主文 被告人を懲役8年に処する。 未決勾留日数中420日を刑に算入する。 さいたま地方検察庁で保管中の刃物1本(令和6年さいたま領第544号符号2)を没収する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は、現金を強取する目的で、令和5年2月16日午後1時37分頃、A株式会社B郵便局局長Cが看守する埼玉県川口市(住所省略)同郵便局にその出入口ドアから侵入し、その頃、同所において、従業員らに対し、持っていた刃物(令和 6年さいたま領第544号符号2)を示し、従業員D(当時47歳)に対し、その背後から首付近に左腕を回し、右手に持っていた刃物を顔付近に突き付け、現金を要求し、同人を救助しようとした従業員E(当時35歳)に対し、持っていた刃物を振り回すなどの暴行脅迫を加え、Cらの反抗を抑圧し、C管理の現金6万円を強取し、その際、一連の暴行により、Dに全治まで約1週間を要する右前額部切創及び両側口唇 挫創並びに加療約3か月間を要し、可動域制限の後遺症を伴う右長母指伸筋腱断裂及び右長母指屈筋腱部分断裂等の傷害を負わせ、Eに全治まで約1週間を要する左手関節切創の傷害を負わせた。 第2 被告人は、正当な理由がないのに、同日、同市(住所省略)F方に、南側掃き出し窓の施錠を外して侵入し、その頃、同所において、同人所有のジャケット1着 等3点(時価合計約7000円相当)を窃取した。 (量刑の理由)強盗致傷事件の被害者1名は、加療約3か月間を要し、可動域制限の後遺症を伴う右母指の腱断裂のほか、左口唇付近に歯肉に達する長さ約8㎝の切創等の重い傷害を負った上、もう1名の被害者も傷害を負ったものであって、本件の結果は重大で 、加療約3か月間を要し、可動域制限の後遺症を伴う右母指の腱断裂のほか、左口唇付近に歯肉に達する長さ約8㎝の切創等の重い傷害を負った上、もう1名の被害者も傷害を負ったものであって、本件の結果は重大である。 被告人は、従業員や利用客のいる郵便局に侵入し、刃体の長さ10㎝を超えるナイフ を示した上、従業員1名に罪となるべき事実記載の暴行を加え、同従業員に抵抗されてもみ合いとなって同人もろとも倒れ込むなどしても、刃物を持ち続けて振り回すなどしたものであって、被害者らの傷害は生じるべくして生じたものというべきである。 被告人の供述によっても、暗号資産取引により多額の損失が生じたことから、家族に取引をしたこと自体を隠すため、強盗を決意したというのであるし、郵便局から逃走 後、手に付いた血を洗いたいなどと考えて付近の住居に侵入し、同所で血の付いた服を着替えるために服等を窃取したのであって、自己の問題解決のために他人の苦痛を顧みない動機や経緯に被告人のために酌むべき事情はない。 そうすると、被告人の刑事責任は重大というほかなく、被告人が被害者らの苦痛や負担を慮って謝罪や反省の弁を述べていること等を踏まえても、主文の刑は免れない。 (求刑:懲役10年、刃物1本)令和6年7月31日さいたま地方裁判所第2刑事部 裁判官江見健一 裁判官林 寛子 裁判官松井智弘
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