令和4(ワ)70089等

裁判年月日・裁判所
令和6年1月18日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-92942.txt

キーワード

判決文本文15,832 文字)

令和6 年1 月18 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和4 年(ワ)第70089 号債務不存在確認等請求事件(本訴)令和5 年(ワ)第70199 号損害賠償請求反訴事件(反訴)口頭弁論終結日令和5 年11 月9 日判決 本訴原告・反訴被告日本郵便株式会社(以下「原告」という。) 同訴訟代理人弁護士村西大作 本訴被告・反訴原告aことA(以下「被告」という。) 主文 1 原告が実施した平成31 年用年賀はがきに関する「送る人にも福来たるキャンペーン」について、原告の被告に対する別紙被告実用新案権等目録各記載の実用新案権又は著作権の侵害による不法行為に基づく損害賠償債務又は不当利得返還債務がいずれも存在しないことを確認 する。 2 被告は、原告に対し、50 万円及びこれに対する令和5 年1 月15 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の本訴請求及び被告の反訴請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、本訴、反訴を通じ、被告の負担とする。 この判決は、第2 項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 本訴(1) 主文第1 項と同旨(2) 被告は、原告に対し、200 万円及びこれに対する令和5 年1 月15 日から支 払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 反訴原告は、被告に対し、2000 万円を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 (1) 本訴本訴は、原告が、被告に対し、以下の請求をする事案である。 ア平成31 年用年賀はがきに関する原告の販売促進施 万円を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 (1) 本訴本訴は、原告が、被告に対し、以下の請求をする事案である。 ア平成31 年用年賀はがきに関する原告の販売促進施策「送る人にも福来たるキャンペーン」)(以下「本件施策」という。)について、被告が、平成年11 月頃から、原告に対し、別紙被告実用新案権等目録各記載の実用 新案権(以下「本件実用新案権」という。)又は著作権(以下「本件著作権」といい、本件実用新案権と併せて「本件実用新案権等」という。)の侵害等を理由に継続的に金銭の支払等を要求した旨を主張して、原告の被告に対する本件実用新案権等の侵害の不法行為に基づく損害賠償債務又は不当利得返還債務がいずれも存在しないことの確認請求。 イ原告は、平成31 年4 月頃、被告に対し、上記要求には応じない旨を回答したにもかかわらず、その後も3 年以上にわたり執拗に自己の要求を繰り返した被告の一連の行為は原告に対する不法行為に当たる旨を主張して、不法行為に基づき、200 万円の損害賠償請求及びこれに対する不法行為後の日である令和5 年1 月15 日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで 民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求。 (2) 反訴反訴は、被告が、本件施策は被告が考案して平成26 年頃に原告に提案した「送る人も受け取る人も伴に徳をもたらす」というアイデア(以下「被告アイデア」という。)と同じ意味、目的を有するものであるところ、原告が被告の了解なく本件施策を実施した行為は被告アイデアの盗用であり、また、原 告訴訟代理人が、平成31 年から令和4 年12 月まで、被告に対し、民事・刑事を問わず法的措置を執るなどと述べて被告を脅迫したことも被告に対する不法 行為は被告アイデアの盗用であり、また、原 告訴訟代理人が、平成31 年から令和4 年12 月まで、被告に対し、民事・刑事を問わず法的措置を執るなどと述べて被告を脅迫したことも被告に対する不法行為を構成する旨を主張して、原告に対し、不法行為に基づき、2000 万円の損害賠償請求(一部請求)を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、末尾の証拠及び弁論の全趣旨により容易 に認められる事実。証拠番号の枝番は省略する(以下同様)。)(1) 当事者ア原告は、郵便法の規定により郵便業務等を営む株式会社である。 イ被告は、「a」又はその所長等の肩書を付して、後記のとおり、原告に対し、被告アイデアの提案等を行った者である。 (2) 被告の原告に対する被告アイデアの提案等被告は、平成26 年頃から、複数回、原告に対し、年賀はがき等の売上げ向上に関する営業上の提案ないし売込みを行い、平成28 年頃には、原告従業員B(以下「b」という。)と面会して直接被告アイデアを提案した。 被告アイデアは、「送る人にも受け取る人にも伴に徳がある」というもの であり、要するに、年賀はがき等を受け取った側だけでなく、送った側も賞金等を受け取ることができるようにすることにより、年賀はがき等の売上げ向上を図るというものである(甲1)。 (3) 本件実用新案権の登録本件実用新案権については、別紙被告実用新案権等目録記載1 のとおり、 平成25 年11 月27 日に実用新案登録出願がされ、同年12 月5 日及び平成26 年3 月27 日に各提出の手続補正書による手続補正を経て、同年5 月28 日、被告ほか1名を実用新案権者としてその登録がされた。その実用新案登録請求の範囲は、別紙「実用新案登録請求の 年3 月27 日に各提出の手続補正書による手続補正を経て、同年5 月28 日、被告ほか1名を実用新案権者としてその登録がされた。その実用新案登録請求の範囲は、別紙「実用新案登録請求の範囲」記載のとおりである。(甲3)(4) 本件著作権の登録本件著作権は、別紙被告実用新案権等目録記載2 のとおり、平成28 年9 月 1 日、被告ほか1名を権利者として、著作権登録がされた。本件著作権の著作物の種類及び内容は、別紙「本件著作権の著作物の種類及び内容」記載のとおりである。(甲1 の4 号の2 枚目)(5) 原告による本件施策の実施原告は、平成30 年11 月1 日、平成31 年用年賀はがきの販売を開始し、購 入者向けキャンペーンとして「送る人にも福来たるキャンペーン」(本件施策)を実施した。 本件施策は、郵便局等で対象の年賀はがき50 枚以上を購入した者に抽選券1 枚が交付され、当選者は賞品を受け取ることができるというものである。 (6) 被告の原告に対する対価支払要求等 ア被告は、原告が本件施策において被告アイデアを採用し、被告の本件実用新案権等に係る考案又は著作物を使用したものと考え、平成30 年11 月 18 日付け文書(甲1 の5 号)により、原告に対し、上記使用の対価に係る契約の締結に関する打合せの実施を求めた。 これに対し、bは、同年12 月20 日付け文書(甲1 の6 号)により、被 告に対し、本件施策は被告の提案等を採用したものではなく、本件実用新案権等に抵触するものではないこと等を回答した。 イしかし、被告は、その後も、bのほか、原告の社長等に対し、本件施策は被告アイデアを盗用したものであるとしつつ、この件に関する責任者による回答や原告の社長等との面会を求め、また、被告 回答した。 イしかし、被告は、その後も、bのほか、原告の社長等に対し、本件施策は被告アイデアを盗用したものであるとしつつ、この件に関する責任者による回答や原告の社長等との面会を求め、また、被告アイデア等の使用に 係る対価を要求する趣旨の文書を繰り返し送付した(甲1、4、6〜8)。 そこで、原告から委任された原告訴訟代理人は、平成31 年4 月2 日、被告に対し、「通知書」(甲9。以下「本件通知書」という。)により、本件施策の実施は本件実用新案権等を侵害するものではなく、被告アイデアも法的保護に値する権利又は利益に当たらないことから、被告の要求に応じることはできない旨と共に、被告が事実を歪曲して公表する行為に及んだ 場合には名誉毀損罪及び業務妨害罪に当たる可能性があり、また、対価を要求する行為は恐喝未遂罪に当たる可能性がある旨や、被告がそのような行為に及んだ場合には、民事・刑事の法的措置を執る可能性がある旨等を通知し、同月4 日、被告はこれを受領した。 ウ被告は、その後も、別紙「文書送受信時系列(平成30 年11 月18 日以 降)」の「被告発信文書」欄記載のとおり、平成31 年4 月10 日~令和4 年 11 月24 日の間、原告に対し20 件、日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という。)に対し3 件の文書を送付して自己の要求を繰り返し、また、総務省に対し4 件の文書を送付して本件に関する原告についての苦情を述べた。 このうち、被告が原告の社長、b及び原告訴訟代理人宛に送付した令和 4 年11 月12 日文書(甲15 の2)には、被告が、今後同人らを警察に対して刑事告発すると共に、同代理人については所属弁護士会に懲戒請求する旨などが記載されていた。 (7) 原告は、令和4 年12 月5 日 日文書(甲15 の2)には、被告が、今後同人らを警察に対して刑事告発すると共に、同代理人については所属弁護士会に懲戒請求する旨などが記載されていた。 (7) 原告は、令和4 年12 月5 日、本件訴訟を提起した。 (8) 被告は、令和5 年5 月11 日実施の第3 回弁論準備手続期日において、本 件施策につき、原告の被告に対する本件実用新案権等の侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償債務や不当利得返還債務の存在に関する主張立証の予定はない旨を述べた。 3 争点(1) 本訴について ア原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無(争点1-1) イ原告に生じた損害の有無及びその額(争点1-2)(2) 反訴についてア被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無(争点2-1)イ被告に生じた損害の有無及びその額(争点2-2) 4 争点に関する当事者の主張 (1) 争点1-1(原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無)について(原告の主張)被告は、平成30 年11 月頃から、原告(b、原告代表者等)に対し、被告アイデアの使用に係る対価の支払を求めたが、その要求に理由がないことは 明らかであった。そこで、原告から委任された原告訴訟代理人は、平成31 年 4 月、被告に対し、被告の要求には法的根拠がないため応じられない旨の回答を記載した本件通知書を送付した。 しかし、被告は、その後も3 年以上の長きにわたり、執拗に自己の要求を繰り返し、その中で原告及び原告訴訟代理人に対する脅しとも取れる主張を 述べた。このため、原告は、やむを得ず、被告に対する債務が存在しないことの確認判決を得るべく、本件訴訟の提起を弁護士に委任した。 被告が本件 告及び原告訴訟代理人に対する脅しとも取れる主張を 述べた。このため、原告は、やむを得ず、被告に対する債務が存在しないことの確認判決を得るべく、本件訴訟の提起を弁護士に委任した。 被告が本件通知書を受領した後にした一連の行為は、原告に対する不法行為に当たる。 また、被告の対価支払要求に理由がないことは明らかであるから、被告に は少なくとも過失がある。 したがって、原告は、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求権を有する。 (被告の主張)否認ないし争う。 被告は、原告に被告アイデアを盗用されたと考えているため、原告に対し て抗議するのは当然である。原告訴訟代理人は、被告に対し、法律の専門家としての地位を利用して法的措置を執るなどと脅迫しながら、長年にわたり本件を放置し、被告を精神的に苦しめてきたのであり、脅迫の被害者の立場にあるのは被告である。 また、被告は、約5 年間にわたり、原告や原告訴訟代理人から、名誉毀損 罪等に当たる、民事・刑事を問わず法的措置を執るなどと脅迫されたことにより、肉体的及び精神的に多大な苦痛を受けるなどしてきたことから、原告代表者、b及び原告訴訟代理人を警察に告発すると共に、同弁護士につき所属弁護士会に懲戒請求することを決断し、その旨通知したものである。 (2) 争点1-2(原告に生じた損害の有無及びその額)について (原告の主張)被告の不法行為により、原告は、やむを得ず本件訴訟を提起した。被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は200 万円を下らない。 したがって、被告は、原告に対し、不法行為に基づき、上記額の損害賠償請求権を有する。 (被告の主張)争う。 (3) 争点2-1(被告の原告に対する不法行為に基 0 万円を下らない。 したがって、被告は、原告に対し、不法行為に基づき、上記額の損害賠償請求権を有する。 (被告の主張)争う。 (3) 争点2-1(被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無)について(被告の主張) 原告は、被告から被告アイデアの提案を受けていたにもかかわらず、平成年に、被告の了解なく、被告アイデアと同じ意味・目的の本件施策を実施し、被告アイデアを盗用した。 また、原告訴訟代理人は、被告による対価支払要求に対し、平成31 年から令和4 年12 月までの約5 年にわたり、被告の行為が、名誉毀損、業務妨害 又は恐喝未遂罪等に当たり、民事・刑事を問わず法的措置を執るなどと述べ、 被告に対して脅迫や名誉毀損をしてきた。 このような原告の行為は、被告に対する不法行為を構成する。 したがって、被告は、原告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求権を有する。 (原告の主張) ア被告が被告アイデアを考案したことは不知。その余は否認ないし争う。 イ被告が被告アイデアを考案したこと自体明らかでない点を措くとしても、被告アイデアそれ自体は何らかの法的保護に値する権利ないし利益の対象となるものではないから、その侵害が生じる余地もない。 また、年賀はがきの受領者と購入者がそれぞれ何らかの利益を得るとい う施策は、原告が民営化された後に発行された年賀はがき(平成20 年用~令和4 年用)において、原告の施策として全国規模で実施されたものだけでも複数回実施されており、その時期は、被告が原告に被告アイデアを提案したとする時期よりも遥かに前である。本件施策もこれらと同様のものであり、被告アイデアと関係なく実施されたものである。 原告訴訟代理人は、このような理 時期は、被告が原告に被告アイデアを提案したとする時期よりも遥かに前である。本件施策もこれらと同様のものであり、被告アイデアと関係なく実施されたものである。 原告訴訟代理人は、このような理由を示して被告の要求には応じられない旨を回答した。しかし、被告は、その後も独自の見解に基づき執拗に自己の要求を繰り返し、ついには原告代表者、b及原告訴訟代理人に対する刑事告発や懲戒請求を行う旨を述べるまでに至った。このような被告に対し、不当な要求を止めるよう求め、被告の行動がエスカレートした場合に 犯罪に当たる可能性があることや法的措置を講じる可能性があることを示すことは、脅迫や名誉毀損には当たらない。 (4) 争点2-2(被告に生じた損害の有無及びその額)について(被告の主張)原告の不法行為により、被告は、原告に被告アイデアを提供した際の諸経 費や、原告訴訟代理人から受けた脅迫、名誉毀損等による精神的苦痛の損害 を被った。その損害額は、諸経費相当額270 万円及び慰謝料750 万円の合計 1020 万円である。 また、被告は、原告が無断で被告アイデアを使用したことにより、アイデア料相当額の損害を被った。アイデア料は、年賀はがき1 枚当たり1 円であり、平成30 年の年賀はがきの発行枚数25 億枚のうち1 割が本件施策による 販売とすると、算定対象となる数量は2 億5000 万枚となる。そうすると、アイデア料相当損害額は2 億5000 万円を下らない。 したがって、被告に生じた損害額は合計2 億6020 万円となるところ、本件ではその一部である2000 万円の損害賠償を請求する。 (原告の主張) 争う。 第3 当裁判所の判断 1 本訴請求のうち債務不存在確認請求について原告は、本件におい ところ、本件ではその一部である2000 万円の損害賠償を請求する。 (原告の主張) 争う。 第3 当裁判所の判断 1 本訴請求のうち債務不存在確認請求について原告は、本件において、原告の被告に対する本件実用新案権等の侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償債務又は不当利得返還債務の不存在確認を 求めている。 これに対し、被告は、その請求棄却を求める一方で、令和5 年5 月11 日実施の第3 回弁論準備手続期日において、本件施策につき、原告の被告に対する本件実用新案権等の侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償債務や不当利得返還債務の存在に関する主張立証の予定はない旨を述べた(前提事実(8))。 また、これらの債務の存在を認めるに足りる証拠はない。 したがって、原告の被告に対する上記各債務は存在しないものと認められる。 これに反する被告の主張は採用できない。 2 反訴請求について(1) 事案に鑑み、まず、争点2-1(被告の原告に対する不法行為に基づく損害 賠償請求権の有無)について判断する。 ア被告は、まず、原告が被告の了解なく本件施策を実施したことは被告アイデアの盗用に当たるなどとして、原告の行為が被告に対する不法行為となる旨を主張する。 しかし、そもそも、被告アイデア(「送る人にも受け取る人にも伴に徳がある」)は、年賀はがき等を受け取った側だけでなく、送った側にも賞金等 何らかの利益を付与することにより年賀はがき等の販売促進を図るというものであり、単なるビジネス上のアイデアに過ぎない。しかも、被告アイデアに類似する施策は原告において遅くとも平成19 年以降何度も実施されていたこと(甲16~20)に鑑みると、被告アイデアは、被告が原告に対して提案した平成26 年時点 に過ぎない。しかも、被告アイデアに類似する施策は原告において遅くとも平成19 年以降何度も実施されていたこと(甲16~20)に鑑みると、被告アイデアは、被告が原告に対して提案した平成26 年時点において、既にありふれたものであったとい える。また、上記事情を踏まえると、原告は、被告による被告アイデアの提案とは無関係に本件施策を実施したことがうかがわれ、本件施策の実施をもって被告アイデアを盗用したとはいい得ない。そうである以上、原告がその実施に当たり被告の了解を得るべき理由も必要も認められない。 また、本件著作権に係る著作権登録においては、平成元年1 月20 日を もって「著作物が最初に公表された年月日」とされているが、これを裏付けるに足りる証拠はない。その点をひとまず措くとしても、その登録日はこれに遥かに後れ、被告が原告に対し被告アイデアを提案等した平成26 年よりも更に後の平成28 年9 月1 日である。しかも、本件実用新案権に係る実用新案登録出願は平成25 年11 月に行われたところ、その願書に添付 された明細書及び図面には、本件著作権に係る著作権登録において「著作物の種類及び内容」欄に「著作物の内容又は体様」として表示されているものとほぼ同一の構成が記載されている。そうすると、本件著作権に係る著作物が最初に公表されたとされる上記日付の記載につき、裏付けなくこれをにわかに信用することはできない。そもそも、本件著作権に係る著作 物として登録されているのは、「送る人にも受け取る人にも徳がある」ない しこれに類する文章表現ではない。 これらの事情を総合的に考慮すれば、被告が、平成26 年頃から本件施策が実施されるまでの数年間、bに対し継続的に被告アイデアの提案ないし売込みをしてきたとしても、原 これに類する文章表現ではない。 これらの事情を総合的に考慮すれば、被告が、平成26 年頃から本件施策が実施されるまでの数年間、bに対し継続的に被告アイデアの提案ないし売込みをしてきたとしても、原告による本件施策の実施をもって被告との関係で違法なものとはいえない。その他原告の行為が被告に対する不法 行為に当たると評価すべき事情を認めるに足りる証拠はない。 したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。 イ次に、被告は、被告による対価支払要求に対する原告訴訟代理人の対応は被告に対する脅迫、名誉毀損であり、このような原告の行為は被告に対する不法行為に当たる旨を主張する。 しかし、上記のとおり、そもそも、原告による本件施策の実施は被告に対する不法行為に当たるものでなく、原告が被告による対価支払要求を拒絶したことも、何ら違法ないし不当なものではない。 また、前提事実、証拠(後掲のもの)及び弁論の全趣旨によれば、bは、平成30 年12 月20 日付け文書により、被告に対し、本件施策は被告の提 案等を採用したものではなく、かつ、本件実用新案権等に抵触するものではないこと等を回答したこと(前提事実(6))、これに対し、被告は、同月26日付けで、原告に対し、「世論に問えば生涯の汚点を残す」、「「ことが大きくなる前に」解決をしたい」などと記載した文書を送付したこと(甲1)、その後被告から送付された文書の内容をも踏まえ、原告訴訟代理人は、本 件通知書により、被告に対し、被告の要求に法的根拠がないことを説明した上で、「万一、貴殿が事実を歪曲して本件を公表する行為に及んだ場合、名誉毀損罪…及び業務妨害罪…に当たる可能性があり、また、上記態様により対価を要求する行為は恐喝未遂罪に当たる可能性があります…。通知人はむやみに紛 が事実を歪曲して本件を公表する行為に及んだ場合、名誉毀損罪…及び業務妨害罪…に当たる可能性があり、また、上記態様により対価を要求する行為は恐喝未遂罪に当たる可能性があります…。通知人はむやみに紛争を好むものではありませんが、万一、貴殿が上記行為に 及んだ場合は、通知人は、やむを得ず、民事・刑事の法的措置を執る可能 性がありますので、念のため申し添えます。」との通知を行ったこと(甲9)、その後も被告に対する通知書において同様の注意喚起を行ったこと(甲10~12)が認められる。 このような原告及び原告訴訟代理人と被告との間で行われた一連のやり取りの経緯に鑑みると、原告訴訟代理人が、被告に対し、被告の行為が名 誉毀損罪等に当たる可能性があり、その場合、民事・刑事の法的措置を執る可能性がある旨を回答したこと及びその後も同様の注意喚起を行ったことは、被告の要求に対する回答としてなお社会的に相当な範囲にとどまるものであり、違法なものとして不法行為責任を生じさせるものとはいえない。 したがって、この点に関する被告の主張も採用できない。 (2) 小括以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、被告は、原告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求権(及び不当利得返還請求権)を有しない。 3 本訴請求のうち損害賠償請求について(1) 前提事実、前記認定事実、証拠(後掲のもの)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ア被告は、原告が本件施策において被告アイデアを採用したなどと考え、平成30 年11 月18 日付け文書により、原告に対し、上記使用の対価等に 係る契約の締結に関する打合せの実施を求めたが、bは、同年12 月20 日付け文書により、原告に対し、本件施策は被告の提案 0 年11 月18 日付け文書により、原告に対し、上記使用の対価等に 係る契約の締結に関する打合せの実施を求めたが、bは、同年12 月20 日付け文書により、原告に対し、本件施策は被告の提案等を採用したものではないなどと回答した(前提事実(6))。 これに対し、被告は、原告(b)に対し、同月26 日付け文書(甲1)により、「まさに、通常世間でいう“パクリ”とはこの事だと痛感したとこ ろです」、「過去4 年間も引き伸ばし、発売する当日も知らされずアイデ アを「パクる」とは半官のやるべきことではないと憤りを感じずにはいられないところです。その代償は大きい。」、「訴訟は損失と時間の無駄であり責任者の有無を問うため、世論に問えば生涯の汚点を残す。」、「来る平成31 年1 月20 日までに次なる回答か会見を「ことが大きくなる前に」解決をしたいので、返答をお待ち致します。」、「今度封書にてb氏に提 出いたしましたが文書…及び証拠…に対し貴社代表取締役…及び会長…に本状が万が一届かない場合、また、受け取り拒否や対応、証拠隠滅した場合には即日公表する準備は整っていること…を申し述べておきます。」などと返答した。 イ被告は、原告(b)に対し、平成31 年1 月16 日付け文書(甲4 の1) により、「私供は、要求を満すため、別紙の通り、契約書の「ひな型」を作成し事前にお送り致します。」、「b様のみではお話が出来かねますので、責任ある方とお話をさせて頂きたく、ご準備のほどお願いいたします。」、「万が一お知らせがない場合には、前回申し上げていた通りに、「世論及社内的」に不本意ながら実行をするしかありません。」などと伝えた。 また、同文書に別紙として添付された「(仮)契約書」(甲4 の2)には、被告が原告に は、前回申し上げていた通りに、「世論及社内的」に不本意ながら実行をするしかありません。」などと伝えた。 また、同文書に別紙として添付された「(仮)契約書」(甲4 の2)には、被告が原告に対して本件実用新案権等及び被告アイデアの全部又は一部を譲渡することや、その対価として原告が被告に対し契約金等を支払うこと等の契約条項が記載されている。 ウ原告(b)は、被告の平成30 年12 月26 日付け及び平成31 年1 月16 日 付け各文書に対し、平成31 年1 月18 日付け文書(甲5)により、被告アイデアについて、商品購入者に抽選で賞品を提供するというアイデア自体はありふれたものであり、法的保護を受けられるものではないこと、原告は、被告から被告アイデアの提案を受ける前であり、本件実用新案権の登録出願前である平成25 年11 月1 日から、平成26 年用年賀はがきの販売 促進施策として本件施策と同様の仕組みのキャンペーンを実施していたこ と、本件施策は本件実用新案権等を侵害するものではないことを指摘した上で、原告が正当な理由のない被告の対価支払要求に応じることは一切ないこと等を回答した。 エ被告は、原告(b)に対し、平成31 年2 月1 日付け文書(甲6)により、「そうであったのなら「最初から解っていながら嘘ついて」アイデアを引 張り出し今まで来たのか、と憤慨いたしました。」、「類似商品であったなら、持ち込んだ折、断るのが常識ではないか、…今さら実案や著作権が少々違うなんと言ってる場合ではない。」、「この件を貴社社長…、会長…及日本郵政…に、会う事を拒否できない要人と一緒に近日中に会見を申し入れます。」、「私共を少し甘く見られたようで、非常に残念です。」、 「どちらでもかまいませんが、ない 件を貴社社長…、会長…及日本郵政…に、会う事を拒否できない要人と一緒に近日中に会見を申し入れます。」、「私共を少し甘く見られたようで、非常に残念です。」、 「どちらでもかまいませんが、ない場合は、かならず遂行致す事をお約束致します。」などと伝えた。 オまた、被告は、原告の社長等及び日本郵政社長に対し、同月22 日付け文書(甲7)により、「4 年経って今更類似であるとか、抵触していないとか、今日まで当方のアイデアを引っ張り出し不条理だとは思いませんか。」、 「このアイデアが貴社に届くまでには社長様方ご存知とは思いますが3 名の要人の方々が関与されておられますが、経緯を申し上げましたら不信がられておられ私共申し開きに難儀致しているところです。また、お話が大きくなるのを最小限にと考えております。」などと伝えた。 他方、bに対しては、被告は、同年3 月15 日付け文書(甲8)により、 上記文書を原告社長等に送付したこと及びこれに対する回答を受領していないためbから直接同封書類を渡してほしい旨を伝えると共に、「私共も、いろいろと知識人の方々に相談いたしましたらトップの方々から前向きのお返事がもしいただけなかったら、公にするか、裁判にするしかないだろうとの意見が多々でした。」、「先般より、私の空手道と発明が、月刊誌 と週刊誌に掲載され、全国的にマスコミ等に取り上げて頂けるようになり ました。…多少下話しで年賀ハガキの件も話しております。」などと伝えた。 カ原告訴訟代理人は、本件通知書により、被告に対し、本件施策の実施は本件実用新案権等を侵害するものではなく、対価の要求には法的根拠がないから、被告の要求に応じることはできないことを伝えると共に、被告が 事実を歪曲して本件を公表し、対価を要求した 件施策の実施は本件実用新案権等を侵害するものではなく、対価の要求には法的根拠がないから、被告の要求に応じることはできないことを伝えると共に、被告が 事実を歪曲して本件を公表し、対価を要求した場合には名誉毀損罪や恐喝未遂罪等に当たる可能性があることを指摘し、その場合、原告はやむを得ず民事・刑事の法的措置を執る可能性がある旨を通知した(前記2(1)イ)。 キその後、被告は、別紙「文書送受信時系列(平成30 年11 月18 日以降)」の「被告発信文書」欄記載のとおり、平成31 年4 月10 日~令和4 年11 月 24 日の間、原告に対し20 件、日本郵政株式会社に対し3 件の文書を送付して自己の要求を繰り返し、総務省に対し4 件の文書を送付して本件に関する原告の苦情を述べた。 その間、被告は、原告に対し、令和4 年6 月15 日付け文書(甲14 の1)により、「先般より、「発明家の光と影」の出版が締め切りに近づき、貴 社との「年賀はがき」の件も最終的にまとまりましたので、その内容を送ります。」などと伝えると共に、「㊵あなたも私も徳をする年賀はがきシステム(日本郵便にパクられた)」などと記載した文書(甲14 の2)を添付した。 また、被告は、原告に対し、同年10 月22 日付け文書(甲15 の1)によ り、「先般、令和4 年5 月25 日付にて、貴方郵便より標記の件につき、「法的処置を準備中である」とご通知をいただきました。…令和4 年10 月日現在までいまだ何の通知もありません。単なる一般市民のアイデア提供者に対し法を片手に脅しを日本郵便はする企業なのでしょうか?」、「来る令和4 年11 月5 日までにこの問題の解決をどうするか弁護士殿の個人 の見解ではなく日本郵便としての方針を期日までにご返答 に対し法を片手に脅しを日本郵便はする企業なのでしょうか?」、「来る令和4 年11 月5 日までにこの問題の解決をどうするか弁護士殿の個人 の見解ではなく日本郵便としての方針を期日までにご返答してください。 もし脅しであるとすれば、日本郵便及び顧問弁護士村西大作氏に対し由々しき問題として発展していくことを申し述べておきます。」などと伝えた。 さらに、被告は、同年11 月12 日付け文書(甲15 の2)により、原告社長、b及び原告訴訟代理人に対し、上記書面に対する回答がされず放置されたとして、警察に対し上記3 名の刑事告発をすること、原告訴訟代理人 につき詳細な経緯を懲罰委員会に提出して懲戒請求すること、「今日までの経緯の中、前記のような事例が裏で行われていることの「是非」を世論に問うため週刊誌やその他の機関に証拠をもって情報を近日提供する」こと等を伝えた。 ク被告の上記対応に対し、原告訴訟代理人は、原告の代理人として、平成 31 年4 月25 日~令和4 年5 月25 日の間、被告に対し、合計5 件の回答ないし通知文書を送付して対応したが(甲10~13)、被告からの令和4 年10月22 日付け及び同年11 月12 日付け各文書を受け、同月21 日付け文書(甲24 の1)により、「通知人は貴殿の要求が不当であることを法的に明らかにするための法的措置の準備を進めており、年内に提訴する予定です」 などと伝えた。 その後の同年12 月5 日、原告は、本件訴訟を提起した(前提事実(7))。 (2) 争点1-1(原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無)についてア前記のとおり、そもそも、原告による本件施策の実施は、被告との関係 で不法行為を構成するものとはいえない。 また、前記 原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無)についてア前記のとおり、そもそも、原告による本件施策の実施は、被告との関係 で不法行為を構成するものとはいえない。 また、前記認定事実によれば、被告は、bから平成31 年1 月18 日付け文書を受領したことにより、本件施策と類似した施策が数年前から実施されていたことを知り、本件施策が被告アイデアを採用したものではないことを理解し得たといえる(なお、被告の同年2 月1 日付け文書は、これを 理解したことを前提としたものとも見得る。)。 にもかかわらず、被告は、当初はbに対し、その後原告社長等に対しても、3 年以上かつ合計20 回以上という長期かつ多数回にわたり、本件施策に係る対価の支払を要求する文書を執拗に送付し、その間、原告が原告訴訟代理人に被告への対応を委任した後もそのような態度を変えることはなく、剰え、被告の言い分に理解を示す有力者の関与ないし介入や被告の言 い分に基づく書籍の出版ないし週刊誌等のマスメディアへの情報提供等を明示的又は暗に示唆し、遂には、原告社長、b及び原告訴訟代理人の刑事告発等を示唆するに至ったものである。 このような経緯等を踏まえると、遅くとも本件通知書を受領した後の被告の一連の行為は、原告に対し、社会的に受忍すべき限度を超えて執拗か つ一方的に対価の支払を要求するなどしてその業務を妨害し、本件訴訟の提起を余儀なくさせたものとして違法であり、原告に対する不法行為を構成するというべきである。 したがって、原告は、被告に対し、不法行為(民法709 条)に基づく損害賠償請求権を有する。 イこれに対し、被告は、原告に被告アイデアを盗用されたと考えていたため抗議するのは当然であり、原告に無視し続けられたこ に対し、不法行為(民法709 条)に基づく損害賠償請求権を有する。 イこれに対し、被告は、原告に被告アイデアを盗用されたと考えていたため抗議するのは当然であり、原告に無視し続けられたことから、やむを得ず、刑事告発や懲戒請求をするほかないと決断して、これを原告に通知した旨などを主張する。 しかし、被告は、本件通知書により原告訴訟代理人から被告の言い分に 対する法的見地からの原告の反論が示された後も、前記のとおり、長期間かつ多数回にわたり、法的正当性を裏付ける資料等を示すことなく、しかも、被告の言い分を受け入れなければ原告やb個人等が何らかの不利益を受けかねないかの如く仄めかしながら、自己の言い分を執拗に主張し続けたものというほかない。この点に関する被告の主張は採用できない。 (3) 争点1-2(原告に生じた損害の有無及びその額)について 原告は、原告訴訟代理人への委任後に限っても、被告による上記不法行為により複数の通知書の送付や本件訴訟の提起といった対応を余儀なくされ、その遂行のために原告訴訟代理人との委任契約の締結並びにこれに基づく弁護士報酬及び実費の支払という経済的負担を強いられたことが認められる。 これにより支出した費用は、被告の不法行為に起因する原告の損害といえる。 被告の上記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当損害額としては、本件事案の内容等を考慮すると、50 万円をもって相当とすべきである。これに反する被告の主張は採用できない。 (4) 小括したがって、原告は、被告に対し、不法行為に基づき、50 万円の損害賠償 請求権及びこれに対する不法行為の後である令和5 年1 月15 日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金 し、不法行為に基づき、50 万円の損害賠償 請求権及びこれに対する不法行為の後である令和5 年1 月15 日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。 第4 結論よって、原告の本訴請求は、主文の限度で理由があるからその限度でこれを 認容し、その余は理由がないから棄却し、被告の反訴請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47 部 裁判長裁判官杉浦正樹 裁判官 小口五大 裁判官吉野弘子 別紙被告実用新案権等目録 1 実用新案権登録日平成26 年5 月28 日 登録番号実用新案登録第3191266 号出願日平成25 年11 月27 日考案の名称ハガキ実用新案権者被告、C 2 著作権登録年月日平成28 年9 月1 日表示番号第37619 号著作物の題号当選くじ付き年賀ハガキシステム著作者の氏名被告、C 著作物が最初に公表された年月日平成元年1 月20 日 別紙実用新案登録請求の範囲 【請求項1】同一の抽選番号をハガキ下部の二列にわたって印刷し、一方の抽選番号を切り取 り可能な切り取り線を列と列の間に設けたことを特徴とするハガキ。 【 実用新案登録請求の範囲 【請求項1】同一の抽選番号をハガキ下部の二列にわたって印刷し、一方の抽選番号を切り取 り可能な切り取り線を列と列の間に設けたことを特徴とするハガキ。 【請求項2】上記ハガキが年賀ハガキや暑中お見舞のハガキからなることを特徴とする請求項 1 に記載のハガキ。 【請求項3】 2 つの抽選番号のうち、ハガキから切り取られる方は差出人控であり、他方は受取人控であることを特徴とする請求項1、若しくは、請求項2 に記載のハガキ。

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る