書に記載されているとおりであるから、これを引用し、これに対し当裁判所は事実の取調を行つたうえ、次のとおり判断する。 控訴趣意について(なお、検察官は、当審公判において、控訴趣意第三は、事実誤認を主張する趣旨ではなく、犯意の成立には、違法性の認識を必要としないとの情状として記載したものであるとの釈明をした。)所論は、原判決は、「被告人は、昭和三七年九月一三日午後四時四〇分頃福島県双葉郡a町大字b字c地内道路において、運転の妨げとなるようなサンダルをはいて普通自動車を運転したものである。」との本件公訴事実どおりの事実を認めながら、「被告人は、福島県において、サンダルをはいて自動車等を運転することが、同県道路交通規則により違法とされている点についての認識を有しなかつたから、被告人には、故意がなかつたものという外はない」として、無罪の言渡をしているが、同判決には刑法第三八条第三項の解釈適用の誤りがあり、その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかであるから破棄を免れないという旨の主張に帰着する。 そこで、審按するに、原判決が、被告人には故意がないとして無罪を言い渡した理由の要旨は論旨第一に、摘示されているとおりである。そして違法の認識が犯意成立の要件でないことについては、従来大審院の判例としたところであつたが、新憲法施行後においても最高裁判所は、刑法第三八条第三項の解釈として有毒飲食物等取締令違反被告事件につき、犯罪の構成に必要な事実の認 要件でないことについては、従来大審院の判例としたところであつたが、新憲法施行後においても最高裁判所は、刑法第三八条第三項の解釈として有毒飲食物等取締令違反被告事件につき、犯罪の構成に必要な事実の認識に欠けるところがなければ、その事実が法律上禁ぜられていることを知らなかつたとしても、犯意の成立を妨げるものではない旨の説示をして、従前の判例を維持し(昭和二三年(れ)第二〇三号、同年七月一四日大法廷判決、刑集二巻八号八八九頁参照)、その後も同裁判所は、「自然犯たると法定犯たるとを問わず、犯意の成立には、違法の認識を必要としない。」とし(昭和二四年(れ)第二二七六号同年一一月二八日第三小法廷判決、刑集四巻一二号二四六三頁参照)「犯意があるとするためには、犯罪構成要件に該当する具体的事実を認識すれば足り、その行為の違法を認識することを要しないし、またその違法の認識を欠いたことにつき過失の有無を要しない。」として(昭和二四年(れ)第一六九四号同二六年一一月一五日第一小法廷判決刑集五巻一二号二三五四頁参照)、右大法廷判例の趣旨に従つた判<要旨>決をしており、当裁判所も、右各判例の見解に従うのが正当であると思料する。本件において、昭和三五年福</要旨>島県公安委員会第一四号福島県道路交通規則第一一条第三号は、道路交通法第七一条第七号の規定に基づき車輌等の運転者が守らなければならない事項として「運転の妨げとなるような服装をし、又は下駄、スリツパ、サンダルその他これらに類するものをはいて自動車又は原動機付自転車を運転しないこと」と規定しているところ、被告人の原審第一回公判調書中の供述記載、司法警察員作成の犯罪事実現認報告書および被告人の当審公判廷における供述によれば、被告人は、昭和三七年九月一三日午後四時四〇分頃福島県双葉郡a町大字b字c地内道路におい 第一回公判調書中の供述記載、司法警察員作成の犯罪事実現認報告書および被告人の当審公判廷における供述によれば、被告人は、昭和三七年九月一三日午後四時四〇分頃福島県双葉郡a町大字b字c地内道路において、サンダルをはいて普通自動車を運転した事実を認識しており、ただ、右規則第一一条第三号の規定を知らなかつたにすぎないものであることが認められるから、右各判例の趣旨に徴し被告人の本件所為は、刑法第三八条第三項にいわゆる法の不知に該当し、その犯意を欠くものではないといわなければならない。したがつて、これと相反する判断をし、前記のように被告人に対し無罪の言渡をなした原判決には、法令の解釈適用を誤つた違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由がある。 よつて、刑事訴訟法第三九七条、第三八〇条により原判決を破棄し、訴訟記録ならびに原裁判所および当裁判所において取り調べた証拠によつて、直ちに判決をすることができるものと認められるので、同法第四〇〇条但書に則り被告事件についてさらに判決をする。 (罪となるべき事実)被告人は、昭和三七年九月一三日午後四時四〇分頃福島県双葉郡a町大字b字c地内道路において、運転の妨げとなるようなサンダルをはいて普通自動車(茨五―す七三四四)を運転したものである。 (証拠説明省略)(法令の適用)被告人の本件所為は、道路交通法第七一条第七号、第一二〇条第一項第九号、昭和三五年福島県公安委員会規則第一四号福島県道路交通規則第一一条第三号に該当するので、その金額の範囲内において、被告人を罰金一、〇〇〇円に処し、右罰金不完納の場合における換刑処分につき刑法第一八条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判長判事小林健治判事遠藤吉彦判事吉川由己夫) 〇円に処し、右罰金不完納の場合における換刑処分につき刑法第一八条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判長判事小林健治判事遠藤吉彦判事吉川由己夫)
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