【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄し、本件を札幌高等裁判所に差戻す。 理 由 上告代理人折居辰治郎、同斎藤敏之の上告理由第一点について。 原審が証拠上適法に確定した事実に
主 文 原判決を破棄し、本件を札幌高等裁判所に差戻す。 理 由 上告代理人折居辰治郎、同斎藤敏之の上告理由第一点について。 原審が証拠上適法に確定した事実によれば、上告人と被上告人との間で昭和二九 年八月二一日原判示山林九筆につき代金を二三〇万円としその他判示約定の売買契 約がなされたこと、右売買は被上告人において売買の目的物たる山林を造材事業に 供するために締結したものであること、右契約締結に際して、上告人は被上告人に 対し、本件山林はもと南側に道路があつたのにすぎないから造材の搬出は峠を越え その南側の道路に出る外なく多大の経費を要するものであつたが、現在では本件山 林の北側山麓に開鑿道路が開通したので造林事業の経営上極めて有利であるとの説 明をしたので、被上告人はこれを真実であると信じ当初の買受希望価額を大巾に上 廻る代金で買受ける契約をしたこと、それにも拘わらず本件山林の北側山麓には何 らの道路がなく、北方の他人所有隣地約一里半を距てた箇所に始めて開鑿道路が存 在するにすぎず、本件山林の造材搬出事業については殆ど利用価値のないこと、被 上告人は右北側山麓道路が存在しないことを知つていたならば本件売買契約をなす 意思はなかつたものと認められるというのである。そして右事実関係のもとにおい て、上告人が存在しない右北側道路に言及したことは不自然であり、被上告人は右 北側道路が存在しないことを知つていたならば、本件売買をする意思がなかつたと いうことは取引上至当であり、右北側山麓道路が存在することは本件売買契約の要 素をなすものであつて、右契約締結に際し北側道路の存在するものと誤信した被上 告人に錯誤があるとの原審の判断は相当であるといわねばならない。原判決に所論 の違法はなく、引用の判例は事案を異にし本件に適切でない。 同第二 て、右契約締結に際し北側道路の存在するものと誤信した被上 告人に錯誤があるとの原審の判断は相当であるといわねばならない。原判決に所論 の違法はなく、引用の判例は事案を異にし本件に適切でない。 同第二点について。 - 1 - 記録を調べてみると上告人は昭和三四年九月三〇日の原審口頭弁論において同日 付準備書面(記録三四六丁)により、本件北側開鑿道路の存否について調査しなか つた被上告人には重大な過失があるとの主張をしているにも拘わらず、原判決はこ の事実を摘示せずまたこれに対して判断が与えられた形跡が窺えない。してみると 原判決にはこの点につき判断を遺脱し、理由不備があるものであつて、原判決は破 棄を免れない。 よつて、民訴四〇七条第一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決す る。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 横 田 正 俊 裁判官 河 村 又 介 裁判官 垂 水 克 己 裁判官 石 坂 修 一 裁判官 五 鬼 上 堅 磐 - 2 -
▼ クリックして全文を表示