主文 1 一審被告の本件控訴に基づき,原判決を取り消す。 2 一審原告らの従来の甲事件に係る各請求及び当審における予備的請求をいずれも棄却する。 3 一審原告Bは,一審被告に対し,別紙物件目録1記載の土地のうち,別紙図面1記載のイ,ロ,ハ,ニ,イの各点を順次直線で結んだ部分及び同記載のホ,ヘ,ト,チ,ホの各点を順次直線で結んだ部分に設置した各構築物を撤去して同各部分の土地を明け渡せ。 4 一審原告らの本件控訴を棄却する。 5 訴訟費用は,第1,2審を通じて一審原告らの負担とする。 事実 第1 当事者の求めた裁判 1 一審原告らの控訴の趣旨(1) 原判決中,甲事件について一審原告ら敗訴部分を取り消す。 (2)(主位的請求)① 一審原告らと一審被告との間において,別紙物件目録1記載の土地(以下「本件土地」という。)のうち別紙面図2記載のE7,D18,X3,X4,112,E7 の各点を順次直線で結んだ線で囲まれた範囲の部分(以下「本件係争地」という。)につき,一審原告らが通行権を有することを確認する。(一審原告らは当審において請求の趣旨を訂正)② 一審被告は,本件係争地について,柵その他の工作物を設置して一審原告らがこれを道路として使用することを妨害してはならない。(一審原告らは当審において請求の趣旨を訂正)(3)(予備的請求)一審被告は,本件土地のうち別紙図面3記載のE7,D18,X1,X2,112,E7 の各点を順次直線で結んだ線で囲まれた範囲の部分(以下「本件徒歩地」という。)について,柵その他の工作物を設置したり車両を駐車させるなどして一審原告らがこれを徒歩で通行することを妨害してはならない。(一審原告らは当審におい で囲まれた範囲の部分(以下「本件徒歩地」という。)について,柵その他の工作物を設置したり車両を駐車させるなどして一審原告らがこれを徒歩で通行することを妨害してはならない。(一審原告らは当審において予備的請求の趣旨を追加)(4) 訴訟費用は,第1,2審とも一審被告の負担とする。 2 一審原告らの控訴の趣旨に対する一審被告の答弁(1) 本件控訴を棄却する。 (2) 一審原告らの当審における予備的請求を棄却する。 (3) 控訴費用は一審原告らの負担とする。 3 一審被告の控訴の趣旨(1) 原判決を取り消す。 (2) 一審原告らの甲事件に係る請求を棄却する。 (3) 主文第3項,第5項と同旨。 4 一審被告の控訴の趣旨に対する一審原告らの答弁(1) 本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は一審被告の負担とする。 第2 当事者の主張(甲事件について) 1 請求原因(1)(一審被告所有の土地)① L建設株式会社(以下「L建設」という。)は,もと本件土地を所有していた。 ② L建設は,一審被告に対し,平成8年5月30日,本件土地を売却し,同日売買を原因とする甲地方法務局乙支局同日受付第・・・・号所有権移転登記を経由した。 (2)(一審原告ら所有の各土地)①ア訴外Jは,別紙物件目録2記載の土地(以下「本件B土地」という。)のもと所有者である。 イ訴外Jは,脱退前一審甲事件原告兼乙事件被告A(以下「訴外A」という。)に対し,平成4年11月27日,本件B土地を売却し,同日売買を原因とする甲地方法務局乙支局同日受付第・・・・号所有権移転登記を経由した。 ウ訴外Aは,一審原告Bに対し,一審甲・乙事件提訴後の平成10年12月24日,本件B土地を売却し,同日売買を原因とする する甲地方法務局乙支局同日受付第・・・・号所有権移転登記を経由した。 ウ訴外Aは,一審原告Bに対し,一審甲・乙事件提訴後の平成10年12月24日,本件B土地を売却し,同日売買を原因とする甲地方法務局乙支局同日受付第・・・・号所有権移転登記を経由した。 ② 一審原告Cは,別紙物件目録3及び4記載の各土地(以下「本件C土地」という。)を所有している。 ③ 一審原告Dは,別紙物件目録5記載の土地(以下「本件D土地」という。)を所有している。 ④ 訴外Kは,もと別紙物件目録6記載の土地(以下「本件E土地」という。)を所有していた。 ⑤ 一審原告Fは,別紙物件目録7記載の土地(以下「本件F土地」という。)を所有している。 ⑥ 一審原告D,訴外K及び一審原告Fは,別紙物件目録8ないし10記載の各土地(以下「本件Dら土地」という。)を共有していた。 ⑦ 一審原告ら所有の各土地の位置関係は,別紙図面4(以下「別紙位置図」という。)記載のとおりである。 ⑧ 訴外Kが平成3年1月29日に死亡したが,妻である一審原告Eは,その相続人である。 (3)(通行地役権)次の事情があるので,L建設と訴外J,一審原告C,同D,訴外K及び一審原告F(以下「訴外Jら」という。)との間において,平成元年8月ころ若しくは遅くとも平成2年11月ころまでに,本件係争地を承役地とし,本件B土地,本件C土地,本件D土地,本件E土地,本件F土地及び本件Dら土地を要役地とする通行地役権が成立している(以下「本件通行地役権」という。)。 ① 別紙位置図記載の500番1の土地等の右側に隣接し,同図の上方(北方)に向かって伸びる長狭地は,いわゆる里道(以下「本件里道」という。)であるが,もともとの本件里道は,別紙位置図記載の800 ① 別紙位置図記載の500番1の土地等の右側に隣接し,同図の上方(北方)に向かって伸びる長狭地は,いわゆる里道(以下「本件里道」という。)であるが,もともとの本件里道は,別紙位置図記載の800番1の土地を貫いてなお北方に続いていた。 ところが,上記800番1の土地以北の土地については,昭和40年ころから乙土地区画整理事業(以下「本件土地区画整理事業」という。)が開始され,本件里道のうち,別紙位置図の上方の水路以北の部分の廃止がなされた代わりに,上記800番1,同番2の北側に新たに通路(以下「新通路」という。)が開設され,同図左側の道路である県道丙線(以下「本件県道」という。)に接続された。 ② また,本件土地については,新通路開設の時点で当時の所有者Mにより付近住民のための生活道路として認められ,同人は,昭和42年,別紙位置図記載の550番1の土地を自用地である同番1と生活道路である同番4の本件土地とに分筆した。 ③ その後,L建設は,昭和45年ころに至り,別紙位置図記載の520番1(当時,同番3は本件里道の一部であった。),530番,800番1,同番2の各土地を順次取得し,これらの土地を一体として利用する計画を立てたが,同地内には,本件里道や新通路があったため,一審原告らとしてはこれらが廃止された場合本件県道に出るのに不便をきたすことから,当該廃止には消極的であった。 ④ そこで,L建設は,平成元年7月8日ころ,本件土地を自ら取得し,これを本件県道への通路として訴外Jらの通行に供することを条件に,訴外Jらに対し,本件里道と新通路の廃止に同意するよう求めた。 ⑤ 訴外Jらは,上記条件を受け入れてL建設の上記申込みを承諾した。 ⑥ その際,L建設は,本件土地の通路としての使用を保証する趣旨で,平成 ,本件里道と新通路の廃止に同意するよう求めた。 ⑤ 訴外Jらは,上記条件を受け入れてL建設の上記申込みを承諾した。 ⑥ その際,L建設は,本件土地の通路としての使用を保証する趣旨で,平成元年8月5日,本件土地の地目を公衆用道路に変更した。 ⑦ 通行権の範囲は,L建設と訴外Jらとの間で,後日,本件土地のうちの南側2メートルであることが確認された。 ⑧ 本件係争地に対する通行権は,廃止される本件里道の通行権を振り替えたものであるから,無償かつ永続的なものである。 ⑨ そして,訴外Jらの本件里道の廃止に対する同意に基づき,公道廃止の手続に伴う国有財産の用途廃止への周辺住民の同意書が平成2年11月26日付で作成され,その公用廃止がなされた。 (4)(使用借権としての通行権)① 上記(3)①ないし⑨の事情があるので,L建設は,訴外Jらに対し,本件係争地につき使用借権としての通行権を設定した(以下「本件無償通行権」という。)。 ② L建設は,一審被告に対し,平成8年5月30日,本件土地を売却するのに伴い,本件無償通行権の貸主としての地位を譲渡した。 ③ア訴外Jは,訴外Aに対し,平成4年11月27日,本件B土地を売却するのに伴い,本件無償通行権の借主たる地位を譲渡した。 イ訴外Aは,一審原告Bに対し,平成10年12月24日,本件B土地を売却するのに伴い,本件無償通行権の借主たる地位を譲渡した。 ④ 一審原告Eは,訴外Kが平成3年1月29日に死亡したため,その相続人として本件無償通行権の借主たる地位を承継した。 (5)(権利の濫用による反射的通行権)次の事情があるので,一審被告において一審原告らが本件土地を通路として利用することを妨害することは,権利の濫用として許されないから,その 承継した。 (5)(権利の濫用による反射的通行権)次の事情があるので,一審被告において一審原告らが本件土地を通路として利用することを妨害することは,権利の濫用として許されないから,その反射的効果として一審原告らに本件係争地に対する通行権が発生する。 ① 上記(3)①ないし⑨と同旨。 ② 訴外Jらは,本件土地を永年生活道路として日常利用しており,これが使用できなくなると,本件県道に出るためには,本件里道を南側に大きく迂回するほかなく,多大の不便が生じる。また,一審原告Bは,本件B土地上の建物の勝手口利用のためには,本件係争地の利便性が高い。 ③ 一審被告は,L建設から本件土地を取得する際,その登記簿上の地目である公衆用道路の表示により通行権の負担を容易に認識することができた。 ④ 一審原告らの通行の実態は,単なる徒歩による通行に限られており,本件土地所有者である一審被告の負担は皆無に等しく,その負担は十分受忍の限度内である。 なお,一審原告らが徒歩で通行する範囲は,本件徒歩地である。 (6)(不法行為に基づく妨害排除請求権)次の事情があるので,一審原告らには不法行為に基づく妨害排除請求権がある。 ① 上記(3)①ないし⑨と同旨。 ② 上記(5)②ないし④と同旨。 ③ 一審被告は,L建設から一審原告らの本件係争地に対する通行の事実及びその必要性につき説明を受けていた。 ④ 一審被告は,一審原告Cに対し,本件係争地に対する通行を容認していた。 ⑤ 一審被告は,本件土地に柵を設置したり,本件係争地に長時間の駐車を目的とする駐車枠を設置したりして,故意又は過失により一審原告らの本件係争地に対する自由通行の生活利益を侵害している。 ⑥ 本件のような権利侵害において を設置したり,本件係争地に長時間の駐車を目的とする駐車枠を設置したりして,故意又は過失により一審原告らの本件係争地に対する自由通行の生活利益を侵害している。 ⑥ 本件のような権利侵害においては,過去の一審被告の不法行為に対する金銭賠償だけでは,将来における更なる不法行為を防止する効果に乏しく,また一審被告にとっても将来にわたり妨害を差し止められることで加重な負担を強いられることにはならない。 (7)(確認の利益等)一審被告は,一審原告らの主張する通行権を争い,一審原告らが本件土地を通路として利用することを妨害している。 (8)(まとめ)よって,一審原告らは,主位的請求として,本件係争地について,第1次的に本件通行地役権,第2次的に本件無償通行権,第3次的に権利濫用による反射的通行権を有することの確認を求めるとともに,これらの権利に基づく妨害排除請求権又は不法行為に基づく妨害排除請求権に基づき,一審被告において柵その他の工作物を設置し,本件係争地を一審原告らが通行するのを妨害することを禁止するよう求め,予備的請求として,上記各妨害排除請求権に基づき,本件徒歩地について,一審被告において柵その他の工作物を設置したり車両を駐車させるなどして一審原告らがこれを徒歩で通行することを妨害することを禁止するよう求める。 2 請求原因に対する認否(1) 請求原因(1)①及び②の事実は認める。 (2)① 同(2)①ア,イ及びウ並びに②ないし⑦の事実は認める。 ② 同⑧の事実は知らない。 (3) 同(3)の冒頭の主張及び①ないし⑨の事実は全部争う。 なお,乙市丁町3丁目800番1の土地については,もと同市大字○○字△△840番3の土地であったものが,昭和52年2月9日の土地区画整理法による換地処分によ 及び①ないし⑨の事実は全部争う。 なお,乙市丁町3丁目800番1の土地については,もと同市大字○○字△△840番3の土地であったものが,昭和52年2月9日の土地区画整理法による換地処分により,上記800番1の土地となったものであり,同じく乙市丁町3丁目800番2の土地については,もと同市大字○○字××880番1の土地であったものが,同換地処分により上記800番2の土地となったものであって,この換地処分の時点で上記800番1及び同番2の各土地における本件里道(赤道)はなくなっているから(乙10),本件里道の存在を本件通行地役権発生の根拠とすることはできない。また,一審被告は,L建設から,本件土地を買い受けた際に本件土地が通路ではないと説明を受けている。さらに,本件土地は,平成8年3月9日に宅地に地目変更されている(ただし,その登記は平成10年5月11日)。 (4) 同(4)の事実は全部争う。,(5) 同(5)の冒頭の主張及び①ないし④の事実は全部争う。 なお,一審原告らは,一審原告らの通行の実態は,単なる徒歩による通行に限られていると主張するが,一審原告らの通行を認めると,実際には不特定多数の者が通行してしまい,別紙位置図520番1ほかの一審被告所有地上に建っている一審被告所有マンションの安全維持上も極めて大きな問題となる。 (6) 同(6)の冒頭の主張及び①ないし⑥の事実は全部争う。 なお,① 一審原告Bは,本件B土地について,別紙図面5記載の「B所有地」の西側(同図面下側)が全部本件県道に面しており,法的保護に値する本件土地を通行する自由通行の生活利益を考える余地はないこと,② 訴外K,一審原告D及び同Fは,その住所地については同図面5記載のそれぞれ○表示のとおりであるが,本件里道の残存里道である公道を する本件土地を通行する自由通行の生活利益を考える余地はないこと,② 訴外K,一審原告D及び同Fは,その住所地については同図面5記載のそれぞれ○表示のとおりであるが,本件里道の残存里道である公道を南に約160メートル出れば,同記載の「X」地点で本件県道に達することができ,その徒歩による所要時間は約2分であること,③ 一審原告Cは,その住所地については同図面5記載の○表示のとおりであり,日常生活で本件土地を通行する必要性はないこと,④ 一審被告は,L建設から,本件土地を買い受けた際に本件土地が通路ではないと説明を受けていることからすると,一審原告らの本件妨害排除請求は過大である。 (7) 同(7)の事実は認める。 3 抗弁(1)(対抗要件)一審被告は,一審原告らが本件通行地役権につき対抗要件を備えていないので権利者とは認めない。 (2)(本件無償通行権に係る使用貸借の終了)次の事情があるので,一審原告らは,本件係争地について,目的に従い使用収益を終わり,又は使用収益をなすに足るべき期間を経過している。 ① 本件土地は,上記のとおり平成8年3月9日に宅地に地目変更されている。 ② 一審原告Bについては,本件B土地の西側全部が本件県道に面しており,本件無償通行権の意味はなく,またその余の一審原告らも,上記のとおり本件里道の残存里道である公道を南に約160メートル出れば,別紙図面5記載の「X」地点で本件県道に達することができる。 ③ 一審原告らは,長期にわたり本件土地を無償で通行していたが,一審被告が本件土地の通行を禁止する措置を講じた平成10年5月から既に2年が経過した。 (3)(権利濫用)次の事情があるので,一審原告らの本訴請求は,全部権利濫用である。 ① 本件土地近辺の土地 土地の通行を禁止する措置を講じた平成10年5月から既に2年が経過した。 (3)(権利濫用)次の事情があるので,一審原告らの本訴請求は,全部権利濫用である。 ① 本件土地近辺の土地価格は決して安くはなく,有効利用が必要である。 ② 一審原告らは,それぞれ本件B土地,本件C土地,本件D土地,本件E土地,本件F土地及び本件Dら土地から本件県道まで通行できる本件里道の残存里道があるのに,その通行を怠っている。 ③ 一審原告らは,一審被告に対して一切の対価を支払うことなく本件係争地の通行権を主張している。 4 抗弁に対する認否抗弁事実はすべて争う。 5 再抗弁次の事情があるので,一審被告は,背信的悪意者であるから,本件通行地役権につき登記の欠缺を主張する正当な利益がない。 ① 一審被告の本件土地に関する本件通行地役権の負担は,徒歩による通行を受忍するだけという比較的軽微なものである。 ② 一審原告らは,本件里道での無償かつ永続的な通行を放棄する代償として本件土地に対する通行権を取得した。 ③ L建設は,本件土地の通行を認めることと引き換えに本件里道廃止部分を取得して,他の土地と併せて土地を有効利用できた。 ④ 一審被告は,L建設から,本件土地に対する一審原告らの通行権負担の説明を受けてこれを買い受けた。 ⑤ 一審被告は,L建設から本件土地を買い受けた当時の地目が公衆用道路であったことを認識しており,その後も一審原告らの本件土地に対する通行を容認していた。 ⑥ 本件里道の残存里道である公道を南に約160メートル出れば,同図面記載の「X」地点で本件県道に達することができるものの,目的地に応じてこの南向けの里道と本件土地のいずれか近い経路を通路として選択利用することにより,場合によって3 に約160メートル出れば,同図面記載の「X」地点で本件県道に達することができるものの,目的地に応じてこの南向けの里道と本件土地のいずれか近い経路を通路として選択利用することにより,場合によって320メートルもの回り道を余儀なくされる。 ⑦ 一審被告が本件土地の通行を禁止することは,隣人としての相互扶助の精神に反する。 6 再抗弁に対する認否再抗弁事実はすべて争う。 (乙事件について) 1 請求原因(1)(所有)一審被告は,本件土地を所有している。 (2)(不法占有)訴外Aは,本件土地のうち,別紙面図1記載のイ,ロ,ハ,ニ,イの各点を順次直線で結んだ部分及び同記載のホ,ヘ,ト,チ,ホの各点を順次直線で結んだ部分において(以下「本件はみ出し部分」という。),本件B土地上の建物の一部である構築物を設置して当該土地部分を占有していた。 (3)(売買)訴外Aは,一審原告Bに対し,平成10年12月24日,本件B土地及び上記建物を売り渡した。 (4)(まとめ)よって,一審被告は,一審原告Bに対し,所有権に基づき,本件はみ出し部分の各構築物を撤去して当該土地部分を明け渡すよう求める。 2 請求原因に対する認否請求原因(1)ないし(3)の事実はすべて認める 3 抗弁(1)(違法性の阻却)一審原告Bの本件はみ出し部分の占有は,極めて軽微な侵害であり,違法性が阻却される。 (2)(権利の濫用)一審被告の一審原告Bに対する本訴請求は権利の濫用である。 第3 証拠原審の書証目録及び証人等目録並びに当審の書証目録に記載のとおりであるから,これをここに引用する 理由 第1 甲事件について 1 請求原因(1)(一審被告所有の土地) 原審の書証目録及び証人等目録並びに当審の書証目録に記載のとおりであるから,これをここに引用する 理由 第1 甲事件について 1 請求原因(1)(一審被告所有の土地)①及び②の事実は,当事者間に争いがない。 2(1) 請求原因(2)(一審原告ら所有の各土地)①ア,イ及びウ並びに②ないし⑦の事実は,当事者間に争いがない。 (2) 同⑧の事実は,弁論の全趣旨によりこれを認める。 3 そこで,請求原因(3)(通行地役権)について判断する。 一審原告らは,L建設と訴外Jらとの間において,平成元年8月ころ若しくは遅くとも平成2年11月ころまでに,本件係争地を承役地とし,本件B土地,本件C土地,本件D土地,本件E土地,本件F土地及び本件Dら土地を要役地とする通行地役権が成立していると主張し,これに沿う甲8,11,22,原審証人N及び原審の一審原告Cの各供述部分が存する。 しかし,甲8については,証拠(原審証人O)及び弁論の全趣旨によると,同書証中のO作成部分の作成日付が「平成8年5月20日」であるものの,実際に同部が記載されたのは「平成10年6月22日」であることが認められ,不自然である。そして,本件においては本件通行地役権の成立を裏付ける契約書等の客観的証拠はなく,一審原告らの主張する本件通行地役権の内容及びこれが成立する本件土地の範囲等もあいまいであって,それ自体不合理である。 さらに,上記争いのない事実に加えて,証拠(甲1,4,5,7,10,11,13の1ないし8,14ないし28,29の1及び2,30の1及び2,31,32,乙1ないし4,6,7,9ないし12,原審証人O,同P,同Q,原審の一審被告)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実を認めることができる。 (1) 本件土地区画整理事業は, の1及び2,31,32,乙1ないし4,6,7,9ないし12,原審証人O,同P,同Q,原審の一審被告)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実を認めることができる。 (1) 本件土地区画整理事業は,昭和40年ころ開始され,昭和52年2月9日の換地処分により,本件里道のうち別紙位置図記載の800番1の土地以北(同図面の上方)の部分の公用廃止と換地が実施されたが,別紙位置図記載の520番3の土地部分は,同事業の対象とはされなかったため里道として残された。 (2) Mは,旧・乙市丁町3丁目550番1の土地(地積210坪)を所有していたが,昭和42年10月25日,本件土地と本件B土地とに分筆した上,L建設に対し,本件土地につき平成元年7月8日売買を原因とする甲法務局乙支局同月31日受付第・・・・号所有権移転登記を経由した。 なお,本件B土地については,Mから訴外Jに対し,昭和56年2月27日売買を原因とする甲法務局乙支局同日受付第・・・・号所有権移転登記が経由されている。 (3) ところで,L建設は,昭和45年ころから別紙位置図記載の520番1,530番の各土地のほか,旧・乙市大字○○字△△840番3の土地(上記換地処分により別紙位置図記載の800番1の土地となる。),旧・乙市大字○○字××880番1の土地(上記換地処分により別紙位置図記載の800番2の土地となる。)を取得し,これらの土地の一体利用を計画した。 (4) L建設は,昭和62,3年ころ,別紙位置図記載の520番1等の土地上にマンションを建築する計画を立て,上記520番3の土地部分の里道の公用廃止とその払下げを申請することとした。 (5) このためL建設は,上記公用廃止に向けて付近住民の同意を得るため,平成元年8月5日,本件土地の地目を公衆用道路に変更した。 ( 部分の里道の公用廃止とその払下げを申請することとした。 (5) このためL建設は,上記公用廃止に向けて付近住民の同意を得るため,平成元年8月5日,本件土地の地目を公衆用道路に変更した。 (6) L建設は,訴外J,一審原告D,訴外K及び一審原告Fの同意を得た上,平成2年11月26日,上記520番3の土地部分に対する里道の公用廃止とその払下げの手続をしたところ,同年12月13日,上記公用廃止となり,同土地については,L建設のために甲法務局乙支局平成3年10月28日受付第・・・・号所有権保存登記がなされた。 (7) L建設は,平成8年3月9日,乙市丁町3丁目800番1,同番2,530番,520番1及び同番3の各土地上に鉄筋コンクリート造陸屋根6階建共同住宅(床面積合計1,500.00平方メートル)を建築し,同年5月30日,一審被告に対し,同各土地及び本件土地を代金計1億円,同共同住宅を代金2億3000万円の合計3億3000万円で売却した。 (8) L建設代表取締役Q,総務部長Pは,一審被告に対し,上記売却に際して,一審原告Cについては本件土地の通行を好意的に黙認していたことを説明したところ,一審被告は,必要なときは通ってよいとの返事をしたものの,通行権を設定する意図ではなかった。 なお,L建設は,一審被告に対し,一審原告Cを除く一審原告ら付近住民が本件土地を通行していることについては何らの説明をしていない上,本件土地の重要事項説明書(乙2)にもその通行権の負担については記載がなされていない。 (9) L建設と一審被告との上記売買の立会いをしたOが一審被告に対し,平成9年6月ころ,「通行権の確認について」と題する書面(乙5)を持参し,一審原告Cの本件土地に対する通行を認めて押印するよう求めたが,一審被告は,これを拒否し 買の立会いをしたOが一審被告に対し,平成9年6月ころ,「通行権の確認について」と題する書面(乙5)を持参し,一審原告Cの本件土地に対する通行を認めて押印するよう求めたが,一審被告は,これを拒否している。 (10) 本件土地については,平成8年3月9日,宅地へ地目変更がなされ,平成10年5月11日,その旨の登記がなされている。 (11) また,本件B土地は,その西側全部が本件県道に面している(その根拠は,別紙図面5記載のとおりである。)。 (12) 訴外K,一審原告D及び同Fは,その住所地については別紙図面5記載のそれぞれ○表示のとおりであるが,本件里道の残存里道である公道を南に約160メートル出れば,同図面記載の「X」地点で本件県道に達することができ,その徒歩による所要時間は約2分である。 (13) 一審原告Cは,その住所地については別紙図面5記載の○表示のとおりであり,日常生活で本件土地を通行する必要性はない。 (14) なお,本件係争地及び本件徒歩地については,その土地の形状として通路が開設されていた状態にはない。 以上の事実が認められ,これに反する的確な証拠はない。 そうすると,L建設が一審原告Cの本件土地に対する通行を受忍していたこと及び上記公用廃止のため本件土地の地目を公衆用道路としたことは認められるものの,これをもってL建設が本件地役権の設定をなしたものと断定することはできないというべきである。そして,上記甲8,11,22,原審証人N及び原審の一審原告Cの各供述部分は,上記認定事実に照らして不自然であり,いずれも採用することはできず,他に,本件通行地役権の成立を認めるに足りる的確な証拠はない。 4 請求原因(4)(使用借権としての通行権)について判断する。 一審原告らは,L建設が訴外Jらに対 ずれも採用することはできず,他に,本件通行地役権の成立を認めるに足りる的確な証拠はない。 4 請求原因(4)(使用借権としての通行権)について判断する。 一審原告らは,L建設が訴外Jらに対し,本件係争地につき使用借権としての通行権を設定したと主張するが,その通行権の成立時期,範囲及び存続期間等は分明ではなく,本件全証拠によっても本件無償通行権を認めることはできない。 仮に,L建設と訴外Jらとの間の本件無償通行権を是認したとしても,一審被告がL建設から本件土地を買い受けるのに伴い本件無償通行権の貸主としての地位を承継したことを認めるに足りる的確な証拠はない。 5 請求原因(5)(権利の濫用による反射的通行権)について判断する。 一審原告らは,一審被告において一審原告らが本件土地を通路として利用することを妨害することは,権利の濫用として許されないから,その反射的効果として一審原告らに本件係争地に対する通行権が発生すると主張する。 しかし,上記3の各認定事実によると,一審原告Bについては,本件B土地の西側が全部本件県道に面していること,一審原告Bを除く一審原告らも本件里道の残存里道である公道を南に約160メートル出れば本件県道に達することができ,同距離を徒歩で往復しても数分程度であることが明らかである。 もっとも,一審原告Bは,本件B土地上の建物の勝手口利用のために本件係争地の利便性は高いと主張するが,証拠(甲5)及び弁論の全趣旨によると,これは同建物が本件土地に極めて近接して建てられた結果によるものであって,その勝手口の利便性を一審被告の負担に帰することは相当ではないというべきである。加えて,一審原告Bを除く一審原告らの主張に係る通行の必要性は,本件県道への出入りにつき便利であるというにとどまるものであること等を 利便性を一審被告の負担に帰することは相当ではないというべきである。加えて,一審原告Bを除く一審原告らの主張に係る通行の必要性は,本件県道への出入りにつき便利であるというにとどまるものであること等を併せ考慮すると,一審原告らの上記主張を採用することはできない。他に,一審原告らの主張する権利濫用を裏付けるに足りる事情を認め得る証拠はない。 6 請求原因(6)(不法行為に基づく妨害排除請求権)について判断する。 一審原告らは,不法行為に基づく妨害排除請求権があると主張する。しかし,上記3の各認定事実に加えて,上記4及び5の認定事実にかんがみると,一審原告らが本件土地へ出入りできたのは,単に一審被告がその通行を黙認していたからにすぎないものであるから,一審被告が一審原告らの本件土地の通行を禁止しても,これにより直ちに一審被告が一審原告らの本件係争地に対する自由通行の生活利益を侵害しているものと断定することはできない。他に,一審原告らの主張する不法行為を裏付けるに足りる事情を認め得る証拠はない。 7 以上の次第で,その余の点について判断するまでもなく,一審原告らの従来の甲事件に係る各請求及び当審における予備的請求はいずれも理由がないから棄却を免れないものというべきである。 第2 乙事件について 1 請求原因事実は,すべて当事者間に争いがない。 2 抗弁(1)(違法性の阻却)について判断する。 一審原告Bは,本件はみ出し部分の占有について極めて軽微な侵害であり,違法性が阻却されると主張する。しかし,当該占有については,一審原告らの主張する通行権の行使とは何ら無関係であるのみならず,証拠(甲5)及び弁論の全趣旨によると,本件はみ出し部分に設置された各構築物は容易に撤去できるものである。加えて,上記認定のとおり本件B土地上の建物が本件土地 権の行使とは何ら無関係であるのみならず,証拠(甲5)及び弁論の全趣旨によると,本件はみ出し部分に設置された各構築物は容易に撤去できるものである。加えて,上記認定のとおり本件B土地上の建物が本件土地に極めて近接して建てられていることを併せ考慮すると,一審原告Bの本件はみ出し部分の占有については違法性を阻却しないものというべきである。 3 抗弁(2)(権利の濫用)については,これを認めるに足りる的確な証拠はない。 4 以上の次第で,一審被告は,一審原告Bに対し,所有権に基づき,本件はみ出し部分の各構築物を撤去して当該土地部分を明け渡すよう求めることができるものというべきである。 第3 結論よって,一審被告の本件控訴に基づいて上記と結論を異にする原判決を取り消すこととし,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第4部裁判長裁判官竹中省吾裁判官廣永伸行裁判官河野清孝別紙物件目録,別紙図面1ないし5 省略
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