平成21(行コ)2 生活保護変更決定取消等(甲事件),同参加事件(乙事件)控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成26年3月26日 広島高等裁判所 その他
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判決文本文41,546 文字)

平成21年(行コ)第2号生活保護変更決定取消等(甲事件),同参加事件(乙事件)控訴事件 (原審・広島地方裁判所平成17年(行ウ)第27号,平成20年(行ウ)第10号) 主文 1 本件訴訟のうち控訴人A,同B,同C,同D及び同Eに関する部分は,控訴人Aが平成24年 ▲ 月 ▲ 日に,同Bが平成21年 ▲ 月 ▲ 日に,同Cが平成25年 ▲ 月 ▲ 日に,同Dが平成23年 ▲ 月 ▲ 日に,同Eが同年▲月 ▲ 日にそれぞれ死亡したことにより,その死亡の日において当然に終了した。 2 第1項の控訴人5名を除く控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する。 3 第1項の控訴人5名を除く控訴人らの控訴に係る控訴費用は,当該控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人ら(1) 原判決主文第2項及び第3項中控訴人らに関する部分を取り消す。 (2) 原判決別紙(1)処分一覧表1の「処分庁」欄記載の各行政庁が,対応する「氏名」欄記載の控訴人らに対して行った各生活保護変更決定をいずれも取り消す。 (3) 原判決別紙(2)給付額一覧表の「被告地方自治体」欄記載の被控訴人らは,対応する「氏名」欄記載の控訴人らに対し,対応する(A)欄記載の各金員をそれぞれ支払え。 (4) 原判決別紙(2)給付額一覧表の「被告地方自治体」欄記載の被控訴人らは,対応する「氏名」欄記載の控訴人らに対し,平成18年1月以降,毎月1日限り,対応する(B)欄記載の各金員をそれぞれ支払え。 (5) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 平成26年3月 26 日判決言渡 2 被控訴人ら主文と同旨第2 事案の概要等 1 事案の 員をそれぞれ支払え。 (5) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 平成26年3月 26 日判決言渡 2 被控訴人ら主文と同旨第2 事案の概要等 1 事案の概要(1) 本件は,原判決別紙(1)処分一覧表1の「処分庁」欄記載の各行政庁(以下「本件各処分庁」という。)から平成16年ないし平成17年に生活保護法(以下「法」という。)に基づく保護決定(以下「本件各決定」という。)を受けた同表「氏名」欄記載の一審原告32名(以下「一審原告ら」という。)が,本件各決定は違法であると主張して,その取消し(無効確認の趣旨の取消しを含むものと解される。)と,これに基づいて減額された生活保護費と従前の保護費との差額の支払(本件各決定まで及びその後の保護期間に対応するもの。以下「本件金銭請求」という。)を求めた事案である。 なお,一審原告Fは原審係属中に死亡し,控訴人Gがその承継参加人となった(以下「一審原告ら」というときは,特に明示する場合を除き,一審原告Fの承継参加人である控訴人Gを含むものとする。)。 (2) 一審原告らの主張は,本件各決定は,厚生労働大臣による法8条所定の保護基準の改定に基づくものであるところ,同保護基準の改定中老齢加算の減額・廃止(一審原告H及び同Iを除く一審原告ら関係),母子加算の減額・廃止(一審原告H及び同I関係) 及び多人数世帯扶助基準額の減額(一審原告H,同I及び同F関係)がそれぞれ違法であり,これを受けた本件各決定も違法であるなどというものであった。 (3) 原審は,一審原告らのうち一審係属中に死亡した5名(一審原告Fを含む。)については,その死亡により訴訟は当然に終了したものと宣言するとともに,その余の一審原告らの請求のうち原審口頭弁論終結後の保護期間に対応する本件金銭 ち一審係属中に死亡した5名(一審原告Fを含む。)については,その死亡により訴訟は当然に終了したものと宣言するとともに,その余の一審原告らの請求のうち原審口頭弁論終結後の保護期間に対応する本件金銭請求は将来請求の要件を欠くもので不適法であるとして却 下し,その余の請求については,本件各決定は違法とは認められず,理由がないとして棄却した。 (4) 原判決を不服として,控訴人ら並びに一審原告H及び同Iが控訴したが,一審原告H及び同Iは,その後控訴を取り下げた。 控訴人らのうち控訴人A,同B,同C,同D及び同E(以下「控訴人Aら5名」という。)は,いずれも当審係属中である別紙当事者目録記載の日に死亡した。控訴人Aら5名に関しては,訴訟承継等の手続は取られていない。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 法の定める保護制度(乙3~6,15)ア最低生活法により保障される最低限度の生活は,健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない(法3条)。 イ基準及び程度の原則保護は,厚生労働大臣の定める基準(以下「保護基準」という。)により測定した要保護者の需要を基とし,その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行う(法8条1項)。 保護基準は,要保護者の年齢別,性別,世帯構成別,所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって,かつ,これをこえないものでなければならない(同条2項)。 ウ不利益変更の禁止被保護者は,正当な理由がなければ,既に決定された保護を,不利益に変更されることがない(法56条)。 エ生活扶助とその基準 ばならない(同条2項)。 ウ不利益変更の禁止被保護者は,正当な理由がなければ,既に決定された保護を,不利益に変更されることがない(法56条)。 エ生活扶助とその基準 生活扶助は,衣食その他日常生活の需要を満たすために必要な保護を行うものであり(法12条),生活扶助基準は,保護基準のうち生活扶助に必要な基本的・経常的経費についての最低生活費を定めるものである。 平成16年当時の保護基準による生活扶助の基準は,以下のとおりである。 (ア) 生活扶助基準(別表第1)は,基準生活費(第1章)と加算(第2章)とに大別されている。 (イ) 基準生活費居宅で生活する者の基準生活費は,市町村別に1級地-1から3級地-2まで6つに区分して定められる級地(別表第9)及び年齢別に定められる第1類と,級地等及び世帯人員別に定められる第2類とに分けられ,原則として世帯ごとに,当該世帯を構成する個人ごとに算出される第1類の額(以下「第1類費」という。)を合算したものと第2類の額(以下「第2類費」という。)とを合計して算出される。第1類費は,食費,被服費等の個人単位の経費に,第2類費は,光熱水費,家具什器費等の世帯単位の経費にそれぞれ対応するものとされている。 (ウ) 加算加算は,基準生活費において配慮されていない個別的な特別需要を補填することを目的として設けられているものである。 平成16年3月15日付け厚生労働省告示第130号(同年4月1日から適用。以下「130号告示」という。)による改定前の保護基準によれば,加算には,妊産婦加算,老齢加算,母子加算,障害者加算等があり,老齢加算に関しては,被保護者のうち70歳以上の者並びに68歳及び69歳の病弱者について一定額が基準生活費に加算されて支給されていた。 加算には,妊産婦加算,老齢加算,母子加算,障害者加算等があり,老齢加算に関しては,被保護者のうち70歳以上の者並びに68歳及び69歳の病弱者について一定額が基準生活費に加算されて支給されていた。 (2) 被控訴人らは,地方公共団体であり,その長は法19条に定める保護の 実施機関とされ,その居住者に係る保護の決定,実施の事務を行うため,本件各処分庁を設置している。 (3) 控訴人らは,従前から現在まで(ただし,死亡者についてはその死亡まで,また,控訴人Lについては平成20年3月21日まで,控訴人Gについては同月31日まで),それぞれその居住地に対応する保護の実施機関から生活保護を受給しているものである(甲A1~32の各1,乙64,65)。 なお,旧佐伯郡α町に居住していた控訴人Bの生活保護に係る事務は,従前広島県が行うべき事務であったが,平成17年11月3日に同町が廿日市市と合併したため,それ以降,上記事務は廿日市市が行うべき事務となった。 (4) 生活保護制度に関する専門委員会の提言とその基礎資料ア社会保障審議会への諮問と提言(ア) 平成15年6月の財政制度等審議会の建議とこれを受けた同月の閣議決定において,生活保護における老齢加算等の扶助基準など制度,運営の見直しの必要性が示されたことから,厚生労働大臣は,社会保障審議会に保護基準等の見直しの必要性等について諮問した。 同審議会は,その福祉部会内に生活保護制度の在り方に関する専門委員会(以下「専門委員会」という。)を設置し,専門委員会は,平成15年12月16日,「生活保護制度の在り方についての中間取りまとめ」(乙2。以下「本件中間取りまとめ」という。)を取りまとめた。 (イ) また,専門委員会は,平成16年12月15日付けで「生活保護制度の在り方に関する専門 保護制度の在り方についての中間取りまとめ」(乙2。以下「本件中間取りまとめ」という。)を取りまとめた。 (イ) また,専門委員会は,平成16年12月15日付けで「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」(乙1の2。以下「本件最終報告書」という。)を公表した。 イ全国消費実態調査と特別集計(乙20の1~3,35の1~3)(ア) 総務省は,統計法に基づく指定統計調査として,5年ごとに,全国 消費実態調査を行い,世帯を対象として,家計の収支及び貯蓄・負債,耐久消費財,住宅・宅地などの家計資産を総合的に調査している。 (イ) 厚生労働大臣は,統計法所定の手続により,平成11年度の全国消費実態調査(以下「平成11年実態調査」という。)の調査票を使用し,家計の収入・支出を世帯属性別,収入階級別に独自に集計した(以下「本件特別集計」という。)。本件特別集計の結果は,専門委員会による本件中間取りまとめの際の基礎資料とされた。 (ウ) また,厚生労働大臣は,平成16年度の全国消費実態調査(以下「平成16年実態調査」という。)の調査票についても,上記同様の特別集計を行っている(以下「平成16年特別集計」という。)。 (5) 厚生労働大臣による保護基準の改定(乙40の1~4)ア老齢加算の改定厚生労働大臣は,本件中間取りまとめに基づく専門委員会の提言を受けた後,これを踏まえ,130号告示により平成16年度の老齢加算額を,平成17年3月31日付け厚生労働省告示第193号(同年4月1日から適用。以下「193号告示」という。)により平成17年度の老齢加算額をそれぞれ減額し,平成18年3月31日付け厚生労働省告示第315号(同年4月1日から適用。以下「315号告示」という。)により,老齢加算を廃止する旨の保護基準(昭和 により平成17年度の老齢加算額をそれぞれ減額し,平成18年3月31日付け厚生労働省告示第315号(同年4月1日から適用。以下「315号告示」という。)により,老齢加算を廃止する旨の保護基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定をした(以下,総称して「老齢加算改定」という。)。 なお,厚生労働大臣による老齢加算改定は,本件特別集計に基づく以下の分析等を踏まえて,70歳以上の高齢者に老齢加算に相当するだけの特別な消費需要があるとは認められず,一般の高齢世帯との比較において,老齢加算のない基準生活費の水準とすることで足りるとの判断によるものであった。 ① 単身無職者の全体(平均)及び低所得者層のいずれについても,70 歳以上の者の生活扶助相当消費支出額は,60歳以上69歳以下の者のそれと比較して,むしろ少ないこと(以下「比較①」という。)② 70歳以上の者の生活保護受給者の老齢加算を除いた生活扶助基準額の平均は7万1190円であり,70歳以上の単身無職者のうち第Ⅰ-5分位(対象者を5等分した場合の下から1番目のグループを指す。一般に,対象者をm等分した場合の下からN番目のグループを「第N-m分位」と表記する。)の者の生活扶助相当消費支出額である6万5843円を上回る額であったこと(以下「比較②」という。)イ母子加算の改定厚生労働大臣は,本件中間取りまとめ及び本件最終報告書による専門委員会の提言を受けた後,15歳に達した日の翌日以後の最初の4月1日から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者のみを養育しなければならない場合の母子加算額を,193号告示及び315号告示により段階的に減額し,平成19年3月31日付け厚生労働省告示第127号(同年4月1日から適用。以下「127号告示」 る者のみを養育しなければならない場合の母子加算額を,193号告示及び315号告示により段階的に減額し,平成19年3月31日付け厚生労働省告示第127号(同年4月1日から適用。以下「127号告示」という。)により加算を廃止する旨の生活保護基準の改定をした(以下,総称して「母子加算改定」という。)。 ウ多人数世帯扶助基準額の改定厚生労働大臣は,専門委員会の上記提言を受けた後,193号告示により,平成17年4月から4人世帯の第1類費の合計から2%,5人以上世帯の第1類費の合計から4%減額するとともに,4人以上世帯の第2類費の基準額を引き下げ,315号告示により,平成18年4月から4人世帯の第1類費の合計から4%,5人以上世帯の第1類費の合計から7%減額し,127号告示により,平成19年4月から4人世帯の第1類費の合計から5%,5人以上世帯の第1類費の合計から10%減額する旨の保護基準の改定を行った(以下,総称して「多人数世帯基準改定」といい,老齢 加算改定,母子加算改定と併せて「本件保護基準改定」と総称する。)。 (6) 本件各決定本件各処分庁は,本件保護基準改定に基づき,一審原告らに対し,原判決別紙(1)「処分一覧表1」記載のとおり,本件各決定をした。 なお,それぞれの一審原告らに対する本件各決定の具体的内容は,原判決別紙(5)個表2記載のとおりである。 (7) 不服申立て一審原告らは,本件各決定を不服として,広島県知事に対し,審査請求を行ったが,同知事は審査請求を棄却する旨の裁決をした。 一審原告らは,厚生労働大臣に対し,再審査請求を行ったが,同大臣は同請求を棄却する旨の裁決をした。 上記審査請求及び再審査請求の請求日及び裁決日は,原判決別紙 をした。 一審原告らは,厚生労働大臣に対し,再審査請求を行ったが,同大臣は同請求を棄却する旨の裁決をした。 上記審査請求及び再審査請求の請求日及び裁決日は,原判決別紙(6)不服申立日等一覧表記載のとおりである。 3 争点(1) 死亡した当事者につき,訴訟は当然終了となるか(本案前の争点)(2) 本件金銭請求の適法性(同上)(3) 法56条は厚生労働大臣による保護基準の改定にも適用されるか(本案の争点)(4) 老齢加算改定の合理性(同上)(5) 多人数世帯基準改定の合理性(同上)(6) 本件各決定のうち,本件保護基準改定の告示前になされたものは違法か(同上)(7) 本件各決定は無効か-重大明白な瑕疵の有無(同上)(8) 仮に本件各決定が取り消され,あるいは無効である場合,控訴人らに給付すべき額(同上) 4 争点に関する各当事者の主張 (1) 争点(1)(死亡した当事者につき,訴訟は当然終了となるか)について(被控訴人広島市,同廿日市市,同広島県及び同尾道市)保護受給権は一身専属的なものであるから,当審において死亡した控訴人Aら5名及び原審係属中に死亡した一審原告Fについては,その死亡と同時に訴訟は当然に終了したものである(最高裁昭和42年5月24日大法廷判決・民集21巻5号1043頁参照)。したがって,当審係属中に死亡した控訴人Aら5名については,訴訟の終了宣言を求める。 (控訴人ら)上記被控訴人らの主張は否認し,争う。 (2) 争点(2)(本件金銭請求の適法性)について(被控訴人ら)ア本件金銭請求は,減額された保護費の差額相当額の支払を求めるものであるが,控訴人らが本件各決定が取り消されることを前提にして給付を求めているとすれば,これに係る訴えは ついて(被控訴人ら)ア本件金銭請求は,減額された保護費の差額相当額の支払を求めるものであるが,控訴人らが本件各決定が取り消されることを前提にして給付を求めているとすれば,これに係る訴えは,権利保護の資格並びに権利保護の利益ないし必要性に欠けるものであり,不適法である。 すなわち,保護費相当額の支払請求は,老齢加算等の減額分相当額を含めた生活保護費の受給権に基づくものであり,控訴人らが本件訴訟においてその取消しを求めている本件各決定により老齢加算等が減額されているから,本件各決定が取り消されなければ,控訴人らに受給権が認められることはなく,本件各決定が取り消されることを前提にした給付請求が認容される余地は全くない。したがって,本件各決定が取り消されることを前提にした本件金銭請求は,訴訟制度の目的ないし本質に照らし,およそ認容される余地のない請求をするものとして,権利保護の資格要件を欠くばかりか,他に適切な法的手段が用意されている場合にあえて給付の訴えを求める場合に当たり,権利保護の利益ないし必要性をも欠くものであって,訴えの利益を欠く不適法な訴えというべきである。 イ控訴人らが,本件各決定が無効であることを前提として,本件金銭請求をしているとしても,本件口頭弁論終結日後の支払請求に係る訴えは,将来給付の訴えであり,あらかじめその請求をする必要がある場合に当たらないから,不適法な訴えである。 (控訴人ら)被控訴人らの主張は争う。本件金銭請求の訴えは,将来請求分を含めて適法な訴えである。 (3) 争点(3)(法56条は厚生労働大臣による保護基準の改定にも適用されるか)について(控訴人ら)法56条は不利益変更禁止の原則を定めているところ,これは生存権の自由権的効果としての法制度後退禁止をその趣旨とする 条は厚生労働大臣による保護基準の改定にも適用されるか)について(控訴人ら)法56条は不利益変更禁止の原則を定めているところ,これは生存権の自由権的効果としての法制度後退禁止をその趣旨とするものである。 法56条は,いったん保護の実施機関が被保護者に対して保護を決定したならば,同条に定める事情の変更に被保護者が該当し,かつ,保護の実施機関が法の定めるところによって正規に変更の手続を採らないうちは,その決定された内容において保護の実施を受けるという被保護者の既得権を定めた規定と解され,同条は,単に保護の実施機関のみに対する規定ではなく,厚生労働大臣が,既存の保護基準をそれまでの被保護者にとって不利益に変更する場合には「正当な理由」が必要であることをも定めた規定であると解すべきである。 したがって,同条に定める正当な理由の主張・立証責任は,被保護者にとって不利益な保護基準の変更をする厚生労働大臣にあり,保護を実施する被控訴人らも,同条に従って適正な運用をする立場にあることから,厚生労働大臣と同様に正当な理由の主張・立証責任を負う。 (被控訴人ら)控訴人らの主張は争う。 法56条は,被保護者と保護の実施機関との関係を規定したものであり,法8条に基づく厚生労働大臣による保護基準の改定それ自体には同条の適用はない。 法56条所定の正当な理由については,保護の実施機関は厚生労働大臣の裁量判断で定められた保護基準に拘束されるものであるから,保護を実施する被控訴人らとしては,保護基準の改定に伴って保護の変更決定をする場合には,保護基準が改定されたこと及びそれに伴って法25条2項に基づき職権により保護の程度を変更したことを主張・立証すべきであり,かつ,それで足りるというべきである。 そして,保護基準の改定は,保護費の減額を伴 準が改定されたこと及びそれに伴って法25条2項に基づき職権により保護の程度を変更したことを主張・立証すべきであり,かつ,それで足りるというべきである。 そして,保護基準の改定は,保護費の減額を伴う場合も含めて厚生労働大臣の合目的的裁量に委ねられており,裁量権の逸脱・濫用がない限り違法とならないから,その違法を主張する控訴人らにおいて,厚生労働大臣の裁量権の逸脱・濫用を基礎付ける具体的事実を主張・立証すべきである。 (4) 争点(4)(老齢加算改定の合理性)について(控訴人ら)ア法56条違反上記(3)主張のとおり,法56条は厚生労働大臣による保護基準改定にも適用されるところ,本件保護基準改定は控訴人らに対する生活保護費を減額するものであり,その正当性の主張・立証責任は,減額を正当とする被控訴人らにあるところ,本件において,本件各決定の基礎となった本件保護基準改定の正当性については何ら立証されておらず,これに依拠する本件各決定は違法である。 イ法3条,8条違反(ア) 最高裁平成24年4月2日第2小法廷判決・民集66巻6号2367頁(以下「最高裁平成24年4月判決」という。)の判旨によれば,老齢加算廃止の具体的な方策等については,厚生労働大臣に専門技術的 かつ政策的な見地からの裁量権が認められるが,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある場合には,本件保護基準改定は法に違反し,これに基づく本件各決定も違法・無効となる。そして,厚生労働大臣に裁量権の濫用や逸脱があるか否かは,老齢加算の廃止に至る判断の過程及び手続に過誤,欠落があるか否かという観点から,統計的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無を検討すべきとされている。 (イ) 本件特別集計の問題性本件保護基準改定(老齢加算改定)の基礎となった本件 があるか否かという観点から,統計的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無を検討すべきとされている。 (イ) 本件特別集計の問題性本件保護基準改定(老齢加算改定)の基礎となった本件特別集計は,以下のとおり,多くの疑問点,問題点があり,合理性,信頼性に乏しいものである。本件特別集計が信頼できない状況にある以上,これを基礎とする厚生労働大臣の判断の過程には過誤,欠落があるといわざるを得ず,これを覆すに足りる主張・立証がない限り,本件保護基準改定は違法といわざるを得ない。 ① 本件特別集計は,平均値を母集団の代表として扱っているが,そのために不可欠な度数分布に関する情報が欠落しており,平均値が母集団の代表となっていない可能性が排除されていない。 ② 平成11年実態調査は5年ごとに年齢階級区分された統計であるのに,本件特別集計では年齢階級区分を10年ごとに統合してしまった(母集団の統合)。その結果,5年ごとの年齢階級区分を比較すれば明らかになったはずの階級間の相違が,本件特別集計では見えにくくなっている。 ③ 高齢世帯では,年齢が高くなるほどに同じ年代の世帯中の貧困世帯の割合が高くなるにもかかわらず,この点を考慮せず,異なる年齢間でも貧困率は同一であるという前提で,第Ⅰ-5分位,第Ⅰ-10分位で比較している。そのため,本来は貧困率が高いために70歳以上の者が65歳以上69歳以下の者と比較して消費支出が低くなって いる実態があるにもかかわらず,この減少を年齢の要因によって消費需要が減少しているものと誤って評価している。 ④ 平成11年実態調査の高齢者編(第26表:(単身無職世帯の)60歳以上の男女,年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出)(甲5)の内容と,専門 が減少しているものと誤って評価している。 ④ 平成11年実態調査の高齢者編(第26表:(単身無職世帯の)60歳以上の男女,年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出)(甲5)の内容と,専門委員会に提出された全国平均の資料(乙10)との間に数値の齟齬があるが,その理由が不明であって,本件特別集計の数値自体に信用性がない。 (ウ) 統計的な数値等との合理的関連性の検討の不十分性a 本件保護基準改定は,専門委員会の本件中間取りまとめからわずか4日で予算の財務省原案内示,更に4日後に予算案の閣議決定がなされており,厚生労働大臣は,この一委員会の中間取りまとめが出されたことだけを理由に本件保護基準改定を決しているのが実態であって,時間的に十分な検討はなされていない。 b 被控訴人らが老齢加算改定に至る判断の重要な根拠とする数値である比較①,比較②については,そもそも専門委員会の中で示された単なる「資料上のデータ」に過ぎず,また,統計等の客観的な数値と整合していない。比較①,比較②の根拠となった本件特別集計に合理性,信頼性のないことは,上記(イ)のとおりである。 c 最高裁平成24年4月判決も専門委員会の意見は厚生労働大臣の判断を法的に拘束するものでないとしていることや,本件中間取りまとめが老齢加算について明確に廃止を提言しているものではないことなどからすれば,老齢加算の廃止については,本件中間取りまとめとは別に,厚生労働大臣の裁量判断に対応する厚生労働省内部の資料に基づいて,その判断の根拠が明確に示されるべきであるのに,何ら示されていない。 d 貯蓄純増論の誤り 最高裁平成24年2月28日第3小法廷判決・民集66巻3号1240頁(以下「最高裁平成24年2月判決」といい,最高裁平成24年4月判決と合わせて「最高裁平成 ない。 d 貯蓄純増論の誤り 最高裁平成24年2月28日第3小法廷判決・民集66巻3号1240頁(以下「最高裁平成24年2月判決」といい,最高裁平成24年4月判決と合わせて「最高裁平成24年判決」と総称する。)が指摘する貯蓄純増論(老齢加算は,貯蓄等に回っているとするもの)は誤りであり,仮に,厚生労働大臣が「貯蓄純増」を老齢加算廃止の理由としたのであれば,その決定には,判断過程に過誤がある。 e 以上によれば,老齢加算改定は,統計的な数値等との合理的関連性の観点から,その判断過程,手続に過誤がある。 (エ) 専門的知見との整合性の観点からの検討の不十分性a 専門委員会に提出された社会生活に関する調査結果・社会保障生計調査結果の概要報告書(乙16の2中の添付資料。以下「概要報告書」という。)の調査目的等に照らし,これを分析することにより得られた知見は本件保護基準改定との関係において専門的知見と評価できるものであるところ,J,Kの両氏による概要報告書の分析から得られた知見は,以下のとおりである。 ① 被保護世帯は低所得世帯に比べ社会生活の困難さの度合いが高い。 ② 被保護世帯の消費の実態は同じような所得,世帯構成の低所得世帯に比べて大きく異なっており,両世帯の間には異なった生活枠組みを想定せざるを得ない。 ③ 被保護者世帯においては交通通信費,教養娯楽費,その他経費(交際費を含む。)の支出が,同じ世帯所得や世帯構成の低所得世帯よりも大幅に少なく,これが社会参加や社会関係,生活満足などのウェル・ビーイングが低く留まっている一因と考えられる。 b 被控訴人らの主張する比較①,比較②は上記aの知見と整合せず,老齢加算改定の根拠となり得ないものである。 そして,上記aの知見の基礎となっ ーイングが低く留まっている一因と考えられる。 b 被控訴人らの主張する比較①,比較②は上記aの知見と整合せず,老齢加算改定の根拠となり得ないものである。 そして,上記aの知見の基礎となった調査は,老齢加算が実施されていた平成13,14年度に実施されたものであるにもかかわらず,なお上記知見が得られたことに照らせば,老齢加算の廃止は,少なくとも上記知見で指摘された問題を解消する方策とセットでなければ許されなかったことは明らかである。 c 以上によれば,老齢加算改定は,専門的知見との整合性の観点においても,判断の過程及び手続に過誤若しくは欠落がある。 (オ) 激変緩和措置に関する判断の過程及び手続の過誤若しくは欠落a 上記(ウ)aのとおり,厚生労働大臣は,わずか4日で老齢加算改定を決定しており,激変緩和措置についても,統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の観点からの検討が十分になされていない。 b 専門委員会の本件中間取りまとめや本件最終報告書では,老齢加算の見直し提言と併せて,年齢区分の幅を大きくとること等について引き続き検討することが必要であること,多人数世帯の換算率の見直しが必要であること,単身世帯について別途の生活扶助基準を設定することについて検討することが望ましいことなども指摘していた。 これらの指摘や,上記(エ)aの知見などに照らせば,仮に老齢加算を廃止するとしても,上記指摘に従って生活扶助基準の見直しが行われなければならなかったものである。 したがって,生活扶助基準の見直しが全く検討されていない状況の下で,3年間の段階的廃止のみでは,被保護者の期待的利益保護との関係で求められる激変緩和措置とは到底いえず,老齢加算改定は違法である。 (カ) 上記のとおり,老齢加算改定は,厚 されていない状況の下で,3年間の段階的廃止のみでは,被保護者の期待的利益保護との関係で求められる激変緩和措置とは到底いえず,老齢加算改定は違法である。 (カ) 上記のとおり,老齢加算改定は,厚生労働大臣の判断過程及び手続に過誤若しくは欠落があり,裁量権の逸脱,濫用に基づくものであっ て,法3条及び8条1項,2項に違反して違法である。 (被控訴人ら)ア法56条違反について厚生労働大臣による保護基準の改定に法56条が適用されないことは上記(3)主張のとおりであり,控訴人らの同条違反の主張は,その前提を欠き,失当である。 イ法3条,8条違反について(ア) 本件保護基準改定に係る厚生労働大臣の認定判断は,以下のとおり,憲法及び法の趣旨・目的に反しておらず,老齢加算の廃止に至る判断過程及び手続に過誤若しくは欠落はないから,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用は認められず,適法であることは明らかである。 すなわち,①老齢加算創設の経緯,保護基準により保障される生活水準の向上,我が国の社会経済情勢の変化,②専門委員会の検討資料である本件特別集計における消費支出額の比較による検証結果,被保護高齢者世帯の消費実態の検証結果などによれば,全国規模の消費実態調査に基づく本件特別集計の結果や被保護者を対象とした消費実態調査のいずれの側面から見ても,70歳以上の被保護者世帯について,特に老齢加算によって賄わなければならないような消費需要が認められないこと,③専門委員会においても,「老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとは認められないため,加算そのものについては廃止の方向で見直すべきである」との取りまとめ(本件中間取りまとめ)がなされたこと,④本件中間取りまとめに沿った激変緩和のための措置として,3年間の段階的廃止の措置が講じられ 加算そのものについては廃止の方向で見直すべきである」との取りまとめ(本件中間取りまとめ)がなされたこと,④本件中間取りまとめに沿った激変緩和のための措置として,3年間の段階的廃止の措置が講じられ,70歳以上の被保護者の第1類費と老齢加算額の合計額と,他の年齢層における第1類費との比較という観点から見ても,本件保護基準改定の内容が現実の生活条件を無視して著しく低いなどとはいえないこと,⑤現に,老齢加算廃止後の保護基準の内容 も健康で文化的な最低限度の生活を維持するに足りる保護として不足するものではないことから,本件保護基準改定の時点において,老齢加算を控除した生活扶助基準額それ自体で「健康で文化的な最低限度の生活」を賄うことができ,現実の生活条件を著しく下回ることになるような事態を招来するものではなく,本件保護基準各改定による保護基準の内容が「健康で文化的な最低限度の生活」を下回るものといえないことは明らかである。 なお,厚生労働大臣は,老齢加算廃止の後も,本件中間取りまとめの内容を受けて,平成19年に,級地を含めた生活扶助基準の在り方について有識者による専門的な分析・検討を行う「生活扶助基準に関する検討会」を厚生労働省内に設置し,改めて平成16年実態調査を基にした平成16年特別集計を行った結果,従前の老齢加算で対応していた特別な需要も,生活扶助本体において賄い得ることが改めて確認されている。 以上のように,厚生労働大臣は,専門委員会の委員らによる十分な検討を経た上で作成された本件中間取りまとめ等を受け,老齢加算を廃止することとし,3年間の段階的廃止という激変緩和措置を採り,更に生活扶助基準の定期的な検証を継続して行っているのであって,統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の観点からの検討をしてい し,3年間の段階的廃止という激変緩和措置を採り,更に生活扶助基準の定期的な検証を継続して行っているのであって,統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の観点からの検討をしていないなどといえないことは明らかである(この点は,最高裁平成24年判決の判示においても確定している。)。 (イ) 本件特別集計の信頼性についてa 本件特別集計は,60歳以上の高齢者の消費実態を全国規模で把握するための統計調査として最も信頼できる総務省の全国消費実態調査の調査票を基礎としたものであり,その調査票の集計処理業務一式を集計業者に委託し,得られた結果を基に作成されたものであることか らすれば,集計過程に恣意や過誤が介在する可能性はそもそも想定し難い。また,比較①及び比較②という結論自体は,平成16年特別集計の結果等によっても裏付けられており,現に専門委員会においても,本件特別集計の信頼性やその手法について問題点は指摘されていないことからすれば,本件特別集計の信頼性に疑いが生じるものではなく,本件保護基準改定が統計等の客観的な数値等との合理的関連性等を有することは明らかである。 b 検証方法の合理性(a) 控訴人らは,低所得世帯との比較による検証方法を批判するが,生活扶助基準の妥当性の検証に関しては,過去から一貫して,低所得世帯の消費実態や生活様式に着目して基準の策定ないし検証が行われており,控訴人らが指摘する概要報告書も専門委員会の資料として提出されている。そして,本件中間取りまとめにおいても,「生活保護において保障すべき最低生活の水準は,一般国民の生活水準との関連においてとらえられるべき相対的なものであり,具体的には,年間収入階級第Ⅰ-10分位の世帯の消費水準に着目することが適当である。」と結論づけられている。 生活の水準は,一般国民の生活水準との関連においてとらえられるべき相対的なものであり,具体的には,年間収入階級第Ⅰ-10分位の世帯の消費水準に着目することが適当である。」と結論づけられている。 なお,控訴人らは,平成11年実態調査及び平成16年実態調査の結果を独自に計算すると,本件特別集計による比較①,比較②とは異なる結果となると主張するが,控訴人ら主張の比較方法には合理性はない。 (b) また,年齢区分についても,老齢加算は「70歳以上」を支給対象とするのであるから,「65歳~69歳」と「70歳~74歳」との区分のみを取り上げて比較することに合理的な理由がないことは明らかであり,老齢加算の在り方を検討するに当たり,70歳を境にした比較を試み,その年齢区分を生活扶助における第1類 費の基準の年齢区分に合わせたことは,70歳以上の者について生活扶助基準では賄い得ない需要の有無を検証するための集計方法の選択の在り方として何ら不合理なものではない。 (c) 老齢加算の在り方を検討する際に,加齢に伴う消費支出の分析を行うには,収入階層別の分析が必要になることから,各々の年齢区分ごとの低所得層として,第Ⅰ-5分位及び第Ⅰ-10分位の階層を比較の対象として選別し,それを相互に比較し,さらに,その低所得層における生活扶助相当消費支出額と現行の生活扶助基準額とを比較検討する手法は,生活扶助基準が健康で文化的な最低限度の生活を維持するに足りると認められるか否かを検討するに当たり,何ら不合理なものではない。 c 検証結果の信頼性保護基準改定の検討に当たりどのような資料を用いるかについては,厚生労働大臣の合目的的裁量に委ねられるところ,総務省が行った全国消費実態調査という信頼性の高い統計資料を基に,厚生労働大臣が,70歳以上の高齢者を 検討に当たりどのような資料を用いるかについては,厚生労働大臣の合目的的裁量に委ねられるところ,総務省が行った全国消費実態調査という信頼性の高い統計資料を基に,厚生労働大臣が,70歳以上の高齢者を対象としていた老齢加算に見合うだけの特別需要が存するか否かという合目的的な観点から区分した収入分位,年齢に従って集計された統計結果を用いたことは合理的である。 専門委員会においても,老齢加算に係る本件特別集計の信頼性やその手法についての問題点が具体的に指摘されたことはない。 なお,本件特別集計の際の原資料とされた平成11年実態調査の調査票は,データが破棄され,また,本件特別集計に係るデータの集計過程の詳細を確認し得る直接的な資料は現存していないが,本件特別集計の度数分布等に関する情報が明らかにされなければ,本件特別集計の信頼性を判断することができず,本件保護基準改定に係る厚生労働大臣の判断がその裁量権の範囲を逸脱又は濫用するものであるか否 かを判断できないとはいえない。 また,本件特別集計と平成11年実態調査の結果とが異なっていることには合理的な理由が存し,これにより本件特別集計の合理性・信頼性を失わしめるものとはいえない。 (ウ) 激変緩和措置と生活扶助基準見直しの要否について専門委員会の本件中間取りまとめは,「高齢者世帯の社会生活に必要な費用に配慮して,生活保護基準の体系の中で高齢者世帯の最低生活水準が維持されるよう引き続き検討する必要がある」と指摘するが,これは,老齢加算廃止の前提条件とされたわけではなく,高齢者世帯の最低生活水準が維持されるよう生活保護基準の体系の在り方そのものについて,今後も引き続き検証を行うよう提言したに過ぎないというべきである。そして実際に,そのような見地から,平成19年度に設置された生活扶助基準 が維持されるよう生活保護基準の体系の在り方そのものについて,今後も引き続き検証を行うよう提言したに過ぎないというべきである。そして実際に,そのような見地から,平成19年度に設置された生活扶助基準に関する検討会においても,老齢加算で対応していた特別な需要が生活扶助本体で賄い得ることが確認されている。 また,激変緩和措置に関する部分については,本件中間取りまとめでは,「被保護世帯の生活水準が急に低下することのないよう,激変緩和の措置を講じるべきである」とされており,代替措置を講じることまでを提言するものではない。 老齢加算廃止に合わせて,生活扶助基準の見直しがなされなかったことにより,被保護者世帯の期待的利益の喪失を通じてその生活に看過し難い影響を及ぼしたものとはいえない(最高裁平成24年2月判決参照)。 (エ) 貯蓄純増論について平成11年実態調査の結果によれば,老齢加算を含めて支給された生活扶助費が貯蓄に回っていると認められ,最高裁平成24年2月判決の判示に誤りはなく,控訴人らの主張は失当である。上記実態調査の信頼 性についても,何ら欠けるところはなく,これに基づいて作成され,専門委員会に提出された説明資料についても,何ら信頼性に問題はない。 (5) 争点(5)(多人数世帯基準改定の合理性)について(控訴人G)多人数世帯基準改定についても,法56条に違反しており,また,厚生労働大臣の判断の過程には,統計的な数値との合理的関連性や専門的知見との整合性の観点から過誤,欠落が認められ,法3条,8条1項,2項に違反していて,違法である。 (被控訴人廿日市市)上記控訴人の主張は否認し,争う。多人数世帯基準改定に何ら違法性はない。 (6) 争点(6)(本件各決定のうち,本件保護基準改定の告示前になされたものは違法か 法である。 (被控訴人廿日市市)上記控訴人の主張は否認し,争う。多人数世帯基準改定に何ら違法性はない。 (6) 争点(6)(本件各決定のうち,本件保護基準改定の告示前になされたものは違法か)について(控訴人ら)保護の実施機関は,法の定めるところにより保護を決定し,かつ実施しなければならない(法19条)から,本件各決定は,法8条に基づく保護基準の変更(厚生労働大臣の告示)によって初めて可能となる処分である。 ところが,本件各処分庁(広島県広島地域事務所長を除く。)は,保護基準の改定が未だ正式な厚生労働大臣の告示によってなされていない段階で,変更後の基準に依拠して本件各決定を行っており,明らかに法に違反している。本件各決定とこれに対応する告示の年月日は,原判決別紙(7)「原告らに対する処分・告示年月日」の「平成16年4月分保護費決定処分」欄及び「平成17年4月分保護費決定処分」欄に記載のとおりであり,これにかかる本件各決定は違法である。 (被控訴人広島県を除く被控訴人ら)本件各決定の一部が保護基準改定の告示前になされたことは認めるが,こ れは,以下の事情によるものであり,本件各決定は適法である。 生活保護は,要保護者に対して保護を行い,その最低限度の生活を保障することを目的としていることから,生活扶助のための保護金品は,原則として金銭給付により,1か月分以内を限度として前渡しすることとされている(法31条1項,2項)。このため,保護の実施機関は,おおむね毎月1日ないし5日を保護費の定例支給日と定めており,4月分の保護費の支給を適切に行うためには,前月に支給決定のための準備を行う必要がある。そして,保護の実施機関は,保護の変更を必要とすると認めるときは,速やかに職権により保護の変更決定を行い おり,4月分の保護費の支給を適切に行うためには,前月に支給決定のための準備を行う必要がある。そして,保護の実施機関は,保護の変更を必要とすると認めるときは,速やかに職権により保護の変更決定を行い,これを被保護者に対し書面をもって通知しなければならないとされており(法25条2項,24条2項),告示を待って保護の変更手続を行っていては,支給事務に支障を来たすおそれがある。このため,厚生労働省においては,例年,3月初旬に全国生活保護担当係長会議を開催し,全国の自治体に対して次年度の基準改定告示案を示すとともに,改定の趣旨及び留意点等について周知している。本件各決定は,この厚生労働省が示した告示案に基づいてなされたものである。 (7) 争点(7)(本件各決定は無効か-重大明白な瑕疵の有無)について(控訴人ら)上記(4)ないし(6)に主張するとおり,本件各決定は違法であるところ,これは重大かつ明白な瑕疵といえるから,本件各決定は無効である。したがって,控訴人らは,本件各決定前の生活保護費の支給額と本件各決定以後の支給額との差額を請求できるというべきである。 (被控訴人ら)控訴人らの主張は否認し,争う。 (8) 争点(8)(仮に本件各決定が取り消され,あるいは無効である場合,控訴人らに給付すべき額)について(控訴人ら) 原判決別紙(2)「給付額一覧表」の「被告地方自治体」欄記載の被控訴人らは,対応する「氏名」欄記載の控訴人らに対し,それぞれ対応する(A)欄記載の各金員及び平成18年1月以降本判決確定に至るまで,毎月1日限り,対応する(B)欄記載の各金員を支払う義務がある。 (被控訴人ら)控訴人らの主張のうち控訴人G(一審原告F分を含む。)の平成18年1月以降判決確定までの月1万4380円の ,毎月1日限り,対応する(B)欄記載の各金員を支払う義務がある。 (被控訴人ら)控訴人らの主張のうち控訴人G(一審原告F分を含む。)の平成18年1月以降判決確定までの月1万4380円の支払請求については,一審原告Fの死亡日(平成19年 ▲ 月 ▲ 日)の翌日以降の分は,①同人の死亡によりその老齢加算相当額が支給されることがなく,②世帯人数が5人から4人になることから,4人以上の世帯の第1類費・第2類費の減額が異なることになるため,給付額は,原判決別紙(2)「給付額一覧表」の(B)欄記載の金額とは異なる。 また,控訴人L及び同Gについては,平成20年3月1日から保護を廃止する旨の保護廃止決定がなされたから,同日以降の保護期間に対応する金銭支払請求は理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(死亡した当事者につき,訴訟は当然終了となるか)について生活保護を受ける権利は,被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に付与された一身専属的な権利であって,相続の対象とならないものである。また,仮に被保護者の生存中に本来支払うべき給付が支払われていないとしても,当該給付を求める権利は,当該被保護者の最低限度の生活の需要を満たすことを目的とするものであって,法の予定する目的以外に流用することを許さないものであるから,当該被保護者の死亡によって当然消滅し,相続の対象となり得ないと解される(前記最高裁昭和42年5月24日大法廷判決参照)。 したがって,当審係属中に死亡した控訴人Aら5名に係る訴訟は,その死亡 により当然に終了したものであるから,主文においてその旨宣言することとする。また,一審原告Fの承継参加人である控訴人Gについては,一審原告Fに関する訴訟係属が原審係属中の同人の死亡により既に終了しているか 当然に終了したものであるから,主文においてその旨宣言することとする。また,一審原告Fの承継参加人である控訴人Gについては,一審原告Fに関する訴訟係属が原審係属中の同人の死亡により既に終了しているから,その旨宣言した原審の判断は相当であって,同控訴人の控訴は理由がない。 2 争点(2)(本件金銭請求の適法性)について保護費の受給権は,いったん保護の決定がなされた以上,その後に廃止や変更がない限り継続されるものであり,かつ,被保護者は,正当な理由がなければ,既に決定された保護を不利益に変更されない(法56条)。 控訴人ら(既に死亡した控訴人Aら5名及び控訴人Gを除く。以下においても,特に断らない限り同じ。)は,本件各決定より前に,本件保護基準改定前の保護基準に基づく保護の決定を受けていたものであり,仮に本件各決定が無効であり,あるいはこれが取り消された場合には,従前の保護決定に基づく保護費を受給することができる法的地位を有していたものである。 したがって,保護費を減額する本件各決定の無効ないし取消しを主張し,これとともに,従前の保護決定に基づく保護費の額と,本件各決定に基づくそれとの差額の支払を求める本件金銭請求は適法であるといえる。 もっとも,本件金銭請求に関する訴えのうち,口頭弁論終結日より後の期間に対応するものは将来給付の訴えとなるところ,法に基づく保護費の支給は公的扶助給付であり,その債務者が地方公共団体であることなどを考慮すれば,これについては,あらかじめその請求をする必要がある場合(民訴法135条)に当たるとは認められないから,不適法というべきである。 したがって,本件金銭請求に関する訴えのうち本件口頭弁論終結日(平成25年11月27日)の翌日以降の期間に対応する部分は却下すべきである。 3 争点(3)(法56条は厚生 不適法というべきである。 したがって,本件金銭請求に関する訴えのうち本件口頭弁論終結日(平成25年11月27日)の翌日以降の期間に対応する部分は却下すべきである。 3 争点(3)(法56条は厚生労働大臣による保護基準の改定にも適用されるか)について法56条は,既に保護の決定を受けた個々の被保護者の権利及び義務につい て定めた規定であって,保護基準自体が減額改定されることに基づいて保護の内容が減額決定されるような場合については,同条が規律するところではないと解される(最高裁平成24年判決参照)。したがって,厚生労働大臣による本件保護基準改定が同条に違反して違法であることを理由として,本件各決定が違法であるとする控訴人らの主張は,その前提を欠き失当である。 4 争点(4)(老齢加算改定の合理性)について(1) 老齢加算の制度化とその廃止に至る経緯争いのない事実,証拠(甲2の1~18,5,6の1~5,7~10,26の1~6,27の1~6,28~34,75,124,126,148,乙1の1・2,2,7~11,16の1~6,19,26,30~33,35の1~3,38の1~4,47,74,78,79の1~5,80の1~3,81の1~5,82の1~3,83の1・2,116の1~5,117,131,132の1・2,133の1・2,134,135の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,前記前提事実のほか,以下の事実が認められる。 ア老齢加算制度の導入とその推移(ア) 老齢加算の制度は,昭和35年4月,新たに70歳以上の者を対象に開始された老齢福祉年金を被保護者の収入として認定することに対応して,これにより70歳以上の者の保護費の額が減額されることに配慮し,上記年金額と同額を生活扶助に加算するものとして創設されたものである。 された老齢福祉年金を被保護者の収入として認定することに対応して,これにより70歳以上の者の保護費の額が減額されることに配慮し,上記年金額と同額を生活扶助に加算するものとして創設されたものである。その際,老齢加算は,高齢者の特別な需要,例えば観劇,雑誌,通信費等の教養費,下衣,毛布,老眼鏡等の被服・身回り品費,炭,湯たんぽ,入浴料等の保健衛生費及び茶,菓子,果物等のし好品費に充てられるものとされていた。 (イ) その後も,老齢加算の額は,老齢福祉年金の増額に伴って順次増額されていったが,中央社会福祉審議会に設置された生活保護専門分科会 (以下「専門分科会」という。)が「生活保護制度における加算の取扱いについての意見」によりまとめた提言に基づき,昭和51年からは,1級地における65歳以上の者に係る第1類費基準額の男女平均額の2分の1とすることとされた。 (ウ) 専門分科会は,その後も,昭和55年12月には中間取りまとめ(以下「昭和55年中間取りまとめ」という。)を,昭和58年12月23日付けで「生活扶助基準及び加算のあり方について(意見具申)」(以下「昭和58年意見具申」という。)をそれぞれ公表した。 イ生活扶助基準の算定方式の変遷生活扶助基準の算定は,昭和23年度から昭和35年度までは,最低生活に必要な個々の需要を一つ一つ積み上げて理論計算するマーケットバスケット方式により行われていた。その後,昭和36年度からは,栄養審議会の答申に基づく栄養所要量を満たし得る食品を理論的に積み上げて計算し,別に低所得世帯の実態調査から,この飲食物費を支出している世帯のエンゲル係数の理論値を求め,これから逆算して総生活費を算出するエンゲル方式が採られるようになり,さらに昭和40年度からは,一般国民の消費水準の伸び率以上に生活扶助基準を 食物費を支出している世帯のエンゲル係数の理論値を求め,これから逆算して総生活費を算出するエンゲル方式が採られるようになり,さらに昭和40年度からは,一般国民の消費水準の伸び率以上に生活扶助基準を引き上げ,結果的に一般国民と被保護世帯との消費水準の格差を縮小させようとする格差縮小方式が導入された。その後,昭和59年度以降は,民間消費支出の伸び率に依拠して改定する水準均衡方式が導入され,現在まで,同方式が採用されている。 ウ収入支出に係る水準の推移(ア) 一般勤労者世帯と被保護勤労者世帯との消費支出の格差一般勤労者世帯と被保護勤労者世帯との消費支出の格差は,昭和45年度は54.6%,昭和50年度は55.8%,昭和55年は63.6%となり,昭和61年から平成9年度までは68%台,平成10年度から平成12年度は69%台を推移し,平成13年度及び平成14年度は 70%を超える状況であった。 (イ) 近年における勤労者世帯の収入支出状況一般勤労者世帯の賃金(厚生労働省「毎月勤労統計調査」による事業所規模30人以上,調査産業計の現金給与総額)は,平成10年から前年比マイナスに転じ,平成16年まで減少が続いている。 また,総務省統計局「家計調査」による全国勤労者世帯の家計収支の推移は,実収入,可処分所得及び消費支出のいずれも平成10年からマイナスに転じ,平成15年まで減少が続いている。 さらに,厚生労働省「国民生活基礎調査」による昭和60年以降の全世帯の一世帯当たり平均所得金額は,平成6年の664万2000円をピークに減少傾向となり,平成15年には579万7000円となった。平成16年にはいったん上昇したものの,平成17年には563万8000円と再び減少に転じ,平成6年と平成17年の水準を比較すると, ピークに減少傾向となり,平成15年には579万7000円となった。平成16年にはいったん上昇したものの,平成17年には563万8000円と再び減少に転じ,平成6年と平成17年の水準を比較すると,100万4000円,15.1%の減少となっている。 これを所得階級別にみると,第Ⅰ-5分位では,平成7年の163万1000円から平成16年には123万9000円と,39万2000円,24.0%の減少,同じく第Ⅱ-5分位では,平成7年の363万円から平成16年には291万7000円と71万3000円,19. 6%の減少となっている。 (ウ) 消費者物価指数の動向消費者物価指数(全国・総合)は,平成11年から前年比マイナスとなって平成15年まで続き,平成16年には増減なし(0.0),平成17年には,再度マイナス0.3%,平成18年にはプラス0.3%となっている。 エ老齢加算制度に係る専門分科会による検討(ア) 昭和55年中間取りまとめ 専門分科会による昭和55年中間取りまとめでは,老齢者は咀嚼力が弱いため,他の年齢層に比し消化吸収がよく良質な食品を必要とするとともに,肉体的条件から暖房費,被服費,保健衛生費等に特別な配慮を必要とし,また,近隣,知人,親せき等への訪問や墓参りなどの社会的費用が他の年齢層に比し余分に必要となるとの見解が示された。 この取りまとめに当たっては,いずれも昭和49年全国消費実態調査の統計結果を基にして,老夫婦勤労世帯と労務者世帯(夫婦2人)の消費支出の比較を行った「老夫婦世帯の消費支出」,老夫婦世帯と一般世帯の構成比の比較を行った「老夫婦世帯の収入・支出の内訳」が資料として使用された。 前者は,老夫婦世帯の消費構造の分析を行って,消費支出全体に占める各消費費目の割合を「構 出」,老夫婦世帯と一般世帯の構成比の比較を行った「老夫婦世帯の収入・支出の内訳」が資料として使用された。 前者は,老夫婦世帯の消費構造の分析を行って,消費支出全体に占める各消費費目の割合を「構成比」として算出し,この構成比に従って老夫婦世帯の各消費費目の支出額の修正値をそれぞれ求めた上,この各消費費目の修正値を,労務者世帯の各消費費目の支出額と比較するものであり,これによれば,主に食料費(特に副食とし好品),光熱費,教養娯楽費,交際費の消費支出額は,老夫婦勤労世帯が,労務者世帯を上回っていた。なお,消費支出の額は,労務者世帯が10万4106円であったのに対し,老夫婦勤労世帯は8万9954円であった。 また,後者は,世帯主が「60~64歳」,「65~69歳」,「70歳以上」の各年齢層の世帯を「老夫婦世帯」と位置付け,それぞれについて各消費費目の構成比を算出し,これと一般世帯の各消費費目の構成比を比較するというものであり,これによれば,主に食料費,光熱費,教養娯楽費,交際費の構成比は,各年齢層の老夫婦世帯のいずれもが,一般世帯を上回っていた。なお,消費支出の額は,一般世帯が12万1282円であったのに対し,60歳以上64歳以下の世帯は10万1857円,65歳以上69歳以下の世帯は9万9760円,70歳以 上の世帯は8万9954円であった。 (イ) 昭和58年意見具申専門分科会による昭和58年意見具申では,「低所得世帯の家計に関する各種の資料を基にして,加算対象世帯一般と一般世帯との消費構造を比較検討した結果,老齢(中略)の特別需要としては,加齢に伴う精神的又は身体的機能の低下(中略)に対応する食費,光熱費,保健衛生費,社会的費用(中略)などの加算対象経費が認められているが,その額はおおむね現行の加算額で充たされている」 要としては,加齢に伴う精神的又は身体的機能の低下(中略)に対応する食費,光熱費,保健衛生費,社会的費用(中略)などの加算対象経費が認められているが,その額はおおむね現行の加算額で充たされている」との見解が示された。 この意見具申に当たっては,いずれも昭和54年全国消費実態生活調査の統計結果を基にした「高齢単身世帯の生活扶助相当経費のうちの特別需要調べ」及び「加算対象世帯の特別需要の測定及び加算額との比較」が使用された。前者によれば,70歳以上74歳以下の世帯は,51歳以上59歳以下の世帯と比較すると8365円の,60歳以上64歳以下の世帯と比較すると5146円の,65歳以上69歳以下の世帯と比較すると5763円の特別需要額があるとされ,75歳以上の世帯は,51歳以上59歳以下の世帯と比較すると1万3591円の,60歳以上64歳以下の世帯と比較すると1万4052円の,65歳以上69歳以下の世帯と比較すると1万3481円の特別需要額があるとされている。また,後者によれば,51歳以上59歳以下の単身女性世帯と比較すると,70歳以上74歳以下の単身女性世帯は9977円の,75歳以上の単身女性世帯は1万1178円の特別需要額があるとされ,また,「夫婦(140万円未満)」の世帯と比較すると,「老夫婦(70歳,180万円未満)」の世帯は1万1472円の特別需要額があるとされ,「夫婦(180万円未満)」の世帯と比較すると,「老夫婦(71歳以上75歳以下,180万円未満)」の世帯は1万6005円の特別需要額があるとされている。 また,上記意見具申に当たっては,「加算の定性的説明について」との資料も使用され,食費,暖房費,保健医療,教養娯楽,交際費,交通通信費等について,特別需要の内容が説明されている。 オ老齢加算廃止の経緯(ア) 申に当たっては,「加算の定性的説明について」との資料も使用され,食費,暖房費,保健医療,教養娯楽,交際費,交通通信費等について,特別需要の内容が説明されている。 オ老齢加算廃止の経緯(ア) 専門委員会設置に至る経緯a 平成12年に,社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する法律案審議の際に,衆参両院において,介護保険制度の施行後5年を目処とした同制度全般の見直しの際に,生活保護制度の在り方について,十分検討を行うこととの附帯決議がなされた。 また,政府の財政制度等審議会は,平成15年6月9日,①歳出見直しの基本的考え方として,継続可能な財政構造の確立のためには,諸制度の根幹に立ち返り,義務的な経費,裁量的な経費を問わず,聖域なく歳出内容を徹底して見直すことが不可欠であること,②社会保障に関して,社会保障関係費は年々増加し,一般歳出の約4割を占めるに至っており,その抑制を図ることは,我が国財政上最大の構造問題であること,このため,平成16年度の具体的な予算編成に当たっては,現行の制度,給付水準,単価などを前提とした社会保障関係の自然増を放置することは許されず,概算要求段階から制度改革による公的給付の抑制により削減を図ることが必要であること,③生活保護に関し,生活扶助基準・加算の引き下げ・廃止,各種扶助の在り方の見直し,扶助の実施についての定期的な見直し・期限の設定など制度・運営の両面にわたり多角的かつ抜本的な検討が必要であること,特に原則70歳以上の高齢者に上乗せされる老齢加算は,福祉年金創設との関係から昭和35年に創設されたが,年金制度改革の議論と一体的に考えると,70歳未満受給者との公平性,高齢者の消費は加齢に伴い減少する傾向にあること等からみて,廃止に向けた検討が必要 であると考えられることなど 創設されたが,年金制度改革の議論と一体的に考えると,70歳未満受給者との公平性,高齢者の消費は加齢に伴い減少する傾向にあること等からみて,廃止に向けた検討が必要 であると考えられることなどを内容とする建議をした。 b 政府は,同月27日,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(いわゆる骨太の方針2003)を閣議決定し,その中で,①生活保護においても,物価・賃金動向,社会経済情勢の変化,年金制度改革などとの関係を踏まえ,老齢加算等の扶助基準など制度・運営の両面にわたる見直しが必要であるとし,②社会保障については,一般歳出の約4割を占め,年々増加する社会保障関係費の伸びの抑制が財政上の最大の問題であり,このため,予算編成過程において,社会保障関係の自然増を放置することなく,年金をはじめ医療・介護・その他の分野の制度改革等や,給付・コストの見直しにより,その抑制を図ることとされた。 なお,同年8月1日に示された平成16年度予算概算要求の基本方針においても,社会保障関係費の自然増分を相当程度圧縮する方針が示されている。 c 上記のような動きを踏まえ,厚生労働大臣は,新たに社会保障審議会福祉部会内に設置された専門委員会に,生活保護に関する制度見直しの要否等について検討させることにした。なお,専門委員会は,社会保障制度や経済学を専門とする研究者,社会福祉法人の代表者,地方公共団体の首長や福祉担当部門の担当職員などによって構成されていた。 (イ) 専門委員会における検討経過とこれに用いられた検討資料専門委員会においては,平成15年8月6日以降,会議を重ね,統計資料を基に,検討と意見交換がなされた。 会議に提出された本件特別集計に基づく資料の内容と検討結果は,次のとおりである。 a 生活扶 平成15年8月6日以降,会議を重ね,統計資料を基に,検討と意見交換がなされた。 会議に提出された本件特別集計に基づく資料の内容と検討結果は,次のとおりである。 a 生活扶助相当消費支出額の比較 本件特別集計に基づき,高齢単身世帯における消費実態と生活扶助基準との比較を行うと,以下のとおりの結果となった(このうち,下記(a)~(c)の結果を総合比較したものが比較①であり,下記(b)のうち70歳以上の単身無職世帯の生活扶助相当消費支出額と老齢加算を除いた生活扶助基準額を比較したものが比較②である。)。 (a) 全世帯平均全世帯平均では,60歳以上69歳以下の者(単身無職世帯)の生活扶助相当消費支出額(消費支出額の全体から,生活保護制度中の生活扶助以外の扶助に該当するもの,生活保護制度で基本的に認められない支出に該当するもの,被保護世帯は免除されているもの,最低生活費の範疇になじまないものを除いたもの)は,11万8209円であった。 他方,70歳以上の者(単身無職世帯)の生活扶助相当消費支出額は,10万7664円であった。 (b) 第Ⅰ-5分位第Ⅰ-5分位では,60歳以上69歳以下の者(単身無職世帯,1か月当たりの収入が6万2380円)の消費支出額は12万1360円で,そのうち生活扶助相当消費支出額は7万6761円であり,70歳以上の者(単身無職世帯,1か月当たりの収入が6万1555円)の消費支出額は9万0848円で,そのうち生活扶助相当消費支出額は6万5843円であった。70歳以上の者の老齢加算を除いた生活扶助基準額(平均)は7万1190円であった。 (c) 第Ⅰ-10分位第Ⅰ-10分位では,60歳以上69 費支出額は6万5843円であった。70歳以上の者の老齢加算を除いた生活扶助基準額(平均)は7万1190円であった。 (c) 第Ⅰ-10分位第Ⅰ-10分位では,60歳以上69歳以下の者(単身無職世帯,1か月当たりの収入が4万3654円)の消費支出額は11万8790円であり,そのうち生活扶助相当消費支出額は7万981 7円であり,70歳以上の者(単身無職世帯,1か月当たりの収入が4万7093円)の消費支出額は9万2518円であり,そのうち生活扶助相当消費支出額は6万2277円であった。 b 被保護高齢者世帯の消費実態平成11年実態調査に基づき,被保護高齢単身世帯の家計消費の実態を,老齢加算されている世帯(主に70歳以上)と,加算されていない世帯(主に60歳ないし69歳)で比較した場合の結果は,以下のとおりであった。 (a) 貯蓄純増額の比較老齢加算されていない世帯の貯蓄純増額(「預貯金」と「保険掛金」の合計から「預貯金引出」と「保険取金」を差し引いたもの)は9407円,可処分所得(「実収入」から税金,社会保険料などの「非消費支出」を差し引いた額)に占める割合(平均貯蓄率)は8.4%であった。 他方,老齢加算されている世帯の貯蓄純増額は1万4926円,可処分所得に占める割合(平均貯蓄率)は12.1%であった。 (b) 翌月への繰越金老齢加算されていない世帯の翌月への繰越金(月末における世帯の手持ち現金残高)は,3万6094円であった。 他方,老齢加算されている世帯の翌月への繰越金は,4万7071円であった。 (ウ) 本件中間取りまとめ専門委員会は,平成15年12月16日,本件中間 ,3万6094円であった。 他方,老齢加算されている世帯の翌月への繰越金は,4万7071円であった。 (ウ) 本件中間取りまとめ専門委員会は,平成15年12月16日,本件中間取りまとめを厚生労働大臣に提出した。その提言内容のうち老齢加算に関するものは,次のとおりである。 a 単身無職の一般低所得高齢者世帯の消費支出額について,70歳以 上の者と60歳から69歳の者との間で比較すると,前者の消費支出額の方が少ないことが認められる。したがって,消費支出額全体でみた場合には,70歳以上の高齢者について,現行の老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとは認められないため,廃止の方向で見直すべきである。 b ただし,高齢者世帯の社会生活に必要な費用に配慮して,生活保護基準の体系の中で高齢者世帯の最低生活水準が維持されるよう引き続き検討する必要がある。 c また,被保護世帯の生活水準が急に低下することのないよう,激変緩和の措置を講じるべきである。 なお,本件中間取りまとめでは,生活扶助基準の水準についても検討がなされており,生活保護において保障すべき最低生活の水準は,一般国民の生活水準との関連においてとらえられるべき相対的なものであり,具体的には,年間収入階級第Ⅰ-10分位の世帯の消費水準に着目することが適当であるとし,このような考え方に基づき,平成8年から平成12年までの間の第Ⅰ-10分位の勤労者3人世帯の消費水準に着目して,これと生活扶助基準額とを比較した上で,①第Ⅰ-10分位の消費水準よりも生活扶助基準額の方が高いこと,②食費,教養娯楽等の減少が顕著な第Ⅰ・第Ⅱ-50分位の消費水準よりも生活扶助基準額の方が高いこと,③第Ⅲないし第Ⅴ-50分位の消費水準と勤労控除額を除いた生活扶助基準額 扶助基準額の方が高いこと,②食費,教養娯楽等の減少が顕著な第Ⅰ・第Ⅱ-50分位の消費水準よりも生活扶助基準額の方が高いこと,③第Ⅲないし第Ⅴ-50分位の消費水準と勤労控除額を除いた生活扶助基準額とは均衡が図られているが,勤労控除額を含めると生活扶助基準額の方が高いこと,ただし,自立支援の在り方等を踏まえて引き続き議論することが必要であることなどの評価が示されている。 (エ) 厚生労働大臣による本件保護基準改定厚生労働大臣は,本件中間取りまとめによる提言を受けて,老齢加算 を廃止するものとし,激変緩和の措置として,3年間をかけて段階的に廃止することとして,老齢加算改定を含む本件保護基準改定を行った。 カ生活保護の基準等をめぐるその後の動き(ア) 専門委員会の本件最終報告書では,保護基準の在り方について,生活扶助基準の水準は基本的に妥当と評価しつつ,生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため,全国消費実態調査等を基に5年に1度の頻度で検証を行う必要があるとし,勤労基礎控除も含めた生活扶助基準額が一般低所得世帯の消費における生活扶助相当額よりも高くなっていること等を考慮する必要があるなどの指摘がなされている。また,同報告書では,生活保護の制度・運用の在り方やその見直しの方向性などについても,提言がなされている。 (イ) 厚生労働大臣は,生活保護の在り方について引き続き検討するため,平成19年度に,生活保護基準に関する検討会を設置した。 (ウ) 平成16年特別集計とその結果厚生労働大臣は,株式会社Mに委託して,平成16年実態調査のデータを独自に取りまとめた特別集計(平成16年特別集計)を行った。同社は,平成19年3月に中間報告書(甲148)を,平成20年3月に 厚生労働大臣は,株式会社Mに委託して,平成16年実態調査のデータを独自に取りまとめた特別集計(平成16年特別集計)を行った。同社は,平成19年3月に中間報告書(甲148)を,平成20年3月に最終報告(乙131)を提出した。この報告は,上記(イ)の検討会に提出され,検討の資料とされた。 上記最終報告の分析結果は,次のとおりである。 a 一般世帯の夫婦子1人世帯(有業者あり)における第Ⅰ-10分位の生活扶助相当支出額と現行の生活扶助基準額を比較すると,生活扶助基準額が1627円高い。第Ⅰ-5分位では,2767円高い。 b 単身世帯(60歳以上)の第Ⅰ-10分位では,生活扶助基準額が生活扶助相当支出額より8378円高い。第Ⅰ-5分位では,ほぼ同 等である。 (エ) 厚生労働大臣は,上記以外にも,直近の全国消費実態調査によるデータの分析などにより,保護基準の水準について,継続的に検証を行っている。また,平成21年から平成22年にかけて厚生労働省内にナショナルミニマム研究会が設置され,憲法25条の定める健康で文化的な最低限度の生活水準について議論がなされた。同年6月に,同研究会の中間報告が公表されている。 (2) 老齢加算に係る保護基準改定の適法性の判断基準ア厚生労働大臣の裁量権限法によって保障される最低限度の生活を維持するための保護基準は,最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって,かつ,これをこえないものでなければならない(法3条,8条2項)から,仮に老齢加算支給の根拠となっていた高齢者の特別な需要が認められないとすれば,老齢加算の減額又は廃止をすることは,法8条2項の規定に沿うものである。そして,法の要請を保護基準において具体化するに当たっては,高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要 いとすれば,老齢加算の減額又は廃止をすることは,法8条2項の規定に沿うものである。そして,法の要請を保護基準において具体化するに当たっては,高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものであるから,保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し,最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否か及び高齢者に係る改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるか否かを判断するに当たっては,厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が認められ,同大臣は,老齢加算の支給を受けていない者との公平や国の財政事情といった見地に基づく加算の廃止の必要性を踏まえつつ,保護を受ける者の期待的利益についても配慮するため,その廃止の具体的な方法等について,激変緩和措置の要否などを含めた裁量権を有していると解される。 したがって,本件保護基準改定において,①70歳以上の高齢者には老 齢加算に見合う特別な需要が認められず,老齢加算廃止後の生活扶助基準の内容が高齢者の健康で文化的な生活水準を維持するに足りるものであるとした厚生労働大臣の判断に,最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤,欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められる場合,あるいは,②老齢加算の廃止に際し激変緩和等の措置を採るか否かについての方針及びこれを採る場合において,現に選択した措置が相当であるとした同大臣の判断に,保護を要する者の期待的利益や生活への影響等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められる場合に,保護基準の改定は,法3条,8条2項の規定に違反し,違法となるものと解すべきである(以上最高裁平成24年判決参照)。 への影響等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められる場合に,保護基準の改定は,法3条,8条2項の規定に違反し,違法となるものと解すべきである(以上最高裁平成24年判決参照)。 イ裁判所の裁量審査の在り方上記アのとおり,保護基準改定に係る厚生労働大臣の裁量権限は,何が健康で文化的な生活水準であるかについての高度に専門技術的な判断を含むほか,制度の恩恵を受けない者との公平の観点や国の財政事情など政策的配慮も含め,多面的な要素を総合的に評価分析する必要があることから,相当広範囲にわたることが制度上想定されているというべきである。 したがって,厚生労働大臣の判断に裁量権の逸脱,濫用があるかの審査に当たっては,厚生労働大臣が当該判断をするに当たって,考慮すべき事項を正しく考慮したか,考慮すべきでない事項を考慮していないかなど判断に至る手続や判断過程に過誤,欠落がなかったかどうか,老齢加算廃止に係る保護基準改定に即していえば,廃止を相当とする判断並びにこれに伴う激変緩和措置の内容及び程度が,統計等の客観的な数値等との合理的関連性を有するか,専門的知見との整合性があるか等の観点から検証すべきものと解される(最高裁平成24年4月判決参照)。 (3) 統計的数値等との合理的関連性について ア厚生労働大臣による老齢加算廃止を相当とする判断,すなわち本件保護基準改定時において,70歳以上の高齢者に老齢加算に相当するだけの特別な消費需要があるとは認められず,一般の高齢世帯との比較において,老齢加算のない基準生活費の水準とすることで足りるとの判断(以下「本件判断」という。)は,本件中間取りまとめによる提言と,その前提となった各種資料,特に本件特別集計の分析に基づく比較①,比較②等の統計結果等を踏まえたものと認めら することで足りるとの判断(以下「本件判断」という。)は,本件中間取りまとめによる提言と,その前提となった各種資料,特に本件特別集計の分析に基づく比較①,比較②等の統計結果等を踏まえたものと認められることは,上記第2の2(5)アのとおりである。 イ本件特別集計の信頼性について本件特別集計の分析に基づく比較①,比較②は,70歳以上の高齢者について,それ以下の年齢の者に比較して特別の需要があるとは認められないことを示しており,これを前提とすれば,老齢加算は既にその存在意義を失っているといえるから,これは老齢加算を廃止するとした厚生労働大臣の本件判断を支持するものである。 これについて,控訴人らは,本件特別集計の統計的信頼性を疑問視する。 しかしながら,本件特別集計は,当時において消費支出に関する最も信頼性の高い統計資料の一つといえる直近の全国消費実態調査の1次データを独自に集計したものであり(上記第2の2(4)イ),基礎となるデータの信頼性に特段の問題があったとは認められない。また,そのデータの抽出や分析の手法についても,統計学的に妥当な解析方法の一つが採用されていると認められ(乙116の1~5,131,140,147~149,弁論の全趣旨),本件特別集計は,厚生労働大臣による本件判断の基礎資料としての信頼性に欠けるところはないというべきである(もとより,統計資料の分析手法は一義的に定まっているものとはいえず,どのような手法を採用するかについても,厚生労働大臣の専門技術的裁量の範囲 に属するものといえる。)。 控訴人らは,平成11年実態調査は年齢階級区分を5年ごととしているのに対し,本件特別集計ではこれを10年ごとに統合しており,不当であると非難するが,老齢加算は70歳以上の者に一律に適用されるものであるから は,平成11年実態調査は年齢階級区分を5年ごととしているのに対し,本件特別集計ではこれを10年ごとに統合しており,不当であると非難するが,老齢加算は70歳以上の者に一律に適用されるものであるから,その必要性を検証するについて,70歳以上の者と,保護基準における年齢別区分においてその直下の年齢区分である60歳~69歳の者とについて比較するのは合理性を有するといえるし,そもそも,本件特別集計は,平成11年実態調査のデータを使用しつつ,固有の目的により,独自に分析するものであるから,同実態調査の分析手法をそのまま適用しなければならない必然性もないというべきである(平成11年実態調査の分析結果と本件特別集計の分析結果との間に,若干の数値の齟齬が生じているとしても,そもそも分析手法が全く同一でない以上,不自然,不合理とはいえないところである。)。 そして,高齢被保護者の生活実態,消費需要等が必ずしも一様でないことは当然であるが,老齢加算は,これを受給する者の個別的な事情を考慮せず,一定の年齢に達した者に対して一律に適用されるものであるから,その加算の必要性の検証に当たっては,高齢者一般の傾向を知るため,統計的なデータを平準化した平均的数値をもって比較検討せざるを得ないものといえる(このことは,他の統計データの分析についても当てはまる。)。 その他控訴人らが指摘する点も,いずれも本件特別集計の統計的信頼性を失わせるものとまではいえない。 なお,控訴人らは,平成11年実態調査及び平成16年実態調査の結果を独自に集計すると,比較①,比較②とは異なる結果となるとも主張する。しかしながら,分析方法が異なれば,その分析結果にいくらかの違いが出てくるのは避けられないことは上記のとおりであり,そのことをもっ て,比較①,比較②の分析が,本件判断 果となるとも主張する。しかしながら,分析方法が異なれば,その分析結果にいくらかの違いが出てくるのは避けられないことは上記のとおりであり,そのことをもっ て,比較①,比較②の分析が,本件判断の考慮事項として不適切であったとはいえない。また,平成16年実態調査ないしそのデータに基づく分析結果については,そもそもその調査の実施時期からして,本件保護基準改定の際の検討資料とすることが不可能であったものである(ちなみに,平成16年実態調査のデータに基づく平成16年特別集計を分析した中間報告書,最終報告書の提出は,それぞれ平成19年3月,平成20年3月である〔上記(1)カ(ウ)〕。)。したがって,平成16年実態調査を前提とした分析結果の如何は,本件判断について,統計的数値等との合理的関連性の観点から見た過誤,欠落があったか否かの審査の基準とならないことは明らかである(新たな資料に基づいて,現行の保護基準が法所定の水準を満たさないことが判明した場合には,その時点において,厚生労働大臣に保護基準を改定すべき法上の義務が生じるにとどまる。)。 ウ厚生労働大臣による本件判断は,本件特別集計に基づく分析のほか,一般勤労者世帯と被保護勤労者世帯との消費支出の格差,近年における勤労者世帯の収入支出動向,消費者物価指数の推移などの統計的数値(上記(1)ウ)も踏まえたものと認められるところ,これらはいずれも基本的に本件判断を支持するか,少なくともこれと矛盾しないものといえる。 なお,控訴人らは,最高裁平成24年2月判決が指摘する「貯蓄純増論」は誤りであり,本件判断がこれを老齢加算廃止の理由としたとすれば,その判断過程に誤りがあると主張するが,これは,統計的な数値等との合理的関連性の観点からの過誤,欠落を指摘するものと解される(ちなみに,最高裁判所 本件判断がこれを老齢加算廃止の理由としたとすれば,その判断過程に誤りがあると主張するが,これは,統計的な数値等との合理的関連性の観点からの過誤,欠落を指摘するものと解される(ちなみに,最高裁判所は法律審であり,当該事件の事実審の事実認定に拘束されるから,最高裁平成24年2月判決自体が,控訴人ら指摘の事実を認定したものでないことはいうまでもない。)。 控訴人らの指摘する貯蓄純増論は,平成11年実態調査に基づく比較において,老齢加算されている世帯(70歳以上)と加算されていない世帯 (主に60~69歳)を比較した調査結果(上記(1)オ(イ)b)を指すものであるが,これは客観的な統計数値として老齢加算廃止の方向性を支持するものであることは明らかであり(専門委員会の検討資料となっており,本件中間取りまとめに当たっても,当然参考とされている。),厚生労働大臣が,本件判断(激変緩和措置に関する判断を含む。)に当たり,この統計数値を斟酌したとしても,何ら不合理とはいえない(なお,統計資料自体には「貯蓄純増額」や「平均貯蓄率」などといった項目はないが,これらは,資料に表れた数値から合理的に導き出された数値であり,その数値をどのように呼称するかは,本質的な問題でないことは明らかである。)。したがって,貯蓄純増論に関する控訴人らの上記主張は採用できない。 エ以上によれば,本件判断に,統計的数値との合理的関連性の観点において,判断に至る手続や判断過程に過誤,欠落があったとまでは認められない。他に,本件判断について,上記の観点からの過誤,欠落があったことを認めるに足りる証拠はない。 (4) 専門的知見との整合性についてア本件判断は,専門委員会の中間取りまとめの内容(上記(1)オ(ウ))を踏まえ,その趣旨に沿ったものといえるところ,同委員 とを認めるに足りる証拠はない。 (4) 専門的知見との整合性についてア本件判断は,専門委員会の中間取りまとめの内容(上記(1)オ(ウ))を踏まえ,その趣旨に沿ったものといえるところ,同委員会の設置目的やその委員の構成,審議経過などに照らせば,専門委員会による中間取りまとめは,その時点における重要な専門的知見と評価することができる。 これについて,控訴人らは,本件中間取りまとめは直ちに老齢加算を廃止することを提言したものとはいえないとするが,本件中間取りまとめが老齢加算の廃止の方向性を明確に示したものであることはその内容に照らして明らかであり,本件判断は専門的知見である本件中間取りまとめの趣旨に整合するものといえる。確かに,本件中間取りまとめは,老齢加算を廃止すべき時期等について明示してはいないが,「廃止の方向で見直すべ き」としており,近い時期に廃止すべきことを強く示唆するものであるといえる。また,本件中間取りまとめは,老齢加算の廃止に関して,高齢者世帯の最低生活水準の維持に配慮することも求めているが,これはあくまでも「引き続き検討」する必要性を指摘するものであって,何らかの代償措置を設けることを老齢加算廃止の条件とするものではないし,特定の具体的措置の実施を提言するものでもない(本件中間取りまとめは厚生労働大臣の判断を法的に拘束するものではないから,そこに示された提言の内容,方向性をいつどのようなかたちで実現するかは,厚生労働大臣の専門技術的,政策的裁量に属する事柄である。なお,本件取りまとめの中でも示された激変緩和措置については,後記(5) で検討するとおりである。)。 イなお,専門委員会の審議の過程においても,委員からは様々な意見が提出されており,その中には,当然最終的な取りまとめ内容と方向性の異なる意見 ついては,後記(5) で検討するとおりである。)。 イなお,専門委員会の審議の過程においても,委員からは様々な意見が提出されており,その中には,当然最終的な取りまとめ内容と方向性の異なる意見(老齢加算廃止に消極的な意見)も含まれている(甲2の1~18。専門委員会の会議における各委員の意見の内容は,原判決78頁4行目から87頁8行目までのとおりであるから,これを引用する。)。そのような多様な意見を集約して,最終的にその時点における専門委員会の見解として示されたものが本件中間取りまとめであり,取りまとめの過程で多様な意見が出されたことは,その時点での専門委員会の結論的見解である本件中間取りまとめの専門的知見としての信頼性を減殺するものでないことは明らかである(むしろ,各委員からそれぞれの立場,知見を踏まえた多様な意見が提出され,議論の俎上に乗せられること自体が,このような委員会に一定の事項を諮問し,その意見を徴して一定の判断の資料とする目的であり,専門委員会に期待される役割であったともいえ,多様な意見を集約した結果として取りまとめられた本件中間取りまとめは,専門的知見として十分尊重されるべきものであるといえる。)。 ウ控訴人らは,本件保護基準改定は,本件中間取りまとめからわずか4日で予算の財務省原案内示,更に4日後に予算案の閣議決定がなされており,本件中間取りまとめやその背景となった統計的な数値等との合理的関連性の検討,検証が不十分であると指摘する。しかしながら,専門委員会は,厚生労働省内に設置されたものであり,その審議経過(検討の対象となった各種資料の内容や,各会議における各委員の意見の趣旨・内容を含む。)については,厚生労働大臣においても逐一把握していたものと考えられ,その審議の経過を踏まえて,これに沿った保護基準 討の対象となった各種資料の内容や,各会議における各委員の意見の趣旨・内容を含む。)については,厚生労働大臣においても逐一把握していたものと考えられ,その審議の経過を踏まえて,これに沿った保護基準改定案を検討,作成する時間的余裕はあったものと考えられるから,最終的な本件中間取りまとめの公表と,これに沿った保護基準改定に伴う予算の財務省原案内示が,結果的に接着した時期に行われたとしても,時間的に検討が不十分であったとはいえない(なお,財務省原案内示や予算案の閣議決定はあくまでも次年度予算にかかるものであり,法に基づく保護費の支給義務は予算の有無にかかわらず発生するから,予算の政府原案が決定された後も,保護基準改定に向けた検討をすることは可能であったといえるところ,本件保護基準改定に係る最初の告示である130号告示は本件中間取りまとめの公表から約3か月後であって,この点からも,保護基準の改定に向けた検討の期間が十分になかったとはいえないところである。)。 エ次に,控訴人らは,専門委員会にも資料として提出された概要報告書の分析結果(甲151,152)は,本件保護基準改定との関係において重要な専門的知見と評価できるところ,本件判断やその前提となった比較①,比較②は,この知見と整合しないとする。 概要報告書は,専門委員会の第2回会議に資料として提出されており(乙16の2。なお,同報告書を取りまとめた検討会委員のうち2名は,専門委員会の構成員でもある。),本件中間取りまとめはこのような資料の分析,検討をも踏まえたものであるといえる。したがって,概要報告書 に表われた内容が,本件中間取りまとめの趣旨と必ずしも方向性を同じくするものでなかったとしても,直ちに本件中間取りまとめの専門的知見としての信頼性を減殺するものでないことは って,概要報告書 に表われた内容が,本件中間取りまとめの趣旨と必ずしも方向性を同じくするものでなかったとしても,直ちに本件中間取りまとめの専門的知見としての信頼性を減殺するものでないことはいうまでもない。 なお,概要報告書の内容を独自に分析したJ(概要報告書を取りまとめた検討委員会の座長),Kの両名による独自の分析結果は,この種の問題に関する見解のひとつであり,他に比較して特に重視すべき知見であるとまではいえない上,そもそも,その公表時期は,前者が平成16年3月以降,後者に至っては平成22年9月ころであって,いずれも本件中間取りまとめの公表後で,時期的に本件判断の前提資料とはなり得ない時期に公表されているものである。したがって,厚生労働大臣が本件判断をするに当たり,これらの資料に示された知見を考慮しなかったからといって,裁量権の逸脱,濫用があったといえないことは明らかである(裁量権の逸脱,濫用の有無は,あくまでも本件判断の時点において,考慮すべき事項を考慮せず,あるいは考慮すべきでない事項を考慮したかなどの事情に基づいて決せられるものであって,判断時点において入手することができなかった知見の内容如何によって左右されるものでないことは当然である。)。 (5) 保護を要する者の期待的利益への配慮と激変緩和措置についてア老齢加算は,一定の年齢に達した被保護者に対してその存命中一律に適用されるものであり,該当する者がこれを踏まえた生活扶助を受けることを期待し,これを前提とした生活設計を立てることも当然予想されるところであるから,厚生労働大臣は,老齢加算の見直し(減額・廃止)を検討する場合には,上記のような期待的利益にも配慮して,対象者の生活に看過し難い影響を及ぼすようなことのないよう,激変緩和措置等の要否やその内容について 労働大臣は,老齢加算の見直し(減額・廃止)を検討する場合には,上記のような期待的利益にも配慮して,対象者の生活に看過し難い影響を及ぼすようなことのないよう,激変緩和措置等の要否やその内容についても検討すべきであり,これについても,厚生労働大臣は,専門技術的,政策的裁量権限を有しているものと解される(最高裁平成2 4年4月判決参照)。 イこれに関し,本件中間取りまとめにおいては,老齢加算廃止に伴って,生活保護基準の体系の中で高齢者世帯の最低生活水準が維持されるよう引き続き検討する必要があること,被保護世帯の生活水準が急に低下することのないよう,激変緩和措置を講じるべきであることが提言されており,厚生労働大臣が老齢加算の廃止に係る本件保護基準改定を行うに当たり,これら提言の趣旨を踏まえた検討をする必要があったことは明らかである。 ウ厚生労働大臣は,本件保護基準改定において,3年間で段階的に老齢加算を廃止することとしたものの,これに対応して,基準生活費の増額などの措置は採っていないところ,控訴人らは,老齢加算を廃止するのであれば,合わせて,本件中間取りまとめの趣旨に従った生活扶助基準の見直し(基準生活費の増額等)が必要であったものであり,これをしないまま老齢加算の減額,廃止のみを行った老齢加算改定は違法であると主張する。 しかしながら,本件中間取りまとめは,高齢者世帯に配慮した,引き続いての検討の必要性を指摘するものであり,老齢加算の廃止に合わせて,直ちに生活扶助基準の見直しが必要であるとするものではないし,当時の生活扶助基準の水準についても検討を加え,勤労者世帯の低所得層と比較してその消費水準と均衡するか,かえってこれを上回るとの評価も示している(上記(1)オ(ウ)。なお,その後の本件最終報告書においても,当時の生活扶 準についても検討を加え,勤労者世帯の低所得層と比較してその消費水準と均衡するか,かえってこれを上回るとの評価も示している(上記(1)オ(ウ)。なお,その後の本件最終報告書においても,当時の生活扶助基準の水準は,基本的に妥当と評価されている〔上記(1)カ(ア)〕。)のであって,本件中間取りまとめの趣旨が,老齢加算の廃止に合わせて生活扶助水準の見直し(基準生活費の増額などの代償措置)を求めるものでないことは明らかである。したがって,厚生労働大臣が,本件保護基準改定において,老齢加算廃止に伴う代償措置が必要であるとの判断をしなかったとしても,本件中間取りまとめの趣旨に反するものとはい えない。 エ本件中間取りまとめにおいて指摘された激変緩和措置についても,同取りまとめにおいては,具体的になすべき激変緩和措置の内容にまでは触れていないところ,厚生労働大臣は,具体的な激変緩和措置の内容として3年間での段階的廃止を選択したものである。上記のとおり,本件中間取りまとめ自体において,70歳以上の高齢者について,老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとは認められない(すなわち,老齢加算を廃止しても,高齢被保護世帯の生活水準が,健康で文化的な最低限度の水準を下回るとは認められない)との判断が示されているのであるから,老齢加算を受けない被保護世帯や生活保護非受給者との公平,国の財政事情等の観点をも考慮すれば,被保護世帯の生活水準の急激な低下を避けるための激変緩和措置として,老齢加算の3年間での段階的廃止は合理性を有するものと認められ,厚生労働大臣の専門技術的,政策的裁量の範囲内であるというべきである。 なお,本件中間取りまとめ及びその後の本件最終報告書において指摘された継続的な検討の必要性についても,厚生労働大臣は,本件保護基準改訂後も 専門技術的,政策的裁量の範囲内であるというべきである。 なお,本件中間取りまとめ及びその後の本件最終報告書において指摘された継続的な検討の必要性についても,厚生労働大臣は,本件保護基準改訂後も継続的に保護基準の水準が適正であるかについて検討を行っていることが認められ(上記(1)カ),本件中間取りまとめによる提言の趣旨に沿った対応がなされていると評価できる。そして,平成16年特別集計の結果(上記(1)カ(ウ))も,基本的に生活扶助基準の水準の妥当性を示すものといえる。 したがって,厚生労働大臣が老齢加算改定において行った激変緩和措置(3年間での段階的廃止)について,同大臣に裁量権の逸脱,濫用があったとは認められない(なお,控訴人らは,激変緩和措置の要否等についても時間的に十分な検討がなされていないと主張するが,本件中間取りまとめの公表後4日で次年度予算の財務省原案が提示されたとしても,時間的 に検討が不十分であったといえないことは,上記(4)ウのとおりである。)。 (6) 以上によれば,厚生労働大臣が,本件保護基準改定に当たってした本件判断(激変緩和措置に関する判断を含む。)について,統計等の客観的な数値との合理的関連性や,専門的知見との整合性等の観点から,過誤,欠落があるとは認められず,上記判断は,厚生労働大臣の専門技術的,政策的裁量権限を逸脱し,またはこれを濫用するものとはいえないから,老齢加算改定に係る本件保護基準改定は適法である。 そして,本件各決定は,本件保護基準改定を踏まえ,その内容に沿ったものであるから,本件保護基準改定に伴って控訴人らの保護費の額を減額した本件各決定も内容的に違法とは認められない。 5 争点(5)(多人数世帯基準改定の合理性)について多人数世帯基準改定は,控訴人Gが承継参加し 件保護基準改定に伴って控訴人らの保護費の額を減額した本件各決定も内容的に違法とは認められない。 5 争点(5)(多人数世帯基準改定の合理性)について多人数世帯基準改定は,控訴人Gが承継参加した一審原告Fのみに関係するところ,上記1のとおり,一審原告Fに関する訴訟は同人の死亡により終了しており,控訴人Gの控訴は理由のないことが明らかであるから,争点(5)については,判断を要しない。 6 争点(6)(本件各決定のうち,本件保護基準改定の告示前になされたものは違法か)について本件各決定の一部が,対応する本件保護基準改定に係る厚生労働省告示(以下,本項において「改定告示」という。)前になされたことは当事者間に争いがない。 告示は,各省大臣等が,その機関の所掌事務について,公示を必要とする場合に発するものである(国家行政組織法14条1項)が,法8条は,厚生労働大臣が保護基準を定めるについて告示の方式によることを定めているわけではなく,告示の方式により公表されることによって初めて保護基準が法的効力を生じると解すべき法令上の根拠もない。また,生活保護に係る事務は本来国の 事務であり,地方公共団体は法定受託事務としてこの事務を行うものであって(地方自治法2条9項,10項,別表第1参照),保護の実施に関しては,厚生労働大臣は実施機関である地方公共団体の長に対して上級行政庁の関係にあるといえる。法8条に定める保護基準は,その改定によって直ちに具体的な保護費の額の変更を来すものではなく,保護の実施機関による具体的な処分(保護決定)によって初めて保護費の額の変更が生じるものであるから,保護基準は,保護の実施機関たる下級行政庁に対する通達ないし職務命令の性質を有するものであって,直接国民の権利義務に係る法規たる効力を有するものとはいえない 保護費の額の変更が生じるものであるから,保護基準は,保護の実施機関たる下級行政庁に対する通達ないし職務命令の性質を有するものであって,直接国民の権利義務に係る法規たる効力を有するものとはいえない。 したがって,保護に関する決定が時間的に保護基準の改定を公示する告示前になされたとしても,内容的にみて改定された保護基準に違背するものでない限り(保護決定の内容が,対象となる時期における保護基準に適合する限り),直ちに当該処分が違法となるものではないというべきである。 そして,本件各決定は,いずれも,対応する改定告示の適用開始時である告示日の翌月1日(新会計年度の初日である当該年の4月1日)以降の保護費に関するものであり,あらかじめ厚生労働省担当者から示された改定告示案の内容に従ってなされたもので(乙41の1~4),内容的に本件保護基準改定の趣旨に沿うものであったことが認められる上,改定告示の適用日である当該年の4月1日から,改定された保護基準に基づいた保護を確実に実施するためには,告示前に決定を行うことが事務手続上やむを得ないものであったこともうかがわれる。したがって,改定告示前に本件各決定(一部)がなされたとしても,当該処分が違法であるとまではいえない。 7 結論以上によれば,控訴人Aら5名についてはその死亡により訴訟が終了しているのでその旨の宣言をすることとし,控訴人Gの控訴は理由がないから,これを棄却することとする。 その余の控訴人らの請求については,本件金銭請求のうち本件口頭弁論終結日の翌日以降の期間に対応する部分については,これに係る訴えは不適法であるから却下すべきであり,その余の請求については,本件各決定が違法とは認められないことから,いずれも理由がなく,棄却すべきである。 原判決は,本件金銭請求のうち原 いては,これに係る訴えは不適法であるから却下すべきであり,その余の請求については,本件各決定が違法とは認められないことから,いずれも理由がなく,棄却すべきである。 原判決は,本件金銭請求のうち原審口頭弁論終結日の翌日から当審口頭弁論終結日までの期間に対応する部分も却下しており,この点において上記判断と一部結論を異にするが,この部分については被控訴人らからの控訴・附帯控訴がなく,不利益変更禁止の原則により,原審が訴えを却下した部分について当審においてその訴えに係る請求を棄却する判決をすることはできないから,控訴人Aら5名及び控訴人Gを除くその余の控訴人らの本件控訴を棄却することとする。 よって,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第3部 裁判官曳野久男 裁判官木村哲彦 裁判長裁判官筏津順子は,転補のため署名押印することができない。 裁判官曳野久男

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