【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人矢野範二、同倉地康孝、同高橋茂の上告理由第一、三、四点について。
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人矢野範二、同倉地康孝、同高橋茂の上告理由第一、三、四点について。 論旨は、要するに、上告会社が被上告人らに対してした本件懲戒解雇の効力を否 定した原審の判断は、上告会社の就業規則二〇九条、民法一条三項の解釈・適用を 誤つたもので、ひいて憲法二八条、二九条に違反する、と主張する。 しかし、原判決を通読すれば、原審は、その認定にかかる上告会社主張の解雇理 由(2)(無許可集会)および同(4)(その他の秩序紊乱、業務妨害)の行為は、前 記就業規則所定の懲戒事由に該当せず、また、同(1)(ビラ等の掲示)および(3) (労働歌等の合唱)の行為は、右の懲戒事由に該当するが、いまだ解雇に値するも のとはいえないから、本件懲戒解雇は就業規則二〇九条に違反して無効である、と したものと解される。 そして、原審拳示の証拠によれば、原審の認定は肯認しえないものではなく、右 判断は相当として是認しうる。 したがつて、法令違背の論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する事実の認定、 証拠の取捨判断を非難するか、または原判決理由の傍論を攻撃するにすぎないもの というべく、違憲の論旨も、その実質において、本件懲戒解雇の効力を否定した原 審の判断の法令違背を主張するにすぎず、すべて採用できない。 同第二点について。 論旨は、支部長または副支部長の地位にある被上告人らが平和義務違反の争議行 為に参加したことが懲戒解雇事由に該当しないとした原審の判断に、法令違背の違 法があるという。 - 1 - しかし、懲戒解雇は、普通解雇と異なり、譴責、減給、降職、出勤停止等ととも に、企業秩序の違反に対し、使用者によつて課せられる一種の制裁罰であると解す べきこと、当裁判所の判例と という。 - 1 - しかし、懲戒解雇は、普通解雇と異なり、譴責、減給、降職、出勤停止等ととも に、企業秩序の違反に対し、使用者によつて課せられる一種の制裁罰であると解す べきこと、当裁判所の判例とするところである(昭和三六年(オ)第一二二六号同 三八年六月二一日第二小法廷判決、民集一七巻五号七五四頁参照)。そして、平和 義務に違反する争議行為は、その平和義務が労働協約に内在するいわゆる相対的平 和義務である場合においても、また、いわゆる絶対的平和義務条項に基づく平和義 務である場合においても(ちなみに、上告会社主張の争議妥結協定および細目協定 は、紛争解決に関する当事者のたんなる心構えの相互確認の域を出るものではなく、 いわゆる絶対的平和義務条項ではありえない。)、これに違反する争議行為は、た んなる契約上の債務の不履行であつて、これをもつて、前記判例にいう企業秩序の 侵犯にあたるとすることはできず、また、個々の組合員がかかる争議行為に参加す ることも、労働契約上の債務不履行にすぎないものと解するのが相当である。 したがつて、使用者は、労働者が平和義務に違反する争議行為をし、またはこれ に参加したことのみを理由として、当該労働者を懲戒処分に付しえないものといわ なければならず、原審の判断は、右とその理由を異にするところがあるが、けつき よく、正当であつて、論旨は採用できない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の とおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 横 田 正 俊 裁判官 田 中 二 郎 裁判官 下 村 三 郎 裁判官 松 本 正 雄 裁判官 田 中 二 郎 裁判官 下 村 三 郎 裁判官 松 本 正 雄 裁判官 飯 村 義 美 - 2 -
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