昭和33(う)2590 脅迫傷害恐喝公務執行妨害等被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和34年4月21日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決中被告人Aに関する有罪部分及び被告人Bの原判示第一の罪に関 する部分を破棄する。      被告人Aを原判示第三の罪につき懲役四月に、原判示第四及び第五の罪 につき懲役一

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判決文本文2,411 文字)

主文 原判決中被告人Aに関する有罪部分及び被告人Bの原判示第一の罪に関する部分を破棄する。 被告人Aを原判示第三の罪につき懲役四月に、原判示第四及び第五の罪につき懲役一年に各処する。 同被告人に対する原審未決勾留日数中一五〇日を右懲役一年の刑に算入する。 但し本裁判確定の日から四年間右各懲役刑の執行を猶予し、その期間中同被告人を保護観察に付する。 原審訴訟費用中、証人C、同D、同E、同Fに支給した分は同被告人と原審相被告人Bとの連帯負担とし、証人Gに支給した分は被告人Aの負担とする。 被告人Bを原判示第一の(二)の罪につき懲役四月に処する。 同被告人に対する本件公訴事実中、公務執行妨害(原判示第一の(一)に該当)の点は同被告人は無罪。 同被告人の原判示第二及び第五に関する控訴はこれを棄却する。 理由 本件控訴の趣意は被告人B及びその弁護人藤川成郎各作成名義、被告人Aの弁護人浜本辰夫作成名義の各控訴趣意書のとおりであるから、これらをここに引用し、これらに対し次のとおり判断する。 藤川弁護人の論旨第一点、被告人Bの論旨一、よつて按ずるに、<要旨>憲法第三三条、刑事訴訟法第二〇一条第一項によれば、逮捕状によつて被疑者を逮捕するには、逮捕状を被</要旨>疑者に示さなければならないし、また刑事訴訟法第二〇一条第二項第七三条第三項によれば、逮捕状を所持しないためこれを示すことのできない場合で急速を要するときは、被疑事実の要旨及び逮捕状が発せられている旨を告げなければならないとされているのであるが、これらの規定は被逮捕者の基本的人権と極めて重大な関係を有する厳格規定であるから、これらの方式を履践しない逮捕行為は違法であつて、法律上保護せ れている旨を告げなければならないとされているのであるが、これらの規定は被逮捕者の基本的人権と極めて重大な関係を有する厳格規定であるから、これらの方式を履践しない逮捕行為は違法であつて、法律上保護せられるべき法益に当らないものと解すべきである。 さて本件について見ると、原審第四回(昭和三三年六月五日)公判調書中、証人D、同第五回(同年七月三日)公判調書中、証人H、同Eの各供述記載、Hの検察官に対する供述調書及び当審公判廷における証人Hの供述を綜合すれば、Iに対し窃盗被疑事実について逮捕状が発せられたので、蔵前警察署捜査係巡査Hにおいて、これを保管し、同人を逮捕するため同人の所在発見につとめていた折柄、昭和三二年二月七日午後一一時頃右H巡査が蔵前署に宿直中、予ねてIが立ち廻つた場合、連絡方を依頼してあつた本件台東区a町b番地喫茶店「J」から右Iが同店に来合せている旨電話連絡かあつたので、H巡査は同僚巡査一名と共にこれを逮捕すべく同店に赴き、同僚の巡査は同店の表に待機させ、単独で同店に入り、同店内においてIと認めた男に対し、自己が蔵前署の刑事であること並に同人に逮捕状が発せられている旨を告げ同人を逮捕すべく、警察手帳を示したところ、同人はIではないと弁疏したが、H巡査は連絡のあつた服装等からその男はIに相違なしとして、何でもよい兎に角一緒に来るようにと同人の手を掴んで引き立て逮捕しようとしたとき、偶々同店内に居合わせた被告人BがH巡査に対し、何で俺等の顔を見るのだ刑事なら警察手帳を見せろ、逮捕状が出ているなら逮捕状を見せろと恕鳴つたので、H巡査は被告人Bに対し、君には用はない、警察手帳はこれだと云つて同被告人にこれを示し、更にIを引き立て逮捕しようとした時、IがH巡査の手を振り切ると同時位に、被告人Bはその場に居合せに外数名の者等と共に立 被告人Bに対し、君には用はない、警察手帳はこれだと云つて同被告人にこれを示し、更にIを引き立て逮捕しようとした時、IがH巡査の手を振り切ると同時位に、被告人Bはその場に居合せに外数名の者等と共に立ち上つてH巡査の洋服の袖等を引張り、話があるから表へ出ろとその体を押してH巡査を同店表道路に押し出した事実が認められるが、その際H巡査はIに対する逮捕状を所持していた事実を確認し難いのみならず、逮捕状をIなる者に示すべきいとまがなかつたものとは到底認め難いに拘らず、同人にこれを示していないことは勿論被疑事実の要旨すら告げていないことも明白である。そして本件においては蔵前警察署に在署し且つIに対する逮捕状を直接保管していたH巡査が連絡によつて同署から「J」へIを逮捕すべく出発しているのであるから当然逮捕状を携行し、逮捕に当つてこれを示すべきに拘らず、ただにこれを示さないのみならず、被疑事実の要旨すら告知しないで逮捕に著手しているのであるから、本件逮捕行為は法定の法式を履践していない違法のものであつて、刑法上保護に値する公務の執行に該当しないものと云わねばならない、従つて、これを排除する為已むを得ない行為であるときは、正当防衛であつて公務執行妨害罪を構成しないものと解せられるのである。而して、被告人Bが前記外数名と共にH巡査を前記「J」の店外に押出したのは、同巡査のIなる者に対する不法逮捕行為を排除する為になされた已むを得ない行為と認め得るから、同被告人の行為は正当防衛に該当し、未だ公務執行妨害罪を構成するものとは認められないのである。しかるに被告人Bの右所為を公務執行妨害であると認めた原判決は法令の解釈を誤つたか事実を誤認したかの何れかであつて、その誤は勿論判決に影警を及ぼすものであり、論旨は何れも理由がある。 (その他の判決理由は省略する。 右所為を公務執行妨害であると認めた原判決は法令の解釈を誤つたか事実を誤認したかの何れかであつて、その誤は勿論判決に影警を及ぼすものであり、論旨は何れも理由がある。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事山本謹吾判事渡辺好人判事石井文冶)

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