主文 一平成八年一一月一七日執行の上県町長選挙の選挙の効力に関する審査の申立てにつき、被告が平成九年三月一七日付けでした裁決を取り消す。 二訴訟費用中、補助参加によって生じた費用は被告補助参加人らの負担とし、その余は被告の負担とする。 事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一原告ら 1 主文第一項と同旨 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二被告 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 第二事案の概要本件は、平成八年一一月一二日に告示され、同月一七日に執行された上県町(長崎県上県郡)の町長選挙における不在者投票に関し、被告が、同町選挙管理委員会の委員長が公職選挙法四九条一項各号所定の事由(以下「不在者投票事由」という。)の存否について審査義務を尽くしておらず、その管理執行手続の違法が選挙の結果に異動を及ぼす虞があるとして、右選挙を無効とする旨裁決したのに対し、原告らが、そのような管理執行手続の違法はないと主張して、右裁決の取消しを求めた事案である。 一争いのない事実等以下の事実は、当事者間に争いがないか、括弧内掲記の証拠により容易に認められる。 1 平成八年一一月一二日(以下、特に断らない限り、日付けはすべて平成八年を指す。)に上県町の町長選挙が告示され、同月一七日に執行された(乙第八号証。 以下、この選挙を「本件選挙」という。)。 2 本件選挙における不在者投票は、選挙期日の告示日である一一月一二日から選挙期日の前日の同月一六日までの五日間、各午前八時三〇分から午後五時までの投票時間で行われ、四〇四件の不在者投票があった。その内訳は次のとおりである。 (一) 上県町選挙管理委員会における不在者投票三〇二件(別表1の番号16ないし24及び別表2の合計一〇三件を含む。)(二 時間で行われ、四〇四件の不在者投票があった。その内訳は次のとおりである。 (一) 上県町選挙管理委員会における不在者投票三〇二件(別表1の番号16ないし24及び別表2の合計一〇三件を含む。)(二) 他市町村選挙管理委員会における不在者投票三〇件(三) 不在者投票指定施設における不在者投票六二件(四) 郵便による不在者投票一〇件なお、上県町選挙管理委員会(以下「町選管」という。)における不在者投票の記載をする場所は、同町役場一階相談室及び同町役場仁田支所一階会議室に置かれ、町選管委員長が選任した五名(書記a、事務吏員b、同c、同d、同e。以下、書記aを「a書記」といい、その余の事務吏員はいずれも姓のみで表示する。)の不在者投票管理者の職務補助執行者(以下「補助執行者」という。)により、不在者投票に係る投票用紙及び不在者投票用封筒の交付の請求の受付及び宣誓書兼請求書の審査事務が行われた(乙第八号証、第一三号証)。 3 原告fは本件選挙において得票数一八三八票で当選した。落選人gの得票数は一七六八票であった。その余の原告らはいずれも本件選挙の選挙人である。 4 被告補助参加人h及び同iは、一二月二日、右選挙の効力に関し、町選管に異議の申出をしたが、町選管は、同月二七日、右申出を棄却する決定をし、その決定書は、そのころ右両名に交付された(乙第一号証)。 5 この決定に対し、右両名は、平成九年一月一三日、被告に審査の申立てをしたところ、被告は同年三月一七日右町選管の決定を取り消し、本件選挙を無効とする裁決(以下「原裁決」という。)をした。同裁決書は同月一八日右両名に交付され、同裁決は同月二五日に告示された(乙第三号証)。 原裁決の理由の概要は、「町選管における不在者投票三〇二件のうち一〇三件については、不在者投票用紙等の交付請求に応じる は同月一八日右両名に交付され、同裁決は同月二五日に告示された(乙第三号証)。 原裁決の理由の概要は、「町選管における不在者投票三〇二件のうち一〇三件については、不在者投票用紙等の交付請求に応じるにあたって不在者投票事由についての町選管の委員長による審査義務が尽くされておらず、不在者投票の管理執行手続に違法があったといわざるを得ない。そして、本件選挙の開票結果は、当選人fの得票数一八三八票、落選人gの得票数一七六八票であつて、その差は七〇票であるから、違法な管理執行手続のもとになされた不在者投票が合計一〇三件存在すると認められる以上、かかる違法は選挙の自由公正を害するおそれがあるのみならず、本来不在者投票をできない者が相当多数不在者として投票したことも推認でき、このような者が不在者投票を拒否された場合、投票当日棄権した者もあるかも知れないし、また、不在者投票した場合と選挙の当日に投票した場合とで、同じ候補者に投票するとは限らないなど、その違法が選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合に該当することは明らかである。」というものである。原裁決が管理執行手続に違法があるとする一〇三件の不在者投票は、本判決別表1の番号16ないし24及び別表2記載のものである。 二争点原告らは、町選管の委員長は本件選挙の不在者投票における不在者投票事由についての審査義務を尽くしており、その管理執行手続に違法はないから、本件選挙を無効とした原裁決は違法であると主張してその取消しを求めており、被告は、本件選挙においては、当選人である原告fと落選人であるgの得票数の差は前述のとおり七〇票であるところ、町選管の委員長が不在者投票事由についての審査義務を尽くさず、違法な管理執行手続のもとになされた不在者投票が右を上回る一〇三件存在するから、その違法が選挙の結果に異動を のとおり七〇票であるところ、町選管の委員長が不在者投票事由についての審査義務を尽くさず、違法な管理執行手続のもとになされた不在者投票が右を上回る一〇三件存在するから、その違法が選挙の結果に異動を及ぼす虞があり、本件選挙は無効であると主張している。 具体的には、当事者双方は、以下の1ないし3の各争点について、以下のとおり主張している。 1 どのような事由が不在者投票事由に該当するか。 (一) 原告らの主張(1) 不在者投票制度は、選挙の当日は差し支えがあるが積極的に投票の意思を有する有権者にもできるだけ投票の機会を与え、もってその選挙権の行使を不当に妨げることのないようにしようというものである。殊に、国民の生活様式、仕事や業務の内容が多様化して国民全体が日曜日に一斉に休みを取るという時代ではなくなり、週休二日制が定着して国民の間に余暇を大切にする気風が広まりつつある現代社会にあっては、できるだけこの制度を柔軟に運用することが求められている。 したがって、その制度の運営は、不在者投票をしようとする者の意思を尊重し、これができるだけ選挙に反映されるようにして、国民固有の権利である選挙権の自由な行使が最大限保障されるようにしなければならない。したがって、不在者投票事由の解釈はなるべく緩やかにして、できるだけ多くの有権者がその選挙権を行使し得るようにしなければならず、不在者投票事由を厳しく限定することは、選挙権を国民固有の権利と定めた憲法一五条の趣旨に反する。 (2) このような理由からすると、スポーツ、レジャー、レクリエーション活動に参加したり、私的な旅行や家族旅行に行く等、選挙の当日に投票することが困難な事情があるときは、広く不在者投票を認めるべきであり、不在者投票事由を厳格に解して、これらの場合に不在者投票を拒否することは、憲法一三条等で な旅行や家族旅行に行く等、選挙の当日に投票することが困難な事情があるときは、広く不在者投票を認めるべきであり、不在者投票事由を厳格に解して、これらの場合に不在者投票を拒否することは、憲法一三条等で認められた余暇を有意義に過ごす権利をも侵害することになる。 (3) また、上県町は、対馬下島北部に位置し、交通の便も悪く、島内の移動にも長時間を要する地域である。公共交通機関もバスしかなく、その便数も少ないので、とりわけ車の運転をしない老齢者にとっては、島内を移動するにも一日がかりとなる。このような同町の特殊性にかんがみれば、都会では不在者投票事由となり得ないような事由でも、本件選挙においては公職選挙法(以下「法」という。)四九条一項二号の「やむを得ない用務」に該当するものと解釈されることがあるべきである。 (二) 被告の主張(1) 法は、選挙人が選挙の当日に自ら投票所に行き投票用紙の交付を受け、候補者の氏名を記載して投票することを原則としている(四四条ないし四六条)。そして、不在者投票は、この当日投票の原則に対する例外であるから、不正投票の混入を避け、その濫用を防止し、選挙の公正を確保しようとする趣旨から、法は、その要件を厳格に定めており、法四九条一項各号に規定する不在者投票事由がある場合及び同条二項に該当する場合にのみ許されるものとしている。 (2) とりわけ、法四九条一項二号は、「選挙人がやむを得ない用務又は事故のためその属する投票区のある市町村の区域外に旅行中又は滞在中であるべきこと。」を不在者投票事由として定めている(以下これを「二号事由」という。)が、ここにいう「やむを得ない用務のため旅行中」とは、法令上の義務を課せられた用務による旅行がこれに該当することは明白であるが、私事旅行ないし家族旅行については、その旅行が社会通念に照らし いう。)が、ここにいう「やむを得ない用務のため旅行中」とは、法令上の義務を課せられた用務による旅行がこれに該当することは明白であるが、私事旅行ないし家族旅行については、その旅行が社会通念に照らして付き合い、儀礼等の理由から社会生活上必要な用事又は当該選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難な用事のための旅行に限られるものというべきである。 (3) 法及びその規定を受けた同法施行令(以下「令」という。)及び同法施行規則(以下「規則」という。)が不在者投票の要件、手続及び関係書類の様式を厳格に定めている趣旨からすれば、不在者投票事由の具体的要件についての前記原告らの主張は、現行法の解釈として成り立つものではない。 2 不在者投票において町選管の委員長が尽くすべき不在者投票事由についての審査義務の程度いかん。 (一) 原告らの主張(1) 不在者投票制度は、選挙の当日は差し支えがあるが積極的に投票の意思を有する有権者にもできるだけ投票の機会を与え、もってその選挙権の行使を不当に妨げることのないようにしようというものである。 また、不在者投票用紙等の交付請求及び不在者投票事由の申立ては、その方式に何らの定めもなく、必ずしも書面によることを要せず、口頭によることも差し支えないとされており、不在者投票用紙等の交付請求をするにあたり、宣誓書以外の書面を提出することは法令上要求されていない。しかも、宣誓書の基本的な目的は、不在者投票を求める者に不在者投票事由に関する申告が真正であることを誓わせることにあるが、その中に記載する不在者投票事由についても、個別具体的な事由を記載することは求められておらず、所定の不在者投票事由(単に旅行とか結婚式といった概括的なもの)を○で囲むという極めて簡単な形式になっているにすぎないから、それは不在者投票事由の完全 具体的な事由を記載することは求められておらず、所定の不在者投票事由(単に旅行とか結婚式といった概括的なもの)を○で囲むという極めて簡単な形式になっているにすぎないから、それは不在者投票事由の完全な記載がなされることを予定された書面ではない。 不在者投票においては、選挙人の本人確認さえ確実に行えば不正は防止できるのであり、他方、個人の営業や職務上の秘密、プライバシー、信仰の自由の保護は、日本国憲法で保障された重要な権利であって、不在者投票用紙等の交付請求者に補助執行者が不在理由等を詳細に問いただすことは、右の憲法上の権利を侵害することになるし、選挙人の側にもそれらの事由について説明する義務はないというべきである。 したがって、不在者投票の手続にあたっては、できるだけ投票請求者の良心を尊重し、その自主申告から、選挙の当日に職務ないし業務に従事中であるか、あるいは用務や事故のために投票をすることが困難である事情が一応推測できれば、不在者投票を認めるべきであり、選挙管理委員会において、選挙人の職務や業務、あるいは用務や事故の詳しい内容まで審査しなくても、不在者投票事由の審査義務は尽くしたものというべきである。 (2) また、選挙の執行後、不在者投票事由の有無が問題となった場合にも、投票において不正が行われた疑いがあるなど特別の事情がない限り、できるだけ投票を生かすよう柔軟に判断することが、有権者の選挙権を保障する憲法の趣旨に合致することになる。不在者投票事由が、前述の選挙人の憲法上の権利にかかわるものであることが事後的にでも確認されれば、その管理執行手続は適法と解すべきである。 (3) とりわけ、上県町は、人口四七四三人(有権者三七四一人)の小さな町であるため、不在者投票事務に従事する町職員は選挙人の多くと面識があり、その職業や勤務先に 執行手続は適法と解すべきである。 (3) とりわけ、上県町は、人口四七四三人(有権者三七四一人)の小さな町であるため、不在者投票事務に従事する町職員は選挙人の多くと面識があり、その職業や勤務先について、改めて問わなくても当然に知っている場合も多数あるし、他方、プライバシーに関する事柄については、町選管の側から質問することが困難で、選挙人も回答をためらうという事情がある。 このような同町の特殊性からすれば、補助執行者らが形式的に厳格な審査手続を踏んでいなかったとしても、不在者投票時の選挙人の挙措、言動から状況判断することもやむを得ないものというべく、不在者投票事由が客観的に存在しておれば、補助執行者らの判断を尊重し、審査義務を尽くしたものと解すべきである。 (二) 被告の主張(1) 不在者投票の制度は、当日投票の原則の例外であるから、不在投票の混入を避け、その濫用を防止し、選挙の公正を確保しようとする趣旨から、法、令及び規則は、その要件、手続及び関係書類の様式を厳格に定めている。このことからすれば、法四九条一項一号所定の不在者投票事由(以下「一号事由」という。)については、その「職務又は業務」の具体的内容を審査確認しなければならないし、二号事由についても、単に行き先、不在期間、不在理由を確認するだけでは足りず、旅行、帰省の目的や、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難である事情等を聴取して、その不在理由が「やむを得ない用務又は事故」に該当するか否かについて審査しなければならないものというべきである。このような不在者投票に係る不在者投票事由の審査義務は、不在者投票の管理執行にあたって、選挙管理委員会の委員長が尽くすべき極めて重要な基本的義務であり、この義務を尽くさなかった場合には、当日投票の原則の例外として厳格な手続を定めた不在 事由の審査義務は、不在者投票の管理執行にあたって、選挙管理委員会の委員長が尽くすべき極めて重要な基本的義務であり、この義務を尽くさなかった場合には、当日投票の原則の例外として厳格な手続を定めた不在者投票の制度の趣旨及び右手続を定めた法四九条一項、令五三条一項に違反するのみならず、選挙の自由公正の原則が害される虞もあることから、選挙無効の原因となり得るものである。 (2) 法四九条一項の規定に基づいて不在者投票をしようとする選挙人が、選挙管理委員会の委員長に対して投票用紙及び不在者投票用封筒の交付の請求をする場合には、選挙の当日自ら投票所に行き投票することができない事由を申し立て、かつ、当該申立てが真正であることを誓う宣誓書を合わせて提出しなければならない(令五二条)。宣誓書には、右申立てに係る事由が一見して同法四九条一項の定める不在者投票の事由に該当することが明白な程度に記載されていることが望ましいことはいうまでもないが、宣誓書は選挙人のする申立てが真正であることを誓う点に意味があるのであって、必ずしも宣誓書に右の程度に完全な記載がされることを要求されているものとまでは解されない。したがって、選挙人が提出した宣誓書兼請求書の記載からだけでは申立てに係る事由が不在者投票事由に該当すると判断することができない場合には、選挙人に対し口頭説明を求める必要がある。選挙人から投票用紙等の交付の請求を受けた選挙管理委員会の委員長は、宣誓書の記載と口頭説明の内容を合わせ考慮して、当該申立てに係る不在理由が不在者投票事由に該当するかどうか厳正に審査しなければならず、また、これに該当すると判断した場合に限り、右請求に応じることができるものであって、右のように口頭説明を必要とする場合であるにもかかわらず、その説明を受けることなく受理された不在者投票につい らず、また、これに該当すると判断した場合に限り、右請求に応じることができるものであって、右のように口頭説明を必要とする場合であるにもかかわらず、その説明を受けることなく受理された不在者投票については、違法とせざるを得ない。 3 本件選挙において、町選管の委員長による不在者投票事由についての審査義務違反により、管理執行手続に違法のある不在者投票があったか。あったとすれば、その件数いかん。 (一) 原告らの主張(1) 原裁決が違法とした一〇三件の不在者投票のうち、別表1記載のものは一号事由を具備し(ただし、番号24(j)については、予備的に二号事由を具備するものと主張する。)、別表2記載の者は二号事由を具備している(ただし、番号4(k)及び19(l)については法四九条一項三号所定の事由(以下「三号事由」という。)を具備するものと、番号11(m)及び12(n)については、予備的に三号事由を具備するものと、番号63(o)については一号事由を具備するものとそれぞれ主張する)。このうち七三件についての不在理由等は、別表1記載のものについては別表3のとおり、別表2に対応するものについては別表4のとおりであり、被告が主張する基準に従ったとしても、それぞれ不在者投票事由を具備しているものというべきである。なお、二号事由については、行政実例も判例も広い範囲でこれを認めている。 なお、別表2の番号12の選挙人(n)は身体障害者であるが、三号事由にいう「身体の障害のため歩行が著しく困難であるべきこと」とは、物理的に歩行が困難である場合だけではなく、身体の障害のため付添人なしで遠方に移動することができないような場合も含むと解すべきところ、同人の不在者投票はこの場合に当たる。 別表2の番号34の選挙人(p)は、信仰上の理由から、高野山参りの日程を変更できな 付添人なしで遠方に移動することができないような場合も含むと解すべきところ、同人の不在者投票はこの場合に当たる。 別表2の番号34の選挙人(p)は、信仰上の理由から、高野山参りの日程を変更できなかった。このような者に対し、不在者投票を認めず、信仰上の約束に反して日程の変更を強いることは、憲法が保障する信教の自由に対する侵害に当たる。 また、同選挙人は、事前に航空券の手配をしていたものであり、この点からも日程の変更は著しく困難であった。 (2)イ原裁決が違法とした一〇三件に係る宣誓書兼請求書の内容を見ると、別表1及び2のとおり、いずれも不在者投票事由の存在を推測させる記載がなされており、その不存在をうかがわせるものはないから、その管理執行手続はすべて適法である。 ロ本件選挙においては、選挙運動が過熱していることや、不在者投票の増加が見込まれたことから、町選管では、本庁における補助執行者を従前の二名から三名に増員したほか、審査事務について特に厳格公正を期するよう心がけた。補助執行者であるa書記は、他の補助執行者に対し、不在者投票の手引書を交付していたほか、口頭でも、選挙人に旅行等の目的を尋ね、不在期間、行き先も確認するよう指導し、さらに、審査事務の現場で不明な点が出た場合には、a書記に電話連絡して問い合わせるよう指示していた。このような中で、補助執行者らは、いずれも不在者投票事由について厳格な審査を行い、最低限、不在の事由、期間及び行き先については必ず聴取した。その審査内容等は、別表1記載のものについては別表3のとおり、別表2記載のものについては別表4のとおりである。 なお、別表1の21のqは、商談のために投票区域外に出張するため選挙の当日に不在である旨説明したが、補助執行者から商談の具体的内容まで質問を受けたことに対しては、回答を拒 は別表4のとおりである。 なお、別表1の21のqは、商談のために投票区域外に出張するため選挙の当日に不在である旨説明したが、補助執行者から商談の具体的内容まで質問を受けたことに対しては、回答を拒絶した。しかし、当該補助執行者は、qがガソリンスタンド経営者であることを熟知しており、商談の具体的内容についてまで知らなくても、同人が仕事の関係で出張することは間違いないと判断できた。一般的に、事業者にとって商談の内容は営業上の秘密に関わることが多いので、投票者本人が商談の具体的な内容についての説明を拒否した場合、補助執行者としては、それ以上商談の具体的内容について聞き出すことは困難である。法の趣旨もまた、投票者が営業上の秘密を放棄しない限り不在者投票を認めないものとは到底考えられないから、当該補助執行者が商談の具体的内容について聞き出すことができなかったからといって、審査義務を怠ったということはできない。 別表1の番号22のP9も、商談の具体的内容について説明を拒んでいるが、商談の内容は営業上の秘密に関わるものであるし、補助執行者は不在者投票事由の審査のために最善を尽くしているから、審査に落ち度はない。 別表2の番号8のrの旅行目的は、次女の縁談についての相談であり、選挙の当日を避けることができなかったから、やむを得ない用務に当たるというべきところ、rは、補助執行者に対し、旅行の目的を告げていない。しかし、縁談は、他人に知られたくない事柄であり、これを秘匿することはプライバシーの権利として当然に許容されるものである。補助執行者は、右の目的をrから聞き出すことはできなかったが、同人の説明とその態度から、「やむを得ない用務」による旅行と判断したものである。 別表2の番号63のoが旅行目的について具体的に説明できなかった理由は別表4記載のとお き出すことはできなかったが、同人の説明とその態度から、「やむを得ない用務」による旅行と判断したものである。 別表2の番号63のoが旅行目的について具体的に説明できなかった理由は別表4記載のとおりであり、このような場合にまで不在理由の説明をしなければならないならば、同人のような仕事に従事する者はおよそ不在者投票ができないこととなるから、旅行目的について説明を求めることは憲法に違反する。 別表2の番号90のsの帰省の目的は、別表4記載のとおりであったため、補助執行者に対し、単に「帰省」としか申告できなかった。しかし、町職員の中には、sの家庭事情を知っていた者もおり、補助執行者としては、諸事情を総合して不在者投票をさせたものと考えられる。 (二) 被告の主張(1) 本件選挙における不在者投票のうち、選挙人の宣誓書兼請求書を必要とする不在者投票は、前記一(争いのない事実等)の2(一)の三〇二件、同(二)の三〇件、同(三)のうち選挙人本人からの請求に係る五件の合計三三七件であり、これらについてはすべて宣誓書が提出されている。このうち、同(一)の町選管における不在者投票の宣誓書兼請求書の中には、不在者投票事由が明白な程度に記載されていると直ちには判断できないものが、別表1及び2のとおり一一八件ある。 (2) 別表1は、町選管の処理簿において、一号事由を具備するものとして選挙人に投票用紙等が交付され、不在者投票がなされたものであるが、そのうち九件について、以下のとおりその管理執行手続に違法がある。 イ番号16(t)については、宣誓書兼請求書の行き先欄に「上県町」とのみ記載され、勤務に従事する場所が当該選挙人の所属する投票区の区域外にあることが明らかでない。宣誓書兼請求書の職業(勤務先)欄には「漁協」と記載されており、漁協建物の所在地で勤務に従事 上県町」とのみ記載され、勤務に従事する場所が当該選挙人の所属する投票区の区域外にあることが明らかでない。宣誓書兼請求書の職業(勤務先)欄には「漁協」と記載されており、漁協建物の所在地で勤務に従事するものと推察されないこともないが、職務又は業務に従事する場所が明白な程度に記載されているとはいい難い。補助執行者は、被告に対する審査申立て手続(前記一(争いのない事実等)の5)において、tから「早期から漁に出る。」との口頭説明を受けた旨証言するところ、この意味は、選挙の当日の早朝から出漁するということであろうが、そうであるならば、不在期間が一一月一六日から選挙の当日である同月一七日までとする宣誓書兼請求書の記載と一見して矛盾しており、補助執行者において不在者投票事由の確認を行ったとは認められない。tは、当時、ヨコワ(マグロの稚魚)漁のため山口県沖に行く予定であったにもかかわらず、宣誓書兼請求書の行き先欄に「上県町」と記載したが、補助執行者からこの点について質問はなかったし、また、漁には毎日出るのであるが、宣誓書兼請求書の不在期間を選挙の当日のみとせずその前日からとしたことについて、特に理由はなかったようであるところ、このことについても補助執行者から質問を受けなかった。よって、番号16の不在者投票については、不在者投票事由についての審査義務が尽くされておらず、その管理執行手続に違法がある。 ロ番号17から22までの六件は、いずれも宣誓書兼請求書の職業(勤務先)欄に記載がなく、かつ、宣誓書兼請求書のその他の記載内容からも選挙人の職業が不明のものである。一号事由は、職務又は業務に従事中であることを不在者投票事由とするものであるから、宣誓書兼請求書の記載から職務又は業務の内容が推察できない場合には、選挙人から口頭による説明を求める必要がある。また 。一号事由は、職務又は業務に従事中であることを不在者投票事由とするものであるから、宣誓書兼請求書の記載から職務又は業務の内容が推察できない場合には、選挙人から口頭による説明を求める必要がある。また、不在者投票用紙等の交付請求を行う者が提出する宣誓書兼請求書は、規則九条、別記第一〇号様式に準じて作成されなければならないが、同様式備考欄に、職業はなるべく詳細に記載することと規定されていることからみても、一号事由に関し、職業(勤務先)欄に記載がないものについて口頭説明を求めず、その内容を審査しないまま不在者投票用紙等の交付請求に応じた場合には、不在者投票の管理執行手続に違法があることとなる。補助執行者らは、宣誓書兼請求書の職業(勤務先)欄に記載がないまま不在者投票に応じたことについて、その問題点を特に意識せず、当該六名の選挙人らに対し、職業について口頭による説明を求め、一号事由の職務又は業務についての審査を行っていない。したがって、右の六件については、不在者投票事由についての審査義務が尽くされておらず、不在者投票の管理執行手続に違法がある。 なお、番号18(u)、19(v)及び20(w)については、当該補助執行者は右不在者投票をした三名の選挙人とは面識がなく、勤務先等について知らなかったところ、この三名は、勤務の内容について申立てをしておらず、補助執行者も、この点について特段質問等をしていない。 ハ番号23(x)及び24(j)については、宣誓書兼請求書の職業(勤務先)欄に無職と記載されている。一号事由にいう「職務又は業務」とは、単なる用務とは異なり、同種類の行為を反復継続することがその要素であり、社会通念上趣味、娯楽、一身上の用事等のためにするものは含まれないが、必ずしも職業の意味に限られるものと解する必要はない。このことからすれば、職 なり、同種類の行為を反復継続することがその要素であり、社会通念上趣味、娯楽、一身上の用事等のためにするものは含まれないが、必ずしも職業の意味に限られるものと解する必要はない。このことからすれば、職業が無職と記載された場合であっても、そのことのみで一号事由の具備が否定されるものではないが、右記載から職務又は業務の内容が推察できない以上、当該選挙人に対し、その内容について口頭で説明を求め、審査する必要がある。しかるに、補助執行者は、右選挙人らから、その職務又は業務の内容について明確な説明を受けないまま不在者投票用紙等の交付請求に応じている。よって、右の二件については、不在者投票事由についての審査義務が尽くされておらず、不在者投票の管理執行手続に違法がある。 (3) 別表2は、町選管の処理簿において、二号事由を具備するものとして、選挙人に投票用紙等が交付され、不在者投票がなされたものである。しかるに、以下のとおり、その九四件すべてについて、管理執行手続に違法がある。 イ番号1については、宣誓書兼請求書の行き先欄に上県町内の住所が記載されているが、二号事由は、当該投票区の属する市町村の区域外に旅行中又は滞在中であることをその要件とするから、その事由には該当しない。また、宣誓書兼請求書の不在理由欄には「見舞い」に○印が付されていることからすれば、法四九条一項のいずれの号にも該当しない。仮に、この不在理由欄の記載が当該選挙人の書き誤りであったとしても、補助執行者においてこれを見過ごしたまま不在者投票用紙等の交付請求に応じたことは、不在者投票事由に関する審査義務を尽くしておらず、不在者投票の管理執行手続に違法があることになる。 ロ番号2(y)については、宣誓書兼請求書の行き先欄に記載がないが、補助執行者は、当該選挙人に対して行き先を尋ねていないから 義務を尽くしておらず、不在者投票の管理執行手続に違法があることになる。 ロ番号2(y)については、宣誓書兼請求書の行き先欄に記載がないが、補助執行者は、当該選挙人に対して行き先を尋ねていないから、不在者投票事由に関する町選管による審査義務を尽くしておらず、不在者投票の管理執行手続に違法がある。なお、原告らの主張によれば、yは、福岡の病院へ娘を検査に連れて行く予定であったとのことであるが、このことについては、島内の医師から特段指示されていないし、娘の体調が急に悪くなったわけでもなく、病院の予約もされておらず、実際に診察も受けていないから、補助執行者において不在者投票事由につき聴取を行い、審査を尽くしておれば、その不存在が確認されることもあり得たものである。 ハ番号3(z)については、宣誓書兼請求書の不在理由欄には「その他」に○印が付され、仕事と付記されているが、職業(勤務先)欄に記載がない。当該選挙人においては、一号事由に該当するところ誤って二号事由に該当する旨の記載をしたものと推察されるが、前述のように、一号事由において職務又は業務の内容が推察できない場合、選挙人に対し口頭で説明を求める必要があるところ、補助執行者から口頭説明を求めた事実はない。また、職務又は業務性が認められないことからすれば、二号事由の「やむを得ない用務又は事故」に該当するか否かも不明である。 よって、不在者投票事由について審査義務が尽くされておらず、不在者投票の管理執行手続に違法がある。 ニ番号4(k)については、宣誓書兼請求書の不在理由欄の「その他」に○印が付けられているが、不在理由に関するそれ以上の具体的記載がないところ、補助執行者は、不在者投票事由(三号事由を含む。)及び行き先について、kから聴取していない。したがって、不在者投票事由について審査義務が尽 ているが、不在理由に関するそれ以上の具体的記載がないところ、補助執行者は、不在者投票事由(三号事由を含む。)及び行き先について、kから聴取していない。したがって、不在者投票事由について審査義務が尽くされておらず、不在者投票の管理執行手続に違法がある。 ホ番号5及び6は、宣誓書兼請求書の不在理由欄の「その他」に○印が付けられているが、不在理由に関するそれ以上の具体的記載がないところ、補助執行者は、当該選挙人らが不在理由を明確に述べなかったため、右のような記載をさせたものである。したがって、右の二件については、不在者投票事由について審査義務が尽くされておらず、不在者投票の管理執行手続に違法がある。 ヘ番号1ないし6を除く八八件は、宣誓書兼請求書の記載の内容から、不在者投票事由として、「旅行」又は「帰省」が申し立てられているものと認められる。このうち単に「旅行」に○印が付けられているだけで他に記載のないもの及び「その他」に○印が付けられ、「旅行」と付記されているものは、二号事由の要件である「やむを得ない用務又は事故」のための旅行であるのか否か明らかでない。また、「旅行」及び「帰省」の二か所又は「帰省」の一か所のみに○印が付けられているものは、親族に会いに行くための旅行と推察されるが、この記載のみでは、これが儀礼等の理由から社会通念上必要な用務のための旅行であるか否か、又は選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難であるなどの事情があるか否かが不明であり、二号事由の要件である「やむを得ない用務又は事故」についての申立てが明白な程度に記載されているとは認められない。番号8及び69には「私用」、同22には「親戚に会いにいくため」、同34には「吉野山高野山参り」と、行き先欄にそれぞれ付記されているが、右と同様の理由により、いずれも二号事由の要 るとは認められない。番号8及び69には「私用」、同22には「親戚に会いにいくため」、同34には「吉野山高野山参り」と、行き先欄にそれぞれ付記されているが、右と同様の理由により、いずれも二号事由の要件である「やむを得ない用務又は事故」が明白な程度に記載されているとは認められない。補助執行者らにあっては、不在者投票用紙等の交付請求をする選挙人から不在理由として旅行又は帰省と申し立てられた場合、行き先と不在期間についての確認を行うだけで、旅行又は帰省の具体的な目的又は当該選挙の当日以外に日程変更することが著しく困難である等の事情について、選挙人に対し口頭説明を求めることはなかったものである。また、宣誓書兼請求書において、不在理由欄の「旅行」又は「帰省」に○印が付されているもののうち、別表2の番号8、22、34及び69に係るものを除いては、不在理由について何ら付記されておらず、かつ、この何ら付記されていない宣誓書兼請求書の中には、補助執行者が選挙人から不在理由等を聴取して代筆の上作成されたものが少なくとも四件分含まれていることからすれば、そもそも、補助執行者らは、二号事由の要件である「やむを得ない用務又は事故」の趣旨について意識しておらず、そのため、その聴取がなされていないことが明らかである。 なお、番号11(m)及び12(n)については、三号事由についての審査も行われていない。 番号14(P1)については、仮にP1が一一月一八日に実施される大型特殊自動車免許の試験を受験しに行く予定であったとしても、補助執行者は、その目的を意識した上での審査をしていないし、仮に、右目的を聴取したとしても、試験は日曜日には実施されないにもかかわらず、土曜日である同月一六日に出発しなければならない理由について聴取していないから、不在者投票事由についての審査義 ていないし、仮に、右目的を聴取したとしても、試験は日曜日には実施されないにもかかわらず、土曜日である同月一六日に出発しなければならない理由について聴取していないから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたとはいい難い。 番号30(P2)については、P2は、補助執行者に対し、福祉大会に出席してそのついでに孫のところに行く旨説明したもののごとくであるが、選挙の当日における不在理由は、福祉大会への出席ではなく、孫に会いに行くことであり、福祉大会の日程によっては、選挙の当日の前に帰ることや投票を済ませてから出発することができるかも知れないにもかかわらず、補助執行者の方から、福祉大会の期日や、選挙の当日までに戻って来ることができない事情について特に質問していない。 番号32(P3)については、同人は、選挙の当日に必ずしも新築の家を見たり、子供に会いに行く必要はなかったところ、補助執行者は、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難な事情等の聴取を行っていない。 番号50(P4)及び51(P5)については、P4及びP5は、補助執行者に対し、娘のバレーボール大会の応援に行くと話したのみであり、試合の日程等について特段説明していない。そうすると、右両名の申立てのみでは、選挙の当日以外に日程を変更できるか否かが判断できないところ、補助執行者は、この点等について具体的に質問していない。また、P5は、P4と横に並んで宣誓書兼請求書を記載し、目の前の補助執行者に提出したが、両者の不在期間が異なっていることについても質問を受けていない。 番号60(P6)については、P6は、補助執行者に対して、娘のバレーボールの試合の応援に行くということは述べたものの、当該選挙の当日以外に日程を変更することが可能かどうか等については質問を受けていない。 番号76 については、P6は、補助執行者に対して、娘のバレーボールの試合の応援に行くということは述べたものの、当該選挙の当日以外に日程を変更することが可能かどうか等については質問を受けていない。 番号76(P7)については、不在理由は、高校生の息子の学校から通知を受けて長崎へ行くというものであるが、かような用務は月曜日以降であることが容易に推察されるところ、宣誓書兼請求書に記載された不在期間が一一月一六日(土曜日)からとなっているにもかかわらず、日程を変更できない事情について補助執行者が特段質問等をしていない点において、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものである。 (4) 本件選挙は、当初から激戦が予想され、不在者投票においては、f、g両候補者陣営の選挙運動員らによる見張り行為及び選挙運動員らによる動員の動きがみられ、町選管及び警察署からも、再三、両陣営に対し指導や注意がなされていた。ちなみに、本件選挙における投票者総数は三六三五(投票率九七・四パーセント)、不在者投票者数は四〇四(不在者投票率一一・一パーセント)であり、過去の平成七年執行町議会議員一般選挙(投票者総数三五六〇、投票率九六・三パーセント、不在者投票者数三一五、不在者投票率八・八パーセント)、平成四年執行町長選挙(投票者総数三三四五、投票率八八・六パーセント、不在者投票者数一八七、不在者投票率五・六パーセント)、平成三年執行町議会議員一般選挙(投票者総数三六七四、投票率九五・八パーセント、不在者投票者数二七二、不在者投票率七・四パーセント)に比べ、かなり多かった。このように、町選管においては、本件選挙に関して、不在者投票が不正に利用されているのではないかとの疑いを持つべき状況下にあったにもかかわらず、補助執行者らに対して、不在者投票事由の要件について内容を聴取の上 、町選管においては、本件選挙に関して、不在者投票が不正に利用されているのではないかとの疑いを持つべき状況下にあったにもかかわらず、補助執行者らに対して、不在者投票事由の要件について内容を聴取の上審査することの必要性及びその方法について研修や具体的指示は何ら行われておらず、補助執行者らの中には、法四九条一項各号のいずれに該当するのか明らかでない者に対し、宣誓書兼請求書の不在理由欄の「その他」に○印を付けさせて不在者投票用紙等の交付請求に応じた者もいたほか、補助執行者らは、不在者投票に応じることについて判断に迷ったり疑義を感じたことはなく、a書記に特に照会することもなかった。本件選挙では、不在者投票に係る投票用紙等の交付が拒否された例はなく、不在者投票事由の審査は極めてずさんなものであった。また、仁田支所においては、二号事由に該当するか否かが宣誓書兼請求書の記載のみからは明らかでない選挙人に対して、不在者投票事由に関する口頭説明すら求めていない。 第三当裁判所の判断一争点1(どのような事由が不在者投票事由に該当するか。)について不在者投票は、法四四条ないし四六条に定める当日投票の原則に対する例外であるが、ややもすれば不正に利用される危険があるため、その濫用を防止し、選挙の公正を確保しようとする趣旨から、法四九条一項各号に規定する不在者投票事由がある場合及び同条二項に該当する場合にのみ許されるものとされている。 不在者投票事由のうち、一号事由は、「選挙人がその属する投票区の区域外において職務又は業務に従事中であるべきこと。」というものであるが、ここにいう「職務又は業務」とは、単なる用務とは異なり、同種類の行為を反復継続することがその要素であり、必ずしも職業の意味に限られるものではないが、趣味、娯楽、一身上の用事等のためにするものは が、ここにいう「職務又は業務」とは、単なる用務とは異なり、同種類の行為を反復継続することがその要素であり、必ずしも職業の意味に限られるものではないが、趣味、娯楽、一身上の用事等のためにするものは含まれないものというべきである。 また、二号事由は、「選挙人がやむを得ない用務又は事故のためその属する投票区のある市町村の区域外に旅行中又は滞在中であるべきこと。」というものであるが、ここにいう「やむを得ない用務のため旅行中」とは、その旅行が儀礼等の理由から社会通念上必要な用務のための旅行であるとか、又は選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難である等の事情が認められる場合(以下「「やむを得ない用務」の要件」という。)に限られるものというべきである。 以上に反する前記原告らの主張は、独自の見解であって、採用することができない。 二争点2(不在者投票において町選管の委員長が尽くすべき不在者投票事由についての審査義務の程度いかん。)について令五二条は、法四九条一項の規定に基づいて不在者投票をしようとする選挙人は、選挙管理委員会の委員長に対して投票用紙及び不在者投票用封筒の交付の請求をする場合には、選挙の当日自ら投票所に行き投票することができない事由を申し立て、かつ、当該申立てが真正であることを誓う宣誓書兼請求書を合わせて提出しなければならないものと定めている。不在者投票の制度は、当日投票の原則の例外であるため、法、令及び規則は、不正投票の混入を避けその濫用を防止し選挙の公正を確保しようとする趣旨から、その要件、手続及び関係書類の様式を厳格に定めているのであって、選挙人から投票用紙等の交付の請求を受けた選挙管理委員会の委員長は、宣誓書において、右申立てに係る不在理由が不在者投票事由に該当することが一見して明白な程度に記載されておらず、従 ているのであって、選挙人から投票用紙等の交付の請求を受けた選挙管理委員会の委員長は、宣誓書において、右申立てに係る不在理由が不在者投票事由に該当することが一見して明白な程度に記載されておらず、従前の知識や選挙人の身体状況等を参酌してもこの点が不明の場合には、選挙人に口頭等により補足説明を求め、その内容を合わせ考慮して、当該申立てに係る不在理由が不在者投票事由に該当するかどうかを具体的かつ厳正に審査しなければならず、また、これに該当すると判断した場合に限り、右請求に応じることができるものというべきである。 このような不在者投票事由についての審査義務は、不在者投票の管理執行にあたって、選挙管理委員会の委員長が尽くすべき極めて重要な基本的義務であり、この審査義務を尽くすことなく不在者投票をさせた場合には、その管理執行手続に違法があることとなり、このことが選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合には、当該選挙は無効となるものである。 以上に反する原告らの主張は、独自の見解であって採用できない。 三争点3(本件選挙において、町選管の委員長による不在者投票事由についての審査義務違反により、管理執行手続に違法のある不在者投票があったか。あったとすれば、その件数いかん。)について 1 別表1関係(一) 番号16について乙第一〇号証の一六の一、第二〇号証、証人t、同dの各証言によれば、t(番号16)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一七日まで」、行き先欄には「長崎県上県<以下略>」、職業(勤務先)欄には「漁協」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「1」(「投票区域外で仕事等に従事中のため」の項。以下同じ。)のうち「勤務」に○印が付されていること、同人は漁業に従事する者であるが、当時はヨコ 先)欄には「漁協」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「1」(「投票区域外で仕事等に従事中のため」の項。以下同じ。)のうち「勤務」に○印が付されていること、同人は漁業に従事する者であるが、当時はヨコワがよく獲れる時期で、毎日のように出漁していたこと、ヨコワ漁の場合は、山口県沖まで魚群を追いかけて行くこともあり、同月一七日ころは漁に出ていて帰って来られないだろうと思い、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、補助執行者dは、tが漁業を営んでいることは知っていたこと、補助執行者d及び同eは、tから、不在理由として、選挙の当日は漁に行くので投票には間に合わないだろうからと説明を受けたこと、実際にも、tは同月一七日にはヨコワ漁に出て山口県沖まで行き、日没後に帰ってきたこと、宣誓書兼請求書の行き先欄の記載は、住所を記載する場所と勘違いしたことによる誤記であり、職業(勤務先)欄に「漁協」とそれぞれ記載されているのは、漁協の組合員であるためそのように記載したことによるものであることが認められる。 右認定の事実に照らすと、tは、選挙の当日には、投票区の区域外において職務に従事中であるべきことになり、同人の不在者投票は一号事由を具備するものというべきところ、補助執行者としても、tの宣誓書兼請求書の記載及び口頭説明により、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二) 番号17について乙第一〇号証の一七の一によれば、P8(番号17)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一七日」、行き先欄には「長崎県上県郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「1 一によれば、P8(番号17)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一七日」、行き先欄には「長崎県上県郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「1」のうち「勤務」に○印が付されていること、職業(勤務先)欄は空欄であることが認められる。 同人については、宣誓書兼請求書において、不在理由として「勤務」と申告されているものの、その職業(勤務先)欄に記載がなく、かつ、その他の記載内容からも職業が不明であるため、これのみでは、果たして一号事由が真実存在するのか否か具体的に認識判断することができない。しかるに、補助執行者においてP8から職業について口頭による説明を求めたとか、従前から同人の職業について知っていたということを認めるに足りる証拠は全くない。 そうすると、補助執行者としては、不在者投票事由について審査しないまま漫然と不在者投票用紙等の交付請求に応じたものと推認せざるを得ない。したがって、町選管の委員長は、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったこととなり、右不在者投票についての管理執行手続に違法があることとなる(なお、乙第一〇号証の一七の一及び二によれば、同人の投票所入場券の生年月日欄には昭和二三年六月二四日と記載されているにもかかわらず、宣誓書兼請求書の生年月日欄には「昭和四三年六月二四日」と記載されていることが認められることからすれば、果たして不在者投票時に本人確認も厳格になされたのか疑問の残るところである。)。 (三) 番号18ないし20について甲第一一号証の一ないし三、乙第一〇号証の一八ないし二〇、証人bの証言によれば、u(番号18)、v(同19)及びw(同20)は一一月一六日に不在者投票をしたこと、右三名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「投票当日のみ」に○印が付 〇号証の一八ないし二〇、証人bの証言によれば、u(番号18)、v(同19)及びw(同20)は一一月一六日に不在者投票をしたこと、右三名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「投票当日のみ」に○印が付され、行き先欄には「長崎県下県郡<以下略>」(ただし、vについては「長崎厳原豆酸」、wについては「長崎県下県郡<以下略>」)と記載され、不在理由欄には「1」のうち「勤務」に○印が付されていること、右三名はいずれも有限会社ライフ工業所属の建設作業員であるが、当時厳原町立豆酸中学校新築工事に従事しており、一一月一七日も作業に従事する必要があったこと、補助執行者bは、揃って来所した右三名から、一一月一七日は朝早くから豆酸の現場に行かなければならない旨の説明を受けたこと、同人の宣誓書兼請求書の職業(勤務先)欄はいずれも空白であるが、当時、三名とも作業服を着ており、一見して右三名が建設業関係者であることが分かったことが認められる。 かような建設現場は、通常、早朝から夕刻までかかるものであるから、右認定の事実に照らすと、u、v及びwは、選挙の当日には投票区の区域外において職務に従事中であるべきことになり、同人らの不在者投票はいずれも一号事由を具備することとなるところ、補助執行者としても、右三名の宣誓書兼請求書の記載及び口頭説明等により、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなるから、本件不在者投票において不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (四) 番号21について乙第一〇号証の二一、第二〇号証、証人q、同bの各証言によれば、q(番号21)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月二 番号21について乙第一〇号証の二一、第二〇号証、証人q、同bの各証言によれば、q(番号21)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月二〇日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「1」の「出張」に○印が付されていたこと、当時、同人はガソリンスタンドの経営とプロパンガスの販売を営んでいたところ、一一月一七日は福岡市でプロパンガスの商談が入ったため、右の期間出張することとなったこと、補助執行者bは、qとはかなり前から面識があったところ、同人から、商談で福岡市に出張するとの説明を受けたこと、商談の具体的内容についても質問したが、qから、それは言う必要はないと回答を拒絶されたこと、同人は、同月一七日は、商談相手が厳原に来たため、実際には出張しなかったことが認められる。 右認定の事実に照らすと、qは、選挙の当日には、投票区の区域外において職務に従事中であるべきことになり、同人の不在者投票は一号事由を具備するものというべきところ、補助執行者としても、qの宣誓書兼請求書の記載及び口頭説明等により、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。なお、一号事由は、投票区の区域外において従事中であるべき職務又は業務について、それがやむを得ないものであることは要件としていないことに照らせば、補助執行者としては、不在者投票事由の審査に当たり、選挙人が真実商談のために投票区域外にあるべきものと判断できれば、その具体的内容についてまで明らかにさせる必要はないものというべきである。 したがって、右不在者投票について町選管の管理執行手続に違法はない。 (五) 番号22について乙第一〇号証の二二、証人P その具体的内容についてまで明らかにさせる必要はないものというべきである。 したがって、右不在者投票について町選管の管理執行手続に違法はない。 (五) 番号22について乙第一〇号証の二二、証人P9、同d、同eの各証言によれば、P9(番号22)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月二三日まで」、行き先欄には「横浜市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「1」の「商用」に○印が付されていること、同人は町会議員であり、ガソリンスタンドを経営しているところ、同月一四日か一五日に東京で製薬会社と劇物販売の商談をし、その後横浜市<以下略>の甥宅に宿泊し、続いて千葉県木更津市の弟宅を訪問する予定を立てていたこと、補助執行者d及び同eは、P9から、ガソリンスタンド関係の商用である旨の説明を受け、dにおいて、どこで何をするのか、同月一七日には戻って来られないのか等について質問した(なお、同月一七日には戻って来られないのかという質問に対しては、明日中には戻って来られないと回答されたことが推認される。)が、商用の具体的内容については回答が得られなかったこと、dはP9の右職業を知っていたことが認められる。 右認定の事実に照らすと、P9は、同月一四日ないし一五日には、投票区の区域外において職務に従事する予定であったが、選挙の当日においてはその機会を利用した私事旅行中であるべきことになり、同人の不在者投票は一号事由を具備するものとはいえず、不在者投票事由を具備するとしても、やむを得ない用務のため上県町外に旅行中であるべきことという二号事由に該当することがあり得るにすぎないこととなる。しかし、補助執行者としては、P9の宣誓書兼請求書の記載及び口頭説明により、同月一七日においては商用という一号事 町外に旅行中であるべきことという二号事由に該当することがあり得るにすぎないこととなる。しかし、補助執行者としては、P9の宣誓書兼請求書の記載及び口頭説明により、同月一七日においては商用という一号事由を具備するものと判断して不在者投票をさせたこととなるところ、右認定の事実関係によれば、補助執行者において右のように判断したことには無理からぬものがあり、右のような審査方法をもって、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 なお、前記(四)と同様、補助執行者において、商用の具体的内容について明らかにさせなかったことは、右判断を左右するものではない。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (六) 番号23について乙一〇号証の二三、証人x、同bの各証言によれば、x(番号23)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「投票当日のみ」、行き先欄には「下県郡厳原町厳原」、不在理由欄には「商用」と、職業(勤務先)欄には「無職」とそれぞれ記載されていること、同人は、杉、桧、松を植栽して管理している上県町佐護所在の山林の売買の件で、一一月一七日に買主が福岡から来ることとなったので、厳原町所在の対馬空港まで朝早く迎えに行った後、山林を案内し、帰りも空港まで送ることとなったこと、山林は広さが三〇〇町あり、案内には丸一日かかることが見込まれたこと、補助執行者bは、xに対し、いつ、どこに、何をしに行くか質問し、同人から右のとおり自己所有の山林の取引相手が来島し、現地を案内する予定である旨の回答を得たことが認められる。 原告らは、xの不在者投票は一号事由を具備すると主張する。しかし、同人は不動産業を経営する者ではなく、右山林売買の件も、自己が植林して管理している山 する予定である旨の回答を得たことが認められる。 原告らは、xの不在者投票は一号事由を具備すると主張する。しかし、同人は不動産業を経営する者ではなく、右山林売買の件も、自己が植林して管理している山林がたまたま売買の対象となったにすぎないものと認められるから、反復継続性を有せず、一号事由の「職務又は業務」に該当しない。 もっとも、右不在理由は、「やむを得ない用務」の要件には該当するといえるものの、右認定の事実に照らすと、その用務の場所の大部分は、当該投票区のある市町村の区域内である上県町佐護ということになるから、同人の不在者投票は二号事由も具備するものともいえない。 そして、そのような事情であるのに、補助執行者において漫然と不在者投票をさせたのは、不在者投票事由についての審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない(なお、仮に、補助執行者が、右山林の所在について具体的に認識していなかったとしても、これが上県町内である可能性は容易に認識し得たはずであるから、この点について何ら質問等することなく不在者投票用紙等の交付請求に応じたことは、やはり審査義務に違反がある。)。 したがって、町選管の委員長によるその管理執行手続には違法があることになる。 (七) 番号24について乙一〇号証の二四、証人x、同j、同bの各証言によれば、j(番号24)も夫のxとともに一一月一五日に不在者投票をしたこと、jの宣誓書兼請求書にはxと同じ記載があること、当時、xは腰のヘルニアの手術をして足が少し不自由である上、腎臓及び高血圧の持病もあって、人工透析を受けていたため、jがxによる右(六)の山林の案内に同行することとなったこと、補助執行者bは、xから右(六)のとおりの説明を受けた場において、同席していたjから、自分がxに付き添いで行くとの説明を受けたことが認め jがxによる右(六)の山林の案内に同行することとなったこと、補助執行者bは、xから右(六)のとおりの説明を受けた場において、同席していたjから、自分がxに付き添いで行くとの説明を受けたことが認められる。 しかるに、右(六)のとおりxに不在者投票事由の具備が認められない以上、同人の付き添いで一一月一七日に投票できないとするjの不在者投票も、一号事由はもとより、二号事由も具備するものではない。したがって、そのような事情であるのに、補助執行者において漫然と同人に不在者投票をさせたのは、不在者投票事由についての審査義務を尽くさなかったものというべきである。 したがって、町選管の委員長によるその管理執行手続には違法がある。 (八) まとめそうすると、別表1関係では、三件の不在者投票について、管理執行手続に違法があることとなる。 2 別表2関係(一) 番号2について乙第一一号証の二、証人yの証言によれば、y(番号2)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月一七日まで」、行き先欄は空白で、不在理由欄には「2」(「やむを得ない用事で上県町外に旅行中又は滞在中のため」の項。以下同じ。)の「その他」に○印が付され、「病院」と付記されていること、同人は、娘が検診で気管に問題があると指摘されたため、福岡市所在のこども病院で診察を受けさせるため、同市に行くこととしていたこと、特に病院を予約していたわけではないが、建設業を営む夫が、選挙運動期間中は仕事がないので、右のような日程にしたこと、補助執行者は、yから、子供を病院に連れて行くとの説明を受けたこと、一七日に戻って来ることが可能かどうか等の質問は特にしなかったことが認められる。 右認定の事実に照らすと、yが子供を右の日程で福岡市の病院に連れて yから、子供を病院に連れて行くとの説明を受けたこと、一七日に戻って来ることが可能かどうか等の質問は特にしなかったことが認められる。 右認定の事実に照らすと、yが子供を右の日程で福岡市の病院に連れて行くことは、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難な事情があるものとして、二号事由に該当するというべきである。そして、補助執行者は、yに対し、右のような日程にした理由について質問しておらず、同人からも特に説明したとは認められないけれども、子供の健康に問題があることが疑われる場合、一日も早く大きな病院で診察を受けさせたいと考えるのはもっともなことであり、上県町という離島内の地域に居住する者が、受診のために右の程度の期間福岡市に行くことには無理からぬものがあるということは、補助執行者において特段説明を受けなくても容易に認識することができるというべきである。 したがって、補助執行者としては、主としてyの口頭説明により、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなり、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができるから、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二) 番号3について乙第一一号証の三、証人dの証言によれば、z(番号3)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一三日から一二月六日まで」、行き先欄は「下県郡厳原町宮谷」、不在理由欄には「仕事」とそれぞれれ記載されていること、補助執行者dはzとは面識があるところ、同人は精神薄弱者で、授産施設「あゆみ園」で働いており、dとしては、公共的な施設(行き先欄記載の地に複数所在する。)に行って仕事をするものと理解したことが認められる。 原告らは、zの不在者投票事由について二号事由を主張するが、右認定の事実に いており、dとしては、公共的な施設(行き先欄記載の地に複数所在する。)に行って仕事をするものと理解したことが認められる。 原告らは、zの不在者投票事由について二号事由を主張するが、右認定の事実に照らすと、同人は、選挙の当日には、投票区の区域外において職務に従事中であるべきことになり、同人の不在者投票は一号事由を具備するものということができる。そして、不在者投票事由の審査に当たって、その職務の具体的内容についてまで明らかにさせる必要が必ずしもないことは、前記1の(四)で判示したとおりであるし、右認定に照らすと、zから口頭で的確に職務の内容や場所等を聴取することには困難を伴ったものと考えられるので、補助執行者としては、真実仕事で行き先欄記載の場所に行くものと認識できれば足りるものというべきである。したがって、補助執行者としては、zの宣誓書兼請求書の記載及び従前の知識により、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (三) 番号4について甲第一号証、乙第一一号証の四、証人P10、同bの各証言によれば、k(番号4)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「投票当日のみ」に○印が付され、行き先欄には「上県郡<以下略>」と記載され、不在理由欄には「2」の「その他」に○印が付されていること、kは、脳梗塞で倒れて以来体が不自由になり、二級の身体障害者手帳の交付を受けていて、自分では投票所に行くことができなかったこと、同人の妹であるP11は、母親の看病をしているため、kを投票に連れて行きにくかったこと、P11の夫であるP10は、当時、ブリがよく釣れていたため ていて、自分では投票所に行くことができなかったこと、同人の妹であるP11は、母親の看病をしているため、kを投票に連れて行きにくかったこと、P11の夫であるP10は、当時、ブリがよく釣れていたため、人に雇われて豊玉町でブリの飼付け漁に従事しており、同月一七日にも休めない状況で、同日にはkを投票所に連れて行くことができないことが見込まれていたこと、たまたま同月一三日にP10が病院に行くため仕事を休むことができたので、その機会にkを不在者投票所に連れて行き、不在者投票をさせたこと、補助執行者は、P10及び同行したP11から、右のような事情で不在者投票用紙等の交付を請求する旨説明を受けたこと、kは車椅子で不在者投票所に来所し、一見して介護が必要な状況であったことが認められる。なお、証人P10の証言によれば、宣誓書兼請求書の行き先欄の記載が「上県郡<以下略>」となっているのは、P11が母親の看病のため上対馬町の病院に行くので、その話を補助執行者が聞き間違えて記載したものと推定される。 右認定の事実に照らすと、kは、疾病ないし身体の障害のため歩行が著しく困難であるべきものであって、このことにより選挙の当日自ら投票所に行き投票をすることができないものというべきであるから、その不在者投票は三号事由を具備していることとなる。そして、宣誓書兼請求書の記載は不適切ではあるものの、補助執行者は、宣誓書兼請求書の記載並びにP10及びP11の口頭説明により、右三号事由を具備するものと判断したといえるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものである。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (四) 番号6について乙第一一号証の六、第二二号証、証人bによれば、P12(番号6)は一一月一四日に不在者投票をしたこ って、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (四) 番号6について乙第一一号証の六、第二二号証、証人bによれば、P12(番号6)は一一月一四日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「投票当日のみ」に○印が付され、行き先欄には「下県郡<以下略>」と記載され、不在理由欄には「2」の「その他」に○印が付されていること、補助執行者bは、P12から、選挙の当日は友人のところに行くとの説明を受けたが、それ以上詳しく聞かずに不在者投票用紙等の交付請求に応じたことが認められる。 右認定事実に照らせば、P12の申し立てた不在理由は私事旅行に当たるところ、補助執行者としては、これが、「やむを得ない用務」の要件に該当するか否かの点について全く質問等をしていないから、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 したがって、町選管の委員長による管理執行手続には違法があることとなる。 (五) 番号7について乙第一一号証の七、証人cの証言によれば、P13(番号7)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月二〇日まで」、行き先欄には「福岡県北九州市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、補助執行者cは、P13から、選挙の当日は弟のところへ行くとの説明を受けたことが認められる。 右認定事実に照らせば、P13の申し立てた不在理由は私事旅行に当たるところ、補助執行者としては、これが、「やむを得ない用務」の要件に該当するか否かについて全く質問等をしていないから、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 しがたって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執 得ない用務」の要件に該当するか否かについて全く質問等をしていないから、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 しがたって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (六) 番号8について乙第一一号証の八、証人r、同cの証言によれば、r(番号8)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月一七日まで」、行き先欄には「福岡市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付され、「私用」と付記されていること、同人は、福岡市内に居住する次女の縁談の件で同人と会って相談するため、同市に行く予定があったこと、同月一七日には、最終便の一つ前の飛行機で帰って来ることとしていたが、欠航などもあり得るので、ひょっとしたら投票できないかも知れないと考えて、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、補助執行者cは、rから、単に旅行とのみ説明を受けたが、その具体的内容については、当日の投票時間内に帰って来られないか否かについても含めて特段質問せず、rも、プライバシーに関わることなので説明しなかったことが認められる。 右認定の事実に照らすと、rの不在理由はいわゆる私事旅行に当たるところ、宣誓書兼請求書の記載のみからは、これが「やむを得ない用務」の要件に該当するか否かを判断することは到底不可能であるにもかかわらず、補助執行者は、rから、単に旅行との説明を受けたのみで、漫然と不在者投票をさせているのである。そして、rにおいて、旅行の具体的な目的について明らかにしにくい事情はあるものの、補助執行者は、右の要件についての質問等を一切しなかったのであるから、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 したがって 的について明らかにしにくい事情はあるものの、補助執行者は、右の要件についての質問等を一切しなかったのであるから、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 したがって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (七) 番号9及び10について乙第一一号証の九ないし一一、証人b、同cの各証言によれば、P14(番号9)、P15(同10)及びm(同11)はいずれも一一月一二日に不在者投票をしたこと、右三名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一八日まで」、行き先欄には「長崎県下県郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、補助執行者bは、揃って来所した右三名から、不在理由として、「鷄知に三人一緒にいかにゃいかんけん」と述べられたことが認められる。 右認定の事実に照らすと、P14及びP15の申し立てた不在理由はいわゆる私事旅行に当たるものと考えられるところ、宣誓書兼請求書の記載及び右のような口頭説明からは、これが「やむを得ない用務」の要件に該当するか否かを判断することは到底不可能であるが、bが旅行の具体的目的等について質問したことを認めるに足りる証拠はない。そうすると、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものであり、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (八) 番号11について証人b、同cの各証言によれば、m(番号11)は下半身が悪く、右(七)で認定した不在者投票当日も車椅子で来所したことが認められる。そうすると、同人は、疾 ることとなる。 (八) 番号11について証人b、同cの各証言によれば、m(番号11)は下半身が悪く、右(七)で認定した不在者投票当日も車椅子で来所したことが認められる。そうすると、同人は、疾病又は身体の障害のため歩行が著しく困難であるべきことにより、選挙の当日は自ら投票所に行き投票をすることができないこととなるから、その不在者投票は三号事由を具備することとなる。そして、当時、補助執行者b及び同cが三号事由について意識していなかったとしても、右各証言によれば、mの右のような身体的状況は右補助執行者らに明らかであったから、補助執行者において、三号事由についての審査義務を尽くしたものというを妨げない。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (九) 番号12について乙第一一号証の一二、証人n、同bの各証言によれば、n(番号12)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「投票当日のみ」に○印が付され、行き先欄には「厳原下県郡<以下略>」と記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、兄が厳原の病院に入院していたので、選挙の当日に見舞いに行くことを決め、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、補助執行者が不在理由を尋ねたところ、入院中の兄の見舞いに行くとの回答を得たこと、nは、その前に兄が退院したので、投票当日は見舞いに行かなかったことが認められる。 右認定事実に照らすと、nが兄の見舞いに行くのが同月一七日でなければならない必要性は明らかではなく、宣誓書兼請求書の記載及びnの口頭説明のみでは、同人が選挙の当日に上県町外にあるべきことが「やむを得ない用務」の要件に該当するか否か判断することは不可能である。そして、補助執行者が、右記載及び口 く、宣誓書兼請求書の記載及びnの口頭説明のみでは、同人が選挙の当日に上県町外にあるべきことが「やむを得ない用務」の要件に該当するか否か判断することは不可能である。そして、補助執行者が、右記載及び口頭説明以上に右の必要性等について質問等したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、不在者投票事由について具体的に明らかにすることなく漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 なお、原告らは、nの不在者投票について、予備的に三号事由を具備する旨主張する。証人nの証言によれば、nは体が悪く、授産施設「あゆみ園」に通園していることが認められるけれども、このことのみでは、同人について、身体の障害等により歩行が著しく困難であるべきことにより、選挙の当日自ら投票所に行き投票をすることができないものと必ずしも認めることはできず、他に同人の不在者投票が三号事由を具備していることを認めるに足りる証拠はない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由についての審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (一〇) 番号14について乙第一一号証の一四、証人P1、同bの各証言によれば、P1(番号14)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一九日まで」、行き先欄には「長崎県大村市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は大村市所在の自動車運転免許試験場に大型特殊自動車免許の試験を受験に行く予定であったこと、右免許の試験日は月、火、水曜日なので、試験に落第する場合を考えて、月曜日から受験することとしたため、日曜日である一一月一七日のうちに大村市に行くべく、不在者投票用紙等 受験に行く予定であったこと、右免許の試験日は月、火、水曜日なので、試験に落第する場合を考えて、月曜日から受験することとしたため、日曜日である一一月一七日のうちに大村市に行くべく、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、同日は一便の飛行機で大村市に行くつもりであり、投票を済ませてから行くことは考えていなかったこと、補助執行者bは、P1から、大村市所在の自動車運転免許試験場に右試験を受験に行くとの説明を受けたこと、P1は、厳原町でも受験できることが判明したため、一一月一七日は大村市に行かず、その上、同月一八日には仕事が入ったため、結局、厳原町でも受験しなかったことが認められる。 右認定の事実に照らすと、P1としては、大型特殊自動車免許は対馬内の厳原町でも受験できたのみならず、大村市で受験するにしても、同月一七日に投票を済ませてから出発しても十分間に合ったのであるから、やむを得ない用務により当該投票区のある市町村の区域外に旅行中であるべきことにより、選挙の当日自ら投票所に行き投票をすることができない場合に当たるとは到底いい難い。そして、補助執行者としては、P1に対し、右の具体的な受験日等について質問しておれば、不在者投票事由を具備していないことは容易に判明したにもかかわらず、そのような質問等をすることなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものであり、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (一一) 番号15について乙第一一号証の一五、証人P16の証言によれば、P16(番号15)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一二日から一一月二二日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市」とそ 一号証の一五、証人P16の証言によれば、P16(番号15)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一二日から一一月二二日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、以前に左足の靭帯を切り、左足が短くなっていることにより、左右の足の長さを調節するための足底板を作るため、福岡市内の整形外科に行く予定にしていたこと、以前に別の病院で足底板を作ったときに一〇日間かかったので、今回も一〇日間の旅行としたこと、同人は、ペーパーフラワーの講師をしており、その仕事の都合で空きができたのが右の期間であり、整形外科を紹介してくれた同人のいとこも、仕事の関係から右の期間が都合がよかったこと、実際は、P16は、同月一三日に足型をとり、同月一八日に足底板が出来上がったが、その間は長崎の娘の家に滞在していたこと、補助執行者bは、P16から、足底板を作りに福岡の病院に行く旨の説明を受けたことが認められる。 右のように、左右の足の長さが異なるという障害を持つ者にとって、足底板は、日常生活上一日も早く必要とするものであり、P16が選挙の当日を含む不在期間欄記載の期間に福岡市の整形外科へ行ってこれを作りたいと考えたことには、無理からぬものがある。したがって、右不在理由は、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難である等の事情が認められる場合に該当するものであり、P16は、一一月一七日には、やむを得ない用務により上県町外にあるべきものとして、その不在者投票は二号事由を具備しているということができる。そして、補助執行者bは、P16とは以前から面識があり、不在者投票当日も、同人の身体的状況上、同人の足が悪いことは外部的に明白であったと考えられる上、足底板は、 事由を具備しているということができる。そして、補助執行者bは、P16とは以前から面識があり、不在者投票当日も、同人の身体的状況上、同人の足が悪いことは外部的に明白であったと考えられる上、足底板は、その性質上、作成までに数日程度を要することも容易に推測できる。したがって、bとしては、従前の知識、P16の身体的状況、宣誓書兼請求書の記載及び同人による口頭説明により、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものである。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (一二) 番号16及び17について乙第一一号証の一六、一七、証人bの証言によれば、P17(番号16)及びP18(同17)はいずれも一一月一二日に不在者投票をしたこと、右両名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一三日から一一月二〇日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていることが認められる。 右認定の事実に照らすと、右両名の申し立てた不在理由はいわゆる私事旅行に当たるものと考えられるところ、宣誓書兼請求書の記載のみからは、これが「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは到底不可能である。そして、証人bは、右旅行の目的を聞いていると思うが、よく覚えていないと供述しており、他に補助執行者が右両名の不在者投票事由についてどのような質問をし、右両名からどのような説明を受けたかを認定するに足りる証拠はない。そうすると、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者としては、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったも 執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者としては、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものであり、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (一三) 番号18について乙第一一号証の一八、証人bの証言によれば、P19(番号18)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一四日から一一月一八日まで」、行き先欄には「福岡市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、補助執行者bはP19と面識があり、同人が普段から病院通いをしていることを知っていたこと、bからP19に不在者投票の理由を尋ねたところ、病院に行かなければならない旨の説明を受けたことが認められる。 右認定事実に照らすと、P19の右不在理由は、定期的に受けることとなっている治療ないし検査のため福岡市内の病院に行くための旅行であると推認され、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難である等の事情があるものとして、二号事由に該当するということができる。そして、補助執行者bは、P19が普段から病院通いをしていることを知っていたし、上県町という離島内の地域に居住する者が、検査又は治療のために右の程度の期間福岡市に行くことには無理からぬものがあるということは、補助執行者において特段説明を受けなくても、容易に認識することができるというべきである。 したがって、補助執行者としては、従前からの知識、宣誓書兼請求書の記載及びP19による口頭説明を総合して、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなり、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができるから、右不在者投 からの知識、宣誓書兼請求書の記載及びP19による口頭説明を総合して、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなり、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができるから、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (一四) 番号19について乙第一一号証の一九、証人bの証言によれば、l(番号19)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一二日から一一月二〇日まで」、行き先欄には「長崎県長崎市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、補助執行者bは、lから、病院に行く旨説明を受けたこと、同人は、不在者投票に来所した際は、かなり顔色が悪く、一見して体調不良の状況にあったことが認められる。 原告らは、同人の不在者投票事由について三号事由を主張するものの、同人の身体的状況及び口頭説明を総合すれば、同人は直ちに医師による診療ないし治療を要する状態にあるものと判断され、宣誓書兼請求書記載の不在期間の始期が不在者投票日であることも考え合わせると、同人は不在者投票の後直ちに長崎市所在の病院に行く必要があり、しかも、診断によっては、同月一七日までに帰って来られないことが見込まれたということができる。そして、補助執行者としては、右宣誓書兼請求書の記載、同人の口頭説明及び右のような身体的状況から、二号事由を具備するものと判断したものと推認されるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (一五) 番号20について乙第一一号証の二〇によれば、P20(番号20)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄に 町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (一五) 番号20について乙第一一号証の二〇によれば、P20(番号20)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月一八日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていることが認められる。 右認定の事実に照らすと、同人の申し立てた不在理由はいわゆる私事旅行に当たるものと考えられるところ、宣誓書兼請求書の記載のみからは、これが「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは到底不可能である。そして、補助執行者bが旅行の目的や、同月一七日の投票時間内に帰って来られないか否かについて質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものであり、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (一六) 番号21について乙第一一号証の二一、証人P21の証言によれば、P21(番号21)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「投票当日のみ」に○印が付され、行き先欄には「下県郡厳原」と記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、当時、厳原に住んでいる同人の娘の体の具合が悪く、娘には四人の子供がいたが、夫が刑務所で服役中であり、P21が世話をする必要があったため、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、補助執行者は、P21から、娘の具合が悪く、一二日の夜から四、五日間厳原に行く必要があり、選挙の日までに戻って来ること り、P21が世話をする必要があったため、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、補助執行者は、P21から、娘の具合が悪く、一二日の夜から四、五日間厳原に行く必要があり、選挙の日までに戻って来ることができないとの説明を受けたこと、宣誓書兼請求書の不在期間欄の記載は補助執行者の誤記であることが認められる。 右認定の事実に照らすと、P21は、一一月一七日には、やむを得ない用務により上県町外にあるべきものとして、その不在者投票は二号事由を具備しているといえるところ、補助執行者は、宣誓書兼請求書の記載及びP21の口頭説明により、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (一七) 番号25について乙第一一号証の二五、証人bの証言によれば、P22(番号25)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「投票当日のみ」に○印が付され、行き先欄には「福岡県福岡市<以下略>」と記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、補助執行者bは、P22から、友人のところに行くとの説明を受けたことが認められる。 右認定の事実に照らすと、同人の申し立てた不在理由はいわゆる私事旅行に当たるものと考えられるところ、宣誓書兼請求書の記載のみからは、これが「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは到底不可能である。そして、補助執行者bが、旅行の目的や、同月一七日の投票時間内に帰って来られないか否かについて質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せ 七日の投票時間内に帰って来られないか否かについて質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (一八) 番号26及び27について甲第二、第三号証、第八号証の一ないし三、乙第一一号証の二六、二七、証人b、同P23の各証言によれば、P24(番号26)及びP25(同27)は一一月一二日に不在者投票をしたこと(乙第一一号証の二六、二七の処理簿中受理月日が一一月二二日と記載されているのは誤記と認められる。)、右両名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一三日から一一月二五日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、両名とも、福岡市内の眼科へ白内障の受診に行くこととしていたこと、補助執行者bは、右両名から、姪浜の子供のところに行くとの説明を受けたこと、右両名は、実際に同月一五日に受診していることが認められる。 右認定事実に照らすと、右両名は、福岡市内の眼科で白内障の診察を受け、そのついでに姪浜所在の子供宅へ旅行することとしたものと推認される(白内障の診察だけに一二日間も要するとは考えられない。)から、同人らの申し立てた不在理由はいわゆる私事旅行に当たるものと考えられるところ、右両名がbに対し、白内障で診察を受ける旨申し述べたことを認めるに足りる証拠はなく、宣誓書兼請求書の記載及び右両名による口頭説明からは、これが「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは不可能である。そして、補助執行 を受ける旨申し述べたことを認めるに足りる証拠はなく、宣誓書兼請求書の記載及び右両名による口頭説明からは、これが「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは不可能である。そして、補助執行者bが、右の要件について質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (一九) 番号29について乙第一一号証の二九、証人P26、同bの各証言によれば、P26(番号29)は夫のP27とともに一一月一二日に不在者投票をしたこと、宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一二日から一一月一七日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、P27は獣医師で、「NOSAI家畜診療所」に勤務しており、職場からの命令により、一一月一二日から一七日まで福岡に出張することが以前から決まっていたこと、P26は、専業主婦であるが、夫が出張する際にはいつも同道して福岡所在の夫の実家に帰省することとしていること、今回も一歳の子供を連れて一緒に旅行することとし、夫の実家に泊まる予定にしていたこと、補助執行者bは、P27、P26夫婦と面識があり、夫が出張するときはいつもP26も帰省することを知っていたこと、bは、P26から、夫が出張なので一緒に行くと説明を受けたこと、P26に対し、同月一七日は帰って来てから投票できないかと質問したことが認められる(右の質問に対しては、帰りが投票時間内に間に合わない旨の回答を得たものと推認される。)。 くと説明を受けたこと、P26に対し、同月一七日は帰って来てから投票できないかと質問したことが認められる(右の質問に対しては、帰りが投票時間内に間に合わない旨の回答を得たものと推認される。)。 右の帰省は、私事旅行に該当するものではあるけれども、上県町の所在する対馬下島は離島であり、福岡への帰省が通常困難であることにかんがみると、専業主婦が夫の出張の機会を利用して子供を連れて夫の実家に帰省することは、当日以外に日程を変更することが著しく困難なものに当たり、やむを得ない用務により当該投票区のある市町村の区域外にあるべきものとして、二号事由に該当するものというべきである。そして、補助執行者は、従前からの知識に合わせて、宣誓書兼請求書の記載、P26の口頭説明を総合することにより、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものである。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二〇) 番号30について乙第一一号証の三〇、証人P2の証言によれば、P2(番号30)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一三日から一一月二〇日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、P2は上県町役場の課長で、社会福祉協議会の委員も兼ねており、一一月一四日に長崎県松浦市で開催される福祉大会に出席した後、その機会を利用して、行き先欄記載の地に居住している孫に会いに行く約束をしたため、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、航空券は一週間くらい前に取ったこと、補助執行者dは、P2から、福祉大会に出席した後福岡市の孫のところに行く約束をしているとの説明を受けたこ 行く約束をしたため、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、航空券は一週間くらい前に取ったこと、補助執行者dは、P2から、福祉大会に出席した後福岡市の孫のところに行く約束をしているとの説明を受けたことが認められる。 右認定事実に照らすと、P2が選挙の当日福岡市に行くのは、福祉大会への出席のついでに孫に会いに行くためであり、私事旅行に当たるものである。しかし、上県町の所在する対馬下島は離島であり、福岡市へたやすくは行けないことにかんがみると、公務の機会を利用して、同じ九州本土内の親族を訪問しようと考えることにはもっともな面がある。このことからすると、同人の不在理由は、当日以外に日程を変更することが著しく困難な事情があるということができ、二号事由に該当するものというべきである。そして、補助執行者は、同じ職場の課長であるP2が社会福祉協議会の委員を兼ねていることは当然知っていたものと推認され、このような従前からの知識に宣誓書兼請求書の記載及びP2による口頭説明を総合することにより、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものというべきである。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二一) 番号31について甲第九号証の一ないし五、乙第一一号証の三一、証人eの証言によれば、P28(番号31)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一二日から一一月一八日まで」、行き先欄には「下県郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、補助執行者eは、P28から、両親が寝たきりで、P28が世話をしているところ、行き先欄記載の地に居住して漁業に従事している弟が遠洋漁業に長期 、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、補助執行者eは、P28から、両親が寝たきりで、P28が世話をしているところ、行き先欄記載の地に居住して漁業に従事している弟が遠洋漁業に長期出漁するので、その前に、不在中の事柄につき相談をするため会いに行くとの説明を受けたことが認められる。 右説明に係る不在理由は、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難な旅行に当たり、やむを得ない用務により選挙の当日上県町外にあるべきものとして、二号事由に該当するというべきである。そして、補助執行者は、宣誓書兼請求書の記載及びP28の口頭説明を総合することにより、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものというべきである。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二二) 番号32について乙第一一号証の三二、証人P3、同dの各証言によれば、P3(番号32)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「投票当日のみ」に○印が付され、行き先欄には「長崎県下県郡<以下略>」と記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、次男が行き先欄記載の地に自宅を建てたので、選挙の当日は新築祝いを兼ねて次男に会いに行くこととし、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、補助執行者dは、P3から、選挙の当日は子供の新築祝いに朝早くから出かけるからとの説明を受けたこと、dは、P3に対し、選挙の当日の投票時間内に戻って来られないのかという質問をしたところ、年寄りだから、時間どおりに帰って来られるかどうか分からない旨の回答を得たこと、同人は明治四〇年生まれであることが認められる。 親族の新築祝いに行くことは、 て来られないのかという質問をしたところ、年寄りだから、時間どおりに帰って来られるかどうか分からない旨の回答を得たこと、同人は明治四〇年生まれであることが認められる。 親族の新築祝いに行くことは、儀礼等の理由から社会通念上必要な用務といえ、できるだけ早い日曜日に祝いに行くことにも心情的にもっともな面があるから、P3が、選挙の当日、次男の新築祝い等のため美津島町鷄知に行くことは、やむを得ない用務によるものということができ、同人の不在者投票は二号事由を具備するものというべきである。そして、右認定事実に照らせば、補助執行者dは、宣誓書兼請求書の記載及びP3による口頭説明を総合することにより、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものというべきである。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二三) 番号34について乙第一一号証の三四、証人p(ただし、訴訟記録中の証人等目録には、同証人の氏名は「p」と表示されている。)、同d、同人eの各証言によれば、p(番号34)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一三日から一一月一八日まで」、行き先欄には「奈良県吉野山高野山参り」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、生きている限り毎年高野山参りをすると決めており、現にそうしていること、一年のうちいつ行くかということは特に決めておらず、自分が気の向いたときに行くこと、平成八年は、一一月一三日から高野山へ行こうと同月八日ころ決めたこと、同人にとっては、信仰上、思い立ったときが参るときであり、日程の変更はできないこと、補助執行者dは、選挙の当日までには帰って来られないと 年は、一一月一三日から高野山へ行こうと同月八日ころ決めたこと、同人にとっては、信仰上、思い立ったときが参るときであり、日程の変更はできないこと、補助執行者dは、選挙の当日までには帰って来られないということはpに確認したものの、目的は高野山参りということではっきりしているから、それ以上立ち入った質問はしなかったことが認められる。 右のとおりpが決めた高野山参りの日程が変更できないことは、信仰上の理由によるものであるけれども、補助執行者としては、単に旅行目的が明確であるとのことから二号事由を具備するものと速断し、日程の変更の許否等について特段質問等することなく、漫然と不在者投票をさせたことは、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 したがって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (二四) 番号35及び36について乙第一一号証の三五、三六、証人dの証言によれば、P29(番号35)及びP30(同36)はいずれも一一月一二日に不在者投票をしたこと、右両名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一二日から一一月二二日まで」、行き先欄には「長崎県下県郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、補助執行者dは、右両名から、右期間は病院に行くとの説明を受けたこと、行き先欄記載の美津島町には国立厳原病院があることが認められる。 右認定事実に照らすと、右両名は、病院で検査ないし治療を受けるために不在者投票用紙等の交付請求をしたものと推認されるけれども、右の程度の口頭説明では、同じ対馬内の病院で検査ないし治療を受けるために、右のような長期間旅行しなければならない理由が何ら明らかでない。そして、補助執行者が右の点について質問したことを認 けれども、右の程度の口頭説明では、同じ対馬内の病院で検査ないし治療を受けるために、右のような長期間旅行しなければならない理由が何ら明らかでない。そして、補助執行者が右の点について質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (二五) 番号39について甲第一三号証の一及び二、乙第一一号証の三九、証人dの証言によれば、P31(番号39)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一七日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は建設業を営んでいるところ、自宅の建築を計画し、一一月一六日から同月一七日まで、トステム株式会社が福岡市内のショールームで展示会を開くこととなっていたので、その場で右の期間建設会社の社長と建築資材の購入のための商談の予定を組んだこと、補助執行者dは、P31から右のような説明を受けたことが認められる。 右不在理由は、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難な事情があり、二号事由に該当することは明らかである。そして、補助執行者は、宣誓書兼請求書の記載及びP31の口頭説明を総合して、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものである。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二六) 番号40について乙第一一号証の四〇、証人 ら、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものである。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二六) 番号40について乙第一一号証の四〇、証人P32、同dの各証言によれば、P33(番号40)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一二日から一一月一八日まで」、行き先欄には「福岡県八女郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、行き先欄記載の地に居住する姉に会いたがっていたが、自身が特別養護老人ホームに入ることが決まっていて、長期入所になることが見込まれていたこと、当時P33の姪のP34の夫であったP32は焼鳥屋を経営しているところ、焼鳥屋は選挙期間中は客が入らないので、その時期にP34とともにP33を同人の姉に会わせに広川町に連れて行こうと考え、P33において不在者投票用紙等の交付を請求することになったこと、補助執行者dは、P33及びP32とともに不在者投票所に来所したP34から、右期間はP33の姉の家に連れて行くとの説明を受け、選挙の当日までには帰って来られないことも確認したことが認められる。 右は、私事旅行に該当するものではあるけれども、右認定の事情にかんがみると、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難であり、やむを得ない用務による旅行に該当するものというべきである。そして、補助執行者は、宣誓書兼請求書の記載、P34の口頭説明を総合することにより、右二号事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二七) 番号41につ ということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二七) 番号41について乙第一一号証の四一、証人P35、同dの各証言によれば、P35(番号41)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一三日から一一月一八日まで」、行き先欄には「宮崎県日向市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は農業を営んでいるところ、一一月一三日から一五日までの間、宮崎県日向市で開催される対馬農業協同組合の椎茸部会の研修会に出席し、そのついでに福岡市在住の息子及び娘、佐賀在住の姉の子供に会いに行くこととしたこと、息子や娘には年一度程度しか会う機会がないこと、補助執行者dは、P35から、椎茸の関係の研修に行く旨の説明を受けたことが認められる。 右認定の事実によれば、P35は、選挙の当日は、研修を受けるためではなく、息子や娘に会うために上県町外に旅行していることになるが、補助執行者としては、宣誓書兼請求書の記載及びP35の口頭説明により、同人が不在期間欄記載の全期間、行き先欄記載の地で椎茸の関係の研修を受けるものと認識判断し、二号事由に当たるとして不在者投票をさせたものと推定される。そして、右のような判断資料に照らすと、補助執行者がそのように認識判断したことには無理からぬものがあるというべきであり、補助執行者としては、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二八) 番号42について甲第一二号証の一及び二、乙第一一号証の四二、第一一号証の五九の一 ということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (二八) 番号42について甲第一二号証の一及び二、乙第一一号証の四二、第一一号証の五九の一、証人P36及び同P37の各証言によれば、P37(番号42)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一四日から一一月一七日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、交際中のP36(番号59)とともに結婚指輪を買うため福岡市内へ旅行する予定にしており、このことは六月ころから決めていて、二か月前には航空券を予約していたこと、補助執行者は、P37に対し、どこに行くのか、何をしに行くのか、いつから行くのかの三点を尋ねたところ、同人から、同月一六日から一七日まで福岡に恋人と買い物に行く旨の説明を受けたこと、航空券が予約済みである旨の説明は受けていないことが認められる。なお、宣誓書兼請求書の不在期間欄の記載は上記認定と矛盾するが、証人P37の証言によれば、これは補助執行者が記入したことが認められるため、補助執行者の聞き間違いによるものと推定される。 右認定事実に照らせば、P37の旅行は、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難であり、やむを得ない用務によるものということができる。しかし、右のような宣誓書兼請求書の記載及び同人の口頭説明のみからは、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難であるか否か判断することは不可能であるところ、補助執行者は、P37が一一月一七日に旅行しなければならない具体的理由等について明らかにすることなく、二号事由が具備されているものと速断し、漫然と不在者投票をさせたものということになる。 ところ、補助執行者は、P37が一一月一七日に旅行しなければならない具体的理由等について明らかにすることなく、二号事由が具備されているものと速断し、漫然と不在者投票をさせたものということになる。 そうすると、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものであり、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (二九) 番号44について乙第一一号証の四四、証人P38、同bの各証言によれば、P38(番号44)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一九日まで」、行き先欄には「福岡県福北九州市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、静岡にいる娘の体調が悪くなり、加勢に行くこととなったため、不在者投票用紙等の交付請求をしたこと、実際は、P38は右期間に腰が痛くなり、静岡には行かなかったことが認められる。なお、証人bの証言によれば、宣誓書兼請求書の行き先欄は補助執行者bが記載したものであることが認められるところ、その記載が実際と異なっているのは同人の聞き間違いと推認される。 右認定事実に照らすと、P38が選挙の当日に行き先欄記載の地に行くのは私事旅行に当たるものである。しかるに、宣誓書兼請求書の記載のみからは、これが「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは不可能である。そして、補助執行者bが右の要件について質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管 いての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (三〇) 番号46について乙第一一号証の四六の一、証人P39、同eの各証言によれば、P39(番号46について)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月一八日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、P39は漁業を営んでいるところ、一一月中旬はヨコワ漁の最盛期で、同人も出漁していたこと、ヨコワ漁の漁場は福岡か五島であるが、実際は魚群を追いかけて行くため、日によって行き場所が異なり、予め確定的な場所を記載することはできないこと、出漁は遅くとも午前五時で、帰漁は早くとも午後六時頃であるところ、同人は、以前、ヨコワ漁に出漁していて投票に間に合わなかったことがあったため、以後は選挙のたびに不在者投票をしていたこと、宣誓書兼請求書の不在理由欄の「旅行」に○印を付したのは、それまでそのようにしても通っていたからであったこと、補助執行者eは、P39と面識があり、同人が漁業を営んでいることは知っていたこと、旅行の具体的内容についてP39に質問したところ、出漁のため福岡に行くとの説明を受けたことが認められる。 原告らは、同人の不在者投票事由について二号事由を主張するが、右認定の事実に照らすと、P39は、選挙の当日には、投票区の区域外において職務に従事中であるべきことになり、同人の不在者投票は一号事由を具備するものというべきところ、補助執行者としても、主としてP39の口頭説明により、右事由を認識して不 当日には、投票区の区域外において職務に従事中であるべきことになり、同人の不在者投票は一号事由を具備するものというべきところ、補助執行者としても、主としてP39の口頭説明により、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (三一) 番号48について乙第一一号証の四八、証人P40、同eの各証言によれば、P40(番号48)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一三日から一一月二〇日まで」、行き先欄には「福岡県<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、一か月くらい前から眼鏡が合わなくなってきたので、行き先欄記載の次男宅に行って、眼鏡屋を紹介してもらおうと思い、不在者投票の一、二日前に航空券を予約したこと、右期間に眼鏡屋に行かなければならない事情は特になかったこと、補助執行者eは、P40から、福岡に行くから選挙の当日にいないので、不在者投票をさせてくれとの申立てを受けたが、その際、息子の所に行くとの説明は受けておらず、旅行も目的等についてeの方から特段質問はしなかったことが認められる。 右認定事実に照らすと、P40の右の旅行は、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難な事情があるとは認められない。そして、宣誓書兼請求書の記載及びP40による口頭説明のみからは、これが「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは不可能であるところ、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等をすることなく、漫然と不在者投票をさせたものであるから、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかっ 当たるか否かを判断することは不可能であるところ、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等をすることなく、漫然と不在者投票をさせたものであるから、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 したがって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (三二) 番号50について乙第一一号証の五〇の一、証人P4、同P5、同d、同eの各証言によれば、P4(番号50)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月一八日まで」、行き先欄には「長崎市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、P4は、長崎市所在の純心高等学校のバレーボール部に所属する同人の次女が、同月一七日に実施される長崎県の新人戦に出場するため、妻のP5とともに応援に行くこととして、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、補助執行者dは、P4から、子供のバレーボールの応援に行く旨説明を受けたこと、投票当日までに帰って来られないかという質問はしていること(この質問に対しては、帰りが投票時間内に間に合わない旨の回答を得たものと推認される。)実際には、一一月一七日には、漁業を営むP4は、ヨコワが獲れるというので応援を取りやめて出漁し、長崎市には妻だけが行ったことが認められる。 右の事由は、選挙の当日やむを得ない用務により上県町外に旅行中であるべきものとして、二号事由に該当することは明らかである。そして、学校の運動部の試合は通常日曜日に行われるものであり、試合終了予定時刻後、長崎市から上県町まで選挙の当日の投票時間内に帰着することは不可能であるから、補助執行者は、宣誓書兼請求書の不在期間及び行き先の記載、P4の口頭説明を総合して、 われるものであり、試合終了予定時刻後、長崎市から上県町まで選挙の当日の投票時間内に帰着することは不可能であるから、補助執行者は、宣誓書兼請求書の不在期間及び行き先の記載、P4の口頭説明を総合して、右事由を具備するものと判断したということができる。 したがって、補助執行者としては、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものであり、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (三三) 番号51について乙第一一号証の五一の一、証人P4、同P5、同d、同eの各証言によれば、P5(番号51)は、一一月一三日に夫のP4とともに不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月一九日まで」、行き先欄には「長崎県長崎市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、不在理由は、P4と同じく次女の試合の応援のほか、娘の部屋の中を整理することであったこと、補助執行者は、P5から、娘のバレーボールの応援で右の行き先に行くので不在者投票させて下さいと申し立てられたことが認められる。 右認定事実に照らせば、右(三二)と同じく、右不在者投票について町選管の管理執行手続に違法はないものというべきである。 (三四) 番号52及び53について乙第一一号証の五二及び五三の各一によれば、P41(番号52)及びP42(番号53)はいずれも一一月一三日に不在者投票をしたこと、右両名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一八日まで」、行き先欄には「福岡県<以下略>」(ただし、P42については「福岡県<以下略>」)とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていることが認められる。 右認定の事実に照らすと、右両名の申し立てた不在理由 略>」(ただし、P42については「福岡県<以下略>」)とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていることが認められる。 右認定の事実に照らすと、右両名の申し立てた不在理由は福岡市<以下略>への私事旅行であると考えられるところ、宣誓書兼請求書の記載のみからは、これが「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは到底不可能である。 そして、補助執行者bが旅行の目的や、同月一七日の投票時間内に帰って来られないか否かについて質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (三五) 番号54及び55について甲第一四号証、乙第一一号証の五四及び五五、証人P43、同P44、同b、同P23の各証言によれば、P43(番号54)及びP44(番号55)は一一月一四日に不在者投票をしたこと、右両名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から二〇日まで」、行き先欄には「神奈川県横浜市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、右両名は夫婦であるが、本件選挙の年が金婚式であったので、行き先欄記載の地に居住する息子がお祝いに招いてくれ、航空券は予め送ってきたこと、息子が家を建てるので、住宅ローンの連帯保証人になる必要もあったところ、息子の都合でこの時期を指定し人になる必要もあったところ、息子の都合でこの時期を指定してきたこと、補助執行者bは、上県町役場の宿直職員であるP43とは面識があったが、どこに行くのかと尋ねたと ころ、息子の都合でこの時期を指定し人になる必要もあったところ、息子の都合でこの時期を指定してきたこと、補助執行者bは、上県町役場の宿直職員であるP43とは面識があったが、どこに行くのかと尋ねたところ、単に子供がいる横浜まで行くとの説明を受けたが、不在理由等についてそれ以上の具体的質問はせず、P43からもそれ以上の説明はなかったこと、不在期間欄記載の期間は、右両名で鬼怒川温泉へ行き、それ以外は横浜市<以下略>の息子の家で泊まったことが認められる。 右認定の事実に照らすと、右両名の旅行は、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難な事情があり、二号事由に該当するものというべきである。しかし、宣誓書兼請求書の記載及び右の程度の口頭説明からは、右のような具体的な不在者投票事由を認識することは到底困難であるところ、補助執行者としては、「やむを得ない用務」の要件について具体的な質問等をすることなく、漫然と不在者投票をさせたのであるから、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 したがって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (三六) 番号56ないし58について甲第四号証ないし第六号証、第七号証の一ないし四、乙第一一号証の五六ないし五八、証人P23の証言によれば、P45(番号56)、同人の妻P46(番号57)及び娘のP47(番号58)は一一月一四日に不在者投票をしたこと、右三名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月一八日まで」、行き先欄には「福岡県北九州市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、右三名は、右の期間、P45及びP46の長男の子の七五三祝いのため、行き先欄記載の地に行く予定であったこと、補助 下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、右三名は、右の期間、P45及びP46の長男の子の七五三祝いのため、行き先欄記載の地に行く予定であったこと、補助執行者は右三名から、旅行の目的として、右のとおりの説明を受けたことが認められる。 一一月一七日は、七五三の日に直近する日曜日であるから、右三名の旅行が「やむを得ない用務」の要件を充たし、二号事由を具備することは明らかであるところ、補助執行者としても、選挙の当日が七五三の日に直近する日曜日であることは知っていたものと推認され、宣誓書兼請求書の記載及び右三名の口頭説明を合わせ参酌することにより、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (三七) 番号59について甲第一二号証の一及び二、乙第一一号証の四二、同号証の五九の一、証人P36及びP37の各証言によれば、P36(番号59)は一一月一四日に不在者投票をしたこと、宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一七日まで」、行き先欄には「福岡県」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、右不在期間は交際中のP37とともに福岡へ婚約指輪を買いに行く予定を立てており、以前から航空券を購入していたこと、補助執行者がP36に旅行の目的について質問したところ、前から決めていた旅行で、恋人と二人で行くとの説明を受け、選挙の当日には何時に帰ってくるかと質問したところ、午後八時から九時の間との回答を得たことが認められる。 右の事由は、私事旅行ではあるけれども、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難 受け、選挙の当日には何時に帰ってくるかと質問したところ、午後八時から九時の間との回答を得たことが認められる。 右の事由は、私事旅行ではあるけれども、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難であるというべきであるから、P36の不在者投票は二号事由を具備するものということができる。そして、補助執行者は、宣誓書兼請求書の記載及びP36の口頭説明を総合して、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものである。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (三八) 番号60について乙第一一号証の六〇、証人P6の証言によれば、P6(番号60)は一一月一四日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一九日まで」、行き先欄には「長崎県長崎市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人の子供は佐世保市所在の九州文化学園高校のバレーボール部に所属しており、長崎市内で開催される県大会の試合に出場するため、P6はその応援に行く予定であったこと、同校はバレーボールが強く、決勝戦まで進出することが予想されたので、決勝戦まで応援する日程を組み、航空券の予約をしたこと、実際、同校は右の県大会で優勝したこと、補助執行者斉藤は、旅行の目的を質問したところ、P6から、子供のバレーボールの応援に行くとの回答を得たことが認められる。 したがって、前記(三二)と同様、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はないものというべきである。 (三九) 番号63について乙第一一号証の六三の一、証人o、同eの各証言によれば、o(番号63)は一一月一四日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書 管理執行手続に違法はないものというべきである。 (三九) 番号63について乙第一一号証の六三の一、証人o、同eの各証言によれば、o(番号63)は一一月一四日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一八日まで」、行き先欄には「福岡県」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は精神薄弱者更正施設である社会福祉法人梅仁会対馬学園の施設長をしているところ、右期間は対馬学園の入所者の保護者と福岡市内で面談する約束をしていたこと、補助執行者eは、oから、単に旅行に行くとの説明を受けたこと、同人は、真の不在理由は、入所者の秘密保護のためeに言わなかったことが認められる。 右認定に照らせば、oは、選挙の当日には、投票区の区域外において職務に従事中であるべきことになり、同人の不在者投票は一号事由を具備することとなる。しかし、右宣誓書兼請求書の記載及び同人による口頭説明のみからは、同人の不在者投票が不在者投票事由を具備するものか否か到底判明し得ないにもかかわらず、補助執行者は漫然とoに不在者投票をさせているから、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 したがって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (四〇) 番号64について乙第一一号証の六四、証人P48、同cの各証言によれば、P48(番号64)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月二〇日まで」、行き先欄には「長崎県長崎市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、平成七年五月に狭心症のため上対馬病院に入院したことがあり、その際、CT検査は同病 、行き先欄には「長崎県長崎市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、平成七年五月に狭心症のため上対馬病院に入院したことがあり、その際、CT検査は同病院で受けたこと、その際、MRIの検査も受けた方がよいと勧められたが、同病院にはMRIの設備がなかったため、医師に長崎市民病院への紹介状を書いてもらっていたところ、不在者投票をした二、三日前に自宅で発作が起こったので、早く検査を受けた方がよいと考え、同病院に行くこととしたこと、MRIの検査を受けるには三、四日間入院を要する旨上対馬町病院の医師から聞いていたため、検査のついでに長崎在住の長男の家族に四、五年ぶりに会うこととして、右のような日程にしたこと、補助執行者cは、P48から、単に病院に検査に行く旨の説明を受けたが、予定を延ばすことはできないのかというような質問は特にしなかったことが認められる。 右認定事実に照らすと、P48の右不在理由は、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難であり、やむを得ない用務によるものとして、二号事由を具備することは明らかである。そして、補助執行者cは、P48から、単に病院に検査に行く旨説明を受けたものであるけれども、一般に、健康状態に問題のある者が一日も早く検査を受けたいと考えるのは容易に理解できることであるし、上県町という離島内の地域に居住する者が、病院での検査のために右の程度の期間長崎市に行くことには無理からぬものがあるということは、補助執行者において特段説明を受けなくても認識することができるというべきであるから、補助執行者としては、宣誓書兼請求書の記載及びP48による口頭説明を総合して、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなり、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 ら、補助執行者としては、宣誓書兼請求書の記載及びP48による口頭説明を総合して、右事由を認識して不在者投票をさせたこととなり、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (四一) 番号66及び67について乙第一一号証の六六の一及び六七の一、証人P49、同P50、同eの各証言によれば、P49(番号66)及び同人の妻のP50(同67)はいずれも一一月一五日に不在者投票をしたこと、右両名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月二〇日まで」、行き先欄には「大阪府大阪市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、一一月七日に八年ぶりに孫(行き先欄記載の地に在住の長男P51の子)が生まれ、しかも初めての内孫であったこと、同月一五日に孫とその母親が退院したので、名付けをするため一六日に大阪に行くこととしたこと、同日には大阪への直行便があったこと、補助執行者は、P50とともに来所したP49から、八年ぶりに孫が生まれたので、名付けのために大阪へ行く旨説明を受けたことが認められる。 右認定の事実に照らすと、出生した孫を退院後できるだけ早く見に行きたいと考えるのは、もっともな心情であり、右の事由は、私事旅行ではあるけれども、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難である場合に準じるものとして、右両名の不在者投票は二号事由を具備するものというべきである。そして、補助執行者は、宣誓書兼請求書の記載及びP49の口頭説明を総合して、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選 記載及びP49の口頭説明を総合して、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はないものというべきである。 (四二) 番号69及び70について乙第一一号証の六九の一、証人P52、同P53、同eの各証言によれば、P52(番号69)及び同人の妻のP53(番号70)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、右両名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「投票当日のみ」に○印が付され、行き先欄には「福岡県筑紫野市<以下略>」(ただし、P53の宣誓書兼請求書の記載は「福岡県築紫野市<以下略>」)と記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付され、P52の宣誓書兼請求書の職業(勤務先)欄には「教員(仁田中学校)」と記載されていること、行き先欄記載の地に在住の右両名の長女の子供が七五三であったこと、P52は、当時上県町立仁田中学校の校長の職にあり、管理職として、平日は休暇が取りにくいため、七五三の日に近い日曜日ということで同月一七日に妻のP53とともに祝いに行くこととしたこと、そのことは、不在者投票の一か月くらい前に決めていたこと、補助執行者eは、P52から、福岡の娘のところに用事で出かけるとの説明を受けたが、同月一七日のうちに帰って来られないかという質問はしていないことが認められる。なお、eが、七五三の祝いに行くとの具体的内容について説明を受けたことを認めるに足りる証拠はない。 右の事由は、前記(三六)と同様、やむを得ない用務により投票区の区域外に旅行中であるべきものとして、二号事由に該当するものというべきである。しかし、補助執行者は、右両名から、単に娘のところに用事で出かけるとの説明を受けたと 同様、やむを得ない用務により投票区の区域外に旅行中であるべきものとして、二号事由に該当するものというべきである。しかし、補助執行者は、右両名から、単に娘のところに用事で出かけるとの説明を受けたというのであり、それのみでは、それが「やむを得ない用務」の要件に該当するのか否か到底判断することはできない。したがって、補助執行者において、この点につき質問等することなく漫然と不在者投票をさせたことは、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 したがって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (四三) 番号73及び74について乙第一一号証の七三、七四、証人bの証言によれば、P54(番号73)及びP55(番号74)は同棲中であるところ、いずれも一一月一五日に不在者投票をしたこと、右両名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一八日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていることが認められる。 右両名の申立てに係る不在理由は私事旅行に該当するものといえるところ、宣誓書兼請求書の記載のみからは、これが「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは到底不可能である。そして、補助執行者が右の要件について質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (四四) 番号75について乙第一一号証の七五、証人P7の証言によれば、P56(番号75) いて審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (四四) 番号75について乙第一一号証の七五、証人P7の証言によれば、P56(番号75)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月二三日まで」、行き先欄には「長崎県長崎市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人は、友人の勤務する長崎市内の会社に就職するため、その友人の紹介で面接を受ける予定にしていたこと、面接は月曜日以降に実施される見込みであったこと、補助執行者は、P56とともに不在者投票のため来所した母親のP7(番号76)から、P56は、長崎市内の友人の勤務する会社に就職するため、その友人の紹介で面接を受ける旨の説明を受けたため、宣誓書兼請求書の不在理由欄には「2」の「旅行」に○印を付けるよう指示したことが認められる。 右認定事実に照らすと、P56は、一一月一七日に投票を済ませてから長崎市に出発しても面接に間に合ったものといえなくはない。しかし、就職活動のために遠隔地に赴く場合には、日程的に余裕をもって出発することにも合理的な理由があるといえるし、後記(四五)のとおり、P7が一一月一六日に長崎市に出発することについてはやむを得ない用務によるものということができるところ、同人の子であるP56が、P7と揃って出発することにも無理からぬものがあるから、P56の不在理由は、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難である等の事情がある場合に準じるものとして、やむを得ない用務による旅行に当たり、二号事由を具備するものというべきである。 そして、補助執行者は、二名揃って不在者投票に来たP56及びP7から、P56の右不在理由及 ある場合に準じるものとして、やむを得ない用務による旅行に当たり、二号事由を具備するものというべきである。 そして、補助執行者は、二名揃って不在者投票に来たP56及びP7から、P56の右不在理由及び後記(四五)認定のとおりのP7の不在理由について口頭説明を受け、宣誓書兼請求書の記載も合わせ参酌することにより、右二号事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はないものというべきである。 (四五) 番号76について乙第一一号証の七六、証人P7の証言によれば、P7(番号76)は、一一月一五日にP56とともに不在者投票をしたこと、宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月二三日まで」、行き先欄には「長崎県弥生町<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」に○印が付されていること、同人の次男は、行き先欄記載の地に所在するアパートに居住し、長崎市所在の海星高校に通学していること、P7は、同校から、心配なことがあるということで呼出しを受けたため、同校に出頭することとしたこと、学校の関係者に会う日については特に指定を受けておらず、いずれにせよ月曜日以降になる見込みであったこと、補助執行者は、P7から、同校から、心配なことがあるということで呼出しを受けたので、同校に出頭する旨の説明を受け、宣誓書兼請求書の記載は「旅行」に○印を付けるよう同人に指示したことが認められる。 右認定事実に照らすと、P7は、同校への出頭自体については、一一月一七日に投票を済ませてから出発しても間に合ったということができる。しかし、親元を遠く離れて高等学校に通学する子供について、学校から呼出を受けた場 照らすと、P7は、同校への出頭自体については、一一月一七日に投票を済ませてから出発しても間に合ったということができる。しかし、親元を遠く離れて高等学校に通学する子供について、学校から呼出を受けた場合には、一日も早く子供の下に赴き、子供と会って話をする等して、事実関係を把握し、問題の解決に努めたいと考えるのが、子供を持つ親としての通常の心理であり、右不在理由は、選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難である場合に準じるものであって、P7の不在者投票は二号事由を具備するものというべきである。そして、補助執行者は、宣誓書兼請求書の記載及びP7の口頭説明を総合して、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものということができる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はないものというべきである。 (四六) 番号80について乙第一一号証の八〇、証人P32、同dの各証言によれば、P34(番号80)は一一月一二日に不在者投票をしたこと、宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一二日から一一月一八日まで」、行き先欄には「福岡県八女郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「旅行」及び「帰省」に○印が付されていることが認められ、また、同人は、P33を当時の夫とともに姉の家へ連れて行くため、不在者投票用紙等の交付を請求したこと及び補助執行者への説明内容は、前記(二六)認定のとおりである。 そうすると、前記(二六)で判示したところと同様、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はないものというべきである。 (四七) 番号81について甲第一〇号証の一ないし三、乙第一一号証の八一によれば、P57(番号82)は一一月一三日に不在者投 て町選管の委員長による管理執行手続に違法はないものというべきである。 (四七) 番号81について甲第一〇号証の一ないし三、乙第一一号証の八一によれば、P57(番号82)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一七日まで」、行き先欄には「下県郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に○印が付されていること、同人は対馬支庁上県土木駐在所に勤務しているところ、一一月一七日には美津島町での祖母の法事が予定されていたため、同町に行く必要があったこと、前日の一六日に厳原町所在の妻の実家に宿泊することとしていたため、行き先欄の記載が右のとおりとなっていることが認められる。 しかるに、右宣誓書兼請求書の記載のみからは、P57の帰省が「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは到底不可能であるところ、補助執行者が、右の要件について質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (四八) 番号82について乙第一一号証の八二によれば、P58(番号82)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月二一日まで」、行き先欄には「長崎県下県郡<以下略>」、とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に○印が付されていることが認められる。 右宣誓書兼請求書の記載のみからは、同人の帰省が「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは到底不可 ぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に○印が付されていることが認められる。 右宣誓書兼請求書の記載のみからは、同人の帰省が「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは到底不可能であるところ、補助執行者が、右の要件について質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (四九) 番号83について乙第一一号証の八三、証人bの証言によれば、P59(番号83)は一一月一三日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月一七日まで」、行き先欄には「下県郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に○印が付されていること、補助執行者bに対しては、厳原に帰ると説明したことが認められる。 右宣誓書兼請求書の記載及びP59による口頭説明のみからは、同人の帰省が「やむを得ない用務」の要件に当たるか否かを判断することは到底不可能であるところ、補助執行者が、右の要件について質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、それ以上に右要件についての質問等を一切することなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 したがって、補助執行者は、不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (五〇) 番号85について乙第一一号証の八五の一、証人P60の証言によれば、P60(番号85)は一一月一四日に不在者投票をしたこと、同人の 右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (五〇) 番号85について乙第一一号証の八五の一、証人P60の証言によれば、P60(番号85)は一一月一四日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月一七日まで」、行き先欄には「長崎県上県郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に○印が付されていること、同人は独身であり、行き先欄記載の地に在住の両親とは自動車で約四〇分の距離に居住して、伊奈郵便局に勤務していること、両親は心臓が悪く、介護を要するというほどではないが、毎週末にP60が帰省して来るのを楽しみにしていること、同人は、特に用事がない限り、毎週土曜日と日曜日には帰省することとしていたこと、同人は、帰省した場合、網代で何か用事ができると、日曜日のうちに戻ってきて投票できなくなるおそれがあったので不在者投票用紙等の交付を請求したこと、補助執行者は、P60から、不在者投票事由は帰省であり、毎週土日は帰省している旨の説明を受けたことが認められる。 右認定事実に照らすと、P60が毎週親元へ帰省するのには無理からぬものがあるところ、帰省先で用事ができて投票時間内に戻れなくなるおそれがあることも十分あり得るところであるから、儀礼等の理由から社会通念上必要な用務のために旅行する場合に準じるものとして、同人の不在者投票は二号事由を具備するというべきである。そして、補助執行者は、右宣誓書兼請求書の記載及びP60の口頭説明から、二号事由に該当することを認識判断したものということができるから、不在者投票事由について審査義務を尽くしたこととなる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はないものというべきである。 (五一) 番号86について乙第 から、不在者投票事由について審査義務を尽くしたこととなる。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はないものというべきである。 (五一) 番号86について乙第一一号証の八六、証人P61の証言によれば、P61(番号86)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一五日から一一月一八日まで」、行き先欄には「長崎県長崎市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に〇印が付されていること、同人は、当時、対馬福祉事務所上県支所に単身赴任しており、行き先欄記載の自宅に帰省するため、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、同人の妻はパートで働いており、休日の方が忙しいので、子供の世話をするため、なるべく土日は帰省するようにしていたことが認められる。 右の不在理由は、やむを得ない用務により投票区域外にあるべきものとして、二号事由に該当するものというべきである。しかし、右宣誓書兼請求書の記載からは、「やむを得ない用務」の要件に当たるか否か判断することは不可能であるところ、補助執行者において、宣誓書兼請求書の記載以上に、帰省の具体的目的等、右要件について質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者としては、右の記載のみから不在者投票事由ありと速断して、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ず、不在者投票事由について審査義務を尽くしていないというのほかはない。 したがって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (五二) 番号87について乙第一一号証の八七、証人P62、同bの各証言によれば、P62(番号87)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一 ) 番号87について乙第一一号証の八七、証人P62、同bの各証言によれば、P62(番号87)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一八日まで」、行き先欄には「福岡県北九州市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に〇印が付されていること、同人は、長女の離婚問題と借金問題で北九州市<以下略>に行く必要があったが、長女の夫とは同月一四日になってやっと連絡がとれ、長女の夫が同月一六日か一七日だったら若松区に来ることができるというので、急きょ行くこととなったこと、若松区にはP62の親戚がおり、後記(五三)のとおり連れて行くP63(番号88)を預ける予定にしていたので、右のとおり「帰省」に〇印を付したこと、補助執行者bは、P62が北九州市の出身であることは知っていたところ、同人から、単に若松の娘のところに行くとだけ説明を受けたが、それ以上の詳しい事情は尋ねなかったこと、P62としても、娘の離婚問題を知られたくなかったので、bにはそれ以上の説明をしなかったことが認められる。 右認定事実に照らすと、P62は、選挙の当日はやむを得ない用務のため上県町外にあるべきこととなる。しかし、補助執行者は、右旅行の目的等について具体的に明らかにさせようとすることなく、右宣誓書兼請求書の記載及び単に若松の娘のところに行くとの説明のみで、漫然と不在者投票をさせたものであるから、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 したがって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (五三) 番号88について甲第一五号証、乙第一一号証の八八、証人P62、同bの各証言によれば、P63(番号88)は一一月一五日に不在者投票をしたこと 票の管理執行手続には違法があることとなる。 (五三) 番号88について甲第一五号証、乙第一一号証の八八、証人P62、同bの各証言によれば、P63(番号88)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書には、P62(番号87)と同様の記載がなされていること、P63は、P62の義父であるところ、同人が右(五二)認定のような理由で行き先欄記載の地に行くと、自分の世話をする者がいなくなるので、P62の旅行に同道することとして、不在者投票用紙等の交付を請求したこと、補助執行者bは、不在理由については、P63の不在者投票に同行したP62から、同人の不在者投票用紙等の交付請求と同じ機会に、単に若松の娘のところに行くとだけ説明を受けたことが認められる。 そうすると、P62の場合と同様、補助執行者は不在者投票事由について審査義務を尽くしておらず、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があるといわざるを得ない。 (五四) 番号90について乙第一一号証の九〇の一、証人sの証言によれば、s(番号90)は一一月一五日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一七日まで」、行き先欄には「福岡県福岡市<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に〇印が付されていること、同人は、三年前に死亡した夫の家実から籍を離れるよう要求され、また、借家の大家からは明渡しを要求されていたため、実家に帰って相談する必要があったこと、sは大亜興産というガソリンスタンドに勤務しているところ、従業員は同人を入れて二名しかいないため、平日には休みがとれず、日曜日に実家のある福岡市<以下略>に帰省することとしたこと、補助執行者は、何故福岡に行くのかと質問したところ、sから、帰省である旨回答を得たものの 入れて二名しかいないため、平日には休みがとれず、日曜日に実家のある福岡市<以下略>に帰省することとしたこと、補助執行者は、何故福岡に行くのかと質問したところ、sから、帰省である旨回答を得たものの、それ以上の具体的な説明は受けていないこと、sは、不在者投票請求の場にいた町職員のP64には、従前から右の離籍の件で相談をしており、同人は不在理由について分かっているだろうと思っていたことが認められる。 右認定事実に照らすと、sは、選挙の当日はやむを得ない用務のため上県町外にあるべきこととなる。しかし、補助執行者は、帰省の目的等について何ら具体的に明らかにさせようとしておらず、乙第一三号証によれば、町職員のP64が補助執行者でないことは明らかであるから、同人がsの離籍問題について知っていたとしても、このことから直ちに補助執行者がsの帰省の目的について認識していたということはできない。したがって、補助執行者は、右宣誓書兼請求書の記載及び単に帰省するとのsの説明のみで、漫然と不在者投票をさせたものであり、不在者投票事由について審査義務を尽くしていないものといわざるを得ない。 したがって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (五五) 番号91ないし93について乙第一一号証の九一ないし九三号の各一、証人P65、同P66、同P67、同d、同eの各証言によれば、P65(番号91、本件の原告でもある。)、P67(番号92)及びP66(番号93)はいずれも一一月一五日に不在者投票をしたこと、右三名の各宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一八日まで」、行き先欄には「長崎県壱岐郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に〇印が付されていること、P65は、一一月一一日に兄嫁であるP 欄には「一一月一六日から一一月一八日まで」、行き先欄には「長崎県壱岐郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に〇印が付されていること、P65は、一一月一一日に兄嫁であるP68が死亡し、行き先欄記載の場所で同月一六日に葬儀が、翌一七日に初七日の法要が執り行われることとなったため、妻のP66及び子のP67とともに参列することとしたこと、初七日の法要は夕方までかかるが、壱岐からの船便は昼間と夜しかないため、投票時間内に帰着できず、不在者投票用紙等の交付を請求することとしたこと、補助執行者e及び同dは、右三名から、兄嫁が死亡したので葬儀に行く旨説明を受け、同月一七日の投票時間内に帰って来られないのかと質問したところ、葬儀の翌日に初七日をするので帰れない旨回答を受けたことが認められる。 右の不在理由は、儀礼上の理由から社会通念上必要な用務のための旅行によるものであり、かつ、選挙の当日以外に右旅行の日程を変更することは著しく困難であるから、右三名の不在者投票が二号事由を具備することは明らかである。そして、補助執行者は、宣誓書兼請求書の記載及び右三名による口頭説明を総合して、右事由を具備するものと判断したということができるから、不在者投票事由についての審査義務を尽くしたものである。 したがって、右不在者投票について町選管の委員長による管理執行手続に違法はない。 (五六) 番号94について乙第一一号証の九四、証人dの証言によれば、P69(番号94)は一一月一六日に不在者投票をしたこと、同人の宣誓書兼請求書の不在期間欄には「一一月一六日から一一月一九日まで」、行き先欄には「岡山県上房郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に〇印が付されていること、補助執行者dは、P69から、親に会うため、選挙の当 一六日から一一月一九日まで」、行き先欄には「岡山県上房郡<以下略>」とそれぞれ記載され、不在理由欄には「2」の「帰省」に〇印が付されていること、補助執行者dは、P69から、親に会うため、選挙の当日どうしても行き先欄所在の実家へ帰省しなければならない用事がある旨の説明を受けたことが認められる。 右認定事実に照らすと、P69の帰省はやむを得ない用務によるものであることがうかがわれなくはないが、右宣誓書兼請求書の帰省及び同人による口頭説明のみでは、同人が同月一七日に帰省しなければならない具体的理由が明らかでなく、「やむを得ない用務」の要件に該当するか否かの判断は困難である。そして、補助執行者においてその点等につき質問したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、右のような宣誓書兼請求書の記載及び口頭説明のみで漫然と不在者投票をさせたものと推定され、不在者投票事由について審査義務を尽くさなかったものといわざるを得ない。 したがって、町選管の委員長による右不在者投票の管理執行手続には違法があることとなる。 (五七) その余の番号の不在者投票について乙第一一号証の一、五、一三、二二ないし二四、二八、三三、三七、三八、四三、四五、四七、四九、六一、六二、六五、六八及び七一の各一、七二、七七、七八の一、七九、八四、八九の一によれば、別表2のうち番号1、5、13、22ないし24、28、33、37、38、43、45、47、49、61、62、65、68、71、72、77ないし79、84、89の各不在者投票における宣誓書兼請求書の不在理由欄には、番号22について「2」のうち「旅行」に〇印が付けられ、「親せきに合いに行くため」と付記されているほかは、いずれも、単に「2」のうち「見舞い」、「旅行」、「帰省」又は「その他」に〇印が付けられているだけ 2について「2」のうち「旅行」に〇印が付けられ、「親せきに合いに行くため」と付記されているほかは、いずれも、単に「2」のうち「見舞い」、「旅行」、「帰省」又は「その他」に〇印が付けられているだけであることが認められる。 右の各記載のみからは、右の不在理由について、儀礼等の理由から社会通念上必要な用務のための旅行であるか否か、又は選挙の当日以外に日程を変更することが著しく困難である等の事情があるか否か全く不明である。そして、補助執行者において、右各不在者投票の投票用紙等の交付を請求した選挙人に対し、右要件について具体的に口頭説明を求める等して審査したことを認めるに足りる証拠はないから、補助執行者は、不在者投票事由について明らかにすることなく、漫然と不在者投票をさせたものと推認せざるを得ない。 そうすると、右のいずれについても、不在者投票事由について審査義務は尽くされておらず、町選管の委員長による右各不在者投票の管理執行手続には違法があるといわざるを得ない。 (五八) まとめそうすると、別表2関係では、六一件の不在者投票について、管理執行手続に違法があることとなる。 四結論以上によれば、本件選挙において管理執行手続に違法のある不在者投票は合計六四件であり、その票数は、当選人である原告fと落選人であるgの間の得票数の差である七〇票を下回る。そうすると、不在者投票の管理執行手続に関する右違法が本件選挙の結果に異動を及ぼす虞があるということはできない。 よって、本件選挙を無効とした原裁決は違法として取り消されるべきであるから、原告らの請求をいずれも認容することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法六六条、六一条を適用して、主文のとおり判決する。 (平成一〇年一月二二日口頭弁論終結)福岡高等裁判所第二民事部裁判長裁判官 いずれも認容することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法六六条、六一条を適用して、主文のとおり判決する。 (平成一〇年一月二二日口頭弁論終結)福岡高等裁判所第二民事部裁判長裁判官山口忍裁判官西謙二裁判官原啓一郎当事者目録長崎県上県郡<以下略>原告 f長崎県上県郡<以下略>原告 P70長崎県上県郡<以下略>原告 P71長崎県上県郡<以下略>原告 P72長崎県上県郡<以下略>原告 P65原告ら訴訟代理人弁護士村井正昭藤尾順司安部尚志谷雅文山田正彦長崎市江戸町二の一三被告長崎県選挙管理委員会右代表者委員長 P73右訴訟代理人弁護士木村憲正右指定代理人 P74P75P76P77P78P79P80P81長崎県上県郡<以下略>被告補助参加人 h長崎県上県郡<以下略>被告補助参加人 i長崎県上県郡<以下略>被告補助参加人 P82長崎県上県郡<以下略>被告補助参加人 P83長崎県上県郡<以下略>被告補助参加人 P84長崎県上県郡<以下略>被告補助参加人 P85長崎県上県郡<以下略>被告補助参加人 P86長崎県上県郡<以下略>被告補助参加人 P87被告補助参加人ら訴訟代理人弁護士李博盛右訴訟復代理人弁護士堀内恭彦
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