令和6年6月18日判決言渡令和5年(ネ)第10101号特許権侵害差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和4年(ワ)第24476号)口頭弁論終結日令和6年4月23日判決 控訴人 X 被控訴人パナソニック株式会社 同訴訟代理人弁護士速見禎祥同溝 内 伸治郎 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、10万円及びこれに対する令和4年11月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要(略称等は、特に断らない限り、原判決の表記による。) 1 本件は、発明の名称を「照明装置」とする特許(特許第6813851号。 本件特許)に係る特許権(本件特許権)を有する控訴人が、原判決別紙商品目録記載の商品は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(本件発明)の技術的範囲に属しており、被控訴人がこれらの商品を製造、販売等する行為 によって本件特許権が侵害されたと主張し、被控訴人に対し、不法行為に基づ く損害賠償請求(一部請求)として、損害金10万円及びこれに対する不法行為の後の日(訴状送達日の翌日)である令和4年11月29日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原判決は控訴人の請求を棄却したので、控訴人が原判決を不服として控訴し た。 2 前提事実、争点及び 第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原判決は控訴人の請求を棄却したので、控訴人が原判決を不服として控訴し た。 2 前提事実、争点及び争点に対する当事者の主張は、後記3のとおり原判決を補正し、後記4のとおり控訴人の当審における補充主張を、後記5のとおり控訴人の当審における追加主張を、後記6のとおり控訴人の追加主張に対する被控訴人の反論を、それぞれ付加するほか、原判決「事実及び理由」第2の2な いし4(2頁5行目から21頁13行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。 3 原判決の補正原判決5頁1行目の後に改行して次のとおり加える。 「⑻ 本件特許に係る無効審判(乙15、弁論の全趣旨) ア被控訴人は、令和4年7月27日、本件特許について無効審判の請求をした(無効2022-800069号)。 イ控訴人は、上記審判手続において、令和5年5月29日、訂正請求書を提出した(以下「本件訂正」という。)。本件訂正は、本件発明(請求項1)については、構成要件C/Dに「覚醒度合生体情報取得部で取得 した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定としたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させる」と記載されているのを、「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定としたまま青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量 比を増加させる」に訂正するとの内容であった。 ウ特許庁は、令和6年2月5日、本件訂正を認めた上で、「特許第6813851号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。 特許第6813851号の請求項2に記載された発明について ウ特許庁は、令和6年2月5日、本件訂正を認めた上で、「特許第6813851号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。 特許第6813851号の請求項2に記載された発明についての審判請求は、成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をした。 エ控訴人は、本件審決の取消しを求める訴えを知的財産高等裁判所に提 起しており、この訴えに係る訴訟は現在も同裁判所に係属している。」 4 当審における控訴人の補充主張(本件各照明装置が構成要件Aを充足することについて)⑴ 以下のとおり、本件各照明装置の「電球色のLED」は本件発明の「赤色発光手段」に該当し、「昼光色のLED」は本件発明の「緑色発光手段」及び「青色 発光手段」に該当するから、本件各照明装置は構成要件Aを充足する。 日本の色の有資格者であるカラーコーディネーターが認める日本の伝統色によれば、日本には伝統的に99色の赤色が存在し(甲24)、本件各照明装置の「電球色のLED」(乙2写真4、5)は、少なくとも日本において伝統的に赤と認識されるものである。 同様に、日本には伝統的に66色の青色が存在する(甲25)。本件各照明装置の「昼光色のLED」(乙2写真4、5)は、少なくとも日本において伝統的に青と認識されるものである。また、同様に、日本には伝統的に82色の緑色が存在する(甲26)。本件各照明装置の「昼光色のLED」(乙2写真4、5)は、少なくとも日本において伝統的に緑と認識されるものである。 被控訴人も、そのホームページにおいて、「電球色」を「オレンジ」と、「昼光色」を青と、それぞれ紹介している(甲27)。また、グーグルの検索結果によれば、「昼光色」には光の三原色の「緑(G)」が含まれていると表示される(甲28)。 ⑵ 原 球色」を「オレンジ」と、「昼光色」を青と、それぞれ紹介している(甲27)。また、グーグルの検索結果によれば、「昼光色」には光の三原色の「緑(G)」が含まれていると表示される(甲28)。 ⑵ 原判決は、「赤色発光手段」については、「赤色に見える必要がある」と解釈し ているようである。 しかし、特許庁の審査基準に則り、本件明細書の記載(段落【0025】)などを考慮すれば、本件発明は、「赤色発光手段は、概ね610~670nmの波長の光を発するもの」と明確に定義されており、その実施例として①「LED」、②「有機EL」、③「それ以外の発光素子で赤色光を発し得るもの」について並列的に下位概念を例示して紹介したに過ぎないから、「概ね610~670n mの波長を発するもの」であれば「赤色発光手段」を充足する。そして、本件各照明装置は「概ね610~670nmの波長の光を発するもの」である。「青色発光手段」及び「緑色発光手段」についても同様である。 ⑶ また、審査基準に則り、本件明細書の記載などを考慮すれば、本件発明は、「赤色光を発光する赤色発光手段と、青色光を発光する青色発光手段と、緑色 光を発光する緑色発光手段と、を有する発光部」「発光部が有する発光手段の数は1または複数」と明確に定義されており、「赤色発光部と、青色発光部と、緑色発光部」の少なくとも三つのユニットを有していることまでを求めていないことは明らかである。本件各照明装置は、本件発明の「青色発光手段」と「緑色発光手段」を備える「昼光色のLED」及び本件発明の「赤色発光 手段」を備える「電球色のLED」を有しており、本件発明の構成要件Aを充足する。 5 当審における控訴人の追加主張⑴ 以下のとおり、構成要件C/Dの「調節部」を手動で調整する機能を備える構 手段」を備える「電球色のLED」を有しており、本件発明の構成要件Aを充足する。 5 当審における控訴人の追加主張⑴ 以下のとおり、構成要件C/Dの「調節部」を手動で調整する機能を備える構成に置き換えたとしても発明の効果に差はなく、均等侵害に該当する。 ア本件発明は、少なくとも、覚醒度合(生理)に応じて照度を略一定にしつつ色温度を変化させるという技術思想に発明性があり、構成要件C/Dの一部について手動か自動かは発明の根幹ではない。すなわち、本件発明は、従前の課題(本件明細書の段落【0006】)を解決するため、明るさ(照度)を維持しつつ照明の波長によってヒトの生理を変えることを実現する ものであるから、本件発明は、ヒトの覚醒度合(生理)に応じて照度を略一 定にしつつ色温度を変化させる点がその本質的部分である。したがって、本件各照明装置について、均等侵害の第1要件(非本質的部分性)を充足する。 被控訴人は、本件発明は、その出願時の従来技術である乙4(国際公開第2010/123031号)に照らし、従来技術に見られない特有の技術 的思想を構成する特徴的部分がなく、本件発明の本質的部分はその請求項のとおり狭く解釈すべきであると主張する。しかし、本件審決は、本件発明が乙4に対して新規性と進歩性があると判断しており、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成することを認めている。したがって、特許請求の範囲の記載の一部について、これを上位概念化したものとして認定さ れるべきものであり、構成要件C/Dは発明の本質的部分ではない。 イ均等侵害の第2要件(置換可能性)につき、構成要件C/Dが手動であるか自動であるかについては、置換をしてもヒトの覚醒度合(生理)に応じて照度を略一定にしつつ色温度を変化させるという効 はない。 イ均等侵害の第2要件(置換可能性)につき、構成要件C/Dが手動であるか自動であるかについては、置換をしてもヒトの覚醒度合(生理)に応じて照度を略一定にしつつ色温度を変化させるという効果を奏するのであるから、置換可能である。 ウ均等侵害の第3要件(置換容易性)につき、自動である構成を手動に置換することは容易である。 エ均等侵害の第4要件(公知技術との同一性又は容易推考性)につき、本件特許権が設定された時点で、「覚醒度合(生理)に応じて照度を略一定にしつつ色温度を変化させる」という構成は進歩性を有しており、容易推考 性は認められない。 オ均等侵害の第5要件(意識的除外等の特段の事情のないこと)につき、本件明細書の全体を確認しても、意識的除外等の特段の事情は存在しない。 ⑵ 構成要件Aについて、仮に本件各照明装置の発する光を「電球色」「昼光色」と捉えたとしても、発明の効果に差はなく、均等侵害に該当する。その理由 は、上記⑴の趣旨を援用する。 ⑶ 本件審決において、本件訂正が認容された。 本件訂正後の請求項1の構成要件C/Dは、「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま青色発光手段もしくは緑色発光手段の発光量比を増加させるための調節部と、」となる。 そして、本件各照明装置は、青色発光手段又は緑色発光手段の発光量比を増加させることができるので、上記構成要件を具備する。 6 当審における控訴人の追加主張に対する被控訴人の反論⑴ 控訴人の均等侵害の主張についてア控訴人の主張を前提とすると、構成要件C/D及び構成要件Aは本件発 明の非本質的部分ということになり、本件発明の本質的部分は「人の覚醒度合 人の反論⑴ 控訴人の均等侵害の主張についてア控訴人の主張を前提とすると、構成要件C/D及び構成要件Aは本件発 明の非本質的部分ということになり、本件発明の本質的部分は「人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部」(構成要件B)を有する「照明装置若しくはディスプレイ」(構成要件E)となる。しかし、このような構成のみでは本件発明の課題を解決することができないことは明らかであり、控訴人の均等侵害に関する主張は成り立たない。 イ均等侵害の第1要件について乙3(特開2009-266484号公報。別紙「乙3の記載」)及び乙4に示されているとおり、本件発明の課題は本件特許出願時においてすでに解決されている。したがって、本件明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載されているところが、出願時の従来技術に照らして客観 的に見て不十分であるから、本件発明の本質的部分を認定するためには、本件明細書の記載に加えて乙3及び4記載の従来技術も参酌して認定する必要がある。 そして、乙3及び4の記載を参酌すると、本件発明と同一又は近似した構成が従来技術として存在しており、本件発明は、乙3及び4の従来技術 と比較して特許発明の貢献の程度はごく小さいものと言わざるを得ない。 そうすると、本件発明の本質的部分については、特許請求の範囲の記載とほぼ同義のものとして認定される。 そして、本件発明は、その課題を解決するため、本件発明の構成にすることにより、「赤色、青色及び緑色の各発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま、青色光の発光を抑制するといった調節などを行うことのできる照 明装置を提供することができるとの効果を奏する」(本件明細書の段落【0009】、【0018】)とされており、上記調整を行うた たまま、青色光の発光を抑制するといった調節などを行うことのできる照 明装置を提供することができるとの効果を奏する」(本件明細書の段落【0009】、【0018】)とされており、上記調整を行うためには「赤色光を発光する赤色発光手段と、青色光を発光する青色発光手段と、緑色光を発光する緑色発光手段とを有する発光部」(構成要件A)及び「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つ の発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させるための調節部」(構成要件C/D)が不可欠であり、これらは本質的部分である。 本件各照明装置は、本件発明の構成要件A、C/Dをいずれも備えないから、本件発明の本質的部分を備えず、均等侵害の第1要件を充足しない。 ウ均等侵害の第2要件についてそもそも、控訴人が主張する方法で、本件各照明装置を「照度を略一定にしつつ色温度を変化させる」ことはできないから、これによる効果を奏することはできない。また、本件発明の効果は「赤色、青色及び緑色の各発光手段の発光量の総 和を略一定にしたまま、青色光の発光を抑制するといった調節などを行うことのできる照明装置を提供すること」であるが、本件各照明装置は赤色、青色及び緑色の各発光手段を備えないのであるから、これを調節することなどできず、本件発明の目的を達することも、同一の作用効果を奏することもできない。 加えて、覚醒度合が低下した本件発明の実施品の使用者(典型的には請 求項2に記載されているような運転中の居眠りをしている使用者)が、控訴人が主張するように、スマートフォンのアプリ中に表示された生体情報を見て、自分で判断して「三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発 るような運転中の居眠りをしている使用者)が、控訴人が主張するように、スマートフォンのアプリ中に表示された生体情報を見て、自分で判断して「三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させる」ようにリモコンのボタンを何回も押すことは想定しがたく、居眠りの防止を期待することはでき ないから、本件発明の目的や作用効果は、少なくとも、生体情報に応じて自動的に発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させることにあるのであり、控訴人が主張するように単に「ヒトの覚醒度合(生理)に応じて照度を略一定にしつつ色温度を変化させる」というものとは認められない。 そして、本件各照明装置は、生体情報に応じて自動的に発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させることはできないのであるから、均等侵害の第2要件を充足しない。 ⑵ 本件訂正に関する主張について本件審決はまだ確定しておらず、本件訂正に係る訂正請求も確定していな い。したがって、前記5⑶における本件訂正に関する主張を善解すれば、訂正の再抗弁を主張するものともみえる。 しかし、仮に、控訴人の主張が訂正の再抗弁を主張するものであれば、この主張は、控訴理由の提出期限後、第1回口頭弁論期日の2週間前に提出されたことになるが、かかる主張は時機に後れた攻撃防御方法として却下され るべきである。 なお、仮に、訂正の再抗弁が却下されないとしても、本件各照明装置は、本件発明の構成要件A及びC/Dを充足しないのであるから、本件訂正後の構成要件も同様に充足しない。 第3 当裁判所の判断 当裁判所も、控訴人の請求は理由がないから棄却すべきであると判断する。 その理由は、後記1のと 充足しないのであるから、本件訂正後の構成要件も同様に充足しない。 第3 当裁判所の判断 当裁判所も、控訴人の請求は理由がないから棄却すべきであると判断する。 その理由は、後記1のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を、後記2のとおり当審における控訴人の追加主張に対する判断を、それぞれ付加するほか、原判決「事実及び理由」第3(21頁15行目から33頁6行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 1 当審における控訴人の補充主張に対する判断 ⑴ 前記第2の4⑴の主張について控訴人は、本件各照明装置の「電球色のLED」は本件発明の「赤色発光手段」に該当し、「昼光色のLED」は本件発明の「緑色発光手段」及び「青色発光手段」に該当するから、本件各照明装置は構成要件Aを充足すると主張する。 しかし、甲24ないし26は、日本の伝統色の系統として、「赤系の色」、 「緑系の色」、「青系の色」などの系統があることを記載しているにすぎず、本件明細書において、本件発明の構成要件Aの「赤色光」が、甲24において「赤系の色」に分類された色のいずれかの色に該当する光であればよいと解することのできる根拠となる記載があるとは認められず、構成要件Aの「青色光」及び「緑色光」についても同様である。 被控訴人のホームページにおいて、「電球色」の光の色の特徴を「オレンジがかった温かい光色」と記載しているが(甲27)、本件各照明装置の電球色のLEDの光の色が「オレンジがかった温かい光色」といえるものであるとしても、そのことをもって、本件各照明装置の電球色のLEDが本件発明の「赤色光を発光する赤色発光手段」に該当すると認められることにはならな い。 また、甲28は、「昼光色」及び「緑」をキーワードとして、インタ もって、本件各照明装置の電球色のLEDが本件発明の「赤色光を発光する赤色発光手段」に該当すると認められることにはならな い。 また、甲28は、「昼光色」及び「緑」をキーワードとして、インターネット上の検索サイトで検索した結果として、「昼光色は、青みがかったさわやかな光色で、日中の自然光のような明るい印象の光色です。色温度は5700~7100K(JIS)で、光の三原色の『緑(G)』が含まれています。」 との文章が表示されたことを示すものであるが、その文章の出典は明らかで なく、その記載内容の根拠も示されていないものであって、上記文章に記載された内容どおりの事実を直ちに認めることはできない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑵ 前記第2の4⑵の主張について控訴人は、「概ね610~670nmの波長の光を発するもの」であれば構 成要件Aの「赤色発光手段」を充足し、「概ね435~490nmの波長の光を発するもの」であれば構成要件Aの「青色発光手段」を充足し、「概ね495~570nmの波長の光を発するもの」であれば構成要件Aの「緑色発光手段」を充足するから、本件各照明装置は構成要件Aを充足すると主張する。 しかし、本件明細書に「赤色発光手段は、概ね610~670nmの波長 の光を発するもの」との記載があること(段落【0025】)をもって、「概ね610~670nmの波長」を含む光を発する発光手段が全て構成要件Aの「赤色光を発光する赤色発光手段」に含まれると解することはできない。 この点は、「青色発光手段」及び「緑色発光手段」についても同様である。 そして、その他、本件発明の特許請求の範囲及び本件明細書において、発 する光に「概ね610~670nmの波長の光」を含む発光手段の全てが「赤 手段」及び「緑色発光手段」についても同様である。 そして、その他、本件発明の特許請求の範囲及び本件明細書において、発 する光に「概ね610~670nmの波長の光」を含む発光手段の全てが「赤色発光手段」に、「概ね435~490nmの波長の光」を含む発光手段の全てが「青色発光手段」に、「概ね495~570nmの波長の光」を含む発光手段の全てが「緑色発光手段」に、それぞれ該当すると解し得る記載がないことは、原判決第3の2⑴ウ(ア)(29頁20行目ないし25行目)に記載の とおりである。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑶ 前記第2の4⑶の主張について控訴人は、構成要件Aは「赤色発光部と、青色発光部と、緑色発光部」の三つのユニットを有していることまでを求めていないと主張する。 しかし、本件明細書の段落【0024】は、「発光部0101は、赤色光を 発光する赤色発光手段0104と、青色光を発光する青色発光手段0105と、緑色光を発光する緑色発光手段0106とを有する。発光部が有する各色の発光手段の数は一又は複数である。」と記載しており、この記載からすれば、構成要件Aの「発光部」は、赤色光を発光する発光手段、青色光を発光する青色発光手段及び緑色光を発光する緑色発光手段をそれぞれ一又は複数、 すなわち少なくとも一つ有しているものであると解することができ、また、構成要件C/Dにおいて、「前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させる」として、「三つの発光手段」及び「それぞれの発光手段」と記載されており、「三つ」の「それぞれの発光手段」を区別できることが前提とされていると解されることも、構成 要件Aの「発光部」が、赤色光を発光する赤色発光手段、 段」及び「それぞれの発光手段」と記載されており、「三つ」の「それぞれの発光手段」を区別できることが前提とされていると解されることも、構成 要件Aの「発光部」が、赤色光を発光する赤色発光手段、青色光を発光する青色発光手段及び緑色光を発光する緑色発光手段をそれぞれ少なくとも一つ有しているものであると解すべき根拠となるといえることは、原判決第3の2⑴ア(28頁6行目から16行目)に記載のとおりである。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 2 当審における控訴人の追加主張に対する判断⑴ 均等侵害の成否に関する主張についてア特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても、①同部分が特許発明の本質的部分ではなく、②同部分を対象製品等 におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、③上記のように置き換えることに、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、④対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又 は当業者がこれから同出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、⑤ 対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは、同対象製品等は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113 頁参照)。 イそして、上記アの①の要件( 、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113 頁参照)。 イそして、上記アの①の要件(以下「第1要件」という。)における特許発明における本質的部分とは、当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきであり、特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて、特許発明 の課題及び解決手段とその効果を把握した上で、特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである。 そして、従来技術と比較して特許発明の貢献の程度が大きいと評価される場合には、特許請求の範囲の記載の一部について、これを上位概念化し たものとして認定されるが、従来技術と比較して特許発明の貢献の程度がそれ程大きくないと評価される場合には、特許請求の範囲の記載とほぼ同義のものとして認定されると解される。 ただし、明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載されているところが、出願時の従来技術に照らして客観的に見て不十分な場合には、 明細書に記載されていない従来技術も参酌して、当該特許発明の従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が認定されるべきである。そのような場合には、特許発明の本質的部分は、特許請求の範囲及び明細書の記載のみから認定される場合に比べ、より特許請求の範囲の記載に近接したものとなり、均等が認められる範囲がより狭いものとなる と解される(最高裁平成28年(受)第1242号同29年3月24日第 二小法廷判決・民集71巻3号359頁参照)。 ウ本件明細 たものとなり、均等が認められる範囲がより狭いものとなる と解される(最高裁平成28年(受)第1242号同29年3月24日第 二小法廷判決・民集71巻3号359頁参照)。 ウ本件明細書の段落【0006】によれば、本件発明の解決しようとする課題は、従来技術(本件明細書において特許文献1とされている文献に開示されている技術)では、メラトニンの分泌を促すために青色発光体の発光強度を弱めつつ色温度を略一定にしようとする場合、明るさも低下する ことになるから、明るさを維持することが求められる照明装置に係る技術を適用することはできないというものである。 そして、段落【0009】によれば、本件発明は、上記課題を解決するため、「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれ ぞれの発光手段の発光量比を変化させるための調節部」との構成を有するものである。段落【0044】も、「本実施形態における調節部0203は、覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させる機能を果たす。」とされている。 エ他方、本件出願日以前の公開特許公報である乙3(特開2009-266484号公報)には、別紙「乙3の記載」のとおりの記載があり、これらの記載によれば、乙3には、①第1の波長域の分光成分を有する光を発する第1の光源11と、第1の波長域と異なる第2の波長域の分光成分を有する光を発する第2の光源12とを備えている光源部1、及び被照射者 の眼の開閉状態を検出する検出器6に接続された光源制御部3を有する照明装置10が開示され(段落【0044】、【00 光成分を有する光を発する第2の光源12とを備えている光源部1、及び被照射者 の眼の開閉状態を検出する検出器6に接続された光源制御部3を有する照明装置10が開示され(段落【0044】、【0059】、【0084】)、②第1の光源11に好適に用いることができる光源としてピーク波長が700nmの光を発するLEDが挙げられ(段落【0047】)、③第2の光源12として用いることのできる光源として580nm以下の波長域 の分光成分が多く含まれるLEDが挙げられ(段落【0055】)、④検出 器6は、被照射者を撮影する撮像部61と、該撮像部61を制御する撮像制御部62と、撮像部61により撮影された画像を解析する画像信号解析部63とを備えてなるものであり、光源制御部3は、画像信号解析部63により与えられるセンサ信号の少なくとも一つが閉眼状態を示す信号であるとき、第1の光源11及び第2の光源12の総光量を一定に保ちつつ、 第1の光源11の光量を増加させることが開示され(段落【0078】、【0080】、【0083】、【0109】、【0111】)、⑤検出器6は、睡眠及び/又は眠気判定を行うことが可能な検出器であればよく、脳波測定器、あるいは体圧、体温、心拍等の測定が可能な検出器でもよいことが開示されている(段落【0083】、【0084】)。 以上の記載によれば、乙3に開示されている検出器6は、被照射者の眼の開閉状態その他睡眠・眠気に関連する脳波等の生体情報を検出するものであり、光源制御部3は、検出器6に接続されており、検出器6が検出する上記生体情報に応じて、二つの光源の総光量を一定に保ちつつ、それぞれの発光手段の光量を増減させるものであって、乙3には「覚醒度合生体 情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応 する上記生体情報に応じて、二つの光源の総光量を一定に保ちつつ、それぞれの発光手段の光量を増減させるものであって、乙3には「覚醒度合生体 情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて複数(二つ)の発光手段の発光量の総和を一定としたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させるための調節部」が開示されているということができる。 オ上記ウ及びエによれば、本件明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載されている従来技術(特許文献1)は、出願時の従来技術に照 らして客観的に不十分であるから、乙3に記載されている技術的事項を参酌することが許されるというべきである。 そうすると、本件発明は、上記課題を解決するために「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて前記三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたままそれぞれの発光手段の発光 量比を変化させるための調節部」との構成を採用したものであるが、他方、 乙3には、上記エのとおり、「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて複数(二つ)の発光手段の発光量の総和を一定としたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させるための調節部」が開示されており、その相違は「三つの発光手段の発光量の総和」か「複数(二つ)の発光手段の発光量の総和」かの差でしかない。 したがって、従来技術と比較して特許発明の貢献の程度が大きいとはいえず、本件発明の本質的部分は、特許請求の範囲に近接したものとなるというべきであり、具体的には、本件特許の課題を解決するために採用された構成が構成要件C/Dであることから、「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて、赤色、青色及び緑色の三 つの発光手段の発光量 特許の課題を解決するために採用された構成が構成要件C/Dであることから、「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて、赤色、青色及び緑色の三 つの発光手段の発光量の総和を略一定としたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させるための調節部」を有していることが本件発明の本質的部分であると解するのが相当である。 これに対し、本件各照明装置は、「覚醒度合生体情報取得部で取得した人の覚醒度合に関する生体情報に応じて、赤色、青色及び緑色の三つの発光 手段の発光量の総和を略一定としたままそれぞれの発光手段の発光量比を変化させるための調節部」を有していないから、本件発明と本件各照明装置とは本質的な部分において異なっているというべきである。 カ上記アないしオによれば、本件各照明装置が本件発明の本質的部分を備えているとはいえず、均等の第1要件を満たさない。 キ控訴人は、前記第2の5⑴アのとおり、本件発明は、ヒト(人)の覚醒度合に応じて照度を略一定にしつつ色温度を変化させる点がその本質的部分であると主張する。 しかし、上記オに説示したとおり、特許発明の貢献の程度は従来技術と比較して大きいとはいえないから、控訴人が主張するようにこれを上位概 念化することはできないというべきであり、控訴人の上記主張を採用する ことはできない。 また、仮に、控訴人の主張するとおり、人の覚醒度合に応じて照度を略一定にしつつ色温度を変化させる点が本件発明の本質的部分であると解したとしても、本件各照明装置は、人の覚醒度合に応じて照度を略一定にしつつ色温度を変化させる構成を有していないから、均等の第1要件を満 たさないとの結論を左右しない。 すなわち、本件マットレス⑴は、当該マットレスを使用する人の睡眠の状 に応じて照度を略一定にしつつ色温度を変化させる構成を有していないから、均等の第1要件を満 たさないとの結論を左右しない。 すなわち、本件マットレス⑴は、当該マットレスを使用する人の睡眠の状態を計測する機能を備えており、本件発明の構成要件B(「人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部と、」)を充足するものであり、本件マットレス連携アプリは、本件マットレス⑴を使用した人 の睡眠深度、睡眠スコア、睡眠効率、寝つき時間、中途覚醒回数、目覚めの状態及び深い睡眠を表示する機能を備えているが(原判決第2の2⑹ア及びウ、同⑺)、本件各照明装置は、本件マットレス⑴等により取得された人の覚醒度合に関する生体情報に応じて照度を略一定にしつつ発光手段の発光量比又は色・温度を変化させる機能を有していない。 本件各照明装置の使用者が、任意に本件各照明装置の発光手段の色・温度を変化させる操作をすることが可能であるとしても、そのことをもって、本件各照明装置が人の覚醒度合に応じて照度を略一定にしつつ発光手段の発光量比又は色・温度を変化させる構成を有していることにはならない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ク以上によれば、本件各照明装置は、均等の第1要件を充足しないから、その余の要件について判断するまでもなく、本件発明と均等なものとして、その技術的範囲に属するということはできない。 ⑵ 本件訂正に関する主張について控訴人は、前記第2の5⑶のとおり、当審において、本件訂正に関連する 主張をする。 これに対し、被控訴人は、前記第2の6⑵のとおり、上記主張は時機に後れた攻撃防御方法として却下するよう申し立てている。 まず、控訴人の上記主張により訴訟の完結を遅延させることとなると る。 これに対し、被控訴人は、前記第2の6⑵のとおり、上記主張は時機に後れた攻撃防御方法として却下するよう申し立てている。 まず、控訴人の上記主張により訴訟の完結を遅延させることとなるとは認められないから、被控訴人の上記申立てを却下する。 その上で控訴人の主張について検討すると、本件訂正に関する控訴人の上 記主張は、本件特許が無効であるとの被控訴人の主張(抗弁)に対し、本件訂正により本件特許は無効とならないと主張するもの(いわゆる訂正の再抗弁)なのか、それとも、本件各照明装置は本件訂正後の本件発明の構成要件も充足すると主張するものなのか必ずしも明確ではない。しかし、そもそも控訴人は本件審決の取消しを求める訴えを提起しており、本件訂正を認めた 部分を含めて本件審決は確定しておらず、請求項1は本件訂正後のものに訂正されていないのであるから、被控訴人が控訴人の特許権を侵害したと主張して不法行為に基づく損害賠償請求をしている本件訴訟において、本件各照明装置が本件訂正後の構成要件を具備しているとの控訴人の主張は失当であって、判断の必要がない。 また、控訴人の上記主張が訂正の再抗弁の主張であると解しても、前記1及び2⑴のとおり、無効の抗弁の成否(争点2)について判断するまでもなく、本件各照明装置は本件発明の技術的範囲に属しないのであるから、訂正の再抗弁は何ら上記結論に影響を及ぼすものではない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 3 その他、控訴人が縷々主張する内容を検討しても、当審における上記認定判断(原判決引用部分を含む。)は左右されない。 4 結論以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、控訴人の請求は理由がないからこれを棄却すべきところ、これと同旨の原判決 認定判断(原判決引用部分を含む。)は左右されない。 4 結論以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、控訴人の請求は理由がないからこれを棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当であり、 本件控訴は理由がない。 よって、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官東海林保 裁判官今井弘晃 裁判官水野正則 別紙乙3の記載「【0002】人の代表的な生体リズムである睡眠と覚醒のリズムには、脳の松果体から分泌されるホルモンであるメラトニンの分泌が大きく寄与していることが知られている。 メラトニンは、一般に、夜間の就寝2時間位前から睡眠前半の時間帯に大量に分泌され、この分泌により体温の低下及び入眠が促されると考えられている。このメラトニンの分泌は光刺激が人の網膜上の光受容体に与えられることにより抑制されることが知られており、例えば、非特許文献1にて報告されている(図29参照)。図29は、夜間の受光によるメラトニンの分泌抑制の波長特性を示す図である。図2 9の横軸は波長(nm)を、縦軸はメラトニンの分泌抑制の相対感度を夫々示しており、図に示す如く、特に464nm近傍の波長域の光がメラトニンの分泌抑制に対して支配的であることがわかる。 【0003】近年、住宅、オフィス、病院等の室内の照明に用いられる照明装置として ており、図に示す如く、特に464nm近傍の波長域の光がメラトニンの分泌抑制に対して支配的であることがわかる。 【0003】近年、住宅、オフィス、病院等の室内の照明に用いられる照明装置として、明る く周囲を照らす視認性のみではなく、このような光が生体リズムに与える影響を考慮した生体リズム調整の機能を有することが望まれており、464nm近傍の波長域の光を発するように構成された照明装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。」「【0006】 特許文献1の照明装置のようにメラトニンの分泌抑制の効果が高い464nm近傍の波長域の光を用いても、被照射者が閉眼状態にある場合は、図30に示すように瞼の光透過率が低いため、瞼を透過する光量が少なく被照射者の網膜上の光受容体に光刺激を殆ど与えることができないから、メラトニンの分泌抑制の効果が十分得られないという問題があった。 【0007】 本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、被照射者の眼の開閉状態の如何に関わらず、被照射者に光刺激を付与して被照射者の覚醒を効果的に促すことができる照明装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】【0008】 本発明に係る照明装置は、複数の光源を備える照明装置において、前記複数の光源は、580nm以上の波長域である第1の波長域の分光成分を有する光を発する第1の光源と、580nm以下の波長域である第2の波長域の分光成分を有する光を発する第2の光源とを含むことを特徴とする。 【0009】 本発明にあっては、580nm以上の波長域である第1の波長域の分光成分を有する光を発する第1の光源と、580nm以下の波長域である第2の波長域の分光成分を有する光を発する第2の光源とを備 本発明にあっては、580nm以上の波長域である第1の波長域の分光成分を有する光を発する第1の光源と、580nm以下の波長域である第2の波長域の分光成分を有する光を発する第2の光源とを備えており、瞼の光透過率が580nm以下の波長域において低く、580nm以上の波長域において高くなるから、例えば、被照射者が閉眼状態にあるときに瞼の光透過率の高い波長域の光を発する第1の光 源を点灯させ、開眼状態にあるときにメラトニンの分泌抑制の効果の高い波長域の光を発する第2の光源を点灯させることにより、被照射者の眼の開閉状態の如何に関わらず、被照射者に光刺激を付与して被照射者の覚醒を効果的に促すことが可能となる。」「【発明を実施するための最良の形態】 【0043】以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。 (実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1に係る照明装置10の構成を示す模式図であり、図2は、本実施の形態に係る照明装置10の概略構成を示すブロック図である。 【0044】 図中1は、光源部であり、光源部1は、閉眼状態の被照射者に光刺激を与えるべく、第1の波長域の分光成分を有する光を発する第1の光源11と、開眼状態の被照射者に光刺激を与えるべく、前記第1の波長域と異なる第2の波長域の分光成分を有する光を発する第2の光源12と、第1の光源11及び第2の光源12を支持する板状の支持部材13とを備えている。なお、これら第1の光源11及び第2の 光源12は、例えば、LED素子と、該LED素子を封止し、蛍光体が分散された封止樹脂と、入力端子及び出力端子とを備えてなる表面実装型LEDである。」「【0046】・・・人の瞼の光透過率が低い波長域は580nm以下であるから、閉眼状 D素子を封止し、蛍光体が分散された封止樹脂と、入力端子及び出力端子とを備えてなる表面実装型LEDである。」「【0046】・・・人の瞼の光透過率が低い波長域は580nm以下であるから、閉眼状態の被照射者に光刺激を与える第1の光源11として、580nm以下の波長域である 第2波長域(図30中に(2)にて示す波長域)の分光成分ができるだけ含まれていない、580nm以上の波長域である第1波長域(図30中に(1)にて示す波長域)の分光成分が多く含まれる光を発する光源を用いることが好ましい。また、580nm以上の波長域では波長に比例して単調増加していることから700nm近傍(例えば、650~750nm)の波長域の分光成分が多く含まれる光を発す る光源を第1の光源11として用いることがより望ましい。 【0047】このような第1の光源11に好適に用いることができる光源の例を図3及び図4に示す。図3及び図4は、LEDの発光スペクトルを示す図であり、横軸に波長(nm)を、縦軸に相対強度を夫々示している。図3に示す光源は、ピーク波長が70 0nmの光を発するLEDであり、580nm以上の波長の分光成分のみを含む光を発する。図4に示す光源は、405nm紫光源と、3波長蛍光材料とを備えてなる白色LEDであり、ピーク波長が660nm近傍の光を発する。」「【0053】以上述べた如く、第1の光源11として、700nm近傍の波長域の分光成分が 多く含まれる光を発する光源、又は580~630nmの波長域の分光成分が多く 含まれる光を発する光源であることが望ましい。このような光源を第1の光源11として用いることにより、光源からの光は閉眼状態の被照射者の瞼を透過して網膜上の光受容体に光刺激を与えることができ、被照射者の開眼 る光を発する光源であることが望ましい。このような光源を第1の光源11として用いることにより、光源からの光は閉眼状態の被照射者の瞼を透過して網膜上の光受容体に光刺激を与えることができ、被照射者の開眼を促して被照射者の眼を覚まさせることができる。 【0054】 一方、開眼状態の被照射者に光刺激を与える第2の光源12として、前述した如く、第1の波長域と異なる第2の波長域、即ち580nm以下の波長域の分光成分を有する光を発する光源が好ましく、開眼状態の被照射者に効果的に光刺激を与えるという観点から、メラトニンの分泌抑制の効果が高い波長域の分光成分を有する光を発する光源がより望ましい。メラトニンの分泌抑制の波長特性は、前述した非 特許文献1に記載の図29の如く、464nmの波長のときにメラトニンの分泌抑制の相対感度が最大になることから、開眼状態の被照射者への光刺激を与える第2の光源12として、464nm近傍(例えば、430~490nm)の波長域に分光成分が多く含まれる光源が好適である。 【0055】 このような第2の光源12に用いることができる光源の例を図8に示す。図8は、LEDの発光スペクトルを示す図であり、横軸に波長(nm)を、縦軸に相対強度を夫々示している。図8に示す光源は、青色LEDと、蛍光材料とを備えてなる疑似白色LEDであり、638nm以上の波長域の分光成分をほとんど含まず、ピーク波長が463nm近傍の光を発する光源であり、第2の光源12として好適に用 いることができる。前述した図7に示す7種類のLEDのうち、発光色がロイヤルブルー、ブルー、シアン及びグリーンのLEDは、580nm以下の波長域に分光成分が多く含まれる光源であり、第2の光源12として用いることができる。特に、発光色がブルー及びロイヤ ち、発光色がロイヤルブルー、ブルー、シアン及びグリーンのLEDは、580nm以下の波長域に分光成分が多く含まれる光源であり、第2の光源12として用いることができる。特に、発光色がブルー及びロイヤルブルーのLEDは、メラトニンの分泌抑制の相対感度が最大になる464nm近傍の波長域に分光成分が多く含まれる光源であり、第2 の光源12として好適に用いることができる。 【0056】以上述べた如く、第2の光源12として、464nm近傍の波長域の分光成分が多く含まれる光を発する光源であることが望ましい。このような光源を第2の光源12として用いることにより、光源からの光は開眼状態の被照射者の網膜上の光受容体に光刺激を与えてメラトニンの分泌を効果的に抑制することができ、被照射者 を速やかに覚醒させることができる。」「【0059】また、光源制御部3には、被照射者の眼の開閉状態を検出する検出器6が接続してあり、検出器6は、光源制御部3による動作指令信号に応じて被照射者の眼の開閉状態を検出し、検出された被照射者の眼の開閉状態を光源制御部3に与える。検 出器6は、被照射者を撮影する撮像部61と、該撮像部61を制御する撮像制御部62と、撮像部61により撮影された画像を解析する画像信号解析部63とを備えてなる。光源制御部3は、信号受信部4に与えられた入力装置5の検出器動作スイッチからの入力信号がオン信号である場合、撮像制御部62に撮像開始の動作指令信号を与える。撮像制御部62は、与えられた動作指令信号に応じて撮像部61を 動作させる。」「【0062】・・・画像信号解析部63は、求めた開眼の度合いを用いて被照射者が開眼状態か閉眼状態かを判定し、判定された結果を、必要に応じて変調等を行ったのち、センサ信号として 作させる。」「【0062】・・・画像信号解析部63は、求めた開眼の度合いを用いて被照射者が開眼状態か閉眼状態かを判定し、判定された結果を、必要に応じて変調等を行ったのち、センサ信号として無線又は有線により光源制御部3に与える。」 「【0064】光源制御部3は、入力装置5により与えられた入力信号及び画像信号解析部63により与えられたセンサ信号に基づいて光量情報記憶部7により読込まれた第1の光源11及び第2の光源12夫々の光量情報の初期設定値を補正する。光源制御部3は、初期設定値又は補正された光量情報の設定値に基づいて光源調光用信号を生 成し、生成された光源調光用信号に応じて第1の光源11及び第2の光源12夫々 を駆動制御する。第1の光源11及び第2の光源12は光源調光用信号に応じた輝度にて夫々発光する。光源調光用信号は、光源として用いられているLEDの電流-輝度特性に従った電流信号であり、例えば、アナログ電流信号、パルス幅変調信号等の信号である。」「【0078】 図13は、会議室内に設置された本実施の形態に係る照明装置10の点灯及び光量の制御過程を示すタイミングチャートの一例である。図13(a)は第1の光源11を、図13(b)は第2の光源12を、図13(c)は第1の光源11及び第2の光源12からなる光源部1を夫々示しており、図13(a)(b)(c)の横軸は時刻を、縦軸は光量を夫々示している。光源制御部3は、入力装置5により与え られた電源スイッチからの入力信号が消灯であるとき、第1の光源11及び第2の光源12を消灯し、電源スイッチからの入力信号が点灯であるとき、第1の光源11及び第2の光源12を光源調光用信号に応じて点灯する。光源制御部3に画像信号解析部63により与えられるセンサ信号 び第2の光源12を消灯し、電源スイッチからの入力信号が点灯であるとき、第1の光源11及び第2の光源12を光源調光用信号に応じて点灯する。光源制御部3に画像信号解析部63により与えられるセンサ信号は、複数の被照射者(被照射者1、被照射者2、被照射者3)夫々が閉眼状態又は閉眼状態であることを示す信号である。 光源制御部3は、センサ信号の少なくとも一つが閉眼状態を示す信号であるとき、第1の光源11及び第2の光源12の総光量を一定に保ちつつ、第1の光源11の光量をセンサ信号が開眼状態を示す信号であるときよりも増加させるようにしてある。即ち、第1の光源11の光量の増加分だけ、第2の光源12の光量を減少させるようにしてある。 【0079】以上のように照明装置10の点灯制御を行うことにより、少なくとも一人の被照射者が閉眼状態にあるときに、瞼の光透過率の高い光を発する第1の光源11の光量を増加させているから、瞼を透過して閉眼状態の被照射者の網膜上の光受容体に付与される光刺激量が多くなる。この結果、本例の被照射者1及び被照射者2の如 く閉眼状態である被照射者は、眼を閉じた状態においても強い光刺激を感じてしま うため、その光刺激により開眼状態へと誘導されることになり、閉眼状態の被照射者の開眼を効果的に促すことができる。 【0080】また、第1の光源11及び第2の光源12の総光量を一定に保持しており、開眼状態の被照射者には、第1の光源11及び第2の光源12から出射され混光された 後の総光量に応じた光が眼に入射されるから、開眼状態の被照射者の網膜上の光受容体に付与される光刺激量は常に略一定になる。この結果、本例の被照射者3の如く開眼状態である被照射者は、略一定の光量が保持されたままであると感じることになり、開眼状 開眼状態の被照射者の網膜上の光受容体に付与される光刺激量は常に略一定になる。この結果、本例の被照射者3の如く開眼状態である被照射者は、略一定の光量が保持されたままであると感じることになり、開眼状態の被照射者に違和感を与えずにすむ。 【0081】 以上のように本例においては、開眼状態の被照射者には略一定の明るさの照明を提供しながら、閉眼状態の被照射者には選択的に適切な光刺激を与えることができる。」「【0083】また、本実施の形態においては、検出器6として、被照射者を撮影する撮像部6 1と、該撮像部61を制御する撮像制御部62と、撮像部61により撮影された画像を解析する画像信号解析部63とを備えてなる撮像装置を用いているが、これに限定されず、睡眠及び/又は眠気判定を行うことが可能な検出器であればよい。例えば、脳波を測定する脳波測定器であってもよく、この場合、眠気判定において非常に細やかな検知をおこなうことが可能となる。脳波測定を行う場合は、被照射者 の身体に電極を装着することが必要となるが、例えば、入院患者に対して使用する場合に好適に用いることができる。 【0084】また、検出器6として、例えば、体圧、体温、心拍等の測定が可能な検出器でもよい。図14は、本実施の形態に係る照明装置に適用可能な検出器の具体例である。 図14(a)は、会議室のイス等にシート状の体圧及び体温の測定が可能な検出器 6aを設置した例である。検出器6aにより体圧及び体温を測定することができ、体圧測定値から得られる体動及び体温の変動値を用いて睡眠状態、眠気レベルを解析することが可能である。図14(b)は、腕に装着するベルトの内側に心拍、脈波及び体温の測定が可能な検出器6bを設けた腕時計型の検出器の例である。検出器6b の変動値を用いて睡眠状態、眠気レベルを解析することが可能である。図14(b)は、腕に装着するベルトの内側に心拍、脈波及び体温の測定が可能な検出器6bを設けた腕時計型の検出器の例である。検出器6bにより心拍、脈波及び体温を測定することができ、測定された心拍、脈波及 び体温の変動値を用いて睡眠状態、眠気レベルを解析することが可能である。さらに、検出器として、撮像装置、体圧センサ、体温センサ等、複数種のセンサを組み合わせて用いることも可能であり、この場合、よりきめ細かく確実に被照射者の睡眠状態、眠気レベル等を判定することができ、この判定結果に応じて更に適切な光刺激を被照射者に与えることが可能となる。」 「【0109】図21は、本実施の形態に係る照明装置20の点灯及び光量の制御過程を示すタイミングチャートの他の例である。図21(a)は第1の光源11を、図21(b)は第2の光源12を、図21(c)は第1の光源11及び第2の光源12からなる光源部1を夫々示しており、図21(a)(b)(c)の横軸は時刻を、縦軸は光量 を夫々示している。本例において、光源制御部3は、図20に示した例と同様に、刺激付与時間(t1≦t<t2)の前半の時間帯は、瞼の光透過率の高い波長域の光を発する第1の光源11の光量が第2の光源12の光量よりも多くなるように、刺激付与時間の後半の時間帯は、メラトニンの分泌抑制の効果の高い波長域の光を発する第2の光源12の光量が第1の光源11の光量よりも多くなるとともに、入 力装置5の電源スイッチからの出力信号が点灯信号であるときは少なくとも、混光後の総光量が一定になるように第1の光源11及び第2の光源12夫々を点灯させるようにしてある。 【0110】なお、この場合、光量情報の設定値変更の手順及び内容が 号であるときは少なくとも、混光後の総光量が一定になるように第1の光源11及び第2の光源12夫々を点灯させるようにしてある。 【0110】なお、この場合、光量情報の設定値変更の手順及び内容が図16及び図17に示 した内容と異なることになるが、それ以外は同じである。即ち、光源制御部3は、 現在時刻が刺激付与時間内であるか否かを判定し、刺激付与時間内であるときは、電源スイッチからの出力信号が点灯信号であるか否かを判定する。点灯信号であるときは、総光量が刺激付与時間及び刺激付与時間の前後にて一定になるように大きさを決定し、図21(a)(b)に示すような時間の経過に応じて変化する光量を得るべく設定された光量情報の設定値に変更する。点灯信号でないときは、予め設定 された光量の値の大きさを変更せず、図21(a)(b)に示すような時間の経過に応じて変化する光量を得るべく設定された光量情報の設定値に変更する。一方、刺激付与時間外であるときは、ステップS36に戻り一連の動作を繰り返す。 【0111】本例の如く照明装置20の点灯制御を行うことにより、例えば、複数の被照射者 が同じ部屋に寝ているような場合に、まだ目覚めていない閉眼状態である被照射者には、第1の光源11と第2の光源12光源1との切替え点灯により、最初に瞼の光透過率の高い光刺激を付与して開眼を促進したのち、メラトニンの分泌抑制の効果の高い光刺激を付与して確実な目覚まし効果を得ることができる。一方、略一定の総光量が保持されているから、既に目覚めている開眼状態である被照射者には、 光量変化を殆ど感じさせず、違和感を与えずにすむ。」「【図2】」 には、光量変化を殆ど感じさせず、違和感を与えずにすむ。」「【図2】」
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