昭和63(オ)591 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成元年3月28日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 昭和61(ネ)481
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人川村享三の上告理由について  消防署職員の消火活動が不十分なため残り

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判決文本文2,569 文字)

主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人川村享三の上告理由について  消防署職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した場合にお ける公共団体の損害賠償責任について失火ノ責任ニ関スル法律の適用があることは、 当裁判所の判例(最高裁昭和五二年(オ)第一三七九号同五三年七月一七日第二小 法廷判決・民集三二巻五号一〇〇〇頁)とするところであり、いまこれを変更する 必要はないというべきである。けだし、公権力の行使に当たる公務員のうち消防署 職員の消火活動上の失火による公共団体の損害賠償責任について同法の適用を排除 すべきものとする十分な理由を見いだし難いからである。そして、原審の適法に確 定した事実関係のもとにおいて、第一次出火の消火活動に出動した被上告人の職員 である消防署職員らに同法にいう重大な過失があるとはいえないとした原審の判断 は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用す ることができない。  よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官伊藤正己の意見がある ほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。  裁判官伊藤正己の意見は次のとおりである。  私は、本件上告を棄却すべきであるとする多数意見の結論には賛成するが、その 理由として、消防署職員の消火活動が不十分なために残り火が再燃して火災が発生 した場合についても失火ノ責任ニ関スル法律(以下「失火責任法」という。)の適 用があるとした点に同調することができないので、以下にその理由を述べる。  多数意見の引用する判例は、「公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は - 1 - 公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法四条により失火責任法が適用され、 当該公務員に重大な 理由を述べる。  多数意見の引用する判例は、「公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は - 1 - 公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法四条により失火責任法が適用され、 当該公務員に重大な過失のあることを必要とする」と説示し、このことから直ちに、 第一次出火の際の残り火が再燃して発生した火災による損害につき、第一次出火の 消火活動に出動した消防署職員の重大な過失の有無を判断することなく、右消防署 職員の属する地方公共団体の賠償責任を認めた原判決は違法である旨判示している。 私は、消防署職員であつてもその宿直の際に火を失し火災を発生させたような場合 については失火責任法が適用されると考えるが、火災の消火活動に出動した消防署 職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生したような場合には、 失火責任法にいう「失火」には当たらず、同法の適用はないと解するのが相当であ り、右の判例は変更されるべきものと考える。失火責任法が失火者に重大な過失の ある場合のほか民法七〇九条の適用を排除した理由は、(1) 失火者は自己の財産 をも焼失してしまうのが普通であるから、各人がそれぞれ注意を怠らないことが通 常であり、過失につき宥恕すべき場合が少なくないこと、(2) 我が国の家屋はお おむね木造であるから、市街地などで火を失したときは類焼によつて莫大な損害を 生じるので、すべての損害を失火者に負担させるのは余りにも酷であること、(3)  失火者に対して民事責任を問わない法慣習があつたことなどである。いうまでも なく、消防署職員は消防の専門家で、既に出火があつた場合に、専門家としての知 識、経験、技能等を駆使して消火活動に当たることを職務上要求されているもので あるから、その消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生したような場 合は、文理上「失火」という概念に当たると ての知 識、経験、技能等を駆使して消火活動に当たることを職務上要求されているもので あるから、その消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生したような場 合は、文理上「失火」という概念に当たるということに無理があるのみならず、失 火責任法の立法趣旨として挙げられる前記のような点を考慮して、地方公共団体の 損害賠償責任を軽減すべき実質的な理由もないからである。なお、前記判例の立場 に立ちつつ、消防署職員が消防の専門家であるとの事情は、重大な過失の有無の判 断に当たり考慮すべきであるとの見解がある。しかし、当裁判所の判例は、失火責 - 2 - 任法にいう「重大ナル過失」とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしない でも、わずかな注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた 場合であるのに、漫然これを見すごすような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如 の状態を指すものと解しているところ(最高裁昭和二七年(オ)第八八四号同三二 年七月九日第三小法廷判決・民集一一巻七号一二〇三頁)、消防署職員の消火活動 についても失火責任法の適用があるとの立場に立つたときには、消火活動に当たつ た消防署職員に重大な過失があるとされる場合は皆無に等しい結果になると考えら れるのであつて、右の見解は、多数意見の引用する判例の立場を擁護する根拠とし て有力なものとは思われない。  しかしながら、本件についてみるに、原審の適法に確定した事実関係のもとにお いては、第一次出火の消火活動に出動した消防署職員らに過失があるとはいえない ので、私の見解によつても、結局、本件上告は棄却を免れないといわざるをえない。      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    安   岡   滿   彦             裁判官    伊   藤   正   己          いわざるをえない。      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    安   岡   滿   彦             裁判官    伊   藤   正   己             裁判官    坂   上   壽   夫             裁判官    貞   家   克   己 - 3 -

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