【DRY-RUN】主 文 原決定を取り消す。 理 由 本件特別抗告の趣意は、別紙特別抗告申立書と題する書面記載のとおりである。 よつて記録を調べてみるに、被告人Aは、同人に対
主 文 原決定を取り消す。 理 由 本件特別抗告の趣意は、別紙特別抗告申立書と題する書面記載のとおりである。 よつて記録を調べてみるに、被告人Aは、同人に対する覚せい剤取締法違反被告 事件において昭和二八年一二月二三日第一審である岡山地方裁判所で懲役三月(一 部無罪)の判決の言渡を受け、即日、その弁護人佐々木祿郎の保釈請求により「保 釈はこれを許可する。保証金額は金五万円とする。但し内金二万円は佐々木祿郎の 保証書を以つてこれに代える」旨の保釈許可決定を得、保証金の内金三万円は現金 で納付し、残金二万円については佐々木祿郎の保証書を差入れた上釈放されたが、 その後、右Aの被告事件につき控訴の申立があり、広島高等裁判所岡山支部におい て昭和二九年九月七日控訴棄却の判決の言渡がなされ、更に上告の申立があり、最 高裁判所において同年一二月二五日上告棄却の決定がなされて、ここに前記第一審 判決は確定するに至つた。そこで検察官において右刑の執行をなすためAの所在を 調査したところ同人が逃亡していたので、検察官は広島高等裁判所岡山支部に対し 保釈保証金没取請求をなした。かくて昭和三〇年一二月二〇日広島高等裁判所岡山 支部は、右請求を理由ありとし前記Aに対する保釈保証金全部を没取する旨の決定 をなしたのであるが、これに対し佐々木祿郎から異議の申立がなされ、その結果広 島高等裁判所岡山支部は、昭和三一年四月二六日右保釈保証金没取決定を取り消し たものであること明らかである。 そこで佐々木祿郎に右異議申立権があつたかどうかをみるに、同人は被告人Aの 被告事件が第一、二審に係属していた当時の弁護入であつたことは記録上明白であ るが、右異議申立当時、右被告事件はすでに確定していたのであるから、佐々木祿 郎の弁護権はもはや、存在していなかつたこと勿論で 被告事件が第一、二審に係属していた当時の弁護入であつたことは記録上明白であ るが、右異議申立当時、右被告事件はすでに確定していたのであるから、佐々木祿 郎の弁護権はもはや、存在していなかつたこと勿論であり、又、同人はAから特に - 1 - 異議申立について委任を受けた形跡もないし、他方、Aの保釈保証金五万円の内金 二万円につき保証書を差入れた利害関係人であるとはいえ、保釈保証金没取決定を 受けたものは、Aに外ならないのであるから、佐々木祿郎自身は刑訴三五二条の「 被告人以外の者で決定を受けたもの」には該当しないものと解すべく、同人には異 議申立権はなかつたものというべきである。従つて同人の前記異議申立は不適法と して棄却すべきであつたのに原決定はこの点を看過し、結局異議を認めて前記保釈 保証金没取決定を取り消したのであるから、原決定を破棄しなければ著しく正義に 反するものと認められる。そして本件のような場合には当然最高裁判所は刑訴四一 一条を準用して正義を維持するため職権破棄権を発動し得るものと解すべきである (昭和二五年(し)第六四号同二六年四月一三日第二小法廷決定集五巻五号九〇二 頁参照)から、原決定は取り消しを免れない。 よつて刑訴四二六条二項、四三四条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり 決定する。 昭和三一年八月二二日 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 谷 村 唯 一 郎 裁判官 池 田 克 - 2 -
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