【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 原判決中、一審原告aの関係部分を次のように訂正する。 控訴人は、被控訴人亡a承継人bに対し金一、八三八円、同c、同d、同eに対し 各金一、二二五円並びにこれらに対する
主文 本件控訴を棄却する。 原判決中、一審原告aの関係部分を次のように訂正する。 控訴人は、被控訴人亡a承継人bに対し金一、八三八円、同c、同d、同eに対し各金一、二二五円並びにこれらに対する昭和四九年五月一一日から完済まで、年五分の割合による各金員を支払え。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人ら代理人は、控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の主張並びに証拠の提出、援用、認否は、次のとおり付加する外、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。 控訴代理人は、一基本労務契約第七章A節における年休計算前段の規定は、常用従業員の取得し得べき年次休暇が満一暦年につき二〇日であること、従つて一暦年のすべてにわたつて在職しないならば、当該年における年次休暇は、その在職期間に応じ、二〇日を按分した割合の日数によるべき旨を定めたものと解すべきである。 すなわち、 1 右基本労務契約は和英両文が正文となつているのであり、その解釈上の疑義を解決し、或いは契約締結時及び改正時における当事者の意思を正しく理解するためには、和文のみならず、英文に基づいて十分な検討がなされなければならない。問題の年休計算前段の規定の英文は、「Annualleaveshallbeaccruedattherateof 20 oightーhourworkingdaysforafullcallendaryear」とされており、「beaccrued」という語句が使用されていることに留意しなければならない。本来accrueという語句の意味は「(自然増加の結果利益となつて)来る。( llendaryear」とされており、「beaccrued」という語句が使用されていることに留意しなければならない。本来accrueという語句の意味は「(自然増加の結果利益となつて)来る。(利子などが)生じる。」ということであり(研究社版新英和辞典)(米側は漸増して生じる、或いは加増又は増大して生じていく意味であると説明している。)、通常、「取得する」という和文に最も適しているはずの語句である「beaoquired」が使われていないところに、契約当事者である日米両国、特に米国側の意思が明白になつているといえる。この「beaccrued」の文言が、後の「forafullcalendaryear」という文言と結びつき、年次休暇は満一暦年の間に、漸次生じる、言い換えれば勤務期間の長さに対応して定まつていくとの趣旨を表わしていることになるのである。したがつて「年次休暇の権利は満一暦年につき二〇日の割合でaccrueする」ことになるのであるから、仮に勤務期間が暦年の六ケ月であるならば、accrueされる年次休暇は一〇日、一ケ月であれば一・六六日(端数については年休計算後段の規定により、年途中の採用者と同様に扱われる)ということになるのである。 2 右解釈は基本労務契約の一方の当事国である米国における年次休暇の取扱いとも一致するものであり、従つて、昭和三七年一二月一〇日の改正にあたつての当事者特に米国の意思としては、右規定により暦年途中退職者の年次休暇を在職期間に応じて按分により付与することにあつたものと考えられ、また実際に従業員の年次休暇の申請を承認する立場にある駐留軍も、運用上の取扱いの点(甲第三、第四、第六号証)はとも角、従業員の権利としての年次休暇については、一貫して按分により付与すべきものとしているのである(乙第五、第 休暇の申請を承認する立場にある駐留軍も、運用上の取扱いの点(甲第三、第四、第六号証)はとも角、従業員の権利としての年次休暇については、一貫して按分により付与すべきものとしているのである(乙第五、第七ないし第九号証)。 もつとも、以上のように年次休暇を在職期間に応じて按分して付与すべきものとした場合、暦年途中退職者が将来途中退職することの確定した時点において、既に在職期間に応じた按分以上の年休を取得してしまつていることもありうるに拘らず、この点につき基本労務契約上格別の調整規定が置かれていないが、退職が予定されていない時期に取得した按分以上の休暇については、従業員に有利に有給の年次休暇として扱えば足りることであるから、右のとおり調整規定の存在しないことは、右前段の規定についての右解釈に影響を及ぼすものではない。 二仮に、右前段の規定自体をもつて、年次休暇を在職期間に応じて按分により付与すべき旨を定めたものと解し得ないとしても、右規定の文言並びに基本労務契約における年次休暇は、従業員の過去の年分での勤務に対してではなく、当該暦年での勤務に対応するものとして付与されていること等に徴し、少くも右前段の規定は従業員の「満一暦年」の間における実際の在職を前提として、「八時間勤務二〇日の割合」の年次休暇を取得できる旨を定めたもの、すなわち、暦年を通じて在職する従業員の年次休暇についてのみ定めたものと解すべきである。 そうすると、暦年途中で退職する従業員の年次休暇については、基本労務契約上、直接定めるところがなく、結局において中段の規定を類推するの外はない。 三また仮に以上のように解さず、被控訴人らが常用従業員であることをもつて、一月一日に一旦二〇日間の年休を取得したと解したとしても、年度途中に採用された常用従業員もしくは一年間を通じて勤務すべき常 三また仮に以上のように解さず、被控訴人らが常用従業員であることをもつて、一月一日に一旦二〇日間の年休を取得したと解したとしても、年度途中に採用された常用従業員もしくは一年間を通じて勤務すべき常用従業員との比較権衡上、被控訴人ら各自の退職の時期に従い、按分によりその年休を削減することには十分合理的な理由があるものというべきである。 四年休制度の前記改正当時、防衛施設庁と全駐労との間においてなされた確認事項(甲第二号証)中問一六の問答は、次の趣旨のものである。すなわち、右改正以前は、一月につき二日を限度とするいわゆる月例休暇の制度が適用されていたので、防衛施設庁としては、改正後新たな年休制度をできる限り早く従業員に理解させるべく努力し、月例休暇制度による種々の制限が撤廃されたことを強調し、二〇日の休暇を年度の早い時期に全部使いきることも運用上可能である旨説明していた。このことから、防衛施設庁側としても、組合から右問一六の質問に応じた際、右質問における「無条件に与えられると思うがどうか。」との意は、従前の月例休暇制度下における制限が廃止されたことの確認と受けとめ、「貴見のとおりである。」との回答を与えたのである(甲第二号証一二三ページ)。それまでは、従業員が現実に休暇を使用することが殆んどなかつた(買上げ制度により代替措置として与えられる給付を固定的な収入として受け入れていた)のであるから、年途中で退職する者の休暇の費消状況をめぐり、後日紛争が生じようとはまつたく想定していなかつたのである。従つて、右確認は、年度途中退職者の年休を念頭においてなされたものではなく、途中退職者の年休日数を検討する際に手掛りを与えるものではない。 五昭和四一年五月一七日付MLC書信8ー66について付言するに、右書信は、米国側契約担当官から駐留軍内部に対し されたものではなく、途中退職者の年休日数を検討する際に手掛りを与えるものではない。 五昭和四一年五月一七日付MLC書信8ー66について付言するに、右書信は、米国側契約担当官から駐留軍内部に対し、「……未使用の年次休暇をできる限り多く与えなければならない」旨を指示した通達であり、右文言どおり、駐留軍の裁量を前提として、「できる限り多く」という努力目標を示したものに過ぎない。 本件相模補給廠の場合においても、その後は右MLC書信により運用され、被控訴人ら以前に年度途中で退職した従業員のすべてが二〇日の年次休暇を取得していたものでないことはもちろんであつた。本件においても、駐留軍は最大限の努力をした結果、被控訴人らが退職するまでの間に、fについては三日と三時間、gについては二日、hについては八日、iについては一日と五時間、jについては四日、kについては二時間、lについては四時間、mについては一日、nについては五日と四時間、aについては一日を、それぞれ按分による年次休暇以上に、余分に承認しているのである。 六被控訴人らの主張三の、相続承継の事実は認める、と述べた。(立証省略)被控訴人ら代理人は、一控訴人は、基本労務契約の解釈上の疑義を解決するためには、むしろ英文に基づいて検討されなければならないというが、右契約が従業員に雇用関係の準則として公示され、あるいは国と全駐労との交渉において示されるのは、いずれも日本文であるから、駐留軍従業員の雇用関係の準則として基本労務契約を解釈するに際し、英文に基づいて検討されなければならないとする理由はない。 問題のaccrueという語句は、控訴人の引用する辞典(乙第四号証)によつても、控訴人が援用している意味以外に、「結果として生じる」とか、「権利として生じる」とかいう意味もある。また英文(乙第三 問題のaccrueという語句は、控訴人の引用する辞典(乙第四号証)によつても、控訴人が援用している意味以外に、「結果として生じる」とか、「権利として生じる」とかいう意味もある。また英文(乙第三号証)を見ると、まさに按分であることを定めた中段では、accrueを使わずに、authorizeという語句を使つている。これをみても、控訴人のいうように使いわけをしているのではなさそうである。したがつて日本側が按分の意味に解しなかつたことに不審はない。 また控訴人は、按分方式によることは、米国における年次休暇の取扱いとも一致する旨主張するが、基本労務契約は日本国内において、日本人労働者に適用するためにつくられたものであつて、したがつて昭和三七年一二月一〇日の改定に当つても、日本に一般に行われている非按分方式、具体的には公務員の休暇制度にならつたのであり、参考にすべきは、米国の制度ではなく、むしろ日本の公務員の制度なのである。 控訴人は、按分が一貫して駐留軍側の方針であつたというが、これは全く事実に反する。駐留軍側法律見解メモも「各軍によつてまちまちに行われていた。」(乙第六号証一三枚目)といつているし、本件相模補給廠においても、かつては非按分方式がとられていたのである。このことは乙第五号証の冒頭に、「MLC休暇承認係官側における明らかな誤解を解消するため……」と掲げられていることに照らして明らかである。 二昭和四一年五月一七日付MLC書信は、按分か非按分かの紛争を解決するための通達であり、この書信により、按分以上の年休がとれるようにして解決したわけである。このことは、右書信に付した防衛施設庁労務部長名の通牒(甲第三号証一四九頁)において、「月割計算による按分比例を廃し」とあることに徴しても明らかである。 三一審原告aは、昭和五二年四月 けである。このことは、右書信に付した防衛施設庁労務部長名の通牒(甲第三号証一四九頁)において、「月割計算による按分比例を廃し」とあることに徴しても明らかである。 三一審原告aは、昭和五二年四月二日死亡し、その妻被控訴人bが三分の一、その子である被控訴人c、同d、同eが各九分の二の相続分に応じて、右aの権利義務一切を相続承継したと述べた。(立証省略) 理由 一被控訴人ら(但し、被控訴人b、同c、同d、同eの関係においては、その被承継人aのことをいう。以下同じ。)は、いずれも、神奈川県所在の駐留軍相模補給廠の常用従業員として、原判決添付の別表常用従業員となつた年月日欄記載の日から、人員整理により退職するに至つた同表退職年月日欄記載の日まで、控訴人に雇傭されていたものである。 ところで控訴人に雇傭される駐留軍従業員の給与その他の労働条件は、アメリカ合衆国政府と控訴人との間に締結された基本労務契約の規定に準拠して、控訴人と駐留軍従業員との合意により定められるものであり、常用従業員の年次休暇に関しては、基本労務契約第七章A節に、 1 資格の取得年次休暇は、常用従業員に与えられるものとする。 2 計算年次休暇の権利は、満一暦年につき、八時間勤務二〇日の割合で取得する。一暦年中に常用従業員として採用された従業員は、常用従業員として採用された月及びその暦年の残りの各月につき、一二分の二〇日の割合で休暇を与えられるものとする。前記のようにして計算した休暇で、半日未満の端数は切り捨てるものとし、半日以上の端数は満一日とみなすものとする。 と定められている。ただし一暦年の途中で退職すべき常用従業員の年次休暇については、特に明文の規定はない。 そこで、被控訴人らは、右年休計算前段の規定に則り、昭和四九年に八時間勤務二〇日(一 る。 と定められている。ただし一暦年の途中で退職すべき常用従業員の年次休暇については、特に明文の規定はない。 そこで、被控訴人らは、右年休計算前段の規定に則り、昭和四九年に八時間勤務二〇日(一六〇時間)の年次休暇を取得したと主張して、右二〇日の範囲内で、それぞれ原判決添付の別表休暇日欄記載の日(解雇予告期間中である)に、休暇時間欄記載の時間の年次休暇をとることを請求し、同日休暇を使用したところ、控訴人は被控訴人らが二〇日の年次休暇を取得したとの右主張を争い、被控訴人が使用した右休暇を年次休暇として扱うことなく、欠勤として扱い、賃金支払日である翌月一〇日に、被控訴人ら主張の同表未払賃金額欄記載の賃金を支払わなかつた。 以上の事実は、右未払賃金の計算関係を含めて、当事者間に争いがない。 二(一) 基本労務契約は、その第一九条において、駐留軍従業員の就業規則や雇用条件が、基本労務契約の関係規定に順応すべきことを要求しており、防衛施設庁では、右第一九条に従い、昭和三九年七月一日に、駐留軍従業員就業規則を制定したのであるが、同就業規則第一二条第一項には、「休暇の種類は、年次休暇又は月例休暇、……とする。休暇として認められる日数及び休暇の付与の要件については、基本労務契約第七章に定めるところによる。」と定められているのであり、これらのことは、弁論の全趣旨を通じて当事者間に争いのないところである。してみれば、被控訴人らが権利として主張しうる年次休暇の日数は、基本労務契約第七章の規定の解釈如何にかかわる問題であることが明らかである。 (二) そこで、先ず右基本労務契約第七章の規定に則して、被控訴人らの昭和四九年における年次休暇の日数如何を考えるに、前記の同章A節1資格の取得、2計算の各規定によれば、 1 被控訴人ら主張のように、当該年度以前から引続き 本労務契約第七章の規定に則して、被控訴人らの昭和四九年における年次休暇の日数如何を考えるに、前記の同章A節1資格の取得、2計算の各規定によれば、 1 被控訴人ら主張のように、当該年度以前から引続き常用従業員であるものは、当該年度の当初において八時間勤務二〇日(一六〇時間)の年次休暇を確定的に取得し、その年度の途中に退職しても、一旦取得した休暇日数に変動を来たすことはない、とも解しうるし、 2 反対に、控訴人主張のように、右年休計算前段の規定自体から、年次休暇は常用従業員として一暦年の間在籍した場合に二〇日与えられるということを基本とし、在籍期間が一年に満たなければ、二〇日を右在籍期間に按分した日数だけの休暇しか与えられない、とも解しうるのであり、成立に争いのない乙第一三号証の基本労務契約により、他の諸規定を参酌してみても、右1、2いずれの説をもつて正当とするかは、右規定のみではいずれとも決し難い。畢竟、前記のように駐留軍従業員の給与その他の労働条件は、控訴人と駐留軍従業員との合意により定められるのであるから、右合意において、年次休暇の日数につき、基本労務契約の右各規定をどのように理解していたかを中心とし、それに現実の運用事例その他を勘案して判断するの外はない。 (三) 控訴人は、基本労務契約の英文によれば、右年休計算前段の規定は、年次休暇の権利は満一暦年につき二〇日の割合で漸次生じる、言い換えれば勤務期間の長さに対応して、すなわち勤務期間に按分して与えられるとの趣旨が表わされていると主張する。 成程、前顕乙第一三号証によれば、基本労務契約第二四条に、右契約は日本文及び英文ともに正文とする旨明記されており(当審証人oの証言によれば、右契約は最初に英文原案が作成され、ついでその飜案という形で日本文原案が作成されたようである。)、成立に争 四条に、右契約は日本文及び英文ともに正文とする旨明記されており(当審証人oの証言によれば、右契約は最初に英文原案が作成され、ついでその飜案という形で日本文原案が作成されたようである。)、成立に争いのない乙第三号証によれば、年休計算前段の規定の英文は、Annualleaveshallbeaccruedattherateof 20 eightーhourworkingdaysforcallendaryear. となつていることが認められる。そして成立に争いのない乙第四号証によれば、右英文規定中のaccrueという語句は、「(自然増加の結果利益となつて)来る。(利子などが)生じる。」という意味と解せられ、弁論の全趣旨により成立を認めうる乙第五ないし第九号証、成立に争いのない乙第一一号証によれば、右英文規定はbeaccruedという語句に特に重要な意義があり、アメリカ合衆国の見解としては、年次休暇は漸次生じるものであつて、年度当初に確定日数(二〇日)の休暇を与えるものではない、即ち勤務期間に応じ漸次積み上げられるという趣旨の按分方式が通例であると解していたと認められなくはない。 しかしながら、右乙第五号証によれば、サガミ民間人人事事務所長から駐留軍各基地宛の通達の冒頭に、「MLC休暇承認係官側における明らかな誤解を解消するため次のとおり通知する。」と掲げられており、このことから右英文規定の解釈については、駐留軍の休暇承認係官のうちに誤解を生じていることが明らかであり、それが前述のように按分方式を定めたことが明らかであるということには疑義があるといわざるを得ないし、又右乙第四号証によれば、accrueという語句には前述の意味の外に、「権利として生じる」という意味もあることが認められるのであるから、年休計算前段の規定 うことには疑義があるといわざるを得ないし、又右乙第四号証によれば、accrueという語句には前述の意味の外に、「権利として生じる」という意味もあることが認められるのであるから、年休計算前段の規定の日本文の語句が右英文の意味と異るとも一概に断定し難い。 これを要するに、前記のアメリカ合衆国の意思は、右英文規定に必ずしも明確に表現されているとは認め難いし、又意思を問題にする以上、前述のように雇用契約の当事者である控訴人と駐留軍従業員との合意内容をこそ重視すべきであろう。 (四) 次に控訴人は、年度途中退職者の年次休暇について明文の規定がないとすれば、年度中途採用者に関する年休計算中段の規定を類推適用すべき旨主張する。 しかしながら、年次休暇は、元来、過去の労働に対する疲労回復と報償として与えるとするところに制度の本質があると解すべきであるから、過去の労働を伴わない中途採用者に関する規定を、過去の労働を伴う中途退職者にそのまま類推適用することには十分な根拠がない。 三(一) 成立に争いのない乙第一、二号証の各一、二、前顕乙第一三号証、原審及び当審における証人p、当審証人oの各証言を総合すれば、次の事実が認められる。 基本労務契約の休暇に関する規定は、昭和三七年一二月一〇日附属協定改定第六九号により、翌三八年一月一日から改定され、現行の前記年次休暇に関する第七章A節2の計算の規定が新設された。(A節1資格の取得の規定は、後記経過措置のため、右改定では、とりあえず、「年次休暇は、一九六三年一月一日以降に常用従業員として採用された者に与えられたものとする。年次休暇は、この契約が一九六五年一月一日まで延長されを場合には、同日から第二一章に定める「切り替えられた」従業員に対し与えられるものとする。」とされ、右経過措置の終了に伴い、昭和四三年七月八日 。年次休暇は、この契約が一九六五年一月一日まで延長されを場合には、同日から第二一章に定める「切り替えられた」従業員に対し与えられるものとする。」とされ、右経過措置の終了に伴い、昭和四三年七月八日附属協定改正第一七一号により、現行の前記A節1資格の取得の規定となつた。)右昭和三七年一二月一〇日の改定以前においては、駐留軍従業員が取得できる有給休暇は、月々の勤務実績に応じて逐次的にその月において一日又は二日取得できることになつており(月例休暇制度)、結果的に一年間で最高二四日(一九二時間)取得できる一方、休暇をとる権利を取得しても、現実に休暇をとらない場合には、その休暇に代つて賃金を受給できる(休暇の買上げ制度)ような特異な休暇制度がとられていた。ところが、駐留軍従業員の給与体系を国家公務員に準ずるように改定する過程において、従業員の給与等の負担者であるアメリカ合衆国側から、右月例休暇制度の改正と休暇の買上げ制度の廃止の要求が出され、防衛施設庁と改定の交渉に当つていた駐留軍従業員をもつて組織する全駐留軍労働組合(以下全駐労という)は、改正の結果、年間休暇日数が二〇日に減り、買上げ制度がなくなれば毎月の実質収入が減るとして問題にしたが、結局給与体系が国家公務員に準じたものに改定されることに伴う利益とのかね合い、妥協策として休暇の買上げ制度を改定後一年六ケ月の間に段階的に解消する旨の経過措置が認められたこと、年間休暇日数が二〇日に減ずるとしても、これまた国家公務員なみに外ならないこと等により、全駐労も最終的にはアメリカ合衆国側の要求を受け入れ、かくて前記のように改定されるに至つたものである。 以上の事実が認められる。 なお、国家公務員の年次休暇は、昭和二四年一二月一九日人事院規則一五ー六(休暇)により、従前の例としての「官庁執務時間並 くて前記のように改定されるに至つたものである。 以上の事実が認められる。 なお、国家公務員の年次休暇は、昭和二四年一二月一九日人事院規則一五ー六(休暇)により、従前の例としての「官庁執務時間並休暇ニ関スル件(大正一一年閣令六)」に基礎を置き、一暦年の当初に二〇日の休暇を確定的に取得するとされている。昭和四三年一二月七日職職ー一〇三六号人事院事務総長通達「人事院規則一五ー六(休暇)の運用について」の第二項関係四には、「年の中途において任期が満了し退職することになつている職員の年次休暇の日数は、二十日にその年に在職する期間の月数(その期間に一月未満の端数があるときは、これを一月として算定した月数)を十二で除した数を乗じて得た日数とする。」とされているが、昭和四三年一二月七日職職一〇三八「休暇の取扱いについて(抄)」の1四によれば、右の「事務総長通達第二関係の四にいう任期が満了し退職することとなつている職員」とは、採用の時点においてあらかじめ任期満了により退職することとなる日が明らかな職員をいう、とされている。結局雇用期間の定めのない国家公務員が年度途中で退職した場合、その年次休暇については明文の定めはなく、従つて一暦年の当初確定的に取得した二〇日の休暇は、年度途中の退職によつて変動することはないものと解するの外はない。 (二) 弁論の全趣旨により成立を認めうる甲第二号証ならびに原審及び当審証人pの証言によれば、前述の防衛施設庁と全駐労との改定交渉の途次において、防衛施設庁側では、駐留軍従業員の有給休暇は、国家公務員と同様な年次休暇制度に切り替る旨を口頭で強調していたので、全駐労としては右改定成立の際、これを更に文書で明確にすべく、防衛施設庁に対し、文書をもつて、年休計算前段の規定の解釈につき、「年次休暇は、……一月一日に在籍していれば る旨を口頭で強調していたので、全駐労としては右改定成立の際、これを更に文書で明確にすべく、防衛施設庁に対し、文書をもつて、年休計算前段の規定の解釈につき、「年次休暇は、……一月一日に在籍していれば、その年の年次休暇二〇日は、無条件に与えられると思うがどうか。」との問を発したところ、これに対して防衛施設庁は、「貴見のとおりである。」旨文書で回答したこと(もつとも年度途中退職者の場合については、右交渉の過程においても、質問回答の際にも、両当事者の念頭になかつたようである)が認められる。当審証人oの証言は右認定を左右するに足りない。 (三) 原審証人pの証言により成立を認めうる甲第三、第四号証、成立に争いのない甲第五、第六号証及び原審証人pの証言を総合すれば、次の事実が認められる。 右改定による経過措置が終了し、年次休暇制度が現実に実施されるに至つた後に、現地米軍施設においてしばしば駐留軍従業員の大量人員整理が行われ、その都度各地で、月割按分以上の年次休暇を認めない事例が生じてきたので、全駐労、防衛施設庁、米国側が折衝の結果、昭和四一年五月一七日付をもつて、米国側契約担当官から米軍各現地施設の契約担当官代理者に対するMLC書信8ー69をもつて、「(前略)人員整理の場合には、監督者は、人員整理される予定の従業員に未使用の年次休暇をできる限り多く与えなければならない。」との指令を発し、これを受けて防衛施設庁労務部長は、同年六月八日付で、各都道府県の渉外労務主管部長に対し、「MLC書信8ー66(年次休暇)の送付について」と題する文書を発し、その中で「人員整理される予定の従業員に対しては、月割計算による按分比例を廃し、できる限り多く年次休暇を与えること」とする旨指示した。右MLC書信と同様の書信は、その後も昭和四四年四月九日付MLC書信4ー69、 員整理される予定の従業員に対しては、月割計算による按分比例を廃し、できる限り多く年次休暇を与えること」とする旨指示した。右MLC書信と同様の書信は、その後も昭和四四年四月九日付MLC書信4ー69、米海軍基地統合人事部長名の昭和四六年一月七日付「年次休暇の認可」と題す書面として相ついで発せられ、防衛施設庁労務部が昭和四六年七月一日現在で発行した「基本労務契約解釈運用の手引」と題する文書にも、右各書信と同一内容の運用指針が掲載されている。かくして、右各書信に従い、米軍各現地施設においては、本件以前の人員整理の際、年間二〇日の全日数が与えられたか否かは明らかではないが、少くも米国側もしくは控訴人の主張する如き月割按分による日数以上の年次休暇が与えられることが少なからずあつた。 以上の事実が認められる。 (四) 以上(一)ないし(三)の各事実に徴すると、基本労務契約第七章A節ー資格の取得及び年休計算前段の各規定の解釈につき、防衛施設庁即ち控訴人と全駐労もしくは駐留軍従業員との間には、常用従業員は一月一日に在籍する限り、その年において二〇日の年次休暇を確定的に取得し、その年度の途中に人員整理によつて退職すべき場合にも、右休暇日数に変動を生じないものとする合意が成立していたものと認めるのが相当である。(駐留軍従業員は国家公務員でなく、その雇用関係につき、労働基準法が適用されるが、基本労務契約における年次休暇の規定を右のように解するとき、労働基準法第三九条違反の問題を生じえないことは、いうまでもない。)なお、控訴人は、仮に被控訴人らが一月一日に一旦二〇日の年休を取得したとしても、被控訴人ら各自の退職の時期に従い、按分によりその年休を削減することに十分合理的な理由がある旨主張するが、削減につき明文の規定はないばかりでなく、一年間を通じて勤務すべき の年休を取得したとしても、被控訴人ら各自の退職の時期に従い、按分によりその年休を削減することに十分合理的な理由がある旨主張するが、削減につき明文の規定はないばかりでなく、一年間を通じて勤務すべき常用従業員と比較しても、前述のように年次休暇制度の本質が、過去の労働に対する疲労回復と報償とにある以上、両者間に必らずしも衡平を失するとはいい難い(中途採用者との比較については前記のとおり)というべきであるから、右主張もまた採用し難い。 四してみれば、被控訴人らは、昭和四九年に八時間勤務二〇日(一六〇時間)の年次休暇を取得したというべきであり、前記一記載のように、控訴人が被控訴人ら請求の休暇を欠勤として扱つたのは雇用契約違反であり、被控訴人らの控訴人に対する、原判決添付の別表未払賃金欄記載の各賃金及びこれらに対する昭和四九年五月一一日以降完済まで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める本訴請求はいずれも理由があり、これと同旨の原判決は相当であるから、本件控訴は理由がなく棄却すべきである。ただし一審原告aは昭和五二年四月二日死亡し、その妻被控訴人bが三分の一、その子である被控訴人c、同d、同eが各九分の二の相続分に応じて、右aの権利義務一切を相続承継したことは、当事者間に争いがない。そうすると、控訴人は被控訴人bに対して金五五一三円の三分の一である金一八三八円(円以下四捨五入)、被控訴人c、同d、同eに対して、それぞれ金五五一三円の九分の二である一二二五円(円以下四捨五入)宛並びにこれらに対する昭和四九年五月一一日から完済まで年五分の割合による各金員を支払う義務がある。そこでこの点を明らかにするため、原判決中右aに関する部分を以上のように訂正することとする。 よつて民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官 による各金員を支払う義務がある。そこでこの点を明らかにするため、原判決中右aに関する部分を以上のように訂正することとする。 よつて民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官大内恒夫新田圭一奈良次郎)
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