- 1 -令和4年4月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成28年(ワ)第2480号大規模投資詐欺被害による損害賠償請求事件平成28年(ワ)第2481号損害賠償請求事件平成28年(ワ)第4004号大規模投資詐欺被害による損害賠償請求事件平成29年(ワ)第5695号大規模投資詐欺被害による損害賠償請求事件 口頭弁論終結日令和3年12月20日判決原告別紙原告目録記載のとおり(以下,同目録記載の原告番号に従い,「原告1」などという。)被告別紙被告目録記載のとおり(同目録中で定義し た略称は,以下においても同様に用い,同目録記載の被告番号に従い,「被告1」などということもある。) 主文 1(1) 被告田原証券,被告2及び被告17は,連帯して,原告1から原告106 まで,原告126から原告174までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録1のⅠ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被告12及び被告新宿会計は,連帯して,原告1から原告94まで,原告96から原告103まで,原告106,原告126から原告174までの各 自に対し,それぞれ別紙被告新宿会計ほか認容額計算表の損害賠償額欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被告青山会計は,原告8,原告9,原告11,原告12,原告15から原告17まで,原告20,原告21,原告29から原告32まで,原告36, 原告38,原告39,原告44,原告46,原告48,原告52,原告53, - 2 - 11,原告12,原告15から原告17まで,原告20,原告21,原告29から原告32まで,原告36, 原告38,原告39,原告44,原告46,原告48,原告52,原告53, - 2 -原告55,原告57,原告60,原告61,原告66,原告68,原告70,原告72,原告74,原告75,原告80,原告85,原告86,原告88,原告90,原告92,原告93,原告95,原告96,原告98,原告101から原告105まで,原告126,原告128,原告130,原告131,原告133,原告135,原告136,原告140,原告141,原告14 4,原告145,原告149から原告151まで,原告157,原告161,原告163,原告164,原告166から原告168までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録1のⅣ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2(1) 被告田原証券,被告2及び被告17は,連帯して,原告107から原告1 25までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録2のⅠ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被告12及び被告新宿会計は,連帯して,原告107,原告108,原告110から原告125までの各自に対し,それぞれ別紙被告新宿会計ほか認 容額計算表の損害賠償額欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被告青山会計は,原告107,原告109,原告112,原告113,原告115から原告117まで,原告119,原告124,原告125の各自に対し,それぞれ別紙請求額目録2のⅣ欄記載の金員及びこれに対する別紙 会計は,原告107,原告109,原告112,原告113,原告115から原告117まで,原告119,原告124,原告125の各自に対し,それぞれ別紙請求額目録2のⅣ欄記載の金員及びこれに対する別紙 遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の被告らに対する請求並びに被告12及び被告新宿会計に対するその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,原告らと被告田原証券,被告2,被告17,被告12,被告新 宿会計及び被告青山会計との間においては,原告らに生じた費用の5分の4を - 3 -上記被告らの負担とし,その余は各自の負担とし,原告らとその余の被告らとの間においては,全部原告らの負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 原告1から原告106まで及び原告126から原告174まで関係(1) 被告田原証券,被告2,被告3,被告4,被告5,被告6,被告12,被告17,被告18,被告19,被告20及び被告新宿会計は,連帯して,原告1から原告106まで及び原告126から原告174までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録1のⅠ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損 害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被告8は,原告1から原告106まで及び原告126から原告174までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録1のⅡ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被告9,被告10及び被告11は,連帯して,原告1から原告106まで及び原告126から原告174までの各自に対し,それぞれ別 載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被告9,被告10及び被告11は,連帯して,原告1から原告106まで及び原告126から原告174までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録1のⅢ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 被告13,被告青山会計,被告23及び被告24は,連帯して,原告8, 原告9,原告11,原告12,原告15ないし原告17,原告20,原告21,原告29ないし原告32,原告36,原告38,原告39,原告44,原告46,原告48,原告52,原告53,原告55,原告57,原告60,原告61,原告66,原告68,原告70,原告72,原告74,原告75,原告80,原告85,原告86,原告88,原告90,原告92,原告93, 原告95,原告96,原告98,原告101から原告105まで,原告12 - 4 -6,原告128,原告130,原告131,原告133,原告135,原告136,原告140,原告141,原告144,原告145,原告149から原告151まで,原告157,原告161,原告163,原告164,原告166から原告168までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録1のⅣ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払 済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5) 被告7の1は,原告1,原告5,原告8,原告9,原告11から原告17まで,原告19から原告21まで,原告25から原告32まで,原告34,原告36から原告38まで,原告41,原告44,原告46,原告49から原告53まで,原告55から原告70まで,原告72から原告75まで,原 告77,原告80から原告98まで,原告1 原告34,原告36から原告38まで,原告41,原告44,原告46,原告49から原告53まで,原告55から原告70まで,原告72から原告75まで,原 告77,原告80から原告98まで,原告101から原告105まで,原告126から原告129まで,原告133から原告140まで,原告143から原告164まで,原告168から原告174までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録1のⅤ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (6) 被告7の2,被告7の3,被告7の4は,原告1,原告5,原告8,原告9,原告11から原告17まで,原告19から原告21まで,原告25から原告32まで,原告34,原告36から原告38まで,原告41,原告44,原告46,原告49から原告53まで,原告55から原告70まで,原告72から原告75まで,原告77,原告80から原告98まで,原告101か ら原告105まで,原告126から原告129まで,原告133から原告140まで,原告143から原告164まで,原告168から原告174までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録1のⅥ欄記載の金額及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告107から原告125まで関係 - 5 -(1) 被告田原証券,被告2,被告3,被告4,被告5,被告6,被告12,被告17,被告18,被告19,被告20及び被告新宿会計は,連帯して,原告107から原告125までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録2のⅠ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被告8は,原告107 125までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録2のⅠ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被告8は,原告107から原告119まで,原告121から原告124までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録2のⅡ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被告9,被告10及び被告11は,連帯して,原告107から原告119 まで,原告121から原告124までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録2のⅢ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 被告13,被告青山会計,被告23及び被告24は,連帯して,原告107,原告109,原告112,原告113,原告115から原告117まで, 原告119,原告124,原告125の各自に対し,それぞれ別紙請求額目録2のⅣ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5) 被告7の1は,原告107から原告119まで,原告121から原告124までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録2のⅤ欄記載の金員及びこれ に対する別紙遅延損害金の起算日記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (6) 被告7の2,被告7の3及び被告7の4は,原告107から原告119まで,原告121から原告124までの各自に対し,それぞれ別紙請求額目録2のⅥ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日か ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 6 -第2 事案の概要 1 原告ら(ただし れ別紙請求額目録2のⅥ欄記載の金員及びこれに対する別紙遅延損害金の起算日記載の日か ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 6 -第2 事案の概要 1 原告ら(ただし,原告1,47,54,63,67,97,113,117,138,154については,その被相続人。以下,この意味で「原告ら」ということがある。)は,平成20年5月から平成27年10月にかけて,被告田原証券の勧誘を受けて,外国会社であるオプティ・メディックス・リミテッド(以 下「OPM社」という。)及びメディカル・トレンド・リミテッド(以下「MTL社」という。)が診療報酬債権等を裏付資産として発行する社債(以下「本件各社債」と総称する。)を取得した。 本件は,原告らが,OPM社及びMTL社が本件各社債の発行により調達した資金の大部分を診療報酬債権等の買取り以外の目的に流用した結果,本件各 社債の元利金の支払を受けられなくなり,本件各社債の取得金額相当額等の損害を被ったとして,被告らに対し,(1)ア被告田原証券については,調査義務違反等を理由とする不法行為,金融サービスの提供に関する法律(令和2年法律第50号による改正前の題名は金融商品の販売等に関する法律。令和元年法律28号による改正前のも の。以下「金販法」という。)3条,4条,5条又は金融商品取引法(以下「金商法」という。)16条に基づき,イ被告田原証券の代表取締役であった被告2については,前記アと同様の不法行為又は会社法429条1項に基づき,ウ被告田原証券の取締役であった被告3,被告4,被告5,被告6,被告 8並びに被告田原証券の取締役であった亡7の相続人である被告7の1,被告7の2,被告7の3,被告7の4及び被告田原証券の取締役であったαの相続人で あった被告3,被告4,被告5,被告6,被告 8並びに被告田原証券の取締役であった亡7の相続人である被告7の1,被告7の2,被告7の3,被告7の4及び被告田原証券の取締役であったαの相続人である被告9,被告10,被告11(以下「被告田原証券役員ら」と総称する。)については,監視義務違反があったなどとして,会社法429条1項に基づき, (2)ア OPM社やMTL社との間で管理契約を締結していた被告新宿会計及び - 7 -被告青山会計については,OPM社やMTL社の目的外支出を実施したことなどを理由とする不法行為(使用者責任を含む。)又は会社法350条に基づき,イ被告新宿会計の代表取締役であった被告12並びに被告青山会計の代表取締役であった被告23及び被告24については,前記アと同様の不法行 為又は会社法429条1項に基づき,ウ MTL社の日本における代表者であった被告13については,前記アと同様の不法行為に基づき,(3)ア OPM社及びMTL社と業務委託契約を締結して,本件各社債の販売支援を行っていたアーツ証券株式会社(以下「アーツ証券」という。)の取締 役であった被告17については,事情を秘して本件各社債の販売を継続させたことなどを理由とする不法行為又は会社法429条1項に基づき,イアーツ証券の取締役であった被告18,被告19及び被告20(以下,被告17と併せて「被告アーツ証券取締役ら」という。)については,監督・監視義務違反があったとして,会社法429条1項に基づき, 損害賠償金及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である(原告ごとの請求金額は,別 びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である(原告ごとの請求金額は,別紙請求額目録1,2記載のとおりであり,遅延損害金の始期は別紙遅延損害金の起算日記載のとおりである。)。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア株式会社オプティファクター(以下「オプティ社」という。)等(ア) オプティ社は,平成12年9月にβによって設立された,国内及び国 外法人の経営コンサルタント業務等を目的とする会社であり,βが,平 - 8 -成25年3月22日に死亡するまでの間,その代表取締役を務めていた。 βの死後は,その子であるγが,オプティ社の代表取締役を務めた。(甲A4,100,弁論の全趣旨)。 (イ) オプティ社は,社債(私募債)を発行して一般投資家から資金を調達し,その資金をもって診療報酬債権(保険医療機関が被保険者に対して 保険診療を行ったことの対価として社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)等から支払を受ける債権)及び介護給付費に係る債権(指定居宅サービス事業者等が被保険者に対して指定居宅サービス等を行ったことの対価として市町村等から支払を受ける債権。以下,診療報酬債権と併せて,単に「診療報酬債権」という。)を買い取り,保険医療 機関等から買取手数料を得て利益を上げる目的で,社債の発行体として,平成16年3月29日にOPM社を,平成17年7月4日に有限会社メディカル・リレーションズ・リミテッド(平成19年7月に株式会社メディカル・リレーションズ・リミテッドに移行したが,その前後を問わず, 成16年3月29日にOPM社を,平成17年7月4日に有限会社メディカル・リレーションズ・リミテッド(平成19年7月に株式会社メディカル・リレーションズ・リミテッドに移行したが,その前後を問わず,以下「MRL社」という。)を,平成22年12月7日にMTL社を, それぞれ設立した(甲A2,3,15,35,79の2,弁論の全趣旨)。 すなわち,OPM社,MRL社及びMTL社(以下「本件発行会社3社」と総称する。)は,専ら社債を発行して診療報酬債権を流動化するために設立された会社(いわゆる特別目的会社(以下「SPC」という。)。ただし,資産の流動化に関する法律が適用される特定目的会社ではない。) であり,本件発行会社3社が発行する社債の発行に関する業務及び診療報酬債権の買取審査業務等はオプティ社が行っていた(甲A25,26,126,132,282の1等)。 (ウ) オプティ社の関連会社としては,本件発行会社3社のほかに,株式会社エム・アイ・ファシリティズ(以下「MIF社」という。),クオリテ ィ・クラス・リミテッド(外国会社。以下「QCL社」という。),スウ - 9 -ィフト・アロウ・リミテッド(外国会社。以下「SAL社」という。)及び株式会社GLOBALCORE(以下「GC社」という。)がある。 QCL社,SAL社及びGC社は,本件発行会社3社やオプティ社から社債や借入れにより資金を受け入れていたが,外部からの収入は一切なかった。 (甲A35,211の1)イ被告新宿会計及び被告青山会計(ア) 被告新宿会計は,経理受託業務等を目的とする会社(会計事務所)である(甲A6)。 被告12は,税理士であり,昭和62年の被告新宿会計設立以降,そ の代表取締役を務めている(乙B27)。また,被告12 会計は,経理受託業務等を目的とする会社(会計事務所)である(甲A6)。 被告12は,税理士であり,昭和62年の被告新宿会計設立以降,そ の代表取締役を務めている(乙B27)。また,被告12は,平成17年の設立時から平成25年1月4日までの間,MRL社の代表者(取締役及び代表取締役)を務めたほか(甲A79の2,3),平成18年10月31日以降,OPM社の日本における代表者を務めた(甲A78)。 (イ) 被告青山会計(平成26年5月30日の変更前の旧商号は有限会社青 山綜合会計事務所であるが,その前後で特に区別しない。)は,経理事務処理に関する一切の受託業務等を目的とする会社(会計事務所)である(甲A7,8)。 被告23は,平成20年7月1日から平成25年3月1日までの間及び同年11月5日以降,被告24は,平成21年10月1日から平成2 5年3月1日までの間及び同年11月5日以降,いずれも被告青山会計の代表取締役であった者である(甲A8)。 被告13は,平成21年9月1日から平成25年11月5日までの間,被告青山会計の取締役であったほか(甲A8),MTL社の設立時からその日本における代表者であった者である(乙C20)。 被告23,被告24及び被告13は,いずれも税理士である。 - 10 -ウアーツ証券等(甲A5,92,98)(ア) アーツ証券は,平成15年8月にΔによって設立された(甲A168),有価証券の募集及び売出しの取扱い並びに私募の取扱い等を目的とする会社(証券会社)であり,取締役会設置会社である。Δは,アーツ証券の設立後平成18年8月までと平成23年11月以降,代表取締役を務 め,平成18年8月から平成23年11月までの間は取締役を務めた。 また,εは,Δがアーツ証券の代表取 社である。Δは,アーツ証券の設立後平成18年8月までと平成23年11月以降,代表取締役を務 め,平成18年8月から平成23年11月までの間は取締役を務めた。 また,εは,Δがアーツ証券の代表取締役を退いていた平成18年8月から平成23年11月までの間,代表取締役を務め,同月に代表取締役を辞任した後も,平成24年9月までは取締役会長を,同月から平成26年10月までは会長を務め,同年1月から同年6月までは監査役を併 任した(甲A141)。 アーツ証券は,平成28年3月31日,破産手続開始決定を受けた(甲A5,34)。 (イ) 被告17は,平成16年8月26日から平成23年11月30日までの間及び平成24年10月31日以降,アーツ証券の取締役であった者 である。 被告17は,平成28年1月1日時点で,アーツ証券の取締役兼管理部門統括兼人事総務部長を務めていた。 (ウ) 被告18は,弁護士であり,平成26年6月25日以降,アーツ証券の社外取締役であった者である。被告18は,平成28年1月6日付け で取締役辞任届を提出した。(甲A33,乙H13)(エ) 被告19は,公認会計士であり,遅くとも平成24年6月29日以降,アーツ証券の社外監査役であった者である。被告19は,平成27年12月26日付けで監査役辞任届を提出した(甲A33,乙H12)。 (オ) 被告20は,平成26年6月25日から平成27年12月31日まで の間,アーツ証券の監査役であった者である。 - 11 -エ被告田原証券等(ア) 被告田原証券は,有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い等を目的とする会社(証券会社)である(甲A1)。 (イ) 被告2は,平成7年以降,被告田原証券の代表取締役であった者である(乙A8 原証券は,有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い等を目的とする会社(証券会社)である(甲A1)。 (イ) 被告2は,平成7年以降,被告田原証券の代表取締役であった者である(乙A84)。 (ウ) 被告5は,平成16年以降,被告田原証券の取締役であった者である。 被告5は,平成25年6月までは本店営業部長を務め,同月以降は被告田原証券全体の営業統括を担当した。(乙A86)(エ) 被告4は,平成11年以降,被告田原証券の取締役内部統括責任者であった者である。被告4は,平成24年までは経理部長も務めていた。 (乙A85)(オ) αは,平成11年まで被告田原証券の代表取締役であった者であり,平成25年3月29日に死亡するまでの間,取締役相談役として,会社経営全般に対する助言をしていた。 被告3はαの妻であり,被告9,被告10及び被告11は,いずれも αの子である(甲A9から14まで)。 (カ) 亡7は,遅くとも平成23年6月18日から平成25年6月8日までの間,被告田原証券の取締役であった者である(甲A1)。 亡7は,令和元年12月10日,死亡した。被告7の1は亡7の妻であり,被告7の2,被告7の3及び被告7の4は,いずれも亡7の子で ある。(甲A298の1から10まで)(キ) 被告8は,遅くとも平成23年6月18日から平成25年6月8日までの間,被告3及び被告6は同日以降,被告田原証券の取締役であった者である(甲A1)。 ケ原告ら (ア) 原告ら(ただし,原告1,47,54,63,67,97,113, - 12 -117,138,154を除く。),ζ,η,Θ,ι,κ,λ,μ,ν,ξ及びοは,別紙保有社債一覧表記載のとおり,被告田原証券を通じてOPM債とMTL債 63,67,97,113, - 12 -117,138,154を除く。),ζ,η,Θ,ι,κ,λ,μ,ν,ξ及びοは,別紙保有社債一覧表記載のとおり,被告田原証券を通じてOPM債とMTL債のいずれか又は両方を取得した者である。別紙保有社債一覧表の「現在保有額」欄に「0円」との記載があるものは,元本の償還がされているが,1円以上の金額の記載があるものは,元本の償 還がされていない。 本件各社債の償還期間はいずれも1年間であったところ(後記(4)イ),原告らは,償還期間が経過する時点で,償還を受けるか,又は償還額を払込金額に充てて新たに本件各社債を取得していた。原告らが本件各社債を最後に取得したのは,平成26年11月以降であった(それより前 に取得したものは,全て償還された。)。 (イ) οは,本件訴訟提起前に死亡し,原告154が,その有する被告らに対する損害賠償請求権を相続した(甲B154の3から12まで)。 (ウ) ζ,η,Θ,ι,κ,λ,μ,ν及びξは,いずれも本件訴訟係属後に死亡し,原告1がζの,原告47がηの,原告54がΘの,原告63 がιの,原告67がκの,原告97がλの,原告113がμの,原告117がνの,原告138がξのそれぞれ有する被告らに対する損害賠償請求権を相続した。 (甲B1の3から8まで,甲B47の2から11まで,甲B63の3から5まで,甲B97の3から13まで,甲B138の2から15まで,甲C7の3から10まで,甲C11の3から10まで, 弁論の全趣旨)(2) OPM社及びMTL社と被告新宿会計及び被告青山会計との間の管理契約ア OPM社(ア) OPM社は,その設立の際,被告青山会計との間で,後記(イ)とおおむ ね同旨の内容の管理契約を締結し,被告青山会計は, と被告新宿会計及び被告青山会計との間の管理契約ア OPM社(ア) OPM社は,その設立の際,被告青山会計との間で,後記(イ)とおおむ ね同旨の内容の管理契約を締結し,被告青山会計は,平成18年10月 - 13 -まで,同契約に基づき,OPM社の預金口座を管理し,オプティ社の指示に従って同口座からの支払,帳簿や決算報告書の作成等をしていた(乙C14,16,19,弁論の全趣旨)。 (イ) OPM社は,平成18年10月31日付けで,被告新宿会計との間で,要旨次の業務等を委託する旨の管理契約を締結し(乙B3の1,2),被 告新宿会計は,同契約に基づき,OPM社の預金口座を管理し,オプティ社の指示に従って同口座からの支払,帳簿や決算報告書の作成等をしていた(乙B25,27,弁論の全趣旨)。 ① 日本の法律の規定に従い,OPM社東京支店(契約書上は「オプティ・メディックス・ジャパン」とされるが,OPM社の東京支店を指 す(被告新宿会計の平成29年5月9日付け第2準備書面11頁)。)の取締役として行為するため,被告新宿会計の役員,代理人又は従業員のあらゆる業務を提供する。 ② OPM社の全ての法定の記録及び帳簿を保管し,これに付随する義務を履行する。 ③ OPM社の名義で銀行口座を開設及び維持し,かつ,同口座の管理を行う。 ④ OPM社の収入に関して,現金管理者として行為する。 ⑤ OPM社の指示に基づき,OPM社による第三者からの診療報酬債権の購入のための契約(以下「S&P契約」という。)を締結し,OP M社による当該債権の購入及び支払のモニターを行う。 ⑥ S&P契約に基づき,前記③の銀行口座から支払を行う。 ⑦ OPM社の指示があったときに,当該指示に従い,OPM社が当該指示を満たすため M社による当該債権の購入及び支払のモニターを行う。 ⑥ S&P契約に基づき,前記③の銀行口座から支払を行う。 ⑦ OPM社の指示があったときに,当該指示に従い,OPM社が当該指示を満たすために使用できる資金の枠内で,OPM社の株主に配当金その他分配金を支払う。 ⑧ OPM社の求めに従い,OPM社の収入,支出及び/又は取引の詳 - 14 -細を記載したOPM社の口座の月次計算書を速やかに作成し,OPM社に対して送付する。 ⑨ 会社の管理者が通常行う全ての業務を一般的に履行する。 イ MTL社(ア) MTL社は,平成23年2月28日付けで,被告青山会計との間で, 要旨次の業務等を委託する旨の管理契約を締結し(乙C3の1,2 ),被告青山会計は,平成26年12月15日まで,同契約に基づき,MTL社の預金口座を管理し,オプティ社の指示に従って同口座からの支払,帳簿や決算報告書の作成等をしていた(乙C14,16,19,弁論の全趣旨)。 ① 日本法に従って,役員又は従業員等をMTL社の日本における代表者とする。 ② MTL社の全ての登記及び帳簿を整えることその他の義務を履行する。 ③ MTL社名義の銀行口座を開設し,維持し,管理する。 ④ MTL社の収入を管理する。 ⑤ MTL社の指示に従って,MTL社が第三者から診療報酬債権を購入する契約(S&P契約)を締結し,その債権の取得及び支払を監視する。 ⑥ S&P契約に従い,前記③の口座から支払を行う。 ⑦ MTL社の指示に従い,MTL社の利用できる資金の範囲で,配当の支払その他の分配をMTL社の株主に行う。 ⑧ MTL社の要求に従って,MTL社の収入,費用及び取引の明細を添付して,MTL社の月次会計資料を速やかに準備しMTL社に報告 きる資金の範囲で,配当の支払その他の分配をMTL社の株主に行う。 ⑧ MTL社の要求に従って,MTL社の収入,費用及び取引の明細を添付して,MTL社の月次会計資料を速やかに準備しMTL社に報告する。 ⑨ 現に有効である日本法に基づき必要とされる全ての申告及び記録 - 15 -を保管することを含む,事務管理会社により履行される全ての義務を履行する。 ⑩ 日本の税法に従って,MTL社の確定申告を行う。 ⑪ 日本におけるMTL社の財産を処分する。 (イ) MTL社は,平成26年12月15日付けで,被告新宿会計との間で, 要旨次の業務等を委託する旨の管理契約を締結し(乙B4の1,2),被告新宿会計は,同契約に基づき,MTL社の預金口座を管理し,オプティ社の指示に従って同口座からの支払,帳簿や決算報告書の作成等をしていた(乙B25,27,弁論の全趣旨)。 ① 適用される全ての法令等に従い,MTL社の全ての法定の記録及び 帳簿を保管すること及びこれに付随する全ての義務を履行する。 ② MTL社の名義で銀行口座を開設及び維持し,かつ,同口座の管理を行う。 ③ MTL社の収入に関して,現金管理者として行為する。 ④ MTL社の指示に基づき,MTL社による第三者からの診療報酬債 権の購入のための契約(S&P契約)を締結し,MTL社による当該債権の購入及び支払のモニターを行う。 ⑤ S&P契約に基づき,前記③の銀行口座から支払を行う。 ⑥ MTL社の指示があったときに,当該指示に従い,MTL社が当該指示を満たすために使用できる資金の枠内で,MTL社の株主に配当 金その他分配金を支払う。 ⑦ MTL社の求めに従い,MTL社の収入,支出及び/又は取引の詳細を記載したMTL社の口座の月次計算書を速やかに作成し 用できる資金の枠内で,MTL社の株主に配当 金その他分配金を支払う。 ⑦ MTL社の求めに従い,MTL社の収入,支出及び/又は取引の詳細を記載したMTL社の口座の月次計算書を速やかに作成し,MTL社に対して送付する。 ⑧ 会社の管理者が通常行う全ての業務を一般的に履行する。 ⑨ 日本の税法に基づき,MTL社の確定申告及び会計業務を毎年行う。 - 16 -⑪ 日本におけるMTL社の財産を処分する。 (3) OPM社及びMTL社とアーツ証券との間の業務委託契約ア OPM社は,平成17年12月22日,アーツ証券との間で,診療報酬債権の流動化商品の医療機関に対する紹介業務及びOPM社の発行する債券の販売に関わる仲介代行会社に対し,その債券の販売を行うに当たって の助言及び支援の業務を委託する旨の契約を締結した(甲A20)。 イ MTL社は,平成23年1月31日,アーツ証券との間で,前記アと同様の業務委託契約を締結した(甲A22)。 (4) 本件各社債の発行ア OPM社は,平成16年6月1日から平成27年10月28日までの間, OPM債を発行した(甲A52の1)。 MTL社は,平成23年2月28日から平成27年10月29日までの間,MTL債を発行した(甲A52の3)。 イ本件各社債は,いずれも,発行体ごと,販売証券会社ごとにシリーズ番号を付して,一つのシリーズ当たりの取得者が50名未満となるように発 行された(甲A127,乙A86,弁論の全趣旨)。 本件各社債及びMRL社が発行する社債(以下「MRL債」といい,本件各社債と併せて「本件3社債」という。)の償還期間は,いずれも1年間とされた(甲A17,25,26,211の1,乙A12,弁論の全趣旨)。 (5) 被告田原証券による販売 債」といい,本件各社債と併せて「本件3社債」という。)の償還期間は,いずれも1年間とされた(甲A17,25,26,211の1,乙A12,弁論の全趣旨)。 (5) 被告田原証券による販売 被告田原証券は,アーツ証券から紹介・助言・支援等を受け,一般投資家等の顧客に対し,平成20年5月以降OPM債の販売を行い,平成23年3月以降MTL債の販売を行った(甲A15,弁論の全趣旨)。 (6) OPM社及びMTL社の財務状況ア OPM社(甲A211の1・28頁から37頁まで) (ア) OPM社は,貸借対照表上に診療報酬債権を計上していたが,その大 - 17 -部分は,診療報酬債権ではなく,架空計上された「QCL口」(QCL社には,対象となる残高がない。)等のほか,QCL社,オプティ社及びGC社の社債であった。OPM社の第4期(平成19年12月期)から第12期(平成27年11月13日まで)までの① 名目上の診療報酬債権額,② 真実の診療報酬債権額,③ 社債残高,④ ②と③の比(百 分率。小数点第2位以下四捨五入)は,次のとおりである。 ① (千円) ② (千円) ③ (千円) ④第4期3,752,342490,8626,415,0007.7%第5期5,359,489496,2196,656,0007.5%第6期6,864,165535,8958,275,0006.5%第7期9,058,4611,704,19113,861,00012.3%第8期9,695,1731,290,90312,341,00010.5%第9期9,832,735628,46512,910,0004.9%第10期10,243,7 9,695,1731,290,90312,341,00010.5%第9期9,832,735628,46512,910,0004.9%第10期10,243,720739,45012,837,0005.8%第11期10,224,619720,34912,182,0005.9%第12期10,150,932876,66212,923,0006.8%(イ) OPM社の第4期から第12期までの関連会社間の取引を除いた実質的な損益の状況(① 債権買取手数料,② 社債利息+社債発行費+証券会社手数料+信託銀行手数料,③ ①と②の差)は,次のとおりである。 ① (千円)② (千円)③ (千円)第4期56,605346,159▲289,554第5期102,708430,282▲327,574第6期64,692380,884▲316,192第7期135,907761,384▲625,477 - 18 -第8期174,839922,428▲747,589第9期34,822860,294▲825,472第10期43,705961,074▲917,369第11期 39,952897,496▲857,544第12期 34,737763,112▲728,375イ MTL社(甲A211の1・20頁から27頁まで)(ア) MTL社が診療報酬債権の買取りを開始した第2期(平成24年3月期)から第6期(平成27年11月13日まで)までの① 名目上の診療報酬債権額,② 真実の診療報酬債権額,③ 社債残高,④ ②と③の比(百分率。小数 報酬債権の買取りを開始した第2期(平成24年3月期)から第6期(平成27年11月13日まで)までの① 名目上の診療報酬債権額,② 真実の診療報酬債権額,③ 社債残高,④ ②と③の比(百分率。小数点第2位以下四捨五入)は,次のとおりである。 ① (千円) ② (千円) ③ (千円) ④第2期1,480,8121,480,8124,744,00031.2%第3期1,755,2111,755,2115,583,00031.4%第4期1,731,2481,731,2485,634,00030.7%第5期3,899,988759,9885,527,00013.8%第6期4,490,434700,4345,617,00012.5%(イ) MTL社が診療報酬債権の買取りを開始した第2期(平成24年3月期)から第5期(平成27年3月期)までの損益をみると,(ア)いわば本来的な収入である債権買取手数料ほかは,約1億円ないし約2億1000万円の範囲で推移したのに対し,(イ)いわば本来的な支出である①社債利息は約1億1000万円ないし約2億1000万円の範囲で,②販 売手数料は約2億2000万円ないし約3億1000万円の範囲で,それぞれ推移した。そして,本来的な収入と支出については,毎期約2億6000万円ないし約3億4000万円の赤字であった。 また,上記販売手数料のうち,オプティ社及びMIF社に対する支払 - 19 -額が,約3600万円ないし約4900万円を占めていた。 MTL社は,第2期から第6期にかけて,SAL社,QCL社及びオプティ社からの利息収入を計上しており,その額は,約1600万円ないし約1億1300万円の範囲 万円ないし約4900万円を占めていた。 MTL社は,第2期から第6期にかけて,SAL社,QCL社及びオプティ社からの利息収入を計上しており,その額は,約1600万円ないし約1億1300万円の範囲で推移した。また,MTL社は,第5期において,オプティ社,QCL社及びGC社からの役務収益合計3億円 を計上した。 (ウ) MTL社は,第2期(平成24年3月期)から第4期(平成26年3月期)にかけて,別紙目的外支出一覧表(MTL社)番号1,3,5,7,10,11,13及び15記載のとおり,SAL社,QCL社及びオプティ社の社債合計31億4400万円を購入した(甲A172,1 74,244の2,3,5,乙C6から11まで)。 (7) オプティ社及びその関連会社の破産MRL社及びMIF社は平成27年11月6日に,オプティ社,OPM社,MTL社,QCL社,SAL社及びGC社はいずれも同月13日に,破産手続開始決定を受けた(甲A28,30,32,79,80,81の1,甲A 82の1,甲A83の1)。 (8) 損害の塡補原告らは,オプティ社,OPM社,MTL社,MRL社,アーツ証券,γ,π(オプティ社の取締役であった者),Δ及びρ(オプティ社の常務取締役であった者)をそれぞれ破産者とする破産手続において,本件各社債の発行に 関する不法行為に基づく原告らに対する損害賠償債務の弁済(中間配当金,最後配当金,簡易配当金又は和解金)として,別紙損害てん補一覧表1(1),2(1)の「B欄」から「I欄」まで記載の金額の支払を受けた。 3 主な争点(1) 被告田原証券,被告2及び被告田原証券役員ら(以下「被告田原証券ほか」 と総称する。)関係 - 20 -ア被告田原証券が,平成20年から平成27年までの間におい 主な争点(1) 被告田原証券,被告2及び被告田原証券役員ら(以下「被告田原証券ほか」 と総称する。)関係 - 20 -ア被告田原証券が,平成20年から平成27年までの間において,アーツ証券等から追加資料の提供を受けるなどして,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかを調査すべき義務を負っていたといえるか(調査義務の有無),調査義務違反と損害との間の因果関係イ被告田原証券についてのその他の違法事由の有無 (ア) 虚偽表示・誤導表示(イ) 断定的判断の提供・確実性誤認告知(ウ) 説明義務違反(エ) 適合性原則違反(オ) 金商法16条違反 ウ被告2及び被告田原証券役員らの責任(2) 被告12及び被告新宿会計(以下「被告新宿会計ほか」と総称する。)関係被告新宿会計ほかについて不法行為が成立するか(被告12については,その職務を行うについて悪意又は重大な過失があったものといえるか)この争点については,幇助を含む共同不法行為の成否,注意義務の内容, 注意義務違反の有無等の更に具体的な争点があるが,これらに関する当事者の主張は相互に密接に関連することから,まとめて摘示する。 (3) 被告13,被告青山会計,被告23及び被告24(以下「被告青山会計ほか」と総称する。)関係被告青山会計ほかについて不法行為が成立するか(被告23及び被告24 については,その職務を行うについて悪意又は重大な過失があったものといえるか)この争点については,幇助を含む共同不法行為の成否,注意義務の内容,注意義務違反の有無等の更に具体的な争点があるが,これらに関する当事者の主張は相互に密接に関連することから,まとめて摘示する。 (4) 被告17関係 同不法行為の成否,注意義務の内容,注意義務違反の有無等の更に具体的な争点があるが,これらに関する当事者の主張は相互に密接に関連することから,まとめて摘示する。 (4) 被告17関係 - 21 -被告17が,平成25年5月から6月にかけて,本件各社債の償還原資となる診療報酬債権及び現預金が著しく不足していることを認識したか(5) 被告18,被告19及び被告20(以下「被告18ら」と総称する。)関係被告18らが,Δ等の違法な職務執行を認識し,又は認識することができたか (6) 損害額 4 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 争点(1)ア(調査義務の有無,調査義務違反と損害との間の因果関係)(原告らの主張の要旨)ア調査義務 (ア) 被告田原証券は,金融商品取引業者として,取得勧誘の対象となる本件各社債のリスク等に関する重要な情報(①本件各社債の裏付資産等の実在性,②事業の収益性等,③私募債の形式で発行された理由)について,確定申告書等の客観性の高い資料を提出させるなどの方法によって,調査・分析・把握すべき義務を負っていた。この義務は,金融商品取引 業者としての誠実公正義務(金商法36条1項),適合性の原則遵守義務(金商法40条),説明義務等を履行する前提ともなる。 また,本件各社債は,少人数私募債(金商法2条3項(平成29年法律第37号による改正前のもの。以下同じ。)ハ)の形式で発行され,有価証券届出書の提出(金商法5条(令和元年法律第28号による改正前 のもの。以下同じ。)),有価証券報告書の提出(金商法24条(令和元年法律第28号による改正前のもの。以下同じ。)),貸借対照表,損益計算書等に関する公認会計士又は監査法人の監査証明の義務付け(金商法193条の2)等の開 有価証券報告書の提出(金商法24条(令和元年法律第28号による改正前のもの。以下同じ。)),貸借対照表,損益計算書等に関する公認会計士又は監査法人の監査証明の義務付け(金商法193条の2)等の開示規制が適用されない。しかるに,本件各社債は,一般投資家に広く販売されており,少人数私募債について開示規制が適 用されない趣旨が妥当しない上,格付けもなく,監査機能や保護措置も - 22 -なかった。 そうであるところ,被告田原証券は,顧客に対し,絶対的な安全性を強調して本件各社債の取得勧誘を積極的に行っていたものであるから,信義則上,上記のとおり,本件各社債のリスク等に関する重要な情報について,確定申告書等の客観性の高い資料を提出させるなどの方法によ って,調査・分析・把握すべき義務を負っていたものというべきである。 (イ) 被告田原証券が平成20年4月に受け取ったOPM債の提案書には,OPM債が真正譲渡された診療報酬債権を裏付けとする債券であること,OPM債の利率が年3.8%であること,OPM社がオプティ社及び被告新宿会計等との間で業務委託契約を締結していることが記載されてい た。そこで,被告田原証券は,OPM債の発行について,投資家に対する利息並びに販売証券会社,オプティ社及び新宿会計等に対する手数料等の経費が生ずることや,各種経費を支払うに足りる診療報酬債権を購入することができなければ債務超過となり,ひいては元本割れのリスクが生ずることを認識することができた。 また,被告田原証券は,OPM債が少人数私募債の形式で発行され,OPM社の財務書類が一般投資家に開示されず,公認会計士又は監査法人の監査証明を受ける必要がないことも認識していたから,OPM社の資産が流用されたり隠ぺいされたりするリスクがあるこ 形式で発行され,OPM社の財務書類が一般投資家に開示されず,公認会計士又は監査法人の監査証明を受ける必要がないことも認識していたから,OPM社の資産が流用されたり隠ぺいされたりするリスクがあることを認識することができた。 さらに,被告田原証券は,平成23年頃以降,OPM社及びMTL社が債務超過となっている事実を認識していた上,平成25年7月頃,MTL社について,社債発行残高が買取債権残高及び現預金の合計を超過する額(以下「債務超過額」という。)が社債発行残高の10%を超えたことを認識していた。 以上の事情等によれば,被告田原証券は,OPM債の販売を開始した - 23 -時点又はその後の時点において,信義則上,前記(ア)のとおり,本件各社債のリスク等に関する重要な情報について,確定申告書等の客観性の高い資料を提出させるなどの方法によって,調査・分析・把握すべき義務を負っていたものというべきである。 イ調査義務違反と損害との間の因果関係 被告田原証券が前記アの義務を履行していれば,本件各社債の私募の取扱いをすることはなく,原告らが本件各社債を取得することはなかった。 (被告田原証券ほかの主張の要旨)ア調査義務(ア) 金商法等の法令上,被告田原証券のような証券会社が有価証券の発行 者の財務状況について審査義務を負う根拠はない。また,本件各社債は極めて単純なものであり,スキームの内容及びリスクの所在について理解することは何ら困難でなく,本件各社債の商品性に関する理解において原告らと被告田原証券との間に情報格差はほとんどないこと,被告田原証券が金融商品取引業者であるからといって各金融商品の発行スキー ム及びその利益の源泉となる個別のビジネスに精通していなければならないとはいえないこ の間に情報格差はほとんどないこと,被告田原証券が金融商品取引業者であるからといって各金融商品の発行スキー ム及びその利益の源泉となる個別のビジネスに精通していなければならないとはいえないこと,本件各社債が私募債の形式で発行されており発行開示がされていないこと等については原告らも明確に理解した上で本件各社債を取得していることなどからして,被告田原証券が,信義則上,原告らの主張する調査義務を負うべきであるとはいえない。 以上の次第であるから,被告田原証券は,OPM社及びMTL社の財務状況や本件各社債のスキームについて,原告らが主張するような詳細かつ立ち入った調査をすべき法的義務を負っておらず,せいぜい通常の業務の過程において合理的に可能な範囲での軽度の調査義務のみを負っていたにすぎない。 (イ) 本件各社債のスキームは費用先行型のスキームであり,債務超過が絶 - 24 -対に生じないというものではなく,債務超過額の社債発行残高に対する割合が一定の水準を超えて継続しない限り,利払いや償還に直ちに問題が生ずることはない。そして,被告田原証券が認識していた上記割合は,飽くまで運用実績報告書に記載されたもの(OPM社で最大6%未満,MTL社で最大14%未満)であった。 以上の事情等によれば,被告田原証券が,OPM社及びMTL社に巨額の債務超過が生じていることを認識し得たとはいえない。 イ調査義務違反と損害との間の因果関係本件各社債のスキームの主な関係者のうち本件の実態について破綻前に認識していた者が非常に少数であった上,いずれも確固たる犯意を持って 隠ぺい行為をし,本件各社債の発行による資金集めを継続していた。また,被告田原証券には何らの調査権限もなかった。さらに,強制的な調査権限を有する財 数であった上,いずれも確固たる犯意を持って 隠ぺい行為をし,本件各社債の発行による資金集めを継続していた。また,被告田原証券には何らの調査権限もなかった。さらに,強制的な調査権限を有する財務局においても,スキームの破綻に至るまで本件の実態に全く気付いていなかった。 以上によれば,被告田原証券がどのような調査をしても,本件の実態を 認識し得る可能性はなかったものというべきである。 (2) 争点(1)イ(被告田原証券についてのその他の違法事由の有無)(原告らの主張の要旨)ア虚偽表示・誤導表示(ア) 被告田原証券は,本件各社債の取得勧誘に当たり,原告らに対し,本 件各社債は診療報酬債権を裏付資産として発行される安全性の高い債券である旨を説明した。そして,被告田原証券は,一部の原告らに対し,本件各社債について,元本割れをしない旨や裏付資産の実在性について調査した旨を説明した。 これらの説明は,金商法38条8号(平成29年法律第37号による 改正前のもの。平成27年5月29日より前は,平成26年法律第44 - 25 -号による改正前の同条7号。以下同じ。),金融商品取引業等に関する内閣府令117条1項2号にいう「虚偽の表示」に該当する。 (イ) 被告田原証券は,本件各社債の取得勧誘に当たり,原告らに対し,診療報酬債権を裏付資産として発行される安全性の高い債券である旨を説明したが,裏付資産の実在性を客観性の高い資料により確認していない ことを説明していない。 この説明は,金商法38条8号,金融商品取引業等に関する内閣府令117条1項2号にいう「重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示」に該当する。 イ断定的判断の提供・確実性誤認告知 被告田原証券は,本件各社債の取得勧誘に当たり,本 等に関する内閣府令117条1項2号にいう「重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示」に該当する。 イ断定的判断の提供・確実性誤認告知 被告田原証券は,本件各社債の取得勧誘に当たり,本件各社債は診療報酬債権を裏付資産として発行される安全性の高い債券であるなどと説明し,断定的判断を提供し,確実であると誤認させるおそれのあることを告げた。 この行為は,金販法4条に規定する断定的判断の提供等に該当する。 ウ説明義務違反本件各社債については,「裏付資産の実在性につき,客観性の高い資料により確認されたものか否か」が,金販法3条1項3号ハにいう「元本欠損が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分」に該当する。 また,被告田原証券は,本件各社債の取得勧誘に当たり,本件各社債の安全性を判断するに当たり極めて重要な情報である,①裏付資産の実在性につき,客観性の高い資料により確認されたものか否か,②発行体の債務超過,③決算報告書に関する不合理性(連続性の欠如,訂正の事実,運用実績報告書等との矛盾の存在),④投資の対象を説明すべき義務を信義則 上負う。 - 26 -しかるに,被告田原証券は,本件各社債の取得勧誘に当たり,原告らに対し,これらの事項を説明しなかった。 エ適合性原則違反本件各社債は,診療報酬債権を裏付資産とする安全性の高い商品として販売されていたところ,裏付資産の実在性が客観性の高い資料により確認 されていないとすれば,本件各社債は,どのような投資経験を有していても,およそ適合しない。 したがって,被告田原証券は,適合性の原則に基づき,このように明らかに過大な危険を伴う本件各社債の取得勧誘をしてはならなかった。 オ金商法16条違反 を有していても,およそ適合しない。 したがって,被告田原証券は,適合性の原則に基づき,このように明らかに過大な危険を伴う本件各社債の取得勧誘をしてはならなかった。 オ金商法16条違反 本件各社債は,シリーズごとに発行日等が異なるものの,「同一種類の有価証券」というべきである。そして,本件各社債は,当該有価証券の発行される日以前6月以内に,当該有価証券と同一種類の有価証券が発行されており,当該有価証券の取得勧誘をする相手方の人数と当該6月以内に発行された同種の新規発行証券の取得勧誘をした相手方の人数との合計が 50名以上となるため,少人数私募債の要件を充足していない。 被告田原証券は,ホームページにおいて,本件各社債を掲載し,不特定多数人に対し取得勧誘をしていたのであるから,本件各社債は,取得勧誘の相手方が49名以下であることという少人数私募債の要件を充足していない。 本件各社債の取得勧誘は少人数私募際の要件を充足していないところ,OPM社及びMTL社は有価証券届出書を提出していないから,本件各社債を募集により取得させてはならなかった。 (被告田原証券ほかの主張の要旨)ア虚偽表示・誤導表示について 虚偽表示・誤導表示に当たるといえるためには,故意又は過失が必要で - 27 -ある。しかるに,被告田原証券には故意がないし,本件各社債導入時の審査,アーツ証券等との面談,説明会の実施,その後のアーツ証券からの継続的な情報の取得により相当な調査を行ったものであるから,過失もない。 イ断定的判断の提供・確実性誤認告知について前記ア,後記ウと同じ。 ウ説明義務違反について被告田原証券の従業員は,原告らに対し,アーツ証券から提供された提案書に記載された内容,すなわち本件各社債に元 供・確実性誤認告知について前記ア,後記ウと同じ。 ウ説明義務違反について被告田原証券の従業員は,原告らに対し,アーツ証券から提供された提案書に記載された内容,すなわち本件各社債に元本割れのリスクがあることなどを含めて説明した。法令上,有価証券の発行者の財務状況に関する個別の説明義務は課されておらず,上記の説明内容は,法令に従った適切 なものであった。 被告田原証券の従業員は,本件各社債を「安全性の高い商品」と位置付けてその旨説明したが,無条件,無限定に「安全なもの」としてその取得勧誘をしたことはない。 被告田原証券ほかの以上の主張に反する陳述書の記載は事実に反する。 エ適合性原則違反について被告田原証券による本件各社債の取得勧誘に適合性の原則から著しく逸脱する事実はない。本件各社債は極めて単純なものであり,そのリスクの所在を理解することは全く困難でない。また,原告らの多くは相当の投資経験を有しており,かつ,本件各社債を繰り返し取得していたものである。 オ金商法16条違反について金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令10条の2(平成26年1月1日当時は平成26年内閣府令第7号による改正前のもの。 以下同じ。)の規定に照らして,本件各社債を少人数私募債として取り扱うことに何らの問題もない。 被告田原証券は,本件各社債の取得勧誘に際して,シリーズごとの相手 - 28 -方が常に48名以下となるように厳格な管理を行っていた。 (3) 争点(1)ウ(被告2及び被告田原証券役員らの責任)(原告らの主張の要旨)ア被告2及び被告田原証券役員らに共通する責任原因被告2及び被告田原証券役員らは,新商品の導入に係る手続や調査のた めの部署・人員の設置について指揮又 らの責任)(原告らの主張の要旨)ア被告2及び被告田原証券役員らに共通する責任原因被告2及び被告田原証券役員らは,新商品の導入に係る手続や調査のた めの部署・人員の設置について指揮又は監視すべき義務を負っており,経営管理体制等を整備し,それが適切なものであるかを監視し是正すべき義務を負っていた。 しかるに,被告2及び被告田原証券役員らは,上記義務を怠った。 イ被告2の責任原因 被告2は,被告田原証券の代表取締役であり,その業務執行全般を指揮統括する立場にあったから,被告田原証券が証券会社として顧客保護のために定められた法令等を遵守した適正な経営を行うように善良な管理者として注意すべき義務を負っていた。 しかるに,被告2は,本件各社債の導入当時から一貫して,本件各社債 の安全性に対して留意することなく,その任務を懈怠し,被告田原証券に本件各社債の販売をさせたものであるから,その職務を行うについて重大な過失があったものである。 したがって,被告2は,原告らに対し,不法行為及び会社法429条1項に基づき,損害賠償責任を負う。 ウ被告4の責任原因被告4は,被告田原証券の取締役内部管理統括責任者として,商品調査を適切に行い,適切な販売体制を構築する必要があることを助言,提案する職責を負っていた。 しかるに,被告4は,本件各社債の導入提案時から一貫して,本件各社 債の性質を正しく分析せず,販売体制を是正するための助言や提案もせず, - 29 -その結果,被告田原証券において,多数の営業担当者が説明義務に違反して販売するようなずさんな販売体制が出来上がり,かつ,それが継続した。 そして,その結果,原告らは,本件各社債を取得した。 被告田原証券において,被告4以上に商品のリスクを把握でき が説明義務に違反して販売するようなずさんな販売体制が出来上がり,かつ,それが継続した。 そして,その結果,原告らは,本件各社債を取得した。 被告田原証券において,被告4以上に商品のリスクを把握できる人材は存在しないから,被告4は,その職務を行うについて重大な過失があった ものである。 したがって,被告4は,原告らに対し,会社法429条1項に基づき,損害賠償責任を負う。 エ被告5の責任原因被告5は,取締役兼本店営業部長を務めた後,平成25年6月8日以降, 取締役営業担当として営業を統括する立場となったから,本件各社債の販売に当たり,適切な販売体制を構築する職責を負っていた。 しかるに,被告5は,本件各社債の導入提案時から一貫して,本件各社債の性質を正しく理解することがなく,本件各社債のリスク審査に関心を持たず,販売体制を是正するための措置も講じなかった。その結果,被告 田原証券において,ずさんな商品審査体制が是正されず,多数の営業担当者が説明義務に違反して販売するようなずさんな販売体制が出来上がり,かつ,それが継続した。そして,その結果,原告らは,本件各社債を取得した。 被告5は,その職務を行うについて重大な過失があったものである。 したがって,被告5は,原告らに対し,会社法429条1項に基づき,損害賠償責任を負う。 オ被告6の責任原因被告6は,平成25年6月8日以降,取締役兼豊橋営業部長を務めており,本件各社債の販売に当たり,適切な販売体制を構築する職責を負って いた。 - 30 -しかるに,被告6は,平成25年6月8日以降一貫して,本件各社債の性質を正しく理解することがなく,本件各社債のリスク審査に関心を持たず,販売体制を是正するための措置も講じなかった。その結果,被告田原 しかるに,被告6は,平成25年6月8日以降一貫して,本件各社債の性質を正しく理解することがなく,本件各社債のリスク審査に関心を持たず,販売体制を是正するための措置も講じなかった。その結果,被告田原証券において,ずさんな商品審査体制が是正されず,多数の営業担当者が説明義務に違反して販売するようなずさんな販売体制が出来上がり,かつ, それが継続した。そして,その結果,原告らは,本件各社債を取得した。 被告5は,その職務を行うについて重大な過失があったものである。 したがって,被告5は,原告らに対し,会社法429条1項に基づき,損害賠償責任を負う。 カその他の被告田原証券役員らの責任原因 その他の被告田原証券役員らは,取締役であるにもかかわらず,代表取締役に対して取締役会の招集を請求したり,自ら取締役会を招集したりせず,「取締役会に出席する」という最も基本的かつ重要な任務を怠ったものであるから,その職務を行うについて重大な過失があったものである。 したがって,被告田原証券役員らは,原告らに対し,会社法429条1 項に基づき,損害賠償責任を負う。 (被告田原証券役員らの主張の要旨)ア被告2及び被告田原証券役員らに共通する責任原因について原告らは,被告田原証券の取締役らがどのような経営管理体制を整備すべきであったのか等について具体的な事実を主張立証しない。 また,経営管理体制の整備は飽くまで業法上の義務であり,仮にその違反があるとしても,原告らに対する損害賠償責任を生じさせる性質のものではない。 イ被告2の責任原因について被告2は,本件各社債のスキームの実態について,これが破綻するまで 全く認識しておらず,また認識する余地も全くなかったから,その職務を - 31 -行うについて重大な 責任原因について被告2は,本件各社債のスキームの実態について,これが破綻するまで 全く認識しておらず,また認識する余地も全くなかったから,その職務を - 31 -行うについて重大な過失があったものということはできない。 ウ被告田原証券役員らの責任原因について原告らは,被告田原証券役員らの具体的な責任原因事実を主張すらしていない。 (4) 争点(2)(被告新宿会計ほかについて不法行為が成立するか) (原告らの主張の要旨)ア被告新宿会計がOPM社と管理契約を締結した平成18年11月当時,OPM社の貸借対照表に記載されている診療報酬債権のうち,約90%に相当する30億円がQCL口として計上された架空のものであり,実際には,OPM債の裏付資産である診療報酬債権の買取残高がOPM債の発行 残高に比して過小で,かつ,投資家から得る販売代金の大半を発行済債券の元本償還,利払い並びにオプティ社,会計会社及び販売証券会社の手数料の支払に充てざるを得ず,診療報酬債権の買取りに充てることができない状態であった。 被告新宿会計がMTL社と管理契約を締結した平成26年11月当時, MTL債の発行残高の3分の1を超える金額(20億6000万円)がオプティ社の関連会社(SAL社及びQCL社)に流出しており,MTL債の裏付資産である診療報酬債権の買取残高がMTL債の発行残高に比して過小で,かつ,投資家から得る販売代金の大半を発行済債券の元本償還,利払い並びにオプティ社,会計会社及び販売証券会社の手数料の支払に充 てざるを得ず,診療報酬債権の買取りに充てることができない状態であった。 被告新宿会計は,OPM社及びMTL社の状況が上記のとおりであることを認識しながら,上記両社との間で管理契約を締結し,OPM社に対 を得ず,診療報酬債権の買取りに充てることができない状態であった。 被告新宿会計は,OPM社及びMTL社の状況が上記のとおりであることを認識しながら,上記両社との間で管理契約を締結し,OPM社に対して日本における代表者を派遣し,預金口座の管理と同口座からの支払,入 出金の経理処理と決算報告書の作成等の業務を行った。 - 32 -イ被告新宿会計は,平成20年7月18日から平成27年10月20日までの間,別紙目的外支出一覧表(OPM社)記載のとおり,診療報酬債権の買取り以外の目的のための支出であることを認識しながら,OPM社の預金口座からオプティ社及びその関連会社に対する支払を行った。 被告新宿会計は,平成27年3月18日から同年9月18日までの間, 別紙目的外支出一覧表(MTL社)番号7,10,11,13,15,16,19及び20記載のとおり,診療報酬債権の買取り以外の目的のための支出であることを認識しながら,MTL社の預金口座からオプティ社及びその関連会社に対する支払を行った。 ウ被告新宿会計は,OPM社について,QCL口等の架空の診療報酬債権 を計上したり,OPM社及びMTL社について,オプティ社及びその関連会社の「社債購入」名目の出金行為を診療報酬債権の取得と偽ったりするなどして,帳簿上の診療報酬債権の残高を水増しし,上記両社の決算報告書を粉飾した。 エ被告新宿会計は,平成22年6月30日,被告田原証券の関係者と面談 し,被告新宿会計及び所属専門家らが証券発行SPCについて十分な経験及び専門性を有しており,診療報酬債権に関するオペレーションは滞りなく行われている旨を説明した。 オ被告新宿会計は,OPM社がその海外口座を管理していた会社との契約を解除するに当たり,平成24年9月20日付け しており,診療報酬債権に関するオペレーションは滞りなく行われている旨を説明した。 オ被告新宿会計は,OPM社がその海外口座を管理していた会社との契約を解除するに当たり,平成24年9月20日付けで,OPM債に係る債務 が十分な資産(診療報酬債権)によって裏付けられている旨の確認書を作成し,同社に提出した。 被告12は,被告新宿会計の代表者として,OPM社の海外口座を新たに管理することとなった会社に対し,平成25年3月8日付けで,①OPM社東京支店の目的及び利用は,これまでもそしてこれからも診療報酬債 権の買取業務に限定されていること,②OPM社の平成24年9月30日 - 33 -現在の期限到来済みの診療報酬債権は約89億円又は約91億円であること等が明記された確認書を差し入れた。 カ(ア) 被告新宿会計の前記アからオまでの行為は,本件各社債の取得者に対する不法行為を構成する。また,オプティ社等による不法行為(本件各社債の発行の継続行為)と客観的な関連共同性(幇助を含む。)を有 するため,被告新宿会計は,民法719条前段,2項による損害賠償責任を負う。 被告新宿会計は,本件各社債の発行残高に比してOPM社及びMTL社が有する診療報酬債権の額が極めて少ないことを認識し,又は認識することができたのであるから,診療報酬債権の買取り以外の目的のため の支出を拒絶すべきであり,診療報酬債権が存在するかのような仮装も拒絶すべきであった。また,被告新宿会計は,被告田原証券を含む販売証券会社に対し,上記のような支出の存在や診療報酬債権の額が極めて少ない事実を告知すべきであった。さらに,被告新宿会計は,MTL社について業務を受託すべきでなかったし,OPM社及びMTL社との間 の管理契約を解除して日本における代表 療報酬債権の額が極めて少ない事実を告知すべきであった。さらに,被告新宿会計は,MTL社について業務を受託すべきでなかったし,OPM社及びMTL社との間 の管理契約を解除して日本における代表者を引き揚げるべきであった。 (イ) 被告12は,OPM社及びMTL社の資産が毀損されていることを認識し,又は容易に認識することができたにもかかわらず,被告新宿会計の代表取締役として,前記アからオまでの行為を執行したものであるから,これらの行為は被告12の不法行為である。また,被告12は, 被告新宿会計が法令等を遵守するよう経営すべき善良な管理者としての注意義務を負っていたものであるから,その職務を行うについて悪意又は重大な過失があったものというべきである。 (被告新宿会計ほかの主張の要旨)ア本件各社債の発行スキームは,オプティ社が組成し,全ての業務を統括 していた。被告新宿会計は,監査法人でも公認会計士でもなく,OPM社 - 34 -及びMTL社との管理契約において,オプティ社の指示に従って,単純かつ機械的に,上記両社の出入金管理業務,記帳代行業務及び税務申告業務をすべき義務を負っていたにすぎず,オプティ社の不正行為を発見・防止すべき義務を負っていなかった。 イ(ア) オプティ社の代表取締役であったβは,被告新宿会計に対し,①本件 3社債の発行スキームは,被告新宿会計が業務を受託している会社以外のファンドも関与しているスキームで,スキーム全体として運営がされており,全体としては黒字となっているため問題はない,②医療機関等が診療報酬債権を譲渡して資金を調達しているという事情は,医療機関等の信用不安につながりかねないため,オプティ社は多くの医療機関か ら譲渡の事実の開示を禁止されており,診療報酬債権の買取先 等が診療報酬債権を譲渡して資金を調達しているという事情は,医療機関等の信用不安につながりかねないため,オプティ社は多くの医療機関か ら譲渡の事実の開示を禁止されており,診療報酬債権の買取先の詳細を開示することができない,③そのため,オプティ社の運営・管理する他のファンドを通じて診療報酬債権を購入しており,他のファンドを通じて診療報酬債権を購入するために,本件発行会社3社から他の法人に出金する際に用いる勘定科目として「QCL口」という勘定科目を使用し たり,オプティ社の社債を引き受けたりしていると説明していた。また,被告12は,被告青山会計の代表者であったΣに確認した際も,問題はなく心配ない旨の説明を受け,オプティ社の説明どおりの運営がされているものと信じていた。 そして,平成25年3月にβが死亡した後も,本件3社債の実態は隠 ぺいされていた。 (イ) 被告新宿会計は,本件3社債の発行スキームの全体像を把握することができる地位になく,権限を有していなかった。 (ウ) 被告新宿会計は,βによる前記(ア)の説明により,OPM社及びMTL社からオプティ社や関連会社への社債購入資金等の名目の出金は診 療報酬債権を購入するための資金であると認識しており,これらの出 - 35 -金をもってオプティ社による資金の不正流用や診療報酬債権残高と社債発行残高とのかい離を認識することはできなかった。 また,被告新宿会計は,管理契約に基づく記帳代行業務や税務申告業務の過程で,「QCL口座他」という勘定科目を用いたほか,借方科目として投資有価証券を計上しているが,βから前記(ア)のとおり説明を 受けていたから,OPM社やMTL社の資産が毀損されていたことを認識し,又は認識することができたものとはいえない。 ウ被告新 して投資有価証券を計上しているが,βから前記(ア)のとおり説明を 受けていたから,OPM社やMTL社の資産が毀損されていたことを認識し,又は認識することができたものとはいえない。 ウ被告新宿会計には,オプティ社の指示を拒絶する裁量はない。また,被告新宿会計が,何らの契約関係もない第三者である販売証券会社に対して告知義務を負うことはない。 被告新宿会計がOPM社やMTL社の診療報酬債権の買取り以外の目的のための支出を拒絶した場合,関連会社による診療報酬債権の購入や社債の償還が不能に陥り,連鎖的にOPM社やMTL社も破綻することになるから,上記拒絶によって原告らの損害発生を回避することはできない。また,仮に被告新宿会計が上記の支出を拒絶したとしても,オプティ社は, 送金を自ら行うか,他の会計事務所等に業務を委託することで本件各社債の発行を継続することができたものである。したがって,被告新宿会計が原告ら主張の義務を負うことはない。 エ被告新宿会計は,証券会社と面談した際,OPM社やMTL社の監査は行っていない旨を説明した。また,被告新宿会計は,その際,オプティ社 からの指示に基づく業務を問題なく行っていることの説明はしたと思われるが,本件3社債の安全性を販売証券会社に保証するような発言は一切していない。 (5) 争点(3)(被告青山会計ほかについて不法行為が成立するか)(原告らの主張の要旨) ア被告青山会計は,MTL社と管理契約を締結し,その預金口座を管理し - 36 -ていた平成23年6月27日から平成26年8月20日までの間,別紙目的外支出一覧表(MTL社)番号1,3,5,7,10及び11記載のとおり,診療報酬債権の買取り以外の目的のための支出であることを認識しながら,MTL社の預 日から平成26年8月20日までの間,別紙目的外支出一覧表(MTL社)番号1,3,5,7,10及び11記載のとおり,診療報酬債権の買取り以外の目的のための支出であることを認識しながら,MTL社の預金口座からSAL社及びGC社に対する支払を行った。 イ被告青山会計が前記アのとおり診療報酬債権の買取り以外の目的のための支出をしたことにより,平成25年3月までに,MTL債の発行残高(約54億円)の3分の1を超える金額がオプティ社の関連会社に流出し,投資家から得る販売代金の大半を発行済債券の元本償還,利払い並びにオプティ社,会計会社及び販売証券会社の手数料の支払に充てざるを得ず,診 療報酬債権の買取りに充てることができない状態となった。 被告青山会計は,MTL社の状況が上記のとおりであることを認識しながら,MTL社との間の管理契約を平成26年10月頃まで継続し,日本における代表者を派遣し,預金口座の管理と同口座からの支払の実施,入出金の経理処理と決算報告書の作成等の業務を行い,同年11月頃にMT L社との管理契約を解消した後も,日本における代表者の派遣を続けた。 ウ被告青山会計は,平成23年3月15日と平成26年8月20日の2回にわたり,被告田原証券の関係者と面談した。 1回目の面談において,被告青山会計の当時の代表者であったΣと当時のシニアパートナーであった被告13は,被告青山会計に所属する会計の 専門家が会計事務管理,譲渡債権管理,医療機関監査を適正に行う,MTL社の印鑑管理,入出金管理は,いずれも被告青山会計において適正に行うので,資金流用等のおそれは全くないなどといった説明をした。 2回目の面談において,被告青山会計の関係者は,MTL債のスキームについて何らの問題もないと説明した。 エ(ア) いて適正に行うので,資金流用等のおそれは全くないなどといった説明をした。 2回目の面談において,被告青山会計の関係者は,MTL債のスキームについて何らの問題もないと説明した。 エ(ア) 被告青山会計の前記アからウまでの行為は,本件各社債の取得者に - 37 -対する不法行為を構成する。また,オプティ社等による不法行為(本件各社債の発行の継続行為)と客観的な関連共同性(幇助を含む。)を有するため,被告青山会計は,民法719条前段,2項による損害賠償責任を負う。 被告青山会計は,本件各社債の発行残高に比してOPM社及びMTL 社が有する診療報酬債権の額が極めて少ないことを認識し,又は認識することができたのであるから,診療報酬債権の買取り以外の目的のための支出を拒絶すべきであり,診療報酬債権が存在するかのような仮装も拒絶すべきであった。また,被告新宿会計は,被告田原証券を含む販売証券会社に対し,上記のような支出の存在や診療報酬債権の額が極めて 少ない事実を告知すべきであった。さらに,被告青山会計は,MTL社との間の管理契約を解除して日本における代表者を引き揚げるべきであった。 (イ) 被告23及び被告24は,MTL社の資産が毀損されていることを認識し,又は容易に認識することができたにもかかわらず,被告青山会 計の代表取締役として,前記アからウまでの行為を執行したものであるから,これらの行為は被告23及び被告24の不法行為である。また,被告23及び被告24は,被告青山会計が法令等を遵守するよう経営すべき善良な管理者としての注意義務を負っていたものであるから,その職務を行うについて悪意又は重大な過失があったものというべき である。 (ウ) 被告13は,MTL社の入出金を管理し,経理処理をしていた被 理者としての注意義務を負っていたものであるから,その職務を行うについて悪意又は重大な過失があったものというべき である。 (ウ) 被告13は,MTL社の入出金を管理し,経理処理をしていた被告青山会計のシニアパートナーであり,MTL社の管理業務を担当していた被告青山会計の従業員からMTL社の財産状況に関する情報の提供を受けることができる地位にあった。被告13はMTL社の日本にお ける代表者であったから,MTL社によるMTL債の発行行為という - 38 -不法行為は被告13の不法行為であるともいえる。 (被告青山会計ほかの主張の要旨)ア MTL社は,診療報酬債権の買取りを目的として設立されたものであるが,その投資方法は全く限定されていない。診療報酬債権を取得する方法としては,MTL社がこれを直接購入するのみならず,オプティ社又はそ の関連会社を通じて購入することなども十分に想定される。そして,どのような投資方法によるかは,全てアレンジャーであるオプティ社の判断に委ねられており,事務受託者にすぎない会計事務所に判断権限はない。すなわち,被告青山会計には,MTL社の投資が「目的外投資」に該当するか,オプティ社から「診療報酬債権買取資金」として指示された送金がそ の後「目的外投資」に費消されたかを判断する権限も地位もない。 また,被告青山会計とMTL社との間の管理契約においては,被告青山会計はMTL社の支配と評価に服することとされており,完全に従属する立場にあったから,被告青山会計に何らかの結果回避義務が発生する余地はない。 イ MTL社によるSAL社及びQCL社の社債購入資金の支払については,支払指示書に「診療報酬債権買取資金」と記載されていたことから,診療報酬債権買取資金であると認識していた。 はない。 イ MTL社によるSAL社及びQCL社の社債購入資金の支払については,支払指示書に「診療報酬債権買取資金」と記載されていたことから,診療報酬債権買取資金であると認識していた。被告青山会計は,オプティ社から,MTL社では一度に購入できる診療報酬債権が限られているため,他社にも分散して購入するとの説明を受けていたから,上記支払が診療報酬 債権の買取り以外の目的のものであると認識する余地はなかった。 ウ被告青山会計が,平成23年3月15日の被告田原証券の関係者との面談の際,資金流用等のおそれは全くないと述べた事実はない。また,被告青山会計の関係者が被告田原証券の関係者に対してMTL債のスキームに何らの問題もないと説明した面談はない。 エ被告青山会計は,平成26年11月末でMTL社への関与をすべて終了 - 39 -しているから,同年12月以降の共同不法行為への関与はなく,被告青山会計による受託業務の遂行と原告らの損害との間には因果関係がない。 本件は,被告青山会計が関与しない社債の販売行為の際,アーツ証券及びオプティ社等がOPM社及びMTL社の決算内容を改ざんするなどして本件各社債を販売するという被告青山会計において全く予期し得ない 犯罪行為によって引き起こされたものであるから,被告青山会計の行為と原告らの損害との間に相当因果関係はない。 オ(ア) 被告13は,MTL社の日本における代表者であるが,MTL社の入出金並びに記帳及び仕訳業務は飽くまで被告青山会計が受託した業務であり,被告13は直接に関わっていない。したがって,被告青山会計 が損害賠償責任を負わない限り,被告13が原告らに対して独自に損害賠償責任を負う余地はない。 (イ) 被告青山会計について不法行為責任や注意義務違反を わっていない。したがって,被告青山会計 が損害賠償責任を負わない限り,被告13が原告らに対して独自に損害賠償責任を負う余地はない。 (イ) 被告青山会計について不法行為責任や注意義務違反を問われる余地はないから,被告23及び被告24が不法行為責任や会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負う余地はない。 (6) 争点(4)(被告17が,平成25年5月から6月にかけて,本件各社債の償還原資となる診療報酬債権及び現預金が著しく不足していることを認識したか)(原告らの主張の要旨)オプティ社の取締役であったτは,次のとおり,平成25年5月から6月 にかけて,被告17に対し,直接又は間接に,本件各社債の償還原資となる診療報酬債権及び現預金が著しく不足していること(以下「本件各社債の実態」ということがある。)を伝えていた。 ア τは,平成25年5月7日,当時アーツ証券の会長であったεと共に札幌へ出張した際,εに対し,OPM社について診療報酬債権の買取残高が 10億円弱しかなく,約70億円の資金の所在が不明であること,MIF - 40 -社にも投資家から集めた資金が流れていることを伝えた。εは,これを受けて,「被告17とも共有しているから,細かい話は被告17に説明してほしい」と要請した。 イ τは,平成25年5月15日の役員就任パーティ二次会において,被告17に対し,「OPMの発行額が120億円くらいで,診療報酬債権の買取 り残高が10億円くらいしかなく,70億円くらいのお金がなくなっています。」「もう辞めたいです。辛すぎます。逃げたいです。」などと打ち明けた。 ウ τは,平成25年5月27日,アーツ証券の社長室において,ε及び被告17に対し,改め,OPM債の発行残高と診療報酬債権の買取残高にか たいです。辛すぎます。逃げたいです。」などと打ち明けた。 ウ τは,平成25年5月27日,アーツ証券の社長室において,ε及び被告17に対し,改め,OPM債の発行残高と診療報酬債権の買取残高にか い離があり,現預金30億円を差し引いても差額70億円が流出していること,資金の一部がMIF社に流出しており返済の目途が立っていないことを報告した。 エ τは,平成25年6月18日,オプティ社の従業員であったυ及び被告17と,新橋の居酒屋で飲み会をし,その席で,被告17に対し,「全体で 200億円の発行残高に対して,診療報酬債権は30~40億円くらいです。」などと述べた。 (被告17の主張の要旨)ア被告17は,平成27年10月30日にオプティ社から緊急のご連絡が送信されて本件各社債の新規募集が停止されるまで,本件各社債の実態を 知らなかった。以下の(ア)から(カ)のとおり,被告17は,本件発行会社3社から70億円の資金が流出していることなどについて聞いたことはない。 被告17は,平成25年6月12日,γ,ρ及びτがアーツ証券を訪問してΔ,ε及び被告17と面談した際,本件発行会社3社に逆ざや由来の債務超過が生じており対応が必要であるとの説明を受けた。被告17が認 識していた本件各社債の資産毀損の程度は,OPM債について約3%,M - 41 -TL債について約10%,MRL債について約12%(同年10月31日時点)というものであった。 (ア) 被告17は,平成25年5月7日頃,εから本件各社債の実態について聞いたことはない。 (イ) 平成25年5月15日 平成25年5月15日当時,オプティ社では,MTL社等のシンガポール口座の閉鎖やOPM社の信託会社変更等の問題に対処することが求められ,英語がほと とはない。 (イ) 平成25年5月15日 平成25年5月15日当時,オプティ社では,MTL社等のシンガポール口座の閉鎖やOPM社の信託会社変更等の問題に対処することが求められ,英語がほとんどできないτは,これらの対応に苦慮していた。 τは,このような状況を踏まえ,同日の就任パーティ二次会で,被告17に,逃げたいなどと述べたものである。 τが平成25年5月16日にυに送った「被告17にもεさんから概ね伝わっており,仕切り直しましょうとのことでした」とのメッセージは,τが,γのリーダーシップに疑問を感じ,ε又は被告17にオプティの経営に関与してもらいたいと話したことを指していると思われる。 (ウ) 平成25年5月27日 平成25年5月27日の面談において,被告17は,εから,証券取引等監視委員会が定期的に公表する「金融商品取引評者等に対する証券検査における主な指摘事項」をオプティ社に送付するように指示を受け,自身の手帳に「指摘事項の主な物→オプティ社」と記載した。また,被告17は,今後CBPQuilvestTrustLtd(CB Pキュイルベスト信託会社。以下「CBP社」という。)がOPM社の決算を行うことになったことを踏まえ,ε及びτとの間で,勘定科目を構成する細目(内訳)を検証しておくことにより,スムーズに決算業務を移管できるよう準備を進める旨を協議し,自身の手帳に「決算書診療報酬の科目検証」と記載した。 (エ) 平成25年6月12日 - 42 -γは,平成25年6月12日,Δ,被告17,ρ及びτが参加した面談において,本件発行会社3社の実態について説明せず,競合他社との競争が激しく,逆ざやになって赤字幅が前年度から拡大する見込みであると説明した。 (オ) 平成25年6月 17,ρ及びτが参加した面談において,本件発行会社3社の実態について説明せず,競合他社との競争が激しく,逆ざやになって赤字幅が前年度から拡大する見込みであると説明した。 (オ) 平成25年6月18日 被告17は,平成25年6月18日,同月12日に本件各社債について競合他社との競争が激しく,逆ざやによる債務超過が拡大していると聞かされたばかりで,驚きと腹立たしい気持ちで飲み会に参加した。そうしたところ,被告17は,τ及びυから,γが経営者としての責任を果たしていない,自分たちの給料が安い,ε又は被告17にオプティの 社長になってもらいたい,などといった愚痴を聞かされ,τ及びυに半ば呆れ,半ば腹を立てて,給与を返上しても働くべきであるなどと述べて叱咤激励した。 また,τとυは,平成25年6月19日,「被告17の正論にはお応えしきれない面がありましたね。」「引き込む・・・いや,巻き込むしかな いですね。」「我々の最終カードを見せのは今後効いてくると思いますよ。」「結果,参画するしかない。」「に持っていけますからね。」などというメッセージのやりとりをした。これは,被告17が,同月18日の飲み会において,債務超過を作出し拡大させたオプティ社の役職員こそが責任をもって働くべきであると述べたことを「正論」としつつ,τやυがい ざとなったらオプティ社を辞職するとちらつかせて,債務超過の縮小を内容とする表向きの改善策についてアーツ証券の協力を得るために,被告17を巻き込もうとしたこと,反対に,本件各社債の実態については話していなかったことを表すものである。 (カ) 平成25年12月19日 被告17は,オプティ社の資金を原資として発行会社の増資をするこ - 43 -とにより債務超過を改善する方法を検討 いなかったことを表すものである。 (カ) 平成25年12月19日 被告17は,オプティ社の資金を原資として発行会社の増資をするこ - 43 -とにより債務超過を改善する方法を検討してもらいたいと考え,τと面談した。他方,被告17は,Δから,オプティ社は診療報酬債権を運用実績報告書に記載されているほど買えていないのではないかとのうわさが出ているのでオプティ社に確認するよう言われ,債務超過という事実だけが独り歩きして,その原因(逆ざや)やその対策が講じられようと していることが置き去りにされていることは問題であり,債務超過という情報は,その原因と対策とセットで管理する必要があると考えていた。 被告17は,明確に記憶してはいないが,平成25年12月19日の面談において,増資の話に加え,上記の情報管理についても伝えたものと思われる。 イ被告17が本件各社債の実態を認識していなかったことを推認させるその他の事情(ア) 被告17は,平成23年7月以降,継続的に運用実績報告書の事前確認を行っていたところ,被告17が本件各社債の実態を認識したと主張される平成25年5月から6月頃の後も,引き続き運用実績報告書の事 前確認をし,アーツ証券関係者から指摘された疑問点等をτに伝えるなど従前と同じ流れで業務を進めている。その際の被告17とτの間のメールには,本件3社債の運用実態を知っている者同士が示し合わせているような記載は一切ない。このことは,被告17が本件各社債の実態を認識していなかったことを推認させる。 (イ) 被告17は,日々の出来事を備忘として手帳に記録していたところ,当該手帳には,被告17が本件各社債の実態を聞いたことを裏付ける記載が全く見当たらない。本件発行会社3社の資金が流出しているという ) 被告17は,日々の出来事を備忘として手帳に記録していたところ,当該手帳には,被告17が本件各社債の実態を聞いたことを裏付ける記載が全く見当たらない。本件発行会社3社の資金が流出しているという事実は,それ自体異常な事態である上,本件各社債はアーツ証券の売上げの大半を占めていたから,被告17にとって重要な事項であり,本件 各社債の実態について聞いたのであれば,その事実を手帳に書き留める - 44 -のが自然かつ合理的であった。 このような事実からすると,被告17は,本件各社債の実態について聞かされていなかったことが推認される。 ウ検証作業について被告17が平成26年3月から7月にかけて行った検証作業は,本件発 行会社3社と医療機関との間の秘密保持義務を遵守しつつ,財務局による証券検査の手法にならって行った相当なものであった。 仮に被告17が本件発行会社3社の実態を知っていたのなら,わざわざオプティ社に赴いて検証をすることはなく,検証したことにして記録を作成するなどの対応も考えられたこと,それにもかかわらず被告17が現実 に合理的な方法で検証をし,これに基づく記録簿を作成し,添付資料とともにファイルに綴じ込んで保管していたことからすると,被告17が本件発行会社3社の実態を知らなかったことが裏付けられる。 エ τらの供述の信用性(ア) オプティ社の役職員は,本件発行会社3社の資金の目的外流用や運 用実績報告書の水増し工作を行っていた者であるから,自己の責任を軽減するために,アーツ証券関係者を引き込む危険があった。また,被告17がγ,τ及びυらと比べて年長であることからも,オプティ社の役職員が被告17を引き込む危険があった。 (イ) τが被告17に本件各社債の実態を伝えた場合,被告17から客観 あった。また,被告17がγ,τ及びυらと比べて年長であることからも,オプティ社の役職員が被告17を引き込む危険があった。 (イ) τが被告17に本件各社債の実態を伝えた場合,被告17から客観 的な資料に基づく説明を求められ,オプティ社を立て直すことができない展開となることが明らかであったから,τには,被告17に本件各社債の実態を明かす動機がなかった。 オ被告17の自白調書が作成された経緯被告17は,検察官による取調べにおいて,本件発行会社3社の実態に ついては知らなかったと供述した。しかし,検察官は,被告17に対し, - 45 -τらの供述調書に基づいて事前に準備していたストーリーに沿う供述をするよう促すとともに,検察官が準備した調書に署名押印しなければ起訴することになり,起訴されれば公判でほぼ確実に有罪となって懲役7年となる等の威迫的な働きかけや,調書に署名押印すれば検察官を信じてよい(起訴しない)等の利益誘導的な働きかけを行った。被告17は,検察官 が自らの説明を受け付けてくれない状況が続いたことなどから落胆し,検察官に抵抗する気力を失い,また,上記の威迫的,利益誘導的な働きかけがあったこともあり,自白調書に署名指印した。 したがって,被告17の自白調書には任意性及び信用性がない。 (7) 争点(5)(被告18らが,Δ等の違法な職務執行を認識し,又は認識するこ とができたか)(原告らの主張の要旨)被告18らは,次のとおり,平成26年10月末までには,本件発行会社3社から多額の資金が流出し,診療報酬債権の買取額が本件3社債の発行額を大幅に下回っているにもかかわらず,アーツ証券がその旨を隠匿して被告 田原証券に本件各社債の取扱いを継続させたなどの,Δの違法な職務執行を認識していた。 報酬債権の買取額が本件3社債の発行額を大幅に下回っているにもかかわらず,アーツ証券がその旨を隠匿して被告 田原証券に本件各社債の取扱いを継続させたなどの,Δの違法な職務執行を認識していた。 ア被告18らは,本件3社債がアーツ証券の主力商品であることから,そのスキームやオプティ社の営業体制に当然関心を持つべきであるところ,投資家向けの資料を読んだり被告17に質問をしたりすれば,本件3社債 の仕組みや経費率,オプティ社の営業体制を認識することができ,そうすれば,OPM社及びMTL社が経費をまかなうに見合うだけの診療報酬債権を買い取ることは極めて困難であることを容易に認識することができた。 イ被告18らは,被告17からアーツ証券がOPM社に2億円を融資する旨の提案を承認するように求められた際,被告17を通じてOPM社やオ プティ社に対して税務申告書添付の決算報告書等を徴求することが可能で - 46 -あり,OPM社の決算報告書を入手すれば,勘定科目内訳書に「QCL口」として75億円が計上されていたこと,ひいては,OPM社において資産として計上されている診療報酬債権の大半が架空であることを認識することができた。 ウ被告18らは,平成26年5月頃,関東財務局がアーツ証券の臨店検査 を行い,本件発行会社3社の債務超過について投資家に説明すべきではないかなどと指摘したことを認識したものであるから,OPM社及びMTL社の財務状況について疑問を持ち,OPM社及びMTL社の決算報告書及び運用実績報告書を入手し,その内容を分析すべきであった。そして,専門的知見を有する被告18らがOPM社及びMTL社の決算報告書及び運 用実績報告書を批判的に検討すれば,これらの資料には,①OPM社における1箇月当たりの診療報酬 析すべきであった。そして,専門的知見を有する被告18らがOPM社及びMTL社の決算報告書及び運 用実績報告書を批判的に検討すれば,これらの資料には,①OPM社における1箇月当たりの診療報酬債権買取金額が,全てのSPCから支払基金に債権譲渡通知がされた金額を上回っている,②OPM社の運用実績報告書に基づく手数料収入1年間の累積額と決算報告書の売上高が著しくかい離している,③診療報酬債権の購入代金の二次払い分である未払金の金額 が,本来計上されるべき20%を大幅に下回り,MTL社においては計上されるはずのない未収利息が計上されている,などの瑕疵があることを発見し,OPM社及びMTL社が販売証券会社に開示した資料が粉飾されていることを容易に認識することができた。 (被告18らの主張の要旨) Δは,本件3社債の実態を秘匿しており,取締役会においても,本件発行会社3社について平均して5%から6%程度の債務超過があることを前提とした説明・報告しかしなかった。 したがって,被告18らにおいて,Δの職務執行が違法であることを疑わせる事情は存在しなかったのであり,被告18らは,Δ等の違法な職務執行 を認識しておらず,また認識することができなかった。 - 47 -(8) 争点(6)(損害額)(原告らの主張の要旨)ア原告らは,被告らの不法行為等により,平成27年11月当時保有していた本件各社債の償還を受けられなくなり,当時の本件各社債の残高相当額(別紙損害賠償額計算表1(1),2(1)の「本件各社債の最終残高」欄記 載の金額)の損害を被った。 また,被告らの不法行為等と相当因果関係を有する弁護士費用は,別紙損害賠償額計算表1(1),2(1)の「弁護士費用」欄記載の額を下らない。 ただし,原告らは,オプ 載の金額)の損害を被った。 また,被告らの不法行為等と相当因果関係を有する弁護士費用は,別紙損害賠償額計算表1(1),2(1)の「弁護士費用」欄記載の額を下らない。 ただし,原告らは,オプティ社等を破産者とする破産手続において,本訴請求債権に係る債務の弁済として,別紙損害てん補一覧表1(1),2(1) の「B欄」から「I欄」まで記載の金額の支払を受けたから(前記前提事実(8)),これらの損害の塡補後の損害額は,別紙損害賠償額計算表1(1),2(1)の「損害賠償額」欄記載の額(別紙請求額目録1及び2の各Ⅰ欄記載の額)である。 イ以上の次第で,原告らの各被告に対する損害賠償請求額は,次の理由に より,別紙請求額目録1及び2記載のとおりとなる。 (ア) 被告田原証券,被告2,被告3,被告4,被告5,被告6,被告新宿会計ほか,被告17及び被告アーツ証券取締役らについては,損害額の全額(別紙請求額目録1及び2の各Ⅰ欄)。 (イ) 被告8については,原告らのうち同被告が被告田原証券の取締役を退 任した平成25年6月8日までに本件各社債を取得した者に限る(別紙請求額目録1及び2の各Ⅱ欄)。 (ウ) αの相続人である被告9,被告10及び被告11については,原告らのうちαが被告田原証券の取締役を退任した平成25年3月29日までに本件各社債を取得した者に限り,法定相続分に応じて分割した額とす る(別紙請求額目録1及び2の各Ⅲ欄)。 - 48 -(エ) 被告青山会計ほかについては,MTL債に係る損害額(別紙請求額目録1及び2の各Ⅳ欄)。 (オ) 亡7の相続人である被告被告7の1,同被告7の2,被告7の3及び被告7の4については,原告らのうち亡7が被告田原証券の取締役を退任した平成25年6月8日まで 額目録1及び2の各Ⅳ欄)。 (オ) 亡7の相続人である被告被告7の1,同被告7の2,被告7の3及び被告7の4については,原告らのうち亡7が被告田原証券の取締役を退任した平成25年6月8日までに本件各社債を取得した者に限り,法定 相続分に応じて分割した額(被告7の1について,別紙請求額目録1及び2の各Ⅴ欄,被告7の2,被告7の3及び被告7の4について,同Ⅵ欄)。 (被告らの主張)争う。 (被告田原証券ほかの主張)①原告らは,開示される情報が本件各社債の発行者の任意開示によるもののみであり,監査証明等第三者による真実性の証明がないものであることを明確に認識していたこと,②原告らの損害発生の原因が,あらゆる金融商品に存在し,かつ排除することができないリスクである「関係者による違法行 為リスク」に起因するものであること,③被告田原証券は原告らの損害発生について最も寄与の少ない者であることを考慮すれば,被告田原証券ほかに全面的な責任の負担を求めることは公平の観点からして妥当ではない。 したがって,被告田原証券ほかの損害賠償責任については大幅な過失相殺がされるべきである。 (被告新宿会計ほかの主張)ア寄与度減責被告新宿会計とオプティ社との間に主観的共同関係はなく,本件各社債の実体は,OPM社及びMTL社の破綻に至るまで意図的かつ巧妙に隠ぺいされていた。被告新宿会計が本件各社債の取得勧誘に関与したことは一 切なく,飽くまで管理契約に基づいて単純かつ機械的な口座管理,記帳代 - 49 -行及び税務申告業務を受託していたにすぎない。 以上のとおり,原告らの損害に対する被告新宿会計ほかの行為の寄与は極めて限定的であるから,損害の公平な分担を目的とする損害賠償制度の趣旨に照らし,被告新宿会 税務申告業務を受託していたにすぎない。 以上のとおり,原告らの損害に対する被告新宿会計ほかの行為の寄与は極めて限定的であるから,損害の公平な分担を目的とする損害賠償制度の趣旨に照らし,被告新宿会計ほかの損害賠償責任はその寄与度に応じて免責されるか大幅に減額されるべきである。 イ過失相殺原告らは,本件各社債の取得に当たり,OPM社やMTL社の貸借対照表及び本件各社債の運用実績報告書を確認すべきであったのに,これをせずに漫然と本件各社債を取得した。 そうすると,過失相殺がされるべきである。 第3 被告新宿会計ほか及び被告青山会計ほかの責任(争点(2),(3))についての当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 (1) オプティ社等の概要アオプティ社は,平成12年9月にβによって設立された,国内及び国外法人の経営コンサルタント業務等を目的とする会社であり,βが,平成25年3月22日に死亡するまでの間,その代表取締役を務めていた。βの死後は,その子であるγが,オプティ社の代表取締役を務めた。(甲A4, 100,弁論の全趣旨)。 オプティ社は,社債(私募債)を発行して一般投資家から資金を調達し,その資金をもって診療報酬債権を買い取り,保険医療機関等から買取手数料を得て利益を上げる目的で,社債の発行体として,平成16年3月にOPM社を,平成17年7月にMRL社を,平成22年12月にMTL社を, それぞれ設立した。すなわち,OPM社,MRL社及びMTL社(本件発 - 50 -行会社3社)は,専ら社債を発行して診療報酬債権を流動化するために設立された会社である。オプティ社は,本件発行会社3社が発行する社債の発行に関する業 MRL社及びMTL社(本件発 - 50 -行会社3社)は,専ら社債を発行して診療報酬債権を流動化するために設立された会社である。オプティ社は,本件発行会社3社が発行する社債の発行に関する業務及び診療報酬債権の買取審査業務等を行い,本件発行会社3社から手数料の支払を受けていた(平成19年から平成27年までで合計14億9651万5000円。甲A211の1・15頁,23頁,3 1頁)。 オプティ社は,独自に事業を営む会社ではなく,本件発行会社3社を含む関連会社の業務を統括し実施する会社であるが(本件発行会社3社,QCL社,SAL社及びGC社には従業員が在籍していなかった。),本件発行会社3社から受け入れた資金を原資として,診療報酬債権の買取りとは 異なる投融資を行っていた(平成27年11月13日時点の残高は,関連会社に対するものを除き,合計35億8100万円)。 (甲A211の1・6頁から7頁まで)イ MIF社は,平成17年9月に設立された,医療施設の経営に関するコンサルティング等を目的とする会社であり,βが,死亡するまでの間,そ の代表取締役を務めていた。βの死後は,γが,MIF社の代表取締役を務めた。(甲A83の1,2)MIF社の主な業務は,病院の機能評価取得等を中心とするコンサルティングの売上とこれに付随するソフトウェアの販売であるが,平成21年6月期以降,毎期数千万円から1億円以上に上る営業損失を計上し続けた。 他方,MIF社は,第1期以降オプティ社から資金の借入れを続け,その残高は平成27年11月6日時点で13億1000万円であった。また,MIF社は,平成25年6月期に,オプティ社に対して3600万円の社債を発行した。さらに,MIF社は,OPM社,MTL社,MRL社及びオプティ社から業務委 日時点で13億1000万円であった。また,MIF社は,平成25年6月期に,オプティ社に対して3600万円の社債を発行した。さらに,MIF社は,OPM社,MTL社,MRL社及びオプティ社から業務委託料の名目で資金を受け入れており,その総額は平 成18年から平成27年までで4億1434万円であった。(甲A211 - 51 -の1・39頁から44頁まで)ウ QCL社は,平成16年10月に設立された,ローン債権及びその他債権の売買等を目的とする外国会社である(甲A80)。 QCL社は,オプティ社を中心とするグループにおいて投融資を行う会社と位置付けられているものの,自らは投融資を行わず,関連会社間で, 社債を発行したり引き受けたり,手数料名目で送金したりしていたが,第2期(平成18年11月期)以降,毎期債務超過であり,第4期(平成20年11月期)を除き,営業損失及び経常損失を計上していた。 QCL社は,第2期において,貸借対照表上,診療報酬債権約9000万円を計上したものの,その後は第7期(平成23年11月期)まで診療 報酬債権を計上していない(上記9000万円も,第4期(平成20年11月期)にかけて手数料の支払やSAL社に対する貸付け(9600万円)に充てられた。)。QCL社は,第8期(平成24年11月期)において,貸借対照表上,OPM社に対する診療報酬債権16億円を計上したが,翌期以降は診療報酬債権を計上していない。 (甲A211の1・45頁から50頁まで)エ SAL社は,平成17年3月に設立された,ローン債権及びその他の債権の売買等を目的とする外国会社であり,設立時から平成23年2月25日までの間,被告12がその日本における代表者を務めていた(甲A81の1,2)。 SAL社は,オプティ 債権及びその他の債権の売買等を目的とする外国会社であり,設立時から平成23年2月25日までの間,被告12がその日本における代表者を務めていた(甲A81の1,2)。 SAL社は,オプティ社,QCL社,MTL社及びMRL社から借入金や社債で資金を調達して(平成27年11月13日時点の残高が15億5400万円),医療機関への投融資を行っていたが,第3期(平成20年12月期)以降,毎期債務超過であり,経常損失を計上し続けていた。 (甲A211の1・51頁から56頁まで) オ GC社は,平成21年4月に設立された,債権買取業務等を営む会社及 - 52 -びこれに相当する事業を営む外国会社の株式又は持分を所有することにより,当該会社の事業活動を支配し管理することを目的とする会社であり,βが,死亡するまでの間,その代表取締役を務めていた。βの死後は,γが,GC社の代表取締役を務めた。(甲A82の1,2)GC社は,オプティ社,OPM社,MRL社及びQCL社から借入金や 社債で資金を調達して(平成27年11月13日時点の残高が9億2000万円),有価証券(アメリカ合衆国の不動産への投資を含む。)への投融資を行っていたが,第3期(平成23年12月期)以降,毎期債務超過であり,第5期(平成25年12月期)及び第7期(平成27年11月13日まで)を除き,経常損失を計上していた。 (甲A211の1・57頁から63頁まで)(2) 本件3社債の発行スキーム及び本件発行会社3社の資産の毀損オプティ社は,債券販売の助言及び支援の業務を委託していたアーツ証券を通じて,被告田原証券を含む販売証券会社に対し,本件3社債は診療報酬債権を裏付資産とする社債である旨を説明し,その私募の取扱いを依頼した (甲A35,乙A12 の業務を委託していたアーツ証券を通じて,被告田原証券を含む販売証券会社に対し,本件3社債は診療報酬債権を裏付資産とする社債である旨を説明し,その私募の取扱いを依頼した (甲A35,乙A12,13,弁論の全趣旨)。被告田原証券を含む販売証券会社は,これを受けて,顧客に対して本件各社債の私募の取扱いをする際,同様の説明をした(甲A25,26,弁論の全趣旨)。 しかし,オプティ社は,本件3社債によって調達した資金に見合うだけの診療報酬債権を購入しなかった。すなわち,平成19年度から平成27年度 までに本件発行会社3社が購入した診療報酬債権の額と本件3社債の発行残高の比は,年度ごとに約8%ないし約13%の範囲で推移した(ただし,本件発行会社3社は決算日を異にする。甲A211の1・5頁)。 そして,上記資金のうち診療報酬債権の購入に充てられなかった分は,「QCL口」に架空計上されたり,QCL社,オプティ社及びGC社の社債購入 に充てられたりするなどして,本件発行会社3社から流出した。(OPM債及 - 53 -びMTL債については,前記前提事実(6)。MRL債については,甲A211の1・12頁から19頁まで)(3) 被告青山会計とOPM社との間の管理契約等被告青山会計は,平成16年のOPM社の設立の際,OPM社との間で管理契約を締結し,平成18年10月まで,同契約に基づき,OPM社の預金 口座を管理し,オプティ社の指示に従って同口座から支払をするほか,会計帳簿を作成するなどしていた。その際,被告青山会計は,オプティ社から,QCL社が診療報酬債権を買い取り,QCL社に対してそのための出金をする場合には,診療報酬債権の補助科目として「QCL口」を使用する旨の指示を受けて,その旨の仕訳記帳をしていたが,OPM社が から,QCL社が診療報酬債権を買い取り,QCL社に対してそのための出金をする場合には,診療報酬債権の補助科目として「QCL口」を使用する旨の指示を受けて,その旨の仕訳記帳をしていたが,OPM社が,QCL社が買い 取った診療報酬債権の譲渡を受ける旨の説明は受けていなかった(乙C16・28頁から29頁まで)。 (4) 被告新宿会計とMRL社との間の管理契約等被告新宿会計は,平成17年のMRL社の設立の際,MRL社との間で管理契約を締結し,被告12をMRL社の代表者(取締役)に就任させたほか (甲A79の2),平成26年10月まで,同契約に基づき,MRL社の預金口座を管理し,オプティ社の指示に従って同口座から支払をするほか,会計帳簿を作成するなどしていた(弁論の全趣旨)。 MRL社は,第3期(平成20年4月期)以降,オプティ社の関連会社以外の会社の社債を購入したほか(第9期(平成26年4月期)の時点で残高 合計は39億3300万円),第6期(平成23年4月期)以降,オプティ社の関連会社の社債を購入した(破産手続開始決定時点で残高合計は約25億2500万円。甲A211の1・16,17頁)。被告新宿会計は,オプティ社の指示に従って,MRL社の預金口座からこれらの社債購入資金の支払をしたものであるが,その支払指示書には社債要項等が添付されており,一部 の社債要項には,発行日から約2箇月後ないし1年後に一括償還すること, - 54 -利率は年2.2%ないし5.5%であることなどが記載されていた(乙B18の5から8まで)。 (5) 被告新宿会計とOPM社との間の管理契約等ア被告新宿会計は,平成18年10月31日付けで,OPM社との間で,代表者の派遣,帳簿作成,預金口座の維持・管理,OPM社による第三者 )。 (5) 被告新宿会計とOPM社との間の管理契約等ア被告新宿会計は,平成18年10月31日付けで,OPM社との間で,代表者の派遣,帳簿作成,預金口座の維持・管理,OPM社による第三者 からの診療報酬債権の購入のための契約(S&P契約)の締結,OPM社による当該債権の購入及び支払の監視,S&P契約に基づく預金口座からの支払等を受託する旨の管理契約を締結した。また,被告新宿会計は,この際,QCL社との間においても,同様の契約を締結した(乙B26,27)。 イ被告新宿会計におけるOPM社及びQCL社の管理業務に関する当時の実務の責任者であったφは,平成18年10月から同年12月にかけて,被告青山会計から,OPM社等の仕組みのほか,日々の口座管理や帳簿入力の方法等について引継ぎを受けた。また,φは,この際,オプティ社の代表取締役であったβからも次のとおり説明を受けた。すなわち,①OP M社が赤字であったため,φが,どのようにして投資家に分配,償還をしているのかを確認したところ,βは,OPM債のスキームは,OPM社及びQCL社以外の他のSPCも組み合わせて総合的に運用している仕組みであり,他のSPCにおいて十分黒字が出ているため問題ない旨を説明した。また,②診療報酬債権の中の補助科目に「QCL口」というものがあ ったことから(診療報酬債権の約9割を占めていた。甲A273,乙B28・14頁),φがその意味を確認したところ,βは,OPM社は,医療機関から診療報酬債権を直接買い取るのみならず,オプティ社が運営・管理する他のSPCを通じて診療報酬債権の買取りをしており,他のSPCを通じた買取り(そのための他の法人への出金)の総称として「QCL口」 という補助科目を用いている旨を説明した。そして,③βは, する他のSPCを通じて診療報酬債権の買取りをしており,他のSPCを通じた買取り(そのための他の法人への出金)の総称として「QCL口」 という補助科目を用いている旨を説明した。そして,③βは,医療機関等 - 55 -が診療報酬債権を譲渡して資金を調達しているという事情は,医療機関等の信用不安につながりかねないため,オプティ社は多くの機関から譲渡の事実の開示を禁止されており,診療報酬債権の買取先の詳細を開示することができない旨を説明した。φは,被告新宿会計の代表者であった被告12に対し,上記説明の内容を報告した。 (乙B25から28まで)(6) 被告新宿会計によるOPM社の管理業務の遂行等ア OPM社は,被告新宿会計との間で管理契約を締結して間もない第3期末(平成18年12月31日)時点で,貸借対照表上に診療報酬債権約26億5000万円を計上していたが(甲A277の1),前記(5)イのとお り,そのうち約9割が補助科目「QCL口」を用いたものであり,同(2)のとおり架空計上されたものであった。 被告新宿会計は,OPM社との間の管理契約(前記(5)ア)に基づき,オプティ社の指示に従って,OPM社の預金口座から支払をした。具体的には,オプティ社が,被告新宿会計に対し,支払名目,支払先,支払銀行口 座,支払日,支払金額及び備考の記載のある支払指示書(甲A202の1から62まで,乙B15の1から43まで,乙B18の1から4まで)をファクシミリで送信することによって支払を指示し,被告新宿会計がそれに従って支払をしたものである。 オプティ社は,医療機関ごと,月ごとの診療報酬債権に関する情報を入 力し,自動的に算出される振込額と支払指示書が一致するかを確認するための「ロスシート」と呼ばれるエクセルシート ものである。 オプティ社は,医療機関ごと,月ごとの診療報酬債権に関する情報を入 力し,自動的に算出される振込額と支払指示書が一致するかを確認するための「ロスシート」と呼ばれるエクセルシートのひな形を作成し,被告新宿会計に提供しており,被告新宿会計はこれを用いてロスシートを作成していたが(乙B17はその一例),QCL口として仕訳された債権については,ロスシートは作成されなかった(乙B26・53頁)。これらのロスシ ートが作成されない支払指示書の中には,立替金支払又は立替金支払(債 - 56 -権買取資金)名目のオプティ社への支払を指示するもの(備考欄に「レセプト買取り(Ⅱ)」又は「債権買取り(Ⅱ)」との記載がある。)が多数あり,その一部には,買取実行月ごとの買取総額,一次支払額(買取総額の80%),振込額(一次支払額から買取手数料等の控除額を差し引いた額)及び入金不足額を記載した表(ロスシートに似てはいるが詳細な内容を欠く もの)が添付されていた(ただし,本件において,平成22年6月以降の記載があるものは見当たらない。)。これらの表のうち,平成20年7月分までについては,買取手数料の記載があるが,同年8月分以降については,買取手数料の記載がない。また,支払指示書の中には,債権買取資金名目で2億円のGC社への支払を指示するもの(備考欄に「債権買取り」との 記載がある。)や,立替金支払(債権買取資金)名目で1億円のQCL社への支払を指示するもの(備考欄に「債権買取り」との記載がある。)もあった(乙B15の31,33)。 被告新宿会計は,上記のようなオプティ社への支払について,借方に診療報酬債権(QCL口),貸方に普通預金を計上する仕訳をし(甲A242 の2・103頁等),貸借対照表上も,立替金等ではな 。 被告新宿会計は,上記のようなオプティ社への支払について,借方に診療報酬債権(QCL口),貸方に普通預金を計上する仕訳をし(甲A242 の2・103頁等),貸借対照表上も,立替金等ではなく診療報酬債権(ただし,平成18年12月期及び平成19年12月期は売掛金,平成20年12月期は診療報酬債権と未収入金)として計上した(甲A40,41,214の1から3まで,甲A277の1から6まで)。 イ被告新宿会計は,平成21年3月2日,オプティ社の指示に従って,O PM社の預金口座からMRL社の社債購入資金1億8000万円を支払い,貸借対照表上,この社債を投資有価証券として計上した(甲A242の3・12頁,甲A277の4)。 また,被告新宿会計は,平成26年1月29日から同年5月26日までの間,オプティ社の指示に従って,OPM社の預金口座からオプティ社の 社債購入資金合計14億1000万円を支払った。その際の支払指示書に - 57 -添付されていた社債要項には,発行日から1年後に一括償還すること,利率は年9.0%であることなどが記載されていた。被告新宿会計は,上記各支払の際,借方に投資有価証券,貸方に普通預金を計上する仕訳をしたが,同年12月31日付けで,借方に診療報酬債権,貸方に投資有価証券を計上する仕訳をして,貸借対照表上,全額を診療報酬債権として計上し た(甲A202の4,7,10,11,甲A214の3,甲A271の7,乙B18の1)。 ウ被告新宿会計は,上記のとおり,QCL社との間においても管理契約を締結していたが,QCL社は当時社債の発行等をしておらず,出入金の量が非常に少なかった。そして,被告新宿会計は,平成22年1月頃,オプ ティ社から,QCL社のウェブ口座を解約することにしたと言われ, ていたが,QCL社は当時社債の発行等をしておらず,出入金の量が非常に少なかった。そして,被告新宿会計は,平成22年1月頃,オプ ティ社から,QCL社のウェブ口座を解約することにしたと言われ,QCL社の口座管理業務を終了し,以後は税務申告業務のみをすることとなった。(乙B26,28)また,被告新宿会計は,SAL社との間においても管理契約を締結したが,平成22年6月で同契約は終了した(乙B28)。 エオプティ社が,平成24年8月,シンガポール共和国(以下「シンガポール」という。)のSGトラスト(アジア)という会社(以下「SG社」という。)に対し,SG社との間で締結していたOPM社に関するエージェンシー契約の解除等を申し入れたところ,被告新宿会計からOPM債(発行済債券)が十分な資産(診療報酬債権)によって裏付けられている旨の確 認書を提供するよう求められた。そこで,被告新宿会計は,同年9月,SG社に対し,OPM社(東京支店)の資産(診療報酬債権)は,OPM社の債務を担保するに十分であることを確認する旨の書面を提出した。 (甲A278の1から3まで,8)被告新宿会計は,平成25年3月,シンガポールのCBPキュイルベス ト信託会社に対し,①OPM東京支店の目的及び利用は,診療報酬債権(そ - 58 -の取得及び貸付け等)に限定されており,これまでもそして今後も,それ以外の目的で利用されることはない旨,②平成24年9月30日現在の診療報酬債権残高は89億4499万9689円であること,③OPM東京支店の設立以来の全ての活動及び運営に係る全ての合意書及び文書,特に診療報酬債権及び貸付けに関するものは,完全であり適式に締結された旨 などを確認する旨の書面を提出した(甲A278の7,8)。 (7) 来の全ての活動及び運営に係る全ての合意書及び文書,特に診療報酬債権及び貸付けに関するものは,完全であり適式に締結された旨 などを確認する旨の書面を提出した(甲A278の7,8)。 (7) 被告青山会計とMTL社との間の管理契約等ア被告青山会計は,平成23年2月28日付けで,MTL社との間で,代表者の派遣,帳簿作成,預金口座の維持・管理,OPM社による第三者からの診療報酬債権の購入のための契約(S&P契約)の締結,MTL社に よる当該債権の購入及び支払の監視,S&P契約に基づく預金口座からの支払等を受託する旨の管理契約を締結し,平成26年12月15日まで,同契約に基づく業務を遂行した。被告青山会計は,上記契約の締結に先立ち,平成23年1月27日付けで,オプティ社に対し,MTL社の設立費用50万円,年間基本報酬500万円,年間報酬(MTL社が買い取る診 療報酬債権の額面金額をベースとするアセット残高が30億円超50億円以下の場合,残高の0.015%,同50億円超の場合,0.030%),閉鎖費用40万円という内容の見積書を提出していた(甲A290)。 イ被告青山会計は,MTL社との管理契約(前記ア)に基づき,オプティ社の指示に従って,前記(6)アと同様の方法により,MTL社の預金口座か ら支払をした(乙C5の1から134まで,弁論の全趣旨)。 その中で,被告青山会計は,平成23年6月27日から平成26年8月20日までの間,オプティ社の指示に従って,MTL社の預金口座からSAL社及びQCL社の社債購入資金合計26億4400万円を支払った(具体的な内容は,別紙目的外支出一覧表(MTL社)番号1,3,5, 7,10及び11記載のとおり)。その際の支払指示書には,支払名目が診 - 59 -療報酬債権買 400万円を支払った(具体的な内容は,別紙目的外支出一覧表(MTL社)番号1,3,5, 7,10及び11記載のとおり)。その際の支払指示書には,支払名目が診 - 59 -療報酬債権買取資金と記載されていたが,社債要項が添付されており,発行日から約3箇月後ないし1年後に一括償還すること,利率が年2.5%ないし9.5%であることなどが記載されていた。これらの支払についてロスシートは作成されなかった。上記期間(第2期から第5期まで)のMTL社の資産は,約48億1000万円ないし約54億3000万円の範 囲で推移した。(甲A211の1・26頁,乙C6から11まで)(8) 被告新宿会計とMTL社との間の管理契約等ア被告新宿会計は,平成26年12月15日付けで,MTL社との間で,被告青山会計とMTL社との間の管理契約(前記(7)ア)とおおむね同旨の管理契約を締結した。 イ被告新宿会計は,MTL社との管理契約(前記ア)に基づき,オプティ社の指示に従って,前記(6)アと同様の方法により,MTL社の預金口座から支払をした(乙B18の9から13まで,弁論の全趣旨)。 その中で,被告新宿会計は,平成26年12月19日から平成27年9月17日までの間,オプティ社の指示に従って,MTL社の預金口座から オプティ社の社債購入資金合計12億円を支払った(具体的な内容は,別紙目的外支出一覧表(MTL社)番号13,15,16,19及び20記載のとおり)。その際の支払指示書の支払名目は,うち2通が診療報酬債権買取資金であったが,その余は社債購入又は社債購入資金と記載され,後者については社債要項が添付されていた。これらの社債要項には,発行日 から1年後に一括償還すること,利率が年5.0%ないし8.0%であることなどが記 余は社債購入又は社債購入資金と記載され,後者については社債要項が添付されていた。これらの社債要項には,発行日 から1年後に一括償還すること,利率が年5.0%ないし8.0%であることなどが記載されていた。これらの支払指示書にロスシートは添付されていなかった。第5期末(平成27年3月31日)のMTL社の資産は,約48億5000万円であった。(甲A215の3,乙B18の9から13まで) ウ被告新宿会計は,第5期(平成27年3月期)の決算報告書を作成する - 60 -に当たり,オプティ社の指示に従って,OPM社と同様に,有価証券を全て診療報酬債権に振り替える仕訳をして,その全額を貸借対照表上診療報酬債権として計上した(甲A215の3,乙B20)。 2 争点(2)(被告新宿会計ほかについて不法行為が成立するか)について(1) オプティ社の不法行為 前記認定事実(2)によれば,オプティ社は,アーツ証券を通じて,被告田原証券を含む販売証券会社に対し,本件3社債は診療報酬債権を裏付資産とする社債である旨を説明し,販売証券会社をして顧客に対する取得勧誘をさせて本件3社債を発行しながら,実際には,本件3社債によって調達した資金に見合うだけの診療報酬債権を購入せず,架空の資産を計上するなどしてそ の資金を本件発行会社3社から流出させたものである。この行為は,遅くとも,原告らが本件各社債を最後に取得した平成26年の時点においては,顧客に対し,本件3社債が診療報酬債権を裏付資産とするものである旨虚偽の事実を告げて,顧客にその旨誤信させて本件3社債を取得させたものとして,不法行為を構成する。 (2) 被告新宿会計がオプティ社の不法行為を故意又は過失により幇助したものといえるか(OPM債関係)ア OPM社 旨誤信させて本件3社債を取得させたものとして,不法行為を構成する。 (2) 被告新宿会計がオプティ社の不法行為を故意又は過失により幇助したものといえるか(OPM債関係)ア OPM社は,専ら社債を発行して診療報酬債権を流動化するために設立された会社である(前記前提事実(1)ア(イ))。しかるに,被告新宿会計は,前記認定事実(6)ア,イのとおり,OPM社の預金口座から,診療報酬債権 ではないQCL社,オプティ社及びGC社の社債購入資金の支払をしたほか,会計帳簿における診療報酬債権(補助科目「QCL口」に係るもの)の架空計上を継続したものである。これらの行為は,オプティ社の不法行為を容易ならしめるものである。 イ前記認定事実(5)イ,(6)アのとおり,被告新宿会計がOPM社との間で 管理契約を締結した時点で,OPM社は,診療報酬債権の約9割について - 61 -補助科目「QCL口」を使用していたものであるところ,診療報酬債権の補助科目として,「QCL口」という表記は一見して明らかに不自然なものである。 この点について,当時,オプティ社の代表取締役であったβは,被告新宿会計のOPM社及びQCL社に関する業務の実務の責任者であったφ に対し,OPM社は,医療機関から診療報酬債権を直接買い取るのみならず,オプティ社が運営・管理する他のSPCを通じて診療報酬債権の買取りをしており,他のSPCを通じた買取りの総称として「QCL口」という補助科目を用いている旨を説明した(前記認定事実(5)イ)。しかしながら,実際には,借方に診療報酬債権(QCL口)の増加,貸方に普通預金 の減少として仕訳された取引で本件証拠により認められるものは,オプティ社の関連会社ではなくオプティ社本体に対する支払であった(同(6)ア ,借方に診療報酬債権(QCL口)の増加,貸方に普通預金 の減少として仕訳された取引で本件証拠により認められるものは,オプティ社の関連会社ではなくオプティ社本体に対する支払であった(同(6)ア)。 そもそも,OPM社は専ら社債を発行して診療報酬債権を流動化するために設立された会社であり,本件発行会社3社が発行する社債の裏付資産となる診療報酬債権の買取審査業務等はオプティ社が行っていたものであ り(前記前提事実(1)ア(イ)),オプティ社が被告新宿会計を通じてOPM社の預金口座を支配管理していたのであるから,OPM債の裏付資産となる診療報酬債権について,オプティ社が一旦買取代金を支払い,その後にOPM社がオプティ社に同代金を支払うという処理をする合理的な理由は見当たらない(他の診療報酬債権と同様の処理をすれば足りる。)。 なお,βは,φに対し,医療機関等が診療報酬債権を譲渡して資金を調達しているという事情は,医療機関等の信用不安につながりかねないため,オプティ社は多くの機関から譲渡の事実の開示を禁止されており,診療報酬債権の買取先の詳細を開示することができない旨を説明した。しかしながら,被告新宿会計はOPM社の預金口座の管理者であり,買取先との関 係においてはオプティ社やOPM社の一部門のような立場にあるから,被 - 62 -告新宿会計に対して買取先を開示することが禁止されないことは明らかである。また,会計帳簿や確定申告書の添付資料に買取先が記載されたとしても,それが第三者に開示されることは通常考え難い(もとより,正当な理由がある場合には第三者に開示されることがあり得るが,その場合にオプティ社やOPM社が買取先との関係において法的責任を負うものと は解し難い。)。さらに,OPM債は,私募債の形式で発行 正当な理由がある場合には第三者に開示されることがあり得るが,その場合にオプティ社やOPM社が買取先との関係において法的責任を負うものと は解し難い。)。さらに,OPM債は,私募債の形式で発行されていたから,有価証券報告書の提出等がされることもない。そうすると,上記説明があるからといって,補助科目として「QCL口」を使用する合理的な理由があるとはいえない。 ウ前記認定事実(6)イのとおり,被告新宿会計は,オプティ社の預金口座か ら,MRL社やオプティ社の社債購入資金として合計15億9000万円を支払ったものであるところ,これが診療報酬債権でないことは明らかである。 この点について,前記イのとおり,βは,φに対し,OPM社は,医療機関から診療報酬債権を直接買い取るのみならず,オプティ社が運営・管 理する他のSPCを通じて診療報酬債権の買取りをしている旨を説明していた。しかしながら,そうであるならば他のSPCが購入した診療報酬債権を買い取るという方法も考えられるところ,その方法がとられない理由は明らかにされていなかった。そして,他のSPCが診療報酬債権を買い取り,OPM社が当該他のSPCの社債を購入する方法により当該他の SPCに出金するという場合,余計な事務コストが生ずるのが明らかである。また,この場合,当該他のSPCからOPM社への利払い等が生ずるところ(本件においても,社債要項には年2.5%ないし9.5%の利率が記載されている。前記認定事実(7)イ),その利率がOPM債のそれより低ければ,逆ざやが生ずるし,高ければ,同じオプティ社が同じ診療報酬 債権を裏付資産として運営・管理するにもかかわらず当該他のSPCの方 - 63 -がより効率的な投資をしているということであるが,そのような事態が生 れば,同じオプティ社が同じ診療報酬 債権を裏付資産として運営・管理するにもかかわらず当該他のSPCの方 - 63 -がより効率的な投資をしているということであるが,そのような事態が生ずること自体不合理であり考え難い。そうすると,この場合,スキーム全体としての利益が減少すると考えるのが自然である。しかるに,βが,このような手法を採用する理由を説明した形跡はない。かえって,φが,OPM社は赤字であるが,どのようにして投資家に分配,償還をしているの かを確認したところ,βは,OPM債のスキームは,OPM社及びQCL社以外の他のSPCも組み合わせて総合的に運用している仕組みであり,他のSPCにおいて十分黒字が出ているため問題ないという抽象的な説明をするのみで,何ら具体的で合理的な理由を説明せず,φもそれ以上尋ねなかったというのである(同(5)イ)。 エ以上によれば,税理士であり,会計事務所の実務の責任者であったφにおいて,OPM社が,診療報酬債権を裏付資産とする社債(OPM債)を発行して資金を調達しながら,その大部分を診療報酬債権の買取り以外の目的で支出していることを容易に認識することができたものというべきである。 しかるに,被告新宿会計は,平成18年10月にOPM社との間で管理契約を締結してから9年以上にわたり,前記アのとおりオプティ社の不法行為を容易ならしめる行為を継続したものである。 オ以上によれば,被告新宿会計は,過失によりオプティ社の不法行為を幇助したものというべきである。 これに対して,被告新宿会計ほかは,オプティ社の指示を拒絶する裁量はないから,被告新宿会計ほかについて不法行為は成立しない旨主張する。 しかしながら,被告新宿会計とOPM社との間の管理契約の契約書(乙B3の1,2 被告新宿会計ほかは,オプティ社の指示を拒絶する裁量はないから,被告新宿会計ほかについて不法行為は成立しない旨主張する。 しかしながら,被告新宿会計とOPM社との間の管理契約の契約書(乙B3の1,2)によっても,同契約が,OPM社(実質的にはオプティ社)が不法行為への関与を指示した場合であってもこれを拒絶することがで きないという趣旨を含むものとは認められず,ほかにこの事実を認めるに - 64 -足りる証拠はない。また,仮に上記契約が,オプティ社が不法行為への関与を指示した場合であってもこれを拒絶することができないという趣旨を含むものであったとしても,第三者である原告らに対する関係において幇助行為の違法性が阻却されるものとは解されない。 したがって,被告新宿会計ほかの上記主張は採用することができない。 (3) 被告新宿会計がオプティ社の不法行為を故意又は過失により幇助したものといえるか(MTL債関係)ア MTL社は,専ら社債を発行して診療報酬債権を流動化するために設立された会社である(前記前提事実(1)ア(イ))。しかるに,被告新宿会計は,前記認定事実(8)イのとおり,MTL社の預金口座から,診療報酬債権では ないオプティ社の社債購入資金の支払をし,その額は当時のMTL社の資産の額の4分の1近くに相当するものであった。MTL社が,被告新宿会計とMTL社が管理契約を締結する前の平成26年3月期において,既に20億6000万円の有価証券(SAL社及びQCL社の社債)を計上していたことを併せ考慮すると,この行為は,オプティ社の不法行為を容易 ならしめるものである。 イ前記(2)ウで説示したところに照らせば,税理士であり,会計事務所の実務の責任者であったφにおいて,MTL社が,診療報酬債権を裏付資産とす ィ社の不法行為を容易 ならしめるものである。 イ前記(2)ウで説示したところに照らせば,税理士であり,会計事務所の実務の責任者であったφにおいて,MTL社が,診療報酬債権を裏付資産とする社債(MTL債)を発行して資金を調達しながら,その相当部分を診療報酬債権の買取り以外の目的で支出していることを容易に認識すること ができたものというべきである。 しかるに,被告新宿会計は,平成26年12月にMTL社との間で管理契約を締結してから約1年にわたり,前記アのとおりオプティ社の不法行為を容易ならしめる行為を継続したものである。 以上によれば,被告新宿会計は,過失によりオプティ社の不法行為を幇 助したものというべきである。 - 65 -被告新宿会計とMTL社との間の管理契約が,MTL社(実質的にはオプティ社)が不法行為への関与を指示した場合であってもこれを拒絶することができないという趣旨を含むものとは認められないこと,仮に上記契約が,オプティ社が不法行為への関与を指示した場合であってもこれを拒絶することができないという趣旨を含むものであったとしても,第三者で ある原告らに対する関係において幇助行為の違法性が阻却されるものとは解されないことは,前記(2)オで説示したのと同様である。 (4) 被告新宿会計の幇助と原告らの損害との間の因果関係ア被告新宿会計において,OPM社が,診療報酬債権を裏付資産とする社債(OPM債)を発行して資金を調達しながら,その大部分を診療報酬債 権の買取り以外の目的で支出していることを認識し,管理契約を速やかに解消し,あるいはOPM社の預金口座から,診療報酬債権ではないQCL社,オプティ社及びGC社の社債購入資金の支払を拒否していれば,オプティ社が不法行為を継続することが とを認識し,管理契約を速やかに解消し,あるいはOPM社の預金口座から,診療報酬債権ではないQCL社,オプティ社及びGC社の社債購入資金の支払を拒否していれば,オプティ社が不法行為を継続することができなくなり,原告らが平成26年11月以降OPM債を取得することはなかったものと認められるから,被告 新宿会計の幇助と原告らのうちOPM債を取得した者の損害との間には因果関係がある。 イ被告新宿会計が,MTL社が,診療報酬債権を裏付資産とする社債(MTL債)を発行して資金を調達しながら,その相当部分を診療報酬債権の買取り以外の目的で支出していることを認識し,管理契約を速やかに解消 し,あるいはMTL社の預金口座から,診療報酬債権ではないオプティ社の社債購入資金の支払を拒否していれば,オプティ社が不法行為を継続することができなくなり,少なくとも原告らのうち平成27年にMTL債を取得した者がMTL債を取得することはなかったものと認められるから,被告新宿会計の幇助と上記の者の損害との間には因果関係がある。 (5) 被告12の責任 - 66 -被告12は,被告新宿会計の代表取締役として従業員であるφ等が違法行為をしないように監督すべき義務を負っていたものである。しかるに,被告12は,OPM社との間の管理契約に基づく業務を開始するに当たり,φから,βが「QCL口」等についてした説明の内容の報告を受けていたものである(前記認定事実(5)イ)。そうすると,被告12は,この時点において, OPM社が,診療報酬債権を裏付資産とする社債(OPM債)を発行して資金を調達しながら,その大部分を診療報酬債権の買取り以外の目的で支出しているのではないかという疑念を抱くことができたのであり,φ等による業務の内容を適宜確認することに る社債(OPM債)を発行して資金を調達しながら,その大部分を診療報酬債権の買取り以外の目的で支出しているのではないかという疑念を抱くことができたのであり,φ等による業務の内容を適宜確認することによってその違法行為を認識することができたものというべきである。 したがって,被告12は,その職務を行うについて少なくとも重大な過失があったものというべきである。 これに対して,被告12は,被告青山会計の代表者であったΣに確認した際も,問題はなく心配ない旨の説明を受け,オプティ社の説明どおりの運営がされているものと信じていた旨主張する。しかしながら,Σの上記説明は 何ら具体的根拠を示さないものであって,これを安易に信じたとすれば,重大な過失があったものというべきである。 したがって,被告12は,原告らのうちOPM債を取得した者及び平成27年にMTL債を取得した者に対し,会社法429条1項に基づき,損害賠償責任を負う。 3 争点(3)(被告青山会計ほかについて不法行為が成立するか)について(1) 被告青山会計がオプティ社の不法行為を故意又は過失により幇助したものといえるかア MTL社は,専ら社債を発行して診療報酬債権を流動化するために設立された会社である(前記前提事実(1)ア(イ))。しかるに,被告青山会計は, 前記認定事実(7)イのとおり,MTL社の預金口座から,診療報酬債権では - 67 -ないSAL社及びQCL社の社債購入資金合計26億4400万円の支払をし,その額は当時のMTL社の資産の額の約半分に相当するものであった。この行為は,オプティ社の不法行為を容易ならしめるものである。 イ会計事務所である被告青山会計の担当者は,前記アの支払をするに当たり,MTL社が,診療報酬債権を裏付資産とする 当するものであった。この行為は,オプティ社の不法行為を容易ならしめるものである。 イ会計事務所である被告青山会計の担当者は,前記アの支払をするに当たり,MTL社が,診療報酬債権を裏付資産とする社債(MTL債)を発行 して資金を調達しながら,その相当部分を診療報酬債権の買取り以外の目的で支出していることを容易に認識することができたものというべきである。 これに対して,被告青山会計ほかは,SAL社及びQCL社の社債購入資金の支払については,支払指示書に「診療報酬債権買取資金」と記載さ れていたことから,診療報酬債権買取資金であると認識していた旨主張する。しかしながら,当該支払指示書にはSAL社及びQCL社に診療報酬債権を買い取ったことを裏付ける資料等が添付されていたことはうかがわれない。そうすると,被告青山会計ほかの上記主張は前記認定判断を左右しない。 また,被告青山会計ほかは,オプティ社から,MTL社では一度に購入できる診療報酬債権が限られているため,他社にも分散して購入するとの説明を受けていたから,上記支払が診療報酬債権の買取り以外の目的のものであると認識する余地はなかった旨主張し,被告23はこれに沿う供述をする。しかしながら,被告23の供述は,大分昔に担当者の誰かがオプ ティ社の担当者から聞いた,それが誰であるかは分からないという曖昧なものである上(乙C14・24頁),全く裏付けがないから,これを直ちに採用することができない。また,仮にオプティ社が上記説明をしたとしても,診療報酬債権の譲渡の方法ではなく社債の発行という方法をとることについては前記2(2)ウで説示したとおり疑問の余地があるのであり,上 記支払が診療報酬債権の買取り以外の目的のものなのではないかとの疑 - 68 -念を抱く の発行という方法をとることについては前記2(2)ウで説示したとおり疑問の余地があるのであり,上 記支払が診療報酬債権の買取り以外の目的のものなのではないかとの疑 - 68 -念を抱くのが当然である。そうすると,被告青山会計ほかの上記主張は採用することができない。 ウしかるに,被告青山会計は,平成23年2月にMTL社との間で管理契約を締結してから3年以上にわたり,前記アのとおりオプティ社の不法行為を容易ならしめる行為を継続したものである。 以上によれば,被告新宿会計は,過失によりオプティ社の不法行為を幇助したものというべきである。 これに対して,被告青山会計ほかは,被告青山会計とMTL社との間の管理契約においては,被告青山会計はMTL社の支配と評価に服することとされており,完全に従属する立場にあったから,被告青山会計に何らか の結果回避義務が発生する余地はない旨主張するが,前記2(2)オで説示したのと同様の理由により,この主張を採用することはできない。 (2) 被告青山会計の幇助と原告らの損害との間の因果関係ア被告青山会計において,MTL社が,診療報酬債権を裏付資産とする社債(MTL債)を発行して資金を調達しながら,その大部分を診療報酬債 権の買取り以外の目的で支出していることを認識し,管理契約を速やかに解消し,あるいはMTL社の預金口座から,診療報酬債権ではないSAL社及びQCL社の社債購入資金の支払を拒否していれば,オプティ社が不法行為を継続することができなくなり,原告らのうちMTL債を取得した者がMTL債を取得することはなかったものと認められるから,被告青山 会計の幇助と上記の者の損害との間には因果関係がある。 イこれに対して,被告青山会計ほかは,本件は,被告青山会計が関与しな 者がMTL債を取得することはなかったものと認められるから,被告青山 会計の幇助と上記の者の損害との間には因果関係がある。 イこれに対して,被告青山会計ほかは,本件は,被告青山会計が関与しない社債の販売行為の際,アーツ証券及びオプティ社等がOPM社及びMTL社の決算内容を改ざんするなどして本件各社債を販売するという被告青山会計において全く予期し得ない犯罪行為によって引き起こされたもので あるから,被告青山会計の行為と原告らの損害との間に相当因果関係はな - 69 -い旨主張する。 しかしながら,前記(1)で説示したところに照らして,被告青山会計の幇助行為は,オプティ社の不法行為の重要部分を容易ならしめたものであるから,原告らのうちMTL債を取得した者との間の相当因果関係は否定されない。 (3) 被告23及び被告24の責任被告23及び被告24は,被告青山会計の代表取締役として従業員が違法行為をしないように監督すべき義務を負っていたものである。しかしながら,本件全証拠によっても,被告23及び被告24が被告青山会計の従業員によるMTL社の預金口座の管理等の内容を具体的に認識し,MTL社が診療報 酬債権の買取り以外の目的で支出していることを認識することができたという事実を認めるに足りない。 この点について,被告23は,前記(1)イのとおり,オプティ社から,MTL社では一度に購入できる診療報酬債権が限られているため,他社にも分散して購入するとの説明を受けていた旨を供述しており,従業員によるMTL 社の預金口座の管理等の内容を具体的に認識していたかのようでもある。しかしながら,同所で説示したとおり,被告23の上記供述は曖昧である上,MTL社によるQCL社の社債購入資金の支払については聞いていなかった 口座の管理等の内容を具体的に認識していたかのようでもある。しかしながら,同所で説示したとおり,被告23の上記供述は曖昧である上,MTL社によるQCL社の社債購入資金の支払については聞いていなかったと供述しており(乙C14・24頁),この供述を一概に否定することもできない。 そうすると,被告23及び被告24が原告らに対して損害賠償責任を負うものとはいえない。 (4) 被告13の責任本件全証拠によっても,被告13がMTL社の預金口座からのSAL社及びQCL社の社債購入資金の支払をした事実を認めるに足りない。 被告13は,MTL社の日本における代表者であったが,そもそもMTL - 70 -社が不法行為をしたものとはいえないし,ほかに被告13が被告青山会計の前記(1)の幇助行為について不法行為責任を負うことを根拠付ける具体的事実を認めるに足りない。 したがって,被告13が原告らに対して損害賠償責任を負うものとはいえない。 第4 被告アーツ証券取締役らの責任(争点(4),(5))についての当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 (1) 被告17の業務内容 ア被告17は,コメルツ証券東京支店管理部長として勤務していたが,同時期に同社に勤務し,退職した後にアーツ証券を設立したΔから誘われて,平成16年7月,アーツ証券に入社した。 被告17は,アーツ証券において,管理部門統括として,営業部門をサポートしつつ,アーツ証券の総務,経理などを担当した。 被告17は,平成23年3月頃以降,販売証券会社からオプティ社への希望や要望を取りまとめ,オプティ社と連絡する窓口の役割を担うようになった。 (甲A149,150)イオ 担当した。 被告17は,平成23年3月頃以降,販売証券会社からオプティ社への希望や要望を取りまとめ,オプティ社と連絡する窓口の役割を担うようになった。 (甲A149,150)イオプティ社は,毎月,本件各社債の実際の発行残高,実際の現預金残高 のほか,水増しした診療報酬債権買取金額(当月の買取金額と当月の買取残高)等を記した運用実績報告書を作成し,被告17のチェックを受けた後,各販売証券会社に送付していた。 被告17は,平成24年以前から,オプティ社から送付された運用実績報告書について,例えば,前月と当月とで買取状況はほぼ同じであるのに, 現預金残高が5億円程度減少しているのはなぜかといった疑問点を指摘 - 71 -し,休日の関係で支払基金からの入金がずれこんでいるからであるとの回答を得たり,数字の入力ミスを指摘して修正版の送付を受けたりしていた。 (甲A127,乙C12,乙G83)(2) 平成25年5月当時のOPM社の財務状況OPM社の平成24年12月期及び平成25年12月期の現預金残高,買 取診療報酬債権残高,OPM債発行残高は,次のとおりであった(前記前提事実(6)ア(ア),甲A52の1,甲A211の1)。 (単位:千円)平成24年12月期平成25年12月期現預金残高3,726,3722,814,232買取診療報酬債権残高628,465739,450OPM債発行残高12,910,00012,837,000他方で,OPM社の平成24年12月期及び平成25年12月期の診療報酬債権の科目には,次の金額が計上されていた(甲A211の1)。 (単位:千円)平成24年12月期平成25年12月期QCL口7,514,2702,514,270 年12月期の診療報酬債権の科目には,次の金額が計上されていた(甲A211の1)。 (単位:千円)平成24年12月期平成25年12月期QCL口7,514,2702,514,270クオリティ・クラス・リミテッド500,000500,000オプティファクター 300,000GLOBALCORE200,000200,000 600,000600,000その他390,000390,000上記以外628,465739,450診療報酬債権計9,832,73510,243,720(3) τが本件各社債の実態を認識した経緯等 - 72 -オプティ社の取締役であったτは,かねて,βがレセプト債を販売して投資家から資金を集めながら,その資金を診療報酬債権の買取りに充てず,海外投資やMIF社等の関係会社の運転資金に使ってしまい,本件発行会社3社から現金が流出しているのではないかと疑っていた。 そこで,τは,平成25年3月にβが死亡すると,オプティ社の通帳及び 決算書,OPM社の決算書等を入手し,本件各社債の発行残高と診療報酬債権の買取残高等の確認を始めた。その結果,τは,平成25年5月頃までに,OPM社からオプティ社に定期的に現金が入っているものの,その後オプティ社からOPM社に現金が返金されている様子がないことや,OPM債の発行残高が120億円近くであるのに対し,現金残高が約30億円,診療報酬 債権の買取残高が10億円弱であり,その差額が70~80億円であることを認識した。τは,本件各社債の運用コストは年約9%であること(投資家への利払い年3.8%,販売証券会社に対する販売手数料年約3%,アーツ証券に対する手数料年約1%,その他会 0~80億円であることを認識した。τは,本件各社債の運用コストは年約9%であること(投資家への利払い年3.8%,販売証券会社に対する販売手数料年約3%,アーツ証券に対する手数料年約1%,その他会計事務所等への支払等),仮に本件各社債の年間発行額が120億円であるとすると,その運用コストは年間約1 0億円と計算できることを前提に,毎年約120億円の発行をしているわけではないことも踏まえ,平成16年から平成24年までの間に約70億円の現金が運用コストとしてOPM社から流出したものと見積もった。 また,τは,OPM社からQCL社に10億円以上の現金が流れていることも把握した。 (甲A122,123)(4) τからυ,ρ及びεへの情報共有ア τは,本件各社債の実態が分かると,そのことをυ及びρにそれぞれ伝えた。υは,τの幼馴染であり,τに誘われて平成22年10月頃オプティ社に入社した者であり,オプティ社において,診療報酬債権の買取業務 等をしていた。(甲A122,123,131) - 73 -イ τは,平成25年5月7日から同月8日にかけて,アーツ証券の会長であったεと共に札幌に出張した。τは,宿泊先のホテルで,εに対し,OPM社について,診療報酬債権の買取残高が10億円弱しかなく,約70億円の資金の所在が不明である,MIF社にも資金が流れているなどと話した。(甲A123,143,281,282) (5) 平成25年5月の役員就任パーティ等ア平成25年5月15日,γとτの役員就任パーティ及び二次会が行われ,γ,τ,被告17らがこれに参加した。 τは,平成25年5月16日午前零時過ぎに,υとの間で,次のとおり,メッセージのやり取りをした(甲A123・資料2)。 τ「γさんに今,帰りの われ,γ,τ,被告17らがこれに参加した。 τは,平成25年5月16日午前零時過ぎに,υとの間で,次のとおり,メッセージのやり取りをした(甲A123・資料2)。 τ「γさんに今,帰りのタクシーでいろいろ現実を話しましたが・・・。 今日のところ理解は得られなかったです」υ「今やるべきことはMIF社を中心とした出血を止め,必要な血液量を把握すること。全てはオプティ社のため。本体あっての全てですからね。」 τ「被告17にもεさんから概ね伝わっており,仕切り直しましょうとのことでした。」イ被告17は,平成25年5月16日,τに対し,「昨日は遅くまでご一緒頂きありがとうございました。τ様の『逃亡』したいという気持ち,私がすべてを理解しているとは全く思っておりませんが,今後もし宜しければ 共有頂けませんか。私に何ができるかはわかりませんが,常にその思いを共有すること,一緒に考えることはできます。」などと記載したメールを送信した(甲A123・資料5)。 ウ γ,τ,Δ及び被告17は,平成25年5月16日から同月21日にかけて,シンガポールに出張し,OPM社やMTL社の外国銀行等を訪問し た。このとき,CBPから,当時被告新宿会計が作成していたOPM社東 - 74 -京支店の決算書を,従来CBPが作成していた分と合わせてCBPが作成したいとの申出があった。(乙G61の1・3頁)(6) 平成25年5月27日の面談被告17は,平成25年5月27日,τ及びεと面談をした。その際,被告17は,手帳に「指摘事項の主な物→オプティ社」「決算書診療報酬の科 目検証」と書き込んだ。(甲A148,282,乙G61の1・7頁,乙G84)(7) 平成25年6月12日の面談等ア τは,平成25年6月3日,γ な物→オプティ社」「決算書診療報酬の科 目検証」と書き込んだ。(甲A148,282,乙G61の1・7頁,乙G84)(7) 平成25年6月12日の面談等ア τは,平成25年6月3日,γ及びρ等とミーティングを行い,,そこで自らが指摘した内容を文書にまとめ,γ,ρ等にメールで送信した。この 文書には,OPM社からオプティ社に対し過去に何度かファクタリング立替費用として資金移動がされており,その後オプティ社での資金(推定70億円)使途は不明であり,投資家から集めた現金はSPCの運転資金に充当されていること,MTL社について5億6000万円の累損があること,MRL社について3億円程度の赤字が推定されること,各SPCの運 用実績報告書と決算書の整合性が取れておらず,運用実績報告書からは運用状況が悪いということが考えにくいこと,今期の投資家,販売証券会社,アーツ証券へのコストの支払のため,売上14億円を立てなければならないこと,MTL社,MRL社からQCL社に買取資金として移動した16億円の返還を受ける必要があること,QCL社には現預金が3億6000 万円しかないため,MTL社やMRL社は,QCL社が発行した社債の償還を受けられないこと,などの課題のほか,今後の対応として,発行額の減額,資金調達に係るコストの低減,毀損部分の穴埋め等を指摘し,発行額の減額については,具体的には,実運用の水準に調整が必要であり,アーツ証券に調整を依頼すること(至急アーツ証券宛に各SPCの決算説明 を行い,今後の対応を協議する)などが記載されていた。(甲A124) - 75 -イ τは,平成25年6月4日,被告17に対し,「昨日,社長とρ常務と3名で現在おかれている状況の情報共有と,今後どうするかについて話し合っており 載されていた。(甲A124) - 75 -イ τは,平成25年6月4日,被告17に対し,「昨日,社長とρ常務と3名で現在おかれている状況の情報共有と,今後どうするかについて話し合っておりました。今後の部分では,明確な回答に至ったレベルとは考えておりませんが,スタートラインに立ったような気はしております。私の方から,御社に状況説明すべきもの早急に行い,今後の協力のお願いをすべ きであると伝えました。(中略)但し,社長の方から行う「現況説明」が,どの程度深い内容なのかはわかりません。」などとメッセージを送信した。 (甲A124・資料2)ウこれを受けて,被告17,Δ,γ,ρ及びτは,平成25年6月12日,面談を行った。当該面談においては,γが本件発行会社3社において逆ざ やによる赤字が発生していることなどを説明したが,約70億円の現金が流出していることは報告されなかった。 被告17は,上記面談の際,手帳に「オプティメディクス/メディカルトレンド損失あり対応要」「競合相手あり,手数料減」「今後の対応 MTL社:20億」などとメモを残した。 (甲A281,282,乙G61の2,乙G77,84)(8) 平成25年6月18日の状況ア被告17は,平成25年6月18日,τ及びυと居酒屋で話合いをした。 τとυは,その直後,ライン上で次のようなメッセージのやり取りをした(甲A124・資料5,甲A130)。 τ「被告17の正論にはお応えしきれない面がありましたね。」υ「彼は必要な人ですね」τ「引き込む・・・いや,巻き込むしかないですね。」υ「そうですね。彼ほど責任感のある人は今のオプティにはいませんからね」 τ「今日の話を聞いてどうおもいました?」「僕的には被告17の力は欲 - ・・いや,巻き込むしかないですね。」υ「そうですね。彼ほど責任感のある人は今のオプティにはいませんからね」 τ「今日の話を聞いてどうおもいました?」「僕的には被告17の力は欲 - 76 -しいけど」「これまでの責任はとれよ。」「という感じにとれましたが。」υ「それは無理ですよ」「所々彼の本音と真顔が見れました」τ「そんな言い方してましたよね?」υ「結局自分がみんな可愛いのは否定なんて出来ません」「絶対に」τ「それがら本音なら,やはり裏の対策はいるかなと。」「それが」 υ「それはいりますね」τ「そーですよね。」υ「表面上彼をγさんを動かす人材として」τ「キレてましたよね?笑」υ「取り込みながらも,準備はしなきゃいけない」 (中略)τ「被告17は,わかっちゃいるけど,守るところ守りましたね。」υ「そうです。」「当局に・・・とかこの飲み会で出すべきではない」「それは我々に責任を負わせるべきいった事」(中略) υ「ある意味彼を使って」「仮に去る時の完璧な理由を作るのも一つ」τ「なんだかんだ,我々の最終カードを見せのは今後効いてくると思いますよ。」υ「そうですね。彼らもそこは想定しながらの動きになると思います。」τ「結果,参画するしかない。」「に持っていけますからね。」 υ「そうです」「我々はまだ30年以上ある」「そこの違いは大きいです」「彼等は逆に今放り出されたら困る」「そこをうまく利用しながら」「常にカードを見せながら戦うしかないですね」τ「手強いですが抑えるところは抑えながらですね。」「顧客とスキームは僕とυさんでほとんど解決してますから」「それが最後のカードで すよ。」「綺麗事では終わらせない」 - 77 -υ「ですね ですが抑えるところは抑えながらですね。」「顧客とスキームは僕とυさんでほとんど解決してますから」「それが最後のカードで すよ。」「綺麗事では終わらせない」 - 77 -υ「ですね」τ「しかし,被告17がキレたLevelがあの程度だと心配になります。正直・・・。」υ「ですねぇ」「もっときれんかい(笑)」イ τは,平成25年6月19日,εに対し,「ご心配おかけしております。 また,力不足につき社長を筆頭に会社を動かしきれてない件につきまして,お詫び申し上げます。先程,ρには電話で,昨日,被告17からご指摘受けた部分に関して全て伝えました。その上で改めて私とρで話し合ってから,社長には近々に話そう。という流れになりました。今後共,ε会長のお力とお知恵を拝借したく,お願い申し上げます。」などとメッセージを送 った。(甲A124・資料6)(9) 平成25年8月から9月の状況ア γは,平成25年8月,Δに対し,本件発行会社3社の資産が診療報酬債権の買取り以外で運用されており,本件3社債の債券発行額が200億円以上であるのに対し,診療報酬債権の買取額が約30億円しかないこと などを打ち明けた。(甲A157,199)イ τは,平成25年9月下旬,υ,アーツ証券営業担当執行役員であるψと共に六和証券に出張した際,宿泊先のホテルで,ψに対し,レセプト債で集めた資金が診療報酬債権の買取り以外に充てられていて,債券発行残高が200億円以上あるのに対し,診療報酬債権の買取残高は30億円く らいしかないこと,オプティ社を通じてMIF社に10億円くらい流れたりしていて,他にもどこに行ったか分からない使途不明金が数十億円あることを伝えた。(甲A140,296)(10) 平成25年10月から同年12月にか プティ社を通じてMIF社に10億円くらい流れたりしていて,他にもどこに行ったか分からない使途不明金が数十億円あることを伝えた。(甲A140,296)(10) 平成25年10月から同年12月にかけて行われたオプティ社とアーツ証券の面談の状況 ア γ,ρ,τ,χ(オプティ社において証券会社への財務状況の説明等を - 78 -担当していた(甲A137等)。)は,平成25年10月7日,アーツ証券を訪問し,ε,Δ,被告17のほか,ψ及びアーツ証券の執行役員であったωと面談を行った。上記面談においては,競争相手が増加したことなどから,MTL社については5億円強,MRL社については3.4億円強の赤字があるなどという現状が確認され,それに対する対応として,発行額 の一部償還,クーポン発行,販売手数料の引下げ,長期購入(将来債権の買取期間延長)等が協議された。(甲A48,乙G52の1,乙G61の4・1頁)イ Δは,平成25年10月8日,オプティ社を訪問し,γ,ρ,τ及びχと面談を行った。 τは,平成25年10月8日,υに対し,「午前中にγさんがΔさんにχさんが作ったリアルな資料の説明をしてました。」「流石に営業がみたら衝撃が大きいかもしれないので,ちょっと考えましょう。とのことです。」などとメッセージを送った。(甲A125の1・資料3)ウ γ,τ及びχは,平成25年10月10日,同月31日,同年11月1 3日,同年12月11日,同月25日,アーツ証券を訪問し,被告17,ω及びψと面談を行った。これらの面談においては,クーポン(利金),手数料の引下げ率やスケジュール等が協議されたほか,引下げに伴い販売証券会社等から寄せられることが想定される質問に対する回答が作成されるなどした。(甲A49,50,乙G52の2 ,クーポン(利金),手数料の引下げ率やスケジュール等が協議されたほか,引下げに伴い販売証券会社等から寄せられることが想定される質問に対する回答が作成されるなどした。(甲A49,50,乙G52の2から6まで) 平成25年10月31日の面談では,本件発行会社3社ごとに現状等について記した資料を交付した。当該資料によれば,同年9月末時点の概算値で,OPM債が約3%の赤字(発行残高が128億円であるのに対し,現預金と診療報酬債権の合計が125億円),MTL社が約10%の赤字(発行残高が56億4000万円であるのに対し,現預金と診療報酬債権 の合計が51億1000万円),MRL債が約12%の赤字(発行残高が4 - 79 -1億5000万円であるのに対し,現預金と診療報酬債権の合計が36億5000万円)であった。また,当該資料には,投資家への利金や販売証券会社,アーツ証券等の手数料を引き下げてコストを減らすことで,本件発行会社3社の収支を黒字化する計画が記載されていた。(乙G52の3,乙G53,84・54頁) エ Δ,γ,χ,τ及びρは,平成25年10月16日,面談を行い,本件発行会社3社の実態についての秘密を保守すること,国内の資産を売却して7億5000万円を回収することなどを協議した(甲A133・本文,資料3。τは,同日の面談の後,υに対し,「(判決注・Δは,)アーツとしての立場では,Δさんしか,本件に関わらないでやる。僕は,腹をくくり ましたから。と言ってましたね。」「オプティも今日の4人以外には情報統制を徹底して欲しいと。誰かがタレ込んだらそれで終わりですから。と」などとメッセージを送った。(甲A125の1・資料3)オ Δ,γ,τ,ρ,χは,平成25年10月22日及び同月29日,面談を行った。Δは して欲しいと。誰かがタレ込んだらそれで終わりですから。と」などとメッセージを送った。(甲A125の1・資料3)オ Δ,γ,τ,ρ,χは,平成25年10月22日及び同月29日,面談を行った。Δは,「OPTIMEDIX他の改善策」と題する資料及び「O PTI社資金運用計画」と題する資料を作成し,同月22日及び同月29日の面談の参加者に配布した。これらの資料によると,本件発行会社3社の社債発行残高は約225億円(利払い,販売手数料9.5%),支払金利年約21億円,運用益約5億円,損失約16億円,預金残高約45億円であり,仮に,利払い,販売手数料を合計約7.05%にしても,年間約1 0億円の損失が発生する状態であること,そのため,同日以降,ハワイのコンドミニアムの売却等により約10億円を確保し,ベトナムファンド等の有価証券を売却して約16億円を確保し,30億円を年利10%で運用し,20億円でレセプト債を償還して発行金額を償還し,10億円分の新規診療報酬債権の買取等を行っていく必要があった(ただし,これによっ ても3億円の赤字である。)。(甲A125,138) - 80 -(11) 平成25年12月から平成26年1月の状況ア被告17は,平成25年12月19日,ファミリーレストランでτと面談した(甲A280,乙G88)。 τは,平成25年12月19日,υに対し,「そういえば,被告17がアーツの誰かが,オプティがファンドのお金を流用している。ってΔさんに 情報があったと。」「アーツは,Δ,ε,被告17しか知らないので,そうなるとオプティの誰かって事としか考えにくい。」「って言われました。まぁ,本件,全員しってますから,ちょっとわからないですけど・・・。と言っておきましたが。」「完全に私かυさんを疑われてるな ,そうなるとオプティの誰かって事としか考えにくい。」「って言われました。まぁ,本件,全員しってますから,ちょっとわからないですけど・・・。と言っておきましたが。」「完全に私かυさんを疑われてるなと。思いました。」「ψさん!ちゃんと統制とっといてよ!!って話ですわ。」などとメッセ ージを送信した。(甲A296)イ野畑証券株式会社(以下「野畑証券」という。)の代表者は,平成26年1月29日,ψに対し,オプティ社から,OPM社について2011年12月期から,MTL社について2012年3月期から赤字が発生しているとの説明を受けたので,その時期からの決算書のほか,オプティ社の過去 3年間の財務諸表,OPM社及びMTL社の通帳のコピー等を確認したいと連絡した。ψはその内容を被告17に伝え,被告17は,γ,τ及びρに対し,野畑証券から上記資料の提出依頼があった旨を連絡した。(甲A140・本文,資料2,3)(12) 平成26年3月から同年7月の検証作業の状況 ア関東財務局は,平成26年2月18日,被告17に対し,本件3社債の仕組み等について問合せをし,本件発行会社3社の現預金残高について定期的に検証した方がよいのではないかなどと指摘した。 アーツ証券は,関東財務局からの問合せ及び前記(11)イの野畑証券からの依頼等を受けて,被告17に次の検査を行わせた。(乙G39,61)。 (ア) 平成25年12月末時点の買取先数及び買取残高の調査(平成26年 - 81 -3月3日)被告17は,平成26年2月28日から同年3月3日にかけて,χから,本件発行会社3社の決算書,買取債権管理表,運用実績報告書,現金残高証明書等を受領し,買取債権管理表と運用実績報告書を突合し,これらの記載が整合することを確認した(乙G2 3月3日にかけて,χから,本件発行会社3社の決算書,買取債権管理表,運用実績報告書,現金残高証明書等を受領し,買取債権管理表と運用実績報告書を突合し,これらの記載が整合することを確認した(乙G2から6まで)。 なお,オプティ社では,平成26年3月当時,買取債権管理表を作成していたところ,買取債権管理表に記載された数字は,水増しして作成した運用実績報告書の記載と合うように調整されたものであった。そのため,被告17に開示された買取債権管理表は,水増しして作成された運用実績報告書の記載に合わせて実際とは異なる数字が記載されたもの であった。(甲A136・3頁,乙C12)(イ) 平成26年1月末時点の現金残高の調査(同年3月3日)被告17は,平成26年3月3日までに,χから,国内銀行の現金残高証明書の提出を受け,運用実績報告書と現金残高証明書を突合し,これらの記載が整合することを確認した。 (ウ) 買取契約書の検証等(平成26年3月25日)被告17は,オプティ社に赴き,γ及び担当者の立合いの下,買取先の医療機関ごとに契約書等(買取契約書,債権譲渡通知書,買取明細書,銀行振込明細等。ただし,医療機関名は黒塗りされていた。)の書類がファイルに綴られてキャビネットに収納されている保管状況について確認 し,本件発行会社3社ごとに買取先を2件ずつ,契約書等を見て,債権買取金額等について,買取債権管理表との記載の一致を確認した。 (エ) 平成26年5月末時点の買取先数及び買取残高の調査(同年7月30日)被告17は,オプティ社に赴き,平成26年5月末時点の買取先数及 び買取残高について,前記(ア)と同様の調査をした。 - 82 -(オ) 平成26年5月末時点の現金残高の調査(同年7月30日)被告 ティ社に赴き,平成26年5月末時点の買取先数及 び買取残高について,前記(ア)と同様の調査をした。 - 82 -(オ) 平成26年5月末時点の現金残高の調査(同年7月30日)被告17は,オプティ社において,平成26年5月末時点の現金残高について,前記(イ)と同様の調査をした。 イ被告17は,平成26年3月25日,ψ及びωに対し,同日にオプティ社で行った検査について,病院ごとにファイルされた四半期分の資料とし て契約書等の書類や管理表の開示を受け,確認したところ,問題はなかったなどと報告した(甲A140・本文,資料7)。 (13) 取締役会の開催状況等アアーツ証券においては,原則として毎月1回,取締役会が開催されており,被告18らは,取締役又は監査役に就任して以降,ほぼ毎回取締役会 に参加し,適宜意見を述べるなどしていた(乙H9から14まで)。 イ平成26年1月17日開催の取締役会には,取締役として,Δ,被告17及びγが,監査役としてε及び被告19が出席した。 Δは,上記取締役会において,アーツ証券の主力商品である本件各社債について,競合する診療報酬債権買取業者が出現し,買取手数料率の低減 が避けられない状況であったため,アーツ証券取扱いの診療報酬債券について,販売証券会社取扱い手数料を現行3%から2%へ,利金の固定利率を現行3.8%から3%へ,それぞれ引き下げるとの決定をしたことなどを報告した。 (乙H4の7) ウ平成26年5月23日開催の取締役会には,取締役として,Δ,被告17及びγが,監査役としてε及び被告19が出席した。 Δは,上記取締役会において,要旨次の内容を報告した。すなわち,平成26年4月4日を検査基準日として関東財務局が行った臨店検査が終了したこと,主任検査 γが,監査役としてε及び被告19が出席した。 Δは,上記取締役会において,要旨次の内容を報告した。すなわち,平成26年4月4日を検査基準日として関東財務局が行った臨店検査が終了したこと,主任検査官は,債務超過という事実は,金商法上の重要事項 に該当しないものの,投資家保護の観点からは商品の取得勧誘時に説明す - 83 -べきではないかとの見解を述べた。診療報酬流動化債券のSPCの債務超過については,既に改善策を策定し財務基盤の健全化に向けた対応,当該商品を取り扱う販売証券会社に対する説明が実施済みであったためにその後は議論にならなかった。これに対して,保釈保証金流動化債券については,改善策を策定中でありまだ改善に向けた対応が実施されていないこ とが診療報酬流動化債券との相違であるようである。 また,Δは,証券化商品・流動化商品の発行体は,利益を追求する組織体ではなく頻繁に債務超過の状態になることも想定されることから,例えば債務超過額が純資産と比較し5%を超える場合には発行体及び当該商品のアレンジャーに対し早急に改善を要請し,次期決済期日までに改善さ れないような場合にはその旨を投資家に説明する旨を定める社内規程を作り,対応したいと提案した。 (乙H4の11)エ平成26年7月11日開催の取締役会には,取締役としてΔ,被告17及び被告18が,監査役として被告20及び被告19が出席した。 被告18は,アーツ証券が取り扱う商品について質問し,これに対し,Δは,本件各社債を含む各種商品のスキーム等について説明した。 (乙H4の14,乙H10・8頁)オ被告17は,平成26年7月14日,Δ及び被告18らに対し,オプティ社からの依頼を受け,OPM債の財務基盤の改善を目指すために,融資 実行日を同月 。 (乙H4の14,乙H10・8頁)オ被告17は,平成26年7月14日,Δ及び被告18らに対し,オプティ社からの依頼を受け,OPM債の財務基盤の改善を目指すために,融資 実行日を同月16日,融資返済日を同月29日,利率を年4%として,アーツ証券がOPM社に対して2億円を融資するとの議案を提案した。 これを受けて,被告18らは,それぞれ,返済の見込みや,OPM社に対して2億円の短期融資をすることがOPM債の財務基盤の改善に役立つ理由等について追加の説明を求め,被告17から,OPM社の財務状況 については毎期の決算書等で確認していること,OPM社が診療報酬債権 - 84 -の買取りを停止し,買取診療報酬債権について社保国保から返金を受ければ返済原資を確保できること,短期的な資金需要に対しては短期的・低利の資金で対応するのがベストであることなどの説明を受けた。そこで,被告18らは,上記議案について異議がない旨の意見を述べ,上記議案についてはみなし決議が成立した。 (乙H4の15)カ平成26年9月14日開催の取締役会には,取締役としてΔ,被告17及び被告18が,監査役として被告20及び被告19が出席した。 上記取締役会においては,MRL債取扱い承認の件が議案として諮られた。被告18らは,MRL債の取扱いに関する法令諸規則及び社内規程遵 守の管理体制が重要である旨の意見を述べた。被告17は,その旨十分留意することを回答した。これを踏まえて,上記議案は承認可決された。 (乙H4の18)キ平成27年3月13日開催の取締役会には,取締役としてΔ,被告17及び被告18が,監査役として被告20及び被告19が出席した。 上記取締役会においては,アーツ証券の筆頭株主であるGC社及びオプティ社がアー 3日開催の取締役会には,取締役としてΔ,被告17及び被告18が,監査役として被告20及び被告19が出席した。 上記取締役会においては,アーツ証券の筆頭株主であるGC社及びオプティ社がアーツ証券の株式の譲渡を希望していること,譲渡代金の一部については,本件発行会社3社の債務超過解消に充てることなどが報告された。 (乙H4の24) ク関東財務局は,平成27年5月1日,アーツ証券に対し,アーツ証券が取扱いを行った証券化商品の概要,各証券化スキームにおける発行者の財務状況,当初債券発行計画及び裏付資産の取得(運用)状況,各証券化スキームの計画と運用状況が乖離している場合又は発行者の財務状況が債務超過の場合にはその経緯,原因及び対応状況等について,報告するよう求 めた(以下「本件報告命令」という。乙G10)。 - 85 -ケ平成27年5月26日開催の取締役会には,取締役としてΔ,被告17及び被告18が,監査役として被告20及び被告19が出席した。 被告17は,上記取締役会において,本件報告命令の内容や対応状況について説明した。具体的には,アーツ証券が取り扱う証券化商品のうち,債務超過となっている商品又は運用実績が運用計画とかい離している商 品についての詳細な報告を求めるものであること,本件報告命令に対する回答を提出したところ,関東財務局から,債務超過発生の経緯,投資家及び販売証券会社に対する対応,解消に向けた方策とその時期について追加の質問を受け,対応中であることなどを報告した。 (乙H4の26) また,上記取締役会において,本件各発行会社について5%から6%程度の債務超過が生じている旨が説明された(乙H9・3頁,乙H10・3頁,乙11・3頁)。 コ平成27年6月24日開催の取締役会に また,上記取締役会において,本件各発行会社について5%から6%程度の債務超過が生じている旨が説明された(乙H9・3頁,乙H10・3頁,乙11・3頁)。 コ平成27年6月24日開催の取締役会には,取締役としてΔ,被告17及び被告18が,監査役として被告20及び被告19が出席した。 被告17は,上記取締役会において,本件報告命令に関し,追加報告をしたことや,関東財務局の指示で金融庁を訪問し,債務超過となっている商品については,既存の保有者全員に対して発行者の財務状況を開示するよう指示を受けたこと,これに対し,被告17は,実施済みの財務局による検査の趣旨からしても,過去に遡及して開示することは直ちには納得で きない旨を説明し,経営メンバーと検討後に回答すると伝えたことを報告した。 (乙H4の27)サ平成27年7月10日開催の取締役会には,取締役としてΔ,被告17及び被告18が,監査役として被告20及び被告19が出席した。 被告17は,上記取締役会において,本件報告命令に関し,債務超過と - 86 -なっている商品の発行者の財務状況について,できる限りの範囲で速やかに保有者に開示することにしたことなどを報告した。 (乙H4の28) 2 争点(4)(被告17が,平成25年5月から6月にかけて,本件各社債の償還原資となる診療報酬債権及び現預金が著しく不足していることを認識したか) について(1) 前記認定事実によれば,オプティ社の取締役であったτは,平成25年5月頃までに,OPM社について,診療報酬債権の買取残高が10億円弱しかなく,約70億円の資金が流出している事実を認識し,このことをオプティ社のυ及びρに伝えたほか,同月7日から同月8日には,アーツ証券の代表 取締役であったεに上記 権の買取残高が10億円弱しかなく,約70億円の資金が流出している事実を認識し,このことをオプティ社のυ及びρに伝えたほか,同月7日から同月8日には,アーツ証券の代表 取締役であったεに上記事実を伝えた(前記認定事実(3),(4))。 そして,次のとおり,その後の被告17とオプティ社のτ及びυのやり取り等の事実経過をみると,被告17が上記事実を認識していたことが推認される。すなわち,ア被告17は,平成25年5月15日,βとτの役員就任パーティ及び二次会に参加したが,τは,その夜,υとの間で,MIF社 を中心とした出血(資金の流出)を止めるべきであることなどを前提に,「被告17にもεさんから概ね伝わっており,仕切り直しましょうとのことでした。」などといったメッセージのやり取りをした(前記認定事実(5)ア)。他方,被告17は,翌日,τに対し,「τ様の「逃亡」したいという気持ち,私がすべてを理解しているとは全く思っておりませんが,今後もし宜しければ共有 頂けませんか。」などと記載したメールを送信した(同イ)。被告17は,当時,アーツ証券の管理部門統括であった上,オプティ社と連絡する窓口の役割も果たしていたものであるから(同(1)ア),オプティ社とアーツ証券との間で協議する必要がある上記事実について,εやτから伝えられたものと考えるのが自然である。また,イ被告17は,平成25年6月18日,τ及 びυと居酒屋で話合いをしたが,τとυは,その直後,①被告17の話は, - 87 -オプティ社のτ及びυに対してこれまでの責任をとるよう求める趣旨と受け止められる,②被告17は,「当局に」などと言っていたが,それはこの飲み会で出すべきことではない,③被告17は「キレて」いたが,もっと「キレて」いいぐらいである旨の内容を をとるよう求める趣旨と受け止められる,②被告17は,「当局に」などと言っていたが,それはこの飲み会で出すべきことではない,③被告17は「キレて」いたが,もっと「キレて」いいぐらいである旨の内容を含むメッセージのやり取りをした(同(8)ア)。 そして,τは,翌日,εに対し,「ρに対し,昨日被告17から指摘を受けた 部分を全て伝えた,今後ともεの力と知恵を拝借したい」旨などを記載したメッセージを送信した(同イ)。これらの事実からは,被告17が,オプティ社が責任をとるべきと考えられる重大な事態が生じており,かつ,それは当局への連絡,通報あるいは当局との協議,調整等を必要とすると考えられるものであること,被告17とεとの間で一定の情報が共有されていることが 推認される。さらに,ウ τは,平成25年12月19日に被告17と面談した後,υに対し,被告17から「アーツ証券の者が,オプティ社がファンドの資金を流用しているという情報をΔに伝えた。アーツ証券は,Δ,ε,被告17しか知らないから,オプティ社の誰かが情報の出所であるということしか考えられない。」旨を言われた旨のメッセージを送信した(同(11)ア)。 これらの事実経過からすると,被告17がOPM社から約70億円の資金が流出した事実を認識していたことが推認される。 以上によれば,被告17が,平成25年5月から6月にかけて,本件各社債の償還原資となる診療報酬債権及び現預金が著しく不足していることを認識していたものと認められる。 (2) 被告17の主張についてア被告17は,次のとおり,前記(1)アからウまでの事実からは被告17がOPM社から約70億円の資金が流出した事実を認識していたことが推認されない旨主張するので,以下検討する。 (ア) 前記(1)アの事実(平 次のとおり,前記(1)アからウまでの事実からは被告17がOPM社から約70億円の資金が流出した事実を認識していたことが推認されない旨主張するので,以下検討する。 (ア) 前記(1)アの事実(平成25年5月15日及び同月16日のメッセー ジのやり取り等)について,被告17は,①βとτの役員就任パーティ - 88 -及び二次会において,τが,英語がほとんどできないため,MTL社等のシンガポール口座の閉鎖等の問題への対応に苦慮しており,逃げたいなどと述べていた,②τの「被告17にもεさんから概ね伝わっており,仕切り直しましょうとのことでした。」とのメッセージは,τが,γのリーダーシップに疑問を感じ,ε又は被告17にオプティ社の経営に関与 してもらいたいと話したことを指す旨主張する。 しかしながら,上記①についていえば,被告17がパーティー及び二次会の翌日に送信したメールの内容(「τ様の「逃亡」したいという気持ち,私がすべてを理解しているとは全く思っておりませんが,今後もし宜しければ共有頂けませんか。」等)は,英語がほとんどできないため逃 げたいなどと述べていたという問題の程度とは不釣り合いである。また,上記②についていえば,上記メッセージを被告17の主張のように解釈すべき根拠がない。 したがって,被告17の上記主張は,いずれも採用することができない。 (イ) 前記(1)イの事実(平成25年6月18日及び同月19日のメッセージのやり取り等)について,被告17は,平成25年6月18日,居酒屋において話合いをした際,τ及びυから,γが経営者としての責任を果たしていない,自分たちの給料が安い,ε又は被告17にオプティ社の社長になってもらいたい,などといった愚痴を聞かされ,給与を返上 しても働くべきで 際,τ及びυから,γが経営者としての責任を果たしていない,自分たちの給料が安い,ε又は被告17にオプティ社の社長になってもらいたい,などといった愚痴を聞かされ,給与を返上 しても働くべきであるなどと述べて叱咤激励したものであって,本件各社債の実態については聞かされていなかった旨主張する。 しかしながら,被告17の上記主張は,上記話合いの際,被告17が「当局に」という言葉を用いたことや,τが,翌日,εに対し,「ρに対し,昨日被告17から指摘を受けた部分を全て伝えた」旨などを記載し - 89 -たメッセージを送信したことなどと整合しないから,採用することができない。 (ウ) 前記(1)ウの事実(平成25年12月19日のメッセージ)について,被告17は,債務超過という事実だけが独り歩きして,その原因(逆ざや)やその対策が講じられようとしていることが置き去りにされている ことは問題であり,債務超過という情報は,その原因と対策とセットで管理する必要があると考え,その情報管理について伝えたものと思われる旨主張する。 しかしながら,被告17自身,上記主張について明確に記憶していないとしている。また,被告17の上記主張は,「オプティ社がファンドの お金を流用している」というτのメッセージの内容と整合しない。 したがって,被告17の上記主張は採用することができない。 イ被告17は,本件各社債の実態を認識したと主張される平成25年5月から6月頃の後も,引き続き運用実績報告書の事前確認をし,アーツ証券関係者から指摘された疑問点等をτに伝えるなど従前と同じ流れで業務を 進めており,その際の被告17とτの間のメールには,本件3社債の運用実態を知っている者同士が示し合わせているような記載は一切ないとして,被告17 問点等をτに伝えるなど従前と同じ流れで業務を 進めており,その際の被告17とτの間のメールには,本件3社債の運用実態を知っている者同士が示し合わせているような記載は一切ないとして,被告17が本件各社債の実態を認識していなかったことが推認される旨主張する。 しかしながら,運用実績報告書は,オプティ社によって販売証券会社向 けに作成され,その事前確認を依頼するメールはアーツ証券内で展開されていたものであって,そもそも本件3社債の実態を反映したものではないから,これについてのやり取りに際し特別な記載がされなかったとしても不自然ではない。 したがって,被告17の上記主張は採用することができない。 - 90 -ウ被告17は,自身の手帳に,本件各社債の実態について聞いた旨の記載がないことは,被告17が本件各社債の実態について聞かされなかったことを推認させる旨主張する。 確かに,被告17は,アーツ証券における会議の内容等について,おおむね時系列順にボールペンで記載しており,日々の出来事を備忘として記 録する習慣があったことがうかがわれる。しかし,被告17があらゆる出来事を手帳に記録しているわけではなく,特に,自身に不利な出来事については,たとえ第三者に見せる予定がない手帳であっても,記録しないということもあり得るものと考えられる。 そうすると,被告17の手帳に本件各社債の実態について聞いた旨の記 載がないからといって,前記(1)の認定判断は左右されないものというべきである。 エ被告17は,τが被告17に本件各社債の実態を伝えれば,被告17から客観的な資料に基づく説明を求められ,オプティ社を立て直すことができなくなることが明らかであったから,τには,被告17に本件各社債の 実態を明かす動機が 件各社債の実態を伝えれば,被告17から客観的な資料に基づく説明を求められ,オプティ社を立て直すことができなくなることが明らかであったから,τには,被告17に本件各社債の 実態を明かす動機がなかった旨主張する。 しかしながら,τは,アーツ証券の関係者のうち,被告17よりも上席者であるεや営業担当のψに対しても本件各社債の実態を打ち明けているから(前記認定事実(4),(9)イ),被告17に対してのみ,オプティ社の立て直しの支障となるとして,本件各社債の実態を隠しておく必要はなか ったものである。また,被告17は,τ及びυに対して「正論」を述べていたものではあるが,上記両名は,被告17を「巻き込」み,「参画」させようとしていたものであって(同(8)ア),被告17に本件各社債の実態を伝えれば,被告17から客観的な資料に基づく説明を求められ,オプティ社を立て直すことができなくなるなどとは考えていなかったことがうか がわれる。 - 91 -そうすると,被告17の上記主張は採用することができない。 3 争点(5)(被告18らが,Δ等の違法な職務執行を認識し,又は認識することができたか)について(1) アーツ証券の代表取締役であったΔは,平成25年8月には,本件発行会社3社の資産が診療報酬債権の買取り以外で運用されており,本件3社債の 債券発行額が200億円以上であるのに対し,診療報酬債権の買取額が約30億円しかないことなどを認識していた(前記認定事実(9)ア)。Δは,本件3社債の償還原資となる診療報酬債権及び現預金が著しく不足していることを認識しながら,このことを販売証券会社に明かさずに,販売証券会社による本件3社債の私募の取扱いを継続させたものであり,これはアーツ証券 の代表取締役としての違法な職務執 しく不足していることを認識しながら,このことを販売証券会社に明かさずに,販売証券会社による本件3社債の私募の取扱いを継続させたものであり,これはアーツ証券 の代表取締役としての違法な職務執行に当たるものというべきである。 本件全証拠によっても,被告18らがΔ等の上記のような違法な職務執行を認識していた事実を認めるに足りない。 (2)ア原告らは,「被告18らは,本件3社債がアーツ証券の主力商品であることから,そのスキームやオプティ社の営業体制に当然関心を持つべきであ るところ,投資家向けの資料を読んだり被告17に質問をしたりすれば,本件3社債の仕組みや経費率,オプティ社の営業体制を認識することができ,そうすれば,OPM社及びMTL社が経費をまかなうに見合うだけの診療報酬債権を買い取ることは極めて困難であることを容易に認識することができた。」旨主張する。 しかしながら,本件3社債がアーツ証券の主力商品であるからといって,社外取締役である被告18や監査役である被告19及び被告20が,当然に逐一当該商品の資料を読んだり,まして本件3社債の経費率やオプティ社の営業体制等について確認したりするものとは認められないし,そうすべきであるともいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 - 92 -イ原告らは,「被告18らは,被告17からアーツ証券がOPM社に2億円を融資する旨の提案を承認するように求められた際,被告17を通じてOPM社やオプティ社に対して税務申告書添付の決算報告書等を徴求することが可能であり,OPM社の決算報告書を入手すれば,勘定科目内訳書に「QCL口」として75億円が計上されていたこと,ひいては,OPM社 において資産として計上されている診療報酬債権の大半が架 ことが可能であり,OPM社の決算報告書を入手すれば,勘定科目内訳書に「QCL口」として75億円が計上されていたこと,ひいては,OPM社 において資産として計上されている診療報酬債権の大半が架空であることを認識することができた。」旨主張する。 そこで検討すると,確かに,アーツ証券にとって2億円の融資は重要な取引であるといえる。そうであるからこそ,被告18らは,それぞれ,返済の見込みや,OPM社に対して2億円の短期融資をすることがOPM債 の財務基盤の改善に役立つ理由等について追加の説明を求め,被告17から,OPM社の財務状況については毎期の決算書等で確認していること,OPM社が診療報酬債権の買取りを停止し,買取診療報酬債権について社保国保から返金を受ければ返済原資を確保できること,短期的な資金需要に対しては短期的・低利の資金で対応するのがベストであることなどの説 明を受けたのである(前記認定事実(13)オ)。この説明には一応の合理性があるから,被告18らにおいて,これを信頼し,本件3社債の償還原資となる診療報酬債権及び現預金が著しく不足しているのではないかとの疑念を抱かず,被告17を通じてOPM社やオプティ社に対して税務申告書添付の決算報告書等を徴求することなどをしなかったとしても不合理で はない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 ウ原告らは,「被告18らは,平成26年5月頃,関東財務局がアーツ証券の臨店検査を行い,本件発行会社3社の債務超過について投資家に説明すべきではないかなどと指摘したことを認識したものであるから,OPM社 及びMTL社の財務状況について疑問を持ち,OPM社及びMTL社の決 - 93 -算報告書及び運用実績報告書を入手し,その内容を分析すべきであっ たことを認識したものであるから,OPM社 及びMTL社の財務状況について疑問を持ち,OPM社及びMTL社の決 - 93 -算報告書及び運用実績報告書を入手し,その内容を分析すべきであった。」旨主張する。 しかしながら,原告らの主張の根拠となっている平成26年5月23日の取締役会においては,臨店検査の際,主任検査官は,債務超過という事実は,投資家保護の観点からは商品の取得勧誘時に説明すべきではないか との見解を述べたものの,診療報酬流動化債券のSPCの債務超過については,既に改善策を策定し財務基盤の健全化に向けた対応,当該商品を取り扱う販売証券会社に対する説明が実施済みであったためにその後は議論にならなかった旨が報告されたものである(前記認定事実(13)ウ)。そうすると,被告18らにおいて,それ以上OPM社及びMTL社の財務状況 について疑問を抱かなかったとしても不合理ではない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 エ原告らは,そのほかにも「違法な業務執行行為に疑いを抱かせる事情」をるる主張するが,被告17が,取締役会において,本件報告命令への対応等について適宜一応の合理性のある説明等をしていることから,被告1 8らにおいて,本件3社債の償還原資となる診療報酬債権及び現預金が著しく不足しているのではないかとの疑念を抱かなかったとしても不合理ではない。 オ以上によれば,被告18らが,Δ等の違法な職務執行を認識することができたという事実を認めるに足りない。 4 小括(1) 被告17の責任被告17は,被告アーツ証券の管理部門統括業務を担当する取締役(前記認定事実(1)ア)として,善管注意義務及び忠実義務を負っていたものである。 そうであるところ,前記2で説示したとお 告17の責任被告17は,被告アーツ証券の管理部門統括業務を担当する取締役(前記認定事実(1)ア)として,善管注意義務及び忠実義務を負っていたものである。 そうであるところ,前記2で説示したとおり,被告17は,平成25年5 月から6月にかけて,本件各社債の償還原資となる診療報酬債権及び現預金 - 94 -が著しく不足していることを認識したものであるから,取締役会に報告するなどしてΔ等による違法な業務執行(本件各社債の販売支援の継続)を阻止すべき義務を負っていたものというべきである。 しかるに,被告17は,上記義務を怠り,本件各社債の販売支援を継続したものであり,その職務を行うについて重大な過失があったものというべき であるから,原告らに対し,会社法429条1項に基づき,損害賠償責任を負う。 (2) 被告18らの責任前記3で説示したとおり,被告18らは,Δ等の違法な職務執行を認識しておらず,また認識することができなかったものであるから,会社法429 条1項に基づく損害賠償責任を負わない。 第5 被告田原証券ほかの責任(争点(1))についての当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 (1)ア被告田原証券の代表取締役である被告2は,平成20年1月頃,知人から当時アーツ証券の代表取締役であったεを紹介され,同人から本件各社債の説明を受けた。 被告2は,平成20年2月,アーツ証券の本社を訪問し,εとβから,OPM債の提案書(以下「本件OPM債提案書」という。乙A12)の交 付を受け,OPM債の内容等について,詳細な説明を受けた。本件OPM債提案書には,OPM債の内容等について,要旨次の内容を含む記載がある。 (ア) O M債提案書」という。乙A12)の交 付を受け,OPM債の内容等について,詳細な説明を受けた。本件OPM債提案書には,OPM債の内容等について,要旨次の内容を含む記載がある。 (ア) OPM債の概要発行会社 OPM社 発行形態ユーロ円ミディアムタームノート私募発行 - 95 -裏付資産発行会社東京支店の保有する真正譲渡された診療報酬債権期間発行日より1年間(償還日期限一括返済)利率固定金利年3.8%(税引き前)利息支払方法 3箇月ごと 価格発行価格100円,償還価格100円(販社仕入価格97円)(判決注:発行価格と販社仕入価格の差額3円(3%)が被告田原証券が取得する手数料である。)発行回数月1,2回 (イ) 考えられるリスク回避策① 病院の倒産リスク診療報酬債権は医療機関からの完全な買取りである。 ② 支払機関の倒産リスク支払機関(社会保険診療報酬支払基金,各都道府県国民健康保険 団体連合会)が法的に支払義務を負っており,現行の医療保険制度に対して政府のコミットメントは大きいものがある。 ③ 証券会社の倒産リスク債券は分別保管により信託銀行に保管されているので,証券会社の倒産により法律上債務者及び第三者に対して対抗要件を具備して いる。 ④ 組成主体会社(オリジネーター等)の倒産リスク組成主体会社(オリジネーター等)の倒産隔離のために債権買取会社(SPC)を組成する。 ⑤ 返戻・減点リスク 買取審査:買取対象となる債権は過年度の1月当たりの平均返戻 - 96 -率が5%以下,かつ各月の最大返戻率が15%以下の医療機関のもののみである。 買取代金支払方法:二次払い方 買取審査:買取対象となる債権は過年度の1月当たりの平均返戻 - 96 -率が5%以下,かつ各月の最大返戻率が15%以下の医療機関のもののみである。 買取代金支払方法:二次払い方式により返戻・減点リスクを回避する。 ⑥ 流動性リスク 原則として償還日まで流動性がない。 (乙A84,被告2)イ被告田原証券は,アーツ証券等から,OPM債の平成20年3月の運用実績報告(平成20年4月18日付け)の交付を受けた。この報告書には,発行残高が64億9500万円であること,買取債権残高が41億508 6万円であること,月次平均買取手数料率が3.87%であること,支払手数料(業務委託費を含む。)が5474万9000円であること,現預金残高が13億9806万2000円であること等が記載されていた。 (乙A14)ウ被告田原証券は,平成20年4月22日,アーツ証券の執行役員ωを招 いて,OPM債の内容や販売の際の説明内容等についての説明会を実施した。この説明会には,被告2,被告4及び被告5のほか,経理課長及び被告田原証券の営業担当従業員全員が出席した。(乙A84,被告2)この説明会の際に用いられた「診療報酬債権営業販売に関する販社及び投資家の質問について」と題する資料(乙A13)には,診療報酬債権 の買取りに病院が応ずる理由・メリット,他社が勧誘しない理由(金融知識だけでなく病院を審査し続ける能力が必要であること等),商品の将来性(現在取引のある医療機関は多数継続中,新規に買取りを希望する医療機関は増加している)等が記載されていた。また,上記資料には,「オプティファクターに関する情報開示が少ないのでは。」との質問に対し,未公開 企業であり開示には限界がある,会社概要,雑誌記事がある,帝国 加している)等が記載されていた。また,上記資料には,「オプティファクターに関する情報開示が少ないのでは。」との質問に対し,未公開 企業であり開示には限界がある,会社概要,雑誌記事がある,帝国データ - 97 -バンクに資料があるなどの回答が,「オプティファクターが倒産した場合はどうなるのか。」との質問に対し,債権買取会社(SPC)を組成している,かつ,バックアップサービスが機能するとの回答が,「元本が割れるリスクはどのような時にあるのか。」との質問に対し,医療機関からの完全な買取りであるため,買い取った債権は真正譲渡債権(2~3年間の買取契 約)である,社会保険制度が破綻した場合であるとの回答が,それぞれ記載されていた。 エ被告田原証券は,平成20年4月28日開催の取締役会において,OPM債の私募の取扱いをすることを決議した。この取締役会には,被告田原証券の取締役のうち,被告2,Γ,被告4及び被告5のみが出席した。(乙 A82の2,乙A84,被告2)オ被告田原証券は,平成20年5月27日発行のシリーズ74から,OPM債の私募の取扱いを開始した(甲A52の1)。 カオプティ社が,OPM債の発行上限額を定め,それ以上の新規発行はしないこととしたため(甲A118),被告田原証券は,MTL債について, 平成23年2月28日に前記ウと同様の説明会を実施し(乙A15号証はその際の資料である。),同年3月1日開催の取締役会において,MTL債の私募の取扱いをすることを決議した(乙A84)。そして,被告田原証券は,平成23年4月5日発行のシリーズ5から,MTL債の私募の取扱いを開始した(甲A52の3)。 (2) 被告田原証券の営業担当者は,本件各社債の取得を勧誘する際,顧客に対し,提案書(アーツ証券 23年4月5日発行のシリーズ5から,MTL債の私募の取扱いを開始した(甲A52の3)。 (2) 被告田原証券の営業担当者は,本件各社債の取得を勧誘する際,顧客に対し,提案書(アーツ証券からひな形の提供を受けていた。甲A25,乙A27の1から4まで,乙A28の1から6まで)を交付してこれに沿った商品内容の説明をした。この提案書には,本件各社債の概要について,本件OPM債提案書とおおむね同旨の内容(裏付資産がOPM社東京支店又はMTL 社東京支店の保有する真正譲渡された診療報酬債権であることなど)が記載 - 98 -され,本件各社債の魅力として,安全性の高い商品であること,具体的には,デフォルトリスクを低減していること,全て円貨なので為替変動要因に左右されないこと,保険医療機関の審査及び監査が徹底されていることが記載されていた。また,この提案書には,金商法37条の3の規定に基づく契約締結前交付書面として,発行体の倒産リスク,支払基金等の倒産リスク,組成 関係業者の倒産リスク,保険医療機関の倒産リスク,返戻・減点リスク,流動性リスク,法的リスク(本件各社債の発行に係る法令等に改正があった場合,元利金の支払遅延・不能等が生ずる可能性があること)が記載されていた。このうち,発行体の倒産リスクについては,「発行体の信用状況の悪化等により利金・償還金の支払遅延・不能等が生じ,元利金の一部,または全て が失われる可能性があります。」と記載されていた。 被告田原証券の営業担当者は,顧客から,当該顧客が,私募債権の買付けに当たり,提案書の交付を受け,当該債券の概要,性格,リスク等及び金商法による開示は行われていないこと等について十分説明を受け,その内容を理解し,自己の判断と責任において取引を行う旨の確認書(乙A69の1 り,提案書の交付を受け,当該債券の概要,性格,リスク等及び金商法による開示は行われていないこと等について十分説明を受け,その内容を理解し,自己の判断と責任において取引を行う旨の確認書(乙A69の1か ら174まで)の提出を受けて,本件各社債を販売した。 (乙A86,被告5)(3) 被告田原証券は,毎月,OPM社及びMTL社から,本件各社債の運用実績報告書(甲A203,204,乙A17,18。いずれも枝番を含む。)を受領していた。この書面には,発行残高,買取債権残高,月次平均買取手数 料率,支払手数料(業務委託費を含む。)の額,現預金残高等が記載されていた。被告田原証券の取締役内部管理統括責任者であった被告4は,被告2の指示を受けて,上記運用実績報告書について,償還と利払いに問題が出ていないかを確認していた(甲A118,乙A84,85,被告2,被告4)。 また,被告田原証券は,毎年,OPM社及びMTL社から,決算報告書(貸 借対照表,損益計算書及び販売費・一般管理費。乙A20,21(いずれも - 99 -枝番を含む。))を受領していたが,貸借対照表上の診療報酬債権や損益計算書上の売上高の内訳は明らかでなかった。そもそも,この決算報告書は,前記第3の認定事実(2)のとおり架空計上された診療報酬債権を含む上,有価証券についても診療報酬債権に振り替えたものとなっていた。 (4) 被告田原証券は,平成22年6月の東海財務局による定期検査において, 特に指摘する問題はないとされたものの(乙A34),OPM社の買取診療報酬債権に将来債権が含まれているか否かについて,オプティ社から十分な情報開示を受けず,顧客に対する説明も不十分であったなどの不備を指摘された。そこで,被告4は,被告2の指示を受けて,OPM社につい 酬債権に将来債権が含まれているか否かについて,オプティ社から十分な情報開示を受けず,顧客に対する説明も不十分であったなどの不備を指摘された。そこで,被告4は,被告2の指示を受けて,OPM社について,平成20年5月にまでさかのぼって,買取債権残高及び現預金の合計から社債発行 残高を差し引いた残高を計算して,後者が前者を上回る状態(債務超過)になっていないかを毎月確認することとし,MTL社についても,毎月同様の確認をした(以下,この確認のために作成された一覧表を「確認表」という。 乙A19)。 また,被告田原証券は,アーツ証券に対し,OPM社による診療報酬債権 の買取りに関する資料の開示を依頼した。これに対して,アーツ証券の被告17は,平成22年6月15日,OPM社が診療報酬債権を買い取る場合に用いられる覚書及び売買契約書の各ひな形,OPM社の同年5月の預金口座への入金明細の一部並びに三つの保険医療機関についての覚書,売買契約書及び債権譲渡通知書(乙A41から46まで,67)を開示した。 (甲A118,乙A19,84,85,被告2,被告4)。 (5)ア MTL債については,確認表上ほとんどの月で債務超過になっており,平成25年5月には,社債発行残高が買取債権残高及び現預金の合計を超過する額(債務超過額)が,社債発行残高の10%を上回った。被告4が同年夏の時点でこのことに気付いたことから,被告2が,アーツ証券に問 い合わせたところ,ωから,新規参入や競合他社との競争激化により,裏 - 100 -付けとなる診療報酬債権の買取りが難しくなってきていることが原因である旨の説明を受けた。(乙A84,被告2)イ ω及びオプティ社の取締役であったτ等は,平成25年9月20日,被告田原証券を訪問し,改めて,本件各 酬債権の買取りが難しくなってきていることが原因である旨の説明を受けた。(乙A84,被告2)イ ω及びオプティ社の取締役であったτ等は,平成25年9月20日,被告田原証券を訪問し,改めて,本件各社債について他社との競争激化により収益性が厳しくなってきている旨を説明し,その改善のために将来債権 の買取期間を従前の2.5箇月から4.5箇月に伸長したい旨を申し出た。 被告2は,反対はしないが他社の対応を見た上で最終的な結論を出したい,状況の改善のためにできる限りの協力はする旨を伝えたが,結果的に買取期間の伸長はされなかった。(乙A84)ウアーツ証券のΔ及びω並びにオプティ社のγ,ρ及びτは,平成26年 1月23日,被告田原証券を訪問し,本件各社債の利率を3.8%に,販売手数料を3%から2%に,それぞれ引き下げる提案をした。被告田原証券は,本件各社債が顧客に非常に人気の高い商品であり,目先の収入が減ったとしても競争力を維持して結果的に長く販売できた方が長期的には良い,上記の利率及び販売手数料の引下げにより債務超過は解消可能である などとして,これを応諾した。(甲A51の4,乙A84)平成26年1月23日当時,被告田原証券が私募の取扱いをした本件各社債の発行残高は,合計45億6700万円であった(甲A52の1,3,弁論の全趣旨)。 (6) オプティ社は,平成27年10月30日,被告田原証券を含む販売証券会 社に対し,本件各社債の新規発行を直ちに停止すること,発行済みの本件各社債の償還・利払いが約定どおりにできなくなる可能性があることをファクシミリ文書で通知した(甲A236・6頁,乙A84)。 (7) MRL社及びMIF社は平成27年11月6日に,オプティ社,OPM社,MTL社,QCL社,SAL社及びGC社は 能性があることをファクシミリ文書で通知した(甲A236・6頁,乙A84)。 (7) MRL社及びMIF社は平成27年11月6日に,オプティ社,OPM社,MTL社,QCL社,SAL社及びGC社はいずれも同月13日に,破産手 続開始決定を受けた。 - 101 - 2 争点(1)ア(被告田原証券が,平成20年から平成27年までの間において,アーツ証券等から追加資料の提供を受けるなどして,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかを調査すべき義務を負っていたといえるか(調査義務の有無),調査義務違反と損害との間の因果関係)について(1) 金商法のいわゆる開示規制と本件各社債 ア金商法は,企業内容等の開示の制度を整備すること等により,有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にするなどして,国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする(1条)。そして,一般投資者が有価証券の投資判断に必要で正確な情報を発行者その他の者から入手することは容易でないことから,金商法は,一般投資者が有価証券につ いて合理的な投資判断をすることができるように,有価証券の発行者その他の者に対し,有価証券に関する投資判断に必要な重要情報の開示を要求する,いわゆる開示規制を定める。具体的には,例えば,有価証券の募集(新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘(これに類するものとして内閣府令で定めるものを含む。以下「取得勧誘」という。)のうち,社 債券(金商法2条1項5号)にあっては,50名以上の者を相手方として有価証券の取得勧誘を行う場合(同条3項1号,金融商品取引法施行令1条の5)等)をする場合,当該有価証券の発行者は,当該有価証券の募集に関する事項,並びに当該有価証券の発行者に関する情報(経 として有価証券の取得勧誘を行う場合(同条3項1号,金融商品取引法施行令1条の5)等)をする場合,当該有価証券の発行者は,当該有価証券の募集に関する事項,並びに当該有価証券の発行者に関する情報(経理の状況等)を記載した有価証券届出書の提出義務を負う(金商法5条1項等)。また, 有価証券の募集の際に有価証券届出書を提出した有価証券の発行者である会社は,当該有価証券が多数の投資家によって取得されることから,投資判断のための情報として,その発行者に関する最新の情報を定期的に開示するため,基本的に有価証券届出書における発行者に関する情報と同様の内容を記載した有価証券報告書の提出義務を負う(金商法24条1項等)。 これに対して,50名未満の者を相手方として社債券の取得勧誘を行う - 102 -場合であり,かつ,当該社債券の発行される日以前6月以内に,当該社債券と同一種類の有価証券として内閣府令で定める他の有価証券が発行されており,当該社債券の取得勧誘を行う相手方の人数と当該6月以内に発行された上記他の有価証券の取得勧誘を行った相手方の人数の合計が50名以上となることがない場合(金商法2条3項2号ハ,金融商品取引法 施行令1条の6。少人数私募)は,「有価証券の私募」であって「有価証券の募集」に該当しないから,当該有価証券の発行者は,有価証券届出書や有価証券報告書の提出等の義務を負わない(いわゆる開示規制の適用を受けない。)。これは,当該有価証券の発行規模が小さく,また,この場合の取得勧誘の相手方は,投資判断に必要な情報をその有価証券の発行者から 直接入手することが容易であると考えられることから,このような場合については,投資判断に必要と考えられる情報を広く市場に開示することを法令によって義務付ける必要性は低いもの 証券の発行者から 直接入手することが容易であると考えられることから,このような場合については,投資判断に必要と考えられる情報を広く市場に開示することを法令によって義務付ける必要性は低いものと考えられるためであると解される。 そして,金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令10条 の2第1項(平成26年1月1日当時は平成26年内閣府令第7号による改正前のもの。以下同じ。)3号(1号イ,ロ)は,上記の同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものは,当該有価証券と発行者が同一で,本件各社債のような社債券については,償還期限及び利率並びに金額を表示する通貨が同一である有価証券とする旨規定する。 イ本件各社債は,いずれも,発行体ごと,販売証券会社ごとにシリーズ番号を付して,一つのシリーズ当たりの取得者が50名未満となるように発行されたものであり(前記前提事実(4)イ),取得勧誘の相手方が50名以上となるような取得勧誘がされたことを認めるに足りる証拠はない。そして,本件各社債の償還期間は,いずれも1年間とされたから(同),シリー ズが異なり発行日が異なると償還期限も異なるものになる。そうすると, - 103 -本件各社債のうちシリーズが異なるものは,金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令10条の2第1項にいう同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものに当たらないものというべきである。 したがって,本件各社債の取得勧誘は「有価証券の私募」(金商法2条3項2号ハ)に該当する。 他方で,証拠(甲A52の1,3)及び弁論の全趣旨によれば,OPM債は,10年以上にわたり607ものシリーズに分けて,MTL債も,4年半以上にわたり253ものシリーズに分けて,いずれも不特定多数の者に取得勧 拠(甲A52の1,3)及び弁論の全趣旨によれば,OPM債は,10年以上にわたり607ものシリーズに分けて,MTL債も,4年半以上にわたり253ものシリーズに分けて,いずれも不特定多数の者に取得勧誘がされたものである。そうすると,本件各社債については,その発行規模が大きく,また,取得勧誘の相手方が投資判断に必要な情報を その有価証券の発行者(OPM社やMTL社)から直接入手することが容易でないといえるから,少人数私募に係る有価証券の発行者がいわゆる開示規制の適用を受けない趣旨が実質的に妥当しないのであり,投資判断に必要な情報を本件各社債の取得者に開示すべき必要性が高いものというべきである。 (2) 被告田原証券が調査義務を負っていたといえるか被告田原証券は,本件各社債の私募の取扱いを開始した当初から,OPM社及びMTL社の運用実績報告書の交付を受け,これを確認していたものであり(前記認定事実(3)),平成22年6月頃からは,買取債権残高及び現預金の合計から社債発行残高を差し引いた残高を計算して,後者が前者を上回 る状態(債務超過)になっていないかを毎月確認し(同(4)),平成25年夏には,同年5月時点で社債発行残高が買取債権残高及び現預金の合計を超過する額(債務超過額)が,社債発行残高の10%を上回ったことを認識したものである(同(5)ア)。そして,その後,アーツ証券及びオプティ社は,新規参入や競合他社との競争激化により,裏付けとなる診療報酬債権の買取り が難しくなってきているなどとして,将来債権の買取期間の伸長を申し出た - 104 -上,平成26年1月23日に至って,本件各社債の利率を3.8%に,販売手数料を3%から2%に,それぞれ引き下げる提案をした(同(5))というのである。 本件各社 長を申し出た - 104 -上,平成26年1月23日に至って,本件各社債の利率を3.8%に,販売手数料を3%から2%に,それぞれ引き下げる提案をした(同(5))というのである。 本件各社債は,発行者の事業活動によるキャッシュフロー等が償還原資となる事業会社の社債ではなく,診療報酬債権を裏付資産とする,いわゆる流 動化債券であるから,その償還や利払いが確実にされるために裏付資産の実在性が極めて重要である。そうであるところ,診療報酬債権の購入と回収との間に一定の期間が空くことが想定されることを考慮しても,債務超過額が社債発行残高の10%を上回るということは,本件各社債の裏付資産としての診療報酬債権が不足していることをうかがわせる上,買取期間の伸長,更 には本件各社債の利率や販売手数料の引下げが提案されるにまで至ったということは,診療報酬債権の不足が一過性のものではないことをうかがわせるといえる。 他方,被告田原証券は,本件各社債を安全性の高い商品であると認識し,顧客に対してそのように説明して取得勧誘をしてきたものであり(被告2), その結果,平成26年1月23日当時,被告田原証券が私募の取扱いをした本件各社債の発行残高は,合計45億6700万円と多額であり(前記認定事実(5)ウ),今後,これらの発行済みの社債の取得者が,償還額を払込金額に充てて新たに本件各社債を取得するかが問題となることが予想されたものである。 そうすると,被告田原証券は,平成26年1月23日当時,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかについて注意を払うべき立場にあったものであり,遅くとも同日の時点で,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかについて疑念を抱いてしかるべきであったといえる のであるといえるかについて注意を払うべき立場にあったものであり,遅くとも同日の時点で,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかについて疑念を抱いてしかるべきであったといえる。 そして,前記(1)イのとおり,本件各社債については,少人数私募に係る有 - 105 -価証券の発行者がいわゆる開示規制の適用を受けない趣旨が実質的に妥当せず,投資判断に必要な情報を本件各社債の取得者に開示すべき必要性が高いにもかかわらず,本件各社債の発行者(OPM社及びMTL社)は,開示規制の適用を受けない。そうすると,その取得勧誘をする金融商品取引業者は,金商法の開示規制の趣旨に照らして,投資判断に必要な情報が本件各社債の 取得者に開示されないことにより取得者が不測の損害を被ることのないように適切な措置を講ずることが期待されているものというべきである。 以上によれば,被告田原証券は,遅くとも平成26年1月23日の時点において,アーツ証券等から追加資料の提供を受けるなどして,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかを調査すべき義務を 信義則上負っていたものと解するのが相当である。 しかるに,被告田原証券は,上記の調査をすることなく,かえって,平成26年1月23日のアーツ証券及びオプティ社との面談において上記両社の提案を応諾し,本件各社債の私募の取扱いを継続したものである。 (3) 調査義務違反と原告らの損害との間の因果関係 ア被告田原証券は,前記(2)のとおり,アーツ証券等から追加資料の提供を受けるなどして,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかを調査すべきものであるから,当然,アーツ証券等から追加資料の提供を受け,合理的な説明がされるまでの間,本件各社 提供を受けるなどして,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかを調査すべきものであるから,当然,アーツ証券等から追加資料の提供を受け,合理的な説明がされるまでの間,本件各社債の私募の取扱いを中止すべきであるといえる。 そうすると,被告田原証券が調査義務を履行していれば,平成26年1月23日以降本件各社債の私募の取扱いがされなかったであろうといえるところ,原告らは,いずれも同日より後に本件各社債を取得したものであるから,被告田原証券の調査義務違反と原告らの損害との間の因果関係は認められる。 イこれに対して,被告田原証券ほかは,どのような調査をしても,本件の - 106 -実態を認識し得る可能性はなかったものというべきであるとして,調査義務違反と原告らの損害との間の因果関係はない旨主張する。 しかしながら,前記アで説示したとおり,被告田原証券は,調査義務を負う以上,アーツ証券等から合理的な説明がされるまでは本件各社債の私募の取扱いを中止すべきものであり,OPM社及びMTL社の資産が大き く毀損していることを直ちに認識できなかったからといって調査義務違反と原告らの損害(本件各社債の発行の継続)との間の因果関係が否定されるものではない(なお,被告田原証券ほかは,販売ノルマは一切なく,無理な営業はしないこととしていた,本件各社債は1年ごとの償還期限の度に自動で償還される仕組みであるから,原告らに再取得の意思がなけれ ば何もしないだけでよかった旨主張するところであるから(被告田原証券ほかの令和3年12月20日付け準備書面24頁),本件各社債の私募の取扱いをどうしても中止することができない理由があったとはいい難い。)。 したがって,被告田原証券ほかの上記主張は採用することができない。 和3年12月20日付け準備書面24頁),本件各社債の私募の取扱いをどうしても中止することができない理由があったとはいい難い。)。 したがって,被告田原証券ほかの上記主張は採用することができない。 3 争点(1)イ(被告田原証券についてのその他の違法事由の有無)について(1) 虚偽表示・誤導表示についてア原告らは,被告田原証券が,本件各社債の取得勧誘に当たり,原告らに対し,本件各社債は診療報酬債権を裏付資産として発行される安全性の高い商品である旨を説明したことが,金商法38条8号にいう「虚偽の表示」 に当たる旨主張する。 しかしながら,前記前提事実(1)ア(イ)のとおり,OPM社及びMTL社は,専ら社債を発行して診療報酬債権を流動化するために設立された会社であり,本件各社債が診療報酬債権を裏付資産として発行されるものであることは虚偽ではない。また,安全性の高い商品であるというのも,裏付 資産が株式等に比べてリスクの大きくないものであるという意味におい - 107 -て虚偽ではない。 また,原告らは,被告田原証券が,一部の原告らに対し,本件各社債について,元本割れをしない旨や裏付資産の実在性について調査した旨を説明した旨主張し,一部の原告らの陳述書(甲B137の2,甲B146の2等)にはこれに沿う記載があるが,いずれも客観的な裏付けを欠き,直 ちに採用することができない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 イ原告らは,被告田原証券が,本件各社債の取得勧誘に当たり,原告らに対し,裏付資産の実在性を客観性の高い資料により確認していないことを説明していないことが,金商法38条8号にいう「重要な事項につき誤解 を生ぜしめるべき表示」に該当する旨主張する。 しかしながら ,裏付資産の実在性を客観性の高い資料により確認していないことを説明していないことが,金商法38条8号にいう「重要な事項につき誤解 を生ぜしめるべき表示」に該当する旨主張する。 しかしながら,社債券の私募の取扱いをする金融商品取引業者が裏付資産の実在性を確認したか否かを説明すべき義務を負うものとは解されないから,この点を説明しなかったことが金商法38条8号にいう「重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示」に該当するとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (2) 断定的判断の提供・確実性誤認告知について原告らは,被告田原証券が,本件各社債の取得勧誘に当たり,本件各社債は診療報酬債権を裏付資産として発行される安全性の高い債券であるなどと説明し,断定的判断を提供し,確実であると誤認させるおそれのあることを 告げた旨主張する。 しかしながら,上記の程度を説明したからといって,直ちに金商法38条2号にいう「不確実な事項について断定的判断を提供し,又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げ」たとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (3) 説明義務違反について - 108 -ア原告らは,本件各社債について,「裏付資産の実在性につき,客観性の高い資料により確認されたものか否か」が,金販法3条1項3号ハにいう「元本欠損が生ずるおそれを生じさせる当該金融商品の販売に係る取引の仕組みのうちの重要な部分」に該当する旨主張する。 しかしながら,本件各社債について「裏付資産の実在性につき,客観性 の高い資料により確認されたものか否か」は,「取引の仕組み」の問題ではないから,原告らの上記主張は採用することができない。 イ原告らは,被告田 各社債について「裏付資産の実在性につき,客観性 の高い資料により確認されたものか否か」は,「取引の仕組み」の問題ではないから,原告らの上記主張は採用することができない。 イ原告らは,被告田原証券は,本件各社債の取得勧誘に当たり,①①裏付資産の実在性につき,客観性の高い資料により確認されたものか否か,②発行体の債務超過,③決算報告書に関する不合理性(連続性の欠如,訂正 の事実,運用実績報告書等との矛盾の存在),④投資の対象を説明すべき義務を信義則上負う旨主張する。 しかしながら,本件全証拠によっても,原告らの上記主張を根拠付ける具体的事実を認めるに足りない。 (4) 適合性原則違反について 原告らは,本件各社債は,診療報酬債権を裏付資産とする安全性の高い商品として販売されていたところ,裏付資産の実在性が客観性の高い資料により確認されていないとすれば,本件各社債は,どのような投資経験を有していても,およそ適合しない旨主張する。 しかしながら,裏付資産の実在性が客観性の高い資料により確認されてい るか否かというのは,本件各社債の商品内容そのものの問題ではなく,その運用の問題であって,適合性の原則の問題ではないものと解される。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (5) 金商法16条違反について前記2(1)イで説示したとおり,本件各社債の取得勧誘は「有価証券の私募」 (金商法2条3項2号ハ)に該当するから,金商法16条に違反しない。 - 109 - 4 争点(1)ウ(被告2及び被告田原証券役員らの責任)について(1) 被告2及び被告田原証券役員らに共通する責任原因原告らは,被告2及び被告田原証券役員らは,新商品の導入に係る手続や調査のための部署・人員の設置について 告田原証券役員らの責任)について(1) 被告2及び被告田原証券役員らに共通する責任原因原告らは,被告2及び被告田原証券役員らは,新商品の導入に係る手続や調査のための部署・人員の設置について指揮又は監視すべき義務を負っており,経営管理体制等を整備し,それが適切なものであるかを監視し是正すべ き義務を負っていた旨主張する。 しかしながら,原告らは,被告2及び被告田原証券役員らが整備すべきであったという経営管理体制等の内容を具体的に主張立証しない。 したがって,原告らの上記主張はそれ自体失当である。 (2) 被告2の責任原因 被告2は,被告田原証券の代表取締役として,善管注意義務(会社法330条,民法644条)及び忠実義務(会社法355条)を負っていたものである。 そうであるところ,被告2は,前記2(2)で説示したとおり(同所において被告田原証券が認識した旨説示した事実は,いずれも被告2が認識した事実 である。),平成25年夏には,同年5月時点で社債発行残高が買取債権残高及び現預金の合計を超過する額(債務超過額)が,社債発行残高の10%を上回ったことを認識し,その後,アーツ証券及びオプティ社から将来債権の買取期間の伸長の申出を受け,さらに,平成26年1月23日に至って,本件各社債の利率を3.8%に,販売手数料を3%から2%に,それぞれ引き 下げる提案を受けたのであり,遅くとも同日の時点で,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかについて疑念を抱いてしかるべきであったといえる。そして,被告田原証券は,アーツ証券等から追加資料の提供を受けるなどして,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかを調査すべき義務を信義則上負っていたものである。 しかるに,被告 田原証券は,アーツ証券等から追加資料の提供を受けるなどして,本件各社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかを調査すべき義務を信義則上負っていたものである。 しかるに,被告2は,他の取締役や従業員に指示して上記の調査をさせる - 110 -ことなく,かえって,平成26年1月23日のアーツ証券及びオプティ社との面談において上記両社の提案を応諾し,本件各社債の私募の取扱いを継続したものである。 そうすると,被告2は,その職務を行うについて重大な過失があったものというべきであるから,原告らに対し,会社法429条1項に基づき,損害 賠償責任を負う。 (3) 被告4,被告5及び被告6の責任原因原告らは,上記の被告らが,商品調査を適切に行い,適切な販売体制を構築するなどの職責を負っていたのにこれを怠った結果,被告田原証券において,多数の営業担当者が説明義務に違反して販売するようなずさんな販売体 制が出来上がり,かつ,それが継続した旨主張する。 しかしながら,前記3で説示したとおり,被告田原証券について説明義務違反等販売に関する違法事由があるものではないから,原告らの上記主張は前提を欠く。また,この点を措くとしても,上記の被告らが,その担当業務との関係において,被告2の違法行為を認識し,又は認識することができた ことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,上記の被告らが,原告らに対し,会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負うものとはいえない。 (4) その他の被告田原証券役員らの責任原因原告らは,その他の被告田原証券役員らは,取締役であるにもかかわらず, 代表取締役に対して取締役会の招集を請求したり,自ら取締役会を招集したりせず,「取締役会に出席する」という最も基本的かつ重要 告らは,その他の被告田原証券役員らは,取締役であるにもかかわらず, 代表取締役に対して取締役会の招集を請求したり,自ら取締役会を招集したりせず,「取締役会に出席する」という最も基本的かつ重要な任務を怠ったものであるから,その職務を行うについて重大な過失があったものである旨主張する。 しかしながら,上記の被告らにおいて被告2の違法行為を認識し,又は認 識することができたという具体的事情があればともかく,単に取締役会に出 - 111 -席しなかったということのみをもって,調査義務の不履行に関してその職務を怠ったものということはできない。そして,本件全証拠によっても,上記の具体的事情を認めるに足りない。 したがって,上記の被告らが,原告らに対し,会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負うものとはいえない。 第6 争点(6)(損害額)についての当裁判所の判断1(1) 被告田原証券等の不法行為により,原告らは本件各社債を取得したが,オプティ社及びその関連会社が破産し,本件各社債が償還されないことになり,平成27年11月当時保有していた本件各社債の保有残高相当額(別紙損害賠償額計算表1(1),2(1)の「本件各社債の最終残高」欄記載の額)の損害 を被った。この損害額等に照らすと,被告田原証券等の不法行為と相当因果関係を有する弁護士費用として,同別紙の「弁護士費用」欄記載の額を認めるのが相当である。 他方,原告らは,オプティ社等を破産者とする破産手続において,本訴請求債権に係る債務の弁済として,別紙損害てん補一覧表1(1),2(1)の「B 欄」から「I欄」まで記載の金額の支払を受けたから(前記前提事実(8)),これらの損害の塡補後の損害額は,別紙損害賠償額計算表1(1),2(1)の「損害賠償額」欄記載 (1),2(1)の「B 欄」から「I欄」まで記載の金額の支払を受けたから(前記前提事実(8)),これらの損害の塡補後の損害額は,別紙損害賠償額計算表1(1),2(1)の「損害賠償額」欄記載の額(別紙請求額目録1及び2の各Ⅰ欄記載の額)である。 (2) 前記第3の2(4)で説示したとおり,被告新宿会計ほかの不法行為等により,原告らは平成27年11月当時保有していたOPM債の保有残高相当額 の損害を被った。また,原告らのうち平成27年にMTL債を取得した者は,同月当時保有していたMTL債の保有残高相当額の損害を被った。これらの損害額(別紙被告新宿会計ほか認容額計算表の「OPM債と平成27年に取得したMTL債の最終残高の合計」欄記載の額)等に照らすと,被告新宿会計ほかの不法行為等と相当因果関係を有する弁護士費用として,同別紙の 「弁護士費用」欄記載の額を認めるのが相当である。 - 112 -前記(1)の損害の塡補後の損害額は,別紙被告新宿会計ほか認容額計算表の「損害賠償額」欄記載の額である。 (3) 前記第3の3(2)で説示したとおり,被告青山会計の不法行為により,原告らのうちMTL債を取得した者は,平成27年11月当時保有していたMTL債の保有残高相当額の損害(別紙損害賠償額計算表1(4),2(4)の「M TL債の最終残高」欄記載の額)を被った。この損害額等に照らすと,被告青山会計の不法行為と相当因果関係を有する弁護士費用として,同別紙の「弁護士費用」欄記載の額を認めるのが相当である。 他方,原告らは,オプティ社等を破産者とする破産手続において,本訴請求債権に係る債務の弁済として,別紙損害てん補一覧表1(1),2(1)の「B 欄」から「I欄」まで記載の金額の支払を受けており(前記前提事実(8)), 等を破産者とする破産手続において,本訴請求債権に係る債務の弁済として,別紙損害てん補一覧表1(1),2(1)の「B 欄」から「I欄」まで記載の金額の支払を受けており(前記前提事実(8)),これを別紙損害てん補一覧表1(4),2(4)のとおりMTL債に係る損害の塡補に充てると,その後の損害額は,別紙損害賠償額計算表1(4),2(4)の「損害賠償額」欄記載の額(別紙請求額目録1及び2の各Ⅳ欄記載の額)である。 2 被告田原証券ほかの主張について 被告田原証券ほかは,①原告らは,開示される情報が本件各社債の発行者の任意開示によるもののみであり,監査証明等第三者による真実性の証明がないものであることを明確に認識していたこと,②原告らの損害発生の原因が,あらゆる金融商品に存在し,かつ排除することができないリスクである「関係者による違法行為リスク」に起因するものであること,③被告田原証券は原告ら の損害発生について最も寄与の少ない者であることを考慮すれば,被告田原証券ほかに全面的な責任の負担を求めることは公平の観点からして妥当ではない旨主張する。 しかしながら,前記第5の2(3)で説示したとおり,被告田原証券が調査義務を履行していれば,そもそも平成26年以降本件各社債の私募の取扱いがされ なかったものであるから,被告田原証券の上記主張に係る事情が過失相殺を根 - 113 -拠付ける被害者の過失に当たるものとはいえない。 したがって,被告田原証券の上記主張は採用することができない。 3 被告新宿会計ほかの主張について(1) 寄与度減責について被告新宿会計ほかは,原告らの損害に対する被告新宿会計ほかの行為の寄 与は極めて限定的であるから,損害の公平な分担を目的とする損害賠償制度の趣旨に照らし,被告新宿 (1) 寄与度減責について被告新宿会計ほかは,原告らの損害に対する被告新宿会計ほかの行為の寄 与は極めて限定的であるから,損害の公平な分担を目的とする損害賠償制度の趣旨に照らし,被告新宿会計ほかの損害賠償責任はその寄与度に応じて免責されるか大幅に減額されるべきである旨主張する。 しかしながら,前記第3の2で説示したとおり,被告新宿会計ほかは,診療報酬債権の架空計上や多額の社債購入資金の支出等,オプティ社等の不法 行為の重要部分を幇助したものといえるから,被告新宿会計ほかの上記主張は採用することができない。 (2) 過失相殺について被告新宿会計ほかは,原告らは,本件各社債の取得に当たり,OPM社やMTL社の貸借対照表及び本件各社債の運用実績報告書を確認すべきであっ たのに,これをせずに漫然と本件各社債を取得したから,過失相殺が認められるべきである旨主張する。 しかしながら,顧客に対し,本件3社債が診療報酬債権を裏付資産とするものである旨虚偽の事実を告げて,顧客にその旨誤信させて本件3社債を取得させたというオプティ社の不法行為,並びにOPM社及びMTL社の預金 口座から診療報酬債権ではない社債購入資金の支払をしたり会計帳簿における診療報酬債権の架空計上を継続したりしたという被告新宿会計の幇助との関係において,被告新宿会計ほかの主張に係る事情が過失相殺を根拠付ける被害者の過失に当たるものとはいえない。 したがって,被告新宿会計ほかの上記主張は採用することができない。 第7 結論 - 114 -よって,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第7部 裁判長裁判官齋藤毅 よって,主文のとおり判決する。 主文 名古屋地方裁判所民事第7部 裁判長裁判官齋藤毅 裁判官三嶋朋典 裁判官白鳥葵は,差支えにつき署名押印することができない。
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