平成24(行ウ)70 裁決取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年3月20日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文56,253 文字)

平成27年3月20日判決言渡平成24年(行ウ)第70号裁決取消等請求事件主文 1 被告日本年金機構が平成22年8月10日付けで原告に対してした,原告の厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格の確認の請求を却下する旨の処分を取り消す。 2 被告日本年金機構は,原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったことの確認をせよ。 3 本件訴えのうち原告の被告国に対する請求に係る部分を却下する。 4 訴訟費用は,原告に生じた費用の3分の2と被告日本年金機構に生じた費用を被告日本年金機構の負担とし,原告に生じたその余の費用と被告国に生じた費用を原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告日本年金機構に対する請求主文1項及び2項に同旨 2 被告国に対する請求社会保険審査会が原告に対して平成23年8月31日付けでした,原告の再審査請求を棄却する旨の裁決を取り消す。 第2 事案の概要等原告は,株式会社P1(以下「P1」という。)との間で契約期間を平成21年4月6日から平成22年3月26日までとするALT(外国語指導助手)雇用契約(以下「本件労働契約」という。)を締結し,P1に英語指導助手業務を委託した愛知県Z市(以下「Z市」という。)の設置するZ市立P2小学校(以下「本件小学校」という。)における英語指導助手業 務に従事していたところ,平成21年8月4日,千代田社会保険事務所長(当時)に対し,原告が厚生年金保険及び健康保険の被保険者であることの確認の請求(以下「本件確認請求」という。)をしたが,平成22年8月10日付けで,原告は厚生省保険局保険課長,社会保険庁医療保険部健康保険課長及び同部厚生年金課長の連名による都道府県民生主管部(局)保健課 請求(以下「本件確認請求」という。)をしたが,平成22年8月10日付けで,原告は厚生省保険局保険課長,社会保険庁医療保険部健康保険課長及び同部厚生年金課長の連名による都道府県民生主管部(局)保健課(部)長宛て昭和55年6月6日付け内かん(以下「昭和55年内かん」という。)が健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきであるとする短時間就労者には当たらないなどとして,これを却下する旨の処分(以下「本件却下処分」という。)を受け平成22年10月8日,本件却下処分を不服として関東信越厚生局社会保険審査官に対して審査請求をしたが,平成23年1月28日付けで同審査請求を棄却する旨の決定を受け,同年3月24日,同決定を不服として,社会保険審査会に対して再審査請求をしたが,同年8月31日付けで同再審査請求を棄却する旨の裁決(以下「本件再審査裁決」という。)を受けた。 本件は,原告が,一定の短時間就労者を厚生年金保険及び健康保険の被保険者から除外する昭和55年内かんは違法であるし,仮に昭和55年内かんが違法ではないとしても,原告は昭和55年内かんが健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきであるとする短時間就労者に当たるなどと主張して,被告日本年金機構に対し本件却下処分の取消し並びに原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったことの確認の義務付け(以下,本件訴えのうちこの義務付けの請求に係る部分を「本件義務付けの訴え」という。)を,被告国に対し本件再審査裁決の取消しをそれぞれ求める事案である。 1 関係法令の定め別紙1「関係法令の定め」記載のとおりである(同別紙で定める略称は,以下においても用いる。)。 2 前提事実証拠(各認定事実の後に掲げる。)及び弁論の全 ある。 1 関係法令の定め別紙1「関係法令の定め」記載のとおりである(同別紙で定める略称は,以下においても用いる。)。 2 前提事実証拠(各認定事実の後に掲げる。)及び弁論の全趣旨(これらを掲げない事実は,当事者間に争いがない。)によれば,以下の各事実が認められる。 (1) 原告が本件小学校における英語指導助手業務に従事するに至った経緯等ア原告は,1981年(昭和56年)▲月▲日にアメリカ合衆国において出生した同国の国籍を有する外国人の男性である(甲1)。 イ原告は,平成16年7月22日に本邦に上陸した後,教育等の在留資格をもって本邦に滞在し,英会話学校において就労するなどしていた(甲1,40の1,40の2)。 原告は,平成17年11月に株式会社P3(以下「P3」という。)に雇用された後,P3に英語指導助手業務を委託していた愛知県Y市及びX市の設置する小学校における英語指導助手業務に従事し,平成20年4月1日から平成21年3月24日までは,P3に英語指導助手業務を委託していたZ市の設置する本件小学校における英語指導助手業務に従事していた(甲40の1,40の2,47,50の1,50の2,原告本人,弁論の全趣旨)。 ウ原告は,平成21年3月14日,P1との間で,本件労働契約(ALT(外国語指導助手)雇用契約)を締結した。 P1は,教育事業等を目的とする株式会社であり,厚年法6条1項及び健保法3条3項所定の適用事業所に当たる。 本件労働契約に係る契約書(以下「本件労働契約書」という。甲2の1,2の2,乙A20)には,以下のような内容の条項があった。 (ア) 本件労働契約の契約期間は,平成21年4月6日から平成22年3月26日までとする(本件労働契約1条)。 (イ) P1は,言語教師として原告を雇用する( は,以下のような内容の条項があった。 (ア) 本件労働契約の契約期間は,平成21年4月6日から平成22年3月26日までとする(本件労働契約1条)。 (イ) P1は,言語教師として原告を雇用する(本件労働契約2条)。 (ウ) 原告に割り当てられる顧客は,別途,割当表によって指定される(本 件労働契約3条)。 (エ) 原告は,月曜日から金曜日までの午前8時から午後5時まで,昼食時間と休憩時間を除き,1日5.9時間,1週間29.5時間の労働をする(本件労働契約4条)。 (オ) 原告は,①P1の代理という立場で,期待されているサービスを提供すること及び②P1の顧客に対する契約上の義務を十分に満たすやり方で,顧客に対してP1を代表することに同意する(本件労働契約5条1項及び4項)。 (カ) P1は,月額24万5000円の賃金を原告に支払う(本件労働契約6条1項)。 エ(ア) Z市とP1とは,平成21年3月14日,英語指導助手業務委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結した。 本件委託契約に係る契約書(甲3の1,48)には,以下のような内容の条項があった(甲3の1,48,弁論の全趣旨)。 aZ市は英語指導助手業務をP1に委託し,P1はこれを受託する(本件委託契約1条)。 b 本件委託契約の契約期間は,平成21年4月1日から平成22年3月24日までとする(本件委託契約2条1項)。 cP1は,Z市の定める「英語指導助手業務仕様書」(以下「本件仕様書」という。甲3の2)に基づき,英語指導助手業務を誠実に履行する(本件委託契約3条)。 dP1は,業務記録を作成し,Z市に提出する(本件委託契約7条)。 (イ) また,本件仕様書には,以下のような内容の記載があった(甲3の2,弁論の全趣旨)。 a 小学校及び中学校に英語 )。 dP1は,業務記録を作成し,Z市に提出する(本件委託契約7条)。 (イ) また,本件仕様書には,以下のような内容の記載があった(甲3の2,弁論の全趣旨)。 a 小学校及び中学校に英語指導助手12名を配置し,英語を使うこと を楽しみ,積極的に英語でコミュニケーションを図ろうとする子供や,異文化を理解し,日本文化を尊重しようとする子供の育成を目的とした指導業務を委託内容とする(本件仕様書の3のいわゆる柱書き)。 b 英語指導助手の配置日は,月曜日から金曜日までとする。英語指導助手の配置時間は,午前8時30分から午後4時30分までとする。 業務開始時刻及び業務終了時刻については,委託者と受託者との調整の上,受託者から委託者に通知する(本件仕様書の3(1))。 c ①英語教育,英語活動及び国際理解教育等の業務内容に基づき実施すること,②給食及び学校行事等において指導し,日常的に児童生徒と関わりを持つように努めること,③各教科,総合的な学習の時間及び特別活動等の授業においても学習指導し,自国及び世界の文化,歴史及び生活等について紹介すること,④市ALT活用部会及び市英語部会の授業研究会並びに市ALT研修会等の会において指導すること,⑤学校教諭に対する語学研修を実施すること並びに⑥月例業務実施報告書を作成して委託者に提出することを英語指導助手の主要業務とする(本件仕様書の3(2))。 オ原告の本件小学校における英語指導助手業務への従事原告は,本件労働契約に基づき,本件委託契約をもってP1に英語指導助手業務を委託したZ市の設置する本件小学校に英語指導助手として配置され,本件小学校における英語指導助手業務に従事した(弁論の全趣旨)。 (2) 昭和55年内かんの内容昭和55年内かん(乙1)は,厚生省保険局保険課長, 置する本件小学校に英語指導助手として配置され,本件小学校における英語指導助手業務に従事した(弁論の全趣旨)。 (2) 昭和55年内かんの内容昭和55年内かん(乙1)は,厚生省保険局保険課長,社会保険庁医療保険部健康保険課長及び同部厚生年金課長の連名による都道府県民生主管部(局)保健課(部)長宛ての文書であり,その体裁は,「拝啓時下益々御 清祥のこととお慶び申し上げます。」という書き出しから始まり,「敬具」という結語で終わるというものであった(乙1)。 本件内かんには,「短時間就労者(いわゆるパートタイマー)にかかる健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格の取扱いについては,各都道府県,社会保険事務所において,当該地方の実情等を勘案し,各個別に取扱基準を定めるなどによりその運用が行われているところです。もとより,健康保険及び厚生年金保険が適用されるべきか否かは,健康保険法及び厚生年金保険法の趣旨から当該就労者が当該事業所と常用的使用関係にあるかどうかにより判断すべきものですが,短時間就労者が当該事業所と常用的使用関係にあるかどうかについては,今後の適用に当たり次の点に留意すべきであると考えます。」と記載された上で,「1 常用的使用関係にあるか否かは,当該就労者の労働日数,労働時間,就労形態,職務内容等を総合的に勘案して認定すべきものであること。」,「2 その場合,1日又は1週の所定労働時間及び1月の所定労働日数が当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者については,原則として健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきものであること。」及び「3 2に該当する者以外の者であっても1の趣旨に従い,被保険者として取り扱うことが適当な場合があると考 ついては,原則として健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきものであること。」及び「3 2に該当する者以外の者であっても1の趣旨に従い,被保険者として取り扱うことが適当な場合があると考えられるので,その認定に当たっては,当該就労者の就労の形態等個々具体的事例に即して判断すべきものであること。」の3点が掲げられていた。 (3) 本件訴えの提起に至る経緯ア原告は,平成21年8月4日,千代田社会保険事務所長に対し,原告が厚生年金保険及び健康保険の被保険者であることの確認の請求(本件確認請求。甲4)をした。 イ被告日本年金機構は,平成22年8月10日付けで,原告は昭和55年内かんが健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきである とする短時間就労者には当たらないなどとして,本件確認請求を却下する旨の本件却下処分(甲5の1,5の2)をした。 ウ原告は,平成22年10月8日,本件却下処分を不服として関東信越厚生局社会保険審査官に対して審査請求(甲6)をしたが,同審査官は,平成23年1月28日付けで同審査請求を棄却する旨の決定(甲8)をした。 エ原告は,平成23年3月24日,前記ウの決定を不服として社会保険審査会に対して再審査請求(甲9)をしたが,同審査会は,同年8月31日付けで同再審査請求を棄却する旨の本件再審査裁決(甲12)をした。 オ原告は,平成24年2月10日,国を被告として,本件訴えのうち本件義務付けの訴えと本件再審査裁決の取消しを求める部分を提起した(顕著な事実)。 その後,原告は,同月18日,本件訴えのうち本件却下処分の取消しを求める部分を上記の訴えに追加して提起し,さらに,同年3月4日,本件訴えのうち本件義務付けの訴えと本件却下処分の取消しを求める部分について,被告を日本年金機構 ,本件訴えのうち本件却下処分の取消しを求める部分を上記の訴えに追加して提起し,さらに,同年3月4日,本件訴えのうち本件義務付けの訴えと本件却下処分の取消しを求める部分について,被告を日本年金機構に訂正した(顕著な事実)。 3 争点及びこれに関する当事者の主張の要旨本件では,主として,原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったと認められるか否かをめぐって,①本件却下処分の適法性(争点1)が争われているほか,②本件義務付けの訴えの適法性(争点2)及び③本件再審査請求の適法性(争点3)も争われている。 これらに関する当事者の主張の要旨は,別紙2「争点に関する当事者の主張の要旨」記載のとおりである(同別紙で定める略称は,以下においても用いる。)。 第3 当裁判所の判断 1 本件却下処分の適法性(争点1)について(1) 本件労働契約に基づく原告の労働時間について原告が本件労働契約に基づいてP1に使用されていた平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったか否かについて判断する前提として,この間における本件労働契約に基づく原告の労働時間について検討する。 アまず,原告の労働時間に関する原告の供述(陳述書の記載を含む。)の内容は,おおむね以下のとおりである(甲40の1,40の2,50の1,50の2,原告本人)。 (ア) 本件労働契約には,月曜日から金曜日までの午前8時から午後5時まで,昼食時間と休憩時間を除き,1日5.9時間,1週間29.5時間の労働をする旨が定められていたが,本件労働契約に基づく原告の実際の労働時間は,これよりも長かった。 (イ) 原告は,P3と労働契約を締結して本件小学校に配置されていたときに,本件小学 9.5時間の労働をする旨が定められていたが,本件労働契約に基づく原告の実際の労働時間は,これよりも長かった。 (イ) 原告は,P3と労働契約を締結して本件小学校に配置されていたときに,本件小学校の校長から,朝礼に出席するために午前8時20分までに出勤するように言われていたことから,P1と本件労働契約を締結して本件小学校に配置されるようになってからも,引き続き午前8時20分に出勤し,朝礼に出席していた。 朝礼では,本件小学校のP4教務主任から,その日の予定や行事についての説明がされていた。 (ウ) 原告は,本件小学校に出勤して,職員室の机に座ると,すぐに授業に用いる教材であるプリントやフラッシュカードの確認をしていた。 フラッシュカードは,絵と簡単な英文が書かれたカードで,全部で数百枚程度あり,原告は,1回の授業で,8枚から12枚程度のフラッシュカードを用いていた。 (エ) 原告は,職員室と同じ棟にある国際教室で授業を行っていた。職員室 と国際教室との間の移動は,途中で他の教諭や生徒から呼び止められて話し掛けられたりするため,10分程度を要した。国際教室には,授業に必要な教材をそろえて,授業の開始時刻の前までに到着していた。 原告は,授業と授業の合間の時間には,黒板を消したり,フラッシュカードの整理をしたりしていた。次の授業まで時間が空くときには,職員室に戻って,次の授業の準備をしたり,翌日又は翌週の授業の準備をしたりしていた。 (オ) 原告は,午後零時25分から午後1時15分までの昼食の時間に,職員室で弁当を受け取ってから,担当するクラスの教室に行き,そこで担任の教諭や生徒と共に弁当を食べながら会話をしていた。 (カ) 原告は,昼食後の午後1時15分から午後1時50分まで,2年生の生徒と一緒に国際教室の掃除をして ,担当するクラスの教室に行き,そこで担任の教諭や生徒と共に弁当を食べながら会話をしていた。 (カ) 原告は,昼食後の午後1時15分から午後1時50分まで,2年生の生徒と一緒に国際教室の掃除をしていた。この国際教室の掃除は,P3と労働契約を締結して本件小学校に配置されていたときに,P4教務主任から指示されて始めたもので,P1と本件労働契約を締結して本件小学校に配置されるようになってからも,引き続き行われていた。 原告は,この時間に掃除をしきれなかったときには,授業の準備のための時間に掃除の続きをすることもあった。 (キ) 原告は,P3と労働契約を締結して本件小学校に配置されていたときに,本件小学校の校長から,午後4時30分まで本件小学校にいるように言われていたことから,P1と本件労働契約を締結して本件小学校に配置されるようになってからも,引き続き午後4時30分まで本件小学校に残って,翌日又は翌週の授業の準備をしたり,担任の教諭と授業の打合せをしたりしていた。 業務実施報告書には,退勤時刻を記載する欄がなかったが,原告は,平成21年4月17日の備考欄には午後4時30分に退勤した旨を記載し,同月22日の同欄には午後5時30分に退勤した旨を記載し,同年 5月15日の同欄には早退した旨を記載していた。こうした記載のない日については,原告は,午後4時30分を過ぎてから退勤していた。 (ク) 原告は,平成21年10月19日に,所属している労働組合の組合員らとともに愛知労働局を訪れ,本件委託契約が労働者派遣法に違反する偽装請負である旨の申告をしたところ,P1の担当者から,同月22日にP5株式会社(P5)○駅の近くの建物にある会議室で開催されるミーティングに参加するよう指示されたので,それに参加した。このミーティングでは,P1の担当 をしたところ,P1の担当者から,同月22日にP5株式会社(P5)○駅の近くの建物にある会議室で開催されるミーティングに参加するよう指示されたので,それに参加した。このミーティングでは,P1の担当者から,本件委託契約について説明がされた。 さらに,同月29日,原告が本件小学校に出勤すると,P1から送信された本件FAX文書(甲43の1)が原告の机の上に置かれていた。 本件FAX文書には,「あなたは,先生方と打合せをしてはいけません。」,「学校では朝礼(朝のミーティング)に出席しないでください。」等と記載されていた。 そこで,原告は,これからは午前8時20分からの朝礼には出席しなくてよいと考え,以後,午後8時30分までに出勤するようになった。 また,原告は,本件FAX文書を受け取った後も,昼食の時間には担任の教諭や生徒と共に弁当を食べながら会話をし,午後1時15分から午後1時50分までは2年生の生徒と一緒に国際教室の掃除をし,午後4時30分まで本件小学校に残って,翌日又は翌週の授業の準備をするなどしていたが,担任の教諭との授業の打合せはしなくなった。 (ケ) 原告は,本件小学校に滞在している間に何もすることがないという時間はなく,休憩を取ることもできず,月曜日から金曜日まで,午前8時30分から午後4時30分まで労働をしていた。 イ原告が本件小学校に滞在していた時間について(ア) 原告が本件小学校における英語指導助手業務に従事していた時間につ いては,タイムカードによって管理がされていたなどの事情はなく(甲40の1,40の2),これを直接的に裏付ける客観的な証拠はない。 もっとも,業務実施報告書(甲26)は,原告が本件小学校に出勤するたびにその日に実施した業務の内容を記入し,本件小学校のP6教頭らがそれを1か月ごとに確認し れを直接的に裏付ける客観的な証拠はない。 もっとも,業務実施報告書(甲26)は,原告が本件小学校に出勤するたびにその日に実施した業務の内容を記入し,本件小学校のP6教頭らがそれを1か月ごとに確認した上で押印していたと認められる(甲40の1,40の2,50の1,50の2,原告本人)ところ,これをみると,本件小学校に出勤した日には,「O」(授業)以外に「P」(準備)や「A」(その他の活動)も含まれているものの,いずれにしても1時限から6時限を超えて本件小学校に滞在していたことを示す記載があり,これについて逐一P6教頭らが確認したことを示す押印がされているのであって,P6教頭が作成したZ市ALT勤務報告書(甲30)も,平成21年5月に関するものではあるが,上記業務実施報告書の記載と多くの部分で一致している。そして,原告の前記アの供述の内容は,上記の各報告書の記載と矛盾なく,おおむね整合しているということができる。このことに加え,原告の上記供述の内容が具体的かつ詳細であり,証人尋問の際の被告日本年金機構訴訟代理人による反対尋問によっても揺らぐことなく一貫しており,不自然ないし不合理な点は特段見当たらないことに照らすと,本件小学校に滞在していた時間に関する原告の上記供述は信用性が高いというべきである。 (イ) これに対し,被告日本年金機構は,原告が本件労働契約に定められた労働時間を超えて労働をしていたのであれば,P1に対して時間外手当を請求したり,本件労働契約の内容の変更を要求したりして当然であるのに,原告はそのような行動をしていないとして,午前8時20分又は午前8時30分に出勤し,午後4時30分に退勤していたとする原告の供述は不自然である旨を主張する。しかし,原告は,本件労働契約書に残業代についての定めがなかったことから,残業代を請求し 時20分又は午前8時30分に出勤し,午後4時30分に退勤していたとする原告の供述は不自然である旨を主張する。しかし,原告は,本件労働契約書に残業代についての定めがなかったことから,残業代を請求しても支払っ てもらえないだろうと考えていた(原告本人)というのであるから,原告がP1に対して時間外手当を請求したり,本件労働契約の内容の変更を要求したりしなかったことをもって,午前8時20分又は午前8時30分に出勤し,午後4時30分に退勤していたとする原告の供述が不自然であるということはできない。 (ウ) 以上によれば,原告が本件小学校に滞在していた時間は,おおむね月曜日から金曜日までの午前8時30分(平成21年10月29日に本件FAX文書が送信されるまでは,午前8時20分)から午後4時30分までであったと認められる。 ウ本件労働契約に基づく原告の労働時間について(ア) ところで,被告日本年金機構は,P1は,SLプランによって原告に対する業務の指示をしていたのであるから,原告が,SLプランによる業務の指示があった時間以外に本件小学校に滞在して何らかの作業をしていたとしても,それは本件労働契約に基づく労働時間には含まれないというべきであるとして,例えば,午後1時15分から午後1時50分まで2年生の生徒と一緒に国際教室の掃除をしていた時間等は,原告の労働時間には含まれない旨等を主張する。 (イ) しかしながら,本件委託契約においては,英語指導助手の配置日を月曜日から金曜日までとし,配置時間を午前8時30分から午後4時30分までとする旨が定められた上で,英語指導助手の業務開始時刻及び業務終了時刻については,Z市とP1との調整の上で,P1からZ市に通知する旨が定められていたところ(前記前提事実(1)エ(イ)b),前記ア(ア)の 旨が定められた上で,英語指導助手の業務開始時刻及び業務終了時刻については,Z市とP1との調整の上で,P1からZ市に通知する旨が定められていたところ(前記前提事実(1)エ(イ)b),前記ア(ア)の原告の供述に加え,P1がZ市に原告の本件小学校における英語指導助手業務に係る出退勤の時刻を通知していたことをうかがわせる証拠ないし事情等は見当たらないこと(乙A21,A22参照)からすると,P1は,原告が担当する授業等が記載されたSLプランを原 告に送付しただけで,現実に原告の出退勤の時刻を管理することはしておらず(P1が原告の出退勤の時刻等を厳格に管理していなかったことは,被告日本年金機構も争っていない(別紙2・第1の1(2) イ(イ))。),原告の配置時間である午前8時30分から午後4時30分までの間に,原告をいつ出退勤させ,どのような業務に従事させるか等については,本件小学校の校長らの現場における判断に委ね,その判断を黙認していたことがうかがわれるところである。 そして,原告とP1との間の本件労働契約には,原告は,P1の代理という立場で,期待されているサービスを提供することや,P1の顧客に対する契約上の義務を十分に満たすやり方で,顧客に対してP1を代表することに同意する旨が定められ(本件労働契約5条1項及び4項。 前記前提事実(1)ウ(オ)),Z市とP1との間の本件委託契約に係る本件仕様書には,給食及び学校行事等において指導し,日常的に児童生徒と関わりを持つように努めることが英語指導助手の主要業務と記載されていたこと(本件仕様書本件仕様書の3(2)。前記前提事実(1)エ(イ)c)などにも照らすと,原告が本件小学校の指示ないし意向に応じて,本件小学校に出勤してから退勤するまでの間に行っていた事務等について,これが本件労働契約 仕様書の3(2)。前記前提事実(1)エ(イ)c)などにも照らすと,原告が本件小学校の指示ないし意向に応じて,本件小学校に出勤してから退勤するまでの間に行っていた事務等について,これが本件労働契約に基づく原告の義務に含まれないものであったとは解し難いといわざるを得ない。 その上で,前記アのとおり,原告は,午前8時30分(平成21年10月29日に本件FAX文書が送信されるまでは,午前8時20分)に本件小学校に出勤してから午後4時30分に本件小学校を退勤するまでの間,本件小学校の建物ないし敷地にとどまり,常に授業の準備をするなどして,ほとんど休憩を取ることもできなかったものと認められるから,この間,原告は,使用者であるP1の指揮命令下におかれたものと評価することができるというべきである。 なお,原告が午後1時15分から午後1時50分まで2年生の生徒と一緒に国際教室の掃除をしていたのは,原告がP3と労働契約を締結して本件小学校に配置されていたとき以来のP4教務主任の指示によるものと認められるところ(前記ア(カ)),以上に述べたところによれば,原告がP4教務主任の指示に従って午後1時15分から午後1時50分まで2年生の生徒と一緒に国際教室の掃除をしていたことも,本件労働契約に基づく原告の義務に含まれないものであったとはいえないことは明らかである。 (ウ) 以上によれば,被告日本年金機構の前記(ア)の主張は,採用することができず,本件労働契約に基づく原告の労働時間は,おおむね月曜日から金曜日までの午前8時30分(平成21年10月29日に本件FAX文書が送信されるまでは,午前8時20分)から午後4時30分までであって,1日約8時間,1週間約40時間に及ぶことになり,相当の休憩時間を考慮したとしても,優に1日約7時間,1週間約3 に本件FAX文書が送信されるまでは,午前8時20分)から午後4時30分までであって,1日約8時間,1週間約40時間に及ぶことになり,相当の休憩時間を考慮したとしても,優に1日約7時間,1週間約35時間を超えるものと認められるというべきである。 このほか,被告日本年金機構は,本件労働契約において,労働時間は,1日5.9時間,1週間29.5時間と定められており,原告はこのことを認識していた旨も主張するが,本件労働契約に基づく原告の労働時間は,現に原告が本件労働契約に基づく労働に従事した客観的な時間によって定まるものであって,本件労働契約の定めや原告の主観的な認識によって直ちにそれが左右されるものではないから,被告日本年金機構の上記の主張もまた,採用することができない。 (2) 原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったか否かについてア厚年法9条は,適用事業所に使用される70歳未満の者は,厚生年金保険の被保険者とする旨を定めているが,同法12条は,同条各号のいずれ かに該当する者は,同法9条の規定にかかわらず,厚生年金保険の被保険者としない旨等を定めており,同法12条各号には,臨時に使用される者であって,日々雇い入れられる者(1月を超え,引き続き使用されるに至った場合を除く。)又は2月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超え,引き続き使用されるに至った場合を除く。)(同条2号),季節的業務に使用される者(継続して4月を超えて使用されるべき場合を除く。)(同条4号)及び臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6月を超えて使用されるべき場合を除く。)(同条5号)等が定められている(別紙1の1(1)ア及びイ)。 また,健保法3条1項本文は,同法において「被保険者 臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6月を超えて使用されるべき場合を除く。)(同条5号)等が定められている(別紙1の1(1)ア及びイ)。 また,健保法3条1項本文は,同法において「被保険者」とは,適用事業所に使用される者をいう旨等を定めているが,同項ただし書は,同項各号のいずれかに該当する者は,日雇特例被保険者となる場合を除き,被保険者となることができない旨を定めており,同項各号には,厚年法12条各号に定められている者と同様の者等が定められている(別紙1の2(1)ア及びイ)。 イ適用事業所に使用される者に係る厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格に関する厚年法及び健保法の定めは,前記アのとおりであって,適用事業所に使用される者について,その労働時間の長短によって厚生年金保険及び健康保険の被保険者に当たるか否かが直ちに左右されるものとする旨を定めた明文の規定は見当たらない。 もっとも,厚生年金保険事業及び健康保険事業に要する費用に充てるために徴収される保険料の月額は,標準報酬月額及び標準報酬賞与額にそれぞれ所定の保険料率を乗じて得た額とされ(厚年法81条,健保法156条),被保険者及び被保険者を使用する事業主は,それぞれ保険料の半額を負担するものとされていること(厚年法82条1項,健保法161条1項本文),標準報酬月額は,被保険者の報酬月額に基づき,所定の等級区 分によって定められ(厚年法20条1項,健保法40条1項),被保険者が毎年7月1日現に使用される事務所において同日前3月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし,かつ,報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月があるときは,その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額をもって,その年の9月から翌年の8月までの各月の に限るものとし,かつ,報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月があるときは,その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額をもって,その年の9月から翌年の8月までの各月の被保険者の報酬月額とするものとされているところ(厚年法21条1項及び2項,健保法41条1項及び2項),厚生年金保険の標準報酬月額の最低額は,報酬月額が10万1000円未満の場合(第1級)に9万8000円とされ,健康保険の標準報酬月額の最低額は,報酬月額が6万3000円未満の場合(第1級)に5万8000円とされていること(厚年法20条1項,健保法40条1項)などの厚年法及び健保法の採用する厚生年金保険及び健康保険の制度の仕組みに照らすと,厚年法及び健保法は,所定の保険料を負担するのに相応する程度の報酬を受けていない者についてまで厚生年金保険及び健康保険の被保険者となることを当然に予定しているものとは解し難い。 そして,一般に報酬の額は労働時間の長短に相関するといえるところ,以上に述べたところからすれば,厚年法及び健保法は,厚年法9条にいう「適用事業所に使用される70歳未満の者」及び健保法3条1項本文にいう「適用事業所に使用される者」について,所定の保険料を負担するのに相応する程度の報酬を受けるに至らないような短時間労働者はこれらに含まれないものと解釈することを許容していないとまでは解されない。 ウ本件においては,厚年法9条にいう「適用事業所に使用される70歳未満の者」及び健保法3条1項本文にいう「適用事業所に使用される者」には一定の短時間労働者が含まれないという解釈を採用したとしても,本件労働契約に基づく原告の労働時間は,前記(1)で認定したとおり,おおむね月曜日から金曜日までの午前8時30分(平成21年10月29日に本 件F 含まれないという解釈を採用したとしても,本件労働契約に基づく原告の労働時間は,前記(1)で認定したとおり,おおむね月曜日から金曜日までの午前8時30分(平成21年10月29日に本 件FAX文書が送信されるまでは,午前8時20分)から午後4時30分までであって,相応の休憩時間を考慮したとしても,1日約7時間,1週間約35時間を超えるものと認められるから,少なくとも原告が厚年法9条にいう「適用事業所に使用される70歳未満の者」及び健保法3条1項本文にいう「適用事業所に使用される者」から除外されるような短時間労働者に当たらないことは,明らかであるというべきである。 したがって,原告は,本件労働契約に基づいてP1に使用されていた平成21年4月6日から平成22年3月26日までの間,厚年法9条にいう「適用事業所に使用される70歳未満の者」及び健保法3条1項本文にいう「適用事業所に使用される者」に該当していたものということができ,かつ,厚年法12条各号及び健保法3条1項各号に定める者に該当していなかったことは明らかであるから,厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったというべきである。 エこれに対し,被告日本年金機構は,「1日又は1週の所定労働時間及び1月の所定労働日数が当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者については,原則として健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきものである」などと記載された昭和55年内かんが,健保法及び厚年法の解釈に合致し,合理性を有するとした上で,原告については,昭和55年内かんの基準を満たすものではないから,厚生年金保険及び健康保険の被保険者に当たらない旨を主張する。 しかし,既に述べたとおり,本件労働契約に基づく 性を有するとした上で,原告については,昭和55年内かんの基準を満たすものではないから,厚生年金保険及び健康保険の被保険者に当たらない旨を主張する。 しかし,既に述べたとおり,本件労働契約に基づく原告の労働時間は,1日約7時間,1週間約35時間を超えるものであって,労働基準法32条所定のいわゆる法定労働時間と比較しても,その4分の3を優に超えるものであったと認められるから,昭和55年内かんの基準によったとしても,原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保 険及び健康保険の被保険者であったという認定判断が左右されるものではない。 したがって,昭和55年内かんの基準の当否について論ずるまでもなく,原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者ではなかったとする被告日本年金機構の主張は,採用することができない。 (3) 小括以上によれば,本件却下処分は,原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったことを否定した点で,違法なものであるといわざるを得ない。これと異なる被告日本年金機構の主張は,これまで述べたところに照らし,採用することができない。 2 本件義務付けの訴えについて原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったことの確認の義務付けを求める本件義務付けの訴えは,行政事件訴訟法3条6項2号に規定するいわゆる申請型の義務付けの訴えであると解されるところ,前記1で述べたとおり,原告の厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格の確認の請求(本件確認請求)を却下した本件却下処分は違法であり,取り消されるべきものであるから,本件義務付けの訴えは,同法37条の3第1項2 とおり,原告の厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格の確認の請求(本件確認請求)を却下した本件却下処分は違法であり,取り消されるべきものであるから,本件義務付けの訴えは,同法37条の3第1項2号に規定する要件に該当するものと認められ,また,同条2項及び3項2号に規定する要件に該当することは明らかである。 そして,前記1で述べたところに照らせば,被告日本年金機構が原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったことの確認をすべきであることが厚年法18条1項本文及び健保法39条1項本文の規定から明らかであると認められるから,行政 事件訴訟法37条の3第5項の規定に従い,被告日本年金機構に対し,原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったことの確認をすべき旨を命ずるのが相当である。 3 原告の被告国に対する訴えについて特定の処分についての審査請求又は再審査請求の裁決の取消しを求める訴えの目的は,究極的には当該処分の取消しを求めることにあると解されるところ,前記1で述べたとおり,本件却下処分の取消しを求める原告の請求は認容すべきものであるから,本件再審査裁決の取消しを求める訴えの利益は失われるものと解される。 したがって,本件訴えのうち原告の被告国に対する請求に係る部分は,訴えの利益を欠き,不適法であるというべきである。 第4 結論以上の次第であって,原告の被告日本年金機構に対する請求は,いずれも理由があるからこれらを認容し,本件訴えのうち原告の被告国に対する請求に係る部分は,不適法であるからこれを却下することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官 本件訴えのうち原告の被告国に対する請求に係る部分は,不適法であるからこれを却下することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官舘内比佐志 裁判官福渡裕貴 裁判官川嶋知正 別紙1関係法令の定め 1 厚生年金保険法(以下「厚年法」という。)及び厚生年金法施行令(以下「厚年法施行令」という。)の定め(1) 被保険者ア厚年法9条(被保険者)は,適用事業所に使用される70歳未満の者は,厚生年金保険の被保険者とする旨を定めている。 イ厚年法12条(適用除外)は,次の各号のいずれかに該当する者は,同法9条及び10条1項の規定にかかわらず,厚生年金保険の被保険者としない旨を定めている。 1号国,地方公共団体又は法人に使用される者であって,次に掲げるものイ恩給法19条に規定する公務員及び同条に規定する公務員とみなされる者ロ法律によって組織された共済組合の組合員ハ私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者2号臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)であって,次に掲げるもの。ただし,イに掲げる者にあっては1月を超え,ロに掲げる者にあっては所定の期間を超え,引き続き使用されるに至った場合を除く。 イ日々雇い入れられる者ロ 2月以内の期間を定めて使用される者3号所在地が一定しない事業所に使用される者4号季節的業務に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)。ただし,継続して4月を超えて使用されるべき場合は,この限りで て使用される者3号所在地が一定しない事業所に使用される者4号季節的業務に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)。ただし,継続して4月を超えて使用されるべき場合は,この限りでない。 5号臨時的事業の事業所に使用される者。ただし,継続して6月を超えて使用されるべき場合は,この限りでない。 ウ厚年法13条(資格取得の時期)1項は,同法9条の規定による被保険者は,適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は同法12条の規定に該当しなくなった日に,被保険者の資格を取得する旨を定めている。 エ厚年法14条(資格喪失の時期)2号は,同法9条等の規定による被保険者は,その事業所に使用されなくなったときに該当するに至った日の翌日に,被保険者の資格を喪失する旨等を定めている。 オ(ア) なお,平成24年法律第63号1条(厚年法の一部改正)は,厚年法12条中1号を削り,2号を1号とし,3号から5号までを1号ずつ繰り上げる旨等を定めているところ,平成24年法律第63号1条の規定は,平成27年10月1日から施行される(同法附則1条本文)。 (イ) また,平成24年法律第62号3条(厚年法の一部改正)は,厚年法12条に次の号を加える旨等を定めているところ,平成24年法律第62号3条の規定は,平成28年10月1日から施行される(同法附則1条5号)。 6号事業所に使用される者であって,その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律2条に規定する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である同条に規定する短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満であ 規定する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である同条に規定する短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当し,かつ,イからニまでのいずれかの要件に該当するものイ 1週間の所定労働時間が20時間未満であること。 ロ当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれないこ と。 ハ報酬(最低賃金法4条3項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について,厚生労働省令で定めるところにより,厚年法22条1項の規定の例により算定した額が,8万8000円未満であること。 ニ学校教育法50条に規定する高等学校の生徒,同法83条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。 (ウ) 一方,平成24年法律第62号附則17条1項は,当分の間,特定適用事業所(事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって,当該1又は2以上の適用事業所に使用される通常の労働者及びこれに準ずる者(1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であり,かつ,その1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3以上である短時間労働者をいう。)の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所をいう。)以外の適用事業所に使用される70歳未満の者であって,その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当するものについては, 間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当するものについては,厚年法9条及び10条1項の規定にかかわらず,厚生年金保険の被保険者としない旨を定めている。 (2) 被保険者の資格の確認の請求ア厚年法18条(資格の得喪の確認)1項本文は,被保険者の資格の取得及び喪失は,厚生労働大臣(平成19年法律第109号による改正前は社会保険庁長官)の確認によって,その効力を生ずる旨を定めている。 イ厚年法31条(確認の請求)1項は,被保険者又は被保険者であった者 は,いつでも,同法18条1項の規定による確認を請求することができる旨を定めている。 ウ厚年法31条2項は,厚生労働大臣(平成19年法律第109号による改正前は社会保険庁長官)は,厚年法31条1項の規定による請求があった場合において,その請求に係る事実がないと認めるときは,その請求を却下しなければならない旨を定めている。 エ(ア) 厚年法100条の4(日本年金機構への厚生労働大臣の権限に係る事務の委任)第1項3号及び9号は,厚生労働大臣の権限に係る事務のうち,それぞれ同法18条1項の規定による確認並びに同法31条1項の規定による請求の受理及び同条2項の規定による請求の却下を被告日本年金機構に行わせるものとする旨を定めている。 (イ) なお,平成19年法律第109号による改正前の厚年法4条(権限の委任)1項は,同法に規定する社会保険庁長官の権限の一部は,政令で定めるところにより,地方社会保険事務局長に委任することができる旨を定め,同条2項は,同条1項の規定により地方社会保険事務局長に委任された権限の全部又は一部は,政令の定めるところにより 部は,政令で定めるところにより,地方社会保険事務局長に委任することができる旨を定め,同条2項は,同条1項の規定により地方社会保険事務局長に委任された権限の全部又は一部は,政令の定めるところにより,社会保険事務所長に委任することができる旨を定め,平成21年政令第310号による改正前の厚年法施行令1条(権限の委任)1項5号及び16号は,それぞれ同法18条1項に規定する権限及び同法31条2項に規定する権限を地方社会保険事務局長に委任する旨を定め,同令1条2項本文は,上記の各権限を社会保険事務所長に委任する旨を定めていた。 2 健康保険法(以下「健保法」という。)及び健康保険法施行令(以下「健保法施行令」という。)の定め(1) 被保険者ア健保法3条(定義)1項は,同法において「被保険者」とは,適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいうが(本文),次の各号のい ずれかに該当する者は,日雇特例被保険者となる場合を除き,被保険者となることができない(ただし書)旨を定めている。 1号船員保険の被保険者(船員保険法2条2項に規定する疾病任意継続被保険者を除く。)2号臨時に使用される者であって,次に掲げるもの(イに掲げる者にあっては1月を超え,ロに掲げる者にあってはロに掲げる所定の期間を超え,引き続き使用されるに至った場合を除く。)イ日々雇い入れられる者ロ 2月以内の期間を定めて使用される者3号事業所又は事務所で所在地が一定しないものに使用される者4号季節的業務に使用される者(継続して4月を超えて使用されるべき場合を除く。)5号臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6月を超えて使用されるべき場合を除く。)6号国民健康保険組合の事業所に使用される者7号後期高齢者医療の被保険者(高 べき場合を除く。)5号臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6月を超えて使用されるべき場合を除く。)6号国民健康保険組合の事業所に使用される者7号後期高齢者医療の被保険者(高齢者の医療の確保に関する法律50条の規定による被保険者をいう。)及び同条各号のいずれかに該当する者で同法51条の規定により後期高齢者医療の被保険者とならないもの8号厚生労働大臣(平成19年法律第109号による改正前は社会保険庁長官),健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者(健康保険の被保険者でないことにより国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る。)イ健保法35条(資格取得の時期)1項は,被保険者は,適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は同法3条1項ただし書の規定に該当しなくなった日から,被保険者の資格を取得する旨を定めている。 ウ健保法36条(資格喪失の時期)2号は,被保険者は,その事業所に使 用されなくなったときに該当するに至った日の翌日から,被保険者の資格を喪失する旨等を定めている。 エ(ア) 平成24年法律第62号25条(健保法の一部改正)は,健保法3条1項に次の号を加える旨等を定めているところ,平成24年法律第62号25条の規定は,平成28年10月1日から施行される(同法附則1条5号)。 9号事業所に使用される者であって,その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律2条に規定する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である同条に規定する短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当し,かつ,イからニまでの 4分の3未満である同条に規定する短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当し,かつ,イからニまでのいずれかの要件に該当するものイ 1週間の所定労働時間が20時間未満であること。 ロ当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれないこと。 ハ報酬(最低賃金法4条3項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について,厚生労働省令で定めるところにより,健保法42条1項の規定の例により算定した額が,8万8000円未満であること。 ニ学校教育法50条に規定する高等学校の生徒,同法83条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。 (イ) もっとも,平成24年法律第62号附則46条1項は,当分の間,特定適用事業所(事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって,当該1又は2以上の適用事業所に使用される通常の労働者及びこれに準ずる者(1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1 週間の所定労働時間の4分の3以上であり,かつ,その1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3以上である短時間労働者をいう。)の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所をいう。)以外の適用事業所に使用される者であって,その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当するものについては,同法25条の規定による改正後の健保法3条1項の規定に その1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当するものについては,同法25条の規定による改正後の健保法3条1項の規定にかかわらず,健康保険の被保険者としない旨を定めている。 (2) 被保険者の資格の確認の請求ア健保法39条(資格の得喪の確認)1項本文は,被保険者の資格の取得及び喪失は,保険者等(被保険者が全国健康保険協会が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては厚生労働大臣(平成19年法律第109号による改正前は社会保険庁長官),被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては当該健康保険組合をいう。)の確認によって,その効力を生ずる旨を定めている。 イ健保法51条(確認の請求)1項は,被保険者又は被保険者であった者は,いつでも,同法39条1項の規定による確認を請求することができる旨を定めている。 ウ健保法51条2項は,保険者等は,同条1項の規定による請求があった場合において,その請求に係る事実がないと認めるときは,その請求を却下しなければならない旨を定めている。 エ(ア) 健保法204条(日本年金機構への厚生労働大臣の権限に係る事務の委任)1項4号及び10号は,厚生労働大臣の権限に係る事務のうち,それぞれ同法39条1項の規定による確認並びに同法51条1項の規定 による請求の受理及び同条2項の規定による請求の却下を被告日本年金機構に行わせるものとする旨を定めている。 (イ) なお,平成19年法律第109号による改正前の健保法204条(権限の委任)1項は,同法に規定する厚生労働大臣及び社会保険庁長官の権限の一部は,政令で定めるところにより,地方社会保険事務局長に委任することができる旨を定め,同条2項は,同 正前の健保法204条(権限の委任)1項は,同法に規定する厚生労働大臣及び社会保険庁長官の権限の一部は,政令で定めるところにより,地方社会保険事務局長に委任することができる旨を定め,同条2項は,同条1項の規定により地方社会保険事務局長に委任された権限の一部は,政令で定めるところにより,社会保険事務所長に委任することができる旨を定め,平成21年政令第310号による改正前の健保法施行令63条(権限の委任)1項4号及び7号は,それぞれ同法39条1項の規定による権限並びに同法51条1項及び2項の規定による権限を地方社会保険事務局長に委任する旨を定め,同令63条2項本文は,上記の各権限を社会保険事務所長に委任する旨を定めていた。 3 日本年金機構法の定め日本年金機構法附則73条(処分,申請等に関する経過措置)2項は,同法の施行の際現に法令の規定により社会保険庁長官等に対してされている申請,届出その他の行為は,法令に別段の定めがあるもののほか,同法の施行後は,同法の施行後の法令の相当規定に基づいて,厚生労働大臣等に対してされた申請,届出その他の行為とみなす旨を定めている。 別紙2争点に関する当事者の主張の要旨 第1 争点1(本件却下処分の適法性) 1 被告日本年金機構の主張の要旨以下に述べるとおり,昭和55年内かんの示す基準は,厚生年金保険及び健康保険の被保険者の該当性に関する厚年法及び健保法の規定の解釈に合致するものであって,合理性を有するものであるところ,原告のP1における就労は,昭和55年内かんの示す基準を満たすものではないから,原告が厚生年金保険及び健康保険の被保険者に当たらないとした本件却下処分は,適法である。 (1) 昭和55年内かんの適法性等についてア昭和55年内かんの法的性質等(ア) 厚 ではないから,原告が厚生年金保険及び健康保険の被保険者に当たらないとした本件却下処分は,適法である。 (1) 昭和55年内かんの適法性等についてア昭和55年内かんの法的性質等(ア) 厚年法9条及び健保法3条1項は,それぞれ厚生年金保険及び健康保険の被保険者を「適用事業所に使用される者」と一般的,抽象的に定めているところ,昭和55年内かんは,「適用事業所に使用される者」に該当する者の意義を明確にする必要が生じたため,その具体的な解釈の基準を示したものである(なお,この主張は,昭和55年内かんをいわゆる裁量基準とみる考え方(乙A4)と必ずしも矛盾するものではない。昭和55年内かんは,厚年法及び健保法が被告日本年金機構に与えた厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格の確認に係る裁量の基準と解することもできるからである。)。 すなわち,昭和50年代頃から,社会構造の変化に伴い,適用事業所との使用関係において常用的でない雇用形態である短時間労働者(いわゆるパートタイム労働者)が増加していたところ,これらの短時間労働者には,適用事業所において同種の業務に従事する通常の就労者(いわ ゆる正社員)と同様に取り扱うことは妥当でないと考えられるものの,厚年法12条及び健保法3条1項ただし書が定める適用除外として取り扱うことも適当ではない者が多くみられたことから,短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用の基準を定める必要性が生じたため,昭和55年内かんが発出されたのである。 昭和55年当時,社会保険庁は,政府が管掌する厚生年金保険事業及び健康保険事業を運営することを任務としており,同庁年金保険部厚生年金保険課はそのうち厚生年金保険事業に係る事務を所掌し,同庁医療保険部健康保険課はそのうち政府が管掌する健康保険事業に係る 険事業及び健康保険事業を運営することを任務としており,同庁年金保険部厚生年金保険課はそのうち厚生年金保険事業に係る事務を所掌し,同庁医療保険部健康保険課はそのうち政府が管掌する健康保険事業に係る事務を所掌していた。また,健康保険の保険者は政府と健康保険組合であるところ,健康保険組合に関する指導監督に係る事務は,厚生省保険局保険課が所掌していた。したがって,昭和55年内かんは,その当時における厚生年金保険事業及び健康保険事業の運営に係る事務を所掌していた権限のある部署の権限のある者が発出したものであるということができる。 昭和55年内かんは,厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格の取得及び喪失に係る確認について統一的,適正な運用を図るために制定された行政機関内部における判断基準であって,国民の権利義務に直接影響を及ぼすものではない。したがって,本件において「昭和55年内かんの適法性」が問題となるのは,昭和55年内かんが厚年法及び健保法にいう「適用事業所に使用される者」の解釈に合致し,合理性を有するか否かという意味合いにおいてである。 (イ) なお,昭和55年内かんにより短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用についての一定の解釈の基準が示されたものの,女性の就業意識の高まり,雇用形態の多様化の進展及びバブル経済崩壊後の厳しい経済情勢等を背景に,厚生年金保険及び健康保険が適用されない 短時間労働者が増加の一途をたどったことから,短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用の拡大についての検討が続けられ,平成24年8月10日に成立した「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成24年法律第62号)によって,短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険 4年8月10日に成立した「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成24年法律第62号)によって,短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用の拡大が実現することになった。短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用を拡大する同法の規定は,平成28年10月1日から施行されるものとされている。 イ昭和55年内かんの適法性(ア) 厚年法9条及び健保法3条1項に規定する「使用される者」とは「常用的使用関係にある者」をいうことa 厚年法及び健保法の立法理由等厚年法の前身である労働者年金保険法については,政府により,その提案の理由として,「惟フニ労働者ハ,自己ノ労働能力ヲ以テ生活維持ノ唯一ノ手段トシテ居ルノデアリマシテ,老齢,廃疾及ビ死亡等,其ノ労働能力ヲ減退又ハ喪失セシメマスル事故ハ労働者ニ取リマシテハ,其ノ生活ヲ不断ニ脅カスモノデアリマスガ,年金保険ノ制度ハ,是等ノ事故ニ際シテ労働者ノ生活ヲ保障シ」旨の説明がされていた(乙A27)。 また,健保法については,その制定の理由として,「惟ふに自己の労働力を生活費獲得の唯一の源泉とする賃金生活者に於て,日常の生活を不安ならしむる主要なる原因は,(中略)然るに本邦に於て斯る場合に際し,直接に労働者又は其の家族の救済を目的とする法制の現に存するは,僅に工場及鉱業に関する法令に依り,(中略)吾人の常に遺憾とする所なり。」旨の説明がされていた(乙A26)。 これらの説明からすれば,厚年法(その前身である労働者年金保 険法を含む。)及び健保法は,それらが制定された当初において,自己の労働力を唯一の資本とし,その提供した労働力の対価として得た賃金のみを生計の基盤として自分と家族の生計を支える労働者を対象としたもので を含む。)及び健保法は,それらが制定された当初において,自己の労働力を唯一の資本とし,その提供した労働力の対価として得た賃金のみを生計の基盤として自分と家族の生計を支える労働者を対象としたものであり,これらの者の生活の安定を図ることを目的としていたものであると解される。 b いわゆる被用者保険制度の目的と厚生年金保険制度及び健康保険制度における労働者の範囲(a) 一般的に,労働者とは,雇用契約の一方当事者で,自身の技能や作業といった労働力を事業主のために提供し,その対価として賃金を得る者をいう。そして,労働者が提供する労働力は,物理的な量である労働時間に比例するものということができる。また,通常の生活が可能となる程度に賃金を得ようとする者は,より多くの時間を労働に充てる必要があり,結果としてそのために,他の生活に充てるべき時間を失うこととなる。そうすると,賃金のみを専ら生計の基盤として生活する労働者は,その者の生活の中心が労働の提供のみとなる状況に陥りやすく,賃金を得られない限り生活が困窮するという点において弱者となりやすい。このような労働者に保険事故が生じたときには,その生活基盤が損なわれることが見込まれることから,社会生活の大半にわたる長時間の労働力の提供を受ける使用者にも費用の一部を負担させるような保険制度により労働者を保護することの意義が生ずる。 (b) また,労働者を公的保障によって保護することの対償として,使用者に対しても保険料負担を求めることとなるので,このような関係性においては,被用者保険によって保護される労働者の範囲は,労務提供者がどのような形であれ単に労働力を提供している者であれば足りるというわけではなく,使用者にそのような負担 を負わせることが相当といえる一定の関係にある労働者,すなわち 範囲は,労務提供者がどのような形であれ単に労働力を提供している者であれば足りるというわけではなく,使用者にそのような負担 を負わせることが相当といえる一定の関係にある労働者,すなわち自己の労働力の全部又は主要な部分を使用者のために継続的に提供する常用的使用関係にある者と解される。 (c) さらに,被用者保険制度の目的は,「自己の労働力を生活費獲得の唯一の源泉とする賃金生活者」,すなわち,専ら社会生活の中心が労働の提供のみであり,社会生活の大半を使用者に拘束されている者を保障することにあるところ,労働者は,労働力を提供している時間において使用者の拘束を受けることとなるから,短時間労働者のような常用的使用関係にない者であっても,その労働時間においては使用者との間で一定の使用関係が生ずるが,こうした者は,社会生活の中心が労働の提供のみとなっているというほどには生活の他に充てるべき時間を損耗しておらず,生活の大半を使用者に拘束されているとはいえない場合が多い。 また,どのような労働条件の働き方を選ぶのかは,労働者側にもその選択権はあり,自らが主たる生計維持者ではないなどの理由から,使用者との常時にわたる使用関係を労働者自らが選ばないこともある。 このような常用的使用関係にない者については,使用者との間に社会生活の大半にわたる長時間の労働力の提供とそれに対応した保険事故が生じた場合の保障を行うべき関係は認められず,このような者についてまで使用者に保険料負担を課す意義は乏しい。 (d) このように,労使双方に保険料負担を求めるような保険制度によって,事業主に使用される労働者を保護するという被用者保険制度の目的に鑑みれば,厚生年金保険制度及び健康保険制度によって保護するに値する労働者は,労働者全般ではなく,保険料負担 な保険制度によって,事業主に使用される労働者を保護するという被用者保険制度の目的に鑑みれば,厚生年金保険制度及び健康保険制度によって保護するに値する労働者は,労働者全般ではなく,保険料負担 者でもある使用者との関係性に着目して,その関係性の緊密さを基準とした一定の範囲の労働者に限った保険集団と解すべきである。 c 厚生年金保険及び健康保険における保険料の決定方法等(a) 被保険者が常用的使用関係にある者であることを前提として「標準報酬月額」が設定されていることⅰ 厚年法及び健保法における「標準報酬月額」は,被保険者の賃金額に基づき決定される「報酬月額」に応じて区分された「標準報酬月額等級」に基づき定められ,「標準報酬月額等級」は,厚年法においては第1級から第30級まで,健保法においては第1級から第47級までの等級があるところ(厚年法20条1項,健保法40条1項),厚年法81条及び健保法156条が,このような「標準報酬月額」を基礎として保険料の額を算定することとしたのは,保険料の額を被保険者の賃金額に見合ったものとする趣旨である。 そして,厚年法及び健保法における「標準報酬月額等級」の下限は,毎月勤労統計調査(毎月勤労統計調査規則に基づき,厚生労働省(旧労働省)が実施している調査)に基づく事業所規模5人以上の事業所における労働者の出勤日数の平均日数に,最低賃金法に基づく1日当たりの最低賃金を乗じた金額を参考に定められてきた。すなわち,厚年法及び健保法における「標準報酬月額等級」は,被保険者が上記毎月勤労統計調査に基づく労働者の平均的な出勤日数以上に終日勤務をしていることを前提に設定されており,常用的使用関係にある者を被保険者とすることを前提するものである(乙A30)。 ⅱ 仮に,原告が主張するように,被保 く労働者の平均的な出勤日数以上に終日勤務をしていることを前提に設定されており,常用的使用関係にある者を被保険者とすることを前提するものである(乙A30)。 ⅱ 仮に,原告が主張するように,被保険者の範囲を全ての「賃 金によって生活する者」と解する場合には,例えば,月1日しか労働を提供せず,1万円の報酬しか得ていない労働者であっても,適用事業所に使用されてさえいれば,厚生年金保険及び健康保険の被保険者に当たることとなるが,この場合の当該労働者の保険料の額は,収入を超える額となるのであって,理不尽な結果となることは明らかである。 したがって,被保険者の範囲について,原告が主張するような解釈を採り得ないことは明らかである。 ⅲ さらに,厚年法及び健保法における「標準報酬月額」が,その被保険者が全ての労働者でないことを前提として定められていることについて,労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)制度との比較の観点からも補足すると,厚年法及び健保法における「標準報酬月額」は,個々の労働者の「報酬月額」,すなわち,個々の労働者に支払われる実賃金額を基に設定されている(厚年法21条1項,健保法41条1項)。これに対し,業務上の災害に係る事業主の保障責任が明確である労災保険については,事業主が雇用する労働者全てに対して業務上発生した災害に対する保障をするという法目的から,労働者である限りはパート等の非典型雇用の労働者であっても当然に被保険者資格が発生することとし,その保険料の計算は,個々の労働者を単位とするのではなく,当該事業主がその事業に使用する全ての労働者に対して支払う賃金の総額である「賃金総額」を基礎としている(労働保険の保険料の徴収等に関する法律11条1項及び2項)。 厚生年金保険及び健康保険が,その事業所に がその事業に使用する全ての労働者に対して支払う賃金の総額である「賃金総額」を基礎としている(労働保険の保険料の徴収等に関する法律11条1項及び2項)。 厚生年金保険及び健康保険が,その事業所に勤務する全ての労働者を適用の対象とするのであれば,労災保険におけるのと同様 に,その事業所において支払われた賃金総額を基に保険料を算定する方法を採用してしかるべきであるが,実際には,厚年法及び健保法は,そのような方法を採用せず,個々の労働者の賃金に基づいて設定された「標準報酬月額」に基づき保険料を算定している。 したがって,厚年法及び健保法は,労災保険制度とは異なり,事業所に勤務する全ての労働者を適用の対象とはせず,これらの法の適用対象となる労働者とそうでない労働者が存在することを当然の前提としていることは明らかである。 (b) 被保険者が継続的に雇用されていることを前提に「報酬月額」算定の基礎となる賃金の期間が定められていること厚年法及び健保法は,原則として,その年の4月から6月まで(平成14年度までは5月から7月まで)の実賃金額を基にして算定された「報酬月額」によって「標準報酬月額」を決定し,その「標準報酬月額」を,その年の9月(平成14年度までは10月)から翌年8月(平成14年度までは9月)までの向こう1年間の「標準報酬月額」として保険料を算定する仕組み(現在の賃金額で将来の保険料を算定するという方法)を採っている(厚年法21条,健保法41条)。これは,一般的に定期昇給が4月に行われることに鑑みて,定期昇給後の新たな賃金額の平均をもって,その後の保険料額の算定の基礎とすることとしているものであって,これは,被保険者となる労働者が,同一事業所において相当程度長期にわたって継続的に就労する者であることを前提にしてい の平均をもって,その後の保険料額の算定の基礎とすることとしているものであって,これは,被保険者となる労働者が,同一事業所において相当程度長期にわたって継続的に就労する者であることを前提にしているものということができる。 (c) 被保険者の勤務日数が一定以上であることを前提として「報酬月額」算定の基礎となる賃金の支払基礎日数が少ない月の賃金が除 外されていること「標準報酬月額」の定時決定について規定する厚年法21条1項及び健保法41条1項や,「報酬月額」に著しく高低を生じた場合の「標準報酬月額」の改定について規定する厚年法23条1項及び健保法43条1項は,「標準報酬月額」を決定する基礎となる「報酬月額」を算定するに当たり,支払基礎日数が17日未満(平成18年7月前は20日未満)の月の報酬を除外するものとしている。 支払基礎日数の「17日未満」というのは,週休2日で週5日勤務する通常の就労者(常用的使用関係にある者)の4分の3を下回る日数であって,勤務日数が常にこれを下回る者(常用的使用関係にない者)は,たとえ勤務日に終日(法定労働時間の上限まで)勤務をしている者であったとしても,被保険者にあたらないということになる。なお,平成18年7月前は,上記の「17日未満」は「20日未満」であったが,これもまた,週休2日制が定着する前の週6日勤務を前提に,通常の就労者(常用的使用関係にある者)の4分の3を下回る日数として算出されていたものである。 このことは,厚年法及び健保法が,常用的使用関係にある者を被保険者として想定していることを明らかに示すものである。 d 厚生年金保険制度及び健康保険制度における家族給付制度等(a) 各種家族給付制度の存在自体が被保険者の範囲が限定されることを前提としていること厚生年金保険 ことを明らかに示すものである。 d 厚生年金保険制度及び健康保険制度における家族給付制度等(a) 各種家族給付制度の存在自体が被保険者の範囲が限定されることを前提としていること厚生年金保険制度及び健康保険制度における各種の家族給付制度(国民年金の第3号被保険者制度並びに健康保険の家族に対する様々な療養費の支給及び被扶養者の認定基準等)は,被保険者 の賃金のみで生計を営む家族においては,その家族自身には保険料を拠出する負担能力がないという前提の下で,被保険者から拠出される保険料により,その家族をも保障する必要性から設けられているものである。したがって,これらの制度は,一般的には労働力の全部又は主要な部分を事業主のために提供し,その対価として得る賃金により,自己とその家族の生計を支える労働者をもって,法の保障の対象となる労働者と想定しているということができる。つまり,各種の家族給付制度の存在は,労働力の全部又は主要な部分を事業主のために提供し,自己とその家族の生計を支える労働者を被保険者とすることを前提としていることの証左なのである。 (b) 被保険者の範囲が限定されることを前提として各種家族給付制度等に関する規定が置かれていること厚生年金保険制度及び健康保険制度における家族給付制度等に関する規定は,その被保険者が,全ての労働者ではなく,一定の範囲に限定されることを前提として置かれている。 すなわち,国民年金法は,厚生年金保険の被保険者を第2号被保険者とし,第2号被保険者の配偶者であって主として被保険者の収入により生計を維持する者のうち20歳以上60歳未満の者を第3号被保険者としているから(同法7条1項2号,3号),厚年法上の全ての労働者を被保険者とすると,第2号被保険者の配偶者で第3号被保険者に当たる者が 計を維持する者のうち20歳以上60歳未満の者を第3号被保険者としているから(同法7条1項2号,3号),厚年法上の全ての労働者を被保険者とすると,第2号被保険者の配偶者で第3号被保険者に当たる者が,パートタイム等の短時間労働をした場合は,そのまま主として他方の配偶者の収入によって生計を維持していたとしても,厚年法の被保険者,すなわち第2号保険者にも該当することになるが,国民年金法はその調整規定等を置いてない。 また,健保法においては,被保険者の直系尊属,配偶者,子,孫及び弟妹であって,主としてその被保険者により生計を維持するもの等は,被扶養者として,家族療養費等の保険給付を受けることになるところ(同法3条7項,110条以下),全ての労働者を被保険者とすると,被保険者により生計を維持する配偶者等がパートタイム等の短時間労働をした場合は,被保険者と被扶養者との地位のいずれも併有することになってしまうが,同法は,その調整規定等を置いていない。 このような厚生年金保険制度及び健康保険制度における家族給付制度等に関する規定からしても,適用事業所における全ての労働者を被保険者とすることを前提とする原告の主張は採り得ないことは明らかである。 e 小括以上に述べたとおり,厚生年金保険制度及び健康保険制度は,①制定当初から,自己の労働力を唯一の資本とし,その提供した労働力の対価として得た賃金のみを生計の基盤として生計を支える労働者を制度の対象とすることを想定していたこと,②労使双方に保険料負担を求めるような保険制度によって事業主に使用される労働者を保護するという被用者保険制度の目的に鑑みれば,厚年法及び健保法の保護の対象とすべき労働者は,使用者との関係の緊密さを基準とした一定の範囲の労働者に限定して解すべきであること,③被保 される労働者を保護するという被用者保険制度の目的に鑑みれば,厚年法及び健保法の保護の対象とすべき労働者は,使用者との関係の緊密さを基準とした一定の範囲の労働者に限定して解すべきであること,③被保険者が常用的使用関係にある者であることを前提として「標準報酬月額」や「報酬月額」算定の基礎となる期間が定められるとともに,賃金支払基礎日数の少ない月が「報酬月額」算定の基礎から除外されていることからすれば,厚年法9条及び健保法3条1項にいう「使用される者」とは,常用的使用関係にある者と解すべきであることは明らかであり, また,④仮に,「使用される者」を極めて短時間でも労務を提供した全ての者と解釈した場合には,不合理な保険料が賦課されることになること,⑤厚生年金保険及び健康保険は,全ての労働者を適用対象とする労災保険とは異なる保険料の算定方法を採用していること,⑥被保険者の範囲が限定されることを前提とした各種家族給付制度が存在していることからすれば,厚生年金保険及び健康保険の被保険者となる「使用される者」が適用事業所に使用されている全ての労働者を指すものではないこともまた明らかである。 (イ) 昭和55年内かんは法の解釈に合致し,合理性を有することa 昭和55年内かんの「おおむね4分の3」とする部分について(a) 時間は万人にとって一律かつ有限であり,一般的に,特定の時間には1つの活動しか行い得ないことから,ある労働者が厚生年金保険及び健康保険の適用対象にふさわしい労働者としての実態を備えているか否かや,事業主の事業活動に対して一定以上の関係性を有しているか否かを判断する基準,すなわち,厚年法及び健保法における「常用的使用関係にある者」か否かを判断する基準として,事業主の指示の下に置かれる労働時間の長短は,最も基本的な 定以上の関係性を有しているか否かを判断する基準,すなわち,厚年法及び健保法における「常用的使用関係にある者」か否かを判断する基準として,事業主の指示の下に置かれる労働時間の長短は,最も基本的な要素である。 そして,厚生年金保険及び健康保険においては,その「労働力の全部又は主要な部分」を事業主のために継続的に提供する労働者,すなわち常用的使用関係にある者が被保険者となるが,労働者が,1日,1週間又は1か月間等の単位で見た場合に,現実にどのくらいの労働時間を労働するならば「労働力の全部又は主要な部分」を行使していると認められるかは,一義的に明らかではなく,社会経済の状況によっても相違し得る。 そこで,国は,厚生年金保険及び健康保険の対象となる労働者 と,その対象とはならない労働者との区分として,厚年法及び健保法の趣旨に照らし,所定労働日数や所定労働時間が,当該事業所において同種の業務に従事する通常の労働者のおおむね4分の3以上であることという目安を設け,その考え方を昭和55年内かんにおいて示したのである。 これは,昭和55年内かんを発出した当時の雇用保険法による短時間労働者の取扱い及び人事院規則による非常勤職員の勤務時間の取扱いを参考としたものであり,この基準には合理性が認められるものである。 (b) また,厚年法及び健保法が,労働者のうち,自己の労働力を唯一の資本とし,その提供した労働力の対価として得られた賃金のみを生計の基盤として自分と家族の生計を支える労働者の生活の安定を図ることを目的としていることは,前記(ア)dで述べたとおりであるところ,これを受けて,厚年法及び健保法は,労働者のうち,短期間使用される者等を類型的に明文の規定により除外しているから(厚年法12条2号,4号及び5号,健保法3条1項2号から 述べたとおりであるところ,これを受けて,厚年法及び健保法は,労働者のうち,短期間使用される者等を類型的に明文の規定により除外しているから(厚年法12条2号,4号及び5号,健保法3条1項2号から5号まで),自己の労働力を唯一の資本とし,その提供した労働力の対価として得られた賃金のみを生計の基盤として自分と家族の生計を支える労働者に該当するものとしてその適用対象とするか否かについて,時間的な要素を考慮していることが明らかである。したがって,厚年法9条及び健保法3条1項に規定する「使用される者」に当たるか否かの目安として所定労働時間を用いることには,合理性がある。 さらに,前記(ア)c(a)のとおり,厚年法及び健保法における「標準報酬月額等級」の下限は,労働者の出勤日数の平均日数に,最低賃金法に基づく1日当たりの最低賃金を乗じた金額を参 考に定められてきており,被保険者が労働者の平均的な出勤日数以上に終日勤務していることを前提としている。 その上,前記(ア)c(c)のとおり,厚年法21条1項及び健保法41条1項は,標準報酬月額の改定の基礎とする算定対象月から,報酬の支払いの対象となった日が17日未満(平成18年7月前は20日未満)の月を除外しており,厚年法及び健保法は,週休2日で週5日勤務する通常の就労者の4分の3を下回る日数しか出勤していない者については,たとえ勤務日に終日(法定労働時間の上限まで)勤務をしている者であったとしても,被保険者に該当することを全く予定していない。言い換えれば,厚年法及び健保法は,労働時間が通常の就労者の4分の3を下回る場合は,被保険者に該当しないことを予定しているといえる。 以上のような健保法及び厚年法の規定からして,健保法及び厚年法は,正に昭和55年内かんと同様の被保険者の範囲を予定 就労者の4分の3を下回る場合は,被保険者に該当しないことを予定しているといえる。 以上のような健保法及び厚年法の規定からして,健保法及び厚年法は,正に昭和55年内かんと同様の被保険者の範囲を予定しているのであって,昭和55年内かんが厚年法及び健保法の解釈に合致し,合理性を有することは明らかである。 b 昭和55年内かんのその余の部分について昭和55年内かんは,「3」において,「2に該当する者以外の者であっても1の趣旨に従い,被保険者として取り扱うことが適当な場合があると考えられるので,その認定に当たっては,当該就労者の就労の形態等個々具体的事例に即して判断すべきものであること」として,労働時間と労働日数が通常の就労者の4分の3未満の者であっても被保険者として適用される余地があり,「おおむね4分の3」が目安であることを表し,最終的には飽くまで実態としての使用関係に着目することを示しているのであって,厚生年金保険及び健康保険の対象となる労働者を機械的一律に判断すべきものとはしていない。 c 小括以上からすれば,昭和55年内かんの示す基準は,前記(ア)で述べた厚年法及び健保法の解釈に合致するものであって,合理性を有するものであることは明らかである。 なお,平成24年の厚年法及び健保法の改正により,厚年法12条1項5号及び健保法3条1項9号として,適用事業所の被用者のうち,上記常用的使用関係にない者を短時間労働者と定義した上で,原則として労働時間が20時間未満の短時間労働者を適用除外とする定めが新たに設けられたことは,この改正前の厚年法及び健保法においても短時間労働者を除外することが当然に予定されていたこと,したがって,昭和55年内かんが改正前の法の解釈として正当であることを示す証左である。 したがって,昭和5 改正前の厚年法及び健保法においても短時間労働者を除外することが当然に予定されていたこと,したがって,昭和55年内かんが改正前の法の解釈として正当であることを示す証左である。 したがって,昭和55年内かんは,厚年法及び健保法の「使用される者」,すなわち被保険者は常用的使用関係にある者であるとの解釈を前提として,常用的使用関係にある者の範囲の目安を具体的に示したものにすぎず,昭和55年内かんによって,厚年法及び健保法が予定している被保険者の範囲は何ら限定されるものではない。 (2) 原告が昭和55年内かんに照らして厚生年金保険及び健康保険の被保険者に当たるか否かア原告のP1における労働時間は常勤の労働者の労働時間のおおむね4分の3を下回っていたこと(ア) 原告は本件労働契約所定の労働時間を超えて労働をすべき義務がないことを認識していたことa 原告は本件労働契約における所定労働時間が本件労働契約書記載の労働時間であることを認識していたこと(a) 本件労働契約における労働時間が,1日5.9時間,1週間2 9.5時間であったことは,本件労働契約書の記載から明らかである。 これに対し,原告は,本件委託契約に基づいてP1が履行すべき義務の多くは原告によって遂行されるものであるから,本件委託契約に基づいてP1が履行すべき義務のうち原告によって遂行されるものは,本件労働契約の内容になっていた旨を主張するが,何ら合意もないのにZ市とP1との間の本件業務委託契約の内容が原告とP1との間の本件労働契約の内容になるはずがないし,本件委託契約に係る本件仕様書においては,業務開始時間及び業務終了時間は調整の上通知する旨の記載があり,配置時間は労働時間とは異なる概念として用いられていることが明らかであるから,原告の上記主張は,い 委託契約に係る本件仕様書においては,業務開始時間及び業務終了時間は調整の上通知する旨の記載があり,配置時間は労働時間とは異なる概念として用いられていることが明らかであるから,原告の上記主張は,いかなる意味においても失当である。 (b) そして,本件労働契約書には,労働時間を1日5.9時間,1週間29.5時間(本件労働契約4条),給与を月額24万4500円(本件労働契約6条)とする旨の記載があり,原告は,本件労働契約書に署名し,本件労働契約書記載の上記の労働時間及び給与の額について認識していた(原告本人)。 (c) また,原告は,本件労働契約締結後の平成21年4月6日頃,P1の担当者に対し,本件労働契約における労働時間を確認し,同担当者から,本件労働契約書に記載してあるとおりの労働時間である旨の回答を受けたというのであり(原告本人),単に本件労働契約書の記載上,本件労働契約における労働時間が1日5.9時間,週29.5時間とされていることを認識していたのみならず,P1においては,実際にも,本件労働契約における労働時間が本件労働契約書に記載のとおりであるとの前提で業務指示をし ていることを認識していたものである。 (d) さらに,P1は,Schedule & LessonPlan(以下「SLプラン」という。甲27から29まで,乙A23)によって,各英語指導助手に対する業務指示をしていたところ,SLプランは,各英語指導助手に対する業務指示書であるのみならず,本件業務委託契約に係る委託元であるZ市から委託先であるP1に対する発注書も兼ねるものであった。 そして,上記の性質を有するSLプランのうち,平成21年6月8日の週以降のものについては,不動文字で「業務の実施(実働)時間は1日6時間未満,週29.5時間以内での設定を 書も兼ねるものであった。 そして,上記の性質を有するSLプランのうち,平成21年6月8日の週以降のものについては,不動文字で「業務の実施(実働)時間は1日6時間未満,週29.5時間以内での設定をお願いします。」と記載されていることからすれば(甲28,29,乙A23),原告の労働時間が本件労働契約の所定労働時間を超えるものではないことを前提に,P1は原告に対して業務指示をし,Z市はP1に対して業務委託をしていたことは明らかである。そして,原告は,SLプランの作成に関わっていたというのであるから(甲40の1,40の2,甲50の1,50の2),この記載を認識していたことは明らかである。 (e) したがって,原告は,本件労働契約における所定労働時間が1日5.9時間,1週間29.5時間であり,特に指示がない限り,上記の時間を超えて労働すべき義務がないことを明確に認識した上で,本件小学校における業務に従事したことは明らかである。 b 本件労働契約の所定労働時間を8時間であったと認識していた旨の原告の供述は信用することができないこと(a) 原告は,本件労働契約の所定労働時間が午前8時20分又は午前8時30分から午後4時30分までであると認識していた旨を供述し(甲40の1,40の2,50の1,50の2,原告本 人),そのように認識した根拠について,①P3と労働契約を締結して本件小学校に配置されていたときに,本件小学校の校長から,朝礼に出席するために午前8時20分に出勤し,午後4時30分までは学校にいるよう指示され,P1から,本件労働契約を締結した後も業務時間はP3と労働契約を締結していたときと同じであると言われたことから,本件労働契約における労働時間が校長からの上記指示のとおりであると考え(甲40の1,40の2,原告本人), を締結した後も業務時間はP3と労働契約を締結していたときと同じであると言われたことから,本件労働契約における労働時間が校長からの上記指示のとおりであると考え(甲40の1,40の2,原告本人),また,②本件仕様書には「配置時間は,午前8時30分から午後4時30分とする。」との記載があることから,本件労働契約における労働時間が午前8時30分から午後4時30分までであると考えた(甲40の1,40の2,原告本人)などと供述する。 しかし,これらの原告の供述は,以下のとおり,いずれも信用することができない。 (b) まず,原告の供述のうち,前記(a)①の部分について検討すると,そもそも,原告がP3と労働契約を締結して本件小学校に配置されていたときに,校長から,朝礼に出席するために午前8時20分に出勤し,午後4時30分まで学校にいるよう指示されたこと自体,その指示がされた時期や状況等が明らかでなく,具体性がないことに加えて,これを裏付ける証拠がないことからすれば,信用することができない。 仮に,P3と労働契約を締結して本件小学校に配置されていた期間に,校長から上記のような指示があったとしても,原告は,P3とは別の会社であるP1との間で本件労働契約を締結した上,前記a(c)のとおり,P1の担当者に対し,本件労働契約における労働時間を確認し,同担当者から,本件労働契約書に記載し てあるとおりの労働時間である旨の回答を受けたというのであるから,本件小学校の校長の上記指示によって本件労働契約における就業時間が午前8時20分から午後4時30分までであると考えるというのは,著しく不合理である。 以上によれば,原告の供述のうち,前記(a)①の部分については,信用することができない。 (c) 次に,原告の供述のうち,前記(a)②の部分 分までであると考えるというのは,著しく不合理である。 以上によれば,原告の供述のうち,前記(a)①の部分については,信用することができない。 (c) 次に,原告の供述のうち,前記(a)②の部分について検討すると,そもそも,原告は,本件仕様書が飽くまでP1とZ市との間の本件業務委託契約に関するものであることに加えて,配置時間とは別に,業務開始時刻及び業務終了時刻は調整の上で通知する旨の本件仕様書の記載を認識し,その意味を理解していたのであって(甲3,原告本人),それにもかかわらず,本件仕様書に原告とP1との間の労働契約の内容が記載されたものと認識していたというのは,それ自体不合理である。 しかも,原告は,前記a(b)及び(c)のとおり,平成21年5月頃に情報公開制度によって本件仕様書を入手するよりも前に,本件労働契約締結時に本件労働契約書の記載内容を認識し,その後の同年4月6日頃にも,P1の担当者に対して確認して,改めて本件労働契約における労働時間が本件労働契約書記載のとおりであると認識していたのである(原告本人)。 以上によれば,原告の供述のうち,前記(a)②の部分についても,信用することができない。 (d) さらに,仮に,前記(a)①及び②の原告の供述のとおりであるとすれば,校長の指示等によって原告が認識した始業時刻である午前8時20分と本件仕様書を見たことによって原告が認識した始業時刻である午前8時30分とは異なっているから,原告として は,通常であれば,本件労働契約においてどちらの時刻に出勤すべきであるのかに疑問を抱き,P1に確認をするなどするはずであるが,原告がそのような行動を採ったことは証拠上認められないのであって,極めて不自然であるというほかない。 (e) かえって,原告が記載した業務実施報告書( を抱き,P1に確認をするなどするはずであるが,原告がそのような行動を採ったことは証拠上認められないのであって,極めて不自然であるというほかない。 (e) かえって,原告が記載した業務実施報告書(甲26)の同年4月17日の備考欄には午後4時30分に下校した旨の記載が,同月22日の備考欄には午後5時30分に下校した旨の記載が,同年5月15日の備考欄には早退した旨の記載がそれぞれあるほかは,同年4月から12月まで(8月を除く。)の業務実施報告書には,下校時間についての記載がないから,原告としては,午後4時30分という時刻が通常よりも遅い時刻であると認識していたことがうかがわれる。 したがって,本件労働契約の所定労働時間が午前8時20分又は午前8時30分から午後4時30分までであると認識していた旨の原告の供述は,信用することができない。 c 小括前記a及びbで述べたところによれば,本件労働契約における所定労働時間は,1日5.9時間,1週間29.5時間であり,原告は,特に指示がない限り,この時間を超えて労働すべき義務がないことを認識していたことは明らかである。 (イ) 原告は所定労働時間を超えて労働しておらず,所定労働時間の全ての時間において労働したことすら認められないことa 原告が本件小学校において午前8時20分又は午前8時30分に出勤し,午後4時30分に退勤していたことの立証がないこと原告は,本件労働契約締結後,実際には午前8時20分から午後4時30分まで勤務していた旨の供述をした上,実際の労働実態が本 件労働契約上の労働時間と異なると感じていた旨を供述する(甲40の1,40の2,50の1,50の2,原告本人)。 しかし,原告が,本件労働契約における所定就業時間は午前8時20分又は午前8時30分から午後4時3 労働時間と異なると感じていた旨を供述する(甲40の1,40の2,50の1,50の2,原告本人)。 しかし,原告が,本件労働契約における所定就業時間は午前8時20分又は午前8時30分から午後4時30分までではなく,その所定労働時間は1日5.9時間,1週間29.5時間であり,これを超えて労働すべき義務がないことを認識していたことは前記(ア)のとおりであって,仮に,原告が,上記の時刻に出退勤していたとすれば,必要性がないことを認識しつつ出退勤していたことになるのであって,原告に何らかの意図がない限り,著しく不合理である。また,原告は,本件労働契約書の労働時間の記載に疑問を抱いたため,本件仕様書を情報公開制度によって入手した旨を供述しており(原告本人),本件仕様書を入手した理由がその供述のとおりであるとすれば,原告としては,P1に対し,時間外手当を請求するなどしたり,労働契約の内容を実態に合わせ変更するよう要求するなどしたりしてしかるべきであるのに,原告はそのような行動を一切しておらず(原告本人),極めて不自然である。 さらに,原告が出退勤した時刻に関し,これを裏付ける証拠が一切ないことは原告自身も認めるとおりであり(甲40の1,40の2),かえって,退勤時刻については,前記(ア)b(e)のとおり,業務実施報告書(甲26)の記載からすれば,原告は,午後4時30分より前であると認識し,実際にも午後4時30分より前に退勤していたと考えるのが自然である。 したがって,原告の上記供述は信用することができない。 なお,P1が,平成21年10月28日,各英語指導助手にFAXで送信した文書(甲43の1。以下「本件FAX文書」という。)には,朝礼には出席しないよう要請する旨の記載があるものの,本件 FAX文書は,その体裁及び記載内容等に 各英語指導助手にFAXで送信した文書(甲43の1。以下「本件FAX文書」という。)には,朝礼には出席しないよう要請する旨の記載があるものの,本件 FAX文書は,その体裁及び記載内容等に照らせば,P1が英語指導助手全員に対して一般的な留意事項を改めて周知するものであるから,必ずしも原告が朝礼に参加していたことを前提とするものとはいえず,これによって原告が毎日朝礼に出席していたことが裏付けられるものではない。 b 原告に対する業務指示はSLプランによってのみされていたこと(a) P1が,SLプランによって原告に対する業務指示をしていたことは,前記(ア)a(d)のとおりであるから,原告には,SLプランに記載された業務以外の業務をすべき本件労働契約上の義務はなかったことは明らかである。 (b) これに対し,原告は,本件小学校の校長や教務主任のP4(以下「P4教務主任」という。)が原告に対する指揮監督をしていた旨の主張をするが,これについては,Z市が明確に否定をしている上(乙A22),以下のとおり,そのような事実を認めることはできない。 (c) まず,原告は,SLプランの作成にP4教務主任が関与していたことを根拠として,本件小学校が原告に対して業務指示をしていた旨を主張するが,SLプランがZ市からP1に対する発注書でもあったことからすれば,P4教務主任がSLプランの作成に関与することは当然であるし,また,P4主任が原告に対してSLプランの写しを渡していたとしても(原告本人),いかなる趣旨で渡していたのかが明らかでなく,P1が,業務指示として,電子メールに添付するなどしてSLプランを送付していた以上(原告本人),業務指示書としてのその性質に変わりはない。そして,SLプランに記載された内容に変更が生じた場合には,改めて, 務指示として,電子メールに添付するなどしてSLプランを送付していた以上(原告本人),業務指示書としてのその性質に変わりはない。そして,SLプランに記載された内容に変更が生じた場合には,改めて,本件小学校からP1に対して変更後のSLプランが送信さ れ(乙A23),P1から原告に対してSLプランが送付されていたのであるから,SLプランが,Z市からP1への発注書とP1から英語指導助手に対する業務指示書とを兼ねるというその性質のとおりに運用されていたことは明らかである。 (d) 原告は,校長やP4教務主任が原告の指揮監督をしていた旨の主張に関連して,愛知労働局作成の「労働者派遣事業関係指導監督記録(甲)」(甲44)を提出するが,その記載のみからは,そもそもこれが本件委託契約に関するものであることすら明らかでない上,本件小学校における取扱いを問題とするものであるかどうかも明らかでなく,しかも,愛知労働局がいかなる調査によっていかなる具体的な事実関係を認定してZ市に対する指導をしたのか全く明らかでない。 (e) したがって,本件労働契約に係る原告に対する業務指示は,P1からのSLプランによる業務指示のみであって,原告には,SLプランに業務の記載がない時間帯において業務をすべき義務がなかったことは明らかである。 c 原告はSLプランによって指示された業務時間外に業務をしていたとは認められず,その必要性もなかったこと(a) 原告は,SLプランに授業等の予定が記載された時間帯以外の時間について,①午前8時20分からの朝礼に出席していた,②SLプランの「AfterSchool」の時間帯には他の教諭との打合せや授業の準備をしていた,③授業の準備として,プリントの作成やフラッシュカードの準備をしていた,④SLプランの「Lunch」 ②SLプランの「AfterSchool」の時間帯には他の教諭との打合せや授業の準備をしていた,③授業の準備として,プリントの作成やフラッシュカードの準備をしていた,④SLプランの「Lunch」の時間帯の後の時間は,清掃等をしていたので,休憩をとることなく業務をしていた旨の供述をする(甲40の1,40の2,50の1,50の2,原告本人)。 (b) しかし,原告の前記(a)①の供述が信用することのできないものであることは,前記aのとおりであるし,前記(a)②から④までの供述も,これと同様に,その裏付けとなる証拠は一切ない上,原告は,本件労働契約の所定労働時間が,本件労働契約書の記載のとおりであると認識していたのであるから,原告の労働の実態がその供述のとおりであるとすれば,労働契約書の見直しの要求や時間外手当の請求等をしてしかるべきであるのに,これをしていないことに照らせば,いずれも信用することができない。 また,原告は,その業務の実態を立証するため,業務実施報告書(甲26)及び勤務報告書(甲30)を提出するが,業務実施報告書は,1か月分をまとめて本件小学校の教頭のP6(以下「P6教頭」という。)に確認の押印をしてもらったものであって,原告の業務の実態が反映されていたか疑わしい上,SLプランや勤務報告書との間にそごがある部分があることなどからすれば,これらの書面は,原告が実際にした業務を反映する内容のものとは言い難く,原告の前記(a)の供述を何ら裏付けるものではない。 (c) また,原告の供述を前提としても,原告がした授業の準備というのは,使用するフラッシュカードを取り出して並び替えることとプリントの数を数えることだけであり,しかも,フラッシュカードは常に作るものではなく,1時限の授業で使用するフラッシュカード の準備というのは,使用するフラッシュカードを取り出して並び替えることとプリントの数を数えることだけであり,しかも,フラッシュカードは常に作るものではなく,1時限の授業で使用するフラッシュカードの枚数は平均して8枚から12枚程度であるというのであるから(原告本人),SLプランの「P」(準備)に割り当てられた時間ですら,全てを準備に費やす必要性があったとは考え難い。現に,原告は,「P」(準備)に割り当てられた時間においても,その時間においてする必要もない掃除をしたというのであ る(原告本人)。 このことからすれば,仮に授業の準備が必要であるとしても,SLプランによって割り当てられた「P」(準備)の時間帯に全て終えることは十分可能であるし,終えていたはずであるから,この意味においても,授業や「P」(準備)に割り当てられた時間以外の時間帯にも授業の準備をしていたことを前提とする前記(a)②及び③の供述は信用することができない。かえって,原告は,「P」(準備)に割り当てられた時間ですら,授業の準備等の業務をしていなかった可能性が高い。 (d) さらに,「Lunch」の時間帯の後の清掃については,SLプランに何らの記載もないし,原告の供述によっても,P3と労働契約を締結して本件小学校に配置されていたときにP4教務主任から指示されたというにすぎないから(原告本人),仮に,原告が「Lunch」の時間帯の後に清掃をしていたとしても,P1からの業務指示に基づくものでなかったことは明らかであるし,そもそも清掃は,P1がSLプランによって指示していた授業等とは直接関係せず,黙示的な業務指示があったとも評価することができないから,清掃がP1の指揮命令下においてされたものとはいえず,清掃をした時間が労働時間にならないことは明らかである。 ていた授業等とは直接関係せず,黙示的な業務指示があったとも評価することができないから,清掃がP1の指揮命令下においてされたものとはいえず,清掃をした時間が労働時間にならないことは明らかである。 (e) 加えて,原告は,平成21年8月3日,本件確認請求をし,その後,審査請求及び再審査請求を経て,本件訴えの提起に至ったのであって,厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格を得たいと考えていたことは明らかであるところ,原告は,本件労働契約における所定労働時間が本件労働契約書のとおりであることを明確に認識していたのであるから,単に労働の実態が上記認識と異なっているというだけであれば,契約内容の見直しの要求や時間 外手当の請求等をすればよかったのに,本件小学校に配置されて間もなくして情報公開制度によって本件仕様書等を取得するに及んだものであり,その労働時間を過大に見せようと意図していた可能性がある。これに加えて,原告は,同年10月29日,学校側が英語指導助手に対して直接催し事に参加することなどを要求することができないことなどの一般的な留意事項が記載された本件FAX文書を受領したにもかかわらず,本件FAXを受領する前と同様に,SLプランの「Lunch」の後の時間帯に児童と清掃をするなどしていたと述べており(原告本人),通常であれば,その業務の負担が減少することから,本件FAX文書の記載に従って,児童との清掃等をやめるはずであるのにそうしなかったというのである。これらのことからすれば,原告は,本件労働契約締結の当初から,厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格を取得するために,P1による業務指示にかかわらず,あえて必要のない業務をしていた疑いすらある。 d 小括以上からすれば,原告は,SLプランに記載された業務を超えて業務 康保険の被保険者の資格を取得するために,P1による業務指示にかかわらず,あえて必要のない業務をしていた疑いすらある。 d 小括以上からすれば,原告は,SLプランに記載された業務を超えて業務をしていたことを何ら立証できていないし,仮にSLプランにおいて業務をすべき時間として割り当てられていた時間以外に何らかの作業をしていたとしても,業務上の必要性がなかったものであり,その時間は労働時間に当たらない。 (ウ) まとめ本件労働契約上,所定労働時間は,1日5.9時間,1週間29.5時間であり,P1における常勤の従業員の所定労働時間のおおむね4分の3以上であるとはいえない。 そして,P1は,SLプランのみによって原告に対する業務指示をし ていたところ,原告は,SLプランに記載された業務以外の業務をしていなかったか,又はSLプランによる業務指示があった時間以外に何らかの作業をしていたとしてもそれは労働時間には含まれないというべきであるから,原告の実労働時間は,SLプランによって指示された業務に従事した時間であることになる。 そこで,SLプランの記載に従って原告の実労働時間を計算すると,最大でも1日350分(約5.8時間)又は355分(約5.9時間)であり,例えば,6月及び11月中の各週の1日の平均労働時間(各週のSLプランの空欄以外の部分の時間を合計した上,休みの日を除く当該週の日数で除して得た時間。小数点以下1位未満は四捨五入。)及び1週間の合計労働時間は,それぞれ,6月2日の週で1日平均3.6時間(1週間13.4時間),6月8日の週で1日平均5.2時間(1週間25.8時間),6月22日の週で1日平均5.0時間(1週間25.1時間),6月29日の週で1日平均3.8時間(1週間19.1時間),11月2日の週で1日平均 月8日の週で1日平均5.2時間(1週間25.8時間),6月22日の週で1日平均5.0時間(1週間25.1時間),6月29日の週で1日平均3.8時間(1週間19.1時間),11月2日の週で1日平均3.5時間(1週間13.9時間),11月9日の週で1日平均4.0時間(1週間19.8時間),11月16日の週で1日平均3.8時間(1週間19.1時間),11月23日の週で1日平均4.2時間(1週間16.9時間),11月30日の週で1日平均2.9時間(1週間14.6時間)となるのであって(甲28,乙A23),その実態をみても,本件労働契約における所定労働時間を下回っていることは明らかである。 したがって,原告のP1における労働時間は,本件労働契約の所定労働時間及び実労働時間のいずれについても,常勤の就労者の所定労働時間のおおむね4分の3を下回っていたことは明らかであり,昭和55年内かんの「2」の基準を満たすものではなかった。 イ原告のP1における就労形態等に照らしても被保険者として取り扱うこ とが適当であるとはいえないこと(ア) 原告のP1における就労形態は,通常の就労者のそれと異なること原告のP1との本件労働契約は,1日5.9時間,1週間29.5時間との労働時間の定めがあったものの,P1の原告に対する業務指示は,授業の予定等が記載されたSLプランによってのみされ,原告としては,SLプランに記載された業務のみを実施すれば,その義務を果たしたことになるというものであり,その就労形態は,通常の就労者のものとは異なる。 (イ) 原告のP1における実労働時間は所定労働時間よりも大幅に少なかったこと原告のP1における就労形態は前記(ア)のとおりであったことから,必然的に,日及び週ごとに労働時間が異なっており(甲27から29ま P1における実労働時間は所定労働時間よりも大幅に少なかったこと原告のP1における就労形態は前記(ア)のとおりであったことから,必然的に,日及び週ごとに労働時間が異なっており(甲27から29まで,乙A23参照),例えば,児童との昼食のみに参加するという日もあった(乙A23中の平成21年12月4日のSLプラン)。そして,その実労働時間をみても,1日の平均労働時間及び1週間の労働時間は,基本的には所定労働時間を大幅に下回っており,1日の平均労働時間が3時間を下回る週すらあった(前記ア(ウ)参照)のであるから,その労働時間をみても,通常の就労者とは大幅に異なるものであったことは明らかである。 しかも,上記の労働時間は,SLプランにおいて「P」(準備)に割り当てられた時間を含めた労働時間であるところ,原告は,SLプランにおいて指示された「P」(準備)の時間の全てを授業の準備に費やしていたことすら疑わしく,P1においては,その出退勤時刻等について厳格に管理していなかったから,「P」の時間自体にも休憩時間が含まれていたと考える余地がある。 (ウ) そのほかに常用的使用関係にあるとみるべき事情はないこと 原告のP1における労働内容は,本件小学校における英語の授業の指導助手であって,特段,常用的使用関係にあるとみるのが相当というべきものでもないし,そのほかに常用的使用関係にあるとみるべき事情はない。 (エ) 小括前記(ア)から(ウ)までに述べたところからすれば,原告のP1における就労形態等に鑑みても,被保険者として取り扱うことが適当であるとはいえず,昭和55年内かんの「3」に照らしても,原告が被保険者に当たるとの判断には至らない。 ウ結論これまで述べたことからすれば,原告のP1における就労は,昭和55年内かんの基準 であるとはいえず,昭和55年内かんの「3」に照らしても,原告が被保険者に当たるとの判断には至らない。 ウ結論これまで述べたことからすれば,原告のP1における就労は,昭和55年内かんの基準を満たすものではなく,原告は厚生年金保険及び健康保険の被保険者に当たらないのであるから,これを理由としてした本件処分は何ら違法ではない。 2 原告の主張の要旨原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったことは,厚年法及び健保法の規定から明らかである。 すなわち,P1は,厚年法6条1項及び健保法3条3項所定の適用事業所に該当する。原告は,P1とその契約期間を平成21年4月6日から平成22年3月26日までとする本件労働契約を締結し,英語指導助手業務に従事していたから,厚年法9条の「適用事業所に使用される70歳未満の者」及び健保法3条1項の「適用事業所に使用される者」に該当する。そして,原告は,厚年法12条各号及び健保法3条1項各号所定の適用除外には該当しない。したがって,原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったことは明らかというべきで ある。 (1) 昭和55年内かんについてア被告日本年金機構は,厚生年金保険及び健康保険の適用除外の範囲を拡大する内容の昭和55年内かんを根拠として,原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったことを否定するが,昭和55年内かんは,厚生年金保険及び健康保険の適用除外の範囲を拡大する効力を有しないというべきである。 すなわち,憲法上,国民の権利を設定し,制約する効力を有し得る法形式は,法律,政令,省令及び告示に限られ,行政機関内において上級行 康保険の適用除外の範囲を拡大する効力を有しないというべきである。 すなわち,憲法上,国民の権利を設定し,制約する効力を有し得る法形式は,法律,政令,省令及び告示に限られ,行政機関内において上級行政機関が下級行政機関に対して所掌事務について示達するための文書である通達や内かんなどは,いかなる意味においても国民の権利を制約する効力を持たない。昭和55年内かんも,「拝啓時下益々御清祥のこととお慶び申し上げます。」から始まるという形式が採られ,国の機関から地方公共団体の機関に対して発出されているという点で,一般的な内かんと変わらない。 昭和55年内かんは,「もとより,健康保険及び厚生年金保険が適用されるべきか否かは,健康保険法及び厚生年金保険法の趣旨から当該就労者が当該事業所と常用的使用関係にあるかどうかにより判断すべきものです」と述べているが,厚年法及び健保法は「常用的使用関係」にあるかどうかによって厚生年金保険及び健康保険を適用するかしないかを決めるような基準は採用していない。 それにもかかわらず,昭和55年内かんは,「常用的使用関係」という概念を用いた上,「短時間労働者が当該事業所と常用的使用関係にあるかどうかについては,今後の適用に当たり次の点に留意すべきであると考えます」として,厚年法及び健保法に規定されていない新たな適用除外の類型を作り出している。法律に定めがなく,またこれを解釈して運用する政 令も省令もない分野において,行政機関において必要な事項を伝達するに過ぎない内かんの形式で,国民や住民の権利を制限することは許されない。被告は,昭和55年内かんは,その当時における厚生年金保険事業及び健康保険事業の運営に係る事務を所掌していた権限のある部署の権限のある者が発出したものである旨を主張するが,厚生省の組織及び れない。被告は,昭和55年内かんは,その当時における厚生年金保険事業及び健康保険事業の運営に係る事務を所掌していた権限のある部署の権限のある者が発出したものである旨を主張するが,厚生省の組織及び所掌事務の分配に関する法令の定めをもって,国民の権利を制限する昭和55年内かんを発出する根拠とすることはできない。昭和55年内かんに国民や住民の権利を制限する法律上の根拠がないことは,研究者らの所論(甲13,15,22)等からも明らかである。 したがって,昭和55年内かんは,それ自体が厚年法及び健保法に違反する内容を含んでおり,それを実際に適用した処分も違法になるというべきである。本件却下処分は,昭和55年内かんを適用したものであるから,違法というべきである。 イこれに対し,被告年金機構は,昭和55年内かんは法の解釈に合致し,合理性を有する旨を主張するが,以下のとおり,被告の主張は厚年法及び健保法の解釈としては採り得ないというべきである。 (ア) 被告日本年金機構は,厚生年金保険制度及び健康保険制度は,その制定当初から,自己の労働力を唯一の資本とし,その提供した労働力の対価として得た賃金のみを生計の基盤として生計を支える労働者を制度の対象とすることを想定していたなどとして,厚年法9条及び健保法3条1項にいう「使用される者」とは,常用的使用関係にある者と解すべきである旨を主張する。 しかし,厚年法(その前身である労働者年金保険法を含む。)及び健保法は,その制定当初から一定の者を被保険者から除外していたものの,そこに労働時間の長短を基準とする発想があったとはうかがわれない。厚年法及び健保法が労働時間の長短を厚生年金保険及び健康保険の 被保険者に当たるか否かの基準としているのであれば,その明文の定めがなければならないはずである 想があったとはうかがわれない。厚年法及び健保法が労働時間の長短を厚生年金保険及び健康保険の 被保険者に当たるか否かの基準としているのであれば,その明文の定めがなければならないはずであるが,厚年法及び健保法にはそのような規定はない。 そもそも,戦後,憲法25条が生存権を保障し,社会保障原理を定めるに至ったのであるから,厚生年金保険及び健康保険の適用の有無については,憲法25条の規定の趣旨に照らして判断されなければならない。また,生存権や社会保障を具体化する法律については,憲法13条の規定に照らし,個人原理を前提に解釈することが必要である。こうした見地からは,厚年法及び健保法は,原則として「賃金によって生活する者」を厚生年金保険及び健康保険の適用の対象としていると解すべきである。取り分け,いわゆる非正規社員が増加している昨今において,賃金によって生活する者について,短時間就労者であるという理由だけで厚生年金保険及び健康保険の適用の対象から排除することは,本来保障されるべき膨大な数の労働者を切り捨てることになるが,このようなことは憲法及び関係法令の予定するところではない。被告日本年金機構は,短時間労働者は,適用事業所において同種の業務に従事する通常の就労者と同様に取り扱うことは妥当でないと考えられる旨を主張するが,なぜ同種の業務に従事する通常の就労者と同様に取り扱うことが妥当でないのかについての合理的な説明はない。かえって,賃金によって生活しているという点では通常の就労者と同様であるにもかかわらず,短時間労働者であるという理由で,厚生年金保険及び健康保険の被保険者から除外することは,憲法14条の平等原則に反するし,短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条1項が禁止する差別的待遇の最たるものである。 (イ) また, 厚生年金保険及び健康保険の被保険者から除外することは,憲法14条の平等原則に反するし,短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条1項が禁止する差別的待遇の最たるものである。 (イ) また,被告日本年金機構は,労使双方に保険料負担を求めるような保険制度によって事業主に使用される労働者を保護するという被用者保険 制度の目的に鑑みれば,厚年法及び健保法の保護の対象とすべき労働者は,使用者との関係の緊密さを基準とした一定の範囲の労働者に限定して解すべきであるなどとして,厚年法9条及び健保法3条1項にいう「使用される者」とは,常用的使用関係にある者と解すべきである旨を主張するが,事業主の負担が少なくないことを理由として短時間労働者を厚生年金保険及び健康保険の適用除外にしたいのは,事業主側の願望にすぎないのであって,これをもって法律の解釈を左右するようなことがあってはならない。 (ウ) 被告日本年金機構は,仮に「使用される者」を極めて短時間でも労務を提供した全ての者と解釈した場合には,不合理な保険料が賦課されるなどとして,厚生年金保険及び健康保険の被保険者となる「使用される者」が適用事業所に使用されている全ての労働者を指すものではない旨を主張するが,これは立法論であって,解釈論としては採り得ない。 (エ) その他,被告日本年金機構が昭和55年内かんが法の解釈に合致し,合理性を有することの根拠としてあげる事情等は,いずれも厚生年金保険及び健康保険の適用除外の範囲を拡大することができることを説得的に説明するものではないか,政策論にすぎない。 ウ以上によれば,原告の本件小学校における英語指導助手業務に従事した時間が,P1との本件労働契約に基づく労働時間,すなわち1日5.9時間,1週間29.5時間であったとしても,原告は,厚生年 い。 ウ以上によれば,原告の本件小学校における英語指導助手業務に従事した時間が,P1との本件労働契約に基づく労働時間,すなわち1日5.9時間,1週間29.5時間であったとしても,原告は,厚生年金保険及び健康保険の被保険者に該当するというべきであるから,このことを否定した本件却下処分は取消しを免れない。 (2) 原告の労働時間について仮に,昭和55年内かんに依拠して,厚生年金保険及び健康保険の被保険者に当たるか否かを労働時間に基づいて判断するとしても,本件小学校における原告の労働時間は,以下のとおり,1日8時間,1週間40時間であっ て,1日5.9時間,1週間29時間をはるかに超えていたから,いずれにせよ,原告は,厚生年金保険及び健康保険の被保険者に該当するというべきであり,このことを否定した本件却下処分は取消しを免れない。 ア 「労働時間」の意義最高裁平成7年(オ)第2029号同12年3月9日第一小法廷判決・民集54巻3号801頁は,「労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)32条の労働時間(以下「労働基準法上の労働時間」という。)とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい,右の労働時間に該当するか否かは,労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって,労働契約,就業規則,労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。そして,労働者が,就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ,又はこれを余儀なくされたときは,当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても,当該行為は,特段の事情のない限り,使用者の指揮命令下に置かれたものと評価す 者から義務付けられ,又はこれを余儀なくされたときは,当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても,当該行為は,特段の事情のない限り,使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ,当該行為に要した時間は,それが社会通念上必要と認められるものである限り,労働基準法上の労働時間に該当すると解される。」と判示している。労働基準法による労働時間規制が公法的規制であることに鑑みると,実際の労働時間がどの程度のものであったかを事後的に確定するに当たり,これを当事者の合意等に委ねることは相当ではない。したがって,上記の最高裁判決の趣旨は,労働基準法上の労働時間の解釈に限らず,厚年法及び健保法の適用に関わる労働時間の解釈にも妥当するというべきである。 イ本件小学校における英語指導助手業務に従事していた原告の労働の実態(ア) P1は,一方では原告と本件労働契約を締結し,他方ではZ市と本 件委託契約を締結していた。P1は,本件委託契約に基づき,原告を含む労働者を英語指導助手としてZ市が設置する小学校等に配置しなければならず,原告は,本件労働契約に基づき,P1の指示に従って,Z市が設置する本件小学校において,英語指導助手業務に従事しなければならない。 このように,本件労働契約と本件委託契約とは別個の契約ではあるが,密接な関連を有していたものであり,本件委託契約に基づいてP1が履行すべき義務の多くは原告によって遂行されるものであるから,本件委託契約に基づいてP1が履行すべき義務のうち原告によって遂行されるものは,本件労働契約の内容になっていたというべきである。そして,P1は,Z市に対し,本件委託契約に基づき,英語指導助手を午前8時30分から午後4時30分まで配置する義務を負っていたから,原告は,本件労働契 件労働契約の内容になっていたというべきである。そして,P1は,Z市に対し,本件委託契約に基づき,英語指導助手を午前8時30分から午後4時30分まで配置する義務を負っていたから,原告は,本件労働契約の内容として,P1に対し,午前8時30分から午後4時30分まで本件小学校に配置される義務を負っていたというべきである。 (イ) 原告は,P1と本件労働契約を締結する前の平成20年4月から,P3との労働契約に基づき,本件小学校における英語指導助手業務に従事していたところ,その当時には,本件小学校の校長の指示により,朝のミーティングに出席するために午前8時20分までに出勤するようにしていた(原告本人)。 原告は,平成21年4月からは,P1との本件労働契約に基づき,本件小学校における英語指導助手業務に従事することになったが,引き続き午前8時20分までに出勤しなければならないと考えて,午前8時20分までに出勤していた(原告本人)。その後,原告は,情報公開請求によって入手した本件仕様書に「配置時間は,午前8時30分から午後4時30分とする」と記載されていたことから,実際には始業時刻は午 前8時30分であったことを知った(原告本人)。そして,原告が,同年10月19日,所属している労働組合の組合員らと共に愛知労働局を訪れ,本件委託契約が労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(平成24年法律第27号による改正後の名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」。以下,「労働者派遣法」という。)に違反するいわゆる偽装請負である旨の申告をしたところ,同月28日,P1から原告に対し,「学校では,朝礼(朝のミーティング)に出席しないでください。」との指示等が記載された本件FAX文書 という。)に違反するいわゆる偽装請負である旨の申告をしたところ,同月28日,P1から原告に対し,「学校では,朝礼(朝のミーティング)に出席しないでください。」との指示等が記載された本件FAX文書が送信された。そこで,原告は,この指示に従って,同月30日からは朝のミーティングには出席しないこととし,午前8時20分までに出勤することはしなくなった(原告本人)。もっとも,それ以降も,原告は,午前8時30分までには出勤するようにしていた(甲50の1,50の2,原告本人)。 また,原告は,P3との労働契約に基づき,本件小学校における英語指導助手業務に従事していたときに,校長から,午後4時30分まで本件小学校にいるよう指示されていたことから,担当する授業の終了時刻を問わず,原則として午後4時30分を過ぎてから退勤するようにしていた。 したがって,原告の拘束時間は,午前8時30分から午後4時30分までの8時間であった。 (ウ) 原告の1週間の英語助手指導業務は,SLプランに従って行われていた。SLプランには,原告が1時限目から6時限目までの各時限の英語学習を担当するクラス,日本人の教諭名,テーマ及び教材,給食指導を担当するクラス並びに「AfterSchool」の業務内容が記載されていた。 SLプランは,原告が当該業務に従事する週の前の週の月曜日までに本件小学校からP1に提出されることになっていたが(甲27),その 用紙自体は,P1が作成していた。そして,1学期の途中までは,原告がSLプランに記入をして,それを本件小学校のP4教務主任に渡し,P4教務主任がそれをP1に送信し,P1がそれを原告に送信していた(甲50の1,50の2)。原告は,SLプランへの記入に当たって,授業計画書(甲31)を作成した上で,これを基に日本人の教諭と打 し,P4教務主任がそれをP1に送信し,P1がそれを原告に送信していた(甲50の1,50の2)。原告は,SLプランへの記入に当たって,授業計画書(甲31)を作成した上で,これを基に日本人の教諭と打合せをしていた。1学期の途中からは,P4教務主任がSLプランに授業内容を書き込み,それに原告がテーマや準備するものを書き込むようになった(甲28,原告本人)。SLプランは,P1からの原告に対する業務指示の形式になっているが,その実態は,原告やP4教務主任が作成したものが本件小学校からP1に送信され,P1が機械的にそれを原告に送信していたにすぎない。 また,原告は,本件小学校に出勤した日は,その日の業務内容を「業務実施報告書」(甲26)に記載していた。原告は,当初は,業務実施報告書をP6教頭に毎日提出して,その都度,確認の押印をしてもらっていたが,その後,この押印は1か月ごとにしてもらうことになった。 (エ) 前記(ウ)で述べたSLプランの作成の態様からも明らかなとおり,原告は,英語指導助手業務に従事する場所が本件小学校であった以上,授業の準備,内容及び進め方について,P1よりも校長やP4教務主任等からの指揮監督を受けやすい立場にあり,その労働の実態は,以下のとおりであった。 すなわち,原告は午前8時30分から午後4時30分までの8時間,休憩を取ることなく,授業,授業の準備,昼食及び掃除を行っていた(甲40の1,40の2,原告本人)。授業の準備は必ずしなければならなかったし,授業と授業との合間も,前の授業で黒板に貼り付けた教材を外したり,次の授業のための準備をしたりしなければならず,休憩を取ることはなかった(原告本人)。また,原告は,主として,果物の 絵を描いた紙にその果物名を英語で書き込むなどした「フラッシュカード」という 業のための準備をしたりしなければならず,休憩を取ることはなかった(原告本人)。また,原告は,主として,果物の 絵を描いた紙にその果物名を英語で書き込むなどした「フラッシュカード」という教材を使用して授業を行っていたところ,必要に応じて,新しいフラッシュカードの作成もしていた。フラッシュカードは,数百枚あり,原告は,これを職員室の原告の机の中や,英語学習の授業が行われる国際教室に保管し,1回の授業に8枚から12枚程度を取り出して使用していた(原告本人)。午後0時25分から午後1時15分までの昼食の時間は,所定のクラスの教室で担任の教諭及び生徒と共に食事をし,談笑をする時間とされていた(甲50の1,50の2)。昼食の時間が終了する午後1時15分から5時限が開始される午後1時50分までの時間は,児童とともに国際教室の掃除をする時間とされていた(原告本人)。この掃除は,P3との労働契約に基づき,本件小学校における英語指導助手業務に従事していたときに,P4教務主任の指示で始められたものであり,黒板消しに付いたチョークを振り落としたり,雑巾で床掃除をしたりするなど,それなりに体力と時間を要するものであった(原告本人)。 (オ) 前記(エ)で述べたとおり,原告は,その拘束時間の全てにおいて労働に従事していたといえるから,原告が使用者の指揮命令下に置かれていた時間,すなわち原告の労働時間は,月曜日から金曜日までの毎日8時間であったと認定されるべきである。 なお,本件小学校において原告を直接指揮監督していたのは,校長やP4教務主任であるが,これは,校長やP4教務主任がP1を代理として原告を指揮監督していたものと見ることができる。これに対し,Z市は,「Z市は(株)P1と業務委託契約を締結していたものであって,P7氏と雇用関係になく,時 れは,校長やP4教務主任がP1を代理として原告を指揮監督していたものと見ることができる。これに対し,Z市は,「Z市は(株)P1と業務委託契約を締結していたものであって,P7氏と雇用関係になく,時間管理をしていない」などと述べるが(乙A22),本件委託契約が違法な偽装請負であることを自認するわけにはいかないのであるから,Z市がこのように述べるのは当然なの であって,これをもって校長やP4教務主任が原告の指揮監督をしていなかったことの根拠にはならない。 (カ) ところで,本件労働契約は,「従業員は,昼食時間と休憩を除き,1日に5.9時間,1週間に29.5時間の労働を行い,午前8時半から午後5時まで,月曜日から金曜日まで,労働する。」と定めている。 本件労働契約が定める1日5.9時間の労働というのは,仮に午前8時30分から業務を開始したとすれば,午後3時24分に業務を終了することになるものであって,極めて不自然かつ不合理なものである。したがって,1日5.9時間,1週間29.5時間という労働時間は,労働実態を考えて設定したものではなく,昭和55年内かんに依拠して厚生年金保険及び健康保険の適用を免れる意図に基づいて設定されたものというほかない。このような法律上の義務を免れるための合意は,公序良俗に反し無効である。それをおくとしても,労働基準法施行規則5条1項2号は,労働基準法15条1項の規定による委任に基づき,「始業及び終業の時刻」を労働者に明示しなければならないと定めているところ,本件労働契約においては,始業及び終業の時刻が明確には定められていなかった。 原告の労働時間は,本件労働契約の文言によらず,実態に即して認定されるべきである。 第2 争点2(本件義務付けの訴えの適法性) 1 原告の主張の要旨前記第1の2で述べ められていなかった。 原告の労働時間は,本件労働契約の文言によらず,実態に即して認定されるべきである。 第2 争点2(本件義務付けの訴えの適法性) 1 原告の主張の要旨前記第1の2で述べたとおり,原告は平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったのであるから,被告日本年金機構には,これについての確認を義務付けるべきである。 2 被告の主張の要旨本件義務付けの訴えは,行政事件訴訟法3条6項2号所定のいわゆる申請 型義務付けの訴えに当たるところ,前記第1の1で述べたとおり,本件却下処分は適法であって,取り消されるべきものでもなければ,無効又は不存在でもないから,本件義務付けの訴えは,同法37条の3第1項2号所定の要件を満たさず,不適法である。 第3 争点2(本件再審査裁決の適法性) 1 被告国の主張の要旨(1) 行政事件訴訟法10条2項は,処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には,裁決の取消しの訴えにおいて,処分の違法を理由として取消しを求めることができない旨を定めている。したがって,裁決の取消しの訴えにおいては,処分の違法は主張し得ず,裁決固有の瑕疵を主張することが許されるのみである。 (2) 原告は,本件再審査裁決について,原告が平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったことを否定した違法がある旨のみを主張しているところ,これは本件却下処分の違法をいうものであって,本件再審査裁決の固有の瑕疵をいうものではない。本件却下処分の違法をもって本件再審査裁決の違法事由とする原告の主張は,主張自体失当である。 (3) 本件再審査裁決は,社会保険審査官及び社会 あって,本件再審査裁決の固有の瑕疵をいうものではない。本件却下処分の違法をもって本件再審査裁決の違法事由とする原告の主張は,主張自体失当である。 (3) 本件再審査裁決は,社会保険審査官及び社会保険審査会法が定める手続に従って適法にされたものであり,固有の瑕疵は全く存しない。したがって,本件再審査裁決の取消しを求める原告の請求には理由がない。 2 原告の主張の要旨前記第1の2で述べたとおり,原告は平成21年4月6日から平成22年3月26日まで厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったのであるから,このことを否定した本件再審査裁決は違法である。

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