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昭和41(オ)684 約束手形金請求

裁判所

昭和43年12月24日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所 昭和40(ネ)1865

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4,431 文字

主文 原判決を破棄する。本件を東京高等裁判所に差し戻す。理由 上告代理人渡辺御千夫の上告理由第一、二点について。法務局及び地方法務局設置に伴う関係法律の整理等に関する法律(昭和二四年法律第一三七号)附則九項には、「登記所がすべき公告は、当分の間官報でするものとする。但し、登記事項の公告は、当分の間しない。」旨、同附則一〇項には、「商法第一二条の規定の適用については、登記の時に登記及び公告があつたものとみなす。」旨定められていることが明らかであるから、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立つて原判決の判断を非難するもので、採用するに足りない。同第三、四点について。原判決の確定するところによれば、被上告会社は、昭和三八年二月二八日代表取締役Dと同Eとが共同して会社を代表する旨の登記をし、右登記は、昭和三九年一二月一七日Dの辞任によつて、翌一八日右共同代表の規定が廃止された旨の登記がされるまで継続したこと、右代表取締役Dは、昭和三九年一一月二五日、本件(一)の約束手形を上告人にあてて、また、(二)の約束手形を訴外Fにあてて各振り出し、(二)の手形については、右Fから、順次、訴外G、同H株式会社Iの各裏書を経て、上告人が本件(一)、(二)の手形の所持人となつたこと、本件各手形の振出人欄には被上告会社の代表者の表示として代表取締役Dの記載があるにとどまり、共同代表者の他の一人である代表取締役Eの記載を欠いていることがそれぞれ明らかである。右の事実関係によると、本件各手形は、共同代表取締役の一人にすぎないDのみの代表名義で振り出されたものであるから、無権限による代表行為であつて、被上告会社に対しては原則としてその効力を生じないものといわなければならない。しか- 1 -し、株 締役の一人にすぎないDのみの代表名義で振り出されたものであるから、無権限による代表行為であつて、被上告会社に対しては原則としてその効力を生じないものといわなければならない。 によると、本件各手形は、共同代表取締役の一人にすぎないDのみの代表名義で振り出されたものであるから、無権限による代表行為であつて、被上告会社に対しては原則としてその効力を生じないものといわなければならない。しか- 1 -し、株 締役の一人にすぎないDのみの代表名義で振り出されたものであるから、無権限による代表行為であつて、被上告会社に対しては原則としてその効力を生じないものといわなければならない。しか- 1 -し、株式会社の代表取締役について共同代表の定めがあり、かつ、その旨の登記がある場合において、代表取締役の一人が単独で行なつた法律行為についても、商法二六二条の規定の類推適用が可能であると解すべきものであることは、当裁判所昭和四一年(オ)第一〇四二号、同四二年四月二八日第二小法廷判決(民集二一巻三号七九六頁)の示すとおりであつて、このことは、共同代表取締役の一部の者によつてなされた法律行為が手形行為である場合においても、その理を異にしないと解すべきである。そして、本件各手形の振出行為は、いずれも代表取締役の名称を付してなされたこと前示のとおりであつて、しかも、上告人は、原審において、被上告会社に共同代表の定めの登記がされていることを知らなかつたこと、およびDが被上告会社の社長と称し、被上告会社の主宰者であるところから、単独の代表権を有するものと信じていたことを主張していることは記録に徴して明らかであるから、右主張の事実が存在し、そのうえ、被上告会社において、当時、Dが被上告会社の社長と称して行動することを許容しまたは黙認していた等の事情が存在するものであれば、被上告会社は、本件各手形について、上告人に対し商法二六二条に基づき、振出人としての責に任ずる余地があるといわなければならない。そうであるとすると、商法二六二条の規定は、本件のように代表取締役について共同代表の定めがある場合には適用されないとの見解のもとに、上告人の請求を排斥した原判決には、同条の解釈を誤つた結果、審理を尽くさなかつた違法があり、右の違法は判決の結論に影響を及ぼすから、論旨は理由 同代表の定めがある場合には適用されないとの見解のもとに、上告人の請求を排斥した原判決には、同条の解釈を誤つた結果、審理を尽くさなかつた違法があり、右の違法は判決の結論に影響を及ぼすから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。 適用されないとの見解のもとに、上告人の請求を排斥した原判決には、同条の解釈を誤つた結果、審理を尽くさなかつた違法があり、右の違法は判決の結論に影響を及ぼすから、論旨は理由 同代表の定めがある場合には適用されないとの見解のもとに、上告人の請求を排斥した原判決には、同条の解釈を誤つた結果、審理を尽くさなかつた違法があり、右の違法は判決の結論に影響を及ぼすから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件については、なお被上告会社の商法二六二条に基づく責任の有無を審理する必要があるから、これを原審に差し戻すべきものとする。よつて、民訴法四〇七条に則り、裁判官松本正雄の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。裁判官松本正雄の反対意見は、次の通りである。- 2 -多数意見は、「上告人は、原審において、被上告会社に共同代表の定めの登記がされていることを知らなかつたこと、およびDが被上告会社の社長と称し、被上告会社の主宰者であるところから、単独の代表権を有するものと信じていたことを主張していることは記録に徴して明らかであるから、右主張の事実が存在し、そのうえ、被上告会社において、当時Dが被上告会社の社長と称して行動することを許容しまたは黙認していた等の事情が存在するものであれば、被上告会社は、本件手形について、上告人に対し商法二六二条に基づき、振出人としての責に任ずる余地があるといわなければならない。」と判示している。しかし、わたくしは、商法二六二条は、会社に共同代表に関する規定が設けられ、それが登記せられているときに、共同代表取締役によつて共同してなされず、その一部の者によつて単独でなされた行為についてはその適用がないものと考える。その理由は次の通りである。第一、商法二六二条は、いわゆる表見代表取締役の行為に関する規定であるから、会社を代表する権限がない取締役に関するものであつて、会社を代表する権限はあるが、それが制限せられていて単独では代表できないような場合に関 二条は、いわゆる表見代表取締役の行為に関する規定であるから、会社を代表する権限がない取締役に関するものであつて、会社を代表する権限はあるが、それが制限せられていて単独では代表できないような場合に関するものではない。すなわち、同条が共同代表取締役に関する規定ではないことは法文上極めて明白である。 関するものであつて、会社を代表する権限はあるが、それが制限せられていて単独では代表できないような場合に関 二条は、いわゆる表見代表取締役の行為に関する規定であるから、会社を代表する権限がない取締役に関するものであつて、会社を代表する権限はあるが、それが制限せられていて単独では代表できないような場合に関するものではない。すなわち、同条が共同代表取締役に関する規定ではないことは法文上極めて明白である。共同代表下の単独代表取締役についても商法二六二条の「其ノ者ガ代表権ヲ有セザル場合」に該当するとの見方もあるかも知れないが、無理な解釈である。第二、商法二六一条第二項によつて、会社が共同代表の定めをすることができることとした趣旨は、代表取締役が一人では業務の執行ができず、数人が共同してのみその執行ができるようにして、会社の対外的行為について、特別な事情のもとにある会社の利益保護を図つたものである。例えば、本件において推認せられるが如く、父が子の取引上の行為についての勝手な振舞いを防止し、あるいは株式会社に- 3 -出資、融資をした者がみずから共同代表者に加わることによつて出資先、融資先の代表取締役の独断専行の業務執行により蒙ることあるべき会社の損害を防止しようとする場合等においてとられる制度である。このような共同代表の制度を置いている株式会社の数は少ないが、いずれもその必要に応じてこのような規制をしているのである。もし、多数意見において述べられるような事実関係のもとで、容易に商法二六二条が優先して適用せられることになれば、共同代表なるものの制度を商法が認めた趣旨は全く没却せられるおそれがある。また、もし多数意見中に説示せられる「社長として行動することを許容しまたは黙認していたような事情」があつて、社長である代表取締役が単独に法律行為をすることをその会社が黙認していたとすれば、それは最早や実質上の共同代表制度であるかどうか疑わしいものであるとい を許容しまたは黙認していたような事情」があつて、社長である代表取締役が単独に法律行為をすることをその会社が黙認していたとすれば、それは最早や実質上の共同代表制度であるかどうか疑わしいものであるといわねばならない。第三、共同代表取締役の定めは登記事項であり、登記されれば商法一二条の適用を受けることは当然である。すなわち、会社が共同代表の規定を設けて、これを登記することによつて、第三者は、正当の事由がないかぎり、その事実についての善意を会社に対抗しえないものとされ、悪意を擬制せられる関係に立つのである。 が黙認していたとすれば、それは最早や実質上の共同代表制度であるかどうか疑わしいものであるといわねばならない。第三、共同代表取締役の定めは登記事項であり、登記されれば商法一二条の適用を受けることは当然である。すなわち、会社が共同代表の規定を設けて、これを登記することによつて、第三者は、正当の事由がないかぎり、その事実についての善意を会社に対抗しえないものとされ、悪意を擬制せられる関係に立つのである。したがつて、共同代表下の単独代表行為は無効であつて、会社は善意の第三者にも対抗することができる。商法二六二条は同法一二条の例外規定と解することができるが、本件の如き共同代表の場合にも右二六二条の規定を類推適用することは拡大解釈に過ぎ、商業登記事項について商法一二条の規定を設けた意味を失わせ、登記の公示力を無視するものといわねばならない。前記の理由により、わたくしは多数意見には反対であつて、原判決は維持せられるべきものであり、本件上告を棄却するのが相当であると考える。最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官横田正俊- 4 -裁判官田中二郎裁判官下村三郎裁判官松本正雄裁判官飯村義美- 5 -

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