- 1 -主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 控訴人1ないし控訴人6がそれぞれ日本国籍を有することを確認する。 3 被控訴人は、控訴人1ないし控訴人6に対し、それぞれ55万円及びこれに対する平成30年4月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 控訴人7及び控訴人8が外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることをそれぞれ確認する。 第2 事案の概要(略語は、特に断りのない限り、原判決の例による。以下同じ。)1⑴ 本件は、かつて日本国籍を有していたがその後スイス連邦(以下「スイス」という。)又はリヒテンシュタイン公国(以下「リヒテンシュタイン」という。)の国籍を自己の志望により取得した控訴人1ないし控訴人6と、現在日本国籍のみを有しており、スイス又はフランス共和国(以下「フランス」という。)の国籍の取得を希望している控訴人7及び控訴人8が、国籍法11条1項は憲法の規定に違反して無効であると主張して、控訴人1ないし控訴人6については、⒜それぞれ日本国籍を有することの確認を求めるとともに、⒝同項の改正を行わない立法不作為が国家賠償法上違法であるとして、被控訴人に対し、同控訴人らが被った精神的苦痛に対する損害の賠償として各55万円及びこれに対する訴状送達の日である平成30年4月10日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、控訴人7及び控訴人8については、同控訴人らが外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認をそれぞれ - 2 -求める事案である。 ⑵ 原審は、控訴人7及び控訴人8の訴えは、仮に同控訴人らが申 人8については、同控訴人らが外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認をそれぞれ - 2 -求める事案である。 ⑵ 原審は、控訴人7及び控訴人8の訴えは、仮に同控訴人らが申請をすればスイス及びフランスの国籍を取得することができる蓋然性が高い状況にあるとしても、自ら当該外国籍取得に係る申請を行っていない段階では、いまだ自己の日本国籍を保有する地位について不安、危険が生じているとはいえないから、確認の利益があると認めることはできず、同控訴人らの訴えはいずれも不適法であるとしてこれらを却下し、⒜日本国籍の離脱を強制されない権利が憲法13条及び22条2項により保障されるものとは解し難く、仮に日本国籍を意思に反して奪われない利益又は法的地位が憲法の規定等の精神に照らして尊重されるべきものであることから、憲法10条により国籍の得喪に関する要件について立法府に与えられた裁量に一定の制約が及び得るとしても、国籍法11条1項の規定が立法府に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとは解されないから、同項が憲法10条、13条及び22条2項に違反するということはできず、また、控訴人らの主張する各区別はいずれも差別的な取扱いであるとは認められないから、国籍法11条1項が憲法14条1項に違反するということはできず、⒝国籍法11条1項は、憲法10条、13条及び22条2項並びに14条1項に違反するものではないから、国籍法11条1項を改正しない立法不作為が国家賠償法上違法であるとはいえないとして、控訴人1ないし控訴人6の請求をいずれも棄却したところ、控訴人らが原審の判断を不服として控訴した。 2 関連法令の定め、前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、以下のとおり原判決を補正し、後記3のとおり当審における当事者の主張を も棄却したところ、控訴人らが原審の判断を不服として控訴した。 2 関連法令の定め、前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、以下のとおり原判決を補正し、後記3のとおり当審における当事者の主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1及び2並びに「第3 争点及び争点に関する当事者の主張」の1ないし5に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決2頁12行目の「国籍法」の次に「(平成30年法律第59号による - 3 -改正前のもの)」を加え、同行の「別紙2国籍法の定め」を「原判決別紙2「国籍法の定め」に」に改め、同頁13行目末尾の次に改行して次のとおり加える。 「 また、本件に関連する外国法令の定めは、本判決別紙2「関連外国法令の定め」に記載のとおりである。」⑵ 原判決3頁19行目から20行目にかけての「平成12年」を「2000年(平成12年)」に改める。 ⑶ 原判決4頁10行目の「違法性、」を「違法性並びに」に改める。 ⑷ 原判決11頁4行目の「存続したものである」の次に「(以下、上記の改正前の国籍法8条を「改正前国籍法8条」という。)」を加える。 ⑸ 原判決31頁13行目の「国籍取得」を「外国籍の取得」に改める。 ⑹ 原判決33頁24行目の「違法性、」を「違法性並びに」に改める。 3 当審における当事者の主張⑴ 争点⑴(控訴人7及び控訴人8の訴えに確認の利益があるか否か)について(控訴人7及び控訴人8の主張)ア自己が外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えであるところ、外国籍の取得の申請を行っていない場合には確認の利益を欠くとすると、外国籍の取得と日本国籍の保持の両方を希望する日本国民が国籍法 確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えであるところ、外国籍の取得の申請を行っていない場合には確認の利益を欠くとすると、外国籍の取得と日本国籍の保持の両方を希望する日本国民が国籍法11条1項の違憲性を訴訟で争うためには、同項に基づき外国籍の志望取得により日本国籍を喪失することを覚悟した上で、口頭弁論終結時までに外国籍の取得の申請を行うことを強いられることとなり、当事者訴訟としての公法上の法律関係に関する確認の訴え(行政事件訴訟法4条)の活用により国民の権利救済を図ろうとした平成16年行政事件訴訟法改正の趣旨を没却することとなり、妥当でない。 - 4 -そして、①日本国籍は、我が国の構成員としての資格であるとともに、我が国において基本的人権の保障、公的資格の付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位であり(平成20年大法廷判決参照)、選挙権を行使する権利の根本に存在する憲法上の極めて重要な資格・地位であって、②日本国籍を有することによって保障される基本的人権は、日本国籍を剝奪された後に争うことによっては、日本国籍を失った期間に享有し行使できていたはずの権利や自由についてその享有や行使の実質を回復できない性質のものであり、③控訴人7及び控訴人8は、後記イ及びウのとおり、外国籍の取得の申請をした場合、当該外国籍を取得する相当高度の蓋然性があり、申請により外国籍を取得することは国籍法11条1項により日本国籍を自動的に喪失することを意味し、客観的にみて日本国籍を喪失する相当高度の蓋然性があるといえ、外国籍の取得と日本国籍の保持を望む両名にとって外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認を求める訴えは、日本国籍そのもの及び日本国籍を離脱しない自由ないし日本国籍を保持する権利等の侵害を防ぐ上で有 本国籍の保持を望む両名にとって外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認を求める訴えは、日本国籍そのもの及び日本国籍を離脱しない自由ないし日本国籍を保持する権利等の侵害を防ぐ上で有効適切な手段であり、他にこれを防ぐ適切な手段はないから、控訴人7及び控訴人8の訴えに確認の利益はあるというべきである。 イ控訴人7がスイス国籍を取得するためには、⒜形式的要件として、①スイスの永住資格を有していること(スイス国籍法9条1項a)、②少なくとも10年以上スイスに居住しており、そのうち3年間が国籍取得申請の前5年以内に含まれること(同項b)、⒝実質的要件として、①スイス社会によく統合されていること(同法11条a)、②スイスの生活様式に慣れていること(同条b)、③スイスの内外社会に危険を生じさせないこと(同条c)が必要である。 控訴人7は、⒜①スイスの永住資格(滞在許可(Cパーミット))を取得しており、②2001年(平成13年)からスイスに居住し、スイ - 5 -スでの居住期間は20年を超えており、スイス国籍の取得に必要な形式的要件を備えている。また、控訴人7は、⒝①犯罪歴はないこと、スイス憲法に忠実であり、法秩序を尊重し、憲法が保障する基本的権利を侵害しないよう努力することを誓っていること、スイス国内の大学の文学部フランス文明学科のディプロマを取得していること、スイス企業にマネージャーとして勤務し他の幹部らと連携しながら同社の発展のための重要な役割を果たしていること、2017年(平成29年)▲月▲日に台湾国籍の女性と婚姻をし、同人は同月▲▲日に控訴人7と暮らすためにスイスに入国していることから、スイス社会によく統合されていることという要件を備えており、②2001年(平成13年)にスイスに入国して以来、20年以 姻をし、同人は同月▲▲日に控訴人7と暮らすためにスイスに入国していることから、スイス社会によく統合されていることという要件を備えており、②2001年(平成13年)にスイスに入国して以来、20年以上にわたりスイスで生活しており、その間、大学留学、アルバイトなどを経て2006年(平成18年)にスイス企業に正社員として採用され勤続期間は15年を超えていること、控訴人7をよく知るスイス国籍の叔父及び叔母の証言でも控訴人7はスイス社会に溶け込んで暮らしていることなどとされていることから、スイスの生活様式に慣れていることという要件を備えており、③犯罪を犯したことはなく、公共の秩序と安全への尊重の意思を宣誓していることから、スイスの内外社会に危険を生じさせないことという要件を備えており、スイス国籍の取得に必要な実質的要件も備えている。 以上のとおり、控訴人7は、スイス国籍の取得のためにスイス国籍法が定める形式的要件及び実質的要件を全て満たしており、スイス国籍の取得を申請すれば、スイス国籍の取得が確実に認められる。仮に実質的要件の充足についてスイス当局による裁量判断が介在することなどにより、スイス国籍の取得が確実でないとしても、控訴人7がスイス国籍の取得の申請をした場合には、スイス国籍を取得できる可能性は極めて高く、客観的にみてスイス国籍を取得する相当高度の蓋然性がある。 - 6 -ウ配偶者がフランス国籍である控訴人8がフランス国籍を取得するためには、①フランスに合法的に居住していること(フランス民法21-16条、21-27条)、②配偶者がフランス国籍で、婚姻が少なくとも4年以上継続しており、同居していること(同法21-2条)、③フランス語の読み書きの能力(小学校卒業程度が要求される。)を有していること(同法21- 条)、②配偶者がフランス国籍で、婚姻が少なくとも4年以上継続しており、同居していること(同法21-2条)、③フランス語の読み書きの能力(小学校卒業程度が要求される。)を有していること(同法21-2条)及び④テロ行為などを行ったとして処罰されたことがないこと(同法21-27条)の要件を満たすことが必要である。 控訴人8は、①1987年(昭和62年)以降フランスで暮らしており、この間のフランスでの居住は全て合法なものであり、②1976年(昭和51年)にフランス国籍の妻と婚姻をして40年以上が経過し、同人と同居してきたものであり、③40年以上にわたるフランス国籍の妻との婚姻生活及び30年以上にわたるフランスにおける生活を通して小学校卒業程度のフランス語の読み書き能力を当然に取得しており、④犯罪歴も処罰歴もない。 以上のとおり、控訴人8は、フランス国籍の取得に必要な要件を全て備えており、フランス国籍の取得の申請をすればフランス国籍の取得が確実に認められる。仮にフランス当局による事実認定や規範的評価が介在することなどによりフランス国籍の取得が確実でないとしても、控訴人8がフランス国籍の取得の申請をした場合には、フランス国籍を取得できる可能性は極めて高く、客観的にみてフランス国籍を取得する相当高度の蓋然性がある。 (被控訴人の主張)ア控訴人7及び控訴人8は、自らが外国籍の取得を志望しない限り、現在有する日本国籍を失うことはなく、外国籍の取得申請をしていない現時点において、控訴人7及び控訴人8の日本国籍を保有する地位に何らかの危険又は不安が存在するとはいえない。 - 7 -スイス国籍法における国籍取得の要件及び審査に関する各規定によれば、スイス国籍の取得申請予定者が、将来、取得申請をした場合に確実にスイス の危険又は不安が存在するとはいえない。 - 7 -スイス国籍法における国籍取得の要件及び審査に関する各規定によれば、スイス国籍の取得申請予定者が、将来、取得申請をした場合に確実にスイス国籍を取得できると予想することは困難というべきであり、控訴人7においても、現時点において、将来、スイス国籍の取得申請をしたときに確実にスイス国籍を取得できるとはいえない。 フランス民法における国籍取得の要件及び審査に関する各規定によれば、フランス国籍を有する配偶者と婚姻をした外国人が届出によるフランス国籍の取得を予定する場合に、その者が、将来、国籍取得の届出をした場合に確実にフランス国籍を取得できると予想することは困難というべきであり、控訴人8においても、現時点において、将来、フランス国籍の取得の届出をしたときに確実にフランス国籍を取得できるとはいえない。 イしたがって、控訴人7及び控訴人8の日本国籍を保有する地位に何らかの危険又は不安が存在するとはいえず、即時解決の必要性(即時確定の現実的利益、解決すべき紛争の成熟性)を欠くから、控訴人7及び控訴人8の訴えに確認の利益は認められない。 ⑵ 争点⑵(国籍法11条1項が憲法10条、13条及び22条2項に違反するか否か)について(控訴人らの主張)ア憲法22条2項に違反するか否かについて憲法22条2項は、個人の意思のみによって日本国籍から離脱することを保障しており、これに反する法律や処分を禁止して国家の対人主権の行使を制限し、どの国に帰属するかに関する個人の選択の自由を国家主権よりも尊重し優先するものであり、これは、国民が日本国籍を離脱することによる構成員の減少や人的資源の喪失といった国家的損失よりも個人の国籍選択という幸福追求権(憲法13条)の保障を重要なものとして尊重すると し優先するものであり、これは、国民が日本国籍を離脱することによる構成員の減少や人的資源の喪失といった国家的損失よりも個人の国籍選択という幸福追求権(憲法13条)の保障を重要なものとして尊重するという思想の発現にほかならない。このように、日本国 - 8 -籍を離脱して外国に帰属することが幸福追求にかなうとの選択は尊重して憲法により保障されるが、日本国籍を保持して日本に帰属することが幸福追求にかなうとの選択は尊重に値せず、法律によって制限できるものとすべき合理的理由はない。 国籍離脱の自由を保障することの意味は、日本国籍を離脱するという本人の選択について公権力が介入したり制限したりしないということであるところ、日本国籍を離脱するという選択は日本国籍を離脱しないという選択と表裏の関係にあり、日本国籍を離脱するという選択を保障することは日本国籍を離脱するか否かの選択を保障することにほかならず、国籍離脱の自由と国籍を離脱しない自由とは表裏一体の関係にある。 憲法21条1項は、「表現の自由は、これを保障する。」と規定し、文言上は積極的な表現行為を制限することの禁止を内容とするものであるが、表現行為の強制の禁止も保障されるとの解釈に異論はないとされており、憲法19条の思想良心の自由、憲法20条の信教の自由、憲法22条1項の居住移転及び職業選択の自由や同項の海外移住の自由に関する解釈においても同様である。これらの規定の文言の体裁は、歴史的に公権力による個人に対する権利侵害が個人の外部的行為を制限するという形で行われてきたという沿革的な理由によるものであり、このことは憲法22条2項にも妥当するから、同項の規定の文言は、同項による「日本国籍を離脱しない自由」ないし「日本国籍を保持する権利」の保障を否定する根拠となるものではない。 したがっ のであり、このことは憲法22条2項にも妥当するから、同項の規定の文言は、同項による「日本国籍を離脱しない自由」ないし「日本国籍を保持する権利」の保障を否定する根拠となるものではない。 したがって、憲法22条2項は、国籍離脱の自由とともに「日本国籍を離脱しない自由」ないし「日本国籍を保持する権利」をも保障するものであり、何人も原則として本人の意思に基づかずに日本国籍を喪失させられないものとすべきである。 憲法22条2項により保障される「国籍を離脱しない自由」ないし「日 - 9 -本国籍を保持する権利」に対する制約は、事柄の性質に応じて国籍離脱の自由とは異なる制約原理に服する可能性が絶無とはいえないとしても、少なくとも国籍法11条1項の立法目的である複数国籍の発生防止を理由に制限することは許されず、また、「国籍を離脱しない自由」ないし「日本国籍を保持する権利」の保障の観点からは、当該自由ないし権利を制限してまで外国籍の志望取得による複数国籍の発生を防止すべき特段の合理的な理由があるということはできないから、同項は憲法22条2項に違反し無効である。 イ憲法13条に違反するか否かについて「国籍変更の自由(国家から離脱する自由)」も「国籍を離脱しない自由」も、国民主権下の「生命、自由及び幸福追求」の権利にとって不可欠であり、国政上「最大の尊重を必要とする」(憲法13条)。とりわけ、「国籍を離脱しない自由」を制約ないし侵害して主権者である国民の国籍を剝奪することは、やむにやまれぬ政府利益を達成するために必要不可欠な場合でなければ許されず、一般に、通常の国籍志望取得手続などにより外国籍を取得しただけで日本国民の国籍を剝奪する場合には、やむにやまれぬ政府利益があるとはいえず、国籍法11条1項は憲法13条に違反し無効で なければ許されず、一般に、通常の国籍志望取得手続などにより外国籍を取得しただけで日本国民の国籍を剝奪する場合には、やむにやまれぬ政府利益があるとはいえず、国籍法11条1項は憲法13条に違反し無効である。 ウ憲法10条に違反するか否かについて憲法10条は、日本国籍の剝奪は許されないことを当然の前提としており、同条による法律への委任の内容には日本国籍の剝奪は含まれず、国籍の喪失については本人の意思に基づく離脱(憲法22条2項)の要件のみを法律に委任するものであり、本人の意思に反して日本国籍を剝奪する法律の制定は憲法10条の委任の範囲外であって、国籍法11条1項は日本国籍を本人の意思に反して剝奪する規定であるから、憲法10条に違反して違憲無効である。 - 10 -仮に憲法10条の委任の範囲に日本国籍の剝奪が含まれるとしても、日本国籍の重要性及びその剝奪という結果の重要性に鑑み、日本国籍を剝奪する立法の合憲性は厳しく審査されるべきであり、当該立法に係る立法目的及びその目的を達成する手段が合理的である場合には立法府の裁量の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないという審査基準によるべきものではない。具体的には、①立法目的が正当な上に国民から日本国籍を剝奪してでも追求すべき重要な利益を促進するものでなければならず、②手段は目的達成のために必要最小限でなければならず、その審査に当たっては、(ⅰ)日本国籍の剝奪という手段が立法目的を実際に促進するか、(ⅱ)対象とされた日本国民から日本国籍を剝奪すること以外に立法目的を達成する手段がないか、(ⅲ)立法目的との関係で日本国籍剝奪の対象が過小包摂ではないか、(ⅳ)立法目的との関係で日本国籍剝奪の対象が過大包摂ではないかが重要な判断要素となる。 以上を国籍法11条1項につい がないか、(ⅲ)立法目的との関係で日本国籍剝奪の対象が過小包摂ではないか、(ⅳ)立法目的との関係で日本国籍剝奪の対象が過大包摂ではないかが重要な判断要素となる。 以上を国籍法11条1項についてみるに、複数国籍の発生防止という立法目的については、①仮に複数国籍が生じても特段の弊害は生じないことが実証的に明らかであり、国民から日本国籍を剝奪してでも追求すべき重要な利益を推進するものとはいえず、②複数国籍の弊害として挙げられているものはいずれも日本国籍を剝奪する以外のより権利侵害的でない手段により防止し解消できる上、過去36年間に生じた複数国籍は100万人を超えると推定される一方で、国籍法11条1項により発生が防止できた複数国籍は2万5272人にすぎず、同項が防止できる複数国籍はごく僅かであり、同項の手段は過小包摂である。また、国籍変更の自由の保障という立法目的については、①旧国籍法の時代と異なり国籍離脱の制度が国籍法13条に別に定められており、同法11条1項の立法目的として持ち出すことはそもそも不適切であり、仮にこれが同項の立法目的に含まれるとしても、②同項の採用する手段は、本人が - 11 -日本国籍の離脱を望まない場合にも日本国籍を剝奪する点で手段が過大包摂であり、外国籍と日本国籍の両方を必要とするに至った日本国民の外国籍の取得を妨げ、むしろ国籍変更の自由の保障を阻害する原因となっている。したがって、国籍法11条1項は、複数国籍の発生防止及び国籍変更の自由の保障のいずれの立法目的の関係でも、憲法10条の委任の範囲を逸脱しており、違憲無効である。 a 仮に、国籍の喪失を定める立法について、当該立法に係る立法目的及びその目的を達成する手段が合理的である場合には立法府の裁量の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはで 、違憲無効である。 a 仮に、国籍の喪失を定める立法について、当該立法に係る立法目的及びその目的を達成する手段が合理的である場合には立法府の裁量の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできないという審査基準によるとしても、以下のとおり、国籍法11条1項は、その立法目的及び立法目的を達成する手段に合理性はなく、憲法10条の委任の範囲を逸脱し違憲無効である。 b⒜ 複数国籍の発生防止という立法目的については、①外交保護権の衝突、納税義務の衝突、重婚の発生、兵役義務の衝突及び適正な入国管理の阻害等の被控訴人の主張する複数国籍の弊害やそのおそれは、そもそも生じないもの、複数国籍を防止することで防止できるという関係にないものなど、複数国籍を防止しなくても防止できるものばかりであり、そのような弊害が現実化したことはなく、たとえ現実化しても重大な問題になることはないと認識されているものであり、②生まれながらの複数国籍者の尊厳を傷つける点で個人の尊厳・自律の基本理念・原理に反するものであり、少数者である複数国籍者に対する差別を助長し煽動する点で多数者の利益のみを追求する全体主義的な思想に基づくものであって、現在及び将来の世代の人間の幸福につながるものにはなり得ず、国家機関と公務員の怠慢、職務放棄、権力の私物化という国民に対する背信行為を正当なものであると偽装して、それによる甚大な不利益を国民に押し付 - 12 -ける口実にすぎないから、国民主権原理及び憲法13条の個人の尊厳原理が許容するものではなく、③様々な政治目標や政治的理念に劣後するものであり、他の目的よりも絶対的に優先されるような重要なものではないから、複数国籍の発生防止という立法目的に合理性はない。 ⒝ そして、国籍法11条1項により防止される複数国籍のおよそ 後するものであり、他の目的よりも絶対的に優先されるような重要なものではないから、複数国籍の発生防止という立法目的に合理性はない。 ⒝ そして、国籍法11条1項により防止される複数国籍のおよそ40倍もの複数国籍の発生が放置され存続しており、複数国籍が生じ得る場面において同項によって複数国籍の発生を防止できるのはごく僅かであり、同項の採用する手段では複数国籍の発生防止という立法目的を達成することは不可能であるから、複数国籍の発生という立法目的を達成するために、外国籍を志望取得した日本国民から日本国籍を剝奪するという手段を採用することに合理性はない。 また、国籍法11条1項は、外国籍の志望取得によって日本国籍を喪失すること(同項の法的効果)の認識をその適用要件としておらず、同項の適用によって日本国籍を喪失することを知らず、そのため事前に外国籍を取得して日本国籍を失うか、外国籍を諦めて日本国籍を保持するかの真摯な選択の機会を与えられなかった者に対しても適用されるから、同項は制度的に適用対象者に対していずれかの国籍を選択する機会を保障しておらず、自主的に日本国籍を離脱する意思を有していた者を除いては、現実的な国籍の選択の機会が与えられていたとはいい難く、同項の適用場面において当事者は事前にいずれかの国籍を選択することが可能であったとはいえず、この点からも立法目的達成の手段として合理性があるとはいえない。 c⒜ 国籍変更の自由の保障という立法目的については、①旧国籍法20条には国籍変更の自由の保障という立法目的は存在せず、改正前国籍法8条(現行11条1項)がこれを踏襲したということはあ - 13 -り得ず、②帰化による国籍取得の際に原国籍の離脱を求めずに複数国籍を容認する国家が増加し、その場合には外国籍を取得するに際して日本 現行11条1項)がこれを踏襲したということはあ - 13 -り得ず、②帰化による国籍取得の際に原国籍の離脱を求めずに複数国籍を容認する国家が増加し、その場合には外国籍を取得するに際して日本国籍を喪失させる必要がなく、国籍の変更が国籍離脱の自由を保障するという関係は否定され、③国籍変更の自由を保障することは個人の自由意思を尊重することにほかならないところ、国籍の剝奪は個人の自由意思の蹂躙であり、国籍を剝奪して個人の自由を蹂躙しながら、個人の自由意思の尊重がその立法目的であるとすることは、矛盾を通り越して欺瞞であるから、国籍変更の自由の保障という立法目的に合理性はない。 ⒝ そして、国籍変更の自由の保障という立法目的達成のための手段としては、①本人が日本国籍を離脱し外国籍を取得することを希望していて、②当該外国の国籍法制が当該国の国籍取得と同時に原国籍を離脱することを要件としており、③国籍取得と同時に原国籍の離脱ができない場合に原国籍を離脱しないで国籍取得を認める救済規定がないという三つの条件を全て満たす場合に限り、国籍変更の自由の保障に資するものであるところ、国籍法11条1項はこれらの条件のいずれかが欠ける場合にも日本国籍を剝奪するものであり、その結果、控訴人7や控訴人8のように日本国籍を保持したいために外国籍を取得したくても取得できない日本国民を生じさせ、外国籍の取得を妨げて国籍変更の自由の行使を阻害するものであるから、国籍変更の自由の保障という立法目的を達成するために外国籍を志望取得した日本国民から一律に日本国籍を剝奪するという手段を採用することに合理性はない。 (被控訴人の主張)ア憲法22条2項に違反するか否かについて①憲法は、22条2項で国籍離脱の自由を明確に定めるほかは、10条 - という手段を採用することに合理性はない。 (被控訴人の主張)ア憲法22条2項に違反するか否かについて①憲法は、22条2項で国籍離脱の自由を明確に定めるほかは、10条 - 14 -において「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」と規定するにとどめ、国籍の得喪に係る要件の定立を国会による立法事項として、その裁量に委ねているのであるから、「日本国籍を保持する権利」が憲法上の権利として保障されているとは解し得ず、②控訴人らの主張する権利の内実は、重国籍を保持する利益にほかならず、国籍の本質に反し、国籍の得喪に係る立法裁量を無視するものであり、③国籍は、国家の基本的構成要素である国民、すなわち、国家の主権者たる地位ないし権利と共に国家の統治権に服する地位ないし義務を持つ者の範囲を画するものであって、一人の人間に対し複数の国家が対人主権を持つこと、又は国民に主権がある国において一人の人間が複数の国に対し同時に主権を持つということは、主権国家の考え方とは本質に相容れないものであり、④国籍は、表現の自由などのような前国家的な権利利益とは性質を異にするものであり、控訴人らの主張は、国籍の得喪の問題を個人の側からみた権利利益の問題としか捉えておらず、国家の側からみて、どのような者に統治権を及ぼすのが相当であるのかという観点を欠いており、国籍の本質に反するものというべきである。したがって、憲法22条2項が「日本国籍を離脱しない自由」ないし「日本国籍を保持する権利」をも保障していると解することはできない。 イ憲法13条に違反するか否かについて控訴人らの主張は否認し争う。 ウ憲法10条に違反するか否かについて 国籍とは、何人に国家の主権者たる地位を与え、他方で、何人を国家の統治権に服する立場に立たせ 否かについて控訴人らの主張は否認し争う。 ウ憲法10条に違反するか否かについて 国籍とは、何人に国家の主権者たる地位を与え、他方で、何人を国家の統治権に服する立場に立たせるのかの要件を確定する問題であり、各国は、その国の歴史的沿革、伝統、社会的・経済的事情、国際社会の状況等の諸般の要因を考慮して国籍の得喪要件を定めているところ、我が国では、憲法10条において「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」と規定し、これを受けて、国籍法は日本国籍の得喪に関する要件を - 15 -規定している。憲法10条の規定は、国籍は国家の構成員としての資格であり、国籍の得喪に関する要件を定めるに当たってはそれぞれの国の歴史的事情、伝統、政治的、社会的及び経済的環境等、種々の要因を考慮する必要があることから、これをどのように定めるかについて、立法府の裁量判断に委ねる趣旨のものであると解されることに照らせば(最高裁平成25年(行ツ)第230号同27年3月10日第三小法廷判決・民集69巻2号265頁(以下「平成27年第三小法廷判決」という。)参照)、憲法10条が国籍の喪失につき本人の真意に基づく離脱の要件など限定的な場面のみを法律に委任するものと解さなければならない根拠はない。 国籍の喪失の要件に係る立法について厳格な審査基準によるべきとする控訴人らの主張は、上記のとおり広範な立法裁量を基礎にして定められた国籍制度を前提とする国籍の得喪に起因する利益が、国籍を保持する権利として表現の自由などの前国家的な権利利益と同様に憲法上保障されているものとの見解を前提とするものであるところ、上記ア及びイのとおり、そのような見解は誤りであり、控訴人らの上記主張は独自の見解に基づくもので理由がない。 国籍法11条1 法上保障されているものとの見解を前提とするものであるところ、上記ア及びイのとおり、そのような見解は誤りであり、控訴人らの上記主張は独自の見解に基づくもので理由がない。 国籍法11条1項の立法目的は、国籍変更の自由の保障と重国籍の発生防止にあり、両者は密接に関連し、これらの立法目的は合理性を有する。 人は必ず国籍を有し、かつ、一個のみの国籍を有すべきであるという国籍唯一の原則は、国籍の存在意義から導かれる原理ないし国籍立法のあるべき姿として、古くから今日に至るまで国際的に承認されてきており、諸外国の法制度を見ても、国籍唯一の原則は現在も一部の主要国を含む相当数の国で維持されているのであって、国籍の得喪の決定が国内的管轄事項とされる中にあって、国籍法が立法目的の一つとして重国籍 - 16 -の防止を掲げることが憲法適合性の吟味に際して不合理であるとされる余地はない。また、重国籍の弊害は、重国籍という事実状態に内在する問題であり、重国籍の発生がこれらの発生原因と考えられる以上、その防止を図ることを立法目的とすることは合理的であり、重国籍の弊害の具体的な事象の存在が現に認められない限りは立法目的の合理性が否定されるというものではない。我が国を取り巻く現在の国際情勢の下では、我が国が重国籍の弊害に対処する条約等の整備を進めることは困難であるといわざるを得ず、欧州諸国間のように重国籍の弊害に対処する条約等の整備が十分でない我が国においては、重国籍の弊害は既存の法律や個別事案ごとの国家間の調整によって、その全ての解決が見込まれるような問題ではない。したがって、国籍法11条1項の重国籍の防止という立法目的は合理性を有する。 自己の志望によって外国籍を取得した者については、国籍変更の自由を保障している以上、重国籍防止の見地か うな問題ではない。したがって、国籍法11条1項の重国籍の防止という立法目的は合理性を有する。 自己の志望によって外国籍を取得した者については、国籍変更の自由を保障している以上、重国籍防止の見地から、当然に従前の国籍を放棄する意思があるとみるべきであり、国籍法11条1項は、その反射的効果として日本国籍を失うとしたものであり、この日本国籍の喪失は、志望による外国籍の取得によって自動的に生ずる効果であると解される。 国籍法11条1項は、外国籍取得に係る意思のほかに日本国籍喪失の意思が存するか否かを問題とする制度設計になっておらず、このような制度設計は、重国籍の発生の防止の観点からも合理性のあるものである。 したがって、外国籍を志望取得したことにより日本国籍を喪失させるに当たり、国籍法11条1項が日本国籍喪失の意思や認識を要件とせず、いずれの国籍にするかの現実的な選択の機会を与えていないとしても、そのことは、重国籍の発生を可能な限り防止しつつ国籍変更の自由を保障するという同項の立法目的を実現する手段としての合理性を否定するものとはいえない。 - 17 -外国籍の当然取得、外国籍の生来的取得及び日本国籍の志望取得と、国籍法11条1項の自己の志望による外国籍の取得とでは、そもそも前提となる目的や趣旨が異なるのであるから、重国籍防止を図る方法に差があるのは当然であり、これらの異なる制度と対比して、同項の規定が合理性を欠くということはできない。また、我が国の姿勢として重国籍を容認していないのであって、重国籍を広く認めた上でその事後的解消の方法として本人の選択によることを基本としているなどと解する余地はない。 したがって、国籍法11条1項は、その立法目的や当該立法目的と手段との関連性の観点から合理性を欠くものではない。 ⑶ 争点⑶(国籍 て本人の選択によることを基本としているなどと解する余地はない。 したがって、国籍法11条1項は、その立法目的や当該立法目的と手段との関連性の観点から合理性を欠くものではない。 ⑶ 争点⑶(国籍法11条1項が憲法14条1項に違反するか否か)について(控訴人らの主張)ア国籍法11条1項は、以下のとおり、外国籍を志望取得した者のみに対して国籍選択の機会を与えず、また、複数国籍を保持する機会を与えずに日本国籍を喪失させる点で、外国籍の当然取得による複数国籍者、生来的複数国籍者及び日本国籍の志望取得者との間で、合理的理由のない差別を生じさせており、憲法14条1項に違反し無効である。 イある法律の具体的な規定が、一定の範囲の者に対して、それ以外の者との間に取扱いの区別を生じさせている場合において、その規定が憲法14条1項に違反するか否かの判断に当たっては、そのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合、又はその具体的な区別と立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には、当該区別は合理的な理由のない差別として憲法14条1項に違反する。そして、目的と手段との間の合理的関連性は、単に目的の実現にとって効果的か否かのみではなく、目的に対して過剰な権利制限又は要件過重となっていないかをも考慮した上で判断されるものであり、権利制限又は要 - 18 -件過重によって差別的取扱いをしなければ立法目的を達成できないという状況でなければ、当該差別的取扱いと立法目的との間に合理的関連性があるとはいえない。 国籍法11条1項は、外国籍を志望取得した者の日本国籍を喪失させるものであり、いわゆる権利制限規定に当たり、本人の意図ないし認識にかかわらず、自動的に日本国籍を喪失させることが目的に対して過剰ではないか 11条1項は、外国籍を志望取得した者の日本国籍を喪失させるものであり、いわゆる権利制限規定に当たり、本人の意図ないし認識にかかわらず、自動的に日本国籍を喪失させることが目的に対して過剰ではないかが問われるものである。また、同項により生ずる区別は、①日本国籍という重要な法的地位に関するもので、②日本国籍の喪失という法的効果をもたらし、③本人の意図ないし認識と無関係に日本国籍を喪失させるという特徴を有するものであるから、同項の憲法14条1項適合性を検討するに当たっては、国籍法11条1項と同じく複数国籍の発生防止や解消を目的とする国籍法の他の制度との対比において慎重な検討がされるべきである(平成20年大法廷判決参照)。 外国籍の当然取得による複数国籍との間の差別的取扱いについて複数国籍の防止解消という要請は、複数国籍という状態から様々な弊害が生ずるおそれがあることから、複数国籍という状態を防止し解消することを企図するものであり、複数国籍となった原因や複数国籍になる過程における本人の意思の関与の有無は、複数国籍により生じ得る弊害の内容や発生可能性に違いを生じさせるものではなく、上記の要請は、「日本国民は、外国籍を取得したときは、日本国籍を失う。」という制度を設けることによって容易に実現することが可能である。しかし、国籍法は、外国籍の当然取得者に対しては一旦複数国籍となることを認めた上で日本国籍か外国籍かを事後的に選択する機会を保障して本人の意思に基づく複数国籍の解消を企図し、法律の不知により日本国籍を喪失することがないように選択催告(国籍法15条)というセーフガードも設けているのに対し、外国籍の志望取得者に対しては、本人の意思を無 - 19 -視し、国籍選択の機会も与えずに日本国籍を喪失させているが、外国籍 に選択催告(国籍法15条)というセーフガードも設けているのに対し、外国籍の志望取得者に対しては、本人の意思を無 - 19 -視し、国籍選択の機会も与えずに日本国籍を喪失させているが、外国籍の志望取得の場合に限って複数国籍の発生を事前に防止することが国籍法の核心的要請というわけではなく、外国籍の志望取得の場合には特に複数国籍を事前に防止しなければ国籍法の複数国籍防止という立法目的を達成できないということもない。そして、日本国籍が重要な法的地位であること等も考慮すれば、国籍法11条1項が本人の意思を無視して選択の機会を与えずに日本国籍を喪失させていることは、複数国籍の防止解消という国籍法の立法目的に対して過剰な制約であり、立法目的との間に合理的関連性がない。 生来的複数国籍との間の差別的取扱いについて生来的に日本国籍と外国籍を取得する場合(日本国籍と外国籍の夫婦の間に生まれた場合や日本国籍者の子が生地主義国で生まれた場合等)と日本国民が外国籍を志望取得したことにより日本国籍と外国籍の複数国籍となる場合(仮に国籍法11条1項が存在しないとした場合)との間には何らの差異はなく、複数国籍による弊害を回避するために複数国籍を防止するという立法目的からは、生来的に複数国籍を取得した者と外国籍を志望取得した者を別異に取り扱うべき合理的理由は存在しない。 複数国籍の発生防止は、複数国籍による弊害の発生防止を目的とするものであり、複数国籍の状態の存在自体が問題なのであるから、複数国籍となった原因ないし経緯によって複数国籍の状態が発生することの許否が左右される合理的な根拠はなく、複数国籍の発生原因の違いによって一方では複数国籍を認め(生来的複数国籍者)、他方ではこれを認めない(国籍法11条1項の対象者)という 国籍の状態が発生することの許否が左右される合理的な根拠はなく、複数国籍の発生原因の違いによって一方では複数国籍を認め(生来的複数国籍者)、他方ではこれを認めない(国籍法11条1項の対象者)という差別的取扱いに合理的な根拠はない。 生来的な複数国籍の発生の防止が技術上困難であるからといって、外 - 20 -国籍を志望取得した者について、その意思に反し選択の機会も保障せずに日本国籍を喪失させることの合理性を根拠付けるものではない。国籍法は、国籍選択制度を設け、複数国籍の事後的な解消であっても複数国籍の防止解消の目的を達成できるとしており、法律の不知により日本国籍を喪失することがないように選択催告(国籍法15条)というセーフガードも設けているのに、外国籍を志望取得した者に限って、その者の意思を無視して選択の機会を奪ってまで複数国籍の発生を防止しなければならない特別な事情があるとはいい難い。 以上のとおり、生来的に複数国籍を取得した者には複数国籍の取得を認めた上で事後的な選択の機会を保障しているのに対し、外国籍を志望取得した者には外国籍の取得と日本国籍を同時に喪失させて国籍選択の機会を保障しないという差別的な取扱いに合理的な根拠があるとはいえない。 日本国籍の志望取得による複数国籍との間の差別的取扱いについて国籍法は、日本国籍を志望取得した者(認知による国籍取得(同法3条1項)、国籍再取得(同法17条1項)及び原国籍を保持したままでの帰化による国籍取得(同法5条2項))が複数国籍となることを認めているが、他の国籍を取得する意思に基づき複数国籍の状態となっているという意味では、日本国籍を志望取得した者と外国籍を志望取得した者との間に実質的な差異はないはずである。 また、外国籍の喪失を日本国籍取得の条件とすること等に 意思に基づき複数国籍の状態となっているという意味では、日本国籍を志望取得した者と外国籍を志望取得した者との間に実質的な差異はないはずである。 また、外国籍の喪失を日本国籍取得の条件とすること等により国籍法11条1項と同様に複数国籍の発生を防止することが可能であるにもかかわらず、国籍法は、日本国籍の志望取得による複数国籍者に対しては、そのような複数国籍の事前防止の制度を採用せず、事後的選択(法律の不知により日本国籍を喪失することがないようにするための選択催告というセーフガードを含む。)による解消に委ねることとしたものであり、 - 21 -両者の取扱いの相違に合理的な理由があるとは認められない。 以上のとおり、日本国籍を志望取得した者に対しては複数国籍となることを認めた上で事後的な選択の機会を保障しているのに対し、外国籍を志望取得した者に対しては外国籍の取得と同時に日本国籍を喪失させ、国籍選択の機会を保障しておらず、このような差別的取扱いには合理的な根拠があるとはいえない。 以上のとおり、複数国籍の発生の防止及び解消という同じ立法目的を達成するための手段として、外国籍の当然取得による複数国籍者、生来的複数国籍者及び日本国籍の志望取得による複数国籍者については、一旦複数国籍となることを認めた上で、選択制度により選択の機会を保障しつつ事後的に本人の意思による複数国籍の解消を図るものとしている(外国籍を有する日本国民で国籍選択制度に基づき国籍選択宣言を行った者は、国籍法16条1項により外国籍の離脱に努めなければならないとされているが、同項は訓示規定であり、刑罰による制裁や日本国籍の喪失等の不利益はないため、国籍選択宣言を行った後も外国籍を離脱せずに複数国籍の状態を保持することが可能となっている。)のに対し、国籍法11 いるが、同項は訓示規定であり、刑罰による制裁や日本国籍の喪失等の不利益はないため、国籍選択宣言を行った後も外国籍を離脱せずに複数国籍の状態を保持することが可能となっている。)のに対し、国籍法11条1項の対象者に限って、本人の意思に反し選択の機会を保障しないで日本国籍を喪失させるという取扱いをしなければ、その立法目的を達成できないという事情は存在せず、複数国籍の発生の防止及び解消という立法目的との間で合理的関連性を有するとはいい難い。 (被控訴人の主張)ア平成20年大法廷判決は、当時の国籍法3条1項の区別が、子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄に着目した区別であることから、その区別に合理的な理由があるか否かを慎重に検討する必要があると指摘しているものと考えられるところ、控訴人らが国籍法11条1項により生ずる区別の特徴として挙げる - 22 -事情(①日本国籍という重要な法的地位に関すること、②日本国籍の喪失という法的効果をもたらすこと、③本人の意図ないし認識と無関係に日本国籍を喪失させること)は、自らの志望による外国籍の取得により生ずるものであって、平成20年大法廷判決のいう「このような事柄」とは性質が全く異なるものであるから、本件が、同判決の事案と同様に、問題となる区別に合理的理由があるか否かについて慎重に検討することが必要とされる事案であると解することはできない。 イ国籍法11条1項の場合と、①当然取得によって外国籍を取得した日本国民、②生来的に外国籍を取得した日本国民及び③日本国籍を志望取得した外国人の場合とは、そもそも制度目的や趣旨が異なるものであるから、重国籍防止を図る方法に差異があるのは当然であり、上記①ないし③の場合との対比において、国籍法11条1項 及び③日本国籍を志望取得した外国人の場合とは、そもそも制度目的や趣旨が異なるものであるから、重国籍防止を図る方法に差異があるのは当然であり、上記①ないし③の場合との対比において、国籍法11条1項が合理性を欠くということにはならず、この点を措くとしても、国籍法11条1項と上記①ないし③の場合との区別には合理性がある。 ウ国籍選択宣言(国籍法14条2項)をした後に外国籍を離脱しない者がいることをもって、国籍法が外国籍を保持しつつ日本国籍を保持し続けることを容認しているとするのは誤りであり、国籍法の理念に反して事実上の便益を得ている者が存在することを捉えてその者と控訴人らの不均衡を論ずる立論の前提自体が失当である。 エ身分行為等によって外国籍を当然取得する者や出生によって生来的に外国籍を取得する者については、当該身分行為等及び出生により当該外国の法に基づき外国籍を取得するのであるから、外国籍の取得について意思が介在していない(当該外国籍を取得することなく当該身分行為等を行うことができないのであるから、外国籍の取得にその者の意思が介在するとみることはできない。)のであり、このような者らに対しては、ひとまず重国籍が発生することを容認した上で自らの意思によりいずれかの国籍を選 - 23 -択することによって事後的に重国籍を解消するのが相当であり、このような場合と外国籍の取得の段階で本人の意思が介在する外国籍の志望取得の場合とで取扱いに差を設けることには合理性がある。 オ国籍法11条1項は、外国籍を志望取得した場合に、当然に日本国籍を放棄する意思があるとみるべきで、その反射的効果として日本国籍を失うものとしており、日本国籍の喪失は直接日本国籍を離脱することに向けられた意思の効果ではなく、志望による外国籍の取得によって自動的に生ず 棄する意思があるとみるべきで、その反射的効果として日本国籍を失うものとしており、日本国籍の喪失は直接日本国籍を離脱することに向けられた意思の効果ではなく、志望による外国籍の取得によって自動的に生ずる効果であるところ、同項の規定により国籍を喪失するという効果を生ずるために、日本国籍離脱の意思又は日本国籍喪失の認識が要件とされていないことは、国籍の積極的抵触(重国籍の発生)の防止の観点からも合理性を有するものであり、国籍法3条、17条1項により日本国籍を志望取得する場合及び同法5条2項により日本国籍を志望取得する場合と同法11条1項の場合とで重国籍防止の取扱いに差を設けることには合理性がある。 ⑷ 争点⑷(国籍法11条1項の改廃に係る立法不作為の国家賠償法上の違法性並びに損害の有無及び額)について(控訴人1ないし控訴人6の主張)ア国籍法11条1項は、昭和25年の立法当初から国民主権原理、基本的人権尊重原理及び個人の尊重原理との関係で憲法10条に違反し、かつ、憲法13条及び22条2項に違反しており、複数国籍の発生を広く肯定する昭和59年国籍法改正がされて以降、国籍法11条1項は憲法14条1項にも違反することが一層明らかとなっており、仮に昭和59年国籍法改正の時までに憲法14条1項違反とならなかったとしても、その後の立法事実の変化により遅くとも平成9年頃までには同項違反となった。 被控訴人は、昭和59年国籍法改正の前から複数国籍の発生防止の必要性に疑問を持ち、国籍の権利性についても認識しており、昭和59年国籍 - 24 -法改正では複数国籍の発生を広く肯定し、その解消は本人の意思を尊重して行うという制度設計を行っており、その際、日本国籍を喪失させる場面において国籍法11条1項の適用場面のみが法律の不知についての配慮 法改正では複数国籍の発生を広く肯定し、その解消は本人の意思を尊重して行うという制度設計を行っており、その際、日本国籍を喪失させる場面において国籍法11条1項の適用場面のみが法律の不知についての配慮も救済もないままであるという重大な平等原則違反についても容易に認識することができた。また、平成元年には、国籍法11条1項は本人の意思にかかわらず日本国籍を剝奪し得る規定であることが通説的な見解となった。したがって、被控訴人は、昭和59年あるいは遅くとも平成元年までには、国籍法11条1項の違憲性について容易に認識することができ、日本国籍の憲法上の重要性に鑑みれば、直ちに同項の改廃に取り組むべきであった。それにもかかわらず、被控訴人は、同項の改廃を怠り、同項によって日本国民が日本国籍を剝奪され続けるのを放置し続けたものであるから、被控訴人の立法不作為は国家賠償法上違法である。 イ控訴人1ないし控訴人6は、被控訴人の立法不作為により、国籍法11条1項により外国籍の取得と同時に日本国籍を喪失したものとして扱われ、甚大な精神的損害を被ったものであり、その損害を金銭に換算すると、各人につき50万円を下らない。 (被控訴人の主張)国籍法11条1項の立法目的は合理的であって、憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるなどとはいえないから、国籍法11条1項の改正を行わなかったことが国家賠償法上違法であるとはいえない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、控訴人7及び控訴人8の各訴えは確認の利益のあるものとしていずれも適法であり、控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断するものであり、その理由は、以下のとおりである。 2 争点⑴(控訴人7及び控訴人8の訴えに 控訴人8の各訴えは確認の利益のあるものとしていずれも適法であり、控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断するものであり、その理由は、以下のとおりである。 2 争点⑴(控訴人7及び控訴人8の訴えに確認の利益があるか否か)について - 25 -⑴ア控訴人7及び控訴人8は、国籍法11条1項は憲法の規定に違反して無効である旨を主張して、自己が外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認を求めており、これらの各訴えは、公法上の当事者訴訟のうち公法上の法律関係に関する確認の訴え(行政事件訴訟法4条)に当たる。そして、確認の訴えが適法であるといえるためには、確認の利益が存在することが必要であるところ、確認の訴えにおける確認の利益は、判決をもって法律関係の存否を確定することが、その法律関係に関する法律上の紛争を解決し、当事者の法律上の地位の不安、危険を除去するために必要かつ適切である場合に認められる(最高裁昭和44年(オ)第719号同47年11月9日第一小法廷判決・民集26巻9号1513頁、最高裁平成13年(行ツ)第82号、第83号、同年(行ヒ)第76号、第77号同17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁参照)。 イそこで、まず、控訴人7の訴えについて検討するに、スイス国籍法が規定するスイス国籍の取得要件は、⒜①申請時に定住許可を有していること、②申請時にスイスに合わせて10年の滞在歴(滞在歴のうちの3年は、申請提出から5年以内のものとする。)があることを証明することという形式的要件(スイス国籍法9条1項)と、⒝①スイス社会に統合されていること(同法12条の基準により判断される。)、②スイスの生活環境に精通していること、③スイスの国内又は国外的な安全にとっての脅威でないことという実質的要件(同法11条 ⒝①スイス社会に統合されていること(同法12条の基準により判断される。)、②スイスの生活環境に精通していること、③スイスの国内又は国外的な安全にとっての脅威でないことという実質的要件(同法11条)である(乙33の1及び2)。 これを控訴人7についてみるに、控訴人7は、⒜①スイスの定住許可(滞在許可(Cパーミット))を有しており(スイス国籍法9条1項a。 甲146、186の1及び2)、②2001年(平成13年)から現在まで20年以上にわたりスイスに居住しており(同項b。甲146、186の1及び2)、①(ⅰ)犯罪歴はなく(甲187の1及び2)、公の安全 - 26 -及び秩序を守っていると認められ(同法12条1項a)、(ⅱ)スイス憲法に忠実であり、法秩序を尊重し、憲法が尊重する基本的権利を侵害しないよう努力することを宣誓しており(甲188の1及び2)、スイス連邦憲法の価値観を尊重していると認められ(同法12条1項b)、(ⅲ)スイス国内の大学の文学部フランス文明学科の学位を取得した後(甲189の1及び2)、2015年(平成27年)からスイス企業に在庫管理及び日本市場担当のマネージャーとして勤務しており(甲190、191の各1及び2)、日常生活において、口頭及び文字により国語(スイスの公用語)を理解する能力があり(同項c)、スイスの経済活動又は教養の習得に参加していると認められ(同項d)、(ⅳ)2017年(平成29年)3月に中国国籍の女性と台湾の方式により婚姻をし(甲7)、同女性は同月に控訴人7と生活するためにスイスに入国しており(甲146、192の1及び2)、配偶者のスイス社会への統合を促進及び支援しているものと認められ(同項e)、②上記①のとおり、2001年(平成13年)のスイス入国以来、20年以上にわたりスイスで生活し、その 、192の1及び2)、配偶者のスイス社会への統合を促進及び支援しているものと認められ(同項e)、②上記①のとおり、2001年(平成13年)のスイス入国以来、20年以上にわたりスイスで生活し、その間にスイス国内の大学で学位を取得した後スイス企業に正社員として勤務していること等からすれば、スイスの生活環境に精通していることが認められ(同法11条b)、③上記①のとおり、犯罪歴はなく、スイス憲法に忠実であり、法秩序を尊重し、憲法が尊重する基本的権利を侵害しないよう努力することを宣誓しており、スイスの国内又は国外的な安全にとっての脅威でないことが認められる(同条c)。 以上によれば、控訴人7は、スイス国籍の取得に係る形式的要件及び実質的要件を全て満たしているものと認められ、事柄の性質及び法文の文言等に照らし、スイス国籍の取得に係る要件を定めるスイス国籍法の各規定が所定の要件を全て満たす者についてスイス国籍を付与するか否かの判断につきスイスの所轄庁の裁量を認める裁量規定であると解され - 27 -ることを考慮しても、控訴人7がスイスの所轄庁に対してスイス国籍の取得の申請をした場合には、スイス国籍を取得する相当程度の蓋然性があるものと認めるのが相当である。そして、控訴人7は、スイス国籍を取得した上でその後も日本国籍を保持し続けることを希望し、スイス国籍の取得の申請に先立ってその取得後における日本国籍の保持の可否の確認を求めているところ(弁論の全趣旨)、日本国籍は、我が国の構成員としての資格であるとともに、基本的人権の保障、公的資格の付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもあり(平成20年大法廷判決参照)、スイス国籍を取得したことにより国籍法11条1項に基づき日本国籍を喪失した後にこれを争うことによっては喪失 付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもあり(平成20年大法廷判決参照)、スイス国籍を取得したことにより国籍法11条1項に基づき日本国籍を喪失した後にこれを争うことによっては喪失していた期間に係る当該法的地位の実質を回復することが困難な性質のものであること等に照らせば、控訴人7の自己が外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認を求める訴えは、判決をもって上記の法律関係の存否を確定することが、控訴人7がスイス国籍を志望取得した場合に日本国籍を喪失するか否かという法律関係に関する法律上の紛争を解決し、控訴人7の日本国籍を保有し得るか否かに係る法律上の地位の不安、危険を除去するために必要かつ適切なものであると認めるのが相当であり、確認の利益が認められるものというべきである。 次に、控訴人8の訴えについて検討するに、フランス民法が規定するフランス国籍を有する配偶者と婚姻をした外国人がフランス国籍を取得するための要件は、①配偶者がフランス国籍で、婚姻から4年以上経過していること(同法21-2条)、②配偶者間の共同生活が婚姻後に中断しておらず、配偶者がフランス国籍を維持していること(同条)、③十分なフランス語の知識があることを証明すること(同条)、④フランスに合法的に居住していること(21-16条、21-27条)、⑤フランス国家の基本的な利益の侵害又はテロ行為に相当する重罪若しくは軽罪によ - 28 -って有罪判決を受けたことや、犯罪の種類を問わず執行猶予の付かない6月以上の拘禁刑に処せられたことがないこと(21-27条)である(乙34の1及び2)。 これを控訴人8についてみるに、控訴人8は、①フランス国籍を有する配偶者と1976年(昭和51年)に婚姻をし(甲8)、婚姻から40年以上経過し いこと(21-27条)である(乙34の1及び2)。 これを控訴人8についてみるに、控訴人8は、①フランス国籍を有する配偶者と1976年(昭和51年)に婚姻をし(甲8)、婚姻から40年以上経過しており、②控訴人8とその配偶者の共同生活は婚姻後に中断しておらず、配偶者はフランス国籍を維持しているものと認められ(甲122、195の1及び2)、③1987年(昭和62年)から現在に至るまで約35年にわたりフランスで生活し(甲122〔2頁〕)、フランスの永住資格を有しており(甲195の1及び2)、このようなフランスでの生活やフランス国籍を有する配偶者との40年以上の共同生活を通して十分なフランス語の知識があるものと認められ、④現在に至るまで上記の永住資格に基づいて合法的にフランスに居住しており(甲195の1及び2)、⑤フランス国家の基本的な利益の侵害又はテロ行為に相当する重罪若しくは軽罪によって有罪判決を受けたことや、犯罪の種類を問わず執行猶予の付かない6月以上の拘禁刑に処せられたことはないものと認められる(甲122、弁論の全趣旨)。 以上によれば、控訴人8は、フランス国籍の取得に係る要件を全て満たしているものと認められ、事柄の性質及び法文の文言等に照らし、フランス国籍を有する配偶者と婚姻をした外国人の届出によるフランス国籍の取得に係る要件を定めるフランス民法の各規定が所定の要件を全て満たす者についてフランス国籍を付与するか否かの判断につきフランスの所轄庁の裁量を認める裁量規定であると解されることを考慮しても、控訴人8がフランスの所轄庁に対してフランス国籍の取得の届出をした場合には、フランス国籍を取得する相当程度の蓋然性があるものと認めるのが相当である。そして、控訴人8は、フランス国籍を取得した上で - 29 -その後も日本国籍を ランス国籍の取得の届出をした場合には、フランス国籍を取得する相当程度の蓋然性があるものと認めるのが相当である。そして、控訴人8は、フランス国籍を取得した上で - 29 -その後も日本国籍を保持し続けることを希望し、フランス国籍の取得の申請に先立ってその取得後における日本国籍の保持の可否の確認を求めているところ(弁論の全趣旨)、日本国籍は、我が国の構成員としての資格であるとともに、基本的人権の保障、公的資格の付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもあり、フランス国籍を取得したことにより国籍法11条1項に基づき日本国籍を喪失した後にこれを争うことによっては喪失していた期間に係る当該法的地位の実質を回復することが困難な性質のものであること等に照らせば、控訴人8の自己が外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認を求める訴えは、判決をもって上記の法律関係の存否を確定することが、控訴人8がフランス国籍を志望取得した場合に日本国籍を喪失するか否かという法律関係に関する法律上の紛争を解決し、控訴人8の日本国籍を保有し得るか否かに係る法律上の地位の不安、危険を除去するために必要かつ適切なものであると認めるのが相当であり、確認の利益が認められるものというべきである。 ⑵ これに対し、被控訴人は、原審及び当審において、控訴人7及び控訴人8は、現在日本国籍者であって、自らが外国籍の取得を志望しない限り、現在有する日本国籍が失われることはなく、将来スイス国籍又はフランス国籍の取得申請をした場合に確実に当該国籍を取得することができるとはいえないから、現時点において控訴人7及び控訴人8の日本国籍を保有する地位に何らかの危険又は不安が存在するとはいえず、即時解決の必要性(即時確定の現実的利益、解決すべき紛争の成熟性)を欠き きるとはいえないから、現時点において控訴人7及び控訴人8の日本国籍を保有する地位に何らかの危険又は不安が存在するとはいえず、即時解決の必要性(即時確定の現実的利益、解決すべき紛争の成熟性)を欠き、控訴人7及び控訴人8の各訴えに確認の利益は認められない旨を主張する。 しかしながら、上記⑴イのとおり、控訴人7及び控訴人8は、それぞれスイス国籍又はフランス国籍の取得に係る要件を全て満たしているものと認められ、事柄の性質及び法文の文言等に照らし、当該各国籍の取得に係るスイ - 30 -ス国籍法又はフランス民法の各規定が所定の要件を全て満たす者についてスイス国籍又はフランス国籍を付与するか否かの判断につき当該各国の所轄庁の裁量を認める裁量規定であると解されることを考慮しても、申請又は届出(以下「申請等」という。)をすれば当該各国籍を取得する相当程度の蓋然性があるものと認めるのが相当であり、同控訴人らは、スイス国籍又はフランス国籍を取得した上でその後も日本国籍を保持し続けることを希望し、当該各国籍の取得の申請等に先立ってその取得後における日本国籍の保持の可否の確認を求めているところ、日本国籍は我が国の構成員としての資格であるとともに、基本的人権の保障、公的資格の付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもあり、外国籍を取得したことにより国籍法11条1項に基づき日本国籍を喪失した後にこれを争うことによってはその法的地位の実質を回復することが困難な性質のものであること等に照らせば、控訴人7及び控訴人8が現時点で当該外国籍の取得に係る申請等を行っていないことや将来申請等を行った場合に当該外国籍の取得が確実とまではいえないことを考慮しても、控訴人7及び控訴人8の自己が外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認 係る申請等を行っていないことや将来申請等を行った場合に当該外国籍の取得が確実とまではいえないことを考慮しても、控訴人7及び控訴人8の自己が外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認を求める各訴えは、判決をもって上記の法律関係の存否を確定することが、外国籍を志望取得した場合に日本国籍を喪失するか否かという法律関係に関する法律上の紛争を解決し、控訴人7及び控訴人8の日本国籍を保有し得るか否かに係る法律上の地位の不安、危険を除去するために必要かつ適切なものであると認めるのが相当であり、被控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑶ 小括以上によれば、控訴人7及び控訴人8の各訴えは、いずれも確認の利益があるものと認められ、適法であるというべきである。 3 争点⑵(国籍法11条1項が憲法10条、13条及び22条2項に違反するか否か)について - 31 -⑴ 争点⑵(国籍法11条1項が憲法10条、13条及び22条2項に違反するか否か)に関する当裁判所の判断は、以下のとおり原判決を補正し、後記⑵のとおり当審における控訴人らの主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」(以下、後記アの補正後の「第4 当裁判所の判断」を「原判決第4」という。)の2に記載のとおりであるから、これを引用する。 ア原判決36頁21行目冒頭の「第3」を「第4」に改める。 イ原判決39頁13行目から14行目にかけての「最高裁平成25年(行ツ)第230号同27年3月10日第三小法廷判決・民集69巻2号265頁」を「平成27年第三小法廷判決」に、同頁16行目から17行目かけての「国籍の取得及び保持に関する権利」を「国籍を離脱しない自由ないし国籍を保持する権利」に、同頁22行目の「すぎない」を「とどまる 頁」を「平成27年第三小法廷判決」に、同頁16行目から17行目かけての「国籍の取得及び保持に関する権利」を「国籍を離脱しない自由ないし国籍を保持する権利」に、同頁22行目の「すぎない」を「とどまるもの」に、同行から同頁23行目にかけての「日本国籍を積極的に取得又は保持することができる権利が」を「日本国籍を離脱しない自由ないし日本国籍を保持する権利が積極的に」にそれぞれ改める。 ウ原判決40頁4行目の「もっとも、」を「また、」に、同頁6行目の「でもある」から7行目の「に鑑み」までを「でもあること(平成20年大法廷判決参照)に鑑み」にそれぞれ改め、同頁13行目の「場合には、」の次に「立法府の」を、同頁14行目及び18行目の各「又は」の次にいずれも「これを」をそれぞれ加える。 エ原判決41頁10行目の「国籍離脱」を「国籍の喪失」に、同頁13行目の「国籍法8条」及び同頁18行目の「同法8条」をいずれも「改正前国籍法8条」に、同頁15行目の「立法担当者」を「立案担当者」に、同頁19行目の「規定である」を「規定であり、旧国籍法20条の規定をそのまま踏襲したものである」にそれぞれ改める。 オ原判決43頁3行目の「できない」の次に「(なお、昭和25年の国籍法 - 32 -制定の際の法案審議における立案担当者の説明によれば、改正前国籍法8条(現行11条1項)の趣旨は、国籍変更の自由を認めるとともに、国籍の抵触を防止することを目的とする規定であるとされていたこと(甲21〔3頁〕)は、上記アにおいて説示したとおりである。)」を加える。 カ原判決44頁2行目から3行目にかけての「生じさせる」を「生じさせ、これらの種々の弊害が生ずる」に、同頁11行目の「防止する」を「防止しつつ、国籍変更の自由を保障する」にそれぞれ改める。 キ原判決4 決44頁2行目から3行目にかけての「生じさせる」を「生じさせ、これらの種々の弊害が生ずる」に、同頁11行目の「防止する」を「防止しつつ、国籍変更の自由を保障する」にそれぞれ改める。 キ原判決45頁3行目の「事前に」から9行目末尾までを「上記のように何ら自己の意思によらずに重国籍を取得する場合とは異なり、外国籍を取得するか否かを選択する機会が与えられているのであるから、一旦重国籍の発生を認めた上で自己の意思によって事後的に重国籍を解消させる制度を採る必要性は乏しいものというべきである。したがって、同項の規定が、自己の志望によって外国籍を取得した者について、重国籍の発生を防止しつつ国籍離脱の一場面である国籍変更の自由を保障するという立法目的を達成するため、重国籍を解消するための手段として国籍離脱制度や国籍選択制度を採用せず、外国籍の取得により当然に日本国籍を喪失するものとしたことが不合理であるとはいえず、控訴人らの主張は採用することができない。」に、同頁23行目の「自由」を「権利」にそれぞれ改める。 ク原判決46頁5行目から6行目にかけての「場合には、」の次に「立法府の」を、同行の「又は」の次に「これを」をそれぞれ加える。 ケ原判決47頁12行目の「国も」の次に「それぞれ相当数」を、同行の「存在している」の次に「(一定の例外を容認しつつ、外国籍を取得したときは当該国の国籍を喪失する法制を採る国も、ドイツ連邦共和国、オーストリア共和国、オランダ王国など一定数存在する。)」をそれぞれ加え、同頁15行目の「政治的環境」から「必要があるところ」までを「歴史的事情、伝統、政治的、社会的及び経済的環境等、種々の要因を考慮する必要 - 33 -があるところ(平成20年大法廷判決、平成27年第三小法廷判決参照)」に改める。 ⑵ 当審に までを「歴史的事情、伝統、政治的、社会的及び経済的環境等、種々の要因を考慮する必要 - 33 -があるところ(平成20年大法廷判決、平成27年第三小法廷判決参照)」に改める。 ⑵ 当審における控訴人らの主張に対する判断ア憲法22条2項に違反するか否かについて控訴人らは、憲法22条2項は国籍離脱の自由とともに「日本国籍を離脱しない自由」ないし「日本国籍を保持する権利」をも保障するものであり、何人も原則として本人の意思に基づかずに日本国籍を喪失させられないものと解すべきである旨を主張する。 しかしながら、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑴)のとおり、①憲法は、22条2項において、「何人も(中略)国籍を離脱する自由を侵されない。」と規定して、国籍離脱の自由を定めているものの、国籍を離脱しない自由ないし国籍を保持する権利が保障されるか否かについては何らの定めも置いておらず、②憲法10条は、「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」と規定し、これを受けて、国籍法は、日本国籍の得喪に関する要件を規定しているところ、憲法10条の規定は、国籍は国家の構成員としての資格であり、国籍の得喪に関する要件を定めるに当たってはそれぞれの国の歴史的事情、伝統、政治的、社会的及び経済的環境等、種々の要因を考慮する必要があることから、これをどのように定めるかについて、立法府の裁量判断に委ねる趣旨のものであると解されること(平成20年大法廷判決、平成27年第三小法廷判決参照)からすると、憲法22条2項の定める国籍離脱の自由は、日本国籍からの離脱を望む者に対して、その者が無国籍者となるのでない限り、国家がこれを妨げることを禁止するという消極的権利を定めたものにとどまるものと解するのが相当であり、同項の規定を根拠に、憲法上、日本国籍を 離脱を望む者に対して、その者が無国籍者となるのでない限り、国家がこれを妨げることを禁止するという消極的権利を定めたものにとどまるものと解するのが相当であり、同項の規定を根拠に、憲法上、日本国籍を離脱しない自由ないし日本国籍を保持する権利が積極的に保障されていると解することは困難であるといわざるを得ない。そして、上 - 34 -記の判断は、日本国籍からの離脱を個人の選択に委ねる同項の趣旨等や、一定の行為を制限することの禁止を内容とする憲法の規定(表現の自由を保障する憲法21条1項等)には当該行為の強制の禁止も保障していると解釈されているものがあること等の控訴人らの主張に係る観点をしんしゃくしても左右されるものではなく、上記の控訴人らの主張は採用することができない。 イ憲法13条に違反するか否かについて 控訴人らは、「国籍変更の自由(国家から離脱する自由)」も「国籍を離脱しない自由」も、国民主権下の「生命、自由及び幸福追求」の権利にとって不可欠であり、国政上「最大限の尊重を必要とする」(憲法13条)ものであり、「国籍を離脱しない自由」を制約ないし侵害して主権者である国民の国籍を剝奪することは、やむにやまれぬ政府利益を達成するために必要不可欠な場合でなければ許されず、一般に、通常の国籍志望取得手続などにより外国籍を取得しただけで日本国民の国籍を剝奪する場合には、やむにやまれぬ政府利益があるとはいえず、国籍法11条1項は憲法13条に違反し無効である旨を主張する。 しかしながら、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑴)のとおり、憲法10条が日本国籍の得喪に関する要件を立法府の裁量判断に委ねている以上、そのような立法府の裁量によって付与される地位について、憲法13条に基づいて直ちに何らかの権利が保障さ 4の2⑴)のとおり、憲法10条が日本国籍の得喪に関する要件を立法府の裁量判断に委ねている以上、そのような立法府の裁量によって付与される地位について、憲法13条に基づいて直ちに何らかの権利が保障されるものとは解し難いというべきであり、日本国籍を離脱しない自由ないし日本国籍を保持する権利が憲法13条により保障されるものと解することは困難であるといわざるを得ず、上記の控訴人らの主張は採用することができない。 ウ憲法10条に違反するか否かについて 控訴人らは、⒜憲法10条は、日本国籍の剝奪は許されないことを当 - 35 -然の前提としており、同条による法律への委任の内容には日本国籍の剝奪は含まれず、国籍の喪失については本人の意思に基づく離脱(憲法22条2項)の要件のみを法律に委任するものであり、本人の意思に反して日本国籍を剝奪する法律の制定は憲法10条の委任の範囲外であって、国籍法11条1項は日本国籍を本人の意思に反して剝奪する規定であるから、憲法10条に違反して違憲無効であり、⒝仮に憲法10条の委任の範囲に日本国籍の剝奪が含まれるとしても、日本国籍の重要性及びその剝奪という結果の重要性に鑑み、日本国籍を剝奪する立法の合憲性は厳しく審査されるべきであり、当該立法に係る立法目的及びその目的を達成する手段が合理的である場合には立法府の裁量の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないという審査基準によるべきものではなく、⒞仮に、国籍の喪失を定める立法について、当該立法に係る立法目的及びその目的を達成する手段が合理的である場合には立法府の裁量の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないという審査基準によるとしても、国籍法11条1項は、その立法目的及び立法目的を達成する手段に合理性はなく、憲法10条により認められた立法 立法府の裁量の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないという審査基準によるとしても、国籍法11条1項は、その立法目的及び立法目的を達成する手段に合理性はなく、憲法10条により認められた立法裁量を逸脱するもので違憲無効である旨を主張する。 a しかしながら、まず、上記⒜については、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑴)のとおり、憲法10条の規定は、国籍は国家の構成員としての資格であり、国籍の得喪に関する要件を定めるに当たってはそれぞれの国の歴史的事情、伝統、政治的、社会的及び経済的環境等、種々の要因を考慮する必要があることから、これをどのように定めるかについて、立法府の裁量判断に委ねる趣旨のものであると解されるものであり(平成20年大法廷判決、平成27年第三小法廷判決参照)、同条は「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」と規定し、その文言上、日本国民たる要件についての法律の委任の範 - 36 -囲に限定はないから、同条が国籍の喪失について本人の意思に基づく離脱の要件のみを法律に委任するもので本人の意思に反する日本国籍の離脱や喪失を定める法律の制定が同条の委任の範囲外であると解することはできないというべきであり、上記⒜の控訴人らの主張は採用することができない。 b 次に、上記⒝については、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑴)のとおり、日本国籍は、我が国の構成員としての資格であるとともに、基本的人権の保障、公的資格の付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもあること(平成20年大法廷判決参照)に鑑み、仮に、日本国籍を意思に反して奪われないという利益又は法的地位が基本的人権の保障等の観点から憲法13条や22条2項の規定等の精神に照らして尊重されるべきものであることにより、憲法1 決参照)に鑑み、仮に、日本国籍を意思に反して奪われないという利益又は法的地位が基本的人権の保障等の観点から憲法13条や22条2項の規定等の精神に照らして尊重されるべきものであることにより、憲法10条に基づき国籍の得喪に関する要件について立法府に与えられた裁量に一定の制約が及び得るとしても、同条が国籍の得喪に関する要件の定めを立法府の裁量判断に委ねていることからすれば、国籍の喪失を定める立法については、当該立法に係る立法目的及びその目的を達成する手段が合理的である場合には、立法府の裁量の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできないと解するのが相当であり、上記⒝の控訴人らの主張は採用することができない。 c⒜ 上記⒞については、まず、国籍法11条1項の立法目的について検討するに、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑵ア及びイ)のとおり、同項は、自己の志望によって外国籍を取得したときには従前の日本国籍を当然に喪失することとして、重国籍の発生を防止するとともに、憲法22条2項により保障される国籍離脱の自由の一場面として国籍変更の自由を保障することを趣旨とするものと解され、その立法目的は、①重国籍の発生を可能な限り防止し - 37 -つつ、②国籍変更の自由を保障するというものであって、両者は相互に密接に関連するものといえる。そして、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑵ウ)のとおり、①国籍は、国家の基本的構成要素である国民、すなわち、国家の主権者たる地位ないし権利と共に国家の統治権に服する地位ないし義務を持つ者の範囲を画するものであって、個人に対して複数の国家が対人主権を持つ場合、又は個人が複数の国家に対して主権を持つ場合には、国家間の摩擦(外交保護権の衝突等)を生ずるおそれがあり、また、国家と個人との間又 画するものであって、個人に対して複数の国家が対人主権を持つ場合、又は個人が複数の国家に対して主権を持つ場合には、国家間の摩擦(外交保護権の衝突等)を生ずるおそれがあり、また、国家と個人との間又は個人と個人との間の権利義務(納税義務、兵役義務等)に矛盾や衝突を生じさせるおそれのほか、入国管理の阻害や重婚禁止の潜脱等のおそれがあるものといえ、重国籍が常態化した場合には、これらの種々の弊害が生ずるおそれがあるものといえるから、できる限り重国籍を防止し解消させるべきであるという理念は合理性を有するものであり、②国籍法11条1項は、重国籍の発生をできる限り防止しつつ、憲法22条2項により保障される国籍離脱の自由の一場面として外国籍への変更を認めることにより、国籍変更の自由を保障したものであるから、国籍法11条1項の立法目的は合理的であるということができる。 これに対し、控訴人らは、①複数国籍の発生防止という立法目的については、(ⅰ)外交保護権の衝突、納税義務の衝突、重婚の発生、兵役義務の衝突及び適正な入国管理の阻害等の被控訴人の主張する複数国籍の弊害は、そもそも生じないもの、複数国籍を防止することで防止できるという関係にないものなど、複数国籍を防止しなくても防止できるものばかりであり、弊害が現実化したことはなく、たとえ現実化しても重大な問題になることはないと認識されているものであり、(ⅱ)生まれながらの複数国籍者の尊厳を傷つける点で個 - 38 -人の尊厳・自律の基本理念・原理に反するものであり、少数者である複数国籍者に対する差別を助長・煽動する点で多数者の利益のみを追求する全体主義的な思想に基づくものであって、現在及び将来の世代の人間の幸福につながるものにはなり得ず、国家機関と公務員の怠慢、職務放棄、権力の私物化という国民に ・煽動する点で多数者の利益のみを追求する全体主義的な思想に基づくものであって、現在及び将来の世代の人間の幸福につながるものにはなり得ず、国家機関と公務員の怠慢、職務放棄、権力の私物化という国民に対する背信行為を正当なものであると偽装して、それによる甚大な不利益を国民に押し付ける口実にすぎないから、国民主権原理及び憲法13条の個人の尊厳原理が許容するものではなく、(ⅲ)様々な政治目標や政治的理念に劣後するものであり、他の目的よりも絶対的に優先されるような重要なものではないから、複数国籍の発生防止という立法目的に合理性はなく、②国籍変更の自由の保障という立法目的については、(ⅰ)旧国籍法20条には国籍変更の自由の保障という立法目的は存在せず、改正前国籍法8条(現行11条1項)がこれを踏襲したということはあり得ず、(ⅱ)帰化による国籍取得の際に原国籍の離脱を求めずに複数国籍を容認する国家が増加し、その場合には外国籍を取得するに際して日本国籍を喪失させる必要がなく、国籍の変更が国籍離脱の自由を保障するという関係は否定され、(ⅲ)国籍変更の自由を保障することは個人の自由意思を尊重することにほかならないところ、国籍の剝奪は個人の自由意思の蹂躙であり、国籍を剝奪して個人の自由を蹂躙しながら、個人の自由意思の尊重がその立法目的であるとすることは、矛盾を通り越して欺瞞であるから、国籍変更の自由の保障という立法目的に合理性はない旨を主張する。 しかしながら、上記①(ⅰ)については、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑶イ)のとおり、重国籍によって生じ得る種々の弊害について、他に弊害を回避する方法があり得るとしても、あるいは、必ずしも重国籍のみが原因でその弊害が生ずるものではない - 39 -としても、弊害の原因となる重国籍それ自体につ 得る種々の弊害について、他に弊害を回避する方法があり得るとしても、あるいは、必ずしも重国籍のみが原因でその弊害が生ずるものではない - 39 -としても、弊害の原因となる重国籍それ自体について、可能な限りその発生を防止しようとする立法目的自体が直ちに不合理になるとはいえず、また、重国籍による弊害の中には、納税義務の抵触のように国家間の条約等によって解決することが可能な事項があるとしても、全ての国との間においてそのような弊害の防止等を目的とする条約等を締結することは現実的であるとはいえず、現に我が国がそのような条約等を締結している状況にあるものでもなく、たとえ重国籍によって生ずる国家間の紛争を解決する国際慣習法上のルールが存在するとしても、その解釈や適用等をめぐる紛争を未然に防ぐ必要性があることを否定することはできないこと等からすれば、控訴人らの主張を踏まえても、重国籍から生ずる弊害をできる限り解消するという立法目的が不合理であるとはいえない。次に、上記①(ⅱ)については、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑴)及び上記イのとおり、憲法10条が日本国籍の得喪に関する要件を立法府の裁量判断に委ねている以上、そのような立法府の裁量によって付与される地位について、憲法13条に基づいて直ちに何らかの権利が保障されるものとは解し難いというべきであり、また、複数国籍の発生防止という立法目的を国民主権原理が許容しないものと解することもできない。また、上記①(ⅲ)については、他の政治目標や政治的理念との比較という抽象的な観点をもって直ちに複数国籍の発生防止という立法目的の合理性が否定され得るものとはいえない。そして、上記②については、(ⅰ)前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑵ア)のとおり、昭和25年の国籍法制定の際の法案 数国籍の発生防止という立法目的の合理性が否定され得るものとはいえない。そして、上記②については、(ⅰ)前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑵ア)のとおり、昭和25年の国籍法制定の際の法案審議における立案担当者の説明によれば、改正前国籍法8条(現行11条1項)の趣旨は、国籍変更の自由を認めるとともに、国籍の抵触を防止することを目的とする規定であり、旧国籍法20 - 40 -条の規定をそのまま踏襲したものであるとされており、(ⅱ)証拠(甲20、29、乙6、7、30の1ないし6)によれば、現在も重国籍自体を容認していない国や重国籍の発生自体は容認しつつもその解決のための方策を採る国がそれぞれ相当数存在している(一定の例外を容認しつつ、外国籍を取得したときは当該国の国籍を喪失する法制を採る国も、ドイツ連邦共和国、オーストリア共和国、オランダ王国など一定数存在する。)ことが認められ、帰化先の国が重国籍を容認するからといって、我が国の法制において日本国籍を喪失させる必要がないということはできず、国籍の変更が国籍離脱の自由を保障するという関係が否定されるものでもなく、(ⅲ)国籍法11条1項が外国籍を取得する意思のほかに日本国籍を喪失する意思が存することを要件としていないことをもって、直ちに個人の自由意思ないし自由を侵害ないし蹂躙するものと評価し得るものではなく、同項の国籍変更の自由の保障という立法目的に合理性がないということはできない。したがって、控訴人らの上記主張はいずれも採用することができない。 ⒝ また、国籍法11条1項の立法目的を達成する手段については、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑵エ)のとおり、重国籍を可能な限り防止しつつ、国籍変更の自由を保障するという観点からは、志望による外国籍の取得に伴って当然に日 的を達成する手段については、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑵エ)のとおり、重国籍を可能な限り防止しつつ、国籍変更の自由を保障するという観点からは、志望による外国籍の取得に伴って当然に日本国籍を喪失させることは相当な方法であるといえるから、国籍法11条1項は立法目的を達成する手段として合理的であるということができる。 これに対し、控訴人らは、①複数国籍の発生防止という立法目的達成の手段については、(ⅰ)国籍法11条1項により防止される複数国籍のおよそ40倍もの複数国籍の発生が放置され存続しており、複数国籍が生じ得る場面において同項によって複数国籍の発生が防 - 41 -止できるのはごく僅かであり、同項の採用する手段では複数国籍の発生防止という立法目的は達成不可能であるから、複数国籍の発生という立法目的を達成するために、外国籍を志望取得した日本国民から日本国籍を剝奪するという手段を採用することに合理性はなく、(ⅱ)国籍法11条1項は、外国籍の志望取得によって日本国籍を喪失すること(同項の法的効果)の認識をその適用要件としておらず、同項の適用によって日本国籍を喪失することを知らず、そのために事前に外国籍を取得して日本国籍を失うか、外国籍を諦めて日本国籍を保持するかの真摯な選択の機会を与えられなかった者に対しても適用されるため、同項は制度的に適用対象者に対していずれかの国籍を選択する機会を保障しておらず、自主的に日本国籍を離脱する意思を有していた者を除いては、現実的な選択の機会が与えられていたとはいい難く、同項の適用場面においては当事者は事前にいずれかの国籍を選択することが可能であったとはいえないから、立法目的達成の手段として合理性があるとはいえず、②国籍変更の自由の保障という立法目的達成の手段については、国籍法 おいては当事者は事前にいずれかの国籍を選択することが可能であったとはいえないから、立法目的達成の手段として合理性があるとはいえず、②国籍変更の自由の保障という立法目的達成の手段については、国籍法11条1項の採用する手段は、(ⅰ)本人が日本国籍を離脱し外国籍を取得することを希望していて、(ⅱ)当該外国の国籍法制が当該国の国籍取得と同時に原国籍を離脱することを要件としており、(ⅲ)国籍取得と同時に原国籍の離脱ができない場合に原国籍を離脱しないで国籍取得を認める救済規定がないという三つの条件を全て満たす場合に限り、国籍変更の自由の保障に資するものであるところ、国籍法11条1項はこれらの条件のいずれかが欠ける場合にも日本国籍を剝奪するとしており、その結果、控訴人7や控訴人8のように日本国籍を保持したいために外国籍を取得したくても取得できない者を生じさせ、外国籍の取得を妨げて国籍変更の自由の行使を阻害するものである - 42 -から、国籍変更の自由の保障という立法目的を達成するために外国籍を志望取得した日本国民から一律に日本国籍を剝奪するという手段を採用することに合理性はない旨を主張する。 しかしながら、上記①(ⅰ)については、控訴人らの主張によっても、昭和60年から令和元年までの36年間に外国籍を志望し取得したことにより日本国籍を喪失したという届出又は報告のあった者の人数は2万5000人を超えているというのであるから(控訴準備書面85頁)、少なくとも同数程度の複数国籍の発生が防止されたものといえ、たとえこれを上回る複数国籍の発生が生じているとしても、そのことをもって直ちに重国籍を可能な限り防止するという目的を達成するために志望による外国籍の取得に伴って当然に日本国籍を喪失させるという手段の合理性が否定されるものではない。次に、 いるとしても、そのことをもって直ちに重国籍を可能な限り防止するという目的を達成するために志望による外国籍の取得に伴って当然に日本国籍を喪失させるという手段の合理性が否定されるものではない。次に、上記①(ⅱ)については、国籍法11条1項は、外国籍の取得に係る意思のほかに日本国籍の喪失の意思が存することを要件としていないが、重国籍を容認しない我が国の法制の下で、国籍変更の自由の保障という観点から自己の志望によって外国籍を志望取得した者については、自らの意思による外国籍の取得の帰結として日本国籍の喪失という法的効果を生じさせることには合理的な理由があるものというべきであり、外国籍を志望取得したことにより日本国籍を喪失させるに当たり、国籍法11条1項が日本国籍喪失の意思や認識を要件としていないことをもって直ちに重国籍の発生を可能な限り防止しつつ国籍変更の自由を保障するという同項の立法目的を実現する手段としての合理性が否定されるものではない。また、上記②については、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑴)のとおり、憲法10条の規定は、国籍は国家の構成員としての資格であり、国籍の得喪に関する要件を定めるに当たってはそれぞれの国の歴史 - 43 -的事情、伝統、政治的、社会的及び経済的環境等、種々の要因を考慮する必要があることから、これをどのように定めるかについて、立法府の裁量判断に委ねる趣旨のものであると解され、国籍を離脱しない自由ないし日本国籍を保持する権利が憲法上保障されているとは解し難いことや、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2⑵エ)のとおり、何ら自己の意思によらずに重国籍を取得する場合とは異なり、外国籍の志望取得の場合には、外国籍を取得するか否かを選択する機会が与えられているのであるから、一旦重国籍の発生を認め の2⑵エ)のとおり、何ら自己の意思によらずに重国籍を取得する場合とは異なり、外国籍の志望取得の場合には、外国籍を取得するか否かを選択する機会が与えられているのであるから、一旦重国籍の発生を認めた上で自己の意思によって事後的に重国籍を解消させる制度を採る必要性は乏しいこと等に照らせば、国籍変更の自由を保障するという立法目的を達成するために、外国籍を志望取得した場合に、外国籍と日本国籍の重国籍となることを認めず、一律に当然に日本国籍を喪失するという手段を採用することが不合理であるということはできず、控訴人らの主張に係る三つの条件を全て満たすものでなければ上記の立法目的を達成するための手段としての合理性が認められないといえるものではない。したがって、控訴人らの上記⒞の主張は採用することができない。 d 以上のとおり、上記の控訴人らの主張はいずれも採用することができない。 エ争点⑵に関する当審における控訴人らのその余の主張も、実質的に原審における主張を繰り返すもの又はその前提を欠くものであるなど、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2)及び上記アないしウの認定判断を左右するに足りるものとは認められない。 4 争点⑶(国籍法11条1項が憲法14条1項に違反するか否か)について⑴ 争点⑶(国籍法11条1項が憲法14条1項に違反するか否か)に関する当裁判所の判断は、以下のとおり原判決を補正し、後記⑵のとおり当審にお - 44 -ける控訴人らの主張に対する判断を付加するほかは、原判決第4の3に記載のとおりであるから、これを引用する。 ア原判決48頁15行目の「又は」の次に「これを」を加え、同頁20行目の「取得」を「得喪」に、同頁26行目から49頁1行目にかけての「前掲最高裁平成27年3月10日第三小法廷判決」を「平成27 ア原判決48頁15行目の「又は」の次に「これを」を加え、同頁20行目の「取得」を「得喪」に、同頁26行目から49頁1行目にかけての「前掲最高裁平成27年3月10日第三小法廷判決」を「平成27年第三小法廷判決」にそれぞれ改める。 イ原判決49頁15行目及び50頁8行目の各「達するまで」の次にいずれも「(平成30年法律第59号による改正後は、重国籍となった時が18歳に達する前であれば20歳に達するまで)」を加える。 ウ原判決50頁12行目から13行目にかけての「当該外国籍」から14行目の「である」までを「上記のように身分行為等によって何ら本人の意思を介在することなく外国籍を取得した場合とは異なり、外国籍を取得するか否かについて選択する機会が与えられているものである」に改める。 エ原判決51頁21行目及び52頁7行目の各「22歳」の次にいずれも「(平成30年法律第59号による改正後は20歳)」を、53頁2行目の「20歳未満」の次に「(平成30年法律第59号による改正後は18歳未満)」をそれぞれ加える。 オ原判決54頁18行目の「いずれも」の次に「合理的な理由のない」を加える。 ⑵ 当審における控訴人らの主張に対する判断ア前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の3⑴)のとおり、憲法10条は、国籍の得喪に関する要件をどのように定めるかについて、立法府の裁量判断に委ねる趣旨であると解されるが、日本国籍の得喪に関する法律の要件によって生じた区別が合理的な理由のない差別的取扱いとなるとき、すなわち、立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても、なおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合、 - 45 -又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には、当該区別 を考慮しても、なおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合、 - 45 -又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には、当該区別は、合理的な理由のない差別として、憲法14条1項に違反するものと解すべきである(平成20年大法廷判決、平成27年第三小法廷判決参照)。 控訴人らは、国籍法11条1項は、外国籍を志望取得した者のみに対して国籍選択の機会を与えず、また、複数国籍を保持する機会を与えずに日本国籍を喪失させる点で、①外国籍の当然取得による複数国籍者、②生来的複数国籍者及び③日本国籍の志望取得者との間で、合理的理由のない差別を生じさせており、憲法14条1項に違反し無効である旨を主張しており、以下順次検討する。 イ外国籍の当然取得により生ずる重国籍について 控訴人らは、①国籍法は、外国籍の当然取得者に対しては一旦複数国籍となることを認めた上で日本国籍か外国籍かを事後的に選択する機会を保障して本人の意思に基づく複数国籍の解消を企図し、法律の不知により日本国籍を喪失することがないように選択催告(国籍法15条)というセーフガードも設けられているのに対し、外国籍の志望取得者に対しては、本人の意思を無視し、国籍選択の機会も与えずに日本国籍を喪失させているが、外国籍の志望取得の場合に限って複数国籍の発生を事前に防止することが国籍法の核心的要請というわけではなく、外国籍の志望取得の場合には特に複数国籍を事前に防止しなければ国籍法の複数国籍防止という立法目的を達成できないということもなく、②日本国籍が重要な法的地位であること等も考慮すれば、国籍法11条1項が本人の意思を無視して選択の機会を与えずに日本国籍を喪失させていることは、複数国籍の防止解消という国籍法の立法目 うこともなく、②日本国籍が重要な法的地位であること等も考慮すれば、国籍法11条1項が本人の意思を無視して選択の機会を与えずに日本国籍を喪失させていることは、複数国籍の防止解消という国籍法の立法目的に対して過剰な制約であり、立法目的との間に合理的関連性がない旨を主張する。 しかしながら、①前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の3⑵イ) - 46 -のとおり、(ⅰ)外国籍を当然取得した日本人は、国籍の得喪が各国の国内管轄事項に属しており、外国籍の得喪を我が国の法律で規律することができないところ、身分行為等によって何ら本人の意思を介在することなく外国籍を取得したのであるから、そのような者について、直ちに日本国籍を失うものとはせずに、国籍選択の機会を与えることは合理的であるといえ、国籍法14条1項が、一旦重国籍が生ずることを前提として、重国籍を取得した時から2年以内(重国籍となった時が20歳に達する前であれば22歳に達するまで(平成30年法律第59号による改正後は、重国籍となった時が18歳に達する前であれば20歳に達するまで))にいずれかの国籍を選択しなければならないものとして猶予期間を設けていることには、外国籍を取得した者に国籍選択の手段を与えるという目的との間の合理的関連性を認めることができるのに対し、(ⅱ)自己の志望によって外国籍を取得した者については、上記のように身分行為等によって何ら本人の意思を介在することなく外国籍を取得した場合とは異なり、外国籍を取得するか否かについて選択する機会が与えられているものであるから、外国籍の取得後にあえて国籍選択のための猶予期間を設ける必要は乏しく、反面において、重国籍から生ずる弊害をできる限り防止し解消させる観点からは、速やかに日本国籍を喪失させることが望ましいところ、そ 外国籍の取得後にあえて国籍選択のための猶予期間を設ける必要は乏しく、反面において、重国籍から生ずる弊害をできる限り防止し解消させる観点からは、速やかに日本国籍を喪失させることが望ましいところ、その実現を図るという国籍法11条1項の立法目的は合理的であるといえ、また、そのための手段として、同項が外国籍の志望による取得によって日本国籍を当然に喪失すると定めていることは、上記立法目的のための手段として合理的関連性を認めることができ、②日本国籍が重要な法的地位であること等を勘案しても、そのことをもって直ちに上記①において説示した上記の区別に係る立法目的の合理性や上記の区別と立法目的との間の合理的関連性が否定されるものではなく、上記の控訴人らの主張は採用することができない。 - 47 -ウ生来的取得により生ずる重国籍について 控訴人らは、①生来的に日本国籍と外国籍を取得する場合(日本国籍と外国籍の夫婦の間に生まれた場合や日本国籍の子が生地主義国で生まれた場合など)と日本国民が外国籍を志望取得したことにより日本国籍と外国籍の複数国籍となる場合(仮に国籍法11条1項が存在しないとした場合)との間には何らの差異はなく、複数国籍による弊害を回避するために複数国籍を防止するという立法目的からは、生来的に複数国籍を取得した者と外国籍を志望取得した者を別異に取り扱うべき合理的理由は存在せず、②(ⅰ)複数国籍の発生防止は、複数国籍による弊害の発生防止を目的とするものであり、複数国籍の状態の存在自体が問題なのであるから、複数国籍となった原因ないし経緯により複数国籍の状態が発生することの許否が左右される合理的な根拠はなく、複数国籍の発生原因の違いにより複数国籍を一方では認め(生来的複数国籍者)、他方では認めない(国籍法11条1項の対 ないし経緯により複数国籍の状態が発生することの許否が左右される合理的な根拠はなく、複数国籍の発生原因の違いにより複数国籍を一方では認め(生来的複数国籍者)、他方では認めない(国籍法11条1項の対象者)という差別的取扱いに合理的な根拠はなく、(ⅱ)生来的な複数国籍の発生の防止が技術上困難であるからといって、外国籍を志望取得した者についてその意思に反し選択の機会も保障せずに日本国籍を喪失させることの合理性を根拠付けるものではなく、国籍法は、国籍選択制度を設け、複数国籍の事後的な解消であっても複数国籍の防止解消の目的を達成できるとしており、外国籍を志望取得した者に限って、その者の意思を無視して選択の機会を奪ってまで複数国籍の発生を防止しなければならない特別な事情があるとはいい難いから、生来的に複数国籍を取得した者には複数国籍の取得を認めた上で事後的な選択の機会を保障しているのに対し、外国籍を志望取得した者には日本国籍を外国籍の取得と同時に喪失させて国籍選択の機会を保障しないという差別的な取扱いに合理的な根拠があるとはいえない旨を主張する。 - 48 - しかしながら、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の3⑶イ)のとおり、⒜生来的に外国籍と日本国籍を取得する者は、自らの意思によらずに重国籍を取得することになるのであるから、上記イにおいて説示した外国籍の当然取得の場合と同様、国籍選択の機会を与え事後的に重国籍を解消するものとすることは合理的であり、その手段として22歳(平成30年法律第59号による改正後は20歳)に達するまで猶予期間を設けることには合理的関連性があるのに対し、⒝志望による外国籍の取得の場合には、上記のように出生等によって何ら本人の意思を介在することなく外国籍を取得した場合とは異なり、外国籍を取得する 猶予期間を設けることには合理的関連性があるのに対し、⒝志望による外国籍の取得の場合には、上記のように出生等によって何ら本人の意思を介在することなく外国籍を取得した場合とは異なり、外国籍を取得するか否かについて選択する機会が与えられているものであるから、外国籍の取得後にあえて国籍選択のための猶予期間を設ける必要は乏しい反面、重国籍の発生防止の観点から速やかに日本国籍を喪失させることが望ましく、その実現を図る国籍法11条1項の立法目的は合理的であるものといえ、同項の定めが上記立法目的を達成する手段として合理的関連性があることは、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の3⑵イ)及び上記イのとおりであり、上記⒜との区別については、合理的な立法目的によるものであり、かつ、立法目的との間に合理的関連性を有する手段により生じたものであるということができ、①上記⒜と⒝を別異に取り扱うべき合理的理由がないとはいえず、②上記⒜と⒝の取扱いの差異に合理的な根拠がないともいえないから、上記の控訴人らの主張は採用することができない。 エ日本国籍の志望取得により生ずる重国籍について 控訴人らは、①国籍法は、日本国籍を志望取得した者が複数国籍となること(認知による国籍取得(国籍法3条1項)、国籍再取得(同法17条1項)及び原国籍を保持したままでの帰化による国籍取得(同法5条2項))を認めており、他の国籍を取得する意思により複数国籍の状態と - 49 -なっているという意味では、日本国籍を志望取得した者と外国籍を志望取得した者との間に実質的な差異はないはずであり、②外国籍の喪失を日本国籍取得の条件とすること等により国籍法11条1項と同様に複数国籍の発生を防止することが可能であるにもかかわらず、国籍法は、日本国籍の志望取得による複数 な差異はないはずであり、②外国籍の喪失を日本国籍取得の条件とすること等により国籍法11条1項と同様に複数国籍の発生を防止することが可能であるにもかかわらず、国籍法は、日本国籍の志望取得による複数国籍者に対しては、そのような複数国籍の事前防止の制度を採用せず、事後的選択による解消に委ねることとしたものであり、日本国籍を志望取得した者に対しては複数国籍となることを認めた上で事後的な選択の機会を保障しているのに対し、外国籍を志望取得した者に対しては外国籍の取得と同時に日本国籍を喪失させ、国籍選択の機会を保障しておらず、このような差別的取扱いには合理的な根拠があるとはいえない旨を主張する。 しかしながら、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の3⑷イ)のとおり、①国籍法11条1項は、日本国籍を有する者が自己の志望によって外国籍を取得した場合に元々有していた日本国籍を喪失する旨を定めているのに対し、同法3条1項、17条及び5条2項が適用される場面では、いずれも元々外国籍を有していた者が届出や帰化によって日本国籍を取得した場合に、いかなる方法で元々有していた外国籍を喪失させるかが問題となるのであって、両者は全く異なる場面を想定した規定であるから、単純に比較することはできず、また、②外国籍の得喪について我が国の法律で規律することができない以上、日本国籍を志望によって取得した者について、一旦重国籍を発生させた上で、事後的に当該外国籍の離脱を努力義務として課すことが不合理であるとはいえず、上記の控訴人らの主張は採用することができない。 オ争点⑶に関する当審における控訴人らのその余の主張も、実質的に原審における主張を繰り返すもの又はその前提を欠くものであるなど、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の3)及び上記アないしエの認定 オ争点⑶に関する当審における控訴人らのその余の主張も、実質的に原審における主張を繰り返すもの又はその前提を欠くものであるなど、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の3)及び上記アないしエの認定判断を - 50 -左右するに足りるものとは認められない。 5 争点⑷(国籍法11条1項の改廃に係る立法不作為の国家賠償法上の違法性並びに損害の有無及び額)について⑴ 争点⑷(国籍法11条1項の改廃に係る立法不作為の国家賠償法上の違法性並びに損害の有無及び額)に関する当裁判所の判断は、後記⑵のとおり当審における控訴人1ないし控訴人6の主張に対する判断を付加するほかは、原判決第4の4に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決54頁21行目の「違法性、」を「違法性並びに」に改める。 ⑵ 当審における控訴人1ないし控訴人6の主張に対する判断ア控訴人1ないし控訴人6は、国籍法11条1項は、憲法10条、13条及び22条2項に違反し、憲法14条1項にも違反しており、被控訴人は昭和59年あるいは遅くとも平成元年までには国籍法11条1項の違憲性について容易に認識することができ、日本国籍の憲法上の重要性に鑑み、直ちに同項の改廃に取り組むべきであったにもかかわらず、これを怠り、同項によって日本国民が日本国籍を剝奪され続けるのを放置し続けたものであるから、被控訴人の立法不作為は国家賠償法上違法であり、これにより、控訴人1ないし控訴人6は、国籍法11条1項に基づき外国籍の取得と同時に日本国籍を喪失したものとして扱われ、甚大な精神的損害を被った旨を主張する。 イしかしながら、前記3⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2)及び⑵、前記4⑴(補正後の引用に係る原判決第4の3)及び⑵並びに上記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の4 った旨を主張する。 イしかしながら、前記3⑴(補正後の引用に係る原判決第4の2)及び⑵、前記4⑴(補正後の引用に係る原判決第4の3)及び⑵並びに上記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の4)のとおり、国籍法11条1項は、憲法10条、13条及び22条2項並びに憲法14条1項に違反するものではないから、国籍法11条1項を改廃しない立法不作為が国家賠償法上違法であるとはいえず、上記アの控訴人1ないし控訴人6の主張は採用することができない。 - 51 -ウ争点⑷に関する当審における控訴人1ないし控訴人6のその余の主張も、実質的に原審における主張を繰り返すもの又はその前提を欠くものであるなど、前記⑴(補正後の引用に係る原判決第4の4)及び上記イの認定判断を左右するに足りるものとは認められない。 6 結論以上によれば、控訴人7及び控訴人8の各訴えはいずれも確認の利益のあるものとして適法であり、控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却すべきところ、原判決中控訴人1ないし控訴人6の請求をいずれも棄却した部分(主文第2項)は相当であり、同控訴人らの本件各控訴はいずれも理由がなく、また、原判決中控訴人7及び控訴人8の訴えをいずれも却下した部分(主文第1項)は相当でないが、上記訴えに係る請求はいずれも理由がなく棄却を免れないものである以上、不利益変更禁止の原則(民事訴訟法304条)により、上記訴えについても控訴を棄却するにとどめるほかなく、本件各控訴をいずれも棄却することとして(なお、本件では、争点を同じくする併合事件(控訴人1ないし控訴人6を1審原告とする各事件)との関連で控訴人7及び控訴人8の請求についても原審において実体的審理が尽くされ、実体判断が示されているとみることができるから、事件を第1審裁判所に差し戻して更に いし控訴人6を1審原告とする各事件)との関連で控訴人7及び控訴人8の請求についても原審において実体的審理が尽くされ、実体判断が示されているとみることができるから、事件を第1審裁判所に差し戻して更に弁論をする必要はないものと認められる(同法307条ただし書)。)、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第16民事部 裁判官園部直子 - 52 -裁判官糸井淳一 裁判長裁判官岩井伸晃は、転補のため、署名押印することができない。 裁判官園部直子 - 53 -別紙1 (当事者目録は記載省略) 別紙2 - 54 -関連外国法令の定め第1 スイス国籍に関する連邦法(以下「スイス国籍法」という。乙33の1及び2) 1 9条(形式的要件)1項連邦は、申請者が次の要件を満たしている場合にのみ、帰化許可を付与する。 a 申請時に定住許可を有していることb 申請時にスイスに合わせて10年の滞在歴があることを証明すること。滞在歴のうちの3年は、申請提出から5年以内のものとする。 2 11条(実質的要件)連邦が帰化許可を付与するに当たっては、申請者が次の要件を満たしていることを要する。 a 社会に統合されていることb スイスの生活環境に精通していることc スイスの国内又は国外的な安全にとっての脅威でないこと 3 12条(社会統合の基準)⑴ 1項社会への統合は、特に次の点において判断される。 精通していることc スイスの国内又は国外的な安全にとっての脅威でないこと 3 12条(社会統合の基準)⑴ 1項社会への統合は、特に次の点において判断される。 a 公の安全及び秩序を守っていることb 連邦憲法の価値観を尊重していることc 日常生活において、口頭及び文字により国語を理解する能力があることd 経済活動又は教養の習得に参加していることe 配偶者、登録されているパートナー又は親としての配慮を行使すべき未成年の子の社会への統合を促進及び支援していること⑵ 2項障害、疾病その他の重大な個人的事情により、前項のc及びdの統合の判 - 55 -断基準を満たすことができない又は困難な条件下でのみ満たすことができる者の状況については、適切に考慮されなければならない。 ⑶ 3項州は、更なる社会統合の判断基準を定めることができる。 4 13条(帰化手続)⑴ 1項州は、帰化申請の提出先となる官庁を指定する。 ⑵ 2項 (略)⑶ 3項形式的及び実質的要件が全て満たされる場合、スイス連邦移民局は、連邦の帰化許可を付与し、これを帰化に関する決定のために州の帰化庁に送達する。 5 14条(州の帰化決定)⑴ 1項州の担当庁は、連邦の帰化許可の付与から1年以内に帰化決定を行う。この期間の経過後は、連邦の帰化許可はその効力を喪失する。 ⑵ 2項州の担当庁は、連邦の帰化許可の付与後に、帰化が確約されない理由となる事実が明らかになった場合には、帰化を却下する。 ⑶ 3項州の帰化決定の効力の発生により、地方自治体及び州の市民権並びにスイス市民権を取得する。 6 、帰化が確約されない理由となる事実が明らかになった場合には、帰化を却下する。 ⑶ 3項州の帰化決定の効力の発生により、地方自治体及び州の市民権並びにスイス市民権を取得する。 6 15条(州の手続)⑴ 1項州及び地方自治体の手続は、州の法律により規律される。 ⑵ 2項 - 56 -州の法律は、帰化申請を決定のために地方自治体の有権者大会の有権者に対して提出することを定めることができる。 第2 スイス国籍に関する政令(乙33の2) 1 2条(通常の帰化におけるスイスの生活環境に精通していること(スイス国籍法11条b))⑴ 1項申請者は、次に該当する場合に、スイスの生活環境に精通しているものとする。 a スイスの地理的、歴史的、政治的及び社会的な情勢についての基礎知識を有することb スイス社会の社会的及び文化的生活に参画していることc スイス人と接触を持つよう心掛けていること⑵ 2項州の担当庁は、前項のaに基づく知識についての試験を、申請者に義務付けることができる。このような試験を課す場合には、次の点を確保する。 a 申請者が、適切な教材又は講座により試験に備えることができるようにすることb 申請者が、帰化に必要な口頭及び文書による語学能力を身に付けて、この試験に合格できるようにすること 2 3条(スイスの国内又は国外の安全にとっての脅威(スイス国籍法11条c、20条2項及び26条1項e))スイスの国内又は国外の安全にとって具体的な脅威となるとは、その者が2015年9月25日付けの情報機関に関する法律6条1項aの1-5の規定に基づく領域の活動又は組織的犯罪活動に参加し、こうした活動を支援し、促 内又は国外の安全にとって具体的な脅威となるとは、その者が2015年9月25日付けの情報機関に関する法律6条1項aの1-5の規定に基づく領域の活動又は組織的犯罪活動に参加し、こうした活動を支援し、促進し又はそれに応募することによって、人の身体、生命若しくは自由又は国家 - 57 -の存続及び機能といった重要な法益に関係することである。 3 6条(語学力の証明(スイス国籍法12条1項c、20条1項及び26条1項a))⑴ 1項申請者は、国語において、口頭での語学力はヨーロッパ言語共通参照枠の少なくともB1レベル、読み書きでの語学力は少なくともA2レベルであることを証明しなければならない。 ⑵ 2項前項に基づく語学力の証明は、申請者が次のいずれかを満たした場合に行われたものとする。 a 国語を母語として話し、書く場合b 少なくとも5年間、国語による義務教育を受けている場合c 後期中等教育段階又は高等教育段階の教育を国語で修了している場合d 前項に基づく語学力を証明し、かつ、一般に受け入れられている語学試験の品質基準に対応する語学力の証明方法に基づく語学力の証明書を有している場合⑶ 3項スイス連邦移民局は、前項dの語学力の証明の検査において及び州の語学試験の設計において州を支援する。この任務は第三者に委託することができる。 4 13条(州の帰化決定(スイス国籍法14条1項及び2項))⑴ 1項州の担当官庁は、申請者の帰化の前に改めて犯罪登録・情報システムVOSTRAに照会する。 ⑵ 2項さらに州の担当官庁は、連邦の帰化許可の付与から6月以内に帰化を行う - 58 -ことができない場合には、経済活動又は教養の習得に参加しているかを STRAに照会する。 ⑵ 2項さらに州の担当官庁は、連邦の帰化許可の付与から6月以内に帰化を行う - 58 -ことができない場合には、経済活動又は教養の習得に参加しているかを改めて確認する。 ⑶ 3項連邦の帰化許可が失効したものの、申請者が引き続き帰化の条件を満たしている場合は、州の担当官庁は、スイス連邦移民局に対して再度帰化許可を求めることができる。 ⑷ 4項申請者が帰化前に帰化の条件を満たさなくなった場合は、州の担当官庁は、帰化申請を却下することができる。 第3 情報機関に関連するスイス連邦法(乙33の2)6条(連邦情報機関の任務)1項連邦情報機関の情報の入手及び処理は、次の目的に資する。 a 次の行為に基づく国内又は国外の安全にとっての脅威を早期に認識し、阻止すること① テロ行為② 禁じられている諜報活動③ 核兵器、生物兵器又は化学兵器(その運搬装置、これらの兵器の製造に必要な民生用及び軍事用の物品及び技術の全てを含む。)の拡散(NBC拡散)又は放射性物質、戦争物資及び他の軍需品の違法な取引④ 社会、経済、国家の機能にとって不可欠な情報、通信、エネルギー、輸送及びその他のインフラ施設(重要インフラ)への攻撃⑤ 暴力的な過激主義第4 フランス民法(乙34の1及び2) - 59 - 1 21-2条フランス国籍を有する配偶者と婚姻をした外国人又は無国籍者は、婚姻から4年経過後に、届出によりフランス国籍を取得することができる。ただし、国籍取得の届出日の時点で、精神的及び物理的な配偶者間の共同生活が婚姻後に中断しておらず、かつ、フランス国民である配偶者が国籍 ら4年経過後に、届出によりフランス国籍を取得することができる。ただし、国籍取得の届出日の時点で、精神的及び物理的な配偶者間の共同生活が婚姻後に中断しておらず、かつ、フランス国民である配偶者が国籍を維持していることをその条件とする。 外国人が、国籍取得の届出日の時点で、婚姻後3年以上中断することなく、合法的にフランスに居住していたことを証明できないとき、又はフランス国民である配偶者が外国での共同生活の期間に、外国に居住するフランス国民の登録簿に登録していたことを証明できないときは、共同生活の期間を5年とする。 また、外国で婚姻をした場合、その婚姻がフランスの身分登録簿に事前に転記されていなければならない。 また、外国人配偶者は、各人の条件に応じて、十分なフランス語の知識があることを証明しなければならない。知識の水準及び評価方法は、コンセイユ・デタ(国務院。以下同じ。)の議を経たデクレ(命令。以下同じ。)によって決定される。 2 21-4条政府は、言語以外の同化上の欠格又は欠如を理由として、26条2項に定める受領日から2年以内に、又は届出の登録が拒否された場合に国籍取得の届出の適法性を認める裁判所の決定が確定した日から2年以内に、コンセイユ・デタの議を経たデクレによって外国人配偶者のフランス国籍の取得を差し止めることができる。 外国人配偶者が実際に一夫多妻の状態にある場合、又は刑法典222-9条に定める犯罪によって有罪判決を受けた場合であって、この犯罪が15歳未満の未成年者に対して行われた場合、同化の欠如とみなす。 政府が差し止めた場合、当事者はフランス国籍を取得していなかったものと - 60 -みなされる。 ただし、届出と差止決定(デクレ)の間にされた行為の有効性に対しては、本人がフランス国籍を取得できなかったことを 合、当事者はフランス国籍を取得していなかったものと - 60 -みなされる。 ただし、届出と差止決定(デクレ)の間にされた行為の有効性に対しては、本人がフランス国籍を取得できなかったことを理由として異議を申し立てることができない。 3 21-16条帰化を認めるデクレの署名時に居所がフランスにない場合、帰化は認められない。 4 21-27条国家の基本的な利益の侵害若しくはテロ行為に相当する重罪若しくは軽罪によって有罪判決を受けた者又は考慮される犯罪の種類を問わず執行猶予の付かない6月以上の拘禁刑に処せられた者は、フランス国籍を取得することも、フランス国籍を回復することもできない。 退去命令を受けた場合であって、それが明示的に撤回も廃止もされていない場合、又はフランス領土での滞在禁止を受けた場合であって、それが完全に執行されていない場合も同様である。 外国人のフランス滞在に関する法律又は協定に照らして、フランスに違法に滞在している場合も同様である。 (以下略) 5 26条21-2条の適用によりフランス国民である配偶者との婚姻を理由として、21-13-1条の適用によりフランス国民である尊属の身分を理由として、又は21-13-2条の適用によりフランス国民である兄弟若しくは姉妹の身分を理由として署名された国籍の届出は、行政機関によって受理される。その他の国籍の届出は、司法裁判所の司法書記課課長又は領事によって受理される。 これらの届出の受理に必要な手続は、コンセイユ・デタの議を経たデクレに定める。 - 61 -届出が受理可能であることの証明に必要な書類の提出後に、届出の受領証が交付される。 6 26-1条国籍の届出は、フランスで署名される場合は司法裁判所の司法書記課課長が、外国で署名される場合は法 届出が受理可能であることの証明に必要な書類の提出後に、届出の受領証が交付される。 6 26-1条国籍の届出は、フランスで署名される場合は司法裁判所の司法書記課課長が、外国で署名される場合は法務大臣が、これを記録しなければならない。記録されなかった場合は届出を無効とする。ただし、以下の届出は、帰化を担当する大臣によって記録される。 ① フランス国民である配偶者との婚姻を理由として署名される届出(以下略) 7 26-3条大臣又は司法裁判所の司法書記課課長は、法的条件を満たさない届出の記録を拒否する。 理由を付した決定が届出人に通知される。届出人は、6月以内に司法裁判所に異議を申し立てることができる。未成年者は、16歳以上であれば、自ら申立てを行うことができる。 記録を拒否する決定は、届出が受理可能であることの証明に必要な全ての書類の提出を確認する受領証が届出人に交付された日から6月以内に行わなければならない。 21-2条、21-13-1条及び21-13-2条に従って署名された届出については、期限を1年とする。21-4条、21-13-1条又は21-13-2条の適用により政府が差止手続を行う場合は、この期限を2年とする。 以上
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