主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告が,阿波市となる前の徳島県阿波郡阿波町(以下「阿波町」という)。 において徳島地方裁判所平成●●年(ワ)第●●●号損害賠償請求事件以下前(「訴1審」という)及び高松高等裁判所平成●●年(ネ)第●●●号損害賠償請。 求控訴事件以下前訴控訴審という前訴1審と前訴控訴審とを併せて前(「」。 「訴」という)の訴訟委任に係る弁護士報酬として弁護士Aに支払った以下の。 合計197万5000円について,Bに対して,国家賠償法(以下「国賠法」という)1条2項に基づき求償権を行使しないことが違法であることを確認。 する。 平成15年1月21日100万円平成16年6月7日17万5000円平成16年7月5日80万円第2事案の概要本件は,C株式会社(以下「C」という)が阿波町発注の公共工事の入札。 業者の指名を回避されたことを理由として提起した損害賠償請求訴訟である前訴において,阿波市(阿波町)が,前訴1審で一部敗訴判決を受けた上,前訴控訴審で訴訟上の和解をし,Cに対して賠償金の支払をしたことに関して,阿波市において,阿波町長であったBに対して,国賠法1条2項に基づき,上記賠償金相当額を求償し,Bから同求償金の支払を受けたのと同様に,阿波町が被告訴訟代理人Aに対して支出した前訴の訴訟委任に係る弁護士報酬(合計197万5000円)についても国賠法1条2項に基づく求償権の行使をすべき,,,であるにもかかわらずこれを怠っているとして阿波市の住民である原告が 被告に対して,地方自治法(以下「法」という)242条の2第1項3号に。 基づき,上記求償権を行使しないのが違法であることの確認を求めた住民訴訟であ れを怠っているとして阿波市の住民である原告が 被告に対して,地方自治法(以下「法」という)242条の2第1項3号に。 基づき,上記求償権を行使しないのが違法であることの確認を求めた住民訴訟である。 前提事実(認定事実については証拠等を掲記する)。 (1)当事者等ア原告は,阿波市(合併前の阿波町)の住民である。 イ被告は,阿波市長である。 ウBは,阿波町長であった者である。 (2)前訴の経過等アCは,平成14年,阿波町発注の公共工事の指名競争入札に参加していたものの,阿波町長(B)から恣意的に指名を回避されたと主張し,阿波町に対し,国賠法1条1項に基づき,損害(3558万9590円)の賠償を求める前訴1審を徳島地方裁判所に提起した。阿波町は,前訴について,被告訴訟代理人らに訴訟委任した。徳島地方裁判所は,平成16年4月15日,上記指名回避について一定期間を経過した後も継続したことが違法であるとして,329万5108円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じる判決をした(乙1。以下「前訴1審判決」という。 。)イCは,平成16年4月27日に,阿波町は,同月28日に,いずれも前訴1審判決を不服として,高松高等裁判所に控訴した(乙2ないし4。平成●●年(ネ)●●●号。同裁判所において,阿波町の承継人阿波市とC)との間で,平成18年4月25日に,阿波市がCに対して解決金374万1450円及びこれに対する平成14年10月27日から平成18年4月26日までの年5分の割合による遅延損害金65万4496円の合計439万5964円を支払うことなどを内容とする和解が成立した(乙2。以下「本件和解」という。阿波市は,Cに対し,同月26日,本件和解。)に基づき,439万5964円を支払った(甲3。 ) ウ阿波市は,阿波町長で うことなどを内容とする和解が成立した(乙2。以下「本件和解」という。阿波市は,Cに対し,同月26日,本件和解。)に基づき,439万5964円を支払った(甲3。 ) ウ阿波市は,阿波町長であったBに対し,平成18年4月26日,国賠法1条2項に基づき,本件和解によってCに支払った439万5964円を支払うよう請求した(甲3。Bは,阿波市の請求に応じ,上記請求を受)けた金員の全額を支払った(弁論の全趣旨。 )エ阿波町は,被告訴訟代理人らに対し,前訴の訴訟委任に係る弁護士費用(以下「本件弁護士費用」という)として,以下のとおり,合計197。 万5000円を支出した。 平成15年1月21日100万円平成16年6月7日17万5000円平成16年7月5日80万円(3)監査請求ア原告は,阿波市監査委員に対し,平成18年6月19日,法242条に基づき,阿波市がBに対して国賠法1条2項に基づき求償した本件和解に基づく賠償金と同様に,本件弁護士費用相当額についても求償権を行使すべきであるのに,これを怠っているとして,阿波市がBに対して本件弁護士費用相当額を求償するよう求める監査請求をした(甲4。 )イ阿波市監査委員らは,原告に対し,平成18年8月16日付けで,阿波市はBに対する本件弁護士費用相当額の求償権を有しないとの判断の下に請求をしなかったものであり,求償権の行使を怠っているとはいえないとして,前記アの監査請求を却下し(その実質は棄却に当たるものと考えられる,原告は,翌17日,同監査結果の通知を受けた(甲5。 。))(4)本件訴えの提起原告は,前記(3)イの監査結果を不服として,平成18年9月15日,本件訴えを提起した。 争点 阿波市がBに対して国賠法1条2項に基づく求償権の行使として,本件弁護 )(4)本件訴えの提起原告は,前記(3)イの監査結果を不服として,平成18年9月15日,本件訴えを提起した。 争点 阿波市がBに対して国賠法1条2項に基づく求償権の行使として,本件弁護 士費用相当額を請求しないことが違法であるか否か。 【原告の主張】(1)前訴1審判決は,阿波町長(B)による指名回避について一定期間を経過した後も継続したことが裁量権の行使を逸脱,濫用した違法な公権力の行使に当たるとして,阿波市が,国賠法1条1項に基づき,Cの被った合計329万5108円(逸失利益299万5108円及び弁護士費用相当額30万円)の損害を賠償する責任を負うなどと判断した。前訴控訴審においては,前訴1審判決を踏まえ,阿波市においてCに対して上記損害額よりも増額した374万1450円を支払うことで和解をしたのである,,。 から本件和解の解決金の趣旨は国賠法1条1項に基づく賠償金である阿波町が支出した前訴に係る本件弁護士費用についても,Bの違法行為に,,よる損害であり本件和解により支出した賠償金と同質のものであるから本件和解の結果,Bは,阿波市に対して本件弁護士費用相当額についても賠償する責任を負う。阿波市は,国賠法1条2項に基づき,Bに対し,本件和解により支出した賠償金について求償権を行使し,Bがこれに応じたのであるから,Bには同項の故意又は重大な過失がある。被告は,Bが阿波市の求償に応じたのは前訴1審の当時から阿波町に迷惑をかけられないと思っていたからにすぎないとして,Bの故意又は重過失を否定するものの,同主張は,阿波市がBに対して国賠法1条2項に基づき求償権を行使したことと矛盾するものである。Bとしても,自らが清廉潔白であるならば,阿波町に迷惑をかけられないなどと思うはずがなく,仮に,Bがそのように思っていたのであ 対して国賠法1条2項に基づき求償権を行使したことと矛盾するものである。Bとしても,自らが清廉潔白であるならば,阿波町に迷惑をかけられないなどと思うはずがなく,仮に,Bがそのように思っていたのであれば,阿波市に対して,本件弁護士費用相当額についても賠償すべきである。 (2)以上によれば,阿波市がBに対して国賠法1条2項に基づく求償権の行使として,本件弁護士費用相当額を請求しないことは違法である。 【被告の主張】 (1)前訴控訴審における本件和解は,Cと阿波市との双方が法律的な勝敗を決めずに,阿波市がCに対して解決金としてCの請求額(3558万9590円)のうち374万1450円を支払うことなどを内容とするものにすぎず,阿波市が国賠法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことや,阿波町長であったBに同条2項の故意又は重過失があることを認めたものではない。Bが阿波市の請求に応じて支払をしたのは,前訴1審の係属当時から阿波町に迷惑をかけられないと思っていたからにすぎず,故意又は過失があることを認めた上で支払をしたものではない。阿波町は,その有する応訴権に基づき,Cが提起した前訴に対して被告訴訟代理人らを選任した上で応訴したものであるから,この場合の被告訴訟代理人らに対する本件弁護士費用については阿波町の承継人である阿波市が負担するのが当然である。 (2)以上によれば,阿波市がBに対して国賠法1条2項に基づく求償権の,。 行使として本件弁護士費用相当額を請求しないことは何ら違法ではない第3当裁判所の判断 原告は,阿波市が,前訴控訴審において,阿波町長であったBが違法な公権力を行使したことを前提として,Cに対して国賠法1条1項に基づき賠償金を支払う本件和解をした上,Bに対して,同条2項に基づき,本件和解の賠償金について求償権を行使 て,阿波町長であったBが違法な公権力を行使したことを前提として,Cに対して国賠法1条1項に基づき賠償金を支払う本件和解をした上,Bに対して,同条2項に基づき,本件和解の賠償金について求償権を行使し,Bがこれに応じたのであるから,阿波町が支出した前訴の訴訟委任に係る本件弁護士費用相当額についても同様に求償権を行使しないのは違法である,と主張する。 しかしながら,国賠法1条2項は,同条1項により国又は公共団体が被害者に損害の賠償をした場合において,故意又は重大な過失がある公務員に対して求償権を有することを規定したものであるから,同条2項に基づき求償することができるのは,国又は公共団体が被害者に対して賠償した損害に限られることは明らかである。国又は公共団体が国家賠償請求訴訟について訴訟委任をし たことにより支出した弁護士費用は,被害者に対して賠償した損害ではないから,同項の求償権の対象の範囲外である。国家賠償請求訴訟は,国又は地方公共団体を被告とする訴訟(なお,原告は,前訴に関して,B個人を被告とすべきであったかのような主張をするものの,失当である)である以上,国家賠。 償請求訴訟に対して応訴するか否かの決定権を有するのは国又は地方公共団体であるから,国又は地方公共団体がその判断により弁護士に訴訟委任をして応訴した場合には,当該弁護士に対する訴訟委任により支出した弁護士費用は国又は地方公共団体が自らのための費用としてこれを負担すべきである。仮に,国家賠償請求訴訟に敗訴したからといって,国又は公共団体が支出した弁護士費用を公務員個人に負担させるべきものということはできない。これと異なる前提に立つ原告の主張は失当である。 ,,,なお原告は前訴1審判決において阿波町の賠償責任が認められたことやBが阿波市による国賠法1条2項に基づく求償に きものということはできない。これと異なる前提に立つ原告の主張は失当である。 ,,,なお原告は前訴1審判決において阿波町の賠償責任が認められたことやBが阿波市による国賠法1条2項に基づく求償に応じたことを根拠として,Bに故意又は重過失があると主張する。しかしながら,国家賠償請求訴訟で国又は地方公共団体が敗訴した場合に,公務員が,自らに故意又は重過失がなく,国又は地方公共団体による求償権に応じる法的義務がないと考えつつも,諸般の事情を考慮した上,政治的ないし道義的な責任を果たす趣旨で求償権に応じる場合があることは十分に想定し得るのであるから,本件和解に基づく阿波市のCに対する支出について,阿波市がBに対して国賠法1条2項に基づき求償,,権を行使したのに対しBがこれを争わずに阿波市に支払をしたからといって当然に,Bに故意又は重過失があるということができるわけではなく,前訴1審判決において,Bによる指名回避措置について裁量権を逸脱,濫用した違法な公権力の行使であると判断されているからといって,そのことから,直ちにBに故意又は重過失があるものと推認することもできない。他に,Bに故意又は重過失があることを認めるに足りる主張立証はない。 以上のとおりであるから,阿波市がBに対して,国賠法1条2項に基づく求 償権の行使として,本件弁護士費用相当額を請求しないことは違法ではない。 第4 結論 以上によれば,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 徳島地方裁判所第2民事部裁判長裁判官阿部正幸裁判官大野晃宏裁判官高橋信慶 徳島地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官 阿部正幸 裁判官 大野晃宏 裁判官 高橋信慶
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