【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人楠見嘉寿彦提出上告趣意第一点について。 原判決はその認定事実を摘示するのに、第一審判決摘示の事実を全部引用してい
主文本件上告を棄却する。 理由弁護人楠見嘉寿彦提出上告趣意第一点について。 原判決はその認定事実を摘示するのに、第一審判決摘示の事実を全部引用しているのであるが、その第一審判決の摘示によると、その冒頭において「被告人は犯意継続して」と明示されてあり、更に同判決に具体的に摘示されてある事実によると、短期間内に同種の犯行が繰り返されていることが自ら明瞭であつて、このことから被告人の各行為は継続の犯意に出でたものであることを窺うに十分である。而して数個の行為が継続の意思に出でたものであることが、証拠によつて認められた犯罪行為の性質、態様等から自ら推知される場合には、犯意継続の点について、特に之を証拠によつて認めた理由を説明する心要がないものと解すべきである。従つて原判決が犯意継続の点について特に証拠説明を欠いているからとて、所論のように理由不備又は理由齟齬の違法があるとは云い得ない。 又原判決は、明らかに刑法第二百三十五条及び同第五十五条を適用しているのであるから、所論の刑法第五十五条の適用を遺脱しているとの非難は全く当らない。 論旨は理由がない。 同第二点について。 所論被害弁償に関する受領書は、証拠書類として裁判所に提出せらるる場合と、証拠方法としてでなく参考として裁判所に提出せらるる場合とがある。右前段の場合は証拠書類の領置押収として所論の如く刑事訴訟法第六十条第九号第十号等に則り、その旨公判調書に記載せらるべきものであること勿論であるが、右後段の場合には公判調書に何等の記載をも必要としないものと云わねばならぬ。ところで、本件所論受領証については公判調書に何等の記載のないところから見て、前示後段に- 1 -該当した場合と解さなければならない。 而してかかる場合と雖も苟くも一件記録に のと云わねばならぬ。ところで、本件所論受領証については公判調書に何等の記載のないところから見て、前示後段に- 1 -該当した場合と解さなければならない。 而してかかる場合と雖も苟くも一件記録に編綴されてあり、殊に論旨主張の如くんば、該受領証は原審第一回公判廷において弁護人から提出せられたものである以上は、原審裁判所はその判決に当り之にも考慮が払われたものであろうことが窺われる。左れば之が公判調書の不記載を理由とする所論は、前示後段の場合に対する理由なき攻撃であるから論旨は理由がない。 次に原審第二回公判調書によると、所論のように原審第二回公判期日に弁護人志波清太郎、楠見嘉寿彦が各出頭したりとは記載してなく、「弁護人志波清太郎、楠見嘉寿彦各出頭しない」と記載してあるから(即ち此点当該公判調書の誤読と思はれる)、この点の論旨も亦採用できない。 同第三点について。 刑の執行猶予を言渡すか否かは、事実審裁判所が諸般の情状を考慮して自由に定め得るところであるから、刑の執行猶予の言渡をしなかつたことを以つて原審の措置を非難するのは、原審の専権事項に対する攻撃である。従つて上告適法の理由とならない。論旨は理由がない。 以上の理由により、刑事訴訟法第四百四十六条に従い主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。 検察官柳川真文関与昭和二三年一一月五日最高裁判所大法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官長谷川太一郎裁判官沢田竹治郎裁判官霜山精一- 2 -裁判官井上登 裁判官沢田竹治郎裁判官霜山精一- 2 -裁判官井上登裁判官真野毅裁判官島保裁判官斎藤悠輔裁判官藤田八郎裁判官岩松三郎裁判官河村又介裁判官小谷勝重は、差し支えにつき署名捺印することができない。 裁判長裁判官塚崎直義- 3 -
▼ クリックして全文を表示