口頭弁論終結日平成13年8月30日 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,3333万8922円及びこれに対する平成12年2月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,パーティー開催を目的として被告の管理運営する施設の利用予約をしていた原告が,パーティー開催予定日の6日前に被告から一方的に施設利用承認の取消しを通知され,パーティーの開催中止を余儀なくされたと主張して,被告に対し,施設利用契約の債務不履行を理由に,料理のキャンセル料等の損害の賠償を請求している事案である。 1 争いのない事実等(証拠により認定した事実については,各項の末尾に当該証拠を摘示した。)(1) 当事者ア原告は,政治資金規正法6条1項の規定により自治大臣に政治団体の届出をした政治団体である。(甲1ないし8)イ被告は,東京都における国際展示場の管理運営等の事業を行う社団法人で,被告住所地所在の国際展示場,通称「東京ビッグサイト」(以下「東京ビッグサイト」という。)を管理運営している。(争いがない)(2) 原告は,平成11年5月24日に原告設立30周年記念パーティー(以下「本件パーティー」という。)を開催することを計画し,このパーティー会場として使用することを目的として,同年3月18日,被告に対し,東京ビッグサイトの会議施設の利用仮予約申込みをした上で,翌19日,1階会議室2室,レセプションホール2室,特別応接室2室,特別応接控え室3室(以下「本件施設」という。)の使用について正式な会議施設利用申込みをした。(「原告は,・・計画し」について,甲12,13の1・2,その余の事実については,争 2室,特別応接室2室,特別応接控え室3室(以下「本件施設」という。)の使用について正式な会議施設利用申込みをした。(「原告は,・・計画し」について,甲12,13の1・2,その余の事実については,争いがない。)(3) 被告は,(2)の会議施設利用申込みを受け,原告に対し,同日付けの会議施設利用確認書を交付した。(乙4,弁論の全趣旨)(4) 被告は,原告に対し,同年5月18日,本件施設利用承認の取消しの申入れをした。 原告は,被告の上記申入れを受け,被告に対し,翌19日被告事務所にて,本件パーティーを開催させて欲しい旨申し入れたが,被告は,翌20日付けの書面で本件施設利用承認の取消しを通知したため,原告は,同月24日に予定していた本件パーティーを中止した。(争いがない) 2 争点及び争点に関する当事者の主張(1) 本件施設利用承認取消の正当性(被告の主張)ア本件施設利用については,本件施設に関する申込手続並びに利用規則を定めた「東京ビッグサイト会議施設ご利用案内」第3項において,被告に施設利用制限権,予約取消権が留保されていたものであるところ,原告について,同項に定められた施設利用制限事由あるいは予約取消事由である「公の秩序または善良な風俗をみだすおそれがあると認められるとき」,「管理運営上,支障があると認められるとき」,「当協会会長が使用を不適と認めるとき」,「お申込時の利用目的と利用時の内容が著しく異なるとき」,「管理の都合上やむをえない理由が発生したとき」に該当する事実があったことから,被告は,本件施設利用の予約において被告が留保していた施設利用制限権あるいは予約取消権を行使したものである。したがって,本件施設利用承認取消は,正当な理由に基づくものとして被告に違法な ったことから,被告は,本件施設利用の予約において被告が留保していた施設利用制限権あるいは予約取消権を行使したものである。したがって,本件施設利用承認取消は,正当な理由に基づくものとして被告に違法な点は存在せず,原告に対する損害賠償義務は発生しない。 イ正当な理由を基礎付ける具体的事実(ア) 警視庁及び東京都からの中止要請被告は,平成11年5月18日,警視庁暴力団対策課及び東京都労働経済局から,原告はその幹部が暴力団住吉会の幹部でもあり,そのような団体に対して本件施設の利用を許諾することを中止するよう要請を受けた。 これは,原告が指定暴力団住吉会住吉一家小林会と同等ないしは暴力団と極めて関係の深い反社会的集団であり,このような集団に対して本件施設すなわち東京ビッグサイトという東京都の施設としては最も規模が大きく国際的にも知名度が高い施設を利用させることは,暴力団等の反社会的な集団の活動を助長させることになり,また,公的機関が反社会的な集団の活動を支援したり援助したりしているとも受け止められかねないこと,また,暴力団同士の抗争は頻繁に生じており,当日不特定多数の来場者が予測される公共施設において万一抗争が現実化すれば,一般市民に甚大な損害を与えることは明らかであり,責任を持って警備を担当することが困難であること等が理由であった。 (イ) 原告の団体としての反社会性原告は,指定暴力団住吉会住吉一家小林会とほぼ同一体ないしは極めて親密な団体であり,その幹部には住吉会の主たるメンバーが名を連ね,構成員には暴力団関係者がいること,いわゆる右翼団体としての原告及び原告の幹部や構成員等の関係者には,数々の犯罪行為を犯した犯罪歴があること,さ であり,その幹部には住吉会の主たるメンバーが名を連ね,構成員には暴力団関係者がいること,いわゆる右翼団体としての原告及び原告の幹部や構成員等の関係者には,数々の犯罪行為を犯した犯罪歴があること,さらに,原告は,本件の5年前の原告設立25周年記念パーティーを東京都港区所在の全日空ホテルで開催したが,当該パーティーの出席者の多数が付近路上に違法駐車をするなどし,付近住民や宿泊客らからホテルに苦情が寄せられたため,今回のパーティーにつき全日空ホテルから施設の利用を拒絶されていたことなど,原告が団体として反社会性を帯びた集団であることが本件施設利用予約後判明した。 (ウ) 利用人数の虚偽申告本件施設の利用人数は,被告が本件施設を管理するに当たり重大な事項であるところ,原告は,本件パーティーの出席者が約2000名程度になることを予約当初から充分知悉していたにもかかわらず,被告に対しあえて600名程度という虚偽の報告を行い,その後平成11年5月17日に至って初めて,被告からの問い合わせに対し,出席予定者が2000名程度である旨を報告した。 (エ) 被告は,東京都所有の公的施設である本件施設を管理運営する公益社団法人であって,反社会的集団である暴力団関係者の利用を排除する高度の必要性があり,平穏且つ安全な利用環境を確保するという責務を担っており,その目的を達成するためにいささかでも暴力団と関係が疑われる者の利用につながる施設利用の申込みを否定することには当然に正当な理由がある。 そして,被告としては,被告の事業全般についての指導監督をし,本件施設の所有者兼管理運営の委託者としても被告の指導監督をしている東京都の強い要請を拒絶することは困難であり,また, そして,被告としては,被告の事業全般についての指導監督をし,本件施設の所有者兼管理運営の委託者としても被告の指導監督をしている東京都の強い要請を拒絶することは困難であり,また,大規模な公的施設の管理者として,警視庁の強い要請に反して今後施設を管理していくことは極めて困難であることから,本件施設利用承認を取り消さざるを得ないとの判断に至ったものである。 (原告の主張)ア被告の本件施設利用承認取消には正当な理由がなく,被告に債務不履行に基づく損害賠償義務が存する。 イ正当な理由を基礎付ける具体的事実についての被告の主張に対する反論(ア) 警視庁及び東京都からの中止要請の主張につき被告が警視庁及び東京都からの中止要請を受けたことについては不知。被告が上記中止要請を受け,本件施設利用予約を取り消さざるを得なかったということについては争う。 警視庁は,原告の団体の構成員に住吉会系の組員がいるというだけで原告に暴力団と同種の団体であるとの誤ったレッテルを貼り,憲法で保障された原告の集会,結社の自由を不当に侵害しようとして,被告に強く利用拒絶を要請したのであり,警視庁やその意を受けた東京都の中止要請自体が憲法に違反する違法なものである。そして,被告は,本件施設の管理運営を業として行っている以上,上記のような中止要請があったとしても独自に判断すべき立場にあることは明らかであり,憲法違反の違法な中止要請に従った被告に責任があることは明白である。 (イ) 原告の団体としての反社会性の主張につき原告の幹部に住吉会の幹部がおり,構成員には暴力団関係者がいることは認めるが,原告が住吉会と極めて密接な関連性を (イ) 原告の団体としての反社会性の主張につき原告の幹部に住吉会の幹部がおり,構成員には暴力団関係者がいることは認めるが,原告が住吉会と極めて密接な関連性を有し且つ反社会的集団であるとの点は否認する。原告の構成員等に犯罪歴があることは認めるが,構成員の中の一部の者が犯罪行為を犯したからといってその団体自体が反社会的集団とみなすことはできない。さらに,原告設立25周年記念パーティーを全日空ホテルで開催した際,出席者多数が付近道路に路上駐車をしたこと,今回のパーティーにつき全日空ホテルから施設の利用を拒絶されていたことは認めるが,全日空ホテルが今回のパーティーの申込みを拒絶したのは,不当にも警視庁が同ホテルに対し,事前に原告からのパーティー申込みを拒絶するように指導していたからである。 原告は,日本でも屈指の規模を誇る民族派の政治団体であり,設立以来地道に政治運動を展開してきた団体であるから,暴力団との関わりが極めて深い反社会的集団だとの被告の主張は認められない。 そして,被告は,原告から本件施設の利用申込みを受けた段階で,原告の構成員の一部に住吉会系暴力団幹部がいることなど原告の素性につき知っていたはずであり,その後に原告と住吉会との関係を理由に本件施設の利用を拒絶するのは不当である。 (ウ) 利用人数の虚偽申告の主張につき原告が被告に対し,本件パーティーの出席者を600名程度として本件施設の利用を申し込んだこと,平成11年5月17日に被告からの問い合わせに対し,出席予定者が2000名程度である旨を報告したことは認めるが,2000名というのは,招待状を発送する招待客の概算の数であり,そのうち確実に出席することが本 年5月17日に被告からの問い合わせに対し,出席予定者が2000名程度である旨を報告したことは認めるが,2000名というのは,招待状を発送する招待客の概算の数であり,そのうち確実に出席することが本件施設利用申込時に判明していた人数は600名であり,原告が被告にことさら虚偽の報告をしていた訳ではない。また,本件のようなパーティーでは,招待状を受け取った者が全員出席することは考えられず,また,途中で帰る者や途中から出席する者などがおり,2000名が一度に会場に集まるということは考えられないものであり,これがあり得るとの前提での被告の主張は首肯し得ない。 (2) 損害賠償請求権放棄の有無(被告の主張)原告は,被告からの本件施設利用承認取消の申入れを受け,平成11年5月22日,本件パーティーの開催中止を決定する旨の意思を表示し,被告との間に本件施設利用予約取消の合意が成立した。さらに,翌23日,被告に対し,「ここまで来たらお互い協力して問題なく終わらせたい」などと発言し,本件施設の利用承認取消に伴い発生するであろう損害の賠償請求権を放棄した。 (原告の主張)原告と被告との間に本件施設利用承認取消の合意が成立したという事実及び原告が被告に対し損害賠償請求権を放棄したという事実はいずれも否認する。 (3) 原告の損害賠償請求が権利濫用に該当するか。 (被告の主張)原告は,被告が原告の団体としての属性,行動形態さらに出席人員の規模等の実態を知っていれば,原告の本件施設利用申込みを当然拒絶するであろうことを充分に予想しつつ,申込主体の属性のカムフラージュ,申込金の即座支払,参加人数の虚偽報告などの手段により被告に本件施設利用を承認させ,原告の実態を知った 件施設利用申込みを当然拒絶するであろうことを充分に予想しつつ,申込主体の属性のカムフラージュ,申込金の即座支払,参加人数の虚偽報告などの手段により被告に本件施設利用を承認させ,原告の実態を知った被告から本件施設利用承認取消の意思表示を受けた後も損害の拡大を防ぐどころか徒に損害を拡大させる行為に出たものであり,このような原告の行為は,原告自らが自らの責任においてなしたものに他ならず,その責めを被告に負わせようとすること自体が,正義に悖り信義に反するものであるから,原告の損害賠償請求は権利濫用であり,到底認められない。 (原告の主張)被告は,一旦本件施設の利用を承認しておきながら,本件パーティー開催予定日の直前に原告に対し中止の要請をしたのであり,原告が損害賠償請求をするのは当然であり,何ら権利の濫用には当たらない。 (4) 損害(原告の主張)原告は,被告の債務不履行により下記のとおり,合計3333万8922円の損害を被った。 ① 会議施設使用料 94万2900円② 料理キャンセル料(支払先株式会社ニュー・トーキョー)307万0079円③ 記念品代(支払先廣済堂商事) 472万5000円④ 記念品代(菓子)(支払先たちばな商店) 144万円⑤ 祝章,看板等代(支払先永桶祭典株式会社) 65万5900円⑥ 音楽バンドキャンセル代(支払先ヒロ松井&スターライトオーケストラ) 15万円⑦ スタンド花代(支払先株式会 900円⑥ 音楽バンドキャンセル代(支払先ヒロ松井&スターライトオーケストラ) 15万円⑦ スタンド花代(支払先株式会社アーティーズ) 614万5000円⑧ 案内地図印刷代(支払先スガワラ印刷) 8万8200円⑨ 印刷代(支払先有限会社栄光印刷所) 197万3900円⑩ 封筒筆耕代(支払先彩光印刷株式会社) 12万2220円⑪ ネームプレート等備品代金(支払先有限会社オーエスライン)22万8480円⑫ 木綿日の丸代(支払先株式会社平野商店) 2万1630円⑬ 酒樽等代金(支払先株式会社イベントサービス飛鳥)42万2625円⑭ アクリル名刺入代金(支払先豊産業株式会社) 10万8150円⑮ 旗代金(支払先株式会社アキバ徽章販売) 11万7758円⑯ 祝賀案内郵送代 12万2980円⑰ 記念品宅配料金 4100円⑱ 案内状配布交通費等 300万円⑲ 名誉・信用を害したことに対する慰謝料 1000万円(被告の主張)すべて否認する。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件施設利用承認取消の正当性)について(1) 乙第1号証によれば,「東京ビッグサイト会議施設ご利用案内」には東京ビッグサイトの会議施設の利用細則が定められていることが認められ,甲第13 )(本件施設利用承認取消の正当性)について(1) 乙第1号証によれば,「東京ビッグサイト会議施設ご利用案内」には東京ビッグサイトの会議施設の利用細則が定められていることが認められ,甲第13号証の1及び2によれば,原告は上記案内に定められた利用細則を遵守することを承諾した上で本件施設利用の申込みを行っていることが認められるから,原告の施設利用申込みとそれに対する被告の承認によって成立した本件施設利用の合意により,原告と被告は,上記案内の利用細則に定められた権利義務を負うこととなる。 そして,上記案内の3の(2)には,「お申込時の利用目的と利用時の内容が著しく異なるとき」,「管理の都合上やむをえない理由が発生したとき」等の事由が存在する場合,被告に施設利用承認の取消権が留保されている旨定められている。 したがって,本件においても上記の事由に該当する事実が存在する場合には,被告は本件施設利用承認の取消権を有し,被告のなした承認取消は何ら債務不履行を構成しないこととなる。 以下,上記事由に該当する事実が存在するか否か検討する。 (2) 証拠(甲1,3,9,10,11,56ないし61,63ないし65,乙6ないし11,12の1ないし4,13ないし26,30,31,34,36,37,証人A,原告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(争いのない事実も含む。)。 ア被告の団体としての性質被告は,当初通商産業大臣認可の公益社団法人として昭和31年に設立された団体で,東京国際見本市などの見本市開催等を事業としていたが,東京都が東京ビッグサイトを被告住所地に竣工すると,東京都の委託を受け東京ビッグサイトの管理運営にも当たることとなった。被告の認可主体は,平成12年 京国際見本市などの見本市開催等を事業としていたが,東京都が東京ビッグサイトを被告住所地に竣工すると,東京都の委託を受け東京ビッグサイトの管理運営にも当たることとなった。被告の認可主体は,平成12年10月から東京都知事に移管している。 東京ビッグサイトは,年間800万人程度の人が来集する規模を有する施設である。 イ警視庁等からの中止要請被告は,平成11年5月18日,警視庁暴力団対策課から,原告の幹部には暴力団関係者がいるのでそのような団体に本件施設を貸すことを中止するよう強く要請を受けた。また,同日,被告は,本件施設の所有者であり被告に本件施設の管理を委託している東京都からも上記同様の要請を受けた。なお,被告は,上記中止要請を受ける数日前にマスコミや警視庁深川警察署から原告に対する本件施設利用承認に関する問い合わせを受け,懸念をしていたところであった。 ウ原告の素性(ア) 原告の前身である右翼団体楠皇道隊は,昭和36年にBとCが設立した団体である。初代会長はBであり,同人は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第3条により指定された指定暴力団である住吉会の住吉一家小林会会長であり住吉会の幹部であった。上記楠皇道隊は昭和44年ころに発展的に解消され,原告が発足した。原告の初代会長も上記Bであった。 原告の現代表者であるDは,昭和47年頃から原告に所属していたが,同時に住吉会住吉一家小林会に所属しており,その組織委員長を務めていた者であるが,平成11年頃小林会を辞め,原告の代表者に就任した。 原告は,「日本の国体と歴史に基づき政治と文教を粛正し国権と領土を回復」すること等,いわゆる右翼運動を行うことを綱領として掲げ,例 1年頃小林会を辞め,原告の代表者に就任した。 原告は,「日本の国体と歴史に基づき政治と文教を粛正し国権と領土を回復」すること等,いわゆる右翼運動を行うことを綱領として掲げ,例えば,中華人民共和国との間の尖閣諸島領有権帰属問題に関し,尖閣諸島の魚釣島に灯台を設置し保守点検を行うなどの活動を行ってきた団体である。 (イ) 原告発行の機関誌「青年戦士」平成10年1月1日号に記載された原告の幹部のうち8名の者は,住吉会の上級幹部(住吉会住吉一家総長1名,住吉会会長1名,住吉会住吉一家小林会4名,住吉会住吉一家中里5代目増田会2名)であった。すなわち,当時原告の最高顧問であったEは,住吉会住吉一家6代目総長であり,原告の顧問であったFは,住吉会会長であった。 また,原告が開催を予定していた本件パーティーの式次第に挨拶等をする者として記載された10名のうち4名が住吉会系の暴力団構成員であり(住吉会住吉一家日野6代目1名,住吉会住吉一家馬橋6代目1名,住吉会住吉一家中里5代目増田会1名,住吉会住吉一家小林会1名),本件に関して被告と交渉した原告側担当者4名のうち3名は,住吉会住吉一家の者であり,特に,原告の事務局長として前面にたって被告と交渉したG事務局長は,原告に所属する者ではなく,住吉会住吉一家小林会の構成員であり,事務局長であった。 (ウ) 原告が平成元年ころ自治大臣等に届け出た原告事務所所在地は,住吉会小林会の本部と同室であり,平成10年ころからの原告事務所所在地は,同小林会六本木本部と同じ建物内の隣室同士であった。 (エ) 原告は,住吉会系の組織に慶弔として香料を支払っている。 (オ) 原告の構成員や関係者の一部は,原告の右翼団体としての威力を 本部と同じ建物内の隣室同士であった。 (エ) 原告は,住吉会系の組織に慶弔として香料を支払っている。 (オ) 原告の構成員や関係者の一部は,原告の右翼団体としての威力を背景にして街宣車で業務を妨害するなどと脅迫しての恐喝や恐喝未遂,傷害,暴行,弁護士法違反,建造物損壊などといった犯罪行為を犯している。このような事件は,新聞に掲載されただけで,この10年程度の間に少なくとも15件に上っている。 また,平成12年8月8日白昼,本件パーテイーの式次第において「中締め」を行う者として記載のあった訴外Hが会長をしている右翼団体蒼風社の関係者と住吉会系暴力団の組員とが,千代田区麹町のビルにおいて短銃を撃ち合い2人が死亡し,オフィス街が騒然とする事件が発生した。当時,付近の会社員,住民等が「まきぞえをくわなくて良かった」,「客に流れ弾が当たったらと思うと恐ろしい」等と述べた新聞記事が掲載された。 エ全日空ホテルの開催拒否原告は,原告設立25周年記念を全日空ホテルで開催したが,今回の30周年記念パーティーについては,被告に対して施設利用の申込みをする前,全日空ホテルから施設の利用を拒絶されていた。 オ参加人数の申告(ア) 原告は,被告に対し,平成11年3月19日の本件施設利用申込みに際し,参加者を600名と申告した。 (イ) 原告は,当初から2000人程度の参加を予定していたが,同年5月17日に至って初めて,被告からの問い合わせに対して,本件パーティーに約2000名が出席することを報告した。 (ウ) 本件施設のうち,レセプションホールの最大収容人数は約1300名程度である。 (3) 以上の認定事実 に対して,本件パーティーに約2000名が出席することを報告した。 (ウ) 本件施設のうち,レセプションホールの最大収容人数は約1300名程度である。 (3) 以上の認定事実を前提とすると,原告と暴力団住吉会との人的結びつき,特に幹部級の結びつきは強く,また,本件パーティーにおいて挨拶等を行うことが予定されていた参加者の中にも,暴力団の幹部級の者がいるのであるから,原告と暴力団の関係は極めて密接なものといわざるを得ない。そして,本件パーティーにも相当数の暴力団関係者が主催者側及び参加者側として出席することが容易に予想できた。 このような状況の下で,東京ビッグサイトという東京都の施設としては最も規模が大きく,国際的にも知名度の高い施設を原告に使用させることは,暴力団という反社会的な集団の活動を助長させることにつながり,あたかも,公的機関が暴力団の活動を支援しているとも受け止められかねず,厳しい社会的非難を受けることが当然に予想されたというべきである。また,施設外での交通の混乱や施設内外における不測の事態の起こる危険性もあったといわざるを得ない。 そして,このような事情を考慮すると,大規模且つ公的施設である東京ビッグサイトの適正な利用を図り,それを利用する他の顧客,周辺住民,被告職員等の安全を確保すべき義務を強く負っている被告が,被告の事業の監督指導者且つ本件施設の所有者兼管理委託者である東京都及び警視庁から,中止要請,情報提供及び施設利用の問題点に関する指摘を受け,マスコミの動向や本件パーティー参加者の予想人員の変更と施設の収容能力等を勘案の上,原告に対する本件施設の利用承認を取り消した措置は,事後的にみると「東京ビッグサイト会議施設ご利用案内」3の(2)の「管理の都合上やむをえない理 参加者の予想人員の変更と施設の収容能力等を勘案の上,原告に対する本件施設の利用承認を取り消した措置は,事後的にみると「東京ビッグサイト会議施設ご利用案内」3の(2)の「管理の都合上やむをえない理由が発生したとき」という利用承認取消事由に該当する正当なものであったといわざるを得ないばかりか,取消当時の状況の下での判断としても同様に正当であったというべきである。 なお,原告は,被告は当初から原告の素性を知っていた旨主張するが,本件全証拠によるも被告が早い段階からその詳細を知っていたと認めることはできない。また,原告は,警視庁やその意を受けた東京都の上記中止要請は,憲法上の集会,結社の自由を不当に侵害するものであり,それに従った被告には責任がある旨,あるいは,招待状を発送する招待客である2000名が一度に会場に集まることは考えられない旨主張する。しかし,上記事情の下で被告のとった行為に憲法上の問題があるとは考えられない上,本件パーティーに参加する人数がレセプションホールの最大収容人数である1300人を超える可能性も否定できない状況だったというべきであるから,上記判断に影響を及ぼすものではない。 2 結論以上のとおりであるから,その余の争点を判断するまでもなく,原告の請求は理由がないから棄却する。 東京地方裁判所民事第14部裁判長裁判官山名学裁判官中村さとみ裁判官宮崎拓也
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