令和7年2月18日宣告令和5年(わ)第282号住居侵入、強盗致死被告事件判決 主文 被告人を無期懲役に処する。 未決勾留日数中520日をその刑に算入する。 押収してあるバール1本(令和7年押第1号符号1)を没収する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、金品を強奪しようと考え、甲、乙、丙及び氏名不詳者らと共謀の上、令和5年1月19日午前11時31分頃、東京都狛江市内にあるA方に、宅配業者を装って玄関ドアから侵入し、その頃から同日午後1時12分頃までの間、同所において、A(当時90歳)に対し、その両手を結束バンドで緊縛し、その背部等を足で蹴り、その腹部及び背部等を持っていたバール(令和7年押第1号符号1)で多数回殴るなどの暴行を加え、その反抗を抑圧した上、同人管理の腕時計3個(時価合計約58万円相当)を奪い、その際、前記一連の暴行により、同人に多発肋骨骨折等の傷害を負わせ、その頃、同所において、同人を前記傷害に基づく外傷性ショックにより死亡させたものである。 (証拠の標目)省略(争点に対する判断)第1 争点本件の争点については、公判前整理手続では公訴事実の存否とされたところ、当公判廷において、被告人は、本件に犯行の実行役の一人として関与したこと自体は認める一方で、Aに対してバールで殴打するなどの暴行に及んだのは共犯者らであって、自身が直接Aに対して暴行に及んだことは一切ない旨供述し、弁護人も、弁論において、被告人に住居侵入、強盗致死の共同正犯が認められ ることに争いはない(ただし、A方で奪った財物は腕時計3個のみであるとする。)とした上で、被告人はAに対して一切暴行をしていない旨主張するに至った。この点、共犯者らの各供述を含む関係証拠によっても、被 ことに争いはない(ただし、A方で奪った財物は腕時計3個のみであるとする。)とした上で、被告人はAに対して一切暴行をしていない旨主張するに至った。この点、共犯者らの各供述を含む関係証拠によっても、被告人が氏名不詳者らの指示のもと、甲、乙、丙と共に強盗の目的で判示日時にA方に宅配業者を装って玄関ドアから侵入したこと、A方において共犯者が判示腕時計3個を奪ったこと、Aが多発肋骨骨折等の傷害に基づく外傷性ショックにより死亡したことは、いずれも優に認められるし、Aの遺体の状況等にも照らせば、被告人及び共犯者らのうちのいずれかがAの両手を結束バンドで緊縛した上で、その腹部や背部等をバールで多数回殴打するなどの暴行を加えたことも認められるところ、検察官は、このバールによる暴行を加えたのは被告人であると主張する。そのため、本件の主たる争点は、被告人がAに対してバールを用いた暴行を加えたか否かということになる。 当裁判所は、Aに対するバールによる暴行は被告人が加えたものと認めた上で、判示の事実が認められると判断したので以下その理由を説明する。 第2 A方地階における暴行等についての共犯者らの供述とその信用性等 1 甲の公判供述の要旨甲がA方の地階を物色していると、被告人、乙及び丙がAを地階に運んできて、地階の通路上の階段に近いところに置いた。甲はAに「金はどこだ」と言いながら、Aの背中、お尻辺りをサッカーボールを蹴るように3回から5回、かなりの力で蹴った後、Aを地階の通路上の東側洋室の正面辺りに移動させた。 甲は、同洋室にいた被告人に「バールを持ってこい」と言い、さらに、バールを持って同洋室から出てきた被告人に対し「やれ」と言ったところ、被告人は、両手でバールの端を持ち、体の右側を下にして通路に横たわっていたAの背中やお尻、わき腹、左腕に てこい」と言い、さらに、バールを持って同洋室から出てきた被告人に対し「やれ」と言ったところ、被告人は、両手でバールの端を持ち、体の右側を下にして通路に横たわっていたAの背中やお尻、わき腹、左腕に対して、バールを頭上まで振り上げ、思い切り振り下ろして殴打することを6回から8回ほど行った。甲は、Aに「金はどこだ」と尋ねたものの、Aが何も答えなかったため、被告人に「ストップと言うまでや れ」と言ったところ、被告人から「これ以上やったら死にますよ」と言われたが、被告人に「お前がやらないなら、今、俺がここでおまえのことをぶっ殺す」と更に言い、被告人はAをバールで3回から4回叩いた。さらに、甲は、3、2、1とカウントダウンしたら1発殴るよう被告人に言って、そのとおり甲がカウントダウンをする度に被告人がバールで1回殴打するということが3回から4回繰り返された。その後、甲は、被告人に地階を物色するよう言い、自分は、Aの背中やお尻を蹴り、「家を燃やすぞ」「娘、息子を殺すぞ」などと告げた。 2 丙の公判供述の要旨丙がA方の地階に行ったところ、東側洋室の入口前辺りにAが右半身を下にして横たわっていて、被告人が、バールを頭上まで振り上げてから振り下ろすようにしてAを叩いていた。甲がAに対し「金どこだ」「言わなきゃ殴るぞ」「3、2、1」「言わなきゃ娘、息子殺すぞ」などと言い、被告人が、バールでAを3回から4回ほど叩くといったことが、3回から4回ほど繰り返されていた。Aは何も言わなかったため、甲は拷問をやめて、Aに対して去り際に「この家に火つけていくからな」と言っていた。 3 甲及び丙の各公判供述の信用性等⑴ 甲の供述する被告人の暴行内容や、その時の甲及び被告人の発言内容は非常に具体的なものである上、バールを用いた暴行が甲の指示 いくからな」と言っていた。 3 甲及び丙の各公判供述の信用性等⑴ 甲の供述する被告人の暴行内容や、その時の甲及び被告人の発言内容は非常に具体的なものである上、バールを用いた暴行が甲の指示によるものであったこと、被告人からこれ以上やればAが死ぬ旨を言われてもなお、被告人に対して殴打の続行を指示したことなど、甲に相当不利益な内容が含まれている。 また、Aの司法解剖を担当したa医師(a医師は司法解剖の経験豊富な医師であり、その供述は十分に信用できる。)の供述によれば、Aの左背中の周囲にある打撲症の分布からすると、その成傷機序は同時多発的な受傷であるとともに、創傷に列序性(規則正しく並ぶ傾向があること)があることから、 棒状の鈍体が用いられた可能性があると認められ、また、創傷の程度からすると、交通事故等のような高エネルギーが加わって生じたものであると認められるところ、こうしたAの状態は、体の右側を下にして横たわっていたAの背中やお尻、わき腹、左腕に対して、頭上まで振り上げたバールを思い切り振り下ろすといった態様で多数回殴打するという、甲が供述する被告人の暴行内容と整合する。そうすると、甲の供述は基本的に信用できるというべきである。 次に、丙の供述をみると、丙は甲のように自身に不利益な供述をしているわけではないが、被告人による暴行内容やその際のAの体勢等、概ね甲の前記供述と同内容の供述をしているから、丙の供述も基本的に信用できるというべきである。取り分け、甲がカウントダウンをしたなどということは、実際に聞いた者でなければ供述できないような内容といえるのであり、甲と丙の各供述はそれぞれその信用性を相互に高め合っているといえる(なお、Aをバールで殴打していた際に被告人がバールのどの部分を持っていたかについて、甲及び丙の できないような内容といえるのであり、甲と丙の各供述はそれぞれその信用性を相互に高め合っているといえる(なお、Aをバールで殴打していた際に被告人がバールのどの部分を持っていたかについて、甲及び丙の各供述に齟齬があるものの、些末な点に過ぎず、その核心部分の信用性に影響を与えるようなものではない。)。 以上によれば、甲及び丙の前記各供述は、その核心部分において十分に信用できる。 ⑵ 弁護人は、甲が、本件犯行の直後において、被告人のせいにしようなどと述べていたこと、甲、乙及び丙は、本件犯行後も、一緒に宿泊するなど行動を共にしていたことなどから、上記3名の間で、被告人がバールでAを叩いたことにするよう、口裏合わせが行われた可能性があるなどと主張する。 しかしながら、仮にAをバールで叩いたのが被告人以外の者であるにもかかわらず、その責任を被告人に擦り付ける目的で口裏合わせをするのであれば、単に被告人がその判断で勝手にAをバールで殴打したことにすれば足りるのに、前記のとおり、甲の供述内容は、甲が被告人に指示してバールでA を叩かせたという自身の刑責軽減には全く繋がらない内容であり、被告人に刑責を擦り付ける目的でなされた口裏合わせの結果としては明らかに不自然であるし、少なくとも甲にはそのような口裏合わせのメリットは全くない。 また、被告人がAをバールで多数回殴打したなどと虚偽の事実を作出して口裏合わせをするのであれば、この点に関する甲、乙及び丙の3名全員がその供述を一致させるのが合理的であるが、乙はバールによる暴行の場面を見ていない旨供述しているし、被告人のAに対するバール以外による暴行についても、上記3名の供述には必ずしも一致しない点も散見される。 そもそも、甲にとって、乙及び丙は、指示役によってSNSを通じて犯罪行為 い旨供述しているし、被告人のAに対するバール以外による暴行についても、上記3名の供述には必ずしも一致しない点も散見される。 そもそも、甲にとって、乙及び丙は、指示役によってSNSを通じて犯罪行為を実行するために集められた者同士に過ぎず、互いをかばい合うような特別な人的関係があったともうかがわれないことに照らせば、互いの刑責を軽減させたり、あるいは他の者に刑責を擦り付けたりする目的で、捜査機関等に虚偽供述をすることを前提とした口裏合わせをすること自体が考え難い。 甲、乙及び丙が、本件犯行後も行動を共にしていたという弁護人が指摘する事情は、単に本件犯行の翌日にも、上記3名が別の強盗事件に参加する予定であったからに過ぎず、そのような状況下で、現実化の兆しもなかった本件による逮捕という事態を想定して、本件に関する具体的な口裏合わせを行うとも考え難い。結局、弁護人の主張は、抽象的な可能性を述べるものに過ぎず、甲及び丙の前記各供述の信用性を左右するものではない。 第3 被告人の公判供述とその信用性 1 被告人の公判供述の要旨被告人は、丙に続いてA方に侵入した後、Aのほかの家人の在宅を確認するためまず2階に行ったが、再度1階に降りてきた時には両手を結束バンドで緊縛された状態のAを丙が押さえており、その後、甲と乙がA方に入って来て、甲はAの頭部を踏み付けるように蹴って地階に向かった。 その後、地階にいた甲が1階にきて、「ババア金どこあるんだ」と言い、Aに 対し、その顔面か胴体を蹴るとともにバールで1回叩いたことがあった。地階に戻っていた甲が1階にきて、Aに「金どこにあるんだ」と言いつつ、Aをバールで3回叩き、1回足で蹴ったこともあった。さらに、乙がAを押さえ付けている際、Aが乙の手に噛み付いたようで、乙が、Aの頭を何度も蹴りつけ、Aを気 きて、Aに「金どこにあるんだ」と言いつつ、Aをバールで3回叩き、1回足で蹴ったこともあった。さらに、乙がAを押さえ付けている際、Aが乙の手に噛み付いたようで、乙が、Aの頭を何度も蹴りつけ、Aを気絶させたことがあった。その後も、甲が1階に来て、意識のないAに「なめんじゃねえこのやろう」と言い、バールで2、3回叩いていたことがあった。 2 被告人の公判供述の信用性しかしながら、被告人の供述を前提とすると、A方に侵入した後、丙が一人でAの両手を緊縛したことになるが、この時点でAが何らの抵抗もできないような状態にあったことはうかがわれず、その抵抗を抑えつつ、結束バンドを締め込むという必ずしも片手で簡単にできるわけではない作業を丙一人で迅速に行えたとは考え難い。むしろ、丙が供述するとおり、一人では手間取ったために2名でそうした行為に及んだと考えるのが自然といえる。 また、関係証拠によれば、本件犯行は、家人に金の在りかを聞き出して現金等を奪うなどする計画であったものと認められるが、被告人の公判供述によれば、甲は、意識がなく、したがって金の在りかを話すこともできないAをバールで叩くなどしたというのであり、その暴行は目的が明らかでない、犯行計画に沿わないものとなっている。事件当時90歳と高齢であったAが、甲から複数回にわたってバールで叩かれるなどした後も、なお乙の手に噛み付くなどして抵抗していたというのも、不自然さが否めない。 加えて、前記のとおり、a医師の供述によれば、Aの創傷には列序性があるとされ、Aの左腕によって打撃からカバーされていた可能性がある部分の肋骨は骨折を免れているなどとも説明されていることからすると、Aに対するバールによる暴行は、暴行の間、暴行を加えた者とAとの位置関係が大きく異ならない状況で、かつ、Aがその体の右側を下に ある部分の肋骨は骨折を免れているなどとも説明されていることからすると、Aに対するバールによる暴行は、暴行の間、暴行を加えた者とAとの位置関係が大きく異ならない状況で、かつ、Aがその体の右側を下にして横たわり、Aの左腕はAの体の左側の一部に終始接着している体勢を取り続けた中で行われたものと考えや すい。しかし、被告人の供述するバールによる暴行は、A方地階の通路のように細長い場所ではなく、具体的な位置は明らかではないもののA方1階で行われたもので、しかも少なくとも3度、異なる機会に繰り返されたというのであるから、それだけでも、暴行の際の甲とAの位置関係がいずれも同様であったのか疑問が残るし、その間には、Aが抵抗するなどし、乙がAの頭部を何度も蹴りつけたこともあったというのに、Aの体勢がほとんど変わらないということがあり得るのかという疑問も残る。 これらによれば、被告人の供述には種々の不自然な点、疑問があり、しかも、前記のとおり信用性の認められる甲及び丙の各供述の核心部分と真っ向から反してもいて、その供述を信用することはできない。 第4 結論以上の次第で、関係証拠及び信用できる甲及び丙の各供述により、被告人がバールでAの腹部及び背部等を多数回殴打するなどの暴行を加えたことが認められる。そして、上記暴行のほか、Aの背部等を足で蹴るなどの甲の暴行も含む一連の暴行が原因でAが死亡したことは明らかである。よって、判示のとおりの事実を認定した。 なお、A方の家人らは、腕時計3個に加えて指輪1個も盗まれた旨供述をしているところ、この指輪は本件後の捜査でも発見されておらず、被告人及び共犯者らはいずれも指輪を奪ってはいない旨供述している。A方の家人らの各供述内容を前提としても、本件犯行に間近い時期に指輪を確認したことはなかったとされ 本件後の捜査でも発見されておらず、被告人及び共犯者らはいずれも指輪を奪ってはいない旨供述している。A方の家人らの各供述内容を前提としても、本件犯行に間近い時期に指輪を確認したことはなかったとされていることを踏まえると、本件犯行の機会に間違いなく上記指輪が奪われたとまでは認めることができないから、被害品については腕時計3個の限度で認定した。 (法令の適用)省略(量刑の理由) 1 本件は、指示役らにおいて、A方に多額の現金が保管されているとの情報を入 手し、現金の在りかを知る家人が在宅している時を見計らってA方に押し入り、家人に暴行を加えて現金等の在りかを聞き出してこれを強奪する犯行を計画し、これを実行した事案である。 指示役らは、秘匿性の高いメッセージアプリを通じ、実行役である被告人及び共犯者らに対して、宅配業者を装って家人に玄関ドアを開けさせること、家人に声を出させないために躊躇なく暴行を加えることなどを指示し、実行役においても、指示役らから提供された宅配業者を装うための作業着に加え、伝票を貼付した段ボール、家人を緊縛するために結束バンドを手錠のように組み合わせたもの、金庫を開けるためのバール等を用意し、宅配業者役を決めて作業着に着替えさせる、A方に侵入するタイミングをうかがうなど周到に準備を行い、さらに、犯行の実行に当たっても、同様に予め準備したワイヤレスイヤホンを実行役が装着し、指示役と実行役との緊密な連絡を維持しながら、物色やAへの暴行等を実行している。その犯行は、組織性、計画性の際立ったもので、このような点のみでも本件の犯情は極めて悪い。 被告人らは、A方に押し入り、時価合計約58万円の腕時計3個を奪ったほか、高齢のAの両手を結束バンドで緊縛した上で、Aから現金等の在りかを聞き出すべく、抵抗や防御もできないAの 犯情は極めて悪い。 被告人らは、A方に押し入り、時価合計約58万円の腕時計3個を奪ったほか、高齢のAの両手を結束バンドで緊縛した上で、Aから現金等の在りかを聞き出すべく、抵抗や防御もできないAの身体をバールで多数回殴るという強烈な暴行を加え、さらに、現金の在りかを話さなければ「娘や息子を殺す」「家を燃やす」などと脅し、更にAを足で蹴るなどの暴行も加えている。このような暴行により、Aはその身体に20か所以上の骨折を負わせられるなどして、外傷性ショックにより死亡したのであり、その犯行態様は拷問ともいうべき、執拗で極めて残忍なものである。突然、自宅に押し入った被告人らに緊縛され、苛烈な暴行を受けながら詰問され続けた挙句絶命したAの恐怖、苦痛がいかほどかは想像を絶するというほかない。Aの平穏な余生を奪った被告人について、極刑を求める遺族の心情は十分に理解できる。 2 本件犯行における被告人固有の事情をみても、被告人は、実行役として、宅配 業者を装ってAを玄関ドアまで呼び出すと、共犯者と共に居宅に侵入してAの両手を結束バンドで緊縛した上、被告人自身が、バールによる多数回の殴打という、執拗かつ残忍でAの死に直結した暴行を行っている。被告人がバールによる殴打を行ったのは共犯者の指示によるものではあったものの、被告人は、共犯者から単に「やれ」と言われただけで、バールにより殴打する部位、殴打の回数や強度等は被告人においていかようにも決められる状態であったのに、突如として、Aの身体の枢要部である左背部等をバールで6回から8回ほど相当の強度で叩いたのであり、これらの殴打については被告人が主体的に行ったといえる。被告人は、その後も共犯者からバールによる更なる殴打を指示されると、これ以上殴打すればAが死ぬ旨述べながら、結局、共犯者に指示されるまま同様の 、これらの殴打については被告人が主体的に行ったといえる。被告人は、その後も共犯者からバールによる更なる殴打を指示されると、これ以上殴打すればAが死ぬ旨述べながら、結局、共犯者に指示されるまま同様の強度と考えられる殴打を多数回続けている。このような経過からすれば、Aが死亡するに至ったことについて被告人が負うべき責任は重大で、共犯者からの指示があったことが被告人の責任を減ずる程度にも限度がある。また、被告人は金目当てから積極的に本件に加担したもので、身勝手で利己的な犯行動機に酌むべき事情は一切ない。 弁護人は、被告人の供述を前提として、被告人は指示役に脅されて参加せざるを得なかったなどと主張するが、そもそも被告人自身が指示役による脅しと本件犯行に加担したこととの関連性を説明してはいない。本件犯行前における被告人と共犯者らとのメッセージのやり取り等からすれば、被告人は元々、報酬獲得のために主体的、積極的に行動するつもりであったとうかがわれること、本件犯行後の被告人のメッセージを見ても、リスクと報酬を考えて犯行グループから離脱するなどとして、脅しについて何ら触れるところがないことなどからすると、被告人がその供述するとおりに指示役に脅されたとしても、やむなく本件犯行に参加したものとみる余地は乏しい。 3 以上のとおり、本件犯行は、秘匿性の高いメッセージアプリを利用するなどして、金を得るためであれば犯罪すら厭わない者を全国からたやすく集め、指示役の指揮の下、組織性、計画性の高い犯行を短期間に敢行するという近時現れた極 めて悪質な犯罪類型の一つで、しかもその中でも結果の重大性等から最も厳しく非難されるべき事案といえる。さらに、被告人自身がAの死に直結した暴行を行い、Aの死亡という結果について負うべき責任が重大であることなども考え併せれば、 しかもその中でも結果の重大性等から最も厳しく非難されるべき事案といえる。さらに、被告人自身がAの死に直結した暴行を行い、Aの死亡という結果について負うべき責任が重大であることなども考え併せれば、本件は、過去の強盗致死罪を処断罪とする事案の量刑傾向がそのまま当てはまるものではなく、各共犯者についてその一審判決が認定した犯罪事実の内容及びその科刑状況を踏まえても、なお無期懲役刑を選択するのが相当である。 その上で、一般情状をみても、被告人は、バールによる暴行を全て共犯者の責任にしようとして、公判廷で虚偽の事実を述べていることなどからすれば、被告人が事件に向き合い、反省しているとは到底いえない。 以上を踏まえて、主文のとおり判決する。 (検察官の求刑・無期懲役、主文同旨の没収、弁護人の科刑意見・有期懲役)令和7年2月19日東京地方裁判所立川支部刑事第3部 裁判長裁判官菅原暁 裁判官長橋政司 裁判官瀧田慎太郎
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